(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無機フィラー(C)が、アスペクト比が5以上であり、平均粒子径が20μm以下である異方形状粒子(C1)と、平均粒子径が20μm超である妨害粒子(C2)を含む請求項1または2に記載のチップ用樹脂膜形成用シート。
樹脂膜形成層が、半導体チップを基板または他の半導体チップに固定するためのフィルム状接着剤として機能する請求項1〜8の何れかに記載のチップ用樹脂膜形成用シート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明について、その最良の形態も含めてさらに具体的に説明する。本発明に係るチップ用樹脂膜形成用シートは、支持シートと、該支持シート上に形成された樹脂膜形成層とを有する。
【0026】
(樹脂膜形成層)
樹脂膜形成層は、バインダーポリマー成分(A)、硬化性成分(B)および無機フィラー(C)を含む。
【0027】
(A)バインダーポリマー成分
樹脂膜形成層に十分な接着性および造膜性(シート形成性)を付与するためにバインダーポリマー成分(A)が用いられる。バインダーポリマー成分(A)としては、従来公知のアクリルポリマー、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系ポリマー等を用いることができる。
【0028】
バインダーポリマー成分(A)の重量平均分子量(Mw)は、1万〜200万であることが好ましく、10万〜150万であることがより好ましい。バインダーポリマー成分(A)の重量平均分子量が低過ぎると樹脂膜形成層と支持シートとの粘着力が高くなり、樹脂膜形成層の転写不良が起こることがあり、高過ぎると樹脂膜形成層の接着性が低下し、チップ等に転写できなくなったり、あるいは転写後にチップ等から樹脂膜が剥離することがある。
【0029】
バインダーポリマー成分(A)として、アクリルポリマーが好ましく用いられる。アクリルポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−60〜50℃、さらに好ましくは−50〜40℃、特に好ましくは−40〜30℃の範囲にある。アクリルポリマーのガラス転移温度が低過ぎると樹脂膜形成層と支持シートとの剥離力が大きくなって樹脂膜形成層の転写不良が起こることがあり、高過ぎると樹脂膜形成層の接着性が低下し、チップ等に転写できなくなったり、あるいは転写後にチップ等から樹脂膜が剥離したりすることがある。
【0030】
上記アクリルポリマーを構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体が挙げられる。例えば、アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキル(メタ)アクリレート、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど;環状骨格を有する(メタ)アクリレート、具体的にはシクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレートなど;水酸基を有する(メタ)アクリレート、具体的には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど;その他、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中では、水酸基を有しているモノマーを重合して得られるアクリルポリマーが、後述する硬化性成分(B)との相溶性が良いため好ましい。また、上記アクリルポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレンなどが共重合されていてもよい。
【0031】
また、バインダーポリマー成分(A)として、熱可塑性樹脂を配合してもよい。熱可塑性樹脂は、アクリルポリマーを除く重合体であり、硬化後の樹脂膜の可とう性を保持するために配合される。熱可塑性樹脂としては、重量平均分子量が1000〜10万のものが好ましく、3000〜8万のものがさらに好ましい。上記範囲の熱可塑性樹脂を含有することにより、半導体ウエハまたはチップへの樹脂膜形成層の転写時における支持シートと樹脂膜形成層との層間剥離を容易に行うことができ、さらに転写面に樹脂膜形成層が追従しボイドなどの発生を抑えることができる。
【0032】
熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは−30〜150℃、さらに好ましくは−20〜120℃の範囲にある。熱可塑性樹脂のガラス転移温度が低過ぎると樹脂膜形成層と支持シートとの剥離力が大きくなって樹脂膜形成層の転写不良が起こることがあり、高過ぎると樹脂膜形成層とチップとの接着力が不十分となるおそれがある。
【0033】
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレンなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0034】
熱可塑性樹脂を含有する場合には、バインダーポリマー成分(A)の合計100質量部に対して、通常1〜60質量部、好ましくは1〜30質量部の割合で含まれる。熱可塑性樹脂の含有量がこの範囲にあることにより、上記の効果を得ることができる。
【0035】
また、バインダーポリマー成分(A)として、側鎖にエネルギー線重合性基を有するポリマー(エネルギー線硬化型重合体)を用いてもよい。このようなエネルギー線硬化型重合体は、バインダーポリマー成分(A)としての機能と、後述する硬化性成分(B)としての機能を兼ね備える。エネルギー線重合性基としては、後述するエネルギー線重合性化合物が含有するエネルギー線重合性官能基と同じものを有していればよい。側鎖にエネルギー線重合性基を有するポリマーとしては、たとえば側鎖に反応性官能基Xを有するポリマーに、反応性官能基Xと反応しうる官能基Yおよびエネルギー線重合性基を有する低分子化合物を反応させて調製したポリマーが挙げられる。
【0036】
(B)硬化性成分
硬化性成分(B)は、熱硬化性成分および熱硬化剤、またはエネルギー線重合性化合物を用いることができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。熱硬化性成分としては、たとえば、エポキシ樹脂が好ましい。
【0037】
エポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂としては、具体的には、多官能系エポキシ樹脂や、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルやその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂など、分子中に2官能以上有するエポキシ化合物が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
硬化性成分(B)として熱硬化性成分および熱硬化剤を用いる場合には、樹脂膜形成層には、バインダーポリマー成分(A)100質量部に対して、熱硬化性成分が、好ましくは1〜1500質量部含まれ、より好ましくは3〜1200質量部含まれる。熱硬化性成分の含有量が1質量部未満であると十分な接着性が得られないことがあり、1500質量部を超えると樹脂膜形成層と支持シートとの剥離力が高くなり、樹脂膜形成層の転写不良が起こることがある。
【0039】
熱硬化剤は、熱硬化性成分、特にエポキシ樹脂に対する硬化剤として機能する。好ましい熱硬化剤としては、1分子中にエポキシ基と反応しうる官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。その官能基としてはフェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシル基および酸無水物などが挙げられる。これらのうち好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基、酸無水物などが挙げられ、さらに好ましくはフェノール性水酸基、アミノ基が挙げられる。
【0040】
フェノール系硬化剤の具体的な例としては、多官能系フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂が挙げられる。アミン系硬化剤の具体的な例としては、DICY(ジシアンジアミド)が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0041】
熱硬化剤の含有量は、熱硬化性成分100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤の含有量が少ないと硬化不足で接着性が得られないことがあり、過剰であると樹脂膜形成層の吸湿率が高まり半導体装置の信頼性を低下させることがある。
【0042】
エネルギー線重合性化合物は、エネルギー線重合性基を含み、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する。このようなエネルギー線重合性化合物として具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、オリゴエステルアクリレート、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシ変性アクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーなどのアクリレート系化合物が挙げられる。このような化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、通常は、重量平均分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000程度である。硬化性成分(B)としてエネルギー線重合性化合物を用いる場合には、樹脂膜形成層には、バインダーポリマー成分(A)100質量部に対して、エネルギー線重合性化合物が、好ましくは1〜1500質量部含まれ、より好ましくは3〜1200質量部含まれる。
【0043】
(C)無機フィラー
無機フィラー(C)は、樹脂膜形成層の熱拡散率を向上させることができるものであることが好ましい。無機フィラー(C)を樹脂膜形成層に配合することにより熱拡散率を向上させ、樹脂膜形成層が貼付された半導体チップを実装した半導体装置の発熱を効率的に拡散することが可能となる。また、硬化後の樹脂膜における熱膨張係数を調整することが可能となり、半導体チップ、リードフレームや有機基板等の被着体に対して硬化後の樹脂膜の熱膨張係数を最適化することで半導体装置の信頼性を向上させることができる。さらにまた、硬化後の樹脂膜の吸湿率を低減させることが可能となり、加熱時に樹脂膜としての接着性を維持し、半導体装置の信頼性を向上させることができる。なお、熱拡散率とは、樹脂膜の熱伝導率を樹脂膜の比熱と比重の積で除算した値であり、熱拡散率が大きいほど優れた放熱特性を有することを示す。
【0044】
無機フィラー(C)としては、具体的には、シリカ(1.3W/m・K)、酸化亜鉛(54W/m・K)、酸化マグネシウム(59W/m・K)、アルミナ(38W/m・K)、チタン(21.9W/m・K)、炭化珪素(100〜350W/m・K)、窒化ホウ素(30〜200W/m・K)等の粒子、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維およびガラス繊維等が挙げられる。なお、かっこ内の数値は、熱伝導率を示す。
【0045】
無機フィラー(C)は、異方形状粒子(C1)と妨害粒子(C2)とを含むことが好ましい。無機フィラー(C)として異方形状粒子(C1)のみを用いた場合、樹脂膜形成層の製造工程(例えば塗布工程)中に異方形状粒子(C1)にかかる応力や重力により、その長軸方向が樹脂膜形成層の幅方向や流れ方向と略同一となる異方形状粒子の割合が高まり、優れた熱拡散率を有する樹脂膜形成層を得ることが困難になることがある。異方形状粒子は、その長軸方向に良好な熱拡散率を示す。そのため、樹脂膜形成層中において、その長軸方向と樹脂膜形成層の厚み方向とが略同一となる異方形状粒子の割合が高まることで、半導体チップに発生した熱が樹脂膜形成層を介して発散されやすくなる。無機フィラー(C)として、異方形状粒子(C1)と妨害粒子(C2)とを併用することにより、樹脂膜形成層の製造工程において、異方形状粒子の長軸方向が樹脂膜形成層の幅方向や流れ方向と略同一となることを抑制し、その長軸方向と樹脂膜形成層の厚み方向とが略同一となった異方形状粒子の割合を高めることができる。その結果、優れた熱拡散率を有する樹脂膜形成層が得られる。これは、樹脂膜形成層中に、妨害粒子(C2)が存在することにより、異方形状粒子(C1)が妨害粒子(C2)に立て掛かるように存在する結果、異方形状粒子の長軸方向と樹脂膜形成層の厚み方向とが略同一となることに起因する。なお、本発明において「異方形状粒子の長軸方向と樹脂膜形成層の厚み方向とが略同一」とは、具体的には、異方形状粒子の長軸方向が、樹脂膜形成層の厚み方向に対して、−45〜45°の範囲にあることをいう。
【0046】
(C1)異方形状粒子
異方形状粒子(C1)は異方性を有し、その具体的な形状は、板状、針状及び鱗片状からなる群より選ばれる少なくとも1つの形状を有することが好ましい。好ましい異方形状粒子(C1)としては、窒化物粒子が挙げられ、窒化物粒子としては、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素等の粒子が挙げられる。これらのうちでも良好な熱伝導性が得られやすい窒化ホウ素粒子が好ましい。
【0047】
異方形状粒子(C1)の平均粒子径は、20μm以下であり、好ましくは5〜20μm、より好ましくは8〜20μm、特に好ましくは10〜15μmである。また、異方形状粒子(C1)の平均粒子径は、後述する妨害粒子(C2)の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。異方形状粒子(C1)の平均粒子径を上記のように調整することにより、樹脂膜形成層の熱拡散率や製膜性が向上するとともに、樹脂膜形成層中における異方形状粒子(C1)の充填率が向上する。異方形状粒子(C1)の平均粒子径は、電子顕微鏡で無作為に選んだ異方形状粒子(C1)20個の長軸径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒子径とする。
【0048】
異方形状粒子(C1)の粒子径分布(CV値)は、好ましくは5〜40%、より好ましくは10〜30%である。異方形状粒子(C1)の粒子径分布を上記範囲とすることで、効率的で均一な熱伝導性を達成することができる。CV値は粒子径のバラツキの指標であり、CV値が大きいほど、粒子径のバラツキが大きいことを意味する。CV値が小さい場合、粒子径が揃っているため、粒子と粒子の間隙に入るサイズの小さな粒子の量が少なくなり、無機フィラー(C)をより密に充填するのが困難になり、結果として高い熱伝導率を有する樹脂膜形成層が得にくくなることがある。逆に、CV値が大きい場合、無機フィラー(C)の粒子径が製膜された樹脂膜形成層の厚みよりも大きくなることがあり、結果として樹脂膜形成層の表面に凹凸が生じ、樹脂膜形成層の接着性に劣ることがある。また、CV値が大きすぎると、均一な性能を有する熱伝導性組成物を得ることが困難になることがある。なお、異方形状粒子(C1)の粒子径分布(CV値)は、電子顕微鏡観察を行い、200個以上の粒子について長軸径を測定し、長軸径の標準偏差を求め、上述の平均粒子径を用いて、(長軸径の標準偏差)/(平均粒子径)を算出して求めることができる。
【0049】
異方形状粒子(C1)のアスペクト比は、5以上であり、好ましくは5〜30、より好ましくは8〜20、さらに好ましくは10〜15である。アスペクト比は、異方形状粒子(C1)の(長軸数平均径)/(短軸数平均径)で表される。短軸数平均径および長軸数平均径は、透過電子顕微鏡写真で無作為に選んだ異方形状粒子20個の短軸径および長軸径を測定し、それぞれの算術平均値として算出される個数平均粒子径とする。異方形状粒子(C1)のアスペクト比を上記範囲とすることで、妨害粒子(C2)により、異方形状粒子(C1)の長軸方向と樹脂膜形成層の幅方向や流れ方向とが略同一となることが妨げられ、異方形状粒子(C1)が樹脂膜形成層の厚み方向に効率的な熱伝導パスを形成し、熱拡散率を向上させることができる。
【0050】
異方形状粒子(C1)の比重は、好ましくは2〜4g/cm
3、より好ましくは2.2〜3g/cm
3である。
【0051】
異方形状粒子(C1)の長軸方向における熱伝導率は、60〜400W/m・Kであることが好ましく、100〜300W/m・Kであることがより好ましい。このような異方形状粒子を用いることで、形成された熱伝導パスが高い熱伝導性を有し、結果として熱拡散率の高い樹脂膜形成層が得られる。
【0052】
(C2)妨害粒子
妨害粒子(C2)の形状は、異方形状粒子(C1)の長軸方向と、樹脂膜形成層の幅方向や流れ方向(樹脂膜形成層と平行な方向)とが略同一となることを妨げる形状であれば特に限定されず、その具体的な形状は、好ましくは球状である。好ましい妨害粒子(C2)としては、シリカ粒子、アルミナ粒子が挙げられ、アルミナ粒子が特に好ましい。
【0053】
妨害粒子(C2)の平均粒子径は、20μm超であり、好ましくは20μm超50μm以下、より好ましくは20μm超30μm以下である。妨害粒子(C2)の平均粒子径を上記範囲とすることにより、樹脂膜形成層の熱拡散率や製膜性が向上するとともに、樹脂膜形成層中における妨害粒子(C2)の充填率が向上する。また、異方形状粒子は単位体積当たりの比表面積が大きく、樹脂膜形成層用組成物の粘度を上昇させやすい。ここに、さらに比表面積の大きい、平均粒子径が20μm以下の異方形状粒子以外のフィラーを添加した場合、樹脂膜形成層用組成物の粘度がいっそう上昇し、樹脂膜形成が困難になったり、多量の溶媒により希釈する必要が生じ、生産性が低下したりする懸念がある。なお、妨害粒子(C2)の平均粒子径は、電子顕微鏡で無作為に選んだ妨害粒子(C2)20個の長軸径を測定し、その算術平均値として算出される個数平均粒子径とする。
【0054】
また、妨害粒子(C2)の平均粒子径は、後述する樹脂膜形成層の厚みの0.6〜0.95倍であることが好ましく、0.7〜0.9倍であることがより好ましい。妨害粒子(C2)の平均粒子径が樹脂膜形成層の厚みの0.6倍未満であると、その長軸方向が樹脂膜形成層の幅方向や流れ方向と略同一となった異方形状粒子(C1)の割合が高まり、効率的な熱伝導パスが形成されにくくなり、熱拡散率が低下することがある。また、妨害粒子(C2)の平均粒子径が樹脂膜形成層の厚みの0.95倍を超えると、樹脂膜形成層の表面に凹凸が生じ、樹脂膜形成層の接着性に劣ることがある。また、均一な性能を有する熱伝導性の樹脂膜形成層用組成物を得ることが困難になることがある。
【0055】
妨害粒子(C2)の粒子径分布(CV値)は、好ましくは5〜40%、より好ましくは10〜30%である。妨害粒子(C2)の粒子径分布を上記範囲とすることで、効率的で均一な熱伝導性を達成することができる。CV値が小さい場合、粒子径が揃っているため、粒子と粒子の間隙に入るサイズの小さな粒子の量が少なくなり、無機フィラー(C)をより密に充填するのが困難になり、結果として高い熱伝導率を有する樹脂膜形成層が得にくくなることがある。逆に、CV値が大きい場合、無機フィラー(C)の粒子径が製膜された樹脂膜形成層の厚みよりも大きくなることがあり、結果として樹脂膜形成層の表面に凹凸が生じ、樹脂膜形成層の接着性に劣ることがある。また、CV値が大きすぎると、均一な性能を有する熱伝導性組成物を得ることが困難になることがある。なお、妨害粒子(C2)の粒子径分布(CV値)は、電子顕微鏡観察を行い、200個以上の粒子について長軸径を測定し、長軸径の標準偏差を求め、上述の平均粒子径を用いて、(長軸径の標準偏差)/(平均粒子径)を算出して求めることができる。
【0056】
樹脂膜形成層中の無機フィラー(C)の含有割合は、樹脂膜形成層を構成する全固形分に対して、好ましくは30〜80質量%、より好ましくは40〜70質量%、特に好ましくは50〜60質量%である。無機フィラー(C)の含有割合を上記範囲とすることで、効率的な熱伝導パスが形成され、熱拡散率を向上させることができる。
【0057】
無機フィラー(C)として異方形状粒子(C1)と妨害粒子(C2)とを含む場合、異方形状粒子(C1)と妨害粒子(C2)との重量比率は、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは4:1〜1:4である。
異方形状粒子(C1)と妨害粒子(C2)との重量比率を上記範囲とすることで、その長軸方向と樹脂膜形成層の厚み方向とが略同一となった異方形状粒子(C1)の割合を高めることができる。その結果、樹脂膜形成層の熱拡散率を向上させることができる。また、樹脂膜形成層用組成物の増粘を抑制し、平滑な樹脂膜を形成することができる。
【0058】
また、樹脂膜形成層中の無機フィラー(C)の濃度は、好ましくは30〜50体積%、より好ましくは35〜45体積%である。
【0059】
その他の成分
樹脂膜形成層は、上記バインダーポリマー成分(A)、硬化性成分(B)および無機フィラー(C)に加えて下記成分を含むことができる。
【0060】
(D)着色剤
樹脂膜形成層には、着色剤(D)を配合することができる。着色剤を配合することで、半導体装置を機器に組み込んだ際に、周囲の装置から発生する赤外線等による半導体装置の誤作動を防止することができる。このような効果は、特に樹脂膜を保護膜として用いた場合に有用である。着色剤としては、有機または無機の顔料および染料が用いられる。これらの中でも電磁波や赤外線遮蔽性の点から黒色顔料が好ましい。黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が用いられるが、これらに限定されることはない。半導体装置の信頼性を高める観点からは、カーボンブラックが特に好ましい。着色剤(D)の配合量は、樹脂膜形成層を構成する全固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜35質量部、さらに好ましくは0.5〜25質量部、特に好ましくは1〜15質量部である。
【0061】
(E)硬化促進剤
硬化促進剤(E)は、樹脂膜形成層の硬化速度を調整するために用いられる。硬化促進剤(E)は、特に、硬化性成分(B)として、少なくとも熱硬化性成分および熱硬化剤を用いる場合において、エポキシ樹脂と熱硬化剤とを併用するときに好ましく用いられる。
【0062】
好ましい硬化促進剤としては、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0063】
硬化促進剤(E)は、熱硬化性成分および熱硬化剤の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部の量で含まれる。硬化促進剤(E)を上記範囲の量で含有することにより、高温度高湿度下に曝されても優れた接着性を有し、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても高い信頼性を達成することができる。硬化促進剤(E)の含有量が少ないと硬化不足で十分な接着性が得られず、過剰であると高い極性をもつ硬化促進剤は高温度高湿度下で樹脂膜形成層中を接着界面側に移動し、偏析することにより半導体装置の信頼性を低下させる。
【0064】
(F)カップリング剤
無機物と反応する官能基および有機官能基と反応する官能基を有するカップリング剤(F)を、樹脂膜形成層のチップに対する接着性、密着性および/または樹脂膜の凝集性を向上させるために用いてもよい。また、カップリング剤(F)を使用することで、樹脂膜形成層を硬化して得られる樹脂膜の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上することができる。
【0065】
カップリング剤(F)としては、その有機官能基と反応する官能基が、バインダーポリマー成分(A)、硬化性成分(B)などが有する官能基と反応する基である化合物が好ましく使用される。カップリング剤(F)としては、シランカップリング剤が好ましい。このようなカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシランなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0066】
カップリング剤(F)は、バインダーポリマー成分(A)および硬化性成分(B)の合計100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部、より好ましくは0.3〜5質量部の割合で含まれる。カップリング剤(F)の含有量が0.1質量部未満だと上記の効果が得られない可能性があり、20質量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
【0067】
(G)光重合開始剤
樹脂膜形成層が、硬化性成分(B)として、エネルギー線重合性化合物を含有する場合には、その使用に際して、紫外線等のエネルギー線を照射して、エネルギー線重合性化合物を硬化させる。この際、樹脂膜形成層を構成する組成物中に光重合開始剤(G)を含有させることで、重合硬化時間ならびに光線照射量を少なくすることができる。
【0068】
このような光重合開始剤(G)として具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、1,2−ジフェニルメタン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドおよびβ−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤(G)は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
光重合開始剤(G)の配合割合は、エネルギー線重合性化合物100質量部に対して0.1〜10質量部含まれることが好ましく、1〜5質量部含まれることがより好ましい。0.1質量部未満であると光重合の不足で満足な転写性が得られないことがあり、10質量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、樹脂膜形成層の硬化性が不十分となることがある。
【0070】
(H)架橋剤
樹脂膜形成層の初期接着力および凝集力を調節するために、架橋剤を添加することもできる。架橋剤(H)としては有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物などが挙げられる。
【0071】
有機多価イソシアネート化合物としては、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物、脂環族多価イソシアネート化合物およびこれらの有機多価イソシアネート化合物の三量体、ならびにこれら有機多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等を挙げることができる。
【0072】
有機多価イソシアネート化合物として、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トリメチロールプロパンアダクトトリレンジイソシアネートおよびリジンイソシアネートが挙げられる。
【0073】
有機多価イミン化合物として、具体的には、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートおよびN,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等を挙げることができる。
【0074】
架橋剤(H)はバインダーポリマー成分(A)100質量部に対して通常0.01〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部の比率で用いられる。
【0075】
(I)汎用添加剤
樹脂膜形成層には、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。各種添加剤としては、レベリング剤、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、イオン捕捉剤、ゲッタリング剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
【0076】
上記のような各成分からなる樹脂膜形成層は、接着性と硬化性とを有し、未硬化状態では半導体ウエハ、チップ等に押圧し、または加熱しながら押圧することで接着する。そして硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い樹脂膜を与えることができ、接着強度にも優れ、厳しい高温度高湿度条件下においても十分な保護機能を保持し得る。本発明においては、上記の樹脂膜形成層を、半導体チップを基板または他の半導体チップに固定するためのフィルム状接着剤や、半導体ウエハまたは半導体チップの保護膜として用いることが好ましい。なお、樹脂膜形成層は単層構造であってもよく、また上記成分を含む層を1層以上含む限りにおいて多層構造であってもよい。
【0077】
樹脂膜形成層の熱拡散率は2×10
−6m
2/s以上であり、好ましくは2.5×10
−6〜5×10
−6m
2/s、より好ましくは4×10
−6〜5×10
−6m
2/sである。また、硬化後の樹脂膜形成層(樹脂膜)の熱拡散率は、好ましくは2×10
−6m
2/s以上、より好ましくは2.5×10
−6〜5×10
−6m
2/s、特に好ましくは4×10
−6〜5×10
−6m
2/sである。樹脂膜形成層の熱拡散率が2×10
−6m
2/s未満であると、半導体装置の発熱により、半導体装置が変形し、故障や破損の原因となることや、半導体装置の演算速度の低下や誤作動を招き、半導体装置の信頼性を低下させることがある。樹脂膜形成層または樹脂膜の熱拡散率を上記範囲とすることで、半導体装置の放熱特性を向上させ、優れた信頼性を有する半導体装置を製造することができる。
【0078】
樹脂膜形成層の放熱特性の指標としては、熱拡散率のほか、熱伝導率を用いることができ、硬化後の樹脂膜形成層(樹脂膜)の熱伝導率は、4〜15W/m・Kであることが好ましく、5〜10W/m・Kであることがより好ましい。
【0079】
(チップ用樹脂膜形成用シート)
樹脂膜形成層は、上記各成分を適宜の割合で、適当な溶媒中で混合してなる樹脂膜形成用組成物を、支持シート上に塗布乾燥して得られる。また、支持シートとは別の工程フィルム上に樹脂膜形成用組成物を塗布、乾燥して成膜し、これを支持シート上に転写してもよい。
【0080】
本発明に係るチップ用樹脂膜形成用シートは、上記樹脂膜形成層を支持シート上に剥離可能に形成してなる。本発明に係るチップ用樹脂膜形成用シートの形状は、テープ状、ラベル状などあらゆる形状をとり得る。
【0081】
支持シートとしては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルムなどのフィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。また、これらを着色したフィルムをも用いることができる。
【0082】
本発明のチップ用樹脂膜形成用シートにおいては、その使用に際して支持シートを剥離し、樹脂膜形成層を半導体ウエハまたはチップに転写する。特に樹脂膜形成層の熱硬化後に支持シートを剥離する場合には、支持シートは樹脂膜形成層の熱硬化時の加熱に耐える必要があるため、耐熱性に優れたアニール処理ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルムが好ましく用いられる。樹脂膜形成層と支持シートとの間での剥離を容易にするため、支持シートの表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。このような表面張力が低い支持シートは、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また支持シートの表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
【0083】
剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
【0084】
上記の剥離剤を用いてシートの表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、常温もしくは加熱硬化または電子線硬化させたり、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などで積層体を形成すればよい。
【0085】
また、樹脂膜形成層は、支持シートに設けられた再剥離性粘着剤層上に積層されていてもよい。再剥離性粘着剤層は、樹脂膜形成層を剥離できる程度の粘着力を有する弱粘着性のものを使用してもよいし、エネルギー線照射により粘着力が低下するエネルギー線硬化性のものを使用してもよい。また、エネルギー線硬化性の再剥離性粘着剤層を用いる場合、樹脂膜形成層が積層される領域に予めエネルギー線照射を行い、粘着性を低減させておく一方、他の領域はエネルギー線照射を行わず、たとえば治具への接着を目的として、粘着力を高いまま維持しておいてもよい。他の領域のみにエネルギー線照射を行わないようにするには、たとえば基材の他の領域に対応する領域に印刷等によりエネルギー線遮蔽層を設け、基材側からエネルギー線照射を行えばよい。再剥離性粘着剤層は、従来より公知の種々の粘着剤(例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ビニルエーテル系などの汎用粘着剤)により形成できる。再剥離性粘着剤層の厚みは特に限定されないが、通常は1〜50μmであり、好ましくは3〜20μmである。
【0086】
支持シートの厚さは、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μmである。
【0087】
樹脂膜形成層の厚みは、好ましくは20〜60μm、より好ましくは25〜50μm、特に好ましくは30〜45μmである。また、樹脂膜形成層の厚みは、妨害粒子(C2)の平均粒子径よりも2〜5μm大きいことが好ましい。
【0088】
なお、チップ用樹脂膜形成用シートの使用前に、樹脂膜形成層を保護するために、樹脂膜形成層の上面に、前記支持シートとは別に、軽剥離性の剥離フィルムを積層しておいてもよい。
【0089】
このようなチップ用樹脂膜形成用シートの樹脂膜形成層は、フィルム状接着剤として機能することができる。フィルム状接着剤は通常半導体ウエハのいずれかの面に貼付され、ダイシング工程を経て個々のチップに切断された後、基板などに載置(ダイボンド)され、硬化工程を経て半導体チップを接着固定するのに用いられる。このようなフィルム状接着剤はダイアタッチメントフィルムと呼ばれることがある。本発明における樹脂膜形成層をフィルム状接着剤として用いた半導体装置は、放熱特性に優れるため、その信頼性の低下を抑制できる。
【0090】
また、チップ用樹脂膜形成用シートの樹脂膜形成層は保護膜とすることができる。樹脂膜形成層はフェースダウン方式のチップ用半導体ウエハまたは半導体チップの裏面に貼付され、適当な手段により硬化されて封止樹脂の代替として半導体チップを保護する機能を有する。半導体ウエハに貼付した場合には、保護膜がウエハを補強する機能を有するためにウエハの破損等を防止しうる。また、本発明における樹脂膜形成層を保護膜とした半導体装置は、放熱特性に優れるため、その信頼性の低下を抑制できる。
【0091】
(半導体装置の製造方法)
次に本発明に係るチップ用樹脂膜形成用シートの利用方法について、該シートを半導体装置の製造に適用した場合を例にとって説明する。
【0092】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面に、上記チップ用樹脂膜形成用シートの樹脂膜形成層を貼付し、その後、裏面に樹脂膜を有する半導体チップを得ることが好ましい。該樹脂膜は、半導体ウエハまたは半導体チップの保護膜であることが好ましい。また、本発明に係る半導体チップの製造方法は、好ましくは、以下の工程(1)〜(3)をさらに含み、工程(1)〜(3)を任意の順で行うことを特徴としている。
工程(1):樹脂膜形成層または樹脂膜と、支持シートとを剥離、
工程(2):樹脂膜形成層を硬化し樹脂膜を得る、
工程(3):半導体ウエハと、樹脂膜形成層または樹脂膜とをダイシング。
【0093】
半導体ウエハはシリコンウエハであってもよく、またガリウム・砒素などの化合物半導体ウエハであってもよい。ウエハ表面への回路の形成はエッチング法、リフトオフ法などの従来より汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。次いで、半導体ウエハの回路面の反対面(裏面)を研削する。研削法は特に限定はされず、グラインダーなどを用いた公知の手段で研削してもよい。裏面研削時には、表面の回路を保護するために回路面に、表面保護シートと呼ばれる粘着シートを貼付する。裏面研削は、ウエハの回路面側(すなわち表面保護シート側)をチャックテーブル等により固定し、回路が形成されていない裏面側をグラインダーにより研削する。ウエハの研削後の厚みは特に限定はされないが、通常は20〜500μm程度である。
【0094】
その後、必要に応じ、裏面研削時に生じた破砕層を除去する。破砕層の除去は、ケミカルエッチングや、プラズマエッチングなどにより行われる。
【0095】
次いで、半導体ウエハの裏面に、上記チップ用樹脂膜形成用シートの樹脂膜形成層を貼付する。その後、工程(1)〜(3)を任意の順で行う。このプロセスの詳細については、特開2002−280329号公報に詳述されている。一例として、工程(1)、(2)、(3)の順で行う場合について説明する。
【0096】
まず、表面に回路が形成された半導体ウエハの裏面に、上記チップ用樹脂膜形成用シートの樹脂膜形成層を貼付する。次いで樹脂膜形成層から支持シートを剥離し、半導体ウエハと樹脂膜形成層との積層体を得る。次いで樹脂膜形成層を硬化し、ウエハの全面に樹脂膜を形成する。樹脂膜形成層に、硬化性成分(B)として熱硬化性成分および熱硬化剤を用いた場合には、熱硬化により樹脂膜形成層を硬化する。硬化性成分(B)として、エネルギー線重合性化合物が配合されている場合には、樹脂膜形成層の硬化を、エネルギー線照射により行うことができ、熱硬化性成分および熱硬化剤と、エネルギー線重合性化合物を併用する場合には、加熱およびエネルギー線照射による硬化を同時に行ってもよく、逐次的に行ってもよい。照射されるエネルギー線としては、紫外線(UV)または電子線(EB)等が挙げられ、好ましくは紫外線が用いられる。この結果、ウエハ裏面に硬化樹脂からなる樹脂膜が形成され、ウエハ単独の場合と比べて強度が向上するので、薄くなったウエハの取扱い時の破損を低減できる。また、熱拡散率の高い樹脂膜が形成されることで、優れた放熱特性が付与される。また、ウエハやチップの裏面に直接樹脂膜用の塗布液を塗布・被膜化するコーティング法と比較して、樹脂膜の厚さの均一性に優れる。
【0097】
次いで、半導体ウエハと樹脂膜との積層体を、ウエハ表面に形成された回路毎にダイシングする。ダイシングは、ウエハと樹脂膜をともに切断するように行われる。ウエハのダイシングは、ダイシングシートを用いた常法により行われる。この結果、裏面に樹脂膜を有する半導体チップが得られる。
【0098】
最後に、ダイシングされたチップをコレット等の汎用手段によりピックアップすることで、裏面に樹脂膜を有する半導体チップが得られる。このような本発明によれば、厚みの均一性の高い樹脂膜を、チップ裏面に簡便に形成でき、ダイシング工程やパッケージングの後のクラックが発生しにくくなる。さらに、得られる半導体装置には優れた放熱特性が付与されるため、その信頼性が低下することを抑制できる。そして、半導体チップをフェースダウン方式で所定の基台上に実装することで半導体装置を製造することができる。また、裏面に樹脂膜を有する半導体チップを、ダイパッド部または別の半導体チップなどの他の部材上(チップ搭載部上)に接着することで、半導体装置を製造することもできる。
【0099】
また、本発明に係るチップ用樹脂膜形成用シートを用いた別の半導体装置の製造方法は、該シートの樹脂膜形成層を半導体ウエハに貼着し、該半導体ウエハをダイシングして半導体チップとし、該半導体チップのいずれかの面に該樹脂膜形成層を固着残存させて支持シートから剥離し、該半導体チップをダイパッド部上、または別の半導体チップ上に該樹脂膜形成層を介して載置する工程を含むことが好ましい。一例として、チップの裏面に樹脂膜形成層を貼付する製造方法について以下説明する。
【0100】
まず、リングフレームおよび半導体ウエハの裏面側を本発明に係るチップ用樹脂膜形成用シートの樹脂膜形成層上に載置し、軽く押圧し、半導体ウエハを固定する。その際、室温ではタック性を有しない場合は適宜加温しても良い(限定するものではないが、40〜80℃が好ましい)。次いで、樹脂膜形成層に硬化性成分(B)としてエネルギー線重合性化合物が配合されている場合には、樹脂膜形成層に支持シート側からエネルギー線を照射し、樹脂層形成層を予備的に硬化し、樹脂膜形成層の凝集力を上げ、樹脂膜形成層と支持シートとの間の接着力を低下させておいてもよい。次いで、ダイシングソーなどの切断手段を用いて、上記の半導体ウエハを切断し半導体チップを得る。この際の切断深さは、半導体ウエハの厚みと、樹脂膜形成層の厚みとの合計およびダイシングソーの磨耗分を加味した深さにする。なお、エネルギー線照射は、半導体ウエハの貼付後、半導体チップの剥離(ピックアップ)前のいずれの段階で行ってもよく、たとえばダイシングの後に行ってもよく、また下記のエキスパンド工程の後に行ってもよい。さらにエネルギー線照射を複数回に分けて行ってもよい。
【0101】
次いで必要に応じ、チップ用樹脂膜形成用シートのエキスパンドを行うと、半導体チップ間隔が拡張し、半導体チップのピックアップをさらに容易に行えるようになる。この際、樹脂膜形成層と支持シートとの間にずれが発生することになり、樹脂膜形成層と支持シートとの間の接着力が減少し、半導体チップのピックアップ性が向上する。このようにして半導体チップのピックアップを行うと、切断された樹脂膜形成層を半導体チップ裏面に固着残存させて支持シートから剥離することができる。
【0102】
次いで樹脂膜形成層を介して半導体チップを、リードフレームのダイパッド上または別の半導体チップ(下段チップ)表面に載置する(以下、チップが搭載されるダイパッドまたは下段チップ表面を「チップ搭載部」と記載する)。チップ搭載部は、半導体チップを載置する前に加熱するか載置直後に加熱される。加熱温度は、通常は80〜200℃、好ましくは100〜180℃であり、加熱時間は、通常は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒〜3分であり、載置するときの圧力は、通常1kPa〜200MPaである。
【0103】
半導体チップをチップ搭載部に載置した後、必要に応じさらに加熱を行ってもよい。この際の加熱条件は、上記加熱温度の範囲であって、加熱時間は通常1〜180分、好ましくは10〜120分である。
【0104】
また、載置後の加熱処理は行わずに仮接着状態としておき、パッケージ製造において通常行われる樹脂封止での加熱を利用して樹脂膜形成層を硬化させてもよい。このような工程を経ることで、樹脂膜形成層が硬化し、半導体チップとチップ搭載部とが強固に接着された半導体装置を得ることができる。樹脂膜形成層はダイボンド条件下では流動化しているため、チップ搭載部の凹凸にも十分に埋め込まれ、ボイドの発生を防止でき半導体装置の信頼性が高くなる。また、樹脂膜形成層の熱拡散率が高いため、半導体装置は優れた放熱特性を有し、その信頼性が低下することを抑制できる。
【0105】
本発明のチップ用樹脂膜形成用シートは、上記のような使用方法の他、半導体化合物、ガラス、セラミックス、金属などの接着に使用することもできる。
【実施例】
【0106】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、<熱拡散率測定>は次のように行った。
【0107】
<熱拡散率測定>
(硬化前)
樹脂膜形成層(厚さ:40μm)を、裁断して各片が1cmの正方形の試料を得た。次いで、熱伝導率測定装置(ai−phase社製 アイフェイズ・モバイル1u)を用いて、該試料の熱伝導率を測定した。その後、該試料の比熱と比重から該試料の熱拡散率を算出し、樹脂膜形成層の熱拡散率とした。熱拡散率が2×10
−6m
2/s以上の場合を「良好」とし、2×10
−6m
2/s未満の場合を「不良」とした。
(硬化後)
樹脂膜形成層(厚さ:40μm)を、裁断して各片が1cmの正方形の試料を得た。次いで、該試料を加熱(130℃、2時間)して硬化させた後、熱伝導率測定装置(ai−phase社製 アイフェイズ・モバイル1u)を用いて、該試料の熱伝導率を測定した。その後、該試料の比熱と比重から該試料の熱拡散率を算出し、樹脂膜の熱拡散率とした。熱拡散率が2×10
−6m
2/s以上の場合を「良好」とし、2×10
−6m
2/s未満の場合を「不良」とした。
【0108】
<樹脂膜形成層用組成物>
樹脂膜形成層を構成する各成分を下記に示す。
(A)バインダーポリマー成分:メタクリル酸メチル85質量部とアクリル酸2−ヒドロキシエチル15質量部との共重合体(重量平均分子量:40万、ガラス転移温度:6℃)
(B)硬化性成分:
(B1)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180〜200g/eq)
(B2)ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製 エピクロンHP−7200HH)
(B3)ジシアンジアミド(旭電化製 アデカハードナー3636AS)
(C)無機フィラー:
(C1)窒化ホウ素粒子(昭和電工(株)製 UHP−2、形状:板状、平均粒子径11.8μm、アスペクト比11.2、長軸方向の熱伝導率200W/m・K、比重2.3g/cm
3)
(C2)アルミナフィラー(昭和電工(株)製 CB−A30S、形状:球状、平均粒子径30μm、比重4.0g/cm
3)
(D)着色剤:黒色顔料(カーボンブラック、三菱化学社製 #MA650、平均粒子径28nm)
(E)硬化促進剤:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製 キュアゾール2PHZ−PW)
(F)カップリング剤:A−1110(日本ユニカー社製)
【0109】
(実施例および比較例)
上記各成分を表1に記載の量で配合し、樹脂膜形成用組成物を得た。得られた組成物のメチルエチルケトン溶液(固形濃度61重量%)を、シリコーンで剥離処理された支持シート(リンテック株式会社製 SP−PET381031、厚さ38μm)の剥離処理面上に乾燥後40μm(比較例3のみ60μm)の厚みになるように塗布、乾燥(乾燥条件:オーブンにて110℃、1分間)して、支持シート上に樹脂膜形成層を形成し、チップ用樹脂膜形成用シートを得た。
【0110】
【表1】
【0111】
得られたチップ用樹脂膜形成用シートの樹脂膜形成層について、<熱拡散率測定>を行った。結果を表2に示す。
【0112】
【表2】
【0113】
実施例のチップ用樹脂膜形成用シートの樹脂膜形成層は、優れた熱拡散率を示した。したがって、支持シートと、該支持シート上に形成された樹脂膜形成層とを有し、該樹脂膜形成層が、バインダーポリマー成分(A)、硬化性成分(B)および無機フィラー(C)を含み、該樹脂膜形成層の熱拡散率が2×10
−6m
2/s以上であるチップ用樹脂膜形成用シートを用いることで、高信頼性の半導体装置を得ることができる。