【文献】
PLoS One [online],3(12)(2008),e4069,[retrieved on Apr-20-2016],URL,<http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0004069>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
i.下記の3つのCDR、それぞれ配列番号1の配列を有するCDR−H1、配列番号2の配列を有するCDR−H2および配列番号3の配列を有するCDR−H3を含んでなる重鎖と、
ii.下記の3つのCDR、それぞれ配列番号4の配列を有するCDR−L1、配列番号5の配列を有するCDR−L2および配列番号6の配列を有するCDR−L3を含んでなる軽鎖
とを含んでなり、2008年6月25日にCNCM(パスツール研究所、パリ、フランス)に番号I−4019として寄託されたハイブリドーマにより分泌される抗体のCXCR4への結合を遮断しないことを特徴とする、抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
前記抗体は、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4と結合することができ、かつ、SDF−1により誘発されるCXCR2/CXCR4ヘテロ二量体のコンフォメーション変化を調節しない、
抗体またはその抗原結合フラグメント。
CXCR4の発現に関連する腫瘍形成性障害のin vitroもしくはex vivo診断またはCXCR4の発現に関連する腫瘍形成性障害の発症の予後のin vitroもしくはex vivo判定において使用するための、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
前記腫瘍形成性障害が、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現に関連する腫瘍形成性障害からなる、請求項4に記載の抗体またはその抗原結合フラグメント。
被験体由来の腫瘍における単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4を発現する細胞のパーセンテージをin vitroまたはex vivoで判定するための方法であって、
(a)被験体由来のサンプルを、請求項1〜7のいずれか一項に記載の、または請求項13の方法により得られた、または請求項8に記載のハイブリドーマにより産生された抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させる工程;および
(b)前記サンプルにおいて単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4を発現する細胞のパーセンテージを定量する工程
を含んでなる、方法。
被験体由来の腫瘍における単量体および/またはホモ二量体としての単量体/ホモ二量体CXCR4の発現レベルをin vitroまたはex vivoで判定するための方法であって、
(a)被験体由来の生体サンプルを、請求項1〜7のいずれか一項に記載の、または請求項13の方法により得られた、または請求項8に記載のハイブリドーマにより産生された抗体またはその抗原結合フラグメントと接触させる工程;および
(b)前記生体サンプルにおいて前記抗体またはその抗原結合フラグメントと単量体/ホモ二量体CXCR4との結合レベルを定量する工程
を含んでなる、方法。
前記抗体またはその抗原結合フラグメントと単量体/ホモ二量体CXCR4との結合レベルが、免疫組織化学(IHC)またはFACSにより測定される、請求項16に記載の方法。
前記適当な尺度が、「無反応性」を0とし、「67〜100%の割合の反応」の割合における強い反応性を8とする0〜8の尺度である、請求項19または20に記載の方法。
単量体/ホモ二量体CXCR4に関連する腫瘍形成性障害に罹患している被験体において、前記障害を緩和するように設計された治療計画の有効性をin vitroまたはex vivoで判定するための方法であって、
(a)第一の時点で前記被験体から抽出された生体サンプルにおいて、単量体/ホモ二量体CXCR4の第一の発現レベルを請求項16〜18のいずれか一項に従って判定する工程;
(b)後の第二の時点で前記被験体から抽出された生体サンプルにおいて、単量体/ホモ二量体CXCR4の第二の発現レベルを請求項16〜18のいずれか一項に従って判定する工程;
(c)工程(a)で得られたレベルの、(b)で得られたレベルに対する比を判定する工程;および
(d)工程(c)の比が1より大きい場合に、前記治療計画の有効性が高いと判定する工程;または
(e)工程(c)の比が1以下である場合に、前記治療計画の有効性が低いと判定する工程
を含んでなる、方法。
前記CXCR4阻害剤が、2008年6月25日にCNCM(パスツール研究所、パリ、フランス)に番号I−4019として寄託されたハイブリドーマにより分泌されるモノクローナル抗体である、請求項27に記載の方法。
前記抗体またはその抗原結合フラグメントと単量体/ホモ二量体CXCR4の間の結合程度を検出するための試薬をさらに含んでなる、請求項29または30に記載のキット。
前記抗体またはその抗原結合フラグメントと単量体/ホモ二量体CXCR4の間の結合レベルを定量するための試薬をさらに含んでなる、請求項29〜31のいずれか一項に記載のキット。
【発明の開示】
【0015】
本発明は、腫瘍形成性障害を検出および/またはモニタリングするための診断または予後ツールとして使用することができる少なくとも1つの試薬、特に、CXCR4の発現を特徴とするものまたは異常なCXCR4発現により媒介されるものを提供することを目的とする。
【0016】
具体的には、本発明は、診断または予後目的に使用可能な、CXCR4と結合することができる新規な単離された抗体を提供する。
【0017】
驚くことに、従来技術の抗体とは対照的に、本出願者は、CXCR4単量体またはCXCR4/CXCR4ホモ二量体として発現されるCXCR4と特異的に結合することができる抗体を作出した。他方、本発明の抗体は、任意の既知CXCR4/Xヘテロ二量体、より詳しくは、CXCR4/CXCR2ヘテロ二量体を含むヘテロ二量体とは有意に結合しない。本明細書の以下で述べるように、この特性は診断分野に関して大きな注目を受けるものである。
【0018】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および実施例から明らかとなる。
【0019】
第一の側面において、本発明は、CXCR4と、好ましくはヒトCXCR4と高親和性で結合する、従って、CXCR4発現により媒介される病的過剰増殖性腫瘍形成性障害を診断するために有用であり得る、単離された抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体の1つに関する。
【0020】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および実施例から明らかとなる。
【0021】
好ましくは、本発明は、遺伝子組換えまたは化学合成によって得られる、本発明による抗体、それらの誘導化合物またはそれらの機能的フラグメントを包含する。
【0022】
第一の態様では、本発明の抗体はモノクローナル抗体である。
【0023】
「モノクローナル抗体」とは、ほぼ均一な抗体の集団に由来する抗体を意味すると理解される。より詳しくは、ある集団の個々の抗体は、最小限の割合で見出すことができる少数の潜在的な天然に存在する突然変異以外は同一である。言い換えれば、モノクローナル抗体は、単一細胞クローン(例えば、ハイブリドーマ、均一抗体をコードするDNA分子でトランスフェクトされた真核生物宿主細胞、均一抗体をコードするDNA分子でトランスフェクトされた原核生物宿主細胞など)の増殖から生じる均一抗体からなり、一般に1つかつただ1種のクラスおよびサブクラスの重鎖と、ただ1タイプの軽鎖を特徴とする。モノクローナル抗体は特異性が高く、単一抗原に対するものである。さらに、典型的には様々な決定基またはエピトープに対する様々な抗体を含むポリクローナル抗体の調製とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原の単一エピトープに対するものである。
【0024】
典型的なIgG抗体は、2本の同じ重鎖と2本の同じ軽鎖がジスルフィド結合により連結されたものから構成される。各重鎖および軽鎖は、定常領域と可変領域を含む。各可変領域は、抗原のエピトープとの結合を主要に担う、「相補性決定領域」(「CDR」)または「超可変領域」と呼ばれる3つのセグメントを含む。これらのセグメントは通常、N末端から順番に符番してCDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれる。これらの可変領域のより保存性の高い部分は「フレームワーク領域」と呼ばれる。
【0025】
3つの重鎖CDRと3つの軽鎖CDRが存在する。用語CDRは、本明細書において、場合に応じて、抗体が認識する抗原またはエピトープに対する抗体の親和性により結合を担うアミノ酸残基の大部分を含む、またはこれらの領域の1つ、またはこれらの領域のいくつか、もしくはさらには全部を示すために用いられる。
【0026】
本発明によれば、抗体のCDRは、IMGTナンバリングシステムにより定義される。IMGTによるCDRからKabatによるCDRを推定することは、当業者には自明である。KabatによるCDRは、本発明の範囲の一部とみなされるべきである。
【0027】
IMGT独自ナンバリングは、抗原受容体、鎖型、または種に関わらず可変ドメインを比較するために定義されたものである[Lefranc M.-P., Immunology Today 18, 509 (1997) / Lefranc M.-P., The Immunologist, 7, 132-136 (1999) / Lefranc, M.-P., Pommie, C, Ruiz, M., Giudicelli, V., Foulquier, E., Truong, L., Thouvenin-Contet, V. and Lefranc, Dev. Comp. Immunol., 27, 55-77 (2003)]。IMGT独自ナンバリングでは、保存されているアミノ酸は常に同じ位置になる:例えばシステイン23(1st−CYS)、トリプトファン41(CONSERVED−TRP)、疎水性アミノ酸89、システイン104(2nd−CYS)、フェニルアラニンまたはトリプトファン118(J−PHEまたはJ−TRP)である。IMGT独自ナンバリングは、フレームワーク領域(FR1−IMGT:1〜26番、FR2−IMGT:39〜55番、FR3−IMGT:66〜104番およびFR4−IMGT:118〜128番)および相補性決定領域:CDR1−IMGT:27〜38、CDR2−IMGT:56〜65およびCDR3−IMGT:105〜117の標準化された境界を定める。ギャップは非占有位置を表すので、CDR−IMGT長(かぎ括弧中に示されドットで区切られる。例えば[8.8.13])は重要な情報となる。IMGT独自ナンバリングは、IMGT Colliers de Perlesと呼ばれる2次元グラフィック表示[Ruiz, M. and Lefranc, M.-P., Immunogenetics, 53, 857-883 (2002) / Kaas, Q. and Lefranc, M.-P., Current Bioinformatics, 2, 21-30 (2007)]およびIMGT/3Dstructure−DBの3次元構造[Kaas, Q., Ruiz, M. and Lefranc, M.-P., T cell receptor and MHC structural data. Nucl. Acids. Res., 32, D208-D210 (2004)]に用いられる。
【0028】
好ましい態様では、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体は、配列番号1〜6のアミノ酸配列の群から選択されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、またはその配列が最適なアラインメントの後に配列番号1〜6の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する少なくとも1つのCDRを含んでなる。
【0029】
より好ましい態様では、本発明の抗体は、i)IMGTナンバリングシステムにより定義される下記のCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3(ここで、CDR−H1は配列番号1の配列を含んでなり、CDR−H2は配列番号2の配列を含んでなり、CDR−H3は配列番号3の配列を含んでなる)のうちの少なくとも1つを含んでなる重鎖;および/またはii)IMGTナンバリングシステムにより定義される下記のCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3(ここで、CDR−L1は配列番号4の配列を含んでなり、CDR−L2は配列番号5の配列を含んでなり、CDR−L3は配列番号6の配列を含んでなる)のうちの少なくとも1つを含んでなる軽鎖を含んでなる。
【0030】
さらなる好ましい態様では、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体は重鎖を含んでなり、該重鎖は、IMGTにより定義される下記の3つのCDR、それぞれCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3を含んでなり、ここで、CDR−H1は配列番号1の配列を含んでなり、CDR−H2は配列番号2の配列を含んでなり、CDR−H3は配列番号3の配列を含んでなる。
【0031】
別の好ましい態様によれば、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体は軽鎖を含んでなり、該軽鎖は、IMGTにより定義される下記の3つのCDR、それぞれCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3を含んでなり、ここで、CDR−L1は配列番号4の配列を含んでなり、CDR−L2は配列番号5の配列を含んでなり、CDR−L3は配列番号6の配列を含んでなる。
【0032】
好ましい態様では、本発明の抗体、またはその機能的フラグメントもしくは誘導体は重鎖を含んでなり、該重鎖は、下記の3つのCDR、それぞれCDR−H1、CDR−H2およびCDR−H3を含んでなり、ここで、
CDR−H1は、配列番号1の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号1の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなり;
CDR−H2は、配列番号2の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号2の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなり;かつ
CDR−H3は、配列番号3の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号3の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなる。
【0033】
別の好ましい態様では、本発明の抗体、またはその機能的フラグメントまたは誘導体は軽鎖を含んでなり、該軽鎖は、下記の3つのCDR、それぞれCDR−L1、CDR−L2およびCDR−L3を含んでなり、ここで、
CDR−L1は、配列番号4の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号4の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなり;
CDR−L2は、配列番号5の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号5の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなり;かつ
CDR−L3は、配列番号6の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号6の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなる。
【0034】
さらに別の態様では、前記抗体、またはその機能的フラグメントもしく誘導体は、
IMGTにより定義される下記の3つのCDR、それぞれ配列番号1の配列を有するCDR−H1、配列番号2の配列を有するCDR−H2および配列番号3の配列を有するCDR−H3、または最適なアラインメントの後にそれぞれ配列番号1、2もしくは3の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなる重鎖;ならびに
IMGTにより定義される下記の3つのCDR、それぞれ配列番号4の配列を有するCDR−L1、配列番号5の配列を有するCDR−L2および配列番号6の配列を有するCDR−L3、または最適なアラインメントの後にそれぞれ配列番号4、5もしくは6の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなる軽鎖
を含んでなる。
【0035】
本発明の意味において、2つの核酸配列またはアミノ酸配列間の「同一性パーセンテージ」とは、最適なアラインメントの後に得られる、比較する2つの配列間で同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基のパーセンテージを意味し、このパーセンテージは純粋に統計学的なものであり、その2配列間の違いはそれらの長さに沿ってランダムに分布している。2つの核酸配列またはアミノ酸配列の比較は従来から、それらを最適にアラインした後に配列を比較することによって行われ、この比較はセグメントによって、または「アラインメントウインドウ」の使用によって行うことができる。比較のための配列の最適なアラインメントは、手による比較の他、Smith and Waterman (1981) [Ad. App. Math. 2:482]のローカル・ホモロジー・アルゴリズム、Neddleman and Wunsch (1970) [J. Mol. Biol. 48:443]のローカル・ホモロジー・アルゴリズム、Pearson and Lipman (1988) [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444]の類似性検索法、またはこれらのアルゴリズムを用いたコンピューターソフトウエア(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA、または匹敵するソフトウエアBLAST NRもしくはBLAST Pによる)によって行うことができる。
【0036】
2つの核酸配列またはアミノ酸配列間の同一性パーセンテージは、2つの最適にアラインされた配列を比較することにより決定され、ここで、比較する核酸配列またはアミノ酸配列は、2つの配列間での最適なアラインメントのための参照配列と比較して付加または欠失を持ち得る。同一性パーセンテージは、2つの配列間で、アミノ酸またはヌクレオチド残基が同一の箇所の数を決定し、この同一箇所の数をアラインメントウインドウ内の箇所の総数で割り、その商に100を掛けて2つの配列間の同一性パーセンテージを得ることにより計算される。
【0037】
例えば、サイトhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/bl2.htmlで利用可能なBLASTプログラム「BLAST 2 Sequenecs」(Tatusova et al., "Blast 2 sequences - a new tool for comparing protein and nucleotide sequences", FEMS Microbiol., 1999, Lett. 174:247-250)をデフォルトパラメーター(特にパラメーター「オープン・ギャップ・ペナルティ」:5、「エクステンション・ギャップ・ペナルティ」:2について;選択されるマトリックスは、例えばプログラムによって提案される「BLOSUM62」マトリックスである)とともに使用することができ、このプログラムにより、比較する2つの配列間の同一性パーセンテージが直接計算される。
【0038】
参照アミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を示すアミノ酸配列の場合、好ましい例として、参照配列、特定の修飾、特に少なくとも1つのアミノ酸の欠失、付加もしくは置換、末端切断または伸張を含むものが挙げられる。1以上の連続または不連続アミノ酸の置換の場合、被置換アミノ酸が「同等な」アミノ酸により置換される置換が好ましい。ここで、「同等なアミノ酸」という表現は、対応する抗体および以下に定義される具体例の生物活性を改変することなく、構造アミノ酸の1つを置換し得る任意のアミノ酸を示すものとする。
【0039】
同等なアミノ酸は、置換されるアミノ酸とのそれらの構造的相同性に基づくか、または生成され得る種々の抗体間の生物活性の比較試験の結果に基づいて決定することができる。
【0040】
非限定的例として、下表1に、対応する修飾抗体の生物活性に有意な改変を生じずに実施し得る可能性のある置換をまとめる。なお、同じ条件下で逆の置換も当然可能である。
【0042】
当業者に知られているように、6つのCDR間の最大の可変性(長さおよび組成)は、3つの重鎖CDR、より詳しくは、この重鎖のCDR−H3に見られる。
【0043】
特定の態様では、本発明は、ネズミ抗体、またはその誘導化合物もしくは機能的フラグメントに関する。
【0044】
別の態様では、本発明は、
CDRの「IMGT」定義に基づき下記の3つのCDR:
配列番号1の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号1の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列のCDR−H1;
配列番号2の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号2の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列のCDR−H2;および
配列番号3の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号3の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列のCDR−H3
を含んでなる重鎖と、
下記の3つのCDR:
配列番号4の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号4の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列のCDR−L1;
配列番号5の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号5の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列のCDR−L2;および
配列番号6の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号6の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列のCDR−L3
を含んでなる軽鎖
とを含んでなる、抗体、ならびにその抗原結合フラグメントおよび誘導を開示する。
【0045】
好ましい態様では、本発明は、i)下記の3つのCDR、それぞれ配列番号1の配列を有するCDR−H1、配列番号2の配列を有するCDR−H2および配列番号3の配列を有するCDR−H3を含んでなる重鎖と、ii)下記の3つのCDR、それぞれ配列番号4の配列を有するCDR−L1、配列番号5の配列を有するCDR−L2および配列番号6の配列を有するCDR−L3を含んでなる軽鎖とを含んでなる抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体に関する。
【0046】
本発明の別の好ましい態様では、前記抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体は、
a)下記の3つのCDR、それぞれ配列番号1の配列を有するCDR−H1、配列番号2の配列を有するCDR−H2および配列番号3の配列を有するCDR−H3を含んでなる重鎖と、配列番号8の配列を含んでなる軽鎖可変ドメインとを有する抗体;
b)配列番号7の配列を含んでなる重鎖可変ドメインと、下記の3つのCDR、それぞれ配列番号4の配列を有するCDR−L1、配列番号5の配列を有するCDR−L2および配列番号6の配列を有するCDR−L3を含んでなる軽鎖とを有する抗体;ならびに
c)配列番号7の配列を含んでなる重鎖可変ドメインと、配列番号8の配列を含んでなる軽鎖可変ドメインとを有する抗体
から選択される。
【0047】
さらに別の態様によれば、本発明は、配列番号7のアミノ酸配列、または最適なアラインメントの後に配列番号7の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなる重鎖可変ドメイン配列を含んでなり;かつ/あるいは配列番号8のアミノ酸配列、または最適なアラインメントの後に配列番号8の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなる軽鎖可変ドメイン配列を含んでなる、抗体427aB1、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体の1つに関する。
【0048】
さらなる好ましい態様では、本発明は、
a)
・下記の3つのCDR、それぞれ配列番号1の配列を有するCDR−H1、配列番号2の配列を有するCDR−H2および配列番号3の配列を有するCDR−H3;および配列番号8の配列を含んでなる軽鎖可変ドメイン、ならびに
・配列番号7の配列を有する重鎖可変ドメイン
を含んでなる重鎖と、
b)
・下記の3つのCDR、それぞれ配列番号4の配列を有するCDR−L1、配列番号5の配列を有するCDR−L2および配列番号6の配列を有するCDR−L3;および
・配列番号8の配列を有する軽鎖可変ドメイン
を含んでなる軽鎖
とを含んでなる、抗体427aB1、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を提供する。
【0049】
本発明はまた、本発明に記載される抗体から誘導された任意の化合物に関する。
【0050】
抗体の「抗原結合誘導体」または「誘導体」は、特に、その被認識能を保存するために元の抗体のペプチド足場(scaffold)と少なくとも1つのCDRから構成される結合タンパク質を意味する。このような誘導化合物は当業者に周知である。
【0051】
特に、本発明の抗体、またはその誘導化合物もしくは抗原結合フラグメントは、前記誘導化合物が少なくとも1つのCDRがグラフトされたペプチド足場からなることを特徴とし、前記CDRは、最初の抗体のパラトープ認識特性を全部または一部保存するような方法でグラフトされる。好ましい態様では、前記抗原結合タンパク質は、ペプチド足場と前記少なくとも1つのCDRの融合タンパク質である。
【0052】
本発明に記載される6つのCDR配列のうちの1以上の配列は、様々な免疫グロブリン足場形成時に存在していてもよい。この場合、タンパク質配列は、グラフトしたCDRの適正な折り畳みに適したペプチド骨格を再形成することができ、それらにパラトープ抗原認識特性を保存させることができる。
【0053】
当業者であれば、CDRグラフトのためのタンパク質足場のタイプを選択する手段を知っている。より詳しくは、選択されるには、このような足場は下記の基準:
・良好な系統発生的保存、
・三次元構造が既知であること(例えば、結晶学、NMR分光法、または当業者に知られている他の任意の技術により決定される)、
・小サイズ、
・転写後修飾が少ないかまたは全くないこと、および/または
・産生、発現および精製が容易であること
をできるだけ多く満たすべきであることが知られている(Skerra A., J. Mol. Recogn., 2000, 13:167-187)。
【0054】
最後に、上記のように、このようなペプチド足場は、元の抗体に起源する1〜6つのCDRを含んでなる。必要ではないが、好ましくは、当業者は重鎖から少なくとも1つのCDRを選択し、前記は抗体の特異性を主要に担うことが知られている。1以上の適切なCDRの選択は当業者には自明であり、当業者ならば次に好適な既知の技術を選択することもできる(Bes et al. , FEBS letters 508, 2001, 67-74)。
【0055】
よって、本発明は、ペプチド足場が、a)系統発生的によく保存されており、b)頑強な構造であり、c)周知の3次元分子構成を有し、d)小型であり、かつ/またはe)安定性を変化させることなく欠失および/もしくは挿入され得る領域を含んでなるタンパク質から選択される、抗体、またはその誘導化合物もしく機能的フラグメントに関する。
【0056】
好ましい態様によれば、前記ペプチド足場は、i)フィブロネクチン、優先的にはフィブロネクチン3型ドメイン10、リポカリン、アンチカリン、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のプロテインAのドメインBから生じるプロテインZ、チオレドキシンA、または「アンキリンリピート」(Kohl et al., PNAS, 2003, vol. 100, No. 4, 1700-1705)、「アルマジロリピート」、「ロイシンリッチリピート」および「テトラトリコペプチドリピート」などのリピートモチーフを有するタンパク質に由来する足場、またはiii)ニューロンNOシンターゼのタンパク質阻害剤(PIN)から選択される。
【0057】
本発明のもう1つの側面は、上記の抗体の機能的フラグメントに関する。
【0058】
より詳しくは、本発明は、抗体、またはその誘導化合物もしくは機能的フラグメントを対象とし、該機能的フラグメントは、フラグメントFv、Fab、(Fab’)
2、Fab’、scFv、scFv−Fcおよびダイアボディー、またはPEG化フラグメントなどの半減期が延長されている任意のフラグメントから選択される。
【0059】
本発明による抗体の抗原結合フラグメント(または「機能的フラグメント」、本出願に関してはこれら2つの用語は同義である)とは、本明細書では、例えば、フラグメントFv、scFv(sc=一本鎖)、Fab、F(ab’)
2、Fab’、scFv−Fcもしくはダイアボディー、またはポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールの付加(PEG化)(PEG化フラグメントは、Fv−PEG、scFv−PEG、Fab−PEG、F(ab’)
2−PEGおよびFab’−PEGと呼ばれる)などの化学修飾によって、またはリポソーム、ミクロスフェアもしくはPLGAへの封入によって半減期が延長された任意の断片を意味する。特に、本発明による該断片は、親抗体の結合活性および特異性を部分的にであっても保持するように、本発明の特徴的な少なくとも1つのCDRを含む。
【0060】
好ましくは、前記抗原結合フラグメントは、それらが由来する抗体の可変重鎖または軽鎖の部分配列を含んでなる、または含み、該部分配列は、それが由来する抗体と同じ結合特異性および十分な親和性を保持するのに十分なものである。前記フラグメントの親和性は、それが由来する抗体の親和性の好ましくは少なくとも1/100、より好ましくは少なくとも1/10に相当する。
【0061】
このような抗原結合フラグメントは、それが由来する抗体の配列の少なくとも5個のアミノ酸、好ましくは6個、7個、8個、10個、15個、25個、50個または100個の連続するアミノ酸を含む。
【0062】
本発明によれば、抗原結合フラグメントは、ペプシンまたはパパインを含む酵素消化などの方法によって、および/または化学還元によるジスルフィド架橋の切断によって本発明の抗体から得ることができる。該抗体フラグメントはまた、組換え遺伝学的技術によって、またはペプチド合成によって得ることもできる。
【0063】
分かりやすくするために、下表2に本発明の抗体427aB1に相当する種々のアミノ酸配列をまとめる。
【0065】
別の側面によれば、本発明は、本発明に従ってモノクローナル抗体を分泌することができるネズミハイブリドーマに関する。好ましくは、前記ハイブリドーマは、2008年6月25日にCNCM、パスツール研究所、パリ、フランスに参照I−4018として寄託されたハイブリドーマである。前記ハイブリドーマは、Balb/C免疫誘導マウス脾細胞を骨髄腫Sp 2/O−Ag 14系統の細胞と融合させることにより得られたものである。
【0066】
本発明の別の好ましい態様によれば、本明細書において427aB1と呼ばれるモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体は、前記ハイブリドーマにより分泌される。
【0067】
本発明の新規な側面は、下記の核酸:
a)本発明による抗体またはその誘導化合物もしくはその機能的フラグメントをコードする核酸、DNAまたはRNA;
b)配列番号9〜14の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号9〜14の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列からなる群から選択される配列を含んでなるDNA配列を含んでなる核酸;
c)配列番号15もしくは16の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号15もしくは16の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列を含んでなるDNA配列を含んでなる核酸;
d)a)、b)またはc)に定義される核酸から翻訳されるRNA;
e)a)、b)およびc)に定義される核酸の相補的核酸;ならびに
f)配列番号15もしくは16の配列、または最適なアラインメントの後に配列番号15もしくは16の配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性を有する配列、またはその相補的配列と高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることができる少なくとも18ヌクレオチドの核酸
から選択されることを特徴とする単離された核酸に関する。
【0068】
下表3に、本発明の抗体427aB1に関する種々のヌクレオチド配列をまとめる。
【0070】
本明細書において互換的に使用される用語「核酸」、「核酸配列(nucleic sequence)」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」は、修飾されたまたはされていない、核酸のフラグメントまたは領域を定義する、非天然ヌクレオチドを含むまたは含まない、二本鎖DNA、一本鎖DNAまたは前記DNAの転写産物のいずれかである、ヌクレオチドの正確な配列を意味する。
【0071】
「最適アライメント後に、好ましい配列と少なくとも80%、好ましくは85%、90%、95%および98%の同一性パーセンテージを示す核酸配列」とは、詳しくは、参照核酸配列に対して、特に規則的な欠失、切断、伸張、キメラ融合および/または置換などのある種の修飾を示す核酸配列を意味する。好ましくは、これらは、参照配列と同じアミノ酸配列をコードする配列であり、これは、遺伝コードの縮重、または好ましくは高ストリンジェント条件、特に以下に定義される条件下で、参照配列と特異的にハイブリダイズし得る相補的配列に関するものである。
【0072】
高ストリンジェント条件下でのハイブリダイゼーションは、温度およびイオン強度に関する条件がハイブリダイゼーションを2つの相補的DNAフラグメントの間で保持できるように選択されることを意味する。単に説明として、上記のポリヌクレオチドフラグメントを定義するためのハイブリダイゼーション段階の高ストリンジェント条件は、下記の通りであるのが有利である。
【0073】
DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションは、(1)5×SSC(1×SSCは0.15M NaCl+0.015Mクエン酸ナトリウムの溶液に相当する)、50%ホルムアミド、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、10×デンハート溶液、5%デキストラン硫酸および1%サケ精子DNAを含有するリン酸緩衝液(20mM、pH7.5)中、42℃で3時間のプレハイブリダイゼーション、(2)プローブの長さに応じた温度(すなわち、長さが100ヌクレオチドを超えるプローブでは42℃)で20時間の主ハイブリダイゼーションの後、2×SSC+2%SDS中、20℃で20分2回の洗浄、0.1×SSC+0.1%SDS中、20℃で20分1回の洗浄の二段階で行う。最後の洗浄は、0.1×SSC+0.1%SDS中、長さが100ヌクレオチドを超えるプローブでは60℃で30分間行う。定義されたサイズのポリヌクレオチドについて上記した高ストリンジェントハイブリダイゼーション条件は、当業者によって、Sambrook, et al. (Molecular cloning: a laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory; 3rd edition, 2001)に記載の手順に従って、より長いまたは短いオリゴヌクレオチドに対して適合させることができる。
【0074】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドを含んでなるベクターに関する。
【0075】
具体的には、本発明は、このようなヌクレオチド配列を運ぶクローニングおよび/または発現ベクターを提供する。
【0076】
本発明のベクターは好ましくは、所与の宿主細胞内でヌクレオチド配列の発現を可能とするエレメントを含有する。本発明の抗体を発現させるために、前記抗体重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドを、それらの遺伝子が転写および翻訳配列に作動可能に連結されるように、発現ベクターに挿入する。「作動可能に連結された」配列は、目的の遺伝子に隣接している発現制御配列と目的の遺伝子をトランスでまたは遠隔で制御する働きをする発現制御配列の両方を含む。本明細書において用語「発現制御配列」は、それらが連結されているコード配列の発現およびプロセシングを遂行するために必要なポリヌクレオチド配列を意味する。発現制御配列は適当な転写開始配列、終結配列、プロモーター配列およびエンハンサー配列;スプライシングシグナルおよびポリアデニル化シグナルなどの効率的RNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化させる配列;翻訳効率を高める配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列);タンパク質の安定性を高める配列;および所望により、タンパク質の分泌を高める配列を含む。このような制御配列の性質は宿主生物によって異なり;原核生物では、このような制御配列は一般にプロモーター、リボゾーム結合部位、および転写終結配列を含み;真核生物では、一般に、このような制御配列はプロモーター配列および転写終結配列を含む。用語「制御配列」とは、少なくとも、その存在が発現およびプロセシングに不可欠な総ての成分を含むことを意図し、また、例えば、リーダー配列および融合相手配列などの、その存在が有利な付加的成分も含むことができる。
【0077】
本明細書において用語「ベクター」とは、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味することを意図する。ベクターの1つのタイプが「プラスミド」であり、プラスミドは環状二本鎖DNAループを意味し、これに付加的DNAセグメントを連結することができる。ベクターのもう1つのタイプがウイルスベクターであり、この場合には、付加的DNAセグメントはウイルスゲノムに連結することができる。ある種のベクターは、それらが導入される宿主細胞で自律的に複製することができる(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入した際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより宿主ゲノムとともに複製することができる。
【0078】
本発明によるベクターはまた、宿主細胞内での前記ベクターの安定な維持を可能とする配列も含んでよい。複製開始点と呼ばれるこのような配列の、宿主細胞のタイプに応じた変更は容易に実現される。これらの様々なエレメントは、当業者により、使用する宿主細胞に応じて選択および最適化することができる。このために、ヌクレオチド配列を選択された宿主内で自己複製するベクターに挿入することもできるし、または選択された宿主の組み込みベクターとすることもできる。
【0079】
このようなベクターは、当業者により一般に用いられる方法によって調製され、得られたクローンを、リポフェクション、エレクトロポレーション、熱ショックまたは化学的方法などの標準的な方法によって好適な宿主に導入することができる。
【0080】
本発明はまた、本発明に記載のベクターにより形質転換された、または本発明に記載のベクターを含んでなる宿主細胞に関する。
【0081】
宿主細胞は、例えば、細菌細胞だけでなく、酵母細胞または動物細胞、特に哺乳動物細胞などの原核細胞または真核細胞系から選択することができる。また、昆虫または植物細胞も使用可能である。
【0082】
本発明はまた、本発明による形質転換細胞を含有するヒト以外の動物または植物にも関する。
【0083】
本発明の別の側面は、本発明による抗体、抗原結合フラグメントまたは誘導体を生産する方法に関し、前記方法は、a)本発明による宿主細胞を適当な培養条件下、適当な培地で増殖させる工程、およびb)前記抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を回収する工程を含んでなることを特徴とする。
【0084】
得られた発現抗体は、次に、培養培地または細胞抽出物から精製することができる。可溶型の本発明の抗体は培養上清から回収することができる。これは次に、免疫グロブリン分子の精製のための当技術分野で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、特にFcに対してはプロテインAアフィニティーなど)、遠心分離、示差溶解度またはタンパク質精製のための他の任意の標準的技術により精製することができる。好適な精製方法は当業者には自明である。
【0085】
発明のポリペプチドは、化学合成によって調製することもできる。このような調製方法も、本発明の範囲内にある。固相技術(特に、Steward et al., 1984, Solid phase peptides synthesis, Pierce Chem. Company, Rockford, 111, 2nd ed.参照)または部分的固相技術、フラグメントの縮合または従来の溶液中での合成などの、いくつかの化学合成法が当業者に知られている。化学合成により得られ、対応する非天然アミノ酸を含むポリペプチドも本発明に含まれる。本発明の方法により得ることのできる抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体も本発明に含まれる。
【0086】
上述のように、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体は、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4と結合することができる。
【0087】
驚くことに、本出願者はまた、前記抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体が、ヘテロ二量体としてのCXCR4とは有意に結合しないことを実証した。好ましくは、前記抗体、または抗原結合フラグメントもしくは誘導体は、CXCR4/CXCR2ヘテロ二量体とは結合しない。
【0088】
515H7などの従来技術の抗体は、単量体、ホモ二量体またはヘテロ二量体としてのCXCR4のいずれにも結合できることが知られている(WO2010/037831)。これに対して、本発明の抗体は、ホモ二量体とヘテロ二量体とを識別することができるので、CXCR4アイソフォームに関して強い特異性を示す。この特性は、本発明の抗体を、示差的スクリーニングおよび例えば腫瘍同定に好ましいツールとする。
【0089】
「単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4」、または「単量体/ホモ二量体CXCR4」(本出願に関して、これら2つの用語は同義であり、互換的に使用されることを意味する)とは、単量体形態の、すなわち、いずれのタンパク質相手ともいずれの物理的相互作用でも結合されていない、および/またはホモ二量体形態の、すなわち、別のCXCR4分子との複合体として結合されている、CXCR4を意味する。「単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4」、または「単量体/ホモ二量体CXCR4」という表現は、具体的には、CXCR4ヘテロ二量体、すなわち、CXCR4と、CXCR4自体を除く他の任意のタンパク質相手との二量体を排除することを意味する。特に、「単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4」、または「単量体/ホモ二量体CXCR4」という表現は、具体的には、CXCR4/CXCR2ヘテロ二量体を排除する。
【0090】
よって、本発明は、CXCR4の発現に関連する腫瘍形成性障害のin vitroまたはex vivo診断および/または予後において使用するための、上記の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体に関する。
【0091】
よって、本発明は、CXCR4の発現に関連する腫瘍形成性障害のin vitroまたはex vivo診断および/または予後の方法であって、本発明の抗体、またはそのフラグメントもしくは誘導体とCXCR4との結合を試験する工程を含んでなる方法に関する。
【0092】
好ましい態様では、前記腫瘍形成性障害は、CXCR4単量体および/またはホモ二量体の発現に関連する腫瘍形成性障害からなる。
【0093】
本明細書において疾患を「診断する」とは、単量体/ホモ二量体CXCR4の発現に関連するまたは単量体/ホモ二量体CXCR4の発現に媒介される病的過剰増殖性腫瘍形成性障害の存在を同定または検出する、前記疾患の進行をモニタリングする、およびCXCR4単量体および/またはホモ二量体の発現に関連する障害の指標となる細胞またはサンプルを同定または検出する方法を意味する。
【0094】
本明細書において「予後」とは、疾患からの回復の見込み、または疾患の確率的発症もしくは転帰の予測を意味する。例えば、被験体からのサンプルが本発明の抗体による染色に対して陰性であれば、その被験体の「予後」は、サンプルが単量体/ホモ二量体CXCR4染色に対して陽性である場合よりも良好である。以降にさらに詳細に示されるように、サンプルは適当な尺度(scale)で単量体/ホモ二量体CXCR4発現レベルに関してスコア化することができる。
【0095】
本発明の抗体、またはそのフラグメントもしくは誘導体と、CXCR4(CXCR4単量体、CXCR4/CXCR4ホモ二量体、およびCXCR4/CXCR2ヘテロ二量体を含む)との結合は、当業者に公知のいくつかの方法で試験することができる。このような1つの方法、すなわち、BRETアッセイは、WO2010/037831に詳細に記載されている。515H7抗体は好都合には、結合アッセイの陽性対照として使用可能である。
【0096】
本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体は、ネズミ抗体であり得る。しかしながら、このような抗体のキメラ型またはヒト化型も、このような抗体は本明細書に記載の抗体のCDRを含んでなると考えられるので、本発明の範囲の一部とみなされる。
【0097】
重要なこととしては、本発明の抗体、または抗原結合フラグメントもしくは誘導体は、515H7のCXCR4への結合を遮断しない。従って、515H7抗体による処置中に、前記処置を妨害することなく本発明の抗体を使用することが可能であり、これはこれら2つの抗体がCXCR4に関して競合しないためである。よって、本発明の抗体は、前記抗体515H7に基づく療法の有効性を、例えば腫瘍のin vivo画像法によってモニタリングするための重要なツールである。
【0098】
本発明のより好ましい態様では、前記抗体、または抗原結合フラグメントもしくは誘導体は、in vivoで抗腫瘍活性を持たない。
【0099】
この特性は、患者のスクリーニング、または前記患者に対する影響もしくは結果を持たない因子を用いた処置の進行の追跡のための、抗体の使用を可能とするので、診断適用において大いに注目される。この特性は、それが患者に対して影響を持たないので、抗体427aB1を処置すべき患者をスクリーニングするための好ましいツールとする。当業者に認識されるように、本出願者は、単量体としての、またホモ二量体としての両方のCXCR4を認識することができる、in vivoで抗腫瘍活性を持たない抗体を作製することにより、真に新規で発明性のある抗体を提供した。
【0100】
前記抗体は、検出可能かつ/または定量可能なシグナルを得るために免疫複合体または標識抗体の形態で存在することができる。好適な標識または他の適当な検出可能な生体分子もしくは化学物質と併用する場合、本発明の抗体はin vitroおよびin vivo診断および予後適用に特に有用である。
【0101】
イムノアッセイで使用するための標識は一般に当業者に公知である。このような標識には、とりわけ、酵素、放射性同位元素、蛍光物質、発光物質および発色物質(金コロイドまたはラテックスビーズなどの有色粒子を含む)が含まれる。様々なタイプの標識およびそれらの標識を本発明の抗体に結合させる方法は、以下に示されるものなど、当業者に周知である。
【0102】
本明細書において用語「単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現に関連する腫瘍形成性障害」とは、障害に罹患している被験体における高レベルの単量体/ホモ二量体CXCR4(異常)の存在が、障害または障害の悪化に関与する因子の病態生理学の原因であることが示されている、またはそのことが疑われる、疾患およびその他の障害を意味することを意図する。このような障害は、例えば、障害に罹患している被験体の罹患細胞または組織の細胞表面上のCXCR4、好ましくは単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4のレベルの増加を証拠とし得る。この単量体および/またはホモ二量体CXCR4レベルの増加は、例えば本発明の抗体427aB1を用いて検出することができる。
【0103】
特定の態様では、「発現の増強」とは、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4に関する場合、対照に比べて発現の統計学的に有意な増強を示す(RNA発現またはタンパク質発現により測定される)タンパク質または遺伝子の発現レベルを意味する。
【0104】
別の態様では、本発明は、被験体において単量体/ホモ二量体CXCR4発現腫瘍の存在を検出するための方法に関し、前記方法は、a)本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を前記被験体に投与する工程;およびb)前記抗体の結合を検出する工程を含んでなり、この場合、前記結合が腫瘍に存在を示す。
【0105】
本発明の好ましい側面は、被験体において単量体/ホモ二量体CXCR4発現腫瘍の存在をex vivoで検出するための方法である、前記方法は、
(a)前記被験体由来の生体サンプルを本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体と接触させる工程、および
(b)前記抗体と前記生体サンプルとの結合を検出する工程
を含んでなる。
【0106】
本発明の抗体の結合は、当業者に利用可能な様々なアッセイにより検出することができる。これらのアッセイを実施するためのいずれの好適な手段も本発明の範囲内に含まれるが、特にFACS、ELISA、ウエスタンブロットおよびIHCが挙げられる。
【0107】
別の態様では、本発明は、被験体において単量体/ホモ二量体CXCR4発現腫瘍の位置を検出する方法であって、
a)本発明による抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を前記被験体に投与する工程;および
b)前記抗体の結合を検出する工程
を含んでなり、前記結合が腫瘍の存在を示す方法に関する。
【0108】
発現腫瘍の存在の検出については、当業者に公知の多くの技術を使用することができる。しかしながら、好ましい手段はIHCまたはFACSである。
【0109】
本発明の別の側面は、被験体由来の腫瘍において、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4を発現する細胞のパーセンテージをin vitroまたはex vivoで判定するための方法に関し、前記方法は、
(a)前記被験体由来の生体サンプルを、本発明による抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体と接触させる工程;および
(b)前記生体サンプルにおいて単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4を発現する細胞のパーセンテージを定量する工程
を含んでなる。
【0110】
本発明のさらに別の側面は、被験体由来の腫瘍において、単量体/ホモ二量体CXCR4の発現レベルをin vitroまたはex vivoで判定するための方法に関し、前記方法は、
(a)前記被験体由来の生体サンプルを、本発明による抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体と接触させる工程;および
(b)前記生体サンプルにおいて、前記抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体と単量体/ホモ二量体CXCR4との結合レベルを定量する工程
を含んでなる。
【0111】
前記抗体と単量体/ホモ二量体CXCR4発現レベルとの結合レベルは、免疫組織化学(IHC)またはFACS、好ましくはIHCにより測定することができる。
【0112】
試験サンプル中に存在する単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の量の判定がひと度行われれば、それらの結果を、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現に関連する過剰増殖性腫瘍形成性障害を持たない個体からであること以外は試験サンプルと同様の方法で得られた対照サンプルの結果と比較することができる。この単量体/ホモ二量体CXCR4のレベルが試験サンプルで有意に高ければ、それが由来する被験体が前記障害を有するかまたは発症する高い可能性があると結論付けることができる。
【0113】
標的化抗腫瘍療法の開発に関して、免疫組織学的技術を用いた診断により、受容体の発現レベルに関するin situ情報が得られ、従って、このような処置に必要な受容体発現レベルに従った処置に感受性のある患者を選択することができる。
【0114】
病期判定は潜在的予後値を持ち、最適な療法を計画するための基準を提供する。Simpson et al , J. Clin. Oncology 18 :2059 (2000)。例えば、固形腫瘍に対する治療選択は腫瘍の病期分類に基づき、通常、American Joint Committee on Cancer (AJCC)からの腫瘍/結節/転移(TNM)検査を用いて実施される。この検査および病期分類システムは、その患者において固形癌が診断された時点の病期に関していくつかの数値情報を与えるが、それは不正確で不十分であると一般に認知されている。特に、腫瘍進行の最初期段階は同定できない。
【0115】
よって、本発明は、被験体由来の腫瘍のスコアをin vitroまたはex vivoで判定するための方法に関し、前記方法は、
(a)前記被験体由来の生体サンプルを、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体と接触させる工程;
(b)前記生体サンプルにおいて前記抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体と単量体/ホモ二量体CXCR4との結合レベルを定量する工程;および
(c)前記被験体からの、前記抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体の定量された結合レベルを適当な尺度と比較することにより、腫瘍をスコア化する(scoring)工程
を含んでなる。
【0116】
好ましい態様では、診断のための前記抗体は、組織サンプルがホルマリン固定、ホルモル置換固定、例えばGlyco−fixx固定、パラフィン包埋および/または凍結された場合にも標的受容体と結合することができる。
【0117】
好ましくは、単量体/ホモ二量体CXCR4の発現レベルは、免疫組織化学(IHC)またはFACS、より好ましくはIHCにより測定される。
【0118】
従来のいずれのハザード分析法を用いて、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の予後値を評価してもよい。代表的な分析法としてCox回帰分析があり、これは打ち切り例の存在下で生存率または時間−事象データをモデル化するためのセミパラメトリック法である(Hosmer and Lemeshow, 1999; Cox, 1972)。例えば生命表またはKaplan−Meyerなどの他の生存率分析とは対照的に、Coxでは、モデルに予測因子変量(共変量)を含むことができる。例えばCoxなどの従来の分析方法を用いて、原発腫瘍における単量体/ホモ二量体CXCR4発現の状態と、疾病再発(無病生存期間、もしくは転移性疾患までの期間)または疾病を原因とする死亡までの期間(全生存期間)のいずれかの時間−発生との相関に関する仮説を検証することができる。Cox回帰分析は、Cox比例ハザード分析としても知られている。この方法は、患者生存期間に対して腫瘍マーカーの予後値を検定するための標準法である。多変量様式を用いる場合には、いくつかの共変量の効果を、独立した予後値を有する個々の共変量、すなわち、最も有用なマーカーが同定できるように並行して検定する。陰性または陽性の「単量体/ホモ二量体CXCR4状態」という用語はまた、本明細書において[単量体/ホモ二量体CXCR4(−)]または[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]とも表される。
【0119】
サンプルは、癌の診断またはモニタリング中に「スコア化」することができる。スコア化は、その最も単純な形で、免疫組織化学によるサンプルの目視検査により判断してカテゴリー的陰性または陽性であり得る。より定量的なスコア化には、染色強度およびサンプリングされた染色(「陽性」)細胞の割合の2つのパラメーターを判断することを含む。
【0120】
本明細書において「単量体/ホモ二量体CXCR4状態」は、単量体/ホモ二量体CXCR4の発現レベルの判定に基づく、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4に関して陽性[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]または単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4に関して陰性[単量体/ホモ二量体CXCR4(−)]としての腫瘍の分類を意味する。CXCR4の発現は、免疫組織化学(IHC)またはFACSなどの当業者に利用可能な任意の好適な方法により検出および測定することができる。
【0121】
本発明の一態様では、標準化を保証するために、サンプルを単量体/ホモ二量体CXCR4発現レベルに関して異なる尺度でスコア化することができ、それらのほとんどは反応生成物の強度および陽性細胞のパーセンテージの評価に基づくものである(Payne et al., Predictive markers in breast cancer - the present, Histopathology 2008, 52, 82-90)。
【0122】
より好ましい態様では、前記スコア化は、2つのパラメーター、すなわち、染色強度および陽性細胞のパーセンテージに基づく適当な尺度を使用することを含んでなる。
【0123】
第一の例として、エストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体のIHC評価に関するQuick Allredスコア化からの教示に基づき、サンプルは、反応性強度に関するスコアと染色細胞の割合に関するスコアを組み合わせた0〜8の全体尺度で、単量体/ホモ二量体CXCR4発現レベルに関してスコア化することができる(Harvey JM, Clarck GM, Osborne CK, Allred DC; J. Clin. Oncol. 1999; 17; 1474-1481)。より詳しくは、反応性強度の第一の基準は、「無反応性」を0とし、「強い反応性」を3とする0〜3の尺度でスコア化される。反応割合(proportion reactive)の第二の基準は、「無反応性」を0とし、「67〜100%の割合の反応」を5とする0〜5の尺度でスコア化される。この反応性強度スコアと反応割合スコアを足して合計スコア0〜8とする。
【0124】
合計スコア0〜2は陰性とみなされ、合計スコア3〜8は陽性とみなされる。
【0125】
この尺度によれば、本明細書で使用される腫瘍の陰性または陽性「単量体/ホモ二量体CXCR4状態」とは、Allred尺度でそれぞれスコア0〜2または3〜8に相当する単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現レベルを意味する。
【0126】
下表4は、IHC結果をAllred方法に従って解釈するための指針を示す。
【0128】
好ましい態様では、本発明による方法は、適当な尺度、すなわち、無反応性を0とし、67〜100%反応の割合における強い反応性を8とする0〜8の尺度を意味する。
【0129】
別の態様では、被験体由来の腫瘍の状態をin vitroまたはex vivoで判定する方法が提供され、前記方法は、
(a)被験体由来の腫瘍をAllred尺度に従ってスコア化する工程;および
(b)3〜8のAllredスコアを有する場合に、腫瘍の状態が[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]であると判定する工程;または
(c)0〜2のAllredスコアを有する場合に、腫瘍の状態が[単量体/ホモ二量体CXCR4(−)]であると判定する工程を含んでなる。
【0130】
本発明の特定の側面では、腫瘍は、3のAllredスコアを有する[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である。
【0131】
本発明の特定の側面では、腫瘍は、4のAllredスコアを有する[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である。
【0132】
本発明の特定の側面では、腫瘍は、5のAllredスコアを有する[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である。
【0133】
本発明の特定の側面では、腫瘍は、6のAllredスコアを有する[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である。
【0134】
本発明の特定の側面では、腫瘍は、7のAllredスコアが7を有する[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である。
【0135】
本発明の特定の側面では、腫瘍は、8のAllredスコアが8を有する[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である。
【0136】
本発明の別の特定の側面では、腫瘍は、3〜8のAllredスコアを有する[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である。
【0137】
第二の例として、例えばHER−2受容体のIHC評価のための従来のスコア化からの教示に基づき、やや簡単なスコア化法でサンプルを単量体/ホモ二量体CXCR4発現レベルに関してスコア化することができ、このスコア化法では染色強度(優先的には、膜染色)と染色を呈する細胞の割合を統合して0〜3+の組合せ尺度とする。
【0138】
簡略化尺度と呼ばれるこの尺度では、0および1+は陰性であり、2+および3+は陽性染色を表す。しかしながら、スコア1+〜3+は、各陽性スコアがスコア0(陰性)と比べた場合に再発および致死的病勢の有意に高いリスクに関連している可能性があるので陽性と記録することができるが、これらの陽性スコア間の強度の増加がさらなるリスク軽減をもたらし得る。
【0139】
一般的に言えば、本明細書で使用される腫瘍の陰性または陽性の「単量体/ホモ二量体CXCR4状態」は、それぞれ簡略化尺度でスコア0〜1+または2+〜3+に相当する単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現レベルを意味する。浸潤性腫瘍の完全な周辺膜反応性だけが考慮されるべきであり、多くの場合、「金網」の様相に似ていた。現行の指針の下では、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4に関してボーダーライン(スコア2+または3+)としてスコア化されたサンプルはさらなる評価を受ける必要がある。非限定例として、対照が予測通りではなく、人為的結果がほとんどのサンプルに関わり、サンプルが正常な乳管(内部対照)の強い膜性陽性を有して過剰な抗原賦活を示唆する場合には、IHC分析は棄却し、繰り返すか、またはFISHまたは他の任意の方法によって試験すべきである。
【0140】
より明瞭にするために、下表5にこれらのパラメーターをまとめる。
【0142】
好ましい態様では、本発明による方法は、適当な尺度、すなわち、腫瘍細胞の膜反応性無しを0とし、10%を超える腫瘍細胞の強い完全な反応性を3+とする、0〜3+の尺度に関する。
【0143】
より詳しくは、上記のように、前記適当な尺度は、腫瘍細胞の膜反応性無しを0とし;10%を超える腫瘍細胞のかろうじて認知できる膜反応性を1+とし;10%を超える腫瘍細胞の弱〜中程度の完全な膜反応性を2+とし;および10%を超える腫瘍細胞の強い完全な反応性を3+とする、0〜3の尺度である。
【0144】
従って、本発明の別の態様は、被験体由来の腫瘍の状態をin vitroまたはex vivoで判定する方法を提供し、前記方法は、
(a)被験体由来の腫瘍を上記のような簡略化尺度に従ってスコア化する工程;および
(b)スコアが2+または3+である場合に、腫瘍の状態が[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]であると判定する工程;または
(c)スコアが0または1+である場合に、腫瘍の状態が[単量体/ホモ二量体CXCR4(−)]であると判定する工程を含んでなる。
【0145】
本発明の特定の側面では、腫瘍は、2+のスコアを有する[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である。
【0146】
本発明の特定の側面では、腫瘍は、3+のスコアを有する[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である。
【0147】
本発明の別の特定の側面では、腫瘍は、2+または3+のスコアを有する[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である。
【0148】
本発明による試験またはアッセイの結果は、様々な形式のいずれで提示してもよい。
【0149】
これらの結果は定性的に表示することができる。例えば、試験報告は特定のポリペプチドが検出されたか否かだけを、おそらくは検出限界の表示も添えて示すことができる。これらの結果は半定量的に表示してもよい。例えば、種々の範囲を定義してもよく、それらの範囲には定量的情報の特定の程度を示すスコア(例えば、使用尺度に応じて0〜3+または0〜8)を割り付けることができる。このようなスコアは、例えば、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4が検出される細胞の数、シグナル強度(単量体/ホモ二量体CXCR4またはCXCR4保持細胞の発現レベルを示し得る)などの種々の因子を反映することができる。これらの結果は、例えば、ポリペプチド(CXCR4)が検出される細胞のパーセンテージ、タンパク質濃度などとして、定量的に表示することができる。
【0150】
当業者に認識されるように、試験により提供される出力のタイプは、その試験の技術的限界およびそのポリペプチドの検出に関連する生物学的有意性によって異なる。例えば、ある種のポリペプチドの場合、純粋に定性的な出力(例えば、そのポリペプチドがある特定の検出レベルで検出されるか否か)が、有意な情報を与える。より定量的な出力(例えば、サンプル中のポリペプチドの発現レベルの、正常レベルに対する比率が検定される)が必要な場合もある。
【0151】
本発明はまた、腫瘍形成性障害がCXCR4拮抗薬による処置に感受性があるか否かを判定するための方法にも関し、前記方法は、
(a)被験体の腫瘍の状態を上記のようにin vitroまたはex vivoで判定する工程、および
(b)前記状態が[単量体/ホモ二量体CXCR4(+)]である場合に、前記腫瘍形成性障害はCXCR4拮抗薬による処置に感受性があると判定する工程
を含んでなる。
【0152】
好ましい態様では、CXCR4拮抗薬は、上記のような抗CXCR4抗体、またはそのフラグメントもしくは誘導体である。
【0153】
別の側面において、本発明は、被験体において病的過剰増殖性腫瘍形成性障害または単量体/ホモ二量体CXCR4の発現に関連する病態に対する感受性を診断する方法に関し、前記方法は、
(a)サンプルにおける単量体/ホモ二量体CXCR4の有無を判定する工程、および
(b)単量体および/またはホモ二量体としての前記CXCR4の有無に基づいて病態または病態に対する感受性を診断する工程
を含んでなる。
【0154】
本発明の方法において、単量体/ホモ二量体CXCR4発現細胞の検出または単量体/ホモ二量体CXCR4レベルの増加は一般に、単量体/ホモ二量体CXCR4介在障害を有する、またはそれを呈する疑いのある患者の指標となる。
【0155】
よって、本発明は、癌を発症する個体のリスクを予測するための方法を提供し、前記方法は、生体サンプルにおいて単量体/ホモ二量体CXCR4の発現レベルを検出することを含んでなり、この場合、高い単量体/ホモ二量体CXCR4発現レベルが癌を発症する高いリスクを示す。
【0156】
CXCR4発現は数種の癌の進行した腫瘍病期と有意に関連していることが見出された(Schimanski et al., J Clin Oncol, ASCO Annual Meeting Proceedings Part I., 24(18S): 14018, 2006; Lee et al., Int J Oncol., 34(2):473-480, 2009; Pagano, Tesi di dottorato, Universita degli Studi di Napoli Federico II, 2008)。
【0157】
よって、本発明はまた、腫瘍の侵襲性を評価するための方法にも関する。本明細書において「腫瘍の侵襲性」とは、急速に増殖し、急速に拡散する傾向にある腫瘍を意味する。
【0158】
一態様において、前記方法は、
(a)個体の腫瘍サンプルにおいて、細胞により発現された単量体/ホモ二量体CXCR4のレベルを判定する工程、および
(b)後の時点で同じ個体から採取した同等の組織サンプルにおいて発現された単量体/ホモ二量体CXCR4のレベルを判定する工程、
(c)工程(a)で得られた発現レベルの、工程(b)で得られた発現レベルに対する比を計算する工程
を含んでなり、腫瘍サンプルにおける単量体/ホモ二量体CXCR4発現の経時的な比が、癌進行のリスクに関する情報を提供する。
【0159】
好ましい態様では、工程(a)で得られたレベルの、工程(b)で得られたレベルに対する比が1より小さい場合に、侵襲性を示す。別の態様では、比が1以上の場合に、非侵襲性を示す。
【0160】
本発明の別の側面は、単量体/ホモ二量体CXCR4標的療法に応答した単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現のモニタリングである。このようなモニタリングは、前記療法が単量体/ホモ二量体CXCR4のダウンレギュレーションおよび/または分解を誘発する場合に極めて有用であり得る。
【0161】
特に、細胞表面での単量体/ホモ二量体CXCR4発現のモニタリングは、臨床試験および「個別化」療法の際に処置の有効性を評価するために重要なツールとなり得る。
【0162】
よって、本出願は、被験体にとって適当な治療計画を判定するための方法を提供する。
【0163】
単量体/ホモ二量体CXCR4のレベルの増加または減少は、単量体/ホモ二量体CXCR4に関連する癌の進展の指標となる。よって、単量体/ホモ二量体CXCR4を発現する細胞の数の増加または様々な組織もしくは細胞中に存在する単量体/ホモ二量体CXCR4の濃度の変化を測定することにより、CXCR4に関連する悪性腫瘍の改善を目的とする特定の治療計画が有効であるかどうかを判定することができる。
【0164】
従って、本発明はまた、単量体/ホモ二量体CXCR4に関連する腫瘍形成性障害に罹患している被験体において、前記障害を緩和するように設計された治療計画の有効性を判定するための方法を対象とし、前記方法は、
(a)第一の時点で前記被験体から抽出した生体サンプルにおいて、単量体/ホモ二量体CXCR4の第一の発現レベルを判定する工程;
(b)後の第二の時点で前記被験体から抽出された生体サンプルにおいて、単量体/ホモ二量体CXCR4の第二の発現レベルを判定する工程;
(c)(a)で得られたレベルの、(b)で得られたレベルに対する比を判定する工程;および
(d)工程(c)の比が1より大きい場合に、前記治療計画の有効性が高いと判定する工程;または
(e)工程(c)の比が1以下である場合に、前記治療計画の有効性が低いと判定する工程
を含んでなる。
【0165】
好ましい態様では、単量体/ホモ二量体CXCR4に関連する腫瘍形成性障害に罹患している被験体において前記障害を緩和するように設計された治療計画は、前記被験体にCXCR4阻害剤を投与することを含む。
【0166】
本発明の別の好ましい態様は、治療量のCXCR4阻害剤の投与から利益を受けるまたは受けないと予測される癌患者を選択するための方法を提供し、前記方法は、
(a)前記患者において単量体/ホモ二量体CXCR4の発現レベルを判定する工程;
(b)健常固体からの単量体/ホモ二量体CXCR4の参照発現レベルを判定する工程;
(c)工程(a)で得られたレベルと工程(b)で得られた参照レベルとの比を判定する工程;および
(d)工程(c)の比が1より大きい場合に、その患者を治療量のCXCR4阻害剤の投与から利益を受けると予測されるとして選択する工程;または
(e)工程(c)の比が1以下である場合に、その患者を治療量のCXCR4阻害剤の投与から利益を受けると予測されないとして選択する工程
を含んでなる。
【0167】
本明細書の意味において、「CXCR4阻害剤」または「CXCR4阻害化合物」という表現は、CXCR4と結合してCXCR4リガンドの結合を阻害することができる任意の化合物または分子を意味する。非限定例として、CXCR4阻害剤には、AMD3100およびAMD3465が含まれる。使用可能な他のCXCR4阻害剤としては、限定されるものではないが、CTCE−0214;CTCE−9908;CP−1221(直鎖ペプチド、環状ペプチド、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、およびペプチド模倣化合物);T140および類似体;4F−ベンゾイル−TN24003;KRH−1120;KRH−1636;KRH−2731;ポリフェムシン類似体;ALX40−4C;またはWO01/85196;WO99/50461;WO01/94420;WO03/090512(これらはそれぞれ引用することにより本明細書の一部とされる)に記載されているものが挙げられる。
【0168】
好ましい態様では、前記阻害剤は、特許WO2008/060367およびWO2009/140124に記載されているものなどのモノクローナル抗体である。
【0169】
最も好ましい態様では、前記CXCR4阻害剤はモノクローナル抗体515H7(WO2010/037831)である。
【0170】
また、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現に関連する腫瘍形成性障害のin vivo画像法を提供することも本発明の目的である。このような方法は、in vivoで腫瘍を位置決定するため、ならびにその浸潤性をモニタリングするために有用である。同様に、前記方法は、単量体/ホモ二量体CXCR介在癌を有すると従前に診断された患者において進行および/または処置に対する応答をモニタリングするためにも有用である。
【0171】
第一の側面において、本発明は、in vivo造影試薬を提供し、前記試薬は、本発明による抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を含んでなり、前記抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体は、好ましくは標識され、より好ましくは放射性標識される。前記試薬は、単量体/ホモ二量体CXCR4介在癌に罹患している患者に、薬学上有効な担体と組み合わせて投与することができる。本発明はまた、単量体/ホモ二量体CXCR4介在癌に罹患している患者の医学的画像法における前記試薬の使用を企図する。本発明の方法は、
(a)前記患者に画像法に有効な量の造影試薬を投与する工程、および
(b)前記試薬を検出する工程
を含んでなる。
【0172】
第一の態様では、造影剤は、標的化部分と活性部分を含んでなる。
【0173】
本明細書において用語「標的化部分」とは、細胞表面の単量体/ホモ二量体CXCR4を特異的に認識して結合する薬剤を意味する。特定の態様では、標的化部分は、単量体/ホモ二量体CXCR4と特異的に結合する抗体またはそのフラグメントまたは誘導体である。具体的には、この標的化部分は、上記のような抗体またはそのフラグメントまたは誘導体である。本明細書において「活性部分」とは、前記造影試薬のin vivo検出を可能とする薬剤である。本発明による活性部分としては、特に、テクネチウム−99m(99mTc)、銅−67(Cu−67)、スカンジウム−47(Sc−47)、ルテチウム(Luthetium)−77(Lu−177)、銅−64(Cu−64)、イットリウム−86(Y−86)またはヨウ素−124(I−124)などの放射性元素が含まれる。
【0174】
造影剤は、ヒトなどの哺乳動物における診断使用に有効な量で投与され、次いで、造影剤の局在および蓄積が検出される。造影剤の局在および蓄積は、放射性核種画像法、ラジオシンチグラフィー、核磁気共鳴画像法、コンピューター断層撮影法、陽電子放射型断層撮影法、コンピューター体軸断層撮影法、X線または磁気共鳴画像法、蛍光検出、および化学発光検出により検出することができる。
【0175】
「生体サンプル」は、被験体から採取され得るいずれのサンプルであってもよい。このようなサンプルは、本発明のバイオマーカーの発現レベルの判定を可能にする。よって、サンプルの性質は、腫瘍の性質に依存する。活性化型のAktおよび/またはErkタンパク質の検出による前記バイオマーカーの発現レベルの判定に好ましい生体サンプルとしては、癌が液性腫瘍の場合には、血液サンプル、血漿サンプル、またはリンパ液サンプルなどのサンプルが含まれる。「液性腫瘍」とは、本明細書では、血液または骨髄の腫瘍、すなわち、白血病および多発性骨髄腫などの血液性悪性腫瘍を意味する。好ましくは、生体サンプルは血液サンプルである。実際に、このような血液サンプルは、患者からの全く無害な採血によって得ることができ、従って、CXCR4阻害剤応答または不応表現型の非侵襲的診断を可能とする。
【0176】
本明細書において「生体サンプル」はまた、癌が固形癌である場合には、被験患者の固形癌サンプルも含む。このような固形癌サンプルに対して、当業者は本発明のバイオマーカーのレベルの、いずれのタイプの測定も実施することができる。場合によっては、本発明による方法は、患者から固形癌サンプルを採取する予備工程をさらに含んでなり得る。「固形癌サンプル」とは、腫瘍組織サンプルを意味する。癌患者であっても、腫瘍部位の組織は非腫瘍性の健康な組織をなお含んでいる。よって、「癌サンプル」は、患者から採取された腫瘍組織に限定されるべきであろう。前記「癌サンプル」は、生検サンプルまたは外科的切除療法から採取されたサンプルであり得る。
【0177】
一側面によれば、患者由来のサンプルは癌細胞または癌組織である。
【0178】
このサンプルは、当業者に公知の方法によって採取可能であり、必要であれば調製することができる。
【0179】
本発明において癌細胞または癌組織は特に限定されない。
【0180】
本明細書において用語「癌」とは、典型的には調節を欠いた細胞増殖を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を意味するか、または表す。本明細書において用語「癌」および「癌性」とは、該疾患の総ての病期(stage)を包含することを意味する。よって、本明細書において「癌」は、良性腫瘍および悪性腫瘍の両方を含み得る。癌の例としては、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられる。より具体的には、本発明による癌は、扁平上皮細胞癌(例えば、扁平上皮細胞癌)、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌および肺扁平上皮癌を含む)、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌(gastric or stomach cancer)(消化管癌および消化管間質癌を含む)、膵臓癌、膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、尿路癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌(kidney or renal cancer)、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝臓癌、肛門癌、陰茎癌、黒色腫、表在拡大型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、肢端黒子型黒色腫、結節性黒色腫、多発性骨髄腫およびB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球型(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンストロームマクログロブリン血症);慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);有毛細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病(CML);急性骨髄芽球性白血病(AML);および移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連する異常な血管増殖、浮腫(脳腫瘍に関連するものなど)、メイグス症候群、脳ならびに頭頸部癌、および関連の転移を含んでなる群から選択される。
【0181】
好ましい態様では、前記癌は、前立腺癌、骨肉腫、肺癌、乳癌、子宮内膜癌、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、卵巣癌、膵臓癌および結腸癌から選択される。より好ましい態様では、前記癌は、リンパ腫細胞、白血病細胞または多発性骨髄腫細胞を含んでなる。
【0182】
単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現レベルは有利には、対照細胞またはサンプルにおけるレベル(「参照レベル」または「参照発現レベル」とも呼ばれる)に対して比較または測定される。「参照レベル」、「参照発現レベル」、「対照レベル」および「対照」は、本明細書では互換的に使用される。本明細書において「対照レベル」とは、一般に疾病または癌を含まない比較可能な対照細胞において測定される、独立したベースラインレベルを意味する。それは、同じ個体に由来しても、あるいは正常なまたは罹患もしくは試験サンプルが得られた個体とは同じ疾患を呈さない別の個体に由来してもよい。本発明の範囲内で用語「参照レベル」とは、患者の癌細胞含有サンプルにおける単量体/ホモ二量体CXCR4発現の試験レベルを評価するために使用される単量体/ホモ二量体CXCR4発現の「対照レベル」を意味する。
【0183】
例えば、患者の生体サンプルにおける単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4レベルが、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の参照レベルよりも高い場合には、それらの細胞は単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の高レベルの発現または過剰発現を有するとみなされる。
【0184】
参照レベルは複数の方法によって判定することができる。従って、発現レベルは、単量体/ホモ二量体CXCR4発現細胞の数を定義することができる。あるいは、単量体/ホモ二量体CXCR4発現細胞の数とは独立に前記単量体/ホモ二量体CXCR4の発現レベルを定義することもできる。
【0185】
従って、各患者の参照レベルは単量体/ホモ二量体CXCR4の参照比によって規定することができ、この場合、この参照比は、本明細書に記載される参照レベルを判定するための方法のいずれによって判定してもよい。
【0186】
例えば、対照は所定の値であってもよく、様々な形態を採り得る。対照は、中央値または平均値などの単一のカットオフ値であってもよい。「参照レベル」は、どの患者にも個々に等しく適用可能な単一の数値であってもよく、または参照レベルは、患者の特定の部分集団によって異なってもよい。よって、例えば、同じ癌でも年齢が高い人は若い人とは異なる参照レベルを持つ場合があり、また、同じ癌でも女性は男性とは異なる参照レベルを持つ場合がある。あるいは、「参照レベル」は、試験する新生細胞の組織と同じ組織からの非腫瘍形成性癌細胞における単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現レベルを測定することにより判定することもできる。同様に、「参照レベル」は、患者の新生細胞における単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の、同じ患者内の非腫瘍細胞における単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4レベルに対する特定の比であってもよい。「参照レベル」はまた、in vitro培養細胞の単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4レベルであってもよく、これらの培養細胞は腫瘍細胞を模倣するように操作することがきるか、または参照レベルを正確に判定する発現レベルをもたらす他の任意の方法で操作することができる。他方、「参照レベル」は、単量体/ホモ二量体CXCR4レベルが上昇していない群と単量体/ホモ二量体CXCR4レベルが上昇している群などの比較群に基づいて設定することができる。比較群のもう1つの例は、特定の疾患、病態または症状を有する群とその疾患を有さない群であろう。この所定の値は、例えば、被験集団が低リスク群、中リスク群および高リスク群などの群に均等に(または不均等に)分けられる場合には調整することができる。
【0187】
参照レベルはまた、同じ癌を有する患者集団における単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4レベルの比較によって判定することもできる。これは例えばヒストグラム分析によって達成することができ、この分析では、患者の全コホートをグラフ表示し、第一軸は単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4レベルを表し、第二軸はその腫瘍細胞が所与のレベルで単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4を発現するコホートの患者数を表す。同等または類似の単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4レベルを有するコホートの亜集団を特定することにより、2以上の独立した患者群を判定することができる。次に、これらの独立した群を最もよく識別するレベルに基づいて、参照レベルの判定を行うことができる。参照レベルはまた、2以上のマーカー(そのうちの1つが単量体/ホモ二量体CXCR4である)のレベルを表すこともできる。2以上のマーカーは、例えば各マーカーのレベルの値の比によって表すことができる。
【0188】
同様に、見かけ上健康な集団は、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現に関連する病態を有することが知られている集団が有するであろうものとは異なる「正常な」範囲を有する。従って、選択される所定の値は、ある個体が属するカテゴリーを考慮することができる。適当な範囲およびカテゴリーは、当業者ならば慣例の実験のみを用いて選択することができる。「上昇した」、「増加した」とは、選択された対照に比べて高いことを意味する。一般に、対照は、適当な年齢層の見かけ上健康な正常個体に基づく。
【0189】
また、本発明による対照は、所定の値の他、試験材料と並行して試験される材料のサンプルであってよいことも理解されよう。例としては、同じ被験体から同時に得られた組織または細胞、例えば、単一の生検の一部、または被験体由来の単一の細胞サンプルの一部が挙げられる。
【0190】
別の態様では、本発明は、標識されかつin vivoで単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4と結合することができる本発明のモノクローナル抗体、またはそのフラグメントもしくは誘導体と、薬学上許容される担体とを含んでなる、単量体および/またはホモ二量体としてのCXCR4の発現に関連する腫瘍形成性障害のin vivo画像法のための医薬組成物に関する。別の側面において、本発明は、本発明の抗体を含んでなる、上記の方法に有用なキットを提供する。
【0191】
所定量の試薬の組合せを診断アッセイの実施に関する説明書とともに含んでなるパッケージされた材料、例えばキットも本発明の範囲内にある。本キットは、例えばELISAまたはウエスタンブロットにおいて、in vitroで単量体/ホモ二量体CXCR4を検出および定量するための抗体を含有する。本発明の抗体は、例えばELISAまたはウエスタンブロットにおいて、in vitroで単量体/ホモ二量体CXCR4を検出および定量するためのキット内に提供することができる。抗体を酵素で標識する場合、本キットは、酵素が必要とする基質および補因子(例えば、検出可能な発色団または蛍光団を提供する基質前駆体)を含む。さらに、安定剤、バッファー(例えば、ブロックバッファーまたは溶解バッファー)などの他の添加剤を含んでもよい。このようなキットは、バイアル、試験管などの1以上の容器を収容するための区画化された受器を含んでなってよく、このような容器は本発明の独立した要素を保持する。例えば、1つの容器は不溶性または部分的可溶性の担体と結合された第一の抗体を含んでよい。第二の容器は、可溶性の検出可能なように標識された第二の抗体を凍結乾燥形態または溶液として含有してよい。受器はまた、検出可能なように標識された第三の抗体を凍結乾燥形態または溶液として保持する第三の容器も含んでよい。この性質のキットは、本発明のサンドイッチアッセイで使用可能である。ラベルまたは添付文書により、本組成物の説明ならびに意図されるin vitroまたは診断使用に関する説明を提供してもよい。
【0192】
これらの試薬は、賦形剤を含む乾燥粉末、通常は凍結乾燥品として提供することができ、溶解時に適当な濃度の試薬溶液となる。
【0193】
本発明のなおさらなる側面では、本明細書で詳細に示されるモノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体は、検出可能な部分で標識されたものが提供され、これにより、上述の抗原を有する細胞を診断または同定するために、例えばキットとしてそれらをパッケージし、使用することができる。このような標識の限定されない例としては、フルオレセインイソチオシアネートなどの蛍光団;発色団、放射性核種、ビオチンまたは酵素が挙げられる。このような標識された抗体または結合フラグメントは、例えば、抗原の組織学的局在、ELISA、細胞選別、ならびに単量体/ホモ二量体CXCR4およびこの抗原を保持する細胞を検出または定量するための他の免疫学的技術に使用可能である。
【0194】
本発明はまた、抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体が標識されているキットも含む。
【0195】
また、細胞からの単量体/ホモ二量体CXCR4の精製または免疫沈降に対する陽性対照として使用されるキットも提供される。単量体/ホモ二量体CXCR4の単離および精製のため、このキットは、ビーズ(例えば、セファロースビーズ)に結合された本明細書に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体を含有し得る。in vitroまたはex vivoで、例えばELISAまたはウエスタンブロットにおいて、単量体/ホモ二量体CXCR4を検出および定量するための抗体を含有するキットを提供することができる。このキットは、容器と、容器上のまたは容器に添えられたラベルまたは添付文書を含んでなる。この容器は、少なくとも1種類の本発明の抗体、またはその結合フラグメントもしくは誘導体を含んでなる組成物を保持する。例えば、希釈剤およびバッファー、対照抗体を含む付加的な容器が含まれてもよい。このラベルまたは添付文書は、本組成物の説明ならびに意図されるin vitroまたは診断使用に関する説明を提供し得る。
【0196】
より詳しくは、本発明は、当業者に公知の任意の方法により腫瘍の単量体/ホモ二量体CXCR4状態を判定するためのキットに関する。好ましい態様では、実験例に記載するように、本発明は、IHC法またはFACSにより腫瘍の単量体/ホモ二量体CXCR4状態を判定するためのキットに関する。
【0197】
特定の態様では、本発明のキットは、少なくとも上記の抗単量体/ホモ二量体抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体(該抗体は好ましくは標識されている)を含んでなる。
【0198】
好ましい態様では、被験体においてin vitroで単量体/ホモ二量体CXCR4発現腫瘍の存在および/または位置を検出するためのキットは、前記抗CXCR4抗体と単量体/ホモ二量体CXCR4の間の結合の程度を検出するための試薬をさらに含んでなる。
【0199】
本発明によるキットは、前記抗体、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導体と単量体/ホモ二量体CXCR4の間の結合のレベルを定量するための試薬をさらに含んでなり得る。
【0200】
さらに別の態様では、本発明によるキットは、単量体/ホモ二量体CXCR4発現レベルのスコア化のための陽性および陰性対照サンプルをさらに含んでなる。
【0201】
前記キットは、ネズミ抗体を特異的に認識するポリクローナル抗体をさらに含んでなることができる。有利には、前記ポリクローナル抗体は標識されている。
【0202】
本発明の他の特徴および利点は、実施例および図面を含む続きの説明の中で明らかとなる。図面の凡例を以下に示す。
【実施例】
【0204】
実施例1: 抗CXCR4 427aB1モノクローナル抗体(Mab)の作製(F50067−006(5C) 427aB1 cl1B、CNCM番号I−4018)
CXCR4に対するモノクローナル抗体を作製するために、Balb/cマウスを組換えNIH3T3−CXCR4細胞および/またはCXCR4細胞外N末端およびループに相当するペプチドで免疫した。初回免疫時に6〜16週齢のマウスをフロイントの完全アジュバント中の抗原で皮下(s.c.)免疫した後、フロイントの不完全アジュバント中の抗原で2〜6回s.c.免疫を行った。後眼窩採血により免疫応答をモニタリングした。血清をELISA(下記の通り)によりスクリーニングし、より高力価の抗CXCR4抗体を有するマウスを融合に用いた。マウスの静脈内に抗原を追加免疫し、2日後に犠牲にし、脾臓を摘出した。
【0205】
ELISA
抗CXCR4抗体を産生するマウスを選択するために、免疫マウスからの血清をELISAにより検査した。簡単に述べると、マイクロタイタープレートを、BSAに結合された精製[1−41]N末端ペプチド、5μg相当のペプチド/mL、100μL/ウェルでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした後、PBS中0.5%ゼラチン 250μL/ウェルでブロックした。CXCR4免疫マウスからの血漿の希釈液を各ウェルに加え、37℃で2時間インキュベートした。これらのプレートをPBSで洗浄した後、HRPに結合されたヤギ抗マウスIgG抗体(Jackson Laboratories)とともに37℃で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートをTMB基質で発色させ、5分後に100μL/ウェルの1M H
2SO
4を添加することにより反応を停止させた。最も高力価の抗CXCR4抗体を生成したマウス抗体の作製に用いた。
【0206】
CXCR4に対するMabを産生するハイブリドーマの作製
最も高い力価の抗CXCR4抗体を生成したBalb/cマウスから単離したマウス脾細胞を、PEGを用いて、マウス骨髄腫細胞株Sp2/Oと融合させた。細胞をマイクロタイタープレートにおよそ1×10
5/ウェルで再播種した後、ultra culture培地+2mM L−グルタミン+1mMピルビン酸ナトリウム+1×HATを含有する選択培地で2週間インキュベートした。次に、ウェルをELISAにより、抗CXCR4モノクローナルIgG抗体に関してスクリーニングした。その後、抗体を分泌するハイブリドーマを限界希釈法により少なくとも2回サブクローニングし、in vitroで培養し、さらなる分析のために抗体を作製した。
【0207】
実施例2: 427aB1 Mabは細胞溶解液でCXCR4単量体およびホモ二量体の両方を認識する
NIH3T3−hCXCR4トランスフェクト細胞、MDA−MB−231(乳癌)およびU937(AML)癌細胞をPBS中で2回洗浄した。次に、100.10
6細胞/mlを、下記のバッファー:20mM TrisHCl pH8.5、100mM(NH
4)
2SO
4、10%グリセロール、1%CHAPSOおよび1%プロテアーゼ阻害剤カクテルを用い、4℃で20分間溶解させた。この細胞溶解液を10000gにて+4℃で20分間の遠心分離により回収し、427aB1 Mabを一次抗体として用いるウエスタンブロットにより分析した。
図1は、Mab 427aB1はNIH3T3−CXCR4で、CXCR4単量体およびホモ二量体の両方を認識することを示す。癌細胞株MDA−MB−231およびU937はCXCR4を主にホモ二量体として発現すると思われる。
【0208】
実施例3: 427aB1 MabはCXCR4単量体およびホモ二量体の両方を免疫沈降させる
NIH3T3−CXCR4細胞ペレットを、100mM (NH4)
2SO
4を含有する20mM TrisHCl、pH8.5で洗浄した後、溶解バッファー(100mM(NH4)
2SO
4、10%グリセロール、1%CHAPSOおよび10μL/mLプロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する20mM TrisHCl、pH8.5)に懸濁させた。細胞をPotter Elvehjemホモジナイザーで破砕した。可溶化した膜を105000gにて+4℃で1時間の遠心分離により回収した後、+4℃で一晩、427aB1 Mab結合セファロース4Bビーズとともにインキュベートし、混合物をガラスカラムに注ぎ、溶解バッファーで洗浄した。427aB1 Mabによって捕捉されたタンパク質を溶出させ、427aB1 Mabを一次抗体として用いるウエスタンブロットにより分析した。注目する画分をプールし、濃縮し、WB分析および分取SDS−PAGE分離(4〜12%Bis−Trisゲル)の両方に使用した。銀染色の後、目的のバンドをゲルから切り出し、自動タンパク質消化システム、MassPREPステーション(Waters、ミルフォード、MA、USA)を用いてゲル内消化を施した。これらのゲルスポットを50μLの25mM NH
4HCO
3(Sigma、シュタインハイム、ドイツ)および50μLのアセトニトリル(Carlo Erba Reactifs−SDS、ヴァル・ド・ルイユ、フランス)で2回洗浄した。システイン残基を25mM NH
4HCO
3中に調製した10mM DTT 50μLにより、60℃で1時間還元し、25mM NH
4HCO
3中に調製した55mMヨードアセトアミド(Sigma)50μLにより、室温で20分間アルキル化した。これらのゲルスポットをアセトニトリルで脱水した後、室温で、25mM NH
4HCO
3中12.5ng/μl修飾ブタトリプシン(Promega、マディソン、WI、USA)10μLを加えることにより、これらのタンパク質をゲル内で一晩消化した。生じたペプチドを5%ギ酸を含有する60%アセトニトリル(Riedel−de Haen、ゼールツェ、デンマーク)35μLで抽出した後、余分なアセトニトリルを除去し、nano−LC−MS/MSを行った。nanoLC−MS/MS分析中に回収された質量データを処理し、*.mgfファイルに変換し、MASCOT
TM検索エンジンにかけた。検索はMSおよびMS/MSモードにて測定許容差0.25Daで実施した。
【0209】
図2Aは、427aB1 Mab結合セファロースビーズを用いた免疫沈降後の、溶出濃縮画分のウエスタンブロット分析を示す。見掛けの分子量37〜43、75および150kDaの3つのバンドが427aB1 Mabにより認識された。
【0210】
427aB1 Mab結合セファロースビーズを用いた免疫沈降後の溶出濃縮画分はSDS−PAGEによっても分離し、銀染色により可視化した。37〜43、75および150KDaのバンをゲルから切り出し(
図2B)、トリプシンで消化し、上記のようにLC−MS/MSにより分析した。採集されたピークリストをMascotのペプチド配列データベース検索にかけた。CXCR4は下記のように総てのバンドで同定された。
【0211】
次の6つのCXCR4ペプチドがMASCOT
TM検索エンジンにより37〜43kDaバンド(バンド番号1)で同定された:N末端に含まれる31〜38のペプチドEENANFNK;細胞外ループ2に含まれる135〜146のペプチドYLAIVHATNSQRおよび135〜148のペプチドYLAIVHATNSQRPR、および184〜188のペプチドYICDR;細胞外ループ3に含まれる272〜282のペプチドQGCEFENTVHK;およびC末端に含まれる311〜322のペプチドTSAQHALTSVSR。
【0212】
75kDaのバンド(バンド番号2)は次の5つのCXCR4ペプチドを含んだ:N末端CXCR4に含まれる31〜38のペプチドEENANFNK;細胞外ループ2に含まれる135〜146のペプチドYLAIVHATNSQR;細胞外ループ2に含まれる135〜148のペプチドYLAIVHATNSQRPR;細胞外ループ3に含まれる272〜282のペプチドQGCEFENTVHK;およびC末端に含まれる311〜322のペプチドTSAQHALTSVSR。前記ペプチドはMASCOT
TM検索エンジンにより同定された。
【0213】
150kDaのバンド(バンド番号3)では、MASCOT
TM検索エンジンにより次の2つのCXCR4ペプチドが同定された:N末端に含まれる31〜38のペプチドEENANFNKおよびC末端に含まれる311〜322のペプチドTSAQHALTSVSR。
【0214】
この試験で得られた結果は明らかに、427aB1 MabがCXCR4を免疫沈降させることを示す。さらに、427aB1 Mabは単量体およびホモ二量体の両方としてのCXCR4を認識する。
【0215】
実施例4: FACS分析によれば、427aB1 Mabは細胞表面に局在するCXCR4を認識する
この試験では、427aB1 MabのヒトCXCR4への特異的結合をFACS分析により評価した。
【0216】
NIH3T3、NIH3T3−hCXCR4トランスフェクト細胞、MDA−MB−231、Hela、HT−29およびU937癌細胞株を427aB1モノクローナル抗体(0〜10μg/mL)とともにインキュベートした。次に、これらの細胞を1%BSA/PBS/0.01%NaN3で洗浄した。次に、Alexaで標識した二次抗体を細胞に加え、4℃で20分間インキュベートした。その後、これらの細胞を再び2回洗浄した。2回目の洗浄の後、FACS分析を実施した。
【0217】
これらの結合試験の結果を
図3に示す。これらの結果は、427aB1がヒトCXCR4−NIH3T3トランスフェクト細胞株と結合することを示すが(
図3)、親NIH3T3細胞とは結合しない(示されていない)。このMabはまた、ヒト癌細胞株、例えば、HT−29結腸癌細胞(
図3B)、MDA−MB−231乳癌細胞(
図3C)、U937前骨髄球性癌細胞(
図3D)およびHela子宮頸癌細胞(
図3E)も認識することができたが、このことはこれらの細胞株が天然にCXCR4単量体および/またはホモ二量体を過剰発現することを示唆している。
【0218】
実施例5: FACS分析によれば、427aB1 Mabは抗CXCR4 515H7治療用Mabの存在下であっても細胞膜におけるCXCR4と結合する
この試験では、抗CXCR4 Mab 427aB1および515H7のヒトCXCR4への結合の競合をFACS分析により検討した。
【0219】
NIH3T3−hCXCR4トランスフェクト細胞を、ビオチン化515H7 Mab(5μg/ml)[NIH3T3−CXCR4細胞を認識した(
図4A)]、次いで、427aB1 Mabまたは515H7 Maのいずれか(0〜1mg/mL)とともに4℃で1時間インキュベートした。次に、これらの細胞を1%BSA/PBS/0.01%NaN3で洗浄した。次に、標識したストレプトアビジンを細胞に加え、4℃で20分間インキュベートした後、さらに2回洗浄した。2回目の洗浄の後、FACS分析を実施した。これらの結合試験の結果は
図4Bに示され、これらの結果は、抗CXCR4 Mab 427aB1が、515H7 Mabの存在下であってもヒトCXCR4−NIH3T3トランスフェクト細胞と結合することを示した。これに対して、ビオチン化515H7 Mabの存在は、予測されたように、非標識515H7 MabのCXCR4への結合を阻害した。
【0220】
実施例6: BRET分析によれば、427aB1 MabはCXCR4/CXCR2ヘテロ二量体コンフォメーションを調節しない
この機能アッセイは、SDF−1および/または427aB1 MabがCXCR4受容体に結合する際に誘導される、CXCR2/CXCR4ヘテロ二量体のレベルでのコンフォメーション変化の評価を可能とする。
【0221】
従来の分子生物学的技術を適用することにより、検討する各相互作用相手のための発現ベクターを、対応する色素(ウミシイタケ(Renilla reniformis)ルシフェラーゼRlucおよび黄色蛍光タンパク質YFP)との融合タンパク質として構築した。BRET試験を実施する2日前に、HEK293細胞を、対応するBRET相手[CXCR4−Rluc+CXCR4−YFP]をコードする発現ベクターで一過性にトランスフェクトした。翌日、細胞を、ポリリシンをプレコーティングした白色96MWプレートの完全培養培地[10%FBSを添加したDMEM]に分注した。細胞をまず、37℃、CO
2 5%で培養してプレートに細胞を接着させた。次に、細胞を200μl DMEM/ウェルで一晩飢餓状態にした。BRET試験の直前に、DMEMを除去し、細胞をPBSで手早く洗浄した。次に、細胞をPBS中、抗体の存在下または不在下、37℃で15分間インキュベートした後、最終容量50μl中、SDF−1を含むまたは含まないセレンテラジンH 5μΜを添加した。37℃で5分間インキュベートし、さらに室温で5分間インキュベートした後、Mithras LB940マルチラベルリーダー(Berthold)を用い、485nmおよび530nmで発光取得を開始した(1秒/波長/ウェル、室温で15回反復)。
【0222】
BRET比の計算は、従前に記載されている通りに行った(Angers et al., 2000):[(放出
530nm)−(放出
485nm)×Cf]/(放出
485nm)、ここで、同じ試験条件下でRluc融合タンパク質単独を発現する細胞については、Cf=(放出530nm)/(放出
485nm)。この式を簡単に見れば、BRET比は、2つのBRET相手が存在する場合に得られる530/485nm比を、アッセイ中にRlucと融合した相手だけが存在する場合に同じ試験条件下で得られる530/485nm比で補正したものに相当することが示される。読み取りやすくするために、結果は基本シグナルに対するパーセンテージで表す。
【0223】
SDF1(300nM)は、CXCR4受容体とCXCR2受容体の空間的近接から生じるBRETシグナルを約20%の低下させた。これはおそらくは、CXCR4/CXCR4ヘテロ二量体の形成または既存の二量体のコンフォメーションを示す(
図5)。427aB1 Mabは、SDF−1により誘発されるCXCR2/CXCR4ヘテロ二量体のコンフォメーション変化を調節せず、それ自体、CXCR4/CXCR2の空間的近接を調節しなかった。このことは、427aB1 MabがCXCR4/CXCR2ヘテロ二量体のコンフォメーションに影響を及ぼさないことを示す(
図5)。
【0224】
実施例7: Nod/ScidマウスにおけるMDA−MB−231異種移植腫瘍成長モデルでの427aB1 Mab活性の評価
この試験の目的は、Nod/Scidマウスにおける、MDB−MB−231異種移植片に対する抗CXCR4 Mab 427aB1の阻害活性を評価することであった。
【0225】
ECACCから入手したMDA−MB−231細胞をDMEM培地(Invitrogen Corporation、スコットランド、UK)、10%FCS(Sigma、セントルイス、MD、USA)を常法により培養した。細胞群を移植48時間前に分割し、従って、それらの細胞は指数増殖期にあった。PBS中、1千万個のMDA−MB−231細胞を、7週齢のNod/Scidマウス(Charles River、フランス)に移植した。移植5日後に、腫瘍は測定可能であり(34mm
3<V
3<40mm
3)、これらのマウスを匹敵する腫瘍サイズを有する6個体の群に分けた。マウスを負荷用量2mg/マウスのMab 427aB1でi.p.処置した。次に、マウスに1mg/用量/マウスのMab 427aB1を週に2回注射した。この試験には、対照群としてPBS群を導入した。腫瘍体積は、週に2回測定し、式:π/6×長さ×幅×高さにより計算した。統計分析は測定ごとにマン・ホイットニー検定を用いて行った。
【0226】
処置中に死亡は見られなかった。PBS対照群に比べ、427aB1 Mab 1mg/用量の40日目では腫瘍成長の有意な阻害は見られなかった(p=0.485)。さらに、処置5週間後の平均腫瘍体積は、PBSに対してMab 427aB1によって減少することは無かった(
図6)。
【0227】
実施例8: 427aB1 Mabは細胞膜に存在するCXCR4を認識する(パラフィン包埋腫瘍IHC染色)
切片を脱パラフィンし、再水和させ、熱誘導エピトープ賦活化(heat-induced epitope retrieval)のために、98℃で5分間、98℃で予温したEDTA pH8中に置き、室温でさらに5分間、温EDTAバッファー中に置いた。その後、スライドを5分間水道水ですすいだ。Trisバッファー生理食塩水−0.05%tween20(TBS−T)(Dako S3006)で3回洗浄した後、内因性のペルオキシダーゼ活性をペルオキシダーゼブロッキング試薬(Dako K4007)を用いて5分間ブロックした。切片をTBS−Tで洗浄し、ブロッキング試薬(Ultra V block−TA−125UB− Lab Vision)中で5分間インキュベートした後、抗CXCR−4マウスモノクローナル抗体(5μg/ml、クローン427aB1、Pierre Fabre)またはアイソタイプ対照としてのマウスIgG1/κ(5μg/ml、X0931、Dako)とともに4℃で一晩インキュベートした。切片をTBS−Tで洗浄し、室温で30分間、SignalStain Boost IHC検出試薬(HRP、M)とともにインキュベートした。ジアミノベンジジンを用いて褐色反応生成物を発生させた(Dako K3468)。これらのスライドをヘマトキシリン中に4分間浸漬して対比染色を行い(Dako S3309)、PBS中で洗浄した後、Faramount封入剤とカバーガラス中に包埋した。この免疫組織化学的手法において、褐色反応生成物は細胞膜の陽性染色に相関し、褐色反応生成物の欠如は陰性染色および細胞膜が見えないことに相関する。
【0228】
427aB1 Mabは、種々の腫瘍タイプの細胞膜を差次的に染色する。
図7および8に2つの異種移植モデルで行った染色を示したが、これには治療用抗CXCR−4 hz515H7抗体:RAMOSおよびKARPAS299による抗腫瘍活性が表されている。
【0229】
図7および8に示されるように、検出される発現は、KARPAS299(
図8)ではRAMOS(
図7)よりも低い。このデータは、フローサイトメトリーによるCXCR−4発現の試験とよく相関している。実際に、RAMOS細胞は、KARPAS299細胞よりも約5倍高いレベルのCXCR−4を発現する(抗体結合能:RAMOSに対しては200000、KARPAS299に対しては40000)。膜染色はKARPAS299では弱く(
図8)、一方、RAMOSでは膜性染色は有意に高い(
図7)。