(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239513
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】シュノーケルベントを有する燃料フィルタ
(51)【国際特許分類】
F02M 37/22 20060101AFI20171120BHJP
F02M 37/20 20060101ALI20171120BHJP
B01D 24/00 20060101ALI20171120BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20171120BHJP
B01D 29/07 20060101ALI20171120BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
F02M37/22 G
F02M37/20 H
B01D29/00 A
B01D29/06 510A
B01D29/06 510D
B01D35/02 E
F02M37/22 H
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-531917(P2014-531917)
(86)(22)【出願日】2012年9月19日
(65)【公表番号】特表2014-531557(P2014-531557A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】US2012056023
(87)【国際公開番号】WO2013043667
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年9月18日
(31)【優先権主張番号】13/236,890
(32)【優先日】2011年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593020201
【氏名又は名称】ボールドウィン・フィルターズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Baldwin Filters Inc
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】アレン,ランディ アール.
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,ジェイムズ エヌ.
【審査官】
中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−016402(JP,U)
【文献】
特開昭60−135659(JP,A)
【文献】
特開昭60−175761(JP,A)
【文献】
米国特許第06270659(US,B1)
【文献】
特表2003−524514(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/096410(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0053756(US,A1)
【文献】
特開2006−263639(JP,A)
【文献】
特表2007−501103(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102009043638(DE,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0139920(US,A1)
【文献】
特開2010−000501(JP,A)
【文献】
特表2013−505826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/00−29/48
B01D 35/00−35/04
B01D 35/08−35/30
F02M 37/00−37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端キャップと、中央開口を定義している下端キャップと、前記上端キャップと前記下端キャップとの間を延びて、中央開放空間を定義しているフィルタ媒体の管状環と、前記下端キャップに隣接して定義されているブリードチャンバと、前記ブリードチャンバと流体連通していて、前記フィルタ媒体の外側に沿って延びており、前記下端キャップより前記上端キャップに近いベント開口を有するシュノーケルと、前記中央開放空間内に配置されて前記上端キャップと前記下端キャップとの間を延びているコア支持物とを備え、
前記コア支持物の下端部に隣接した第1の環状封止材と前記下端キャップに隣接した第2の環状封止材を更に備え、前記ブリードチャンバは、少なくとも一部分が、前記第1及び第2の環状封止材の間に定義されている、
フィルタエレメント。
【請求項2】
前記中央開放空間内に配置され、前記上端キャップと前記下端キャップとの間を延びているコア支持物を更に備え、前記第1の環状封止材は前記第2の環状封止材より小径であり、前記第1の環状封止材は前記コア支持物に取り付けられており、前記第2の環状封止材は前記下端キャップに取り付けられている、請求項1に記載のフィルタエレメント。
【請求項3】
前記下端キャップは、底面を有する環状チャネルと、前記底面から間隔を置いて配置され、上げ床を提供する環部材と、を含み、前記ブリードチャンバは、前記コア支持物内の第1の開口(アパーチャ)を通って前記底面と前記環部材との間に定義された空間内まで延びており、前記環部材は、前記シュノーケルが取り付けられるスパウトを含む、請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項4】
前記下端キャップは、内側環状壁及び外側環状壁を含み、前記内側環状壁と前記外側環状壁との間に底壁が半径方向に延びており、前記下端キャップは更に、前記コア支持物と前記内側環状壁との間を封止する第3の環状封止材と、前記ブリードチャンバを前記空間内に連通させる、前記内側環状壁内の第2の開口(アパーチャ)と、を含む、請求項3に記載のフィルタエレメント。
【請求項5】
前記底壁と前記環部材との間を延びているスペーサエレメントと、前記外側環状壁及び前記内側環状壁のうちの少なくとも一方にあって、前記環部材を前記スペーサエレメントに抗して保持するスナップリテーナと、を更に備え、前記環部材と前記フィルタ媒体の下端との間にあって、前記環部材と前記内側及び外側環状壁との間のクラック間を封止するポッティング化合物を更に備える、請求項4に記載のフィルタエレメント。
【請求項6】
前記ブリードチャンバは、前記フィルタ媒体の下端の下を延びており、前記下端キャップは更に、前記ブリードチャンバを前記シュノーケルに接続するスパウトを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項7】
前記シュノーケルは、前記スパウトから上向きに延びている、垂直方向に延びる管を備える、請求項3から6のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項8】
前記フィルタ媒体の管状環は、ひだを有する略円筒形状のひだパックであり、前記シュノーケルは、前記外側に沿って、隣接するひだ同士の間にある長手方向の隙間のかたちで延びており、且つ、前記上端キャップ及び下端キャップの外周の半径方向内側に収容されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項9】
前記上端キャップは無開口体であり、第2の端部キャップによって、前記シュノーケルを通る流量を制限する制限開口(オリフィス)を定義されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のフィルタエレメント。
【請求項10】
前記下端キャップを通って水平方向に延びている流路が、ブリード流路を、前記フィルタ媒体の管状環の下端のほぼ下の前記下端キャップの前記外周に向かって延ばしている、請求項8に記載のフィルタエレメント。
【請求項11】
入口及び出口を含み、燃料を濾過するように適合されたハウジングと、
前記ハウジングの基部から前記ハウジングの上部に向かうスタンドパイプと、前記入口から前記スタンドパイプを通って前記出口に延びている燃料流動路であって、前記スタンドパイプは、前記燃料流動路に沿う第1の流路と、第2のブリード流路とを含む、前記燃料流動路と、
前記ハウジング内に前記スタンドパイプを覆って配置されたフィルタエレメントと、を備える装置であって、前記フィルタエレメントは、
上端キャップと、
前記上端キャップの下方にあって、貫通する前記スタンドパイプを受ける中央開口を定義している下端キャップと、
前記上端キャップと前記下端キャップとの間を延びているフィルタ媒体の管状環であって、前記スタンドパイプを受ける中央開放空間を定義するとともに、前記フィルタ媒体を通る前記燃料流動路に沿っての流動に備える、前記フィルタ媒体の管状環と、
前記下端キャップに隣接していて、前記第2のブリード流路と流体連通しているブリードチャンバと、
前記ブリードチャンバと流体連通していて、前記フィルタ媒体の外側に沿って延びており、前記下端キャップより前記上端キャップに近いベント開口を有するシュノーケルと、
前記中央開放空間内に配置されて前記上端キャップと前記下端キャップとの間を延びているコア支持物とを備え、
前記コア支持物の下端部に隣接する第1の環状封止材と前記下端キャップに隣接する第2の環状封止材を更に備え、前記ブリードチャンバは、少なくとも一部分が前記第1及び第2の環状封止材の間に定義されており、前記第1の環状封止材は前記第2の環状封止材より小径であり、前記第1の環状封止材は、前記コア支持物に取り付けられて前記スタンドパイプの小径区間上を封止しており、前記第2の環状封止材は、下端キャップに取り付けられて前記スタンドパイプの大径区間上を封止しており、前記ブリードチャンバは、前記スタンドパイプの外側に沿っており、前記第1及び第2の環状封止材の間の、前記スタンドパイプ内のポートが、前記第2のブリード流路に空気をブリードするように適合されている、
装置。
【請求項12】
前記下端キャップは、底面を有する環状チャネルと、前記底面から間隔を置いて配置され、上げ床を提供する環部材と、を含み、前記ブリードチャンバは、前記コア支持物内の第1の開口(アパーチャ)を通って前記底面と前記環部材との間に定義された空間内まで延びており、前記環部材は、前記シュノーケルが取り付けられるスパウトを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記下端キャップは、内側環状壁及び外側環状壁を含み、前記内側環状壁と前記外側環状壁との間に底壁が半径方向に延びており、前記下端キャップは更に、前記コア支持物と前記内側環状壁との間を封止する第3の環状封止材と、前記ブリードチャンバを前記空間内に連通させる、前記内側環状壁内の第2の開口(アパーチャ)と、前記底壁と前記環部材との間を延びているスペーサエレメントと、前記外側環状壁及び前記内側環状壁のうちの少なくとも一方にあって、前記環部材を前記スペーサエレメントに抗して保持するスナップリテーナと、を備え、更に、前記環部材と前記フィルタ媒体の下端との間にあって、前記環部材と前記内側及び外側環状壁との間のクラック間を封止するポッティング化合物を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ブリードチャンバは、前記フィルタ媒体の下端の下を延びており、前記下端キャップは更に、前記ブリードチャンバを前記シュノーケルに接続するスパウトを含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記フィルタ媒体の管状環は、ひだを有する略円筒形状のひだパックであり、前記シュノーケルは、前記外側に沿って、隣接するひだ同士の間にある長手方向の隙間のかたちで延びており、且つ、前記上端キャップ及び下端キャップの外周の半径方向内側に収容されている、請求項11から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記上端キャップは無開口体であり、第2の端部キャップによって、前記シュノーケルを通る流量を制限する制限開口(オリフィス)を定義されている、請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
ハウジング内に取り付けられたフィルタエレメントを通して空気をベントしながら燃料を濾過する方法であって、
前記フィルタエレメントのフィルタ媒体を通して流体を濾過するステップと、
前記ハウジング内に閉じ込められた空気を、前記フィルタエレメントの一体化された一部分であるシュノーケルを通してベントするステップと、
前記フィルタ媒体の外周に沿って前記シュノーケルを延ばすステップと、
濾過された燃料を受ける為に前記フィルタエレメント内に延びているスタンドパイプの周囲の、前記フィルタエレメント内に形成されたブリードチャンバを封止するステップと、
前記ベントされた空気を、濾過された流体に対して封止隔離されたかたちで、前記封止されたブリードチャンバに送り込むステップと、
を含む方法。
【請求項18】
前記フィルタ媒体の下端に下端キャップを設けるステップであって、前記下端キャップは、底面と、前記底面から間隔を置いて配置された上げ床と、を有する、前記ステップと、前記上げ床と前記底面との間の空間内に前記封止されたブリードチャンバを延ばすステップと、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記シュノーケルを、前記フィルタ媒体の両端部における上端キャップ及び下端キャップの内周までに制限するステップを更に含む、請求項17又は18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に流体フィルタに関し、特に、そのような燃料フィルタ及び/又は関連付けられたハウジングを通して空気をベントする装置及び方法に関し、例えば、フィルタカートリッジの交換中に空気が閉じ込められる可能性があって、良好な動作の為には、その空気を燃料タンクに戻すベント又は他の方法を実施する必要がある燃料フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
乗り物の燃料システムでは、燃料を、システム内を通して燃料タンクからエンジンへ移動させる為に、ポンプを設けている。燃料がエンジンに到達する前に汚染物質を濾過して燃料から除去する為に、ハウジングに収容されたフィルタエレメントを含む燃料フィルタを、上記経路に沿って設けることが多い。こうした燃料フィルタエレメントは、定期的な交換が必要である。最初の取り付けの際、及び定期フィルタ交換の際に、空気がハウジング内に閉じ込められ、ハウジングの容積の一部を占める可能性がある。この閉じ込められた空気は、フィルタの性能や燃料流量を低下させる可能性がある。そこで、閉じ込められた空気をハウジングから除去することが望ましい。
【0003】
これを行う為の、知られた方法の1つは、燃料タンクへの戻りを誘導するベント流路を用いる方法である。この方法を採用した先行技術の一例として、米国特許出願第7,157,110号があり、そこでは、フィルタエレメントのコアを通るベントが行われる。しかしながら、この設計は、フィルタエレメント内に非常に複雑且つ扱いにくいコア支持物を有しており、更に、特殊な一体型グロメットを必要としている為、既製品のグロメットを容易に用いることができない。従って、当該技術の現状に対する改善が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、上端キャップ及び下端キャップを含むフィルタエレメントに関するものであり、下端キャップは中央開口を定義している。上端キャップと下端キャップとの間に、フィルタ媒体の管状環が延びている。フィルタ媒体の管状環は、中央開放空間を定義している。下端キャップに隣接して、ブリードチャンバが定義されている。シュノーケルが、ブリードチャンバと流体連通しており、フィルタ媒体の外側に沿って延びており、下端キャップより上端キャップに近いベント開口を有しており、ベント開口は、運用時にハウジング内の空気をベントすることに使用されてよい。
【0005】
別の態様は、このフィルタエレメントとハウジングとの組み合わせでフィルタ装置を提供することに関する。そのような装置はハウジングを含み、ハウジングは、燃料を濾過するように適合された入口及び出口を含む。スタンドパイプが、ハウジングの基部からハウジングの上部に向かって延びている。燃料経路が、入口から、ハウジング内を通るスタンドパイプを通って、出口に延びている。スタンドパイプは、燃料流動路に沿う第1の流路と、別に定義された第2のブリード流路と、を含む。フィルタエレメントは、ハウジング内に、スタンドパイプを覆って配置されている。フィルタエレメントは、上端キャップと、上端キャップの下方にある下端キャップと、を含む。下端キャップは、貫通するスタンドパイプを受ける中央開口を定義している。フィルタ媒体の管状環は、上端キャップと下端キャップとの間を延びており、又、スタンドパイプを受ける中央開口を定義している。フィルタ媒体を通る燃料流動の為の流動路が設けられている。ブリードチャンバは、下端キャップと隣接しており、第2のブリード流路と流体連通している。シュノーケルは、ブリードチャンバと流体連通しており、フィルタ媒体の外側に沿って延びており、ベント開口は、下端キャップより上端キャップの近くに設けられており、これによって、空気は、シュノーケルを通ってブリードチャンバにブリードされ、その後、スタンドパイプ及びハウジングのブリード流路において受けられることが可能である。
【0006】
本発明の別の態様は、ハウジング内に取り付けられたフィルタエレメントを通して空気をベントしながら燃料を濾過する方法に関する。この方法は、フィルタエレメントのフィルタ媒体を通して流体を濾過するステップと、ハウジング内に閉じ込められた空気を、フィルタエレメントの一体化された一部分であるシュノーケルを通してベントするステップと、フィルタ媒体の外周に沿ってシュノーケルを延ばすステップと、を含む。
【0007】
以下の詳細説明を、添付図面と併せて参照することにより、本発明の他の態様、目的、及び利点がより明らかになるであろう。
【0008】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付図面は、本発明のいくつかの実施態様を示しており、詳細説明とともに、本発明の原理を説明することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、ハウジング及びフィルタエレメントを含むフィルタ装置の断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、
図1のフィルタエレメントのみの等角図であり、断面図として示された等角図である。
【
図3】
図2と同様の等角断面図であるが、フィルタ媒体環を取り外した状態を示す図である。
【
図4】
図3と同様の断面図ではあるが、等角図ではなく、側面立面図である。
【
図5】フィルタエレメントを通る経路にあるシュノーケル及びブリードチャンバをよりよく示す為の、フィルタエレメントの一部分の拡大断面図である。
【
図6】本発明の別の実施形態によるフィルタエレメントの等角断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を、特定の好ましい実施形態に関して説明するが、本発明をそれらの実施形態に限定することは意図していない。逆に、あらゆる代替物、修正物、及び等価物を、添付の特許請求の範囲によって定義される、本発明の趣旨及び範囲に含まれるものとして包含することを意図するものである。
【0011】
第1の実施形態を
図1乃至
図5に示す。これらの図には、ハウジング12内に取り付けられたフィルタエレメント10が示されている。ここに図示及び記載されるように、フィルタエレメント10はシュノーケル14を含み、シュノーケル14は、フィルタエレメントの最初の取り付けの際、又は交換の際にハウジング内に閉じ込められた空気の多くをブリードすることを容易にする。シュノーケル14は、ハウジングから空気をブリードして燃料タンクに戻すこと、又は他の方法でハウジング12の外部に戻すことを容易にする。
【0012】
ハウジング12は、燃料入口16及び燃料出口18を含み、燃料流動路20により燃料の流動がエンジンに送り出される。燃料流動路20は、汚染物質を濾過するフィルタエレメントを通って入口16から出口に延びているように、概略的に図示されている。スタンドパイプ22が、ハウジング12の基部24からハウジングの上端に向かって延びている。取り付け及び取り外しを容易にする為に、ハウジング12は、基部24を含む容器下部26と、容器下部26の上側にねじ留めされて容器下部26に封をするねじ式カバー28と、を含んでよい。このように、カバー28が取り外し可能であることにより、フィルタエレメント10の取り外し及び交換が容易になっている。
【0013】
燃料流動路20は、スタンドパイプ22内に定義された第1の流路30に沿ってスタンドパイプ内を延びている。スタンドパイプは更に、第2の空気ブリード流路32を定義しており、これは、第1の流路30とは別に、第1の流路30から隔離されて定義されている。第1の流路30は、スタンドパイプの小径区間に沿ってスタンドパイプの上端に向かう入口ポート34を含み、一方、第2の空気ブリード流路は、円錐区間に沿って第2の空気ブリード流路32に接続された、別個の隔離された入口ポート36を含み、円錐区間は、スタンドパイプの小径区間を、スタンドパイプの下端の大径区間とつないでいる。スタンドパイプ22は、第1の流路と第2の空気ブリード流路との間の隔離構造を促進及び提供しており、これによって、フィルタエレメントを通過した濾過燃料はエンジン方向に誘導され、一方、この経路に沿って搬送された空気又は非濾過燃料は、再循環によってタンクに戻ることが可能であるか、他の方法でハウジング12を出る。
【0014】
図示されているように、フィルタエレメント10は、ハウジング12内に、スタンドパイプ22を覆って配置されている。フィルタエレメントは、上端キャップ38と、上端キャップの下方に配置された下端キャップ40とを含む。下端キャップ40は、貫通するスタンドパイプを受ける中央開口42を定義している。フィルタ媒体44の管状環(ひだ付きフィルタ媒体の円筒状管であってよい)は、上端キャップ38と下端キャップ40との間を延びている。フィルタ媒体の管状環は、スタンドパイプを受ける中央開放空間46を定義しており、流動路20に沿ってフィルタ媒体内を通る流動に備えている。流動路はフィルタ媒体44を貫通する為、フィルタ媒体は、その流動路に沿って流れる燃料を濾過する。下端キャップ40に隣接してブリードチャンバ48が設けられており、これは、一部分が下端キャップによって定義されていることが好ましい。従って、ブリードチャンバ48は、スタンドパイプ22の第2のブリード流路32と流体連通している。シュノーケル14は、このブリードチャンバ48と流体連通していて、フィルタ媒体44の外側に沿って延びており、フィルタエレメント10の取り付け時又は交換時にハウジングからほとんどの空気を除去することを促進してフィルタの濾過能力の利用率を最大化する為には、ベント開口50が下端キャップよりも上端キャップに近く、上端キャップに非常に近いことが好ましい。
【0015】
フィルタエレメント10は又、下端キャップに隣接する第1及び第2の環状封止材52、54を含むことが好ましい。図示されるように、ブリードチャンバ48は、少なくとも一部分がこれらの環状封止材52、54の間に定義されており、これらの封止材は、濾過燃料の流動に対してブリードチャンバを封鎖するように動作している。
【0016】
更に、フィルタエレメントは、下端キャップと上端キャップとの間を延びているコア支持物56を含むことが好ましい。コア支持物は、流動、及び流動がフィルタ媒体を貫通する際にフィルタ媒体によって引き起こされる流動制限に抗して、フィルタ媒体を半径方向に支持することが可能である。
【0017】
図示されるように、第1の封止材52は、第2の封止材54より小径であり、第1の封止材52は、コア支持物56(の内側フランジ上)に取り付けられており、第2の封止材54は、下端キャップ40に取り付けられている。小さい方の第1の環状封止材52は、スタンドパイプの小径区間上を封止することが可能であり、大きい方の第2の環状封止材54は、スタンドパイプの大径区間上を封止することが可能である。これらの封止材により、ブリードチャンバは、スタンドパイプの外側に沿う。
【0018】
下端キャップは、1つ以上の構成要素によって構成されてよい。この下端キャップ40の実施形態は、環状チャネル58を含み、これは、フィルタ媒体44の、下端へのポッティングにより、フィルタ媒体の下端の封止結合を促進する。環状チャネル58は、底面60に沿って延びており、環部材62が、底面60から間隔を置いて配置され、下端キャップ40の上げ床を提供している。図示されるように、ブリードチャンバ48は、コア支持物内の第1の開口(アパーチャ)64を通って延びており(そのようなベント開口64は複数個が設けられてよい)、且つ、下端キャップの内壁70内のベント開口76(
図5を参照)を通って、底面60と環部材62との間に定義された環状空間66の中に延びている。環部材62は、一体成形されて上方に延びているスパウト68を含むようにモールドされてよく、スパウト68にはシュノーケル14が取り付けられている。
【0019】
更に、下端キャップは、内側環状壁70及び外側環状壁72を含んでもよい。更に、コア支持物56と下端キャップ(特に、下端キャップの内側環状壁)との間を封止する為に、第3の環状封止材74が設けられてよい。ブリードチャンバ48を環状空間66内と連通させる為に、内側環状壁70内に別のベント開口(オリフィス)76が設けられている。底面60又は環部材62と一体化されてよい(この実施形態では底面60と一体化されているとして図示されている)スペーサエレメント78が、底面60と環部材62との間に、間隔を空ける為に設けられてよい。スペーサエレメント78は、中心軸及び中央開口の周囲に、間隔を置いて環状に配置された
間隔タブを含んでよく、これによって、流体が、制限されずに半径方向にスペーサエレメントを通過することが可能である。更に、外側環状壁72及び/又は内側環状壁70の少なくとも一方にスナップリテーナが設けられてよく、これは、スペーサエレメント78の突き当たりによる環部材62のスナップイン保持を行うものである。
【0020】
ポッティング化合物(例えば、プラスチゾル、ウレタン、又は他の粘着物)を使用して、フィルタ媒体44の管状環の対向する軸方向端部を、それぞれ、上端キャップ38及び下端キャップ40と封止結合することが可能である。この実施形態でポッティング化合物を使用することの一利点は、環部材62と、下端キャップ40の内側環状壁70及び外側環状壁72との間のクラックを封止できることである。
【0021】
フィルタ媒体44の管状環は、ひだを有する略円筒形状のひだパックであってよい。この実施形態は、シュノーケル14の取り付けを提供することを特徴としており、シュノーケル14は、望遠鏡のような相互嵌合方式でスパウト68に取り付けられた、垂直方向に細長く延びた管82を含んでよい。更に、これらのシュノーケル及び管は、媒体44の管状環の隣接するひだ同士の間の長手方向の隙間のかたちで延びてよい。従って、シュノーケル管82は、ひだフィルタパックの外側に沿うが、更に、上端キャップ及び下端キャップの外周の半径方向内側に収容される。更に、上端キャップは無開口構造物であってよく、上端キャップに開口は不要であり、
下端キャップは制限開口(オリフィス)を定義してよく、制限開口は、スパウト68構造物と一体化されてよく、シュノーケルを通る流量を制限するように動作して、空気のベントを可能としつつ、燃料の、タンクへの過剰な戻り流動を引き起こさないようにしている。
【0022】
この構成を使用して、且つ、各種実施形態によれば、ハウジング内に取り付けられたフィルタエレメントを通して空気をベントしながら燃料を濾過する方法が提供され、この方法は、フィルタエレメントのフィルタ媒体を通して流体を濾過するステップと、ハウジング内に閉じ込められた空気を、フィルタエレメントの一体化された一部分であるシュノーケルを通してベントするステップと、フィルタ媒体の外周に沿ってシュノーケルを延ばすステップと、を含む。更に、フィルタエレメント内に延び、且つ、フィルタ媒体の管状環の下に延びているスタンドパイプの周囲でブリードチャンバを封止してよく、ブリードチャンバはフィルタエレメント内に入り込んで形成されている。このようにして、ベントされた空気を、濾過された流体に対して封止隔離されたかたちで、封止されたブリードチャンバに送り込むことが可能である。
【0023】
第1の実施形態に類似した別の実施形態を
図6に示す。図示されたフィルタエレメント100は、全ての態様においてフィルタエレメント10と類似しているので、この図では、幾つかの相違点に注目している。そうした類似の為、既述の構造及び機能については繰り返さないが、それらはこの実施形態にも当てはまりうる。フィルタエレメント100は、下端キャップ102を含み、下端キャップ102は、外側環状壁106内を延びている水平方向のパイプ及び/又は流路104を有する。従って、ブリードチャンバ108は、下端キャップ102の内側環状壁上に設けられており、水平方向のパイプ又は流路104内を、下端キャップの外周に向かって延びている。これによって、ブリードチャンバ108は、フィルタ媒体の管状環の下にも延びている。ポッティング化合物を下端キャップ内及び下端キャップの(流路104の上の)環状チャネル内にも使用することにより、ポッティングを促進することが可能である。この実施形態では、シュノーケル110は、下端キャップの外側に沿って設けられており、上端キャップ及び下端チャネルの外周に向かって延びている。シュノーケル110は、水平方向のパイプ、即ち、流路104にプラグ接続されたシュノーケル接続部112を含み、垂直方向に延びるシュノーケル管114が、垂直方向上向きに上端キャップまで延々延びることによって、シュノーケルを通ってブリードチャンバに入る空気ブリードを実現している。
【0024】
本明細書で引用した、刊行物、特許出願、および特許を含む文献はすべて、各文献が個々に具体的に示される形で参照によって本明細書に組み込まれ、且つ、各文献の全体が本明細書に記述されているのと同等程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
【0025】
本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」、「an」、及び「the」の各語句、並びに同様の指示語の使用は、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、単数及び複数の両方を包含するものとして解釈されるべきである。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「包含する(containing)」の各語句は、特に断らない限り、オープンエンドターム(即ち、「〜を含むが、これに限定されない」という意味)として解釈されるべきである。本明細書中の数値範囲の具陳は、本明細書中で特に指摘しない限り、単にその範囲内に該当する各値を個々に参照する為の略記法としての役割を果たすことのみを意図しており、各値は、本明細書中で個々に列挙されたかのように、本明細書に組み込まれている。本明細書中で説明される全ての方法は、本明細書中で特に指摘されたり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、任意の好適な順序で実施されてよい。本明細書中で与えられるあらゆる例、又は例示的言い回し(例えば、「など(such as)」は、特に主張されない限り、単に本発明をより明快にすることだけを意図したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の如何なる言い回しも、特許請求されていない任意の要素を、本発明の実施に不可欠な要素として示すものとして解釈されてはならない。
【0026】
本明細書においては、本発明を実施する為の、本発明者らが知っている最良の形態を含む、本発明の好ましい実施形態を説明している。当業者であれば、前述の説明を読むことにより、これらの好ましい実施形態の変形形態が明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を適宜採用することを想定しており、本明細書において具体的に説明されたもの以外の方法で本発明が実施されることを企図している。従って、本発明は、準拠法によって許可されているとおり、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載されている内容のあらゆる修正及び均等物を包含する。更に、本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、好ましい実施形態のあらゆる可能な変形形態における上述の要素のあらゆる組み合わせが本発明に包含される。