【文献】
Dual Fluorescence and Intramolecular Charge Transfer with N-Phenylphenanthridinones,The Journal of Physical Chemistry,2001年 4月21日,Vol.105, No.19,p.4611-4621
【文献】
Dual luminescence properties of differently benzo-fused N-phenylphenanthridinones,Photochemical & Photobiological Sciences,2003年 2月12日,Vol.2, No.3,p.273-281
【文献】
Solvent/Base Effects in the Selective Domino Synthesis of Phenanthridinones That Involves High-Valent Palladium Species: Experimental and Theoretical Studies,Chemistry - A European Journal,2011年 9月27日,Vol.17,p.12809-12819
【文献】
One-pot synthesis of benzo[f]quinolin-3-ones and benzo[a]phenanthridein-5-ones by the photoanuulation of 6-chloropyridin-2-ones and 3-chloroisoquinolin-1-ones to phenylacetylene,Organic & Biomolecular Chemistry,2011年 8月21日,Vol.9, No.16,p.5802-5808
【文献】
INTERNUCLEAR CYCLISATION. PART XIII. THE DECOMPOSITION OF DIAZONIUM SALTS PREPARED FROM N-O-AMINOBENZOYLDIPHENYLAMINES. A NEW MOLECULAR REARRANGEMENT,Journal of the Chemical Society,1959年 4月,p.1563-1572
【文献】
Photochemical Synthesis of N-Arylbenzophenanthridine Selective Estrogen Receptor Modulators(SERMs),Jouurnal of Medicinal Chemistry,2001年 7月24日,Vol.44, No.17,p.2857-2860
【文献】
One-pot synthesis of benzo[a]phenanthridin-5-ones by photoinduced cycloaddition of 3-chloroisoquinolin-1-ones with styrenes,Tetrahedron Letters,2010年 3月31日,Vol.51,p.3748-3751
【文献】
Synthesis of a Triaza Analogue of Crushed-Fullerene by Intramolecular Palladium-Catalyzed Arylation,ORGANIC LETTERS,2004年 7月24日,Vol.6, No.17,p.2993-2996
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機エレクトロルミネッセンス素子、有機集積回路、有機電界効果トランジスタ、有機薄膜トランジスタ、有機発光トランジスタ、有機太陽電池、有機染料増感性太陽電池、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子、発光電子化学電池、有機レーザーダイオード(O-laser)および「有機プラスモン発光素子」より成る群から選ばれる、請求項1記載の電子素子。
Arは、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ1以上の基Rにより置換されてよい6個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基または5個の芳香族環原子を有するヘテロアリール基であり;ここで、二個の置換基Rは、さらなる環構造を互いに形成してもよいことを特徴とする、請求項1または2記載の電子素子。
式(1)の化合物が、蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料としておよび/また正孔ブロック層中でおよび/または電子輸送中でおよび/または電子ブロック層もしくは励起子ブロック層中でおよび/または正孔輸送層中でおよび/または光学的アウトカップリング層中で使用されることを特徴とする、請求項1〜8何れか1項記載の電子素子:
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子での使用のための材料とこれら材料の製造方法に関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として使用される有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)の構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP0676461およびWO98/27136に記載されている。ここで使用される発光材料は、蛍光発光ではなく燐光発光を示す有機金属錯体とますますなっている。量子力学的理由により、4倍までの量子およびパワー効率が、燐光発光エミッターとして有機金属化合物を使用して可能である。一般的に、OLED、特に、三重項発光(燐光)を示すOLEDの場合において、たとえば、効率、駆動電圧および寿命に関して、改善に対する必要性が未だ存在する。これは、特に、比較的短波長領域で、たとえば、緑色で発光するOLEDにあてはまる。
【0003】
燐光OLEDの特性は、使用される三重項エミッターによってのみ決定されるのではない。ここで、特に、マトリックス材料、正孔ブロック材料、電子輸送材料、正孔輸送材料および電子-あるいは励起子ブロック材料等に使用されるその他の材料も、また、特に重要である。そこで、これら材料における改善は、また、OLED特性に顕著な改善をもたらすことができる。蛍光OLEDに対するこれらの材料の場合に改善に対する必要性が、また、未だに存在する。
【0004】
先行技術にしたがうと、燐光エミッターのためのマトリックス材料として、特に、ケトン(たとえば、WO 2004/093207もしくはWO 2010/006680にしたがう)の使用がなされる。しかしながら、他のマトリックス材料の場合のように、これらのマトリックス材料の使用に関して、特に、素子の効率と寿命に関して、改善に対する必要性が、未だに存在する。
【0005】
先行技術にしたがうと、たとえば、WO2005/039246、US2005/0069729、JP2004/288381、EP 1205527もしくはWO 2008/086851にしたがうカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体が、有機エレクトロルミネッセンス素子における燐光エミッターのためのマトリックス材料として、さらに、使用される。これらは、ある場合に、電子化学的に不安定であり、有機エレクトロルミッセンス素子における副反応をもたらす。ここで、効率、寿命と材料の安定性に関して、同様にさらなる改善が望まれる
本発明の目的は、蛍光もしくは燐光OLED、特に、燐光OLEDにおける、たとえば、マトリックス材料としてまたは正孔輸送/電子ブロック材料としてまたは励起子ブロック材料として、電子輸送もしくは正孔ブロック材料としての使用に適している化合物を提供することである。特に、緑色-、赤色-および随意に青色-燐光OLEDに適するマトリックス材料を提供することが本発明の目的である。
【0006】
驚くべきことに、以下でより詳細に説明される化合物が、この目的を達成し、有機エレクトロルミネッセンス素子において、特に、寿命、効率および/または駆動電圧に関して、顕著な改善をもたらすことが見出された。これは、特に、本発明の化合物のマトリックス材料としての使用に関して、赤色-および緑色-燐光エレクトロルミネッセンス素子にあてはまる。その材料は、さらに、溶液での高い酸化安定性と高温安定性によりさらに特徴付けられる。したがって、本発明は、この型の化合物を含む電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0007】
本発明は、式(1)の化合物を含む電子素子に関する。
【化1】
【0008】
式中、以下が、使用される記号と添え字に適用される;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜13個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり;
Ar
1は、1以上の基Rにより置換されてよく、互いに直接縮合する二個を超える芳香族六員環を有するアリールもしくはヘテロアリール基を含まない5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Yは、-C(=O)N(Ar
1)-、-C(=O)-O-、-CR
1=CR
1-、-CR
1=N-、C(R
1)
2、NR
1、O、S、C(=O)、C(=S)、C(=NR
1)、C(=C(R
1)
2)、Si(R
1)
2、BR
1、PR
1、P(=O)(R
1)、SOまたはSO
2であり;
R、R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、N(Ar
2)
2、N(R
2)
2、C(=O)Ar
2、C(=O)R
2、P(=O)(Ar
2)
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルキル基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、C=O、C=S、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、NR
2、O、SもしくはCONR
2で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基またはこれらの構造の組み合わせより成る群から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rもしくは2個以上の隣接する置換基R
1は、一以上の置換基R
2により置換されてよく、互いに直接縮合する二個を超える芳香族六員環を有するアリールもしくはヘテロアリール基を含まないモノ環状あるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を随意に形成してもよく;Ar
1上の基Rは、さらに、Ar上の基Rとともに脂肪族環構造をさらに形成してもよく;ただし、互いに直接縮合する二個を超える芳香族六員環を有するアリールもしくはヘテロアリール基は、基RもしくはR
1の環形成によっては形成されず;
Ar
2は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の非芳香族基R
2により置換されてよく、互いに直接縮合する二個を超える芳香族六員環を有するアリールもしくはヘテロアリール基を含まない5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;同じN原子もしくはP原子に結合する二個の基Ar
2は、単結合またはN(R
2)、C(R
2)
2もしくはOから選ばれるブリッジにより互いにブリッジしてもよく;
R
2は、H、D、F、CN、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよく、ここで、2個以上の隣接する置換基R
2は、モノ-あるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成してもよく;
nは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり、ここで、n=0は、基Yが存在せず、代わって置換基Rが結合するか、または基Arのヘテロ原子は、Yが式(1)中で結合するAr上の位置に存在することを意味し;
ただし、ArもしくはAr
1上の基は、ラクタム基を含まない。
【0009】
本発明の意味での電子素子は、少なくとも一つの有機化合物を含む少なくとも一つの層を含む素子である。しかしながら、素子は、無機材料または無機材料から完全に構築される層を含んでもよい。
【0010】
電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)、有機集積回路(O-IC)、有機電界効果トランジスタ(O-FET)、有機薄膜トランジスタ(O-TFT)、有機発光トランジスタ(O-LET)、有機太陽電池(O-SC)、有機染料増感性太陽電池(O-DSSC)、有機光学検査素子、有機光受容器、有機電場消光素子(O-FQD)、発光電子化学電池(LEC)および有機レーザーダイオード(O-laser)および「有機プラズモン発光素子」(D. M. Koller et al., Nature Photonics 2008, 1-4)より成る群から選ばれるが、好ましくは、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)および、特に、好ましくは、燐光OLEDである。
【0011】
本発明の意味でのアリール基は、6〜60個のC原子を含む;本発明の意味でのヘテロアリール基は、2〜60個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含むが、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、単純な芳香族環、すなわちベンゼン、または、単純な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または、縮合アリールもしくはヘテロリール基、たとえば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン等の何れかを意味するものと解される。たとえば、ビフェニル等の単結合により互いに結合した芳香族基は、アリールもしくはヘテロリール基を指すのではなく、逆に、芳香族環構造を指す。
【0012】
本発明の意味での芳香族環構造は、6〜80個のC原子を環構造中に含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、2〜60個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を環構造中に含むが、ただし、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の目的のために、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリール基もしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、その代わりに、加えて、複数のアリール基もしくはヘテロアリール基は、たとえば、C、NあるいはO原子のような非芳香族単位により連結されていてもよい構造を意味するものと解される。したがって、たとえば、フルオレン、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、二個以上のアリール基が、たとえば、短いアルキル基により連結される構造であることから、本発明の目的のための芳香族環構造を意味するものと解される。
【0013】
互いに直接縮合する二個を超えない芳香族六員環を有するアリールもしくはヘテロアリール基は、ベンゼンもしくはピリジン等の単純なアリールもしくはヘテロアリール基またはナフタレンもしくはキノリン等の正確に二個の互いに直接縮合する芳香族六員環を有するアリールもしくはヘテロアリール基を意味するものと解される。これは、さらに、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジオベンゾチオフェンもしくはベンズイミダゾール等の芳香族六員環ではなく、芳香族五員環および芳香族六員環が互いに直接縮合するヘテロアリール基を意味するものと解される。
【0014】
本発明の目的のために、脂肪族炭化水素基またはアルキル基またはアルケニル基またはアルキニル基は、1〜40個のC原子を含んでよく、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH
2基は、上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルおよびオクチニルを意味するものと解される。1〜40個のC原子を有するアルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシおよび2,2,2-トリフルオロエトキシを意味するものと解される。1〜40個のC原子を有するチオアルキル基は、特に、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオを意味するものと解される。一般的に、本発明にしたがうアルキル、アルコキシあるいはチオアルキル基は、直鎖、分岐あるいは環状であってよく、一以上の隣接しないCH
2基は、上記した言及した基により置き代えられてよく、さらに、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2、好ましくは、F、ClもしくはCNで、さらに、好ましくは、FもしくはCNで、特に、好ましくは、CNで置き代えられてよい。
【0015】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記言及した基R
2または炭化水素基で置換されてよく、芳香族もしくは複素環式芳香族環に任意の所望の位置を介して連結してもよく、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ベンズアントラセン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、トリフェニレン、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、シス-もしくはトランス-インデノカルバゾール、シス-もしくはトランス-インドロカルバゾール、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ヘキサアザトリフェニレン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基またはこれら構造の組み合わせから誘導される基を意味するものと解される。
【0016】
本発明の意味での隣接する基RもしくはR
1は、互いに直接結合する炭素原子に結合する基または同じ炭素原子に結合する基を意味するものと解される。
【0017】
本発明の好ましい態様では、Arは、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ1以上の基Rにより置換されてよい6個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基または5個の芳香族環原子を有するヘテロアリール基から選ばれる。ここで、二個の置換基Rは、さらなる環構造を互いに形成してもよい。本発明の好ましい態様では、n=0に対するArは、以下の式(2)〜(5)の基から選ばれ、n=1に対するArは、以下の式(6)〜(8)の基から選ばれ、ただし、n=1に対しては、少なくとも一つのArは、式(6)の基である。
【化2】
【0018】
式中、破線の結合は、第2の基Arへの結合を示し、#は、Yへの結合位置を示し、*は、ラクタムの窒素原子もしくはカルボニル基への結合を示し、さらに、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、CRもしくはNであるか、または、式(2)もしくは式(6)中の二個の隣接する基Xは、以下の式(9)もしくは(10)の基であり、
【化3】
【0019】
式中、Eは、NR、CR
2、OまたはSであり、Zは、出現毎に同一であるか異なり、CRもしくはNであり、^は、式(2)もしくは式(6)中の対応する隣接する基Xを示し、
Vは、NR、OまたはSである。
【0020】
Arは、特に、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、ベンゼン、ピリジン、チオフェン、フラン、ピロール、カルバゾール、フルオレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフランまたはジベンゾチオフェンより成る群から選ばれ、これらの基は、それぞれ1以上の基Rにより置換されてよい。Arは、非常に、特に、好ましくは、出現毎に、1以上の基Rにより置換されてよいベンゼンであり、すなわち、非常に、特に、好ましくは、各場合に全ての基XがCRである、式(2)もしくは式(6)の基である。
【0021】
本発明のさらに好ましい態様では、両Arは、同じアリールもしくはヘテロアリール基である。ここで、二個の基Arは、同一であるか異なって、置換されてよい。
【0022】
式(1)の化合物の好ましい態様は、以下の式(11)〜(21)の化合物である。
【化4】
【0023】
式中、使用される記号は、上記所与の意味を有する。
【0024】
特に、好ましいのは、上記言及した式(11)と(21)の化合物である。
【0025】
本発明の好ましい態様では、環毎の最大一個のXは、Nであり、その他のXは、出現毎に同一であるか異なり、CRである。本発明の、特に、好ましい態様では、全ての基Xは、出現毎に同一であるか異なり、CRである。
【0026】
したがって、特に、好ましいのは、以下の式(11a)と(12a)の化合物である。
【化5】
【0027】
式中、使用される記号は、上記所与の意味を有する。
【0028】
非常に、特に、好ましいのは、以下の式(11b)、(11c)、(11d)、(12b)、(12c)および(12d)の化合物である。
【化6】
【0029】
式中、使用される記号は、上記所与の意味を有する。
【0030】
上述したように、Ar
1は、1以上の基Rにより置換されてよく、互いに直接縮合する二個を超える芳香族六員環を有するアリールもしくはヘテロアリール基を含まない、5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。Ar
1とAr
1に結合する基Rは、また、好ましくは、互いに直接縮合する芳香族六員環を絶対に含まない。
【0031】
特に、好ましい基Ar
1は、ベンゼン、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニル、直鎖もしくは分岐クアテルフェニル、フルオレン、特に、2-フルオレン、スピロビフルオレン、特に、2-スピロビフルオレン、カルバゾール、特に、2-もしくは3-カルバゾール、ジベンゾチオフェン、特に、1-,2,-もしくは3-ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、特に、1-,2,-もしくは3-ジベンゾフラン、1,3,5-トリアジン、ピリジン、ピリミジン、インデノカルバゾール、架橋カルバゾールもしくはインドロカルバゾールまたは二もしくは三個のこれらの基の組み合わせから選ばれる。これらの基は、また、それぞれ1以上の基Rにより置換されてよい。
【0032】
本発明の好ましい態様では、添え字n=0である。
【0033】
本発明のさらに好ましい態様では、添え字n=1であり、およびYは、-C(=O)N(Ar
1)-、-C(=O)-O-、C(=O)、C(R
1)
2もしくはNR
1、特に、好ましくは、-C(=O)N(Ar
1)-もしくはC(R
1)
2より成る群から選ばれる。この選好は、式(12)もしくは(12a)から(12d)の上記言及した化合物にもあてはまる。ここで、基Yは、両方の可能な方位に結合してよい。これは、Y=-C(=O)-N(Ar
1)-である化合物に対して、以下に図解される。
【化7】
【0034】
ここで、各場合にカルボニル基と基NAr
1が、各基Arに結合する構造(A)で示される方位が、好ましい方位である。
【0035】
基Yが、基-C(=O)N(Ar
1)-であるならば、そこで基Ar
1は、好ましくは、上記好ましいとして言及された基Ar
1から選ばれる。この場合、分子中の二個の基Ar
1は、特に、好ましくは、同一に選ばれる。
【0036】
本発明の好ましい態様では、上記言及した式中のRは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、N(Ar
2)
2、C(=O)Ar
2、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基、2〜10個のC原子を有するアルケニル基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、Oで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、DまたはFで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2で置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基より成る群から選ばれる。
【0037】
本発明の、特に、好ましい態様では、上記言及した式中のRは、出現毎に同一であるか異なり、H、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造より成る群から選ばれる。
【0038】
Rは、好ましくは、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜18個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造である。Rが、芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であるならば、これは、好ましくは、二個を超える芳香族六員環が互いに直接縮合するアリールもしくはヘテロアリール基を含まず、特に、好ましくは、芳香族六員環が、互いに直接縮合するアリールもしくはヘテロアリール基を絶対的に含まない。
【0039】
基Ar上の置換基としてのRが、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であるならば、これは、特に、好ましくは、ベンゼン、オルト-、メタ-もしくはパラ-ビフェニル、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニル、直鎖もしくは分岐クアテルフェニル、フルオレン、特に、2-フルオレン、スピロビフルオレン、特に、2-スピロビフルオレン、カルバゾール、特に、2-もしくは3-カルバゾール、もしくはN-カルバゾール、ジベンゾチオフェン、特に、1-,2,-もしくは3-ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、特に、1-,2, -もしくは3-ジベンゾフラン、1,3,5-トリアジン、ピリジン、ピリミジンまたは二もしくは三個のこれらの組み合わせから選ばれる。これらの基は、それぞれ1以上の基R
2により置換されてよい。
【0040】
真空蒸発により加工される化合物に対して、アルキル基は、好ましくは、5個以下のC原子、特に、好ましくは、4個以下のC原子、非常に、特に、好ましくは、1個以下のC原子を有する。溶液から加工される化合物に対しては、適切な化合物は、10個までのC原子を有するアルキル基により置換されるものか、オリゴアリーレン基、たとえば、オルト-、メタ-、パラ-もしくは分岐テルフェニル基もしくはクアテルテルフェニル基により置換されたものである。
【0041】
本発明の、特に、好ましい態様では、上記言及した選好が、同時に出現する。
【0042】
上記言及した態様の好ましい化合物の例には、以下の構造(1)〜(201)の化合物である。
【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
【化8-4】
【化8-5】
【化8-6】
【化8-7】
【化8-8】
【化8-9】
【化8-10】
【化8-11】
【化8-12】
【化8-13】
【化8-14】
【化8-15】
【化8-16】
【化8-17】
【0043】
有機エレクトロルミネセンス素子は、カソード、アノードおよび少なくとも一つの発光層を含む。これらの層とは別に、さらなる層、たとえば、各場合に、一以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電子ブロック層および/または電荷生成層をも含んでもよい。たとえば、励起子ブロック機能を有する中間層も、同様に二個の発光層の間に導入することもできる。しかしながら、これらの層の夫々は、必ずしも存在する必要がないことに留意する必要がある。ここで、有機エレクトロルミネセンス素子は、一つの発光層を含んでもよいし、または複数の発光層を含んでもよい。複数の発光層が存在するならば、これらは、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光若しくは燐光を発することができる種々の発光化合物が、発光層に使用される。特に、好ましいのは、3個の発光層を有する構造であり、ここで、その3層は、青色、緑色及びオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。さらに、白色発光は、好ましくは、青色発光層と赤色および緑色で発光する発光層の使用により生成することができ、ここで、これらの二個の発光層は電荷生成層により互いに分離されてよい。
【0044】
ここで、式(1)の化合物は、その正確な構造に応じて、異なる層に使用することができる。好ましいものは、式(1)の化合物または上記好ましい態様を、その正確な置換に応じて、蛍光もしくは燐光エミッター、特に、燐光エミッターのためのマトリックス材料としておよび/または正孔ブロック層中におよび/または電子輸送層中におよび/または電子ブロック層もしくは励起子ブロック層中および/または正孔輸送層中に含む有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0045】
本発明のさらなる態様では、有機エレクトロルミネッセンス素子は、式(1)の化合物または上記好ましい態様を光学アウトカップリング層中に含む。ここで、光学アウトカップリング層は、光のアウトカップリングを改善するために、アノードとカソードとの間に位置せずに、実際の素子の外側の電極、たとえば、電極と基板との間に適用される層を意味するものと解される。
【0046】
本発明の好ましい態様では、式(1)の化合物または上記好ましい態様は、発光層中で、蛍光もしくは燐光化合物、特に、燐光化合物のためのマトリックス材料として使用される。ここで、有機エレクトロルミネッセンス素子は、一つの発光層を含むかまたは複数の発光層を含み、ここで、少なくとも一つの発光層は、少なくとも一つの式(1)の化合物をマトリックス材料として含む。
【0047】
式(1)の化合物または上記好ましい態様が、発光層中で、発光化合物のためのマトリックス材料として使用されるならば、好ましくは、一以上の燐光材料(三重項エミッター)と組み合わせて使用される。本発明の意味での燐光発光は、比較的高いスピン多重度、すなわち、スピン状態>1の励起状態から、特に、励起三重項状態からのルミネッセンスを意味するものと解される。本発明の目的のために、遷移金属もしくはランタノイドを含むすべてのルミネッセンス錯体、特に、すべてのイリジウム、白金および銅錯体が、燐光化合物とみなされるべきである。
【0048】
式(1)の化合物または上記好ましい態様と発光化合物の混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、本発明の化合物を、99〜1vol%、好ましくは、98〜10vol%、特に、好ましくは、97〜60vol%、特に、95〜80vol%含む。対応して、混合物は、エミッターとマトリックス材料を含む全混合物を基礎として、エミッターを1〜99vol%、好ましくは、2〜90vol%、特に、好ましくは、3〜40vol%、特に、5〜20vol%含む。マトリックス材料の選択に応じて、たとえば、未公開出願EP 11002816.4に記載されているとおりに、より低いエミッター濃度が選好されてよい。
【0049】
本発明のさらに好ましい態様は、式(1)の化合物または上記好ましい態様の、さらなるマトリックス材料と組み合わせての燐光エミッターのためのマトリックス材料としての使用である。本発明のさらに好ましい態様は、式(1)の化合物または本発明にしたがう好ましい態様のさらなるマトリックス材料と組み合わせての燐光エミッターのためのマトリックス材料としての使用である。式(1)の化合物または本発明にしたがう態様と組み合わせことのできる、特に、適切なマトリックス材料は、たとえば、WO 2004/013080、WO 2004/093207、WO 2006/005627もしくはWO 2010/006680にしたがう芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシドまたは芳香族スルホキシドもしくはスルホン、トリアリールアミン、カルバゾール誘導体、たとえば、CBP(N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)または、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 2008/086851に記載されたカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、WO2010/136109、WO2011/000455もしくは未公開出願EP11007693.2にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 2006/117052にしたがうアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2010/015306、WO 2007/063754、WO 2008/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP 652273もしくはWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、たとえば、WO 2010/054729にしたがうジアザシロールもしくはテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO 2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体、たとえば、US2009/0136779、WO 2010/050778、WO 2011/042107、2011/088877および未公開出願EP11003232.3にしたがう架橋カルバゾール誘導体、たとえば、未公開出願DE 102010048608.6にしたがうトリフェニレン誘導体、または、たとえば、未公開出願DE 102010012738.8もしくはDE 102010019306.2にしたがうラクタムである。通常のエミッターより、より短い波長で発光するさらなる燐光エミッターが、同様に、コホストとして混合物中に存在してもよい。
【0050】
適切な燐光発光化合物(三重項エミッター)、特に、好ましくは、可視域で適切な励起により発光する化合物は、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子、特に、この原子番号を有する金属を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0051】
上記のエミッターの例は、出願WO 00/70655、WO 01/41512、WO 02/02714、WO 02/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 05/033244、WO 05/019373、もしくはUS2005/0258742により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が適切であり、当業者は進歩性を必要とすることなく、更なる燐光発光化合物を使用することができよう。
【0052】
本発明のさらなる態様では、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、別々の正孔注入層および/または正孔輸送層および/または正孔ブロック層および/または電子輸送層を含まず、すなわち、WO 2005/053501に記載されるとおり、発光層は、正孔注入層もしくはアノードに直接隣接し、および/または発光層は、電子輸送層もしくは電子注入層もしくはカソードに直接隣接する。さらに、たとえば、WO 2009/030981に記載されるとおり、発光層中の金属錯体と同一または類似する金属錯体を、発光層に直接隣接して、正孔輸送もしくは正孔注入材料として使用することも可能である。
【0053】
本発明のなおさらに好ましい態様では、式(1)の化合物または上記好ましい態様は、電子輸送もしくは電子注入層中で電子輸送材料として使用される。ここで、発光層は蛍光または燐光であってよい。化合物が電子輸送材料として使用されるならば、化合物は、たとえば、LiQ(リチウムヒドロキシキノリナート)等のアルカリ金属錯体でドープされることが好ましいかもしれない。
【0054】
本発明のなおさらに好ましい態様では、式(1)の化合物または上記好ましい態様は、正孔ブロック層中で使用される。正孔ブロック層は、カソード側で発光層に直接隣接する層を意味するものと解される。
【0055】
式(1)の化合物または上記好ましい態様両者を正孔ブロック層中もしくは電子輸送層中でおよび発光層でマトリックス材料としても使用することが、さらに可能である。
【0056】
本発明のなおさらに好ましい態様では、式(1)の化合物または上記好ましい態様は、正孔輸送層中でもしくは電子ブロック層もしくは励起子ブロック層中で使用される。
【0057】
本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子のさらなる層では、先行技術にしたがって通常使用されるすべての材料を使用することができる。したがって、当業者は、発明性を要することなく、式(1)の化合物または上記好ましい態様と組み合わせて、有機エレクトロルミネッセンス素子のために知られたすべての材料を使用することができる。
【0058】
更に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10
−5mbar未満、好ましくは、10
−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積されることを特徴とする。しかしながら、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10
−7mbar未満でも可能である。
【0059】
同様に好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により適用され、材料は、10
−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そのように構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0060】
更に、好ましい有機エレクトロルミネッセンス素子は、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)、インクジェット印刷もしくはノズル印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。たとえば、適切な置換により得られた可溶性の化合物が、この目的のために必要である。これらのプロセスは、特に、オリゴマー、デンドリマーおよびポリマーのためにも適している。
【0061】
たとえば、一以上の層が溶液から適用され、一以上のさらなる層が気相堆積により適用されるハイブリッドプロセスも可能である。
【0062】
これらのプロセスは、当業者に一般的に知られており、本発明の化合物を含む有機エレクトロルミネッセンス素子を、発明性を要することなく適用することができる。
【0063】
本発明は、さらに、上記好ましいと言及される以下の式(1')の化合物に関する。
【化9】
【0064】
式中、以下が、使用される記号と添え字に適用される;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜13個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり;
Ar
1は、1以上の基Rにより置換されてよく、互いに直接縮合する二個を超える芳香族六員環を有するアリールもしくはヘテロアリール基を含まない5〜24個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Yは、-C(=O)N(Ar
1)-、-C(=O)-O-、-CR
1=CR
1-、-CR
1=N-、C(R
1)
2、NR
1、O、S、C(=O)、C(=S)、C(=NR
1)、C(=C(R
1)
2)、Si(R
1)
2、BR
1、PR
1、P(=O)(R
1)、SOまたはSO
2であり;
R、R
1は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、I、N(Ar
2)
2、C(=O)Ar
2、C(=O)R
2、P(=O)(Ar
2)
2、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基、2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(夫々は、1以上の基R
2により置換されてよく、1以上の隣接しないCH
2基は、R
2C=CR
2、C≡C、Si(R
2)
2、C=O、C=S、C=NR
2、P(=O)(R
2)、SO、SO
2、SもしくはCONR
2で置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNO
2で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基R
2により置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、1以上の基R
2で置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基またはこれらの構造の組み合わせより成る群から選ばれ;ここで、2個以上の隣接する置換基Rもしくは2個以上の隣接する置換基R
1は、一以上の置換基R
2により置換されてよいモノ環状あるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を随意に形成してもよく;Ar
1上の基Rは、Ar上の基Rと共に脂肪族環構造をさらに形成してもよく;ただし、互いに直接縮合する二個を超えるアリール基を有するアリールもしくはヘテロアリール基は、基RもしくはR
1の環形成によっては形成されず;
Ar
2は、出現毎に同一であるか異なり、1以上の非芳香族基R
2により置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;同じN原子もしくはP原子に結合する二個の基Ar
2は、単結合またはN(R
2)、C(R
2)
2もしくはOから選ばれるブリッジにより互いにブリッジしてもよく;
R
2は、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であって、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、IもしくはCNで置き代えられてよく、ここで、2個以上の隣接する置換基R
3は、モノ-あるいはポリ環状の脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を互いに形成してもよく;
nは、出現毎に同一であるか異なり、0または1であり、ここで、n=1は、基Yが存在せず、代わって置換基Rが結合するか、または基Arのヘテロ原子は、Yが式(1)中で結合するAr上の位置に存在することを意味し;
ただし、ArもしくはAr
1上の基は、ラクタム基を含まず、
以下の化合物は、本発明から除外される。
【化10】
【0065】
式(1)の化合物に対して上記示されるとおりの同じ選好が、本発明の式(1')の化合物にあてはまる。
【0066】
式(1)もしくは式(1')の化合物もしくは好ましい態様は、スキーム1〜3で図示されるとおりに、当業者に知られた合成経路により調製することができる。
【0067】
文献は、ウルマンカップリングによって窒素上で非置換であるラクタムからのアリールヨウ素化物を使用するアリール置換ラクタムの合成プロセスを開示する(たとえば、WO 2007/062230にしたがう;スキーム1a)。さらに、文献で知られた合成は、対応するアミドから出発して、ラクタムに環化する(たとえば、Chemistry-An Asian Journal 2010, 5(9), 2113-2123; Organic Reactions (Hoboken, NJ, United States), 48, 1996; Scheme 1b and 1c)。
【化11】
【0068】
高収率をもたらす新規な合成経路による化合物の合成が、スキーム2と3に示されるとおりに、以下に説明される。これらのプロセスにおいては、非置換ラクタムの窒素は、置換されないか、またはアミドは、ラクタムへと官能化されずに、その代わり、閉環反応が、二個のアリール基間に生じ、ここで一方のアリール基は、アミドのカルボニル基に結合し、他方のアリール基は、アミドの窒素に結合する。ここで、環化は、パラジウム触媒により実行されるか(スキーム2)、または錫水素化物触媒によるフリーラジカル機構により実行されるか(スキーム3)の何れかである。さらに、両合成法は、アミン上で共に実行され、次いで、スキーム2に示されるとおりに、引き続く工程でラクタムに酸化されるか、またはスキーム3に示されるとおりに、アミド上で実行することができる。非常に良好な収率が、両反応型に対する閉環反応で得られる。
【化12】
【化13】
【0069】
ハロゲン化反応、たとえば、NBSを使用する臭素化と、それに続く金属触媒カップリング反応、たとえば、スズキカップリングもしくはハートウイグ−ブッフバルトカップリングによる本発明の化合物の官能化方法が、スキーム4に示される。
【化14】
【0070】
本発明は、さらに、以下を含む式(1')の化合物の製造方法に関する:
対応するラクタムへの酸化を伴う
a)ラクタムの窒素原子とAr
1との間の結合形成;または
b)アミドの窒素原子とArとの間の結合形成;または
c)アミド基を介して互いに結合する二個の基Arとの間の結合形成;または
d)メチレンアミン基を介して互いに結合する二個の基Arとの間の結合形成。
【0071】
本発明は、さらに、本発明の式(1')の上記言した化合物の電子素子での、特に、有機エレクトロルミッセンス素子での使用に関する。
【0072】
本発明による化合物と本発明による有機エレクトロルミネッセンス素子は、先行技術を凌駕する一以上の以下の驚くべき優位性により特徴付けられる。
【0073】
1.本発明による化合物もしくは式(1')の化合物または上記言及した好ましい態様は、蛍光もしくは燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用され、非常に高い効率と長い寿命をもたらす。これは、特に、化合物が赤色-もしくは緑色-燐光エミッターのためのマトリックス材料として使用されるときに、あてはまる。
【0074】
2.本発明による化合物は、高い熱安定性を有する。
【0075】
3.本発明による化合物は、有機エレクトロルミッセンス素子で使用されると、高い効率と、低い駆動電圧での急峻な電流/電圧曲線を有する。
【0076】
4.また、電子輸送材料として使用されると、有機エレクトロルミッセンス素子の効率、寿命と駆動電圧に関して非常に良好な特性をもたらす。
【0077】
5.式(1)の化合物は、簡単で高い収率で合成することができる。
【0078】
これらの上記優位性は、その他の電子特性を損なうことはない。
【0079】
本発明は、次の例により詳細に説明されるが、それにより限定することを望むものではない。当業者は、発明性を要することなく、開示された範囲全体を実行し、本発明による化合物をさらに調製し、それらを電子素子で使用し、本発明によるプロセスを使用するために説明を使用することができるだろう。
【0080】
例
以下の合成は、他に断らない限り、保護雰囲気下で行われる。出発材料は、アルドリッチ(ALDRICH)またはABCR(酢酸パラジウム(II)、トリ-o-トリルホスフィン、無機物、溶媒)から購入することができる。文献公知の出発物質の場合の番号は、CAS番号である。
【0081】
例1:2-ブロモ-N,N-ビス(ビフェニル)ベンゼンメタンアミン
【化15】
【0082】
鉱物油中の9.7g(0.243モル)のNaHが、保護雰囲気下500mlのジメチルホルムアミド中に溶解される。60g(0.106モル)のN,N-ビス(ビフェニル)アミンが、500mlのDMF中に溶解され、反応混合物に滴下される。室温で1時間後、500mlのDMF中の60.6g(242ミリモル)の2-ブロモベンジルブロミドが、滴下される。反応混合物は、室温で1時間攪拌される。この後、反応混合物は、氷上に注がれ、ジクロロメタンで三度抽出される。結合した有機相は、Na
2SO
4で乾燥され、蒸発される。残留物は、熱トルエンで抽出され、トルエン/n-ヘプタンから再結晶化される。収率は80g(93%)である。
【0083】
以下の化合物が同様にして、得られる。
【化16-1】
【化16-2】
【0084】
例2:5-ビフェニル-4-イル-2-フェニル-5,6-ジヒドロフェナントリジン
【化17】
【0085】
47g(0.158モル)の2-ブロモ-N,N-ビスビフェニルベンゼンメタンアミンが、保護雰囲気下500mlのジメチルホルムアミド中に溶解される。17.3g(0.075モル)のベンジルトリメチルアンモミウムブロミドと31.28g(0.226モル)の炭酸カリウムが、この溶液に添加され、5.08g(0.022モル)のPd(OAc)
2が、引き続き保護ガス下添加され、混合物は、120℃で9時間攪拌される。この後、反応混合物は、室温まで冷却され、ジクロロメタンで抽出される。結合した有機相はNa
2SO
4で乾燥され、蒸発される。残留物は、n-ヘプタンから再結晶化される。収率は51g(84%)である。
【0086】
以下の化合物が同様にして、得られる。
【化18-1】
【化18-2】
【0087】
例3:5-ビフェニル-4-イル-2-フェニル-6(5H)-フェナントリジノン
【化19】
【0088】
16g(0.039モル)の5-ビフェニル-4-イル-2-フェニル-5,6-ジヒドロフェナントリジンが、300mlのジクロロメタン中に溶解され、62.13g(0.393モル)の過マンガン酸カリウムが、この溶液に小分けにして添加され、混合物は、室温で二日間攪拌される。この後、残る過マンガン酸カリウムは、ろ過され、溶液は蒸発され、クロマトグラフ(溶出液:ヘプタン/のジクロロメタン、5:1)により精製される。残留物は、n-ヘプタンから再結晶化される。収率は14g(88%)である。
【0089】
以下の化合物が同様にして、得られる
【化20-1】
【化20-2】
【0090】
例4:メチル-2-ブロモ-3-ニトロベンゼン
【化21】
【0091】
100g(406ミリモル)の2-ブロモ-3-ニトロ安息香酸、22g(609ミリモル)の濃HClと1lのメタノールが、還流下24時間加熱される。冷却後、沈殿した固形物は、吸引ろ過され、水とエタノールで洗浄され、乾燥される。残留物は、エタノールから再結晶化される。収率:94.6g(363ミリモル)、理論値の89.5%。
【0092】
例5:1,1'-ビフェニル-6,6'-ジニトロ-2,2'-ジメチルカルボン酸エステル
【化22】
【0093】
1lのDMFが、84g(323ミリモル)のメチル-2-ブロモ-3-ニトロ安息香酸と61.5g(969ミリモル)の銅粉末に添加され、混合物は、120℃で1時間攪拌される。バッチは、冷却され、銅はろ過される。溶液は水で希釈され、酢酸エチルで二度抽出され、結合した有機相は、Na
2SO
4で乾燥され、回転蒸発器中で蒸発される。残留物は、メタノールから再結晶化される。収率:47.4g(131.5ミリモル)、理論値の81.5%。
【0094】
例6:1,1'-ビフェニル-6,6'-ジニトロ-2,2'-カルボン酸
【化23】
【0095】
100mlの水と100mlのエタノールが、42g(116.5ミリモル)の1,1'-ビフェニル-6,6'-ジニトロ-2,2'-ジメチルカルボン酸エステルと21g(524ミリモル)のNaOHに添加され、混合物は、90℃で2時間攪拌される。バッチは、冷却され、5MのHClを使用して酸性にされ、30分間攪拌される。沈殿した固形物は吸引ろ過される。残留物は、ヘプタンから再結晶化される。収率:33.6g(332.2ミリモル)、理論値の86%。
【0096】
例7:ピリド[2,3,4,5-lmn]フェナントリジン-5,10-ジオン
【化24】
【0097】
40g(129ミリモル)の1,1'-ビフェニル-6,6'-ジニトロ-2,2'-カルボン酸と50g(931ミリモル)の鉄粉末が、500mlの酢酸と共に80℃で12時間攪拌される。バッチは、冷却され、沈殿した固形物は吸引ろ過される。残留物は、DMFから再結晶化される。収率:19g(84.3ミリモル)、理論値の70%。
【0098】
例8:4,9-ジフェニル-4,9-ジヒドロピリド[2,3,4,5-lmn]フェナントリジン-5,10-ジオン
【化25】
【0099】
23g(100ミリモル)のピリド[2,3,4,5-lmn]フェナントリジン-5,10-ジオンと61.2g(300ミリモル)の4-ヨードベンゼンと2.3g(20ミリモル)のL-プロリンが、100ml中で150℃で30時間攪拌される。溶液は水で希釈され、酢酸エチルで二度抽出され、結合した有機相はNa
2SO
4で乾燥され、回転蒸発器中で蒸発される。残留物は、クロマトグラフ(EtOAc/ヘキサン:2/3)により精製される。収率は20g(52ミリモル)で、理論値の55%である。
【0100】
以下の化合物が同様にして、得られる
【化26】
【0101】
例9:6-[1,1';3',1"]-テルフェニル-5'-イル-6H-ベンゾ[c][2,6]ナフチリジン-5-オン
【化27】
【0102】
19.6g(100ミリモル)のベンゾ[c]-2,6-ナフチリジンオン、106g(300ミリモル)の5'-ヨード-[1,1';3',1"]テルフェニルと2.3g(20ミリモル)のL-プロリンが、100ml中で150℃で30時間攪拌される。溶液は水で希釈され、酢酸エチルで二度抽出され、結合した有機相は、Na
2SO
4で乾燥され、回転蒸発器中で蒸発される。残留物は、クロマトグラフ(EtOAc/ヘキサン:2/3)により精製される。収率は25g(59ミリモル)で、理論値の60%である。
【0103】
以下の化合物が同様にして、得られる
【化28-1】
【化28-2】
【0104】
例10:2-(2-ブロモベンジル)ジフェニルアミン
【化29】
【0105】
12g(0.307モル)のNaH(鉱物油中60%)が、保護雰囲気下600mlのジメチルホルムアミド中に溶解される。40g(0.263モル)のN,N-ジフェニルアミンが、600mlのDMF中に溶解され、反応混合物に滴下される。室温で1時間後、500mlのDMF中の98.7g(395ミリモル)の2-ブロモベンジルブロミドが、滴下される。反応混合物は、室温で1時間攪拌され、次いで反応混合物は、氷上に注がれ、ジクロロメタンで三度抽出される。結合した有機相は、Na
2SO
4で乾燥され、蒸発される。残留物は熱トルエンで抽出され、トルエン/n-ヘプタンから再結晶化される。収率は71g(89%)である。
【0106】
以下の化合物が同様にして、得られる。
【化30】
【0107】
例11:5-フェニル-5,6-ジヒドロフェナントリジン
【化31】
【0108】
10g(0.295モル)の(2-ブロモベンジル)ジフェニルアミンが、保護雰囲気下500mlのジメチルホルムアミド中に溶解される。3.4g(0.075モル)のベンジルトリメチルアンモニウムブロミドと6.1g(0.443モル)の炭酸カリウムが、この溶液に添加される。0.99g(0.004モル)のPd(OAc)
2が、引き続き保護ガス下添加され、混合物は、120℃で9時間攪拌される。この後、反応混合物は、室温まで冷却され、ジクロロメタンで抽出される。結合した有機相は、Na
2SO
4で乾燥され、蒸発される。残留物は、n-ヘプタンから再結晶化される。収率は6g(80%)である。
【0109】
以下の化合物が同様にして、得られる。
【化32】
【0110】
例12:5-フェニル-5H-フェナントリジン-6-オン
【化33】
【0111】
10g(0.039モル)の5-フェニル-5,6-ジヒドロフェナントリジンが、300mlのジクロロメタン中に溶解される。62.13g(0.393モル)の過マンガン酸カリウムが、この溶液に小分けにして添加され、混合物は、室温で二日間攪拌される。この後、残る過マンガン酸カリウムはろ過され、溶液は、蒸発され、クロマトグラフ(溶出液:ヘプタン/ジクロロメタン、5:1)により精製される。残留物は、n-ヘプタンから再結晶化される。収率は8.2g(80%)である。
【0112】
以下の化合物が同様にして、得られる
【化34】
【0113】
例13:5-(4-ブロモフェニル)-5H-フェナントリジン-6-オン
【化35】
【0114】
6.0g(22.2ミリモル)の5-フェニル-5H-フェナントリジン-6-オンが、まず、150mlのCH
2Cl
2中に導入される。100mlのアセトニトリル中の4g(22.5ミリモル)のNBS溶液が、引き続き、遮光下、−15℃で滴下され、混合物は、室温までもたらされ、この温度でさらに4時間拌される。150mlの水が、引き続き混合物に添加され、次いでCH
2Cl
2で抽出される。有機相はMgSO
4で乾燥され、溶媒は真空除去される。生成物は熱ヘキサンで攪拌洗浄され、吸引ろ過される。収率:7.4g(21ミリモル)、理論値の80%、
1H-NMRによる純度約96%。
【0115】
以下の化合物が同様にして、得られる
【化36】
【0116】
以下の化合物が、2当量のNBSと共に、溶媒としてのクロロホルム中で、同様にして得られる
【化37】
【0117】
例14:5-(4-ジベンゾフラン-4-イルフェニル)-5H-フェナントリジン-6-オン
【化38】
【0118】
23g(110.0ミリモル)の4-ジベンゾフランボロン酸、38g(110.0ミリモル)の5-(4-ブロモフェニル)-5H-フェナントリジン-6-オンと44.6g(210.0ミリモル)の燐酸三カリウムが、500mlのトルエン、500mlのジオキサンと500mlの水中に懸濁される。913mg(3.0ミリモル)のトリ-o-トリルホスフィンと次いで112mg(0.5ミリモル)の酢酸パラジウム(II)が、この懸濁液に添加され、反応混合物は、還流下16時間加熱される。冷却後、有機相は分離され、シリカゲルでろ過され、200mlの水でその度毎に三度洗浄され、引き続き蒸発乾固される。残留物は、トルエンからおよびジクロロメタン/イソプロパノールから再結晶化され、最後に高真空中で昇華され、純度は、約99.9%である。収率は38g(92ミリモル)で理論値の84%に対応する。
【0119】
以下の化合物が同様にして、得られる
【化39-1】
【化39-2】
【0120】
以下の化合物が、0.5当量のラクタムと共に、同様にして、得られる
【化40-1】
【化40-2】
【化40-3】
【0121】
例15:3,6-ジブロモ-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン
【化41】
【0122】
40g(191ミリモル)の9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジンが、まず、1000mlのCH
2Cl
2中に導入される。600mlのCH
2Cl
2中の68g(382ミリモル)のNBSが、引き続き、遮光下、−25℃で滴下され、混合物は、室温までもたらされ、この温度でさらに4時間拌される。150mlの水が、引き続き混合物に添加され、次いでCH
2Cl
2で抽出される。有機相はMgSO
4で乾燥され、溶媒は真空除去される。生成物は熱ヘキサンで攪拌洗浄され、吸引ろ過される。収率:61.4g(16ミリモル)、理論値の70%、
1H-NMRによる純度約98%。
【0123】
例16:: 9,9-ジメチル-3,6-ジフェニル-9,10-ジヒドロアクリジン
【化42】
【0124】
1.7g(5.7ミリモル)のトリ-o-トリルホスフィンと643mg(2.8ミリモル)の酢酸パラジウム(II)が、420mlのジオキサン、840mlのトルエンと420mlの水中の52g(143ミリモル)の3,6-ジブロモ-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン、38.4g(315ミリモル)のフェニルボロン酸と60g(286ミリモル)の燐酸水素カリウムの懸濁液に、激しく攪拌されながら、添加される。還流下5時間加熱後、混合物は、冷却される。沈殿物は吸引ろ過され、10mlのエタノール/水(1:1,v:v)で三度洗浄され、引き続き真空乾燥され、ジオキサンから再結晶化される。収率:41g(113ミリモル)、理論値の81%、
1H-NMRによる純度約99.9%。
【0125】
例17:10-(2-ブロモベンジル)-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジン
【化43】
【0126】
9.7g(0.243モル)のNaH(鉱物油中60%)が、保護雰囲気下500mlのジメチルホルムアミド中に溶解される。22.1g(0.106モル)の9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジンが、500mlのDMF中に溶解され、反応混合物に滴下される。室温で1時間後、500mlのDMF中の60.6g(242ミリモル)の2-ブロモベンジルブロミドが、滴下される。反応混合物は、室温で1時間攪拌され、次いで、氷上に注がれ、ジクロロメタンで三度抽出される。結合した有機相は、Na
2SO
4で乾燥され、蒸発される。残留物は熱トルエンで抽出され、トルエン/n-ヘプタンから再結晶化される。収率は37g(94%)である。
【0127】
以下の化合物が同様にして、得られる。
【化44】
【0128】
例18:5-ビフェニル-4-イル-2-フェニル-5,6-ジヒドロフェナントリジン
【化45】
【0129】
59.7g(0.158モル)の10-(2-ブロモベンジル)-9,9-ジメチル-9,10-ジヒドロアクリジンが、保護雰囲気下500mlのジメチルホルムアミド中に溶解される。17.3g(0.075モル)のベンジルトリメチルアンモミウムブロミドと31.28g(0.226モル)の炭酸カリウムが、この溶液に添加され、5.08g(0.022モル)のPd(OAc)
2が、引き続き保護ガス下添加され、混合物は、120℃で9時間攪拌される。この後、反応混合物は、室温まで冷却され、ジクロロメタンで抽出される。結合した有機相はNa
2SO
4で乾燥され、蒸発される。残留物は、n-ヘプタンから再結晶化される。収率は39.5g(86%)である。
【0130】
以下の化合物が同様にして、得られる。
【化46】
【0131】
例19:8,8-ジメチル-8H-12b-アザインデノ[a,de]アントラセン-13-オン
【化47】
【0132】
11.7g(0.039モル)の5-ビフェニル-4-イル-2-フェニル-5,6-ジヒドロフェナントリジンが、300mlのジクロロメタン中に溶解される。17.3g(0.075モル)のベンジルトリメチルアンモニウムブロミドと62.13g(0.393モル)の過マンガン酸カリウムが、この溶液に小分けにして添加され、混合物は、室温で二日間攪拌される。この後、残る過マンガン酸カリウムはろ過され、溶液は、蒸発され、クロマトグラフ(溶出液:ヘプタン/ジクロロメタン、5:1)により精製される。残留物は、n-ヘプタンから再結晶化される。収率は9.8g(80%)である。
【0133】
以下の化合物が同様にして、得られる
【化48】
【0134】
例20:5-[3-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)フェニル]-5H-フェナントリジン-6-オン
【化49】
【0135】
20g(102.4ミリモル)の5H-フェナントリジン-6-オン、43g(112ミリモル)の2-(3-ブロモフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2.3g(10.2ミリモル)の1,3-ビス-[2-ピリジル]-1,3-プロパンジオン、28.3g(204ミリモル)の炭酸カリウムと1.9g(10.2)のヨウ化銅が、1000mlのDMF中で還流下で90時間攪拌される。溶液は水で希釈され、酢酸エチルで二度抽出され、結合した有機相はNa
2SO
4で乾燥され、回転蒸発器中で蒸発され、クロマトグラフ(EtOAc/ヘキサン:2/3)により精製される。残留物はトルエンから、およびジクロロメタンから再結晶化され、最後に高真空中で昇華され、純度は99.9%である。収率は31g(62ミリモル)で、理論値の61%に対応する。
【0136】
以下の化合物が同様にして、得られる
【化50】
【0137】
OLEDの製造
本発明によるOLEDと先行技術によるOLEDが、WO 2004/058911にしたがう一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(層の厚さの変化、材料)に適合される。
【0138】
種々のOLEDのデータが、以下の例V1〜E29で示される(表1と2参照)。厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板が、改善された加工のために、20nmのPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスホネート)で水性溶液からのスピンコートにより適用、Heraeus Precious Metals GmbH 独からCLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083として購入。)で被覆される。これらの被覆されたガラス板はOLEDが適用される基板を形成する。OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/随意に、正孔注入層(HIL)/正孔輸送層(HTL)/随意に中間層(IL)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/随意に、正孔ブロック層(HBL)/電子輸送層(ETL)/随意に、電子注入層(EIL)および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造は、表1に示される。”3f”の指示は、例3f等からの化合物に関する。OLEDの製造のために必要とされるその他の材料は、表3に示される。
【0139】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合でマトリックス材料または材料と前混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、9h:VCbz1:TEG1(60%:30%:10%)等の表現は、材料9hが60体積%の割合で層中に存在し、VCbz1が30体積%の割合で層中に存在し、TEG1が10体積%の割合で層中に在在することを意味する。同様に、電子輸送層も、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0140】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/m
2で測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表2での表現U1000は、輝度1000cd/m
2に対して必要とされる電圧を示す。CE1000とPE1000は、それぞれ、1000cd/m
2で達成される電流とパワー効率を示す。最後に、EQE1000は、駆動輝度1000cd/m
2での外部量子効率である。
【0141】
種々のOLEDのデータが、表2に要約される。例V1とV2は、先行技術にしたがう比較例である。例E1〜E19は、本発明の材料を含むOLEDのデータを示す。
【0142】
本発明の化合物の優位性を証明するために、いくつかの例が、以下に詳細に説明される。しかしながら、これは、表2に示されるデータの選択を単に示すだけであることが指摘されねばならない。
【0143】
本発明の化合物の電子輸送層での使用
化合物9gを電子輸送層で使用するならば、4.3Vという低い駆動電圧と8%をやや超える非常に良好な量子効率が得られ、先行技術にしたがう化合物LaDi1の使用に関して、これらの値は、顕著により劣る(例V2とE5)。
【0144】
さらに、非常に良好な寿命が、本発明の材料により得られ、例4にしたがうOLEDに対して、たとえば、輝度は、60mA/cm
2での駆動で210時間以内に初期輝度の70%に低下する。
【0145】
本発明の化合物の燐光OLEDでのマトリックス材料としての使用
緑色ドーパントTEG1と組合わせた一重項マトリックス材料としての本発明の材料の使用に関して、3.3Vという非常に低い駆動電圧と16.4%までの非常に良好な外部量子効率が得られる(例E10とE11)。
【0146】
非常に良好な特性が、また、混合マトリックス系中での本発明の材料で得られる。材料VCbz1と組み合わせると、たとえば、17%を超える外部量子効率と3.3Vという非常に低い駆動電圧が得られる(例E13)。
【0147】
トリアジンもしくはピリミジン含有化合物が、混合マトリックス系中で第2成分として選ばれるならば、非常に良好な特性データが同様に得られ、たとえば、IC1と19aの組合わせで16%を超える外部量子効率が得られる(例E23)。
【0148】
さらに、非常に良好な寿命が得られ、例1にしたがうOLEDに対して、たとえば、輝度は、20mA/cm
2での駆動で170時間以内に初期輝度の70%に低下する。例10にしたがうOLEDに対して、190時間という寿命が、同じ条件下で得られる。対照的に、先行技術にしたがう材料LaDi1について、ただ130時間という寿命が同じ条件下で得られる(例V1にしたがうOLED)。さらに、良好な寿命を、混合マトリックス系中で達成することができ、たとえば、330時間以内で70%までの低下が、20mA/cm
2での駆動で例16にしたがうOLEDの駆動で得られる。305時間での初期輝度の80%までの低下が、20mA/cm
2での駆動で例23にしたがうOLEDの駆動で得られ、例E22に対しては、ただ340時間後でさえある。
【表1-1】
【表1-2】
【表2】
【表3-1】
【表3-2】