(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定する工程は、前記規模パラメータのうちの少なくとも1つおよび前記オフラインパラメータのうちの少なくとも1つを測定するために、打ち上げモニタを使用する工程をさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
前記第1のゴルフクラブと前記第2のゴルフクラブが同じであり、前記選択する工程は、前記第1のゴルフボールまたは前記第2のゴルフボールのいずれかを選択することをさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ゴルフ用品のうちの一品を選択するための方法が提供される。また、ゴルフボール打撃能力を特性評価するための方法、ゴルフボール装着システムにおいて使用するためのゴルフボール打撃能力特性評価、および、コンピュータ用のゴルフボール打撃能力を評価するためのシステムも提供される。
【0017】
ゴルフボール打撃能力は、様々な異なる場所で、様々な異なる条件下で行われるゴルフスイングに対して特性評価することができる。例えば、
図1〜10は、ゴルフコース100上でゴルフの試合の間に行われるゴルフスイングを描写する。
図1〜8は、ゴルフコース100のフェアウェイ110上で第1のゴルファー10および第2のゴルファー50によって行われるゴルフの試合における様々な瞬間を描写する。
図1では、第1のゴルファー10は、グリーン120の近くのフェアウェイ110の一部分上で試合をしている。第1のゴルファー10は、グリーン120上のホールである目標スポット150に狙いを定めて、第1のゴルフボール14目掛けて第1のゴルフクラブ12をスイングしようとしている。第1のゴルファー10はグリーン120および目標スポット150から比較的遠いため、第1のゴルフクラブ12は、ドライバー(すなわち、ウッド)、低番号のアイアンまたはハイブリッドクラブなど、比較的長い距離までゴルフボールをヒットすることが可能なゴルフクラブである。第2のゴルファー50は、第1のゴルファー10を観察している。
【0018】
図2では、第1のゴルファー10は、第1のゴルフクラブ12で、第1のゴルフボール14目掛けてスイングして第1のゴルフボール14を打ち、第1の軌道20に沿って目標スポット150に向けて第1のゴルフボール14を送り出している。第1のゴルフボール14は、第1の停止スポット18に着地し、停止している。
図3〜4で描写されるように、第1のゴルフボール14は、第1のライスポット16から目標スポット150まで、目標軌道140を通っていない。代わりに、第1のゴルフボール14は、第1の軌道20を通り、第1の停止スポット18に到達している。
【0019】
図4は、第1のライスポット16から第1の停止スポット18までの飛翔中の第1のゴルフボール14を描写する。飛翔中、第1のゴルフボール14は、第1のスピン軸22の周りのバックスピンを有する。バックスピンは、第1のゴルフクラブ12によって第1のゴルフボール14に伝えられた。しかし、第1のスピン軸22は水平ではない。代わりに、第1のスピン軸22は、水平軸に対して第1のサイドスピン角度23にある。すなわち、第1のゴルフクラブ12は、非水平バックスピンを第1のゴルフボール14に伝えた。
【0020】
第1のサイドスピン角度23がゼロであり、風がなかったなら、ゴルフスイングはプッシュであった可能性がある(第1のゴルファー10は右利きでゴルフをしているため。第1のゴルファー10が左利きでゴルフをしていたなら、ゴルフスイングはプルであった可能性がある)。しかし、第1のサイドスピン角度23はゼロではない正の値であるため(すなわち、やや右側に傾いている)、ゴルフスイングはフェイドである可能性がある(または、第1のゴルファー10が左利きでゴルフをしていたなら、ドロー)。第1のサイドスピン角度23が十分に大きければ、ゴルフスイングはスライスであった可能性がある(または、左利きのスイングからの場合、フック)。フェイドもしくはスライス(または、ドローもしくはフック)と関連付けられたものなどのゼロでないサイドスピン角度は、飛翔中のゴルフボールの軌道を変更することができる。
【0021】
特に、
図3で描写されるように、第1の軌道20は、第1のライスポット16から目標スポット150まで、直線ではない。代わりに、第1の軌道20は、第1のゴルフボール14が目標スポット150に向けて飛球するにつれて湾曲している。より具体的には、第1の軌道20は、右側に湾曲している。この湾曲部の一部分は、左から右へ風が吹いた結果である。しかし、この湾曲部の別の部分は、第1のゴルフクラブ12で打った際に第1のゴルフボール14に伝えられたゼロではない正の第1のサイドスピン角度23の結果である。
【0022】
描写されるように、第1の軌道20は、目標軌道140に対する第1のオフライン角度21を有し、第1のオフライン角度21の大きさは、第1のゴルフボール14の飛球の間に変化する。第1の軌道20の初期部分近くでは、第1のオフライン角度21は、何らかのゼロでない値を有する。その後、第1の軌道20の初期部分と第1の軌道20の最終部分との間では、吹いている風に部分的に起因して、そして、ゼロでない第1のサイドスピン角度23での第1のスピン軸22周りの第1のゴルフボール14のスピンに部分的に起因して、目標軌道140に対する第1のオフライン角度21は増加する。第1のオフライン角度21は、第1の軌道20全体を通じて、第1の軌道20の最終部分において第1の実際の距離24と関連付けられた第1の実際の角度25と同じになるまで、増加する。
【0023】
続けて、
図5では、第2のゴルファー50がフェアウェイ110の同じ部分上で試合をしている。第2のゴルファー50は、
図1の第1のゴルフボール14とほぼ同じスポットに位置する第2のゴルフボール54目掛けて第2のゴルフクラブ52をスイングしようとしている。第2のゴルファー50は、グリーン120上の同じ目標スポット150に狙いを定めている。この距離から、第2のゴルファー50もまた、第2のゴルフクラブ52を、ドライバー、低番号のアイアンまたはハイブリッドクラブなど、比較的長い距離を達成することが可能なゴルフクラブにする選択を行った。今度は、第1のゴルファー10が第2のゴルファー50を観察している。
【0024】
図6では、第2のゴルファー50は、第2のゴルフクラブ52をスイングして第2のゴルフボール54を打ち、第2の軌道60を第2のゴルフボール54に伝えている。第2のゴルフボール54は、その飛翔中、第2の軌道60を通り、第2の停止スポット58で停止した。
図7〜8で描写されるように、第2のゴルフボール54は、第2のライスポット56(第1のライスポット16とほぼ同じ場所に位置する)から目標スポット150まで、目標軌道140を通っていない。第2のゴルフボール54は、代わりに、第2の軌道60を通り、第2の停止スポット58に到達した。
【0025】
図8は、第2のライスポット56から第2の停止スポット58までの飛翔中の第2のゴルフボール54を描写する。第2のゴルフボール54は、第2のスピン軸62の周りのバックスピンを有し、バックスピンは、第2のゴルフボール52によって第2のゴルフボール54に伝えられた。第1のスピン軸22と同様に、第2のスピン軸62は水平ではないが、むしろ、水平軸に対して第2のサイドスピン角度63にある。第1のサイドスピン角度23のように、第2のサイドスピン角度63はゼロではない。しかし、第2のサイドスピン角度63は、ゼロでない第1のサイドスピン角度23とは反対方向の水平軸に対してゼロではない。
【0026】
第2のサイドスピン角度63がゼロであり、風がなかったなら、ゴルフスイングはプルであった可能性がある(第1のゴルファー10のように、第2のゴルファー50は右利きでゴルフをしているため。第2のゴルファー50が左利きでゴルフをしていたなら、ゴルフスイングはプッシュであった可能性がある)。しかし、第2のサイドスピン角度63はゼロでない負の値であるため(すなわち、やや左側に傾いている)、ゴルフスイングはドローである可能性がある(または、第1のゴルファー10が左利きでゴルフをしていたなら、フェイド)。第2のサイドスピン角度63が十分に大きければ、ゴルフスイングはフックであった可能性がある(または、左利きのスイングからの場合、スライス)。それに従って、ゼロでない正のサイドスピン角度は、飛翔中のゴルフボールの軌道を変更して、ゴルフボールを右側に湾曲させることができる一方で、ゼロでない負のサイドスピン角度は、飛翔中のゴルフボールの軌道を変更して、ゴルフボールを左側に湾曲させることができる。
【0027】
図7に描写されるように、第2の軌道60は、第2のライスポット56から目標スポット150まで、直線ではない。代わりに、第2の軌道60は、第2のゴルフボール54が目標スポット150に向けて飛球するにつれて湾曲しており、より具体的には、第2の軌道60は、右側に湾曲している。しかし、第2のゴルフクラブ62で打つ際に第2のゴルフボール64に伝えられたゼロでない負の第2のサイドスピン角度63は、第2のゴルフボール64の軌道を変更して左側に湾曲するように動作しているが、左から右へ吹く風が第2の軌道60の変更においてより主要なファクトリーであることが判明している。その結果、第2の軌道60は、第1の軌道20でしたように右側に湾曲している。
【0028】
それに従って、目標軌道140に対して、第2の軌道60は、第2のオフライン角度61を有し、第2のオフライン角度61の大きさは、第2のゴルフボール54の飛球の間に変化する。第2の軌道60の初期部分に向けて、第2のオフライン角度61は、何らかのゼロでない値を有する。第2の軌道60の初期部分と第2の軌道60の最終部分との間では、吹いている風がゼロでない第2のサイドスピン角度63での第2のスピン軸62の周りの第2のゴルフボール54のスピンを圧倒するため、第2のオフライン角度61は減少する。最終的に、第2のオフライン角度61は、第2の実際の距離64と関連する第2の実際の角度65と等しくなる。
【0029】
図9は、第2の軌道60と重ね合わせた第1の軌道20を描写し、
図10は、
図9で描写される軌道20および60の早期部分を描写する。第1のサイドスピン角度23は正であり、第2のサイドスピン角度63は負であるが、吹いている風が、第1の軌道20と第2の軌道60の両方を右側に湾曲させた。具体的には、
図10で描写されるように、第1の軌道20の早期部分は、目標軌道140に対して第1のオフライン角度21であるが、第1の実際の距離24は、軌道140に対して第1の実際の角度25であり、第1のオフライン角度21は、第1の実際の角度25より小さい。対照的に、第2の軌道60の早期部分は、目標軌道140に対して第2のオフライン角度61であるが、第2の実際の距離64は、軌道140に対して第2の実際の角度65であり、第2のオフライン角度61は、第2の実際の角度65より大きい。
【0030】
図1〜10は、ゴルフコース100上で行われたゴルフスイングについて描写しているが、ゴルフスイングは、他の場所で、他の条件下で行うことができる。例えば、
図11は、
図1〜10と実質的に同じゴルフスイングについて描写しているが、屋外のドライバーショット距離200上で行われている。屋外であるため、ドライバーショット距離200は、吹いている可能性のある風の影響を受ける。
図11で描写されるように、風は、
図1〜10で吹いている風と同様に吹いており、その結果、第1の停止スポット18および第2の停止スポット58は、第1のライスポット16、第2のライスポット56および目標スポット150に対して、
図1〜10で描写されるものと同様の様式で位置する。
【0031】
対照的に、ゴルフスイングは、制御された環境においてなど、実質的に風が吹いていない条件下で行うことができる。例えば、
図12で描写されるように、
図1〜10で描写されるものと実質的に同じゴルフスイングが第1の閉鎖構造300において行われ、第1の閉鎖構造300は、少なくともドライバーショット距離200または
図1〜10で描写されるフェアウェイ110の一部分の範囲まで広がっている。第1の閉鎖構造300は、屋内のドライバーショット距離でも、倉庫または格納庫などの大きな建物であっても、任意の実質的な閉鎖された屋内の領域またはそうでなければ風雨を避けることができる領域でもよい。
図12で描写されるように、第1の軌道20および第2の軌道60は、風による影響を受けない。
【0032】
しかし、
図1〜11の描写とは対照的に、
図12で描写される第1の軌道20および第2の軌道60の第1のサイドスピン角度23および第2のサイドスピン角度は、実質的にゼロである。その結果、風やゼロでないサイドスピン角度がない場合、第1の軌道20は、目標軌道140の右側にあり、第1の軌道20の第1のオフライン角度21と第1の実際の距離24の第1の実際の角度25は、実質的に同じである。同様に、第2の軌道60は、目標軌道140の左側にあり、第2の軌道60の第2のオフライン角度61と第2の実際の距離64の第2の実際の角度65は実質的に同じである。
【0033】
従って、ゴルフボール打撃能力を特性評価するために使用することができるゴルフスイングは、打ったゴルフボールの全軌道を包含できるほど物理的に十分長距離にある場所で行うことができ、それらの場所は、ゴルフコース100およびドライバーショット距離200などの屋外場所、ならびに、第1の閉鎖構造300などの屋内場所を含む。あるいは、ゴルフボール打撃能力を特性評価するために使用することができるゴルフスイングは、打ったゴルフボールの全軌道を包含できるほど物理的に十分長距離にない場所で行うことができる。
【0034】
例えば、
図13で描写されるように、そのようなゴルフスイングは、打ったゴルフボールの軌道の初期部分を包含するような寸法の第2の閉鎖構造400において行うことができる。より厳重に制御されたデータ収集条件が可能になり、より迅速なデータ生成(したがって、収集)を容易にするため、ゴルフボール打撃能力の特性評価において使用するには、より小さな閉鎖場所の方が有利であり得る。描写されるように、第1の軌道20は、マット405上に始まり、バリア420まで達し、バリア420は、ネット、スクリーンまたはその両方として機能する材料であり得る。同様に、第2の軌道60も、マット405上に始まり、バリア420まで達する。打ち上げモニタを含み得る測定デバイス460は、様々なゴルフスイングパラメータと関連付けられたデータを取得する。次いで、ゴルフスイングパラメータ測定値を処理システム470に入力して、ゴルフボール打撃能力評価を決定するか、またはそうでなければ、ゴルフボール打撃能力を特性評価することができる。
【0035】
図12で描写される軌道20および60のように、
図13の第1の軌道20は、目標軌道140の右側にあり、第2の軌道60は、目標軌道140の左側にある。しかし、軌道20および60の初期式部分は、
図12の軌道20および60の初期式部分実質的に同様であるが、
図1〜10で描写されるようなゼロでないサイドスピン角度23および63など、第1のゴルフボール14はゼロでない第1のサイドスピン角度23を有し得、第2のゴルフボール54も同様にゼロでない第2のサイドスピン角度63を有し得る。サイドスピン角度23および63はゼロではなく、軌道20および60は、ゼロでないサイドスピン角度のいずれかが軌道20および60に実質的に影響を及ぼし得る前に、バリア420で遮断され得る。すなわち、第2の閉鎖場所400などの比較的小さな閉鎖場所では、バリア420が軌道20および60を切断して短縮する前に、ゼロでないサイドスピン角度23および63が軌道20および60に影響を及ぼすほどの広さがが十分にない可能性がある。
【0036】
それに従って、ゴルフボール打撃能力は、1つまたは複数のゴルフボールを打って、1つまたは複数のゴルフボールに軌道を伝え、それらの打撃と関連付けられた様々なゴルフスイングパラメータを測定することによって特性評価することができる。いくつかのゴルフスイングパラメータは、ゴルフクラブヘッドまたはゴルフボールと関連する距離、速度、運動量または運動エネルギーなどの軌道規模と関連付けることができる。他のゴルフスイングパラメータは、距離と関連する角度、目標軌道に対するオフライン角度またはサイドスピン角度など、軌道の方向または所望のもしくは目標軌道に対する軌道のオフライン(すなわち、誤差)部分と関連付けることができる。これらの測定値に基づいて、軌道規模比率および軌道オフライン比率を確立しまたは計算することができる。次いで、軌道規模比率から軌道オフライン比率を差し引くことによって、または、軌道規模比率に軌道オフライン比率を乗ずることによって(0〜1の範囲で構成される軌道オフライン比率の場合)など、軌道オフライン比率に基づいて軌道規模比率を低減することによって、ゴルフボール打撃能力特性評価を得ることができる。
【0037】
例えば、ゴルフコース100、ドライバーショット距離200および第1の閉鎖構造300など、打ったゴルフボールの全軌道を包含できるほど物理的に十分長距離にある場所では、1つまたは複数のゴルフボールを打って、
図1〜10で描写されるような第1の実際の距離24および第2の実際の距離64と同様に、各打撃から結果として得られる実際の距離を測定することができる。また、
図1〜10で描写されるような第1の実際の角度25および第2の実際の角度65と同様に、実際の距離の各々と関連付けられた実際の角度も測定することができる。次いで、測定されたオフライン比率によって低減する際、軌道規模比率を測定された実際の距離と関連付けることができる。
【0038】
第2の閉鎖構造400など、打ったゴルフボールの全軌道を包含できるほど物理的に十分長距離にない場所では、ゴルフボール打撃によって達成される実際の距離および実際の角度は、測定することはできない。しかし、場所が打ったゴルフボールの全軌道を包含できるほど物理的に十分長距離にあるかどうかに関わらず、他のパラメータは利用可能であり得る。例えば、第2の閉鎖構造400においては、測定デバイス460は、ゴルフクラブヘッド速度やゴルフボール速度を測定することができ、オフライン角度やサイドスピン角度を測定することもできる。次いで、これらの測定値を使用して、軌道規模比率および軌道オフライン比率を確立または計算することができる。
【0039】
軌道規模比率は、ゴルフボール速度に対するゴルフクラブヘッド速度の比率を含み得、ゴルフスイングの「強打比率(smash factor)」と呼ばれる場合がある。比率を既知のまたは基準軌道規模で除することによってなど、この比率は既知のまたは基準軌道規模に対して正規化することができる(すなわち、基準「強打比率」)。また、比率に軌道規模倍率を乗ずることによってなど、比率は、軌道規模倍率によって修正することもできる。いくつかの実施形態では、比率は、基準軌道規模に対して正規化することも、軌道規模倍率によって修正することも両方行うことができる。例えば、基準軌道規模は、PGAツアーゴルファーの平均「強打比率」などのPGAツアーゴルファー特有の「強打比率」など、あるレベルの打撃能力と関連付けられた軌道規模であり得る。それに加えて、軌道規模倍率は、個別の整数をもたらすことができるほど十分高い数値であると同時に、管理できるほど十分小さい整数をもたらすことができるほど十分低い数値であり得、10〜1000の数値がその例であり、100が特に適切な数値である。
【0040】
軌道オフライン比率は、サイドスピン角度とオフライン角度との和を含み得る。この和においては、サイドスピン角度またはオフライン角度は、倍率によって修正することができ、サイドスピン角度またはオフライン角度は、三角関数によって修正することができる。いくつかの実施形態では、サイドスピン角度にサイドスピン倍率を乗ずることができ、オフライン角度は、三角関数によって修正することができる。例えば、サイドスピン倍率は、0.001〜0.01の数値であり得、0.007が特に適切な数値である。それに加えて、オフライン角度は、オフライン角度の正弦値となるように、正弦三角関数によって修正することができる。
【0041】
その後、軌道オフライン比率は、軌道オフライン倍率によって修正することができ、軌道オフライン倍率は、10〜1000の数値であり得、100が特に適切な数値である。その上、軌道規模比率から軌道オフライン比率を差し引くことによって、軌道オフライン比率に基づいて軌道規模比率を低減する代わりに、軌道規模比率から軌道オフライン比率の絶対値を差し引くことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、軌道規模比率および軌道オフライン比率は、ゴルフクラブヘッド速度、ゴルフボール速度、サイドスピン角度およびオフライン角度の複合値に基づいて、確立または計算することができる。例えば、
図14で描写されるように、複数のゴルフボール打撃は、複数の軌道20a、20b、20cおよび20dを生み出すことができる。軌道20a〜20dの各々は、ゴルフクラブヘッド速度、ゴルフボール速度、サイドスピン角度、および、目標軌道140に対するオフライン角度を有するものとして測定することができ、その各々は、残りの軌道20a〜20dと関連付けられた他の対応する測定値と異なり得る。複数の軌道にわたるそのような測定値に対する複合値は、算術または幾何平均、中央値、最頻値または他の統計的に導出された値であり得る。例えば、複合値は、複数の軌道に対する特定の測定値の平均値であり得る(これらの複合値を計算する際、様々な異常値は、無視することができる)。
【0043】
あるいは、軌道規模比率および軌道オフライン比率は、個々のゴルフ打撃に基づいて確立または計算することができ、その各々は、ゴルフクラブヘッド速度、ゴルフボール速度、サイドスピン角度およびオフライン角度を有するものとして測定される。次いで、ゴルフボール打撃能力は、各ゴルフ打撃と関連する軌道規模比率および軌道オフライン比率に基づいて特性評価することができる。その後、算術または幾何平均、中央値、最頻値または他の統計的に導出された値などの複合ゴルフボール打撃能力を特性評価することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、ゴルフボール打撃能力の特性評価は、ゴルフボール打撃能力評価であり得る。ゴルフボール打撃能力評価(BSTAR)は、軌道規模比率(TF
M)と軌道オフライン比率(TF
O)とを少なくとも含み得る。軌道規模比率から軌道オフライン比率の絶対値を差し引くことによって(TF
M−ABS[TF
O])など、軌道規模比率は、軌道オフライン比率によって低減することができる。軌道規模比率は、ゴルフボール速度に対するゴルフクラブヘッド速度の比率を含み得、それは、上記で説明されるような「強打比率」(SFまたはv
club−head/v
golf−ball)であり得、両方とも、基準軌道規模に対して正規化することができ、それは、上記で説明されるような基準「強打比率」(SF
refまたはv
club−head−ref/v
golf−ball−ref)であり得、軌道規模倍率(C
M)によって修正することができる。軌道オフライン比率は、サイドスピン倍率(C
side−spin)によって修正されたサイドスピン角度(A
side−spin)と、ゴルフボールの軌道のオフライン角度の三角関数(f
trig[A
offline])との和を含み得、その和は、軌道オフライン倍率(C
O)によって修正することができる。ゴルフボール打撃能力評価を決定する際、ゴルフクラブヘッド速度、ゴルフボール速度、サイドスピン角度またはオフライン角度のいずれも、単一の測定値、または、複数の測定値に基づく複合値であり得る。
【0045】
すなわち、ゴルフボール打撃能力評価は、以下のように表すことができる。
BSTAR=TF
M−ABS(TF
O)
式中、軌道規模比率および軌道オフライン比率は、以下のように表すことができる。
TF
M=(C
M)
×(SF/SF
ref)
TF
O=(C
O)
×([C
side−spin×A
side−spin]+[f
trig(A
offline)])
【0046】
いくつかの例示的な実施形態では、上記の値は、数値の例示的な範囲内に含めることができ、特に適切な数値であり得る。軌道規模倍率(C
M)は、10〜1000の数値であり得、100が特に適切な数値である。軌道オフライン倍率(C
O)は、10〜1000の数値であり得、100が特に適切な数値である。サイドスピン倍率(C
side−spin)は、0.001〜0.01の数値であり得、0.007が特に適切な数値である。それに加えて、オフライン角度の三角関数(f
trig)は、正弦三角関数であり得る。
【0047】
従って、例示的なゴルフボール打撃能力評価は、以下のように表すことができる。
BSTAR=TF
M−ABS(TF
O)
式中、例示的な軌道規模比率および例示的な軌道オフライン比率は、以下のように表すことができる。
TF
M=(100)
×(SF/SF
ref)
TF
O=(100)
×([0.007
×A
side−spin]+[sin(A
offline)])
【0048】
ゴルフボール打撃能力を特性評価する関連方法は、(a)1つまたは複数のゴルフ打撃を実行する工程と、(b)ゴルフクラブヘッド速度、ゴルフボール速度、サイドスピン角度およびオフライン角度を決定するため、1つまたは複数のゴルフ打撃の各々を測定する工程と、(c)ゴルフクラブヘッド速度、ゴルフボール速度、サイドスピン角度またはオフライン角度の各々に対する単一の値または複合値を使用して、軌道規模比率および軌道オフライン比率を計算する工程とを含み得る。次いで、ゴルフボール打撃能力の特性評価は、軌道オフライン比率によって低減させた軌道規模比率であり得る。
【0049】
ゴルフボール打撃能力を特性評価するためのシステムは、多くのコンポーネントを含み得る。そのようなシステムは、打ち上げモニタ、打ち上げモニタを含むデバイスまたはカメラなどの打ち上げモニタとして効果的に機能するデバイスなど、ゴルフクラブヘッド速度、ゴルフボール速度、サイドスピン角度およびオフライン角度に関連する測定値を得るための少なくとも1つの自動測定デバイスを含み得る。また、複数のゴルフ打撃パラメータ値を格納するためのデータベースも含めることができる。また、そのようなシステムは、自動測定デバイスによって取られた測定値に基づいて、ゴルフクラブヘッド速度、ゴルフボール速度、サイドスピン角度およびオフライン角度に対する値を決定するための決定デバイスも含み得る。また、決定された値に基づいて、軌道規模比率および軌道オフライン比率を計算するための計算デバイス、ならびに、軌道オフライン比率に基づいて、軌道規模比率を低減するための低減デバイスも含めることができる。また、そのようなシステムは、低減させた軌道規模比率を出力するための出力デバイスも含み得る。
【0050】
それに加えて、これらのデバイスのうちの2つ以上は、物理的リソースを互いに共有することができる。例えば、いくつかの実施形態では、測定値に基づいて値を決定するためのデバイスは、測定値を得るための測定デバイスとともに物理的に実装し、同測定デバイスとリソースを共有することができる。あるいは、値を決定するためのデバイスは、測定デバイスから物理的に切り離して、同測定デバイスから入力を受信することができる。さらなる例として、いくつかの実施形態では、値を決定するためのデバイスは、例えば、計算デバイス、低減デバイスまたはその両方とともに物理的に実装し、同デバイスとリソースを共有することができる。
【0051】
ゴルフ技能の測定値として、上記で説明されるものなどのゴルフボール打撃能力評価は、ハンディキャップ数など、ゴルフ技能の他の測定値より多くの利点を有し得る。ハンディキャップ数を用いると、例えば、様々なホールの個々の基準打数値に対するゴルファーの実績は、ゴルファーの試合に影響を及ぼし得るすべての変数に必ず関連し、これらの変数は、技能に関連する変数を含むが、基準打数に対するゴルファーの実績が測定される、一時的な環境変数(天気など)および特定の物理的環境に関連する変数(すなわち、ゴルフコースまたはゴルフコースのホール)も含む。それに従って、2つのハンディキャップ値は2セットの異なる条件下で取られたデータを反映し得るため、2つの値の比較は、荒いものであるか、またはそうでなければ、不正確なものであり得る。対照的に、ゴルフボール打撃能力評価を決定する過程において収集されたデータは、非常に細かいレベルで有利には制御することができ、使用されたゴルフボールおよびゴルフクラブなどの変数に始まり、データの収集に使用された空間の温度および湿度に至るまで続く。
【0052】
それに加えて、基準打数は、比較的荒削りな値、すなわち、比較的低い数値である。それに従って、基準打数に対する実績も、比較的荒削りなものである。他方では、ゴルフボール打撃能力評価は、様々な倍率を調整することによって、ならびに、実質的に同様の制御された条件下でゴルフスイングおよびゴルフボール打撃の統計的に重要なセットにわたってデータを収集することによって、有利には非常に正確に決定することができる。
【0053】
その上、基準打数に対する実績は、自己決定し、自己報告できるため、ハンディキャップは、実績データを収集して集計する者の技能や精励次第で、不完全または不正確になりやすい場合がある。対照的に、ゴルフボール打撃能力評価は、有利には十分制御することができ、客観的に収集されて処理されたデータに依存して得ることができる。
【0054】
その上、比率を既知のまたは基準軌道規模で除することによって(すなわち、PGAツアーゴルファー特有の「強打比率」など、上記で説明されるような基準「強打比率」)など、ゴルフボール速度に対するゴルフクラブヘッド速度の比率(すなわち、上記で説明されるような「強打比率」)を正規化すると、ゴルフクラブヘッド速度は、ゴルフボール打撃能力評価への寄与因子として損なわれ得る。その結果、ゴルファーのゴルフボール打撃能力評価は、有利には、ゴルファーが潜在的打撃能力を最大化する範囲または程度の向上された評価基準となり得る。すなわち、ゴルフボール打撃能力評価は、ゴルファーがヒットしているかどうかや、ヒットできるかどうかを評価する際、または、ヘッド速度とは無関係に、ゴルファーがどれほどうまくボールを打つかを評価する際に役立ち得る。
【0055】
決定された時点で、ゴルフボール打撃能力評価は、様々な場面で使用することができる。ゴルフボール打撃能力評価は、2人のゴルファーの実績を直接比較するために使用することができる。例えば、プレーヤー能力評価は、ゴルフクラブヘッド速度で除したドライバー距離(実際の距離など)を含み得、それにゴルフボール打撃能力評価を乗ずることができる。
【0056】
また、ゴルフボール打撃能力の特性評価およびゴルフボール打撃能力を特性評価する方法は、特定のゴルファーに適切であり得る様々なゴルフ用品を選択する方法においても役立ち得る。例えば、特定のゴルファーに対するゴルフボール打撃能力評価は、第1のゴルフクラブによって第1のゴルフボールに伝えられた第1の軌道に対して、および、第2のゴルフクラブによって第2のゴルフボールに伝えられた第2の軌道に対して、別々に決定することができる。その後、第2の軌道に対して決定された打撃能力評価が第1の軌道に対して決定された打撃能力評価より低い場合、ゴルファーのために、第1のゴルフボールまたは第1のゴルフクラブのいずれか一つを選択することができる。あるいは、第2の軌道に対して決定された打撃能力評価が第1の軌道に対して決定された打撃能力評価以上である(すなわち、それより高いかまたはそれに等しい)場合、ゴルファーのために、第2のゴルフボールまたは第2のゴルフクラブのいずれか一つを選択することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の軌道および第2の軌道と関連付けられたゴルフ用品のうちの1つは、同じであり得る。例えば、第1のゴルフクラブと第2のゴルフクラブは同じであり得る(それらはあらゆる点で同じ用品であるか、または、同じもしくは実質的に同じ製造元およびモデルの用品の異なるコピーであり得ることを意味する)。そのような実施形態では、第1の軌道に対する打撃能力評価と第2の軌道に対する打撃能力評価との比較は、第1のゴルフボールまたは第2のゴルフボールの選択を決定することができる。あるいは、第1のゴルフボールと第2のゴルフボールが同じ場合、第1の軌道に対する打撃能力評価と第2の軌道に対する打撃能力評価との比較は、第1のゴルフクラブまたは第2のゴルフクラブの選択を決定することができる。
【0058】
また、ゴルフボール打撃能力評価は、シミュレートされたゴルフ試合における入力として使用することもできる。
図15は、第2の閉鎖構造400における第1のゴルファー10を描写する。第1のゴルファー10は、ゴルフボール目掛けてゴルフクラブをスイングしようとしている。ここで、第1のゴルファー10は、バリア420上に映し出されたイメージ430に狙いを定めており、バリア420は、ネットとスクリーンの両方として使用されている。イメージ430は、ゴルフコース100のフェアウェイ110上の目標スポット150をシミュレートした描写である。測定デバイス460は、第1のゴルファー10によって行われたスイングを測定し、処理システム470に測定情報を送信するように配置され、処理システム470は、スイングについての情報と第1のゴルファー10に対するゴルフボール打撃能力評価についての情報の両方を使用して、結果をシミュレートする。
【0059】
例えば、第1のゴルファー10は、スイングしてゴルフボールを打ち、バリア420に向けてゴルフボールをヒットし、ゴルフボールに軌道を伝えることができる。測定デバイス460は、軌道の角度などの軌道と関連付けられたパラメータを測定することができ、それらのパラメータ測定値と組み合わせて、第1のゴルファー10に対するゴルフボール打撃能力評価に基づいて、シミュレートされた停止スポットを決定することができる。次いで、イメージ430を修正して、決定されたシミュレート済みの停止スポットを反映することができ、第1のゴルファー10は、さらなるスイングを続けることができる。このように、1人または複数人のゴルファーによって、ゴルフコース100または他の任意のゴルフコース上で、シミュレートされたゴルフ試合を行うことができる。
【0060】
その上、その代替として、イメージ430は、ゴルフコース以外の場所で目標スポットをシミュレートした様々な描写のいずれかであり得る。例えば、
図16で描写されるように、第1のゴルファー10は、ゴルフボール目掛けてゴルフクラブをスイングしようとしているが、イメージ430は、非ゴルフコース環境を描写している。
【0061】
また、ゴルフボール打撃能力評価は、1つのゴルフバッグ中で利用可能な広範囲のゴルフクラブにおける各クラブなど、広範囲のクラブのうちの各クラブに対応して、ゴルファーに対して決定することもできる。すなわち、複数のゴルフクラブのうちの各々がゴルフボールに当たりボールに軌道を伝える、1つまたは複数のゴルフ打撃を実行することができる。その後、複数のゴルフクラブのうちの各々について、ゴルフボール打撃能力評価を決定することができ、ゴルフボール打撃能力評価は、単一のゴルフ打撃に基づくか、または、複数のゴルフ打撃に基づく複合であり得る。
【0062】
あるいは、広範囲のゴルフクラブは、部分範囲に分類することができ、ゴルフボール打撃能力評価は、広範囲のゴルフクラブのうちの各々の部分範囲に対応して、ゴルファーに対して決定することができる。例えば、1つのゴルフクラブバッグ中の広範囲のゴルフクラブは、ウッド、ロングアイアンおよびショートアイアンなどの部分範囲に分類することができ、広範囲のクラブのうちの各々のクラブがゴルフボールに当たりボールに軌道を伝える、1つまたは複数のゴルフ打撃を実行することができる。その後、広範囲のゴルフクラブのうちの各々の部分範囲に対して、ゴルフボール打撃能力評価を決定することができ、ゴルフボール打撃能力評価は、特定の部分範囲内のゴルフクラブの複数のゴルフ打撃に基づく複合であり得る。
【0063】
ゴルフボール打撃能力評価が決定された時点で、ゴルフボール打撃能力評価をカテゴリまたはグレードのスケールと比較し、評価をカテゴリまたはグレードと関連付けることができる。次いで、ゴルファーは、関連付けられたカテゴリまたはグレードを使用して、ゴルファーの実績の向上に適切な用品を選択することができる。カテゴリまたはグレードは、ほんの2種または3種であることも、5種または10種にまで及ぶこともあり得る。カテゴリまたはグレードは、例えば、50〜125のゴルフボール打撃能力の全範囲内に収めることができ、カテゴリまたは範囲間の境界は、全範囲を通じて均等に分配することができる。5種のカテゴリまたはグレードを含む例示的な実施形態では、第1の境界は、80〜100の数値であり得、第2の境界は、70〜90の数値であり得、第3の境界は、60〜80の数値であり得、第4の境界は、50〜70の数値であり得る。
【0064】
例えば、第1の境界は90であり得、第2の境界は80であり得、第3の境界は70であり得、第4の境界は60であり得る。カテゴリまたはグレードのスケールは、順に、90を上回るゴルフボール打撃能力評価の第1の範囲、90〜80の第2の範囲、80〜70の第3の範囲、70〜60の第4の範囲および60を下回る第5の範囲を含み得る。次いで、広範囲のクラブ内の1つのクラブまたは広範囲のクラブ内の部分範囲のクラブに対して少なくとも1つのゴルフボール打撃能力評価が決定されたゴルファーは、そのクラブまたは部分範囲のクラブを用いたゴルファーの実績の向上に適切なものとしてカテゴリまたはグレード別に指定された用品のうちの一品(クラブまたはボールなど)を選択することができる。
【0065】
より具体的には、ゴルファーは、ゴルファーの試合の改善に適しそうな、寛容特性など、ある特性を有する用品のうちの一品を選択することができる。高いゴルフボール打撃能力評価を有するゴルファーは、高度のスイング制御を有するゴルファーの利益のために設計されたゴルフクラブまたはゴルフボールなど、寛容性の低い用品の使用を通じて、実績を向上することができる。しかし、そのような用品は、すべてのゴルファーの実績を向上させるわけではない。寛容性の低い用品をそれに従って利用できない低度のスイング制御を有するゴルファーに対しては、その実績は低下する可能性さえある。1つまたは複数のゴルフボール打撃能力評価のカテゴリまたはグレードを考慮すると、ゴルフボール打撃能力評価は、ゴルファーが最も利益が得られそうなそれらのゴルフクラブおよびそれらのゴルフボールを選択することを支援するために有利には使用することができる。
【0066】
本発明の様々な実施形態について説明してきたが、説明は、限定よりむしろ例示を意図するものであり、当業者であれば、本発明の範囲内にあるさらに多くの実施形態や実装形態が可能であることが明らかであろう。それに従って、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物を踏まえること以外、本発明は制限されるものではない。また、添付の特許請求の範囲内で、様々な修正や変更を行うことができる。