特許第6239537号(P6239537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239537
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】商品管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A47G 23/08 20060101AFI20171120BHJP
   G06Q 50/12 20120101ALI20171120BHJP
【FI】
   A47G23/08 Z
   G06Q50/12
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-1785(P2015-1785)
(22)【出願日】2015年1月7日
(65)【公開番号】特開2016-123788(P2016-123788A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2016年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 徹
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−17902(JP,A)
【文献】 特開2011−76346(JP,A)
【文献】 特開平11−123136(JP,A)
【文献】 特開平8−185440(JP,A)
【文献】 特開2003−271713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 23/08
G06Q 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送体に載置された状態で搬送される商品の管理を行う商品管理装置であって、
前記搬送体の搬送路上を撮像する撮像装置から撮像画像を取り込む取込手段と、
前記取込手段が取り込んだ撮像画像から前記搬送体を表す第1領域を検出する第1検出手段と、
前記第1領域から前記商品を表す第2領域を検出する第2検出手段と、
前記搬送路の搬送方向とは異なる他の方向に移動した前記第1領域を検出する第3検出手段と、
前記第1検出手段が検出した前記第1領域に対する、前記第2検出手段及び前記第3検出手段の検出結果に基づいて、不正行為を検出する第4検出手段と、
を備え
前記第4検出手段は、前記第3検出手段が搬送路外から搬送路内へ移動した前記第1領域を検出し、前記第2検出手段が当該第1領域から前記第2領域を検出できない場合に、不正行為を検出したと判定する商品管理装置。
【請求項2】
前記第2領域に表された商品を特定する特定手段を更に備え、
前記第4検出手段は、前記第3検出手段が搬送路外から搬送路内へ移動した前記第1領域を検出し、前記第2検出手段が当該第1領域から前記第2領域を検出し、前記特定手段が当該第2領域に表された商品を特定できない場合に、不正行為を検出したと判定する請求項に記載の商品管理装置。
【請求項3】
前記第2領域に表された商品の外形が所定の適正外形に合致するかを判定する判定手段を更に備え、
前記第4検出手段は、前記第3検出手段が搬送路外から搬送路内へ移動した前記第1領域を検出し、前記第2検出手段が当該第1領域から前記第2領域を検出し、前記判定手段が当該第2領域について相違すると判定した場合に、不正行為を検出したと判定する請求項に記載の商品管理装置。
【請求項4】
前記第3検出手段は、前記他の方向に移動した前記第2領域を前記撮像画像から検出し、
前記第4検出手段は、前記第3検出手段が搬送路内から搬送路外へ移動した前記第2領域を検出し、且つ当該第2領域の検出元となる前記第1領域の移動を検出しない場合に、不正行為を検出したと判定する請求項1〜3の何れか一項に記載の商品管理装置。
【請求項5】
搬送体に載置された状態で搬送される商品の管理を行うコンピュータを、
前記搬送体の搬送路上を撮像する撮像装置から撮像画像を取り込む取込手段と、
前記取込手段が取り込んだ撮像画像から前記搬送体を表す第1領域を検出する第1検出手段と、
前記第1領域から前記商品を表す第2領域を検出する第2検出手段と、
前記搬送路の搬送方向とは異なる他の方向に移動した前記第1領域を検出する第3検出手段と、
前記第1検出手段が検出した前記第1領域に対する、前記第2検出手段及び前記第3検出手段の検出結果に基づいて、不正行為を検出する第4検出手段と、
して機能させ
前記第4検出手段は、前記第3検出手段が搬送路外から搬送路内へ移動した前記第1領域を検出し、前記第2検出手段が当該第1領域から前記第2領域を検出できない場合に、不正行為を検出したと判定するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転寿司と呼ばれる寿司店が存在している。係る店舗では、商品である寿司を皿に載せ、厨房や客席に接するように設けられた回転レーン上に載置することで、客席に寿司を循環搬送している。また、従来、各皿に当該皿に載置される商品の種別等を記録したRFIDタグを取り付け、搬送路に設置した読取装置で読み取ることで、搬送路上の商品を管理する技術が提案されている。
【0003】
ところで、上記の店舗では、回転レーン上の商品に対して不正行為が行われる場合がある。係る不正行為としては、例えば、空の皿を回転レーン上に戻す行為や、回転レーン上の皿から商品(寿司)のみを取り上げる行為等が挙げられる。このような不正行為を検出するには、店員が各客の動作を監視することになるが、労力が大きく見落としが発生する可能性もある。なお、上記した商品管理に係る従来技術では、客の不正行為を検出することはできないため、上記の問題を解決することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、回転寿司等の店舗において客の不正行為を検出することが可能な商品管理装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の商品管理装置は、搬送体に載置された状態で搬送される商品の管理を行う商品管理装置であって、前記搬送体の搬送路上を撮像する撮像装置から撮像画像を取り込む取込手段と、前記取込手段が取り込んだ撮像画像から前記搬送体を表す第1領域を検出する第1検出手段と、前記第1領域から前記商品を表す第2領域を検出する第2検出手段と、前記搬送路の搬送方向とは異なる他の方向に移動した前記第1領域を検出する第3検出手段と、前記第1検出手段が検出した前記第1領域に対する、前記第2検出手段及び前記第3検出手段の検出結果に基づいて、不正行為を検出する第4検出手段と、を備え、前記第4検出手段は、前記第3検出手段が搬送路外から搬送路内へ移動した前記第1領域を検出し、前記第2検出手段が当該第1領域から前記第2領域を検出できない場合に、不正行為を検出したと判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る店舗システムを模式的に示す図である。
図2図2は、商品管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1辞書ファイルのデータ構成の一例を模式的に示す図である。
図4図4は、第2辞書ファイルのデータ構成の一例を模式的に示す図である。
図5図5は、商品管理ファイルのデータ構成の一例を模式的に示す図である。
図6図6は、商品管理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、商品管理装置が行う商品管理処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下では、回転寿司と呼ばれる寿司店(店舗)で用いられる商品管理装置及びプログラムについて、図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、本実施形態に係る店舗システム1を模式的に示した図である。図1に示すように、店舗システム1は、搬送装置10と、カメラ20と、報知装置30と、商品管理装置40とを有する。ここで、カメラ20、報知装置30及び商品管理装置40は、図示しない通信回線を介して通信可能に接続される。
【0009】
搬送装置10は、本店舗での商品となる寿司を搬送するための搬送装置である。搬送装置10は、略U字状に形成された循環型の搬送路(回転レーン)10aを有する。この回転レーン10aのうち、一部がバックヤードR1に配設され、他の部分が客室R2に配設される。
【0010】
バックヤードR1では、主に商品となる寿司等の製造が行われる。このバックヤードR1において、店員は、製造した寿司を搬送体となる皿Dに載せ、この皿Dを回転レーン10a上に載置する。また、客室R2には、回転レーン10aに沿ってカウンターテーブル等の客席SEが設けられる。搬送装置10は、回転レーン10a上に載置された皿を図中矢印方向に搬送することで、寿司を客席SEに循環配送する。なお、搬送装置10の搬送については、公知の技術を用いるものとする。また、回転レーン10aの形状は図1に限定されないものとする。
【0011】
カメラ20は、カラーCCD(Charge Coupled Device)やカラーCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を備えた撮像装置である。カメラ20は、客席SE毎に設けられ、当該客席SEに相対する回転レーン10a上の所定領域を上方から撮像する。カメラ20は、例えば30fps等のフレームレートで動画像を撮像し、撮像画像として商品管理装置40に送信する。なお、カメラ20の台数は特に問わないものとする。なお、カメラ20の各々が生成する撮像画像には、対応する客席SEを特定可能な席識別子が付帯されているものとする。
【0012】
報知装置30は、例えばバックヤードR1等に設けられ、店舗の店員に報知を行うための装置である。具体的に、報知装置30は、商品管理装置40の制御に従い動作することで、不適正な商品が存在することを店員に報知する。なお、報知装置30の報知方法は特に問わないものとする。例えば、報知装置30を電光掲示版や表示装置とすることで、メッセージや画像の出力により報知を行う構成としてもよい。また、報知装置30をブザーやスピーカ等の音声出力装置とすることで、音声の出力により報知を行う構成としてもよい。
【0013】
商品管理装置40は、バックヤードR1等に設けられるPC(Personal Computer)等の情報処理装置である。商品管理装置40は、カメラ20で撮像される撮像画像に基づき、各客席SEに搬送される商品(寿司等)の状態を管理する。以下、商品管理装置40について説明する。
【0014】
図2は、商品管理装置40のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。商品管理装置40は、情報処理を実行する情報処理部としてのマイクロコンピュータ41を備える。マイクロコンピュータ41は、主にCPU(Central Processing Unit)42と、ROM(Read Only Memory)43と、RAM(Random Access Memory)44とにより構成される。ROM43は、CPU42が実行可能な各種プログラムを記憶する。RAM44は、商品管理装置40の主記憶装置である。
【0015】
また、商品管理装置40のCPU42には、通信部45が接続される。通信部45は、CPU42の制御の下、カメラ20や報知装置30との間でデータ通信を行う。
【0016】
また、商品管理装置40のCPU42には、HDDやSSD等の記憶部46が接続される。記憶部46は、CPU42が実行可能な各種プログラムや各種ファイルを記憶する。また、記憶部46は、第1辞書ファイルF1と、第2辞書ファイルF2と、商品管理ファイルF3とを記憶する。
【0017】
図3は、第1辞書ファイルF1のデータ構成の一例を模式的に示す図である。図3に示すように、第1辞書ファイルF1は、皿識別子に関連付けて、価格や皿特徴量を記憶する。皿識別子は、皿の種別毎に割り当てられた固有の識別子である。一般的に、回転寿司店においては、商品毎に価格がランク分けされており、当該価格毎に異なる模様の皿を用いて商品を搬送している。そこで、第1辞書ファイルF1の皿識別子には、商品の搬送に用いる皿の種別毎に、当該種別を識別可能な識別子が格納される。また、第1辞書ファイルF1の価格には、皿の種別(皿識別子)に対応する価格が格納される。また、第1辞書ファイルF1の皿特徴量は、皿の形状や皿の模様等、各皿が有する外観上の特徴をパラメータ化したデータである。
【0018】
図4は、第2辞書ファイルF2のデータ構成の一例を模式的に示す図である。図4に示すように、第2辞書ファイルF2は、各商品の商品識別子に関連付けて、当該商品の商品名(品名)、皿識別子、第1商品特徴量及び第2商品特徴量等を記憶する。
【0019】
ここで、商品識別子は、商品の種別毎に割り当てられた固有の識別子である。皿識別子は、商品を載置する皿の皿識別子である。第1商品特徴量は、商品の色合い、つや、模様、凹凸状況等、商品を構成する食材の外観上(表面)の特徴をパラメータ化したデータである。この第1商品特徴量は、主に商品の種別を特定するのに用いられる。また、第2商品特徴量は、商品を皿に載置した際の、当該商品の形やレイアウト、トッピング等の外形上の特徴をパラメータ化したデータである。この第2商品特徴量は、主に商品が所定の外形(適正外形)で皿に載置されているか否かを判定するのに用いられる。なお、第1商品特徴量及び第2商品特徴量は、適正な状態の商品に基づき作成されたものであるとする。
【0020】
図5は、商品管理ファイルF3のデータ構成の一例を模式的に示す図である。商品管理ファイルF3は、席識別子に関連付けて、商品情報、不正行為フラグ、不正行為画像等を記憶する。
【0021】
席識別子は、客席SEの各々に割り当てられた固有の識別子である。商品情報は、商品識別子と日時情報とを有する。ここで、商品情報には、回転レーン10a上から取得された商品の商品識別子と、取得が行われた日時を示す日時情報とが格納される。不正行為フラグは、不正行為が行われたか否かを識別するためのフラグ情報である。また、不正行為画像には、不正行為が検出された際のカメラ20の撮像画像が格納される。
【0022】
後述する商品管理部416では、客が回転レーン10aから皿(商品)を取得する毎に、当該商品の商品識別子を含む商品情報を、その客が座る客席SEの席識別子に関連付けて登録する。また、商品管理部416では、商品に対する不正行為を検出すると、当該商品の商品情報に関連付けて、不正行為フラグを設定する。また、商品管理部416は、当該商品の商品情報に関連付けて、不正行為が検出された際の撮像画像を不正行為画像として登録する。なお、席識別子に関連付けされた商品情報、不正行為フラグ、不正行為画像は、対応する客席SEの客の会計完了に伴い、商品管理ファイルF3からクリアされるものとする。
【0023】
次に、図6を参照して、商品管理装置40の機能構成について説明する。図6は、商品管理装置40の機能構成の一例を示すブロック図である。商品管理装置40は、CPU42と、ROM43や記憶部46に記憶されたプログラムとの協働により、画像取込部411、皿検出部412、商品特定部413、外形判定部414、動作検出部415、商品管理部416及び報知処理部417を機能部として備える。
【0024】
画像取込部411は、本実施形態の取込手段に対応する機能部である。画像取込部411は、通信部45を介して、カメラ20が撮像した撮像画像の取り込みを行う。具体的に、画像取込部411は、図示しない通信回線を介して、カメラ20が撮像した撮像画像を順次取り込み、RAM44上に保存する。なお、カメラ20が撮像した撮像画像には、当該カメラ20の席識別子が付帯されているものとする。
【0025】
皿検出部412は、本実施形態の第1検出手段及び第2検出手段に対応する機能部である。皿検出部412は、パターンマッチング技術等の公知技術を用いることで、画像取込部411により取り込まれた撮像画像内から皿や商品を表す領域を検出する。ここで、皿検出部412の検出方法は特に問わないものとする。
【0026】
例えば、皿検出部412は、撮像画像から抽出した輪郭線と、第1辞書ファイルF1の皿特徴量に定義された形状とを比較する。そして、皿検出部412は、皿特徴量の形状に合致した撮像画像中の領域を、皿領域(第1領域)として検出する。また、皿検出部412は、皿領域内に表された模様と、第1辞書ファイルF1の皿特徴量に定義された模様とを比較し、合致する模様を特定する。そして、皿検出部412は、皿領域内から合致した模様部分を取り除いた残りの領域を商品領域(第2領域)として検出する。また、皿検出部412は、皿領域の模様に合致した皿特徴量の模様の皿識別子を、皿の種別として特定する。
【0027】
商品特定部413は、本実施形態の特定手段に対応する機能部である。商品特定部413は、画像取込部411により取り込まれた撮像画像から、当該撮像画像に含まれた商品を特定する。具体的に、商品特定部413は、皿検出部412で検出された商品領域から、外観上(表面)の特徴を表すデータを第1商品特徴量として抽出する。商品特定部413は、商品領域から抽出した第1商品特徴量と、第2辞書ファイルF2に登録された各登録商品の第1商品特徴量とを比較し、類似度をそれぞれ算出する。ここで、類似度は、撮像画像中の商品と、各登録商品とがどの程度類似しているかを定量的に示すものである。なお、商品特定部413は、皿検出部412で特定された皿識別子に基づき、当該皿識別子に関連付けられた各登録商品の第1商品特徴量と比較することで、類似度を算出する形態としてもよい。そして、商品特定部413は、算出した類似度のうち、所定の閾値を上回り、且つ類似度の最も高い登録商品を、商品領域に表された商品の品目として特定(認識)する。
【0028】
このように画像中に含まれる物体を認識することは一般物体認識(generic object recognition)と呼ばれる。一般物体認識については、例えば下記の文献において各種認識技術が解説されている。
柳井 啓司,“一般物体認識の現状と今後”,情報処理学会論文誌,Vol.48,No.SIG16 [平成27年1月6日検索],インターネット<URL: http://mm.cs.uec.ac.jp/IPSJ-TCVIM-Yanai.pdf >
【0029】
また、画像をオブジェクト毎に領域分割することによって一般物体認識を行う技術が、下記の文献において解説されている。
Jamie Shottonら,“Semantic Texton Forests for Image Categorization and Segmentation”,[平成27年1月6日検索],インターネット<URL: http://jamie.shotton.org/work/publications/cvpr08.pdf >
【0030】
なお、類似度の算出方法は特に問わないものとする。例えば、類似度は、絶対評価として算出してもよいし、相対評価として算出してもよい。類似度を絶対評価として算出する場合は、撮像画像中の商品の第1商品特徴量と、第2辞書ファイルF2に登録された各第1商品特徴量とを1対1で比較し、この比較の結果導出される類似度をそのまま採用すればよい。また、類似度を相対評価として算出する場合には、類似度の総和が100%となるよう算出すればよい。
【0031】
外形判定部414は、本実施形態の判定手段に対応する機能部である。外形判定部414は、パターンマッチング技術等の公知技術を用いることで、撮像画像に含まれた商品の外形が、適正か否かを判定する。具体的に、外形判定部414は、皿検出部412で検出された皿領域及び商品領域から、当該領域に存在する商品の形やレイアウト、トッピング等の外形上の特徴を第2商品特徴量として抽出する。また、外形判定部414は、商品特定部413が特定した登録商品の第2商品特徴量を第2辞書ファイルF2から読み出す。そして、外形判定部414は、皿領域から抽出した第2商品特徴量と、第2辞書ファイルF2から読み出した第2商品特徴量とを比較することで、商品の外形が合致するか否かを判定する。ここで、外形判定部414の判定結果が合致を示す場合、商品の外形が適正状態にあることを意味する。
【0032】
動作検出部415は、本実施形態の第3検出手段に対応する機能部である。動作検出部415は、フレーム間差分法などの公知技術を用いることで、画像取込部411により取り込まれた連続する複数の撮像画像から、皿や商品に対して行われた客の動作を検出する。具体的に、動作検出部415は、皿検出部412により検出された皿領域や商品領域が、回転レーン10aの搬送方向とは異なる他の方向に移動した場合に、その領域を検出する。
【0033】
例えば、動作検出部415は、第1の動作として、皿検出部412により検出された回転レーン10a上の皿領域が、回転レーン10a内から回転レーン10a外に移動したことを検出する。また、動作検出部415は、第2の動作として、皿検出部412により検出された回転レーン10a外の皿領域が、回転レーン10a外から回転レーン10a内に移動したことを検出する。ここで、第1の動作は、客が回転レーン10a上から皿を取得する動作に相当する。また、第2の動作は、客が回転レーン10a上に皿を戻す動作に相当する。
【0034】
また、動作検出部415は、第3の動作として、皿検出部412により検出された皿領域及び商品領域の組のうち、商品領域にのみ回転レーン10a内から回転レーン10a外に移動したことを検知する。この第3の動作は、客が回転レーン10a上の皿から商品のみを取得する動作(不正行為)に相当する。
【0035】
商品管理部416は、本実施形態の第4検出手段に対応する機能部である。商品管理部416は、皿検出部412〜動作検出部415の処理結果に基づき、商品管理ファイルF3への商品情報の登録や登録の取り消しを行う。
【0036】
例えば、商品管理部416は、動作検出部415が第1の動作を検出すると、動作対象の皿領域(商品領域)から商品特定部413が特定した商品識別子を用いて、商品情報の登録を行う。より詳細には、商品管理部416は、第1の動作が検出されると、検出元の皿領域(商品領域)から商品特定部413が特定した商品識別子と、現在の日時情報とを含む商品情報を生成する。そして、商品管理部416は、第1の動作が検出された撮像画像の席識別子に関連付けて、生成した商品情報を商品管理ファイルF3に登録する。
【0037】
また、商品管理部416は、動作検出部415が第2の動作を検出すると、商品特定部413や外形判定部414等の処理結果に基づき、不正行為が行われたか否かを判定する。例えば、商品管理部416は、以下に示す処理結果(第1の処理結果、第2の処理結果、第3の処理結果)の場合に、不正行為を検出したと判定する。
【0038】
第1の処理結果としては、第2の動作が検出された皿領域について、皿検出部412が商品領域を検出できない場合が挙げられる。また、第2の処理結果としては、第2の動作が検出された皿領域について、皿検出部412が商品領域を検出したにも関わらず、商品特定部413が商品を特定できない場合が挙げられる。これらの処理結果が生じる原因としては、商品の全部又は一部が取り除かれた状態の皿が回転レーン10a上に戻されたことが考えられる。そのため、商品管理部416は、第1又は第2の処理結果となった場合、不正行為を検出したと判定し、不正行為の記録を行う。
【0039】
より詳細には、商品管理部416は、第2辞書ファイルF2を参照し、第2の動作が検出された皿領域の皿識別子に対応する商品識別子を、対象識別子として特定する。また、商品管理部416は、商品管理ファイルF3を参照し、第2の動作が検出された撮像画像の席識別子に関連付けて登録された商品情報の中から、対象識別子を含むものを検索する。商品管理部416は、検索した商品情報の1つ、例えば日付情報が直近の商品情報に関連付けて、不正行為フラグを設定する。また、商品管理部416は、不正行為フラグを設定した商品情報に関連付けて、第2の動作が検出された撮像画像を不正行為画像として商品管理ファイルF3に登録する。なお、不正行為フラグが設定された商品情報については、対象識別子の検索範囲から除外するものとする。
【0040】
また、第3の処理結果としては、第2の動作が検出された皿領域について、商品特定部413が商品を特定したにも関わらず、外形判定部414の判定結果が相違を示す場合が挙げられる。この処理結果が生じる理由としては、商品の一部が取り除かれた状態の皿が回転レーン10a上に戻されたことが考えられる。そのため、商品管理部416は、第2の処理結果となった場合、不正行為を検出したと判定し、不正行為の記録を行う。
【0041】
より詳細には、商品管理部416は、商品特定部413が特定した商品の商品識別子を、対象識別子として特定する。商品管理部416は、商品管理ファイルF3を参照し、第2の動作が検出された撮像画像の席識別子に関連付けて登録された商品情報の中から、対象識別子を含むものを検索する。そして、商品管理部416は、上記と同様に、検索した商品情報の1つに、不正フラグを設定するとともに不正行為画像を登録する。
【0042】
なお、上記した第1〜第3の処理結果以外の処理結果として、第2の動作が検出された皿領域内の商品領域について、商品特定部413が商品を特定し、且つ外形判定部414が合致と判定した場合が挙げられる。この場合、商品管理部416は、回転レーン10a上から一度取られた皿が、回転レーン10a上にそのまま戻されたと判定し、登録した商品情報を取り消す処理を行う。より詳細には、商品管理部416は、検出元の撮像画像の席識別子に関連付けて登録された商品情報の中から、商品特定部413が特定した商品識別子を含むものを検索する。そして、商品管理部416は、検索した商品情報の1つ、例えば日時情報が直近の取引情報を商品管理ファイルF3から削除する。
【0043】
また、商品管理部416は、動作検出部415が撮像画像内の商品領域について第3の動作を検出した場合、不正行為を検出したと判定し、不正行為の記録を行う。より詳細には、商品特定部413は、商品特定部413が特定した商品識別子と、現在の日時情報とを含む商品情報を生成し、第3の動作が検出された撮像画像の席識別子に関連付けて商品管理ファイルF3に登録する。そして、商品管理部416は、商品管理ファイルF3に登録した商品情報に対し、不正フラグを設定するとともに不正行為画像を登録する。なお、第3の動作の場合、回転レーン10aから皿が取り上げられたわけではないため、第3の動作であることを示す情報を商品情報に付加することで、他の不正行為と識別可能な構成としてもよい。
【0044】
報知処理部417は、図示しない通信回線を介して報知装置30を制御し、報知を行う機能部である。具体的に、報知処理部417は、商品管理部416が不正行為と判定した場合、報知装置30を動作させることで、不正行為が検出された客席SE(撮像画像)の席識別子を店員に報知する。なお、報知処理部417は、商品管理部416の判定結果に応じて、報知するメッセージ等や報知方法を切り替える構成としてもよい。これにより、店員は、報知内容を確認することで、不正行為の種別を判別することができるため、利便性を向上させることができる。
【0045】
以下、図7を参照して、商品管理装置40が行う商品管理処理について説明する。ここで、図7は、商品管理装置40が行う商品管理処理の手順を示すフローチャートである。なお、本処理の前提として、商品特定部413、外形判定部414及び動作検出部415は、バックグラウンドで動作しているものとする。
【0046】
まず、画像取込部411は、カメラ20で撮像される撮像画像を順次取り込む(ステップS11)。皿検出部412は、ステップS11で取り込まれた撮像画像から、皿領域が検出されるまで待機する(ステップS12;No)。皿検出部412は、皿領域を検出すると(ステップS12;Yes)、当該皿領域に基づき皿種別の特定及び商品領域の検出を行う。
【0047】
続いて、商品管理部416は、動作検出部415が何れかの動作を検出したか否かを判定する。ここで、動作検出部415が第1の動作を検出した場合(ステップS13;Yes)、商品管理部416は、検出元の皿領域(商品領域)から特定された商品識別子を含む商品情報を生成する。そして、商品管理部416は、第1の動作が検出された撮像画像の席識別子に関連付けて、生成した商品情報を商品管理ファイルF3に登録し(ステップS14)、ステップS12に処理を戻す。
【0048】
また、動作検出部415が第2の動作を検出した場合(ステップS13;No→ステップS15;Yes)、商品管理部416は、ステップS16に移行する。ステップS16において、商品管理部416は、第2の動作が検出された皿領域から、皿検出部412が商品領域を検出できたか否かを判定する(ステップS16)。皿検出部412が商品領域を検出することができない場合(ステップS16;No)、商品管理部416は、不正行為を検出したと判定し、ステップS22に移行する。
【0049】
皿検出部412が商品領域を検出できた場合(ステップS16;Yes)、商品管理部416は、検出された商品領域から商品特定部413が商品を特定できたか否かを判定する(ステップS17)。商品特定部413が商品を特定することができない場合(ステップS17;No)、商品管理部416は、不正行為を検出したと判定し、ステップS22に移行する。
【0050】
商品特定部413が商品を特定できた場合(ステップS17;Yes)、商品管理部416は、特定された商品についての外形判定部414の判定結果が、適正外形にあることを示す合致か否かを判定する(ステップS18)。外形判定部414の判定結果が相違を示す場合(ステップS18;No)、商品管理部416は、不正行為を検出したと判定し、ステップS22に移行する。
【0051】
外形判定部414の判定結果が合致を示す場合(ステップS18;Yes)、商品管理部416は、一度取られた皿が回転レーン10a上に正常に戻されたと判定する。そして、商品管理部416は、登録した商品情報を取り消した後(ステップS19)、ステップS12に処理を戻す。
【0052】
また、動作検出部415が第3の動作を検出した場合(ステップS13;No→ステップS15;No→ステップS20;Yes)、商品管理部416は、不正行為を検出したと判定する。次いで、商品管理部416は、検出元の皿領域(商品領域)から特定された商品識別子を含む商品情報を生成する。そして、商品管理部416は、第3の動作が検出された撮像画像の席識別子に関連付けて、生成した商品情報を商品管理ファイルF3に登録し(ステップS21)、ステップS22に移行する。なお、動作検出部415が何れの動作も検出しない場合には(ステップS13;No→ステップS15;No→ステップS20;No)、商品管理部416は、ステップS12に処理を戻すものとする。
【0053】
続くステップS22において、商品管理部416は、不正行為と判定した商品の商品情報に不正行為フラグの設定及び不正行為画像の登録を行うことで、不正行為の記録を行う(ステップS22)。そして、報知処理部417は、報知装置30を動作させることで、不正行為が行われた席識別子を報知し(ステップS23)、ステップS12に処理を戻す。
【0054】
以上のように、本実施形態の商品管理装置40は、回転レーン10a上を撮像した撮像画像から、商品(皿)の状態と客の動作を検出し、その検出結果に基づいて不正行為の有無を判定する。これにより、商品に対する客の不正行為を検出することができるため、監視に係る店員の労力を省くことが可能となり、商品の管理を効率的に行うことができる。
【0055】
また、商品管理装置40は、不正行為を検出した場合に、報知装置30と協働することで不正行為が行われた客席SEの席識別子を店員に報知する。これにより、不正行為が行われた旨及び当該不正行為が行われた客席SEを店員に報知することができるため、不正行為の状況確認に係る利便性を向上させることができる。
【0056】
また、商品管理装置40は、不正行為を検出した場合に、該当する席識別子(商品情報)に関連付けて不正行為フラグ及び不正行為画像を商品管理ファイルF3に登録することで、不正行為の記録を行う。これにより、不正行為の状況確認を効率的に行うことができるため、商品管理に係る業務の効率化を図ることができる。特に、不正行為画像を参照することで、不正行為の対象となった商品や、不正行為が行われた際の状況を確認することができるため、不正行為の妥当性判断の支援を行うことができる。
【0057】
また、商品管理装置40は、客が回転レーン10aから商品を取得する動作を検出すると、当該商品の商品識別子を含む商品情報を、対応する席識別子に関連付けて商品管理ファイルF3に登録する。これにより、各席識別子の商品情報を参照することで、客が取得した商品の内訳を容易に確認することができるため、会計処理を効率的に行うことができる。例えば、商品情報に含まれた商品識別子に対応する皿識別子を第2辞書ファイルF2から特定し、当該識別子に対応する価格を第1辞書ファイルF1から特定する。そして、全ての商品情報から特定した価格を合算することで、客が取得した商品の合計金額を算出することができる。また、各席識別子の商品情報を参照することで、商品が取得された順番や時間間隔を容易に確認することができるため、店舗運営に係る分析等を効率的に行うことができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加、組み合せ等を行うことができる。また、上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0059】
例えば、上記実施形態の商品管理装置40では、不正行為を検出した場合に報知を行う構成としたが、報知を行わない構成としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、客席SE毎にカメラ20を設ける構成としたが、これに限らず、複数の客席SEに対し1つのカメラ20を設ける構成としてもよい。この構成を採用する場合、カメラ20が撮像する撮像画像内において、各客席SEの位置に対応する検出領域が予め定められており、各客席SEの席識別子が対応する検出領域に付帯されるものとする。そして、商品管理装置40の商品管理部416は、皿検出部412が検出した皿領域や商品領域が属する検出領域の席識別子に基づき、商品情報の登録や不正行為の記録を行うものとする。
【0061】
また、上記実施形態では、店舗の一例として回転寿司を例に挙げたが、これに限らず、寿司以外の商品を取り扱う他の店舗に適用してもよい。なお、搬送路は循環型か否かを問わないものとする。
【0062】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するが、これに限らないものとする。例えば、プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(記録媒体)に記憶(記録)して提供してもよい。係る記憶媒体は、例えばCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等が挙げられる。更に、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らないものとする。例えば、記憶媒体は、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードすることで、記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0063】
また、上記各実施形態の各装置で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 店舗システム
10 搬送装置
10a 回転レーン
20 カメラ
30 報知装置
40 商品管理装置
411 画像取込部
412 皿検出部
413 商品特定部
414 外形判定部
415 動作検出部
416 商品管理部
417 報知処理部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2006−20881号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7