特許第6239548号(P6239548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239548
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】塗布装置及び塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20171120BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20171120BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B05C11/10
   B05C5/02
   B05D1/26 Z
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-55077(P2015-55077)
(22)【出願日】2015年3月18日
(65)【公開番号】特開2016-174989(P2016-174989A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2016年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 達哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 浩秋
【審査官】 高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−066873(JP,A)
【文献】 特開平11−276958(JP,A)
【文献】 特開平07−273437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C
B05D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の塗布面に所定の間隔をおいて対向させ、前記塗布面との間に塗布材料によるメニスカス柱を形成する塗布ヘッドと、
前記対象物に対して、前記塗布ヘッドを、前記塗布面に沿って相対的に移動させる第1移動装置と、
前記対象物に対して、前記塗布ヘッドを、前記塗布面と前記塗布ヘッドとが離間する方向及び近接する方向に相対的に移動させる第2移動装置と、
前記塗布ヘッドと前記対象物の塗布面との間に前記塗布材料を供給する供給装置と、
前記塗布ヘッドと別体に設けられ、前記塗布材料を吸引する吸引部を有する吸引装置と、
を備え、
前記塗布ヘッドと前記塗布面との間隔を前記所定の間隔より広げて、前記メニスカス柱から前記塗布材料を前記吸引装置の前記吸引部で吸引する塗布装置。
【請求項2】
前記塗布ヘッドと前記塗布面との間の前記メニスカス柱を検出する検出装置と、
前記吸引装置を前記メニスカス柱に移動させる第3移動装置と、
前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記第2移動装置を制御して前記塗布ヘッド及び前記塗布面を互いに離間する方向に相対的に移動し、前記第3移動装置を制御して前記検出装置により検出された前記メニスカス柱に前記吸引装置を移動する制御装置と、
を備える請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記第2移動装置は、前記塗布ヘッドの幅方向の2点間において、前記塗布ヘッドと前記塗布面との間隔が異なるように、前記塗布ヘッドの位置を移動可能に構成されている請求項1又は請求項2に記載の塗布装置。
【請求項4】
前記塗布ヘッドを回転させる回転装置を備え、
前記塗布ヘッドは、前記塗布ヘッドの周方向の一部であって、且つ、前記塗布ヘッドの幅方向の一部の外周面に突出部を有し、
前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記第2移動装置を制御して前記塗布ヘッドを前記塗布面から離間する方向に移動するとともに、前記塗布ヘッドを回転させて前記突出部を前記塗布面と対向させる制御装置を備える請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記吸引部は、前記塗布ヘッドの軸方向に沿って移動可能に構成された吸引ノズルである、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記吸引部は、前記塗布面に前記塗布材料を塗布する塗布終点で前記メニスカス柱から前記塗布材料を吸引するか、または、前記塗布ヘッドによる塗布の停止時に前記メニスカス柱から前記塗布材料を吸引する、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項7】
対象物の塗布面に塗布材料によるメニスカス柱を形成する塗布ヘッドを前記塗布面に近接する方向に移動することと、
前記塗布ヘッドに前記塗布材料を供給することと、
前記メニスカス柱を形成して前記対象物及び前記塗布ヘッドを相対的に移動することと、
前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記塗布ヘッドを前記塗布面から離間することと、
前記塗布ヘッドと別体に設けられ、前記塗布材料を吸引する吸引部を有する吸引装置の前記吸引部により、前記塗布面及び前記塗布ヘッドの間に形成される前記メニスカス柱から前記塗布材料を吸引することと、
を有する塗布方法。
【請求項8】
前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記塗布ヘッドを前記塗布面から離間したときに前記塗布面及び前記塗布ヘッドの間に形成される前記メニスカス柱を検出装置により検出し、
前記吸引装置を前記検出装置で検出された前記メニスカス柱に移動し、
その後、前記吸引装置により前記塗布面及び前記塗布ヘッドの間に形成される前記メニスカス柱から前記塗布材料を吸引することを特徴とする請求項7に記載の塗布方法。
【請求項9】
前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記塗布ヘッドの幅方向の2点間において、前記塗布ヘッドと前記塗布面との間隔が異なるように、前記塗布ヘッドの位置を移動させる請求項7又は請求項8に記載の塗布方法。
【請求項10】
前記塗布ヘッドは、前記塗布ヘッドの周方向の一部であって、且つ、前記塗布ヘッドの幅方向の一部の外周面に突出部を有し、
前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記塗布ヘッドを前記塗布面から離間する方向に移動するとともに、前記突出部が前記塗布面と対向する位置に前記塗布ヘッドを回転し、
その後、前記吸引装置により前記塗布面及び前記塗布ヘッドの間に形成される前記メニスカス柱から前記塗布材料を吸引する請求項7乃至請求項9のいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項11】
前記吸引部は、前記塗布ヘッドの軸方向に沿って移動可能に構成された吸引ノズルである、請求項7乃至請求項10のいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項12】
前記吸引部により、前記塗布面に前記塗布材料を塗布する塗布終点で前記メニスカス柱から前記塗布材料を吸引するか、または、前記塗布ヘッドによる塗布の停止時に前記メニスカス柱から前記塗布材料を吸引する、請求項7乃至請求項11のいずれか一項に記載の塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、対象物に塗布材料を塗布する塗布装置及び塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板等の対象物に液状の塗布材料を塗布して膜を形成する方法として、液状の塗布材料の表面張力を作用させて行うメニスカス塗布方式が知られている。このメニスカス塗布方式を用いた塗布装置は、対象物の塗布材料を塗布する塗布面と塗布ヘッドとの間に、塗布材料によるメニスカス柱を形成し、このメニスカス柱を形成した状態で対象物及び塗布ヘッドを塗布面に沿って相対的に移動させる。このように、塗布面上を相対的に移動するメニスカス柱によって、塗布材料が塗布面に膜状に塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−141475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、塗布膜を対象物上に精度良く形成することが可能な塗布装置及び塗布方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の塗布装置は、塗布ヘッドと、第1移動装置と、第2移動装置と、供給装置と、吸引装置と、を備える。塗布ヘッドは、対象物の塗布面に所定の間隔をおいて対向させ、前記塗布面との間に塗布材料によるメニスカス柱を形成する。第1移動装置は、前記対象物に対して、前記塗布ヘッドを、前記塗布面に沿って相対的に移動させる。第2移動装置は、前記対象物に対して、前記塗布ヘッドを、前記塗布面と前記塗布ヘッドとが離間する方向及び近接する方向に相対的に移動させる。供給装置は、前記塗布ヘッドと前記対象物の塗布面との間に前記塗布材料を供給する。吸引装置は、前記塗布ヘッドと別体に設けられ、前記塗布材料を吸引する吸引部を有する。前記塗布ヘッドと前記塗布面との間隔を前記所定の間隔より広げて、前記メニスカス柱から前記塗布材料を前記吸引装置で吸引する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る塗布装置の構成を模式的に示す説明図。
図2】同塗布装置の構成を模式的に示す説明図。
図3】同塗布装置を用いた塗布材料の吸引の一例を示す説明図。
図4】同塗布装置を用いた塗布材料の吸引の一例を示す説明図。
図5】同塗布装置を用いた塗布方法の一例を示す流れ図。
図6】第2の実施形態に係る塗布装置の構成を模式的に示す説明図。
図7】同塗布装置を用いた塗布方法の一例を示す流れ図。
図8】第3の実施形態に係る塗布装置の構成を模式的に示す説明図。
図9】同塗布装置を用いた塗布方法の一例を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、第1の実施形態に係る塗布装置1を、図1乃至図5を用いて説明する。
図1は第1の実施形態に係る塗布装置1の構成を模式的に示す説明図、図2は塗布装置1の構成を模式的に示す説明図、図3は塗布装置1を用いた塗布材料99の吸引の一例を示す説明図、図4は塗布装置1を用いた塗布方法の一例を示す流れ図である。
【0008】
図1及び図2に示すように、塗布装置1は、ステージ11と、塗布ヘッド12と、供給装置13と、吸引装置14と、第1検出装置15と、第2検出装置16と、第1移動装置17と、第2移動装置18と、回転装置19と、制御装置20と、を備えている。
【0009】
このような塗布装置1は、供給装置13により塗布ヘッド12に供給された塗布材料99によってステージ11上の対象物100の塗布面100aにメニスカス柱99aを生じさせて、対象物100の塗布面100aに塗布材料99を膜状に塗布する。このように塗布装置1は、メニスカス塗布方法を用いて対象物100に塗布材料99を塗布する装置である。
【0010】
なお、塗布材料99は、液状の材料が用いられる。また、対象物100は、例えば基板であり、以下対象物100を基板100として説明する。
【0011】
ステージ11は、その上面に基板100を固定可能に構成されている。ステージ11は、例えば、基板100を吸着により固定する。
【0012】
塗布ヘッド12は、所謂アプリケータと呼ばれ、例えば、軸心まで含めたときの形状が、円柱状又は多角柱状等のように柱状体を呈するように形成されている。
【0013】
ここでは、一例として、塗布ヘッド12は、柱状体の軸心方向(長手方向)の長さが基板100上に塗布する塗布材料99の範囲と略同一の長さに形成されているものとする。本実施の形態では、塗布ヘッド12の軸心方向(長手方向)の長さは、その幅方向の長さと言い換えることもできる。
【0014】
塗布ヘッド12には、供給装置13によって、その軸心方向に沿った外周面の少なくとも一部に塗布材料99が供給される。そして、塗布ヘッド12の軸心方向に沿った外周面の少なくとも一部と対象物である基板100の塗布面100aとの間隙にメニスカス柱99aを形成する。そして、塗布ヘッド12において、メニスカス柱99aが形成される部分がメニスカス柱形成部12aに相当する。塗布ヘッド12は、その長手方向に沿った軸心を中心として回転可能に形成されている。
【0015】
供給装置13は、塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12a以外の外面に基板100に塗布する塗布材料99を供給可能に構成されている。供給装置13は、塗布材料99を吐出する供給ノズル21と、供給ノズル21に塗布材料99を供給するポンプ22と、供給ノズル21を塗布ヘッド12に対して移動させるノズル移動装置23と、を備えている。ポンプ22は、制御装置20に信号線101を介して接続されている。ノズル移動装置23は、制御装置20に信号線101を介して接続されている。
【0016】
吸引装置24は、吸引ノズル31と、吸引タンク32と、真空ポンプ33と、第3移動装置34と、を備えている。吸引ノズル31は、その先端からメニスカス柱99aを形成する塗布材料99を吸引可能に構成されている。吸引タンク32は、吸引した塗布材料99を収容可能に構成されている。真空ポンプ33は、吸引タンク32を介して配管等により吸引ノズル31に接続されている。真空ポンプ33は、制御装置20に信号線101を介して接続されている。
【0017】
第3移動装置34は、吸引ノズル31を移動可能に構成されている。例えば、第3移動装置34は、塗布ヘッド12の幅方向に吸引ノズル31を移動させる第1移動手段34aと、当該幅方向と直交する方向、換言すると塗布ヘッド12と近接及び離間する方向に吸引ノズル31を移動させる第2移動手段34bと、を備えている。第3移動装置34は、制御装置20に信号線101を介して接続されている。
【0018】
第1検出装置15は、塗布ヘッド12の位置を検出可能に構成されている。より具体的には、第1検出装置15は、塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aと基板100の塗布面100aとの間の間隙を検出可能に構成されている。第1検出装置15は、制御装置20に信号線101を介して接続され、検出された情報を制御装置20に送信する。
【0019】
第2検出装置16は、塗布ヘッド12により形成されたメニスカス柱99aを検出可能に構成されている。第2検出装置16は、例えば、光学カメラやレーザ測定器が用いられる。第2検出装置16は、制御装置20に信号線101を介して接続され、検出した情報を制御装置20に送信する。
【0020】
第1移動装置17は、基板100及び塗布ヘッド12を相対的に一方向に移動可能に構成されている。例えば、第1移動装置17は、ステージ11を一方向、具体的には、塗布材料99の塗布方向に沿って移動可能に構成されている。第1移動装置17は、制御装置20に信号線101を介して接続されている。
【0021】
第2移動装置18は、塗布ヘッド12と対象物である基板100との間を離間及び接近させるようにして、塗布ヘッド12を基板100に対して移動可能に構成されている。第2移動装置18は、例えば、基板100に対して、重力方向に沿って塗布ヘッド12を移動させる。第2移動装置18は、制御装置20に信号線101を介して接続されている。
【0022】
回転装置19は、塗布ヘッド12を、塗布ヘッド12の軸心を中心に回転可能に構成されている。回転装置19は、制御装置20に信号線101を介して接続されている。
【0023】
制御装置20は、ノズル移動装置23を制御することで、供給ノズル21を塗布ヘッド12に近接させるとともに、ポンプ22を制御することで、供給ノズル21から塗布ヘッド12に塗布材料99を供給可能に構成されている。
【0024】
制御装置20は、第1移動装置17を制御することで、基板100を塗布材料99の塗布開始位置(塗布始点)から塗布材料99の塗布終了位置(塗布終点)まで移動可能に構成されている。制御装置20は、第2移動装置18を制御することで、基板100及びメニスカス柱形成部12aの間の間隙がメニスカス柱99aを形成可能な間隔となる高さ位置に塗布ヘッド12を移動可能に構成されている。
【0025】
制御装置20は、第3移動装置34を制御することで、吸引ノズル31の先端がメニスカス柱99aに対向する位置に吸引ノズル31を移動させる。制御装置20は、真空ポンプ33を制御することで、メニスカス柱99aを形成する塗布材料99を吸引可能に構成されている。
【0026】
また、制御装置20は、機能(1)及び機能(2)を有している。
【0027】
ここで、機能(1)は、塗布装置1において、塗布始点から塗布終点まで基板100に塗布材料99を塗布するように制御する機能であり、機能(2)は、塗布装置1において、塗布終点で、メニスカス柱99aを形成する塗布材料99を吸引するように制御する機能である。
【0028】
次に、制御装置20が有する機能(1)及び機能(2)について説明する。
機能(1)は、基板100の塗布始点で塗布ヘッド12によってメニスカス柱99aを形成するとともに、メニスカス柱99aを形成した状態で基板100を移動させて塗布終点まで基板100の塗布面100aに塗布材料99を塗布する機能である。
【0029】
具体的には、機能(1)は、第1移動装置17を駆動することで、図1に二点鎖線で示すように、基板100の塗布始点が塗布ヘッド12の下方に位置するように、ステージ11を駆動する。なお、図1においては、説明の便宜上、塗布ヘッド12が塗布始点上に位置するように、塗布ヘッド12を二点鎖線で示す。
【0030】
次に、供給ノズル21を移動させるとともに供給ノズル21から塗布ヘッド12の表面に塗布材料99を供給する。併せて、第2移動装置18を駆動することで、塗布ヘッド12がメニスカス柱99aを形成可能な高さ位置となるようにする。ここでは、第1検出装置15で検出した塗布ヘッド12の位置情報に基づいて、塗布ヘッド12を下降させ、塗布ヘッド12を基板100に近接させる。
【0031】
基板100の塗布面100a及び塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aの間隙が所定の間隔となることで、メニスカス柱99aを塗布面100a上に形成する。なお、このとき、塗布ヘッド12の長手方向(幅方向)に沿って供給ノズル21を定常的に移動させながら塗布材料99を塗布ヘッド12に供給することで、塗布ヘッド12の幅方向に渡ってメニスカス柱99aを形成する。
【0032】
この状態で、第1移動装置17を駆動することで、塗布ヘッド12の下方に塗布終点が位置するまで、基板100の塗布面100a上に塗布材料99を所定の膜厚に塗布する。このように、機能(1)は、塗布ヘッド12により形成されるメニスカス柱99aにより、基板100の塗布始点から塗布終点まで塗布材料99を塗布する機能である。なお、塗布ヘッド12の基板100から重力方向の位置、及び、基板100の移動速度は、塗布する塗布材料99の膜厚等に応じて適宜設定される。
【0033】
機能(2)は、塗布終点においてメニスカス柱99aを構成する余剰な塗布材料99を吸引装置14により吸引する機能である。
【0034】
具体的には、機能(2)は、塗布終点に基板100が移動した後に、塗布材料99の供給を停止する。その後、第2移動装置18を駆動し、メニスカス柱99aを形成可能な高さ位置の範囲で塗布ヘッド12を上昇させて、塗布ヘッド12を基板100から離間させる。この塗布ヘッド12の移動によって、図3に示すように、メニスカス柱99aは、塗布ヘッド12の幅方向の長さが短くなる。次に、第2検出装置16で検出されたメニスカス柱99aの位置情報から、吸引ノズル31をメニスカス柱99aと対向する位置に移動させる。次に、真空ポンプ33を駆動して、吸引ノズル31によりメニスカス柱99aを形成する塗布材料99を吸引する。このように、機能(2)は、塗布終点においてメニスカス柱99aを形成する余剰の塗布材料99を吸引する機能である。
【0035】
次に、このように構成された塗布装置1を用いた基板100への塗布材料99の塗布方法について、図1乃至図5を用いて説明する。
【0036】
先ず、図4に二点鎖線で示すように、第1移動装置17を制御して塗布ヘッド12が塗布始点に位置するように、基板100を移動させる(ステップST1)。このとき、回転装置19を制御して、塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aが基板100に対向するように、塗布ヘッド12を回転させる。
【0037】
次に、メニスカス柱99aが塗布ヘッド12の幅方向の全長に渡って形成可能となるように、塗布始点において塗布ヘッド12を基板100に近接させる(ステップST2)。次に、供給装置13により塗布ヘッド12の表面に塗布材料99を供給する(ステップST3)。このとき、第1検出装置15の検出した塗布ヘッド12の位置情報に基づいて、塗布ヘッド12及び基板100の間隙を所定の間隔とすることで、図4(a)に示すように、塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aと基板100の塗布面100aとの間にメニスカス柱99aを形成する(ステップST4)。
【0038】
次に、ステージ11を移動させて基板100を塗布始点から塗布終点まで移動させ(ステップST5)、基板100の塗布面100aに塗布材料99を塗布する。なお、塗布始点から塗布終点まで基板100を移動させるときに、第1検出装置15により基板100及び塗布ヘッド12の間の間隙を検出し、所定の間隔となるように、塗布ヘッド12の高さを調整する。
【0039】
塗布終点まで基板100を移動させた後、ステージ11を停止し、塗布ヘッド12を上昇させて、塗布ヘッド12を基板100から離間させる(ステップST6)。このとき、メニスカス柱99aが形成された状態を維持可能な間隙となるように、塗布ヘッド12を基板100から離間させることで、図3及び図4(b)に示すように、メニスカス柱99aの幅が狭くなる。
【0040】
次に、図4(b)の二点鎖線で示すように、第2検出装置16により、塗布ヘッド12の全長に渡ってメニスカス柱99aの位置を検出する(ステップST7)。次に、図4(c)に示すように、第2検出装置16により検出したメニスカス柱99aに対向する位置に吸引ノズル31を移動し(ステップST8)、真空ポンプ33を駆動することで、メニスカス柱99aを形成する塗布材料99の余剰分を吸引する(ステップST9)。当該塗布材料99の余剰分を吸引した後、塗布ヘッド12を上昇させて、塗布ヘッド12を基板100からさらに離間させる(ステップST10)ことで、基板100への塗布材料99の塗布が終了する。このような塗布方法によって、塗布材料99が塗布された基板100が製造される。
【0041】
このように構成された塗布装置1によれば、基板100への塗布材料99の塗布後に、メニスカス柱99aが形成された状態を維持して基板100と塗布ヘッド12の間隔を大きくする。これにより、塗布ヘッド12の幅方向の全長に渡って形成された塗布材料99(メニスカス柱99aに相当する。)の余剰分を、塗布ヘッド12の長手方向(幅方向)の一部に形成されるように集める。その後、吸引装置14によって、メニスカス柱99aを形成する塗布材料99を吸引することで、塗布終点における余剰な塗布材料99を除去し、塗布終点における塗布材料99の供給量(膜厚)の増加を抑制することが可能となる。結果、終点位置において余剰の塗布材料99が基板100に塗布され、当該塗布された余剰な塗布材料99を別途除去する工程が不要となる。
【0042】
また、第2検出装置16によりメニスカス柱99aの位置を検出することで、メニスカス柱99aを吸引装置14によって確実に吸引することが可能となる。即ち、塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aが基板100の面方向に沿って一様に形成されている場合においては、塗布ヘッド12を上昇させることで幅方向の長さが短くなったメニスカス柱99aは、塗布ヘッド12の幅方向のいずれかに位置することとなる。しかし、第2検出装置16により塗布ヘッド12を上昇させることで幅方向が短くなったメニスカス柱99aを検出することで、確実に吸引ノズル31をメニスカス柱99aと対向させて、メニスカス柱99aを形成する塗布材料99を吸引することが可能となる。
【0043】
また、メニスカス柱99aを形成する塗布材料99の余剰分を吸引装置14により吸引する構成とすることで、塗布ヘッド12に別途、余剰な塗布材料99を除去する構成を有する必要がなく、塗布ヘッド12は単純な構成でよいものとなる。このため、塗布ヘッド12の洗浄が容易となり、塗布ヘッド12の保全性を維持することが可能となる。
【0044】
上述したように、第1の実施形態に係る塗布装置1によれば、対象物である基板100の塗布面において、塗布終点での塗布材料99の余剰分を吸引装置14により除去する。これによって、基板100の塗布面100aにおいて、塗布終点での塗布材料99の膜厚の増加を抑制することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る塗布装置1Aを、図6乃至図7を用いて説明する。
図6は第2の実施形態に係る塗布装置1Aの構成を模式的に示すとともに、塗布材料99の吸引の一例を示す説明図、図7は塗布装置1Aを用いた塗布方法の一例を示す流れ図である。なお、第2の実施形態に係る塗布装置1Aのうち、上述した第1の実施形態に係る塗布装置1と同様の構成には同一符号を用い、その詳細な説明は省略する。また、図6中において、塗布装置1Aの要部構成以外は省略して示す。
【0045】
図6に示すように、塗布装置1Aは、ステージ11と、塗布ヘッド12と、供給装置13と、吸引装置14と、第1検出装置15と、第1移動装置17と、第2移動装置18Aと、回転装置19と、制御装置20と、を備えている。
【0046】
第2移動装置18Aは、塗布ヘッド12の一端側及び他端側でそれぞれ異なる移動量で塗布ヘッド12を移動可能に構成されている。具体的には、第2移動装置18Aは、塗布ヘッド12の一端側を移動させる一端側移動手段18aと、塗布ヘッド12の他端側を移動させる他端側移動手段18bと、を備えている。第2移動装置18Aは、制御装置20に信号線101を介して接続されている。
【0047】
制御装置20は、第2移動装置18Aの一端側移動手段18a及び他端側移動手段18bをそれぞれ制御可能に構成されている。
【0048】
また、制御装置20は、上述の機能(1)及び機能(3)を備えている。
ここで、機能(3)は、塗布装置1Aにおいて、塗布終点でメニスカス柱99aを形成する塗布材料99を吸引する機能である。
【0049】
具体的には、機能(3)は、塗布終点に基板100が移動した後に、塗布材料99の供給を停止し、その後、メニスカス柱99aを形成可能な高さ位置の範囲で一端側移動手段18a及び他端側移動手段18bを制御して塗布ヘッド12を基板100から離間する方向に移動させる。このとき、塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aの延設方向が基板100の面方向に対して傾斜して位置するように、一端側移動手段18a及び他端側移動手段18bを制御する。
【0050】
図6に示すように、例えば、一端側移動手段18aによる塗布ヘッド12の移動量を他端側移動手段18bによる塗布ヘッド12の移動量よりも少ない移動量として塗布ヘッド12を移動させる。このとき、塗布ヘッド12の一端側にメニスカス柱99aが形成され、他端側にメニスカス柱99aが形成されない程度に塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aが基板100から離間するように、塗布ヘッド12を移動させる。
【0051】
この塗布ヘッド12の移動によって、メニスカス柱99aは、塗布ヘッド12の幅方向の長さが短くなる。また、メニスカス柱99aは、塗布ヘッド12の一端側にのみ形成されることとなる。次に、真空ポンプ33を駆動して、吸引ノズル31によりメニスカス柱99aを形成する塗布材料99を吸引する。
【0052】
このように、機能(3)は、塗布終点において塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aを基板100に対する高さ方向において傾斜して位置させることでメニスカス柱99aを塗布ヘッド12の一端側にのみ形成し、当該メニスカス柱99aを形成する余剰な塗布材料99を吸引する機能である。
【0053】
次に、このように構成された塗布装置1Aを用いた基板100への塗布材料99の塗布方法について、図6及び図7を用いて説明する。
先ず、第1移動装置17を制御して塗布ヘッド12が塗布始点に位置するように、基板100を移動させる(ステップST11)。このとき、回転装置19を制御して、塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aが基板100に対向するように、塗布ヘッド12を回転させる。
【0054】
次に、メニスカス柱99aが塗布ヘッド12の幅方向の全長に渡って形成可能となるように、塗布始点において塗布ヘッド12を基板100に近接させる(ステップST12)。次に、供給装置13により塗布ヘッド12の表面に塗布材料99を供給する(ステップST13)。
【0055】
このとき、第1検出装置15の検出した塗布ヘッド12の位置情報に基づいて、塗布ヘッド12及び基板100の間隙を所定の間隔とすることで、塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aと基板100の塗布面100aとの間にメニスカス柱99aを形成する(ステップST14)。
【0056】
次に、ステージ11を移動させて基板100を塗布始点から塗布終点まで移動させ(ステップST15)、基板100の塗布面100aに塗布材料99を塗布する。なお、塗布始点から塗布終点まで基板100を移動させるときに、第1検出装置15により基板100及び塗布ヘッド12の間の間隙を検出し、所定の間隔となるように、塗布ヘッド12の高さを調整する。
【0057】
塗布終点まで基板100を移動させた後、ステージ11を停止し、塗布ヘッド12を上昇させて、塗布ヘッド12を基板100から離間させる(ステップST16)。このとき、一端側移動手段18a及び他端側移動手段18bによって塗布ヘッド12の両端側で異なる移動量で塗布ヘッド12を重力方向と反対の方向に移動させ、塗布ヘッド12を基板100に対して傾斜して位置するように離間させる。これにより、メニスカス柱99aの幅が狭くなるとともに、塗布ヘッド12と基板100との間隙が狭くなっている位置、例えば塗布ヘッド12の一端側にメニスカス柱99aが移動する。このように、塗布ヘッド12の一端側にメニスカス柱99aが形成された状態を維持することで、図6に示すように、メニスカス柱99aの幅が狭くなる。
【0058】
次に、メニスカス柱99aに吸引ノズル31を移動させ(ステップST17)、真空ポンプ33を駆動することで、メニスカス柱99aを形成する余剰の塗布材料99を吸引する(ステップST18)。なお、一端側移動手段18a及び他端側移動手段18bの移動量を異ならせることで、メニスカス柱99aが塗布ヘッド12のいずれか一端側に移動するため、吸引ノズル31は、塗布ヘッド12の一端側に移動させればよい。
【0059】
当該塗布材料99を吸引した後、塗布ヘッド12を上昇させて、塗布ヘッド12を基板100からさらに離間させる(ステップST19)ことで、基板100への塗布材料99の塗布が終了する。このような塗布方法によって、塗布材料99が塗布された基板100が製造される。
【0060】
このように構成された塗布装置1Aによれば、上述した塗布装置1と同様に、塗布終点における余剰の塗布材料99を吸引装置14により除去することで、塗布終点の塗布材料99の膜厚の増加を抑制することが可能となる。
【0061】
また、塗布装置1Aは、基板100から垂直方向に離間する塗布ヘッド12の移動量を塗布ヘッド12の両端側で異なる移動量とする簡単な構成で、メニスカス柱99aの位置を容易に制御することが可能となる。このため、塗布材料99の塗布終了後に、同一位置に余剰な塗布材料99により形成されるメニスカス柱99aを位置させることが可能となり、吸引が容易となる。このため、第2検出装置16によりメニスカス柱99aを検出する必要がなく、塗布装置1Aの製造コストを低減することが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係る塗布装置1Bを、図8及び図9を用いて説明する。
図8は第3の実施形態に係る塗布装置1Bの構成を模式的に示すとともに、塗布材料99の吸引の一例を示す説明図、図9は塗布装置1Bを用いた塗布方法の一例を示す流れ図である。なお、第3の実施形態に係る塗布装置1Bのうち、上述した第1の実施形態に係る塗布装置1と同様の構成には同一符号を用い、その詳細な説明は省略する。また、図8中において、塗布装置1Bの要部構成以外は省略して示す。
【0062】
図8に示すように、塗布装置1Bは、ステージ11と、塗布ヘッド12Bと、供給装置13と、吸引装置14と、第1検出装置15と、第1移動装置17と、第2移動装置18と、回転装置19と、制御装置20と、を備えている。
【0063】
塗布ヘッド12Bは、所謂アプリケータと呼ばれ、例えば、軸心まで含めたときの形状が、円柱状又は多角柱状等のように、柱状体を呈するように形成されている。塗布ヘッド12Bは、軸心方向(長手方向)の長さが基板100上に塗布する塗布材料99の範囲と略同一の長さに形成されている。
【0064】
塗布ヘッド12Bは、軸心方向に沿った外周面の一部にメニスカス柱99aを形成するメニスカス柱形成部12aと、軸心方向に沿った外周面の一部が突出する突出部12bと、を有している。塗布ヘッド12Bは、その長手方向に沿った軸心を中心として回転可能に構成されている。
【0065】
突出部12bは、塗布ヘッド12Bの軸心方向の一部が塗布ヘッド12Bの外周面の外径よりも突出することで形成される。具体的には、突出部12bは、塗布ヘッド12Bの外周面の軸心方向の一部が塗布ヘッド12Bの両端側から中心部に向かって漸次傾斜し、塗布ヘッド12Bの中心部において突出することで構成される。また、突出部12bは、メニスカス柱形成部12aから所定の角度だけ離間して塗布ヘッド12Bの外周面に形成される。
【0066】
制御装置20は、上述の機能(1)及び機能(4)を備えている。
ここで、機能(4)は、塗布装置1Bにおいて、塗布終点でのメニスカス柱99aを形成する塗布材料99を吸引する機能である。
【0067】
具体的には、機能(4)として、塗布終点に基板100が移動した後に、塗布材料99の供給を停止して、その後、回転装置19により、塗布ヘッド12Bを回転させて、基板100に突出部12bを対向させる。併せて、メニスカス柱99aを形成可能な高さ位置の範囲で塗布ヘッド12Bを基板100から離間する方向に移動させる。この塗布ヘッド12の回転及び移動によって、メニスカス柱99aは、突出部12bの頂部に集まるようにして移動するとともに、塗布ヘッド12Bの幅方向の長さが短くなる。次に、吸引ノズル31をメニスカス柱99aと対向する位置、換言すると突出部12bの頂部と対向する位置に移動させる。次に、真空ポンプ33を駆動して、吸引ノズル31によりメニスカス柱99aを形成する塗布材料99の余剰分を吸引する。このように、機能(4)は、塗布終点においてメニスカス柱99aを形成する余剰な塗布材料99を吸引する機能である。
【0068】
次に、このように構成された塗布装置1Bを用いた基板100への塗布材料99の塗布方法について、図8及び図9を用いて説明する。
先ず、第1移動装置17を制御して塗布ヘッド12Bが塗布始点に位置するように、基板100を移動させる(ステップST21)。このとき、回転装置19を制御して、塗布ヘッド12Bのメニスカス柱形成部12aが基板100に対向するように、塗布ヘッド12Bを回転させる。
【0069】
次に、メニスカス柱99aが塗布ヘッド12Bの幅方向の全長に渡って形成可能となるように、塗布始点において塗布ヘッド12Bを基板100に近接させる(ステップST22)。
【0070】
次に、供給装置13により塗布ヘッド12Bの表面に塗布材料99を供給する(ステップST23)。
【0071】
このとき、第1検出装置15の検出した塗布ヘッド12Bの位置情報に基づいて、塗布ヘッド12B及び基板100の間隙を所定の間隔とすることで、塗布ヘッド12Bのメニスカス柱形成部12aと基板100の塗布面100aとの間にメニスカス柱99aを形成する(ステップST24)。
【0072】
次に、ステージ11を移動させて基板100を塗布始点から塗布終点まで移動させ(ステップST25)、基板100の塗布面100aに塗布材料99を塗布する。なお、塗布始点から塗布終点まで基板100を移動させるときに、第1検出装置15により基板100及び塗布ヘッド12Bの間の間隙を検出し、所定の間隔となるように、塗布ヘッド12Bの高さを調整する。
【0073】
塗布終点まで基板100を移動させた後、ステージ11を停止し、塗布ヘッド12Bを上昇させて、塗布ヘッド12Bを基板100から離間させる(ステップST26)。このとき、回転装置19を制御することで、塗布ヘッド12Bを回転させて(ステップST27)、突出部12bを基板100に対向させる。併せて、メニスカス柱99aが形成された状態を維持して、塗布ヘッド12Bを基板100から離間させることで、図8に示すように、メニスカス柱99aの幅を狭くするとともに、突出部12bの頂部に集まるようにしてメニスカス柱99aを移動させる。
【0074】
次に、メニスカス柱99aに吸引ノズル31を移動させ(ステップST28)、真空ポンプ33を駆動することで、メニスカス柱99aを形成する塗布材料99の余剰分を吸引する(ステップST29)。
【0075】
当該塗布材料99を吸引した後、塗布ヘッド12Bを上昇させて、塗布ヘッド12Bを基板100からさらに離間させる(ステップST30)ことで、基板100への塗布材料99の塗布が終了する。このような塗布方法によって、塗布材料99が塗布された基板100が製造される。
【0076】
このように構成された塗布装置1Bによれば、上述した塗布装置1と同様に、塗布終点における余剰の塗布材料99を吸引装置14により除去することで、塗布終点の塗布材料99の膜厚の増加を抑制することが可能となる。
【0077】
また、塗布装置1Bは、塗布ヘッド12Bに突出部12bを設け、突出部12bを基板100に対向させる簡単な構成で、メニスカス柱99aの位置を容易に制御することが可能となる。このため、塗布材料99の塗布終了後に、同一位置に余剰な塗布材料99により形成されるメニスカス柱99aを位置させることが可能となり、吸引が容易となる。このため、第2検出装置16によりメニスカス柱99aの検出する必要がなく、塗布装置1Bの製造コストを低減することが可能となる。
【0078】
なお、本実施形態に係る塗布装置1、1A、1Bは、上述した構成に限定されない。上述した例では、塗布装置1、1A、1Bは、対象物である基板100及び塗布ヘッド12を相対的に移動させる第1移動装置17として、塗布ヘッド12に対して基板100を固定するステージ11の方のみを移動させる構成を説明したがこれに限定されない。例えば、第1移動装置17は、基板100を固定するステージ11に対して塗布ヘッド12の方のみを一方向に移動させる構成であってもよい。また、第1移動装置17は、基板100を固定するステージ11及び塗布ヘッド12の双方を互いに反する方向に移動させる構成であってもよい。
【0079】
また、上述した例では、第2移動装置18により、塗布ヘッド12の方のみを、基板100を固定するステージ11から離間する方向(例えば、重力方向と反対の方向)に移動させる構成を説明したがこれに限定されない。即ち、第2移動装置18は、対象物である基板100及び塗布ヘッド12を相対的に移動可能であればよい。ここでは、第2移動装置18は、基板100を固定するステージ11の方のみを、塗布ヘッド12から離間する方向(例えば、重力方向)に移動させる構成であってもよい。また、基板100を固定するステージ11及び塗布ヘッド12の双方を互いに離間する方向に移動させる構成であってもよい。
【0080】
また、上述した例では、塗布装置1Bの突出部12bは、塗布ヘッド12Bの幅方向の中心部に頂部を位置させた構成を説明したがこれに限定されず、例えば、突出部12bは、塗布ヘッド12Bの一端側に頂部が配置される構成であってもよい。また、塗布ヘッド12Bを多角柱状とし、その一つの稜部に突出部12bを設ける構成であってもよい。
【0081】
また、上述した例では、塗布装置1、1Aが回転装置19を備える構成を説明したが、これに限定されない。例えば、塗布装置1、1Aの塗布ヘッド12のメニスカス柱形成部12aを常時対象物100に対向させる構成とする場合においては、回転装置19を有さない構成であってもよい。
【0082】
また、上述した例では、塗布装置1A、1Bは吸引ノズル31を移動させる第3移動装置34を備える構成を説明したがこれに限定されない。塗布装置1A、1Bは、塗布材料99により形成されるメニスカス柱99aが形成する塗布材料99の余剰分を同一位置に制御することが可能であることから、吸引ノズル31を当該メニスカス柱99aと対向する位置に予め固定しておく構成であってもよい。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 対象物の塗布面に所定の間隔をおいて対向させ、前記塗布面との間に塗布材料によるメニスカス柱を形成する塗布ヘッドと、
前記対象物に対して、前記塗布ヘッドを、前記塗布面に沿って相対的に移動させる第1移動装置と、
前記対象物に対して、前記塗布ヘッドを、前記塗布面と前記塗布ヘッドとが離間する方向及び近接する方向に相対的に移動させる第2移動装置と、
前記塗布ヘッドと前記対象物の塗布面との間に前記塗布材料を供給する供給装置と、
前記塗布材料を吸引する吸引装置と、
を備え、
前記塗布ヘッドと前記塗布面との間隔を前記所定の間隔より広げて、前記メニスカス柱から前記塗布材料を前記吸引装置で吸引する塗布装置。
[2] 前記塗布ヘッドと前記塗布面との間の前記メニスカス柱を検出する検出装置と、
前記吸引装置を前記メニスカス柱に移動させる第3移動装置と、
前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記第2移動装置を制御して前記塗布ヘッド及び前記塗布面を互いに離間する方向に相対的に移動し、前記第3移動装置を制御して前記検出装置により検出された前記メニスカス柱に前記吸引装置を移動する制御装置と、
を備える[1]に記載の塗布装置。
[3] 前記第2移動装置は、前記塗布ヘッドの幅方向の2点間において、前記塗布ヘッドと前記塗布面との間隔が異なるように、前記塗布ヘッドの位置を移動可能に構成されている[1]に記載の塗布装置。
[4] 前記塗布ヘッドを回転させる回転装置を備え、
前記塗布ヘッドは、前記塗布ヘッドの周方向の一部であって、且つ、前記塗布ヘッドの幅方向の一部の外周面に突出部を有し、
前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記第2移動装置を制御して前記塗布ヘッドを前記塗布面から離間する方向に移動するとともに、前記塗布ヘッドを回転させて前記突出部を前記塗布面と対向させる制御装置を備える[1]に記載の塗布装置。
[5] 対象物の塗布面に塗布材料によるメニスカス柱を形成する塗布ヘッドを前記塗布面に近接する方向に移動することと、
前記塗布ヘッドに前記塗布材料を供給することと、
前記メニスカス柱を形成して前記対象物及び前記塗布ヘッドを相対的に移動することと、
前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記塗布ヘッドを前記塗布面から離間することと、
吸引装置により、前記塗布面及び前記塗布ヘッドの間に形成される前記メニスカス柱から前記塗布材料を吸引することと、
を有する塗布方法。
[6] 前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記塗布ヘッドを前記塗布面から離間したときに前記塗布面及び前記塗布ヘッドの間に形成される前記メニスカス柱を検出装置により検出し、
前記吸引装置を前記検出装置で検出された前記メニスカス柱に移動し、
その後、前記吸引装置により前記塗布面及び前記塗布ヘッドの間に形成される前記メニスカス柱から前記塗布材料を吸引することを特徴とする[5]に記載の塗布方法。
[7] 前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記塗布ヘッドの幅方向の2点間において、前記塗布ヘッドと前記塗布面との間隔が異なるように、前記塗布ヘッドの位置を移動させる[5]に記載の塗布方法。
[8] 前記塗布ヘッドは、前記塗布ヘッドの周方向の一部であって、且つ、前記塗布ヘッドの幅方向の一部の外周面に突出部を有し、
前記塗布面に前記塗布材料を塗布した後に、前記塗布ヘッドを前記塗布面から離間する方向に移動するとともに、前記突出部が前記塗布面と対向する位置に前記塗布ヘッドを回転し、
その後、前記吸引装置により前記塗布面及び前記塗布ヘッドの間に形成される前記メニスカス柱から前記塗布材料を吸引する[5]に記載の塗布方法。
【符号の説明】
【0084】
1、1A、1B…塗布装置、11…ステージ、12…塗布ヘッド、12a…メニスカス柱形成部、12b…突出部、12B…塗布ヘッド、13…供給装置、14…吸引装置、15…第1検出装置、16…第2検出装置、17…第1移動装置、18…第2移動装置、18a…一端側移動手段、18A…第2移動装置、18b…他端側移動手段、19…回転装置、20…制御装置、21…供給ノズル、22…ポンプ、23…ノズル移動装置、24…吸引装置、31…吸引ノズル、32…吸引タンク、33…真空ポンプ、34…第3移動装置、34a…第1移動手段、34b…第2移動手段、99…塗布材料、99a…メニスカス柱、100…対象物(基板)、100a…塗布面、101…信号線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9