(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239567
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】情報伝達装置
(51)【国際特許分類】
G09F 21/06 20060101AFI20171120BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20171120BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20171120BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20171120BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20171120BHJP
B64F 3/00 20060101ALI20171120BHJP
B64D 47/02 20060101ALI20171120BHJP
G09F 19/18 20060101ALI20171120BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
G09F21/06
B64C39/02
B64C27/08
B64D47/08
B64D27/24
B64F3/00
B64D47/02
G09F19/18 A
G03B21/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-204649(P2015-204649)
(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公開番号】特開2017-76084(P2017-76084A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2017年10月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715001390
【氏名又は名称】株式会社プロドローン
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】特許業務法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市原 和雄
【審査官】
谷垣 圭二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−338114(JP,A)
【文献】
特開2000−289695(JP,A)
【文献】
特開2014−30897(JP,A)
【文献】
特開2013−79034(JP,A)
【文献】
特開平8−314401(JP,A)
【文献】
特開2003−341599(JP,A)
【文献】
特開2010−139688(JP,A)
【文献】
特開2003−248720(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0236388(US,A1)
【文献】
細溝仁人 等,自律飛行型プロジェクタの揺動投影像の幾何補正,第58回システム制御情報学会 研究発表講演会 講演論文集,日本,2014年 5月21日,58th,ROMBUNNO.325-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 21/06
G09F 19/18
B64C 27/08
B64C 39/02
B64D 27/24
B64D 47/02
B64D 47/08
B64F 3/00
G03B 21/00
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と、該移動体に搭載され該移動体から外部に対して光学的に画像を投影する投影手段と、を備え、
前記画像は、前記外部にいる第三者に対して伝達する情報をその内容としており、
前記移動体は、複数の回転翼と、該複数の回転翼による飛行を制御する制御部と、人感センサと、を備える小型無人飛行機であり、
前記小型無人飛行機は、前記人感センサの検知エリア内への物体の進入を検知したときに、該物体の移動速度に基づいて前記画像の投影要否を決定することを特徴とする情報伝達装置。
【請求項2】
移動体と、該移動体に搭載され該移動体から外部に対して光学的に画像を投影する投影手段と、を備え、
前記画像は、前記外部にいる第三者に対して伝達する情報をその内容としており、
前記移動体は、複数の回転翼と、該複数の回転翼による飛行を制御する制御部と、照度センサと、を備える小型無人飛行機であり、
前記投影手段は、レーザー光により描かれた前記画像の線図であるレーザーグラフィクスを投影可能であり、
前記投影手段は、前記照度センサで検知した外光の強さが所定の閾値以下にあるときは、ランプ光源のプロジェクタを用いて前記画像を投影し、前記照度センサで検知した外光の強さが所定の閾値を超えたときは、前記レーザーグラフィクスを投影することを特徴とする情報伝達装置。
【請求項3】
前記小型無人飛行機には給電線が接続されており、
前記小型無人飛行機は、前記給電線のケーブル長の範囲内において、前記給電線を介して電力の供給を受けながら飛行可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報伝達装置。
【請求項4】
前記投影手段は、前記移動体近傍における面状の投影対象である投影面に画像を投影することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報伝達装置に関し、さらに詳しくは、移動体から外部に対して画像を投影可能な情報伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用無人ヘリコプターに代表される小型の無人飛行機(UAV)は、機体が高価で入手困難なうえ、安定して飛行させるためには操作に熟練が必要とされるものであった。しかし近年、高性能かつ取扱いも容易な加速度センサや角速度センサなどが廉価に入手可能となり、また、機体の制御操作の多くが自動化されたことによりその操作性が飛躍的に向上した。こうした背景から現在、特に小型のマルチコプターについては、趣味目的だけでなく、広範な分野における種々のミッションへの応用が試行されている。
【0003】
マルチコプターは複数のロータが搭載されたヘリコプターの一種であり、これら各ロータの回転速度を調節することにより機体のバランスをとりながら飛行する。マルチコプターはヘリコプターと異なり簡易な構造であることから整備性に優れており、また、比較的低いコストで機体を構成することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−218254号公報
【特許文献2】特開2015−132708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には、支柱の上部に設置された投光装置から路上にレーザー光で画像を表示することにより、運転者に対して情報を報知する路面投影装置が開示されている。
【0006】
特許文献1の路面投影装置は支柱により投光装置が支持されていることから、その設置時には路上に支柱を固定する工事が必要となる。また、投光装置の位置も同支柱により固定されるため、画像の投影可能範囲は限定的となる。特許文献1の路面投影装置はこのような性質から、一過性の使用には適しておらず、また、例えば災害時の避難誘導など、突発的で状況が変化しやすい需要に応じることも困難である。
【0007】
上記特許文献2には、移動体である自動車のリアウィンドウに画像を表示し、直後を走行する後続車両に対して情報を報知する表示装置が開示されている。
【0008】
かかる表示装置は自車両の後方へ情報を表示することを目的としたものであり、例えば自車両の前方や側方を走行する車両に対しては何ら情報を提示することはできない。
【0009】
上記問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、移動体からその外部に対して画像を投影可能であり、移動体の周囲を往来する者に対して任意の情報を広くかつ簡便に提示可能な情報伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の情報伝達装置は、移動体と、該移動体に搭載され該移動体から外部に対して光学的に画像を投影する投影手段と、を備え、前記画像は、前記外部にいる第三者に対して伝達する情報をその内容とすることを特徴とする。
【0011】
移動体から外部に対して画像(情報)を投影可能とすることにより、画像の投影位置を柔軟に決定および変更することが可能となる。また、投影手段を設置する工事なども不要であることから、突発的な需要に対しても迅速かつ柔軟に応えることができる。また、移動体本体に情報を表示するのではなく、移動体から外部に対して情報を投影することにより、移動体の周囲にいる第三者に対して広く情報を提示することが可能となる。
【0012】
また、前記移動体は、複数の回転翼と、該複数の回転翼による飛行を制御する制御部と、を備える小型無人飛行機であることが好ましい。
【0013】
移動体が空中を飛行可能な小型無人飛行機であることにより、車や人の往来の激しい場所や、狭小な場所、状態の悪い路面など、地上における環境要因の影響を受けることなく画像を投影することが可能となる。また、本発明の情報伝達装置は、主に人間に対して情報を提示することを目的としている。そのため、移動体を低速で移動させながら、あるいは停止させた状態で画像を投影できることが望ましい。よって、小型無人飛行機の中でも、回転翼により飛行する機体が本発明の移動体として好適である。さらに、本発明によれば、飛行中の小型無人飛行機の下を往来する人々に対して、小型無人飛行機の接近やその移動方向を通知し、頭上の注意を促すことも可能である。
【0014】
また、前記投影手段は、レーザー光により描かれた前記画像の線図であるレーザーグラフィクスを投影可能であることが好ましい。
【0015】
一般的な液晶プロジェクタなど、ランプ光源を用いて画像や映像を投影するプロジェクタは、低コストなうえ、豊かな色表現でプレゼンテーション効果の高い画像を投影可能である一方、屋外など外光の影響を受ける環境下においては、画像を鮮明に表示することができないという欠点を有している。本構成の情報伝達装置によれば、そのようなランプ光源のプロジェクタが苦手とする環境下において、高いコヒーレンス(可干渉性)を有するレーザー光を使って比較的明瞭に線図を表示することが可能となる。これにより、屋外や明るい屋内においても、第三者に対してより正確に情報を伝達することが可能となる。
【0016】
また、人感センサをさらに備え、前記情報伝達装置は、前記人感センサの検知エリアへの物体の進入を検知したときに、前記投影手段により画像を投影することが好ましい。
【0017】
情報伝達装置が人感センサを備え、小型無人飛行機の近傍に人がいるときだけ画像を投影することにより、画像の投影に費やされる電力を低減しつつ、効率的に情報を提示することが可能となる。また、例えば検知エリア内において歩行速度が低下した通行人があるときだけ画像を投影するなど、情報の提示効果が期待される場合にだけ画像を投影することも可能となる。あるいは、通行人を追いかけるように画像を投影することにより情報の訴求力を高めることも可能となる。
【0018】
また、照度センサをさらに備え、前記投影手段は、前記照度センサで検知した外光の強さが所定の閾値以下にあるときは、ランプ光源のプロジェクタを用いて前記画像を投影し、前記照度センサで検知した外光の強さが所定の閾値を超えたときは、前記レーザーグラフィクスを投影する構成としてもよい。
【0019】
外光の強さに応じてランプ光源の画像とレーザーグラフィクスとを自動的に切り替え可能とすることにより、環境に応じた最適な投影方法で画像を投影することが可能になる。
【0020】
また、前記小型無人飛行機には給電線が接続されており、前記小型無人飛行機は、前記給電線のケーブル長の範囲内において、前記給電線を介して電力の供給を受けながら飛行可能である構成としてもよい。
【0021】
小型無人飛行機を有線給電で飛行させることにより、バッテリーにより飛行する場合の飛行時間の制約を解消させることができる。これにより、長時間の連続飛行が必要とされる用途や、バッテリー交換を適宜行うことが困難な用途にも本発明の情報伝達装置を適用することができる。
【0022】
また、前記投影手段は、前記移動体近傍における面状の投影対象である投影面に画像を投影する構成としても良い。
【0023】
路面、壁面、または天井など、面状の投影面に画像を投影することにより、画像が提示する情報を人々により正確に伝達することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明にかかる情報伝達装置によれば、移動体からその外部に対して画像を投影し、移動体の周囲を往来する者に対して任意の情報を広くかつ簡便に提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態の情報伝達装置が路面に画像を投影している様子を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態の情報伝達装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】第2実施形態の情報伝達装置が路面に画像を投影している様子を示す模式図である。
【
図4】第2実施形態の情報伝達装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】第3実施形態の情報伝達装置の機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明にかかる情報伝達装置の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。尚、本発明において「画像」とは、文字、図形、記号、または色彩などを用いて、その画像を見た者に何らかの情報を伝達する画像をいい、単色の線図で描画されたものも含む概念である。
【0027】
[第1実施形態]
(機体の基本構成)
図1は本発明の第1実施形態にかかる情報伝達装置91が路面PS(投影面)に広告を投影している様子を示す模式図である。情報伝達装置91は、主に、複数のローターR(回転翼)を備えたマルチコプター100(小型無人飛行機)と、マルチコプター100の下部に搭載されたプロジェクタ200(投影手段)と、により構成されている。
【0028】
本実施形態におけるマルチコプター100は、4基のローターRを備えるクアッドコプターである。マルチコプター100のローターRの数は4基には限定されず、要求される飛行性能や、故障に対する信頼性、許容されるコスト等に応じて、ヘリコプター(2基)、トリコプター(3基)、ヘキサコプター(6基)、またはオクトコプター(8基)の構成にしてもよい。また、マルチコプター100には給電線PLが接続されており、マルチコプター100は、給電線PLのケーブル長の範囲内において、給電線PLを介して電力の供給を受けながら飛行することが可能とされている。
【0029】
プロジェクタ200は、マルチコプター100から路面PSに対して画像を投影する装置である。プロジェクタ200としては、液晶プロジェクタやDLP(登録商標)プロジェクタ、LCOSプロジェクタなどランプ光源を用いた一般的なプロジェクタを使用することができる。本発明の投影手段はマルチコプター100の外部に対して光学的に画像を投影可能な手段であればよく、上記プロジェクタのほか、例えばレーザー光で描いた線図画像であるレーザーグラフィクス(以下、単に「レーザーグラフィクス」という。)を投影可能なレーザープロジェクタなどを用いることもできる。投影手段の種類は本発明の情報伝達装置が使用される環境(外光の強さ、投影面の色、屋内か屋外か、など)に応じてプレゼンテーション効果の高い方法を適宜選択する必要がある。
【0030】
図2は第1実施形態にかかる情報伝達装置91の機能構成を示すブロック図である。
マルチコプター100は、主に、ブレード152の回転により機体に揚力を発生させる複数のローターR(本実施形態においては4基)、各ローターRの動作を一元的に管理し、空中における機体の姿勢や飛行動作を制御するフライトコントローラFC、操縦者(操縦者端末300)との無線通信を行う無線送受信器190、およびこれらに電力を供給する電源ユニット181により構成されている。
【0031】
ローターRはモータ151とブレード152とにより構成されている。モータ151はアウターロータ型DCブラシレスモータであり、ブレード152はその出力軸に取り付けられている。フライトコントローラFCは、マイクロコントローラである制御装置110を備えており、制御装置110は、中央処理装置であるCPU111、記憶装置であるRAM/ROM112、および、ESC153(Electronic Speed Controller)を介して各モータ151の回転数および回転速度を制御するPWMコントローラ113を備えている。
【0032】
フライトコントローラFCはさらに、飛行制御センサ群120、およびGPS受信器140を備えており、これらは制御装置110に接続されている。本実施形態におけるマルチコプター100の飛行制御センサ群120には、少なくとも加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサ)、気圧センサ(高度センサ)、地磁気センサ(電子コンパス)が含まれている。
【0033】
制御装置110のRAM/ROM112には、マルチコプター100の飛行時における姿勢や飛行動作を制御する飛行制御アルゴリズムが実装された飛行制御プログラムFCPが記憶されている。飛行制御プログラムFCPは、操縦者の指示に従い、飛行制御センサ群120から取得した情報を基に各ローターRの回転数および回転速度を調節し、姿勢の乱れを補正しながらマルチコプター100を飛行させる。マルチコプター100の操縦は、操縦者がプロポ(操縦者端末300)を用いて手動で行ってもよく、または、緯度・経度、高度、飛行ルートなどのパラメータを飛行制御プログラムFCPに予め登録しておき、自律的に飛行させてもよい。
【0034】
(画像の投影にかかる構成)
本実施形態のマルチコプター100は、飛行制御プログラムFCPにより、離陸後は予め指定された緯度・経度、高度を自動的に維持しながら機体をホバリング飛行させ、空中の所定の位置で待機するよう設定されている。
【0035】
マルチコプター100は人感センサ160を備えており、人感センサ160はフライトコントローラFCの制御装置110に接続されている。人感センサ160の検知エリアは、人感センサ160の物理的な位置を頂点として、下方に向かって略円錐状に広がっている。尚、本実施形態における人感センサ160は焦電型の赤外線センサであるが、本発明で使用可能な人感センサはこれに限られず、マルチコプター100近傍の所定のエリアへの物体の出入りを検知できるセンサであれば、超音波センサ、または赤外線センサと超音波センサの組み合わせなど、他のセンサを用いることもできる。
【0036】
プロジェクタ200は、フライトコントローラFCの制御装置110と信号線で接続されており、後述する画像投影プログラムIPPによりその投影動作(投影の開始・停止、投影画像の設定、明るさやコントラストなど)が制御される。また、プロジェクタ200の電力はマルチコプター100の電源ユニット181から供給されている。尚、本実施形態のプロジェクタ200はマルチコプター100に直接固定されているが、例えばプロジェクタ200をマルチコプター100が備える電動ジンバルで支持することにより、投影画像の揺動を抑え、投影方向をより柔軟に変更可能とした構成にすることもできる。
【0037】
制御装置110のRAM/ROM112には画像投影プログラムIPPが登録されている。画像投影プログラムIPPは、人感センサ160が検知エリア内に人がいることを検知したときに、その出力を受けてプロジェクタ200を作動させ、路面PSに所定の画像を投影させる。
【0038】
本実施形態の情報伝達装置91は、マルチコプター100が人感センサ160を備え、マルチコプター100の近傍に人がいるときにだけ路面PSに画像を投影させることにより、投影に費やす電力を低減し、通行人に対して効率的に情報を提示することが可能とされている。また、人感センサ160の性能次第では、画像投影プログラムIPPの処理における条件分岐をより細分化し、例えば人感センサ160の検知エリア内において歩行速度が低下した通行人があるときにだけ画像を投影するようになど、情報の提示効果が期待される場合にだけ路面PSに画像を投影するようにしてもよい。または、通行人を追いかけるように画像を投影することにより広告の訴求力を高めるような態様も考えらえる。
【0039】
また、上で述べたように、本実施形態のマルチコプター100は有線給電により飛行していることから、実質的に飛行時間の制約を受けることがなく、さらに、例えば屋外においてやや外光がある場合に、プロジェクタ200から最大ルーメンの画像を長時間連続して投影することも可能とされている。尚、有線給電による飛行は本発明の必須構成ではなく、短時間の飛行(投影)を行う場合や、頻繁にバッテリー交換をすることに支障がない場合、または飛行可能エリアが制限されることが許容されない場合には、バッテリーによりマルチコプター100を飛行させてもよい。
【0040】
尚、本実施形態の情報伝達装置91では、機体の構成を簡略化するため、フライトコントローラFCの制御装置110がプロジェクタ200の制御機能も兼ねているが、マルチコプター100にプロジェクタ200専用の制御装置を別途備えたり、プロジェクタ200自体が制御装置(画像投影プログラムIPP)と人感センサ160を備えたりして、マルチコプター100の飛行制御とプロジェクタ200による画像の投影制御とを互いに独立させた構成とすることも可能である。
【0041】
このように、本実施形態の情報伝達装置91は、移動体が空中を飛行可能なマルチコプター100であることにより、車や人の往来の激しい場所や、狭小な場所、状態の悪い路面など、地上における環境要因の影響を受けることなく画像を投影することが可能とされている。また、移動体であるマルチコプター100から外部に対して画像を投影可能とすることにより、画像の投影位置を柔軟に決定および変更することが可能とされており、また、プロジェクタ200を設置する工事なども不要であることから、突発的な需要に対しても迅速かつ柔軟に応えることができる。
【0042】
尚、本実施形態における情報伝達装置91は上空から路面PSに対して画像(情報)を投影するものであるが、画像の投影対象は路面には限定されず、投影により通行人の視線が誘引される場所であれば、例えば壁面、または天井などであってもよい。
【0043】
[第2実施形態]
以下に、本発明にかかる情報伝達装置の第2実施形態について説明する。
図3は第2実施形態にかかる情報伝達装置92が路面PS(投影面)に画像を投影している様子を示す模式図であり、
図4は情報伝達装置92の機能構成を示すブロック図である。なお、以下の説明では、先の実施形態と同様または同一の機能を有する構成については、先の実施形態と同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0044】
本実施形態のマルチコプター100は、第1実施形態の情報伝達装置91とは異なり、画像の投影による情報の提示自体を目的とはしておらず、物品の運搬や施設内の警備などをその主な目的としている。
【0045】
図3の情報伝達装置92は、情報伝達装置92の進行方向側を歩行する通行人に対して自らの接近を通知し、頭上への注意を促している様子を示している。通行人が情報伝達装置92の接近を認識し、危険を回避するアクションをとるまでの時間的余裕を確保するため、本実施形態の情報伝達装置92が備える人感センサ160の検知エリア、および、プロジェクタ200の投影方向は、マルチコプター100の機首側(進行方向側)に斜め下方に向けられている。尚、第1実施形態の情報伝達装置91と同じく、例えばプロジェクタ200を電動ジンバルで支持することにより、プロジェクタ200の投影方向をより柔軟に変更可能な構成としてもよい。
【0046】
情報伝達装置92のマルチコプター100の操縦は、操縦者がプロポ(操縦者端末300)を用いて手動で行ってもよいが、本実施形態のマルチコプター100は、目的地の緯度・経度、およびその目的地までの飛行ルートや飛行高度が予め飛行制御プログラムFCPに登録されており、自律飛行により自動的に目的地へ飛行するよう設定されている。
【0047】
図4に示すように、情報伝達装置92と、第1実施形態の情報伝達装置91との機能上の違いは、情報伝達装置92がバッテリー182により飛行している点のみである(物品の運搬や施設内の警備などに別途必要となる構成についての説明は省略する)。
【0048】
このように、本発明の情報伝達装置92によれば、飛行中のマルチコプター100の下を往来する人々に対して、マルチコプター100の接近やその移動方向を通知し、頭上の注意を促すことが可能とされており、また、マルチコプター100本体に情報を表示するのではなく、マルチコプター100から外部に対して情報を投影することにより、マルチコプター100の周囲にいる人々に広く情報を提示することが可能とされている。
【0049】
[第3実施形態]
以下に、本発明にかかる情報伝達装置の第3実施形態について説明する。
図5は情報伝達装置93の機能構成を示すブロック図である。第3実施形態にかかる情報伝達装置93が路面PS(投影面)に画像を投影する態様は
図1と同様である(
図1のプロジェクタ200はプロジェクタ210に置換される)。なお、以下の説明では、先の実施形態と同様または同一の機能を有する構成については、先の実施形態と同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0050】
情報伝達装置93のマルチコプター101は照度センサ130を備えており、照度センサ130はフライトコントローラFCの制御装置110に接続されている。また、情報伝達装置93のプロジェクタ210は、ランプ光源を備える一般的なプロジェクタとレーザー光源を備えるレーザープロジェクタの組み合わせからなり、任意のプロジェクタから画像を投影可能とされている。
【0051】
上でも述べたように、画像の投影手段の種類は、本発明の情報伝達装置が使用される環境(外光の強さ、投影面の色、屋内か屋外か、など)に応じて、適宜プレゼンテーション効果の高い方法が選択される必要がある。
【0052】
情報伝達装置93の画像投影プログラムIPP2は、照度センサ130により外光の強さ測定し、照度センサ130の出力値が所定の閾値以下にあるときはランプ光源のプロジェクタを使って画像を投影する。一方、照度センサ130の出力値が所定の閾値を超えた場合には、レーザープロジェクタによりレーザーグラフィクスを投影する。この場合、レーザーグラフィクスを描画するレーザー光にはアイセーフレーザを用いることが望ましい。尚、照度センサ130の出力値の閾値は、ランプ光源のプロジェクタにより投影した画像が肉眼で認識不能となる値から、適宜余裕値を減算した値を設定すればよい。
【0053】
ランプ光源を用いて画像や映像を投影する一般的なプロジェクタは、低コストかつ豊かな色表現でプレゼンテーション効果の高い画像を投影可能である一方、屋外など外光の影響を受ける環境下では画像を鮮明に表示することができないという欠点を有している。本実施形態の情報伝達装置93は、そのようなランプ光源のプロジェクタが苦手とする環境下では、高いコヒーレンスを有するレーザー光でレーザーグラフィクスを描画可能であることから、外光の強い環境下においても、第三者に対してより正確に情報を伝達することが可能とされている。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記各実施形態では移動体としてマルチコプター100が採用されているが、移動体は常にマルチコプター100である必要はなく、例えば自動車にプロジェクタ200を搭載し、自動車から歩道に対して画像を投影するような構成も考えられる。
【符号の説明】
【0055】
91 情報伝達装置
100 マルチコプター(小型無人飛行機(移動体))
FC フライトコントローラ(制御部)
110 制御装置
FCP 飛行制御プログラム
IPP 画像投影プログラム
120 飛行制御センサ群
140 GPS受信器
R ローター(回転翼)
160 人感センサ
181 電源ユニット
200 プロジェクタ(投影手段)
PL 給電線
PS 投影面
92 情報伝達装置
182 バッテリー
93 情報伝達装置
101 マルチコプター(小型無人飛行機(移動体))
130 照度センサ
210 プロジェクタ(投影手段)
IPP2 画像投影プログラム