(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示のフック及びループ締結装置は、繊維性材料で作られた雌型締結材料と、繊維性材料用に構成されたフックを有する雄型締結材料とを有している。フックは、繊維性材料の全体厚さに関して及び/又は繊維性材料中の繊維の全体繊維断面寸法に関してサイズが取られ及び/又は形作られる特徴部を有することができる。雄型締結材料のフックは繊維性材料のループ用に構成されているため、締結中に、十分な数のループがフックによって効果的に捕捉及び保持され、雄型締結材料を用いて信頼性の高いフック及びループ締結装置を形成することができる。これらのフック及びループ装置は種々の物品とともに用いることができる。
【0006】
本開示の全体を通して、フック及びループ締結装置を、着用可能吸収性物品と用いることに対して説明する。着用可能吸収性物品を用いて、着用者から受け取った体外排泄物(例えば尿、経血、及び糞便)を吸収及び収容する。着用可能吸収性物品には、おむつ(全ての年齢の人々用)、トレーニングパンツ、失禁用下着、女性の整理用ナプキンなどが含まれる。
【0007】
しかし、本開示のフック及びループ締結装置はこのような物品には限定されない。このような装置を全ての種類の物品とともに用いることができる。例えば、本開示のフック及びループ締結装置を用いて、使い捨てのクリーニングパッドを清浄装置上の所定の位置に保持することができる。別の例としては、本開示のフック及びループ締結装置を用いて、使い捨ての衣類、医療ラップ、及び他の物品を締結することもできる。これは、当業者であれば分かることである。
【0008】
図1Aは、平坦に配置された前部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品100の内部の平面図である。物品100は、トップシート101、外部カバー103、及びトップシート101と外部カバー103との間に配置された吸収性コア102を備えている。種々の実施形態では、外部カバー103の一部、一部分、又は全てを非伸張性とするか、又は非弾性的に伸張性とするか、又は弾性的に伸張性とすることを、横方向に、又は長手方向に、又は横方向及び長手方向の両方に行なうことができる。トップシート101の一部を、外部カバー103の一部を示す切欠として例示する。
図1Aの実施形態では、外部カバー103は繊維状外側表面を有している。物品100は、物品100の後部に取り付けられた側耳部104を備えている。また物品100は、物品100を着用者の周りに締結するためのフック及びループ締結装置105を備えている。フック及びループ締結装置105は、雌型締結材料107と雄型締結材料106の部片とを備えている。
図1Aの実施形態では、雌型締結材料107は、外部カバー103の前部の外側上に配置されたランディングゾーンである。トップシート101の一部を、雌型締結材料107の一部を示す切欠として例示する。雄型締結材料106の部片が各側耳部104上に配置されている。種々の実施形態では、側耳部104の一方又は両方の一部、一部分、又は全てを、非伸張性とするか、又は非弾性的に伸張性とするか、又は弾性的に伸張性とすることを、横方向に、又は長手方向に、又は横方向及び長手方向の両方に行なうことができる。
【0009】
また使い捨て着用可能吸収性物品100を種々の代替的な実施形態で構成することもできる。物品100上の締結材料の単一部片のいずれかを、締結材料の2つ以上の部片と交換しても良い。締結材料のいずれかの任意の部片を、1つ又は複数の他の材料、層、構造、又は特徴部(本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているもの)と一体にしても良いし、又は物品100のシャーシと一体にしても良い。一例としては、雄型締結材料106を側耳部104と一体にしても良い。すなわち、側耳部104の1つ又は複数の材料によって雄型締結材料を形成しても良い。別の例としては、雌型締結材料107を外部カバー103と一体にしても良い。すなわち、外部カバー103の1つ又は複数の材料によって雌型締結材料を形成しても良い。
【0010】
雄型締結材料106及び雌型締結材料107を、異なる箇所に配置しても良い。例えば、雄型締結材料106を外部カバー103の前部の外側上に配置しても良く、雌型締結材料107の1つ又は複数の部片を各側耳部104上に配置しても良い。前部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品100を、代替的に、後方締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品として構成することができる。前部締結可能又は後方締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品を、代替的に、一方の側でのみ締結するように構成することができる。前部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品100を、代替的に、側耳部の代わりに側部マージンを伴って構成することができる。使い捨て着用可能吸収性物品100を、代替的に、取り外し可能な吸収性インサートを伴う再利用可能な着用可能吸収性物品として構成することができる。
【0011】
使い捨て吸収性物品は、一回使用した後に廃棄されるよう構成される(例えば、再利用、再保管、又は洗濯されるよう意図されない)。使い捨ての吸収性物品の例としては、使い捨ておむつとともに使い捨ての失禁用下着が挙げられる。吸収性物品の一部のものは再利用可能である。再利用可能な吸収性物品は、その一部分又は全体が1回以上使用されるように構成されている。いくつかの実施形態では、再利用可能な吸収性物品を、吸収性物品の一部又は全部が洗濯に対して耐摩耗性であるか又は十分に洗濯可能であるように構成しても良い。再利用可能な吸収性物品の例は、洗濯可能な外部カバーを伴うおむつである。他の実施形態では、再利用可能な吸収性物品を洗濯可能に構成しなくても良い。
【0012】
また、使い捨て着用可能吸収性物品100、又はその代替的な実施形態のいずれかを、雄型締結材料106及び雌型締結材料107(それらの代替的な実施形態のいずれかを含む)の一方又は両方の、1つ又は複数の部片を備える別の締結装置を用いて構成することができる。例えば、使い捨て着用可能吸収性物品100は、取り外し可能な吸収性インサートを物品100のシャーシに取り付けるための締結装置を備えることができる。別の例として、使い捨て着用可能吸収性物品100は、1つ又は複数の材料、層、構造、又は特徴部(本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているもの)を、互いに取り付けるためか又は物品100のシャーシに取り付けるための締結装置を備えることができる。
【0013】
雌型締結材料107の一部、一部分、又は全てを、本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているいずれかの方法(構造又は特徴部の任意の実行可能な組み合わせを含む)で構成することができる、例えば、雌型締結材料107を、
図3Aの雌型締結材料310(任意の代替的な実施形態を含む)と同じ方法で構成することができる、雄型締結材料106の一方又は両方の部片の一部、一部分、又は全てを、本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているいずれかの方法(構造又は特徴部の任意の実行可能な組み合わせを含む)で構成することができる。例えば、雄型締結材料106を、
図4の雄型締結材料420(任意の代替的な実施形態を含む)と同じ方法で構成することができる。
【0014】
締結装置105の一部、一部分、又は全てを、本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているいずれかの方法(構造又は特徴部の任意の実行可能な組み合わせを含む)で構成する、ことができる。一例としては、締結装置105は、前述したように、雄型締結材料106を含むことができるが、雌型締結材料としては、雌型締結材料107とは違う仕方で構成され、代わりに、当該技術分野で知られている何らかの他の雌型締結材料として構成されたものを含んでいても良い。別の例としては、締結装置105は、前述したように、雌型締結材料107を含むことができるが、雄型締結材料としては、雄型締結材料106とは違う仕方で構成され、代わりに、当該技術分野で知られている何らかの他の雄型締結材料として構成されたものを含んでいても良い。
【0015】
前部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品100の一部、一部分、又は全てを、本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているいずれかの方法(構造又は特徴部の任意の実行可能な組み合わせ(任意の代替的な実施形態を含む)を含む)で構成することができる。
【0016】
図1Bは、平坦に配置された
図1Aの前部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品100の外側の平面図である。外部カバー103の一部を、トップシート101の一部を示す切欠として例示する。また側耳部104のうちの1つの一部を、雄型締結材料106の一部を示す切欠として例示する。
【0017】
図1A及び1Bの前部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品100の任意の実施形態を、締結装置105が未締結、又は部分的に締結、又は十分に締結された状態で製造することができる。
図1A及び1Bの前部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品100の任意の実施形態を、締結装置105が未締結、又は部分的に締結、又は十分に締結された状態で販売することができる。
図1A及び1Bの前部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品100の実施形態を未締結か又は部分的に締結の状態として販売する場合、消費者、ユーザ、又は介護者によって物品を着用者の周りに十分に締結することができる。
【0018】
図2Aは、平坦に配置された側部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品200の内部の平面図である。物品200は、トップシート201、外部カバー203、及びトップシート201と外部カバー203との間に配置された吸収性コア202を備えている。種々の実施形態では、外部カバー103の一部、一部分、又は全てを、非伸張性とするか、又は非弾性的に伸張性とするか、又は弾性的に伸張性とすることを、横方向に、又は長手方向に、又は横方向及び長手方向の両方に行なうことができる。トップシート201の一部を、外部カバー203の一部を示す切欠として例示する。
図2Aの実施形態では、外部カバー203は繊維状外側表面を有している。物品200は、物品200の前部の両側及び物品200の後部の両側に取り付けられた側部パネル204を備えている。物品200はまた、物品200を着用者の周りに締結するためのフック及びループ締結装置205を備えている。フック及びループ締結装置205は、雄型締結材料206の部片と雌型締結材料207の部片とを備えている。
図2Aの実施形態では、雄型締結材料206の部片が物品200の後部内の各側耳部204の内部上に配置され、雌型締結材料207の部片が物品200の前部内の各側耳部204の外側上に配置されている。側部パネル204のうちの1つの一部を、雌型締結材料207の部片のうちの1つの一部を示す切欠として例示する。種々の実施形態では、側部パネル204の一方又は両方の一部、一部分、又は全てを、非伸張性とするか、又は非弾性的に伸張性とするか、又は弾性的に伸張性とすることを、横方向に、又は長手方向に、又は横方向及び長手方向の両方に行なうことができる。
【0019】
また使い捨て着用可能吸収性物品200を、種々の代替的な実施形態において構成することができる。物品200上の締結材料の単一部片のいずれかを、締結材料の2つ以上の部片と交換しても良い。締結材料のいずれかの任意の部片を、1つ又は複数の他の材料、層、構造、又は特徴部(本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているもの)と一体にしても良いし、又は物品200のシャーシと一体にしても良い。例として、雄型締結材料206及び/又は雌型締結材料207を側耳部204と一体にしても良い。すなわち、側耳部204の1つ又は複数の材料によって締結材料を形成しても良い。
【0020】
雄型締結材料206と雌型締結材料207とを異なる箇所に配置しても良い。例えば、雄型締結材料206を物品の前部内の側部パネル204の一方又は両方上に配置しても良いし、雌型締結材料207を物品200の後部内の側部パネル204の一方又は両方上に配置しても良い。別の例としては、雄型締結材料206の1つ又は複数の部片を側部パネル204の1つ又は複数の外側上に配置しても良く、一方で、雌型締結材料207の1つ又は複数の部片を側部パネル204の1つ又は複数の内部上に配置しても良い。
【0021】
側部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品200を、代替的に、前部にのみ、又は後部にのみ、又は一方の側部上にのみにある側部パネルを伴って構成することができる。側部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品200を、代替的に、側部パネルの代わりに側部マージンを伴って構成することができる。側部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品200を、代替的に、別個の側部パネルを用いずに、しかし物品200の前部又は後部内のシャーシの一方又は両側部上に配置された締結材料の1つ又は複数の部片を用いて構成することができる。使い捨て着用可能吸収性物品200を、代替的に、取り外し可能な吸収性インサートを伴う再利用可能な着用可能吸収性物品として構成することができる。
【0022】
また、使い捨て着用可能吸収性物品200、又はその代替的な実施形態のいずれかを、雄型締結材料106及び雌型締結材料107(それらの代替的な実施形態のいずれかを含む)の一方又は両方の、1つ又は複数の部片を含む別の締結装置を伴って構成することができる。例えば、使い捨て着用可能吸収性物品200は、取り外し可能な吸収性インサートを物品200のシャーシに取り付けるための締結装置を備えることができる。別の例として、使い捨て着用可能吸収性物品200は、1つ又は複数の材料、層、構造、又は特徴部(本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているもの)を互いに取り付けるか又は物品200のシャーシに取り付けるための締結装置を備えることができる。
【0023】
雌型締結材料207の一方の部片又は両方の部片の一部、一部分、又は全てを、本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているいずれかの方法(構造又は特徴部の任意の実行可能な組み合わせを含む)で構成することができる。例えば、雌型締結材料207を、
図3Aの雌型締結材料310(任意の代替的な実施形態を含む)と同じ方法で構成することができる。雄型締結材料206の一方の部片又は両方の部片の一部、一部分、又は全てを、本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているいずれかの方法(構造又は特徴部の任意の実行可能な組み合わせを含む)で構成することができる。例えば、雄型締結材料206を、
図4の雄型締結材料420(任意の代替的な実施形態を含む)と同じ方法で構成することができる。
【0024】
側部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品200の一部、一部分、又は全てを、本明細書で開示されているか又は当該技術分野で知られているいずれかの方法(構造又は特徴部の任意の実行可能な組み合わせ(任意の代替的な実施形態を含む)を含む)で構成することができる。
【0025】
図2Bは、平坦に配置された
図2Aの側部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品200の外側の平面図である。外部カバー203の一部を、トップシート201の一部を示す切欠として例示する。また側部パネル204のうちの1つの一部を、雄型締結材料206の部片のうちの1つの一部を示す切欠として例示する。
【0026】
図2A及び2Bの側部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品200の任意の実施形態を、締結装置205が未締結、又は部分的に締結、又は十分に締結された状態で製造することができる。
図2A及び2Bの前部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品200の任意の実施形態を、締結装置205が未締結、又は部分的に締結、又は十分に締結された状態で販売することができる。
図2A及び2Bの前部締結可能な使い捨て着用可能吸収性物品200の実施形態を未締結か又は部分的に締結の状態として販売する場合、消費者、ユーザ、又は介護者によって物品を着用者の周りに十分に締結することができる。
【0027】
本明細書で開示した着用可能吸収性物品のいずれも、種々の構造及び/又は特徴部を伴って構成することができる。これは当業者であれば分かることである。一例としては、着用可能吸収性物品は、以下の層のうちのいずれかを備えることができる(着用者の皮膚から外部へ)。トップシート、獲得層、分配層、コアカバー、貯蔵層、除塵層、及び/若しくは外部カバー、並びに/又は当該技術分野で知られた1若しくは複数の他の層。各層は、当該技術分野で知られたいずれかの方法で構成されている。着用可能吸収性物品内の層を、種々の材料(例えば繊維ウェブ、フィルム、紙、ティッシュなど、及びこれらのうちのいずれかの任意の組み合わせから当該技術分野で知られた何らかの方法で作られたラミネート)のうちの1つ又は複数から形成することができる。着用可能吸収性物品内の各層を、種々の適切な特性(例えば、親水性、疎水性、液体透過性、液体不透性、多孔性、通気性、伸張性、弾性、不透明度、透明性、強度、及び/又は柔軟性など)を伴って、当該技術分野で知られた何らかの方法で、構成することができる。
【0028】
吸収性コアは、1つ又は複数の吸収性材料、例えば超吸収性材料及び/又は天然材料を含むことができる(種々の形態に加工しても良いししなくても良い)。種々の実施形態では、トップシート、獲得層、分配層、コアカバー、貯蔵層、及び/又は除塵層のうちの一部、一部分、又は全ては、種々のコーティング及び/又は添加剤(例えば、ローション、芳香剤、及び知覚剤)を、種々の目的(例えば、抗菌作用、脱臭、皮膚健康の促進など)用に含むことができる。吸収性コアは、バケット形状の吸収性コアとして、取り外し可能な吸収性コアの一部として、交換可能な吸収性コアの一部として、吸収性コアアセンブリの一部などとして、構成することができる。
【0029】
また、使い捨て着用可能吸収性物品は以下のうちのいずれかを備えることができる。ウエストバンド、完成したウエスト縁、レッグバンド、完成した股ぐり、外部レッグカフ、内部レッグカフ、及び/又はバリアレッグカフである。更に、使い捨て着用可能吸収性物品は、以下のうちのいずれかを備えることができる。糞便密閉格納室、1つ又は複数の湿潤度表示器、使い捨てテープなど。更にまた、使い捨て着用可能吸収性物品の種々の構造及び特徴部は、手工芸品、受動グラフィックス、能動グラフィックス、印、及び製品情報を、当該技術分野で知られた任意の組み合わせで含むことができる。
【0030】
更に、本開示の実施形態のいずれかを、以下の文献に記載されたように構成できることが考えられる。PCT特許出願第(要決定)号明細書、発明の名称「フック締結具」(2011年11月10日出願)、代理人整理番号305090CHH34C WO PCT、アプリックス(Aplix),S.A.(パリ、フランス)、名義はティエリ−マルシェ(Thierry Marche)ら。なおこの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。具体的には、本明細書で開示された雄型締結材料(任意のフック構成を含む)のいずれか、雌型締結材料のいずれか、及びフック及びループ締結装置のいずれかを、本明細書に記載されたように構成することができる。
【0031】
図3Aは、雌型締結材料310の一部の拡大側面図である。雌型締結材料310は、所定の全体厚さ316を伴う繊維性材料である。
図3Aの実施形態では、雌型締結材料310は不織材料である。不織材料は複数の繊維314を有している。各繊維314は所定の全体繊維断面寸法を有している。
【0032】
種々の実施形態では、本明細書で開示されたように、又は当該技術分野で知られているように、雌型締結材料310を、雄型締結材料の取外し可能嵌合フックに適した任意の繊維性材料又は任意の他の材料とすることができる。一例としては、使い捨て着用可能吸収性物品の外部カバーの繊維状外側表面を雌型締結材料として用いることができる。いくつかの実施形態では、雌型締結材料310を、基板として働く材料の層上に配置することができる。
【0033】
繊維状材料を、種々のタイプの繊維(例えば、動物繊維、植物繊維、鉱物繊維、人工の繊維など)の1つ又は複数から作ることができる。繊維状材料には、短繊維、長繊維、連続繊維、及び/若しくは種々の長さの繊維又はこれらのいずれかの組み合わせを含めることができる。場合によっては、繊維性材料は別の材料を含むことができるし、別の材料に接合することもできるし、又は別の材料中に取り入れることもできる。繊維状材料は、多くの形態(例えば、布地、織物、及び複合物)を取ることができる。布地の例としては、繊維状織物(織られたか又は編まれた布地)、フェルト、不織布などが挙げられる。繊維状複合物の例は、高分子繊維を伴う複合材料である。
【0034】
本開示の全体を通して、不織布材を用いて種々の実施形態を説明及び例示する。しかし、本開示の実施形態は不織布材に限定されず、広範囲の繊維状材料(例えば、前述したものなど)に同様に適用することができると考えられ、これは当業者であれば分かることである。本明細書で用いる場合、用語「不織材料」は、不均一で、不規則で、又はランダムな方法で挿入された繊維(しばしば、細糸と言われる)のシート状構造(例えば、ウェブ)を指す。不織布材料は、単層構造でも多層構造でもよい。不織材料中の各層は、1種類の繊維を含むこともできるし、又は2種類以上の繊維であって、各種類の繊維は、本明細書に記載されているか又は当該技術分野で知られているいずれかの方法で構成されている2種類以上の繊維を含むことができる。また、不織布材料をフィルムのような別の材料と接合して積層体を形成することも可能である。不織布ウェブを接合して、ウェブに対する一体性を実現し及び/又は不織布ウェブを別の材料に取り付けることができる。
【0035】
不織布材料は、様々な天然及び/又は合成材料から作製することができる。代表的な天然材料としては、木綿、ジュート、パルプなどのようなセルロース繊維が挙げられ、かつレーヨン又はビスコースのような再加工されたセルロース繊維もまた含まれ得る。不織材料に対する天然繊維を、種々のプロセス例えばカーディングを用いて調製することができる。特に、不織材料を、再生可能材料から作られた繊維から作ることができる。典型的な合成材料としては、繊維を形成することが知られている合成熱可塑性ポリマーが挙げられる(但し、これに限定されない)。例えば、これらに限定されないが、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなど);ポリアミド(例えば、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン10、ナイロン12など);ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸など);ポリカーボネート;ポリスチレン;熱可塑性エラストマー;ビニルポリマー;ポリウレタン;とともに、これらのブレンド及びコポリマー、並びに当該技術分野で知られた任意の添加剤又は加工助剤である。これらの材料のうちのいずれかを用いて1つ又は複数の単一成分繊維を形成することができ、またこれらの材料のうちのいずれかの任意の組み合わせを用いて、任意の種類の多成分繊維の1つ又は複数を任意の構成で形成することができる。
【0036】
相対的に長さが短い(例えば、40mm以下)の繊維は通常、乾式レイイング(例えば、カーディング又はエアレイイング)又は湿式レイイングのようなプロセス用いて不織布に製造される。連続繊維又は細糸を溶融熱可塑性物質又は化学溶液から紡いでウェブに形成することを、例として、スパンレイイング/スパンボンディング、メルトブロウイング、又は電界紡糸を用いて行なうことができる。不織布を形成するための別のプロセスはフィルムフィブリル化である。またこれらのプロセスを組み合わせて、複合物又は層状布地構造を形成することができる。
【0037】
繊維性材料中の各層又は繊維性材料中の特定の繊維を、種々の適切な特性(例えば、空気透過性、多孔性、通気性、伸張性、弾性、不透明度、透明性、強度、及び/又は柔軟性など)を伴って、当該技術分野で知られた何らかの方法で構成することができる。
【0038】
また雌型締結材料として用いる繊維性材料を、当該技術分野で知られている任意の接合パターン及び任意のプリンティングを伴って構成することができる。例えば、雌型締結材料を、以下の文献に記載されたように接合パターン及び/又はプリンティングを用いて構成することができる。公開米国特許出願第20100298796号明細書、発明の名称「接合及びプリントされた繊維状材料を伴う着用可能な吸収性物品」(2010年5月20日出願、プロクター&ギャンブル社、名義はホーンら)。
【0039】
一例としては、フック及びループ締結装置において雌型締結材料として用いる繊維性材料を、複合繊維(構成成分はプロピレン−エチレンコポリマー(80%)とプロピレンホモ−ポリマー(20%))を並列構成で配列したものから作った不織材料とすることができる。
【0040】
以下は、フック及びループ締結装置内で用いるのに適した雌型締結材料の更なる例である。一例は、3M社(セントポール(St. Paul)、ミネソタ州(Minnesota)、米国)から、商品名EBLで入手できる不織布である。別の例としては、裏地から突き出た複数の成形された嵌合要素が挙げられる。例えば、ギルフォード(Guilford)18904(入手先は、ギルフォードミル(グリーンズボロ(Greensboro)、ノースカロライナ州、米国))という名の市販材料である。他の例は、3M社(セントポール、ミネソタ州、米国)から商品名KLTで入手できる。
【0041】
同じものを製造する安価な雌型締結材料及び方法が、米国特許第5,032,122号明細書、発明の名称「締結装置用のループ締結材料及びその製造方法」(1991年7月16日、ノエル(Noel)らに付与)に記載されている。別の例が、米国特許第5,326,612号明細書、発明の名称「再締結可能な締結装置用の不織布雌部材及びその製造方法」(1994年7月5日に、ディビッド(David)J.K.グーレイト(Goulait)に付与)に記載されている。更に別の例が、米国特許第5,595,567号明細書、発明の名称「再締結可能な締結装置用の不織布雌部材」(1997年1月21日にウィリー(Willie)F.キング(King)らの名義で付与)に記載されている。更に他の例が、米国特許第5,624,427号明細書、発明の名称「再締結可能な締結装置用の雌部材」(1997年4月29日に、カール(Carl)L.バーグマン(Bergman)らの名義で付与)に記載されている。これらの特許文献はそれぞれ、本明細書において参照により取り入れられている。
【0042】
雌型締結材料310の全体厚さ316を、「繊維性材料の厚さを測定するための試験方法」という題名のセクションにおいて本明細書で説明したように測定する。種々の実施形態では、全体厚さ316を、1〜1000マイクロメートル、又は1〜1000間のマイクロメートルに対する任意の整数値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、全体厚さを、350、500、若しくは650マイクロメートル、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。雌型締結材料310の坪量を、10〜100グラム/平方メートル、又は10〜100間のグラム/平方メートルに対する任意の整数値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。
【0043】
図3Bは、
図3Aの雌型締結材料310からの繊維314の更なる拡大断面図である。繊維314は所定の全体繊維断面寸法315を有している。繊維314の形状は丸いため、繊維314の全体断面形状は円形であり、全体繊維断面寸法315は、繊維314の円形の全体断面形状の直径である。非円形断面の繊維の場合は、全体繊維断面寸法は、繊維の断面に渡って直線的に測定された最大距離である。繊維の全体繊維断面寸法は、繊維の拡大像上で測定を、機器を用いて、高い倍率で行なうことによって決定することができる。例えば、走査型電子顕微鏡を用いることができる。
【0044】
雌型締結材料310は種々のサイズ及び形状の繊維を含むことができる。例えば、雌型締結材料310中の繊維の一部又は全部の全体断面寸法を、5〜150マイクロメートル、又は5〜150マイクロメートル間のマイクロメートルに対する任意の整数値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、全体厚さを、25マイクロメートル未満、20マイクロメートル未満、若しくは15マイクロメートル未満、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。一例としては、雌型締結材料310中の繊維の一部又は全部の全体断面形状を、円形、楕円形、ほぼ四角形、矩形、三角形、星形、中空多葉、若しくは当該技術分野で知られた任意の他の形状、又はこれらのいずれかの組み合わせとすることができる。一例としては、フック及びループ締結装置において雌型締結材料として用いる繊維性材料を、複合繊維(全体断面寸法が17マイクロメートルで全体断面形状が丸い)から作られた不織材料とすることができる。
【0045】
図4は、雄型締結材料420の一部の拡大等角投影図である。
図4では、前記一部を材料のより大きい部片から剥がしたものとして示している。雄型締結材料420は、全体的に平面形状の基板422上に配置された複数の双方向性マイクロサイズフック424を備えている。各フック424を、
図5A〜5Dのフック530(任意の代替的な実施形態を含む)と同じ方法で構成することができる。代替的に、雄型締結材料420はまた、他の方法で構成された1つ又は複数のフックを含むことができる。
図4の実施形態では、フック424及び基板422は同じ材料から作られており、フック424は基板422の一体部分である。雄型締結材料420を、広範囲の成形可能及び/又は形成可能な材料(例えば、本明細書で説明した天然若しくは合成材料及び/又は当該技術分野で好適であると知られている任意の他の好適な材料のいずれか)から、任意の実行可能な組み合わせで、当該技術分野で知られた任意の添加剤又は加工助剤とともに、作ることができる。特定の例として、雄型締結材料420を、種々の再生可能材料から作ることができる。例えば、再生可能なバイオマス源(例えば、砂糖、デンプン、セルロース、バイオポリマーなど)から得られたバイオプラスチックである。種々の代替的な実施形態では、フック及び基板を、別個に形成しても良いし、又は異なる材料から作っても良い。
【0046】
フック424を、雄型締結材料420に渡って種々のパターン及びフック密度で分配することができる。例えば、フック424は、行及び/若しくは列に配列することもできるし、又は当該技術分野で知られた任意の他のフック配列に配列することもできる。種々の実施形態では、雄型締結材料のフック密度を、10〜1,000フック/平方センチメートル、又は10〜1,000間の任意の整数のフック、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。
【0047】
以下は、フック及びループ締結装置内で用いるのに適した雄型締結材料の例である。雄型締結材料は、任意の形状例えば「J」形状、「T」形状、又はマッシュルーム形状、又は当該技術分野で知られた任意の他の形状を有するフックを含むことができる。典型的な雄型締結材料は、アプリックス社(シャーロット(Charlotte)、ノースカロライナ州、米国)から、商品名960、957、及び942で入手できる。他の雄型締結材料が、3M社(セントポール、ミネソタ州、米国)から、商品名CS200、CS300、MC5、及びMC6で入手できる。更に他の雄型締結材料が、米国特許第5,058,247号明細書、発明の名称「機械的な締結突起物」(1991年10月22日にトーマス(Thomas)に付与)に記載されている。なおこの文献は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0048】
雄型締結材料420及びその上のフック424を、当該技術分野で知られている任意の好適なプロセスによって作ることができる。例えば、雄型締結材料を、鋳造、成形、異形押出、又は微細複製によって作ることができる。更に、雄型締結材料は、以下の米国特許のいずれかに記載された任意のプロセスを用いることによって作ることができる。第3,192,589号明細書、第3,138,841号明細書、第3,266,113号明細書、第3,408,705号明細書、第3,557,413号明細書、第3,594,863号明細書、第3,594,865号明細書、第3,718,725号明細書、第3,762,000号明細書、第4,001,366号明細書、第4,056,593号明細書、第4,189,809号明細書:第4,290,174号明細書、第4,454,183号明細書、第4,894,060号明細書、第5,077,870号明細書、第5,315,740号明細書、第5,607,635号明細書、第5,679,302号明細書、第5,879,604号明細書、第5,845,375号明細書、第6,054,091号明細書、第6,206,679号明細書、第6,209,177号明細書、第6,248,419号明細書、第6,357,088号明細書、第6,481,063号明細書、第6,484,371号明細書、第6,526,633号明細書、第6,635,212号明細書、第6,660,202号明細書、第6,728,998号明細書、第6,737,147号明細書、第6,869,554号明細書、第RE38、652号明細書、第6,982,055号明細書、第7,014,906号明細書、第7,048,818号明細書、第7,032,278号明細書、第7,052,636号明細書、第7,052,638号明細書、第7,067,185号明細書、第7,172,008号明細書、第7,182,992号明細書、第7,185,401号明細書、第7,188,396号明細書、及び第7,516,524号明細書。各文献は、本明細書において参照により取り入れられている。
【0049】
別の代替的な実施形態では、フックを互いに接合して、雄型締結材料を、全体的に平面形状の基板を用いないで形成しても良い。例えば、雄型締結材料を、材料の1若しくは複数のストリップ上に配置されたか又は材料の1若しくは複数のより線上に配置された複数のフック、又は互いに接合されて材料の1若しくは複数のストリップ又は1若しくは複数のより線を形成するフック、又は1若しくは複数の他の共通要素に接続されたフックから、当該技術分野で知られた任意の方法で作ることができる。
【0050】
図5Aは、雄型締結材料の基板522の一部の上面523上に配置された双方向性マイクロサイズフック530の前部532の拡大図である。
図5Aでは、基板522の前記一部を、材料のより大きい部片から剥がしたものとして示している。フック530は双方向性である。なぜならば、キャップ570は、フック530の対向する側部536から延びる2つのアーム580を有しているからである。フックの側部536は、フック530の外側部分であり、フック530の前部532とフック530の後部534との間である。フック530は双方向フックであるが、フック530の構造、特徴部、サイズ、又は寸法のいずれかを、単方向性フック(1つのアームであり、1つの方向にフック留めするように構成されている)に、又は多方向フック(2つを超えるアームであり、各アームが異なる方向にフック留めするように構成されている)に、同様に適用できることが考えられる。
【0051】
図5Aの実施形態では、フック530のアーム580の両方が同じ方法で構成されている。しかし、フック530のアーム580の構造、特徴部、サイズ、又は寸法のいずれかを双方向フックの一方のアームに適用することができ、一方で、他方のアームを異なる方法で構成することができることも考えられる。更に、フック530のアーム580の構造、特徴部、サイズ、又は寸法のいずれかを、多方向フックの2つ以上のアームに適用可能であり、一方で、そのフック上の1つ又は複数の他のアームを1つ又は複数の異なる方法で構成可能であることが考えられる。
【0052】
フック530は、基部550、茎部560、及びキャップ570を備えている。またフック530は側部536を有している。フック530は、基板522から上向き方向545(基板522に垂直)に突き出ている。またフック530は幅方向547を有している。幅方向547は、基板522の全体的な平面形状と平行であり、キャップ570に渡って測定した最大直線寸法と平行である。
図5Aの実施形態では、幅方向547はまた、フック530の前部532に平行であり、側部536に垂直である。またフック530は厚さ方向541を有している。これは、基板522に平行で幅方向547に垂直である。厚さ方向541は、
図5Aにおいてページに垂直であるため、厚さ方向541を
図5B及び5Cに示す。
【0053】
基部550は基板522に取り付けられ、茎部560は基部550に取り付けられ、キャップ570茎部560に取り付けられている。キャップ570は所定の全体キャップ高579を有している。これは、
図5Dに関して説明したように測定される。またフック530は所定の全体フック高539を有し、全体フック高は、基板522の上面523からフック530の外側表面上の最高点(基板522の上面523から最も遠い)まで、上向き方向545に直線的に測定したものである。
図5Aの実施形態では、キャップ570の頂点538はフック530の外側表面上の最高点である。またフック530は中心軸543を有している。これはフックの中心を通過するものである。
図5Aの実施形態では、中心軸543は上向き方向545によって位置合わせされているが、種々の実施形態では、中心軸543は基板522に対して垂直でなくても良い。すなわち、フックを幅方向547及び/又は厚さ方向541に傾いていても良い。また、種々の実施形態では、キャップ570には頂点がなくても良く、しかし、曲線的な最上部、若しくは平坦な最上部、若しくはくぼんだ最上部、若しくは当該技術分野で知られた任意の他の形状、又はこれらのいずれかの組み合わせがあっても良い。
【0054】
フック530を締結装置の雄型締結材料上で用いて、締結装置が雌型締結材料として繊維性材料を用いる場合、全体フック高539のサイズを繊維性材料の全体厚さ、例えば雌型締結材料310の全体厚さ316とすることができる。全体フック高539を、繊維性材料の全体厚さの33〜200%、又は繊維性材料の全体厚さの33%〜200%間の割合の任意の整数値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、全体フック高539は、繊維性材料の全体厚さの33%、50%、100%、150%、若しくは200%、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。この理論に束縛されるものではないが、前述したように、所定の全体フック高539を繊維性材料の全体厚さに基づいて選択することによって、フック530は繊維性材料を著しい深さまで貫通することができ、その結果、フック530が、フック530に捕捉された繊維に直面する可能性が増えると考えられる。
【0055】
図5Bは、基板522の一部の上面523上に配置された
図5Aのフック530の拡大側面図である。
図5Bでは、基板522の前記一部を、材料のより大きい部片から剥がしたものとして示している。フック530は前部532と後部534とを有し、それぞれ実質的に平坦であるが、種々の実施形態では、前部532及び/又は後部534は平坦でなくても良い。
図5Bに厚さ方向541を例示している。これは基板522に平行で幅方向547に垂直である。
図5Aの実施形態では、厚さ方向541はまた、フック530の前部532及び後部534に垂直である。
【0056】
図5Cは
図5Aのフックの拡大平面図である。フック530の平面図はキャップ570の平面図を示している。キャップ570は、前縁572、後縁574、及び側縁576を有している。
図5Aの実施形態では、これらの縁はそれぞれ実質的に平坦であるが、種々の実施形態では、これらの縁のうちいずれかが平坦でなくても良い。例えば、キャップ570の縁のうちいずれかを内側又は外部に湾曲させて凹形又は凸形形状を形成することもできるし、又はその幾何学的形状を他に変形させることもできる。前縁572及び後縁574は、幅方向547と平行及び互いに平行であるが、種々の実施形態では、これらの縁は平行でなくても良い。側縁576は、厚さ方向541と平行及び互いに平行であるが、種々の実施形態では、これらの縁は平行でなくても良い。前縁572及び後縁574は同じ全体幅557(幅方向547に直線的に測定)であるが、種々の実施形態では、前部及び後縁の全体幅は異なっていても良い。側縁576は同じ全体厚さ578(厚さ方向541に直線的に測定)を有しているが、種々の実施形態では、側縁の全体幅は異なっていても良い。
【0057】
前縁572、後縁574、及び側縁576は共に、フック530の頂点538の上方から見ると、所定の垂直嵌合有効領域577を画定している。すなわち、垂直嵌合有効領域577は、基板522に平行でフック530の最高点の上方にある平面内で測定した面積であり、この面積はキャップ570の周囲によって画定されている。
図5Cの実施形態では、キャップ570の周囲は、前縁572、後縁574、及び側縁576によって形成されているため、これらの縁によって垂直嵌合有効領域577が画定されている。
図5Cの実施形態では、垂直有効嵌合面積577の全体形状は矩形であるが、種々の実施形態では、全体形状は縁のサイズ及び形状に基づいて変わっても良い。
【0058】
垂直有効嵌合面積577は幅対厚さのアスペクト比を有している。これは、垂直嵌合有効領域577の最も広い全体幅を垂直嵌合有効領域577の最も厚い全体厚さで割ったものとしてとして規定される。幅対厚さのアスペクト比は、1〜2、又は1〜2間で0.01単位の任意の値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、幅対厚さのアスペクト比は、1.2、1.3、1.6、1.8、若しくは1.9、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。
図5Cの実施形態では、垂直有効嵌合面積577は幅対厚さのアスペクト比を有しており、これは全体幅557を全体厚さ578で割ったものである。この理論に束縛されるものではないが、前述したように、これらのアスペクト比を垂直有効嵌合面積577に対して選択することによって、フック530のキャップ570の全体形状がそれほど細長くはなくなり、繊維性材料における開口部(繊維間の)内により容易にはまる結果、フック530が繊維性材料を貫通できる可能性が増加することが考えられる。
【0059】
垂直有効嵌合面積577のサイズを、40,000〜120,000平方マイクロメートル、又は40,000〜120,000平方マイクロメートル間で5,000平方マイクロメートル単位の任意の値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、垂直有効嵌合面積577は、40,000、50,000、60,000、90,000、100,000、若しくは120,000平方マイクロメートル、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。この理論に束縛されるものではないが、前述したように、これらの範囲寸法を垂直有効嵌合面積577に対して選択することによって、フック530のキャップ570の全体サイズが十分に小さくなり、繊維性材料における開口部(繊維間の)内に容易にはまる結果、フック530が繊維性材料を貫通できる可能性が増加することが考えられる。
【0060】
図5Dは、
図5Aのフック530の前部532の一部の更なる拡大図である。
図5Dでは、前記一部を、フック530の残りから剥がしたものとして示す。
図5Dにキャップ570の一部を示す。
図5Dに示すキャップ570の一部には、側部536から外部へ延びるアーム580が含まれている。
【0061】
アーム580の構造及び寸法は複数の基準点に関して規定される。1つの基準点はアーム580上の最遠点582である。最遠点582は、フックの側部536から外部へ最も遠いアーム580上の点である。
図5Dでは、最遠点582はまた、中心軸543から最も遠いキャップ570の側端部576上の点である。別の基準点はアーム580の突端部上の最低点584である。最低点584は、基板522の上面523に最も近いアーム580の突端部(側部536付近に配置されていないアーム580部分)上の点である。更に他の基準点は側部点564である。側部点564はフック530の側部536上の点である。側部点564の特定の箇所は、基板522に平行な基準面によって規定される。基準面はアーム580上の最低点584を通過する。側部点564は、基準面内の点であって、最低点584に最も近いフックの側部536上の点である。
【0062】
アーム580は側部点564から始まる。側部点564の上方に取り付けられ、側部点564から外側よりに配置されたフック530部分は、アーム580として規定される。アーム580は、側部536から、幅方向547に、アーム580上の最遠点582まで延びる。フックに、側部点の上方に取り付けられて側部点から外側寄りに配置された部分が含まれていない場合には、本開示の目的上、フックにはアームは含まれていない。
【0063】
キャップ570は、所定の全体キャップ高579を有し、全体キャップ高579は、最低点584からキャップ570の最も高い高さまで上向き方向545に直線的に測定した値である。キャップ570の最も高い高さは、
図5Dにおけるキャップ570の頂点538である。
【0064】
フック530を締結装置の雄型締結材料上で用いて、締結装置が雌型締結材料として繊維性材料を用いる場合、全体キャップ高579のサイズを、繊維性材料の全体厚さ、例えば雌型締結材料310の全体厚さ316とすることができる。全体キャップ高579を、繊維性材料の全体厚さの1〜33%、又は繊維性材料の全体厚さの厚みの1%〜33%間の割合の任意の整数値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、全体キャップ高579を、繊維性材料の全体厚さの20%以下又は25%以下とすることができる。この理論に束縛されるものではないが、前述したように、これらの相対寸法を全体キャップ高579に対して選択することによって、フック530のキャップ570の全体サイズが十分に短くて、大きなオープンスペースがアーム580上の最低点584と基板522の上面523との間に存在するようになる結果、相対的により多い繊維がアーム580下にはまりことができるとともに、繊維がフック530によって捕捉される可能性が増加することが考えられる。
【0065】
また、全体キャップ高579のサイズを、繊維性材料の全体繊維断面寸法、例えば雌型締結材料310の繊維314の全体繊維断面寸法315とすることができる。全体キャップ高579は、全体繊維断面寸法の1〜8倍、又は全体繊維断面寸法の1〜8倍間の任意の整数値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、全体キャップ高579を、全体繊維断面寸法の6倍以下又は7倍以下とすることができる。この理論に束縛されるものではないが、前述したように、これらの相対寸法を全体キャップ高579に対して選択することによって、フック530のキャップ570の全体サイズが十分に短くて、フック530が繊維性材料を通って移動するときにキャップ570の側部が繊維と干渉する可能性が低くなることが考えられる。
【0066】
更に、全体キャップ高579のサイズを特定の寸法にすることができる。全体キャップ高579を、5〜120マイクロメートル、又は5〜120マイクロメートル間で5マイクロメートル単位の任意の値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、全体キャップ高579を、80マイクロメートル以下又は100マイクロメートル以下にすることができる。この理論に束縛されるものではないが、前述したように、これらの特定の寸法を全体キャップ高579に対して選択することによって、フック530のキャップ570の全体サイズが十分に短くて、大きなオープンスペースがアーム580上の最低点584と基板522の上面523との間に存在するようになる結果、相対的により多い繊維がアーム580の下にはまることができるとともに、繊維がフック530によって捕捉される可能性が増加することが考えられる。
【0067】
アーム580は、下面590(ある程度下方に向かうアーム580の最下部)が基板522の上面523の方を向いている。種々の実施形態では、フックのアームは凹部を含んでいても良いしそうでなくても良い。アームの下面の外側表面に、アーム上の最低点からよりも基板の上面からの方が遠い点が含まれている場合、アームには凹部が含まれている。
図5Aの実施形態では、アーム580の下面590には、アーム580上の最低点584からよりも基板522の上面523からの方が遠い複数の点が含まれているので、アーム580には凹部591が含まれている。
【0068】
アームの下面の外側表面にアーム上の最低点からよりも基板の上面からの方が遠い点が含まれていない場合、アームには凹部が含まれていない。例えば、フックは、フックが取り付けられている基板の上面に平行な下面を伴うアームを含むことができる。この例では、フックはアームを含んでいるが、アームは凹部を含んではいない。
【0069】
凹部591の全体凹幅597は、アーム580上の最低点584(前述した)から側部点564まで幅方向547に直線的に測定したものである。フック530を締結装置の雄型締結材料上で用いて、締結装置が雌型締結材料として繊維性材料を用いる場合、全体凹幅597のサイズを、繊維性材料の全体繊維断面寸法、例えば雌型締結材料310の繊維314の全体繊維断面寸法315にすることができる。全体凹幅597は、全体繊維断面寸法の200〜500%、又は全体繊維断面寸法の200%〜500%間の割合の任意の整数値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、全体凹幅597は、全体繊維断面寸法の200%、300%、400%、若しくは500%、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。この理論に束縛されるものではないが、前述したように、これらの相対寸法を全体凹幅597に対して選択することによって、2〜5本の繊維が凹部591にはまり合うことができ、その結果、繊維をフック530によって保持できる可能性が増加することが考えられる。
【0070】
凹部591の最深凹深さ599は、アーム580上の最低点584(前述した)からアーム580の下面590上の最深点596まで上向き方向545に直線的に測定したものである。最深点596は、アーム580の下面590の外側表面上の点であり、最低点584と側部点564との間にあり、基板522の上面523から最も遠い点である。
図5Dの実施形態では、凹部591は滑らかであり連続的に湾曲している。しかし、種々の実施形態では、凹部の表面は、平坦であるか、又は粗いか、又は不規則であるか、又は湾曲していて1つ又は複数の切れ目によって分離された曲線を伴うものとすることができる。
【0071】
フック530を締結装置の雄型締結材料上で用いて、締結装置が雌型締結材料として繊維性材料を用いる場合、最深凹深さ599のサイズを、繊維性材料の全体繊維断面寸法、例えば雌型締結材料310の繊維314の全体繊維断面寸法315とすることができる。最深凹深さ599は、全体繊維断面寸法の40〜200%、又は全体繊維断面寸法の40%〜200%間の割合の任意の整数値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、最深凹深さ599は、全体繊維断面寸法の50%、60%、100%、若しくは150%、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。この理論に束縛されるものではないが、前述したように、これらの相対寸法を最深凹深さ599に対して選択することによって、1つ又は複数の繊維が凹部591にはまり合うことができ、繊維がフック530によって保持される可能性が増加することが考えられる。
【0072】
最深凹深さ599はまた、全体キャップ高579に関してサイズ取りすることができる。最深凹深さ599を、全体キャップ高579の10〜60%、又は全体キャップ高579の10%〜50%間の割合の任意の整数値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、最深凹深さ599は、全体キャップ高579の10%、20%、50%、若しくは60%、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。
【0073】
アーム580は最も細いアーム部588を有する。これは(凹部591に対応するアーム部分において)上向き方向545に直線的に測定した場合である。フック530を締結装置の雄型締結材料上で用いて、締結装置が雌型締結材料として繊維性材料を用いる場合、最も細いアーム部588のサイズを繊維性材料の全体繊維断面寸法、例えば雌型締結材料310の繊維314の全体繊維断面寸法315にすることができる。最も細いアーム部588を、全体繊維断面寸法の70〜760%、又は全体繊維断面寸法の70%〜760%間の割合の任意の整数値、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。例として、最も細いアーム部588は、全体繊維断面寸法の100%、150%、500%、若しくは760%、又はこれらの値のいずれかによって形成された任意の範囲とすることができる。
【0074】
図6は、雄型締結材料の基板622の上面623上に配置された別の双方向性マイクロサイズフック630の前部632の拡大図である。フック630の要素は、
図5A〜5Dのフック530の同様に番号付けされた要素と同じ方法で構成されている。但し、別に後述する場合を除く。フック630には、基部650であって、基板622の上面623から上方645にたどったときに狭くなりそして広くなりそして再び狭くなることが茎部660に至るまで生じる基部650が含まれている。アーム680の下面690は凹部691を有している。各凹部691は、茎部660の点693から外に向かって平坦で角度が付いている。凹部691はまた、平坦部分をアーム680の突端部付近の曲面から分離する途切れ694を含んでいる。フック630のキャップ670の最上部は凹部675を伴っている。その結果、フック630の外側表面上の最高点は、中心軸643に配置された頂点ではなく、しかし凹部675の縁における点637である。一部、一部分、又は全てのフック630は、
図5A〜5Dのフック530に対して開示された代替的な実施形態のうちのいずれかにより構成することもできる。
【0075】
本開示のフック及びループ締結装置は、繊維性材料で作られた雌型締結材料と、繊維性材料用に構成されたフックを有する雄型締結材料とを有している。フックは、繊維性材料の全体厚さに関してサイズ取りする所定の全体フック高を有することができる。フックは、サイズ及びアスペクト比が規定された所定の垂直嵌合有効領域を有することができる。またフックは、所定の全体キャップ高を有することができ、全体キャップ高は、繊維性材料の全体厚さに関して及び/又は繊維性材料中の繊維の全体繊維断面寸法に関してサイズがきめられる。フックは更に、繊維性材料中の繊維の全体繊維断面寸法に関してサイズを取った凹部を含む下面を伴うアームを有することができる。雄型締結材料のフックは繊維性材料のループ用に構成されているので、締結中に、十分な数のループがフックによって効果的に捕捉及び保持され、雄型締結材料を用いて信頼性の高いフック及びループ締結装置を形成することができる。
【0076】
繊維性材料の厚さを測定するための試験方法
一般的に、繊維性材料の全体厚さを以下のように測定する。厚さ測定を、小野測器(Ono Sokki)デジタルキャリパー(GS−503リニアゲージセンサにDG−3610デジタルゲージを取り付けたもの、小野測器社、日本、又は同等物)(0.01ミリメートルまで測定可能)を用いて行なう。円形フットの直径は25.4ミリメートルであり、印加圧力は0.689キロパスカルである。同じ繊維性材料の少なくとも5つの試験サンプルを測定する。試験前に、各試験サンプルを、平坦面上に配置して、23±2℃及び50±2%の相対湿度において2時間コンディショニングする。測定を同じ環境条件下で行なう。各試験サンプルに対して、試験サンプルの長手方向中心に対応する試験場所において、試験サンプルの全体横方向幅の25%、50%。及び75%において3回測定を行なう。各測定において、試験サンプルをキャリパーのアンビル上に配置することを、本体対向面が下方を向き、試験場所がフット下の中心にくる状態で行なう。フットを約5ミリメートル/秒で下げることを、フットが試験サンプル上に載るまで行なう。キャリパーからの読み取り値を滞留時間5秒後に取って、0.01ミリメートル単位で記録する。フットを上げて、測定を残りの2つの試験場所において同様の方法で繰り返す。全ての測定値の平均値を、0.01ミリメートル単位で報告する。この試験方法を用いて、繊維性材料の全体厚さ(例えば、
図3Aの雌型締結材料310の全体厚さ316)を測定することができる。
【0077】
またこの試験方法を用いて、使い捨て着用可能吸収性物品のランディングゾーンとして用いる雌型締結材料の全体厚さを測定することができる。これについては後述する。各ランディングゾーンは試験サンプルであると考えられる。同じランディングゾーンの少なくとも5つの試験サンプルを測定する。各ランディングゾーンを確認した後に物品から取り外すことを、試験サンプルを著しく伸ばすことも歪めることもないように注意して行なう。必要に応じて、低温凍結スプレー(サイトフリーズ(CytoFreeze)(コントロール社(Control Company)、テキサス州)として入手可能、又は同等物)を用いて、ランディングゾーンの取り外しを容易にすることができる。取り外した後に、ランディングゾーンを試験サンプルとして処理し、前述したように試験する。
【0078】
繊維性材料の厚さに対する典型的なデータ
現在市場の使い捨て着用可能吸収性物品からのランディングゾーンの全体厚さを測定した。ランディングゾーンは、ラブ(Luv)のサイズ4のおむつの6つの試験サンプルから取った不織布のランディングゾーンであった。ランディングゾーンを取り外して、ランディングゾーンの全体厚さを測定することを、繊維性材料の厚さを測定するための試験方法と関連して記載したように行なった。試験によって得られた全体厚さ測定値(ミリメートル)を、表1に記載し、以下に示す。
【0080】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。
【0081】
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を包含する本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、その全てを本明細書中に参照により組み込まれる。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0082】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。