【課題を解決するための手段】
【0016】
この要求に応えるために、本発明は、その目的として、
−細孔を有するフィルターであって、前記フィルターを通過するための空気流に存在する可能性があるナノ粒子をそれらの中に保持することができるフィルター、及び
−2つの部品を含むフィルター支持体であって、これらが、
前記フィルターが載ることができる周囲の支持面を含む下部ベース形成部品;及び
前記ベースの支持面の周囲に載置されることができるリング形状の上部部品であって、
前記ベースの支持面の周囲の前記リングの載置が、前記載置方向に対する半径方向において前記フィルターに張力を与えることができ、
前記載置方向に対する半径方向において、挟むことによる機械的応力下で前記支持面に載置している前記フィルターを維持するように、前記リング及び前記ベースの支持面の間の載置隙間が採寸される、リング形状の上部部品;
を含む、フィルター支持体、
を含むナノ粒子を濾過する濾過アセンブリを有する。
【0017】
“周囲の支持面”という表現は、機械的な意味において通常の意味を指すものと理解され、すなわち、載置が行われた後にフィルターへの不可欠な接触を保証するために十分に完全な形状のベースの周囲の表面を指すものと理解される。
【0018】
“支持面の周囲のリングの載置”という表現は、支持面の外周縁におけるリングの機械的載置を指すものと理解され、外周縁は、リングを機械的に遮るように構成される。あるいは、リングは、支持面の外周縁に嵌め込むことによって自発的に遮蔽されるものとなる。
【0019】
言うまでもなく、フィルターを挟むことを可能にするために、フィルターの直径は、それがベースの内径と支持面の半径方向の厚さの合計より大きくなるように採寸される。
【0020】
すなわち、本発明は、必須的に、試験するために完全に置かれている孔を有するフィルターの補助の下にナノ粒子を収集し、フィルターが、特に低入射を有する蛍光X線によって信頼性がある解析を保証する平坦で滑らかな表面を保持するためにできるだけ平坦に維持されることを保証することの両方を可能にする解決方法からなる。
【0021】
試料を取り上げ、すなわち試料の収集又はサンプリングが行われると、フィルターの操作は収集及び解析の間に行われなく、濾過アセンブリは、蛍光X線によって解析され得る。それは、その後続の解析のために一時的にボックス内に保管され得る。それは、例えば不満足な収集の場合、又は、非常に長い一時保管の場合、最終的には破壊され得る。
【0022】
フィルター支持体のベースの支持面の周囲に載置されているリングは、このように、半径方向に、すなわち載置方向に対して横方向にそれに張力が掛けられることを許容し、次いで、フィルターの折り畳み又は湾曲を生成することなく挟むことによって張力下で維持されることを可能にする。張力が与えられたフィルターは、このようにベースの支持面に対して接触して維持され、それは、支持体に対してフィルターの平面の位置を画定し、それによってX線によるその後続の放射が、あらゆる陰影効果なしで斜入射(典型的には2°未満の低入射)で行われることを可能にする。
【0023】
ベースの支持面は、支持体に対するフィルターの平面の位置を画定する。言い換えると、フィルターは、張力が与えられ、その張力が与えられた表面は、本発明による濾過アセンブリの上部表面を画定する。濾過アセンブリは、低入射角を有する斜入射の下で蛍光X線装置におけるそのX線解析のために、このように平坦に維持されたフィルターと協働し得る。言い換えると、繰り返しになるが、本発明によるフィルター支持体のフィルターの載置は、フィルターが、フィルター支持体に対するリスクなしに移動され、保管されることを許容する。特に、本発明による濾過アセンブリは、ベースの周囲のプライヤーの助けで、フィルターの汚染の危険性なしに、容易に引き付けられ得る。さらに、フィルターを引き上げ、それらの面の一方の予想外の汚染を避けるために、フィルター支持体が、有利には、典型的に数ミリメートルの特定の厚さを有するので、本発明による濾過アセンブリが、例えばボックスに保管されるとき、フィルターは、ボックスの底部に接触しない。
【0024】
記号化体系を用いて、ナノ粒子を収集するためのフィルターの面を他の対向する面と区別することが有利には行われ得る。この記号化体系は、試料を取り上げるためにカセットにおけるその不正確な位置合わせを避けるために、例えば濾過アセンブリに対して非対称的な形状を与えることを必要とし得る。補助的な記号化体系は、同様に、それが、粒子の収集及び蛍光X線によるフィルターの解析の段階の間に維持されるので、操作者がフィルター支持体及びフィルターを回転させないようにするために、濾過アセンブリの外周縁に提供され得る。
【0025】
本発明の1つの有利な特徴によれば、前記ベースの支持面及び前記リングの内部端は、0.3から0.8mmの曲率半径を有する。リングの高さが後者の内部端の曲率半径の2倍であることが、ここでは要求される。好ましくは、リングの内部端の曲率半径は、0.3から0.6mmであり、ベースの支持面の曲率半径は、0.3から0.8mmである。
【0026】
本発明の他の有利な特徴によれば、前記フィルターは、10から50μmの厚さを有する。
【0027】
このような曲率半径は、フィルターに張力を与えるために十分な挟み込みの効果が信頼性のある方式で得られることを許容するが、その機械的及び物理的特性に悪影響を与えることはない。驚いたことに、本発明によるフィルターは、その非常に薄い厚さにもかかわらず、それがリングによって挟み込まれるときに裂けることはなく、それが支持体内において張力が維持されているという条件で、本質的に収集動作によって与えられる圧力下で変形しない。本発明者は、このように、L・min
−1程度の流速においてナノ粒子の収集の数日後でさえも、フィルターが変形なしに張力が与えられたままである、すなわち可能な限りに平坦に維持されていることを立証している。しかしながら、これは、一方で既に上述されたフィルターの非常に小さな厚さ、及び、他方で空気流の吸引による収集の過程において大きな充填損失を引き起こすフィルターの微多孔を考慮して、決して自明なものではない。当業者は、これらの大きな充填損失の結果が、フィルターの変形又はその断裂であることを予想し得る。本発明者は、1L・min
―1の流速で90mbarほどの生成した充填損失にもかかわらずフィルターの如何なる変形も観察していない。
【0028】
本発明による支持体のフィルターの載置は、有利には、実行後に支持体の2つの部品が互いに解体されることができるようにするように提案される。
【0029】
サンプリング用のカセット内に組み立てられ集積されると、本発明による濾過アセンブリは、フィルターを通過しようとする空気流がその全体で通過することを引き起こすことを可能にする。本発明者は、それがサンプリング用のカセットに集積される構成において濾過アセンブリの周囲の空気の如何なる漏れも観察していない。
【0030】
好ましくは、前記フィルターの細孔は、0.05から2μmの校正直径を有する穴であり、前記フィルターの穴の密度は、cm
2あたり10
5から5×10
8の数である。穴は、イオン照射、UVを用いた照射、化学的攻撃又はこれらの種々の処理の組み合わせ等の種々の周知の処理によって生成され得る。
【0031】
前記フィルターの構成材料は、有利には、特にビスフェノールAから作られるポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの飽和ポリエステル、芳香族ポリエーテル、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、アセテート及びセルロースナイトレートから選択されるポリマーであり得る。前記フィルターは、好ましくは、ポリカーボネート(PC)で作られる。ナノ粒子が空気中に浮遊しており、収集流速が0.1から10L・min
−1であるとき、このような微多孔材料は、99.5%を超える10から300nmの直径を有するナノ粒子の保持効率を達成することを可能にする。
【0032】
前記リング及び前記ベースは、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリオキシメチレンコポリマー(POM−C)、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)から選択されるプラスチック材料で作られる。リング及びベースは、熱可塑性材料の注入によって、又は、熱可塑性材料のブロックの機械加工によって生成され得る。
【0033】
前記リング及びベースの1つ又はそれ以上のプラスチック材料は、1つ又は複数の添加剤、特に帯電防止特性を与えることができる添加剤を含み得る。1つ又はそれ以上のプラスチック材料は、同様に、例えばガラス繊維又は炭素繊維で充填され得る。
【0034】
他の特徴によれば、前記ベースの支持面は、前記載置位置にある前記リングに対して10から1500μm、好ましくは10から500μmの距離だけ突出する。ベースの支持面は、好ましくは、その内周縁に突出する。
【0035】
有利には、前記ベースは、前記支持面の周囲に、前記載置位置にある前記リングに対して平坦な支持面を有する。前記平坦な支持面は、好ましくは、前記載置位置にある前記ベースの前記リングに対する収容管の底部を構成する。
【0036】
好ましい変形実施形態によれば、前記リング及び前記ベースの支持面の間の載置間隔は、50から250μmである。このような間隔は、剪断によってそれが避けることを引き起こす危険性なく、フィルターに容易に張力を与えることを可能にする。
【0037】
特に0.3又は0.4mmであるベースの管の底部における支持面の周囲の適切に採寸された曲率半径は、効果的な半径方向フィルターの張力、及び、ベースの管に対するリングの容易な適合を保証する。
【0038】
好ましい実施形態によれば、前記ベースは、その周囲に、識別ラベルが配置され得る識別領域を有する。前記識別ラベルは、データマトリクスタイプの二次元コード、英数字コード、RFID(Radio Frequency Identificationの頭文字)タグなどの電子チップから選択される。フィルター及びその支持体に関連する情報を含む識別ラベルは、このようにフィルター支持体に集積される。これは、オーバーインジェクションとしての周知の技術によって、又は、パッド印刷技術によって、又は、接着によって、又は彫刻技術によって実現され得る。
【0039】
“オーバーインジェクション”という表現は、ベースが製造されるとすぐにベースに対するラベルの集積を可能にする技術を指すものとして理解される。識別ラベルは、このように、型の固定部品及び可動部品の間の成形型の内部に堆積される。型が閉じられると、ラベルは、接着剤又はコーティング媒体なしに吸引によってフィルター支持体のベースに対して付けられる。このように、ラベルは、完全に、型内の意図した位置の形態を採用し、それは、支持体から引き剥がされることができない。
【0040】
“接着”という表現は、接着剤又は粘着剤を用いて2つの材料を組み立てることができる物理的又は化学的な組立のあらゆる方法を指すものとして使用される。
【0041】
“パッド印刷”という表現は、インク転写方法などの、支持体にベースに直接的に識別ラベルを付けることができる間接的な印刷のあらゆる方法を指すものとして使用される。
【0042】
“彫刻”という表現は、マイクロ振動によるレーザーマーキング法などの、支持体のベースに穴を開けることができるあらゆる方法を指すものとして使用される。
【0043】
リングは、同様に、印刷回路(“Printed Circuit Board”の頭文字)に分布される電子回路によって構成されるRFIDタグをセンシングするためのアンテナの役割を果たし、このようにするために、ポリイミド、ポリエステル、PVC又はカプトン(登録商標)タイプの樹脂内に埋め込まれたガラス繊維の混合物によって構成され得る。
【0044】
本発明は、その他の側面において、
−台;
−前記台に対して適切な位置に前記ベースを位置させて維持するために、前記ベースに配されることができる、クランプを形成する部品;
−前記台に対して適切な位置に維持される前記ベースの支持面の周囲に前記リングを案内して中心に位置合わせするために、前記クランプに適合することができるリング;
−前記支持面の周囲に案内されて中心に位置合わせされる前記リングに対して接触力を加えるために、前記リングに適合することができる支持ピース;
を含む、上記の濾過アセンブリを組み立てるための載置ツールに関連する。
【0045】
有利な実施形態によれば、載置ツールは、前記支持ピースが、前記ベースの支持面から取り外された位置において前記リング自体に対して載る保持位置と、前記支持ピースが、前記ベースの支持面の周囲の前記載置位置のリング自体に対して載る最終載置位置との間の前記支持ピースに対して載ることを目的としてネジ止めするために前記台に維持されることができるネジを含む。
【0046】
本発明は、他の側面において、以下の段階が行われる、上記の載置ツールによって行われる濾過アセンブリの載置方法に関する:
−前記台に前記クランプを位置合わせする段階;
−前記クランプに前記ベースを適合させる段階;
−前記クランプに前記リングを適合させる段階;
−前記フィルターを導入する段階であって、前記フィルターが、前記ベースの支持面に対して載って中心に位置合わせさせる段階;
−前記リングに前記支持ピースを適合する段階;
−前記台に前記ネジを位置合わせして維持する段階;
−前記支持ピースがその保持位置からその最終載置位置まで移動することを引き起こすために前記ネジが前記支持ピースに載るように、前記ネジをねじる段階。
【0047】
本発明は、最終的に、最終的な側面において、以下の段階が行われるナノ粒子の収集解析方法に関連する:
−上記の濾過アセンブリの張力を掛けられたフィルターを通して、ナノ粒子が充填されている可能性がある空気流を吸引する段階;
−前記濾過アセンブリを蛍光X線分析装置に導入する段階;
−前記フィルターによって保持されたナノ粒子の蛍光X線によって解析する段階。
【0048】
好ましくは、前記フィルターを通る前記空気流の吸引の速度は、0.1から10L・min
−1である。