特許第6239605号(P6239605)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239605フィルター及びフィルター支持体を含む濾過アセンブリ並びにナノ粒子の収集解析のための関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239605
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】フィルター及びフィルター支持体を含む濾過アセンブリ並びにナノ粒子の収集解析のための関連する方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/08 20060101AFI20171120BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 61/18 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 71/48 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 71/50 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 71/52 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 71/26 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 71/40 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 71/56 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 71/64 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 71/16 20060101ALI20171120BHJP
   B01D 71/20 20060101ALI20171120BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B01D63/08
   B01D69/00
   B01D61/18
   B01D71/48
   B01D71/50
   B01D71/52
   B01D71/68
   B01D71/26
   B01D71/40
   B01D71/56
   B01D71/64
   B01D71/16
   B01D71/20
   G01N1/02 D
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-517888(P2015-517888)
(86)(22)【出願日】2013年6月12日
(65)【公表番号】特表2015-521541(P2015-521541A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】IB2013054807
(87)【国際公開番号】WO2014001936
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】1255785
(32)【優先日】2012年6月20日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】514085230
【氏名又は名称】ナノインスペクト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】シモン・クラヴァゲラ
(72)【発明者】
【氏名】エリック・デコラン
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・ギオー
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・エベール
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ジャカーノ
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィ・モテリエ
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0192363(US,A1)
【文献】 実開平02−121109(JP,U)
【文献】 特開平07−084060(JP,A)
【文献】 特表平08−500527(JP,A)
【文献】 特開平04−143656(JP,A)
【文献】 実開昭60−042302(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00−71/82
B01D 29/00−29/48
G01N 1/00− 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−細孔を有するフィルター(3)であって、前記フィルターを通過するための空気流に存在する可能性があるナノ粒子をそれらの中に保持することができるフィルター(3)、及び
−2つの部品を含むフィルター支持体であって、これらが、
前記フィルターが載ることができる周囲の支持面(20)を含む下部ベース形成部品(2);及び
前記ベースの支持面の周囲に載置されることができるリング形状の上部部品(1)であって、
前記ベースの支持面の周囲の前記リング(1)の載置が、前記載置方向に対する半径方向において前記フィルターに張力を与えることができ、
前記載置方向に対する半径方向において、挟むことによる機械的応力下で前記支持面に載置している前記フィルターを維持するように、前記リング及び前記ベースの支持面の間の載置隙間が採寸される、リング形状の上部部品(1);
を含む、フィルター支持体、
を含むナノ粒子を濾過する濾過アセンブリ。
【請求項2】
前記ベースの支持面及び前記リングの内部端が、0.3から0.8mmの曲率半径を有する、請求項1に記載の濾過アセンブリ。
【請求項3】
前記フィルターが、10から50μmの厚さを有する、請求項1に記載の濾過アセンブリ。
【請求項4】
前記フィルターの細孔が、0.05から2μmの直径を有する穴(22)である、請求項1から3の何れか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項5】
前記フィルターの穴の密度が、cmあたり10から5×10の数である、請求項4に記載の濾過アセンブリ。
【請求項6】
前記フィルターの構成材料が、飽和ポリエステル、ポリカーボネート、芳香族ポリエーテル、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、アセテート及びセルロースナイトレートから選択されるポリマーである、請求項1から5の何れか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項7】
前記フィルターが、ポリカーボネート(PC)で作られる、請求項6に記載の濾過アセンブリ。
【請求項8】
前記リング及び前記ベースが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリオキシメチレンコポリマー(POM−C)、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)から選択されるプラスチック材料で作られる、請求項1から7の何れか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項9】
前記リング及びベースの1つ又はそれ以上のプラスチック材料が、1つ又は複数の添加剤を含む、請求項8に記載の濾過アセンブリ。
【請求項10】
前記ベース(2)の支持面(20)が、前記載置位置にある前記リング(1)に対して10から1500μmの距離hだけ突出する、請求項1から9の何れか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項11】
前記ベースが、前記支持面(20)の周囲に、前記載置位置にある前記リングに対して平坦な支持面(21)を有する、請求項1から10の何れか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項12】
前記平坦な支持面(21)が、前記載置位置にある前記ベースの前記リングに対する収容管の底部を構成する、請求項11に記載の濾過アセンブリ。
【請求項13】
前記リング及び前記ベースの支持面の間の載置間隔が、50から250μmである、請求項1から12の何れか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項14】
前記ベースが、その周囲に、識別ラベルが配置され得る識別領域(23)を有する、請求項1から13の何れか一項に記載の濾過アセンブリ。
【請求項15】
前記識別ラベルが、データマトリクスタイプの二次元コード、英数字コード、及び、電子チップから選択される、請求項14に記載の濾過アセンブリ。
【請求項16】
−台(4);
−前記台(4)に対して適切な位置に前記ベース(2)を位置させて維持するために、前記ベースに配されることができる、クランプ(5)を形成する部品;
−前記台に対して適切な位置に維持される前記ベース(2)の支持面(20)の周囲に前記リング(1)を案内して中心に位置合わせするために、前記クランプに適合することができるリング(6);
−前記支持面(20)の周囲に案内されて中心に位置合わせされる前記リング(1)に対して接触力を加えるために、前記リングに適合することができる支持ピース(7);
を含む、請求項1から15の何れか一項に記載の濾過アセンブリを組み立てるための載置ツール。
【請求項17】
前記ベース(2)の支持面(20)から取り外された位置において前記支持ピースが前記リング(1)自体に支えられる保持位置と、前記ベースの支持面(20)の周囲の載置位置において前記支持ピース(7)が前記リング(1)自体に支えられる最終載置位置との間に、前記支持ピース(7)に支えられるようにネジ止めされるために前記台(4)上に保持されることができるネジ(8)を含む、請求項16に記載の載置ツール。
【請求項18】
以下の段階が行われる、請求項17に記載の載置ツールによって行われる組立方法:
−前記台(4)に前記クランプ(5)を位置合わせする段階;
−前記クランプに前記ベース(2)を適合させる段階;
−前記クランプに前記リング(6)を適合させる段階;
−前記フィルター(3)を導入する段階であって、前記フィルターが、前記ベース(2)の支持面(20)に対して載って中心に位置合わせされる段階;
−前記リング(6)に前記支持ピース(7)を適合する段階;
−前記台(4)に前記ネジ(8)を位置合わせして維持する段階;
−前記支持ピース(7)がその保持位置からその最終載置位置まで移動することを引き起こすために前記ネジが前記支持ピース(7)に載るように、前記ネジ(8)をねじる段階。
【請求項19】
以下の段階が行われるナノ粒子の収集解析方法:
−請求項1から15の何れか一項に記載の濾過アセンブリの張力を与えられたフィルター(3)を通して、ナノ粒子が充填されている可能性がある空気流を吸引する段階;
−前記濾過アセンブリを蛍光X線分光装置に導入する段階;
前記フィルターによって保持されたナノ粒子を蛍光X線によって解析する段階。
【請求項20】
前記フィルター(3)を通る前記空気流の吸引の速度が、0.1から10L・min−1である、請求項19に記載の収集解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に浮遊している可能性があるナノ粒子の収集解析の分野に関連する。
【0002】
それは、より具体的には、フィルターを通過するための空気流に存在する可能性があるあらゆるナノ粒子をそれらの中に保持することができる細孔を有するフィルターを含む濾過アセンブリ及びフィルター支持体に関連する。
【0003】
本発明の目的は、フィルターに保持されたナノ粒子の解析のために、後続の蛍光X線による、その表面領域の信頼性ある解析を可能にするために、その支持体においてできるだけ平坦なフィルターを維持することを提案する。
【0004】
本発明は、同様に、その支持体にフィルターを載置する装置及び方法に関連し、それによって、フィルターによる上述の保持を達成することを可能にする。
【0005】
本発明は、最終的に、ナノ粒子の収集解析に関係がある方法に関連する。
【背景技術】
【0006】
ナノテクノロジーの急速な発展は、最適な安全条件を得るために、これらの新規な材料の健康関連及び環境への影響に対するさらなる研究を行うことを必須とする。ここ数年間、ナノ粒子、すなわちナノメートル寸法を有する粒子は、集中的な研究の対象であり、それらの用途は、健康、マイクロエレクトロニクス、エネルギー技術又は塗料及び化粧品などの日用品にまで広がっている。従って、労働者、消費者への露出及びナノ粒子に対する環境の評価の方法を考案することが必要である。
【0007】
エアロゾルのサンプリング及び解析の信頼性ある方法の発展は、このように、公衆衛生及び労働環境におけるリスクの予防の観点で重大な難問である。
【0008】
空気中に浮遊する粒子に対する露出のレベルの測定は、通常、見本の前後の重量を図ることによって行われる。しかしながら、これらの重量測定は、非常に多量の粒子においてのみ信頼できるものである(数十又は数百マイクログラムを超える)。ICPMSタイプの元素分析は、少量の決定に好ましい。しかしながら、このタイプの解析は、試料の面倒な入念な調製を必要とする(数時間を要するフィルターの分解)。
【0009】
本発明者は、既に試され試験されている、特に低入射を有する蛍光X線による解析方法を用いることを検討し、それは、一方で、薄層内の材料の元素組成を決定するために極めて有効であり、他方で、典型的にはほんの数分間の非常に短い時間で利用可能な測定の結果を得るものである。
【0010】
本発明者は、従って、適切なフィルターによって保持されたナノ粒子の解析において蛍光X線によるこの解析技術を利用することができるようにするために、収集中と同様に、収集の直後に蛍光X線分光装置へフィルターを導入することができるようにするために、解析中に可能な限りフィルターが平面的である(平坦である)ことが必須であるという結論に達した。
【0011】
これまで、しかしながら、空気からの粒子の収集のためにフィルターを平坦に維持すること、すなわち折り畳みがないようにすることを可能にする方法も、市販の装置も、単に文献に記載されただけの装置も利用可能なものはない。
【0012】
国際公開第98/08072号及び米国特許第6779411号明細書は、このように、粒子をサンプリングするためにカセットに収容されたフィルター及びフィルター支持体を有する粒子の収集装置を開示している。これらの装置の欠点は大きなことである。第1に、それらは、収集された粒子の元素分析が後処理なしに行われることを可能にしない。重量測定による測定が数回行われ、電子顕微鏡による解析は、同様に、十分に位置する収集領域の必要な調製後に行われ得る。さらに、それらの支持体及びカセットにフィルターを位置合わせする方法及び装置は、これらの文献には明確に記載されておらず、それは、この位置合わせが手動で行われるという結論を導く。手動の位置合わせは、実際上、フィルター上及びフィルターの周囲に多くの不純物を導入する可能性があり、それは、収集された粒子の精密で正確な解析に有害である。
【0013】
仏国特許発明第2662635号明細書及び仏国特許発明第2803238号明細書は、それらの一部において、特にポリマーで作られた、材料の厚さにわたって開けられた穴を有するフィルター、及びそれに関連する製造方法を開示している。本質的に粒子の収集を実現するためにこれらのフィルターの具体的な実施についてこれらの文献には言及されていない。特に、これらの特許出願は、フィルター支持体、又は粒子の収集が行われた後におけるフィルターの識別及び追従可能性の手段を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第98/08072号
【特許文献2】米国特許第6779411号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第2662635号明細書
【特許文献4】仏国特許発明第2803238号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、特に可能な限りそれらを平らに維持することを目的として、蛍光X線技術を用いて収集されたナノ粒子の解析を行うことができるようにするために、それらの支持体上におけるナノ粒子の収集のためのフィルターの載置を改善するための必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この要求に応えるために、本発明は、その目的として、
−細孔を有するフィルターであって、前記フィルターを通過するための空気流に存在する可能性があるナノ粒子をそれらの中に保持することができるフィルター、及び
−2つの部品を含むフィルター支持体であって、これらが、
前記フィルターが載ることができる周囲の支持面を含む下部ベース形成部品;及び
前記ベースの支持面の周囲に載置されることができるリング形状の上部部品であって、
前記ベースの支持面の周囲の前記リングの載置が、前記載置方向に対する半径方向において前記フィルターに張力を与えることができ、
前記載置方向に対する半径方向において、挟むことによる機械的応力下で前記支持面に載置している前記フィルターを維持するように、前記リング及び前記ベースの支持面の間の載置隙間が採寸される、リング形状の上部部品;
を含む、フィルター支持体、
を含むナノ粒子を濾過する濾過アセンブリを有する。
【0017】
“周囲の支持面”という表現は、機械的な意味において通常の意味を指すものと理解され、すなわち、載置が行われた後にフィルターへの不可欠な接触を保証するために十分に完全な形状のベースの周囲の表面を指すものと理解される。
【0018】
“支持面の周囲のリングの載置”という表現は、支持面の外周縁におけるリングの機械的載置を指すものと理解され、外周縁は、リングを機械的に遮るように構成される。あるいは、リングは、支持面の外周縁に嵌め込むことによって自発的に遮蔽されるものとなる。
【0019】
言うまでもなく、フィルターを挟むことを可能にするために、フィルターの直径は、それがベースの内径と支持面の半径方向の厚さの合計より大きくなるように採寸される。
【0020】
すなわち、本発明は、必須的に、試験するために完全に置かれている孔を有するフィルターの補助の下にナノ粒子を収集し、フィルターが、特に低入射を有する蛍光X線によって信頼性がある解析を保証する平坦で滑らかな表面を保持するためにできるだけ平坦に維持されることを保証することの両方を可能にする解決方法からなる。
【0021】
試料を取り上げ、すなわち試料の収集又はサンプリングが行われると、フィルターの操作は収集及び解析の間に行われなく、濾過アセンブリは、蛍光X線によって解析され得る。それは、その後続の解析のために一時的にボックス内に保管され得る。それは、例えば不満足な収集の場合、又は、非常に長い一時保管の場合、最終的には破壊され得る。
【0022】
フィルター支持体のベースの支持面の周囲に載置されているリングは、このように、半径方向に、すなわち載置方向に対して横方向にそれに張力が掛けられることを許容し、次いで、フィルターの折り畳み又は湾曲を生成することなく挟むことによって張力下で維持されることを可能にする。張力が与えられたフィルターは、このようにベースの支持面に対して接触して維持され、それは、支持体に対してフィルターの平面の位置を画定し、それによってX線によるその後続の放射が、あらゆる陰影効果なしで斜入射(典型的には2°未満の低入射)で行われることを可能にする。
【0023】
ベースの支持面は、支持体に対するフィルターの平面の位置を画定する。言い換えると、フィルターは、張力が与えられ、その張力が与えられた表面は、本発明による濾過アセンブリの上部表面を画定する。濾過アセンブリは、低入射角を有する斜入射の下で蛍光X線装置におけるそのX線解析のために、このように平坦に維持されたフィルターと協働し得る。言い換えると、繰り返しになるが、本発明によるフィルター支持体のフィルターの載置は、フィルターが、フィルター支持体に対するリスクなしに移動され、保管されることを許容する。特に、本発明による濾過アセンブリは、ベースの周囲のプライヤーの助けで、フィルターの汚染の危険性なしに、容易に引き付けられ得る。さらに、フィルターを引き上げ、それらの面の一方の予想外の汚染を避けるために、フィルター支持体が、有利には、典型的に数ミリメートルの特定の厚さを有するので、本発明による濾過アセンブリが、例えばボックスに保管されるとき、フィルターは、ボックスの底部に接触しない。
【0024】
記号化体系を用いて、ナノ粒子を収集するためのフィルターの面を他の対向する面と区別することが有利には行われ得る。この記号化体系は、試料を取り上げるためにカセットにおけるその不正確な位置合わせを避けるために、例えば濾過アセンブリに対して非対称的な形状を与えることを必要とし得る。補助的な記号化体系は、同様に、それが、粒子の収集及び蛍光X線によるフィルターの解析の段階の間に維持されるので、操作者がフィルター支持体及びフィルターを回転させないようにするために、濾過アセンブリの外周縁に提供され得る。
【0025】
本発明の1つの有利な特徴によれば、前記ベースの支持面及び前記リングの内部端は、0.3から0.8mmの曲率半径を有する。リングの高さが後者の内部端の曲率半径の2倍であることが、ここでは要求される。好ましくは、リングの内部端の曲率半径は、0.3から0.6mmであり、ベースの支持面の曲率半径は、0.3から0.8mmである。
【0026】
本発明の他の有利な特徴によれば、前記フィルターは、10から50μmの厚さを有する。
【0027】
このような曲率半径は、フィルターに張力を与えるために十分な挟み込みの効果が信頼性のある方式で得られることを許容するが、その機械的及び物理的特性に悪影響を与えることはない。驚いたことに、本発明によるフィルターは、その非常に薄い厚さにもかかわらず、それがリングによって挟み込まれるときに裂けることはなく、それが支持体内において張力が維持されているという条件で、本質的に収集動作によって与えられる圧力下で変形しない。本発明者は、このように、L・min−1程度の流速においてナノ粒子の収集の数日後でさえも、フィルターが変形なしに張力が与えられたままである、すなわち可能な限りに平坦に維持されていることを立証している。しかしながら、これは、一方で既に上述されたフィルターの非常に小さな厚さ、及び、他方で空気流の吸引による収集の過程において大きな充填損失を引き起こすフィルターの微多孔を考慮して、決して自明なものではない。当業者は、これらの大きな充填損失の結果が、フィルターの変形又はその断裂であることを予想し得る。本発明者は、1L・min―1の流速で90mbarほどの生成した充填損失にもかかわらずフィルターの如何なる変形も観察していない。
【0028】
本発明による支持体のフィルターの載置は、有利には、実行後に支持体の2つの部品が互いに解体されることができるようにするように提案される。
【0029】
サンプリング用のカセット内に組み立てられ集積されると、本発明による濾過アセンブリは、フィルターを通過しようとする空気流がその全体で通過することを引き起こすことを可能にする。本発明者は、それがサンプリング用のカセットに集積される構成において濾過アセンブリの周囲の空気の如何なる漏れも観察していない。
【0030】
好ましくは、前記フィルターの細孔は、0.05から2μmの校正直径を有する穴であり、前記フィルターの穴の密度は、cmあたり10から5×10の数である。穴は、イオン照射、UVを用いた照射、化学的攻撃又はこれらの種々の処理の組み合わせ等の種々の周知の処理によって生成され得る。
【0031】
前記フィルターの構成材料は、有利には、特にビスフェノールAから作られるポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの飽和ポリエステル、芳香族ポリエーテル、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、アセテート及びセルロースナイトレートから選択されるポリマーであり得る。前記フィルターは、好ましくは、ポリカーボネート(PC)で作られる。ナノ粒子が空気中に浮遊しており、収集流速が0.1から10L・min−1であるとき、このような微多孔材料は、99.5%を超える10から300nmの直径を有するナノ粒子の保持効率を達成することを可能にする。
【0032】
前記リング及び前記ベースは、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリオキシメチレンコポリマー(POM−C)、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)から選択されるプラスチック材料で作られる。リング及びベースは、熱可塑性材料の注入によって、又は、熱可塑性材料のブロックの機械加工によって生成され得る。
【0033】
前記リング及びベースの1つ又はそれ以上のプラスチック材料は、1つ又は複数の添加剤、特に帯電防止特性を与えることができる添加剤を含み得る。1つ又はそれ以上のプラスチック材料は、同様に、例えばガラス繊維又は炭素繊維で充填され得る。
【0034】
他の特徴によれば、前記ベースの支持面は、前記載置位置にある前記リングに対して10から1500μm、好ましくは10から500μmの距離だけ突出する。ベースの支持面は、好ましくは、その内周縁に突出する。
【0035】
有利には、前記ベースは、前記支持面の周囲に、前記載置位置にある前記リングに対して平坦な支持面を有する。前記平坦な支持面は、好ましくは、前記載置位置にある前記ベースの前記リングに対する収容管の底部を構成する。
【0036】
好ましい変形実施形態によれば、前記リング及び前記ベースの支持面の間の載置間隔は、50から250μmである。このような間隔は、剪断によってそれが避けることを引き起こす危険性なく、フィルターに容易に張力を与えることを可能にする。
【0037】
特に0.3又は0.4mmであるベースの管の底部における支持面の周囲の適切に採寸された曲率半径は、効果的な半径方向フィルターの張力、及び、ベースの管に対するリングの容易な適合を保証する。
【0038】
好ましい実施形態によれば、前記ベースは、その周囲に、識別ラベルが配置され得る識別領域を有する。前記識別ラベルは、データマトリクスタイプの二次元コード、英数字コード、RFID(Radio Frequency Identificationの頭文字)タグなどの電子チップから選択される。フィルター及びその支持体に関連する情報を含む識別ラベルは、このようにフィルター支持体に集積される。これは、オーバーインジェクションとしての周知の技術によって、又は、パッド印刷技術によって、又は、接着によって、又は彫刻技術によって実現され得る。
【0039】
“オーバーインジェクション”という表現は、ベースが製造されるとすぐにベースに対するラベルの集積を可能にする技術を指すものとして理解される。識別ラベルは、このように、型の固定部品及び可動部品の間の成形型の内部に堆積される。型が閉じられると、ラベルは、接着剤又はコーティング媒体なしに吸引によってフィルター支持体のベースに対して付けられる。このように、ラベルは、完全に、型内の意図した位置の形態を採用し、それは、支持体から引き剥がされることができない。
【0040】
“接着”という表現は、接着剤又は粘着剤を用いて2つの材料を組み立てることができる物理的又は化学的な組立のあらゆる方法を指すものとして使用される。
【0041】
“パッド印刷”という表現は、インク転写方法などの、支持体にベースに直接的に識別ラベルを付けることができる間接的な印刷のあらゆる方法を指すものとして使用される。
【0042】
“彫刻”という表現は、マイクロ振動によるレーザーマーキング法などの、支持体のベースに穴を開けることができるあらゆる方法を指すものとして使用される。
【0043】
リングは、同様に、印刷回路(“Printed Circuit Board”の頭文字)に分布される電子回路によって構成されるRFIDタグをセンシングするためのアンテナの役割を果たし、このようにするために、ポリイミド、ポリエステル、PVC又はカプトン(登録商標)タイプの樹脂内に埋め込まれたガラス繊維の混合物によって構成され得る。
【0044】
本発明は、その他の側面において、
−台;
−前記台に対して適切な位置に前記ベースを位置させて維持するために、前記ベースに配されることができる、クランプを形成する部品;
−前記台に対して適切な位置に維持される前記ベースの支持面の周囲に前記リングを案内して中心に位置合わせするために、前記クランプに適合することができるリング;
−前記支持面の周囲に案内されて中心に位置合わせされる前記リングに対して接触力を加えるために、前記リングに適合することができる支持ピース;
を含む、上記の濾過アセンブリを組み立てるための載置ツールに関連する。
【0045】
有利な実施形態によれば、載置ツールは、前記支持ピースが、前記ベースの支持面から取り外された位置において前記リング自体に対して載る保持位置と、前記支持ピースが、前記ベースの支持面の周囲の前記載置位置のリング自体に対して載る最終載置位置との間の前記支持ピースに対して載ることを目的としてネジ止めするために前記台に維持されることができるネジを含む。
【0046】
本発明は、他の側面において、以下の段階が行われる、上記の載置ツールによって行われる濾過アセンブリの載置方法に関する:
−前記台に前記クランプを位置合わせする段階;
−前記クランプに前記ベースを適合させる段階;
−前記クランプに前記リングを適合させる段階;
−前記フィルターを導入する段階であって、前記フィルターが、前記ベースの支持面に対して載って中心に位置合わせさせる段階;
−前記リングに前記支持ピースを適合する段階;
−前記台に前記ネジを位置合わせして維持する段階;
−前記支持ピースがその保持位置からその最終載置位置まで移動することを引き起こすために前記ネジが前記支持ピースに載るように、前記ネジをねじる段階。
【0047】
本発明は、最終的に、最終的な側面において、以下の段階が行われるナノ粒子の収集解析方法に関連する:
−上記の濾過アセンブリの張力を掛けられたフィルターを通して、ナノ粒子が充填されている可能性がある空気流を吸引する段階;
−前記濾過アセンブリを蛍光X線分析装置に導入する段階;
−前記フィルターによって保持されたナノ粒子の蛍光X線によって解析する段階。
【0048】
好ましくは、前記フィルターを通る前記空気流の吸引の速度は、0.1から10L・min−1である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1A図1Aは、本発明による濾過アセンブリの変形実施形態によるフィルター支持体を構成する2つの部品の拡大図である。
図1B図1Bは、本発明による濾過アセンブリの変形実施形態によるフィルター支持体を構成する2つの部品の組立位置の部分斜視図である。
図1C図1Cは、本発明による濾過アセンブリの変形実施形態によるフィルター支持体を構成する2つの部品の断面の詳細図である。
図2A図2Aは、本発明によるフィルター支持体のベースを形成する部品の種々の変形実施形態による斜視図である。
図2B図2Bは、本発明によるフィルター支持体のベースを形成する部品の種々の変形実施形態による斜視図である。
図2C図2Cは、本発明によるフィルター支持体のベースを形成する部品の種々の変形実施形態による斜視図である。
図3図3は、フィルター及び本発明による濾過アセンブリに対するその支持体を構成する2つの部品、並びに、前記濾過アセンブリを組み立てるための載置ツールの分解図である。
図3A図3Aは、図3の載置ツールによって本発明による濾過アセンブリを組み立てる段階を詳細に示す断面図である。
図4図4は、本発明による種々のフィルターの蛍光X線分光法による測定信号を表す。
図5図5は、それらの直径に依存する本発明によるフィルターのチタン酸化物TiOのナノ粒子の保持率(浸透の割合)を示す。
図6図6は、亜鉛酸化物(ZnO)のナノ粒子が既に充填されている、本発明によるフィルターの蛍光X線分光法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
他の利点及び特徴は、添付の図面を参照して、例示目的であって非限定的な目的として与えられる詳細な説明の精査から容易に理解されるであろう。
【0051】
“下部”又は“上部”という表現は、頂部から底部へのフィルター支持体の載置、及び、フィルターが水平であり、フィルター支持体のベースがそれの下に位置する濾過アセンブリの使用の位置の意味で理解されるべきである。
【0052】
本明細書に示されるように、本発明による濾過アセンブリは、ナノ粒子の濾過を目的とするものであり、2つの部品1、2によって構成されるフィルター支持体を含み、それらの相互結合によって、張力が与えられて機械的張力下で平坦に維持されるフィルターを介して吸引される空気流に存在するナノ粒子を保持することができる細孔をフィルター3が有することが可能になる。
【0053】
本明細書には示されていないが、本発明による濾過アセンブリは、吸引された空気の流れが、フィルター3を通過する、すなわちそれ自体がナノ粒子の収集を実現することを可能にするように適合された、サンプリング用のカセットに載置されるものである。
【0054】
ナノ粒子を収集するために使用されるフィルター3は、ポリエステルで作られた微多孔膜であり、数十ミクロンの厚さであり、制御された直径を有する多くの穴が開けられている。例えば、制御された直径を有する穴は、0.4μmの直径を有し、cmあたり10の穴の孔密度を示す。このような微多孔フィルター3によって、10から300nmの直径を有し、0.1から10L・min−1の収集流速で、99.5%を超える空気中の浮遊状態のナノ粒子の保持率を実現することができる。
【0055】
図1Aから図1Cに示すように、本発明によるフィルターの支持体は、熱可塑性プラスチック材料で作られた2つの部品1、2を含む。
【0056】
上部部品は、略円環状のリング1である。リング1の内部端は、0.5mm又は0.6mmの曲率半径R1を示す。
【0057】
下部部品は、ナノ粒子の吸引において空気流が通過することができるように中心に穴が開けられた略円筒形状のベース2を形成する。ベース2は、その内周縁に、少なくとも1つの平坦な支持体にリング1を提供する円筒状の支持面20及び表面21を示す。ベース2は、同様に、図1に示されるような半径R20などの、あらゆる角度において0.5mm又は0.6mmの曲率半径を示す。ベース2の内表面21の曲率半径R21は、以下に詳細に記載されるように、載置方向に対する半径方向にフィルター3に張力を与え、良好な適合を可能にするように0.3mm又は0.4mmである。
【0058】
略円筒形状のベース2は、非対称であり、その外周縁において、サンプリング用のカセットにおいて本発明によるアセンブリの位置合わせの符号化手段、及び、フィルターの識別ラベルが配置される識別領域の両方として機能する突起部23を示す。この突起部23は、同様に、有利には、後続の解析装置における位置合わせのために濾過アセンブリを締める手段として機能する。
【0059】
ベース2の種々の変形実施形態が提供され得る。ベース2は、典型的には1mmの直径である、ミリメートル範囲の寸法を有する多くの穴22が開けられた格子の形態で、周囲の支持面20の内部に中心領域を示し得、それによって、空気流がフィルター3を通過することが可能になる(図2A)。ベース2は、載置位置においてベース2のリング1に対する収容管の底部を構成する平坦な支持面21(図2A及び図2B)、又はそれの周囲の材料が欠けている支持面21で(図2C)を有するリセスされた中心領域を示し得る。
【0060】
本発明によれば、リング1は、ベース2の支持面20の周囲に載置されることができ、載置方向Yに対するこの半径方向Zにおいて、支持面20に対して接触して、挟むことによる機械的応力下でフィルター3を維持するように採寸されたそれらの間の載置間隔を有して、フィルター3が載置方向Yに対する半径方向Zに張力が与えられるようになる。リング1及びベース2の間の載置間隔は、好ましくはフィルターの厚さの5倍であり、又は、使用されるフィルターに応じて50から250μmである。
【0061】
ベース2の支持面20は、このように、支持体に対してフィルター3の平面の位置を画定する。言い換えると、フィルター3は張力が与えられ、その張力が与えられた表面は、本発明による濾過アセンブリの上部表面を画定する。濾過アセンブリは、このように、低入射角を有する斜入射を用いた蛍光X線装置においてその解析のために、平坦に維持されたフィルター3と共に動作され得る。
【0062】
ベース2の変形実施形態によれば、リング1は、ベースの管に完全に挿入され得(図2A及び図2B)、又は、支持面21に対する平坦な接触を有して単に位置し得る(図2C)。
【0063】
本発明者は、組立後に濾過アセンブリを試験した。1L・min−1の流速及び50mbar程度の生じた充填損失の実験条件下で、本発明によるフィルター3が、リング1及びベース2の間の相互結合によって張力が維持されることが実証された。加えられることができ、図2Aにおける格子22によって得られる追加の機械的支持体は、必要ない。また、蛍光X線によってフィルター3の後続の解析に干渉し得る生涯を避けるために、図2B及び図2Cの種々の実施形態が好ましい。一方で、図2Aの変形実施形態は、フィルターを介した空気流の吸引速度又はより高い生じた充填損失の場合に有利であり得る。
【0064】
図1Cに示されるように、濾過アセンブリの組立が行われた後に、ベース2の支持面20は、リング1に対して100μm程度の高さhだけ高くされる。この高さ設定は、濾過アセンブリの他の部分がフィルター3上に延びないことを保証するために十分であり、すなわち濾過アセンブリの他の部分は、フィルター3に対して突出するために十分である。これにより、蛍光X線装置によるその解析中にフィルター3において低入射角を有する斜入射を有することを可能になる。
【0065】
本発明による濾過アセンブリの組立を行うことができるようにするために、図3に示されるような載置ツールは、利用可能に作成されている。この載置ツールは、平行な平面においてこれらの3つの部品1、2、3を挟み、維持することによって、介在されたフィルター3に張力を加えることによって、リング1及びベース2を組み立てることを可能にする。これは、フィルター3上における折り目及び歪みの生成を避けることを可能にする。
【0066】
載置ツールは、このように、フィルター3に張力を与えることによってベース2に対するリング1の下降を保証することができ、案内及び支持の両方、並びに互いに対してこれらの部品の中心に位置合わせすることを保証することができる。
【0067】
本明細書に示された載置ツールは、第1に、垂直アーム90を備える台4を含む。これらのアーム90は、組立方向Y、すなわち台4に垂直な方向において、一点位置決めネジ8の下降を保証することができる。ネジ8の役割は、以下に詳細に記載される。
【0068】
この装置は、同様に、台4の管に位置合わせされることができるクランプ5を形成する部品を含む。このクランプは、その機能として、台4に対するフィルター支持体のベース2の位置合わせ及び適切な位置にそれを維持することを有する。以下に記載のようにアセンブリの部品1、2、3の組立を行うために、ベースは、このように、ネジ8によって与えられた接触力に対して中心に維持される。
【0069】
クランプ5に適合することができるリング6が提供される。このリングは、その機能として、台4に対して適切な位置に維持されるベース2の支持面20の周囲におけるリング1の案内及び中心に位置合わせすることを有する。
【0070】
この装置は、さらに、リング6に適合することができる支持ピース7を含む。この支持ピース7は、その機能として、ベース2の支持面20の周囲に案内されて中心に位置合わせされるリング1に対する接触力の印加を有する。
【0071】
最後に、載置ツールにおいて、このアセンブリの部品1、2、3の組立は、ネジ8によって保証される。このネジ8は、2つのナット91によって締め付けられるクランプ9によって第4に維持されることができる。これらのナット91の各々は、垂直アーム90の一方にネジ止めされることができ、部材が、厳密に平行な平面に降下されることを可能にすることができる。
【0072】
ネジ止めする前に、本発明による濾過アセンブリ及び装置の種々の部品を適合させることによって積層が行われ、フィルター3は、注意深く導入される。
【0073】
そのため、一点位置決めネジ8におけるネジ止めによって、一点位置決めネジは、ベース2の支持面20から取り外された位置において一点位置決めネジ8がそれ自体リング1に対して載っている保持位置と、ベースの支持面の周囲の載置位置において支持ピース7がリング1に対して載っている最終載置位置との間の支持ピース7上にある。
【0074】
図3Aは、支持面20に対して機械的にフィルター3に張力を与えながら、リング1がベース2の管21にリセスされ始める中間載置位置を示す。ネジ8をネジ止めする過程でリング6にスライドする支持ピース7が、リング1の全ての点において完全に制御された力の印加を可能にすることが、このようにこの図面において理解され得る。ネジ8の各回転は、このように、本発明による濾過アセンブリの部品1、2、3の各々の平行な平面が、共に接近して動くことを引き起こし、フィルター3がリング1及びベースの間に張力を与えられて維持されるまで続く。
【0075】
本発明のフィルター3として使用される可能性がある微多孔膜の形態の種々の材料で作られる多くのフィルターは、蛍光X線によるそれらの可能な解析の正当性を立証するために試験されている。
【0076】
最初の試験は、チタンTiの原子が14μm/cmの密度を有するチタン酸化物TiOのナノ粒子でこれらのフィルターを充填することを含む。
【0077】
図4は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフロオライド(PDVF)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルホン、混合セルロースエーテル(MCE)、ナイロン及びポリカーボネート(PC)でそれぞれ作られるフィルターに対して蛍光X線分光装置によって測定されるチタンTiに関連する信号を示す。
【0078】
最も強い信号が、ポリカーボネート(PC)で作られたフィルターに対して得られることが、この図4の精査から明らかである。PTFE、PVDF、PES、ポリスルホン、MCE及びナイロンで作られたフィルターにおいて信号がより小さいかゼロであることが明らかである。
【0079】
第2の試験は、繊維の性質に依存する又はフィルターを構成する膜の貫通孔による濾過効率を調べることを含むものであった。種々の材料で作られた複数のフィルターを有する浸透試験、並びに種々の性質及び種々の気孔寸法を有する浸透試験がこのような方法で行われた。
【0080】
図5は、これらの試験の結果を示す:それは、種々のフィルターのTiOのナノ粒子の直径による浸透速度を示す。
【0081】
この図5の精査から、試験されたフィルターの全てにおいて、300nmまでのナノ粒子の直径にもかかわらず、それらの保持効率が、99.5%を超えることが明らかである。
【0082】
同様に、校正された直径及び制御された密度を有する穴を有するPCで作られたフィルターが、繊維材料で作られた他の試験されたフィルターの保持効率に匹敵する保持効率を有することが明らかである。
【0083】
図6に一例として示されるものは、亜鉛酸化物(ZnO)のナノ粒子が充填された、ポリカーボネート(PC)で作られたフィルターの解析後に得られた蛍光X線スペクトルであり、フィルターにナノ粒子が充填される前の充填密度は、約0.15μg/cmである。
【0084】
本発明は、以上に記載された実施例に限定されるものではなく、記載された実施例の間において、特に本明細書に示されていない変形例において示された実施例の特徴を組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 上部部品、リング
2 ベース
3 フィルター
4 台
5 クランプ
6 リング
7 支持ピース
8 ネジ
20 支持面
21 支持面
22 穴
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図3A
図4
図5
図6