特許第6239616号(P6239616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239616エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンおよびそれを含有する硬化性樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239616
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンおよびそれを含有する硬化性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/14 20060101AFI20171120BHJP
   C08G 59/20 20060101ALI20171120BHJP
   C08G 59/42 20060101ALI20171120BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20171120BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C08G77/14
   C08G59/20
   C08G59/42
   H01L23/30 F
   H01L23/30 R
【請求項の数】12
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2015-524095(P2015-524095)
(86)(22)【出願日】2014年6月25日
(86)【国際出願番号】JP2014066888
(87)【国際公開番号】WO2014208619
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2016年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-133600(P2013-133600)
(32)【優先日】2013年6月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮川 直房
(72)【発明者】
【氏名】谷口 直佑
(72)【発明者】
【氏名】窪木 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智江
【審査官】 海老原 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/026714(WO,A1)
【文献】 特開2008−120843(JP,A)
【文献】 特開平06−298897(JP,A)
【文献】 特開2006−342308(JP,A)
【文献】 特開平06−298940(JP,A)
【文献】 特開2011−084668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/14
C08G 59/20
C08G 59/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均式(A)で表されるシリコーンレジン構造(A)、式(B)で表されるエポキシ基含有シルセスキオキサン構造(B)、および、式(C)で表されるシリコーンオイル構造(C)が連結し、末端がシラノール基及び/または炭素数1〜10のアルコキシ基であるエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン:
【化1】

(式中、R’、R’、R’、R’、R’、R’は、互いに同一であっても異なっていてもよく、一価の炭化水素基または水酸基であり、分子中のR’〜R’全体を100モル%とした場合に、水酸基が5〜50モル%であり、フェニル基が30〜95モル%であり、かつ、a/(a+b+c+d)=0.01〜1.0、b/(a+b+c+d)=0〜0.7、c/(a+b+c+d)=0〜0.3、d/(a+b+c+d)=0〜0.3である。但し、分子中のR’〜R’の少なくとも2つの水酸基が脱離して、ケイ素原子がエポキシ基含有シルセスキオキサン構造(B)の酸素原子に結合している。);
【化2】

(式中、Yは、それぞれ独立して、水素原子、エポキシ基を有する反応性官能基、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であるが、Yの少なくとも一つはエポキシ基を有する反応性官能基である。lは2以上の整数を表す。*はシリコーンレジン構造(A)またはシリコーンオイル構造(C)のケイ素原子への結合を表す。);
【化3】

(式中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、gは平均値で2〜2000を示す。*はエポキシ基含有シルセスキオキサン構造(B)の酸素原子への結合を表す。)。
【請求項2】
平均式(1)で表されるシリコーンレジン(a成分);式(2)で表されるエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分);および、式(3)で表されるシラノール末端シリコーンオイル(c成分)を原料として製造されたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン:
【化4】

(式中、R、R、R、R、R、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、一価の炭化水素基または水酸基であり、分子中のR’〜R’全体を100モル%とした場合に、水酸基が5〜50モル%であり、フェニル基が30〜95モル%であり、かつ、a/(a+b+c+d)=0.01〜1.0、b/(a+b+c+d)=0〜0.7、c/(a+b+c+d)=0〜0.3、d/(a+b+c+d)=0〜0.3である。);
【化5】

(式中、Xはエポキシ基を有する反応性官能基を、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有するアリール基を、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を、eは0を表し、fは(3−e)を表す。);
【化6】

(式中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、gは平均値で2〜2000を示す)。
【請求項3】
平均式(1)で表されるシリコーンレジン(a成分);式(2)で表されるエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分);および、式(3)で表されるシラノール末端シリコーンオイル(c成分)を原料として製造されたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの製造方法であって、下記の2段階の製造工程を含む製造方法:
[製造工程I]a成分およびc成分のシラノール基と、b成分のアルコキシ基を無機塩基化合物存在下、脱アルコール縮合を行う工程
[製造工程II]製造工程Iの後、水を添加して残存するアルコキシ基同士の縮合を行う工程:
【化7】

(式中、R、R、R、R、R、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、一価の炭化水素基または水酸基であり、分子中のR’〜R’の全体を100モル%とした場合に、水酸基が5〜50モル%であり、フェニル基が30〜95モル%であり、かつ、a/(a+b+c+d)=0.01〜1.0、b/(a+b+c+d)=0〜0.7、c/(a+b+c+d)=0〜0.3、d/(a+b+c+d)=0〜0.3である。);
【化8】

(式中、Xはエポキシ基を有する反応性官能基を、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有するアリール基を、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を、eは0を表し、fは(3−e)を表す。);
【化9】

(式中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、gは平均値で2〜2000を示す)。
【請求項4】
平均式(1)で表されるシリコーンレジン(a成分);式(2)で表されるエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分);および、式(3)で表されるシラノール末端シリコーンオイル(c成分)を原料として製造されたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの製造方法であって、下記の3段階の製造工程を含む製造方法:
[製造工程1]a成分のシラノール基とb成分のアルコキシ基を無機塩基化合物存在下、脱アルコール縮合を行う工程。
[製造工程2]製造工程1の後、c成分を添加し、製造工程1を経て残存しているアルコキシ基と、c成分のシラノールとの脱アルコール縮合を行う工程。
[製造工程3]製造工程2の後、水を添加し、残存しているアルコキシ基同士の縮合を行う工程:
【化10】

(式中、R、R、R、R、R、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、一価の炭化水素基または水酸基であり、分子中のR’〜R’の全体を100モル%とした場合に、水酸基が5〜50モル%であり、フェニル基が30〜95モル%であり、かつ、a/(a+b+c+d)=0.01〜1.0、b/(a+b+c+d)=0〜0.7、c/(a+b+c+d)=0〜0.3、d/(a+b+c+d)=0〜0.3である。);
【化11】

(式中、Xはエポキシ基を有する反応性官能基を、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有するアリール基を、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を、eは0を表し、fは(3−e)を表す。);
【化12】

(式中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、gは平均値で2〜2000を示す)。
【請求項5】
請求項1または2に記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンとエポキシ樹脂硬化剤を含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
エポキシ樹脂硬化剤が、多価カルボン酸化合物である請求項記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
多価カルボン酸化合物が、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)、分子内に2つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(e)、および、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)を重合単位として含む付加重合体である多価カルボン酸樹脂である、請求項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
さらに硬化促進剤を含有する請求項のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
硬化促進剤が金属石鹸硬化促進剤である請求項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
光半導体封止用途である請求項のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項10のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物。
【請求項12】
請求項11に記載の硬化物を具備する光半導体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特に光半導体封止用などの高い透明性が求められる部分に用いるのに好適なエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンおよびそれを含有する硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性樹脂組成物は熱硬化性樹脂組成物として、作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性等により、電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
赤、緑等の有色LED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)等の光半導体封止用の樹脂としてこれまで硬化性樹脂組成物が用いられてきた。
しかし、白色光を発するLEDの封止用の樹脂としては高い耐光・耐熱透明性が求められるために、それらに優れる不飽和炭化水素基含有ジメチルポリシロキサンとオルガノハイドロジェンジメチルポリシロキサンを用いたシリコーン樹脂封止材が用いられてきた(特許文献1を参照)。
【0003】
近年になって、LEDパッケージ内部の銀メッキが施された銅電線が空気中に存在する硫黄性のガスによって腐食(銀の硫化)され、その輝度が低下することが問題となり、封止材に耐硫化性能が求められるようになってきた。そこで、不飽和炭化水素基含有のジメチルポリシロキサンにフェニル基を導入したフェニルシリコーン系封止材が開発、上市されているが、その耐硫化性は未だ満足できるのものではなかった。またシリコーン系樹脂封止材はポリアミド樹脂などからなるLEDパッケージの基板樹脂への密着性が悪いといった問題も抱えていた。
そこで、耐光、耐熱性に優れるシリコーン骨格にエポキシ基を導入したポリオルガノシロキサンを用いることにより、シリコーン樹脂封止材の密着性や耐硫化性能の弱点を補うような封止材が開発されてきた(特許文献2を参照)。
また、同様に耐硫化性を向上する目的でフェニル基を導入したエポキシ基を含有するポリオルガノシロキサン樹脂も検討されており、耐硫化性は向上するが、硬化物同士のべたつき(タック性)があるためにLED製造時の歩留まりが悪くなる問題があった。さらに、エポキシ硬化のために使用する酸無水物化合物は、加熱硬化中に揮発してしまったり、硬化前に空気中に存在する水によって加水分解して硬化物特性が変化してしまったりする問題を抱えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特許第4636242号公報
【特許文献2】日本国特許第4935972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は優れた耐熱透明性、優れた耐硫化性、さらには低タック性の硬化物を与えるエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンおよびその製造方法、さらにはエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを含有する硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
本発明者らは前記した実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構造を有するエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンまたは特定の化合物を原料として製造されたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンおよびそれを含有する硬化性樹脂組成物が上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記(1)〜(14)に関する。
【0007】
(1)平均式(A)で表されるシリコーンレジン構造(A)、式(B)で表されるエポキシ基含有シルセスキオキサン構造(B)、および、式(C)で表されるシリコーンオイル構造(C)が連結し、末端がシラノール基及び/または炭素数1〜10のアルコキシ基であるエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン:
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、R’、R’、R’、R’、R’、R’は、互いに同一であっても異なっていてもよく、一価の炭化水素基または水酸基であり、分子中のR’〜R’全体を100モル%とした場合に、水酸基が5〜50モル%であり、フェニル基が30〜95モル%であり、かつ、a/(a+b+c+d)=0.01〜1.0、b/(a+b+c+d)=0〜0.7、c/(a+b+c+d)=0〜0.3、d/(a+b+c+d)=0〜0.3である。但し、分子中のR’〜R’の少なくとも2つの水酸基が脱離して、ケイ素原子がエポキシ基含有シルセスキオキサン構造(B)の酸素原子に結合している。);
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、Yは、それぞれ独立して、水素原子、エポキシ基を有する反応性官能基、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であるが、Yの少なくとも一つはエポキシ基を有する反応性官能基である。lは2以上の整数を表す。*はシリコーンレジン構造(A)またはシリコーンオイル構造(C)のケイ素原子への結合を表す。);
【0012】
【化3】
【0013】
(式中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、gは平均値で2〜2000を示す。*はエポキシ基含有シルセスキオキサン構造(B)の酸素原子への結合を表す。)。
【0014】
(2)平均式(1)で表されるシリコーンレジン(a成分);式(2)で表されるエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分);および、式(3)で表されるシラノール末端シリコーンオイル(c成分)を原料として製造されたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン:
【0015】
【化4】
【0016】
(式中、R、R、R、R、R、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、一価の炭化水素基または水酸基であり、分子中のR’〜R’全体を100モル%とした場合に、水酸基が5〜50モル%であり、フェニル基が30〜95モル%であり、かつ、a/(a+b+c+d)=0.01〜1.0、b/(a+b+c+d)=0〜0.7、c/(a+b+c+d)=0〜0.3、d/(a+b+c+d)=0〜0.3である。);
【0017】
【化5】
【0018】
(式中、Xはエポキシ基を有する反応性官能基を、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有するアリール基を、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を、eは0、1または2を表し、fは(3−e)を表す。);
【0019】
【化6】
【0020】
(式中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、gは平均値で2〜2000を示す)。
【0021】
(3)下記2段階の製造工程を経て製造された、(2)に記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン:
[製造工程I]a成分およびc成分のシラノール基と、b成分のアルコキシ基を無機塩基化合物存在下、脱アルコール縮合を行う工程
[製造工程II]製造工程Iの後、水を添加して残存するアルコキシ基同士の縮合を行う工程。
【0022】
(4)下記3段階の製造工程を経て製造された、(2)に記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン:
[製造工程1]a成分のシラノール基とb成分のアルコキシ基を無機塩基化合物存在下、脱アルコール縮合を行う工程
[製造工程2]製造工程1の後、c成分を添加し、製造工程1を経て残存しているアルコキシ基と、c成分のシラノール基との脱アルコール縮合を行う工程
[製造工程3]製造工程2の後、水を添加し、残存しているアルコキシ基同士の縮合を行う工程。
【0023】
(5)平均式(1)で表されるシリコーンレジン(a成分);式(2)で表されるエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分);および、式(3)で表されるシラノール末端シリコーンオイル(c成分)を原料として製造されたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの製造方法であって、下記の2段階の製造工程を含む製造方法:
[製造工程I]a成分およびc成分のシラノール基と、b成分のアルコキシ基を無機塩基化合物存在下、脱アルコール縮合を行う工程
[製造工程II]製造工程Iの後、水を添加して残存するアルコキシ基同士の縮合を行う工程:
【0024】
【化7】
【0025】
(式中、R、R、R、R、R、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、一価の炭化水素基または水酸基であり、分子中のR’〜R’の全体を100モル%とした場合に、水酸基が5〜50モル%であり、フェニル基が30〜95モル%であり、かつ、a/(a+b+c+d)=0.01〜1.0、b/(a+b+c+d)=0〜0.7、c/(a+b+c+d)=0〜0.3、d/(a+b+c+d)=0〜0.3である。);
【0026】
【化8】
【0027】
(式中、Xはエポキシ基を有する反応性官能基を、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有するアリール基を、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を、eは0、1または2を表し、fは(3−e)を表す。);
【0028】
【化9】
【0029】
(式中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、gは平均値で2〜2000を示す)。
【0030】
(6)平均式(1)で表されるシリコーンレジン(a成分);式(2)で表されるエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分);および、式(3)で表されるシラノール末端シリコーンオイル(c成分)を原料として製造されたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの製造方法であって、下記の3段階の製造工程を含む製造方法:
[製造工程1]a成分のシラノール基とb成分のアルコキシ基を無機塩基化合物存在下、脱アルコール縮合を行う工程。
[製造工程2]製造工程1の後、c成分を添加し、製造工程1を経て残存しているアルコキシ基と、c成分のシラノールとの脱アルコール縮合を行う工程。
[製造工程3]製造工程2の後、水を添加し、残存しているアルコキシ基同士の縮合を行う工程:
【0031】
【化10】
【0032】
(式中、R、R、R、R、R、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、一価の炭化水素基または水酸基であり、分子中のR’〜R’の全体を100モル%とした場合に、水酸基が5〜50モル%であり、フェニル基が30〜95モル%であり、かつ、a/(a+b+c+d)=0.01〜1.0、b/(a+b+c+d)=0〜0.7、c/(a+b+c+d)=0〜0.3、d/(a+b+c+d)=0〜0.3である。);
【0033】
【化11】
【0034】
(式中、Xはエポキシ基を有する反応性官能基を、Rは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有するアリール基を、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を、eは0、1または2を表し、fは(3−e)を表す。);
【0035】
【化12】
【0036】
(式中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、gは平均値で2〜2000を示す)。
【0037】
(7)(1)〜(4)のいずれか一つに記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンとエポキシ樹脂硬化剤を含有する硬化性樹脂組成物。
(8)エポキシ樹脂硬化剤が、多価カルボン酸化合物である(7)記載の硬化性樹脂組成物。
(9)多価カルボン酸化合物が、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)、分子内に2つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(e)、および、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)を重合単位として含む付加重合体である多価カルボン酸樹脂である、(8)に記載の硬化性樹脂組成物。
【0038】
(10)さらに硬化促進剤を含有する(7)〜(9)のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物。
(11)硬化促進剤が金属石鹸硬化促進剤である(10)に記載の硬化性樹脂組成物。
(12)光半導体封止用途である(7)〜(11)のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物。
(13)(7)〜(12)のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物を硬化した硬化物。
(14)(13)に記載の硬化物を具備する光半導体。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、特定の構造を有するエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンまたは特定の化合物を原料として製造されたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンおよびそれを含有する硬化性樹脂組成物は、耐熱透明性、耐硫化性に優れ、さらには低タック性の硬化物を与えるため、高い透明性や低タック性が求められる材料、特に光半導体(LEDなど)の封止用樹脂としてきわめて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンは、下記a成分〜c成分を原料として製造されたエポキシ樹脂である。
(a成分)シリコーンレジン
(b成分)エポキシ基含有ケイ素化合物
(c成分)シラノール末端シリコーンオイル
【0041】
ここからはa成分〜c成分各々に関して詳細に説明する。
本発明におけるシリコーンレジン(a成分)は下記平均式(1)で表わされるシリコーンレジンである。本発明のエポキシ基含有シロキサンに過度な粘度上昇をさせることなくフェニル基を導入し、本発明の光半導体封止用硬化物の耐硫化性を向上させるための成分である。
【0042】
【化13】
【0043】
式(1)において、R、R、R、R、R、Rは一価の炭化水素基または水酸基であり、好ましくは、炭素総数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有するアリール基である。式中複数存在するR〜Rは同一であっても異なってもよいが、分子中のR〜R全体を100モル%とした場合に、水酸基(シラノール基、Si−OH)が5〜50モル%であり、フェニル基が30〜95モル%である。水酸基、フェニル基以外のR〜Rの例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、水酸基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性、硬化物の耐熱透明性の観点から、メチル基、n−プロピル基が好ましい。
ここで、分子中のR〜R全体を100モル%とした場合に、水酸基(シラノール基、Si−OH)は20〜45モル%が好ましく、25〜40モル%が特に好ましい。
また、分子中のR〜R全体を100モル%とした場合に、フェニル基は35〜95モル%が好ましく、40〜90モル%がより好ましく、50〜85モル%が特に好ましい。
【0044】
〜Rに含まれる水酸基は、後に説明するエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)中のアルコキシ基と脱アルコール縮合反応をして結合する。水酸基はR〜R全体を100モル%とした場合に、5〜50モル%である。5モル%未満であるとエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)との結合が不十分となり、未反応のシリコーンレジン成分がエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン中に含有することになる。また、50モル%より多いとエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの粘度が高くなりすぎて作業性に劣る懸念がある。
【0045】
〜Rに含まれるフェニル基は、相溶性、硬化物の耐硫化性を向上させる観点から、R〜R全体を100モル%とした場合に、30モル〜95モル%である。フェニル基が30モル%未満であると、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの相溶性、硬化物の耐硫化性が劣る懸念がある。
【0046】
式(1)中のa〜dの関係は以下の式で表される。
a/(a+b+c+d)=0.01〜1.0、b/(a+b+c+d)=0〜0.7、c/(a+b+c+d)=0〜0.3、d/(a+b+c+d)=0〜0.3を示す。
これはシリコーンレジン(a成分)中、全てa構造であってもよく、b構造は0.7以下、c、d構造はそれぞれ0.3以下であることを示す。c、d構造が0.3よりも多いと硬化物の耐硫化性が劣る懸念があり、d構造が0.3よりも多いとエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの粘度が上がりすぎるために作業性に劣る傾向がある。
この中でも、a構造は0.2〜0.7が好ましく、0.3〜0.6が特に好ましい。また、b構造は0.3〜0.7が好ましく、0.4〜0.7が特に好ましい。
【0047】
シリコーンレジン(a成分)中に含まれる、R〜Rの含有率、a〜d構造の割合は、H−NMR、13C−NMR、29Si−NMR等で分析することができる。分析方法としては、例えば、下記の手法が適用できる。
・核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)[日本電子株式会社製、JNM−ECA400]を使用しHの核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定、溶媒はCDCl溶液を使用する。
・核磁気共鳴スペクトル(29Si−NMR)[アジレント・テクノロジー株式会社製、Model 500NMR]を使用し29Siの核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定、溶媒はTHF(テトラヒドロフラン)とアセトンの混合溶液を使用する。
(また、緩和試薬としてCr(AcAc)を15mMになるように添加できる。)
【0048】
シリコーンレジン(a成分)の重量平均分子量(Mw)は400〜10000(GPC)の範囲のものが好ましい。重量平均分子量が400を下回る場合、硬化物の耐硫化性が劣る懸念があり、10000を超えるとエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの粘度が上がりすぎて作業性に劣る懸念がある。ここで、当該重量平均分子量(Mw)は1000〜5000がより好ましく、1500〜3000が特に好ましい。
本発明においてシリコーンレジン(a成分)の重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、下記条件下で測定された値に基づき、ポリスチレン換算で算出した重量平均分子量(Mw)を意味する。
【0049】
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF−G LF−804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
【0050】
シリコーンレジン(a成分)の水酸基当量(g/eq)は、100〜1000が好ましく、150〜800がさらに好ましく、反応制御の容易性、得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの適度な粘度の観点から200〜600が特に好ましい。
シリコーンレジン(a成分)は、例えば、テトラアルコキシシラン、テトラクロロシラン、フェニルトリアルコキシシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジアルコキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、炭素数1〜10のアルキルトリアルコキシシラン、炭素数1〜10のアルキルトリクロロシラン等の加水分解性シラン化合物の加水分解縮合を行うことで得ることができる。
【0051】
シリコーンレジン(a成分)として好ましい具体例としては、以下の製品名を挙げることができる。たとえば東レダウコーニング社製としては、Z−6018、217FLAKE、FCA−107、220FLAKE、233FLAKE、249FLAKE、旭化成ワッカーシリコーン社製としては、SILRES603、SILRES604、SILRES605、SILRES H44、SILRES SY300、SILRES REN100、SILRES SY430、SILRES IC836、モメンティブ社製としては、TSR160などが挙げられる。上記の中でも、相溶性、分子量、硬化物の耐硫化性の観点からZ−6018、217FLAKE、FCA−107、233FLAKE、SILRES603、SILRES604が好ましい。これらシリコーンレジン(a成分)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
次に、エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)について説明する。
本発明におけるエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)は式(2)で表されるアルコキシケイ素化合物である。エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)は、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン中にエポキシ基を導入するための化合物であり、化合物中のアルコキシ基が前述したシリコーンレジン(a成分)および後述するシラノール末端シリコーンオイル(c成分)の有するシラノール基(Si−OH基)と脱アルコール縮合をすることでエポキシ基を導入する。
【0053】
【化14】
【0054】
式(2)中、Xはエポキシ基を有する反応性官能基であれば特に制限はない。
例えば、β−グリシドキシエチル、γ−グリシドキシプロピル、γ−グリシドキシブチル等のグリシドオキシ基で置換された炭素数1〜4のアルキル基、グリシジル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘプチル)エチル基、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、5−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチル基等のオキシラン基を持った炭素数5〜8のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。これらの中で、グリシドオキシ基で置換された炭素数1〜3のアルキル基、エポキシ基を有する炭素数5〜8のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜3のアルキル基として、例えば、β−グリシドキシエチル基、γ−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましく、特に着色を抑えることができることからβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましい。
【0055】
式(2)中、Rは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を有するアリール基を示す。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性、硬化物の耐熱透明性の観点から、メチル基、フェニル基が好ましい。
【0056】
式(2)中のRは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を示す。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性、反応性等の反応条件の観点から、メチル基又はエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0057】
式(2)中のeは整数で0、1、2を表し、fは(3−e)をそれぞれ表す。エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの粘度、硬化物の機械強度の観点からeは0又は1が好ましい。
【0058】
エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)として好ましい具体例としては、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルシクロヘキシルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルフェニルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシクロヘキシルジメトキシシラン等が挙げられ、反応性や本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを硬化してなる硬化物の透明性が優れることから、特に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。これらエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)は、単独又は2種以上で用いてもよく、以下に示すアルコキケイ素化合物(g成分)と併用することもできる。
【0059】
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの原料として、エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)と共に、下記式(4)で表わされるアルコキシケイ素化合物(g成分)を併用することができる。アルコキシケイ素化合物(g成分)を併用することで、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの、粘度、屈折率等を調整することができる。
【0060】
【化15】
【0061】
式(4)中の、R、Rは前記したものと同じ内容を、hは整数で0、1、2、3を、iは(4−h)をそれぞれ示す。
【0062】
併用できるアルコキシケイ素化合物(g成分)として好ましい具体例としては、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジジエトキシシラン等が挙げられる。上記の中でもメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランが好ましい。
【0063】
次にシラノール末端シリコーンオイル(c成分)について説明する。本発明において、シラノール末端シリコーンオイル(c成分)は下記式(3)で表される、シラノール基を両末端に有するシリコーン樹脂のことをいう。
【0064】
【化16】
【0065】
式(3)においてRはメチル基等の炭素数1〜3のアルキル基、またはフェニル基等の炭素数6〜10のアリール基を示す。複数存在するRは同一であっても異なっていても構わない。
【0066】
式(3)において、gは平均値で2〜2000を示し、好ましくは3〜200、より好ましくは3〜100、さらに好ましくは3〜50である。gが3を下回ると硬化物が硬くなりすぎ、そのヒートサイクル耐性が劣る恐れがあり好ましくない。gが200を上回ると硬化物の機械強度が低下する傾向にあり好ましくない。
【0067】
シラノール末端シリコーンオイル(c成分)の重量平均分子量(Mw)は400〜3000(GPC)の範囲のものが好ましい。重量平均分子量が400を下回る場合、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの粘度が上がるため作業性に劣る懸念があり、3000を超えると激しい層分離構造を持つ事で、光半導体素子封止に使用するには透過性が悪くなり、使用することが困難となる懸念がある。
本発明においてシラノール末端シリコーンオイル(c成分)の重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、下記条件下で測定された値に基づき、ポリスチレン換算で算出した重量平均分子量(Mw)を意味する。
【0068】
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF−G LF−804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
【0069】
シラノール末端シリコーンオイル(c成分)は、例えば、ジメチルジアルコキシシラン、ジメチルジクロルシランを加水分解、縮合することによって製造できる。
【0070】
シラノール末端シリコーンオイル(c成分)として好ましい具体例としては、以下の製品名を挙げることができる。例えば、東レダウコーニング社製としては、PRX413、BY16−873、信越化学工業社製としては、X−21−5841、KF−9701、モメンティブ社製としては、XC96−723、TSR160、YR3370、YF3800、XF3905、YF3057、YF3807、YF3802、YF3897、XF3905、YF3804、旭化成ワッカーシリコーン社製としては、FINISH WS 62 M、CT 601M、CT 5000M、Gelest社製としては、DMS−S12、DMS−S14、DMS−S15、DMS−S21、DMS−S27、DMS−S31、DMS−S32、DMS−S33、DMS−S35、DMS−S42、DMS−S45、DMS−S51、PDS−0332、PDS−1615、PDS−9931などが挙げられる。上記の中でも、分子量、動粘度の観点からPRX413、BY16−873、X−21−5841、KF−9701、XC96−723,YF3800、FINISH WS 62 M、DMS−S12、DMS−S14、DMS−S15、DMS−S21、PDS−1615が好ましい。これらの中でも分子量の観点から、X−21−5841,XC96−723,YF3800、FINISH WS 62 M、DMS−S14、PDS−1615が特に好ましい。これらシラノール末端シリコーンオイル(c成分)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0071】
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの製造において、シリコーンレジン(a成分)とシラノール末端シリコーンオイル(c成分)のシラノール基の合計量1当量に対して、エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))のアルコキシ基を1.5当量より小さい量で反応させるとエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))中の2つ以上のアルコキシ基がシリコーンレジン(a成分)および/又はシラノール末端シリコーンオイル(c成分)のシラノール基と反応することになり、製造時に高分子になりすぎてゲル化がおきる恐れがある。このため、シラノール基1当量に対して、アルコキシ基を1.5当量以上で反応させることが好ましい。反応制御の観点からは2.0当量以上がより好ましい。
【0072】
次に本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの製造工程について説明する。
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンは、製造工程I、IIまたは製造工程1〜3を経ることによって得ることができる。
まず、製造工程I、IIについて説明する。
[製造工程I]シリコーンレジン(a成分)およびシラノール末端シリコーンオイル(c成分)のシラノール基と、エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g))のアルコキシ基を無機塩基化合物存在下、脱アルコール縮合を行う工程
[製造工程II]製造工程Iの後、水を添加して残存するアルコキシ基同士の縮合を行う工程。
【0073】
製造工程を二段階に分けることで、まずシラノール基とアルコキシ基を確実に反応させて変性シリコーンレジンおよび変性シリコーンオイルを得た後に、残存するアルコキシ基の脱アルコール加水分解縮合を行ない、均一な安定した製品を得ることができる。
【0074】
製造工程を一段階として、製造の始めから水を加えると、シラノール基とアルコキシ基との縮合反応と、エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))の重合反応が競争反応となり、お互いの反応速度の差、生成物の相溶性の差により、不均一な化合物が得られたり、エポキシ基を有さないシリコーンレジン(a成分)やシラノール末端シリコーンオイル(c成分)が大量に残存することにより製品に悪影響を及ぼしたりする。
また、反応温度、原料の反応濃度によっては、エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))同士の重合がシラノール基とアルコキシ基との縮合反応よりも先に進行し、過度な高分子量体になって溶剤不溶成分になる(ゲル化)こともある。
【0075】
製造工程Iにおいては無溶剤で反応することもできるが、溶剤存在下で反応させることが好ましく、溶剤の中でも反応制御の観点からアルコールが特に好ましい。使用できるアルコールとしては炭素数1〜10のアルコールが挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナンアルコール、デカンアルコール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール等が挙げられる。本発明においては1級アルコール、2級アルコールが好ましく、特に1級アルコール、もしくは1級アルコールと2級アルコールを混合して用いることが好ましい。1級アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナンアルコール、デカンアルコール、プロピレングリコール等が挙げられ、また、2級アルコールの例としては、イソプロパノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、後の除去性能の観点から、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4の低分子量アルコールが好ましい。これらアルコールは混合して用いても構わず、混合する場合、1級アルコール、2級アルコールから選択される二種以上であることが好ましく、少なくとも1成分に1級アルコールが含有されることが、後述する触媒の溶解性に優れることから好ましい。好ましい1級アルコールの量は全アルコール量の5重量%以上、より好ましくは8重量%以上である。
本反応に2級アルコールを併用することで製造工程Iの反応系の単位時間あたりの重量平均分子量の変化量が、1級アルコールのみを用いた場合よりも小さくなるため、反応の制御がより容易である。一般的に工業生産など大スケールの反応の際には、反応時間、反応温度の厳密な制御が困難になるため、2級アルコールの併用は反応制御の観点から特に工業生産など大スケール反応の際に有用である。
【0076】
製造工程Iにおいてアルコールの使用量は、シリコーンレジン(a成分)、シラノール末端シリコーンオイル(c成分)とエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))の総重量に対し、2重量%以上含有することが好ましい。より好ましくは2〜100重量%、さらに好ましくは3〜50重量%、特に好ましくは4〜40重量%である。
100重量%を越えると反応の進みが極度に遅くなる場合があり、2重量%未満の場合、目的とする反応以外の反応が進行し、高分子量化が進み、ゲル化、粘度の上昇、硬化物として使用が困難となるほどの弾性率の増加、といった問題が生じる場合がある。
本反応においては必要に応じて他の溶剤を併用しても構わない。
併用できる溶剤としては例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素等が例示できる。
【0077】
本反応で使用するシリコーンレジン(a成分)は、固体状態のものが多いため、シリコーンレジン(a成分)を溶解する溶媒を併用することが望ましい。その場合、シリコーンレジン(a成分)の溶解性、汎用性、沸点が低すぎないなど作業性の観点から、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、トルエンが好ましく、その中でもエポキシ基含有オルガノポリシロキサンの安定性、透明性の観点からメチルイソブチルケトン、トルエンが特に好ましい。
【0078】
本発明の製造工程Iにおける反応は、無機塩基化合物存在下で行う。本発明の反応において無機塩基化合物は反応の触媒として作用し、無添加で反応を行うと反応進行が遅く反応効率が著しく悪い。また、トリエチルアミンなどの有機塩基存在下では塩基性が弱いため反応効率が悪く、得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの粘度が低すぎたり、硬化物の硬度が不十分であったり、反応温度によっては反応が進行しないこともある。
【0079】
無機塩基化合物を用いることで反応が十分に進行させられるだけでなく、生成物からの除去が容易である。
無機塩基化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属無機塩、あるいはアルカリ土類金属無機塩が挙げられ、特に水酸化物が好ましい。この中でも触媒能、アルコールへの溶解性から水酸化カリウムが特に好ましい。
【0080】
無機塩基化合物の添加方法は、直接添加するか、可溶性の溶剤等に溶解させた状態で使用する。その中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類に触媒をあらかじめ溶解させた状態で添加するのが好ましい。この際に、水などを用いた水溶液として添加することは、目的とする反応以外のゾルーゲル反応が競争的に進行してしまい、エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、使用する場合アルコキシケイ素化合物(g成分))のアルコキシ基の重縮合を一方的に進行させ、それにより生成した反応物と、シラノール末端シリコーンオイル(c成分)とが相溶せず白濁する可能性があるので注意が必要である。
この際の水分の許容範囲はシリコーンレジン(a成分)、シラノール末端シリコーンオイル(c成分)とエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))の総重量に対し0.5重量%以下が好ましく、より好ましくは0.3重量%以下であり、水分が可能な限り無いほうがより好ましい。
【0081】
本発明の製造工程Iにおいて使用しうる無機塩基化合物の量は、反応に用いるシリコーンレジン(a成分)、シラノール末端シリコーンオイル(c成分)とエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))の総重量に対し、通常0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜2重量%である。
【0082】
製造工程Iの反応温度は、無機塩基化合物添加量、使用溶剤にもよるが、通常20〜160℃が好ましく、より好ましくは40〜100℃、特に好ましくは50〜95℃である。又、反応時間は通常1〜20時間が好ましく、より好ましくは3〜12時間である。
【0083】
次に、製造工程IIについて詳細に記載する。
製造工程IIにおいては、製造工程Iの反応終了後、水を添加し、製造工程Iで得られた変性シリコーンレジンおよび変性シリコーンオイルに残存するアルコキシ基、および未反応で残存するエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、使用する場合アルコキシケイ素化合物(g成分))のアルコキシ基の加水分解脱アルコール縮合を行う。
この反応は、(1)変性シリコーンレジン同士、および/または、(2)変性シリコーンオイル同士、および/または、(3)エポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)同士(および、使用する場合にはアルコキシケイ素化合物(g成分))との間、および/または、(4)変性シリコーンレジンと変性シリコーンオイルとの間、および/または(5)変性シリコーンレジンとエポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、使用する場合にはアルコキシケイ素化合物(g成分))との間、および/または、(6)変性シリコーンオイルとエポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、使用する場合にはアルコキシケイ素化合物(g成分))との間、および/または、(7)エポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、使用する場合にはアルコキシケイ素化合物(g成分))部分重合物と変性シリコーンレジンとの間、および/または、(8)エポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、使用する場合にはアルコキシケイ素化合物(g成分))の部分重合物と変性シリコーンオイルとの間で重合反応を行う工程である。上記(1)〜(8)の重合反応は、同時に平行して進行していると考えられる。
特に製造工程IIにおいても先と同様、触媒として塩基性無機化合物が必要であることは代わりがなく、製造工程Iの段階で必要な量を先に添加しておいても構わない。ただし、製造工程Iで好ましい態様として記載した範囲を越えることは好ましくない。
【0084】
製造工程IIにおいては溶剤を添加することが好ましい。
製造工程IIにおいて溶剤として、製造工程Iと同様にアルコールを用いることが好ましい。使用できるアルコールとしては炭素数1〜10のアルコールが挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナンアルコール、デカンアルコール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール等が挙げられる。本発明においては特に1級アルコール、2級アルコールが好ましく、特に1級アルコールが好ましい。また、後の除去性能の観点から、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4の低分子量アルコールが好ましい。これらアルコールは混合して用いても構わない。これらアルコールの存在が分子量制御、およびその安定性に寄与することができる。
アルコールの添加量としては製造工程Iにおいて仕込んだシリコーンレジン(a成分)とエポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))とシラノール末端シリコーンオイル(c成分)との総重量に対し、20〜200重量%が好ましく、より好ましくは20〜150重量%、特に好ましくは30〜120重量%である。
【0085】
製造工程IIにおいては水を加える(イオン交換水、蒸留水、上水、何れも使用できる)。水の使用量としては、残存するアルコキシ基量に対し、0.5〜8.0当量が好ましく、より好ましくは0.6〜5.0当量、特に好ましくは0.65〜2.0当量である。
水の量が0.5当量を下回る場合、反応の進行が遅くなり、エポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))が反応せずに残存する等の問題が生じたり、十分なネットワークを組めず、後の硬化性樹脂組成物とした後の硬化後も硬化不良を起こしたりする可能性がある。また8.0当量を越える場合、分子量制御が効かず、必要以上に高分子量となる可能性がある。さらに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの安定性を阻害する可能性がある。
【0086】
製造工程IIの反応温度は、触媒量、使用溶剤にもよるが、通常20〜160℃が好ましく、より好ましくは40〜100℃、特に好ましくは50〜95℃である。又、反応時間は通常1〜20時間、好ましくは3〜12時間である。
【0087】
反応終了後、必要に応じてクエンチ、および/又は水洗によって触媒を除去することができる。水洗を行う場合、使用している溶剤の種類によっては水と分離可能な溶剤を加えることが好ましい。好ましい溶剤としては例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素等が例示できる。
【0088】
本反応は水洗のみで触媒の除去を行っても構わないが、塩基性条件で反応を行うことから、中和反応によりクエンチを行った後に水洗を行うか、吸着剤を用いて触媒を吸着した後にろ過により吸着剤を除くことが好ましい。
中和反応には酸性を示す化合物であれば使用する事ができる。酸性を示す化合物の例としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸が挙げられる。これらの中でも、特に生成物からの除去が容易である点で無機酸が好ましく、さらに好ましくは中性付近へのpHの調整がより容易である燐酸塩類などである。
【0089】
吸着剤としては活性白土、活性炭、ゼオライト、無機・有機系の合成吸着剤、イオン交換樹脂等が例示でき、具体例としては下記の製品が挙げられる。
活性白土としては、例えば、東新化成社製として、活性白土SA35、SA1、T、R−15、E、ニッカナイト(商品名)G−36、G−153、G−168が、水沢化学工業社製として、ガレオンアース(商品名)、ミズカエース(商品名)などが挙げられる。活性炭としては、例えば、味の素ファインテクノ社製として、CL−H、Y−10S、Y−10SFがフタムラ化学社製として、S、Y、FC、DP、SA1000、K、A、KA、M、CW130BR、CW130AR、GM130Aなどが挙げられる。ゼオライトとしては、例えば、ユニオン昭和社製として、モレキュラーシーブ(商品名)3A、4A、5A、13Xなどが挙げられる。合成吸着剤としては、例えば、協和化学社製として、キョーワード(商品名)100、200、300、400、500、600、700、1000、2000や、ローム・アンド・ハース社製として、アンバーリスト(商品名)15JWET、15DRY、16WET、31WET、A21、アンバーライト(商品名)IRA400JCl、IRA403BLCl、IRA404JCl、ダウケミカル社製として、ダウエックス(商品名)66、HCR−S、HCR−W2、MAC−3などが挙げられる。
吸着剤を反応液に加え、攪拌、加熱等の処理を行い、触媒を吸着した後に、吸着剤をろ過、さらには残渣を水洗することによって、触媒、吸着剤を除くことができる。
【0090】
反応終了後またはクエンチ後は水洗、ろ過の他慣用の分離精製手段によって精製することができる。精製手段としては例えば、カラムクロマトグラフィー、減圧濃縮、蒸留、抽出等が挙げられる。これらの精製手段は単独で行なってもよいし、複数を組み合わせて行なってもかまわない。
【0091】
反応溶媒として水と混合する溶媒を用いて反応した場合には、クエンチ後に蒸留または減圧濃縮によって水と混合する反応溶媒を系中から除いた後に、水と分離可能な溶剤を用いて水洗を行なうことが好ましい。
【0092】
水洗後は減圧濃縮等により溶剤を除去することで、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを得ることができる。
【0093】
以上、本発明における製造工程I、IIと、それを経て得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのクエンチ、水洗、吸着、分離精製方法について説明した。
【0094】
次に製造工程1〜3について説明する。
[製造工程1]シリコーンレジン(a成分)のシラノール基とエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))のアルコキシ基を無機塩基化合物存在下、脱アルコール縮合を行う工程
[製造工程2]製造工程1の後、シラノール末端シリコーンオイル(c成分)を添加し、製造工程1を経て残存しているアルコキシ基と、c成分のシラノール基との脱アルコール縮合を行う工程
[製造工程3]製造工程2の後、水を添加し、残存しているアルコキシ基同士の縮合を行う工程。
【0095】
製造工程を三段階に分けることで、まず製造工程1において比較的反応性の低いシリコーンレジン(a成分)のシラノール基とアルコキシ基を確実に反応させて変性シリコーンレジンを得た後に、製造工程2においてシラノール末端シリコーンオイル(c成分)を添加し、比較的反応性の高いシラノール末端シリコーンオイル(c成分)のシラノール基とアルコキシ基を確実に反応させて変性シリコーンオイルを得て、製造工程3において残存するアルコキシ基の脱アルコール加水分解縮合を行ない、均一な安定した製品を得ることができる。
【0096】
製造工程を三段階とすることで、前述した二段階の製造工程I、IIの製法よりも、より均一な安定した製品を得ることができる。
【0097】
製造工程を一段階として、製造の始めから水を加えると、シラノール基とアルコキシ基との縮合反応と、アルコキシシラン同士の重合反応が競争反応となり、お互いの反応速度の差、生成物の相溶性の差により、不均一な化合物が得られたり、エポキシ基を有さないシリコーンレジン(a成分)やシラノール末端シリコーンオイル(c成分)が大量に残存することにより製品に悪影響を及ぼしたりする。
【0098】
製造工程1においては無溶剤で反応することもできるが、溶剤存在下で反応させることが好ましく、溶剤の中でも反応制御の観点からアルコールが特に好ましい。使用できるアルコールとしては炭素数1〜10のアルコールが挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナンアルコール、デカンアルコール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール等が挙げられる。本発明においては1級アルコール、2級アルコールが好ましく、特に1級アルコール、もしくは1級アルコールと2級アルコールを混合して用いることが好ましい。1級アルコールの例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナンアルコール、デカンアルコール、プロピレングリコール等が挙げられ、また、2級アルコールの例としては、イソプロパノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコール等が挙げられる。また、後の除去性能の問題から、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4の低分子量アルコールが好ましい。これらアルコールは混合して用いても構わず、混合する場合、1級アルコール、2級アルコールから選択される二種以上であることが好ましく、少なくとも1成分に1級アルコールが含有されることが、後述する触媒の溶解性に優れることから好ましい。好ましい1級アルコールの量は全アルコール量の5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。
【0099】
本反応に2級アルコールを併用することで製造工程1の反応系の単位時間あたりの重量平均分子量の変化量が、1級アルコールのみを用いた場合よりも小さくなるため、反応の制御がより容易である。一般的に工業生産など大スケールの反応の際には、反応時間、反応温度の厳密な制御が困難になるため、2級アルコールの併用は反応制御の観点から特に工業生産など大スケール反応の際に有用である。
【0100】
製造工程1においてアルコールの使用量は、シリコーンレジン(a成分)とエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))の総重量に対し、2重量%以上含有することが好ましい。より好ましくは2〜100重量%、さらに好ましくは3〜50重量%、特に好ましくは4〜40重量%である。
100重量%を越えると反応の進みが極度に遅くなる恐れがあり、2重量%未満の場合、目的とする反応以外の反応が進行し、高分子量化が進み、ゲル化、粘度の上昇、硬化物として使用が困難となるほどの弾性率の増加、といった問題が生じる恐れがある。
本反応においては必要に応じて他の溶剤を併用しても構わない。
併用できる溶剤としては例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素等が例示できる。
【0101】
本反応で使用するシリコーンレジン(a成分)は、固体状態のものが多いため、製造工程1の初期段階で溶解させることが望ましい。
溶媒としては、通常液体であるエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))を用いても構わないし、前述した併用できる溶剤を用いても構わない。
溶剤を用いる場合、シリコーンレジン(a成分)の溶解性、汎用性、沸点が低すぎないなど作業性の観点から、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、トルエンが好ましく、その中でもエポキシ基含有オルガノポリシロキサンの安定性、透明性の観点からメチルイソブチルケトン、トルエンが特に好ましい。
【0102】
本発明の製造工程1における反応は、無機塩基化合物存在下で行う。本発明の反応において無機塩基化合物は反応の触媒として作用し、無添加で反応を行うと反応進行が遅く反応効率が著しく悪い。また、トリエチルアミンなどの有機塩基存在下では塩基性が弱く、反応効率が悪く、得られたエポキシ樹脂の粘度が低すぎたり、硬化物の硬度が不十分であったり、反応温度によっては反応が進行しないこともある。
【0103】
無機塩基化合物を用いることで反応が十分に進行させられるだけでなく、生成物からの除去が容易である。
無機塩基化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属塩、あるいはアルカリ土類金属塩が挙げられ、特に水酸化物が好ましい。この中でも触媒能、アルコールへの溶解性から水酸化カリウムが特に好ましい。
無機塩基化合物の添加方法は、直接添加するか、可溶性の溶剤等に溶解させた状態で使用する。その中でもメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類に触媒をあらかじめ溶解させた状態で添加するのが好ましい。この際に、水などを用いた水溶液として添加することは、目的とする反応以外のゾルーゲル反応が競争的に進行してしまい、エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))のアルコキシ基の重縮合を一方的に進行させ、それにより生成した反応物と、シリコーンレジン(a成分)や、製造工程2において添加するシラノール末端シリコーンオイル(c成分)とが相溶せず白濁する可能性があるので注意が必要である。
製造工程1〜2を通して水分の許容範囲はシリコーンレジン(a成分)、シラノール末端シリコーンオイル(c成分)とエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))の総重量に対し0.5重量%以下が好ましく、より好ましくは0.3重量%以下であり、水分が可能な限り無いほうがより好ましい。
【0104】
本発明の製造工程1において使用しうる無機塩基化合物の量は、反応に用いるシリコーンレジン(a成分)、シラノール末端シリコーンオイル(c成分)とエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))の総重量に対し、通常0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜2重量%である。
【0105】
製造工程1の反応温度は、無機塩基化合物添加量、使用溶剤にもよるが、通常20〜160℃が好ましく、より好ましくは40〜100℃、特に好ましくは50〜95℃である。又、反応時間は通常1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜12時間である。
【0106】
次に製造工程2について詳細に記載する。
製造工程2においては、製造工程1の後に、シラノール末端シリコーンオイル(c成分)を添加し、シラノール末端シリコーンオイル(c成分)のシラノール基と、エポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))のアルコキシ基との脱アルコール縮合を行う。製造工程2を経ることで、シリコーンレジン(a成分)およびシラノール末端シリコーンオイル(c成分)にエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))が縮合した、変性シリコーンレジンと変性シリコーンオイルを得ることができる。
【0107】
本発明の製造工程2における反応は、製造工程1と同様の理由で、無機塩基化合物存在下で行う。製造工程2において使用する無機塩基化合物は前述した製造工程1で例示した種類、添加量の範囲内で使用するが、製造工程2で新たな無機塩基化合物を添加してもよい。
本発明の製造工程2における反応は、製造工程1と同様に無溶剤で反応させることもできるが、溶剤存在下で反応させることが好ましい。製造工程2において使用する溶剤は前述した製造工程1で例示した種類、添加量の範囲内で使用することができる。
【0108】
製造工程2の反応温度は、無機塩基化合物添加量、使用溶剤にもよるが、通常20〜160℃が好ましく、より好ましくは40〜100℃、特に好ましくは50〜95℃である。又、反応時間は通常1〜20時間が好ましく、より好ましくは2〜12時間である。
【0109】
次に、製造工程3について詳細に記載する。
製造工程3においては、製造工程2の反応終了後、水を添加し、製造工程1、2で得られた変性シリコーンレジンおよび変性シリコーンオイルに残存するアルコキシ基、および未反応で残存するエポキシ基含有ケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))のアルコキシ基の加水分解脱アルコール縮合を行う。
この際、必要に応じて前述のエポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))、無機塩基化合物を前述の量の範囲内で添加しても構わない。この反応は、(1)変性シリコーンレジン同士、および/または、(2)変性シリコーンオイル同士、および/または、(3)エポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)同士(および、使用する場合にはアルコキシケイ素化合物(g成分))との間、および/または、(4)変性シリコーンレジンと変性シリコーンオイルとの間、および/または(5)変性シリコーンレジンとエポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、使用する場合にはアルコキシケイ素化合物(g成分))との間、および/または、(6)変性シリコーンオイルとエポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、使用する場合にはアルコキシケイ素化合物(g成分))との間、および/または、(7)エポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、使用する場合にはアルコキシケイ素化合物(g成分))部分重合物と変性シリコーンレジンとの間、および/または、(8)エポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、使用する場合にはアルコキシケイ素化合物(g成分))部分重合物と変性シリコーンオイルとの間で重合反応を行う工程である。上記(1)〜(8)の重合反応は、同時に平行して進行していると考えられる。
特に製造工程3においても先と同様、触媒としては塩基性無機化合物が必要であることは代わりがなく、製造工程1、2の段階で必要な量を先に添加しておいても構わない。ただし、製造工程1で好ましい態様として記載した範囲を越えることは好ましくない。
【0110】
製造工程3においては溶剤を添加することが好ましい。
製造工程3において溶剤として、製造工程1、2と同様にアルコールを用いることが好ましい。使用できるアルコールとしては炭素数1〜10のアルコールが挙げられ、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナンアルコール、デカンアルコール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール等が挙げられる。本発明においては特に1級アルコール、2級アルコールが好ましく、特に1級アルコールが好ましい。また、後の除去性能の観点から、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4の低分子量アルコールが好ましい。これらアルコールは混合して用いても構わない。これらアルコールの存在が分子量制御、およびその安定性に寄与することができる。
【0111】
アルコールの添加量としては製造工程1、2において仕込んだシリコーンレジン(a成分)とエポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))とシラノール末端シリコーンオイル(c成分)との総重量に対し、20〜200重量%が好ましく、より好ましくは20〜150重量%、特に好ましくは30〜120重量%である。
【0112】
製造工程3においては水を加える(イオン交換水、蒸留水、上水、何れも使用できる)。水の使用量としては、残存するアルコキシ基量に対し、0.5〜8.0当量が好ましく、より好ましくは0.6〜5.0当量、特に好ましくは0.65〜2.0当量である。
水の量が0.5当量を下回る場合、反応の進行が遅くなり、エポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))が反応せずに残存する等の問題が生じたり、十分なネットワークを組めず、後の硬化性樹脂組成物とした後の硬化後も硬化不良を起こしたりする可能性がある。また8.0当量を越える場合、分子量制御が効かず、必要以上に高分子量となる可能性がある。さらに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの安定性を阻害する可能性がある。
【0113】
製造工程3の反応温度は、無機塩基化合物の添加量、使用溶剤にもよるが、通常20〜160℃が好ましく、より好ましくは40〜100℃、特に好ましくは50〜95℃である。又、反応時間は通常1〜20時間が好ましく、より好ましくは3〜12時間である。
【0114】
以上、本発明の製造工程1〜3について説明した。
【0115】
製造工程1〜3の後は、前述したクエンチ、水洗、吸着、分離精製を行うことができる。
【0116】
本発明の製造工程I、IIまたは製造工程1〜3を経て得られるエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの外観は、通常無色透明で25℃において流動性を有する液状である。また、その分子量はGPCで測定した重量平均分子量として1000〜20000のものが好ましく、2000〜10000のものがより好ましく、特に3000〜7000のものが好ましい。重量平均分子量が1000より下回る場合は耐熱性が低下する恐れがあり、20000を上回る場合は、これを用いて封止したLED素子のはんだリフロー時に基板から封止材が剥離する恐れがある。
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて下記条件下で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0117】
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF−G LF−804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
【0118】
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのエポキシ当量(JIS K−7236に記載の方法で測定)は300〜1500g/eq.のものが好ましく、320〜1400g/eqのものがより好ましく、さらに350〜1200g/eq、特に350〜1000g/eqのものが好ましい。エポキシ当量が300g/eqを下回る場合はその硬化物が硬くなりすぎる傾向があり、1500g/eqを上回る場合は硬化物の機械特性が悪化する傾向にあり好ましくない。
【0119】
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンは、単一のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンであっても良いし、2種以上のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの混合物であっても構わない。ここで、硬化物の適度な機械強度の観点からは、単一のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンであれば当該エポキシ樹脂が、2種以上のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの混合物である場合は、特定のシエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのエポキシ当量×(当該特定のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの含有量/エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの総量)の総和のエポキシ当量が、300〜1500g/eqであることが好ましく、350〜1000g/eqであることが特に好ましい。
【0120】
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの粘度(E型粘度計、25℃で測定)は50〜40,000mPa・sのものが好ましく、500〜20,000mPa・sのものがより好ましく、特に800〜15,000mPa・sのものが好ましい。粘度が50mPa・sを下回る場合は、粘度が低すぎて光半導体封止材用途としては適さない恐れがあり、40,000mPa・sを上回る場合は、粘度が高すぎて作業性に劣る場合がある。
【0121】
エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンにおいて3つの酸素原子が結合しているケイ素原子の全ケイ素原子に対する割合は3〜50モル%が好ましく、5〜40モル%がより好ましく、特に6〜35モル%が好ましい。3つの酸素原子に結合しているケイ素原子の全ケイ素原子に対する割合が3モル%を下回ると、硬化物がやわらかくなりすぎる傾向にあり、表面タックや傷つきの懸念がある。また50モル%を上回ると硬化物が硬くなりすぎる場合があり、好ましくない。
存在するケイ素原子の割合は、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのH NMR、29Si NMR、元素分析等によって求めることができる。
【0122】
得られる本発明のエポキシ基含有ポリオルガノポリシロキサンは、例えば、下記のような構造となる。
下記シリコーンレジン構造(A)、エポキシ基含有シルセスキオキサン構造(B)、シリコーンオイル構造(C)の構造が連結し、末端がシラノール基及び/または炭素数1〜10のアルコキシ基であるエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン。
【0123】
シリコーンレジン構造(A):
【0124】
【化17】
【0125】
(式中、R’、R’、R’、R’、R’、R’は、互いに同一であっても異なっていてもよく、一価の炭化水素基または水酸基であり、分子中のR’〜R’全体を100モル%とした場合に、水酸基が5〜50モル%であり、フェニル基が30〜95モル%であり、かつ、a/(a+b+c+d)=0.01〜1.0、b/(a+b+c+d)=0〜0.7、c/(a+b+c+d)=0〜0.3、d/(a+b+c+d)=0〜0.3である。但し、分子中のR’〜R’の少なくとも2つの水酸基が脱離して、ケイ素原子がエポキシ基含有シルセスキオキサン構造(B)の酸素原子に結合している。);
【0126】
エポキシ基含有シルセスキオキサン構造(B):
【0127】
【化18】
【0128】
(式中、Yは、それぞれ独立して、水素原子、エポキシ基を有する反応性官能基、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であるが、Yの少なくとも一つはエポキシ基を有する反応性官能基である。lは2以上の整数を表す。*はシリコーンレジン構造(A)またはシリコーンオイル構造(C)のケイ素原子への結合を表す。);
【0129】
シリコーンオイル構造(C):
【0130】
【化19】
【0131】
(式中、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基を示し、gは平均値で2〜2000を示す。*はエポキシ基含有シルセスキオキサン構造(B)の酸素原子への結合を表す。)。
【0132】
以上、本発明におけるエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの好ましい態様である、製造工程I、IIまたは製造工程1〜3を経て得ることができる、シリコーンレジン(a成分)およびシラノール末端シリコーンオイル(c成分)のシラノール基と、エポキシ基を含有するケイ素化合物(b成分)(および、必要に応じてアルコキシケイ素化合物(g成分))の縮合物について説明した。
【0133】
本発明の光半導体封止用樹脂組成物には、前述した製造工程I、IIまたは製造工程1〜3を経て得られたエポキシ基含有オルガノポリシロキサンの他にエポキシ樹脂を混合して用いることができる。
用いうる他のエポキシ樹脂としては、フェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。
【0134】
前記フェノール類化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂としては、例えば2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−ヒドロキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシノール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0135】
前記各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂としては、例えばフェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノール類、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物等が挙げられる。
【0136】
前記脂環式エポキシ樹脂としては、例えば3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−(3,4−エポキシ)シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環骨格を有する脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
前記脂肪族系エポキシ樹脂としては、例えば1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールのグリシジルエーテル類が挙げられる。
複素環式エポキシ樹脂としては、例えばイソシアヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エポキシ樹脂が挙げられる。
前記グリシジルエステル系エポキシ樹脂としては、例えばヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のカルボン酸エステル類からなるエポキシ樹脂が挙げられる。
グリシジルアミン系エポキシ樹脂としては、例えばアニリン、トルイジン等のアミン類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
前記ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂としては、例えばブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
【0137】
エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体としては、市場から入手可能な製品ではマープルーフ(商品名)G−0115S、同G−0130S、同G−0250S、同G−1010S、同G−0150M、同G−2050M (日油(株)製)等が挙げられ、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物としては、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシド等が挙げられる。また他の重合性不飽和化合物の共重合体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0138】
前記したエポキシ樹脂は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
【0139】
前記したエポキシ樹脂の中でも、透明性、耐熱透明性、耐光透明性の観点から、脂環式エポキシ樹脂の併用は好ましい。脂環式エポキシ樹脂の場合、骨格にエポキシシクロヘキサン構造を有する化合物が好ましく、シクロヘキセン構造を有する化合物の酸化反応により得られるエポキシ樹脂が特に好ましい。
これらエポキシ樹脂としては、シクロヘキセンカルボン酸とアルコール類とのエステル化反応あるいはシクロヘキセンメタノールとカルボン酸類とのエステル化反応(Tetrahedron vol.36 p.2409(1980)、Tetrahedron Letter p.4475(1980)等に記載の手法)、あるいはシクロヘキセンアルデヒドのティシェンコ反応(日本国特開2003−170059号公報、日本国特開2004−262871号公報等に記載の手法)、さらにはシクロヘキセンカルボン酸エステルのエステル交換反応(日本国特開2006−052187号公報等に記載の手法)によって製造できる化合物を酸化した物などが挙げられる(これらの引例の全内容はここに参照として取り込まれる)。
【0140】
アルコール類としては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパンなどのテトラオール類などが挙げられる。またカルボン酸類としてはシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれに限らない。
【0141】
さらには、シクロヘキセンアルデヒド誘導体と、アルコール体とのアセタール反応によるアセタール化合物が挙げられる。
これらエポキシ樹脂の具体例としては、ERL−4221、UVR−6105、ERL−4299(全て商品名、いずれもダウ・ケミカル製)、セロキサイド2021P、エポリードGT401、EHPE3150、EHPE3150CE(全て商品名、いずれもダイセル化学工業製)およびジシクロペンタジエンジエポキシドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76−85、その全内容はここに参照として取り込まれる))。
【0142】
エポキシ基含有オルガノポリシロキサンと他のエポキシ樹脂を併用する場合には、全エポキシ樹脂に対して、エポキシ基含有オルガノポリシロキサンの割合は60〜99重量部であることが好ましく、90〜97重量部が特に好ましい。60重量部を下回ると、硬化物の耐光性(耐UV性)が劣る恐れがある。
【0143】
本発明の硬化性樹脂組成物においてエポキシ基含有オルガノポリシロキサンを含む全エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤の配合比率は、全エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.2当量の硬化剤を使用することが好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.2当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0144】
次に、エポキシ樹脂硬化剤について説明する。
エポキシ樹脂硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、多価カルボン酸化合物などが挙げられる。
本発明においてエポキシ樹脂硬化剤としては硬度、作業性(室温にて液状であること)、硬化物の透明性という観点から特に酸無水物系化合物、多価カルボン酸化合物が好ましく、その中でも後述する、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)と、分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(e)と、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)と、必要に応じて分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)とを付加反応することで得られる、多価カルボン酸樹脂が最も好ましい。
【0145】
酸無水物系化合物としては具体的には無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、2,4−ジエチル無水グルタル酸、3,3−ジメチル無水グルタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、などの酸無水物が挙げられる。
特にメチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、2,4−ジエチル無水グルタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物などが、耐光性、透明性、作業性の観点から好ましい。
【0146】
多価カルボン酸化合物は少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物である。
多価カルボン酸としては、2〜6官能のカルボン酸が好ましく、例えば、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、リンゴ酸等の直鎖アルキル二酸類、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、クエン酸等のアルキルトリカルボン酸類、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ナジック酸、メチルナジック酸等の脂肪族環状多価カルボン酸類、リノレン酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸の多量体およびそれらの還元物であるダイマー酸類、2〜6官能の多価アルコールと酸無水物との反応により得られた化合物類が挙げられ、2〜6官能の多価アルコールと酸無水物との反応により得られた化合物類が、耐熱性、作業性の観点からより好ましい。さらには上記酸無水物が飽和脂肪族環状酸無水物である多価カルボン酸が透明性の観点から好ましい。
【0147】
2〜6官能の多価アルコールとしてはアルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパンなどのテトラオール類、ジペンタエリスリトールなどのヘキサオール類、末端にアルコール性水酸基を有する末端アルコールポリエステル化合物、炭化水素多価アルコール化合物、末端アルコールポリカーボネート化合物などのアルコール性水酸基末端オリゴマーやポリマーなどが挙げられる。
【0148】
好ましい多価アルコールとしては炭素数が5以上のアルコールであり、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチルペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオールなどの化合物が好ましく、中でも2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2,4−ジエチルペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ノルボルネンジオールなどの分岐鎖状構造や環状構造を有するアルコール類が、耐熱性、透明性の観点から好ましく、特に、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。
【0149】
多価アルコールと反応させる酸無水物としては特にメチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、2,4−ジエチル無水グルタル酸、3,3−ジメチル無水グルタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物などが好ましく、中でもメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、2,4−ジエチル無水グルタル酸、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物が、耐熱性、透明性、作業性の観点から好ましい。
付加反応の条件としては公知の方法であれば特に限定なく用いることができるが、具体的な反応条件としては、例えば、酸無水物、多価アルコールを無触媒、無溶剤の条件下、40〜150℃で反応させ加熱し、反応終了後、そのまま取り出す手法が挙げられる。
【0150】
本発明におけるエポキシ樹脂硬化剤は、耐熱性の観点から特に酸無水物(C1)、少なくとも2つ以上のカルボキシル基を有し、脂肪族炭化水素基を主骨格とする多価カルボン酸(C2)、または後述する、分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(E)と、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)、さらに場合により分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)とを付加反応することで得られる、多価カルボン酸樹脂(C3)が好ましい。中でも、分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(E)として、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)と、その他の分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(e)を含む多価カルボン酸樹脂(C3)がより好ましい。
【0151】
酸無水物(C1)としては具体的にはコハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、エチルコハク酸無水物、ブチルコハク酸無水物、アリルコハク酸無水物、フタル酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ナジック酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、ペンタン二酸無水物、2,4−ジエチルペンタン二酸無水物、2,2−ジメチルペンタン二酸無水物、3,3−ジメチルペンタン二酸無水物、1,1−シクロペンタン二酸無水物、1,1−シクロヘキサン二酸無水物、ジグリコール酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3−ジカルボン酸無水物、4,5−ジメチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]−5−オクテン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
特にメチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ナジック酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2、2、1]ヘプタン−2、3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2、2、1]ヘプタン−2、3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1、3、4−トリカルボン酸−3、4−無水物、2,4−ジエチルペンタン二酸無水物などが、耐光性、透明性、作業性の観点から好ましい。
【0152】
多価カルボン酸(C2)は少なくとも2つのカルボキシル基を有する化合物である。
多価カルボン酸としては、2〜6官能のカルボン酸が好ましく、例えば、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、リンゴ酸等の直鎖アルキル二酸類、1、3、5−ペンタントリカルボン酸、クエン酸等のアルキルトリカルボン酸類、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、ナジック酸、メチルナジック酸等の脂肪族環状多価カルボン酸類、リノレン酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸の多量体およびそれらの還元物であるダイマー酸類が挙げられ、上記酸無水物が飽和脂肪族環状酸無水物である多価カルボン酸が透明性の観点から好ましい。
【0153】
本発明の硬化性樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂硬化剤として好ましい多価カルボン酸樹脂(C3)は、後述する分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(E)のアルコール性水酸基と、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)(および場合により、分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h))の酸無水物基が付加反応することによって得られる化合物であり、官能基として分子内にカルボン酸を二個以上有する。分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(E)として、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)と、その他の分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(e)を併用することが好ましい。
【0154】
ここからは、多価カルボン酸樹脂(C3)の原料となる、分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(E)と、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)、分子内に二つ以上の酸無水物基を有する化合物(h)について説明する。
分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(E)としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール等の炭素数1〜10のアルキレンジオール、EO変性ビスフェノールA、EO変性ビスフェノールF、EO変性ビスフェノールE、EO変性ナフタレンジオール、PO変性ビスフェノールA、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)、分岐構造を有する鎖状アルキレンジオール(e2)、脂環構造を有する多価アルコール(e3)、分子内に三つ以上の水酸基を有する多価アルコール(e4)、分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコールに炭素数2〜8のラクトン類を開環付加重合させた多価アルコール変性ラクトン重合体(e5)、多環多価フェノール化合物(多環多価フェノール化合物とは、2つ以上の六員環を有する化合物であって、2つ以上のフェノール性水酸基を有する化合物を意味する。)の水酸基を有する1個以上の芳香環が水素化されているアルコール化合物(e6)、末端アルコールポリエステル化合物(e7)、末端アルコールポリカーボネート化合物(e8)が挙げられ、これらの群から選択される少なくとも1つの多価アルコール化合物を用いることができ、2種類以上を併用することもできる。好ましくは両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)、分岐構造を有する鎖状アルキレンジオール(e2)、脂環構造を有する多価アルコール(e3)、分子内に三つ以上の水酸基を有する多価アルコール(a4)、多価アルコール変性ラクトン重合体(e5)、多環多価フェノール化合物の水酸基を有する1個以上の芳香環が水素化されているアルコール化合物(e6)が挙げられ、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)と、その他の分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(e)を併用することがより好ましい。
【0155】
まず、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)について説明する。
両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)は下記式(7)で示される両末端にアルコール性水酸基を有するシリコーン化合物である。
【0156】
【化20】
【0157】
(式(7)において、R10は炭素総数1〜10のアルキレン基、エーテル結合を有するアルキレン基を、Rは炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を、vは平均値で1〜100をそれぞれ表す。)
【0158】
式(7)において、R10の具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン等のアルキレン基、エトキシエチレン基、プロポキシエチレン基プロポキシプロピレン基、エトキシプロピレン基等のエーテル結合を有するアルキレン基などが挙げられる。特に好ましいものとしては、プロポキシエチレン基、エトキシプロピレン基である。
【0159】
次に、Rはメチル基等の炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を表し同一又は異種のいずれでもよいが、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)と、その他の分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(e)と、(必要により、分子内に二つ以上の酸無水物基を有する化合物(h)と、)分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)とを付加反応させることにより得られる多価カルボン酸樹脂が室温で液状であるためにはフェニル基と比較し、メチル基が好ましい。
【0160】
式(7)においてvは平均値で1〜100であるが、好ましくは2〜80、より好ましくは5〜30である。
【0161】
式(7)で示される両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)は、例えば、X−22−160AS、KF6001、KF6002、KF6003(いずれも信越化学工業(株)製)BY16−201、BY16−004、SF8427(いずれも東レ・ダウコーニング(株)製)XF42−B0970、XF42−C3294(いずれもモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)サイラプレーン(商品名)FM−4411、FM−4421、FM−4425(いずれもJNC(株)製)等が挙げられ、いずれも市場から入手できる。これら両末端カルビノール変性シリコーンオイルは1種又は2種以上を混合して用いることが出来る。これらの中でもX−22−160AS、KF6001、KF6002、BY16−201、XF42−B0970、FM−4411が好ましい。
【0162】
次に、多価アルコール化合物である分岐構造を有する鎖状アルキレンジオール(e2)について説明する。分岐構造を有する鎖状アルキレンジオール(e2)の具体例としては、例えばネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロピレン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルペンタン−1,5−ジオール、ジメチルブタンジオール、ジメチルペンタンジオール、ジエチルプロパンジオール、ジメチルヘキサンジオール、ジエチルブタンジオール、ジメチルヘプタンジオール、ジエチルペンタンジオール、ジメチルオクタンジオール、ジエチルヘキサンジオール、エチルブチルプロパンジオールなどが挙げられるがこれらに限定されることはない。また、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
分岐構造を有する鎖状アルキレンジオールを適用すると、硬化物において耐ガス透過性が向上するため好ましい。
【0163】
次に、多価アルコール化合物である脂環構造を有する多価アルコール(e3)について説明する。特に好ましい多価アルコール化合物である脂環構造を有する多価アルコールの具体例としてはシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンジオール、ペンタシクロデカンジメタノール、ノルボルナンジオール、ノルボルナンジメタノール、ジオキサングリコール、スピログリコール等が挙げられるがこれらに限定されることはない。また、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
脂環構造を有する多価アルコールを適用すると、硬化物において耐ガス透過性が向上するため好ましい。
【0164】
次に、多価アルコール化合物である分子内に三つ以上の水酸基を有する多価アルコール(e4)について説明する。特に好ましい多価アルコール化合物である分子内に三つ以上の水酸基を有する多価アルコールの具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジペンタエリスリトール等が挙げられるがこれらに限定されることはない。また、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
分子内に三つ以上の水酸基を有する多価アルコールを適用すると、硬化物において硬度が上昇するため好ましい。
【0165】
次に、多価アルコール化合物である分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコールに炭素数2〜8のラクトン類を開環付加重合させた多価アルコール(e5)について説明する。特に好ましい多価アルコールである、分子内に二つ以上の水酸基を有する多価アルコールに炭素数2〜8のラクトン類を開環付加重合させた多価アルコール変性ラクトン重合体を得るために使用される多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール等の炭素数1〜10のアルキレンジオール、EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールA、EO変性ビスフェノールF、EO変性ビスフェノールE、EO変性ナフタレンジオール、PO(プロピレンオキサイド)変性ビスフェノールA、分岐構造を有する鎖状アルキレンジオールであるネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロピレン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルペンタン−1,5−ジオール、ジメチルブタンジオール、ジメチルペンタンジオール、ジエチルプロパンジオール、ジメチルヘキサンジオール、ジエチルブタンジオール、ジメチルヘプタンジオール、ジエチルペンタンジオール、ジメチルオクタンジオール、ジエチルヘキサンジオール、エチルブチルプロパンジオール等、脂環構造を有する多価アルコールであるシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンジオール、ペンタシクロデカンジメタノール、ノルボルナンジオール、ノルボルナンジメタノール、ジオキサングリコール、スピログリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等、分子内に三つ以上の水酸基を有する多価アルコールであるグリセリン、トリメチロールプロパン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジグリセロール、ジペンタエリスリトール等、式(3)で表される末端アルコールポリエステル化合物等が挙げられるが、これらに限定されることはない。中でも、EO変性ビスフェノールA等のアルキレンオキサイド変性ビスフェノールA、EO変性ビスフェノールF等のアルキレンオキサイド変性ビスフェノールF、脂環構造を有する多価アルコール、分岐構造を有する鎖状アルキレンジオールが好ましい。また、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0166】
また、多価アルコール変性ラクトン重合体を得るために使用するラクトン類は炭素数が4〜8のラクトン類で、具体例としてはγ―ブチロラクトン、β―メチルプロピオラクトン、δ―バレロラクトン、ε―カプロラクトン、3−メチルカプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、トリメチルカプロラクトン、β―メチル−δ−カプロラクトン等が挙げられる。
多価アルコール変性ラクトン重合体は、多価アルコールの水酸基1モルに対し通常0.1〜10モル、好ましくは0.2〜5モル、より好ましくは0.3〜2モルの範囲のラクトン類を使用し、アルカリ金属化合物、スズ化合物、チタン化合物、亜鉛化合物、モリブデン化合物、アルミニウム化合物、タングステン化合物などの触媒を用い、通常80〜230℃、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜160℃で反応させることで得られる。
【0167】
次に、多価アルコール化合物である多環多価フェノール化合物の水酸基を有する1個以上の芳香環が水素化されているアルコール化合物(e6)について説明する。多環多価フェノール化合物(多環多価フェノール化合物とは、2つ以上の六員環を有する化合物であって、2つ以上のフェノール性水酸基を有する化合物を意味する。)の水酸基を有する1個以上の芳香環が水素化されているアルコール化合物(e6)としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(=水素化ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン(=水素化ビスフェノールE)、4,4’−ビシクロヘキサノール(=水素化ビフェノール)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビシクロヘキサノール、メチレンビスシクロヘキサノール(=水素化ビスフェノールF)、4,4’,4”−メチリデントリスシクロヘキサノール、4,4’−[(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メチレン]ビス(2−メチルヘキサノール)4,4’−(1−{4−[1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル]フェニル}エチリデン)ビスシクロヘキサノール、4,4’−[4−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)シクロヘキシリデン]ビスフェノール、4,4’−[4−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)シクロヘキシリデン]ビス(2−メチルフェノール)、4,4’−[4−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)シクロヘキシリデン]ビス(2,6−ジメチルフェノール、ジヒドロキシデカヒドロナフタレン(=水素化ジヒドロキシナフタレン)、ジヒドロキシテトラデカヒドロアントラセン、1,4−シクロへキシレンビス(メチルエタノール)、5,5’−(1−メチルエチリデン)ビス[1,1’−(ビシクロヘキシル)−2−オール]、5,5’−(1,1’−シクロヘキシリデン)ビス[1,1’−(ビシクロヘキシル)−2−オール]、5,5’−(シクロヘキシルメチレン)ビス[1,1’−(ビシクロヘキシル)−2−オール]、1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、1,1,2,2,−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシシクロヘキシル)エタン、が挙げられるがこれらに限定されず、1種又は2種以上を混合して用いても良い。
上記の中でも、水素化ビスフェノールA等の水素化ビスフェノール、水素化ビフェノール、水素化ジヒドロキシナフタレンが好ましい。
【0168】
次に末端アルコールポリエステル化合物(e7)について説明する。
末端アルコールポリエステル化合物(e7)は下記式(8)で示される、末端に水酸基を有するポリエステル化合物である。
【0169】
【化21】
【0170】
(式(8)において、R11、R12はそれぞれ独立して炭素数1〜10のアルキレン基を、nは平均値で1〜100をそれぞれ表す。)
【0171】
式(8)において、R11の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン等の炭素数1〜10の直鎖アルキレン基、イソプロピレン、エチルブチルプロピレン、イソブチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、ジエチルペンチレン等の炭素数1〜10の分岐鎖を有するアルキレン基、シクロペンタンジメチレン、シクロヘキサンジメチレン等の環状構造を有するアルキレン基が挙げられる。この中でも、炭素数1〜10の分岐鎖を有するアルキレン基又は環状構造を有するアルキレン基が好ましく、特にエチルブチルプロピレン、イソブチレン、ネオペンチレン、ジエチルペンチレン、シクロヘキサンジメチレンが、硬化物の耐熱透明性の観点から好ましい。
【0172】
式(8)において、R12の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン等の炭素数1〜10の直鎖アルキレン基、イソプロピレン、エチルブチルプロピレン、イソブチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、ジエチルペンチレン等の炭素数1〜10の分岐鎖を有するアルキレン基、シクロペンタンジメチレン、シクロヘキサンジメチレン等の環状構造を有するアルキレン基が挙げられる。この中でも、炭素数1〜10の直鎖アルキレン基が好ましく、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレンが、硬化物の基材への密着性の観点から特に好ましい。
【0173】
式(8)においてnは平均値で1〜100であるが、好ましくは2〜40、より好ましくは3〜30である。
【0174】
末端アルコールポリエステル(e7)の重量平均分子量(Mw)は、500〜20000が好ましく、より好ましくは500〜5000、さらに好ましくは、500〜3000である。重量平均分子量が500未満であると、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物硬度が高くなり過ぎヒートサイクル試験等でクラックが入る懸念があり、重量平均分子量が20000より大きいと硬化物のベトツキが発生する懸念がある。本発明において重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、下記条件下で測定された値に基づき、ポリスチレン換算で算出した重量平均分子量(Mw)を意味する。
【0175】
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF−G LF−804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
【0176】
式(8)で示される末端アルコールポリエステル(e7)は、例えば、末端にアルコール性水酸基を有するポリエステルポリオール類が挙げられる。その具体例としてはポリエステルポリオールである、キョーワポール(商品名)1000PA、同2000PA、同3000PA、同2000BA(いずれも協和発酵ケミカル(株)製);アデカニューエース(商品名)Y9−10、同YT−101(いずれもADEKA(株)製);プラクセル(商品名)220EB、同220EC(いずれもダイセル化学工業(株)製);ポリライト(商品名)OD−X−286、同OD−X−102、同OD−X−355、同OD−X−2330、同OD−X−240、同OD−X−668、同OD−X−2554、同OD−X−2108、同OD−X−2376、同OD−X−2044、同OD−X−688、同OD−X−2068、同OD−X−2547、同OD−X−2420、同OD−X−2523、同OD−X−2555(いずれもDIC(株)製);HS2H−201AP、HS2H−351A、HS2H−451A、HS2H−851A、HS2N−221A、HS2N−521A、HS2H−220S、HS2N−220S、HS2N−226P、HS2B−222A、HOKOKUOL HT−110、同HT−210、同HT−12、同HT−250、同HT−310、同HT−40M(いずれも豊国製油(株)製)等が挙げられ、いずれも市場から入手できる。これらポリエステル化合物は1種又は2種以上を混合して用いることが出来る。これらの中でもキョーワポール1000PA、アデカニューエースY9−10、HS2N−221Aが好ましい。
【0177】
次に末端アルコールポリカーボネート化合物(e8)について説明する。
末端アルコールポリカーボネート化合物としては、特に限定されないが、例えば下記式(9)で示される、末端に水酸基を有するポリカーボネート化合物等が挙げられる。
【0178】
【化22】
【0179】
(式(9)において、R14は炭素数1〜10のアルキレン基を、jは平均値で1〜100をそれぞれ表す。)
【0180】
式(9)において、R14の具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン等の炭素数1〜10の直鎖アルキレン基、イソプロピレン、エチルブチルプロピレン、イソブチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、ジエチルペンチレン等の炭素数1〜10の分岐鎖を有するアルキレン基、シクロペンタンジメチレン、シクロヘキサンジメチレン等の環状構造を有するアルキレン基が挙げられる。この中でも、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン等の炭素数4〜7の直鎖アルキレン基が、末端アルコールポリカーボネート化合物の粘度が高すぎず、作業性の観点から好ましい。
【0181】
式(9)中に複数存在するR14は同一であっても、異なっても構わない。
【0182】
式(9)においてjは平均値で1〜100であるが、好ましくは2〜40、より好ましくは3〜30である。
【0183】
末端アルコールポリカーボネート化合物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜20000であるが、より好ましくは500〜5000、さらに好ましくは500〜3000である。重量平均分子量が500以上であれば、硬化性樹脂組成物の硬化物硬度が高くなり過ぎることがなくヒートサイクル試験等でクラックが入る懸念がなく好ましい。また、重量平均分子量が20000以下であれば硬化物のベトツキが発生する懸念がなく好ましい。本発明において重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、下記条件下で測定された値に基づき、ポリスチレン換算で算出した重量平均分子量(Mw)を意味する。
【0184】
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF−G LF−804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
【0185】
多価アルコールとして、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)とその他の多価アルコール(e)を併用する場合、当該その他の多価アルコール(e)の使用量は、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)100重量部に対し、0.5〜200重量部が好ましく、より好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。0.5重量部を下回ると硬化物の機械強度が劣る恐れがあり、200重量部を上回ると硬化物の耐熱透明性に劣る恐れがある。
【0186】
次に分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)は、例えば、1、2、3、4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1、2、3、4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1、2、3、4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1、2、4、5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、5−(2、5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1、2−ジカルボン酸無水物、4−(2、5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1、2、3、4−テトラヒドロナフタレン−1、2−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
分子内にカルボン酸無水物基を二つ以上有する化合物(h)は1種又は2種以上混合して用いることができる。この中でも、多価カルボン酸樹脂(C3)と後述するエポキシ樹脂とを硬化してなる硬化物の透明性が優れるため、1、2、3、4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1、2、4、5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、4−(2、5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1、2、3、4−テトラヒドロナフタレン−1、2−ジカルボン酸無水物が好ましく、特に1、2、3、4−ブタンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0187】
次に分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)は、例えばコハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、エチルコハク酸無水物、ブチルコハク酸無水物、アリルコハク酸無水物、フタル酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ナジック酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、ペンタン二酸無水物、2,4−ジエチルペンタン二酸無水物、2,2−ジメチルペンタン二酸無水物、3,3−ジメチルペンタン二酸無水物、1,1−シクロペンタン二酸無水物、1,1−シクロヘキサン二酸無水物、ジグリコール酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3−ジカルボン酸無水物、4,5−ジメチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]−5−オクテン−2,3−ジカルボン酸無水物、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0188】
分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)は1種又は2種以上混合して用いることができる。この中でも、多価カルボン酸樹脂とエポキシ樹脂とを硬化してなる硬化物の透明性が優れるため、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ノルボルナン−2、3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2、3−ジカルボン酸無水物、1、2、4−シクロヘキサントリカルボン酸−1、2−無水物、2,4−ジエチルペンタン二酸無水物が好ましい。より好ましくはメチルヘキサヒドロフタル酸無水物、1、2、4−シクロヘキサントリカルボン酸−1、2−無水物、2,4−ジエチルペンタン二酸無水物であり、特に好ましくはメチルヘキサヒドロフタル酸無水物である。
【0189】
分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)の使用量は、分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)が使用される場合、(h)の100重量部に対し、5〜1000重量部が好ましく、より好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは50〜300重量部である。5重量部未満であると、多価カルボン酸樹脂(C3)が高分子量化しすぎて作業性が劣る恐れがあり、300重量部より大きいと、硬化物の機械強度が劣る恐れがある。
【0190】
多価アルコール化合物(E)、分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)の使用量は、多価アルコール化合物(E)の総アルコール性水酸基1当量に対し、分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)と分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)の総カルボン酸無水物基が0.5〜2.0当量が好ましく、より好ましくは0.8〜1.5当量である。0.5当量未満であると硬化物の機械強度が劣る恐れがあり、2.0より大きいと酸無水物基が多く残存するため保管安定性に劣る恐れがある。
【0191】
多価カルボン酸樹脂の製造は、溶剤中でも無溶剤でも行うことができる。溶剤としては、多価アルコール化合物(E)、分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)と反応しない溶剤であれば特に制限なく使用できる。使用しうる溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルの様な非プロトン性極性溶媒、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素等が挙げられ、これらの中で、芳香族炭化水素やケトン類が好ましい。これらの溶剤は1種又は2種以上を混合して用いても良い。溶剤を用いる場合、その使用量は、多価アルコール化合物(E)、分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)の合計100重量部に対して、0.5〜300重量部が好ましい。
【0192】
多価カルボン酸樹脂(C3)は、無触媒でも、触媒を用いても製造する事ができる。触媒を用いる場合、用い得る触媒は、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等の酸性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1、8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等の複素環式化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラメチル等のオルトチタン酸類、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸マンガン、オクチル酸カルシウム、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム等の金属石鹸類が挙げられる。
【0193】
触媒を用いる場合、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
触媒を用いる場合、その使用量は、多価アルコール化合物(E)、分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)の合計100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましい。
触媒の添加方法は、直接添加するか、可溶性の溶剤等に溶解させた状態で使用する。この際、メタノール、エタノール等のアルコール性の溶媒や水を用いることは、未反応の、分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)や分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)と反応してしまうため、避けることが好ましい。
【0194】
多価カルボン酸樹脂(C3)の製造時の反応温度は、触媒量、使用溶剤にもよるが、通常20〜160℃が好ましく、より好ましくは50〜150℃、特に好ましくは60〜145℃である。又、反応時間の総計は通常1〜20時間が好ましく、より好ましくは3〜12時間である。反応は2段階以上で行なっても良く、例えば20〜100℃で1〜8時間反応させた後に、100〜160℃で1〜12時間などと反応させても良い。これは特に分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)は揮発性の高いものが多く、そのようなものを用いる場合、あらかじめ20〜100℃で反応させた後に、100〜160℃で反応させることで、揮発を抑えることができる。これにより、大気中への有害物質の拡散を抑制するだけでなく、設計どおりの多価カルボン酸樹脂(C3)を得ることができる。
【0195】
触媒を用いて製造を行なった場合は必要に応じてクエンチ、および/又は水洗を行なうことで触媒を除くことができるが、そのまま残存させ、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化促進剤として利用することもできる。
水洗工程を行なう場合、使用している溶剤の種類によっては水と分離可能な溶剤を加えることが好ましい。好ましい溶剤としては例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンのような炭化水素等が例示できる。
反応や水洗に溶剤を用いた場合、減圧濃縮などによって除くことができる。
【0196】
このようにして得られる多価カルボン酸樹脂(C3)は、通常25℃において流動性を有する液状である。また、その分子量はGPCで測定した重量平均分子量として800〜80000のものが好ましく、1000〜10000のものがより好ましく、特に1500〜8000のものが好ましい。重量平均分子量が800を下回る場合は25℃における流動性が低下する恐れがあり、80000を上回る場合は、これを用いた硬化性樹脂組成物とした際に、後述するエポキシ樹脂との相溶性が劣る恐れがある。
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて下記条件下測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0197】
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF−G LF−804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
【0198】
製造された多価カルボン酸樹脂(C3)の酸価(JIS K−2501に記載の方法で測定した)は35〜200mgKOH/gのものが好ましく、50〜180mgKOH/gのものがより好ましく、特に60〜150mgKOH/gのものが好ましい。官能基当量が35mgKOH/gを下回る場合は硬化物の機械特性が悪化する傾向があり、150mgKOH/gを上回る場合はその硬化物が硬く、弾性率が高くなりすぎる傾向があり好ましくない。
【0199】
多価カルボン酸樹脂(C3)の粘度(E型粘度計、25℃で測定)は50〜800、000mPa・sのものが好ましく、500〜100、000mPa・sのものがより好ましく、特に800〜30、000mPa・sのものが好ましい。粘度が50mPa・sを下回る場合は、粘度が低すぎて封止材等として使用した場合には適さない恐れがあり、800、000mPa・sを上回る場合は、粘度が高すぎて封止材等として使用した場合に作業性に劣る場合がある。
【0200】
本発明の硬化性樹脂組成物において、エポキシ樹脂硬化剤として、酸無水物(C1)と、多価カルボン酸(C2)と、多価カルボン酸樹脂(C3)をそれぞれ、2種以上併用することもできる。特に室温(25℃)にて液状が求められる光半導体の封止材などの用途において固体の多価カルボン酸(C2)を用いる場合、液状の酸無水物(C1)および/または多価カルボン酸樹脂(C3)を併用し、液状の混合物として使用することが望ましい。併用する場合、酸無水物(C1)および/又は多価カルボン酸樹脂(C3)は、エポキシ樹脂硬化剤合計の0.5〜99.5重量%の割合で使用できる。
【0201】
エポキシ樹脂硬化剤として、前述の酸無水物および/または多価カルボン酸樹脂および/または多価カルボン酸樹脂以外の硬化剤を併用する場合、酸無水物および/または多価カルボン酸および/または多価カルボン酸樹脂の総量が、全硬化剤中に占める割合は30重量%以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
併用できる硬化剤としては、例えばアミン系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。使用できる硬化剤の具体例としては、アミン類やポリアミド化合物(ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂など)、多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物およびこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、テルペンとフェノール類の縮合物、その他(イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、など)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0202】
次に、硬化促進剤について説明する。
硬化促進剤としてはエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(および併用する場合のエポキシ樹脂)とエポキシ樹脂硬化剤の硬化反応を促進する能力のあるものは何れも使用可能であるが、使用できる硬化促進剤の例としては、アンモニウム塩系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、金属石鹸系硬化促進剤、イミダゾ−ル系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、ホスファイト系硬化促進剤、ルイス酸系硬化促進剤等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物において硬化促進剤の配合比率は、硬化性樹脂組成物100重量部に対して0.001〜15重量部の硬化促進剤を使用することが好ましい。
【0203】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて他の硬化触媒(硬化促進剤)を併用することができる。使用できる硬化触媒の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、および、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物およびそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラブチルアンモニュウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニュウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニュウムブロマイド等のアンモニュウム塩、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト、オクチル酸スズ等の金属化合物等、およびこれら硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。これら硬化促進剤のどれを用いるかは、例えば透明性、硬化速度、作業条件といった得られる透明樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択される。硬化促進剤は、エポキシ樹脂100重量部に対し通常0.001〜15重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0204】
これらの中でも、硬化物の透明性、耐硫化性の観点から、金属石鹸硬化促進剤が優れ、金属石鹸硬化促進剤の中でもカルボン酸亜鉛化合物が特に好ましい。
金属石鹸系硬化促進剤としては、例えばオクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸マンガン、オクチル酸カルシウム、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸バリウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸リチウム、モンタン酸ナトリウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸リチウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸銀、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸リチウム、ウンデシレン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等が挙げられる。これら触媒は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
【0205】
透明性、耐硫化性に優れる硬化物を得るために、特にステアリン酸亜鉛、モンタン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛等の炭素数10〜30のカルボン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の水酸基を有する炭素数10〜30のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩が好ましく使用できる。これらの中でも特に、ポットライフ、耐硫化性に優れる観点から、ステアリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の炭素数10〜20のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛等の水酸基を有する炭素数15〜20のモノカルボン酸化合物からなる亜鉛塩が好ましく使用でき、さらに好ましくはステアリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛が使用でき、特に好ましくはステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛が使用できる。
【0206】
アンモニウム塩系硬化促進剤としては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等が挙げられる。ホスホニウム塩系硬化促進剤としては、例えばエチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、メチルトリブチルホスホニウムジエチルホスフェート等が挙げられる。
【0207】
その他の汎用用途には、上記アンモニウム塩系硬化促進剤、ホスホニウム塩系硬化促進剤、金属石鹸系硬化促進剤の他、イミダゾール系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、複素環化合物系硬化促進剤、ホスフィン系硬化促進剤、ホスファイト系硬化促進剤、ルイス酸系硬化促進剤等が使用できる。
【0208】
前記した硬化促進剤は、室温(25℃)において固体の化合物でも液体の化合物でも使用することができる。本発明の硬化性樹脂組成物を光半導体封止用途に用いる場合で、室温(25℃)にて固体の化合物を硬化促進剤として使用する場合、予め樹脂に溶解させて使用することもできる。
【0209】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてカップリング剤を使用することで、組成物の粘度調整、硬化物の硬度を補完することが可能である。
使用できるカップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤;Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。
これらカップリング剤は1種又は2種以上を混合して用いても良い。
カップリング剤は、本発明の硬化性樹脂組成物において通常0.05〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量部が必要に応じて含有される。
【0210】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてナノオーダーレベルの無機充填材を使用することで、透明性を阻害せずに機械強度などを補完することが可能である。ナノオーダーレベルとしての目安は、平均粒径が500nm以下が好ましく、特に平均粒径が200nm以下の充填材を使用することが透明性の観点では好ましい。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら充填材は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中において0〜95重量%を占める量が用いられることが好ましい。
【0211】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、蛍光体を添加することができる。蛍光体は、例えば、青色LED素子から発せられた青色光の一部を吸収し、波長変換された黄色光を発することにより、白色光を形成する作用を有するものである。蛍光体を、硬化性樹脂組成物に予め分散させておいてから、光半導体を封止する。蛍光体としては特に制限がなく、従来公知の蛍光体を使用することができ、例えば、希土類元素のアルミン酸塩、チオ没食子酸塩、オルトケイ酸塩等が例示される。より具体的には、YAG蛍光体、TAG蛍光体、オルトシリケート蛍光体、チオガレート蛍光体、硫化物蛍光体等の蛍光体が挙げられ、YAlO:Ce、YAl12:Ce、YAl:Ce、YS:Eu、Sr(POCl:Eu、(SrEu)O・Alなどが例示される。係る蛍光体の粒径としては、この分野で公知の粒径のものが使用されるが、平均粒径としては、1〜250μmが好ましく、特に2〜50μmが好ましい。これらの蛍光体を使用する場合、その添加量は、その樹脂成分に対して100重量部に対して、1〜80重量部が好ましく、より好ましくは5〜60重量部である。
【0212】
本発明の硬化性樹脂組成物に各種蛍光体の硬化時沈降を防止する目的で、シリカ微粉末(アエロジルまたはアエロゾルとも呼ばれる)をはじめとするチクソトロピック性付与剤を添加することができる。このようなシリカ微粉末としては、例えば、Aerosil(商品名)50、Aerosil 90、Aerosil 130、Aerosil 200、Aerosil 300、Aerosil 380、Aerosil OX50、Aerosil TT600、Aerosil R972、Aerosil R974、Aerosil R202、Aerosil R812、Aerosil R812S、Aerosil R805、RY200、RX200(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
【0213】
本発明の硬化性樹脂組成物に着色防止目的のため、光安定剤としてのアミン化合物又は、酸化防止材としてのリン系化合物およびフェノール系化合物を含有することができる。
前記アミン化合物としては、例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−トトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5,1,11,2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のヒンダートアミン系、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられるが、特に好ましくは、ヒンダートアミン系化合物である。
【0214】
前記光安定材であるアミン化合物として、次に示す市販品を使用することができる。
市販されているアミン系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、TINUVIN(商品名)765、TINUVIN 770DF、TINUVIN 144、TINUVIN 123、TINUVIN 622LD、TINUVIN 152、CHIMASSORB(商品名)944、ADEKA製として、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63P、LA−77Y、LA−81、LA−82、LA−87などが挙げられる。
【0215】
前記リン系化合物としては特に限定されず、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−イソプロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられる。
【0216】
上記リン系化合物は、市販品を用いることもできる。市販されているリン系化合物としては特に限定されず、例えば、ADEKA製として、アデカスタブ(商品名)PEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135Aなどが挙げられる。
【0217】
フェノール化合物としては特に限定はされず、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェノール、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス−〔2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−ブチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル等が挙げられる。
【0218】
上記フェノール系化合物は、市販品を用いることもできる。市販されているフェノール系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製としてIRGANOX(商品名)1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1135、IRGANOX 245、IRGANOX 259、IRGANOX 295、IRGANOX 3114、IRGANOX 1098、IRGANOX 1520L、アデカ製としては、アデカスタブ(商品名)AO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−90、アデカスタブAO−330、住友化学工業製として、Sumilizer(商品名)GA−80、Sumilizer MDP−S、Sumilizer BBM−S、Sumilizer GM、Sumilizer GS(F)、Sumilizer GPなどが挙げられる。
【0219】
このほか、樹脂の着色防止剤として市販されている添加材を使用することができる。例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、THINUVIN(商品名)328、THINUVIN 234、THINUVIN 326、THINUVIN 120、THINUVIN 477、THINUVIN 479、CHIMASSORB(商品名)2020FDL、CHIMASSORB 119FLなどが挙げられる。
【0220】
上記リン系化合物、アミン化合物、フェノール系化合物の中から少なくとも1種以上を含有することが好ましく、その配合量としては特に限定されないが、本発明の硬化性樹脂組成物の全重量に対して、0.005〜5.0重量%の範囲が好ましい。
【0221】
本発明の硬化性樹脂組成物は前記各成分を常温もしくは加温下で均一に混合することにより得ることができる。例えば、押出機、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて均一になるまで充分に混合し、必要によりSUSメッシュ等によりろ過処理を行うことにより調製される。
【0222】
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサン、エポキシ樹脂硬化剤、硬化促進剤、酸化防止剤、光安定剤等の添加物を充分に混合することにより硬化性樹脂組成物を調製し、封止材として使用できる。混合方法としては、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて常温または加温して混合することができる。
【0223】
高輝度白色LED等の光半導体素子は、一般的にサファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO等の基板上に積層させたGaAs、GaP、GaAlAs,GaAsP、AlGa、InP、GaN、InN、AlN、InGaN等の半導体チップを、接着剤(ダイボンド材)を用いてリードフレームや放熱板、パッケージに接着させてなる。電流を流すために金ワイヤー等のワイヤーが接続されているタイプもある。その半導体チップを、熱や湿気から守り、かつレンズ機能の役割を果たすためにエポキシ樹脂等の封止材で封止されている。本発明の硬化性樹脂組成物はこの封止材に用いることができる。
【0224】
封止材の成形方式としては、光半導体素子が固定された基板を挿入した型枠内に封止材を注入した後に加熱硬化を行い成形する注入方式、金型上に封止材をあらかじめ注入し、そこに基板上に固定された光半導体素子を浸漬させて加熱硬化をした後に金型から離形する圧縮成形方式等が用いられている。
注入方法としては、ディスペンサー等が挙げられる。
加熱は、熱風循環式、赤外線、高周波等の方法が使用できる。加熱条件は例えば80〜230℃で1分〜24時間程度が好ましい。加熱硬化の際に発生する内部応力を低減する目的で、例えば80〜120℃、30分〜5時間予備硬化させた後に、120〜180℃、30分〜10時間の条件で後硬化させることができる。
本明細書において、比率、パーセント、部などは、特に断りのない限り、重量に基づくものである。本明細書において、「X〜Y」という表現は、XからYまでの範囲を示し、その範囲はX、Yを含む。
【実施例】
【0225】
以下、本発明を合成例、実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら合成例、実施例に限定されるものではない。なお、合成例、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。ここで、部は特に断りのない限り重量部を表す。
1.重量平均分子量:GPC法により、下記条件下測定されたポリスチレン換算、重量平均分子量を算出した。
【0226】
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC LF−G LF−804(3本)
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
【0227】
2.エポキシ当量:JIS K−7236に記載の方法で測定した。
3.粘度:25℃においてE型粘度計を使用して測定した。
4.核磁気共鳴スペクトル(H−NMR):日本電子株式会社製、JNM−ECA400を使用し1Hの核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定、溶媒はCDCl溶液を使用。フェニル基モル%、水酸基モル%の測定に使用。
5.核磁気共鳴スペクトル(29Si−NMR)アジレント・テクノロジー株式会社製、Model 500NMRを使用し29Siの核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定、溶媒はTHF(テトラヒドロフラン)とアセトンの混合溶液を使用。a〜dの算出に使用。
(また、緩和試薬としてCr(AcAc)3を15mMになるように添加。)
【0228】
実施例1;製造工程I・IIを経るエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの合成
(製造工程I)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、FCA107(東レ・ダウコーニング社製、重量平均分子量1750、シラノール当量283g/eq、前述の式(1)中フェニル基が61.9モル%、水酸基が38.1モル%であり、29Si−NMRにより算出した、a/(a+b+c+d)=0.38、b/(a+b+c+d)=0.62、c/(a+b+c+d)=0、d/(a+b+c+d)=0であるシリコーンレジン)25.7部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン94.1部、FINISH WS62M(旭化成ワッカー社製、重量平均分子量6600、シラノール当量3300g/eqのシラノール末端シリコーンオイル)70.3部、5重量%KOHメタノール溶液0.8部、イソプロピルアルコール7.3部、トルエン110部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち、6時間反応させた。
【0229】
(製造工程II)
製造工程Iの後、メタノール57部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液41.2部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程IIの後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.5部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン152部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−1)157.3部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は437g/eq、重量平均分子量は3800、粘度は9651mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0230】
実施例2;製造工程I・IIを経るエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンの合成
(製造工程I)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、FCA107(前述した、東レ・ダウコーニング社製シリコーンレジン)21.5部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン82.0部、FINISH WS62M(前述した、旭化成ワッカー社製シラノール末端シリコーンオイル)86.5部、5重量%KOHメタノール溶液0.8部、イソプロピルアルコール7.3部、トルエン124部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち、6時間反応させた。
【0231】
(製造工程II)
製造工程Iの後、メタノール49.7部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液36部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程IIの後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.5部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン152部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−2)160.7部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は496g/eq、重量平均分子量は4444、粘度は1731mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0232】
実施例3;製造工程1〜3を経るエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程1)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、FCA107(前述した、東レ・ダウコーニング社製シリコーンレジン)20部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン95.4部、イソプロピルアルコール7.3部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を60℃に保ち、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランにFCA107が溶解したのを確認してから、5重量%KOHメタノール溶液0.8部で仕込み内温を72℃として4時間反応させた。
【0233】
(製造工程2)
製造工程1の後、フラスコ内温を40℃まで冷却しFINISH WS62M(旭化成ワッカー社製、シラノール末端シリコーンオイル)74.7部を仕込み、ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち6時間反応させた。
【0234】
(製造工程3)
製造工程2の後、メタノール152部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液41.8部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程3の後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.5部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン152部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−3)158.5部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は432g/eq、重量平均分子量は5051、粘度は6533mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0235】
実施例4;製造工程1〜3を経るエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程1)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、FCA107(前述の、東レ・ダウコーニング社製シリコーンレジン)20部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン95.4部、イソプロピルアルコール7.3部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を60℃に保ち、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランにFCA107が溶解したのを確認してから、5重量%KOHメタノール溶液0.8部で仕込み内温を72℃として4時間反応させた。
【0236】
(製造工程2)
製造工程1の後、フラスコ内温を40℃まで冷却しXC96−723(モメンティブ社製、重量平均分子量997、シラノール当量499のシラノール末端シリコーンオイル)74.7部を仕込み、ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち6時間反応させた。
【0237】
(製造工程3)
製造工程2の後、メタノール152部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液41.8部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程3の後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.5部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン152部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−4)154.2部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は426g/eq、重量平均分子量は6094、粘度は9216mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0238】
実施例5;製造工程I・IIを経るエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程I)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、SILRES604(旭化成ワッカー社製、重量平均分子量2176、シラノール当量485g/eq、前述の式(1)中フェニル基が40.6モル%、水酸基が27.4モル%であり、29Si−NMRにより算出した、a/(a+b+c+d)=0.55、b/(a+b+c+d)=0.45、c/(a+b+c+d)=0、d/(a+b+c+d)=0であるシリコーンレジン)17.2部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン108.1部、FINISH WS62M(前述した、旭化成ワッカー社製シラノール末端シリコーンオイル)84.7部、5重量%KOHメタノール溶液0.9部、イソプロピルアルコール8.1部、メチルイソブチルケトン105部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち、6時間反応させた。
【0239】
(製造工程II)
製造工程Iの後、メタノール58.6部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液47.4部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程IIの後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.9部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン105部を追加添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−5)168部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は410g/eq、重量平均分子量は4267、粘度は5328mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0240】
実施例6;製造工程I・IIを経るエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程I)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、SILRES604(前述の、旭化成ワッカー社製シリコーンレジン)33.8部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン106.0部、FINISH WS62M(前述した、旭化成ワッカー社製シラノール末端シリコーンオイル)70.2部、5重量%KOHメタノール溶液0.9部、イソプロピルアルコール8.1部、メチルイソブチルケトン105部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち、6時間反応させた。
【0241】
(製造工程II)
製造工程Iの後、メタノール59.5部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液46.4部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程IIの後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.9部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン105部を追加添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−6)165部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は422g/eq、重量平均分子量は5204、粘度は36600mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0242】
実施例7;製造工程I・IIを経るエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程I)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、SILRES604(前述の、旭化成ワッカー社製シリコーンレジン)36.4部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン91.2部、FINISH WS62M(前述した、旭化成ワッカー社製シラノール末端シリコーンオイル)82.4部、5重量%KOHメタノール溶液0.9部、イソプロピルアルコール8.1部、メチルイソブチルケトン105部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち、6時間反応させた。
【0243】
(製造工程II)
製造工程Iの後、メタノール66.0部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液40.0部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程IIの後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.9部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン105部を追加添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−7)161部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は499g/eq、重量平均分子量は5476、粘度は10035mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0244】
実施例8;製造工程I・IIを経るエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程I)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、SILRES604(前述の、旭化成ワッカー社製シリコーンレジン)18.6部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン93.2部、FINISH WS62M(前述した、旭化成ワッカー社製シラノール末端シリコーンオイル)98.2部、5重量%KOHメタノール溶液0.9部、イソプロピルアルコール8.1部、メチルイソブチルケトン116部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち、6時間反応させた。
【0245】
(製造工程II)
製造工程Iの後、メタノール39.7部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液40.8部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程IIの後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.9部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン110部を追加添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−8)174部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は482g/eq、重量平均分子量は5181、粘度は2458mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0246】
実施例9;製造工程1〜3を経るエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程1)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、FCA107(前述の、東レ・ダウコーニング社製シリコーンレジン)11.0部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン84.1部、イソプロピルアルコール7.3部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を60℃に保ち、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランにFCA107が溶解したのを確認してから、5重量%KOHメタノール溶液0.8部で仕込み内温を72℃として4時間反応させた。
【0247】
(製造工程2)
製造工程1の後、フラスコ内温を40℃まで冷却しXC96−723(前述の、モメンティブ社製シラノール末端シリコーンオイル)94.9部を仕込み、ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち6時間反応させた。
【0248】
(製造工程3)
製造工程2の後、メタノール152部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液36.8部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程3の後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.5部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン152部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−9)156部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は474g/eq、重量平均分子量は6009、粘度は1454mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0249】
実施例10;製造工程1〜3を経るエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程1)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、FCA107(前述の、東レ・ダウコーニング社製シリコーンレジン)12.0部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン68.4部、イソプロピルアルコール7.3部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を60℃に保ち、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランにFCA107が溶解したのを確認してから、5重量%KOHメタノール溶液0.8部で仕込み内温を72℃として4時間反応させた。
【0250】
(製造工程2)
製造工程1の後、フラスコ内温を40℃まで冷却しXC96−723(前述の、モメンティブ社製シラノール末端シリコーンオイル)109.7部を仕込み、ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち6時間反応させた。
【0251】
(製造工程3)
製造工程2の後、メタノール152部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液30.0部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程3の後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.5部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン152部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−10)158部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は566g/eq、重量平均分子量は10158、粘度は1910mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0252】
実施例13;製造工程I・IIを経るエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程I)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、SILRES603(旭化成ワッカー社製、重量平均分子量1500、シラノール当量567g/eq、前述の式(1)中フェニル基が83.7モル%、水酸基が16.3モル%であり、29Si−NMRにより算出した、a/(a+b+c+d)=0.45、b/(a+b+c+d)=0.55、c/(a+b+c+d)=0、d/(a+b+c+d)=0であるシリコーンレジン)25.8部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン94.1部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。内温を60℃に保ち30分間撹拌しながらSILRES603を2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランに溶解させた。その後、X−21−5841(信越化学工業社製、重量平均分子量1000、シラノール当量500g/eqのシラノール末端シリコーンオイル)80.1部、5重量%KOHメタノール溶液0.9部、イソプロピルアルコール8.1部を仕込み、ウォーターバスを加熱し内温を72℃に保ち、8時間反応させた。
【0253】
(製造工程II)
製造工程Iの後、メタノール160部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液41.2部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程IIの後、20重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を0.96部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン160部を追加添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−13)部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は463g/eq、重量平均分子量は7445、粘度は6835mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0254】
比較例1;触媒として有機塩基化合物を使用した例
(製造工程1)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、FCA107(前述の、東レ・ダウコーニング社製シリコーンレジン)20部、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン95.4部、イソプロピルアルコール7.3部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を60℃に保ち、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランにFCA107が溶解したのを確認してから、トリエチルアミン19部を追加で仕込み内温を72℃として4時間反応させたところ、GPCにおいてピークの変化が起こっておらず、反応は進行していなかった。さらに6時間追加で反応させてもGPCのピーク変化は起こっていなかった。
【0255】
実施例1〜10、13、比較例1で得られた樹脂の、原料仕込み比、アルコキシ/シラノール基比、使用触媒、製造工程、エポキシ当量、重量平均分子量、粘度、外観をまとめたものを表1に示す。
【0256】
【表1】
【0257】
a−1;東レ・ダウコーニング社製シリコーンレジン FCA107
a−2;旭化成ワッカー社製シリコーンレジン SILRES604
a−3;旭化成ワッカー社製シリコーンレジン SILRES603
b−1;2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
c−1;旭化成ワッカー社製シリコーンオイル FINISH WS62M
c−2;モメンティブ社製シリコーンオイル XC96−723
c−3;信越化学工業社製シリコーンオイル X−21−5841
【0258】
表1に示す結果から明らかなように、比較例1は反応が進行せず所望の樹脂を得ることができなかった。一方で実施例1〜10、13では、すべて無色透明液状の樹脂で得られ、エポキシ当量、粘度、重量平均分子量が適切なものが得られ、特に光学用途の液状エポキシ樹脂として適していることが確認できた。
【0259】
合成例1;製造工程I・IIを経る、シリコーンレジンを用いないエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程I)
ガラス製500ml四つ口フラスコに、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン86.9部、XC96−723(前述の、モメンティブ社製シラノール末端シリコーンオイル)103.8部、5重量%KOHメタノール溶液0.8部、イソプロピルアルコール7.3部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち、10時間反応させた。
【0260】
(製造工程II)
製造工程Iの後、メタノール152部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液38.0部を30分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程IIの後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を3.5部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン152部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、シリコーンレジンを含まないエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−11)154部を得た。
得られた化合物のエポキシ当量は473g/eq、重量平均分子量は6511、粘度は845mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0261】
合成例2;製造工程I・IIを経るシリコーンレジンを用いず、シラノール末端シリコーンオイルとしてフェニル基を含有するシラノール末端シリコーンオイルを用いたエポキシ基含有ポリシロキサンの製造例
(製造工程I)
ガラス製2000ml四つ口フラスコに、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン394部、シラノール末端ポリジメチルジフェニルシリコーンオイル(重量平均分子量1700、シラノール当量850、フェニル基含有量33wt%のシラノール末端シリコーンオイル)475部、5重量%KOHメタノール溶液4部、イソプロピルアルコール36部を仕込み、ジムロートコンデンサ、拡販装置、温度計を設置し、ウォーターバスにフラスコを浸した。ウォーターバスを加熱し、内温を72℃に保ち、10時間反応させた。
【0262】
(製造工程II)
製造工程Iの後、メタノール656部を追加し、50重量%イオン交換水メタノール溶液173部を60分かけて滴下し、内温66℃で10時間反応させた。
製造工程IIの後、5重量%リン酸二水素ナトリウム水溶液を17.5部添加して中和後、ウォーターバス温度80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、洗浄のために、メチルイソブチルケトン780部を添加後、水洗を3回繰り返した。次いで有機層を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより、製造工程I・IIを経るシリコーンレジンを用いず、シラノール末端シリコーンオイルとしてフェニル基を含有するシラノール末端シリコーンオイルを用いたエポキシ基含有ポリシロキサン(A−12)731部を得た。得られた化合物のエポキシ当量は491g/eq、重量平均分子量は2090、粘度は3328mPa・s、外観は無色透明液体であった。
【0263】
合成例3;両末端カルビノール変性シリコーンオイル(d)と、末端アルコールポリエステル化合物(i)と、分子内に二つ以上のカルボン酸無水物基を有する化合物(h)と、分子内に一つのカルボン酸無水物基を有する化合物(f)とを、付加反応することで得られるエポキシ樹脂硬化剤(B)である多価カルボン酸樹脂の合成例
撹拌装置、ジムロートコンデンサ、温度計を設置したガラス製セパラブルフラスコに、両末端カルビノール変性シリコーンX22−160AS(信越化学工業(株)製)47.1部、ポリエステルポリオールであるアデカニューエースY9−10(ADEKA(株)製、上記式(6)においてR11がネオペンチル基でR12がブチル基であるポリエステルポリオール)11.8部、リカシッドBT−100(1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、新日本理化(株)製)2.5部、リカシッドMH(メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、新日本理化(株)製)16.6部を仕込み、140℃で10時間反応させ、多価カルボン酸樹脂(B−1)77.5部を得た。この時にGPC測定において、リカシッドBT−100および、リカシッドMHのピークは消失していた。この多価カルボン酸樹脂は、反応終了時は無色透明の液体であったが、反応液の温度が下がるにつれて白濁した液体になった。得られた化合物の酸価は88.8mgKOH/g、重量平均分子量は3452、粘度は5730mPa・s、外観は白色液体の液状であった。
【0264】
実施例11;実施例2で得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−2)100部、合成例3で得られた多価カルボン酸樹脂(B−1)63.2部、硬化促進剤として2−エチルヘキサン酸亜鉛0.5部を、ポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明の光半導体封止用硬化性樹脂組成物を得た。
【0265】
実施例12;実施例9で得られたエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−9)100部、合成例3で得られた多価カルボン酸樹脂(B−1)66.7部、硬化促進剤として2−エチルヘキサン酸亜鉛0.5部を、ポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、本発明の光半導体封止用硬化性樹脂組成物を得た。
【0266】
比較例2;合成例1で得られたシリコーンレジンを原料として用いないエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(A−11)100部、合成例3で得られた多価カルボン酸樹脂(B−1)66.8部、硬化促進剤として2−エチルヘキサン酸亜鉛0.5部を、ポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、光半導体封止用硬化性樹脂組成物を得た。
【0267】
比較例3;合成例2で得られたシリコーンレジンを用いず、シラノール末端シリコーンオイルとしてフェニル基を含有するシラノール末端シリコーンオイルを用いたエポキシ基含有ポリシロキサン(A−12)100部、合成例3で得られた多価カルボン酸樹脂(B−1)64.9部、硬化促進剤として2−エチルヘキサン酸亜鉛0.5部を、ポリプロピレン製容器に入れ、混合、5分間脱泡を行い、光半導体封止用硬化性樹脂組成物を得た。
【0268】
[評価試験]
実施例11〜12、比較例2〜3で得られた光半導体封止用硬化性樹脂組成物の配合比とその硬化物の、硬度、透過率、耐硫化性、タック試験の結果を表2に示す。表2における試験は以下のように行った。
【0269】
(1)硬さ
JIS K−7215に記載の方法でデュロメータA硬さを測定した。
(2)硬化物透過率および耐熱後硬化物透過率
実施例11〜12、比較例2〜3で得られた光半導体封止用硬化性樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、30mm×20mm×高さ0.8mmになるように耐熱テープでダムを作成したガラス基板上に静かに注型した。その注型物を、120℃×1時間の予備硬化の後150℃×3時間で硬化させ、厚さ0.8mmの透過率用試験片を得た。得られた試験片を下記条件にて400nmの光線透過率を測定した。
【0270】
分光光計測定条件
メーカー:株式会社日立ハイテクノロジーズ
機種:U−3300
スリット幅:2.0nm
スキャン速度:120nm/分
【0271】
(3)耐硫化試験
実施例11〜12、比較例2〜3で得られた光半導体封止用硬化性樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する3.0mm×1.4mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LEDに、開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。封止した表面実装型LEDを、20%硫化アンモニウム水溶液1mlを入れた開口部直径0.6cm、高さ3.5cmのガラス製容器2つ(蓋は開放)と共に120mm×180mm×36mmtのポリプロピレン製密閉容器に入れ、25℃恒温槽にて放置した。放置2時間毎に底面の銀メッキ部分の変色を目視にて確認した。底面の銀メッキが酷く変色しているのを確認した時間を記入した。
【0272】
(4)タック試験
実施例11〜12、比較例2〜3で得られた光半導体封止用硬化性樹脂組成物を真空脱泡5分間実施後、シリンジに充填し精密吐出装置を使用して、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する5.0mm×5.0mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LED(LED−A)と底面に銀メッキを施した銅製電極を具備する3.2mm×2.8mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)の表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載した表面実装型LED(LED−B)に、それぞれ開口部が平面になるように注型した。120℃×1時間の予備硬化の後、150℃×3時間で硬化し、表面実装型LEDを封止した。
【0273】
封止後のLED−Aを開口部が上になるように、両面テープを用いて1gのアルミ板に固定し、それぞれの開口部同士が接触するようにLED−BをLED−Aの上に乗せ、LED−Bを5秒間押し付けた。
その後、LED−Bのみをピンセットで持ち上げた際に、1gのアルミ製金属板ごと持ち上がったサンプルはタック(ベタツキ)ありの判定(D)をし、LED−BがLED−AからはがれてLED−Bのみ持ち上がったサンプルをタック(ベタツキ)なしの判定(A)をした。
【0274】
【表2】
【0275】
*A−2、A−9、A−11、A−12、B−1は前述の実施例および比較例で得られた化合物を表す。
【0276】
表2に示す結果から明らかなように、原料にシリコーンレジンを用いないエポキシ基含有ポリシロキサンを用いた比較例2は混合後粘度や硬さ、硬化物透過率が光半導体封止用途として適切であるが耐硫化試験で2時間後に銀メッキが酷く変色し耐硫化性に劣り、シリコーンレジンを用いず、シラノール末端シリコーンオイルとしてフェニル基を含有するシラノール末端シリコーンオイルを用いたエポキシ基含有ポリシロキサンを用いた比較例3も混合後粘度や硬さ、硬化物透過率が光半導体封止用途として適切であるが耐硫化性に優れるもののタック性に劣るのに対し、実施例11〜12では、前記物性が適切であるのに加え、耐硫化性、タック性に優れた。
【0277】
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本願は、2013年6月26日付で出願された日本国特許出願(2013−133600)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0278】
本発明のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンおよびそれを含有する硬化性樹脂組成物は、耐熱透明性、耐硫化性に優れ、さらには低タック性の硬化物を与えるため、高い透明性や低タック性が求められる材料、特に光半導体(LEDなど)の封止用樹脂として好適に使用することができる。