特許第6239624号(P6239624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239624
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】電子素子のための材料
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/54 20060101AFI20171120BHJP
   C07C 211/61 20060101ALI20171120BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20171120BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20171120BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C07C211/54
   C07C211/61
   H05B33/14 A
   H05B33/22 D
   C09K11/06 690
   H01L31/04 168
   H01L31/04 154C
【請求項の数】18
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2015-532315(P2015-532315)
(86)(22)【出願日】2013年8月20日
(65)【公表番号】特表2015-535818(P2015-535818A)
(43)【公表日】2015年12月17日
(86)【国際出願番号】EP2013002501
(87)【国際公開番号】WO2014044344
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年8月19日
(31)【優先権主張番号】12006553.7
(32)【優先日】2012年9月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】ストエッセル、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】フォゲス、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ブエシング、アルネ
(72)【発明者】
【氏名】プフルム、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ムジカ−フェルナウド、テレサ
(72)【発明者】
【氏名】クロエベル、ヨナス・バレンティン
【審査官】 高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/110262(WO,A1)
【文献】 特開2008−291011(JP,A)
【文献】 特開2008−046167(JP,A)
【文献】 特開2010−164951(JP,A)
【文献】 特開2006−344544(JP,A)
【文献】 Nikulin, Mikhail V.; Voskoboynikov, Alexander Z.; Suponitsky, Kyrill Yu.,The cocrystal 10-(2-methyl-4-phenyl-1H-inden-6-yl)-10H-phenothiazine-10-(2- methyl-7-phenyl-1H-inden-5-yl)-10H-phenothiazine (0.54/0.46),Acta Crystallographica, Section E: Structure Reports Online,2008年,E64,2317
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 211/54
C07C 211/61
C09K 11/06
H01L 51/46
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二個以上の相異なる式(V)および式(VI)の1つの化合物および任意に一以上のp−ドーパントからなる混合物;
【化1】
式中、以下が適用される:
Zは、出現毎に同一であるか異なり、CRであり、
Xは、単結合であり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C(=O)R、CN、Si(R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOもしくはSOで置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基Rで置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基Rは、互いに結合してよく、環を形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であり、ここで、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく、ここで、2個以上の置換基Rは、互いに結合してよく、環を形成してよく;
pは、0または1である。
【請求項2】
正確に二、三もしくは四個の相異なる式(V)および式(VI)の1つの化合物を含むことを特徴とする、請求項1記載の混合物。
【請求項3】
(V)または式(VI)でない10%未満の化合物を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の混合物。
【請求項4】
少なくとも二個の式(V)および式(VI)の1つの化合物が、それぞれ個々に考えて、少なくとも10%の割合を有することを特徴とする、請求項1〜何れか1項記載の混合物。
【請求項5】
少なくとも二個の式(V)および式(VI)の1つの化合物が、式(V)または式(VI)で示される窒素原子とは別に三個の置換基を持つさらなる窒素原子を含まないことを特徴とする、請求項1〜何れか1項記載の混合物。
【請求項6】
二もしくは三個のArは、1以上の基Rにより置換されてよい12〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造から選ばれることを特徴とする、請求項1〜何れか1項記載の混合物。
【請求項7】
請求項1〜何れか1項記載の混合物を有機層中に含むことを特徴とする、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる電子素子。
【請求項8】
請求項1〜何れか1項記載の混合物が、正孔輸送層に使用されることを特徴とする、有機エレクトロルミッセンス素子から選ばれる請求項記載の電子素子。
【請求項9】
請求項1〜何れか1項記載の混合物を含む正孔輸送層のアノード側に配置される少なくとも一つのさらなる正孔輸送層を追加的に含むことを特徴とする、請求項記載の有機エレクトロルミッセンス素子。
【請求項10】
請求項1〜何れか1項記載の混合物の、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる電子素子での使用。
【請求項11】
二個以上の相異なる式(V)および式(VI)の1つの化合物を含む混合物が、正孔輸送層に使用されることを特徴とする有機エレクトロルミッセンス素子;
【化2】
式中、以下が適用される:
Zは、出現毎に同一であるか異なり、CRであり、
Xは、単結合であり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C(=O)R、CN、Si(R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOもしくはSOで置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基Rで置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基Rは、互いに結合してよく、環を形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であり、ここで、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく、ここで、2個以上の置換基Rは、互いに結合してよく、環を形成してよく;
pは、0または1である。
【請求項12】
正確に二、三もしくは四個の相異なる式(V)および式(VI)の1つの化合物を含むことを特徴とする、請求項11記載の有機エレクトロルミッセンス素子。
【請求項13】
式(V)または式(VI)でない10%未満の化合物を含むことを特徴とする、請求項11または12記載の有機エレクトロルミッセンス素子。
【請求項14】
一以上のp−ドーパントを含むことを特徴とする、請求項11〜13何れか1項記載の有機エレクトロルミッセンス素子。
【請求項15】
少なくとも二個の式(V)および式(VI)の1つの化合物が、それぞれ個々に考えて、少なくとも10%の割合を有することを特徴とする、請求項11〜14何れか1項記載の有機エレクトロルミッセンス素子。
【請求項16】
少なくとも二個の式(V)および式(VI)の1つの化合物が、式(V)または式(VI)で示される窒素原子とは別に三個の置換基を持つさらなる窒素原子を含まないことを特徴とする、請求項11〜15何れか1項記載の有機エレクトロルミッセンス素子。
【請求項17】
二もしくは三個のArは、1以上の基Rにより置換されてよい12〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造から選ばれることを特徴とする、請求項11〜16何れか1項記載の有機エレクトロルミッセンス素子。
【請求項18】
前記混合物を含む正孔輸送層のアノード側に配置される少なくとも一つのさらなる正孔輸送層を追加的に含むことを特徴とする、請求項11記載の有機エレクトロルミッセンス素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも二個の相異なる式(I)の化合物を含む混合物に関する。混合物は、電子素子、特に、有機エレクトロルミッセンス素子における使用、特に、正孔輸送層での使用に適する。
【0002】
本出願の意味での電子素子は、特に、機能性材料として有機半導体材料を含むいわゆる有機電子素子の意味で使用される。また、特に、これらは、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)と以下に言及される他の電子素子の意味で使用される。
【0003】
OLEDは、すでに多くの面で秀れた成果をもたらしているが、特に、発光のパワー効率、寿命と色座標に関する改善のための必要性が引き続き存在する。特性を改善するために、素子での使用のための新規な材料と混合物における考慮すべき関心が存在する。
【0004】
先行技術は、たとえば、トリス(パラ−ビフェニル)アミンまたはトリス(パラ−トリフェニル)アミン等の単純なトリアリールアミノ化合物のOLEDでの使用を開示する(JP1995/053955A)。また、個々のフェニル基のパラ-およびメタ-結合を有する単純なトリアリールアミノ化合物の使用が知られている(WO2006/123667A1およびJP2010/222268A)。前記化合物は、好ましくは、正孔輸送材料として使用される。それらは、簡単で安価に高純度で調製され、それゆえ、OLEDでの機能性材料としての使用に極めて魅力的である。
【0005】
しかしながら、前記化合物は、ガラス転移温度を超えて加熱すると部分的に結晶化する性質がある。これは、操作がOLEDの昇温を伴うことから、操作時のOLEDの性能データの障害を典型的にもたらす。
【0006】
したがって、技術的目的は、操作時、すなわち、操作の結果としての昇温時または、たとえば、周囲温度の上昇等の他の原因によるOLEDの昇温時にOLEDの性能データを一定に保つことを可能とする材料を提供することである。
【0007】
この目的は、本発明にしたがって、二個以上の相異なる式(I)の化合物を含む混合物により解決される;
【化1】
【0008】
式中、式(I)の化合物に、以下が適用される:
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、C(=O)R、CN、Si(R、P(=O)(R、S(=O)R、S(=O)、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜20個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基(上記言及した基は、夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH基は、-RC=CR-、-C≡C-、Si(R、C=O、C=S、C=NR、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、P(=O)(R)、-O-、-S-、SOもしくはSOで置き代えられてよく、ここで、上記言及した基中の1以上のH原子は、D、FもしくはCNで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基Rで置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基であり;ここで、2個以上の基Rは、互いに結合してよく、環を形成してよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族もしくは複素環式芳香族有機基であり、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく、ここで、2個以上の置換基Rは、互いに結合してよく、環を形成してよく;
一、二もしくは三個のArは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい12〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造から選ばれる。
【0009】
混合物は、ガラス転移温度を超える加熱時の結晶化傾向が少ししないかまたはないという驚くべき優位性を有する。本発明の混合物を含むOLEDは、昇温時でさえもその性能データを保持するという驚くべき優位性を有する。さらに、本発明の混合物を含むOLEDは、低い電圧と一定の性能データを有するという驚くべき優位性を有する。
【0010】
以下の定義が適用される:
本発明の意味でのアリール基は、6〜60個の芳香族環原子を含み;本発明の意味でのヘテロアリール基は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個は、ヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、OおよびSから選ばれる。これが、基本的な定義である。他の選好が、たとえば、存在する芳香族環原子もしくはヘテロ原子の数に関して本発明の説明において示されるならば、これらが適用される。
【0011】
ここで、アリール基もしくはヘテロアリール基は、簡単な芳香族環すなわちベンゼン、または、簡単な複素環式芳香族環、たとえば、ピリジン、ピリミジンもしくはチオフェン、または、縮合芳香族もしくは複素環式芳香族多環、たとえば、ナフタレン、フェナントレン、キノリンもしくはカルバゾールの何れかの意味で使用される。本発明の意味での縮合芳香族もしくは複素環式芳香族多環は、互いに縮合した二以上の単純芳香族もしくは複素環式芳香族環から成る。
【0012】
アリールもしくはヘテロアリール基は、各場合に、上記言及した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナンスロイミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナンスロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、ピラジン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールから誘導される基の意味で使用される。
【0013】
本発明の定義にしたがいアリールオキシ基は、酸素原子を介して結合する、上記定義のとおりのアリール基の意味で使用される。同様の定義がヘテロアリールオキシ基に適用される。
【0014】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子を含み、そのうちの少なくとも1個はヘテロ原子である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基は、たとえば、sp混成のC、Si、NあるいはO原子、sp混成のCあるいはN原子もしくはsp混成のC原子のような非芳香族単位(好ましくは、H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により連結されていてもよい構造の意味で使用されるものと解される。このように、たとえば9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基により、もしくはシリル基により連結される構造であるから、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用される。さらに、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合する構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0015】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族または複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置で、芳香族または複素環式芳香族系に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランテン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナンスレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナンスリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、フェナンスリイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、アンスロオキサゾール、フェナンスロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナンスロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせから誘導される基の意味で使用される。
【0016】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH基は、基の定義の元で上記言及した基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチチオル、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニルチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオまたはオクチニルチオの意味で使用される。
【0017】
二個以上の基が、互いに環を形成してもよいという表現は、本説明の目的のために、特に、二個の基が化学結合により互いに結合する意味で使用される。これは、以下のスキームにより図解される。
【化2】
【0018】
しかしながら、さらに、上記言及した表現は、二個の基の一つが水素である場合には、第二の基は、水素原子が結合した位置で結合して、環を形成する意味で使用される。これは、以下のスキームにより図解される。
【化3】
【0019】
本発明の混合物は、好ましくは、正確に二、三もしくは四個の、特に、好ましくは、正確に二もしくは三個の相異なる式(I)の化合物を含む。
【0020】
本発明の混合物は、さらに、少なくとも二個の式(I)の化合物に加えて、さらなる化合物を含む。ここで、それらは、少ない割合、特に、好ましくは、20%未満の割合で存在することが好ましい。
【0021】
本発明の目的のために、「%」は、材料が溶液から、たとえば、印刷プロセスにより適用されるならば、重量%の意味で使用され、また、「%」は、材料が気相から、たとえば、蒸発により適用されるならば、モル%の意味で使用される。本発明の目的のために、「%」は、好ましくは、重量%の意味で使用される。
【0022】
特に、好ましくは、本発明の混合物は、式(I)ではない化合物を、10%未満含む。非常に、特に、好ましくは、式(I)ではない化合物を、5%未満、より好ましくは、2%未満およびさらにより好ましくは、1%未満含む。
【0023】
最も好ましくは、混合物は、少なくとも二個の式(I)の化合物に加えてさらなる化合物を本質的に含まない。
【0024】
式(I)の化合物に加えて本発明の混合物中に存在する化合物は、好ましくは、OLEDにおいて正孔輸送層、正孔注入層もしくは電子ブロック層中で典型的に使用される材料である。好ましくは、インデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO06/122630もしくはWO06/100896にしたがう)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO01/049806にしたがう)、縮合芳香族環を含むアミン誘導体(たとえば、US 5,061,569にしたがう)、WO 95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO08/006449にしたがう)もしくはジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847にしたがう)である。さらに、JP 2001/226331、EP676461、EP650955、WO01/049806、US4780536、WO98/30071、EP891121、EP1661888、JP 2006/253445、EP 650955、WO 2006/073054およびUS5061569に開示されたとおりのこれらの化合物の誘導体が存在してよい。
【0025】
好ましい態様によると、混合物は、一以上のp-ドーパントを含む。本発明にしたがって使用されるp-ドーパントは、混合物の一以上のその他の化合物を酸化することのできる有機電子受容性化合物である。p-ドーパントの、特に、好ましい態様は、WO2011/073149、EP1968131、EP2276085、EP2213662、EP1722602、EP2045848、DE102007031220、US8044390、US8057712、WO2009/003455、WO2010/094378、WO2011/120709、US2010/0096600およびWO2012/095143に開示される化合物である。
【0026】
非常に、特に、好ましくは、US8057712に開示されたフリーラジカル化合物、WO2009/003455に開示されたキノイド有機化合物、WO2011/120709に開示された二次平面遷移金属錯体、特に、WO2011/120709に開示されたCu錯体、WO2011/033023に開示された多核Cu錯体、特に、カルボキシレートリガンドをもつもの、および8〜12属からの中心金属、特に、US2010/0096600に開示されたニッケルを含む二次平面遷移金属錯体である。
【0027】
特に、好ましいp-ドーパントは、キノジメタン化合物、アザインデノフルオレンジオン、アザフェナレン、アザトリフェニレン、I、金属ハロゲン化物、好ましくは、遷移金属ハロゲン化物、金属酸化物、好ましくは、少なくとも一つの遷移金属もしくは第3主属からの金属を含む金属酸化物および遷移金属錯体、好ましくは、結合位置として少なくとも一つの酸素原子を含むリガンドをもつCu、Co、Ni、PdもしくはPtの錯体である。好ましいドーパントは、さらに、遷移金属酸化物、好ましくは、レニウム、モリブデンおよびタングステンの酸化物、特に、好ましくは、Re、MoO、WOおよびReOである。
【0028】
非常に、好ましいp-ドーパントは、以下の化合物である:
【化4】
【0029】
p-ドーパントが混合物中に存在するならば、これらは、好ましくは、0.1〜20%、特に、好ましくは、0.5〜12%、非常に、特に、好ましくは、1〜8%、最も、好ましくは、2〜6%の濃度で存在する。
【0030】
少なくとも二個の式(I)の化合物が、それぞれ個々に考慮して、少なくとも5%、好ましくは、少なくとも10%、特に、好ましくは、少なくとも25%、非常に、特に、好ましくは、少なくとも30%の割合を有することが好ましい。
【0031】
少なくとも二個の式(I)の化合物は、好ましくは、各場合に同様の割合で、本発明の混合物中に存在する。%割合の差は、好ましくは、0〜20パーセント点、特に、好ましくは、0〜10パーセント点、非常に、特に、好ましくは、0〜5パーセント点である。
【0032】
少なくとも二個の式(I)の化合物に関しては、それらが、式(I)で示される窒素原子とは別に三個の置換基を持つさらなる窒素原子を含まないことが好ましい。
【0033】
それらは、特に、好ましくは、式(I)で示される窒素原子とは別のさらなる窒素原子を含まない。
【0034】
少なくとも二個の式(I)の化合物に関しては、二もしくは三個のArは、1以上の基Rにより置換されてよい12〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造から選ばれることが好ましい。好ましくは、三個のArは、1以上の基Rにより置換されてよい12〜60個の芳香族環原子を有する芳香族環構造から選ばれる。
【0035】
Arは、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造から選ばれる。
【0036】
少なくとも二個の式(I)の化合物に関しては、式(I)の化合物中の少なくとも一つの基Arは、式(II)、(III)または(IV)であることが好ましく、
【化5】
【0037】
式中、印づけられた結合は、窒素原子への結合に対応し、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり、ここで、二個を超えない隣接する基Zは、Nであり、
ArおよびArは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜10個の芳香族環原子を有するアリールもしくはヘテロアリール基であり;
nは、0〜3の値を有し、
mは、2〜4の値を有し、
および、式(II)、(III)および(IV)の基は、全自由位置で、基Rにより置換されてよい。
【0038】
好ましくは、少なくとも二個の式(I)の化合物中の少なくとも二個の、特に、好ましくは、全ての三個の基Arは、式(II)、(III)または(IV)の一つである。
【0039】
本発明の混合物は、少なくとも二個の式(I)の化合物の少なくとも一個は、式(V)〜(IX)の一つであることがさらに好ましく、
【化6-1】
【化6-2】
【0040】
式中、以下が適用される:
Zは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり、ここで、二個を超えない隣接する基Zは、Nであり、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、単結合、O、S、Se、BR、C(R、Si(R、NR、PR、C(R-C(RもしくはCR=CRであり、
Arは、上記定義されるとおりであり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、上記定義されるとおりであり、
は、上記定義されるとおりであり、
pは、0または1であり、
q、rは、同一であるか異なり、0または1であり、ここで、qとrの合計は、1または2である
好ましくは、少なくとも二個の式(I)の化合物の二個は、上記言及した式(V)、(VI)、(VII)、(VIII)または(IX)の一つである
少なくとも二個の式(I)の化合物の少なくとも一個は、式(V−1)である本発明の混合物が、特に、好ましく、
【化7】
【0041】
式中、Zは、出現毎に同一であるか異なり、CRまたはNであり、ここで、二個を超えない隣接する基Zは、Nである。
【0042】
上記言及した式に関する基Zは、出現毎に同一であるか異なり、CRであることがさらに好ましい。
【0043】
は、さらに、好ましくは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R、1〜10個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜10個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(上記言及した基は、夫々、1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上のCH基は、、-C≡C-、-RC=CR-、Si(R、C=O、C=NR、-NR、-O-、-S-、-C(=O)O-もしくは-C(=O)NR-で置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上の基Rは、互いに結合してよく、環を形成してよい。
【0044】
式(I)の化合物の例は、以下に示される。
【化8-1】
【化8-2】
【化8-3】
【化8-4】
【化8-5】
【化8-6】
【化8-7】
【化8-8】
【化8-9】
【化8-10】
【化8-11】
【化8-12】
【化8-13】
【化8-14】
【化8-15】
【化8-16】
【化8-17】
【化8-18】
【化8-19】
【0045】
少なくとも二個の式(I)の化合物の態様のさらなる例は、出願EP12005369.9(未公開、フルオレンモノアミン)、EP12005370.7(未公開、フルオレンモノアミン)、EP12005371.5(未公開、フルオレンモノアミン)、EP12000929.5(未公開、スピロビフルオレンモノアミン)、E11009779.7(未公開、トリスビフェニルアミン)、EP11009127.9(未公開、スピロベンゾピランアミン)、WO2012/150001(アリール置換ジヒドロアクリジン)、WO2012/034627(スピロビフルオレンモノアミン)、JP1995/053955(トリスビフェニルアミン)、WO2006/123667(トリスビフェニルアミン)およびJP2010/222268(トリスビフェニルアミン)の対応する実施例と表の例に開示されている。
【0046】
式(I)の化合物の製造方法は、当業者に知られている。式(V−1)の好ましい化合物の製造方法は、未公開出願EP11009779.7に記載されている。
【0047】
本発明の混合物は、存在する化合物、特に、少なくとも二個の式(I)の化合物を混合することにより調製される。混合物をさらに種々の方法で加工することができる。
【0048】
液相からの、たとえば、スピンコーティングによるまたは印刷プロセスによる本発明の混合物の加工のためには、本発明の混合物の調合物を必要とする。これらの調合物は、たとえば、溶液、分散液もしくはエマルジョンであり得る。この目的のためには、二以上の溶媒の混合物を使用することが好ましいかもしれない。適切で、好ましい溶媒は、たとえば、トルエン、アニソール、o-、m-もしくはp-キシレン、メチルベンゾエート、ジメチルアニソール、メシチレン、テトラリン、ベラトール、THF、メチル-THF、THP、クロロベンゼン、ジオキサンまたはこれら溶媒の混合物である。本発明の混合物を含む調合物は、一以上のポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーを含むことが好ましい。ポリマー、オリゴマーもしくはデンドリマーは、調合物中に、好ましくは、1〜80%の、特に、好ましくは、5〜65%の、非常に、特に、好ましくは、10〜50%の濃度で、存在する。それらは、特に、調合物の特性、たとえば、粘度の調製機能を有する。好ましくは、ポリアリールアミン、ポリスチレン、ポリアクリレートおよびポリエステルの使用、特に、WO2011/076325に開示されたポリマーの使用である。
【0049】
したがって、本発明は、さらに、本発明の混合物と少なくとも一つの溶媒、好ましくは、有機溶媒を含む調合物、特に、溶液、分散液もしくはエマルジョンに関する。この型の溶液を調製することができる方法は、当業者に知られており、たとえば、出願WO 2002/072714、WO 2003/019694とそこに引用された文献に記載されている。
【0050】
本発明の混合物は、電子素子、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子(たとえば、OLEDもしくはOLEC)での使用のために適している。
【0051】
したがって、本発明は、さらに、本発明の混合物の電子素子での使用と本発明の混合物を有機層中に含む電子素子に関する。
【0052】
ここで、電子素子は、好ましくは、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光学検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)から選ばれ、特に、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLEDもしくはOLEC)から選ばれる。
【0053】
特に、好ましくは、有機エレクトロルミッセンス素子は、アノード、カソードと少なくとも一つの発光層を含み、ここで、素子の少なくとも一つの有機層は、少なくとも一つの本発明の混合物を含む。
【0054】
カソード、アノードおよび発光層に加えて、有機エレクトロルミネセンス素子は、さらなる層を含んでよい。これらは、たとえば、各場合に、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層、励起子ブロック層、中間層、電荷生成層(IDMC 2003, Taiwan; Session 21 OLED (5), T. Matsumoto, T. Nakada, J.Endo, K. Mori, N. Kawamura, A. Yokoi, J.Kido, Multiphoton Organic EL Device Having Charge Generation Layer)および/または有機あるいは無機p/n接合を含んでもよい。しかしながら、これら層の夫々は、必ずしも存在する必要はなく、層の選択は使用される化合物と、特に、エレクトロルミネッセンス素子が蛍光であるか燐光であるかに常に依存することが指摘されねばならない。
【0055】
本発明の有機エレクトロルミッセンス素子の層配列は、好ましくは、以下である:
アノード/正孔注入層/正孔輸送層/電子ブロック層/発光層/電子輸送層/電子注入層/カソード。
【0056】
ここで、前記層の全てが必ずしも存在する必要はなく、さらなる層が追加的に存在してもよく、個々の機能層が何度も生じてよい。
【0057】
特に、好ましいのは、有機エレクトロルミッセンス素子の以下の層配列である:
アノード/正孔注入層1/正孔注入層2/正孔注入層3/正孔輸送層/電子ブロック層/発光層/電子輸送層/カソード。
【0058】
ここで、前記層の全てが必ずしも存在する必要がなく、さらなる層が追加的に存在してもよく、個々の機能層が何度も生じてよい。
【0059】
本発明の有機エレクトロルミネセンス素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合に、これらの発光層は、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光波長を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光もしくは燐光を発し、青色および黄色、オレンジ色もしくは赤色発光することができる種々の発光化合物を、発光層に使用することができる。特に、好ましいものは、3層構造であり、すなわち、3個の発光層を有する構造であり、その3層は青色、緑色およびオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、たとえば、WO 2005/011013参照。)。白色光の生成のためには、広波長範囲で発光する一重項エミッター化合物が、色発光する複数のエミッター化合物に代えて適するかもしれないことに注意する必要がある。
【0060】
本発明の混合物は、正孔輸送機能を有する層で使用されることが好ましい。これは、特に、好ましくは、正孔注入層、正孔輸送層または電子ブロック層である、非常に、特に、好ましくは、正孔輸送層または電子ブロック層での、最も、好ましくは、電子ブロック層での使用である。
【0061】
本発明の目的のために、用語正孔輸送層は、アノードと発光層との間に位置する全ての有機層、すなわち、特に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層および中間層を包含する。本発明の意味での、正孔注入層は、アノードに直接隣接するか、または単一の被覆によりアノードから分離される有機層の意味で使用される。電子ブロック層は、アノード側で発光層に直接隣接する有機層の意味で使用される。
【0062】
本発明の混合物を含む層は、p-ドープ層であってよい。本発明の混合物と関連して示されるp-ドーピングとp-ドーパントの好ましい態様が適用される。
【0063】
本発明の混合物を含む層は、好ましくは、アノード側で発光層に直接隣接する。
【0064】
さらに好ましい態様では、有機エレクトロルミッセンス素子は、追加的に本発明の混合物を含む層のアノード側に配置される少なくとも一つのさらなる正孔輸送層を含む。
【0065】
このさらなる正孔輸送層は、好ましくは、本発明の混合物を含む層に直接隣接する。
【0066】
さらなる正孔輸送層は、好ましくは、少なくとも一つのモノトリアリールアミンを含む。さらなる正孔輸送層は、特に、好ましくは、少なくとも一つの式(I)の化合物を含む。上記示される式(I)の好ましい態様は、また、さらなる正孔輸送層の式(I)の化合物にあてはまる。式(I)の化合物は、さらなる正孔輸送層中で純粋物質として、好ましくは、層中の他の化合物の10%未満、特に、好ましくは、層中の他の化合物の5%未満、非常に、特に、好ましくは、層中の他の化合物の1%未満で存在することがさらに好ましい。
【0067】
モノトリアリールアミンは、単一のトリアリールアミンを含む化合物の意味で使用される。トリアリールアミン基は、三個のアリールもしくはヘテロアリール基が共通の窒素原子に結合する基である。モノトリアリールアミンは、好ましくは、さらなるアリールアミノ基を含まない。モノトリアリールアミンは、特に、好ましくは、さらなるアミノ基を含まない。
【0068】
さらに好ましい態様では、本発明の混合物は、有機エレクトロルミッセンス素子の発光層中でホスト材料として使用される。ここで、発光層は、蛍光層であっても、燐光層であってもよい。この場合、一以上のさらなるホスト化合物が、好ましくは、本発明の混合物とエミッター化合物に加えて、存在する。
【0069】
さらに好ましい態様では、本発明の混合物は、電子素子のカップリングアウト層で使用される。カップリングアウト層は、アノードと離れる側で、カソード上に位置する層である。それは、特に、頂上発光素子、すなわち、カソードを通じて発光する素子に使用される。
【0070】
本発明の素子の対応する機能層中で使用される材料の好ましい態様は、以下に開示される。
【0071】
用語燐光エミッター(=ドーパント)は、発光が、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または比較的高いスピン量子数を有する状態、たとえば、五重項状態からの遷移により生じる化合物を、典型的には、包含する。
【0072】
適切な燐光発光ドーパントは、特に、適切な励起により、好ましくは、可視域で発光する化合物であり、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子を含む。使用される燐光発光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0073】
本発明の目的のために、すべてのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、燐光化合物とみなされる。
【0074】
上記記載された燐光ドーパントの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が、本発明の素子での使用に適している。当業者は進歩性を必要とすることなく、OLED中で本発明の化合物と組み合わせてさらなる燐光錯体を使用することもできよう。
【0075】
好ましい蛍光エミッターは、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造、特に、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する縮合環構造である。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。
【0076】
本発明の混合物に加えて、好ましくは、蛍光ドーパントのために適したマトリックス材料は、種々の物質のクラスからの材料である。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ- DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがう)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがう)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがう)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがう)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/117052にしたがう)またはベンズアントラセン(たとえば、WO 2008/1452398にしたがう)のクラスから選択される。特に、好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選ばれる。非常に、特に、好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選ばれる。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合する化合物の意味で使用されることを意図している。
【0077】
本発明の混合物に加えて、燐光ドーパントのための好ましいマトリックス材料は、芳香族アミン、特に、たとえば、US2005/0069729にしたがうトリアリールアミン、カルバゾール誘導体(たとえば、CBP、N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 2008/086851にしたがう化合物、たとえば、2011/088877および2011/128017にしたがう架橋カルバゾール誘導体、たとえば、WO 2010/136109およびWO 2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2004/093207もしくはWO 2010/006680にしたがうケトン、たとえば、WO 2005/003253にしたがうホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン、オリゴアリーレン、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 2006/117052にしたがうアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2010/015306、WO 2007/063754もしくはWO 08/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP 652273もしくはWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、アルミニウム錯体、たとえば、BAlq、たとえば、WO 2010/054729にしたがうジアザシロールおよびテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO 2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体およびアルミニウム錯体、たとえば、BAlQである。
【0078】
本発明の混合物に加えて、本発明の有機エレクトロルミッセンス素子の正孔注入もしくは正孔輸送層もしくは電子ブロック層中でまたは電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術にしたがってこれらの層に使用される他の材料である。
【0079】
本発明のエレクトロルミッセンス素子中で、正孔輸送、正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することのできる好ましい正孔輸送材料の例は、すでに、上記で開示された。
【0080】
本発明の有機エレクトロルミッセンス素子のカソードは、好ましくは、低仕事関数を有する金属、金属合金または、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属もしくはランタノイド(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)のような種々の金属を含む多層構造である。また、適切なのは、アルカリ金属、アルカリ土類金属および銀を含む合金、たとえば、マグネシウムと銀を含む合金である。多層構造の場合、比較的高仕事関数を有するさらなる金属、たとえば、AgもしくはAlを前記金属に加えて使用することができ、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはBa/Agのような金属の組み合わせが、一般的に使用される。金属カソードと有機半導体との間に高誘電定数を有する材料の薄い中間層を導入することも好ましいかもしれない。この目的に適するものは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土金属フッ化物だけでなく、また対応する酸化物もしくは炭酸塩(たとえば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)である。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5および5nmである。
【0081】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する金属を含む。アノードは、好ましくは、4.5eV対真空超の仕事関数を有する。この目的に適するものは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高レドックスポテンシャルを有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO、Al/PtO)が、また、好まれてもよい。幾つかの用途のために、少なくとも一つの電極は、有機材料の放射(有機太陽電池)もしくは光のカップリング-アウト(OLED、O−laser)を容易にするために透明もしくは一部透明である必要がある。好ましいアノード材料は、ここで、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいのは、イリジウム錫酸化物(ITO)もしくはイリジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに、好ましいのは、伝導性でドープされた有機材料、特に、伝導性ドープポリマーである。
【0082】
素子は、(用途に応じて)、構造化され、接点を供され、本発明の素子の寿命が水および/または空気の存在で極めて短くなることから、製造中に封止される。
【0083】
好ましい態様では、有機エレクトロルミッセンス素子は、好ましくは、1以上の層が、特に、本発明の混合物を含む層が、昇華プロセスにより適用され、材料は、10−5mbar未満、好ましくは、10−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積により適用される。しかしながら、ここで、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10−7mbar未満でも可能である。
【0084】
本発明の混合物の用途は、他方、混合物の蒸発により実施することができる。他方で、混合物は、種々の混合物成分の共蒸発により、その場で調製することができる。
【0085】
同様に、1以上の層が、特に、本発明の混合物を含む層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により被覆されることが好ましく、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そのように構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0086】
さらに、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷もしくはオフセット印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)もしくはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。
【0087】
本発明の有機エレクトロルミッセンス素子を、一以上の層を溶液から、一以上の層を昇華プロセスにより製造することが、さらに、好ましい。
【0088】
本発明の電子素子を照明用途の光源として、医用および/または美容用の光源(たとえば、光治療)として、表示装置に使用することができる。
【0089】

例1:DSC調査
使用する材料:表6参照
材料の混合物を、夫々の個々の材料HTM1〜6(HPLCによれば、2度昇華させた夫々の場合の純度は>99.95%)を1gアンプルへ量り取り、アンプルを空気抜きし(ベース圧力は約10−6ミリバール)、真空で溶融することによりアンプルを密封し、アンプル内容物を溶融し、室温まで冷ますことによって、透明な有機ガラスの形態で得る。
【表1】
【0090】
DSC測定をTAインストルメンツQ2000シリーズで行う。第1および第2の加熱/冷却サイクルの温度範囲は、20K/分の加熱または冷却速度で0〜290℃である。
【0091】
混合物M1〜M9の場合、Tgを超える加熱では、いくつかの加熱および冷却サイクル期間中には結晶化は観察されず、対応するその後の冷却では、再結晶化は観察されない。したがって、これらは常にガラスの形状の状態のままである。
【0092】
個々の化合物HTM1、HTM3、HTM4とHTM6の場合には、対照的に、Tgを超える加熱では結晶化が観察され、それに続いて、溶融と、引き続く冷却での再結晶化が生じる。
【0093】
例2:OLEDの製造と一般的な素子データ
本発明によるOLEDと先行技術によるOLEDとが、WO 04/058911による一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(層の厚さの変化、材料)に適合される。
【0094】
種々のOLEDのデータが、以下の例で示されている(表1〜4参照)。厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板を使用する。これらの被覆されたガラス板は、OLEDが適用される基板を形成する。OLEDは、基本的に、次の層構造を有する:基板/正孔注入層(HIL)/正孔輸送層(HTL)/中間層(IL)/随意に、正孔輸送層(HTL2)/電子ブロック層(EBL)/発光層(EML)/電子輸送層(ETL)/および最後にカソード。カソードは、100nm厚のアルミニウム層により形成される。OLEDの正確な構造は、表1と3に示される。OLEDの製造のために必要とされる材料は、表6に示されている。
【0095】
すべての材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合でマトリックス材料と予備混合される少なくとも一つの発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、H1:SEB1(95%:5%)等の表現は、材料H1が95体積%の割合で層中に存在し、SEB1が5体積%の割合で層中に在在することを意味する。同様に、本発明による電子輸送層または正孔輸送層もまた、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0096】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定して、電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての外部量子効率(EQE、パーセントで測定)が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/mで測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表2と4中の表現「1000cd/mにおけるU」は、1000cd/mでの輝度に必要とされる電圧を示す。最後に、表現「1000cd/mにおけるEQE」は、駆動輝度1000cd/mでの外部量子効率を示す。種々のOLEDについてのデータが、表2と4とに要約されている。
【0097】
本発明による混合物は、先行技術による個々の化合物として使用する化合物と比較して、正孔輸送材料として使用する場合に電圧および/またはパワー効率の値が改善されていることが観察されている。このことは測定を行ったすべての化合物で一貫して明らかであり、例として、V5(HTM5)およびV6(HTM6)と比較したE8(HTM5とHTM6とを含む混合物8)を参照する。
【0098】
蛍光エミッターを含むOLEDで使用する場合に生じる利点(表4参照)
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0099】
例3:加熱におけるOLEDの挙動
表1および3に示された構造を有するOLEDを使用する。
【0100】
本発明による混合物を有するOLEDは、これらが、最高のガラス転移温度をもつ個々の化合物のガラス転移温度Tgに対応する温度で、1時間保管される場合、減少した効率を示さない(表5、E7、E9、E16、E18参照)。
【0101】
対照的に、同じ保管条件下の比較OLEDの効率(表5、V2−V4、V8−V10)は非常に減少した効率を示す(>10%、正確な効率の減少については各個々のOLED素子の力学に左右され、そのため、最も好適な値のみを示している)。
【表6】
【表7-1】
【化7-2】
【0102】
化合物HTM1−HTM6の合成:
幾つかの化合物はそれらの合成と共に先行技術で知られている。全ての場合で、類似の化合物の合成は先行技術で知られている。HTM4の合成および使用については、いまだ未公開の出願EP 11009779.7に記載されている。HTM5とHTM6の合成および使用については、いまだ未公開の出願EP 12000929.5に記載されている。