【実施例】
【0075】
(実施例1)
抗PD−1抗体(ニボルマブ)の前臨床薬理学
ニボルマブは、高い親和性および特異性でPD−1に結合し、これによりそのリガンドPD−L1およびPD−L2への結合を妨げる、完全なヒトIgG4(カッパー)アイソタイプモノクローナル抗体である(WO2006/121168を参照)。PD−1へのニボルマブの結合のK
Dは、表面プラズモン共鳴(Biacore)解析による測定により約10
−9Mであると決定され(WO2006/121168を参照)、バイオレイヤー(bio−layer)インターフェロメトリー(ForteBio)により約2.9×10
−12Mであると決定された。ニボルマブは、BTLA、CTLA−4、ICOSまたはCD28等、他の関連するファミリーメンバーに結合しない。ニボルマブの前臨床検査は、PD−1への結合が、in vitroにおける強化されたT細胞増殖およびインターフェロン−ガンマ(IFN−ガンマ)放出をもたらすことを実証した(WO2006/121168を参照)。ニボルマブの重鎖および軽鎖アミノ酸配列は、それぞれ配列番号1および2に提示されている。
【0076】
(実施例2)
In Vivoにおける抗PD−1抗体(ニボルマブ)の低毒性
カニクイザルにおける毒物学試験は、最大50mg/kg用量を週に2回、27用量与えたニボルマブにより、良好な耐容性が示されたことを確認した。薬物関連の知見は、甲状腺機能の他のマーカーに随伴的な異常を生じず、トリヨードチロニン(T3)の可逆的な28%減少に限定された(データ図示せず)。
【0077】
(実施例3)
抗PD−1抗体の臨床薬理学および安全性
2011年5月の時点で、273名の被験体を4種の第I相試験においてニボルマブで処置した。そのうち1種は、活動性C型肝炎感染症の被験体の試験であり、2種は、進行性悪性疾患の被験体における用量漸増試験であり、残りの1種は、イピリムマブとの併用試験であった。合計273名の被験体に、用量0.3〜10mg/kgのニボルマブを1または複数用量与えた。最大耐用量(MTD)には達しなかった。発生率のパターン、重症度または用量もしくは腫瘍型と有害事象(AE)との関係性は存在しなかった。23名の被験体(8.4%)は、ニボルマブに関する重篤有害事象(SAE)を有した。
【0078】
1試験(CA209001)において、39名の被験体に、3カ月目に再処置の機会を与えつつ、0.3、1、3または10mg/kgにおけるニボルマブの単一用量を与えた。全被験体は、少なくとも1種のAEを有し、そのうち35名(88%)は、処置に関係した。因果関係にかかわらず最も頻度の高いAEは、疲労(56%)、悪心(44%)、タンパク尿(38%)、便秘(33%)、背部痛(33%)、口渇(28%)、嘔吐(28%)、発疹(26%)、呼吸困難(26%)および食欲不振(23%)であった。処置に関するAEは、被験体39名のうち35名(90%)に報告された。そのうち11名は、グレード3のAEを経験し、1名の被験体は、グレード4のリンパ球数減少であった。68例のSAEが存在し、3例は、処置に関係した(グレード2貧血、グレード2甲状腺機能低下症およびグレード3結腸炎)。12例の死亡のうち、ニボルマブに関係すると考慮されるものはなかった。
【0079】
現在進行中のより大規模の第I相試験(CA209003)において、169名の被験体に、2週間毎の間隔で0.1、0.3、1、3および10mg/kgのニボルマブを複数用量与えた。140名(83%)の被験体は、少なくとも1種のAEを報告し、そのうち最も一般的なものは、上に示すものと顕著に異ならなかった。これは、ニボルマブの単一用量投与において観察された安全経験と一貫した。最も一般的な処置に関係するAEは、疲労(22%)、発疹(15%)、そう痒(11%)、下痢(9%)および悪心(8%)であった。65名(38%)の被験体は、グレード3または4のAEを経験し、そのうち23名の被験体は、処置に関係するAEを有した。58名(34%)の被験体は、SAEを報告し、そのうち全てが、1、3または10mg/kg処置群において起こり、そのうち16名(9%)の被験体は、処置に関係するSAEを有した。処置に関係するSAEの種類は、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症、下垂体炎、続発性副腎皮質機能不全、リパーゼ増加)、胃腸毒性(腹痛、悪心、嘔吐、脱水、下痢、結腸炎)、肝毒性(肝炎、ALT、ASTおよびアルカリホスファターゼの増加)、肺毒性(呼吸困難、間質性肺炎、急性呼吸促迫症候群)および他の毒性(疲労、蜂巣炎、輸注関連反応、ミオクローヌス、悪性新生物、骨髄異形成症候群)を含んだ。2011年11月30日の時点で、33名の死亡が報告された;0.1mg/kg用量における2名の被験体、1mg/kg用量における8名の被験体、3mg/kg用量における3名の被験体および10mg/kg用量における20名の被験体であった。30名の死亡は、疾患進行に続発するものと考慮され、1名は、虚血性心筋症によるものと報告され、薬物に関係しないと考慮された。2名の被験体は、薬物関連の死亡であった。10mg/kgにおいて処置した1名の被験体は、グレード4間質性肺炎となり、グレード5敗血症により死亡した。1mg/kgにおいて処置した他方の被験体は、グレード3間質性肺炎およびグレード4急性呼吸促迫症候群を発症し、グレード5敗血症により死亡した。肺性症状が重症となるまで、どちらの被験体にもステロイドを与えなかった。間質性肺炎および急性呼吸促迫症候群を処置するための、コルチコステロイドおよびインフリキシマブ等、免疫抑制剤の使用を含む管理アルゴリズムは、本技術分野において公知である。
【0080】
予備的結果は、上述の治験の両方における臨床活性を実証した。CA2009001における39名の被験体のうち、3名の被験体は、部分奏功し(結腸直腸癌、メラノーマおよび腎細胞癌)、10名の被験体は、安定病態した。CA209003において、91名の被験体は、腫瘍応答に関して評価可能であり、非小細胞肺がん、腎細胞癌およびメラノーマ被験体における1、3および10mg/kgの用量レベルにおいて完全または部分奏功が報告された。これらの進行中の臨床治験から得られたデータは、Topalian SLら、New Eng J Med 2012年;366巻(26号):2443〜2454頁によって近年報告された(WO2008/156712(h409A11)およびHamid Oら、New Eng J Med 2013年;369巻:134〜144頁も参照)。
【0081】
(実施例4)
抗PD−1抗体(ニボルマブ)の薬物動態
0.3、1、3および10mg/kgのニボルマブを与えたがんである39名の被験体の単一用量薬物動態解析は、単一用量にわたる中位T
maxが、1.6〜3時間に及び、個々の値が、0.9〜7時間に及ぶことを明らかにした。ニボルマブの薬物動態は、0.3〜10mg/kgの範囲において線形であり、用量は、最大血清中濃度(C
max)およびゼロ時から無限大の濃度時間曲線下面積(AUC
INF)において比例的に増加し、各用量レベルにおいて低から中等度の被験体間可変性が観察された。ニボルマブの平均末端排出半減期は、17〜25日間であり、これは、内在性IgG4の半減期と一貫した。ニボルマブの排出および分布は両者共に、用量と無関係であった(データ図示せず)。
【0082】
(実施例5)
IPH−2101による第I相臨床治験
IPH−2101(1−7F9としても公知であり、WO2006/003179に記載されている)は、特異的かつ高親和性で、KIR2DL−1、2および3ならびにKIR2DS−1および2に結合し、これによりKIRおよびHLA−C間の相互作用を防止する、完全なヒト抗KIRモノクローナル抗体である。AML患者におけるIPH−2101による第I相臨床治験は完了した。0.0003、0.003、0.015、0.075、0.3、1および3mg/kgの用量における単一投与は、最大耐用量に達しなかった。2種の第I相試験および3種の第II相試験は、AMLまたは多発性骨髄腫の患者において進行中である。これらの試験において、4週間毎の間隔において、最大3mg/kgの様々な用量レベルを検査し、投与する最大サイクル数は6であった。薬物動態試験は、0.3mg/kgよりも高い用量における12〜14日間の半減期を示唆した。0.075mg/kgの用量において、7日間未満、完全KIR占有率(>90%)が観察された。0.3mg/kgの用量において、28日目に始まるKIR占有率は、90%未満まで減少した。4週間にわたる持続した完全KIR占有率は、3mg/kgの用量において達成された。
【0083】
2011年12月1日の時点で、臨床安全性データは、これらの治験における136名の患者に利用できた。有害事象(AE)は、136名のうち128名(94%)の被験体において報告され、おそらく、ほぼ確実にまたは確実にIPH−2101に関係する、734例のうち183例(25%)の報告を含んだ。2名以上の被験体において報告されたAEは、全身症状(悪寒、熱、疲労、脱力)、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢)、神経学的症状(眩暈、頭痛、振戦)、肺性症状(呼吸困難)、皮膚症状(紅斑、そう痒、発疹)、その他(潮紅、高血圧、筋痙攣、筋肉痛)および検査上の異常(高カリウム血症、リパーゼ増加、白血球、好中球および血小板の数の減少)を含んだ。これらの事象は、大部分はグレード1およびグレード2であり、1mg/kgよりも多い用量においてより頻度が高くなる傾向があった。多発性骨髄腫の1名の患者のみが、急性腎不全による重篤有害事象(SAE)を経験した。IPH−2101に関係すると考慮されるが、患者は疾患進行でもあった。全体的に見て、IPH−2101は、0.0003〜3mg/kgの用量において耐容できた。
【0084】
(実施例6)
抗KIR抗体(リリルマブ)の前臨床薬理学
リリルマブは、特異的かつ高親和性でKIRのサブセット、すなわち、KIR2DL−1、2および3ならびにKIR2DS−1および2に結合する完全なヒトIgG4モノクローナル抗体である。表面プラズモン共鳴解析は、組換え可溶性KIR2DL1に対するリリルマブの平均一価親和性が、2.04×10
−8M(s.d.0.31×10
−8)であり、KIR2DL3に対する平均一価親和性が、3.01×10
−10M(s.d.0.41×10
−10)であることを実証した。リリルマブの重鎖および軽鎖アミノ酸配列は、それぞれ配列番号17および18に提示されている。
【0085】
(実施例7)
マウスにおける抗KIR抗体(リリルマブ)の毒性の欠如
リリルマブもIPH−2101も、安全性検査のために伝統的に使用される非ヒト霊長類または他の種由来のNK細胞に結合しない。しかし、Ly49C/Iは、ヒトKIRに対し機能的に相同のマウス阻害性受容体である。10mg/kgのリリルマブで週1回を4週間、あるいは代替抗Ly49抗体5E6 F(ab’)2で週に2回を13週間処置したマウスにおいて有害な知見は存在しなかった(データ図示せず)。
【0086】
(実施例8)
抗KIR抗体(リリルマブ)の臨床薬理学および安全性
IPH−2101で処置した136名の被験体の安全性データは、上述の実施例5に記載されている。リリルマブは、IPH−2101(1−7F9としても公知)と同じ重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、よって、IPH−2101と同じエピトープに結合するが、(1)IPH−2101がハイブリドーマ細胞から調製されるのに対し、これがチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において調製される、(2)安定化のためのヒンジ突然変異(S231P)がリリルマブに導入されたという点においてIPH−2101と異なる。
【0087】
KIR占有率の予備的薬力学的評価は、0.015mg/kgのリリルマブを与えた全3名の被験体のKIR2Dが1週間未満完全飽和した(>90%KIR占有率)ことを明らかにした。0.3mg/kgを与えた被験体は、少なくとも8週間完全飽和し、これは、より高用量を与えた被験体においてさらに長期に延長した。被験体の半分(0.015、0.3、1および3mg/kg)(検査した最後のコホートにおける全3名を含む)は、インターフェロンガンマのレベルが中程度に一過性増加した(データ図示せず)。
【0088】
その上、リリルマブと同一可変領域を有するが、安定化のためのS241Pヒンジ突然変異を欠く関連抗体IPH2101(WO2006/003179において1−7F9とも命名)に関与する第I相試験は、進行性血液学的悪性疾患の被験体に対して完了した(Vey Nら(2012年)Blood 120巻(22号):4317〜23頁)。2012年5月7日の時点で、20名の被験体に、0.015、0.3、1、3、6および10mg/kgの用量レベルのIPH2101を与えた。6名の被験体は、固形腫瘍(4名は卵巣、1名は子宮内膜、1名は乳がん)を有し、14名は、血液学的悪性疾患であった。低い方から3種の用量レベルにおける被験体に、4週間毎の間隔で4用量を与えた。高い方の用量レベル、3、6および10mg/kgにおける被験体には、1用量を与えた。用量規制毒性は存在しなかった。用量レベルに関するAEの頻度の傾向はなかった。20名のうち18名(90%)の被験体がAEを報告した。大部分の事象は、グレード1(65%)またはグレード2(23%)の重症度であった。合計111例のAEのうち、38例(34%)は、リリルマブに関係すると考慮され、そのうち最も一般的なものは、疲労(16%)、頭痛(13%)、そう痒(11%)、無力症(5%)、便秘(5%)、高血圧(5%)、末梢性浮腫(5%)および発疹(5%)であった。リリルマブに関係するグレード3事象が1例のみ存在し、これは6mg/kgの1用量を与えた被験体において起こった。これは、グレード2のリパーゼ増加による、試験に参加した被験体におけるリパーゼ増加であり、これは22日後にベースラインに戻った。SAEは存在しなかった。
【0089】
(実施例9)
抗KIR抗体(リリルマブ)の薬物動態
進行中の第I相試験から得られた薬物動態は結果待ちである。しかし、PKモデルは、リリルマブのPKプロファイルが、IPH−2101と同等である可能性が高いことを示唆する。AMLおよび多発性骨髄腫を有する被験体における以前のIPH−2101第I相臨床治験において、一次排出による2コンパートメントモデルは、用量増加と共にクリアランスが減少するように、用量依存性クリアランスによりデータを適切に記載することが判明した。最高用量(3mg/kg)における末端半減期は、18日間であることが決定され、これは文献において報告された値と一貫した。
【0090】
(実施例10)
抗KIR抗体および抗PD−1抗体による併用処置によるin vivoにおける腫瘍成長の阻害
マウス固形腫瘍モデルにおいて実験を行って、抗KIRおよび抗PD−1の組合せが、抗腫瘍有効性を増強するであろうという仮説を検査した。理論的根拠は、自然および獲得免疫を協調的に調節し、KIRミスマッチを有する同種間移植後の患者において観察される生物学機構を再現するために医薬品操作を利用することであった。ニボルマブ(抗ヒトPD−1抗体)およびリリルマブ(抗ヒトKIR抗体)は両者共に、ヒト配列のみを認識する。よって、マウス特異的PD−1抗体、抗Ly49抗体およびLy49C/I(マウスにおけるKIRホモログ)を認識するF(ab)2を使用して、この仮説を検査した。
【0091】
マウスに同系間MC38マウス結腸癌細胞株を注射し、触知できる腫瘍の形成後に、4種のコホートのうち1種へと無作為化して、対照IgG、抗Ly49抗体、抗PD−1抗体または両方の抗体を与えた。
図1に示す通り、対照IgG抗体で処置したマウスは、腫瘍が急速に成長した(
図1の左上パネルを参照)。抗Ly49抗体で処置したマウスは、対照動物と有意に異ならなかった(
図1の左下パネル)。マウス抗PD−1抗体で処置したマウスは、腫瘍進行における潜伏を示し、マウスの30%は、腫瘍なしであり続けた(
図1の右上パネルを参照)。抗Ly49および抗PD−1抗体の両方で処置したマウスも、腫瘍進行における潜伏を有し、マウスの60%は、確立した腫瘍の退縮を有した(
図1の右下パネルを参照)。これらの結果は、マウス固形腫瘍モデルにおける抗PD−1抗体の有効性を相乗的に(すなわち、相加的を超えて)増強する抗KIR抗体の能力の前臨床証拠をもたらす。
【0092】
(実施例11)
固形腫瘍を有する患者における第1相治験
抗KIR抗体(リリルマブ)および抗PD−1抗体(ニボルマブ)の第1相治験が、進行性固形腫瘍を有する患者において行われて、併用処置としてのリリルマブおよびニボルマブの投与の相乗的効果を含む有効性を実証する(NCT01714739;Sanbornら、2013年)。
【0093】
1.目的
本試験の一目的は、進行性(転移性および/または切除不能な)固形腫瘍を有する被験体において、ニボルマブと組み合わせて与えたリリルマブの安全性および耐容性を評価し、この組合せの用量規制毒性(DLT)および最大耐用量(MTD)を同定することである。
【0094】
他の目的は、進行性固形腫瘍を有する被験体においてリリルマブおよびニボルマブの組合せの予備的抗腫瘍活性を評価し、同時投与した際のリリルマブおよびニボルマブの薬物動態(PK)を特徴付け、併用療法として投与したリリルマブおよびニボルマブの免疫原性をモニターし、ニボルマブと組み合わせて与えたリリルマブで処置したメラノーマ被験体由来の腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)サブセットにおいて腫瘍組織における薬力学的効果を評価することを含む。
【0095】
追加的な目的は、NK細胞およびT細胞コンパートメントならびに血清タンパク質(サイトカインおよび他の免疫モジュレーター)を含む、末梢血におけるバイオマーカーにおけるニボルマブと組み合わせて与えたリリルマブの薬力学的効果対用量および/または曝露を評価すること、任意選択の生検を受けた、リリルマブおよびニボルマブで処置した被験体における腫瘍組織および末梢血における薬力学的活性を評価すること、バイオマーカー測定値および抗腫瘍活性の間の潜在的な関連を探索すること、ニボルマブと組み合わせて与えた際のリリルマブの複数用量レベルにおいてKIR占有率およびNK機能をさらに特徴付けること、臨床成績と対象KIRおよびHLA遺伝子型との潜在的な関連を評価すること、リリルマブおよびニボルマブの組合せによる治療法開始後3年目のランドマーク全生存を評価することを含む。
【0096】
2.試験設計および期間
試験は、第I相、オープンラベル試験であり、2パートにおいて実施される。試験の第1のパートは、進行性固形腫瘍を有する被験体における、ニボルマブと共に投与したリリルマブの安全性および耐容性の用量漸増評価からなる。試験の第2のパートは、それぞれ最大耐用量(MTD)、最大投与用量(MAD)または代替用量のいずれかにおける、およそ16名の被験体の6種の拡大コホートを含む。このパートは、疾患制限されている。
【0097】
被験体は、試験の最大4期間を完了する:スクリーニング(最大28日間)、処置(最大で2年間の試験治療法)、臨床経過観察(100日間)および生存経過観察(試験薬物の第1の用量に続く最大3年間)。処置期間は、最大12サイクルの8週間処置サイクルからなる。各処置サイクルは、4用量のニボルマブおよび2用量のリリルマブで構成される。ニボルマブは、各処置サイクルの1日目、15日目、29日目および43日目に投与され、リリルマブは、1日目および29日目に投与される。両方の試験薬物が与えられる日には、ニボルマブが最初に与えられ、続いてニボルマブの60分間注入完了の30分以内にリリルマブが与えられる。各処置サイクルに続いて、試験治療法の追加的なサイクルにより被験体を処置するための決定が、腫瘍評価に基づいて為される(評価は、49および56日目の間に行われ、次のサイクルにおける第1の用量の前に完了した)。被験体管理に関係する処置決定は、免疫関連(ir)の応答判断基準、irRECISTに排他的に基づく(Wolchok JDら、Clin Cancer Res 2009年;15巻:7412〜7420頁)。所定のサイクルの終わりにirPD未確認、irSD、irPRまたはirCR未確認の全体応答を有する被験体は、次の処置サイクルへと続く。被験体は、一般に、次のいずれかが最初に発生するまで試験治療法を続けさせられる:1)irCR確認の達成、2)最大サイクル数の完了、3)ir−PD確認を有する、4)処置によるさらなる利益の可能性が低いことを示唆する臨床悪化、5)治療法に対する不耐容性、または6)被験体が、試験治療法の中断のための判断基準を満たす。被験体は、30、60および100日目にスケジュールが組まれた来診による臨床経過観察期間に入り、有害事象をモニターする。
【0098】
臨床経過観察期間の完了後に、被験体は、生存経過観察期間に入る。この期間において、3カ月毎の来診または電話による接触が行われて、生存状態を評価する。この期間の持続期間は、試験薬物の第1の用量に続く最大3年間である。試験概略図を
図2に示す。
【0099】
完全寛解であるが、臨床経過観察期間または生存経過観察期間において進行する被験体は、以前に与えた同じ用量および同じスケジュールにおける両方の試験薬物投与に適格である。治療法は、irCR確認が果たされるまで、あるいは1年間の期間続ける。被験体は再度、適格性判断基準を全て満たす必要がある。試験薬物は、責任がある保健機関および倫理委員会によるまたは別の機序による承認を必要とするロールオーバー試験である試験の延長により提供される。
【0100】
スクリーニング期間は、最大28日間持続する。処置期間は、最大2年間持続する。臨床経過観察期間は、100日間持続する。生存経過観察期間は、試験薬物の第1の用量に続く最大3年間持続する。いずれか個々の被験体の試験における合計時間は、3.1年間を超えない。試験の合計持続期間は、最初の被験体の最初の来診から、登録された最後の被験体の必要とされる生存経過観察までが、4.5年間である。
【0101】
3.用量漸増
6+3設計を使用して、ニボルマブと組み合わせて与えたリリルマブの安全性を評価する。用量漸増における投薬量は、下表1に提示する。
【0102】
【表1】
【0103】
用量規制毒性(DLT)観察期間は、8週間持続する(サイクル1)。各用量レベルで6名の被験体を処置し、最初の6名の被験体において2名の用量規制毒性が観察される場合、最大9名の被験体に拡大する。6名の被験体のコホートにおいて0または1名のDLTが生じる場合、次のより高用量レベルにおいて6名の被験体の新たなコホートを処置する。6名のうち2名のDLTが生じる場合、該コホートは、9名の被験体まで拡大される。6名のうち3名以上または9名のうち3名以上の被験体が、コホート内でDLTを経験する場合、該用量レベルは、最大耐用量(MTD)を超えたと決定される。コホート4までMTDに達しなかった場合、3mg/kgのニボルマブと組み合わせて与えた6mg/kgのリリルマブおよび10mg/kgのBMS 986015における追加的なコホートは、用量漸増において集まった安全性経験に基づき考慮される。
【0104】
用量漸増において出現する安全性シグナルをさらに探索するため、合計最大12名の被験体がいずれかの用量レベルに回される。追加的な登録は、コホートにおける用量レベルが評価され、用量漸増の安全が宣言された場合のみに認可される。用量レベルにおいて登録した初期の6〜9名の被験体におけるDLTのみを、用量漸増において公式に評価し、その後MTDを決定する。しかし、コホート拡大のための用量選択において、全処置被験体から得た安全性データが考慮される。
【0105】
被験体内用量漸増または低下は許可されない。DLT以外の理由によりDLT期間において試験を中止する被験体は、同じ用量レベル内で置き換えられる。安全性の見込みから用量漸増を決定する目的のため、8週間の観察期間を通して4回のスケジュールされたニボルマブ用量のうち3回を与え、投与されなかった1回の用量が非医学的理由に続発する場合に限り、被験体は評価可能と考慮される。
【0106】
用量漸増は、サイクル1において経験した用量規制毒性(DLT)の数に基づく。各用量レベルにおける初期の6名の被験体は、PDマーカーの末梢血評価を行う。
【0107】
あらゆる利用できる臨床および検査データ、ならびに用量漸増において観察されるDLTの性質、発病の時間および回復までの時間を審査して、必要に応じて代替用量スケジュールを試験するべきか決定する。同意があれば、プロトコール修正により代替スケジュールが同定される。
【0108】
4.コホート拡大
コホート拡大の目的は、リリルマブおよびニボルマブの組合せに関する追加的な安全性、耐容性、予備的有効性および薬力学的情報を集めることである。検査した全用量の安全性プロファイルが特徴付けられ、リリルマブおよびニボルマブの併用投与のMTDが定義されたら、MTD、最大投与用量(MAD)または交代用量においてコホート拡大を開始する。6種の拡大コホートは、下表2に示す腫瘍型に制限される。
【0109】
【表2】
【0110】
コホート拡大における毒性事象の継続的評価は、拡大コホートにおける登録を通じて行われる。DLTの割合が、33%を超える場合、この知見を議論し、さらなる登録を止める。毒性のために拡大コホートが中断される場合、以前に検査されたより低用量レベルにおいて新たなコホートが開始される。
【0111】
コホート拡大における毒性事象の継続的評価は、拡大コホートにおける登録を通じて行われる。DLTの割合が、33%を超える場合、この知見を議論し、さらなる登録を止める。毒性のために拡大コホートが中断される場合、以前に検査されたより低用量レベルにおいて新たなコホートが開始される。
【0112】
5.処置
試験処置は、ニボルマブおよびリリルマブを含む。表1は、パネル毎に使用される用量レベルを示す。拡大コホートは、最高検査用量またはスポンサーによって選択される異なる用量レベルにおいて処置される。リリルマブおよびニボルマブの両方が投与される処置来診のため、先ずニボルマブが投与され、続いてニボルマブ注入の完了後30分以内にリリルマブが投与される。
【0113】
6.用量規制毒性
リリルマブは、ニボルマブに関連する以前に記載された有害事象の頻度および重症度を増大化する、あるいは新たな毒性を発症する潜在力を有する。用量規制毒性(DLT)は、試験薬物に関係し、試験薬物開始の56日(8週間、サイクル1の完了による)以内に起こる有害事象の発生率、強度および持続期間に基づき決定される。有害事象の重症度は、NCI CTCAEv4に従ってグレード分類される。肝臓、非血液学的および血液学的DLTは、下に概要を述べる通り、別々に定義される。
【0114】
次の事象のいずれも、肝臓DLTと考慮される:
・ALTまたはAST>8×ULN、持続期間にかかわらない
・ALTまたはAST>5×かつ≦8×ULN、医療介入にもかかわらず5日以内にグレード1以下に戻ることができない
・グレード3総ビリルビン
・ALTまたはAST>3×ULNおよび同時発生的総ビリルビン>2×ULN 。
【0115】
次の事象のいずれも、非血液学的DLTと考慮される:
・全身性処置を必要とするグレード2眼痛または視力低下
・局所的治療法に応答せず、局所的治療法開始の2週間以内にグレード1に改善しないグレード2眼痛または視力低下
・次の例外を有するグレード3非肝臓または非血液学的毒性: 。
【0116】
次のグレード3非血液学的事象は、DLTと考慮すべきではない:
・72時間未満持続し、臨床的に合併されず、自発的に回復するまたは従来の医療介入に応答するグレード3電解質異常
・膵炎の臨床的またはX線検査的証拠を伴わないアミラーゼまたはリパーゼのグレード3増加
・48時間未満持続し、自発的に、あるいは従来の医療介入によりグレード1以下に回復するグレード3悪心または嘔吐
・72時間未満持続し、血行動態の悪化(低血圧または終末器官灌流機能障害の臨床的もしくは検査上の証拠を含む)を伴わないグレード3発熱
・ホルモン補充によって十分に制御されるグレード3内分泌疾患
・グレード3腫瘍フレア(公知のまたは疑われる腫瘍の部位に局在化する疼痛、過敏または発疹として定義)
・グレード3疲労
・6時間未満でグレード1に戻るグレード3輸注反応 。
【0117】
次の事象のいずれも、血液学的DLTと考慮される:
・5日間よりも長く持続するグレード4好中球減少症
・グレード4血小板減少症
・臨床に有意な出血を伴うグレード3血小板減少症
・48時間よりも長く持続するグレード3発熱性好中球減少症
・グレード3溶血 。
【0118】
7.用量改変のための指針
個々の用量レベルにおける拡張された安全性および有効性のより優れた評価を可能にするために、リリルマブおよびBMS−986558の被験体内用量漸増または低下は、本試験において認可されない。
【0119】
DLTを経験する被験体は、毒性の回復まで治療法を維持する必要がある。有害事象が、28日以内に重症度においてグレード1以下またはベースラインまで回復する場合、治療法は、両方の試験薬物に関して同じ用量において再開する。毒性が、28日後に回復する場合、治験責任医師は、被験体が、臨床的利点を得ており、被験体が、試験薬物の再開に適格であると考える。続いて被験体が、その後にDLTを経験し、これも同様に回復し、治験責任医師が、被験体が臨床的利点を得ていると考え続ける場合、被験体は、試験薬物の再開に適格である。
【0120】
被験体は、次の場合、両方の試験薬物を恒久的に中断することを要求される:
・いずれかのグレード4有害事象、ただし次を例外とする:≦72時間で回復するグレード4電解質異常、持続期間≦5日間のグレード4好中球減少症または持続期間≦5日間のグレード4リンパ球減少症。
【0121】
臨床リスクを伴ういずれかの有害事象は、ケースバイケースで評価されて、回復後に治療法を続けること、対、治療法を恒久的に中断することのリスクおよび利益を決定する。回復後に治療法を続けることのリスクを上回る利益の見込みを示唆する個体の病歴および臨床経過の要素が存在しない限り、中枢神経系、眼、肝臓または肺に関与する高グレード事象は、通常、恒久的中断を要求する。
【0122】
8.安全性評価
有害事象は、試験の最中および最後の処置後100日間、継続的に評価される。有害事象は、MedDRAの最新版を使用してコード化され、潜在的有意性および重要性に関して審査される。有害事象は、NCI CTCAEバージョン4.0に従って評価される。被験体は、あらゆる処置関連の有害事象がベースラインに戻るまで、あるいは治験責任医師によって不可逆的であると考慮されるまで追跡する必要がある。
【0123】
9.有効性評価
必要に応じてコンピュータ断層撮影(CT)および/または磁気共鳴画像法(MRI)による疾患評価は、ベースラインにおいて、および疾患進行確認まで、経過観察完了時までまたは被験体が試験を中止するまで8週間毎に行われる。治験責任医師が、腫瘍進行について懸念する場合、他の時点において疾患評価が行われる。腫瘍応答は、RECIST v1.1(Eisenhauer EA、Eur J Cancer 2009年;45巻:228〜247頁)および免疫関連の応答判断基準、irRECIST(Wolchok JDら、Clin Cancer Res 2009年;15巻:7412〜7420頁)によって定義される通り、被験体の適切な集団に対して決定される。被験体管理に関係する処置決定は、irRECIST判断基準に排他的に基づく。走査および測定値は中央に収集されて、より最新の日付においてまたは試験におけるいずれかの時点においてirRECISTおよび/またはRECIST v1.1判断基準を使用して、独立した放射線科医によって審査される。
【0124】
腫瘍測定値および腫瘍応答の変化は、irRECIST判断基準を使用して、治験責任医師によって評価される。治験責任医師は、試験中に出現する新たな病変の数およびサイズも報告する。時点腫瘍評価は、irRECIST判断基準を使用した治験責任医師の評価に基づきCRFにおいて報告される。加えて、RECIST v1.1時点評価は、プログラムにより得られる。
【0125】
10.探索的有効性評価
全生存データは、試験薬物処置の開始から最大3年間収集される。リリルマブおよび/またはニボルマブPK評価のための血清試料は、用量漸増およびコホート拡大の両方における全被験体のために収集される。リリルマブの薬物動態は、血清中濃度対時間から得られる。評価された薬物動態パラメータは、次のものを含む:
【0126】
【化4】
【0127】
個々の被験体薬物動態パラメータ値は、検証された薬物動態解析プログラムによるノンコンパートメント方法によって得られる。実時間は、解析に使用される。加えて、ニボルマブの注入終了およびトラフ(Cmin)濃度は、指定の来診時に計算する。
【0128】
血清試料を、検証されたイムノアッセイによりリリルマブおよびニボルマブに関して解析する。その上、直交性生化学分析方法(例えば、LC/MS−MS)による潜在的な探索的薬物動態解析のために、試料を預ける。
【0129】
11.探索的バイオマーカー評価
末梢血からバイオマーカーを定量化することにより、組み合わせたリリルマブおよびニボルマブの薬力学を評価する。
【0130】
12.用量漸増における患者の評価
NK細胞およびT細胞機能評価ならびにKIR占有率:処置前および処置中のPBMCを使用して、代替標的細胞との共培養アッセイにおけるフローサイトメトリーを使用したCD107aおよび細胞内INFγ発現によって測定される、KIR占有率(リリルマブの標的)およびNK細胞機能間の関係性を調査する。具体的には、PBMCからNK細胞を単離し、過剰なリリルマブの存在下で標的細胞(HLAクラスI陽性およびHLAクラスI陰性)と共培養して、用量、用量後の時間、KIR占有率の程度およびリリルマブの循環レベル(PK)の関数として、KIR陽性細胞からNK細胞溶解活性の誘導を評価する。KIR占有率または循環リリルマブレベルとNK細胞機能の間の関係性の理解は、最適薬物投薬量および/または他のバイオマーカーの評価タイミングの確立において重要である。PBMCは、フローサイトメトリーを使用して細胞内INFγ発現によって測定される、T細胞機能におけるリリルマブおよびニボルマブの効果の調査にも使用される。具体的には、T細胞サブセットを抗CD3でコーティングされたプレートにおいてインキュベートして、用量、用量後の時間ならびにリリルマブおよびニボルマブの循環レベル(PK)の関数としてT細胞活性化を評価する。T細胞活性化ならびにリリルマブおよびニボルマブレベルの様々な用量組合せの間の関係性の理解は、最適薬物投薬量および/または他のバイオマーカーの評価タイミングの確立において重要である。これらの試験は、各用量コホートにおける最初の6名の被験体において行われる。
【0131】
NK細胞およびT細胞サブセットの免疫表現型決定:末梢血試料からリンパ球サブセットの相対的比率を評価する。その上、PBMCを使用して、多染色フローサイトメトリーにより、NK細胞およびT細胞サブセットにおける阻害および活性化の特異的マーカーを特徴付け、定量化する。Treg細胞の免疫表現型決定として、HLA−DR、CD3、CD4、FoxP3、PD−L1、PD−1、LAG−3、ICOSおよびCD25が挙げられるがこれらに限定されない。メモリー/エフェクターT細胞の免疫表現型決定として、CCR7、CD45RA、CD27、CD28、CD3、CD4、CD8、Ki67、HLA−DR、PD−L1、PD−1、CTLA4およびICOSが挙げられるがこれらに限定されない。NK細胞免疫表現型決定として、CD56、CD3、CD16、CD54、CD94、KIR、NKG2D、NKp30、NKp46、IL−21R、Ki67、CD25およびグランザイムBが挙げられるがこれらに限定されない。
【0132】
可溶性因子の免疫モジュレーション解析:ELISAまたはマルチプレックスアッセイが挙げられるがこれらに限定されない技法により、ケモカイン、サイトカインおよび他の免疫メディエータの処置前および処置中の血清レベルを評価する。分析物は、IFN−γ、可溶性NKG2Dリガンド(すなわち、可溶性MICA)およびsCD25等、免疫活性化、モジュレーションまたは炎症のマーカーを含む。
【0133】
NK細胞におけるKIRの発現:KIR陽性発現細胞の絶対計数は、処置前および処置中に収集された末梢血試料から決定される。フローサイトメトリーを使用して、パーセント陽性KIR発現細胞(KIR2DL1/2/3)を評価するだけではなく、KIR発現量の定量化も行う。
【0134】
13.コホート拡大における患者の評価
処置前にコホート拡大における全被験体から血液試料を得て、KIRおよびHLA遺伝子型の決定のためにDNAを単離する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して遺伝子型を定義し、次にこれを、ニボルマブと組み合わせたリリルマブによる臨床成績と相関させる。
【0135】
14.腫瘍生検を受けている被験体の評価
腫瘍/正常ペアを得るために、腫瘍生検に同意した全被験体の血液を得る。メラノーマコホート拡大における最小で10名の被験体において処置前および処置中に(16週目の終わりに)腫瘍生検を得る。いずれかの理由により、被験体が、処置中生検を受けることができない場合、第1の試料は、ペア化した処置前および処置中試料による10名の被験体の要件の一部として含まれない。被験体は、可能であれば、処置後生検を受ける機会を提供される。他のあらゆる被験体も、腫瘍生検を受ける機会を提供される。腫瘍試料を使用して、治療法の前、最中およびおそらく後に存在する特異的腫瘍浸潤性リンパ球集団(NK細胞、Treg細胞、CTL)を評価して、潜在的作用機序を評価するおよび応答の潜在的バイオマーカーとして評価する。腫瘍検体におけるKIRの腫瘍関連リンパ球発現も探索されている。加えて、IHCにより腫瘍発現タンパク質(すなわち、PD−L1およびHLAクラスI)を評価して、リリルマブおよびニボルマブの組合せに対する臨床応答または薬力学的効果との可能な関連を決定する。許容される含量の組織が収集された場合、可能な将来的な遺伝子発現解析のために、処置前および処置中に収集した腫瘍生検から得た切片を凍結保存する。対象とする遺伝子として、PD−1、PD−L1、KIRおよびLAG−3が挙げられるがこれらに限定されない。同じ被験体からの末梢血/血清試料および腫瘍組織(腫瘍生検の数が限定されるが)の同時収集が、KIRおよびPD−1の組み合わせた遮断に起因する薬力学的事象の理解および相関付けならびに潜在的機序または臨床成績の通知を助けるために必要とされる。
【0136】
メラノーマ拡大コホートにおける最小で10名の被験体は、コア針(最小サイズ16ゲージ)による反復的な生検(処置前、処置中およびおそらく処置後生検)を受けるために十分なほど大型の少なくとも1個の病変を有する、あるいはコア針または切除生検に適格な少なくとも2個の別個の病変を有する必要がある。これらの病変は、以前に放射線療法を受けた被験体の唯一の標的病変または部位であってはならない。他のあらゆる拡大コホートにおける被験体は、許容される臨床リスクと考慮される場合、生検を受ける機会を与えられる。コア針の長さは、5mmよりも長い。各時点において少なくとも2個のコア生検を採取するべきである;しかし、治験責任医師によって臨床的に安全と考慮される場合、追加的なコアの収集が強く奨励される。パンチおよび切除生検も許容される。理想的な最小腫瘍体積は、150mm
3である。適切な組織収集および生検の質を確認するために、腫瘍生検時における病理的確認が強く奨励される。収集した全生検は、検体と共に詳細な病理学報告を提出する必要がある。これらの検体の取得、加工、標識、取り扱い、貯蔵および発送の詳細な説明書は、試験開始時における別々の手順マニュアルに提示されている。そのスクリーニング生検が不適切な組織含量または質を生じる被験体は、試験を続けることが許可される。これらの被験体は、処置前生検を有する10名の被験体を得るために置き換えられる。被験体が、処置に対する応答を有する場合、処置中および処置後生検は不可能である。
【0137】
15.免疫原性評価
ADA発症の解析のための血清試料は、リリルマブおよびニボルマブ血清中濃度の解析と併せて採取し、投薬前に、サイクル1の1、15および29日目に、サイクル2の29日目に、サイクル3の1日目に、処置終了時にならびに全3回の臨床経過観察来診時に全被験体から収集する。これらの血清試料は、検証されたイムノアッセイによりADAに関して解析する。その上、直交性生化学分析方法による潜在的探索的免疫原性解析(例えば、薬物−ADA免疫複合体の解析)のために、リリルマブおよびニボルマブ試料を預ける。
【0138】
16.有害事象
有害事象(AE)は、治験調査(医薬)産物を投与した臨床治験調査被験体における、いずれかの新たな都合悪い医学的発生または既存の病状の増悪として定義され、これは、必ずしもこの処置と因果関係を持つとは限らない。したがって、AEは、治験調査産物に関係すると考慮されるか否かにかかわらず、治験調査産物の使用と時間的に関連する、いずれかの好ましくないかつ意図されない徴候(異常検査所見等)、症状または疾患となり得る。
【0139】
薬物を試験するための因果関係は、医師によって決定され、あらゆる有害事象(AE)の評価に使用されるべきである。因果(casual)関係は、次のうち1種となり得る:
関係する:試験薬物投与とAEとの間に合理的な因果関係が存在する。
関係しない:試験薬物投与とAEとの間に合理的な因果関係が存在しない。
【0140】
用語「合理的な因果関係」は、因果関係を示唆する証拠が存在することを意味する。
【0141】
有害事象は、自由回答形式の質問、試験または被験体の評価において自発的に報告または引き出すことができる(報告バイアスを防止するために、被験体に、1種または複数のAEの特異的な発生に関して質問するべきではない)。
【0142】
重篤有害事象(SAE)は、いずれかの用量において、
・死亡させる、
・生命に関わる(事象の時点において被験体が死亡リスクを有する事象として定義;これは、仮説的により重症の場合死亡原因となり得た事象を指さない)、
・入院患者の入院を必要とする、あるいは現在の入院の延長の原因となる、
・持続性または有意な能力障害/無能を生じる、
・先天性異常/出生時欠損である、
・重要な医学的事象(直ちに生命に関わるまたは死亡または入院させる訳ではないが、適切な医学的および科学的判断に基づき、被験体を危険にさらす、あるいは上の定義に示されている他の重篤な成績のうち1種を防止するために介入[例えば、医学的、外科的]を必要とする医学的事象(複数可)として定義)である(かかる事象の例として、アレルギー性気管支痙攣のための救急治療室または在宅における集中的処置;入院を生じない血液疾患または痙攣が挙げられるがこれらに限定されない。潜在的な薬物性肝障害(DILI)も、重要な医学的事象と考慮される)、
いずれかの都合悪い医学的発生である。
【0143】
試験薬物を介した感染性因子(例えば、病原体または非病原体)の伝播の疑いは、SAEである。妊娠、過量投与、がんおよび潜在的薬物性肝障害(DILI)は、規制の定義により必ずしも重篤とは限らないが、これらの事象は、SAEとして取り扱われる。試験治療法に関係すると考慮される試験エンドポイントのいずれかの構成成分(例えば、死亡はエンドポイントであり、アナフィラキシーにより死亡が起こる場合、アナフィラキシーが報告される)は、SAEとして報告されるべきである。
【0144】
次の入院は、SAEと考慮されない:
− 入院を生じない救急治療室または他の病院部門への来診<24時間(重要な医学的または生命に関わる事象と考慮されない場合に限る)、
− 同意にサインする前に計画されていた待機的手術、
− 計画された医学的/外科的手技のプロトコール通りの入院
− 健康状態のベースライン/傾向調査のための、入院を必要とするルーチンの健康評価(例えば、ルーチンの結腸内視鏡検査)、
− 試験エントリー前に計画された、病的健康状態の治療以外の医学的/外科的入院。この場合、適切な文書化が必要とされる、
− 健康状態に関係がなく、医学的/外科的介入を必要としない、別の生活環境が原因の入院(例えば、住居の欠如、経済的不足、介護士の休息、家庭環境、行政)。
【0145】
試験に参加するための被験体の書面による同意に従い、試験薬物に関係するにしろ関係しないにしろ、プロトコール指定の手順に関連すると考えられるSAEを含む、あらゆるSAEが収集される。スクリーニング期間および投薬中断の100日以内に生じるあらゆるSAEが収集される。適用可能であれば、いずれかのその後のプロトコール指定の手順(例えば、経過観察皮膚生検)に関係するSAEが収集される。治験責任医師は、試験薬物またはプロトコール指定の手順に関係すると考えられる、この期間の後に生じるいかなるSAEも報告するべきである。その重篤性状態に関する疑いが存在するいかなる事象のためにも、SAE報告は完了するべきである。治験責任医師が、SAEが、試験薬物に関係しないが、試験の条件(以前の治療法の中止または試験手順の複雑さ等)に関係する可能性があると考える場合、関係性は、SAE報告書の説明形式のセクションにおいて特定化されるべきである。試験薬物に関係するにしろ関係しないにしろSAEおよび妊娠は、24時間以内に報告される。
【0146】
非重篤AE情報の収集は、試験薬物開始時に始めるべきである。非重篤AE情報は、プラセボリードイン期間または被験体のベースライン状態の確立が企図される他の観察期間の開始からも収集するべきである。
【0147】
非重篤AEは、回復または安定化まで追跡するべきである、あるいは重篤になったらSAEとして報告するべきである。経過観察は、非重篤AEにも必要とされ、これにより、試験薬物を止めるまたは中断し、必要に応じて、試験処置の終わりに存在するものにも必要とされる。あらゆる同定された非重篤AEは、CRF(書面または電子版)の非重篤AE頁に記録および記載される。補足的CRFの完了は、試験の経過において報告/同定されるAEおよび/または検査上の異常に要求される。
【0148】
17.統計学的考察
用量漸増:これは、第1相用量漸増治験であるため、各用量における試料サイズは、観察された毒性の数に依存するため正確に決定することができない。各用量レベルにおける用量漸増においておよそ6〜9名の間の被験体を処置し、選択された用量レベルにおいて最大12名の被験体に投薬する。6+3設計の使用は、各用量における6名の被験体が、試験されるバイオマーカーの潜在的薬力学的効果に関するシグナルを評価されることを確実にする。
【0149】
コホート拡大:コホート拡大において、6種の腫瘍型のそれぞれにおいておよそ16名の被験体を登録し、以前に決定されたMTD、MADまたは代替用量において処置する。拡大コホートにおいて、2(12.5%)、3(18.8%)または4(25%)名の応答が観察される場合、奏効率の90%片側信頼区間の下限は、それぞれ3.4%、7.1%および11.4%である。加えて、80%信頼区間が、奏効率のために11%を完全に上回るためには、16名の被験体において4名の応答が観察される必要がある。これらの計算は、正確な信頼区間のためのClopper−Pearson方法に基づく。加えて、腫瘍型/拡大コホートにおける真の奏効率(ORR)が、15%である場合、16名の患者による各コホートにおいて、少なくとも2名の応答を観察する72%の機会があり、少なくとも3名の応答を観察する44%の機会があり、0または1名の応答を観察する28%の機会がある(偽陰性率)。腫瘍型における真のORRが、15%ではなく5%である場合、16名の被験体において少なくとも2または少なくとも3名の応答が存在する19%および4%の機会がそれぞれある(偽陽性率)。
【0150】
解析のための集団:
・全登録データセット:インフォームドコンセントにサインし、試験に記録された被験体。
・全処置データセット:いずれかの試験薬物の少なくとも1用量を与えた全被験体。
・応答評価可能データセット:いずれかの試験薬物を与えた、測定可能な疾患によるベースライン腫瘍評価および次のうち1種を有する全処置被験体:
− 少なくとも1種の評価可能な処置中腫瘍評価、
− 臨床進行、または
− 第1の処置中腫瘍評価の前の死亡。
・リリルマブ薬物動態データセット:少なくとも1用量のリリルマブを与えた、リリルマブPKの適切な血清中濃度データを有する全被験体。
・ニボルマブ薬物動態データセット:少なくとも1用量のニボルマブを与えた、適切なニボルマブPKを有する全被験体。
・リリルマブ免疫原性データセット:少なくとも1用量のリリルマブを与えた、利用できる少なくとも1種のADA試料を有する全被験体。
・ニボルマブ免疫原性データセット:少なくとも1用量のニボルマブを与えた、利用できる少なくとも1種のADA試料を有する全被験体。
・バイオマーカーデータセット:利用できるバイオマーカーデータを有する全処置被験体。
【0151】
エンドポイント定義:安全性は、この第1相試験における主要エンドポイントである。少なくとも1用量のリリルマブまたはニボルマブを与えた全被験体は、有害事象、重篤有害事象、死亡および検査上の異常の発生によって測定される安全性に関して評価され、処置の間中および経過観察における100日間評価される。
【0152】
第1の目的(ニボルマブと組み合わせて与えたリリルマブの安全性および耐容性を評価すること、ならびにこの組合せの用量規制毒性(DLT)および最大耐用量(MTD)を同定すること)は、次の主要エンドポイントにより測定される。
a)有害事象の発生率:1日目から対象の試験薬物の最後の用量の100日後まで、あるいは試験を中断するまで、あらゆる非重篤有害事象を収集する。被験体の書面による同意の日付から投薬中断の100日後まで、あるいは試験中断まで、あらゆる重篤有害事象を収集する。
b)指定の時点において評価される、血液学および血清化学ならびに甲状腺パネル異常を含む臨床検査異常の発生率。
【0153】
評価は、有害事象報告ならびにバイタルサイン測定、心電図(ECG)、身体検査、イメージング試験および臨床検査の結果に基づく。有害事象は、国際医薬用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)の最新版を使用してカテゴリー化される;AEおよび検査の両方は、国立がん研究所(NCI)有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)(CTCAE)v4を使用してグレード分類される。試験薬物治療法を与えた全被験体は、有害事象(AE)および重篤有害事象(SAE)の割合によって測定される安全性に関して評価され、処置の間中および経過観察における100日間評価される。
【0154】
予備的抗腫瘍活性評価の第2の目的は、irRECIST(Wolchok JDら、Clin Cancer Res 2009年;15巻:7412〜7420頁)およびRECIST v1.1(Eisenhauer EA、Eur J Cancer 2009年;45巻:228〜247頁)を使用して記載されるエンドポイントに基づく。患者管理の目的から、臨床決定は、irRECISTに排他的に基づく。したがって、時点腫瘍応答評価は、irRECIST判断基準を使用して治験責任医師の評価に基づきCRFに記録される。統計学的解析および報告は、両方の判断基準に基づく。
【0155】
最良総合効果(BOR)は、RECIST v1.1またはirRECIST判断基準に基づく、確認のためのいずれかの要件を考慮に入れた、試験処置の開始から処置の終了までに記録された最良の応答の命名である。BOR評価に含まれるCRまたはPR決定は、応答のための判断基準を初めて満たしてから少なくとも4週間行われる、応答のための判断基準を満たす継続的な第2の(確証的)評価によって確認される。上述は、処置期間(サイクル1の1日目からサイクル12の56日目)において8週間毎および臨床経過観察期間において1回行われる腫瘍測定に基づき決定される。
【0156】
この目的の評価に使用される試験レベルエンドポイントは、次の通りに定義されている:
奏効率(ORR)は、対象とする集団における被験体の総数で割った、そのBORがCRまたはPRのいずれかである被験体の総数として定義される。
【0157】
CRまたはPRのBORを有する被験体に対してのみ算出される奏功期間(DOR)は、最初の応答の日付と、判断基準(RECIST v1.1またはirRECIST)に基づき客観的に記述される疾患進行または死亡(いずれか先に起きた方)のその後の日付との間の日数として定義される。生き続け、進行していないまたはその後の治療法を与えていない被験体のため、奏功期間は、最後の腫瘍評価の日付において打ち切られる。その後の治療法を与える被験体は、その後の治療法の開始時に打ち切られる。
【0158】
無増悪生存率(PFSR)は、24週間目まで無増悪を維持して生存する被験体の確率として定義される。確率は、試験薬物の第1の用量と、各判断基準によって定義される進行性疾患または死亡との間の日数に基づき算出される。生き続け進行していない被験体のため、PFSは、最後の腫瘍評価の日付において打ち切られる。上述は、処置において8週間毎および臨床経過観察期間において計画された時点に行われる腫瘍測定に基づき計算される。
【0159】
薬物動態(PK):リリルマブ最大濃度Cmax(μg/mL)、最大濃度までにかかる時間Tmax(時間)、曲線下面積AUCTAU(μg.hr/mL)、曲線下面積AUCinf(μg.hr/mL)、クリアランス(L/日)、分布容積(Vss)、半減期(t1/2)およびトラフ濃度Cmin(μg/mL)は、全試験被験体においてノンコンパートメント解析を使用して評価される。加えて、ニボルマブ注入終了およびトラフ(Cmin)濃度は、指定の来診時に計算される。
【0160】
免疫原性:リリルマブおよびニボルマブに対する特異的な抗薬物抗体の発生は、1、3、5、13、17週間目、処置の終わり、および全3回の臨床経過観察来診における測定から決定される。
【0161】
バイオマーカー:ベースラインおよびベースライン成績からの変化を含む、最小で10名のメラノーマコホート拡大被験体から得た強制的腫瘍生検における免疫組織化学検査を使用した、TIL、PD−L1およびHLAクラスI発現の尺度。
【0162】
探索的エンドポイント(複数可):末梢血から得たバイオマーカーは、KIRおよびHLA遺伝子型、KIR占有率、NKおよびT細胞機能アッセイ、可溶性因子、NK細胞におけるKIR発現の尺度を含むであろう。全生存(OS)は、探索的有効性エンドポイントである。
【0163】
18.解析
人口統計学およびベースライン特徴:性別および人種の度数分布を作表する。年齢、体重および身長の要約統計量を収集し、肥満度指数(BMI)を得る。
【0164】
有効性解析:個々の最良総合効果(BOR)、奏功期間およびPFSは、RECIST v1.1およびirRECIST判断基準を使用してリストアップする。病型および用量によりBOR成績を作表する。奏効率(ORR)およびPFS率(例えば、24週間目)ならびに相当する信頼区間は、腫瘍型および処置によって提示されている。奏功期間、安定病態期間およびPFSは、データ有効性に応じて、病型によりKaplan−Meier方法論によって推定される。24週間目のPFS率は、K−M方法論に基づき同様に推定される。ORR、奏功期間およびPFS解析は、コホート拡大相における被験体ならびに病型および処置によりコホート拡大における被験体とマッチする用量漸増における被験体を含むであろう。経時的な腫瘍負荷の個々の変化は、病型内において図表で提示される。ランドマーク全生存は、腫瘍型毎のKaplan−Meierプロットおよび中央値によって、探索的有効性解析の一部として評価される。
【0165】
安全性解析:あらゆる記録された有害事象は、器官別大分類、優先語および処置によってリストアップおよび作表される。バイタルサインおよび臨床検査結果は、処置によってリストアップおよび要約される。いずれかの有意な身体検査所見および臨床検査結果をリストアップする。ECG読み取り値は、治験責任医師によって評価され、存在するのであれば、異常をリストアップする。
【0166】
薬物動態解析:用量および試験日/週間によりリリルマブの薬物動態パラメータの要約統計量を作表する。抗KIRの用量における依存性を説明するために、CmaxおよびAUC(TAU)対用量の散布図を測定日毎に提示する。ニボルマブと同時投与した場合のリリルマブの用量比例性は、検出力(power)モデルに基づき評価される。ニボルマブ注入終了およびトラフ(Cmin)濃度を要約統計量によって作表する。このデータは、また、別々の報告の一部である集団PK解析のために他のデータセットと共にプールする。
【0167】
バイオマーカー解析:腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)ならびにPD−L1およびHLAクラスIを含む腫瘍マーカーの発現におけるリリルマブの薬力学的効果を要約統計量により評価し、図表により調査して、メラノーマ拡大コホートにおける対象の、例えば薬物曝露による変化のパターンを探索する。加えて、関連を評価するために、末梢血マーカーの尺度とTIL変化および腫瘍マーカー発現との相関を図表により、あるいはデータ有効性に基づく適切な統計学的方法により探索する。
【0168】
探索的バイオマーカー解析:KIR占有率におけるリリルマブの、ならびに末梢血および血清タンパク質におけるマーカーにおけるリリルマブと共に与えたニボルマブの組合せの薬力学的効果を要約統計量により評価し、図表により調査して、経時的な変化のパターンならびに用量レベルおよび曝露の間でパターンが異なる様子を探索する。パターンに経時的な有意義な指標が存在する場合、さらなる解析(例えば、線形混合モデルによる)を行って、関係性を特徴付ける。メラノーマ以外のコホートにおける腫瘍マーカーにおける薬力学的効果は、データ有効性に応じて同様に評価する。末梢血または腫瘍生検から得たバイオマーカー尺度と臨床成績との間の関連も図表により探索し、ロジスティック回帰分析等が挙げられるがこれらに限定されない方法により、必要に応じてさらに評価し、適切な統計学によって特徴付ける。
【0169】
他の解析:あらゆる利用できる免疫原性データのリストを提示する。その上、いずれかの時点において少なくとも1種の陽性抗薬物抗体(ADA)を有する被験体から得た免疫原性データのリストを分析物毎の処置により提示する。少なくとも1種の陽性ADA評価を有する被験体の頻度および陰性ベースライン評価の後にADAを発症した被験体の頻度を提示する。免疫原性と安全性との間の潜在的な関係性を試験するために、特に興味深いAEの頻度および種類を、全体的な免疫原性状態により試験する。リリルマブ(またはニボルマブ)のトラフ濃度と相当するADA評価との間の関連を探索する。
【0170】
中間解析:この試験から出現したデータは、試験のその後のパートにおける手順の調整に関するタイムリーな決定に必要とされる。したがって、データは、試験データベースの最終ロック(lock)の前に審査される。管理上の目的または公開のために追加的な中間解析も行う。解析は、利用できるデータのリスト、概要およびグラフのみからなる。統計学的有意性レベルに対しいずれかの調整を必要とする形式的推理は行わない。中間データに基づく有効性解析は、解析の目的に応じて、評価可能な応答または全処置集団を使用する。
【0171】
【化5-1】
【0172】
【化5-2】
【0173】
【化5-3】
【0174】
【化5-4】
【0175】
【化5-5】
【0176】
【化5-6】