(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の蓄電制御装置、管理システム、蓄電制御方法、蓄電制御プログラム及び記録媒体を、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
蓄電制御装置は、デマンドレスポンス(DR)信号に基づいて、蓄電池の蓄電(充電及び放電)を制御することにより、蓄電池から制御対象機器への電力を制御することができる。
【0011】
図1は、制御システムSYの図である。制御システムSYは、対象建物1に備えられてもよいし、対象建物1以外の所定の位置に備えられてもよい。制御システムSYは、機能ブロックが分散されて備えられてもよい。以下では、制御システムSYは、一例として、対象建物1に備えられているものとして説明を続ける。
【0012】
制御システムSYは、制御対象機器2と、ローカル制御装置3と、管理システム4とを備える。制御対象機器2は、複数でもよい。すなわち、制御システムSYは、制御対象機器2−1〜2−n(nは2以上の整数)を備えてもよい。また、制御システムSYは、ローカル制御装置3を備える。ローカル制御装置3は、複数でもよい。すなわち、制御システムSYは、ローカル制御装置3を、制御対象機器2毎に備えてもよい。
【0013】
制御対象機器2は、供給される電力が制御されることにより、受電量(受電電力量)が制御される対象の機器である。制御対象機器2は、エネルギー消費機器と、エネルギー生産機器と、エネルギー蓄積機器とを有する。エネルギー消費機器は、例えば、熱源機器である。エネルギー生産機器は、例えば、太陽光発電(PV)である。エネルギー蓄積機器は、例えば、蓄電池である。
【0014】
ローカル制御装置3は、管理システム4による制御に基づいて、制御対象機器2に供給される電力を制御する。すなわち、ローカル制御装置3は、管理システム4による制御に基づいて、制御対象機器2に供給される受電量を制御する。
【0015】
管理システム4は、蓄電制御装置300を含むシステムである。蓄電制御装置300は、例えば、サーバ装置である。管理システム4には、デマンドレスポンス信号が入力される。デマンドレスポンス信号には、電力のピークシフト目標情報、及び、電力の抑制指令情報が含まれていてもよい。管理システム4は、デマンドレスポンス信号に基づいて、制御対象機器2の運転スケジュール(起動停止スケジュール)を出力する。また、管理システム4には、天気予報信号が入力される。管理システム4は、天気予報信号に基づいて、制御対象機器2の運転スケジュール(起動停止スケジュール)を出力する。制御対象機器2の運転スケジュールには、蓄電池及び蓄熱装置の運転スケジュール(蓄電蓄熱スケジュール)が含まれていてもよい。
【0016】
図2は、制御対象機器2の図である。制御対象機器2は、蓄電池20と、PV21(太陽光発電システム)と、空冷HP22(空冷ヒートポンプ)と、水冷冷凍機23と、受電電力メータ24と、吸収式冷温水器25と、CGS28(Co-Generation System)(コジェネレーションシステム)とを備える。制御対象機器2は、太陽熱温水器をさらに備えてもよい。
【0017】
また、
図2は、制御対象機器2のエネルギー授受の図である。制御対象機器2は、受電(電力)及びガスをエネルギー源として、対象建物1の電力需要系(エネルギー消費機器)に電力を供給する。受電系から供給された電力は、対象建物1の電力需要系に供給される。また、受電系からの電力は、蓄電池20に充電されてもよい。制御対象機器2は、受電(電力)及びガスをエネルギー源として、対象建物1の熱需要系に冷熱を供給する。
【0018】
PV21により発電された電力は、電力需要系に供給される。また、PV21により発電された電力は、蓄電池20に充電されてもよい。
CGS28により発電された電力は、電力需要系に供給される。また、CGS28により発電された電力は、蓄電池20に充電されてもよい。
【0019】
電力需要系に供給される電力の一部は、空冷HP22及び水冷冷凍機23による冷熱の製造に消費される。
受電電力メータ24は、受電系から制御対象機器2に供給された電力を示す値を所定時間に積算することにより、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量を検出する。
【0020】
CGS28は、ガス系から供給されたガスにより、温熱を発生させる。また、CGS28は、ガス系から供給されたガスにより、電力を発生させてもよい。
吸収式冷温水器25は、CGS28から供給された温熱(温水)により、冷熱を製造する。
空冷HP22、水冷冷凍機23及び吸収式冷温水器25により製造された冷熱は、対象建物1の熱需要系に供給される。
【0021】
図3は、管理システム4の図である。管理システム4は、デマンドレスポンス受信部101と、監視部102と、デマンドレスポンス定式化部103と、プロセス値受信部104と、最適スケジューリング部105と、予測部106と、天気予報受信部107と、機器指令値送信部108と、承認部109と、デマンドレスポンス対応判定部110と、運転データベース部201と、蓄電制御装置300とを備える。
【0022】
運転データベース部201は、デマンドレスポンス信号に基づく受電量の指令値(計画値)を記憶する。また、運転データベース部201は、データベース部202を有する。データベース部202は、需要運転スケジュールデータベース部202aと、DR運転スケジュールデータベース部202bとを有する。
【0023】
以下、監視部102と、最適スケジューリング部105と、予測部106と、承認部109と、デマンドレスポンス対応判定部110と、データベース部202とを、まとめて、「デマンドレスポンス対応型最適運転部100」という。
【0024】
図4は、管理システム4の図である。デマンドレスポンス受信部101は、デマンドレスポンス信号を受信し、受信したデマンドレスポンス信号を、デマンドレスポンス対応判定部110及びデマンドレスポンス定式化部103に転送する。
【0025】
デマンドレスポンス定式化部103は、デマンドレスポンス受信部101から転送されたデマンドレスポンス信号を定式化する。デマンドレスポンス定式化部103は、定式化されたデマンドレスポンス信号を示す数式に基づいて、インセンティブ情報及びベースライン情報を、最適スケジューリング部105に転送する。ここで、ベースライン情報は、所定の時間帯における受電量の指令値(計画値)を示す情報である。また、インセンティブ情報は、所定の時間帯における受電量のベースラインからの削減量に対して、需要家に支払われるインセンティブ(例えば、受領額)を示す情報である。
【0026】
デマンドレスポンス対応判定部110には、現在時刻情報が入力される。また、デマンドレスポンス対応判定部110には、デマンドレスポンス信号が、デマンドレスポンス受信部101から入力される。デマンドレスポンス対応判定部110は、デマンドレスポンス信号が入力された場合、デマンドレスポンスに対応した動作を実行するか否かを、現在時刻に基づいて、定周期で判定する。
【0027】
以下、デマンドレスポンスに対応した動作を実行する時間帯を、「デマンドレスポンス時間帯(DR時間帯)」という。デマンドレスポンス対応判定部110は、デマンドレスポンスに対応した動作を実行すると判定した場合、デマンドレスポンス・トリガ信号を、監視部102、最適スケジューリング部105及び予測部106に出力する。
【0028】
デマンドレスポンス・トリガ信号は、デマンドレスポンスに対応した動作を制御対象機器2に実行させるためのトリガ信号である。より具体的には、デマンドレスポンス・トリガ信号は、デマンドレスポンスに対応した運転スケジュール(以下、「DR運転スケジュール」という。)を、最適スケジューリング部105に生成(立案)させるためのトリガ信号である。
【0029】
プロセス値受信部104は、プロセス値、すなわち、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量、対象建物1の電力需要量及び熱需要量を、定周期で収集する。
監視部102は、予測部106及び最適スケジューリング部105に監視トリガ信号を出力するか否かを、プロセス値受信部104により収集されたプロセス値に基づいて、定周期で判定する。
【0030】
天気予報受信部107は、天気予報信号を受信する。天気予報信号には、例えば、時間帯毎の気温の予報を示す情報が含まれていてもよい。
予測部106は、監視トリガ信号が監視部102から入力された場合、天気予報信号に基づいて、対象建物1の電力需要量及び熱需要量を予測する。
【0031】
最適スケジューリング部105には、予測された電力需要量及び熱需要量が、予測部106から入力される。最適スケジューリング部105は、所定時間(所定期間)における制御対象機器2の需要運転スケジュール情報を生成し、生成した需要運転スケジュール情報を、需要運転スケジュールデータベース部202aに記憶させる。需要運転スケジュール情報には、例えば、電力需要量及び熱需要量を満たすための制御対象機器2の運転スケジュール(起動停止スケジュール)情報が含まれてもよい。
【0032】
最適スケジューリング部105には、デマンドレスポンス・トリガ信号が、デマンドレスポンス対応判定部110から入力される。最適スケジューリング部105は、所定時間(所定期間)における制御対象機器2のDR運転スケジュールを示す情報を生成し、生成したDR運転スケジュールを示す情報を、DR運転スケジュールデータベース部202bに記憶させる。
【0033】
承認部109は、需要運転スケジュール又はDR運転スケジュールを、所定の条件に基づいて選択して承認する。承認部109は、需要運転スケジュールを承認した場合、承認した需要運転スケジュールを示す情報を、需要運転スケジュールデータベース部202aから取得して、機器指令値送信部108に転送する。承認した需要運転スケジュールを示す情報は、受電量の指令値として、機器指令値送信部108から制御対象機器2(例えば、エネルギー消費機器)に送信される。
【0034】
また、承認部109は、DR運転スケジュールを承認した場合、承認したDR運転スケジュールを示す情報を、DR運転スケジュールデータベース部202bから取得して、機器指令値送信部108に転送する。承認したDR運転スケジュールを示す情報は、受電量の指令値として、機器指令値送信部108から制御対象機器2(例えば、エネルギー消費機器)に送信されてもよい。また、承認部109は、画像信号を表示部400に出力する。この画像信号は、承認した需要運転スケジュール又はDR運転スケジュールを示す画像信号である。
【0035】
機器指令値送信部108は、需要運転スケジュールを示す情報が承認部109から入力された場合、需要運転スケジュールを示す情報を、受電量の指令値として、制御対象機器2に送信する。機器指令値送信部108は、DR運転スケジュールを示す情報が承認部109から入力された場合、DR運転スケジュールを示す情報を、受電量の指令値として、制御対象機器2に送信する。
【0036】
表示部400は、承認部109から出力された画像信号に基づいて、画像を表示する。この画像信号は、承認部109が承認した需要運転スケジュール又はDR運転スケジュールを示す画像信号でもよい。この画像信号に基づく画像については、
図9を用いて後述する。
【0037】
次に、DR運転スケジュールの生成例を説明する。
デマンドレスポンス信号がPTR(Peak Time Rebate)である場合、所定の時間帯における受電量のベースラインからの削減量に対して、需要家にインセンティブが支払われる。この場合、デマンドレスポンス信号には、時間帯別電力料金と、時間帯別インセンティブと、時間帯別ベースラインとが含まれる。
【0038】
デマンドレスポンス定式化部103は、省エネ、省コスト及び省CO2(二酸化炭素)などを実現するためのDR運転スケジュール(運転計画)を生成する。例えば、省コストを実現するためのDR運転スケジュールを生成する場合、デマンドレスポンス定式化部103は、式(1)により表される目的関数Cを最小化するように、運転スケジュールを生成すればよい。
【0039】
C=Σ{k
i×L
i−m
i×(L
i−B
i)+n
i×P
i} …(1)
【0040】
ここで、Cは、運転期間中のコストを示す。iは、1日を24等分した時間帯を示す符号であり、0時からの経過時間に応じた1〜24のいずれかを示す。k
iは、時間帯iにおける電力料金(受電単価)を示す。L
iは、時間帯iにおける受電量を示す。m
iは、時間帯iにおけるインセンティブ(金額など)を示す。B
iは、時間帯iにおけるベースラインを示す。n
iは、時間帯iにおけるガス料金を示す。P
iは、時間帯iにおけるガス消費量を示す。
【0041】
受電量の削減可能量L
iは、式(2)により表される。
【0043】
ここで、S
iは、時間帯別の受電量の削減可能量である。D
iは、時間帯別の受電量を示す。
【0044】
最適スケジューリング部105は、式(1)により表される目的関数Cを最小化する最適化問題を解く。この最適化問題を解くには、様々な方法が用いられてよい。例えば、最適スケジューリング部105は、天気予報信号に基づいて予測された電力需要量及び熱需要量に基づいて、時間帯別の受電量D
iを算出することにより、最適化問題を解いてもよい。
【0045】
次に、蓄電制御装置300(
図3を参照)について説明する。
図5は、蓄電制御装置300の図である。蓄電制御装置300は、ホールド部301と、演算部302と、蓄電池出力指令値作成部303と、記憶部304とを有する。記憶部304は、非一時的な記録媒体で構成することができる。記憶部304は、
図5に示すように蓄電制御装置300の内部に備えられてもよい。また、記憶部304は、蓄電制御装置300の外部に備えられてもよい。ホールド部301と、演算部302と、蓄電池出力指令値作成部303との一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、記憶部304に記憶されたプログラムを実行することにより機能するソフトウェア機能部である。これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部であってもよい。
【0046】
ホールド部301は、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量(現在値)を、受電電力メータ24からローカル制御装置3(通信システム)を介して受信する。以下、デマンドレスポンス信号に基づく受電量の指令値が定められている時刻を、「ホールド時刻」という。ホールド時刻は、例えば、毎時0分又は毎時30分でもよい。
【0047】
ホールド部301は、現在時刻がホールド時刻(毎時0分又は毎時30分)である場合、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量(現在値)を保持する。つまり、ホールド部301は、現在時刻がホールド時刻(毎時0分又は毎時30分)となる毎に、保持した受電量を更新する。ホールド部301は、保持した受電量の値を、演算部302に出力する。
【0048】
演算部302は、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量(現在値)を、受電電力メータ24からローカル制御装置3(通信システム)を介して受信する。演算部302は、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量(現在値)から、ホールド部301により保持された受電量を減算する。つまり、この減算結果は、所定のT時間(例えば、時刻0分から時刻30分までの0.5時間)に受電系から制御対象機器2に供給された受電量を示す。演算部302は、T時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量を、蓄電池出力指令値作成部303に出力する。
【0049】
蓄電池出力指令値作成部303は、デマンドレスポンス信号に基づく受電量の指令値(計画値)を、運転データベース部201から取得する。つまり、蓄電池出力指令値作成部303は、蓄電池20から電力が供給されるエネルギー消費機器への所定時間毎の受電量の指令値を、運転データベース部201から取得する。
【0050】
蓄電池出力指令値作成部303は、T時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量を、演算部302から取得する。蓄電池出力指令値作成部303は、T時間に受電系から制御対象機器2に供給される受電量の指令値に基づいて、T時間よりも短い時間毎の受電量の制限値を算出する。
【0051】
蓄電池出力指令値作成部303は、受電量の指令値(計画値)を満たすように、受電量の制限値に基づいて、蓄電池20の蓄電(充電及び放電)を、ローカル制御装置3(通信システム)を介して制御する。より具体的には、蓄電池出力指令値作成部303は、蓄電池の出力値を示す信号を、ローカル制御装置3(通信システム)を介して蓄電池20に出力する。
【0052】
蓄電池20は、蓄電池の出力値が正値である場合、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて放電を実行する。一方、蓄電池20は、蓄電池の出力値が負値である場合、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて充電を実行する。
【0053】
図6は、受電量の制限値の図である。横軸は時刻を示す。縦軸は受電量[kWh]を示す。現在時刻における受電量の制限値は、式(3)により表される。
【0054】
受電量の制限値=(T−ΔT)/T×(受電量の指令値) …(3)
【0055】
ここで、Tは、予め定められたホールド時刻の間隔(所定時間)である。以下、Tは、一例として、0.5時間(=30分間)であるものとして説明を続ける。ΔTは、現在時刻から次のホールド時刻(毎時30分)までの残り時間である。したがって、「T−ΔT」は、直近のホールド時刻(毎時0分)から現在時刻までの時間である。
【0056】
蓄電池の出力値(バッテリ出力)は、例えば、現在時刻における受電量の制限値から、直近のホールド時刻から現在時刻までに受電系から制御対象機器2に供給された受電量を減算した値である。つまり、蓄電池の出力値は、現在時刻における受電量の制限値に対する、直近のホールド時刻から現在時刻までに受電系から制御対象機器2に供給された受電量の乖離に応じて定められる。
【0057】
図6では、受電量の制限値[kWh]は、時間の経過に応じて直線的に増加するよう定められている。また、直近のホールド時刻から現在時刻までに受電系から制御対象機器2に供給された受電量[kWh]は、一例として、パターンA、パターンB及びパターンCのそれぞれで変化している。パターンAでは、受電系から制御対象機器2に供給された受電量は、受電量の制限値を常に下回っている。パターンBでは、受電系から制御対象機器2に供給された受電量は、受電量の制限値を当初では上回っているが、受電量の制限値を途中から下回っている。パターンCでは、受電系から制御対象機器2に供給された受電量は、受電量の制限値を当初では下回っているが、受電量の制限値を途中から上回っている。
【0058】
図7は、蓄電池20の出力の図である。最上段には、
図6に示すグラフが示されている。また、下段には、パターンA、パターンB及びパターンCのそれぞれにおける、蓄電池の出力値を示すグラフが示されている。蓄電池の出力を示すグラフにおいて、横軸は時刻を示す。縦軸は、蓄電池の出力値[kW]を示す。
【0059】
パターンAでは、受電系から制御対象機器2に供給された受電量が、受電量の制限値を常に下回っているため、蓄電池20の出力値は、負値となっている。つまり、パターンAでは、蓄電池20は、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて、常に充電を実行している。パターンBでは、蓄電池20は、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて、当初では放電を実行していたが、途中から充電を実行している。パターンCでは、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて、蓄電池20は、当初では充電を実行していたが、途中から放電を実行している。このような制御により、パターンA、パターンB及びパターンCのそれぞれにおいて、T時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量は、受電量の制限値と常に一致することになる。
【0060】
図7には、1日の中で、毎時0分から毎時30分までの30分間の動作が示されている。パターンA、パターンB及びパターンCのそれぞれにおいて、蓄電池20の蓄電に必要なコストは、30分間における充電及び放電の積算値、すなわち、30分間における蓄電池20の出力値の積算値に基づいて算出可能である。また、蓄電池20の蓄電は、受電系から制御対象機器2に供給される受電量の調整に使われている。このため、蓄電池20の蓄電に必要な電力単価は、受電単価と同一である。
【0061】
デマンドレスポンス時間帯における受電量の指令値が、インセンティブを算出するためのベースライン(受電量の制限値)となっている場合、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量は、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて蓄電池20が蓄電を実行することにより、ベースラインを下回ることが可能となる。このため、需要家は、承認部109により承認された運転スケジュールに応じたインセンティブを、受領することができる。
【0062】
次に、蓄電制御装置300の動作手順例を説明する。
図8は、蓄電制御装置300の動作の図である。
(ステップS1)ホールド部301は、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量(現在値)を、受電電力メータ24からローカル制御装置3(通信システム)を介して受信する。
【0063】
(ステップS2)ホールド部301は、現在時刻がホールド時刻(毎時0分又は毎時30分)であるか否かを判定する。現在時刻がホールド時刻である場合(ステップS2:Yes)、ホールド部301は、ステップS3に処理を進める。一方、現在時刻がホールド時刻でない場合(ステップS2:No)、ホールド部301は、ステップS4に処理を進める。
【0064】
(ステップS3)ホールド部301は、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量の現在値を保持(ホールド)する。
(ステップS4)ホールド部301は、保持した受電量の値(ホールド値)を、演算部302に出力する。
【0065】
(ステップS5)演算部302は、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量の現在値から、ホールド部301により保持された受電量の値を減算する。すなわち、演算部302は、所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量の現在値と、ホールド部301により保持された受電量の値との差を算出する。
【0066】
(ステップS6)蓄電池出力指令値作成部303は、デマンドレスポンス信号に基づく受電量の指令値(計画値)を、運転データベース部201から取得する。
(ステップS7)蓄電池出力指令値作成部303は、T時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量に基づいて、T時間よりも短い時間毎の受電量の制限値を算出する(式(3)を参照)。
【0067】
(ステップS8)蓄電池出力指令値作成部303は、蓄電池の出力値を算出する。ここで、蓄電池の出力値は、現在時刻における受電量の制限値から、直近のホールド時刻から現在時刻までに受電系から制御対象機器2に供給された受電量を減算した値でもよい。
(ステップS9)蓄電池出力指令値作成部303は、蓄電池の出力値を示す信号を、蓄電池20に出力する。
【0068】
図9は、蓄電池20の蓄電がインセンティブ受領に与える効果の図である。より具体的には、
図9は、運転スケジュール(運転計画)を確認するための画像の図である。この画像は、承認部109から出力された画像信号に基づいて、表示部400に表示されてもよい。運転スケジュールを確認するための画像には、「運転計画と実績」と、DR時間帯の充電コストと、DR時間帯の放電によるインセンティブ受領額と、インセンティブ受領額と、DR時間帯のベースラインとが示されている。
【0069】
項目「運転計画と実績」には、電力需要の推移と、蓄電池20の蓄電の推移とが、棒グラフにより示されている。この棒グラフの横軸は、時刻を示す。この棒グラフの縦軸は、受電力[kW]を示す。したがって、この棒グラフの1本あたりは、1時間あたりの受電量(電力量)に相当する。また、この棒グラフには、受電力のベースライン(
図9では、620[kW])が示されている。
【0070】
図9において、DR時間帯の1時間目及び2時間目では、蓄電池20は放電を実行している。DR時間帯の3時間目では、蓄電池20は充電を実行している。DR時間帯の4時間目では、蓄電池20は充電及び放電のいずれも実行していない。
図9において、DR時間帯の1時間目、2時間目及び3時間目では、CGS28は、ガス系から供給されたガスにより発電して、電力を発生させている。
【0071】
項目「DR時間帯の充電コスト」には、DR時間帯の3時間目における、蓄電池20の充電に必要なコスト「15千円」が示されている。項目「DR時間帯の放電によるインセンティブ受領額」には、蓄電池20の放電により得ることができるインセンティブの受領額「20千円」が示されている。
【0072】
仮に、DR時間帯の1時間目及び2時間目において、蓄電池20が放電を実行しなかった場合、受電系から制御対象機器2に供給された受電力がベースラインを下回ることができず、需要家は、インセンティブを受領することができない。実際には、DR時間帯の1時間目及び2時間目において、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて蓄電池20が放電を実行しているので、受電系から制御対象機器2に供給された受電力がベースラインを下回ることができ、需要家は、インセンティブを受領することができる。
【0073】
項目「インセンティブ受領額」には、最終的に得ることができるインセンティブの受領額「41千円」が示されている。最終的に得ることができるインセンティブの受領額には、蓄電池20の放電により得ることができるインセンティブの受領額「20千円」と、CGS28などの発電により得ることができるインセンティブの受領額「21千円」とが含まれている。項目「DR時間帯のベースライン」には、デマンドレスポンス信号に基づくベースライン「620[kW]」が示されている。
【0074】
以上のように、第1の実施形態の蓄電制御装置300は、ホールド部(例えば、ホールド部301)と、演算部(例えば、演算部302)と、取得部(例えば、蓄電池出力指令値作成部303)と、算出部(例えば、蓄電池出力指令値作成部303)と、制御部(例えば、蓄電池出力指令値作成部303)と、を備える。ホールド部は、蓄電池20から電力が供給される機器に受電系から供給された受電量の値を、予め定められた時刻に保持する。演算部は、受電系から機器に供給された受電量の現在値と、予め定められた時刻にホールド部により保持された受電量の値と、の差を算出する。取得部は、予め定められた時刻の間隔により定まる所定時間毎の受電量の指令値(例えば、
図6では、時刻30分での受電量の指令値)を取得する。算出部は、所定時間(例えば、30分間)毎の受電量の指令値(デマンドレスポンス信号に基づく受電量の指令値)に基づいて、所定時間よりも短い時間毎の受電量の制限値を算出する。制御部は、演算部により算出された差と、受電量の制限値と、に基づいて、蓄電池の蓄電を制御する。
【0075】
管理システム4は、蓄電制御装置(例えば、蓄電制御装置300)と、運転データベース部201とを備える。運転データベース部201は、デマンドレスポンス信号に基づく受電量の指令値(計画値)を記憶する。
【0076】
第1の実施形態の蓄電制御方法は、蓄電制御装置300における蓄電制御方法であって、保持するステップと、差を算出するステップと、取得するステップと、制限値を算出するステップと、制御するステップと、を有する。保持するステップでは、ホールド部(例えば、ホールド部301)が、蓄電池20から電力が供給される機器に受電系から供給された受電量の値を、予め定められた時刻に保持する。差を算出するステップでは、演算部(例えば、演算部302)が、受電系から機器に供給された受電量の現在値と、予め定められた時刻にホールド部により保持された受電量の値と、の差を算出する。取得するステップでは、取得部(例えば、蓄電池出力指令値作成部303)が、予め定められた時刻の間隔により定まる所定時間毎の受電量の指令値を取得する。制限値を算出するステップでは、算出部(例えば、蓄電池出力指令値作成部303)が、所定時間毎の受電量の指令値に基づいて、所定時間よりも短い時間毎の受電量の制限値を算出する。制御するステップでは、制御部(例えば、蓄電池出力指令値作成部303)が、演算部により算出された差と、受電量の制限値と、に基づいて、蓄電池20の蓄電を制御する。
【0077】
第1の実施形態の蓄電制御プログラムは、コンピュータに、保持する手順と、差を算出する手順と、取得する手順と、制限値を算出する手順と、制御する手順と、を実行させる。保持する手順では、蓄電制御プログラムは、コンピュータに、蓄電池20から電力が供給される機器に受電系から供給された受電量の値を、予め定められた時刻に保持する手順を実行させる。差を算出する手順では、蓄電制御プログラムは、コンピュータに、受電系から機器に供給された受電量の現在値と、予め定められた時刻に保持された受電量の値と、の差を算出する手順を実行させる。取得する手順では、蓄電制御プログラムは、コンピュータに、予め定められた時刻の間隔により定まる所定時間毎の受電量の指令値を取得する手順を実行させる。制限値を算出する手順では、蓄電制御プログラムは、コンピュータに、所定時間毎の受電量の指令値に基づいて、所定時間よりも短い時間毎の受電量の制限値を算出する手順を実行させる。制御する手順では、蓄電制御プログラムは、コンピュータに、算出された差と、受電量の制限値と、に基づいて、蓄電池20の蓄電を制御する手順を実行させる。
【0078】
記録媒体は、蓄電制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0079】
この構成により、制御部は、演算部により算出された差と、受電量の制限値と、に基づいて、蓄電池の蓄電を制御する。これにより、第1の実施形態の蓄電制御装置300、管理システム4、蓄電制御方法、蓄電制御プログラム及び記録媒体は、機器に供給される電力を、デマンドレスポンス信号に基づく受電量の指令値以上に、効率良く制御することができる。また、第1の実施形態の蓄電制御装置300、管理システム4、蓄電制御方法、蓄電制御プログラム及び記録媒体は、コストメリットを得ることができる。
【0080】
第1の実施形態の蓄電池出力指令値作成部303は、所定時間(例えば、直近のホールド時刻から現在時刻まで)に受電系から制御対象機器2に供給された受電量と、デマンドレスポンス信号に基づく受電量の指令値とに基づいて、蓄電池の出力値を示す信号を、ローカル制御装置3(通信システム)を介して蓄電池20に出力してもよい。
【0081】
第1の実施形態の蓄電池出力指令値作成部303は、現在時刻における受電量の制限値(例えば、式(3)を参照)に基づいて、蓄電池の出力値を示す信号を、蓄電池20に出力してもよい。
【0082】
第1の実施形態の蓄電池出力指令値作成部303は、現在時刻から次のホールド時刻(毎時30分)までの残り時間ΔTに基づいて(例えば、式(3)を参照)、蓄電池の出力値を示す信号を、蓄電池20に出力してもよい。
【0083】
第1の実施形態の蓄電池出力指令値作成部303は、現在時刻における受電量の制限値から、直近のホールド時刻から現在時刻までに受電系から制御対象機器2に供給された受電量を減算した値、すなわち、制限値に対する受電量の乖離(例えば、
図7を参照)に基づいて、蓄電池の出力値を示す信号を、蓄電池20に出力してもよい。
【0084】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、蓄電池20の放電をホールド時刻の直前にまとめて実行する点が、第1の実施形態と相違する。以下では、第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0085】
蓄電池20の蓄電は、受電系から制御対象機器2に供給される受電量の調整に使われている。このため、蓄電池20の充電及び放電に必要な電力単価は、受電単価と同一である。したがって、蓄電池20は、昼間のピーク時間帯における高い電力単価で充電している場合がある。例えば、第1の実施形態において、項目「DR時間帯の充電コスト」は、DR時間帯の3時間目における蓄電池20の充電のコスト「15千円」(
図9を参照)を示している。なお、第2の実施形態では、受電電力メータ24は、受電系から制御対象機器2に供給された電力を示す値を所定時間に積算することにより、その所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量を検出する。受電電力メータ24は、制御対象機器2から受電系に供給された電力を示す値をその所定時間に積算することにより、その所定時間に制御対象機器2から受電系に流れた電力量(以下、「逆潮流した電力量」という。)を検出する。蓄電池出力指令値作成部303は、その所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量と、その所定時間に逆潮流した電力量との差を検出することができる。
【0086】
蓄電池20は、夜間に充電を予め実行した場合、昼間のピーク時間帯では、昼間の電力単価よりも安い電力単価で、充電を実行することができる。このため、蓄電制御装置は、DR時間帯の充電コストを低減することができ、コストメリットが高くなる。また、蓄電池20の容量は、放電量を少なくできれば、小さくすることができる。
【0087】
つまり、蓄電池20が事前に(例えば、前日の夜間に)に充電を実行すれば、DR時間帯では蓄電池20が充電を実行する必要がないので、蓄電制御装置は、第1の実施形態と比較して、さらにコストメリットを得ることができる。また、蓄電池20の容量が小さいことにより、蓄電制御装置は、第1の実施形態と比較して、さらにコストメリットを得ることができる。
【0088】
図10は、受電量の制限値の図である。横軸は時刻を示す。縦軸は受電量[kWh]を示す。直近のホールド時刻から現在時刻までに受電系から制御対象機器2に供給された受電量[kWh]は、一例として、パターンA、パターンB及びパターンDのそれぞれで変化している。
【0089】
パターンA及びパターンBは、
図6と同様である。パターンDでは、受電系から制御対象機器2に供給された受電量は、受電量の制限値を当初では上回っているが、現在時刻から次のホールド時刻までの残り時間ΔTとなってから、受電量の制限値を下回っている。これは、現在時刻から次のホールド時刻までの残り時間ΔTとなってから、すなわち、次のホールド時刻の直前に、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて蓄電池20が放電をまとめて実行したためである。
【0090】
次のホールド時刻まで残り時間ΔTとなった現在時刻に、制限値に対する受電量の超過量ΔWとなった段階で蓄電池20の放電を実行させるため、蓄電池出力指令値作成部303は、残り時間ΔTと、受電量の超過量ΔWとにより定まる関数に基づいて、蓄電池の出力値を示す信号を、蓄電池20に出力する。
【0091】
残り時間ΔTと、制限値に対する受電量の超過量ΔW[kWh]とにより定まる関数は、蓄電池が出力可能(放電可能)である最大電力値X[kW]を用いて、式(4)により表される。
【0093】
ここで、蓄電池が出力可能である最大電力値Xに対して余裕を持たせるため、受電量の超過量ΔWには、予め定められた電力量α[kWh]が加算されてもよい。
【0094】
(ΔW+α)/(ΔT/T)=X …(5)
【0095】
図11は、残り時間と、受電量の超過量との関係の図である。横軸は残り時間ΔTを示す。縦軸は、制限値に対する受電量の超過量ΔWを示す。残り時間ΔTは、直近のホールド時刻に近いほど大きい値であるが、次のホールド時刻に近いほど小さい値になる。式(4)及び式(5)が示すように、残り時間ΔTが小さいほど、蓄電池20が許容可能な受電量の超過量ΔWは小さい。換言すれば、蓄電池が出力可能である最大電力値Xが大きいほど、残り時間ΔTが小さくても、蓄電池は、制限値に対する受電量の超過量ΔWを補償することが可能である。
【0096】
図10に示すパターンDを例に説明すれば、受電量の超過量ΔWは、負値から始まり、受電量の制限値を超えた段階で正値となっている。さらに、受電量の超過量ΔWは、正値のまま次第に増加するが、式(5)に示す関係が満たされた段階で、負値となるまで減少する。これは、式(5)に示す関係が満たされた段階で、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて、蓄電池20が放電をまとめて実行したためである。受電量の超過量ΔWは、残り時間ΔT=0、すなわち、ホールド時刻では、所定の負値となっている。
【0097】
図11において、式(4)又は式(5)により定まる直線の傾きは、蓄電池が出力可能である最大電力値Xに応じて、それぞれ大きくなる。つまり、蓄電池が出力可能である最大電力値Xが大きい蓄電池ほど、残り時間ΔTが少なくても、制限値に対する受電量の超過量ΔWを補償することが可能であり、電力需要量の変動に対して優位である。
【0098】
図12は、蓄電池20の出力の図である。最上段には、
図10に示すグラフが示されている。また、下段には、パターンA、パターンB及びパターンDのそれぞれにおける、蓄電池の出力値を示すグラフが示されている。蓄電池の出力を示すグラフにおいて、横軸は時刻を示す。縦軸は、蓄電池の出力値[kW]を示す。
【0099】
パターンAでは、残り時間ΔTとなった時点で、式(5)に示す関係が満たされず、受電系から制御対象機器2に供給された受電量が、受電量の制限値を下回っているため、蓄電池20の出力値は、常に値0となっている。つまり、パターンAでは、蓄電池20は、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて、充電及び放電のいずれも実行していない。パターンBも同様である。これにより、「DR時間帯の充電コスト」(
図14を用いて後述する)が発生しないので、蓄電制御装置は、コストメリットを得ることができる。
【0100】
一方、パターンDでは、残り時間ΔTとなった時点で、式(5)に示す関係が満たされ、受電系から制御対象機器2に供給された受電量が、受電量の制限値を上回っているため、蓄電池20は、残り時間ΔTとなった時点で放電をまとめて実行している。このような制御により、パターンA、パターンB及びパターンDのそれぞれにおいて、T時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量は、少なくともホールド時刻では、受電量の制限値を満たすことになる。
【0101】
次に、蓄電制御装置300の動作手順例を説明する。
図13は、蓄電制御装置300の動作の図である。
ステップSa1〜ステップSa7は、
図8に示すステップS1〜ステップS7と同様である。
【0102】
(ステップSa8)蓄電池出力指令値作成部303は、制限値に対する受電量の超過量ΔWが、蓄電池20が許容可能な最大の受電量の超過量以上であるか否か、すなわち、式(4)又は式(5)に示す関係が満たされているか否かを判定する。制限値に対する受電量の超過量ΔWが、蓄電池20が許容可能な最大の受電量の超過量以上である場合(ステップSa8)、蓄電池出力指令値作成部303は、ステップSa9に処理を進める。一方、制限値に対する受電量の超過量ΔWが、蓄電池20が許容可能な最大の受電量の超過量未満である場合(ステップSa8)、蓄電池出力指令値作成部303は、ステップSa10に処理を進める。
【0103】
(ステップSa9)蓄電池出力指令値作成部303は、蓄電池の出力値を、蓄電池が出力可能である最大電力値Xと定める。
(ステップSa10)蓄電池出力指令値作成部303は、蓄電池の出力値を値0と定める。
【0104】
(ステップSa11)蓄電池出力指令値作成部303は、蓄電池の出力値を示す信号を、ローカル制御装置3(通信システム)を介して蓄電池20に出力する。蓄電池の出力値が最大電力値Xと定められている場合、蓄電池20は、最大電力値Xで放電する。一方、蓄電池の出力値が値0と定められている場合、蓄電池20は、充電及び放電のいずれも実行しない。
【0105】
図14は、蓄電池20の蓄電がインセンティブ受領に与える効果の図である。より具体的には、
図14は、運転スケジュール(運転計画)を確認するための画像の図である。この画像は、承認部109から出力された画像信号に基づいて、表示部400に表示されてもよい。
【0106】
図14において、DR時間帯の1時間目及び2時間目では、蓄電池20は放電を実行している。DR時間帯の3時間目では、第1の実施形態と異なり、蓄電池20は充電及び放電のいずれも実行していない。DR時間帯の4時間目では、蓄電池20は充電及び放電のいずれも実行していない。
図14において、DR時間帯の1時間目、2時間目及び3時間目では、CGS28は、ガス系から供給されたガスにより発電して、電力を発生させている。
【0107】
第1の実施形態と異なり、項目「DR時間帯の充電コスト」には、DR時間帯における、蓄電池20の充電に必要なコスト「0千円」が示されている。このように、第2の実施形態の蓄電制御装置300は、第1の実施形態と比較して、DR時間帯の充電コストを低減することができ、コストメリットが高くなる。
【0108】
以上のように、第2の実施形態の制御部(例えば、蓄電池出力指令値作成部303)は、制限値を超えて制御対象機器2に供給された受電量が、蓄電池20が出力可能である最大電力値Xに基づく電力量以上、すなわち、蓄電池20が許容可能な受電量以上である場合、予め定められた時刻(次のホールド時刻)までに、蓄電池20の蓄電をまとめて制御してもよい(例えば、
図12の最下段を参照)。
【0109】
この構成により、制御部は、予め定められた時刻(ホールド時刻)までに、蓄電池20の蓄電をまとめて制御してもよい。これにより、第2の実施形態の蓄電制御装置300、管理システム4、蓄電制御方法、蓄電制御プログラム及び記録媒体は、機器に供給される電力を、デマンドレスポンス信号に基づく受電量の指令値以上に、より効率良く制御することができる。また、第2の実施形態の蓄電制御装置300、管理システム4、蓄電制御方法、蓄電制御プログラム及び記録媒体は、コストメリットをより得ることができる。
【0110】
第2の実施形態の蓄電池出力指令値作成部303は、蓄電池20が出力可能である最大電力値Xに基づいて、蓄電池の出力値を示す信号を、蓄電池20に出力してもよい。
第2の実施形態の蓄電池出力指令値作成部303は、蓄電池が出力可能である最大電力値Xに対してマージン値だけ少ない値に基づいて、蓄電池の出力値を示す信号を、蓄電池20に出力してもよい。このマージン値は、例えば、蓄電池20の放電特性に基づいて定められる。このマージン値は、例えば、式(5)や
図11に示す電力量αである。
【0111】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、受電量が指令値を超過しないように蓄電池20が放電する点が、第2の実施形態と相違する。以下では、第2の実施形態との相違点についてのみ説明する。第3の実施形態では、逆潮流が発生しない前提で説明する。
【0112】
受電電力メータ24は、受電系から制御対象機器2に供給された電力を示す値を所定時間に積算することにより、その所定時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量を検出する。
【0113】
図15は、受電量の制限値の図である。横軸は時刻を示す。縦軸は受電量[kWh]を示す。直近のホールド時刻から現在時刻までに受電系から制御対象機器2に供給された受電量[kWh]は、一例として、パターンA、パターンB及びパターンEのそれぞれで変化している。
【0114】
パターンA及びパターンBは、
図10と同様である。パターンEでは、受電系から制御対象機器2に供給された受電量は、受電量の制限値を当初では上回っているが、現在時刻から次のホールド時刻までの残り時間ΔTとなってから、受電量の制限値を下回っている。これは、現在時刻から次のホールド時刻までの残り時間ΔTとなってから、すなわち、次のホールド時刻の直前に、蓄電池の出力値を示す信号に基づいて蓄電池20が放電をまとめて実行したためである。残り時間ΔTは、
図12に示す場合と比較して長い。パターンEでは、受電量が指令値を超過しない点が、
図10に示すパターンDとは異なる。
【0115】
図16は、蓄電池20の出力の図である。最上段には、
図15に示すグラフが示されている。また、下段には、パターンA、パターンB及びパターンEのそれぞれにおける、蓄電池の出力値を示すグラフが示されている。蓄電池の出力を示すグラフにおいて、横軸は時刻を示す。縦軸は、蓄電池の出力値[kW]を示す。
【0116】
パターンAでは、残り時間ΔTとなった時点で、式(5)に示す関係が満たされず、受電系から制御対象機器2に供給された受電量が、受電量の制限値を下回っている。このため、蓄電池20の出力値は、常に値0となっている。つまり、パターンAでは、蓄電池20は、充電及び放電のいずれも実行していない。パターンBも同様である。これにより、「DR時間帯の充電コスト」が発生しないので、蓄電制御装置300は、コストメリットを得ることができる。
【0117】
パターンEでは、
図12に示す場合と比較して長い残り時間ΔTとなった時点で、式(5)に示す関係が満たされ、受電系から制御対象機器2に供給された受電量が、受電量の制限値を上回っている。このため、蓄電池20は、残り時間ΔTとなった時点で、放電をまとめて実行する。これにより、パターンA、パターンB及びパターンEのそれぞれにおいて、T時間に受電系から制御対象機器2に供給された受電量は、少なくともホールド時刻では、受電量の制限値を満たすことができる。
【0118】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の蓄電制御装置300によれば、演算部302により算出された差と受電量の制限値とに基づいて蓄電池20の蓄電を制御する蓄電池出力指令値作成部303を持つことにより、機器に供給される電力を、デマンドレスポンス信号に基づく受電量の指令値以上に、効率良く制御することが可能となる。
【0119】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0120】
例えば、実施形態の制御システムSYは、少なくともその一部が、クラウドサーバ装置により構成されていてもよい。すなわち、実施形態の制御システムSYが実行する処理の少なくとも一部は、クラウド・コンピューティングにより実行されてもよい。
【0121】
このクラウド・コンピューティングには、アプリケーション(ソフトウェア)をサービスとして提供するSaaS(Software as a Service)と、アプリケーションを稼働させるための基盤(プラットフォーム)をサービスとして提供するPaaS(Platform as a Service)と、蓄電制御装置、中央演算処理装置及びストレージなどのリソースをサービス(パブリッククラウド)として提供するIaaS(Infrastructure as a Service)とのうち、少なくとも一つが含まれていてもよい。例えば、このクラウド・コンピューティングには、クラウド・サービス提供層(PaaS)により、インターネットを介した遠隔操作が含まれていてもよい。
【0122】
実施形態の制御システムSYは、その監視、障害対応及び運用のうち少なくとも一つが、代行サービスにより行われていてもよい。例えば、ASP(Application Service Provider)が代行して、制御システムSYを監視、障害対応及び運用してもよい。また、実施形態の制御システムSYは、その監視、障害対応及び運用が、複数の主体によりされてもよい。
【0123】
なお、上記に説明した制御システムSYを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、実行処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0124】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0125】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。