(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
工程(i)で使用するH−官能性スターター物質が、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチルロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール及び分子量Mnが150〜4500g/molの範囲内にあり、官能性が2〜3であるポリエーテルポリオールである、請求項1または2に記載の方法。
使用する前記懸濁媒体が、4-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン、 1,3-ジオキソラン-2-オン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン又はこれら懸濁媒体の二種以上の混合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
POとEOの前記混合物中のEOの前記重量比率が、出発PO/EO混合比と最終PO/EO混合比の間で連続的に増加し、前記出発PO/EO混合比が、工程(ii-1)で限定した前記重量比からのPO/EO重量比に相当し、最終PO/EO混合比が、工程(ii-2)で限定した前記重量比からのPO/EO重量比に相当する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
工程(ii-1)又は(ii-2)で製造されるPO及びEOの混合ブロックの平均長さが、それぞれの場合に、ポリエーテルカーボナートポリオールのOH基1個に対して、1.0〜20.0アルキレンオキシド単位である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
工程(iii)で製造されるアルキレンオキシドブロックの平均長さが、それぞれの場合に、ポリエーテルカーボナートポリオールのOH基1個に対して、1〜30アルキレンオキシド単位である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
たわみ性(Flexible)ポリウレタンフォームの製造方法であって、ポリオール成分(成分A)が、請求項1〜11のいずれか1項により得られるポリエーテルカーボナートポリオールを含んでなる、方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
工程(i)
一種以上のアルキレンオキシド及び二酸化炭素を、少なくとも一種のDMC触媒の存在下で、一種以上のH-官能性スターター物質(複数可)に加えること(「共重合」)により、ポリエーテルカーボナートポリオール及び場合により環状カーボナートを含んでなる反応混合物が得られる(スキーム(I)参照、例えばプロピレンオキシド(R=CH
3)の場合、結果としてプロピレンカーボナートが得られる)。
【0013】
例えば、工程(i)におけるプロセスは、
(α)H−官能性スターター物質又は少なくとも2種類のH−官能性スターター物質の混合物もしくは懸濁媒体を最初に装填し、全ての水及び/又は他の揮発性化合物を高温及び/又は減圧により除去し(「乾燥」)、乾燥の前又は後に、DMC触媒を、H−官能性スターター物質又は少なくとも2種類のH−官能性スターター物質の混合物もしくは懸濁媒体に加え、
(β)活性化は、
(a)プロピレンオキシド及び
(b)プロピレンオキシドと少なくとも一種のさらなるアルキレンオキシドの、重量比>90:10、好ましくは91:9〜99.9:0.1、の混合物
からなる群から選択されたアルキレンオキシドの一部(活性化及び共重合で使用するアルキレンオキシドの量の総量に対して)を、工程(α)から得られた混合物に添加することにより達成され、このアルキレンオキシドの一部の添加を、所望によりCO
2の存在下で行うことができ、その場合、それに続く発熱化学反応及び/又は反応器内の圧力低下のために起こる温度ピーク(「ホットスポット」)を待ち、活性化のための工程(β)も反復して行うことができ、
(γ)プロピレンオキシド、又はプロピレンオキシドと少なくとも一種のさらなるアルキレンオキシドの、重量比>90:10、好ましくは91:9〜99.9:0.1の混合物、二酸化炭素及び所望により一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)を、工程(β)から得た混合物に加え、工程(γ)で使用したアルキレンオキシドは、工程(β)で使用したアルキレンオキシドと同一であるか、又は異なっていてよく、
少なくとも一種のH−官能性スターター物質は、工程(α)及び(γ)の少なくとも一方で添加することを特徴とする。
【0014】
使用する全ての懸濁媒体は、H−官能性スターター物質を全く含まない。好適な懸濁媒体は、全ての極性非プロトン性、弱極性非プロトン性、及び非極性非プロトン性溶剤であり、そのどれもH−官能基を含まない。使用する懸濁媒体は、これらの懸濁媒体の2種類以上の混合物でもよい。下記の極性非プロトン性懸濁媒体、即ち4-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン(以下、環状プロピレンカーボナート又はcPCとも呼ぶ)、1,3-ジオキソラン-2-オン(以下、環状エチレンカーボナート又はcECとも呼ぶ)、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドンを例として挙げることができる。非極性及び弱極性非プロトン性溶剤の群には、例えばエーテル、例えばジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル及びテトラヒドロフラン、エステル、例えば酢酸エチル及び酢酸ブチル、炭化水素、例えばペンタン、n-ヘキサン、ベンゼン及びアルキル化されたベンゼン誘導体(例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン)、及び塩素化炭化水素、例えばクロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及び四塩化炭素がある。好ましい懸濁媒体は、4-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン-2-オン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン及びこれらの懸濁媒体の二種以上の混合物であり、特に好ましくは、4-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン及び1,3-ジオキソラン-2-オン、又は4-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソランと1,3-ジオキソラン-2-オンの混合物である。
【0015】
一般的に、本発明の方法では、工程(i)で、(a)プロピレンオキシド又は(b)プロピレンオキシドと少なくとも一種さらなるアルキレンオキシドの、重量比>90:10、好ましくは91:9〜99.9:0.1の混合物を使用することができる。プロピレンオキシドとの混合物で使用できるアルキレンオキシド(エポキシド)は、2〜24個の炭素原子を有するアルキレンオキシドである。2〜24個の炭素原子を有するアルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、1-ブテンオキシド、2,3-ブテンオキシド、2-メチル-1,2-プロペンオキシド(イソブテンオキシド)、1-ペンテンオキシド、2,3-ペンテンオキシド、2-メチル-1,2-ブテンオキシド、3-メチル-1,2-ブテンオキシド、1-ヘキセンオキシド、2,3-ヘキセンオキシド、3,4-ヘキセンオキシド、2-メチル-1,2-ペンテンオキシド、4-メチル-1,2-ペンテンオキシド、2-エチル-1,2-ブテンオキシド、1-ヘプテンオキシド、1-オクテンオキシド、1-ノネンオキシド、1-デセンオキシド、1-ウンデセンオキシド、1-ドデセンオキシド、4-メチル-1,2-ペンテンオキシド、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロヘプテンオキシド、シクロオクテンオキシド、スチレンオキシド、メチルスチレンオキシド、ピネンオキシド、モノ-又はポリ-エポキシド化された脂肪、例えばモノ-、ジ-及びトリグリセリド、エポキシド化された脂肪酸、エポキシド化された脂肪酸のC
1〜C
24-エステル、エピクロロヒドリン、グリシドール及びグリシドールの誘導体、例えばメチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリラート及びエポキシ官能性アルキルオキシシラン、例えば3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリプロポキシシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルエチルジエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリイソプロポキシシランからなる群から選択された一種以上の化合物である。好ましくは、工程(i)で、プロピレンオキシド又はプロピレンオキシドと1−ブテンオキシドの、重量比>90:10、より好ましくは91:9〜99.9:0.1の混合物、特に純粋なプロピレンオキシドを使用する。
【0016】
使用する好適なH-官能性スターター物質(「スターター」)は、アルコキシル化に対して活性な水素原子を有し、18〜4500g/mol、好ましくは60〜500g/mol、より好ましくは62〜182g/molのモル質量を有する化合物である。低モル質量を有するスターターを使用できる能力は、先行するアルコキシル化により製造されたオリゴマー状スターターを使用することに対する大きな優位性である。特に、別のアルコキシル化工程を省略することができるので、経済的な実行性が達成される。
【0017】
活性水素原子を有し、アルコキシル化に対して活性である基は、例えば-OH、-NH
2(第一級アミン)、-NH-(第二級アミン)、-SH及び-CO
2H-であり、-OH及び-NH
2が好ましく、特に好ましくは-OHである。使用するH-官能性スターター物質は、例えば一価及び多価アルコール、多官能性アミン、多官能性チオール、アミノアルコール、チオアルコール、ヒドロシエステル、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリエーテルカーボナートポリオール、ポリカーボナートポリオール、ポリカーボナート、ポリエチレンイミン、ポリエーテルアミン、ポリテトラヒドロフラン(例えばBASFから市販のPolyTHF(登録商標))、ポリテトラヒドロフランアミン、ポリエーテルチオール、ポリアクリラートポリオール、ひまし油、ひまし油のモノ−又はジグリセリド、脂肪酸のモノグリセリド、脂肪酸の化学的に変性したモノ-、ジ-及び/又はトリ-グリセリド、及び分子1個あたり平均で少なくとも2個のOH基を含むC
1〜C
24-アルキル脂肪酸エステルである。分子1個あたり平均で少なくとも2個のOH基を含むC
1〜C
24-アルキル脂肪酸エステルは、例えば、市販製品、例えばLupranol Balance(登録商標)(BASF AGから市販)、Merginol(登録商標)製品(Hobum Oleochemicals GmbHから市販)、Sovermol(登録商標)製品(Cognis Deutschland GmbH & Co. KGから市販)及びSoyol(登録商標)TM製品(USSC Co.から市販)である。
【0018】
使用するモノ-H-官能性スターター物質は、アルコール、アミン、チオール及びカルボン酸でよい。使用する単官能性アルコールは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、3-ブテン-1-オール、3-ブチン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、フェノール、2-ヒドロキシビフェニル、3-ヒドロキシビフェニル、4-ヒドロキシビフェニル、2-ヒドロキシピリジン、3-ヒドロキシピリジン、4-ヒドロキシピリジンでよい。有用な単官能性アミンとしては、ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アニリン、アジリジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンがある。使用する単官能性チオールは、エタンチオール、1-プロパンチオール、2-プロパンチオール、1-ブタンチオール、3-メチル-1-ブタンチオール、2-ブテン-1-チオール、チオフェノールでよい。単官能性カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、脂肪酸、例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、アクリル酸が挙げられる。
【0019】
H−官能性スターター物質として好適な多価アルコールは、例えば二価アルコール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,4-ブチンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、メチルペンタンジオール(例えば3-メチル-1,5-ペンタンジオール)、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ビス-(ヒドロキシメチル)-シクロヘキサン(例えば1,4-ビス-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン)、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコール)、三価アルコール(例えばトリメチルロールプロパン、グリセロール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌラート、ひまし油)、四価アルコール(例えばペンタエリトリトール)、多価アルコール(例えばソルビトール、ヘキシトール、スクロース、デンプン、デンプン水解物、セルロース、セルロース水解物、ヒドロキシ官能化された油脂、特にひまし油)、及び上記アルコールを様々な量のε-カプロラクトンで変性した全ての生成物である。
【0020】
H-官能性スターター物質は、分子量M
nが18〜4500g/molの範囲内にあり、官能性が2〜3であるポリエーテルポリオールの物質区分から選択することもできる。反復するエチレンオキシド及びプロピレンオキシド単位から構成される、好ましくは35〜100%プロピレンオキシド単位の比率を有する、より好ましくは50〜100%プロピレンオキシド単位の比率を有するポリエーテルポリオールが好ましい。これらの物質は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの、ランダム共重合体、勾配共重合体、交互共重合体又はブロック共重合体でよい。
【0021】
H−官能性スターター物質は、ポリエステルポリオールの物質区分から選択することもできる。使用するポリエステルポリオールは、少なくとも二官能性ポリエステルである。好ましくは、ポリエステルポリオールは、交互の酸及びアルコール単位からなる。使用する酸成分は、例えばコハク酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アジピン酸、無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸又は上記の酸及び/又は酸無水物の混合物を使用する。
【0022】
使用するアルコール成分は、例えばエタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチルロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール又は上記アルコールの混合物である。使用するアルコール成分が、二価又は多価ポリエーテルポリオールである場合、ポリエーテルカーボナートポリオールの製造にスターター物質としても使用できるポリエステルエーテルポリオールが得られる。
【0023】
使用するH-官能性スターター物質は、例えばホスゲン、ジメチルカーボナート、ジエチルカーボナート又はジフェニルカーボナートと、二官能性アルコール又はポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールの反応により製造されるポリカーボナートジオールでよい。ポリカーボナートの例は、例えば欧州特許出願公開第1359177号に見られる。
【0024】
本発明のさらなる実施態様では、ポリエーテルカーボナートポリオールをH-官能性スターター物質として使用できる。特に、ここに記載するプロセス工程(i)により得られるポリエーテルカーボナートポリオールを使用する。この目的には、H-官能性スターター物質として使用するこれらのポリエーテルカーボナートポリオールは、前もって別の反応工程で製造する。
【0025】
H-官能性スターター物質は、一般的に1〜8、好ましくは2または3の官能性(即ち、1分子あたりの重合に対して活性な水素原子の数)を有する。H-官能性スターター物質は、個別に、又は少なくとも2種類のH-官能性スターター物質の混合物の形態で使用される。
【0026】
より好ましくは、H-官能性スターター物質は、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチルロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール及び分子量Mnが150〜4500g/molの範囲内で、官能性が2〜3のポリエーテルポリオールからなる群から選択された一種以上の化合物である。
【0027】
ポリエーテルカーボナートポリオールは、二酸化炭素及びアルキレンオキシドのH-官能性スターター物質に対する触媒作用による付加により製造される。本発明の状況下では、「H-官能性」は、スターター物質1分子あたりのアルコキシル化に対して活性な水素原子の数である。
【0028】
工程(α)
好ましくは、工程(α)で、H−官能基を全く含まない懸濁媒体を最初に反応器中に、所望によりDMC触媒と共に装填し、この時点ではH−官能性スターター物質は最初に反応器中には装填しない。あるいは、工程(α)で、H−官能基を全く含まない懸濁媒体、及びさらにH−官能性スターター物質(複数可)の一部及び所望によりDMC触媒を、最初に反応器中に導入することもできる、又は工程(α)で、H−官能性スターター物質(複数可)の一部及び所望によりDMC触媒を最初に反応器中に導入することもできる。さらに、工程(α)で、H−官能性スターター物質(複数可)の総量及び所望によりDMC触媒を最初に反応器中に導入することもできる。
【0029】
DMC触媒は、好ましくは、工程(i)で得られる反応生成物中のDMC触媒の含有量が、10〜10000ppm、特に好ましくは20〜5000ppm、最も好ましくは50〜500ppmになるような量で使用する。
【0030】
好ましい実施態様では、不活性ガス(例えばアルゴン又は窒素)、不活性ガス/二酸化炭素混合物又は二酸化炭素を、得られるDMC触媒と懸濁媒体及び/又はH−官能性スターター物質の混合物中に、温度90〜150℃、より好ましくは100〜140℃で通し、同時に10mbar〜800mbar、より好ましくは50mbar〜200mbarの減圧(絶対)を作用させる。
【0031】
代わりの好ましい実施態様では、得られたDMC触媒と懸濁媒体及び/又はH−官能性スターター物質の混合物を、温度90〜150℃、より好ましくは100〜140℃で、1.5bar〜10bar(絶対)、より好ましくは3bar〜6bar(絶対)の不活性ガス(例えばアルゴン又は窒素)、不活性ガス/二酸化炭素混合物、又は二酸化炭素と、少なくとも1回、好ましくは3回接触させ、次いで、それぞれの場合に圧力計の圧力を約1bar(絶対)に下げる。
【0032】
DMC触媒は、例えば固体形態で、又は懸濁媒体もしくは複数の懸濁媒体中入れた懸濁液として、あるいは一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)中の懸濁液として加えることができる。
【0033】
さらなる実施態様で、工程(α)で、
(α-I)懸濁媒体及び/又はH−官能性スターター物質の一部又は総量を最初に装填し、及び
(α-II)懸濁媒体及び/又はH−官能性スターター物質の温度を50〜200℃、好ましくは80〜160℃、より好ましくは100〜140℃に上げ、及び/又は反応器中の圧力を500mbar未満、好ましくは5mbar〜100mbarに下げ、その間に不活性ガス流(例えばアルゴン又は窒素)、不活性ガス/二酸化炭素流、又は二酸化炭素流を所望により反応器中に通し、
二重金属シアン化物触媒を、懸濁媒体及び/又はH−官能性スターター物質(α-I)に、又は工程(α-II)でその後に直ちに加え、及び
懸濁媒体はH−官能基を全く含まない。
【0034】
工程(β)は、DMC触媒の活性化に役立つ。この工程は、所望により不活性ガス雰囲気下で、不活性ガス/二酸化炭素混合物の雰囲気下で、又は二酸化炭素雰囲気下で行うことができる。本発明の状況下では、(a)プロピレンオキシド及び(b)プロピレンオキシドと少なくとも一種のさらなるアルキレンオキシドの、重量比>90:10、好ましくは91:9〜99.9:0.1の混合物からなる群から選択されたアルキレンオキシド化合物の一部を、DMC触媒懸濁液に温度90〜150℃で加え、次いでアルキレンオキシド化合物の添加を中断し、その際続いて起こる発熱化学反応により、温度ピーク(「ホットスポット」)に到達する発熱が起こり、アルキレンオキシド及び全てのCO2の反応により、反応器中で圧力低下が観察される工程が、活性化と呼ばれる。活性化のプロセス工程は、所望によりCO2の存在下で、アルキレンオキシド化合物の部分量の添加から、DMC触媒により発熱が起こるまでの期間である。所望により、アルキレンオキシド化合物の一部は、DMC触媒に、所望によりCO2の存在下で、複数の個別工程で加えることができ、次いで、それぞれの場合にアルキレンオキシド化合物の添加が中断される。この場合、活性化のプロセス工程は、所望によりCO2の存在下で、アルキレンオキシド化合物の最初の部分を加えてから、DMC触媒により、アルキレンオキシド化合物の最後の部分を加えた後の発熱が起こるまでの期間を含む。一般的に、活性化工程の前に、所望により反応混合物に不活性ガスを通過させながら、DMC触媒及び、所望により、H−官能性スターター物質を高温及び/又は減圧下で乾燥させる工程を行うことができる。
【0035】
一種以上のアルキレンオキシド(及び所望により二酸化炭素)は、原則的に、様々な様式で計量供給することができる。計量供給の開始は、真空により、又は予め選択された供給圧力で行うことができる。供給圧力は、好ましくは不活性ガス(例えば窒素又はアルゴン)又は二酸化炭素を導入することにより確立し、その圧力(絶対)は、5mbar〜100bar、好ましくは10mbar〜50bar、特に好ましくは20mbar〜50barである。
【0036】
好ましい実施態様では、工程(β)で活性化に使用する一種以上のアルキレンオキシドの量は、0.1〜25.0重量%、好ましくは1.0〜20.0重量%、特に好ましくは2.0〜16.0重量%(工程(α)で使用する懸濁媒体及び/又はH−官能性スターター物質の量に対して)である。アルキレンオキシドは、1工程で、又は二つ以上の部分で加えることができる。好ましくは、アルキレンオキシド化合物の一部を添加した後、アルキレンオキシド化合物の添加を、好ましくは発熱が起こるまで中断し、その後にのみ、アルキレンオキシド化合物の次の部分を加える。2段階活性化(工程β)も好ましく、その際
(β1)第一活性化段階で、アルキレンオキシドの第一部分を不活性ガス雰囲気下で添加し、及び
(β2)第二活性化段階で、アルキレンオキシドの第二部分を二酸化炭素雰囲気下で添加する。
【0037】
工程(γ)
本発明の方法には、工程(γ)を、50〜150℃、好ましくは60〜145℃、より好ましくは70〜140℃、最も好ましくは90〜130℃で行うのが有利であることが分かった。50℃未満の温度では、ポリエーテルカーボナートポリオールを形成する反応は、非常にゆっくりでしか進まない。150℃を超える温度では、好ましくない副生物の量が著しく増加する。
【0038】
(a)プロピレンオキシド及び(b)プロピレンオキシドと少なくとも一種のさらなるアルキレンオキシドの、重量比>90:10、好ましくは91:9〜99.9:0.1の混合物からなる群から選択されたアルキレンオキシド、及び二酸化炭素の計量添加は、同時に、交互に、又は連続的に行うことができ、二酸化炭素の総量を一度に、又は反応時間中に計量添加することができる。アルキレンオキシドを加える際に、CO
2圧力を徐々に、又は段階的に、増加又は低下させるか、もしくは一定のままにすることができる。好ましくは、総圧は、反応の際に、二酸化炭素をさらに計量添加することにより、一定に維持する。一種以上のアルキレンオキシド及び/又はCO
2の計量添加は、二酸化炭素の計量添加に対して、同時に、交互に、又は連続的に行う。アルキレンオキシドは、一定計量速度で、徐々に、又は段階的に計量速度を増加又は低下させて計量供給する、もしくはアルキレンオキシドを部分に分けて加えることができる。好ましくは、アルキレンオキシドは、反応混合物に、一定計量速度で加える。ポリエーテルカーボナートポリオールの合成に複数のアルキレンオキシドを使用する場合、アルキレンオキシドは、個別に、又は混合物として計量供給することができる。アルキレンオキシドの計量添加は、それぞれ別の計量点(添加点)を経由して、又は一つ以上の計量点を経由して、同時に、交互に、又は連続的に行うことができ、その場合、アルキレンオキシドは、個別に、又は混合物として計量供給する。アルキレンオキシド及び/又は二酸化炭素の計量添加の様式及び/又は順序により、ランダム、交互、ブロック又は勾配ポリエーテルカーボナートポリオールを合成することができる。
【0039】
好ましくは、二酸化炭素の反応性が低いために、過剰の二酸化炭素が有利なので、ポリエーテルカーボナートポリオール中に取り込む二酸化炭素の計算量に対して、過剰の二酸化炭素を使用する。二酸化炭素の量は、それぞれの反応条件下で、総圧を経由して固定することができる。ポリエーテルカーボナートポリオールを製造するための、共重合のための有利な総圧(絶対)は、0.01〜120bar、好ましくは0.1〜110bar、より好ましくは1〜100barの範囲であることが分かっている。二酸化炭素を連続的に、又は断続的に供給することができる。これは、アルキレンオキシド及びCO
2がどの位急速に消費されるか、及び生成物が、CO
2を含まないポリエーテルブロックを含むか、又は異なったCO
2含有量を有するブロックを含むかによって異なる。二酸化炭素の量(圧力として示す)も、同様に、アルキレンオキシドを添加する途中で変化し得る。選択した反応条件に応じて、CO
2は反応器に気体、液体、又は超臨界状態で導入することができる。CO
2は反応器に固体形態で加え、次いで選択した反応条件下で、気体状の、溶解した、液体及び/又は超臨界状態に転換することもできる。
【0040】
工程(γ)で、一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)の計量添加を含んでなる方法では、一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)、一種以上のアルキレンオキシド(複数可)及び所望により二酸化炭素の計量添加は、同時に、又は連続的に(部分で)行うことができ、例えば工程(γ)で、全て一度に、又は連続的に計量供給される、二酸化炭素の総量、H−官能性スターター物質の量、及び/又はアルキレンオキシドの量を加えることができる。反応物を添加する様式として、ここで使用する用語「連続的に」は、共重合に有効な反応物の濃度が維持されるように定義される、即ち、例えば計量供給が一定計量速度で、変動する計量速度で、又は少量ずつ行うことができる。
【0041】
アルキレンオキシド及び/又はH−官能性スターター物質を添加する際、CO
2圧力は、徐々に、又は段階的に増加又は減少させるか、又は一定のままにすることができる。好ましくは、総圧は、反応中、さらなる二酸化炭素を計量添加することにより、一定に維持する。一種以上のアルキレンオキシド(複数可)及び/又は一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)の計量添加は、二酸化炭素の計量添加と同時に、又は連続的に行う。アルキレンオキシドを、一定計量速度で計量供給する、又は計量速度を徐々に、又は段階的に増加又は減少させるか、もしくはアルキレンオキシドを少量ずつ添加することができる。好ましくは、アルキレンオキシドは、反応混合物に、一定の計量速度で添加する。ポリエーテルカーボナートポリオールの合成に複数のアルキレンオキシドを使用する場合、アルキレンオキシドは、個別に、又は混合物として計量供給することができる。アルキレンオキシドの、及び/又はH−官能性スターター物質の計量添加は、同時に、又は連続的に、別個の計量点(添加点)により、又は一つ以上の計量点により、同時に、又は連続的に行うことができ、その場合、アルキレンオキシド及び/又はH−官能性スターター物質を個別に、又は混合物として計量供給することができる。H−官能性スターター物質の、アルキレンオキシドの、及び/又は二酸化炭素の計量添加の様式及び/又は順序により、ランダム、交互、ブロック、又は勾配状のポリエーテルカーボナートポリオールを合成することができる。
【0042】
好ましい実施態様では、工程(γ)で、一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)の計量添加は、アルキレンオキシドの添加の前の時点で終了する。
【0043】
好ましくは、二酸化炭素の反応性が低いために、過剰の二酸化炭素が有利なので、ポリエーテルカーボナートポリオール中に取り込んだ二酸化炭素の計算量に対して、過剰の二酸化炭素を使用する。二酸化炭素の量は、特定の反応条件下で、総圧を経由して固定することができる。ポリエーテルカーボナートポリオールを製造するための、共重合のための有利な総圧(絶対)は、0.01〜120bar、好ましくは0.1〜110bar、特に好ましくは1〜100barの範囲であることが分かっている。二酸化炭素を連続的に又は断続的に供給することができる。これは、アルキレンオキシドがどの位急速に消費されるか、及び生成物が、所望によりCO
2を含まないポリエーテルブロックを含むかによって異なる。二酸化炭素の量(圧力として示す)も、同様に、アルキレンオキシドを添加する際に変化し得る。CO
2は、反応器に固体形態で加え、次いで選択した反応条件下で、気体状の、溶解した、液体及び/又は超臨界状態に変化することができる。
【0044】
本発明による方法の好ましい実施態様の一特徴は、工程(γ)で、一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)の総量を添加する、即ち、懸濁媒体を工程(α)で使用する。この添加は、一定計量速度で、変化する計量速度で、又は少量ずつ行われる。
【0045】
好ましくは、ポリエーテルカーボナートポリオールは、連続共重合又は一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)の連続添加を含んでなる、連続的方法で製造される。従って、本発明は、工程(γ)で、一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)、一種以上のアルキレンオキシド及びDMC触媒を連続的に反応器中に、二酸化炭素の存在下で計量供給し(「共重合」)、得られた反応混合物(反応生成物を含んでなる)を連続的に反応器から除去する方法も提供する。好ましくは、工程(γ)で、H−官能性スターター物質中に懸濁させたDMC触媒を連続的に添加する。アルキレンオキシド、H−官能性スターター物質及びDMC触媒の計量添加は、別の、又は組合せた計量点を経由して行うことができる。好ましい実施態様では、アルキレンオキシド及びH−官能性スターター物質を、別の計量点を経由して、連続的に反応混合物中に計量供給する。一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)の添加は、反応器中への連続的な計量添加として、又は部分ごとに行うことができる。
【0046】
例えば、工程(α)及び(β)によりポリエーテルカーボナートポリオールを連続的に製造する方法に関して、活性化されたDMC触媒/懸濁媒体混合物を製造し、次いで、工程(γ)で、
(γ1)一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)、一種以上のアルキレンオキシド(複数可)及び二酸化炭素のそれぞれの一部を計量供給し、共重合を開始し、及び
(γ2)共重合が進む際に、DMC触媒、一種以上のスターター物質(複数可)及びアルキレンオキシド(複数可)のそれぞれの残留量を連続的に計量供給し、同時に、形成された反応混合物を連続的に反応器から取り出す。
【0047】
工程(γ)で、DMC触媒は、好ましくはH−官能性スターター化合物中に入れた懸濁液で加える。
【0048】
工程(α)、(β)及び(γ)は、同じ反応器中で行うことができるか、又はそれぞれ異なった反応器中で別々に行うことができる。特に好ましい反応器タイプは、管状反応器、撹拌タンク、ループ反応器である。
【0049】
工程(α)、(β)及び(γ)は、撹拌タンク中で行うことができ、その場合、撹拌タンクは、設計及び操作様式に応じて、反応器シエル、内部冷却表面及び/又はポンプ輸送される循環システム中の冷却表面を経由して冷却される。反応が終了した後にのみ、生成物が取り出される半バッチ製法、及び生成物が連続的に取り出される連続製法の両方において、アルキレンオキシドの計量速度に特別な注意を払うべきである。これは、二酸化炭素の抑制作用にも関わらず、アルキレンオキシドは十分急速に枯渇するように設定すべきである。
【0050】
好ましい実施態様では、工程(α)及び(β)により得られた活性化されたDMC触媒を含んでなる混合物は、同じ反応器中で、一種以上のアルキレンオキシド(複数可)、一種以上のスターター物質(複数可)、及び二酸化炭素とさらに反応する。さらに好ましい実施態様では、工程(α)及び(β)により得られた活性化されたDMC触媒を含んでなる混合物は、別の反応容器(例えば撹拌タンク、管状反応器又はループ反応器)中のアルキレンオキシド、一種以上のスターター物質(複数可)、及び二酸化炭素とさらに反応する。
【0051】
管状反応器中で行われる反応の場合、工程(α)及び(β)により得られた活性化された触媒を含んでなる混合物、一種以上のH−官能性スターター物質(複数可)、一種以上のアルキレンオキシド(複数可)及び二酸化炭素が、管を通して連続的にポンプ輸送される。共反応物のモル比は、望ましい重合体に応じて異なる。好ましい実施態様では、二酸化炭素は、成分の最適混和性を可能にするために、その液体又は超臨界形態で計量供給される。共反応物をより効果的に混合するための混合素子、例えばEhrfeld Mikrotechnik BTS GmbHから市販、又は混合及び熱の除去を同時に改良するミキサー/熱交換器素子を設置するのが有利である。
【0052】
ループ反応器も等しく工程(α)、(β)及び(γ)を行うのに使用できる。一般的に、ループ反応器は、物質の循環をする反応器、例えば連続的にも操作できるジェットループ反応器、又は反応混合物の循環に好適な装置を有するループの形態に設計された管状反応器、又は複数の管状反応器が直列に接続されたループである。ジェットループ反応器の使用は、反応混合物中の遊離アルキレンオキシドの濃度を最適範囲内、好ましくは>0〜40重量%、より好ましくは>0〜25重量%、最も好ましくは>0〜15重量%(それぞれの場合に反応混合物の重量に対して)の範囲内に維持されるように、バックミキシングを達成することができるので、特に有利である。
【0053】
好ましくは、工程(α)及び(β)は第一反応器で行い、次いで得られた反応混合物を、工程(γ)における共重合用の第二反応器に移す。しかし、工程(α)、(β)及び(γ)を1個の反応器で行うこともできる。
【0054】
工程(i)における方法は、工程(α)及び(β)における懸濁媒体中で活性化したDMC触媒を先ず使用し、DMC触媒を、共重合(γ)の際に予備活性化せずに加えるように行うことができる。従って、本発明の好ましい実施態様の特に有利な特徴は、「新しい」DMC触媒を、工程(γ)で連続的に加えるDMC触媒の一部を活性化せずに使用できることである。工程(β)と同様に行うDMC触媒の活性化は、操作員がさらに注意しなければならないので、製造コストを増加するのみならず、加圧反応タンクを必要とし、そのため、対応する製造プラントを建設する時の投資コストも増加する。ここで、「新しい」DMC触媒とは、固体形態にある、又はスターター物質又は懸濁媒体中のスラリーの形態にある、活性化されていないDMC触媒として定義される。本方法の、新しい、非活性化DMC触媒を工程(γ)で使用する能力により、ポリエーテルカーボナートポリオールの商業的製造において、著しい節約が可能であり、本発明の好ましい実施態様である。
【0055】
ここで使用する用語「連続的」は、DMC触媒の、又は反応物の実質的に連続的な有効濃度が維持されるような、関連する触媒又は反応物の添加様式として、定義される。触媒は、真に連続的に、又は比較的狭い間隔を置いて配置された増加分で供給される。同様に、スターターの連続的な添加も、真に連続的に、又は増加分で行われる。DMC触媒又は反応物を、添加された材料の濃度が、短時間の間、実質的にゼロに落ちてから、次の増加した添加になるように漸増的に加えても、本方法からの逸脱にはならないであろう。しかし、DMC触媒濃度は、連続的な反応経過の主要部分、実質的に同じ濃度に維持し、スターター物質は、共重合プロセスの主要部分、存在するのが好ましい。生成物の性質に実質的に影響を及ぼさない、DMC触媒及び/又は反応物の漸増添加は、その用語がここで使用される意味において、それにも関わらず、「連続的」である。例えば、反応混合物の一部が、プロセスの前の点に戻される循環ループを与えることが考えられ、それによって、漸増添加により行われる不連続性が均される。
【0056】
所望により、揮発性構成成分(例えば残留量のアルキレンオキシド、副生物又は懸濁媒体)は、工程(i)から得られる反応混合物から、例えば減圧蒸留又は薄膜蒸発により、除去する。
【0057】
工程(ii)
例えば、工程(ii-1)及び/又は(ii-2)は、2回〜10回繰り返し、その場合、好ましい実施態様では、プロピレンオキシド(PO)とエチレンオキシド(EO)を含んでなる混合物を使用し、繰り返す毎にEOの重量比率を増加させる。本発明の特に好ましい実施態様では、POとEOの混合物中のEOの重量比率を、出発PO/EO混合比と最終PO/EO混合比の間で連続的に増加させ、出発PO/EO混合比は、工程(ii-1)で限定した重量比からのPO/EO混合比に相当し、最終PO/EO混合比は、工程(ii-2)で限定した重量比からのPO/EO混合比に相当する。
【0058】
工程(ii-1)又は(ii-2)で製造されるPO及びEOの混合ブロックの平均長さは、それぞれの場合に、ポリエーテルカーボナートポリオールのOH基1個に対して、1.0〜20.0アルキレンオキシド単位、より好ましくは1.5〜10.0アルキレンオキシド単位である。
【0059】
所望により、工程(ii)の遂行に関して、不活性ガス(例えばアルゴン又は窒素)を工程(i)から得られる混合物中に、温度90〜150℃、より好ましくは100〜140℃で導入し、同時に、減圧を作用させ(絶対)、反応器中に10mbar〜800mbar、より好ましくは50mbar〜200mbarの圧力を確立する(以下、「ストリッピング」と云う)。
【0060】
所望により、工程(ii)は、DMC触媒を、工程(i)から得られる反応混合物に添加することにより、行うことができる。あるいは、工程(ii)は、工程(i)から得られる混合物中に存在するDMC触媒だけで行うこともできる。
【0061】
工程(ii)の遂行に関して、H−官能基を含まない溶剤を、工程(i)から得られる反応混合物に添加することができる。
【0062】
好適な溶剤は、好ましくは全ての極性非プロトン性、弱極性非プロトン性、及び非極性非プロトン性溶剤であり、どれもH−官能基を含まない。使用する溶剤は、これらの溶剤の2種類以上の混合物でもよい。下記の極性非プロトン性溶剤、即ち4-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン(以下、環状プロピレンカーボナート又はcPCとも呼ぶ)、 1,3-ジオキソラン-2-オン(以下、環状エチレンカーボナート又はcECとも呼ぶ)、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、ニトロメタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドンを例として挙げることができる。非極性及び弱極性非プロトン性溶剤の群には、例えばエーテル、例えばジオキサン、ジエチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル及びテトラヒドロフラン、エステル、例えば酢酸エチル及び酢酸ブチル、炭化水素、例えばペンタン、n-ヘキサン、ベンゼン及びアルキル化ベンゼン誘導体(例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン)、塩素化炭化水素、例えばクロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及び四塩化炭素がある。好ましい溶剤は、4-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン-2-オン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン及びこれら溶剤の二種以上の混合物であり、特に好ましくは4-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソラン及び1,3-ジオキソラン-2-オン、又は4-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソランと1,3-ジオキソラン-2-オンの混合物である。
【0063】
工程(iii)
所望により、工程(iii)は、DMC触媒を工程(ii)で得た反応混合物に添加することにより、行うことができる。あるいは、工程(iii)は、工程(ii)から得た混合物中に存在するDMC触媒だけで行うこともできる。
【0064】
工程(iii)の遂行に関して、H−官能基を全く含まない溶剤を、工程(ii)から得た混合物に添加することができる。好適な溶剤は、工程(ii)で述べた溶剤である。
【0065】
エチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物の計量添加に続いて、アルキレンオキシドを実質的に枯渇させるのに役立つ、さらなる反応工程を行うことができる。
【0066】
好ましくは、揮発性構成成分(例えば、残留量のアルキレンオキシド、副生物又は溶剤)を、工程(iii)から得た反応混合物から、例えば減圧下で蒸留又は薄膜蒸発により、除去する。
【0067】
好ましくは、工程(iii)の後に得られるポリエーテルカーボナートポリオールは、第一級OH基の比率が40〜90mol%、より好ましくは45〜85mol%である。
【0068】
工程(iii)で製造されるアルキレンオキシドブロックの平均長さは、それぞれの場合に、ポリエーテルカーボナートポリオールのOH基1個に対して、1〜30アルキレンオキシド単位、より好ましくは1.5〜18アルキレンオキシド単位である。
【0069】
好ましくは、工程(iii)の後に得られるポリエーテルカーボナートポリオールは、ヒドロキシル価が20mgKOH〜80mgKOH、より好ましくは25mgKOH〜60mgKOHである。
【0070】
工程(ii)及び(iii)に関して、これらは、50〜170℃、好ましくは70〜150℃、より好ましくは90〜140、及び最も好ましくは100〜130℃で行うのが有利であることが分かった。
【0071】
工程(ii)及び(iii)は、同じ反応器で行うことができるか、又はそれぞれ異なった反応器中で別々に行うことができる。好ましい反応器タイプは、管状反応器、撹拌タンク、ループ反応器である。工程(ii)及び(iii)は、より好ましくは撹拌タンクで行い、その場合、生成物は、工程(iii)の反応が終了した後、撹拌タンクから取り出す(半バッチ製法)。最も好ましくは、撹拌タンクは、設計及び操作様式により、反応器シエル、内部冷却表面、及び/又はポンプ輸送される循環システム中の冷却表面を経由して冷却される。
【0072】
アルキレンオキシドの単独重合で使用するDMC触媒は、原則的に、先行技術(例えば米国特許出願公開第3404109号、第3829505号、第3941849号及び第5158922号参照)から公知である。例えば米国特許出願公開第5470813号、欧州特許出願公開第700949号、第743093号、第761708号、国際公開第97/40086号パンフレット、第98/16310号パンフレット及び第00/47649号パンフレットに記載されているDMC触媒は、活性が非常に高く、ポリエーテルカーボナートポリオールの製造を非常に低い触媒濃度で可能にするので、完成した生成物から触媒を分離することが一般的に必要ない。典型的な例は、欧州特許出願公開第700949号に記載されている高活性DMC触媒であり、これは、二重金属シアン化物化合物(例えばヘキサシアノコバルト酸(III)亜鉛)及び有機コンプレックス配位子(例えばtert-ブタノール)に加えて、数平均分子量が500g/molを超えるポリエーテルも含む。
【0073】
本発明のDMC触媒は、好ましくは
(a)第一工程で、金属塩の水溶液を金属シアン化物塩の水溶液と、一種以上の有機コンプレックス配位子、例えばエーテル又はアルコール、の存在下で、反応させ、
(b)第二工程で、固体を、公知の技術(例えば遠心分離又はろ過)により、(i)から得た懸濁液から分離し、
(ci) 第三工程で、所望により、単離した固体を、有機コンプレックス配位子の水溶液で洗浄し(例えば、再懸濁させ、次いで所望によりろ過又は遠心分離により再度単離することにより)、
(d)得られた固体を、所望により微粉砕した後、一般的に20〜120℃の温度で、及び一般的に0.1mbar〜標準圧(1013mbar)の圧力下で乾燥させ、
及び第一工程で、又は二重金属シアン化物化合物を沈殿(第二工程)させた直後に、一種以上の有機コンプレックス配位子、好ましくは過剰に(二重金属シアン化物化合物に対して)、及び所望によりさらなるコンプレックス形成成分を加える
手順により得られる。
【0074】
本発明のDMC触媒中に存在する二重金属シアン化物化合物は、水溶性金属塩と水溶性金属シアン化物塩の反応生成物である。
【0075】
例えば、塩化亜鉛(好ましくは、金属シアン化物塩、例えばヘキサシアノコバルト酸カリウム、に対して過剰に)及びヘキサシアノコバルト酸カリウムの水溶液を混合し、次いでジメトキシエタン(グライム)又はtert-ブタノール(好ましくは、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛に対して過剰に)を、形成された懸濁液に加える。
【0076】
二重金属シアン化物化合物の製造に好適な金属塩は、好ましくは一般式(II)
M(X)
n (II)
を有し、式中
Mは、金属陽イオンZn
2+、Fe
2+、Ni
2+、Mn
2+、Co
2+、Sr
2+、Sn
2+、Pb
2+及びCu
2+から選択され、Mは、好ましくはZn
2+、Fe
2+、Co
2+又はNi
2+であり、
Xは、一種以上の(即ち、異なった)陰イオン、好ましくはハロゲン化物(即ち、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、イソシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩及び硝酸塩から選択された陰イオンであり、
nは、X=硫酸塩、炭酸塩又はシュウ酸塩の場合、1であり、
nは、X=ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、イソシアン酸塩、イソチオシアン酸塩又は硝酸塩の場合、2であり、
【0077】
又は好適な金属塩は、一般式(III)
M
r(X)
3 (III)
を有し、式中
Mは、金属陽イオン、Fe
3+、Al
3+、Co
3+及びCr
3+から選択され、
Xは、一種以上の(即ち、異なった)陰イオン、好ましくはハロゲン化物(即ち、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、イソシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩及び硝酸塩から選択された陰イオンであり、
rは、X=硫酸塩、炭酸塩又はシュウ酸塩の場合、2であり、
rは、X=ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、イソシアン酸塩、イソチオシアン酸塩又は硝酸塩の場合、1であり、
【0078】
又は好適な金属塩は、一般式(IV)
M(X)
S (IV)
を有し、式中
Mは、金属陽イオン、Mo
4+、V
4+及びW
4+から選択され、
Xは、一種以上の(即ち、異なった)陰イオン、好ましくはハロゲン化物(即ち、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、イソシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩及び硝酸塩から選択された陰イオンであり、
sは、X=硫酸塩、炭酸塩又はシュウ酸塩の場合、2であり、
sは、X=ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、イソシアン酸塩、イソチオシアン酸塩又は硝酸塩の場合、4であり、
【0079】
又は好適な金属塩は、一般式(V)
M(X)
t (V)
を有し、式中
Mは、金属陽イオン、Mo
6+及びW
6+から選択され、
Xは、一種以上の(即ち、異なった)陰イオン、好ましくはハロゲン化物(即ち、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、イソシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、カルボン酸塩、シュウ酸塩及び硝酸塩から選択された陰イオンであり、
tは、X=硫酸塩、炭酸塩又はシュウ酸塩の場合、3であり、
tは、X=ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、イソシアン酸塩、イソチオシアン酸塩又は硝酸塩の場合、6である。
【0080】
好適な金属塩の例は、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酢酸亜鉛、アセチルアセトン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸鉄(II)、臭化鉄(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、塩化コバルト(II)、チオシアン酸コバルト(II)、塩化ニッケル(II)及び硝酸ニッケル(II)である。異なった金属塩の混合物も使用できる。
【0081】
二重金属シアン化物化合物の製造に好適な金属シアン化物は、好ましくは一般式(VI)
(Y)
aM’(CN)
b(A)
C (VI)
を有し、式中、
M’は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)及びV(V)からなる群からの一種以上の金属陽イオンから選択され、M’は、好ましくはCo(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)及びNi(II)からなる群からの一種以上の金属陽イオンから選択され、
Yは、アルカリ金属(即ちLi
+、Na
+、K
+、Rb
+)及びアルカリ土類金属(即ちBe
2+、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Ba
2+)からなる群からの一種以上の金属陽イオンから選択され、
Aは、ハロゲン化物(即ち、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩、シアン酸塩、チオシアン酸塩、イソシアン酸塩、イソチオシアン酸塩、カルボン酸塩、アジ化物、シュウ酸塩又は硝酸塩からなる群からの一種以上の陰イオンから選択され、
a、b及びcは、整数であり、a、b及びcの値は、金属シアン化物塩の電気的中性が与えられるように選択され、aは、好ましくは1、2、3又は4であり、bは、好ましくは4、5又は6であり、cは、好ましくは値0を有する。
【0082】
好適な金属シアン化物塩の例は、ヘキサシアノコバルト(III)酸ナトリウム、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアノコバルト(III)酸カルシウム及びヘキサシアノコバルト(III)酸リチウムである。
【0083】
本発明のDMC触媒中に存在する好ましい二重金属シアン化物化合物は、一般式(VII)
M
x[M’
x,(CN)
y]
z (VII)
の化合物であり、式中、Mは、式(II)〜(V)に定義した通りであり、
M’は、式(VI)に定義した通りであり、
x、x’、y及びzは、整数であり、二重金属シアン化物化合物の電気的中性が与えられるように選択される。
【0084】
好ましくは、
x=3、x’=1、y=6及びz=2、
M=Zn(II)、Fe(II)、Co(II)又はNi(II)及び
M’=Co(III)、Fe(III)、Cr(III)又はIr(III)である。
【0085】
好適な二重金属シアン化物化合物a)の例は、ヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛、ヘキサシアノイリジウム(III)酸亜鉛、ヘキサシアノ鉄(III)酸亜鉛及びヘキサシアノコバルト(III)酸コバルト(II)である。好適な二重金属シアン化物化合物のさらなる例は、例えば米国特許第5158922号(段落8、29〜66行目)に見られる。ヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛を使用するのが特に好ましい。
【0086】
DMC触媒の製造で添加する有機コンプレックス配位子は、例えば米国特許第5158922号(特に段落6、9〜65行目参照)、第3404109号、第3829505号、第3941849号、欧州特許出願公開第700949号、第761708号、日本国特許第4145123号、米国特許第5470813号、欧州特許出願公開第743093号及び国際公開第97/40086号パンフレットに開示されている。例えば、使用する有機コンプレックス配位子は、異原子、例えば酸素、窒素、リン又は硫黄、を有する水溶性の有機化合物であり、これは、二重金属シアン化物化合物とコンプレックスを形成することができる。好ましい有機コンプレックス配位子は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、エステル、アミド、尿素、ニトリル、硫化物及びそれらの混合物である。特に好ましい有機コンプレックス配位子は、脂肪族エーテル(例えばジメトキシエタン)、水溶性脂肪族アルコール(例えばエタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、2-メチル-3-ブテン-2-オール及び2-メチルー3-ブチン-2-オール)、脂肪族又は環状脂肪族エーテル基及び脂肪族ヒドロキシル基の両方を含む化合物(例えばエチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル及び3-メチル-3-オキセタン-メタノール)である。最も好ましい有機コンプレックス配位子は、ジメトキシエタン、tert-ブタノール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチルー3-ブチン-2-オール、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル及び3-メチル-3-オキセタン-メタノールからなる群からの一種以上の化合物から選択される。
【0087】
所望により、本発明によるDMC触媒の製造では、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル、ポリアルキレングリコールグリシジルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリ(アクリル酸-コ-マレイン酸)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキルアクリラート、ポリアルキルメタクリラート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ-N-ビニルピロリドン、ポリ(N−ビニルピロリドン−コ−アクリル酸)、ポリビニルメチルケトン、ポリ(4−ビニルフェノール)、ポリ(アクリル酸−コ−スチレン)、オキサゾリン重合体、ポリアルキレンイミン、マレイン酸及び無水マレイン酸共重合体、ヒドロキシエチルセルロース及びポリアセタールの、又はグリシジルエーテル、グリコシド、多価アルコールのカルボン酸エステル、没食子酸又は塩、それらのエステル又はアミド、シクロデキストリン、リン化合物、α、β−不飽和カルボン酸エステル又はイオン性表面−又は界面活性剤化合物の化合物群からの一種以上のコンプレックス形成成分を使用する。
【0088】
好ましくは、本発明によるDMC触媒の製造では、第一工程で、金属シアン化物塩に対して化学量論的過剰の(少なくとも50モル%)で使用する(即ち、少なくとも金属塩対金属シアン化物塩のモル比2.25:1.00)金属塩(例えば塩化亜鉛)及び金属シアン化物塩(例えばヘキサシアノコバルト酸カリウム)の水溶液を、有機コンプレックス配位子(例えばtert−ブタノール)の存在下で転化し、二重金属シアン化物化合物(例えばヘキサシアノコバルト酸亜鉛)、水、過剰の金属塩、及び有機コンプレックス配位子を含んでなる懸濁液を形成する。
【0089】
有機コンプレックス配位子は、金属塩及び/又は金属シアン化物塩の水溶液中に存在できるか、又は二重金属シアン化物化合物の沈殿の後に得られる懸濁液に直接加える。金属塩の水溶液及び金属シアン化物塩の水溶液、及び有機コンプレックス配位子を、強く撹拌しながら混合するのが有利であることが分かった。所望により、第一工程で形成された懸濁液を、続いてさらなるコンプレックス形成成分で処理する。コンプレックス形成成分は、水及び有機コンプレックス配位子を含む混合物中で使用する。第一工程(即ち、懸濁液の製造)を行うのに好ましい方法は、混合ノズル、特に好ましくは国際公開第01/39883号パンフレットに記載されているジェット分散装置、を使用して行う。
【0090】
第二工程で、固体(即ち、本発明による触媒の前駆物質)を、公知の技術、例えば遠心分離又はろ過、により懸濁液から単離する。
【0091】
好ましい実行変形では、第三のプロセス工程で、単離された固体を、続いて有機コンプレックス配位子の水溶液で洗浄する(例えば再懸濁させ、続いてろ過又は遠心分離により再度単離する)。この様にして、水溶性二次生成物、例えば塩化カリウム、を、本発明の触媒から除去することができる。好ましくは、水性洗浄溶液中の有機コンプレックス配位子の量は、溶液全体に対して40〜80重量%である。
【0092】
所望により、第三工程で、さらなるコンプレックス形成成分を水性洗浄溶液に、好ましくは溶液全体に対して0.5〜5重量%の範囲内で、加える。
【0093】
さらに、単離した固体を2回以上洗浄するのが有利である。好ましくは、固体は、第一洗浄工程(iii-1)で、不飽和アルコールの水溶液を洗浄に使用し(例えば再懸濁させ、続いてろ過又は遠心分離により単離することにより)、例えば水溶性の副生物、例えば塩化カリウム、を本発明の触媒からこのように除去する。特に好ましくは、水性洗浄溶液中の不飽和アルコールの量は、第一洗浄工程の溶液全体に対して40〜80重量%である。さらなる洗浄工程(iii-2)では、第一洗浄工程を1回又は2回以上、好ましくは1〜3回、繰り返すか、又は、好ましくは非水性溶液、例えば不飽和アルコールとさらなるコンプレックス形成成分の混合物又は溶液(好ましくは工程(iii-2)の洗浄溶液の総量に対して0.5〜5重量%)、を洗浄溶液として使用し、固体を1回又は2回以上、好ましくは1〜3回洗浄する。
【0094】
単離し、所望により洗浄した固体を、続いて所望により微粉砕した後、一般的に20〜100℃の温度及び一般的に0.1mbar〜標準的な圧力(1013mbar)で乾燥させる。
【0095】
本発明のDMC触媒をろ過により懸濁液から単離し、フィルターケーキ洗浄し、及び乾燥させる好ましい方法は、国際公開第01/80994号パンフレットに記載されている。
【0096】
本発明の方法により得られるポリエーテルカーボナートポリオールは、副生物の含有量が低く、特にジ−及び/又はポリイソシアナートとの反応により、ポリウレタン、特にたわみ性ポリウレタンフォームに、問題なく処理することができる。ポリウレタン用途には、好ましくは、少なくとも2の官能性を有するH−官能性スターター物質を基剤とするポリエーテルカーボナートポリオールを使用する。さらに、本発明の方法により得られるポリエーテルカーボナートポリオールは、洗浄及びクリーニング剤処方物、ドリル加工液体、燃料添加剤、イオン系及び非イオン系界面活性剤、潤滑剤、製紙又は織物製造用の処理化学薬品、又は化粧品処方物のような用途にさらに使用できる。当業者には公知のように、問題とする用途の分野に応じて、使用するポリエーテルカーボナートポリオールは、特定の材料特性、例えば分子量、粘度、官能性及び/又はヒドロキシル価、を満足しなければならない。
【0097】
たわみ性ポリウレタンフォーム
本発明は、DIN EN ISO 3386-1-98による見掛け密度が≧10kg/m
3〜≦150kg/m
3、好ましくは20kg/m
3〜≦70kg/m
3の範囲内であり、DIN EN ISO 3386-1-98による押込み硬さが≧0.5kPa〜20kPa(40%変形及び第4サイクルで)であるたわみ性ポリウレタンフォームを、
A1 100〜10重量部、好ましくは100〜50重量部、より好ましくは100重量部(成分A1及びA2の重量部の総計に対して)の、本発明の方法により得られるポリエーテルカーボナートポリオール、
A2 0〜90重量部、好ましくは0〜50重量部(成分A1及びA2の重量部の総計に対して)の、従来ポリエーテルポリオール、より好ましくは成分Aは従来ポリエーテルポリオールを含まない、
A3 0.5〜25重量部、好ましくは2〜5重量部(成分A1及びA2の重量部の総計に対して)の、水及び/又は物理的発泡剤、
A4 0.05〜10重量部、好ましくは0.2〜4重量部(成分A1及びA2の重量部の総計に対して)の、補助成分および添加剤、例えば
a)触媒、
b)表面活性添加剤、
c)顔料又は難燃剤、
A5 0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部(成分A1及びA2の重量部の総計に対して)の、イソシアナートに対して反応性の水素原子を有し、62〜399の分子量を有する化合物、
を含んでなる成分A(ポリオール処方物)と、ポリイソシアナートを含んでなる成分Bの反応により製造し、
その製造を、インデックス50〜250、好ましくは70〜30、より好ましくは75〜115で行い、
記載する成分A1〜A5の重量部は、組成物中のA1+A2の重量部総計が100になるように正規化する、方法を提供する。
【0098】
成分A1
工程(i)、(ii)及び(iii)における成分A1の製造は、ポリエーテルカーボナートポリオールの製造方法に関して、すでに上に説明してある。
【0099】
成分A2
成分A2による出発成分は、従来ポリエーテルポリオールである。本発明の状況下では、従来ポリエーテルポリオールとは、Zerewitinoff−活性水素原子を含むスターター化合物のアルキレンオキシド付加生成物である化合物、即ちDIN 53240によるヒドロキシル価が≧15mgKOH/g〜80mgKOH/g、好ましくは20mgKOH/g〜60mgKOH/gであるポリエーテルポリオールである。
【0100】
従来ポリエーテルポリオールに使用される、Zerewitinoff−活性水素原子を有するスターター化合物は、通常、官能性が2〜6、好ましくは3、であり、スターター化合物は、好ましくはヒドロキシ官能性である。ヒドロキシ官能性スターター化合物の例は、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、ドデカン-1,12-ジオール、グリセロール、トリメチルロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、スクロース、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、ホルムアルデヒド及びフェノール又はメラミン又は尿素のメチロール含有縮合物である。使用するスターター化合物は、好ましくはグリセロール及び/又はトリメチルロールプロパンである。
【0101】
好適なアルキレンオキシドは、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド又は2,3-ブチレンオキシド及びスチレンオキシドである。プロピレンオキシド及びエチレンオキシドを反応混合物中に個別に、混合物で、又は連続的に供給するのが好ましい。アルキレンオキシドが連続的に計量供給される場合、製造される生成物は、ブロック構造を有するポリエーテル鎖を含む。エチレンオキシド末端ブロックを有する生成物は、例えば高濃度の第一級末端基を特徴とし、有利なイソシアナート反応性を系に付与する。
【0102】
成分A3
水及び/又は物理的発泡剤が成分A3として使用される。使用する物理的発泡剤は、例えば二酸化炭素及び/又は揮発性有機物質である。
【0103】
成分A4
補助成分および添加剤、例えば
a)触媒(活性化剤)、
b)表面活性添加剤(界面活性剤)、例えば乳化剤及び気泡安定剤、特に低放出物を有する表面活性添加剤、例えばTegostab(登録商標)LFシリーズの製品、
c)添加剤、例えば反応遅延剤(例えば酸性物質、例えば塩酸又は有機ハロゲン化アシル)、セル調整剤(例えばパラフィン又は脂肪アルコールもしくはジメチルポリシロキサン)、顔料、染料、難燃剤(例えばリン酸トリクレシル)、エージング及び風化作用に対する安定剤、可塑剤、殺真菌性及び殺細菌性物質、充填剤(例えば硫酸バリウム、けいそう土、カーボンブラック又はチョーク)及び分離剤
が成分A4として使用される。
【0104】
所望によりさらに使用する、これらの補助成分および添加剤は、例えば欧州特許出願公開第0000389号、18〜21頁に記載されている。本発明で所望によりさらに使用する、補助成分および添加剤のさらなる例、及びこれらの補助成分および添加剤の使用方法及び作用の様式に関する詳細は、Kunststoff-Handbuch[Plastics Handbook]、第VII巻、G.Oertel編集、Carl-Hanser-Verlag、Munich、第3版、1993年、例えば104〜127頁に記載されている。
【0105】
好ましい触媒は、脂肪族第三級アミン(例えばトリメチルアミン、テトラメチルブタンジアミン)、環状脂肪族第三級アミン(例えば1,4-ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタン、脂肪族アミノエーテル(例えばジメチルアミノエチルエーテル及びN,N,N-トリメチル-N-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル)、環状脂肪族アミノエーテル(例えばN-エチルモルホリン)、脂肪族アミジン、環状脂肪族アミジン、尿素、尿素の誘導体(例えばアミノアルキル尿素、欧州特許出願公開第0176013号参照、特に(3-ジメチルアミノプロピルアミノ)尿素)及びスズ触媒(例えばジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウラート、スズオクトアート)である。
【0106】
特に好ましい触媒は、
α)尿素、尿素の誘導体及び/又は
β)それぞれイソシアナートと化学的に反応する官能基を含むアミン及びアミノエーテル。好ましくは、官能基は、ヒドロキシル基、第一級又は第二級アミノ基である。これらの特に好ましい触媒は、移行及び放出特性が大きく低減されているのが利点である。
【0107】
特に好ましい触媒の例は、(3-ジメチルアミノプロピルアミノ)尿素、2-(2-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン、N,N,N-トリメチル-N-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル及び3-ジメチルアミノプロピルアミンが挙げられる。
【0108】
成分A5
所望により、イソシアナートに対して反応性の少なくとも2個の水素原子を有し、分子量が32〜399である化合物を成分A5として使用する。これらは、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基及び/又はチオール基及び/又はカルボキシル基を有する化合物、好ましくはヒドロキシル基及び/又はアミノ基を有し、連鎖延長剤又は架橋剤として作用する化合物を意味するものと理解される。これらの化合物は、一般的に2〜8個、好ましくは2〜4個の、イソシアナートに対して反応性の水素原子を有する。例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ソルビトール及び/又はグリセロールが成分A5として使用できる。成分A5用の化合物のさらなる例は、欧州特許出願公開第0007502号、16〜17頁に記載されている。
【0109】
成分B
好適なポリイソシアナートは、脂肪族、環状脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び複素環式ポリイソシアナートであり、例えばW. SiefkenによりJustus Liebigs Annalen der Chemie、562、75〜136頁、に記載されており、例えば式(VIII)の化合物であり、
Q(NCO)
N (VIII)
式中、
n=2〜4、好ましくは2〜3であり、
Qは、2〜18、好ましくは6〜10個の炭素原子を有する脂肪族ヒドロカルビルラジカル、4〜15、好ましくは6〜13個の炭素原子を有する環状脂肪族ヒドロカルビルラジカル、又は8〜15、好ましくは8〜13個の炭素原子を有する芳香脂肪族ヒドロカルビルラジカルである。
【0110】
例えばポリイソシアナートは、欧州特許出願公開第0007502号、7〜8頁に記載されているようなポリイソシアナートである。好ましくは、容易に工業的に入手できるポリイソシアナート、例えばトリレン2,4−及び2,6−ジイソシアナート及びこれらの異性体の望ましい混合物(「TDI」)、アニリン−ホルムアルデヒド縮合し、続いてホスゲン化(「粗製MDI」)することにより、製造されるポリフェニルポリメチレンポリイソシアナート、及びカルボジイミド基、ウレタン基、アロファナート基、イソシアヌラート基、尿素基又はビウレット基を有するポリイソシアナート(「変性ポリイソシアナート」)、特にトリレン2,4−および/または2,6−ジイソシアナート又はジフェニルメタン4,4’−および/または2,4’−ジイソシアナートに由来する変性ポリイソシアナートが好ましい。使用するポリイソシアナートは、好ましくはトリレン2,4−および/または2,6−ジイソシアナート、ジフェニルメタン4,4’−および/または2,4’−及び2,2’−ジイソシアナート及びポリフェニルポリメチレンポリイソシアナート(「多環MDI」)からなる群から選択された少なくとも一種の化合物であり、より好ましくは、使用するポリイソシアナートは、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアナート、ジフェニルメタン2,4’−ジイソシアナート及びポリフェニルポリメチレンポリイソシアナートを含んでなる混合物である。
【0111】
たわみ性ポリウレタンフォームを製造するには、反応成分を、それ自体公知の1段階製法により反応させるが、例えば欧州特許出願公開第355000号に記載されている、機械的装置を使用することが多い。本発明による選択肢でもある処理装置の詳細は、Kunststoff-Handbuch、第VII巻、Vieweg及びHochtlen編集、Carl-Hanser-Verlag、Munich、1993年、例えば139〜265頁に記載されている。
【0112】
たわみ性ポリウレタンフォームは、成形されたフォームとして、又はスラブストックフォームとして製造することができる。従って、本発明は、たわみ性ポリウレタンフォームの製造方法、これらの方法により製造されたたわみ性ポリウレタンフォーム、これらの方法により製造されたたわみ性スラブストックポリウレタンフォーム又は成形されたフォーム、成形品を製造するためのたわみ性ポリウレタンフォームの使用及び成形品自体を提供する。本発明により得られるたわみ性ポリウレタンフォームは、例えば家具の詰め物、織物挿入物、マットレス、自動車用シート、ヘッドレスト、アームレスト、スポンジ及び建設要素に使用される。
【0113】
インデックスは、イソシアナート基(NCO)量の化学量論的量、即ちOH当量の転化に計算された量、に実際に使用されるイソシアナート量の百分率比を表す。
インデックス=[(使用したイソシアナートの量):(計算されたイソシアナートの量)]・100(IX)
【実施例】
【0114】
方法
見掛け密度は、DIN EN ISO 3386-1-98により測定した。
押込み硬さは、DIN EN ISO 3386-1-98により測定した(40%変形及び第4サイクルで)。
引張強度及び破断点伸びは、DIN EN ISO 1798により測定した。
圧縮永久ひずみCS50%及びCS75%は、DIN EN ISO 1856-2001-03により、それぞれ50%及び75%圧縮で測定した。
圧縮永久ひずみCS90%/22h/70℃は、DIN EN ISO 1856-2008により、90%圧縮で測定した。
【0115】
OH価
OH価は、DIN 53240の方法により測定した。
【0116】
粘度
粘度は、回転粘度計(Physica MCR 51、製造業者Anton Paar)を使用して、DIN 53240の方法により、せん断速度5s
−1で測定した。
【0117】
GPC
生成物の数平均分子量M
n及び重量平均分子量M
w、及び多分散度(M
w/M
n)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。DIN 55672-1の手順に従う、即ち「ゲル透過クロマトグラフィー、1部-溶離液としてテトラヒドロフラン」(PSS Polymer ServiceからのSECurity GPC Systems、流量1.0ml/min、カラム2xPSS SDV liner M、8x300mm、5μm、RID検出器) 。
モル質量が既知であるポリスチレン試料を計算に使用した。
【0118】
第一級OH基
第一級OH基のモル比率の決定:
1H-NMR(Bruker DPX 400、ジュウテロクロロホルム)による
第一級OH基の含有量を測定するには、ポリオール試料を先ず過アセチル化する。これは、下記の過アセチル化混合物を生じて行った。
9.4gの無水酢酸p.A.
1.6gの酢酸p.A.
100mLのピリジンp.A.
【0119】
過アセチル化反応には、ポリオール(ポリエーテルカーボナートポリオール又はポリエーテルポリオール)10gを、フランジ付き三角フラスコ300mL中に秤量した。過アセチル化混合物の体積は、過アセチル化すべきポリオールのOH価により導き、ポリオールのOH価を10の次の倍数に丸め(それぞれの場合にポリオール10gに対して)、10mgKOH毎に、過アセチル化混合物10mLを加えた。例えば、過アセチル化混合物50mLは、OH価=45.1mgKOH/gを有するポリオール10gの試料に対応して加えた。
【0120】
ガラス製の沸騰チップを加えた後、フランジ付き三角フラスコにライザーチューブ(エアコンデンサー)を取り付け、試料を穏やかな環流下で75分間沸騰させた。次いで、試料混合物を500mLの丸底フラスコに移し、揮発性構成成分(実質的にピリジン、酢酸及び過剰の無水酢酸)を80℃、10mbar(絶対)で、30分間留別した。次いで、蒸留残留物を、それぞれ100mLのシクロヘキサン(蒸留残留物がシクロヘキサン中に溶解しない場合には、トルエンを代わりに使用する)と3回混合し、揮発性構成成分をその都度80℃、400mbar(絶対)で15分間除去した。続いて、試料の揮発性構成成分を100℃、10mbar(絶対)で1時間除去した。
【0121】
ポリオール中の第一級及び第二級OH末端基のモル比率を決定するために、こうして調製した試料を、重水素化したクロロホルム中に溶解させ、
1H-NMR(Bruker製、DPX 400、400MHz、zg30パルスプログラム、待ち時間dl:10s、64スキャン)で分析した。
1H-NMRにおける関連する共鳴(TMS=0ppmに対して)は下記の通りである。
過アセチル化第二級OH末端基のメチル信号は2.04ppm
過アセチル化第一級OH末端基のメチル信号は2.07ppm
従って、第二級及び第一級OH末端基のモル比率は、下記の通りである。
第二級OH末端基の比率(CH-OH)=A(2.04)/(A(2.04)+A(2.07))*100%(X)
第一級OH末端基の比率(CH2-OH)=A(2.07)/(A(2.04)+A(2.07))*100%(XI)
【0122】
式(X)及び(XI)で、Aは2.04ppm又は2.07ppmにおける共鳴の面積を表す。
【0123】
ポリエーテルカーボナートポリオール中のCO
2含有量
得られるポリエーテルカーボナートポリオール中に取り入れられたCO
2の比率及びプロピレンカーボナートとポリエーテルカーボナートポリオールの比は、
1H-NMR(Bruker製、DPX 400、400MHz、zg30パルスプログラム、待ち時間dl:10s、64スキャン)により決定した。各試料を、重水素化したクロロホルム中に溶解させた。
1H-NMRにおける関連する共鳴(TMS=0ppmに対して)は下記の通りである。
環状カーボナート(副生物として形成された)の共鳴は4.5ppm、ポリエーテルカーボナートポリオール中に取り込まれた二酸化炭素から形成されたカーボナートの共鳴は5.1〜4.8ppm、未反応POの共鳴は2.4ppm、ポリエーテルポリオール(即ち、二酸化炭素を取り込まなかった)の共鳴は1.2〜1.0ppm、スターター分子として取り込まれたオクタン-1,8-ジオール(存在する場合)の共鳴は1.6〜1.52ppmである。
【0124】
反応混合物中の重合体に取り込まれたカーボナートのモル画分は、式(XII)により、下記の略号を使用して計算する。
A(4.5)=環状カーボナートに関する4.5ppmにおける共鳴の面積(水素原子に対応する)
A(5.1〜4.8)=環状カーボナートに関するポリエーテルカーボナートポリオール及び水素原子の5.1〜4.8ppmにおける共鳴の面積
A(2.4)=遊離未反応POに関する2.4ppmにおける共鳴の面積
A(1.2〜1.0)=ポリエーテルポリオールに関する1.2〜1.0ppmにおける共鳴の面積
A(1.6〜1.52)=存在する場合、オクタン-1,8-ジオール(スターター)に関する1.6〜1.52ppmにおける共鳴の面積
【0125】
相対強度を考慮して、転化は、反応混合物中の、mol%で表す、重合体形態(「直鎖状カーボナート」LC)で結合したカーボナートに対して、下記の式(XII)により行った。
【数1】
【0126】
反応混合物中の重合体に結合したカーボナート(LC’)の重量比率(重量%で表す)は、式(XIII)により計算した。
【数2】
式中、D(「分母」D)の値は、式(XIV)により計算する。
【数3】
【0127】
CO
2のモル質量(モル質量44g/mol)及びプロピレンオキシド(モル質量58g/mol)のモル質量の総計から得たファクター102、プロピレンオキシドモル質量から得たファクター58、及びオクタン-1,8-ジオールスターター(存在する場合)のモル質量から得たファクター146を使用する。
【0128】
反応混合物中の環状カーボナート(CC’)の重量比率(重量%で表す)を、式(XV)により計算する。
【数4】
式中、Dの値は、式(XIV)により計算した。
【0129】
重合体含有量に基づく組成物(CO
2を含まない条件下で起こる活性化工程の際にスターター及びプロピレンオキシドから形成されたポリエーテルポリオール、及びCO
2の存在下で起こる活性化の際に、及び共重合の際にスターター、プロピレンオキシド及び二酸化炭素から形成されたポリエーテルカーボナートからなる)を、反応混合物の組成物に対する値から計算するために、反応混合物の非重合体状構成成分(即ち、存在する環状プロピレンカーボナート及び全ての転化されていないプロピレンオキシド)を、計算から除外した。ポリエーテルカーボナートポリオール中の反復カーボナート単位の重量比率を、ファクターF=44/(44+58)により二酸化炭素の重量比率に換算した。ポリエーテルカーボナートポリオール中のCO
2含有量の比率は、共重合及びCO
2の存在下で、活性化工程で形成されたポリエーテルカーボナートポリオール分子の比率に対して正規化する(即ち、スターター(存在する場合、オクタン-1,8-ジオール)から、及びスターターと、CO
2を含まない条件下で加えたエポキシドとの反応から得られたポリエーテルカーボナートポリオール分子の比率はここでは考慮しない)。
【0130】
使用する原料
全ての例で使用したDMC触媒は、国際公開第01/80994A1号パンフレットの例6により調製したDMC触媒であった。
【0131】
環状プロピレンカーボナート:Acrosから
【0132】
A.工程(i)における前駆物質の製造
ポリエーテルカーボナートポリオール前駆物質A
ガス計量供給装置を有する50リットル圧力容器に、先ずDMC触媒9.5g、及びスターターとしてOH価=237mgKOH/gを有する三官能性ポリ(オキシプロピレン)ポリオール10680gを装填した。反応器を130℃に加熱し、3回200mbar(絶対)に排気し、窒素を反復装填することにより不活性化した。130℃で、CO
2の非存在下で、プロピレンオキシド1310gを反応器に急速に計量供給した。反応開始は、温度ピーク(「ホットスポット」)により、及びほぼ出発圧力(約1bar)に圧力低下することにより分かった。最初の圧力低下の後、さらにPO880g、次いでPO740gを急速に計量供給し、その都度、温度ピーク及び圧力低下が再度起きた。反応器に54bar(絶対)のCO
2を装填した後、PO1330gを急速に計量供給し、温度ピークが再度起きた。同時に、二酸化炭素CO
2の圧力が下がり始めた。値が目標を下回った時に新しいCO
2を加えて、圧力を調整した。その後でのみ、残留プロピレンオキシド(27360g)を反応器に、約7.0kg/hで連続的にポンプ輸送して、約30min以内に温度が107℃に下がった。PO添加が終了した後、反応温度で、上記の圧力で、撹拌を約60分間続行した。薄膜蒸発により、揮発性構成成分が最終的に生成物から除去された。
生成物特性
OH価 58.3mgKOH/g
粘度(25℃) 4020mPas
CO2含有量 14.0重量%
【0133】
ポリエーテルカーボナートポリオール前駆物質B
ガス計量供給装置を有する50リットル圧力容器に、先ずDMC触媒9.5g、及びスターターとしてOH価=237mgKOH/gを有する三官能性ポリ(オキシプロピレン)ポリオール10680gを装填した。反応器を130℃に加熱し、3回200mbar(絶対)に排気し、窒素を反復装填することにより不活性化した。130℃で、CO
2の非存在下で、プロピレンオキシド1310gを反応器に急速に計量供給した。反応開始は、温度ピーク(「ホットスポット」)により、及びほぼ出発圧力(約1bar)に圧力低下することにより分かった。最初の圧力低下の後、さらにPO880gを急速に計量供給し、温度ピーク及び圧力低下が再度起きた。反応器に54bar(絶対)のCO
2を装填した後、PO1330gを急速に計量供給し、温度ピークが再度起きた。同時に、二酸化炭素CO
2の圧力が下がり始めた。値が目標を下回った時に新しいCO
2を加えて、圧力を調整した。その後でのみ、残留プロピレンオキシド(27360g)を反応器に、約7.0kg/hで連続的にポンプ輸送して、約40min以内に温度が104℃に下がった。PO添加が終了した後、反応温度で、上記の圧力で、撹拌を約60分間続行した。薄膜蒸発により、揮発性構成成分が最終的に生成物から除去された。
生成物特性
OH価 56.4mgKOH/g
粘度(25℃) 7265mPas
CO2含有量 15.8重量%
【0134】
ポリエーテルポリオール前駆物質A
2リットルステンレス鋼圧力反応器に、最初に、OH価=237mgKOH/gを有する三官能性ポリ(オキシプロピレン)ポリオール362g及びDMC触媒0.28gを窒素下で装填し、次いで130℃に加熱した。0.1bar(絶対)で30分間窒素ストリッピングした後、反応器を105℃に冷却し、この温度で、110分間撹拌(800rpm)しながら、プロピレンオキシド1038gを反応器に計量供給した。45分間さらに反応させた後、揮発性構成成分を減圧下、90℃で30分間蒸留して除き、次いで反応混合物を室温に冷却した。
生成物特性
OH価 57.9mgKOH/g
粘度(25℃) 553mPas
【0135】
B.工程(ii)及び(iii)における前駆物質の転化
例1 高比率の第一級OH基を有するポリエーテルカーボナートポリオールPECP-1の製造
工程(ii)
2リットルステンレス鋼圧力反応器に、最初に、ポリエーテルカーボナートポリオールA660g及びDMC触媒0.442gを窒素下で装填し、130℃に加熱した。窒素を反応混合物中に130℃で30分間導入し、同時に減圧(絶対)を作用させ、減圧0.1bar(絶対)をステンレス鋼圧力反応器中に確立させることにより、ストリッピングを行った。続いて、窒素を使用して反応器圧力2.8bar(絶対)を確立した。
工程(ii-1) 次いで、130℃で、撹拌(800rpm)しながら、15分間以内に、エチレンオキシド39.6gとプロピレンオキシド26.4gの混合物を先ず反応器中に計量供給した。
工程(ii-2) 次いで、130℃で、撹拌(800rpm)しながら、15分間以内に、エチレンオキシド52.8gとプロピレンオキシド13.2gの混合物を反応器中に計量供給した。
工程(iii)
最後に、130℃、800rpmで30分間以内に、さらにエチレンオキシド92.4gをステンレス鋼圧力反応器中に計量供給し、反応器中の圧力は、計量添加の後、4.7bar(絶対)であった。さらに45分間の反応後、揮発性構成成分を、減圧50mbar(絶対)下、90℃で30分間留別し、次いで反応混合物を室温に冷却した。
生成物特性
OH価 41.3mgKOH/g
多分散度 1.14
第一級OH基 65%
【0136】
比較例2 高比率の第一級OH基を有するポリエーテルポリオールPET-1の製造
例1と同様にして比較例2を行ったが、ポリエーテルカーボナートポリオール前駆物質Aを、ポリエーテルポリオール前駆物質Aに交換した。
OH価 42.8mgKOH/g
多分散度 1.22
第一級OH基 63%
【0137】
例3 高比率の第一級OH基を有するポリエーテルカーボナートポリオールPECP-2の、溶剤として環状プロピレンカーボナートの存在下における、製造
工程(ii)
2リットルステンレス鋼圧力反応器に、最初に、ポリエーテルカーボナートポリオールA400gを窒素下で装填し、130℃に加熱した。窒素を反応混合物中に130℃で30分間導入し、同時に減圧(絶対)を作用させ、減圧0.1bar(絶対)をステンレス鋼圧力反応器中に確立させることにより、ストリッピングを行った。続いて、環状プロピレンカーボナート26gを加えた。続いて、ステンレス鋼圧力反応器中の圧力を0.1bar(絶対)に下げ、次いで、3.0bar(絶対)の窒素を装填し、この排気と加圧の順序をさらに2回繰り返した。次いで、窒素を使用して反応器圧力3.0bar(絶対)を確立した。
工程(ii-1) 次いで、130℃で、撹拌(800rpm)しながら、10分間以内に、エチレンオキシド22.3gとプロピレンオキシド14.9gの混合物を反応器中に計量供給した。
工程(ii-2) 次いで、130℃で、撹拌(800rpm)しながら、10分間以内に、エチレンオキシド29.7gとプロピレンオキシド7.4gの混合物を反応器中に計量供給した。
工程(iii)
最後に、130℃、800rpmで30分間以内に、さらにエチレンオキシド52.0gをステンレス鋼圧力反応器中に計量供給し、反応器中の圧力は、計量添加の後、4.2bar(絶対)であった。さらに30分間の反応後、揮発性構成成分及び溶剤を、減圧50mbar(絶対)下、130℃で60分間留別し、次いで反応混合物を室温に冷却した。
生成物特性
OH価 42.1mgKOH/g
多分散度 1.11
第一級OH基 59%
【0138】
比較例4 高比率の第一級OH基を有するポリエーテルポリオールPET-2の、溶剤として環状プロピレンカーボナートの存在下における、製造
例3と同様にして比較例4を行ったが、ポリエーテルカーボナートポリオール前駆物質Aを、ポリエーテルポリオール前駆物質Aに交換した。
OH価 41.0mgKOH/g
多分散度 1.20
第一級OH基 63%
【0139】
結論
例1と比較例2および例3と比較例4の比較により、ポリエーテルカーボナートポリオール前駆物質の使用は、対応するポリエーテルポリオール前駆物質の使用よりも、より狭いモル質量分布(より低い多分散度)を与えることを示している。
【0140】
例5 第一級OH基を有するポリエーテルカーボナートポリオールPECP-3の、溶剤として環状プロピレンカーボナートの存在下における、製造
工程(ii)
2リットルステンレス鋼圧力反応器に、最初に、ポリエーテルカーボナートポリオールB660gを窒素下で装填し、130℃に加熱した。窒素を反応混合物中に130℃で30分間導入し、同時に減圧(絶対)を作用させ、減圧0.1bar(絶対)をステンレス鋼圧力反応器中に確立させることにより、ストリッピングを行った。続いて、環状プロピレンカーボナート40gを加えた。続いて、ステンレス鋼圧力反応器中の圧力を0.1bar(絶対)に下げ、次いで、3.0bar(絶対)の窒素を装填し、この排気と加圧の順序をさらに2回繰り返した。次いで、窒素を使用して反応器圧力3.0bar(絶対)を確立した。
工程(ii-1) 次いで、130℃で、撹拌(800rpm)しながら、15分間以内に、エチレンオキシド25.5gとプロピレンオキシド17.0gの混合物を反応器中に計量供給した。
工程(ii-2) 次いで、130℃で、撹拌(800rpm)しながら、15分間以内に、エチレンオキシド33.9gとプロピレンオキシド8.5gの混合物を反応器中に計量供給した。
工程(iii)
最後に、130℃、800rpmで30分間以内に、さらにエチレンオキシド59.4gをステンレス鋼圧力反応器中に計量供給し、反応器中の圧力は、計量添加の後、4.6bar(絶対)であった。さらに45分間の反応後、揮発性構成成分及び溶剤を、減圧50mbar(絶対)下、130℃で60分間留別し、次いで反応混合物を室温に冷却した。
生成物特性
OH価 43.2mgKOH/g
多分散度 1.26
第一級OH基 51%
【0141】
C.たわみ性ポリウレタンフォームの製造
C.1 使用する材料及び略号
使用する材料及び略号は、下記の意味及び供給源を有する。
Tegostab(登録商標)B8681 オルガノ変性ポリシロキサンの処方物、Evonik Goldschmidtから市販。
Tegostab(登録商標)B8715 オルガノ変性ポリシロキサンの処方物、Evonik Goldschmidtから市販。
PET-3 ポリエーテルポリオール、OH価約28mgKOH/gを有し、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、重量比85対15、のKOH触媒作用による付加により製造、グリセロールとソルビトールの混合物をスターター化合物として使用、約85mol%の第一級OH基を有し、8.6重量%の充填剤(実質的にスチレン及びアクリロニトリルから形成された共重合体)を使用。
PET-4 ポリエーテルポリオール、OH価約28mgKOH/gを有し、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、重量比85対15、のKOH触媒作用による付加により製造、グリセロールをスターター化合物として使用し、約85mol%の第一級OH基を有する。
PET-5 ポリエーテルポリオール、OH価約37mgKOH/gを有し、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、重量比27対73、KOH触媒作用による付加により製造、グリセロールをスターター化合物として使用。
アミン1 アミン触媒(ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジプロピレングリコール中33重量%)。
アミン2 アミン触媒(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ジプロピレングリコール中70重量%)。
アミン4 アミン触媒、Dabco(登録商標)NE 300、Air Products, ハンブルク、独国。
尿素溶液(50%H
2O) 尿素の水溶液(50重量%)。
Sncat スズ(II)オクトアート。
MDI 1 57重量%のジフェニルメタン4,4’-ジイソシアナート、25重量%のジフェニルメタン2,4’-ジイソシアナート及び18重量%のポリフェニルポリメチレンポリイソシアナート(「多環MDI」)の混合物、NCO含有量32.5重量%。
TDI 1 80重量%のトリレン2,4-ジイソシアナート及び20重量%のトリレン2,6-ジイソシアナートの混合物。
【0142】
C.2 たわみ性スラブストックポリウレタンフォーム
ポリウレタンフォームの製造に一般的な1段階製法による加工様式で、下記の表1における例に挙げた原料を互いに反応させた。
【0143】
得られたたわみ性スラブストックポリウレタンフォームを、目視による評価にかけた。たわみ性スラブストックポリウレタンフォームの区分(「フォーム評価」)を、粗い-平均-良質の尺度で行った。ここで「粗い」区分は、フォームが1cmあたり約5個未満のセルを有することを意味する。「平均」区分は、1cmあたり5個強のセル〜1cmあたり約12個未満のセルを有することを意味し、「良質」区分は、1cmあたり約13個以上のセルを有することを意味する。
【0144】
たわみ性スラブストックポリウレタンフォームの、セル構造に関するセル品質の区分は、不可-平均-良の尺度で行った。ここで「不可」区分は、フォームが、均質なセル構造及び/又は目に見える欠陥を有することを意味する。「平均」区分は、フォームが、主として均質なセル構造を有し、僅かな目に見える欠陥しか有してないことを意味し、「良」区分は、フォームが、均質な細胞構造を有し、目に見える欠陥が無いことを意味する。
【0145】
【表1】
【0146】
例1から得たポリエーテルカーボナートポリオールPECP-1を加工した、本発明のたわみ性スラブストックポリウレタンフォーム(例7)は、標準的なHRフォーム処方で良好な発泡性を有していた。対照的に、ポリエーテルポリオールPET-1(比較例8)を使用して好適なフォームは製造できなかった。フォームは崩壊した。
【0147】
例3から得たポリエーテルカーボナートポリオールPECP-2を加工した、本発明のたわみ性スラブストックポリウレタンフォーム(例9)は、標準的なHRフォーム処方で良好な発泡性を有していた。対照的に、ポリエーテルポリオールPET-2(比較例10)を使用して好適なフォームは製造できなかった。フォームは崩壊した。
【0148】
例5から得たポリエーテルカーボナートポリオールPECP-3を使用する例11は、非常に良好なレベルの特性を有し、優れた加工性を有するたわみ性スラブストックフォームを与えた。
【0149】
本発明のポリエーテルカーボナートポリオールの、たわみ性スラブストックフォームを形成するための加工性(例7、9及び11)は、良好なレベルにある、即ちポリエーテルポリオールPET-3をポリエーテルカーボナートポリオール(PECP-1、PECP-2又はPECP-3)に部分的に交換しても、ポリオール処方のさらなる構成成分(添加剤)を、優れた加工性を達成するためのタイプ及び/又は量に関して調節する必要が無く、得られるたわみ性スラブストックフォーム(例7,9及び11)の機械的特性は、ブランク試験(比較例6)と同等のレベルを有している。
【0150】
C.3たわみ性成形ポリウレタンフォーム
たわみ性成形ポリウレタンフォームの製造に一般的な1段階製法による加工様式で、下記の表2における例に挙げた原料を、互いに反応させた。反応混合物は、60℃に加熱した容積9.7Lの金型中に導入し、5分間後に金型から取り出した。使用した原料の量は、約57kg/m3の計算した成形密度を得るように選択性した。表2は、DIN EN ISO 3386-1-98により測定した、実際に得た成形密度を記載する。
【0151】
【表2】
【0152】
本発明のポリエーテルカーボナートポリオールは、成形したたわみ性フォームに加工した時、崩壊する比較例14と対照的に、問題無く加工し、成形たわみ性ポリウレタンフォームを与えることができる。例13及び15から得た、本発明のたわみ性成形ポリウレタンフォームは、良好なレベルの特性を有する。
【0153】
本発明のポリエーテルカーボナートポリオールの、たわみ性成形ポリウレタンフォームを形成するための加工性(例13及び15)は、良好なレベルにある、即ちポリエーテルポリオール(ここではPET-4及びPET-5の混合物)をポリエーテルカーボナートポリオール(PECP-1またはPECP-3)に部分的に交換しても、ポリオール処方のさらなる構成成分(添加剤)を、優れた加工性を達成するためのタイプ及び/又は量に関して調節する必要が無く、得られるたわみ性成形フォーム(例13及び15)の機械的特性は、ブランク試験(比較例12)と同等のレベルを有している。