(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記殺線虫成分が、3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール、3−(4−クロロフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール、3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール、および5−(フラン−2−イル)−3−フェニル−1,2,4−オキサジアゾールからなる群から選択される化合物を含む、請求項3に記載の組成物。
前記分散剤成分が、さらに、アルキルスルフェート、アルコールスルフェート、アルコールエーテルスルフェート、α−オレフィンスルホネート、アルキルアリールエーテルスルフェート、アリールスルホネート、アルキルスルホネート、スルホスクシネート、ポリアルコキシル化アルキルアルコールまたはアルキルフェノールのモノもしくはジホスフェートエステル、アルコールまたはポリアルコキシル化アルカノールのモノもしくはジスルホスクシネートエステル、アルコールエーテルカルボキシレート、およびフェノールエーテルカルボキシレートからなる群から選択される分散剤を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
前記組成物が、さらに二次分散剤成分を含み、前記二次分散剤成分が、ソルビタンエステル、エトキシル化ソルビタンエステル、アルコキシル化アルキルフェノール、アルコキシル化アルコール、ブロックコポリマーエーテル、およびラノリン誘導体からなる群から選択される非イオン性分散剤を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
線虫による損傷から種子および/または前記種子から成長した植物の根を保護するための方法であって、種子処理組成物で種子を処理することを含み、前記種子処理組成物が、請求項1〜13のいずれかに記載の該組成物を含む、方法。
凍結防止剤、緩衝剤、消泡剤、共溶媒、二次分散剤、結晶成長阻害剤、安定剤、殺生物剤、およびレオロジー改質剤をさらに含む、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において、3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾールを含み、種子処理用途のために改善された効果を有する水性懸濁濃縮殺線虫組成物が提供される。
【0018】
水性媒体におけるこれらの一般的に疎水性の殺線虫化合物の固体粒子の分散性が、分散した固相の平均およびメジアン粒径の特性を大幅に低下させる粉砕技術を適用することにより、および選択した分散剤を採用することにより、顕著に増加させることが可能であることが分かった。固体粒子の大きさを減少させることにより、貯蔵安定性の、高負荷の懸濁濃縮組成物の調製が可能となる。これらの活性殺線虫剤の水分散性を増加させることは、特に農業用途において、非常に有益である。例えば、本発明の組成物は、有利には、線虫の侵入に対する予防処置として、種子に適用することができる。改善された水分散性は、組成物を種子に最初に適用する間、より効果的な分散、および殺線虫化合物のより一貫した負荷を提供する。加えて、本発明の組成物によって提供される改善された水分散性は、殺線虫剤が種子の周囲の土壌および後に植物の根域の親水性環境全体により効果的に分散することを可能にするので、植え付け後の段階中も有益である。さらに、本明細書に記載される殺線虫剤粒子の粒径分布を制御することにより、種子の表面上の活性化合物の接着特性が所望の活性負荷を有する処理された種子の効率的な生産を可能にし、後に土壌中の活性化合物の生物学的利用能を強化することが分かった。
【0019】
本明細書に記載される水性懸濁濃縮殺線虫組成物は、本明細書において、時には「懸濁濃縮組成物」またはより簡単に、「懸濁濃縮物」もしくは「組成物」と称される。懸濁濃縮組成物はまた、本明細書において、特に種子処理用途の文脈において「種子処理組成物」と称される場合がある。
【0020】
殺線虫剤
本明細書に記載される水性組成物は、一般的に、1つ以上の3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾール化合物を含む殺線虫成分を含む。
【0021】
例えば、一実施形態では、殺線虫成分は、式Iの化合物、またはその塩を含み、
【化3】
式I
【0022】
式中、Aは、フェニル、ピリジル、ピラジル、オキサゾリル、およびイソオキサゾリルからなる群から選択され、その各々は、任意に独立して、ハロゲン、CF
3、CH
3、OCF
3、OCH
3、CN、およびC(H)Oからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、Cは、チエニル、フラニル、オキサゾリル、およびイソオキサゾリルからなる群から選択され、その各々は、任意に独立して、F、Cl、CH
3、およびOCF
3からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得る。
【0023】
より具体的な実施形態では、殺線虫成分は、式Iaの3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾール、またはその塩を含み、
【化4】
式Ia
【0024】
式中、R
1およびR
5は、独立して、水素、CH
3、F、Cl、Br、CF
3、およびOCF
3からなる群から選択され、R
2およびR
4は、独立して、水素、F、Cl、Br、およびCF
3からなる群から選択され、R
3は、水素、CH
3、CF
3、F、Cl、Br、OCF
3、OCH
3、CN、およびC(H)Oなる群からから選択され、R
7およびR
8は、独立して、水素およびFから選択され、R
9は、水素、F、Cl、CH
3、およびOCF
3なる群からから選択され、Eは、O、N、またはSである。典型的には、Eは、OおよびSからなる群から選択される。
【0025】
別の実施形態では、殺線虫成分は、式Ibの化合物、またはその塩を含み、
【化5】
式Ib
【0026】
式中、R
1およびR
5は、独立して、水素、CH
3、F、Cl、Br、CF
3、およびOCF
3からなる群から選択され、R
2およびR
4は、独立して、水素、F、Cl、Br、およびCF
3からなる群から選択され、R
3は、水素、CH
3、CF
3、F、Cl、Br、OCF
3、OCH
3、CN、およびC(H)Oからなる群から選択され、R
8は、水素およびFから選択され、R
6およびR
9は、独立して、水素、F、Cl、CH
3、およびOCF
3からなる群から選択され、Eは、N、O、またはSである。典型的には、Eは、OおよびSからなる群から選択される。
【0027】
別の実施形態では、殺線虫成分は、式IIの3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾール、またはその塩を含み、
【化6】
式II
【0028】
式中、Aは、フェニル、ピリジル、ピラジル、オキサゾリル、およびイソオキサゾリルからなる群から選択され、その各々は、任意に独立して、ハロゲン、CF
3、CH
3、OCF
3、OCH
3、CN、およびC(H)Oからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得、Cは、チエニル、フラニル、オキサゾリル、およびイソオキサゾリルからなる群から選択され、その各々は、任意に独立して、F、Cl、CH
3、およびOCF
3からなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され得る。
【0029】
より具体的な実施形態では、殺線虫成分は、式IIaの化合物、またはその塩を含み、
【化7】
式IIa
【0030】
式中、R
1およびR
5は、独立して、水素、CH
3、F、Cl、Br、CF
3、およびOCF
3からなる群から選択され、R
2およびR
4は、独立して、水素、F、Cl、Br、およびCF
3からなる群から選択され、R
3は、水素、CH
3、CF
3、F、Cl、Br、OCF
3、OCH
3、CN、およびC(H)Oからなる群から選択され、R
7およびR
8は、独立して、水素およびFから選択され、R
9は、水素、F、Cl、CH
3、およびOCF
3からなる群から選択され、Eは、N、O、またはSである。典型的には、Eは、OおよびSからなる群から選択される。
【0031】
別の実施形態では、殺線虫成分は、式IIbの化合物、またはその塩を含み、
【化8】
式IIb
【0032】
式中、R
1およびR
5は、独立して、水素、CH
3、F、Cl、Br、CF
3、およびOCF
3からなる群から選択され、R
2およびR
4は、独立して、水素、F、Cl、Br、およびCF
3からなる群から選択され、R
3は、水素、CH
3、CF
3、F、Cl、Br、OCF
3、OCH
3、CN、およびC(H)Oからなる群から選択され、R
8は、水素およびFから選択され、R
6およびR
9は、独立して、水素、F、Cl、CH
3、およびOCF
3からなる群から選択され、Eは、N、O、またはSである。典型的には、Eは、OおよびSからなる群から選択される。
【0033】
好ましい実施形態では、殺線虫成分は、式(Ia)の3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾール、またはその塩を含む。種の非限定的な例としては、式(Ia−i)の3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール、
【化9】
(Ia−i)
式(Ia−ii)の3−(4−クロロフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール、
【化10】
(Ia−ii)
式(Ia−iii)の3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール、
【化11】
(Ia−iii)
および式(Ia−iv)の5−(フラン−2−イル)−3−フェニル−1,2,4−オキサジアゾールが挙げられる。
【化12】
(Ia−iv)
【0034】
別の実施形態では、殺線虫成分は、式(Ib)の3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾール、またはその塩を含む。種の非限定的な例としては、式(Ib−i)の3−(4−ブロモフェニル)−5−(フラン−3−イル)−1,2,4−オキサジアゾール、
【化13】
(Ib−i)
および式(Ib−ii)の3−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−(チオフェン−3−イル)−1,2,4−オキサジアゾールが挙げられる。
【化14】
(Ib−ii)
【0035】
別の実施形態では、殺線虫成分は、式(IIa)の3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾール、またはその塩を含む。種の非限定的な例としては、式(IIa−i)の3−(チオフェン−2−イル)−5−(p−トリル)−1,2,4−オキサジアゾール、
【化15】
(IIa−i)
式(IIa−ii)の5−(3−クロロフェニル)−3−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール、
【化16】
(IIa−ii)
および式(IIa−iii)の5−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−3−(フラン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールが挙げられる。
【化17】
(IIa−iii)
【0036】
殺線虫化合物の多形
水性懸濁濃縮組成物は、本明細書に記載される殺線虫化合物の多型形態のいずれをも含む。
【0037】
一般的に、多型は、固体状態で異なる3次元配置で存在する化学物質の可能性を指す。化合物の異なる多型形態は、とりわけ、溶解度および溶解速度、結晶形状、固体状態での安定性、バッチ間製造再現性、安定性、配合の容易性、および生物学的利用能を含む、異なる物理的性質を有し得る。所与の化合物のどの多形が特定の用途に好ましいかを決めるには、使用するのに最も望ましい属性の組み合わせを有する多形が選択され得るように、各多形の関連する性質を決定して比較するべきである。
【0038】
例えば、本明細書において式(Ia−i)の化合物と称される殺線虫化合物である3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールは、本明細書において形態Iおよび形態IIと称される2つの別個の多型形態で存在することが分かった。形態Iは周囲条件下で熱力学的に安定な形態であると考えられ、一方、形態IIは室温および圧力下で準安定性である。多形は互変異的に関連する。2つの形態間の転移温度は、約102℃と考えられており、形態Iは、遷移温度より下で安定な形態であり、形態IIは、その温度より上でより熱力学的に安定な形態である。
【0039】
形態Iは、化合物の乾燥した結晶多型形態に対応すると考えられる。一般的に、形態Iは水和物形成する傾向にはないように思われる。形態Iの顕微鏡評価は、長さが約50〜100ミクロンの範囲の複屈折針状から円柱形状の粒子を示した。
図1は、室温での代表的な顕微鏡写真を示す。
【0040】
形態IIも、化合物の乾燥した結晶多型形態に対応すると考えられる。形態IIの顕微鏡評価は、長さが約25〜150ミクロンの範囲の複屈折針状、円柱状、およびフレーク形状の粒子を示した。
図2は、室温での代表的な顕微鏡写真を示す。
【0041】
一般に、水性懸濁濃縮組成物は、本明細書に記載される殺線虫化合物の多型形態のいずれをも含み得る。例えば、一実施形態では、懸濁濃縮組成物は、式(Ia−i)の化合物の多型形態Iを含む。別の実施形態では、懸濁濃縮組成物は、式(Ia−i)の化合物の多型形態IIを含む。2つ以上の多形の混合物も本発明の範囲内であると考えられる。例えば、一実施形態では、懸濁濃縮組成物は、式(Ia−i)の化合物の多型形態IおよびIIの混合物を含む。
【0042】
濃度
いくつかの実施形態では、懸濁濃縮組成物は、上述の1つ以上の活性殺線虫化合物を含む、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、または少なくとも約50重量%の殺線虫成分を含む。一実施形態では、懸濁濃縮組成物は、少なくとも約40重量%の殺線虫成分を含む。いくつかの実施形態では、懸濁濃縮組成物は、少なくとも約45重量%の殺線虫成分、またはさらにそれ以上(例えば、少なくとも約50重量%)を含む。
【0043】
懸濁濃縮組成物は、少なくとも約100g/L、少なくとも約200g/L、少なくとも約250g/L、少なくとも約300g/L、少なくとも約350g/L、少なくとも約400g/L、少なくとも約450g/L、少なくとも約500g/L、少なくとも約550g/L、少なくとも約600g/L、少なくとも約650g/L、または少なくとも約700g/Lの濃度で殺線虫成分を含む。殺線虫剤の濃度は、約400g/L〜約700g/L、約450g/L〜約750g/L、または約450g/L〜約700g/Lの範囲である。
【0044】
粒径
本発明の懸濁濃縮組成物は、連続水相および本明細書に記載される殺線虫成分の固体粒子を含む分散した固体相を含む。固体殺線虫剤粒子は、組成物中に懸濁された粒子の分散性を向上させ、懸濁濃縮組成物の安定性を改善するように選択された粒径分布を有する。
【0045】
しかしながら、組成物が種子処理として適用される場合、粒径をさらに減少させることにより、3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾール化合物の改善された接着特性を含むいくつかの利点がもたらされることが分かった。組成物が種子処理として適用される場合、本明細書に記載される粒径の減少は、殺線虫剤活性成分の種子表面への接着性の強化をもたらし、それによって、均一な活性負荷を有する処理された種子の効率的な生産が可能となる。さらに、および特定の理論に拘束されることなく、3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾール化合物の粒径をさらに減少させることにより、処理された種子を土壌中に植えた後の根域の水性環境内の固体殺線虫剤活性の改善された分散性を促進すると考えられる。周囲の根域全体への殺線虫剤の分散は、土壌線虫が種子、および後に種子から出現する植物の新たに形成された根に接触するのを防ぐのに役立ち、最終的に殺線虫剤効果の改善(すなわち、線虫に起因する植物の損傷の減少)となる。
【0046】
懸濁濃縮物の調製において、固相の粒径の減少に関連して、かなりのエネルギーコストおよび時間が必要である。これらのコストは、粒径が減少するにつれて大幅に増加する傾向にある。したがって、懸濁濃縮物の効率的な生産には、粒径を減少させるステップに関連する追加コストと利益を考慮する必要がある。
【0047】
したがって、上述の3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾール化合物を含む懸濁濃縮組成物の分散した固相の粒径特性は、安定した懸濁液を提供するだけでなく、均一な活性負荷を有する処理された種子の効率的な生産および殺線虫効力の強化も可能にするように選択される。より具体的には、懸濁濃縮物の分散した固相は、約50μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満、約5μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満、または約1μm未満のメジアン粒径を有する。懸濁濃縮組成物は、典型的には、約0.5μm〜約10μm、約1μm〜約5μm、約1μm〜約4μm、約1μm〜約3μm、または約1μm〜約2μmの範囲内のメジアン粒径を有する。いくつかの実施形態では、メジアン粒径は、約0.5μm〜約5μm、約0.5μm〜約4μm、約0.5μm〜約3μm、約0.5μm〜約2μm、または約0.5μm〜約1μmの範囲内である。一実施形態では、メジアン粒径は、約1μm〜約2μmの範囲内である。
【0048】
懸濁濃縮物の分散した固相は、典型的には、約20μm未満、約10μm未満、約5μm未満、約4μm未満、約3μm未満、約2μm未満、または約1μm未満の平均粒径を有する。平均粒径は、典型的には、約0.5μm〜約20μm、約0.5μm〜約10μm、約1μm〜約5μm、約1μm〜約4μm、または約1μm〜約3μm、または約1μm〜約2μmの範囲内である。いくつかの実施形態では、平均粒径は、約0.5μm〜約5μm、約0.5μm〜約4μm、約0.5μm〜約3μm、約0.5μm〜約2μm、または約0.5μm〜約1μmの範囲内である。
【0049】
分散した相中の固体粒子の平均および/またはメジアン粒径は、レーザー回折粒径分析を含む、当該技術分野において既知の手段により決定することができる。固体粒子の粒径特性を決定するのに好適な装置の非限定的な例は、BECKMAN COULTER LS粒径分析器(モデルLS13 320)である。
【0050】
懸濁濃縮物の分散した固相は、典型的には、算術平均粒径をメジアン粒径で割ることにより定義される、約10未満の多分散指数を有する。いくつかの実施形態では、多分散指数は、約5未満、約2未満、または約1.5未満である。多分散指数は、典型的には、約1〜約2の範囲内である。
【0051】
分散剤
懸濁濃縮組成物は、組成物中に懸濁された固体粒子の分散性を向上させ、懸濁濃縮組成物の安定性を改善するように選択された1つ以上の分散剤を含む分散剤成分をさらに含む。分散剤は、非イオン性分散剤、アニオン性分散剤、またはカチオン性分散剤から選択することができる。
【0052】
好ましい実施形態では、分散剤はアニオン性である。アニオン性分散剤の例としては、アルキルスルフェート、アルコールスルフェート、アルコールエーテルスルフェート、α−オレフィンスルホネート、アルキルアリールエーテルスルフェート、アリールスルホネート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、スルホスクシネート、ポリアルコキシル化アルキルアルコールまたはアルキルフェノールのモノもしくはジホスフェートエステル、アルコールまたはポリアルコキシル化アルカノールのモノもしくはジスルホスクシネートエステル、アルコールエーテルカルボキシレート、およびフェノールエーテルカルボキシレートが挙げられる。
【0053】
一実施形態では、分散剤は、アルキルアリールスルホネートである。アルキルアリールスルホネートは、特に高濃度の殺線虫活性成分で本発明の実践において使用される3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾール化合物を含む安定した水性懸濁液を形成するのに有効であることが分かった。
【0054】
市販のアニオン性分散剤の非限定的な例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(ナトリウム−DS、SDS)、MORWET D−425(Akzo Nobelから入手可能なアルキルナフタレンスルホネート縮合物のナトリウム塩)、MORWET D−500(Akzo Nobelから入手可能なブロックコポリマーを含むアルキルナフタレンスルホネート縮合物のナトリウム塩)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Na−DBSA)(Aldrichから入手可能)、ジフェニルオキシドジスルホネート、ナフタレンホルムアルデヒド縮合物、DOWFAX(Dowから入手可能)、ジヘキシルスルホスクシネート、およびジオクチルスルホスクシネートが挙げられる。例えば、アニオン性分散剤は、アルキルナフタレンスルホネート縮合物またはその塩を含み得る。
【0055】
非イオン性分散剤の例としては、ソルビタンエステル、エトキシル化ソルビタンエステル、アルコキシル化アルキルフェノール、アルコキシル化アルコール、ブロックコポリマーエーテル、およびラノリン誘導体が挙げられる。一実施形態によると、分散剤は、アルキルエーテルブロックコポリマーを含む。
【0056】
市販の非イオン性分散剤の非限定的な例としては、SPAN20、SPAN40、SPAN80、SPAN65、およびSPAN85(Aldrichから入手可能)、TWEEN20、TWEEN40、TWEEN60、TWEEN80、およびTWEEN85(Aldrichから入手可能)、IGEPAL CA−210、IGEPAL CA−520、IGEPAL CA−720、IGEPAL CO−210、IGEPAL CO−520、IGEPAL CO−630、IGEPAL CO−720、IGEPAL CO−890、およびIGEPAL DM−970(Aldrichから入手可能)、Triton X−100(Aldrichから入手可能)、BRIJ S10、BRIJ S20、BRIJ 30、BRIJ 52、BRIJ 56、BRIJ 58、BRIJ 72、BRIJ 76、BRIJ 78、BRIJ 92V、BRIJ 97、およびBRIJ 98(Aldrichから入手可能)、PLURONIC L−31、PLURONIC L−35、PLURONIC L−61、PLURONIC L−81、PLURONIC L−64、PLURONIC L−121、PLURONIC 10R5、PLURONIC 17R4、およびPLURONIC 31R1(Aldrichから入手可能)、Atlas G−5000およびAtlas G−5002L(Crodaから入手可能)、ATLOX 4912およびATLOX 4912−SF(Crodaから入手可能)、ならびにSOLUPLUS(BASFから入手可能)、LANEXOL AWS(Crodaから入手可能)が挙げられる。
【0057】
カチオン性分散剤の非限定的な例としては、モノアルキル四級アミン、脂肪酸アミド界面活性剤、アミドアミン、イミダゾリン、およびポリマー性カチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0058】
懸濁濃縮組成物は、約0.5重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約5重量%、または約0.5重量%〜約8重量%の分散剤成分を含む。一実施形態では、組成物は、約0.5重量%〜約5重量%の量の分散剤を含む。
【0059】
懸濁濃縮組成物は、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約25g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約35g/L、少なくとも約40g/L、少なくとも約45g/L、または少なくとも約50g/Lの濃度で分散剤を含み得る。いくつかの実施形態では、分散剤は、約1〜約100g/L、約5〜約75g/L、またはより典型的には約20〜約50g/Lの濃度で存在する。
【0060】
いくつかの実施形態では、懸濁濃縮組成物は、一次分散剤を1つ以上の二次分散剤と組み合わせて含む分散剤成分を含む。二次分散剤は、本明細書において湿潤剤と呼ばれる場合もある。一実施形態では、二次分散剤は、アルキルエーテルブロックコポリマーを含む。
【0061】
一実施形態では、二次分散剤は、イオン性の一次分散剤と組み合わせて使用される場合、非イオン性である。例えば、いくつかの実施形態では、分散剤成分は、アニオン性の一次分散剤(上述)、および非イオン性(上述)の二次分散剤の混合物を含む。他の実施形態では、分散剤成分は、カチオン性の一次分散剤および非イオン性の二次分散剤の混合物を含む。別の実施形態によると、アニオン性の一次分散剤と非イオン性の二次分散剤の組み合わせは、特に、本明細書に記載される水性懸濁濃縮物に改善された安定性を付与することが分かった。
【0062】
二次分散剤は、典型的には、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、約0.5重量%〜約5重量%、約1重量%〜約5重量%、約1重量%〜約4重量%、または約1重量%〜約2.5重量%を成す。
【0063】
組成物は、典型的には、重量基準で、約1:1〜約10:1、約1:1〜約5:1、および約2:1〜約3:1の一次分散剤:二次分散剤の比率を成す。
【0064】
デンドリマー
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の有効性および/または安定性を強化するために、1つ以上の官能化デンドリマーをさらに含み得る。官能化デンドリマーのクラスの非限定的な例としては、ポリ(アミドアミン)(PAMAM、世代0〜7)、ポリ(アミドアミン−有機シリコーン)(PAMAMOS)、ポリ(プロピレンイミジン)(PPI、世代0〜5)、ポリ(ベンジルエーテル)(フレシェ型)、Arobols(ニューコム型)、ポリ(フェニルアセチレン)、および表面工学デンドリマー(例えば、ペグ化デンドリマー、グリコデンドリマー、ペプチド官能化デンドリマー、およびガラビオース官能デンドリマー)が挙げられる。いくつかの実施形態では、デンドリマーは、組成物の少なくとも約0.1重量%〜最大10重量%以上、または約1重量%〜約10重量%を成す。
【0065】
凍結防止剤
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の凍結防止剤をさらに含み得る。一実施形態では、凍結防止剤はアルコールである。凍結防止剤の非限定的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール(グリセリン)が挙げられる。
【0066】
懸濁濃縮組成物は、少なくとも約5g/L、少なくとも約10g/L、少なくとも約15g/L、少なくとも約20g/L、少なくとも約30g/L、少なくとも約40g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約60g/L、少なくとも約70g/L、または少なくとも約80g/Lの濃度で凍結防止剤を含み得る。凍結防止剤は、典型的には、約1〜約150g/L、約10〜約100g/L、またはより典型的には約20〜約80g/Lの濃度で存在する。
【0067】
消泡剤
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の消泡剤をさらに含み得る。消泡剤の例としては、有機シリコーンまたはシリコーンを含まない化合物が挙げられる。市販の消泡剤製品の非限定的な例としては、Break−Thru OE441(Evonikから入手可能)、Break−Thru AF9905(Evonikから入手可能)、AGNIQUE DF 6889(Cognisから入手可能)、AGNIQUE DFM 111S(Cognisから入手可能)BYK−016(BYKから入手可能)、FG−10消泡剤エマルジョン(Dow Corningから入手可能)、1520−US(Dow Corningから入手可能)、1510−US(Dow Corningから入手可能)、SAG 1538(Momentiveから入手可能)、およびSAG 1572(Momentiveから入手可能)が挙げられる。
【0068】
緩衝剤
いくつかの実施形態では、組成物は、所望の範囲内のpHを維持するのに役立つ緩衝溶液を含み得る。約10より高いpHでの本明細書に記載される殺線虫成分の湿式粉砕および/または球入粉砕は、粒径の減少を困難にする過剰な集塊および/もしくは凝集、殺線虫成分の不安定性もしくは分解、および/または本明細書に記載される他の懸濁濃縮物成分の不安定性もしくは分解をもたらすことが分かった。その結果、pH緩衝剤は、約5〜約9、約6〜約8、または約7の、10未満のpHを有する水性懸濁濃縮組成物を提供するように選択され得る。様々なpH範囲に好適な緩衝溶液は、一般に当該技術分野において既知である。
【0069】
増粘剤
いくつかの実施形態では、組成物は、増粘剤(以後「安定剤」と称する)成分を含み得る。安定剤の例としては、アニオン性多糖類およびセルロース誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態では、安定剤は、粘土もしくはシリカ、またはコロイド状の親水性シリカを含む。市販の安定剤の非限定的な例としては、KELZAN CC(Kelcoから入手可能)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよび2−ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カオリン、微結晶セルロースが挙げられる。市販のコロイド状の親水性シリカの非限定的な例としては、AEROSIL(Evonikから入手可能)が挙げられる。
【0070】
安定剤成分は、典型的には、組成物の重量の約0.05重量%〜約10重量%を成す。例えば、いくつかの実施形態では、安定剤成分は、組成物の約0.1重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約2重量%、または約0.1重量%〜約1重量%を成す。
【0071】
結晶成長阻害剤
いくつかの実施形態では、組成物は、結晶成長阻害剤を含み得る。結晶成長阻害剤の例としては、アクリル系コポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール水素化ヒマシ油、およびこれらの組み合わせが挙げられる。市販の結晶成長抑制剤の非限定的な例としては、ATLOX 4913(Crodaから入手可能)が挙げられる。
【0072】
結晶成長抑制剤成分は、組成物の約1重量%〜約10重量%を成し得る。
【0073】
共溶媒
いくつかの実施形態では、組成物は、水に加えて、共溶媒をさらに含み得る。使用することができる共溶媒の非限定的な例としては、乳酸エチル、大豆メチル/乳酸エチル共溶媒ブレンド(例えば、STEPOSOL、Stepanから入手可能)、イソプロパノール、アセトン、1,2−プロパンジオール、n−アルキルピロリドン(例えば、AGSOLEXシリーズ、ISPから入手可能)、石油系オイル(例えば、AROMATICシリーズおよびSOLVESSOシリーズ、Exxon Mobilから入手可能)、イソパラフィン系流体(例えば、ISOPARシリーズ、Exxon Mobilから入手可能)、シクロパラフィン系流体(例えば、NAPPAR 6、Exxon Mobilから入手可能)、ミネラルスピリット(例えば、VARSOLシリーズ、Exxon Mobilから入手可能)、および鉱物油(例えば、パラフィン油)が挙げられる。
【0074】
好ましい市販の有機溶媒の非限定的な例としては、ペンタデカン、ISOPAR M、およびISOPAR V、ならびにISOPAR L(Exxon Mobilから入手可能)が挙げられる。
【0075】
レオロジー改質剤
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上のレオロジー改質剤をさらに含み得る。
【0076】
レオロジー改質剤の例としては、腐植酸塩、フルボ酸塩、腐植塩、およびリグニン塩が挙げられる。
【0077】
一実施形態では、レオロジー改質剤は、腐植酸のナトリウム塩またはカリウム塩である。一般的には、腐植物質は、死んだ有機物、特に死んだ植物の生分解により生成されたもの(例えば、リグニン)である。本発明の組成物に関して、腐植酸を含む組成物は、腐植酸の不在下で同様に負荷された組成物よりも低い粘度を呈することが分かった。低分子量であり、腐植酸および他の腐植酸よりも高い酸素含有量のフルボ酸が、いくつかの実施形態において使用される。
【0078】
追加の賦形剤
いくつかの実施形態では、組成物は、種子に対する組成物の接着性を改善し、良好なコーティング(例えば、着色剤)の視覚的表示を提供する、またはさもなければコーティングに改善された特性を付与する1つ以上の追加の賦形剤を含む。
【0079】
殺生物剤
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の殺生物剤をさらに含み得る。典型的には、殺生物剤成分は、特に組成物が貯蔵される場合、懸濁濃縮組成物中の真菌および/または細菌の増殖を防止するために含まれる。殺生物剤の例としては、ジクロロフェンまたはベンジルアルコールヘミホルマール系化合物、ベンゾイソチアゾリノン、およびラムノリピドが挙げられる。市販の殺生物剤の非限定的な例としては、ACTICIDE(THORから入手可能)、PROXEL(Arch Chemicalから入手可能)、およびZONIX(Jeneilから入手可能)が挙げられる。
【0080】
追加の活性成分
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の追加の活性成分を本明細書に記載される殺線虫剤3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾールと組み合わせて、製剤化される、種子処理機タンク内で混合される、またはオーバーコーティングすることにより種子上で混和され得る。
【0081】
追加の活性成分は、例えば、追加の殺虫剤であってもよい。殺虫剤は、例えば、殺虫剤、殺真菌剤、除草剤、または追加の殺線虫剤であってよい。
【0082】
殺虫剤および殺線虫剤の非限定的な例としては、カルバメート、ジアミド、大環状ラクトン、ネオニコチノイド、有機リン酸塩、フェニルピラゾール、ピレトリン、スピノシン、合成ピレスロイド、テトロン酸、およびテトラミン酸が挙げられる。特定の実施形態では、殺虫剤および殺線虫剤は、アバメクチン、アルジカルブ、アルドキシカルブ、ビフェントリン、カルボフラン、クロクロラントラニリプロール、クロチアニジン、クロチアニジンおよびバチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、シアントラニリプロール、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン、デルタメトリン、ジノテフラン、エマメクチン、エチプロール、フェナミホス、フィプロニル、フルベンジアミド、フルオピラム、ホスチアゼート、イミダクロプリド、イベルメクチン、ラムダ−シハロトリン、ミルベメクチン、ニテンピラム、オキサミル、ペルメトリン、スピネトラム、スピノサド、スピロジクロフェン(spirodichlofen)、スピロテトラマト、テフルトリン、チアクロプリド、チアメトキサム、およびチオジカルブを含む。
【0083】
有用な殺真菌剤の非限定的な例としては、芳香族炭化水素、ベンズイミダゾール、ベンズチアジアゾール、カルボキサミド、カルボン酸アミド、モルホリン、フェニルアミド、ホスホネート、キノン外部阻害剤(例えば、ストロビルリン)、チアゾリジン、チオファネート、チオフェンカルボキサミド、およびトリアゾールが挙げられる。殺真菌剤の具体例としては、アシベンゾラル−S−メチル、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ビキサフェン、ボスカリド、カルベンダジム、シプロコナゾール、ジメトモルフ、エポキシコナゾール、フルオピラム、フルオキサストロビン、フルチアニル、フルトラニル、フルキサピロキサド、ホセチル−Al、イプコナゾール、イソピラザム、クレソキシム−メチル、メフェノキサム、メタラキシル、メトコナゾール、ミクロブタニル、オリサストロビン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、ピコキシストロビン、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、セダキサン、シルチオファム、テブコナゾール、チフルザミド、チオファネート、トルクロホス−メチル、トリフロキシストロビン、およびトリチコナゾールが挙げられる。
【0084】
除草剤の非限定的な例としては、ACCase阻害剤、アセトアニリド、AHAS阻害剤、カロテノイド生合成阻害剤、EPSPS阻害剤、グルタミン合成酵素阻害剤、PPO阻害剤、PS II阻害剤、および合成オーキシンが挙げられる。除草剤の具体例としては、アセトクロール、クレトジム、ジカンバ、フルミオキサジン、フォメサフェン、グリホサート、グルホシネート、メソトリオン、キザロホップ、サフルフェナシル、スルコトリオン、および2,4−Dが挙げられる。
【0085】
追加の活性物質は、生物的防除剤、微生物抽出物、天然物、植物成長活性剤、または植物防御剤などの物質も含み得る。生物的防除剤の非限定的な例としては、細菌、真菌、有益な線虫、およびウイルスが挙げられる。
【0086】
特定の実施形態では、生物的防除剤は、放線菌(Actinomycetes)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、アゾトバクター(Azobacter)属、ベイエリンキア属(Beijerinckia)属、ブレビバチルス属(Brevibacillus)、バークホルデリア属(Burkholderia)、クロモバクテリウム属(Chromobacterium)、クロストリジウム(Clostridium)属、クラビバクター(Clavibacter)属、コモモナス(Comomonas)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、クルトバクテリウム(Curtobacterium)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、フラボバクテリウム(Flavobacterium)属、グルコノバクター(Gluconobacter)属、ハイドロゲノファーガ(Hydrogenophage)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、メチロバクテリウム(Methylobacterium)属、パエニバチルス(Paenibacillus)属、パスツリア(Pasteuria)属、スフィンゴバクテリウム(Phingobacterium)、フォトルハブダス(Photorhabdus)属、フィロバクテリウム(Phyllobacterium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、リゾビウム(Rhizobium)属、セラシア(Serratia)属、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)属、バリオボラックス(Variovorax)属、およびゼノラブダス(Xenorhadbus)属の細菌であってよい。特定の実施形態では、細菌は、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus,lichenformis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・スファエリカス(Bacillus sphaericus)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、クロモバクテリウム・サツガエ(Chromobacterium suttsuga)、パスツーリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)、パスツーリア・ユーセジ(Pasteuria usage)、およびシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomona fluorescens)からなる群から選択される。
【0087】
特定の実施形態では、生物学的防除剤は、アルテルナリア(Alternaria)属、アンペロマイセス(Ampelomyces)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、ボーベリア(Beauveria)属、コレトトリカム(Colletotrichum)属、コニオチリウム(Coniothyrium)属、グリオクラディウム(Gliocladium)属、メタリジウム(Metarhisium)属、ムスコドル(Muscodor)、ペシロマイセス(Paecilonyces)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、チフラ(Typhula)属、ウロクラディウム(Ulocladium)属、およびバーティシリウム(Verticilium)属の真菌であってよい。特定の実施形態では、真菌は、ボーベリア・バッシアナ(Beauveria bassiana)、コニオチリウム・ミニタンス(Coniothyrium minitans)、グリオクラディウム・ウィレンス(Gliocladium virens)、ムスコドル・アルブス(Muscodor albus)、パエチロマイセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)、またはトリコデルマ・ポリスポラム(Trichoderma polysporum)である。
【0088】
さらなる実施形態では、生物学的防除剤は、限定されないが、ハルピン(harpin)、オオイタドリ(Reynoutria sachalinensis)、ジャスモン酸、リポキトオリゴ糖、ジベレリン酸、およびイソフラボンを含む植物成長活性剤または植物防御剤であってよい。
【0089】
調製方法
本発明の別の態様は、本明細書に記載される殺線虫水性懸濁濃縮組成物を調製する方法を対象とする。
【0090】
上述のように、懸濁濃縮組成物中の固相の粒子の大きさを減少させることによって、3,5−二置換−1,2,4−オキサジアゾールの水分散性における有意な利点を得ることができ、他の利点を実現することができる。一般に、殺線虫成分の粒径は、当該技術分野において既知の任意の方法によって減少させることができる。好ましい一実施形態によると、殺線虫成分の粒径は、湿式粉砕によって減少させることができる。さらに、空気粉砕、高圧均質化、回転ディスク、研削、および溶媒蒸発技術が、殺線虫成分の粒径を減少させることができる。
【0091】
典型的には、プロセスの最初のステップは、1つ以上の活性な殺線虫化合物を含む殺線虫成分を水と混合し、攪拌して水性懸濁液を形成する予備粉砕ステップを含む。典型的には、分散剤はまた、粒径を減少させるステップの前に水性懸濁液に添加され、湿式粉砕助剤として作用する。粒径を減少させるステップの前に水性懸濁液に添加することができる他の任意の成分は、二次分散剤および/または凍結防止剤を含み、それらの各々は、上述のように選択することができる。さらに、一実施形態では、緩衝溶液が、粒径を減少させるステップの前に懸濁液に添加され、上述のように、粒径を減少させるステップ中の懸濁液のpHは、粒径の減少を困難にする過剰な集塊および/もしくは凝集、殺線虫成分の不安定性もしくは分解、ならびに/または本明細書に記載される他の懸濁濃縮物成分の不安定性もしくは分解を最小にするために、10未満であることが好ましい。
【0092】
水性懸濁液は、次いで、上述の所望の粒径分布を有する懸濁濃縮物を得るために湿式粉砕される。湿式粉砕プロセスは、当該技術分野において既知の技術および装置を使用して実行することができる。球入粉砕が特に好ましい技術であり、そこでは水性懸濁液が研削媒体を含む回転シリンダ内に設置される。研削媒体は、好ましくは、ステンレススチールビーズ、酸化ジルコニウムビーズ、ガラスビーズ、およびセラミックビーズからなる群から選択される。好適な球入粉砕装置の非限定的な例としては、UNION PROCESS製SIZEGVARI ATTRITOR粉砕システム、およびNetzsch製MINI ZETA II粉砕機械を含む。
【0093】
湿式粉砕ステップは、典型的には、上述のメジアンおよび平均粒径ならびに多分散指数を特徴とする粒径分布を有する分散した固相を含む微細懸濁液を生成する。レーザー回折粒径分析または他の好適な手段を使用して、湿式粉砕操作の持続時間および強度が、所望の粒径特性を有する懸濁濃縮組成物を提供するように制御される。
【0094】
粒径の減少後、粉砕された水性懸濁液は、任意の安定剤成分および/または1つ以上の追加の殺生物剤と組み合わせることができ、それらの各々は、上述のように選択することができる。
【0095】
貯蔵安定性
一実施形態では、本明細書に記載される水性懸濁濃縮組成物は、広範囲の温度および環境条件にわたって、商業的に許容される貯蔵安定性を呈する。この文脈において、貯蔵安定性は、一般的に沈殿の不在、および組成物のレオロジーの性質(例えば、粘度)にいかなる大きな変化もないこととして定義される。商業的に許容される貯蔵安定性は、上で詳細に記載される各実施形態によると、水性懸濁濃縮物、特に一次分散剤、任意の二次分散剤、および/または任意の安定剤成分の様々な成分を選択することによって確実に達成することができる。懸濁濃縮組成物は、25℃で、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約12ヶ月間、または少なくとも約18ヶ月間、貯蔵安定性であり得る。
【0096】
適用方法
本発明の別の態様は、線虫による損傷から植物の根を保護するための方法を対象とする。
【0097】
種子への適用
一実施形態では、本方法は、本明細書に記載され、処理された種子に対して所望の殺線虫化合物負荷を達成するために、必要に応じて希釈された種子処理組成物で種子を処理することによって、線虫による損傷から種子および/または種子から成長した植物の根を保護することを含む。
【0098】
本明細書に記載される方法は、任意の種の植物および/またはその種子に関して使用することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、本方法は、農学的に重要な植物種の種子に関して使用される。特に、種子は、トウモロコシ、ピーナッツ、キャノーラ/ナタネ、大豆、ウリ科植物、アブラナ科植物、綿、テンサイ、米、モロコシ、サトウダイコン、小麦、大麦、ライ麦、ヒマワリ、トマト、サトウキビ、タバコ、オート麦、ならびに他の野菜および葉作物のものであってよい。いくつかの実施形態では、種子は、トウモロコシ、大豆、又は綿種子である。種子は、トランスジェニック植物が成長し、例えば、特定の除草剤または除草剤の組み合わせに対する耐性、病害抵抗性の増加、ストレスに対する耐性の強化、および/または収率の増強を付与するトランスジェニック事象を組み込むことができるトランスジェニック種子であってよい。トランスジェニック種子は、トウモロコシ、大豆、および綿の種子を含むが、これらに限定されない。
【0099】
一実施形態では、処理用組成物は、播種作業が簡略化されるように種子を播種する前に種子に適用される。このようにして、種子を、例えば、中央施設で処理し、植え付けのために散布することができる。これによって、種子を植え付ける者は、種子処理組成物の取り扱いおよび適用に関連する複雑さおよび労力を避け、通常の未処理の種子に対する慣用の様式で、単に処理した種子を取り扱い、植え付けることができる。
【0100】
種子処理組成物は、容器(例えば、ボトルまたは袋)中での混合、機械的適用、混転、スプレー、浸漬、および固体マトリックスプライミングを含むがこれらに限定されない、任意の標準的な種子処理方法によって種子に適用することができる。それらを適用するための種子コーティング方法および装置は、特に、例えば、米国特許第5,918,413号、同第5,891,246号、同第5,554,445号、同第5,389,399号、同第5,107,787号、同第5,080,925号、同第4,759,945号、および同第4,465,017号に開示されている。任意の従来の活性または不活性材料を、水系フィルムコーティング材料を含むがこれらに限定されない従来のフィルムコーティング材料等の種子処理組成物と種子を接触させるために使用することができる。
【0101】
例えば、一実施形態では、種子処理組成物は、固体マトリックスプライミングを使用することにより、種子の上またはその中に導入することができる。例えば、ある量の種子処理組成物を、固体マトリックス材料と混合することができ、その後、ある一定の期間種子を固体マトリックス材料と接触するように配置し、種子処理組成物が種子に導入できるようにすることができる。種子は、その後、任意に、固体マトリックス材料から分離され、貯蔵もしくは使用されるか、または固体マトリックス材料と種子の混合物は、貯蔵されるか、もしくは直接植え付けることができる。本発明において有用な固体マトリックス材料は、ポリアクリルアミド、デンプン、粘土、シリカ、アルミナ、タルク、雲母、土、砂、ポリウレア、ポリアクリレート、またはしばらくの間種子処理組成物を吸収または吸着し、種子処理組成物の殺線虫剤を種子の中またはその上に放出することができる任意の他の材料を含む。殺線虫剤および固体マトリックス材料が互いに適合性があることを確認することが有用である。例えば、固体マトリックス材料は、例えば、数分、数時間、数日、または数週間の期間にわたって、妥当な速度で殺線虫剤を放出することができるように選択されるべきである。
【0102】
吸収は、種子処理組成物で種子を処理する別の方法である。例えば、植物種子を直接種子処理組成物中に一定期間浸漬することができる。種子を浸漬している期間中、種子は、種子処理組成物の一部を取り込む、または吸収する。任意に、植物の種子および種子処理組成物の混合物は、例えば、振盪、横転、混転、または他の手段によって、撹拌することができる。吸収後、種子は種子処理組成物から分離され、例えば、軽くたたくことにより、または空気乾燥により、任意に乾燥させることができる。
【0103】
種子処理組成物は、流動床技術、ローラーミル法、ロトスタティック種子処理機、およびドラムコーター等の従来のコーティング技術および機械を用いて種子に適用することができる。噴流床等の他の方法も有用であり得る。種子はコーティング前に予め寸法決定することができる。コーティング後、典型的には、種子を乾燥させ、次いで寸法決定のために寸法決定機に移送する。そのような手順は、一般的に当技術分野において既知である。
【0104】
種子処理組成物がコーティングの形態で提供される場合、種子は、当該技術分野において既知の方法を使用してコーティングされ得る。例えば、コーティングプロセスは、タンブラーまたは皿形造粒機等の適切な装置内で種子を攪拌しながら、種子処理組成物を種子上に噴霧することを含み得る。
【0105】
一実施形態では、大規模に(例えば、商業的規模)種子をコーティングする際、種子コーティングは、連続プロセスを用いて適用することができる。典型的には、種子は重量または流量のいずれかで、処理装置内(タンブラー、ミキサー、皿形造粒機等)に導入される。処理装置内に導入される処理用組成物の量は、コーティングされる種子の重量、種子の表面積、処理用組成物中の殺線虫剤および/または他の活性成分の濃度、処理した種子上の所望の濃度等により変動し得る。処理用組成物は、様々な手段により、例えば、スプレーノズルまたは回転ディスクにより種子に適用することができる。液体の量は、典型的には、製剤のアッセイおよび効力に必要な活性成分の必要量によって決定される。種子が処理装置内に入ると、種子が処理され(例えば、種子処理組成物を散布または噴霧することにより)、種子を均一にコーティングし、貯蔵または使用の前に乾燥させることができる連続動作/混転中の処理機を通過し得る。
【0106】
別の実施形態では、種子コーティングは、バッチプロセスを用いて適用することができる。例えば、既知の重量の種子が処理装置(例えば、タンブラー、ミキサー、皿形造粒機等)に導入され得る。種子上に種子処理組成物を均一に適用させることが可能な速度で、既知量の種子処理組成物を処理装置内に導入することができる。適用中に、種子は、例えば、回転または混転によって混合することができる。種子は、任意に、混転中に乾燥させるか、または部分的に乾燥させることができる。完全にコーティングした後、処理された試料は、さらなる乾燥もしくは追加加工、使用、または貯蔵のための領域に移動され得る。
【0107】
代替実施形態では、種子コーティングは、上述のバッチプロセスおよび連続プロセスの実施形態の各々からの特徴を組み込んだ半バッチプロセスを用いて適用することができる。
【0108】
さらに別の実施形態では、種子は、処理機に既知の重量の種子を導入し、所望の量の種子処理組成物を添加し、種子を混転または回転させ、トレイ上に設置して十分に乾燥させることによって、タンブラー、ミキサー、皿形造粒機等の実験室規模の商業的処理装置においてコーティングすることができる。
【0109】
別の実施形態では、種子は、既知量の種子を狭いネックボトルまたは蓋付きの容器に配置することによってコーティングすることもできる。混転中、所望の量の種子処理組成物を容器に添加することができる。種子は、処理用組成物がコーティングされるまで混転される。コーティング後、種子は、任意に、例えば、トレイ上で乾燥させることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、処理された種子は、殺線虫コーティングを保護するためのフィルムコーティングで被覆されてもよい。そのようなオーバーコーティングは、当該技術分野において既知であり、従来の流動床及びドラムフィルムコーティング技術を使用して適用することができる。オーバーコーティングは、固体マトリックスプライミング、吸収、コーティング、およびスプレーを含むがこれらに限定されない上述の種子処理技術のいずれかで、または当該技術分野において既知の任意の他の種子処理法技術によって処理された種子に適用することができる。
【0111】
土壌への適用
本発明の別の態様では、所望の殺線虫化合物負荷を達成するために必要に応じて希釈された殺線虫処理用組成物は、植物の根域の周囲の土壌に直接適用される。適用は、土壌表面への加圧噴霧適用または植え付け溝への注入、ならびにオーバーヘッドスプリンクラーまたはドリップシステム、移植水処理、および植え付け前の植物もしくは根の浸漬を介した化学溶液潅漑を含む、当該技術分野において既知の任意の方法または装置を使用して行うことができる。土壌に適用するための懸濁濃縮製剤に使用される比率は、広域基準で1ヘクタール当たり0.5〜2kg(広域または帯状である場合、処理される面積当たりの比率)を必要とし得る。
【0112】
処理された種子
本発明の別の態様は、本明細書に記載される殺線虫種子処理組成物で処理された種子を対象とする。典型的には、種子は、固体マトリックスプライミング、吸収、コーティング、およびスプレーを含むがこれらに限定されない、上記の種子処理法のうちの1つを使用して、種子処理組成物で処理されている。上述のように、種子は、任意の植物種のものであってよい。
【0113】
典型的には、処理された種子は、少なくとも約0.05m/種子、より典型的には約0.05〜約1mg/種子、およびさらにより典型的には約0.05〜約0.5mg/種子の量で殺線虫化合物を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、組成物はパラフィン系炭化水素溶媒を含み、処理された種子当たりの活性成分の負荷は殺線虫剤の効力を損なうことなく大幅に減少し得る。例えば、種子処理組成物がパラフィン系炭化水素溶媒を含む場合、処理された種子は、約0.2mg未満/種子の量で、約0.1mg/種子の量で、約0.01〜約0.2mg/種子の量で、または約0.02〜約0.08mg/種子の量で殺線虫化合物を含み得る。
【0115】
以下の実施例は、単なる例示と見なされるべきであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0116】
いくつかの活性殺線虫化合物が、選択された分散剤および他の賦形剤と混合され、以下の実施例の懸濁濃縮組成物の調製に使用された。殺線虫化合物は、表1において特定される。
【表1】
【実施例1】
【0117】
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)を含む懸濁濃縮物の調製
ある量の殺線虫化合物Ia−i(25.00g)を、水(25.00g)、グリセリン(2.15g)、MORWET D−500分散剤(0.32g)、およびAGNIQUE DF 6889消泡剤(0.05g)の水溶液に添加した。得られた混合物を、100mLのジャケット付き金属容器に1/8インチの直径を有するステンレススチールビーズを含むUNION PROCESS製のSIZEGVARI ATTRITOR粉砕システムを用いて粉砕した。攪拌速度は、VARIAC可変単巻変圧器によって制御された。
【0118】
50v/140vの速度で1時間40分間、混合物を粉砕した後、白色の水性懸濁液(45.25g)を回収した。BECKMAN COULTER LS粒径分析器(モデルLS 13 320)を用いて、懸濁液の粒径特性を分析した。結果は、4.896μmの平均粒径を示し、2.937μmのメジアン粒径を有した。懸濁液は、47.6%(w/w)のIa−i殺線虫剤を含むと決定された。
【実施例2】
【0119】
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)を含む懸濁濃縮物の調製
ある量の殺線虫化合物Ia−i(30.00g)を、水(25.00g)、グリセリン(3.00g)、MORWET D−500分散剤(0.60g)、およびAGNIQUE DF 6889消泡剤(0.05g)の水溶液に添加した。得られた混合物を、100mLのジャケット付き金属容器に1/8インチの直径を有するステンレススチールビーズを含む、UNION PROCESS製のSIZEGVARI ATTRITOR粉砕システムを用いて粉砕した。攪拌速度は、VARIAC可変単巻変圧器によって制御された。
【0120】
50v/140vの速度で1時間30分間、40v/140vでさらに2時間15分間、混合物を粉砕した後、白色の水性懸濁液(45.20g)を回収した。懸濁液は、51.2%(w/w)のIa−i殺線虫剤を含むと決定された。
【実施例3】
【0121】
3−(4−クロロフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−ii)を含む懸濁濃縮物の調製
ある量の殺線虫化合物Ia−ii(34.00g)を、水(25.00g)、グリセリン(3.00g)、MORWET D−500分散剤(0.60g)、およびAGNIQUE DF 6889消泡剤(0.10g)の水溶液に添加した。得られた混合物を、100mLのジャケット付き金属容器に1/8インチの直径を有するステンレススチールビーズを含むUNION PROCESS製のSIZEGVARI ATTRITOR粉砕システムを用いて粉砕した。攪拌速度は、VARIAC可変単巻変圧器によって制御された。
【0122】
50v/140vの速度で4時間、混合物を粉砕した後、白色の水性懸濁液(45.40g)を回収した。BECKMAN COULTER LS粒径分析器(モデルLS 13 320)を用いて、懸濁液の粒径特性を分析した。結果は、4.58μmの平均粒径を示し、3.14μmのメジアン粒径を有した。懸濁液は、54.2%(w/w)のIa−ii殺線虫剤を含むと決定された。
【実施例4】
【0123】
3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−iii)を含む懸濁濃縮物の調製
ある量の殺線虫化合物Ia−iii(34.00g)を、水(25.00g)、グリセリン(3.00g)、MORWET D−500分散剤(0.60g)、およびAGNIQUE DF 6889消泡剤(0.05g)の水溶液に添加した。得られた混合物を、100mLのジャケット付き金属容器に1/8インチの直径を有するステンレススチールビーズを含むUNION PROCESS製のSIZEGVARI ATTRITOR粉砕システムを用いて粉砕した。攪拌速度は、VARIAC可変単巻変圧器によって制御された。
【0124】
50v/140vの速度で4時間、混合物を粉砕した後、白色の水性懸濁液(49.10g)を回収した。BECKMAN COULTER LS粒径分析器(モデルLS 13 320)を用いて、懸濁液の粒径特性を分析した。結果は、3.217μmの平均粒径を示し、2.192μmのメジアン粒径を有した。懸濁液は、54.2%(w/w)のIa−iii殺線虫剤を含むと決定された。
【実施例5】
【0125】
3−(4−クロロフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−ii)を含む懸濁濃縮物の調製
ある量の殺線虫化合物Ia−ii(34.00g)を、水(141.67g)、グリセリン(17.00g)、およびMORWET D−500分散剤(3.40g)の水溶液に添加した。得られた混合物を、500mLのジャケット付き金属容器に1/8インチの直径を有するステンレススチールビーズを含む、UNION PROCESS製のSIZEGVARI ATTRITOR粉砕システムを用いて粉砕した。攪拌速度は、VARIAC可変単巻変圧器によって制御された。
【0126】
75v/140vの速度で1時間、混合物を粉砕した後、少量のAGNIQUE DF 6889消泡剤(0.10g)を添加した。次いで、混合物を75v/140vで45分間、60v/140vでさらに1時間45分間、さらに攪拌した。
【0127】
粉砕プロセス後、白色の水性懸濁液(330.5g)を容器から回収した。BECKMAN COULTER LS粒径分析器(モデルLS 13 320)を用いて、懸濁液の粒径特性を分析した。結果は、2.90μmの平均粒径を示し、1.74μmのメジアン粒径を有した。懸濁液は、52.8%(w/w)のIa−ii殺線虫剤を含むと決定された。
【実施例6】
【0128】
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)を含む懸濁濃縮物の調製
ある量の殺線虫化合物Ia−i(34.00g)を、水(141.67g)、グリセリン(17.00g)、およびMORWET D−500分散剤(3.40g)の水溶液に添加した。得られた混合物を、500mLのジャケット付き金属容器に1/8インチの直径を有するステンレススチールビーズを含む、UNION PROCESS製のSIZEGVARI ATTRITOR粉砕システムを用いて粉砕した。攪拌速度は、VARIAC可変単巻変圧器によって制御された。
【0129】
75v/140vの速度で1時間、混合物を粉砕した後、少量のAGNIQUE DF 6889消泡剤(0.10g)を添加した。次いで、混合物を75v/140vで45分間、60v/140vでさらに1時間45分間、さらに粉砕した。
【0130】
粉砕プロセス後、白色の水性懸濁液(305.3g)を容器から回収した。BECKMAN COULTER LS粒径分析器(モデルLS 13 320)を用いて、懸濁液の粒径特性を分析した。結果は、3.334μmの平均粒径を示し、2.071μmのメジアン粒径を有した。懸濁液は、52.8%(w/w)のIa−i殺線虫剤を含むと決定された。
【実施例7】
【0131】
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)を含む懸濁濃縮物の平均/メジアン粒径の直径に対する粉砕時間の影響
ある量の殺線虫化合物Ia−i(362.4g)を、水(283.34g)、グリセリン(34.00g)、およびMORWET D−500分散剤(6.80g)の水溶液に添加した。得られた混合物を、1900rpmで20分間、溶解装置で予備粉砕した。得られた予備粉砕されたスラリーの一部(総量の60%)を、1.6〜2mmの直径を有するジルコニウムビーズで充填されたNETZSCH MINI ZETA II粉砕機に添加した。スラリーを1時間粉砕し、その後、得られた白色のスラリーの試料(250g)を回収した。
【0132】
粉砕プロセスの間、BECKMAN COULTER LS 粒径分析器(モデルLS 13 320)を使用して、分析のために試料を定期的に抽出した。各試料について得られた平均およびメジアン粒径を下の表2に要約する。
【表2】
【0133】
最終懸濁液は、44.2%(w/w)のIa−i殺線虫剤を含むと決定された。この実施例は、製剤の平均および/またはメジアン粒径が合計粉砕時間の関数として制御され得ることを示す。
【実施例8】
【0134】
種子処理組成物の調製
種子処理組成物を、上の実施例2〜4で調製した懸濁濃縮組成物を使用して調製した。
【0135】
組成物1:殺線虫化合物Ia−iを含む種子処理組成物を、実施例2で調製された組成物の一部(8.00g)を、CF CLEAR種子コートポリマー(0.30g)、BECKER−UNDERWOOD種子グロス(1.00g)、およびBECKER−UNDERWOOD赤色コーティング剤(2.00g)と混合することにより調製した。
【0136】
組成物2:殺線虫化合物Ia−iiiを含む種子処理組成物を、実施例3で調製された組成物の一部(18.40g)を、CF CLEAR種子コートポリマー(0.69g)、BECKER−UNDERWOOD種子グロス(2.30g)、およびBECKER−UNDERWOOD赤色コーティング剤(4.60g)と混合することにより調製した。
【0137】
組成物3:殺線虫化合物Ia−iiを含む種子処理組成物を、実施例4で調製された組成物の一部(18.40g)を、CF CLEAR種子コートポリマー(0.69g)、BECKER−UNDERWOOD種子グロス(2.30g)、およびBECKER−UNDERWOOD赤色コーティング剤(4.60g)と混合することにより調製した
【実施例9】
【0138】
殺線虫剤組成物による種子の処理
大豆種子(2.2kg)を、WILLY NIKLAUS GMBH種子処理装置に添加した。ある量の種子処理製剤を添加しながら、種子を処理機内で混転した。処理用組成物の完全な分散を確実にするために、種子を回収する前にさらに30秒間混転させた。
【0139】
各調製した試料で使用された種子処理組成物の量は、種子当たりの活性成分の標的量により変動した。下の表に示されるように、標的量は、Ia−iに関しては0.1〜0.5mg/種子、Ia−iiiおよびIa−iiに関しては0.1〜1mg/種子の範囲であった。種子当たりの活性成分の実際の量は、種子処理装置から取り出した際に分析された。結果を下の表に要約し、「組成物番号」は、実施例8で調製された組成物1〜3を指す。
【表3】
【0140】
結果は、各試料に関して、種子処理装置に添加された殺線虫剤活性成分の大部分が正常に種子に移動したことを示す。
【実施例10】
【0141】
懸濁濃縮組成物の調製
追加の一連の懸濁濃縮組成物を下に記載される手順を使用して調製した。
【0142】
無水一塩基性リン酸カリウム(9.361g)および二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(32.732g)を1リットル容量のフラスコに添加することにより、ストック緩衝溶液を調製し、脱イオン水でその残余を充填した。塩が完全に溶解するまでフラスコを振盪し、pHが7の透明な緩衝溶液を得た。
【0143】
次いで、各試料について、上に調製されたように、MORWET D−425分散剤、PLURONIC L−35二次分散剤、プロピレングリコール、およびある量のストック緩衝溶液を混合することにより、ブランク溶液を調製した。各試料中のこれらの成分の相対的な割合が、それぞれ、下の表4に提供される。
【0144】
プロセスの次のステップでは、1リットルのビーカー中で、ある量のIa−i殺線虫剤および少量のBYK−016消泡剤とブランク溶液を混合した。次いで、製剤を、9,000rpmで10〜12分間、Tekmarホモジナイザーで攪拌し、スラリー得た。予備粉砕したスラリーの粒径を、BECKMAN COULTER LS粒径分析器(モデルLS 13 320)を用いて測定した。
【0145】
次いで、製剤試料Aおよび試料Cについて、冷却水を備えたガラスまたは酸化ジルコニウムビーズ(200mL)のいずれかで充填したNETZSCH MINI ZETA II装置に予備粉砕されたスラリーを添加した。35分間粉砕した後、得られた白色のスラリーを回収し、上述のように粒径を測定した。製剤試料Bを単に予備粉砕し、5.8μmのメジアン粒径を得た。粒径は、予備粉砕プロセスの最適化によりさらに減少させることができる。
【0146】
KELZAN CC安定剤(4.00g)およびPROXEL GXL殺生物剤(8.00g)を脱イオン水(388.00g)に添加することにより、安定剤組成物を調製した。室温で、30分間機械撹拌機で撹拌した後、均質な粘性の液体を得た。
【0147】
次いで、9:1の重量比でスラリーを安定剤組成物と混合し、流動可能な懸濁濃縮組成物を得た。このプロセスによって調製された3つの代表的な組成物の試料の要約を下に示す。
【表4】
【0148】
上述のように、このプロセスにより調製された組成物は、全て少なくとも約45重量%の活性成分負荷を達成することができた。組成物の各々は、1.0〜1.2ミクロンの平均メジアン粒径を有し、1.4〜1.5の多分散指数(メジアン/平均)であることが測定された。組成物の各々は、室温で3ヶ月を超えて貯蔵安定性であることが観察された。
【0149】
製剤は、パスモードを介してNetzch Mini Zeta II粉砕機を用いて調製することもできる。典型的な実施例では、最初にホモジナイザーで製剤を予備粉砕し、次いで粉砕機に添加した。製剤を粉砕機に通した後、それを回収し、再度粉砕機に添加した。3504rpmで粉砕機に3回通した後、製剤を回収し、KELZAN安定剤組成物と混合して、最終製剤を得た。安定剤を添加する前に製剤の粒径を測定した。多重パスモードによって調製された製剤を表5に示す。これらの製剤の粒径を表6に示す。
【表5】
【表6】
【実施例11】
【0150】
示差走査熱量分析
示差走査熱量(DSC)分析を使用して、多型形態に関して3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)の11のバッチを特徴付けした。TA INSTRUMENTS Q2000 DSC装置を使用して、DSCデータを収集した。
【0151】
各バッチに関して、1〜10mgの範囲の質量の試料をアルミニウム試料皿に圧着し、2℃〜10℃/分の速度で増加する25℃〜約120℃の範囲にわたって、および50mL/分の窒素パージを使用して走査した。
【0152】
融点開始は約106℃〜108℃の範囲であり、融解エンタルピーは約108〜122J/gの範囲であった。結果を下の表7に示す。約2mgの比較的小さな試料サイズを使用して、単一の試料分析で融解エンタルピーの測定値を得た。
【表7】
【0153】
バッチGの熱挙動は、示差走査熱量測定および熱重量分析を使用して決定された。DSCサーモグラムは鋭い融解吸熱を呈し、開始は106.9℃であり、融解エンタルピーは118.9J/gであった。
【0154】
ロットGの顕微鏡評価は、大きさが約5〜100ミクロンの範囲の複屈折針状から円柱形状の粒子を示した。
図1は、代表的な顕微鏡写真を示す。
【実施例12】
【0155】
溶媒再結晶
多形の溶媒系部分のスクリーンを行うために、約240の異なる結晶成長条件下で様々な溶媒を使用して、3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール試験材料を再結晶した。再結晶化実験の規模は、約0.5mL〜15mlであった。結晶成長条件は、溶媒混合物の2成分勾配アレイを使用し、飽和温度、成長温度、および蒸発速度(過飽和の発生率)を変更することにより変化させた。
【0156】
飽和溶液を、飽和温度の様々な溶媒系と接触する過剰(可能な限り)試験物質を攪拌することにより調製した。固体が完全に溶媒に溶解しない場合は、濾過により母液を残留固体から分離した。次いで、あらゆる残りの固体を溶解するために、母液を飽和温度を上回って加熱した(過熱)。各溶液の温度を成長温度に調節し、溶媒の蒸発を開始させるために、制御した窒素剪断流を導入した。
【0157】
試験中に使用された7つの溶媒系パネルの再結晶化条件を表8Aに要約する。各再結晶化パネルには27〜96のウェルが含まれた。各パネル内のウェルは、異なる溶媒組成物を含んだ。各ウェル中の溶媒組成は異なったため、各ウェルは異なる結晶成長実験としての機能を果たした。多形の溶媒系部分のスクリーン中に使用された5つの再結晶化パネルの組成上の溶媒マトリックスを、それぞれ、下の表8B〜8Fに示す。スクリーニング試料に対して実行されるXRD分析に基づき(下の実施例18を参照)、3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールの新しい多形がこれらの実験において見出された。出発物質は、形態Iと称され、一方、新しい多形は形態IIと称された。
【表8A】
【表8B】
【表8C】
【表8D】
【表8E】
【表8F】
【実施例13】
【0158】
溶融物からの再結晶化
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールが異なる形態(無溶媒再結晶化)として溶融物から再結晶化されるか否かを決定するために、ロットG(形態I)に対して周期的DSC分析を行った。溶融温度を上回って材料を加熱し、その後、5℃、10℃、20℃、30℃、40℃、または50℃/分の速度で材料を冷却し、続いて融解温度を上回って再加熱することにより実験を行った。5℃〜30℃/分の冷却速度で、最初の融解エンタルピー値(出発材料の)は約120J/gであり、一方、第2の値(元の溶融物を冷却した後に得られた固体の溶融の)は、約100J/gであった。融点開始(約0.5℃)においてもわずかな変化があった。溶融形態I、続く再結晶は、形態IIの形成をもたらすと考えられる。
【0159】
40℃および50℃/分の冷却速度で行われた実験の結果ははっきりせず、実験がこれらの条件下で制御されなかったことを示し得る。
【0160】
図3は、30℃/分の冷却速度で行われた試験からの見本の周期的DSCサーモグラムを示す。
【0161】
さらなる実験において、約300〜400mgの形態Iの出発材料を、約120℃の強制空気オーブン中で約40分間、溶融するまで加熱した。試料を室温までゆっくり冷却し、この試料に対してXRD、DSCおよびプロトンNMR分析を行った。XRDパターンは、出発材料(形態I)と異なり、形態IIパターンと類似した。DSCは、107.8℃の溶融開始温度を呈し、融解エンタルピーは103.2J/gであった。
【実施例14】
【0162】
研削分析
2つの別個の実験において、3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール多型形態IおよびIIのバッチを、CRESCENT WIG−L−BUG球入粉砕機を使用して、2分間、4800振動/分(3.2m/s)で研削した。これらの条件下で、形態Iにおいて変化は観察されず、一方、形態IIの試料は形態Iに変化した。
図4は、粉砕された形態Iおよび形態IIの試料、ならびに形態IおよびIIの参照パターンのXRDオーバーレイを示す。この実験で使用された形態IIは、上の実施例14に記載されるように、形態Iの溶融物からの再結晶化により得た。
【実施例15】
【0163】
機械圧力分析
2つの別個の実験において、3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールの多形形態IおよびIIのバッチを、CARVERプレス機に設置し、約20秒間、約15,000psiで圧縮した。その試料に対してXRD分析を行った。得られたXRDパターンは、形態IおよびIIに関して、それぞれ、
図5Aおよび5Bに示されるように、両方の実験において出発材料と一致した。加圧処理は、両方の実験の出発材料の多型形態においていかなる変化も現さなかった。この実験で使用された形態IIは、上の実施例14に記載されるように、形態Iの溶融物からの再結晶化により得た。
【実施例16】
【0164】
非競合スラリー実験
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールの新しい固体状態の形態を調査するために、溶媒再結晶化実験に加え、非競合スラリー実験を行った。これらの実験は、異なる多型形態の溶解度の差異に依存する(化合物が異なる多型形態で存在する場合)。したがって、元の結晶形態よりも低い溶解度(すなわち、より安定である)を有する多形のみが非競合スラリー実験から生じ得る。
【0165】
基本的に、固体が溶媒と混合されてスラリーを作製するた場合、最終的に飽和溶液が得られる。溶液は溶解された多型形態に関して飽和される。しかしながら、溶液は、最初に溶解された多型形態よりも安定である任意の多型形態に関して過飽和される(より安定な形態はより低い溶解度を有する)。したがって、より安定した多形形態はいずれも核をなし、溶液から沈殿し得る。加えて、非競合スラリー実験は、多くの場合、化合物と溶媒和物を形成する溶媒を特定するのに有用である。
【0166】
スラリー実験は、過剰供給された材料を溶媒に曝露し、周囲温度で数日間、得られた懸濁液を撹拌することによって行われた。WHATMANグレード1装置(11μmの孔径)を用いて固体を濾過し、得られた形態(複数可)を決定するためにXRDにより分析した。単離後の脱溶媒和または物理的変化の可能性を回避するために、試料はX線分析前に乾燥されなかった。非競合スラリー実験の要約を表9に示す。
【表9】
【0167】
それらのX線散乱挙動に基づき、出発材料として形態Iを用いたスラリー実験は、スラリー化の約12日後に形態Iを生じた(変化を示さない)。出発材料として形態II(上の実施形態14に記載されるように、溶融物からの再結晶化により得た)を用いたスラリー実験は、スラリー化の約7日後に形態Iを生じた。これらのデータは、形態Iが周囲温度および圧力で形態IIよりも安定であることを示す。新たな多形、溶媒和物、または水和物は、これらの実験では単離されなかった。
【実施例17】
【0168】
スクリーニング試料のX線分析
溶媒による再結晶化パネルおよび他の手段から生成された(スラリー、オーブンの溶融物からの再結晶化形態等)固体の3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール多形のバッチを、粉末XRDにより分析した。好ましい粒子効果を緩和するために、2次元検出システムを使用し、全てのXRDスクリーニングデータを収集した。2次元検出器は、パターン変動を低減するのに役立つ同心デバイ円錐に沿って統合される。2次元検出器を使用したデバイ円錐統合の例を以下に示す。明るいスポットが円錐状リングに現れる場合、ピーク強度の変化を含む観察された回折パターンにかなりの変動をもたらす可能性がある好ましい強い粒子効果を示す。3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールのいくつかの試料は、散乱挙動の出現に基づく好ましい粒子効果を示す。
【0169】
この分析の結果は、材料が2つの異なる多形として存在することを明らかにした。多形は、形態IおよびIIと命名した。最初の試験試料に対応する形態Iの多形の粉末XRD分析を
図6に示す。形態IIの多形の粉末XRD分析を
図7に記載する。
【0170】
最初の試験材料は、形態Iと命名した。各個々の(溶媒系)再結晶化実験の得られた形態の名称を上の表7B〜7Fに示す。
【実施例18】
【0171】
形態IおよびIIの形成の要約
いくつかの異なる再結晶化条件を、上の実施例12〜18に利用された試料を生成するために使用した。3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールの多型形態Iは、様々な結晶化条件下の実験の約50%において得られた。多型形態IIは、様々な結晶化条件下の実験の約10%においても得られた。形態IおよびIIの混合物は、実験の約11%において得られ、2つの多形が核をなし、同時に成長する傾向があることを示す。形態Iは、非競合スラリー実験の結果に基づく周囲条件下で熱力学的に安定な形態であると思われる。正確な結晶化条件を、上の表7A〜7Fに示す。
【0172】
表10は、本試験における全ての実験パネルで得られた結果の要約である。パネル1、2、4、6、および7は、上の実施例13に記載されることに留意する。パネル3は、上の実施例14に記載される溶融物からの再結晶化に対応する。パネル5および8は、それぞれ、上の実施例17の形態Iおよび形態IIに関して行われた非競合スラリー実験に対応する。
【表10】
【実施例19】
【0173】
競合スラリー実験
溶媒再結晶化実験に加えて、3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールの最も安定した多型形態を決定するために、競合スラリー実験も行われた。これらの実験は、異なる多型形態の溶解度の差異に依存する。したがって、最初に溶解された形態よりも低い溶解度(より安定した)を有する多型形態(および溶媒和物)のみが競合スラリー実験から生じ得る。
【0174】
基本的に、固体が(スラリー)溶媒に溶解される場合、最終的に飽和溶液が得られる。溶液は溶解された多型形態に関して飽和される。しかしながら、溶液は、最初に溶解された多型形態よりも安定である任意の多型形態に関して過飽和される(より安定な形態はより低い溶解度を有する)。したがって、より安定した多形形態のいずれも核をなし、溶液から沈殿し得る。加えて、競合スラリー実験は、多くの場合、APIと溶媒和物を形成する溶媒を特定するのに有用である。
【0175】
スラリー実験は、形態IおよびIIの過剰材料を少量の純溶媒に曝露し、得られた懸濁液を周囲温度で数日間撹拌することによって行われた。固体を濾過し、得られた形態を決定するために、XRDにより分析した。単離後の脱溶媒和または物理的変化の可能性を回避するために、試料はX線分析前に乾燥されなかった。表11は、競合スラリー実験の結果を示す。
【表11】
【0176】
上で得られた温度データは、当該技術分野において既知の方法を使用して、形態IおよびIIの変化の遷移温度の近似値を計算するために使用された。この方法を使用して得られた値は、約102℃であった。これらの計算に基づき、形態Iは、これを下回る温度で安定した形態であり、形態IIはこれを上回る温度で安定した形態であると予測される。これは別の特徴である互変多型関係である。
【0177】
競合スラリー実験のグラフィカルXRDオーバーレイを
図8に示す。
【実施例20】
【0178】
転移温度の推定
DSCにより、2℃/分の緩徐な加熱速度で、類似した試料サイズの3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールの多型形態IおよびIIならびにそれらの50/50混合物を分析した。溶融温度および融解エンタルピーのデータを、下の表12に示す。これらのデータは、形態Iがより低い溶融温度およびより高い融解エンタルピーを有することを示す。形態IIは、より高い溶融温度およびより低い融解エンタルピーを有する。融解熱の規則により、これは、形態IおよびIIが互変関係を有することを示す。
図9A〜9Cは、それぞれ、形態I、形態II、および形態IとIIの混合物の関連DSCサーモグラムを示す。
【0179】
上述の手順を使用した温度データは、形態IおよびIIの変化の遷移温度の近似値を計算するために使用され、102℃の推定遷移温度値が得られた。これらの計算に基づき、形態Iはこれを下回る温度で安定した形態であると予測されるが、形態IIはこれを上回る温度で熱力学的に安定した形態であると予測される。これはさらに、形態IおよびIIが互変多型関係を呈することを示す。
【表12】
【実施例21】
【0180】
多形の貯蔵安定性
周囲条件で貯蔵中の3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾールの形態I材料の貯蔵安定性および/または水和物形成を決定するために、2つの静置湿度チャンバにおいて試料を監視した。これらの試験では、試料は、相対的な蒸気圧を維持するために、飽和塩溶液を含むチャンバ内の開放ペトリ皿に貯蔵された。周囲温度での飽和塩化カリウム(84%相対湿度)および塩化ナトリウム(75%相対湿度)塩の溶液を使用した。
【0181】
図10は、貯蔵4週間後の75%および84%相対湿度で貯蔵した試料のXRDパターンを示す。図に示されるように、形態Iは水和物を形成せず、周囲条件で長い期間熱力学的に安定であるように思われる。
【0182】
対照的に、周囲条件下のフード内のシンチレーションバイアルに貯蔵された形態IIの試料は、貯蔵の約6日後にXRDにより分析した際、形態Iへの変化の兆候を示した。
図11は、形態IおよびII、ならびに形態Iへの変化の兆候を示す形態IIの試料のXRDオーバーレイを示す。
【実施例22】
【0183】
大豆シスト線虫アッセイ
SCNカップアッセイにおいてダイズ大豆シスト線虫(SCN)に対する殺線虫活性について製剤を試験した。
【0184】
製剤を以下のように調製した。
【0185】
リン酸緩衝溶液の調製:1L容量のフラスコに、リン酸カリウム一塩基性無水物(9.329g)およびリン酸ナトリウム二塩基性七水和物(32.756g)を添加した。目印までDI水をフラスコに添加し、それを15回反転し、透明な溶液を得た。
【0186】
ブランクA製剤の調製:2Lのビーカーに、MORWET D−425(43.6g)、DI水(1,386.9g)、リン酸緩衝溶液(36.3g)、プロピレングリコール(217.7g)、およびPLURONIC L−35(2.2g)を添加した。混合物をヘラで攪拌し、褐色の溶液を得た。
【0187】
ブランクB製剤の調製:2Lのビーカーに、MORWET D−425(174.3g)、DI水(1,256.0g)、リン酸緩衝溶液(36.3g)、プロピレングリコール(217.8g)、およびPLURONIC L−35(2.1g)を添加した。混合物をヘラで攪拌し、暗褐色の溶液を得た。
【0188】
KELZAN安定剤溶液の調製:1Lのビーカーに、KELZAN CC(4.060g)、PROXEL GXL(7.978g)、およびDI水(388.273g)を添加した。次いで、混合物を、2,000rpmで30分間、Melton機械攪拌棒(モデルCM−100)で攪拌し、粘性の液体を得た。
【0189】
懸濁濃縮製剤3の調製:2Lのビーカーに、ブランクA製剤(497.3g)、化合物Ia−i(521.4g)、およびBYK−016(3.6g)を添加した。混合物をヘラで攪拌し、スラリーを得た。混合物を氷浴に設置し、予備粉砕するためにTekmar T554ホモジナイザー(モデルTR−10)を使用した。予備粉砕中、スラリー(1022.3g)を、9,000rpmで12分間、ホモジナイザーを用いて撹拌した。Eiger粉砕機(モデルM250)を、平均直径0.3〜0.4mmの酸化ジルコニウムビーズで充填した。ついで、およそ半分の予備粉砕したスラリー(501.4g)をEiger粉砕機に添加し、リサイクルモードで5000rpmの速度で、室温で粉砕した。30分後、得られた白色の液体製剤(412.4g)を回収し、KELZAN安定剤溶液(45.8g)と混合し、最終製剤(458.2g)を得た。安定剤を添加する前に、Beckman Coulter粒径分析器(モデルLS 13 320)を用いて製剤の粒径を分析した。
【0190】
懸濁濃縮製剤4の調製:上の懸濁濃縮製剤からの予備粉砕されたスラリー(501.4g)も、平均直径0.3〜0.4mmの酸化ジルコニウムビーズで充填された同じEiger粉砕機で粉砕された。120分後、得られた白色の液体製剤(408.5g)を回収し、KELZAN安定剤溶液(45.4g)と混合し、最終製剤(453.9g)を得た。安定剤を添加する前に、Beckman Coulter粒径分析器(モデルLS 13 320)を用いて製剤の粒径も分析した。
【0191】
懸濁濃縮製剤5の調製:1Lのビーカーに、ブランクB製剤(383.3g)、化合物Ia−i(261.1g)、およびBYK−016(2.5g)を添加した。混合物をヘラで攪拌し、スラリーを得た。混合物を氷浴に設置し、予備粉砕するためにTekmar T554ホモジナイザー(モデルTR−10)を使用した。予備粉砕中、スラリーを、9,000rpmで10分間、ホモジナイザーを用いて撹拌した。粉砕は、2段階に分けられた。平均直径0.8〜1mmのガラスビーズで充填されたNetzsch Mini Zeta II、および平均直径0.1〜0.2mmの酸化ジルコニウムビーズで充填されたEiger粉砕機(モデルM250)の両方を粉砕に使用した。第1段階では、スラリーを、Netzsch粉砕機に3回通し、各通過に関して、粉砕機は3,504rpmで操作された。第2段階では、スラリーを、Eiger粉砕機に10回通し、粉砕は5,000rpmで操作された。白色の液体(452.1g)を回収し、白色の液体(349.0g)の一部をKELZAN安定剤溶液(38.8g)と混合し、最終製剤(387.8g)を得た。安定剤を添加する前に、Beckman Coulter粒径分析器(モデルLS 13 320)を用いて製剤の粒径も分析した。
【0192】
懸濁濃縮製剤6の調製:8つのドラムバイアルに、MORWET D−425(0.714g)、DI水(3.75g)、リン酸緩衝溶液(0.147g)、ISOPAR M(1.45g)、プロピレングリコール(0.898g)、PLURONIC L−35(0.009g)、化合物Ia−i(7.315g)、およびBYK−016(0.067g)を添加した。混合物を攪拌し、続いて、直径3mmのステンレススチールビーズ(14mL)を添加した。バイアルに蓋をし、US Stonewareローラー(シリアル番号CK−11009)上に配置し、50の速度設定で回転させた。2日後、スラリー(5.903g)を回収し、KELZAN安定剤溶液(0.660g)と混合し、最終製剤(6.563g)を得た。安定剤を添加する前に、Beckman Coulter粒径分析器(モデルLS 13 320)を用いて製剤の粒径を分析した。
【0193】
下の表13は、SCN効力アッセイにおいて種子処理に使用された各製剤の組成を示す。
【表13】
【0194】
SCN効力アッセイ
A4630大豆植物を、そのままのMurashige&Skoog基礎塩肥料(Phytotechカタログ番号201080−52)、続いて、180mlの20:80土/砂の混合物(Hummertにより予め混合された滅菌St.Charles砂およびUS10土)で充填されたカップで成長させた。Gustafson Batch Modular Coater(BMC)処理機は、表13に記載される製剤で大豆の種子を処理するために使用された。
【0195】
未処理の種子および処理された種子を、20:80の土の上に置き、1/2インチの深さの土壌に押し込んた。カップを育成チャンバ内に設置し、水を散布して土壌をぬらした。種子が発芽するまで(約3〜5日)、伝播ドームをカップ上に設置した。育成チャンバ内の条件は以下の通りである:28℃、相対湿度60%、および347 μ アインシュタインの光で16時間/14時間の昼/夜期間。
【0196】
植え付け10日後、大豆シスト接種(2×500μL、5000卵/カップ)を、大豆植物の両側の土壌中に導入した。接種後植物をさらに5週間成長させ、必要に応じて樹上灌水で水を与えた。
【0197】
製剤の効力は、植物を収穫し(45日)、シストを計数することによって決定した。表14は、50μg/種子および300μg/種子のSCNに対する生物有効性を要約する。
【表14】
【実施例23】
【0198】
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)およびイミダクロプリドを含む懸濁濃縮物の調製
殺線虫化合物3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)およびイミダクロプリドを含むいくつかの懸濁濃縮共製剤組成物を調製した。この実施例で調製された5つの代表的な共製剤組成物の要約が、下の表15〜19に提供される。
【0199】
1L容量のフラスコに、リン酸カリウム一塩基性無水物(9.361g)、およびリン酸ナトリウム二塩基性七水和物(32.732g)を添加することにより、リン酸緩衝液を調製した。その後、目印までDI水をフラスコに添加した。しばらくの間振盪させた後、全ての塩を溶解させ、pH7の透明なリン酸緩衝液を得た。
【0200】
粘性液体(400g)を得るために、KELZAN CC(4.00g)およびPROXEL GXL(8.00g)をDI水(388.00g)に添加し、30分間室温で、2,900rpmで機械分散機を用いて攪拌することにより、KELZAN増粘剤/安定剤を調製した。
【0201】
懸濁濃縮共製剤組成物は、300rpmで30分間、またはMORWET D−425が溶解するまでA部の全ての成分を混合し、B部の全ての成分をA部に添加し、300rpmで5分間混合し、C部の全ての成分をAおよびB部の混合物に添加し、9,000rpmで10分間、溶液を均質化し、研削された(研削は研削媒体を用いたローラー(超高密度酸化ジルコニウム研削媒体、Yttria安定化された1/2×1/2シリンダ)を使用して行われた)Ia−iおよびイミダクロプリド(D部)を瓶内で組み合わせ、制御された経路で上(A、B、およびC部)に溶液を注ぎ、氷浴で30分間、9000rpmで溶液を均質化し、所望の粒径を達成するために、溶液を4回粉砕し、E部を回収した試料に添加し、500rpmで10分間混合し、F、G、およびH部(存在する場合)を回収した試料に添加し、900rpmで30分間混合することにより調製された。
【0202】
結晶成長阻害剤としてATLOX 4913(Crodaから入手可能)を使用する。表15〜19に報告される重量パーセント値は、理論値であり、添加された活性物質の重量に基づき計算された。表15〜19に報告される粒径はBeckman Coulter粒径分析器(Beckman Coulter LS 13 320レーザー回折粒径分析器)によって測定された。
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【実施例24】
【0203】
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)およびイミダクロプリドを含む懸濁濃縮物の老化安定性試験
実施例23において調製された殺線虫化合物3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)およびイミダクロプリドを含む5つの懸濁濃縮共製剤組成物を、老化安定性試験に供した。
【0204】
この試験では、粒径は、Beckman Coulter粒径分析器(Beckman Coulter LS 13 320レーザー回折粒径分析器)によって測定され、粘度は、Brookfield R/Sとレオメーターによって測定され、Ia−iおよびイミダクロプリドの重量%値はHPLCを用いて決定された。
【0205】
各濃縮共製剤組成物を、個々の瓶に採取し、室温(RT)で0時間、RTで4週間、RTで8週間、50℃で4週間、50℃で8週間のラベルを付けた。50℃で4週間、および50℃で8週間の試料の両方は、温度を50℃に設定した実験室オーブン内で貯蔵された。
【0206】
0時間で、RTで0時間の試料を試験した。4週間で、50℃で4週間の試料をオーブンから取り出し、温度がRTに達するように24時間ベンチに置いた。次いで、RTで4週間の試料および50℃で4週間の試料を試験した。8週間で、50℃で8週間の試料をオーブンから取り出し、温度がRTに達するように24時間ベンチに置いた。次いで、RTで8週間の試料および50℃で8週間の試料を試験した。
【0207】
表15〜19に要約された5つの懸濁濃縮共製剤組成物の老化安定性試験の試験結果を、それぞれ、下の表20〜24に報告する。当該技術分野において既知の理由、例えば、活性物質は100%純粋ではなかったか、または試料の粉砕および/または加工中に活性物質の損失があった可能性があり、上の表15〜19に報告された理論的値と比較して、Ia−iおよびイミダクロプリドの測定された濃縮物においてわずかな食い違いがあったことに留意する。
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【実施例25】
【0208】
3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)を含む懸濁濃縮物の調製
殺線虫化合物3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)を含むいくつかの懸濁濃縮製剤組成物を調製した。この実施例で調製された3つの代表的な懸濁濃縮製剤組成物の要約を、下の表25〜27に提供する。
【0209】
1L容量のフラスコに、リン酸カリウム一塩基性無水物(9.361g)、およびリン酸ナトリウム二塩基性七水和物(32.732g)を添加することにより、リン酸緩衝液を調製した。その後、目印までDI水をフラスコに添加した。しばらくの間振盪させた後、全ての塩を溶解させ、pH7の透明なリン酸緩衝液を得た。
【0210】
粘性液体(400g)を得るために、KELZAN CC(4.00g)およびPROXEL GXL(8.00g)をDI水(388.00g)に添加し、30分間室温で、2,900rpmで機械分散機を用いて攪拌することにより、KELZAN増粘剤/安定剤を調製した。最大1kgの規模のKELZAN増粘剤/安定剤を調製するために、同じ組成物および調製手順が使用された。
【0211】
円筒形のセラミックビーズで半分充填されたプラスチックのボトル(1/2インチ外径×1/2インチ長)にそれを添加し、ローラー上で30分間回転させることにより、研削したIa−iを調製した。スクリーンを通してふるい分けした後、研削したIa−iを回収し、懸濁濃縮製剤の調製に使用した。
【0212】
懸濁濃縮製剤組成物は、MORWET D−425(81.6g)を1ガロンの瓶中のDI水(1027.4g)に添加することにより、最初にブランク製剤を調製することによって調製された。MORWET D−425が溶解した後、プロピレングリコール(204.1g)、リン酸緩衝液(34.0g)、PLURONIC L−35(2.04g)、消泡剤(11.34g)、およびISOPAR M(81.6g)を瓶に添加し、次いで、9,000rpmで6分間、ホモジナイザーを用いて氷浴中で攪拌し、褐色のエマルジョン(1442.1g)を得た。
【0213】
1ガロンの瓶にブランク製剤および研削したIa−iを添加し、得られた混合物をヘラで十分に攪拌した。その後、瓶を氷浴に設置し、Tekmarホモジナイザー(モデルT 45 S4)をスラリーの中に挿入し、瓶の中心部のホモジナイザーの先端は瓶の底から約5mm上であった。最初、ホモジナイザーは、3分間10,000rpmで、次いで27分間9,000rpmで操作された。これを30分間粉砕した後、得られたスラリーの粒径を測定した。大きな粒子が依然として製剤スラリー中に存在する場合、さらに5〜10分間粉砕した。Beckman Coulter粒径分析器(Beckman Coulter LS 13 320レーザー回折粒径分析器)によって粒径を測定した。
【0214】
0.7〜1mm(200ml)の直径を有するガラスビーズで充填されたNETZCH MINI ZETA II粉砕装置を粉砕に使用した。粉砕機は水管に接続され、粉砕中の温度上昇を制御するために冷水が使用された。使用する前に、最初に少量のブランク製剤(15.0g)を機械に添加し、その後、機械を3504rpmで30秒間運転した。残りのブランク製剤を機械の外に押し出すために圧縮窒素を使用した。
【0215】
この実施例の懸濁濃縮製剤の調製に関して、製剤の粒径を減少させるために循環方法を使用した。粉砕中、3504rpmで操作しているときに上述の予備粉砕から得た製剤スラリーを粉砕機に添加した。粉砕機を通して粉砕した後、製剤を回収した。次に、同じ粉砕を2回繰り返し、粒径が約1.6〜約2.5μmの範囲の約2μmの平均粒子を有する製剤を得た。粒径が依然として大きい場合、4回目または追加の粉砕が必要である。
【0216】
後処理において、KELZAN増粘剤/安定剤、腐植酸ナトリウム塩、およびATLOX 4913を回収した製剤スラリーに添加し、次いで、30分間室温で、機械攪拌棒で攪拌し、褐色のスラリーの形態で懸濁濃縮製剤を得た。ATLOX 4913、安定剤、腐植酸ナトリウム塩、および水に関する表25〜27に報告される重量%の値は、粉砕後に回収された試料の量に基づく(例えば、合計1000gのブランク製剤および殺線虫成分が粉砕され、粉砕後に800gが回収される場合、粉砕後の成分の量は800gに基づく)。
【表25】
【表26】
【表27】
【実施例26】
【0217】
殺線虫化合物および二次活性物質を含む懸濁濃縮物の調製
殺線虫化合物3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)または3−(4−クロロ−2−メチルフェニル)−5−(フラン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−iii)および二次活性物質として様々な殺真菌剤または殺虫剤を含むいくつかの懸濁濃縮共製剤組成物を調製した。この実施例で調製された16の代表的な共製剤組成物(A〜P)の要約が、下の表28〜33に提供される。
【0218】
DI水、MORWET D−425、リン酸緩衝液(実施例23において上述される)、およびプロピレングリコールを、蓋付きの30mlのバイアルに添加することにより、共製剤組成物を調製した。MORWET D−425を溶解した後、腐植酸ナトリウム塩、ISOPARM、消泡剤(AGNIQUE DFM 111S)、およびPLURONIC L−35をバイアルに添加し、攪拌後、褐色の液体が形成された。次いで、各製剤の組成により、活性物質をバイアルに添加した。直径2mmのステンレススチールビーズ(14ml)をバイアルに加え、バイアルにしっかりと蓋をした。バイアルを大きな瓶(16オンス)に設置し、大きな瓶に蓋をした。4つのバイアルを入れた大きな瓶をローラー(U.S.Stonewareのモデル764 AVM)上に設置し、これを周囲温度で2日間最高速度の半分で回転させた。KELZAN増粘剤/安定剤(実施例23で上述したように)をバイアルに加え、4時間、最高速度の10〜20%で回転させた。バイアル中で流動性であった製剤を回収し、粒径分析用に少量の試料を採取した。表28〜33に報告される重量%の値は、添加された活性物質の重量に基づく理論値である。この実施例で使用したメタラキシル、テブコノゾール(tebuconozole)、およびクレソキシムメチル活性物質の純度は、それぞれ、90%、96.8%、97.5%であった。
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【表33】
【0219】
少量の共製剤組成物の各試料A〜Pを粒径分析用に採取した。Beckman Coulter粒径分析器(Beckman Coulter LS 13 320レーザー回折粒径分析器)によって粒径を測定した。結果を下の表34に記載する。
【表34】
【実施例27】
【0220】
現地試験
この実施例では、大豆の小区画現地試験において、大豆シスト線虫(SCN)に対する殺線虫活性について様々な殺線虫製剤を試験した。試験された製剤は、単独で、または殺線虫化合物3−フェニル−5−(チオフェン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール(Ia−i)、具体的には表27の上述の製剤9を含む本発明による組成物との組み合わせの両方で、Monsanto Companyから入手可能であり、ピラクロストロビン、メタラキシル、フルキサピロキサド、およびイミダクロプリドを含む殺真菌剤/殺虫剤種子処理パッケージであるACCELERON F/Iを含んだ。また、Monsanto Companyから入手可能であり、ピラクロストロビン、メタラキシル、フルキサピロキサド、クロチアニジン、およびバチルス・フィルムスを含む殺真菌剤+殺線虫種子処理パッケージであるACCLERON F/Nの製剤9との組み合わせも試験された。
【0221】
Stough細砂質ローム土壌を含む小区画を臭化メチルで燻蒸した。これらの区画を、72時間、114−p.m(4.5−ミル)厚のポリエチレン防水シートで覆った。防水シートを外し、45日後に区画に植え付けた。各小区画に4つの種子を植えた。5つの複製を用いて無作為化完備ブロック設計に処置を配列した。必要に応じて小区画に点滴灌漑で水を与えた。試験期間中の毎週の最大および最小温度および降雨量を記録した。
【0222】
大豆シスト線虫の種3集団を温室で、大豆(Coker156)で増加させた。明褐色から黄褐色のシストを強い水スプレーで根から追い出し、850および250I〜mの孔径の組ふるいで収集した。シストを、20mlのガラス管に入れ、改良したSeinhorstシストクラッシャー(21)を用いて破砕した。壊れたシストおよび破片を除去するために、得られた懸濁液を、28−〜m細孔ふるい上に組み合わせた75−txm細孔ふるいに通した。各小区画内の深さ5cm、幅2cmの10の窪みに線虫懸濁液をピペット注入することにより、接種物を適切な処置に組み込んだ。次いで、園芸用のくわで土壌を15cmの深さまで混合し、2,000個の卵およびJ2/250cm
3の接種レベルを得た。
【0223】
植物の木立、高さ、および草勢評価を植え付け20〜40日後に行った。各小区画の大豆シスト線虫の数は、大豆の成熟度で決定した。2.25cm−d×深さ15cmの6つの土壌の中心部を、各小区画の大豆の根域から収集した。大豆シス線虫シストのシストを、接種物の生成に関して記載されるふるいにより250cmの土壌から抽出した。シストを収集するために使用されたふるいを通過したJ2は、重力スクリーニングを使用して懸濁液から抽出した。28μm細孔のふるい上に収集された画分中のJ2の最終的な分離は、スクロース遠心浮遊(スクロース比重=1.13)によるものであった。データは、J2、シスト、卵、J2+卵の数として報告された。さらに、処置の生殖因子(Rf)が提供された;Rf=最終集団(Pf)/初期集団(Pi)。
【0224】
表35は、試験した製剤のSCN生殖因子を要約する。
【表35】
【0225】
本発明の要素またはその好ましい実施形態(複数可)を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、および「前記」は、要素の1つ以上が存在することを意味することが意図される。「備える」「含む」「有する」という用語は、包括的であることを意図して、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意図する。
【0226】
上記を考慮して、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が達成されることが分かるであろう。
【0227】
様々な変更が本発明の範囲から逸脱することなく、上記の生成物および方法において行うことができるので、上記の説明および関連する図面に含まれる全ての事項は、例示であり、限定的な意味ではないと解釈されるものとする。