【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、有利には薄膜太陽電池または薄膜ソーラーモジュールを生成するための方法の部分である、黄銅鉱化合物半導体を生成するための方法が提示される。ここで、および下記において、「薄膜太陽電池」という用語は、厚さが数ミクロンしかない光起電力層システムを指す。そのような層システムは、適切な機械的安定性を提供するのにキャリア基板を要する。薄膜太陽電池用の公知のキャリア基板は、無機ガラス、ポリマーまたは金属合金を含有し、層厚および材料特性に応じて、剛性板またはフレキシブルフィルムとして構成することができる。
【0010】
本発明による方法は、下記のステップを含む:
3段階で、第1の前駆体層、第2の前駆体層および第3の前駆体層からなる少なくとも1つの前駆体層積層体を生成するためのステップ:第1の段階では、第1の前駆体層が、銅金属(Cu)、インジウム(In)およびガリウム(Ga)を本体上に堆積することによって生成される。第2の段階では、第2の前駆体層が、硫黄(S)およびセレン(Se)から選択される少なくとも1種のカルコゲンを第1の前駆体層上に堆積することによって生成される。第3の段階では、第3の前駆体層が、銅金属(Cu)、インジウム(In)およびガリウム(Ga)を第2の前駆体層上に堆積することによって生成される。
【0011】
第1の前駆体層の金属、第2の前駆体層の少なくとも1種のカルコゲンおよび第3の前駆体層の金属が、反応により変換されて5元化合物半導体Cu(In,Ga)(S,Se)
2、4元化合物半導体Cu(In,Ga)Se
2または4元化合物半導体Cu(In,Ga)S
2を形成するように、第1の時間間隔中にプロセスチャンバ内で少なくとも1つの前駆体層積層体を熱処理するための別のステップ。ここで「Cu(In,Ga)(S,Se)
2」という表示は、カルコゲンである硫黄(S)およびセレン(Se)が組み合わされて化合物半導体中に含有されることを意味する。同じことが、2種の金属インジウム(In)およびガリウム(Ga)にも当てはまる。
【0012】
本発明による方法の有利な改善において、少なくとも1つの前駆体層積層体の熱処理は、少なくとも断続的に、少なくとも1種のカルコゲン、即ち硫黄(S)および/またはセレン(Se)、または少なくとも1種のカルコゲン含有化合物を含有し、硫黄および/またはセレンが結合された形で含有されている、プロセスガス雰囲気中で行われる。このために、硫黄およびセレンから選択される少なくとも1種の元素状カルコゲン、および/または少なくとも1種のカルコゲン含有化合物を含有し、硫黄および/またはセレンが結合された形で、例えば硫化水素(H
2S)またはセレン化水素(H
2Se)の形またはその他のイオンもしくはセレン含有ガスの形で含有されている、1種または複数のプロセスガスは、少なくとも1つの前駆体層積層体の熱処理中に少なくとも断続的に、プロセスチャンバに供給される。
【0013】
少なくとも1種のプロセスガスは、プロセスチャンバに、連続的に、熱処理の第1の時間間隔中に、または、そうでなければ第1の時間間隔よりも短い少なくとも第2の時間間隔中に、供給することができる。例えば、少なくとも1種のプロセスガスは、熱処理の早期および/または後期にプロセスチャンバに供給することができる。特に、本発明による方法では、生成された化合物半導体の組成にそのように選択的に影響を及ぼすために、熱処理中にプロセスチャンバ内のカルコゲン含有雰囲気の組成が変化するよう少なくとも1種のプロセスガスを供給することが可能である。
【0014】
有利には、第2の前駆体層の堆積中、本体の温度は150℃未満であり、より好ましくは100℃未満であり、これは既に前駆体材料の堆積中に、意図しない(部分)反応を確実に防止できることを意味する。銅金属、インジウムおよびガリウムの堆積中と、少なくとも1種のカルコゲンの堆積中の両方において、1種または複数のドーパント(例えば、ナトリウムまたはカリウム)を堆積することができる。同じことが、第2の前駆体層上への第3の前駆体層の堆積にも当てはまる。また、ドーパントの添加は、別の前駆体層として行うこともできる。
【0015】
生成された化合物半導体の結晶品質に、特に薄膜太陽電池の効率に影響を及ぼすために、第1の前駆体層の堆積では、銅金属、インジウムおよびガリウムの個々の層で作製された層積層体(個々の層のそれぞれは、1種の単一金属からなる。)を続けて数回堆積させることは、有利であるとすることができる。このために、第2の前駆体層の堆積用に、カルコゲンである硫黄およびセレンの個々の層で作製された層積層体(個々の層のそれぞれは、1種の単一カルコゲンからなる。)を続けて数回堆積させることも、有利であり得る。同様に、結晶品質に関し、前駆体層積層体が続けて数回堆積されることが有利であるとすることができる。
【0016】
4元化合物半導体Cu(In,Ga)Se
2またはCu(In,Ga)S
2が本発明による方法によって生成される場合、第2の前駆体層は、硫黄およびセレンから選択される1種のカルコゲンを第1の前駆体層上に堆積することによって生成されることが有利であり、熱処理中に少なくとも断続的に供給される少なくとも1種のプロセスガスには、
・第2の前駆体層にあるものと同じ、硫黄およびセレンから選択されるカルコゲンおよび/または
・第2の前駆体層にあるものと同じカルコゲンを有する、硫黄含有化合物およびセレン含有化合物から選択されるカルコゲン含有化合物
が含有される。
【0017】
5元化合物半導体Cu(In,Ga)(S,Se)
2が生成される場合、第2の前駆体層は、硫黄およびセレンから選択される1種のカルコゲンを第1の前駆体層上に堆積することによって生成されることが有利であり、第2の前駆体層にあるもの以外の硫黄およびセレンから選択されるその他それぞれのカルコゲン、および第2の前駆体層にあるもの以外のその他それぞれのカルコゲンを有する硫黄含有化合物およびセレン含有化合物から選択されるカルコゲン化合物は、熱処理中に少なくとも断続的に供給される少なくとも1種のプロセスガスに含有される。
【0018】
一方、5元化合物半導体Cu(In,Ga)(S,Se)
2を生成するために、第2の前駆体層は、2種のカルコゲンである硫黄およびセレンを第1の前駆体層上に堆積することによって生成することが有利とすることができ、硫黄および/またはセレン、および/または硫黄含有化合物および/またはセレン含有化合物は、熱処理中に少なくとも断続的に供給される少なくとも1種のプロセスガスに含有される。
【0019】
本発明による層構造を用いて、定めることが可能なまたは定められたガリウム深さプロファイルが、4元化合物半導体Cu(In,Ga)Se
2もしくはCu(In,Ga)S
2または5元化合物半導体Cu(In,Ga)(S,Se)
2の生成中に形成される。特に、化合物半導体の1つの表面から、本体との界面までのガリウム深さプロファイルは、化合物半導体の表面でのガリウム含量が第1の最大値を有し、本体界面に向かって最小値に至るまで減少し、次いで再び増加して、本体界面で第2の最大値を有するように形成することができる。
【0020】
本発明の文脈において、「ガリウム含量」は、インジウムおよびガリウムの合計含量に対するガリウムの原子比、言い換えればGa/(In+Ga)を意味する。
【0021】
黄銅鉱化合物半導体における高いガリウム含量は、バンドギャップにおいて局所的な増加をもたらす。薄膜太陽電池の吸収体として化合物半導体を使用する場合、背後電極との界面および表面でのバンドギャップの増加は、開路電圧の有利な増加をもたらす。
【0022】
好ましくは、ガリウム深さプロファイルは、少なくとも深さプロファイルの一部における、即ち化合物半導体の層厚の少なくとも一部における、特に半導体表面から本体界面までの、ガリウム含量の絶対的な変化が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%であるように構成される。特に好ましくは、ガリウム含量の相対的な変化が少なくとも20%である。
【0023】
したがって本発明は、ガリウム含量に2重の最大値がある化合物半導体を2段階法で生成するための新規な方法であって、1つの最大値が本体との界面に配置構成されており第2の最大値が半導体表面にある新規な方法を提示する。
【0024】
従来技術による黄銅鉱化合物半導体を生成するための2段階法では、2つの前駆体層のみ使用した。これらは、背後電極上に配置構成された金属性の第1の前駆体層および、第1の前駆体層上に配置構成された第2のカルコゲン含有前駆体層である。化合物半導体の所望のカルコゲン化を得るために、過剰なセレンを使用することができる。これは、付着されるカルコゲンの原子比が、銅金属、インジウムおよびガリウムの合計よりも大きいことを意味する。さらに、前駆体層積層体の周りのプロセススペースを限定し後続の熱処理中のカルコゲンの損失を最小限に抑えるプロセスボックスが、頻繁に使用される。
【0025】
カルコゲン成分が第2の前駆体層内に配置構成され第3の金属前駆体層によって覆われる、本発明による層構造には、対照的に、プロセス技術の観点から多数の利点があり:金属前駆体上へのカルコゲンの結合は、ある状況下で、従来技術により公知の過剰なカルコゲンおよび/またはプロセスボックスを用いたプロセススペースの低減がない状態で済ますことが可能になるように、特に有効である。代替としてまたは組み合わせにより、熱処理中にカルコゲン含有プロセスガスをさらに供給する状態が完全にまたは部分的にない状態で済ますことも可能である。
【0026】
本発明による方法の有利な実施形態では、硫黄およびセレンから選択される少なくとも1種のカルコゲンを含有する第4の前駆体層が、第3の前駆体層上に配置構成される。第4の前駆体層は、好ましくは、第2の前駆体層よりも薄く設計される。
【0027】
これには、例えばSeで作製された第2の前駆体層およびSeで作製された第4の前駆体層の場合、H
2S含有プロセスガスから化合物半導体中へのSの取込みが、特に十分に制御できるという特別な利点がある。さらに、生成された化合物半導体の結晶品質は、追加の、上に重なる第4の前駆体層を用いて、さらに改善することができる。
【0028】
定めることが可能なまたは定められた硫黄深さプロファイルは、少なくとも1種のプロセスガスを用いる5元化合物半導体Cu(In,Ga)(S,Se)
2の生成中に形成することが、特に有利である。特に、硫黄深さプロファイルは、化合物半導体の1つの表面から、本体との界面まで
・半導体表面での硫黄含量が最大値を有し、本体界面に向かって減少し、本体界面では最小値を有するように;または
・硫黄含量が半導体表面で最小値を有し、本体界面に向かって増加し、本体界面では最大値を有するように;または
・硫黄含量が半導体表面で第1の最大値を有し、本体界面に向かって最小値に至るまで低下し、次いで再び増加し、本体界面では第2の最大値を有するように;または
・硫黄含量が半導体表面で第1の最小値を有し、本体界面に向かって最大値に至るまで増加し、次いで再び減少し、本体界面では第2の最小値を有するように
構成することができる。
【0029】
本発明の文脈において、「硫黄含量」は、セレンおよび硫黄の合計含量に対する硫黄の原子比、言い換えれば、S/(Se+S)を意味する。
【0030】
好ましくは、硫黄深さプロファイルは、少なくとも深さプロファイルの一部における、即ち化合物半導体の層厚の少なくとも一部における、特に半導体表面から本体界面までの、硫黄含量の絶対的な変化が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%であるように構成される。特に好ましくは、硫黄含量の相対的な変化は少なくとも20%である。
【0031】
このように、本発明による方法を用いることにより、熱処理では、硫黄含量に関して(セレンおよび硫黄の合計含量に対して、即ちS/(Se+S))5元化合物半導体Cu(In,Ga)(Se,S)
2の組成に選択的に影響を及ぼすことが可能である。言い換えれば、時間に関して、また硫黄および/またはセレンの濃度が可変であるカルコゲン含有プロセス雰囲気中で熱加工を用いることにより、層厚上での半導体の組成、したがってそのバンドギャップおよびバンドギャッププロファイルに、影響を及ぼすことができる。特に、硫黄含量に関して、均質な組成を有する化合物半導体を生成することが可能であり、その硫黄含量は、層厚全体で変化するものではない。
【0032】
特に有利には、定められた(所定の)または定めることが可能な(予め決定することが可能な)硫黄深さプロファイル(S/(Se+S))を有する5元化合物半導体を生成することができ、その硫黄含量(セレンおよび硫黄の合計含量に対する。)は、層厚において変化する。特定の理論に拘泥するものではないが、その吸収体が化合物半導体で作製されている薄膜太陽電池の効率の上昇は、結果として期待される。
【0033】
例えば、吸収体の表面で比S/(Se+S)の最大値を有し、界面に向かって比S/(Se+S)の低い値を有する硫黄深さプロファイルを、設定することができる。吸収体表面でこのように増大したバンドギャップは、薄膜太陽電池において、開路電圧の増大をもたらす。
【0034】
一方、短絡電流の高さは、吸収体内部のバンドギャップの最小値によって決定される。これは、吸収体の表面で比S/(Se+S)の最大値を有し、界面に向かって比S/(Se+S)の減少する値を有する硫黄深さプロファイルを用いて、設定することもできる。
【0035】
ガリウム深さプロファイルの設定と組み合わせることにより、硫黄深さプロファイルの設定は、薄膜太陽電池の効率の上昇をもたらす。
【0036】
バンドギャップ深さプロファイルの設定に加え、半導体層の結晶品質の改善によって薄膜太陽電池の効率が上昇する可能性が存在する。例えば、材料系Cu−In−Ga−Se−Sによる実験から、異なる金属は異なるカルコゲンに対して異なる反動動態を有することが知られている。これは、種々の金属−カルコゲナイド相の形成温度に明らかな相違をもたらし、したがって、Cu(In,Ga)(S,Se)
2化合物半導体の結晶品質に悪影響を及ぼす可能性がある。特に、加熱プロセスでは、Cu−In−Ga前駆体層のカルコゲン化は、変性させたカルコゲンガス雰囲気(Se/S組成)により影響を受ける可能性があると想定することができる。このように、カルコゲン化動態の相違は、一時的に変性させたプロセスガス雰囲気(Se/S組成)によって補償することができる。結晶品質および効率は、これにより良い影響を受けることができると予測される。
【0037】
本発明による方法では、第1の前駆体層および第3の前駆体層は、原則として、
・銅含量が、インジウムおよびガリウムの合計含量よりも少なくなるように、または
・銅含量が、インジウムおよびガリウムの合計含量と同じになるように、または
・銅含量が、インジウムおよびガリウムの合計含量よりも多くなるように
実施することができる。
【0038】
本発明の文脈において、「銅含量」は、インジウムおよびガリウムの合計含量に対する銅の原子比、即ち、Cu/(In+Ga)を意味する。
【0039】
一方、第1の前駆体層は、原則として、
・インジウム含量がガリウム含量よりも少なくなるように、または
・インジウム含量がガリウム含量と同じになるように、または
・インジウム含量がガリウム含量よりも多くなるように
実施することができる。
【0040】
本発明の文脈において、「インジウム含量」は、インジウムおよびガリウムの合計含量に対するインジウムの原子比、即ち、In/(In+Ga)を意味する。
【0041】
特に有利には、第1の前駆体層は、銅含量がインジウムおよびガリウムの合計含量よりも少なくなると同時にガリウム含量がインジウム含量よりも少なくなるように実施されるが、この措置により、薄膜太陽電池の結晶品質および効率に好ましい影響が得られることを前提とする。
【0042】
本発明による方法の別の有利な実施形態では、5元化合物半導体Cu(In,Ga)(S,Se)
2を生成するために、3つの前駆体層は、カルコゲンの合計含量と金属の合計含量との原子比が1以上になるように実施される。同様にこの措置により、薄膜太陽電池の結晶品質および効率に好ましい影響を得ることができる。
【0043】
本発明はさらに、4元化合物半導体Cu(In,Ga)Se
2、4元化合物半導体Cu(In,Ga)S
2または5元化合物半導体Cu(In,Ga)(S,Se)
2で作製された吸収体を本体上に持ち、この吸収体が、半導体表面から本体界面に向かって、定めることが可能なまたは定められたガリウム深さプロファイルを有している(ガリウムおよびインジウムの合計含量に対して)、薄膜太陽電池にまで及ぶ。
【0044】
吸収体の化合物半導体は、上述の方法により有利に生成される。
【0045】
本発明による薄膜太陽電池では、ガリウム深さプロファイルは、吸収体の表面でのガリウム含量が第1の最大値を有し、本体との界面に向かって、したがって背後電極に向かって最小値に至るまで減少し、次いで再び増加し、界面で第2の最大値を有するように、実施される。
【0046】
黄銅鉱化合物半導体中の高いガリウム含量は、バンドギャップの局所的な増大をもたらす。背後電極との界面での、および表面での、バンドギャップの増大は、薄膜太陽電池の開路電圧の有利な増大をもたらす。
【0047】
本発明による吸収体の有利な改善では、ガリウム深さプロファイルは、深さプロファイルの少なくとも一部分でのガリウム含量の相対的な変化が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%になるように実施される。この範囲でのガリウム含量の変化は、薄膜太陽電池の開路電圧および効率に特に有利である。
【0048】
本発明による薄膜太陽電池の有利な実施形態において、吸収体は、5元化合物半導体Cu(In,Ga)(S,Se)
2で作製され、この吸収体は、1つの半導体表面から本体界面に向かって、定めることが可能なまたは定められた硫黄深さプロファイルを有し(セレンおよび硫黄の合計含量に対して)、この硫黄深さプロファイルは、
・半導体表面での硫黄含量が最大値を有し、本体界面に向かって減少し、本体界面では最小値を有するように;または
・半導体表面での硫黄含量が最小値を有し、本体界面に向かって増加し、本体界面では最大値を有するように;または
・半導体表面の硫黄含量は第1の最大値を有し、本体界面に向かって最小値に至るまで減少し、次いで再び増加し、本体界面で最大値を有するように;または
・硫黄含量が半導体表面で第1の最小値を有し、本体界面に向かって最大値まで増加し、次いで再び減少し、本体界面で第2の最小値を有するように
実施される。
【0049】
好ましくは、硫黄深さプロファイルは、深さプロファイルの少なくとも一部分での、即ち化合物半導体の層厚の少なくとも一部分での、特に半導体表面から本体界面までの、硫黄含量の相対的な変化が、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%または少なくとも80%になるように実施される。特に好ましくは、硫黄含量の相対的な変化は少なくとも20%である。
【0050】
上記にて既に説明したように、黄銅鉱化合物半導体中の高いガリウム含量は、バンドギャップの局所的な増大をもたらす。薄膜太陽電池の吸収体としての化合物半導体の使用において、背後電極との界面でのおよび表面でのバンドギャップの増大は、開路電圧の有利な増大をもたらす。一方、短絡電流の高さは、吸収体内部のバンドギャップの最小値により決定される。吸収体の中心に最小値がある硫黄深さプロファイルを用いることにより、吸収体内部のバンドギャップは低減され、それが短絡電流の強度を増大させる。ガリウム深さプロファイルの設定と組み合わせることにより、そのような硫黄深さプロファイルは、表面に向かう(したがって、緩衝層に向かう)および界面に向かう(したがって、背後電極に向かう)バンド勾配の最適化された適応をもたらし、したがって、薄膜太陽電池の効率の特に有利な増大をもたらす。
【0051】
本発明の別の態様は、薄膜太陽電池または薄膜ソーラーモジュールの吸収体を生成するための、Cu(In,Ga)Se
2、Cu(In,Ga)S
2またはCu(In,Ga)(S,Se)
2型の黄銅鉱化合物半導体を生成するための上述の方法の使用にまで及ぶ。
【0052】
本発明の様々な実施形態は、個々にまたは任意の組合せで実現できることが理解される。特に、上述のおよび以下に説明される特徴は、示される組合せでだけでなく、本発明の範囲から逸脱することのないその他の組合せでもまたは単独でも使用することができる。
【0053】
次に本発明について、例示的な実施形態および添付される図を参照しながら詳細に説明する。それらは単純化された表示で示され、縮尺は正確ではない。