【文献】
TeliaSonera, T-Mobile,Necessary measurements for minimising drive tests,3GPP TSG-RAN WG2#66 R2-092820,2009年 5月 4日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態に係る図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0019】
(移動通信システムの構成)
図1は、本実施形態に係る移動通信システム1の全体構成図である。本実施形態に係る移動通信システム1は、3GPPで仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)又はLTE−Advancedに基づいて構成されており、上述したImmediate MDTをサポートする。
【0020】
図1に示すように、移動通信システム1は、eNB(evolved Node−B)100、UE(User Equipment)200、MME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving Gateway)310、及びOAM(Operation and Maintenance)320を有する。本実施形態において、eNB100は基地局に相当し、UE200はユーザ端末に相当する。
【0021】
複数のeNB100は、LTEの無線アクセスネットワークであるE−UTRAN(Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)10を構成する。複数のMME/S−GW310は、LTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)300を構成する。本実施形態において、E−UTRAN10及びEPC300は、ネットワークを構成する。また、OAM320も当該ネットワークに含まれてもよい。
【0022】
各eNB100は、オペレータによって設置される固定型の無線通信装置であり、UE200との無線通信を行うように構成される。各eNB100は、隣接する他のeNB100との通信をX2インターフェイス上で行い、MME/S−GW310との通信をS1インターフェイス上で行う。
【0023】
各eNB100は、無線通信エリアの最小単位であるセルを1つ又は複数形成する。各eNB100は、セルを識別可能な参照信号を常時ブロードキャストしている。移動通信システム1では、1つ又は複数のセルによって1つのトラッキングエリア(TA)が構成される。TAは、位置登録及びページングを行うエリア単位である。
【0024】
UE200は、ユーザが所持する可搬型の無線通信装置である。UE200は、eNB100が形成するセルにアクセスし、当該セルに収容される。UE200を収容するセルはサービングセルと称される。
【0025】
また、UE200は、1又は複数のアプリケーションを実行し、当該アプリケーションを用いて通信を行う。UE200が通信先と通信実行中の状態はコネクティッド状態と称され、UE200が待ち受け中の状態はアイドル状態と称される。
【0026】
UE200は、最も通信状態の良好なセルへサービングセルを切り替える。コネクティッド状態におけるサービングセルの切り替えはハンドオーバと称される。ハンドオーバは、サービングセル(eNB100)によって制御される。
【0027】
UE200は、サービングセルの制御下で、サービングセル及び隣接セルからの無線状態(以下、単に「無線状態」と称する)を測定し、測定結果に関する報告をサービングセルに送信する。このような報告は、メジャメント報告と称される。なお、無線状態とは、例えば参照信号受信電力(RSRP)や参照信号受信品質(RSRQ)である。
【0028】
MMEは、UE200が在圏するTA及び/又はセルを管理しており、UE200に対する各種モビリティ管理を行うように構成される。S−GWは、UE200が送受信するユーザデータの転送制御を行うように構成される。OAM320は、オペレータによって設置されるサーバ装置であり、E−UTRAN10の保守及び監視を行うように構成される。
【0029】
eNB100は、必要に応じて、Immediate MDTのための構成情報(Configuration情報)を、自局配下の(コネクティッド状態の)UE200に送信する。Immediate MDTは、上述したメジャメント報告の機能を拡張したものであり、UE200の位置情報を報告に含めることができる。位置情報とは、UE200がGPS機能を有している場合にはGPS位置情報であり、UE200がGPS機能を有していない場合にはRFフィンガープリント情報である。
【0030】
Immediate MDTが設定されたUE200からの測定データ(無線状態情報及び位置情報)を受信したeNB100は、受信した測定データをOAM320に転送する。OAM320は、このようにして得られた測定データに基づいてカバレッジ問題を発見すると、発見したカバレッジ問題を、オペレータに通知する、もしくは解消するためのネットワーク最適化を行う。
【0031】
本実施形態では、UE200は、Immediate MDTにおいて、無線状態の測定を行うだけでなく、ネットワークとの通信におけるQoS(Quality of ServiceQuality)パラメータを測定する。QoSパラメータとは、例えば、パケットの伝送遅延、パケットのロス率、又は伝送遅延の揺らぎ(ジッタ)などであり、アプリケーションレベルで測定可能なパラメータである。ここで、UE200は、ネットワークとの通信内容毎にQoSパラメータを測定することが好ましい。通信内容とは、例えば、アプリケーション(サービス)又はベアラなどであるが、以下においては、アプリケーション毎にQoSパラメータを測定する一例を説明する。
【0032】
そして、UE200は、測定したQoSパラメータに関する情報を含む報告をネットワークに送信する。これにより、ネットワークは、QoSパラメータに関する情報に基づいて、キャパシティ最適化を図ることができる。例えば、無線状態は良好であるにもかかわらず、キャパシティの少ない地帯(低キャパシティ地帯)を特定できる。
【0033】
次に、eNB100の構成を説明する。
図2は、eNB100のブロック図である。
【0034】
図2に示すように、eNB100は、アンテナ101、無線通信部110、ネットワーク通信部120、記憶部130、及び制御部140を有する。
【0035】
アンテナ101は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部110は、例えば無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナ101を介して無線信号を送受信する。ネットワーク通信部120は、他のネットワークエンティティ(MME/S−GW310、OAM320、及び隣接eNB100など)との通信を行う。記憶部130は、例えばメモリを用いて構成され、eNB100の制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部140は、例えばプロセッサを用いて構成され、eNB100が備える各種の機能を制御する。
【0036】
制御部140は、UE200に対して時間・周波数リソースを割り当てるスケジューラ機能を有する。また、制御部140は、UE200からのメジャメント報告に基づいて当該UE200のハンドオーバを制御する機能を有する。さらに、制御部140は、MDTのための測定構成情報を生成し、当該測定構成情報をUE200に送信する機能を有する。
【0037】
次に、UE200の構成を説明する。
図3は、UE200のブロック図である。
【0038】
図3に示すように、UE200は、アンテナ201、無線通信部210、ユーザインターフェイス部220、GPS受信機230、バッテリ240、記憶部250、及び制御部260を有する。ただし、UE200は、GPS受信機230を有していなくてもよい。また、UE200がカード型端末などであれば、ユーザインターフェイス部220及びバッテリ240を有していなくてもよい。
【0039】
アンテナ201は、無線信号の送受信に用いられる。無線通信部210は、例えばRF回路やBB回路等を用いて構成され、アンテナ201を介して無線信号を送受信する。ユーザインターフェイス部220は、ユーザとのインターフェイスとして機能するディスプレイやボタン等である。バッテリ240は、充電可能なバッテリであって、UE200の各ブロックに供給される電力を蓄える。記憶部250は、例えばメモリを用いて構成され、UE200の制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部260は、例えばプロセッサを用いて構成され、UE200が備える各種の機能を制御する。
【0040】
本実施形態では、制御部260は、1又は複数のアプリケーションを実行し、コネクティッド状態において、当該アプリケーションを用いて通信を行う。UE200とネットワーク(eNB100)との通信には、アプリケーション種別に応じた優先制御(すなわち、QoS制御)が適用される。QoS制御は、UE200及びネットワーク(eNB100)のそれぞれで行われる。LTEでは、QoS制御におけるクラスを定めるために、QCI(QoS Class Identifier)が規定されている。記憶部250は、QCIに関する情報(QCIテーブル)を予め記憶している。
【0041】
図4は、QCIテーブルの一例を示す。
図4に示すように、QCIは9段階定められており、QCIの1〜4は帯域保証されるGBR(Guaranteed Bit Rate)、5〜9は帯域保証されないNon−GBRなど、QCIに応じて各ベアラでQoS制御される。また、各QCIには、要求されるQoSパラメータの閾値(以下、「QCI要求閾値」と称する)が対応付けられている。
図4の例では、QCI要求閾値として、遅延許容時間(Delay Budget)、パケットロス率を示している。eNB100のスケジューラ機能は、UE200が実行しているアプリケーションに対応したQCIが示す優先度に応じて、優先制御(QoS制御)を行う。
【0042】
本実施形態では、制御部260は、
図4に示すようなQCIテーブルを用いて、MDTのための各種制御を行う。以下において、制御部260の機能を中心に、MDTに関連する移動通信システム1の動作を説明する。
【0043】
(移動通信システムの動作)
MDTに関連する移動通信システム1の動作について、(1)定期報告型、(2)イベントトリガ型の順に説明する。
【0044】
定期報告型は、UE200がメジャメント報告を定期的にネットワークに送信する方式である。UE200は、無線状態及びQoSパラメータを定期的に測定するとともに、定期的にメジャメント報告を送信する。
【0045】
イベントトリガ型は、所定の契機で報告送信を行う方式である。所定の契機で測定結果を記録する方式もイベントトリガ型に含まれる。
【0046】
なお、以下の各動作パターンにおける開始時において、UE200はコネクティッド状態であるとする。
【0047】
(1)定期報告型
以下において、定期報告型の動作パターン1〜5について説明する。
【0048】
(1.1)定期報告型の動作パターン1
図5は、定期報告型の動作パターン1の動作フロー図である。
【0049】
図5に示すように、ステップS100において、測定構成処理が行われる。
【0050】
詳細には、eNB100の制御部140は、UE200のための測定構成情報を生成した後、測定構成情報をUE200に送信するよう無線通信部110を制御する。当該測定構成情報は、無線状態情報の定期的な報告を指示する情報を含む。あるいは、当該測定構成情報は、QoSに係る定期的な報告を指示する情報を含んでもよい。この場合、測定の対象とすべきアプリケーション、ベアラ、又はQCI種別(1〜9の何れか)を指定する情報を含んでもよい。
【0051】
UE200の無線通信部210は、測定構成情報を受信する。UE200の制御部260は、無線通信部210が受信した測定構成情報を記憶部250に記憶させる。また、制御部260は、当該測定構成情報に従って測定処理を開始する。本動作パターンでは、QoSに係る定期的な報告が指示されていない場合でも、QoSパラメータの測定が行われる。
【0052】
次に、ステップS101において、制御部260は、無線通信部210が受信する無線信号に基づいて無線状態を測定する。制御部260は、サービングセル及び隣接セルのそれぞれについて無線状態の測定を行うことで得られた無線状態情報を記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS102に進む。
【0053】
ステップS102において、制御部260は、実行中のアプリケーションについてQoSパラメータを測定する。ここでは、QoSパラメータとして、パケット伝送遅延及びパケットロス率を測定する。制御部260は、測定したQoSパラメータを記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS103に進む。なお、ステップS102の処理はステップS100とステップS101との間でもよい。
【0054】
ステップS103において、制御部260は、記憶部250に記憶されているQCIテーブルを用いて、測定したQoSパラメータを、実行中のアプリケーションに対応するQCI要求閾値と比較する。その後、処理がステップS104に進む。
【0055】
ステップS104において、制御部260は、測定したQoSパラメータが、実行中のアプリケーションに対応するQCI要求閾値を満たすか否かを確認する。QCI要求閾値を満たす場合(ステップS104;YES)、処理がステップS105に進む。QCI要求閾値を満たさない場合(ステップS104;NO)、処理がステップS106に進む。
【0056】
ステップS105において、制御部260は、QCI要求閾値を満たす旨のQoS報告情報を作成して、記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS107に進む。
【0057】
これに対し、ステップS106において、制御部260は、QCI要求閾値を満たしていない旨のQoS報告情報を作成して、記憶部250に記憶させる。例えば、QCI要求閾値を満たさなかったQCI種別(1〜9の何れか)を示す情報、及び/又は、QCI要求閾値を満たさなかったQoSパラメータ(パケット伝送遅延、パケットロス率)を示す情報をQoS報告情報として作成し、記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS107に進む。
【0058】
ステップS107において、制御部260は、ステップS101で測定され、記憶部250に記憶されている無線状態情報と、ステップS105又はS106で作成され、記憶部250に記憶されているQoS報告情報と、を含む報告をeNB100に送信するよう無線通信部210を制御する。その後、処理がステップS101に戻る。
【0059】
なお、本動作パターンでは、説明の便宜上、1つのアプリケーション(サービス)についてQoSパラメータを測定する一例を説明したが、複数のアプリケーションについてQoSパラメータを測定してもよい。この場合、各アプリケーションについてQoS報告情報を作成し、複数のQoS報告情報を1つの報告に含めて送信してもよい。あるいは、QCI要求閾値を満たさなかったQoS報告情報を1つの報告に含めて送信してもよい。以下の定期報告型の動作パターン2〜5においても同様である。
【0060】
また、eNB100に送信する報告には、直近に得られたUE200の位置情報が含まれる。以下の定期報告型の動作パターン2〜5においても同様である。
【0061】
(1.2)定期報告型の動作パターン2
図6は、定期報告型の動作パターン2の動作フロー図である。ステップS110〜ステップS113の各処理は定期報告型の動作パターン1と同様であるため、ステップS114以降について説明する。
【0062】
図6に示すように、ステップS114において、制御部260は、測定したQoSパラメータが、実行中のアプリケーションに対応するQCI要求閾値を満たすか否かを確認する。QCI要求閾値を満たす場合(ステップS114;YES)、処理がステップS117に進む。QCI要求閾値を満たさない場合(ステップS114;NO)、処理がステップS116に進む。
【0063】
ステップS116において、制御部260は、QCI要求閾値を満たしていない旨のQoS報告情報を作成して、記憶部250に記憶させる。例えば、QCI要求閾値を満たさなかったQCI種別(1〜9の何れか)を示す情報、及び/又は、QCI要求閾値を満たさなかったQoSパラメータ(パケット伝送遅延、パケットロス率)を示す情報をQoS報告情報として作成し、記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS117に進む。
【0064】
ステップS117において、制御部260は、ステップS111で測定され、記憶部250に記憶されている無線状態情報を含む報告をeNB100に送信するよう無線通信部210を制御する。ここで、ステップS116でQoS報告情報が作成されている場合には、制御部260は、当該QoS報告情報も当該報告に含めて送信するよう制御する。その後、処理がステップS111に戻る。
【0065】
このように、本動作パターンでは、QCI要求閾値を満たす場合には報告対象としないため、動作パターン1と比べて、報告に含めるべき情報の量(すなわち、オーバーヘッド)を削減できる。
【0066】
(1.3)定期報告型の動作パターン3
図7は、定期報告型の動作パターン3の動作フロー図である。ステップS120〜ステップS126の各処理は定期報告型の動作パターン1と同様であるため、ステップS127以降について説明する。
【0067】
図7に示すように、ステップS127において、制御部260は、記憶部250に記憶されている無線状態情報に基づいて、ステップS121で測定した無線状態が無線状態閾値を満たすか否かを確認する。無線状態閾値は、例えば、記憶部250に予め記憶されている。無線状態閾値を満たす場合(ステップS127;YES)、処理がステップS128に進む。無線状態閾値を満たさない場合(ステップS127;NO)、処理がステップS129aに進む。
【0068】
ステップS128において、制御部260は、ステップS121で測定され、記憶部250に記憶されている無線状態情報と、ステップS125又はS126で作成され、記憶部250に記憶されているQoS報告情報と、を含む報告をeNB100に送信するよう無線通信部210を制御する。その後、処理がステップS121に戻る。
【0069】
一方、ステップS129aにおいて、制御部260は、記憶部250に記憶されているQoS報告情報を保持したまま、ステップS129bにおいて、記憶部250に記憶されている無線状態情報含む報告をeNB100に送信するよう無線通信部210を制御する。その後、処理がステップS121に戻る。なお、その後に無線状態が回復した場合には、処理がステップS121に戻った後のステップS128において、記憶部250に記憶されているQoS報告情報も併せて送信される。
【0070】
このように、無線状態が劣化した状態においては、オーバーヘッドを削減することが好ましいため、QoS報告情報を報告対象とせずに保持しておく。そして、無線状態が回復した後で当該QoS報告情報を報告に含めて送信できる。
【0071】
なお、動作パターン2と同様に、ステップS125を省略し、QCI要求閾値を満たす場合には報告対象としないようにしてもよい。
【0072】
(1.4)定期報告型の動作パターン4
図8は、定期報告型の動作パターン4の動作フロー図である。ステップS130〜ステップS136の各処理は定期報告型の動作パターン1と同様であるため、ステップS137以降について説明する。なお、本動作パターンは、QoSに係る報告に主眼を置いている。
【0073】
図8に示すように、ステップS137において、制御部260は、記憶部250に記憶されている無線状態情報に基づいて、ステップS131で測定した無線状態が無線状態閾値を満たすか否かを確認する。無線状態閾値は、例えば、記憶部250に予め記憶されている。無線状態閾値を満たす場合(ステップS137;YES)、処理がステップS138に進む。無線状態閾値を満たさない場合(ステップS137;NO)、処理がステップS139に進む。
【0074】
ステップS138において、制御部260は、ステップS131で測定され、記憶部250に記憶されている無線状態情報と、ステップS135又はS136で作成され、記憶部250に記憶されているQoS報告情報と、を含む報告をeNB100に送信するよう無線通信部210を制御する。その後、処理がステップS131に戻る。
【0075】
一方、ステップS139において、制御部260は、Immediate MDT方式から、コネクティッド状態でのLogged MDT(以下、「Logged MDT in Connected」と称する)方式に切り替える。
【0076】
Logged MDT in Connected方式は、詳細については後述するが、即座に報告するのではなく、測定結果を記憶して事後的に報告するものであるため、ネットワークは無線環境の良い時に測定結果を収集でき、相対的に負荷が軽くなる。またUEも、報告の際に低い電力で送信できる可能性があるため、電力削減にもつながる。さらに、コネクティッド状態が維持されるため、QoSパラメータの測定も継続できる。
【0077】
さらに、動作パターン2と同様に、ステップS135を省略し、QCI要求閾値を満たす場合には報告対象としないようにしてもよい。
【0078】
(1.5)定期報告型の動作パターン5
図9は、定期報告型の動作パターン5の動作フロー図である。ステップS140〜ステップS143の各処理は定期報告型の動作パターン1と同様であるため、ステップS144以降について説明する。なお、本動作パターンでは、無線状態の測定(ステップS141)は省略してもよい。
【0079】
図9に示すように、ステップS144において、制御部260は、測定したQoSパラメータが、実行中のアプリケーションに対応するQCI要求閾値を満たすか否かを確認する。QCI要求閾値を満たす場合(ステップS144;YES)、処理がステップS145に進む。QCI要求閾値を満たさない場合(ステップS144;NO)、処理がステップS147に進む。
【0080】
ステップS145において、制御部260は、QCI要求閾値を満たす旨のQoS報告情報を作成して、記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS146に進む。ステップS146において、制御部260は、当該QoS報告情報を含む報告をeNB100に送信するよう無線通信部210を制御する。ステップS141で無線状態が測定されている場合には、当該測定に無線状態情報を含めてもよい。その後、処理がステップS141に戻る。
【0081】
一方、ステップS147において、制御部260は、報告の送信を中止する。その後、処理がステップS141に戻る。
【0082】
このように、本動作パターンでは、QCI要求閾値が満たされていない場合には、無線状態も劣化している可能性があるため、報告を中止する。これにより、再送が繰り返されてオーバーヘッドが増加することを防止できる。
【0083】
(2)イベントトリガ型
以下において、イベントトリガ型の動作パターン1〜4について説明する。
【0084】
(2.1)イベントトリガ型の動作パターン1
図10は、イベントトリガ型の動作パターン1の動作フロー図である。
【0085】
図10に示すように、ステップS200において、測定構成処理が行われる。
【0086】
詳細には、eNB100の制御部140は、UE200のための測定構成情報を生成した後、測定構成情報をUE200に送信するよう無線通信部110を制御する。当該測定構成情報は、QCI要求閾値が満たされないことをトリガとして報告を行うよう指示する情報を含む。なお、測定の対象とすべきアプリケーション、ベアラ、又はQCI種別(1〜9の何れか)を指定する情報をさらに含んでもよい。
【0087】
UE200の無線通信部210は、測定構成情報を受信する。UE200の制御部260は、無線通信部210が受信した測定構成情報を記憶部250に記憶させる。また、制御部260は、当該測定構成情報に従って測定処理を開始する。
【0088】
次に、ステップS201において、制御部260は、無線通信部210が受信する無線信号に基づいて無線状態を測定する。制御部260は、サービングセル及び隣接セルのそれぞれについて無線状態の測定を行うことで得られた無線状態情報を記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS202に進む。
【0089】
ステップS202において、制御部260は、実行中のアプリケーションについてQoSパラメータを測定する。ここでは、QoSパラメータとして、パケット伝送遅延及びパケットロス率を測定する。制御部260は、測定したQoSパラメータを記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS203に進む。
【0090】
なお、ステップS202の処理はステップS200とステップS201との間でもよい。また、本動作パターンでは、ステップS201は省略してもよい。
【0091】
ステップS203において、制御部260は、記憶部250に記憶されているQCIテーブルを用いて、測定したQoSパラメータを、実行中のアプリケーションに対応するQCI要求閾値と比較する。その後、処理がステップS204に進む。
【0092】
ステップS204において、制御部260は、測定したQoSパラメータが、実行中のアプリケーションに対応するQCI要求閾値を満たすか否かを確認する。QCI要求閾値を満たす場合(ステップS204;YES)、処理がステップS201に戻る。QCI要求閾値を満たさない場合(ステップS204;NO)、処理がステップS205に進む。
【0093】
ステップS205において、制御部260は、QCI要求閾値を満たしていない旨のQoS報告情報を作成して、記憶部250に記憶させる。例えば、QCI要求閾値を満たさなかったQCI種別(1〜9の何れか)を示す情報、及び/又は、QCI要求閾値を満たさなかったQoSパラメータ(パケット伝送遅延、パケットロス率)を示す情報をQoS報告情報として作成し、記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS206に進む。
【0094】
ステップS206において、制御部260は、ステップS205で作成され、記憶部250に記憶されているQoS報告情報を含む報告をeNB100に送信するよう無線通信部210を制御する。ステップS201で無線状態が測定されている場合には、当該報告に無線状態情報を含めてもよい。その後、処理がステップS201に戻る。
【0095】
このように、本動作パターンは、定期報告型の動作パターンと比較して、オーバーヘッドをさらに削減できる。
【0096】
なお、本動作パターンでは、説明の便宜上、1つのアプリケーション(サービス)についてQoSパラメータを測定する一例を説明したが、複数のアプリケーションについてQoSパラメータを測定してもよい。この場合、各アプリケーションについてQoS報告情報を作成し、複数のQoS報告情報を1つの報告に含めて送信してもよい。以下のイベントトリガ型の動作パターン2及び3においても同様である。
【0097】
また、eNB100に送信する報告には、直近に得られたUE200の位置情報が含まれる。以下のイベントトリガ型の動作パターン2及び3においても同様である。
【0098】
(2.2)イベントトリガ型の動作パターン2
図11は、イベントトリガ型の動作パターン2の動作フロー図である。ステップS210〜ステップS213の各処理はイベントトリガ型の動作パターン1と同様であるため、ステップS214以降について説明する。
【0099】
図11に示すように、ステップS214において、制御部260は、測定したQoSパラメータが、実行中のアプリケーションに対応するQCI要求閾値を満たすか否かを確認する。QCI要求閾値を満たす場合(ステップS214;YES)、処理がステップS211に戻る。QCI要求閾値を満たさない場合(ステップS214;NO)、処理がステップS215に進む。
【0100】
ステップS215において、制御部260は、QCI要求閾値を満たさなかったQCI種別(1〜9の何れか)を示す情報、及び/又は、QCI要求閾値を満たさなかったQoSパラメータ(パケット伝送遅延、パケットロス率)を示す情報をQoS報告情報として作成し、記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS216に進む。
【0101】
ステップS216において、制御部260は、記憶部250に記憶されている無線状態情報に基づいて、ステップS211で測定した無線状態が無線状態閾値を満たすか否かを確認する。無線状態閾値は、例えば、記憶部250に予め記憶されている。無線状態閾値を満たす場合(ステップS216;YES)、処理がステップS217に進む。無線状態閾値を満たさない場合(ステップS216;NO)、処理がステップS218に進む。
【0102】
ステップS217において、制御部260は、ステップS215で作成され、記憶部250に記憶されているQoS報告情報を含む報告をeNB100に送信するよう無線通信部210を制御する。制御部260は、ステップS211で測定され、記憶部250に記憶されている無線状態情報を当該報告に含めてもよい。その後、処理がステップS211に戻る。
【0103】
一方、ステップS218において、制御部260は、送信すべき報告を記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS211に戻る。なお、その後に無線状態が回復した場合には、処理がステップS211に戻った後のステップS217において、記憶部250に記憶されている報告も併せて送信される。
【0104】
このように、無線状態が劣化した状態においては、オーバーヘッドを削減することが好ましいため、報告を送信せずに保持しておく。そして、無線状態が回復した後で当該報告を送信できる。
【0105】
(2.3)イベントトリガ型の動作パターン3
図12は、イベントトリガ型の動作パターン3の動作フロー図である。ステップS220〜ステップS223の各処理はイベントトリガ型の動作パターン1と同様であるため、ステップS224以降について説明する。
【0106】
図12に示すように、ステップS224において、制御部260は、測定したQoSパラメータが、実行中のアプリケーションに対応するQCI要求閾値を満たすか否かを確認する。QCI要求閾値を満たす場合(ステップS224;YES)、処理がステップS221に戻る。QCI要求閾値を満たさない場合(ステップS224;NO)、処理がステップS225に進む。
【0107】
ステップS225において、制御部260は、QCI要求閾値を満たしていない旨のQoS報告情報を作成して、記憶部250に記憶させる。例えば、QCI要求閾値を満たさなかったQCI種別(1〜9の何れか)を示す情報、及び/又は、QCI要求閾値を満たさなかったQoSパラメータ(パケット伝送遅延、パケットロス率)を示す情報をQoS報告情報として作成し、記憶部250に記憶させる。その後、処理がステップS226に進む。
【0108】
ステップS226において、制御部260は、記憶部250に記憶されている無線状態情報に基づいて、ステップS221で測定した無線状態が無線状態閾値を満たすか否かを確認する。無線状態閾値は、例えば、記憶部250に予め記憶されている。無線状態閾値を満たす場合(ステップS226;YES)、処理がステップS227に進む。無線状態閾値を満たさない場合(ステップS226;NO)、処理がステップS228に進む。
【0109】
ステップS227において、制御部260は、ステップS225で作成され、記憶部250に記憶されているQoS報告情報を含む報告をeNB100に送信するよう無線通信部210を制御する。制御部260は、ステップS221で測定され、記憶部250に記憶されている無線状態情報を当該報告に含めてもよい。その後、処理がステップS221に戻る。
【0110】
一方、ステップS228において、制御部260は、Immediate MDT方式からLogged MDT in Connected方式に切り替える。
【0111】
Logged MDT in Connected方式は、詳細については後述するが、即座に報告するのではなく、測定結果を記憶して事後的に報告するものであるため、ネットワークは無線環境の良い時に測定結果を収集でき、相対的に負荷が軽くなる。またUEも、報告の際に低い電力で送信できる可能性があるため、電力削減にもつながる。さらに、コネクティッド状態が維持されるため、QoSパラメータの測定も継続できる。
【0112】
また、本動作パターンでは、測定構成処理(ステップS220)において、Logged MDT in Connected方式のための情報を測定構成情報に含めてもよい。例えば、Logged MDT in Connected方式において定期的な記録(ロギング)を行う場合には、記録間隔を指定する情報を測定構成情報に含める。あるいは、Logged MDT in Connected方式においてイベントトリガで記録(ロギング)を行う場合には、トリガとなるQoS閾値を指定する情報を測定構成情報に含める。また、記録時の時間情報を得るためのネットワーク絶対時間を測定構成情報に含めてもよい。さらに、測定データの継続時間を指定する情報を測定構成情報に含めてもよい。以下のイベントトリガ型の動作パターン4においても同様である。
【0113】
(2.4)イベントトリガ型の動作パターン4
図13は、イベントトリガ型の動作パターン4の動作フロー図である。ステップS230の処理はイベントトリガ型の動作パターン1と同様であるため、ステップS231以降について説明する。
【0114】
図13に示すように、ステップS231において、制御部260は、Logged MDT in Connectedを開始する。その後、処理がステップS232に進む。
【0115】
ステップS232において、制御部260は、無線状態及びQoSパラメータの測定を行う。その後、処理がステップS233に進む。
【0116】
ステップS233において、制御部260は、測定したQoSパラメータが、実行中のアプリケーションに対応するQCI要求閾値を満たすか否かを確認する。QCI要求閾値を満たす場合(ステップS233;YES)、処理がステップS235に進む。QCI要求閾値を満たさない場合(ステップS233;NO)、処理がステップS234に進む。
【0117】
ステップS234において、制御部260は、QCI要求閾値を満たしていない旨のQoS報告情報を作成して、記憶部250に記憶させる。例えば、QCI要求閾値を満たさなかったQCI種別(1〜9の何れか)を示す情報、及び/又は、QCI要求閾値を満たさなかったQoSパラメータ(パケット伝送遅延、パケットロス率)を示す情報をQoS報告情報として作成する。また、制御部260は、測定構成情報に含まれるネットワーク絶対時間と、測定構成時からの経過時間(相対時間)とからなる時間情報を作成する。そして、無線状態情報、位置情報、時間情報、及びQoS報告情報を含む測定データを記憶部250に記録する。その後、処理がステップS235に進む。
【0118】
ステップS235において、制御部260は、報告の契機(トリガ)が発生したか否かを確認する。報告の契機(トリガ)については、通常のLogged MDTと同様としてもよい。報告の契機が発生した場合(ステップS235;YES)、処理がステップS236に進む。報告の契機が発生しない場合(ステップS235;NO)、処理がステップS237に進む。
【0119】
ステップS236において、制御部260は、記憶部250に保持されている全ての測定データを含む報告をネットワークに送信するよう無線通信部210を制御する。これにより、Logged MDT in Connected処理が終了する。
【0120】
一方、ステップS237において、制御部260は、測定データの継続時間が満了したか否かを確認する。測定データの継続時間が満了した場合(ステップS237;YES)、処理がステップS238に進む。測定データの継続時間が満了していない場合(ステップS237;NO)、処理がステップS232に戻る。
【0121】
ステップS238において、制御部260は、記憶部250に保持されている全ての測定データを削除する。この場合もLogged MDT in Connected処理が終了する。
【0122】
このように、QCI要求閾値を満たさなかったことをトリガとする場合には、トリガ発生時には、無線状態も劣化し、報告を行うことが困難である可能性がある。よって、QCI要求閾値を満たさなかったことをトリガとする場合には、Immediate MDT方式よりもLogged MDT in Connected方式を適用することで、より確実に報告を行うことができる。
【0123】
(実施形態のまとめ)
以上説明したように、本実施形態によれば、MDTにおいて、UE200が測定したQoSパラメータに関するQoS報告情報をネットワークが収集できるため、移動通信システム1のキャパシティ最適化に寄与できる。例えば、無線状態は良好であるにもかかわらずキャパシティの少ない低キャパシティ地帯を特定可能になる。
【0124】
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0125】
例えば、上述した各実施形態では、LTEに基づいて構成される移動通信システムを例に説明したが、LTEに限らず、MDTをサポートする他の移動通信システム(例えば、W−CDMA)に対して本発明を適用してもよい。
【0126】
上述した実施形態では、Immediate MDTにおいてUE200がQoSパラメータを測定する一例を説明したが、UE200がQoSパラメータを測定するのではなく、eNB100がQoSパラメータを測定してもよい。
【0127】
また、QCIに係るQoSパラメータ(パケット伝送遅延、パケットロス率)についてQoS測定を行なっていたが、他のQoSパラメータ(ジッタなど)についてQoS測定を行ってもよい。
【0128】
上述した実施形態では、QoSパラメータとはアプリケーションレベルで測定可能なパラメータであると説明したが、アプリケーションレイヤに限らず、物理レイヤ(レイヤ1)よりも上位のレイヤであればよい。例えば、QoSパラメータとはレイヤ2で測定可能なパラメータであってもよい。
【0129】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
【0130】
なお、米国仮出願第61/541718号(2011年9月30日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。