(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
100 mg/mlの抗TFPI抗体、フェノール、ポリソルベート80、25 mMの塩化ナトリウム、33 mMのヒスチジン、及び25 mMのアルギニンを含み、6.0〜7.0のpH、例えば6.0又は6.5のpHに緩衝されている、安定した液体組成物であって、前記抗TFPI抗体が、HzTFPI4F36である、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一態様によると、抗体及び1つ又は複数の防腐剤を含む安定した多用量液体組成物が提供される。
【0012】
フェノールなどの防腐剤を含有するモノクローナル抗体製剤は、可溶性及び不溶性タンパク質凝集体をもたらすことが報告されてきた。フェノールは多くのペプチド及びタンパク質系薬剤に使用されているが、この防腐剤とタンパク質製剤の相互作用についての幾つかの報告がある。ベンジルアルコールは、組み換えヒトインターフェロン-γ(rhIFN-γ)、組み換えヒト顆粒球コロニー刺激因子(rhGCSE)、組み換えヒトインターロイキン-1レセプターアンタゴニスト(rhIL-1ra)及びモノクローナル抗体製剤の凝集を引き起こすことが更に報告されている。大部分のタンパク質凝集がタンパク質高次構造変性又は不安定性と関連することは、常識である。ベンジルアルコールは、部分的に開いたタンパク質の凝集に結合し、促進させることが実証されている。モノクローナル抗体製剤の研究において、濃度が1%のベンジルアルコールは、曇り及び可溶性凝集体の形成をもたらした。同じモノクローナル抗体製剤において2%を越える濃度のベンジルアルコールは、タンパク質の沈殿をもたらした。
【0013】
驚くべきことに、多様な異なる防腐剤と組み合わせて抗体を含有する製剤が、40℃での4週間の保存及び5℃と40℃での3か月の保存の際に低い凝集体含有量を有する製剤をもたらしたことを示すデータが、本明細書において提示される。
【0014】
用語「安定した組成物」は、十分な物理的安定性、十分な化学的安定性又は十分な物理的及び化学的安定性を有する組成物を意味する。
【0015】
タンパク質組成物の「物理的安定性」という用語は、本明細書で使用されるとき、熱機械的ストレスへのタンパク質の曝露、並びに/又は疎水性表面及び界面などの不安定な界面及び表面との相互作用の結果、タンパク質の生物学的に不活性及び/又は不溶性の凝集体を形成するタンパク質の傾向を意味する。水性タンパク質組成物の物理的安定性は、適切な容器(例えば、カートリッジ又はバイアル)に充填した組成物を曝露した後の目視検査及び/又は濁度測定により評価される。レイリー散乱に起因して乳光を示すことは、高濃度のmab製剤の本質的な性質である。したがって、日光で目に見える濁度を示す場合、タンパク質凝集に関して組成物を物理的に不安定であると分類することはできない。しかし、日光で沈殿物又は相分離が見える場合、製剤は物理的に不安定であると分類される。
【0016】
タンパク質組成物の「化学的安定性」という用語は、本明細書で使用されるとき、天然タンパク質構造と比較して潜在的に少ない生物学的効力及び/又は潜在的に増加した免疫原性特性を伴う、化学分解産物の形成をもたらす、タンパク質構造における化学共有的変化を意味する。多様な化学分解産物は、天然タンパク質の種類及び性質、並びにタンパク質が曝露される環境に応じて形成されうる。化学分解の排除は、おそらく完全に回避することはできず、増加する化学分解産物の量は、多くの場合、保存の間に見られ、タンパク質組成物の使用は当業者には良く知られている。大部分のタンパク質は、グルタミニル又はアスパラギニル残基の側鎖アミド基が加水分解して遊離カルボン酸を形成するプロセスである脱アミドの傾向がある。他の分解経路は、2つ以上のタンパク質分子がアミド交換及び/又はジスルフィド相互反応を介して互いに共有結合して共有結合二量体、オリゴマー及びポリマー分解産物をもたらす、高分子量変換産物の形成を伴う(Stability of Protein Pharmaceuticals, Ahern. T.J. & Manning M.C., Plenum Press, New York 1992)。
【0017】
酸化(例えば、メチオニン残基の)を、化学分解の別の変形として記述することができる。タンパク質組成物の化学的安定性は、異なる環境条件に曝露した後の多様な時点での化学分解産物の量を測定して評価することができる(分解産物の形成は、多くの場合、例えば温度の増加により促進されうる)。それぞれ個別の分解産物の量は、多くの場合、多様なクロマトグラフィー技術(例えば、SEC-HPLC及び/又はRP-HPLC)を使用する分子サイズ及び/又は電荷に応じた分解産物の分離により決定される。
【0018】
SEC-HPLCは、とりわけ、タンパク質凝集体の定量化のために使用される。試料は、例えば、TSK G3000 SWXLカラム、定組成溶離、続く214nmでのUV検出を使用して分析することができる。この方法は、ゲル樹脂によりサイズに従って分離される二量体種以上の大きさのものからなるモノマーIgG含有量及び高分子量タンパク質%(HMWP)を決定するために使用される。モノマー含有量及び%HMWPは、この方法により検出される総タンパク質含有量に対して決定される。
【0019】
したがって、上記に概説されたように、安定した組成物は、十分な物理的安定性、十分な化学的安定性又は十分な物理的及び化学的安定性を有する組成物を意味する。製剤の十分な安定性は、高分子量タンパク質%(Δ%HMWP)の増加により測定することができる。製剤の十分な安定性は、増加が、試験期間にわたって製剤に凝集体として見出されるタンパク質の10%未満、好ましくは5%未満である(Δ%HMWP)ものでありうる。一般に、組成物は、有効期限に達するまで、(推奨される使用及び保存条件に適合した)使用及び保存の際に安定していなければならない。
【0020】
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」及び「ペプチド」は、本明細書で使用されるとき、ペプチド結合により連結されている少なくとも5つの構成アミノ酸から構成される化合物を意味する。構成アミノ酸は、遺伝子コードでコードされたアミノ酸の群からのものであることができ、これらは、遺伝子コードでコードされていない天然アミノ酸、また合成アミノ酸でありうる。遺伝子コードでコードされていない天然アミノ酸は、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、オルニチン、ホスホセリン、D-アラニン及びD-グルタミンである。合成アミノ酸は、化学合成により製造されるアミノ酸、すなわち、D-アラニン及びD-ロイシン、Aib(a-アミノイソ酪酸)、Abu(α-アミノ酪酸)、Tie(tert-ブチルグリシン)、β-アラニン、3-アミノメチル安息香酸、並びにアントラニル酸などの遺伝子コードでコードされたアミノ酸のD-異性体を含む。
【0021】
用語「防腐剤」は、組成物内に微生物の増殖を防止する薬学的に許容される賦形剤を意味する。より詳細には、本発明は、微生物汚染から組成物を保護する防腐剤含有多用量液体組成物を提供する。
【0022】
一つの実施態様において、防腐剤は、0.001〜2%(w/v)の量で組成物内に存在する。一つの実施態様において、防腐剤は、0.002〜1%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0023】
一つの実施態様において、1つ又は複数の防腐剤は、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、エタノール、フェノキシエタノール、p-クロル-m-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、チオメルサール又はこれらの任意の組み合わせから選択される。一つの実施態様において、1つ又は複数の防腐剤は、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール及びクロロブタノールから選択される。
【0024】
一つの実施態様において、組成物は単一の防腐剤を含む。一つの実施態様において、組成物は、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、エタノール、フェノキシエタノール、p-クロル-m-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム及びチオメルサールから選択される単一の防腐剤を含む。
【0025】
組成物が単一の防腐剤としてフェノールを含む場合、フェノールは、典型的には0.1〜1%(w/v)、例えば0.1〜0.5%(w/v)、例えば0.15又は0.5%(w/v)、とりわけ0.25〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0026】
組成物が単一の防腐剤としてm-クレゾールを含む場合、m-クレゾールは、典型的には0.1〜1%(w/v)、例えば0.1〜0.5%(w/v)、例えば0.15又は0.35%(w/v)、とりわけおよそ0.3%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0027】
組成物が単一の防腐剤としてベンジルアルコールを含む場合、ベンジルアルコールは、典型的には0.1〜2%(w/v)、例えば0.1〜1.5%(w/v)、例えば0.5又は1.1%(w/v)、とりわけおよそ1%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0028】
組成物が単一の防腐剤としてクロロブタノールを含む場合、クロロブタノールは、典型的には0.1〜1%(w/v)、例えば0.25〜0.75%(w/v)、例えば0.3又は0.6%(w/v)、とりわけ0.3〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0029】
組成物が単一の防腐剤としてメチルパラベンを含む場合、メチルパラベンは、典型的には0.1〜0.5%(w/v)、例えばおよそ0.2%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0030】
組成物が単一の防腐剤としてプロピルパラベンを含む場合、プロピルパラベンは、典型的には0.1〜0.5%(w/v)、例えばおよそ0.2%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0031】
組成物が単一の防腐剤としてフェノキシエタノールを含む場合、フェノキシエタノールは、典型的には0.1〜2%(w/v)、例えばおよそ1%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0032】
組成物が単一の防腐剤としてチオメルサールを含む場合、チオメルサールは、典型的には0.002〜0.01%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0033】
なお更なる実施態様において、組成物は、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール及びクロロブタノールから選択される単一の防腐剤を含む。
【0034】
一つの実施態様において、組成物は2つ以上の防腐剤を含む。一つの実施態様において、組成物は2つの防腐剤を含む。驚くべきことに、個別の防腐剤で観察された凝集体と比較して低い量の凝集体が2つの防腐剤を含む組成物において観察されたことを示すデータが、本明細書において提示される。なお更なる実施態様において、組成物は、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、エタノール、フェノキシエタノール、p-クロル-m-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム及びチオメルサールから選択される2つの防腐剤を含む。さらになお更なる実施態様において、組成物は、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール及びクロロブタノールから選択される2つの防腐剤を含む。2つの防腐剤を含むそのような組成物の例は、フェノールとm-クレゾール及びベンジルアルコールとクロロブタノールを含む。
【0035】
2つ以上の防腐剤が組成物内に存在する場合、それぞれ個別の防腐剤の濃度は、単一の防腐剤が使用される場合よりも典型的には低いことが理解される。
【0036】
例えば、組成物が2つの防腐剤含有組成物としてフェノールとm-クレゾールを含む場合、フェノールは、典型的には0.1〜0.75%(w/v)、例えば0.1〜0.5%(w/v)、例えば0.15又は0.5%(w/v)の量で組成物内に存在し、m-クレゾールは、典型的には0.1〜0.5%(w/v)、例えば0.15〜0.4%(w/v)、例えば0.18又は0.35%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0037】
更に、組成物が2つの防腐剤含有組成物としてベンジルアルコールとクロロブタノールを含む場合、ベンジルアルコールは、典型的には0.25〜1%(w/v)、例えば0.4〜0.9%(w/v)、例えば0.5又は0.8%(w/v)の量で組成物内に存在し、クロロブタノールは、典型的には0.1〜0.5%(w/v)、例えば0.1〜0.4%(w/v)、例えば0.11又は0.3%(w/v)の量で組成物内に存在する。
【0038】
一つの実施態様において、組成物は追加的に塩を含む。幾つかの実施態様において、塩は、関連するpHで緩衝能力を有することができる。一つの実施態様において、塩は、無機塩若しくは有機塩又はこれらの1つ又は複数の組み合わせである。一つの実施態様において、塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩酸アルギニン、塩化亜鉛、酢酸ナトリウム、アミノ酸又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0039】
一つの実施態様において、塩は、場合により他の酸と組み合わせた塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムである。一つの実施態様において、塩は塩酸アルギニンである。一つの実施態様において、塩は、無機塩と塩酸アルギニンの組み合わせである。
【0040】
一つの実施態様において、塩はアミノ酸である。一つの実施態様において、アミノ酸のL-立体異性体が使用される。一つの実施態様において、塩は、アルギニン、グリシン、リシン、アスパラギン酸若しくはグルタミン酸又はこれらの組み合わせから選択される。一つの実施態様において、アミノ酸はアルギニン又はグリシンである。一つの実施態様において、アミノ酸はL-アルギニンなどのアルギニンである。アミノ酸を、どちらでも適切であれば、その塩形態又はその遊離形態で組成物に加えることができる。
【0041】
一つの実施態様において、組成物は追加的に緩衝剤を含む。一つの実施態様において、緩衝剤は、薬学的に許容される塩基と薬学的に許容される酸の両方を含む適切な薬学的に許容される緩衝剤である。一つの実施態様において、緩衝剤は、4〜8、例えば5〜7のpKaを有する。幾つかの実施態様において、緩衝剤は塩でありうる。
【0042】
薬学的に許容される酸及び塩基の例は、無機と有機の非毒性酸/塩基を含むことができ、例えば当該技術において周知なものである。例は、酢酸ドナトリウム(dosodium acetate)、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リシン、アルギニン、マレイン酸塩、コハク酸塩、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン又はこれらの混合物である。これらの特定の緩衝剤のそれぞれは、本発明の代替的実施態様を構成する。一つの実施態様において、薬学的に許容される緩衝剤は、ヒスチジン、マレイン酸塩、コハク酸塩、リン酸塩又はトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタンを含む。一つの実施態様において、薬学的に許容される緩衝剤はヒスチジンを含む。
【0043】
一つの実施態様において、緩衝剤は、組成物の標的pHの±1pH単位のpKa値を有する。
【0044】
一つの実施態様において、組成物は、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9若しくは7.0のpHなどの5〜7のpH又はその間の任意の範囲で定義されたpHに緩衝される。一つの実施態様において、組成物は、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9若しくは7.0のpHなどの6.0〜7.0のpH又はその間の任意の範囲で定義されたpHに緩衝される。一つの実施態様において、組成物は6.0〜6.5のpHに緩衝される。一つの実施態様において、組成物は6.0又は6.5、例えば6.5のpHに緩衝される。
【0045】
一つの実施態様において、組成物は追加的に界面活性剤を含む。本発明の一つの実施態様において、界面活性剤は、洗剤、エトキシル化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロックポリマー(例えば、Pluronic(登録商標)F68、ポロキサマー188及び407、Triton X-100などのポロキサマー)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキル化及びアルコキシル化誘導体などのポリオキシエチレン及びポリエチレンの誘導体(ポリソルベート、例えばTween-20、Tween-40、Tween-80及びBrij-35)、モノグリセリド又はそのエトキシル化誘導体、ジグリセリド又はそのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レクチン、リン脂質(例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロール及びスフィンゴミエリン)、リン脂質の誘導体(例えば、ジパルミトイルホスファチジン酸)、リゾリン脂質(例えば、パルミトイルリゾホスファチジル-L-セリン及びエタノールアミン、コリン、セリン又はトレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-リン酸エステル)、リソホスファチジル及びホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシ(アリルエステル)、アルコキシ(アリルエーテル)誘導体、例えばリソホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンのラウロイル及びミリストイル誘導体、極性頭部基、すなわちコリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、トレオニン、グリセロール、イノシトールの、並びに正荷電DODAC, DOTMA、DCP、BISHOP、リソホスファチジルセリン及びリソホスファチジルトレオニンの修飾、グリセロリン脂質(例えば、ケファリン)、グリセロ糖脂質(例えば、ガラクトピラノシド)、スフィンゴ糖脂質(例えば、セラミド、ガングリオシド)、ドデシルホスホコリン、ニワトリ卵リゾレシチン、フシジン酸誘導体(例えば、タウロ-ジヒドロフシジン酸ナトリウムなど)、長鎖脂肪酸及びそのC6〜C12の塩(例えば、オレイン酸及びカプリル酸)、アシルカルニチン及び誘導体、リシン、アルギニン若しくはヒスチジンのN
α-アシル化誘導体又はリシン若しくはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リシン、アルギニン又はヒスチジンの任意の組み合わせを含むジペプチドのN
α-アシル化誘導体、天然又は酸性アミノ酸、天然アミノ酸及び2つの荷電アミノ酸の任意の組み合わせを含むトリペプチドのN
α-アシル化誘導体、DSS(ドキュセートナトリウム、CAS登録番号[577-11-7])、ドキュセートカルシウム、CAS登録番号[128-49-4])、ドキュセートカリウム、CAS登録番号[7491-09-0])、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム又はラウリル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸又はその誘導体、胆汁酸又はその塩、グリシン又はタウリン接合体、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルホネート、アニオン性(アルキル-アリール-スルホネート)一価界面活性剤、双性イオン性界面活性剤(例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート)、カチオン性界面活性剤(第四級アンモニウム塩基)(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド)、非イオン性界面活性剤(例えば、ドデシルβ-D-グルコピラノシド)、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドとエチレンオキシドの連続添加により誘導される四官能性ブロックコポリマーであるポロキサミン(例えば、テトロン酸)から選択され、或いは界面活性剤は、イミダゾリン誘導体の群又はこれらの混合物から選択されうる。これらの特定の界面活性剤のそれぞれは、本発明の代替的実施態様を構成する。一つの実施態様において、界面活性剤はTween 80(すなわち、ポリソルベート80)である。
【0046】
医薬組成物における界面活性剤の使用は、当業者には良く知られている。便宜上、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20
th edition, 2000が参照される。
【0047】
一つの実施態様において、界面活性剤は、0.01%未満の量で組成物内に存在する。一つの実施態様において、界面活性剤は、0.0075%未満、すなわち、0.001%〜0.005%、例えば0.001%の量で組成物内に存在する。一つの実施態様において、界面活性剤は存在しない。
【0048】
一つの実施態様において、組成物は追加的に張性調節剤を含む。適切な張性調節剤の例には、塩(例えば、塩化ナトリウム)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、グリセロール、キシリトール、マンニトール又はD-ソルビトール)、単糖(グルコース又はマルトース)、二糖(例えば、スクロース)、アミノ酸(L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リシン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、トレオニン)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 400)又はこれらの混合物が含まれる。一つの実施態様において、張性調節剤は、スクロース、マンニトール又はプロピレングリコールである。一つの実施態様において、張性調節剤はスクロースである。幾つかの実施態様において、組成物の緩衝剤及び/又は塩(上記に記載されたもの)は、張性調節剤としても作用する、或いは張性調節剤は、緩衝剤及び/又は塩として作用する(したがって張性調節剤の濃度は、そのような場合ではそのように計算される)。
【0049】
一つの実施態様において、張性調節剤は、50〜250mM、例えば100〜200mM、例えば100、110、120、130、140、150、160, 170、180、190若しくは200のいずれか1つ又はこれらの間の任意の範囲の量で組成物内に存在する。一つの実施態様において、張性調節剤は150mMの量で組成物内に存在する。
【0050】
一つの実施態様において、組成物は等張である。
【0051】
本発明の更なる態様によると、タンパク質及び1つ又は複数の防腐剤を含む安定した多用量液体組成物が提供される。
【0052】
一つの実施態様において、タンパク質は免疫グロブリンである。一つの実施態様において、タンパク質は抗体である。一つの実施態様において、タンパク質はモノクローナル抗体(mAb)である。一つの実施態様において、タンパク質はIgG4抗体である。
【0053】
用語「抗体」は、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する全長抗体を含む)、ポリペプチド特異性を有する抗体組成物、二重特異性抗体、二特異性抗体及び単鎖分子、並びに抗体フラグメント(例えば、Fab、F(ab')
2及びFv)を網羅する。
【0054】
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用されるとき、実質的に均質の抗体の個体群から得られる抗体を意味し、すなわち、個体群に含まれる個別の抗体は、少量で存在しうる天然に生じる突然変異の可能性を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一抗原部位に向けられる。これらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンで汚染されることなくハイブリドーマ培養で合成される点において有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質の抗体個体群から得られる抗体の特性を示し、いずれかの特定の方法により抗体を産生する必要性があると考慮されるべきでない。
【0055】
本発明の安定した組成物に処方されうる適切な抗体の例には、3F8、アバゴボマブ(Abagovomab)、アブシキシマブ(Abciximab)、ACZ885(カナキヌマブ(canakinumab))、アダリムマブ(Adalimumab)、アデカツムマブ(Adecatumumab)、アフェリモマブ(Afelimomab)、アフツズマブ(Afutuzumab)、アラシズマブペゴール(Alacizumab pegol)、アレムツズマブ(Alemtuzumab)、アルツモマブペンテテート(Altumomab pentetate)、アナツモマブマフェナトクス(Anatumomab mafenatox)、アンルキンズマブ(Anrukinzumab)(IMA-638)、アポリズマブ(Apolizumab)、アルシツモマブ(Arcitumomab)、アセリズマブ(Aselizumab)、アトリズマブ(Atlizumab) (トシリズマブ(tocilizumab))、アトロリムマブ(Atorolimumab)、バピニューズマブ(Bapineuzumab)、バシリキシマブ(Basiliximab)、バビツキシマブ(Bavituximab)、ベクツモマブ(Bectumomab)、ベリムマブ(Belimumab)、ベルチリムマブ(Bertilimumab)、ベシレソマブ(Besilesomab)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、ビシロマブ(Biciromab)、ビバツズマブメルタンシン(Bivatuzumab mertansine)、ブリナツモマブ(Blinatumomab)、ブレンツキシマブベドチン(Brentuximab vedotin)、ブリアキヌマブ(Briakinumab)、カナキヌマブ(Canakinumab)、カンツズマブメルタンシン(Cantuzumab mertansine)、カプロマブペンデチド(Capromab pendetide)、カツマキソマブ(Catumaxomab)、セデリズマブ(Cedelizumab)、セルトリズマ ペゴール(Certolizumab pegol)、セツキシマブ(Cetuximab)、シタツズマブボガトクス(Citatuzumab bogatox)、シクスツムマブ(Cixutumumab)、クレノリキシマブ(Clenoliximab)、クリバツズマブテトラキセタン(Clivatuzumab tetraxetan)、CNTO 148(ゴリムマブ(golimumab))、CNTO 1275(ウステキヌマブ(ustekinumab))、コナツムマブ(Conatumumab)、ダセツズマブ(Dacetuzumab)、ダクリズマブ(Daclizumab)、デノスマブ(Denosumab)、デツモマブ(Detumomab)、ドルリモマブアリトクス(Dorlimomab aritox)、ドルリキシズマブ(Dorlixizumab)、エクロメキシマブ(Ecromeximab)、エクリズマブ(Eculizumab)、エドバコマブ(Edobacomab)、エドレコロマブ(Edrecolomab)、エファリズマブ(Efalizumab)、エフングマブ(Efungumab)、エルシリモマブ(Elsilimomab)、エンリモマブペゴール(Enlimomab pegol)、エピツモマブシツキセタン(Epitumomab cituxetan)、エプラツズマブ(Epratuzumab)、エルリズマブ(Erlizumab)、エルツマキソマブ(Ertumaxomab)、エタラシズマブ(Etaracizumab)、エキシビビルマブ(Exbivirumab)、ファノレソマブ(Fanolesomab)、ファラリモマブ(Faralimomab)、フェルビズマブ(Felvizumab)、フェザキヌマブ(Fezakinumab)、フィギツムマブ(Figitumumab)、フォントリズマブ(Fontolizumab)、フォラビルマブ(Foravirumab)、フレソリムマブ(Fresolimumab)、ガリキシマブ(Galiximab)、ガンテネルマブ(Gantenerumab)、ガビリモマブ(Gavilimomab)、ゲムツズマブオゾガマイシン(Gemtuzumab ozogamicin)、ゴリムマブ(Golimumab)、ゴミリキシマブ(Gomiliximab)、イバリズマブ(Ibalizumab)、イブリツモマブチウキセタン(Ibritumomab tiuxetan)、イゴボマブ(Igovomab)、イムシロマブ(Imciromab)、インフリキシマブ(Infliximab)、インテツムマブ(Intetumumab)、イノリモマブ(Inolimomab)、イノツズマブオゾガマイシン(Inotuzumab ozogamicin)、イピリムマブ(Ipilimumab)、イラツムマブ(Iratumumab)、ケリキシマブ(Keliximab)、ラベツズマブ(Labetuzumab)、レブリキズマブ(Lebrikizumab)、レマレソマブ(Lemalesomab)、レルデリムマブ(Lerdelimumab)、レクサツムマブ(Lexatumumab)、リビビルマブ(Libivirumab)、リンツズマブ(Lintuzumab)、ルカツムマブ(Lucatumumab)、ルミリキシマブ(Lumiliximab)、マパツズマブ(Mapatumumab)、マスリモマブ(Maslimomab)、マツズマブ(Matuzumab)、メポリズマブ(Mepolizumab)、メテリムマブ(Metelimumab)、ミラツズマブ(Milatuzumab)、ミンレツモマブ(Minretumomab)、ミツモマブ(Mitumomab)、モロリムマブ(Morolimumab)、モタビズマブ(Motavizumab)、ムロモナブ(Muromonab)-CD3、MYO-029(スタムルマブ(stamulumab))、ナコロマブタフェナトクス(Nacolomab tafenatox)、ナプツモマブエスタフェナトクス(Naptumomab estafenatox)、ナタリズマブ(Natalizumab)、ネバクマブ(Nebacumab)、ネシツムマブ(Necitumumab)、ネレリモマブ(Nerelimomab)、ニモツズマブ(Nimotuzumab)、ノフェツモマブメルペンタン(Nofetumomab merpentan)、オクレリズマブ(Ocrelizumab)、オズリモマブ(Odulimomab)、オファツムマブ(Ofatumumab)、オマリズマブ(Omalizumab)、オポルツズマブモナトクス(Oportuzumab monatox)、オレゴボマブ(Oregovomab)、オテリキシズマブ(Otelixizumab)、パギバキシマブ(Pagibaximab)、パリビズマブ(Palivizumab)、パニツムマブ(Panitumumab)、パノバクマブ(Panobacumab)、パスコリズマブ(Pascolizumab)、ペムツモマブ(Pemtumomab)、ペルツズマブ(Pertuzumab)、パキセリズマブ(Pexelizumab)、ピンツモマブ(Pintumomab)、プリリキシマブ(Priliximab)、プリツムマブ(Pritumumab)、PRO 140、ラフィビルマブ(Rafivirumab)、ラムシルマブ(Ramucirumab)、ラニビズマブ(Ranibizumab)、ラキシバクマブ(Raxibacumab)、レガビルマブ(Regavirumab)、レスリズマブ(Reslizumab)、リロツムマブ(Rilotumumab)、リツキシマブ(Rituximab)、ロバツムマブ(Robatumumab)、ロンタリズマブ(Rontalizumab)、ロベリズマブ(Rovelizumab)、ルプリズマブ(Ruplizumab)、サツモマブ(Satumomab)、セビルマブ(Sevirumab)、シブロツズマブ(Sibrotuzumab)、シファリムマブ(Sifalimumab)、シルツキシマブ(Siltuximab)、シプリズマブ(Siplizumab)、ソラネズマブ(Solanezumab)、ソネプシズマブ(Sonepcizumab)、ソンツズマブ(Sontuzumab)、スタムルマブ(Stamulumab)、スレソマブ(Sulesomab)、タカツズマブテトラキセタン(Tacatuzumab tetraxetan)、タドシズマブ(Tadocizumab)、タリズマブ(Talizumab)、タネズマブ(Tanezumab)、タプリツモマブパプトクス(Taplitumomab paptox)、テフィバズマブ(Tefibazumab)、テリモマブアリトクス(Telimomab aritox)、テナツモマブ(Tenatumomab)、テネリキシマブ(Teneliximab)、テプリズマブ(Teplizumab)、TGN1412、チシリムマブ(Ticilimumab)(トレメリムマブ(tremelimumab))、ティガツズマブ(Tigatuzumab)、TNX-355(イバリズマブ(ibalizumab))、TNX-650、TNX-901(タリズマブ(talizumab))、トシリズマブ(Tocilizumab)(アトリズマブ(atlizumab))、トラリズマブ(Toralizumab)、トシツモマブ(Tositumomab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、トレメリムマブ(Tremelimumab)、ツコツズマブセルモロイキン(Tucotuzumab celmoleukin)、ツビルマブ(Tuvirumab)、ウルトキサズマブ(Urtoxazumab)、ウステキヌマブ(Ustekinumab)、バパリキシマブ(Vapaliximab)、ベドリズマブ(Vedolizumab)、ベルツズマブ(Veltuzumab)、ベパリモマブ(Vepalimomab)、ビジリズマブ(Visilizumab)、ボロシキシマブ(Volociximab)、ボツムマブ(Votumumab)、ザルツムマブ(Zalutumumab)、ザノリムマブ(Zanolimumab)、ジラリムマブ(Ziralimumab)、ゾリモマブアリトクス(Zolimomab aritox)などが含まれる。
【0056】
一つの実施態様において、抗体は、抗IL-20、抗TFPI、抗IL-21、抗C5Ar、抗NKGDA又は抗NKG2a抗体から選択される。
【0057】
一つの実施態様において、抗体はモノクローナル抗IL-20抗体である。一つの実施態様において、抗体は、WO2010/000721に記載されている抗IL-20抗体である。一つの実施態様において、抗IL-20モノクローナル抗体は、WO2010/000721に記載されている15D2又は5B7である。
【0058】
一つの実施態様において、抗体はモノクローナル抗TFPI抗体である。一つの実施態様において、抗体は、PCT/EP2009/067598に記載されている抗TFPI抗体である。一つの実施態様において、抗TFPIモノクローナル抗体は、PCT/EP2009/067598に記載されているHzTFPI4F36である。
【0059】
本発明は、タンパク質が高濃度で組成物内に存在するという特定の有用性を見出すことが理解される。したがって、一つの実施態様において、タンパク質は、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300mg/ml又はそれ以上などの50mg/ml以上の濃度で存在する。一つの実施態様において、タンパク質は、50mg/ml〜300mg/ml、例えば50mg/ml〜250mg/ml、例えば50mg/ml〜200mg/ml、例えば50mg/ml〜150mg/mlの量で組成物内に存在する。一つの実施態様において、タンパク質は、75mg/ml〜300mg/ml、例えば75mg/ml〜250mg/ml、例えば75mg/ml〜200mg/ml、例えば75mg/ml〜150mg/mlの濃度で存在する。一つの実施態様において、タンパク質は、100mg/ml〜300mg/ml、例えば100mg/ml〜250mg/ml、例えば100mg/ml〜200mg/ml、例えば100mg/ml〜150mg/mlの濃度で存在する。
【0060】
一つの実施態様において、本発明のタンパク質組成物は、5〜7のpHに緩衝された、
(a)≧50mg/mlの抗体と、
(b)30mM以下の、塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムなどの無機塩と、
(c)0〜25mMの、アルギニン又はグリシンなどのアミノ酸と、
(d)50mM以下の、ヒスチジン緩衝剤などの緩衝剤と、
(e)0.001〜0.005%の非イオン性界面活性剤と、
(f)0.001〜2%(w/v)の1つ又は複数の防腐剤と
を含む。
【0061】
一つの実施態様において、本発明のタンパク質組成物は、6〜7のpHに緩衝された、
(a)100mg/mlの抗体と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)0.001%のポリソルベート80と、
(f)0.001〜2%(w/v)の1つ又は複数の防腐剤と
を含む。
【0062】
一つの実施態様において、本発明のタンパク質組成物は、6.5のpHに緩衝された、
(a)100mg/mlの抗体と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)0.001%のポリソルベート80と、
(f)1.5mg/mlのフェノール及び1.8mg/mlのm-クレゾールと
を含む。
【0063】
一つの実施態様において、本発明のタンパク質組成物は、6.5のpHに緩衝された、
(a)100mg/mlの抗体と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(f)2〜6mg/mlのm-クレゾールと、
(f)85〜130mMのスクロースと
を含む。
【0064】
一つの実施態様において、本発明のタンパク質組成物は、6.5のpHに緩衝された、
(a)100mg/mlの抗体と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)4mg/mlのm-クレゾールと、
(f)105mMのプロピレングリコールと
を含む。
【0065】
本発明の組成物は、驚くべきことに、40℃で4週間及び5℃と40℃で3か月間、高分子量タンパク質(HMWP)の形成に対して安定性を示した。
【0066】
抗体及び賦形剤(1つ又は複数の防腐剤を含む)を含む医薬製剤が調製される。
【0067】
一つの実施態様において、本発明の医薬組成物は、6週間を越える使用及び3年間を越える保存にわたって安定している。
一つの実施態様において、本発明の医薬組成物は、4週間を越える使用及び3年間を越える保存にわたって安定している。
一つの実施態様において、本発明の医薬組成物は、4週間を越える使用及び2年間を越える保存にわたって安定している。
一つの実施態様において、本発明の医薬組成物は、2週間を越える使用及び2年間を越える保存にわたって安定している。
一つの実施態様において、本発明の医薬組成物は、1週間を越える使用及び6か月間を越える保存にわたって安定している。
【0068】
本発明の第二態様によると、治療に使用される、本明細書に定義される安定した多用量液体組成物が提供される。
【0069】
用語「治療」及び「治療する」は、本明細書で使用されるとき、疾患又は障害などの状態と戦う目的で患者を管理及び看護することを意味する。この用語は、症状若しくは合併症を緩和するため、疾患、障害若しくは状態の進行を遅延するため、症状若しくは合併症を緩和若しくは軽減するため及び/又は疾患、障害若しくは状態を治癒若しくは排除するため、並びに状態を防止するために活性化合物を投与することなどの、患者が罹患している所与の状態を治療する全ての範囲を含むことが意図され、ここで防止は、疾患、状態又は障害と戦う目的で患者を管理及び看護することであると理解されるべきであり、活性化合物を投与して症状又は合併症の発症を防止することを含む。
【0070】
治療される患者は、好ましくは哺乳動物、とりわけヒトであるが、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ及びブタなどの動物も含まれうる。
【0071】
例えば、本発明の抗IL-20抗体の安定した組成物を、炎症性疾患、とりわけ乾癬、全身性エリテマドーテス、リウマチ様関節炎、クローン病及び乾癬性関節炎又はその他WO2010/000721に記載されているものなどの自己炎症性疾患の治療に使用することができる。
【0072】
したがって、更なる態様によると、本発明は、そのような炎症性疾患を治療する方法であって、本発明の抗IL-20抗体の安定した組成物の治療有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0073】
本発明は、また、そのような炎症性疾患の治療に使用される、本発明の抗IL-20抗体の安定した組成物を提供する。
【0074】
本発明は、また、そのような炎症性疾患の治療のための薬剤の製造における本発明の抗IL-20抗体の安定した組成物の使用を提供する。
【0075】
本発明は、また、そのような炎症性疾患の治療に使用される、本発明の抗IL-20抗体の安定した組成物を含む安定した医薬組成物を提供する。
【0076】
更に、本発明の抗TFPI抗体の安定した組成物を、インヒビター保有若しくは非保有血友病A、インヒビター保有若しくは非保有血友病B、又はその他PCT/EP2009/067598に記載されているものなどの凝血異常(出血障害)の治療に使用することができる。
【0077】
したがって、更なる態様によると、本発明は、凝血異常を治療する方法であって、本発明の抗TFPI抗体の安定した組成物の治療有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0078】
本発明は、また、凝血異常の治療に使用される、本発明の抗TFPI抗体の安定した組成物を提供する。
【0079】
本発明は、また、凝血異常の治療のための薬剤の製造における本発明の抗TFPI抗体の安定した組成物の使用を提供する。
【0080】
本発明は、また、凝血異常の治療に使用される、本発明の抗TFPI抗体の安定した組成物を含む医薬組成物を提供する。
【0081】
治療及び予防(防止)レジームは、本発明の別個の態様を表すことが理解されるべきである。
【0082】
本発明の医薬製剤は、一般に非経口投与に適している。非経口投与は、シリンジ、場合によりペン様シリンジによる皮下、筋肉内、腹腔内又は静脈内注射により実施することができる。あるいは、非経口投与は、注入ポンプにより実施することができる。
【0083】
本発明は以下の非限定的な実施例を参照して更に記載される。
【0084】
(実施例)
(実施例1)
抗IL-20の40℃での4週間安定性分析
12個の製剤を調製した(下記のTable 1(表1)を参照)。製剤を、約150mg/mlの抗IL-20抗体及び10Mmのヒスチジン緩衝剤を含有するpH6.5の貯蔵溶液から調製した。貯蔵溶液は従来のUF/DF/UFにより調製した。賦形剤の貯蔵溶液を調製し、正確な割合で混合した。最終製剤を、3mlのPenfill(登録商標)カートリッジ、1型ガラスに充填した。製剤を40℃で4週間保存し、次に化学的、薬学的及び生物物理学的に分析した。タンパク質凝集体の形成の増加(%HMWP)を、SEC-HPLCにより(上記に記載されているように)測定した。
【0086】
安定性分析の結果をTable 2(表2)に示し、全ての試験製剤が、40℃での4週間の保存の後で低い含有量の凝集体をもたらしたことを示す。
【0088】
とりわけ、2つの防腐剤(フェノール及びm-クレゾール)を含有する組成物が、一般に、個別の防腐剤単独で達成された結果よりも低い凝集体形成をもたらしたことに留意するべきである。最も驚くべきことに、5mg/mlのフェノール単独を含有する組成物は、2.5%のHMWPの増加をもたらし、3.5mg/mlのm-クレゾール単独を含有する組成物は、3.1%のHMWPの増加をもたらしたが、同一濃度で2つの防腐剤の組み合わせを含有する組成物は、より低い凝集体形成(1.2%のHMWPの増加)をもたらしたことが分かる。1.1%の増加が、防腐剤を有さない参照において見られる。
【0089】
効力を、40℃での4週間の保存の後で調査し、結果をTable 3(表3)に示す。これらの結果は、完全な効力が全ての製剤において得られたことを示す。
【0091】
(実施例2)
抗IL-20の5℃及び40℃での3か月間安定性分析
この研究は、研究を5℃及び40℃で3か月間実施し、製剤がTable 4(表4)に記載されているスクロースを含有した以外は、実施例1の記載と同様の方法で実施した。
【0093】
40℃での安定性の分析の結果をTable 5(表5)に示し、全ての試験製剤が、40℃での1か月間の保存の後で低い含有量の凝集体をもたらしたことを示す。
【0095】
とりわけ、3.5mg/mlのm-クレゾールを含有する組成物がHMWPの最小の増加をもたらしたことに留意するべきである。3か月間の保存の後、この製剤でのHMWPの増加は、防腐剤のない参照と比較して低い。
【0096】
5℃での安定性の分析の結果をTable 6(表6)に示し、全ての試験製剤が、5℃での12か月間の保存の後で低い含有量の凝集体をもたらしたことを示す。
【0098】
とりわけ、フェノール及びm-クレゾールをそれぞれ含有する組成物が、5℃での12か月間において%HMWPに増加を示さなかったことに留意するべきである。
【0099】
効力を、40℃での3か月間の保存の後で調査し、結果をTable 7(表7)に示す。これらの結果は、実質的な効力が全ての製剤において得られたことを示す。
【0101】
製剤の堅牢性も、凍結解凍サイクル(-80℃から室温)及び熱機械的ストレス(37℃での2週間の保存の間に毎日4時間の回転)に関して評価した。データを下記のTable 8(表8)に提示し、これらは製剤が物理的ストレスに対して堅牢であることを示す。
【0103】
目視外観分析を、光キャビネット及び建築用ランプにより全ての製剤において実施して、粒子形成の可能性を評価した。0時点で、全ての試料は、両方の分析方法を使用して可視粒子のない透明から僅かに乳白色であることが見出された。製剤が上記のストレス条件に曝露された後では、差が観察されなかった。
【0104】
(実施例3)
抗IL-20の改変防腐剤効能試験の結果
異なる防腐剤の効能を分析するため、防腐剤効能スクリーニング試験を実施した。防腐剤の効能は、改変USP /Ph Eur防腐剤効能試験を使用して測定した。改変試験では、製剤を黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して試験した。接種した後、試料を室温で6及び24時間保存し、総細菌計数を、コロニー計数器を使用して測定した。対数減少値を、対数(初期計数/最終計数)として計算した。
【0105】
非改変USP/Ph Eur防腐剤効能試験では、幾つかの細菌及び真菌を試験する。USP及びPh Eur規制要件を、ここで下記のTable 9(表9)に提示する。Ph Eur要件がUSPよりも厳密であること及びPh Eur要件が、達成されなければならない最小レベル(B基準)と推奨される提案レベル(A基準)を提供することに留意するべきである。この研究では防腐剤効能試験を改変して、試料要件及び分析毎の費用を低減させた。
【0106】
選択した製剤に対して最も抵抗性のある病原体なので、黄色ブドウ球菌を改変防腐剤試験に選択した。
【0108】
11個の製剤を調製した(下記のTable 10(表10)を参照)。製剤を、上記に記載した改変防腐剤効能試験で試験し、結果をTable 11(表11)に提示する。
【0111】
改変防腐剤効能試験の結果は、3mg/mlのフェノールを有する製剤がPh Eurの基準Bに適合し、5〜7mg/mlのフェノール及び4〜6mg/mlのm-クレゾールを有する製剤が、24時間後に黄色ブドウ球菌の完全な死滅を示すことを示している。実施された試験によって、製剤は多用量製剤に適していることを示した。
【0112】
%HMWPの形成に関する防腐剤効能スクリーニング研究に使用した上記製剤の安定性を、下記のTable 12(表12)に提示する。観察されうるように、防腐剤の量の増加は、%HMWPの量の増加をもたらすが、上記製剤の幾つかは、安定しており、十分な防腐効果を有する。
【0114】
(実施例4)
抗TFPIの5℃及び40℃での3か月間安定性分析
この研究は、研究が抗IL-20抗体ではなく抗TFPI抗体で実施された以外は、実施例2の記載と同様に実施した。試験した製剤は、Table 13(表13)に記載されたとおりである。
【0116】
40℃での安定性の分析の結果をTable 14(表14)に示し、全ての試験製剤が、40℃での3か月間の保存の後で有意に高い含有量の凝集体をもたらしたことを示す。
【0118】
とりわけ、5mg/mlのフェノールは、参照製剤と比較したとき、凝集体形成に4倍の増加をもたらしたことが分かる。対照的に、抗IL-20含有製剤における同じ濃度の防腐剤は、僅か2.1倍の増加をもたらした(Table 5(表5)を参照)。しかし、フェノールとm-クレゾールを含有する組み合わせによる結果は、抗IL-20で得られたものと等しかった(すなわち、抗IL-20の1.8倍の増加と比較して、抗TFPIでは凝集体形成に1.9倍の増加;Table 5(表5)を参照)。
【0119】
5℃での安定性の分析の結果をTable 15(表15)に示し、これは、全ての試験製剤が、5℃での3か月間の保存の後で低い含有量の凝集体をもたらしたことを示す。
【0121】
製剤の堅牢性も、凍結解凍サイクル(-80℃から室温)及び熱機械的ストレス(37℃での2週間の保存の間に毎日4時間の回転)に関して評価した。データを下記のTable 16(表16)に提示し、これらは製剤が物理的ストレスに対して堅牢であることを示す。
【0123】
目視外観分析を、光キャビネット及び建築用ランプで全ての製剤について実施して、粒子形成の可能性を評価した。0時点で、全ての試料は、両方の分析方法を使用して可視粒子のない透明から僅かに乳白色であることが見出された。製剤が上記のストレス条件に曝露された後では、差が観察されなかった。
【0124】
以下は、本発明の実施態様の非限定的リストである。
実施態様1:抗体及び1つ又は複数の防腐剤を含む安定した多用量液体組成物。
実施態様2:防腐剤が0.001〜2%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1による組成物。
実施態様3:防腐剤が0.002〜1%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1又は2による組成物。
実施態様4:1つ又は複数の防腐剤が、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、エタノール、フェノキシエタノール、p-クロル-m-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、チオメルサール又はこれらの任意の組み合わせから選択される、実施態様1〜3のいずれかによる組成物。
実施態様5:1つ又は複数の防腐剤が、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール及びクロロブタノールから選択される、実施態様1〜4のいずれかによる組成物。
実施態様6:組成物が単一の防腐剤を含む、実施態様1〜5のいずれかによる組成物。
実施態様7:組成物が、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、エタノール、フェノキシエタノール、p-クロル-m-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム及びチオメルサールから選択される単一の防腐剤を含む、実施態様1〜6のいずれかによる組成物。
実施態様8:単一の防腐剤としてフェノールを含み、前記フェノールが0.1〜1%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様9:単一の防腐剤としてフェノールを含み、前記フェノールが0.1〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様10:単一の防腐剤としてフェノールを含み、前記フェノールが0.15又は0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様11:単一の防腐剤としてフェノールを含み、前記フェノールが0.25〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様12:単一の防腐剤としてm-クレゾールを含み、前記m-クレゾールが0.1〜1%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様13:単一の防腐剤としてm-クレゾールを含み、前記m-クレゾールが0.1〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様14:単一の防腐剤としてm-クレゾールを含み、前記m-クレゾールが0.15又は0.35%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様15:単一の防腐剤としてm-クレゾールを含み、前記m-クレゾールがおよそ0.3%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様16:単一の防腐剤としてベンジルアルコールを含み、前記ベンジルアルコールが0.1〜2%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様17:単一の防腐剤としてベンジルアルコールを含み、前記ベンジルアルコールが0.1〜1.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様18:単一の防腐剤としてベンジルアルコールを含み、前記ベンジルアルコールが0.5又は1.1%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様19:単一の防腐剤としてベンジルアルコールを含み、前記ベンジルアルコールがおよそ1%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様20:単一の防腐剤としてクロロブタノールを含み、前記クロロブタノールが0.1〜1%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様21:単一の防腐剤としてクロロブタノールを含み、前記クロロブタノールが0.25〜0.75%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様22:単一の防腐剤としてクロロブタノールを含み、前記クロロブタノールが0.3又は0.6%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様23:単一の防腐剤としてクロロブタノールを含み、前記クロロブタノールが0.3〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様24:単一の防腐剤としてメチルパラベンを含み、前記メチルパラベンが0.1〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様25:単一の防腐剤としてメチルパラベンを含み、前記メチルパラベンがおよそ0.2%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様26:単一の防腐剤としてプロピルパラベンを含み、前記プロピルパラベンが0.1〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様27:単一の防腐剤としてプロピルパラベンを含み、前記プロピルパラベンがおよそ0.2%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様28:単一の防腐剤としてフェノキシエタノールを含み、前記フェノキシエタノールが0.1〜2%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様29:単一の防腐剤としてフェノキシエタノールを含み、前記フェノキシエタノールがおよそ1%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様30:単一の防腐剤としてチオメルサールを含み、前記チオメルサールが0.002〜0.01%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様31:フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール及びクロロブタノールから選択される単一の防腐剤を含む、実施態様1〜7のいずれかによる組成物。
実施態様32:2つ以上の防腐剤を含む、実施態様1〜5のいずれかによる組成物。
実施態様33:2つの防腐剤を含む、実施態様32による組成物。
実施態様34:フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、エタノール、フェノキシエタノール、p-クロル-m-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム及びチオメルサールから選択される2つの防腐剤を含む、実施態様32又は33による組成物。
実施態様35:フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール及びクロロブタノールから選択される2つの防腐剤を含む、実施態様34による組成物。
実施態様36:前記2つの防腐剤がフェノール及びm-クレゾールである、実施態様32〜35のいずれかによる組成物。
実施態様37:フェノールが0.1〜0.75%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様36による組成物。
実施態様38:フェノールが0.1〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様36又は37による組成物。
実施態様39:フェノールが0.15又は0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様36〜38のいずれかによる組成物。
実施態様40:m-クレゾールが0.1〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様36〜39のいずれかによる組成物。
実施態様41:m-クレゾールが0.15〜0.4%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様36〜40のいずれかによる組成物。
実施態様42:m-クレゾールが0.18又は0.35%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様36〜41のいずれかによる組成物。
実施態様43:前記2つの防腐剤がベンジルアルコール及びクロロブタノールである、実施態様32〜35のいずれかによる組成物。
実施態様44:ベンジルアルコールが0.25〜1%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様43による組成物。
実施態様45:ベンジルアルコールが0.4〜0.9%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様43又は44による組成物。
実施態様46:ベンジルアルコールが0.5又は0.8%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様43〜45のいずれかによる組成物。
実施態様47:クロロブタノールが0.1〜0.5%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様43〜46のいずれかによる組成物。
実施態様48:クロロブタノールが0.1〜0.4%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様43〜47のいずれかによる組成物。
実施態様49:クロロブタノールが0.11又は0.3%(w/v)の量で組成物内に存在する、実施態様43〜48のいずれかによる組成物。
実施態様50:緩衝剤が存在し、緩衝剤が4〜8のpKaを有する、実施態様1〜49のいずれかによる組成物。
実施態様51:緩衝剤が5〜7のpKaを有する、実施態様50による組成物。
実施態様52:緩衝剤が存在し、緩衝剤が、酢酸ドナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リシン、アルギニン、マレイン酸塩、コハク酸塩、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム若しくはトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン又はこれらの混合物である、実施態様50又は51による組成物。
実施態様53:緩衝剤が、ヒスチジン、マレイン酸塩、コハク酸塩、リン酸塩又はトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタンである、実施態様52による組成物。
実施態様54:緩衝剤がヒスチジンである、実施態様53による組成物。
実施態様55:緩衝剤が、組成物の標的pHの±1pH単位のpKa値を有する、実施態様54による組成物。
実施態様56:塩が存在し、塩が、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩酸アルギニン、塩化亜鉛及び酢酸ナトリウム又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施態様1〜55のいずれかによる組成物。
実施態様57:塩が、塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムである、実施態様56による組成物。
実施態様58:塩が塩化ナトリウムである、実施態様57による組成物。
実施態様59:塩がアルギニン-HClである、実施態様56による組成物。
実施態様60:5.0〜7.0のpHを有する、実施態様1〜59のいずれかによる組成物。
実施態様61:6.0〜7.0のpHを有する、実施態様60による組成物。
実施態様62:6.0又は6.5のpHを有する、実施態様61による組成物。
実施態様63:6.5のpHを有する、実施態様62による組成物。
実施態様64:追加的に界面活性剤を含む、実施態様1〜63のいずれかによる組成物。
実施態様65:界面活性剤がTween 80(すなわち、ポリソルベート80)である、実施態様64による組成物。
実施態様66:界面活性剤が0.01%未満の量で組成物内に存在する、実施態様64又は65による組成物。
実施態様67:界面活性剤が0.0075%未満の量で組成物内に存在する、実施態様64〜66のいずれかによる組成物。
実施態様68:界面活性剤が0.001%〜0.005%の量で組成物内に存在する、実施態様64〜67のいずれかによる組成物。
実施態様69:界面活性剤が0.001%の量で組成物内に存在する、実施態様64〜68のいずれかによる組成物。
実施態様70:界面活性剤が存在しない、実施態様1〜63のいずれかによる組成物。
実施態様71:追加的に張性調節剤を含む、実施態様1〜70のいずれかによる組成物。
実施態様72:張性調節剤が、スクロース又はプロピレングリコールである、実施態様71による組成物。
実施態様73:張性調節剤がスクロースである、実施態様72による組成物。
実施態様74:張性調節剤がプロピレングリコールである、実施態様72による組成物。
実施態様75:張性調節剤が50〜250mMの量で組成物内に存在する、実施態様71〜74のいずれかによる組成物。
実施態様76:張性調節剤が100〜200mMの量で組成物内に存在する、実施態様71〜75のいずれかによる組成物。
実施態様77:張性調節剤が100mMの量で存在する、実施態様71〜76のいずれかによる組成物。
実施態様78:組成物が薬学的に許容される、実施態様1〜77のいずれかによる組成物。
実施態様79:抗体が50mg/ml〜300mg/mlの濃度で組成物内に存在する、実施態様1〜78のいずれかによる安定した組成物。
実施態様80:抗体が75mg/ml〜300mg/mlの濃度で組成物内に存在する、実施態様79による安定した組成物。
実施態様81:抗体が100mg/ml〜300mg/mlの濃度で組成物内に存在する、実施態様80による安定した組成物。
実施態様82:抗体が50mg/ml〜200mg/mlの濃度で組成物内に存在する、実施態様81による安定した組成物。
実施態様83:抗体が、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250又は300mg/mlの濃度で組成物内に存在する、実施態様82による安定した組成物。
実施態様84: 5〜7のpHに緩衝された、
(a)≧50mg/mlの抗体と、
(b)30mM以下の、塩化ナトリウム又は塩化マグネシウムなどの無機塩と、
(c)0〜25mMの、アルギニン又はグリシンなどのアミノ酸と、
(d)50mM以下の、ヒスチジン緩衝剤などの緩衝剤と、
(e)0.001〜0.005%の非イオン性界面活性剤と、
(f)0.001〜2%(w/v)の1つ又は複数の防腐剤と、
(g)100mMのスクロースと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様85: 6〜7のpHに緩衝された、
(a)100mg/mlの抗体と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)0.001%のポリソルベート80と、
(f)0.001〜2%(w/v)の1つ又は複数の防腐剤と、
(g)100mMのスクロースと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様86: 6.5のpHに緩衝された、
(a)100mg/mlの抗体と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)0.001%のポリソルベート80と、
(f)1.5mg/mlのフェノール及び1.8mg/mlのm-クレゾールと、
(g)120mMのスクロースと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様87: 5〜7のpHに緩衝された、
(a)100mg/mlの抗体と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)0.01mg/mlのポリソルベート80と、
(f)1.5mg/mlのフェノール及び1.8mg/mlのm-クレゾールと、
(g)120mMのスクロースと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様88:
(a)100mg/mlの抗TFPIと、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)0.01mg/mlのポリソルベート80と、
(f)5mg/mlのフェノールと、
(g)100mMのスクロースと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様89:
(a)100mg/mlの抗体と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)0.01mg/mlのポリソルベート80と、
(f)5mg/mlのフェノールと、
(g)95mMのプロピレングリコールと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様90:
(a)100mg/mlの抗IL-20と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)0.01mg/mlのポリソルベート80と、
(f)4mg/mlのm-クレゾールと、
(g)105mMのプロピレングリコールと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様91:
(a)100mg/mlの抗IL-20と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)2mg/mlのm-クレゾールと、
(f)129mMのスクロースと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様92:
(a)100mg/mlの抗IL-20と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)4mg/mlのm-クレゾールと、
(f)109mMのスクロースと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様93:
(a)100mg/mlの抗IL-20と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)6mg/mlのm-クレゾールと、
(f)88mMのスクロースと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様94:
(a)100mg/mlの抗IL-20と、
(b)25mMの塩化ナトリウムと、
(c)33mMのヒスチジン緩衝剤と、
(d)25mMのアルギニンと、
(e)4mg/mlのm-クレゾールと、
(f)105mMのプロピレングリコールと
を含む、実施態様1による組成物。
実施態様95:抗体がIgG4サブタイプのものである、実施態様1〜94の実施態様のいずれかによる組成物。
実施態様96:抗体がモノクローナル抗体である、実施態様1〜95のいずれかによる組成物。
実施態様97:モノクローナル抗体が抗IL-20モノクローナル抗体である、実施態様96による組成物。
実施態様98:モノクローナル抗体が、WO2010/000721に記載されている抗IL-20モノクローナル抗体である、実施態様96による組成物。
実施態様99:モノクローナル抗体が、WO2010/000721に記載されている抗IL-20モノクローナル抗体の15D2又は5B7である、実施態様96による組成物。
実施態様100:モノクローナル抗体が抗TFPIモノクローナル抗体である、実施態様96による組成物。
実施態様101:モノクローナル抗体が、PCT/EP2009/067598に記載されている抗TFPIモノクローナル抗体のHzTFPI4F36である、実施態様96による組成物。
実施態様102:治療に使用される、実施態様1〜101のいずれかによる安定した多用量液体組成物。
実施態様103:炎症性疾患を治療する方法であって、実施態様97〜99のいずれかによる組成物の治療有効量を患者に投与することを含む方法。
実施態様104:炎症性疾患の治療に使用される、実施態様97〜99のいずれかによる組成物。
実施態様105:炎症性疾患の治療のための薬剤の製造における、実施態様97〜99のいずれかによる組成物の使用。
実施態様106:炎症性疾患の治療に使用される、実施態様97〜99のいずれかによる抗IL-20組成物を含む医薬組成物。
実施態様107:凝血異常を治療する方法であって、実施態様100〜101のいずれかによる組成物の治療有効量を患者に投与することを含む方法。
実施態様108:凝血異常の治療に使用される、実施態様100〜101のいずれかによる組成物。
実施態様109:凝血異常の治療のための薬剤の製造における、実施態様100〜101のいずれかによる組成物の使用。
実施態様110:凝血異常の治療に使用される、実施態様100〜101のいずれかの抗TFPI組成物を含む医薬組成物。
【0125】
本明細書において引用された刊行物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、その全体が参照により、そして、まるでそれぞれの参考文献が、本明細書の他においてなされた任意の別個に提供された特定の文書の組み込みにかかわらず、参照により組み込まれるために個別及び具体的に示され、その全体が(法律により認められる最大限度まで)本明細書において記載されるのと同じ程度であるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
本発明を記載する文脈における用語「a」及び「an」及び「the」、並びに同様の指示対象の使用は、本明細書において特に指示のない限り、そして文脈により明確に否定されない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。例えば、語句「the compound」は、特に指示のない限り、本発明又は特定の記載された態様の多様な「compounds」を意味することが理解されるべきである。
【0127】
特に指示のない限り、本明細書に提供された全ての正確な値は、対応する近似値の代表である(例えば、特定の要因又は測定に対して提供された全ての正確な例示的値は、適切な場合、「約」により修飾された対応する近似測定も提供することが考慮できる)。範囲が提示される場合、範囲は、特に指示のない限り両方の末端値を含む。
【0128】
要素を参照する「含む」、「有する」、「含まれる」又は「含有する」などの用語を使用する任意の態様又は本発明の態様の本明細書の記載は、特に記述のない限り又は文脈により明確に否定されない限り、その特定の要素「からなる」、「から実質的になる」又は「を実質的に含む」同様の態様又は本発明の態様に対する支持を提供することが意図される(例えば、特定の要素を含むものとして本明細書に記載された組成物は、特に記述のない限り又は文脈により明確に否定されない限り、その要素からなる組成物を記載することも理解されるべきである)。