(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239662
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】成形材料を繊維材料から製造する方法およびこの方法を実施するための装置
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20171120BHJP
F01N 1/24 20060101ALI20171120BHJP
G10K 11/162 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
G10K11/16 100
F01N1/24 A
F01N1/24 F
G10K11/162
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-44449(P2016-44449)
(22)【出願日】2016年3月8日
(62)【分割の表示】特願2013-554893(P2013-554893)の分割
【原出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2016-184161(P2016-184161A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2016年4月6日
(31)【優先権主張番号】102011012156.0
(32)【優先日】2011年2月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513211858
【氏名又は名称】ディービーダブリュ・ホールディング・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】DBW Holding GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・シュベルトフェガー
(72)【発明者】
【氏名】カール−クリスチャン・レジェント
(72)【発明者】
【氏名】トマス・バウアー
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−523663(JP,A)
【文献】
特表2009−536710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/00 − 13/00
F01N 1/00 − 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維材料を含んでいる、消音、吸音または遮断用の成形材料であって、
前記繊維材料は、ガラス鉱物繊維、炭素繊維、またはケイ酸塩ガラス繊維、またはこれらの繊維の混合物であり、
前記成形材料は、前記繊維材料が、互いに離隔されている少なくとも2つの支持体の周りに巻きつけられることで得られた巻線ブランクであり、前記巻線ブランクは、前記少なくとも2つの支持体上に存在したままで結合剤なしで永続的に固化されており、前記繊維材料は、テキスチャード加工された材料である、
成形材料。
【請求項2】
前記繊維材料は、メイン糸が張力のない方法でベース糸の周りにテキスチャード加工された材料である、請求項1に記載の成形材料。
【請求項3】
前記巻線ブランクは、空気交絡、スティッチング、リンキング、ノッティング、ニードリング、フェルティングまたはクロシェット編みのいずれかによって固化されている、請求項1又は2に記載の成形材料。
【請求項4】
前記繊維材料は、連続繊維材料および短繊維材料の組み合わせおよび/または異なる繊維材料および繊維長さの組み合わせを含み、および/またはロービングおよび/または紡績糸および/または撚糸および/またはテキスチャード加工された繊維および/または単繊維の形態をとる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の成形材料。
【請求項5】
前記成形材料は、成形マットまたは成形体である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の成形材料。
【請求項6】
前記成形マットまたは成形体は、中空である、請求項5に記載の成形材料。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の成形材料を有するマフラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の態様では、消音、吸音および/または遮断用の成形材料を製造するための方法に関する。より正確には、本発明に係わる方法は、これらの成形材料を製造するための方法に関し、繊維材料を、少なくとも2つの支持体の周りにまきつけ、続いて、かくして得られた巻線ブランクを、支持体にあるまま、更に、永続的に固化し、本発明に係わる成形材料を得る。他の態様では、本発明は、特に、成形マットまたは成形体の形態の、かくして得られた成形材料に関する。この成形材料を、特に、マフラーに使用することができる。最後に、以下の発明は、これらの成形材料を繊維材料から製造するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マフラーは、消音または吸音および遮断用の材料を有する。このためには、通常、ガラス繊維材料を、繊維材料として使用する。マフラーの組み立ての際に、これらの繊維材料を、ばら繊維として中間領域に注入することができる。対応の方法は、例えば、特許文献1または特許文献2に記載されている。このような注入法の欠点は、繊維材料の最適でない分布、特に、角または他のアンダーカットのような注入するのが難しい領域、ならびに、マフラーの、所定の、非シリンダ状の輪郭のためのみならず、いわゆるハーフシェルマフラーのための注入法の実用的な実施にある。
【0003】
繊維材料を含むこのようなマフラーを製造するための他の方法は、マフラーの組み立て中に、吸音または遮音用の繊維材料を導入することを含む。マフラーを閉じる前に、繊維材料をマフラーに導入する。この場合、種々の方法で導入を行なうことができる。かくして、今、繊維材料、特にガラス繊維材料を、袋、すなわちプラスチック袋の中で、組み立て中にマフラーに詰める。この場合、ネットとしても実施されていてもよいこれらのプラスチック袋は、比較的高い温度で溶融するプラスチックまたはプラスチックマトリックスから形成されている。マフラーの初期動作およびマフラーの適切な加熱中に、このプラスチックが溶け、かつ、ばらのガラス繊維材料を放つ。しかし、この場合の大きな欠点は、プラスチック材料の溶融または炭化により、不快臭が発生し、かつ、環境が損なわれることである。
【0004】
袋に充填されたばらのガラス繊維を使用することの別の欠点は、マフラーにおける複雑構造に繊維を十分に充填することができないことである。更に、ばらのガラス繊維の吹き出しが生じることがある。
【0005】
代替の方法では、ガラス繊維材料のマットを、インサートとしてマフラーに入れる。続いてマフラーを閉じる。これらのインサートは、溶融糸によって圧縮されていてもよい。この場合、これらの溶融糸は、マフラーの最初の加熱の際に、溶融糸が溶融し、かくして、インサートが、マフラーの自由空間に完全に広がることができるように、形成されている。
【0006】
特許文献3には、内燃機関のマフラーに消音材料を充填するための方法が記載されている。ここでは、材料は、ガラス繊維から形成されており、かつ、ガラス繊維の管状の本体を得るために、ガラス繊維糸を管またはロールワインダの周りに巻きつけた状態にある。ここでは、本体は、本体の寸法が、マフラーの充填されるべき空間に対応しているように、形成されている。管状の本体を、巻きつけ後に、管またはロールワインダから除去し、続いて、第2の段階で、更なる装置の中で圧縮する。それ故、平坦な管状の本体が存する。この平坦化した本体を、次に、不可逆的に織り合わされまたは一体化されたガラス繊維および該ガラス繊維から形成されたリンキングされた物によって固化する。続いて、マフラーを閉じる。特許文献4からは、巻きつけられたガラス材料製の、対応のマフラー材料が公知である。
【0007】
マフラー用の半製品としての成形マットまたは成形体のような新たな成形材料の目的は、軽量構造体を運搬し、従って燃料消費を減じるために、使用される材料の量を減少させる必要性である。更に、半製品の材料内の密度が、可変に構成可能であり、かつ、半製品自体がマフラーに容易に挿入可能であるほうがよい。この場合、適用特有の成形物、特に、中空空間を有する成形体の製造が可能であることは好ましい。製造自体が生態学的に改善されていることが意図されている。特には、使用の際に、健康を害する物質の排出が全然ないか、あっても非常に少ないことが意図される。このような排出は、袋の使用に関して記載されている。更に、方法は、適切な成形材料の製造を簡略化することが意図される。得られた成形材料は、作動中でも、改善された特性を示すことが意図される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE 10 2005 009 045
【特許文献2】EP 953 736
【特許文献3】EP 1 861 592
【特許文献4】US 6,196,351
【発明の概要】
【0009】
請求項1の前提部分の特徴を有する
成形材料と対応のマフラーを提供するという課題が、本発明の基礎になっている。
【0010】
特に、本発明は、マフラーに設けられたダンパーチャンバの複雑な幾何学的な形状においても、ダンパーチャンバにおける成形材料の均等な充填を可能にすることが意図される。材料コスト、しかしまた、大気汚染および環境悪化ができる限り少なく保たれる。この場合、使用された成形材料は、作動中でも、大きな形状安定性を有することが意図される。材料の熱特性および音響特性を保持するために、成形材料内での繊維の相互のずれが最小限に抑えられていることが意図される。
【0011】
本発明の上記課題は、本発明により、請求項1の特徴を有する
成形材料およびマフラーによって解決される。
【0012】
消音、吸音および/または遮断用の成形材料(この成形材料は繊維材料を含む)を
製造するための方法では、第1の段階で、巻線ブランクを製造するために、繊維材料を、互いに離隔されている少なくとも2つの支持体の周りに巻きつける。次に、第2の段階では、消音、吸音または遮断用の成形材料を形成するために、まだ支持体に位置している、かくして得られた巻線ブランクを永続的に固化する。
【0013】
この場合、成形材料自体が可撓性を有するように、固化することは好ましい。従って、特には、成形材料が固化のための結合剤を含まないことは好ましい。
【0014】
この場合、少なくとも2つの支持体は、寸法の異なった巻線ブランクを製造することができるように、該支持体が好ましくは移動可能であるように、形成されている。好ましい実施の形態では、本体、特に中空体の形態をとる成形材料を製造するために、繊維材料を、少なくとも3つの支持体の周りに巻きつける。互いに離隔されているこれらの少なくとも3つの支持体は、得られた成形材料の異なった寸法を可能にするために、移動可能であることは好ましい。
【0015】
この場合、支持体は、棒または管として形成されていてもよい。その代わりに、支持体は、プレートまたは異なるサイズの支持体であってもよい。支持体は、この場合、不連続的な直径を有してもよい。更に、支持体は、成形材料に所定の形状を与えるためには、真っ直ぐな状態であってもよいし、あるいは曲がった状態であってもよい。かような棒のような支持体は、この場合、相応にかように曲げられており、支持体の直径は、不連続的に寸法取りされていてもよい。その目的は、巻線ブランクに、適切に望ましい構造および形状を付与するためである。続いて巻線ブランクを固化する際に、構造または形状が相応に保たれる。何故ならば、巻線ブランクは、固化中には、成形用の支持体にまだとどまっているからである。巻線ブランクに、成形マットまたは成形体の形態の、特に、中空体の形態の永続的な形状を付与することは、相応に容易に可能である。この場合、この永続的な形状が、まだ可撓性をもって形成されていることは好ましい。
【0016】
このことによって、マフラーに設けられたダンパーチャンバの複雑な幾何学的な形状に、成形材料を充填することができる。これに対応して、半製品および構成要素を製造することは可能である。半製品および構成要素では、軽量構造体を可能にするために、繊維材料の使用される量が減じられている。この軽量構造体は、燃料の消費量の低下等のような環境上の利点が得られるという結果を有する。更に、得られた成形材料は、優れた寸法安定性を有することを特徴とする。更に、成形材料の中の繊維は、固化の故に、互いに対して良好な安定性を示す。すなわち、振動または衝撃従ってまた音響特性および減衰特性の変化による作動中の成形材料のずれが、最少化されているのである。
【0017】
支持体の移動可能な実施の形態により、成形体を可変に構成することができる。更に、繊維材料を適切に選択することによって、成形材料の特性に影響を与えることが可能である。
【0018】
支持体は、異なる材料から形成されており、かつ、異なる表面を有してもよい。例えば、支持体は、滑らないように形成されていてもよい。
【0019】
本発明に係わる方法は、更に、異なる密度を有する成形品を提供することができる。所定の領域における永続的な固化によって、これらの領域で、成形材料の中の異なる密度を達成することができる。これに対応して、固化領域の実施の形態によって、成形材料の密度を可変に構成することが可能である。更に、寸法安定性、しかしまた、繊維相互のずれの減少が改善されている。
【0020】
固化の適切な実施の形態によって、熱的および/または音響的要件を適切に満たす成形材料、特に成形マットおよび成形体を提供することが、更に可能である。
【0021】
目的は、半製品または構成要素の形態をとる本発明に係わる成形材料を提供することであって、それ故に、半製品または構成要素を、ユーザによって、マフラーを閉じる前に、技術的補助をなしに容易にマフラーに挿入することができる。従って、構成要素または半製品の形態をとる成形材料は、好ましくは可撓性をもって形成されていなければならない。特に、成形材料は、従って、結合剤を含まない。
【0022】
支持体の適切な実施の形態によって、繊維材料の、用途特有の成形物を得ることは、更に可能である。この成形物を、更に、支持体における巻線ブランクの永続的な固化をおこなうことによって、支持することができる。このことによって、巻線ブランクの永続的な成形が可能であるのは、特にマフラーのために、相応に適切な成形材料を提供するためである。
【0023】
固化物、特に、連続固化物は、永続的に形成されている。「永続的な」という用語は、ここでは、固化が、当該の成形材料が設けられ、かつ、当該のハウジング、例えば、マフラーが閉じられるまで、少なくともそれまで、固化が継続することを意味する。必要な場合には、適切な材料、例えば溶融糸または木綿糸の使用の際には、組み込み後に、低い溶融温度または破壊温度で、固化の少なくとも部分的な解消を行なう。それ故に、成形材料は、ハウジング内のダンパーチャンバを完全に満たすことができる。
【0024】
実施の形態では、しかし、固化は、寸法安定性および繊維相互の安定性を保証するために、作動中でも、少なくとも部分的に永続的であることは好ましい。
【0025】
繊維材料は、ガラス鉱物繊維、炭素繊維、ケイ酸塩ガラス、アラミド、天然繊維、特に、木綿、鋼繊維またはプラスチック繊維であることは好ましい。これらの繊維は単独でまたはこれらの繊維の混合物として使用することができる。
【0026】
本発明により製造された成形材料は、結合剤または接着剤を含まない成形材料であることは特に好ましい。
【0027】
固化を、この場合、知られた固化処理によって、例えば空気交絡、スティチング、リンキング、ノッティング、ニードリング、フェルティングまたはクロシェット編みによって行なうことは好ましい。代替の実施の形態では、巻線ブランクのために使用される繊維材料よりも低い融点を有する糸を固化のために使用するように、固化を行なうことができる。このことによって、繊維材料をマフラーに挿入し、かつ閉じた後に、適切にマフラーの空間を完全に満たすために、成形材料が容積を増加することができることが可能である。
【0028】
本発明によれば、更に、巻線ブランクの固化が、成形マットまたは成形体、特に中空体の形成を可能にすることは好ましい。
【0029】
この場合、巻線ブランクの圧縮も行なう。
【0030】
巻線ブランクの成形材料が、螺旋状に、特に>3%の勾配をもって巻きつけられていることは特に好ましい。製造プロセスにおいて繊維材料のためのガイド要素の適切な導きによって、巻線ブランクの適切な形成が可能である。代替の実施の形態では、繊維は、実質的に平行に延びている。当業者によく知られているように、繊維は、単層または好ましくは多層に巻きつけられていてもよく、巻きつけは、逆方向であってもよい。
【0031】
この場合、成形材料は、連続成形材料として製造されていてもよい。その代わりに、本発明に係わる方法は、所定の寸法の半製品の形成を可能にする。特には、正確な成形材料、例えば成形マットまたは成形体を提供することが可能である。この場合、かくして製造された本体は、回転対称的なまたは非回転対称的な部品であってもよい。
【0032】
連続成形材料を製造する際に、製品を、ロール製品として巻き取り、あるいは、適切なユニット(Einrichtung)によって、所望の最終的な輪郭に切断することができる。この場合、以下に示すように、切断を、所定の角度または、他の輪郭をつけて、行なうことができる。
【0033】
しかしまた、本発明に係わる方法は、部品の製造のためにも、設計されている。
【0034】
本発明により製造された成形品は、既存の半製品に比べてより大きな容積を有する。容積増加の度合い(製品の密度)には、更に、巻線(巻線の種類、巻線の密度等)と、少なくとも2つの支持体への巻きつけによる本発明に係わる製造方法の故の、続いての固化とによって影響を与えることができる。
このような容積増加の正の影響は、特に、使用される繊維材料が、メイン糸が張力のない方法でベース糸の周りにテキスチャード加工された、いわゆる効果的にテキスチャード加工された材料として適用されるとき、達成することができる。従って、使用される材料の減少は可能であり、同時に大きな容積が可能であるのは好ましい。
【0035】
繊維材料としては、この場合、連続繊維材料および短繊維材料の組み合わせおよび/または異なる繊維材料および繊維長の組み合わせを使用することができる。
【0036】
あり得る繊維材料は、開繊されたまたは開繊していないロービングの形態で、あるいは、開繊したかまたは開繊していない紡績糸として、例えば撚糸として存在してもよい。繊維はモノフィラメントであってもよい。使用された繊維材料は、ベース糸およびテキスチャード加工されたメイン糸を有する効果的にテキスチャード加工された繊維であることが好ましい。このことによって、収縮特性を有するかなり大きな繊維容積を達成することが可能である。
【0037】
本発明に係わる方法は、更に、成形材料を所望の形状に紐で縛るという更なる段階を含むことができる。この場合、紐で縛ることを、異なった材料で行なうことができる。溶融糸または木綿糸により紐で縛る際には、成形材料を、所望の形状にもたらすことが可能である。しかし、この形状は、例えばマフラーの中で作動中に再度元に戻される。このように紐で縛ることは、例えば、成形材料をダンパーチャンバに簡単に組み込みことを可能にする。紐で縛ることは、永続的な成形を可能にすることができる。この場合、成形材料がまだ支持体上にある間、あるいは、成形材料を支持体から取り外した後に、成形材料を紐で縛ることができる。
【0038】
更なる態様では、本願は、成形材料、特に成形マットまたは成形体、例えば特に成形中空体に向けられている。この成形体は、本発明に係わる方法によって得られる。
【0039】
本発明に係わる成形材料は、特に、マフラーに組み込むために適切な成形材料である。従って、更なる態様では、本願は、本発明に係わる成形材料、特に、成形マットおよび成形体を備えたマフラーに向けられている。
【0040】
最後に、更なる態様では、本願は、消音、吸音または遮断用の成形材料を繊維材料から製造するための装置に向けられている。これらの装置は、特に、本発明に係わる方法を実施するために、適切である。該装置は、必要な場合には移動可能な少なくとも2つの支持体を有する。これらの2つの支持体は、互いに離隔しており、必要な場合には、回転可能に形成されている。この場合、単数の支持体自体は、回転可能に設けられていてもよく、および/または複数の支持体は、グループとして、装置上に回転可能である。更に、本発明に係わる装置は、支持体に繊維を巻きつけるためのユニットを有する。この場合、本発明に係わる装置は、特に、繊維材料を、特にアイレットの中を導くためのガイド要素(スレッドフィーダまたはトラベラー)を有する。このガイド要素は、繊維材料を支持体の周りに平行にまたは交差して巻きつけることを可能にする。最後に、本発明に係わる装置は、巻線ブランクを固化するためのユニットを有する。この場合、巻線ブランクは、支持体に巻き取られた状態にある。ユニットは、巻線ブランクを固化し、他方、巻線ブランクは、支持体の周りに巻きつけられている。特に、連続成形材料を製造するための装置における、実施の形態では、装置は、更に、連続成形材料を切断するためのユニットを有する。
【0041】
支持体上にある巻線ブランクを固化するためのユニットが、空気交絡によって固化するための、スティッチングのための、リンキングのための、ノッティングのための、またはニードリングのための、特に回転ニードリング(Rotationsvernadeln)のための、フェルティングのためのまたはクロシェット編みのためのユニットであることは好ましい。
【0042】
装置が、必要な場合には相対移動可能である3つの互いに離隔した支持体を有する装置であることは好ましい。これらの支持体を有するこの装置は、回転可能に形成されている。
【0043】
同様に、少なくとも2つの支持体を中心として回転し、かつ繊維材料を巻きつけるための装置を有するユニットは、実施可能である。ガイドローラによってまたは螺旋状に形成されたこれらの支持体用棒は、連続成形材料を、更なる処理段階、例えば、追加の固化、あるいはロール状商品の巻きつけのために、更に搬送することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1a】繊維材料を複数の支持体に巻き付ける種々の可能性を示す図。
【
図1b】繊維材料を複数の支持体に巻き付ける種々の可能性を示す図。
【
図1c】繊維材料を複数の支持体に巻き付ける種々の可能性を示す図。
【
図2a】支持体1aおよび1bは装置2に回転自在に設けられており、繊維3は、巻線ブランクを形成するために、移動可能なトラベラーまたはスレッドフィーダ4によって、回転式の支持体に螺旋状に巻き取られる点を示す図。
【
図2b】
図2aと類似のユニットが示されている。スレッドフィーダ4が、装置2に関して回転するディスク9に設けられている。支持体1a,1bは、装置2に固定されている。更に、支持体1a,1bは、ここでは、回転可能な個々の棒として形成されていてもよい。
【
図3a】種々の成形材料を示す図。4つの支持体1a,1b,1c,1d上にある中空本体を示す。
【
図3b】種々の成形材料を示す図。固化された繊維材料は、適切に紐で縛ることによって、所望の形状にもたらされることができる点を示す図。
【
図3c】種々の成形材料を示す図。固化された繊維材料は、適切に紐で縛ることによって、所望の形状にもたらされることができる点を示す図。
【
図3d】種々の成形材料を示す図。固化された繊維材料は、適切に紐で縛ることによって、所望の形状にもたらされることができる点を示す図。
【
図4a】得られた成形材料のブランクの異なるタイプを示す図。
【
図4b】平坦化されかつ圧縮された繊維マットが得られるように、巻線の両側の固化も行なうことができることの工程を示す図。
【
図4c】巻線ブランクを得るための、2つまたは3つの支持体における巻線の種々の可能性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を、図面に示した好ましい実施の形態を参照して詳細に説明しかつ記述する。
【0046】
図1には、繊維材料を複数の支持体に巻き付ける種々の可能性が示されている。支持体1a,1bは、ここでは、可動に設けられている。ここでは棒として形成されている支持体は、ここでは、個々の棒として回転可能であってもよく、あるいは、複数の棒を有する装置2が、回転可能に形成されていてもよい。
図1aに示した実施の形態では、これらの棒は実質的に互いに平行に形成されており、他方、
図1bに示した実施の形態では、巻線ブランクが相応の形状を得るために、棒1bが曲げられている。連続巻線では、複数の支持体は、通常、実質的に平行に形成されている。特に連続プロセスでは、支持体は、個々の支持体として、特に個々の棒として回転可能に形成されていてもよい。例えば、このような回転可能な個々の棒は、巻線ブランクの送りを可能にする螺旋状の表面を有することができる。
図1aおよび
図1bでは、巻きつけられた繊維3は、複数の支持体(巻線本体)の周りに螺旋状に巻きつけられている。
図1cには、第2の逆向きの螺旋状の巻線を有する螺旋状の巻線が示されている。このことによって、繊維3の1つまたは幾重もの交点が生じる。
【0047】
図2aには、支持体1aおよび1bは装置2に回転自在に設けられている。繊維3は、巻線ブランクを形成するために、移動可能なトラベラーまたはスレッドフィーダ4によって、回転式の支持体に螺旋状に巻き取られる。トラベラー4は、巻線ブランクのための巻線の種々の形状を可能にするために、ここでは、可動要素に可動に設けられている。この場合、巻きつけを、螺旋状に、例えば、>3%の勾配をもって、または実質的に平行に行なうことができる。巻線は、この場合、単層または多層に形成されていてもよい。多層の実施の形態では、巻線は、
図1cに示すように、逆向きの螺旋状の巻きであってもよい。
【0048】
図2bに示した実施の形態では、類似のユニットが示されている。ここでは、スレッドフィーダ4が、装置2に関して回転するディスク9に設けられている。支持体1a,1bは、装置2に固定されている。更に、支持体1a,1bは、ここでは、回転可能な個々の棒として形成されていてもよい。これらの支持体は、ここでは、巻線ブランクの送りを可能にする螺旋状の表面を有する。巻線ブランクを固化するためのユニット5も、同様に示されている。ユニット5は、支持体1a,1b上にある巻線ブランクを、例えば、空気交絡、スティッチング、リンキング、ノッティング、ニードリング、フェルティングまたはクロシェット編みによって、永続的に固化する。
【0049】
図3には、種々の成形材料が示されている。
図3aは、4つの支持体1a,1b,1c,1d上にある中空本体を示す。更に、固化された成形材料7の固化領域6が示されている。
【0050】
固化された繊維材料は、適切に紐で縛ることによって、更に、所望の形状にもたらされる。このことは、
図3cおよび3bに示されている。適切な紐8によって、成形材料を、所望の構造にもたらすことができる。
図3bには、2つの曲げられた支持体1aおよび1bに巻きつけられた、本発明に係わる成形体7が示されている。領域6では、この成形体が更に固化された。図に示すように、従って、巻線ブランクの固化を、巻線の一方の側でしか行なうことができない。その代わりに、平坦化されかつ圧縮された繊維マットが得られるように、巻線の両側の固化も行なうことができる。このような実施の形態は、
図4bに示されている。
図4bは、個々の工程段階を示す。段階1では、2つの支持体1aおよび1bの周りに繊維3を巻きつける。第2の段階では、ここでは、繊維マットの形態をとる固化された繊維材料を得るために、この巻線ブランクを更に固化する。図示したように、平坦化かつ固化したマットを得るために、ここでは、巻線の両側を互いに固化した。下の図は、他の視点から見た繊維マットを示している。棒1aおよび1b、繊維3を有する成形材料7、および固化された領域6が認められる。
【0051】
図4aには、得られた成形材料のブランクの異なるタイプが示されている。上の図は、両端で直角になされたトリミングを示す。真ん中の図は、両側で斜めになされた輪郭を示す。
【0052】
図4cは、巻線ブランクを得るための、2つまたは3つの支持体における巻線の種々の可能性を示している。上の図では、2つの棒1aおよび1bの周りの簡単な巻線が示されている。真ん中の図は、3つの棒1a,1b,1cを有する巻線を示している。下の図は、更なる好ましい実施の形態を示し、これらの棒の間の繊維3の延びは、これらの棒の間で交差している。この実施の形態は、追加の処置なしに、得られた成形材料の固化を可能にする。
ここで、出願当初の特許請求の範囲に記載された事項の記載を付記する。
[条項1] 消音、吸音または遮断用の成形材料を製造するための方法であって、この成形材料は繊維材料を含み、
この方法は、以下の工程、すなわち、
a)巻線ブランクを製造するために、前記繊維材料を、好ましくは移動可能に互いに離隔されている少なくとも2つの支持体の周りに巻きつけること、
b)前記消音、吸音または遮断用の成形材料を形成するために、複数の前記支持体にある前記巻線ブランクを永続的に固化すること、を有することを特徴とする方法。
[条項2] 前記繊維材料は、ガラス鉱物繊維、炭素繊維、ケイ酸塩ガラス繊維、アラミド(繊維)、天然繊維、特に木綿、鋼繊維または合成繊維またはこれらの繊維の混合物であることを特徴とする条項1に記載の方法。
[条項3] 複数の前記支持体上にあって前記成形材料を形成するための前記巻線ブランクを、空気交絡、スティッチング、リンキング、ノッティング、ニードリング、フェルティングまたはクロシェット編みによって永続的に固化すること、特に好ましくは、結合剤なしで固化することを特徴とする条項1または2に記載の方法。
[条項4] 成形体、特に中空体を形成するために、必要な場合には移動可能に互いに離隔されている少なくとも3つ以上の支持体に繊維材料を巻きつけることを特徴とする条項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
[条項5] マットの、本体の、特に中空体の形態をとる成形材料を製造するために、固化は、巻線ブランクの圧縮を含むことを特徴とする条項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
[条項6] 前記繊維材料を、螺旋状に、特に>3%の勾配で巻きつけることを特徴とする条項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
[条項7] 連続成形材料を製造することを特徴とする条項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
[条項8] 前記得られた成形材料を、更なる段階で、紐で縛ることによって、所望の形状に変形することを特徴とする条項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
[条項9] 前記繊維材料は、連続繊維材料および短繊維材料の組み合わせおよび/または異なる繊維材料および繊維長さの組み合わせを含み、および/またはロービングおよび/または紡績糸および/または撚糸および/または効果的にテキスチャード加工された繊維および/または単繊維の形態をとる繊維材料が用いられることを特徴とする条項1ないし8のいずれか1項に記載の方法。
[条項10] 条項1ないし9のいずれか1項に記載の方法により得られる、成形材料、特に成形マットおよび成形体。
[条項11] 条項10に記載の成形材料、特に成形マットまたは成形体を有するマフラー。
[条項12] 互いに離隔している少なくとも2つの、必要な場合には可動な支持体であって、必要な場合には単独支持体としてまたはグループの支持体として回転可能に設けられている支持体と、前記少なくとも2つの支持体に繊維材料を巻きつけるためのユニットと、前記支持体にありかつ繊維材料から製造された巻線ブランクを固化するためのユニットとを有する、固化された、消音、吸音および/または遮断用の成形材料を製造するための装置。
[条項13] 前記支持体上にある前記巻線ブランクを固化するための前記ユニットは、空気交絡によって固化するための、スティッチングのための、リンキングのための、ノッティングのための、またはニードリングのための、特に回転ニードリングのための、フェルティングのためのまたはクロシェット編みのためのユニットであることを特徴とする条項12に記載の装置。
[条項14] 前記支持体を有する前記ユニットは、好ましくは、必要な場合には相対移動可能でありかつ少なくとも3つの互いに離隔している支持体を有するユニットであり、および、このユニットは、グループとして、および/または単独の支持体として、必要な場合には回転可能に形成されていることを特徴とする条項12または13に記載の装置。
[条項15] 前記装置は、連続的な成形材料を製造するために形成されており、かつ、更に、前記成形材料を所定の長さに切断するためのユニットを有することを特徴とする条項12ないし14のいずれか1項に記載の装置。
【符号の説明】
【0053】
1a 棒
1b 棒
2 装置
3 繊維