(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
埋込み可能神経刺激システムは、広範な病気及び疾患の治療法を証明している。ペースメーカー及び「埋込み可能心臓除細動器(ICD)」は、いくつかの心臓の病気(例えば、不整脈)の処置において非常に有効であることを証明している。「脊髄刺激(SCS)」システムは、慢性疼痛症候群の処置のための治療法として長い間受け入れられており、組織刺激の適用は、狭心症及び失禁のような追加の適用に広がり始めている。更に、近年の調査では、「末梢神経刺激(PNS)」システムは、慢性疼痛症候群及び失禁の処置において有効性を明らかにしており、いくつかの追加の適用は現在調査中である。本明細書で説明する本発明により関連するものとして、「脳深部刺激(DBS)」は、僅かに数例を挙げれば、パーキンソン病、本態性振戦、ジストニア、及びてんかんを含む神経疾患の処置のために10年以上にわたって治療に適用されている。DBS(脳深部刺激)を使用する病気の処置を説明する更なる詳細は、引用により本明細書に明示的に組み込まれる特許文献1及び2に開示されている。
【0004】
それらの埋込み可能神経刺激システムの各々は、典型的には、望ましい刺激部位において埋込まれる刺激リードを担持する1つ又は2つ以上の電極と、刺激部位から遠隔に埋込まれるが、直接に神経刺激リードに又は間接的にリード延長部を介して刺激リードにそのいずれかで結合される神経刺激器とを含む。神経刺激システムは、手持ち式外部制御装置を更に含み、選択刺激パラメータに従って電気刺激パルスを発生させるように神経刺激器に遠隔的に命令することができる。典型的には、神経刺激器の中にプログラムされた刺激パラメータは、外部制御装置に対する制御器を操作することによって調節され、神経刺激器システムによって患者に提供された電気刺激を調整することができる。
【0005】
従って、外部制御装置によってプログラムされた刺激パラメータに従って電気パルスは、神経刺激器から刺激電極に送出され、刺激パラメータのセットに従って組織の容積を刺激又は活性化し、望ましい効率的治療を患者に提供することができる。最良の刺激パラメータセットは、典型的には、刺激された非ターゲット組織の容積を最小にしながら、治療利益(例えば、運動障害の治療)を提供するために刺激する必要がある組織の容積に刺激エネルギを送出するものになる。典型的なパラメータセットは、アノード又はカソードとして作用する電極、並びに刺激パルスの振幅(大きさ)、持続期間、及び繰返し数を含むことができる。
【0006】
重要なことは、非最適の電極配置及び刺激パラメータ選択は、高すぎる振幅、広過ぎるパルス持続期間、又は速すぎる周波数で設定された刺激による過剰のエネルギ消費、低すぎる振幅、狭すぎるパルス持続期間、又は遅すぎる周波数で設定された刺激、又は望ましくない副作用をもたらす場合ある隣接細胞集団の刺激による不十分な又は無用処置をもたらす場合がある。
【0007】
例えば、視床下核の両側DBS(脳深部刺激)は、進行パーキンソン病の主要移動兆候を改善するために有効治療を提供することが証明されており、視床下核の両側刺激は安全であると考えられるが、新たな関心事は、それが認知機能に対して有する場合がある潜在的なマイナスの結果及び全体の生活の質である(非特許文献1参照)。主に、この現象は視床下核の小さなサイズのためである。電極が主に感覚移動領域内に位置するとしても、DBSによって発生する電気刺激フィールドは、電極を取り囲む全ての神経要素に無差別に印加され、それによって認知に影響を与える神経要素への電流の広がりをもたらす。その結果、視床下核の刺激中の認知機能の低下が、視床下核内又は視床下核の周囲の非移動経路の非選択的活性化に対して起こる場合がある。
【0008】
様々な複合刺激パルスを発生させる機能と共に利用することができる多数の電極は、刺激パラメータの非常に大きな選択を臨床医又は患者に呈する。DBS(脳深部刺激)との関連では、リードに沿って軸線方向に分配されるだけでなく、セグメント電極として神経刺激リードの周囲で周方向に分配された電極の複合配置を有する神経刺激リードを使用することができる。
【0009】
このような選択を容易にするために、臨床医は、一般的に、コンピュータ化プログラムシステムを介して外部制御装置及び適用可能な場合には神経刺激器をプログラムする。このプログラムシステムは、内蔵型ハードウエア/ソフトウエアシステムとすることができ、又は標準パーソナルコンピュータ(PC)で作動するソフトウエアによって主に形成することができる。PC又は特注ハードウエアは、神経刺激器によって発生する電気刺激の特性を能動的に制御し、最適刺激パラメータを患者フィードバックに基づいて判断し、その後に最適刺激パラメータを有する外部制御装置をプログラムすることを可能にすることができる。
【0010】
電気リードが患者内に埋込まれる時に、コンピュータ化プログラムシステムを使用して、リード及び/又は電極の配置を試験するために電気刺激を加えるように神経刺激器に命令することができ、それによってリード及び/又は電極が患者内の有効な位置に埋込まれることを確実にする。リードが正しく位置決めされた状態で、ナビゲーションセッションと呼ぶ場合がある適合手順が、コンピュータ化プログラムシステムを使用して実施され、神経疾患に最も良く対処する刺激パラメータのセットを用いて外部制御装置及び適用可能な場合には神経刺激器をプログラムすることができる。
【0011】
医師及び臨床医が神経刺激システムを埋込むことをより容易に感じ、手術室にいる時間が少なくなるので、埋込み後のプログラムセッションは、処理の大部分になってきている。更に、身体は、神経刺激システムの中に現在プログラムされている特定の刺激パラメータに適応する傾向があり、又は刺激の最大効果が、短い期間内には現れないので(すなわち、プログラムセッション内に観察されない)、フォローアッププログラム手順が、多くの場合に必要である。例えば、脳は動的であり(例えば、病気の進行、運動再学習、又は他の変化)、期間に対して有用なプログラム(すなわち、刺激パラメータのセット)は、その有効性を維持することができず、及び/又は患者の期待が高まる場合がある。更に、医師は、典型的には、刺激及び薬物療法で患者を処置し、各々の適切な量が、最適治療に必要である。従って、DBS(脳深部刺激)システムが埋込まれて適合された後に、患者は、埋込みDBS(脳深部刺激)システムによって提供された処置がもはや効果がないか又はそうでなければ例えば病気の進行、運動再学習、又は他の変化により治療に又は手術に最適ではない場合に、DBS(脳深部刺激)システムの刺激パラメータを調節するために医師を再訪問する予定をたてる必要がある場合がある。臨床的推測により、患者一人当たり18−36時間が現在の技術でDBS(脳深部刺激)患者をプログラムして評価するのに必要であることが示唆されている(非特許文献2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
最初に、本発明は、多数の異なるタイプの刺激システムの構成要素として使用することができる埋込み可能なパルス発生器(IPG)、高周波(RF)送信機、又は類似の神経刺激器と共に使用することができることが注目される。以下の説明は、脳深部刺激(DBS)システムに関する。しかし、本発明は、DBS(脳深部刺激)における適用に適切であるが、本発明は、その最も広い態様ではそのように制限されるものではないことを理解すべきである。そうではなく、本発明は、組織を刺激するのに使用するあらゆるタイプの埋込み可能電気回路と共に使用することができる。例えば、本発明は、ペースメーカー、除細動器、蝸牛刺激器、網膜刺激器、協働四肢移動を生じるように構成された刺激器、皮質刺激器、脊髄後索刺激器、末梢神経刺激器、超小型刺激器、又は尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼、頭痛、その他を処置するように構成されたいずれかの他の神経刺激器の一部として使用することができる。
【0027】
最初に
図1を見ると、例示のDBS(脳深部刺激)神経刺激システム10は、一般的に、少なくとも1つの(この場合は2つの)埋込み可能な刺激リード12と、埋込み可能なパルス発生器(IPG)14の形態の神経刺激器と、外部遠隔制御器RC(遠隔制御器)16と、臨床医用プログラマー(CP)18と、外部試行刺激器(電極ETS)20と、外部充電器22を含んでいる。
【0028】
IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、1つ又は2つ以上の経皮リード延長部24を介して神経刺激リード12に物理的に接続され、神経刺激リード12は、アレイに配置された複数の電極26を担持している。図示の実施形態では、神経刺激リード12は、経皮リードであり、この目的のために、電極26は、神経刺激リード12に沿って線状に配置されるのがよい。変形実施形態では、電極26は、単一のパドルリードの上に2次元パターンで配置されてもよい。後でより詳細に説明するように、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、パルス発生回路を含み、パルス発生回路は、パルス電気波形の形態(すなわち、時間的に連続した電気パルス)の電気刺激エネルギを電極アレイ26に1組の刺激パラメータに従って送出する。
【0029】
ETS(外部試行刺激器)20はまた、経皮リード延長部28及び外部ケーブル30を介して神経刺激リード12に物理的に接続されるのがよい。IPG(埋込み可能なパルス発生器)14と同様のパルス発生回路を有するETS(外部試行刺激器)20はまた、パルス電気波形の形態の電気刺激エネルギを電極アレイ26に1組の刺激パラメータに従って送出する。ETS(外部試行刺激器)20とIPG(埋込み可能なパルス発生器)14の間の大きな違いは、ETS(外部試行刺激器)20が、神経刺激リード12が埋込まれた後及びIPG(埋込み可能なパルス発生器)14の埋込み前に試験的に使用され、与えられるべき刺激の反応性を試験する非埋込み可能装置であるということである。
【0030】
RC(遠隔制御器)16を使用して、双方向RF通信リンク32を介してETS(外部試行刺激器)20を遠隔測定的に制御することができる。IPG(埋込み可能なパルス発生器)14及び刺激リード12が埋込まれた状態で、RC(遠隔制御器)16を使用して、双方向RF通信リンク34を介してIPG(埋込み可能なパルス発生器)14を遠隔測定的に制御することができる。このような制御により、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14をオン又はオフにして異なる刺激パラメータセットによりプログラムすることを可能にする。IPG(埋込み可能なパルス発生器)14はまた、プログラムされた刺激パラメータを調整してIPG(埋込み可能なパルス発生器)14によって出力された電気刺激エネルギの特性を能動的に制御するように作動させることができる。以下でより詳細に説明するように、CP(臨床医用プログラマー)18は、手術室及び追跡セッションにおいてIPG(埋込み可能なパルス発生器)14及びETS(外部試行刺激器)20をプログラムするために臨床医の詳細な刺激パラメータを提供する。
【0031】
CP(臨床医用プログラマー)18は、IR通信リンク36を通じたRC(遠隔制御器)16を通して、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14又はETS(外部試行刺激器)20と間接的に通信することによってこの機能を行うことができる。変形例では、CP(臨床医用プログラマー)18は、RF通信リンク(図示せず)を介してIPG(埋込み可能なパルス発生器)14又はETS(外部試行刺激器)20と直接に通信することができる。CP(臨床医用プログラマー)18によって提供された臨床医の詳細な刺激パラメータはまた、刺激パラメータをその後に独立モードで(すなわち、CP(臨床医用プログラマー)18の支援なしに)RC(遠隔制御器)16の作動によって調整することができるように、RC(遠隔制御器)16をプログラムするのに使用される。
【0032】
外部充電器22は、誘導リンク38を介して経皮的にIPG(埋込み可能なパルス発生器)14を充電するのに使用する携帯用装置である。簡略化するために、外部充電器22の詳細は、本明細書では以下に説明しない。外部充電器の例示的な実施形態の詳細は、以前に引用により本明細書に組み込まれている米国特許第6,895,280号明細書に開示されている。IPG(埋込み可能なパルス発生器)14がプログラムされ、その電源が外部充電器22によって充電され、又はそうでなければ補充された状態で、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、RC(遠隔制御器)16又はCP(臨床医用プログラマー)18が存在することなくプログラムされるように機能することができる。
【0033】
図2を参照して、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、電子及び他の構成要素(以下でより詳細に説明する)を収容するための外側ケース40と、神経刺激リード12の近位端が電極26を外側ケース40内の内部電極(以下でより詳細に説明する)に電気的に接続する方式で嵌合するコネクタ42とを含む。外側ケース40は、チタンのような導電性の生体適合性材料から構成され、密封区画を形成し、内部電極は、体組織及び体液から保護される。場合によっては、外側ケース44は、電極として機能することができる。
【0034】
神経刺激リード12の各々は、細長い円筒形のリード本体43を有し、電極26は、リード本体43の周りに周方向及び軸線方向に配置されたセグメント電極の形態を有する。非限定的な一例として、更に
図3を参照すれば、各神経刺激リード12は、16の電極を支持し、16の電極は、4つの電極リング(電極E1〜E4からなる第1のリング、電極E5〜E8からなる第2のリング、電極E9〜E12からなる第3のリング、電極E13〜E16からなる第4のリング)、又は、4つの軸線方向電極コラム(電極E1、E5、E9、E13からなる第1のコラム(縦列)、電極E2、E6、E10、E14からなる第2のコラム、電極E3、E7、E11、E15からなる第3のコラム、電極E4、E8、E12、E16からなる第4のコラム)として配置される。リード及び電極の実数及び形状は、勿論、意図する適用により異なることになる。経皮刺激リードを製造する構成及び方法を説明する更なる詳細は、「リードアセンブリ及びそれを作る方法」という名称の特許文献4、及び「神経刺激のための円筒形の多接触電極リード及びそれを作る方法」という名称の特許文献5に開示されており、それらの特許の開示は、引用により本明細書に明示的に組み込まれている。
【0035】
以下でより詳細に説明するように、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、バッテリと、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14の中にプログラムされた刺激パラメータのセットに従ってパルス化電気波形の形態の電気刺激エネルギを電極アレイ26に送出するパルス発生回路とを含む。このような刺激パラメータは、電極組合せを含むことができ、電極組合せは、アノード(正)、カソード(負)として活性化され、かつオフ(ゼロ)にされる電極、各電極(分割電極構成)に割り当られた刺激エネルギのパーセント、及び電気パルスパラメータを形成し、これは、パルス振幅(IPG(埋込み可能なパルス発生器)14が一定の電流又は一定の電圧を電極アレイ26に供給するか否かに依存してミリアンペア又はボルトで測定したもの)、パルス持続期間(マイクロ秒で測定したもの)、パルス繰返し数(1秒当たりのパルスで測定したもの)、及びバースト率(刺激オン持続期間X及び刺激オフ持続期間Yとして測定したもの)を形成する。
【0036】
電気刺激は、2つの(又はそれよりも多くの)活性電極の間で起こることになり、そのうちの1つは、IPGケースとすることができる。刺激エネルギは、単極又は多極(例えば、2極、3極、その他)様式で組織に送信することができる。単極刺激は、刺激エネルギが選択電極26とケースの間に伝達されるように、リード電極26のうちの選択された1つがIPG(埋込み可能なパルス発生器)14のケース44と共に活性化される時に起こる。2極刺激は、刺激エネルギが選択電極26の間で伝達されるように、リード電極26のうちの2つがアノード及びカソードとして活性化される時に起こる。3極刺激は、リード電極26のうちの3つが、2つはアノードとして及び残りの1つはカソードとして又は2つはカソードとして及び残りの1つはアノードとして活性化される時に起こる。
【0037】
図示の実施形態では、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、電極の各々を流れる電流のマグニチュードを個々に制御することができる。この場合、電流発生器を有することが好ましく、各電極に対する独立電流源からの個々の電流調節振幅は、選択的に発生させることができる。このシステムは、本発明を利用するのに最適であるが、本発明に使用することができる他の刺激は、電圧調節出力を有する刺激器を含む。個々にプログラム可能な電極の振幅は、微調節を達成するのに最適であるが、電極にわたって切り換える単一出力源も、プログラムするのに殆ど微調節なしに使用することができる。混合電流及び電圧調節装置も、本発明に使用することができる。IPG(埋込み可能なパルス発生器)の詳細な構造及び機能を説明する更なる詳細は、引用により本明細書に明示的に組み込まれる特許文献6及び7により完全に説明されている。
【0038】
図4に示すように、2つの経皮神経刺激リード12は、患者44の頭蓋48に形成された穿頭孔46(又は変形例では2つのそれぞれの穿頭孔)を通して導入され、従来の方式で患者44の脳49の実質組織の中に導入され、結果的に電極26は、ターゲット組織領域に隣接するようになり、その刺激は、機能不全(例えば、視床腹外側、淡蒼球の内部セグメント、黒質網様部、視床下核、又は淡蒼球の外部セグメント)を処置することになる。従って、刺激エネルギは、電極26からターゲット組織領域に伝達されて機能不全の状態を変化させることができる。神経刺激リード12が穿頭孔46を出る位置の近くの空間の欠如により、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14は、一般的に、胸部又は腹部のいずれかの外科的に作られたポケットに埋込まれる。IPG(埋込み可能なパルス発生器)14はまた、勿論、患者の身体の他の位置に埋込むことができる。リード延長部24は、神経刺激リード12の出口点から離れるようなIPG(埋込み可能なパルス発生器)14の位置決めを容易にする。
【0039】
ここで
図5を参照して、RC(遠隔制御器)16の一例示的実施形態をここに説明する。上述したように、RC(遠隔制御器)16は、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14、CP(臨床医用プログラマー)18、又はETS(外部試行刺激器)20と通信することができる。RC(遠隔制御器)16は、ケーシング50を含み、ケーシング50は、内部構成要素(プリント基板(PCB)を含む)、並びにケーシング50の外部によって担持される照明付き表示スクリーン52及びボタンパッド54を収容する。図示の実施形態では、表示スクリーン52は、照明付き平面パネル表示スクリーンであり、ボタンパッド54は、フレックス回路の上に位置決めされた金属ドームを有する膜スイッチと、PCBに直接に接続されたキーパッドコネクタとを含む。選択的な実施形態では、表示スクリーン52は、タッチスクリーン機能を有する。ボタンパッド54は、多数のボタン56、58、60、及び62を含み、それらは、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14をオン及びオフにすることを可能にし、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14内の刺激パラメータの調節又は設定を行い、かつスクリーンの間の選択を行う。
【0040】
図示の実施形態では、ボタン56は、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14をオン及びオフにするように作動させることができるオン/オフボタンとして機能する。ボタン58は、RC(遠隔制御器)16がスクリーン表示及び/又はパラメータの間で切り換えることを可能にする選択ボタンとして機能する。ボタン60及び62は、パルス振幅、パルス幅、及びパルス繰返し数を含むIPG(埋込み可能なパルス発生器)14によって発生するパルスの刺激パラメータのいずれかを増加又は低減するように作動させることができるアップ/ダウンボタンとして機能する。例えば、選択ボタン58は、その間でパルス振幅をアップ/ダウンボタン60、62を介して調節することができる「パルス振幅調節モード」、その間でパルス幅をアップ/ダウンボタン60、62を介して調節することができる「パルス幅調節モード」、及びその間でパルス繰返し数をアップ/ダウンボタン60、62を介して調節することができる「パルス繰返し数調節モード」にRC(遠隔制御器)16を置くように作動させることができる。変形例では、専用アップ/ダウンボタンは、各刺激パラメータに提供することができる。アップ/ダウンボタンを使用するのではなく、ダイヤル、スライダーバー、又はキーパッドのようないずれかの他のタイプのアクチュエータを使用して刺激パラメータを増加又は低減することができる。RC(遠隔制御器)16の機能性及び内部構成要素の更なる詳細は、以前に引用により本明細書に組み込まれている特許文献3に開示されている。
【0041】
図6を参照して、例示的なRC(遠隔制御器)16の内部構成要素をここで以下に説明する。RC(遠隔制御器)16は、一般的に、プロセッサ64(例えば、マイクロコントローラ)、プロセッサ64によって実行するための作動プログラムを格納するメモリ66、並びにルックアップテーブル(以下に説明する)における刺激パラメータセット、入力/出力回路、及び特に刺激パラメータをIPG(埋込み可能なパルス発生器)14に出力し、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14から状態情報を受け入れるための遠隔測定回路68、及びボタンパッド54から刺激制御信号を受け入れ、状態情報を表示スクリーン52(
図5に示す)に送信するための入力/出力回路70を含む。簡略化のために本明細書では以下に説明しないRC(遠隔制御器)16の他の機能を制御するが、プロセッサ64は、ボタンパッド54のユーザ操作に応答して新しい刺激パラメータセットを発生させる。それらの新しい刺激パラメータセットは、次に、遠隔測定回路68を介してIPG(埋込み可能なパルス発生器)14(又はETS(外部試行刺激器)20)に送信すると考えられる。RC(遠隔制御器)16の機能性及び内部構成要素の更なる詳細は、以前に引用により本明細書に組み込まれている特許文献3に開示されている。
【0042】
上記で簡単に説明したように、CP(臨床医用プログラマー)18は、複数の電極組合せのプログラムを大いに簡略化し、医師又は臨床医がIPG(埋込み可能なパルス発生器)14、並びにRC(遠隔制御器)16の中にプログラムすべき望ましい刺激パラメータを容易に判断することを可能にする。従って、埋込み後IPG(埋込み可能なパルス発生器)14のプログラマブルメモリにおける刺激パラメータの調整は、CP(臨床医用プログラマー)18を使用して臨床医によって実施され、CP(臨床医用プログラマー)18は、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14と直接に通信するか又はRC(遠隔制御器)16を介してIPG(埋込み可能なパルス発生器)14と間接的に通信することができる。すなわち、CP(臨床医用プログラマー)18は、脳において電極アレイ26の作動パラメータを調整するために医師又は臨床医が使用することができる。
【0043】
CP(臨床医用プログラマー)18の全体の外観は、ラップトップパーソナルコンピュータ(PC)の外観であり、実際には、指示プログラム装置を含むように適正に構成され、本明細書で説明する機能を実施するようにプログラムされているPCを使用して埋込むことができる。変形例では、CP(臨床医用プログラマー)18は、ミニコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、その他、又は更に拡張機能を有する遠隔制御器(RC)の形態を取ることができる。従って、プログラム手法は、CP(臨床医用プログラマー)18内に格納されたソフトウエア命令を実行することによって実施することができる。変形例では、このようなプログラム手法は、ファームウエア又はハードウエアを使用して実施することができる。いずれの場合でも、CP(臨床医用プログラマー)18は、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14(又はETS(外部試行刺激器)20)によって発生する電気刺激の特性を能動的に制御し、最適刺激パラメータを患者反応及びフィードバックに基づいて、その後に最適刺激パラメータを用いてIPG(埋込み可能なパルス発生器)14(又はETS(外部試行刺激器)20)をプログラムするように判断することを可能にすることができる。
【0044】
ユーザがそれらの機能を実施することを可能にするために、CP(臨床医用プログラマー)18は、マウス72、キーボード74、及びケース78に収容された表示スクリーン76を含む。図示の実施形態では、表示スクリーン76は、従来型のスクリーンである。マウス72に加えて又はこの代わりに、トラックボール、タッチパッド、又はジョイスティックのような他の指示プログラム装置を使用することができることは理解されるものとする。変形例では、従来型の代わりに、表示スクリーン76は、タッチスクリーン(図示せず)のようなデジタイザースクリーンとすることができ、これは、能動的又は受動的デジタイザースタイラス/指タッチと共に使用することができる。
図7に示すように、CP(臨床医用プログラマー)18は、一般的に、プロセッサ80(例えば、中央演算処置装置(CPU))、及びプロセッサ80によって実行され、ユーザがIPG(埋込み可能なパルス発生器)14及びRC(遠隔制御器)16をプログラムすることを可能にすることができる刺激プログラムパッケージ84を格納するメモリ82を含む。CP(臨床医用プログラマー)18は、RC(遠隔制御器)16の遠隔測定回路68を介して、刺激パラメータをIPG(埋込み可能なパルス発生器)14及びRC(遠隔制御器)16にダウンロードするために、及び既にRC(遠隔制御器)16のメモリ66に格納された刺激パラメータをアップロードするための出力回路86(例えば、RC(遠隔制御器)16の遠隔測定回路を介して)を更に含む。
【0045】
プロセッサ80によるプログラムパッケージ84の実行は、マウス72の使用を介してナビゲートすることができる多くの表示スクリーン(図示せず)を提供する。それらの表示スクリーンは、他の機能の中でも、臨床医が患者プロフィール情報(例えば、名前、誕生日、患者識別、医師、診断、及び住所)を選択又は入力し、手順情報(例えば、プログラム/フォローアップ、インプラント試行システム、インプラントIPG、インプラントIPG及びリード、交換IPG、交換IPG及びリード、交換又は改定リード、外植、その他)を入力し、患者の疼痛マップを発生させ、リードの構成及び向きを形成し、リード12により出力された電気刺激エネルギを起動して制御し、かつ手術設定及び臨床設定の両方において刺激パラメータでIPG(埋込み可能なパルス発生器)14を選択してプログラムすることを可能にする。上述したCP機能を説明する更なる詳細は、引用により本明細書に明示的に組み込まれる「電流ステアリングナビゲータによって使用可能なフォーマットで組織刺激プログラムを変換するためのシステム及び方法」という名称の特許文献8、及び「複数の神経刺激電極の中で刺激エネルギを分配するための適切なステアリングテーブルを判断するためのシステム及び方法」という名称の特許文献9に開示されている。
【0046】
最も本発明に関連するものとして、プログラムパッケージ84の実行を介して、電極26の選択されたものによって伝達された電気刺激フィールドを例えば単一神経刺激リード12又は両神経刺激リード12に対して周方向に電気刺激フィールドの位置を軸線方向に、周方向に、及び/又は半径方向に変位させることにより、及びその位置の周りで電気刺激フィールドを軸線方向に及び/又は周方向に拡張又は収縮させることによって調整することを可能にするより直感的ユーザインタフェースを提供する。
【0047】
直感的ユーザインタフェースを詳細に説明する前に、電極26によって伝達された電気刺激フィールドを調整するのに使用することができる様々な方法を説明することは有用であろう。簡略化のために、電極26は、電極26のうちの1つ又はそれよりも多くが刺激カソード(「−」極性)として配置され、かつケース40がアノード(「+」極性)として配置された単極様式で作動しているとして説明するが、本明細書で説明する同じ原理は、2極様式で作動する時に電極26に適用することができる。
【0048】
1つの方法では、異なる電極組合せは、個別に選択され、電極アレイ12内の一方の位置から別の位置へ電気刺激フィールドの位置を変位させることができる。
【0049】
例えば、
図8A及び
図8Bを参照して、第2のリング及びそれぞれ第2及び第3のコラム(電極E6、E7)の2つの電極から構成される電極26の第1の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。この極性及びグループ分けにより、単極様式でケース電極から電極E6及びE7に電流が流れるようにし、これは、それらの2つの電極の間で同様に位置決めされた電気刺激フィールドの位置をもたらす。
【0050】
図8Cに示すように、第3のリングの2つの電極(電極E10、E11)から構成される電極26の第2の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。この極性及びグループ分けにより、単極様式でケース電極から電極E10及びE11に電流が流れるようにし、これは、それらの2つの電極の間で同様に位置決めされた電気刺激フィールドの位置をもたらす。従って、電気刺激フィールドの位置は、電極(電極E6、E7)の第1の刺激グループから電極(電極E10、E11)の第2の刺激グループに切り換えることによってリード12に沿って遠位方向に軸線方向に変位することができ、電極(電極E10、E11)の第2の刺激グループから電極(電極E6、E7)の第1の刺激グループに切り換えることによってリード12に沿って近位方向に軸線方向に変位することができることをこれから認めることができる。
【0051】
図8Dに示すように、第1のコラムの電極(電極E5)及び第2のコラムの電極(電極E6)から構成される電極26の第3の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。この極性及びグループ分けにより、単極様式でケース電極から電極E5及びE6に電流が流れるようにし、これは、それらの2つの電極の間で同様に位置決めされた電気刺激フィールドの位置をもたらす。従って、電気刺激フィールドの位置は、電極(電極E6、E7)の第1の刺激グループから電極(電極E5、E6)の第4の刺激グループに切り換えることによってリード12の周りで反時計回り方向に周方向に変位することができ、電極(電極E6、E7)の第3の刺激グループから電極(電極E5、E6)の第1の刺激グループに切り換えることによってリード12の周りで時計回り方向に周方向に変位することができることをこれから認めることができる。
【0052】
図8Eに示すように、電極26の第1の刺激グループの反対側の1つ又は2つ以上の電極26、この場合はE5及びE8は、アノードとして活性化することができ、電極(電極E6、E7)の第1の刺激グループを流れる電流の振幅は、リード12から半径方向外向きに電気刺激フィールドの位置を変位させるように増加させることができる。電極E5及びE8は、不活性化することができ、電極(電極E6、E7)の第1の刺激グループを流れる電流の振幅は、リード12の方向に半径方向内向きに電気刺激フィールドの位置を変位させるように減少させることができる。
【0053】
勿論、2極及び3極組合せを含む他の電極組合せは、電気刺激フィールドの位置を電子的に変位させるように選択することができる。
【0054】
変形例では、電極の異なる組合せを個別に選択するのではなく、電流は、電気刺激フィールドの位置を変位させるように電極の間で漸次的に「ステアリング」又はシフトさせることができる。
【0055】
例えば、電極E6及びE7が刺激グループの電極のみであると仮定すると、電気刺激フィールドの位置は、刺激電極グループに電極E10及びE11を漸次的に含めること、及び刺激電極グループから電極E6及びE7を漸次的に除外することによってリード12に沿って遠位方向に軸線方向に漸次的に変位させることができる。すなわち、電極E10及びE11の各々を流れる分割カソード電流は、0%から50%に徐々に増加するが、電極E6及びE7の各々を流れる分割カソード電流は、50%から0%に徐々に減少する。その結果、電気刺激フィールドは、
図8Aに示すようなその初期位置から
図8Cに示すような軸線方向に変位した位置に漸次的に移動する。1つの区分的ステップは、例えば、電極E10及びE11の各々を流れる分割カソード電流が15%であり、電極E6及びE7の各々を流れる分割カソード電流が35%であるところとすることができ、その場合には、電気刺激フィールドは、
図8Fに示すように軸線方向に変位した位置にすることができる。
【0056】
電極E10及びE11がここで刺激グループの電極のみであると仮定すると、電気刺激フィールドの位置は、刺激電極グループに電極E6及びE7を漸次的に含めること、刺激電極グループから電極E10及びE11を漸次的に除外することによってリード12に沿って近位方向に軸線方向に漸次的に変位させることができる。すなわち、電極E6及びE7の各々を流れる分割カソード電流は、0%から50%に徐々に増加するが、電極E10及びE11の各々を流れる分割カソード電流は、50%から0%に徐々に減少する。その結果、電気刺激フィールドは、
図8Cに示す位置から
図8Aに示す軸線方向に変位した位置に漸次的に移動する。
【0057】
電極E6及びE7が刺激グループの電極のみであると仮定すると、電気刺激フィールドの位置は、刺激電極グループに電極E5を漸次的に含めること、及び刺激電極グループから電極E7を漸次的に除外することによってリード12の周りで反時計回り方向に周方向に漸次的に変位させることができる。すなわち、電極E5を流れる分割カソード電流は、0%から50%に徐々に増加するが、電極E7を流れる分割カソード電流は、50%から0%に徐々に減少する。その結果、電気刺激フィールドは、
図8Bに示す位置から
図8Dに示す周方向に変位した位置に漸次的に移動する。1つの区分的ステップは、例えば、電極E6を流れる分割カソード電流が50%残り、電極E7を流れる分割カソード電流が15%であり、電極E5を流れる分割カソード電流が35%であるところとすることができ、その場合には、電気刺激フィールドは、
図8Gに示すように周方向に変位した位置にすることができる。
【0058】
電極E5及びE6がここで刺激グループの電極のみであると仮定すると、電気刺激フィールドの位置は、刺激電極グループに電極E7を漸次的に含めること、及び刺激電極グループから電極E5を漸次的に除外することによってリード12の周りで時計回り方向に周方向に漸次的に変位させることができる。すなわち、電極E7を流れる分割カソード電流は、0%から50%に徐々に増加するが、電極E5を流れる分割カソード電流は、50%から0%に徐々に減少する。その結果、電気刺激フィールドは、
図8Dに示す位置から
図8Bに示す周方向に変位した位置に漸次的に移動する。
【0059】
更に別の方法において、電気刺激フィールドの位置は、複数のタイミングチャンネルを使用して電子的に変位する。特に、電気エネルギは、複数のタイミングチャンネルに従って電極の異なる組合せの間に伝達することができ、すなわち、第1の刺激電極グループは、第1のタイミングチャンネル中に使用することができ、第2の刺激電極グループは、第2のタイミングチャンネル中に使用することができるなどであり、グループは、重なってもよいしそうでなくてもよい。複数のタイミングチャンネルのうちの少なくとも1つに従って伝達された電気エネルギのマグニチュードは、刺激領域の位置を実質的に変位させるように調整することができる。
【0060】
例えば、第1のタイミングチャンネル中に、第2のリングの2つの電極(電極E6、E7)から構成される電極26の第1の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。第2のタイミングチャンネル中に、第3のリングの2つの電極(電極E10、E11)から構成される電極26の第2の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。この極性及びグループ分けにより、単極様式で第1のタイミングチャンネル中にケース電極から電極E6及びE7に、及び単極様式で第2のタイミングチャンネル中にケース電極から電極E10及びE11に電流が流れるようにする。
【0061】
第1及び第2のタイミングチャンネルは、電極E6及びE7において生成された電気パルスが電極E10及びE11において生成された電気パルスの間で交互配置されるように互いに同時に作動する。第1のタイミングチャンネル(E6及びE7を制御する)の電流の振幅、及び第2のタイミングチャンネル(E10及びE11を制御する)の電流の振幅は同じであり、結果的には、実際上、E6/E7及びE10/E11の接触対の間の全体的な位置を有する
図8Aに示すような電気刺激フィールド及び
図8Cに示すような電気刺激フィールドの両方を取り囲む刺激領域の領域全体である。
【0062】
第1のタイミングチャンネル中の電極E6及びE7における電気エネルギ及び/又は第2のタイミングチャンネル中の電極E10及びE11における電気エネルギのマグニチュードは、リード12に沿って電気刺激フィールドの位置を漸次的に変位させるように調整することができることをこれから認めることができる。例えば、第2のタイミングチャンネル中の電極E10及びE11における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間が、第1のタイミングチャンネル中の電極E6及びE7における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間に対して増加する場合、電気刺激フィールドの位置は、電極E10及びE11の間で等距離の位置により近い遠位方向に軸線方向に実質的に変位することになる。対照的に、第2のタイミングチャンネル中の電極E10及びE11における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間が、第1のタイミングチャンネル中の電極E6及びE7における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間に対して減少する場合、電気刺激フィールドの位置は、電極E6及びE7の間で等距離の位置により近い近位方向に軸線方向に実質的に変位することになる。両タイミングチャンネルが影響を受ける神経組織がある場合、刺激繰返し数は、その組織領域の2つのタイミングチャンネルの影響の幾分混ざったものになることが認められる。
【0063】
更に別の例では、第1のタイミングチャンネル中に、第2のコラムの電極(電極E6)及び第3のコラムの電極(電極E7)から構成される電極26の第1の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。第2のタイミングチャンネル中に、第1のコラムの電極(電極E5)及び第2のコラムの電極(電極E6)から構成される電極26の第2の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。極性及びグループ分けにより、単極様式で第1のタイミングチャンネル中にケース電極から電極E6及びE7に、及び単極様式で第2のタイミングチャンネル中にケース電極から電極E5及びE6に電流が流れるようにする。
【0064】
第1及び第2のタイミングチャンネルは、電極E6及びE7において生成された電気パルスが電極E5及びE6において生成された電気パルスの間で交互配置されるように互いに同時に作動する。第1のタイミングチャンネル(E6及びE7を制御する)の電流の振幅、及び第2のタイミングチャンネル(E5及びE6を制御する)の電流の振幅は同じであり、結果的には、実際上、E6/E7及びE5/E6の接触対の間の全体的位置を有する
図8Bに示すような電気刺激フィールド及び
図8Dに示すような電気刺激フィールドの両方を取り囲む刺激領域の領域全体である。
【0065】
第1のタイミングチャンネル中の電極E6及びE7における電気エネルギ及び/又は第2のタイミングチャンネル中の電極E5及びE6における電気エネルギのマグニチュードは、リード12の周りで電気刺激フィールドの位置を漸次的に周方向に変位させるように調整することができることをこれから認めることができる。例えば、第2のタイミングチャンネル中の電極E5及びE6における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間が、第1のタイミングチャンネル中の電極E6及びE7における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間に対して増加する場合、電気刺激フィールドの位置は、電極E5及びE6の間で等距離の位置により近い反時計回り方向に周方向に実質的に変位することになる。第2のタイミングチャンネル中の電極E5及びE6における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間が、第1のタイミングチャンネル中の電極E6及びE7における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間に対して減少する場合、電気刺激フィールドの位置は、電極E6及びE7の間で等距離の位置により近い時計回り方向に周方向に実質的に変位することになる。タイミングチャンネルは、空間的に隣接していない複数の位置を刺激することができ、相対振幅の変化は、複数の位置の各々において刺激組織の量を変化させることができる点に注意すべきである。
【0066】
電気刺激フィールドは、電極アレイ12内で一方の位置から別の位置にその位置を変位させる以外の方式で調整することができる。例えば、電気刺激フィールドは、その位置の周りで電気刺激フィールドを拡張又は収縮させることによって調整することができる。
【0067】
1つの実施形態では、異なる電極は、電気刺激フィールドのサイズが拡張又は収縮させることを除いて、電気刺激フィールドの位置の変位に関して上述した同じ方式で個別に選択することができる。
【0068】
例えば、
図9A及び
図9Bに示すように、第2のリング及び第2のコラムの電極(電極E6)から構成される電極26の第1の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。この極性及びグループ分けにより、単極様式でケース電極から電極E6に電流が流れるようにし、これは、この電極に隣接する電気刺激フィールドをもたらす。
【0069】
図9Cに示すように、第2のコラムの3つの電極(電極E2、E6、E10)から構成される電極26の第2の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。この極性及びグループ分けにより、単極様式でケース電極から電極E2、E6、及びE10に電流が流れるようにし、これは、それらの3つの電極に及ぶ電気刺激フィールドをもたらす。従って、電気刺激フィールドは、電極(電極E6)の第1の刺激グループから電極(電極E2、E6、E10)の第2の刺激グループに切り換えることによってリード12に沿って軸線方向に拡張することができることをこれから認めることができる。対照的に、電気刺激フィールドは、電極(電極E2、E6、E10)の第2の刺激グループから刺激電極(電極E6)の第1のグループに切り換えることによってリード12に沿って軸線方向に収縮させることができる。
【0070】
図9Dに示すように、第2のリングの3つの電極(電極E5、E6、E7)から構成される電極26の第3の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。この極性及びグループ分けにより、単極様式でケース電極から電極E5、E6、及びE7に電流が流れるようにし、これは、それらの3つの電極に及ぶ電気刺激フィールドをもたらす。従って、電気刺激フィールドは、電極(電極E6)の第1の刺激グループから電極(電極E5、E6、E7)の第3の刺激グループに切り換えることによってリード12の周りで周方向に拡張することができることをこれから認めることができる。対照的に、電気刺激フィールドは、電極(電極E5、E6、E7)の第2の刺激グループから電極(電極E6)の第1の刺激グループに切り換えることによってリード12の周りで周方向に収縮させることができる。
【0071】
電気刺激フィールドは、その位置の周囲で均等に拡張又は収縮すると上記に説明したが、電気刺激フィールドは、初期位置に関して非対称的に拡張又は収縮させることができる点に注意すべきである。例えば、電気刺激フィールドは、近位方向に拡張又は収縮することなく遠位方向に軸線方向に拡張又は収縮させることができ、又は電気刺激フィールドは、時計回り方向に拡張又は収縮することなく反時計回り方向に周方向に拡張又は収縮させることができる。
【0072】
別の方法において、電流は、電気刺激フィールドの位置が維持されることを除いて、かつ電気刺激フィールドが拡張又は収縮する代わりに、電気刺激フィールドの位置の変位に関して上述した類似の方式で電気刺激フィールドを拡張及び収縮するように電極の間で漸次的に「ステアリング」又はシフトさせることができる。
【0073】
例えば、電極E6が刺激グループの電極のみであると仮定すると、電気刺激フィールドは、刺激電極グループに電極E2及びE10を漸次的に含めることによってリード12に沿って軸線方向に漸次的に拡張することができる。すなわち、電極E2及びE10の各々を流れる分割カソード電流は、0%から33と1/3%に徐々に増加するが、電極E6を流れる分割カソード電流は、100%から33と1/3%に徐々に減少する。その結果、電気刺激フィールドは、
図9Aに示すようなその占有面積から
図9Cに示すような軸線方向に拡張した占有面積に漸次的に拡張する。電極E2、E6、及びE10がここで刺激グループの電極のみであると仮定すると、電気刺激フィールドは、刺激電極グループから電極E2及びE10を漸次的に除外することによってリード12に沿って軸線方向に漸次的に収縮させることができる。すなわち、電極E2及びE10の各々を流れる分割カソード電流は、33と1/3%から0%に徐々に減少するが、電極E6を流れる分割カソード電流は、33と1/3%から100%に徐々に増加する。その結果、電気刺激フィールドは、
図9Cに示すようなその占有面積から
図9Aに示すような軸線方向に収縮した占有面積に漸次的に収縮する。
【0074】
別の例として、電極E6が刺激グループの電極のみであると仮定すると、電気刺激フィールドは、刺激電極グループに電極E5及びE7を漸次的に含めることによってリード12の周りで周方向に漸次的に拡張することができる。すなわち、電極E5及びE7の各々を流れる分割カソード電流は、0%から33と1/3%に徐々に増加するが、電極E6を流れる分割カソード電流は、100%から33と1/3%に徐々に減少する。その結果、電気刺激フィールドは、
図9Bに示すようなその占有面積から
図9Dに示すような軸線方向に拡張した占有面積に漸次的に拡張する。電極E5、E6、及びE7がここで刺激グループの電極のみであると仮定すると、電気刺激フィールドは、刺激電極グループから電極E5及びE7を漸次的に除外することによってリード12の周りで周方向に漸次的に収縮させることができる。すなわち、電極E5及びE7の各々を流れる分割カソード電流は、33と1/3%から0%に徐々に減少するが、電極E6を流れる分割カソード電流は、33と1/3%から100%に徐々に増加する。その結果、電気刺激フィールドは、
図9Dに示すようなその占有面積から
図9Bに示すような軸線方向に収縮した占有面積に漸次的に収縮する。
【0075】
更に別の方法において、電気刺激フィールドは、複数のタイミングチャンネルを使用して漸次的に拡張又は収縮させることができる。
【0076】
例えば、第1のタイミングチャンネル中に、第2のリングの電極(電極E6)から構成される電極26の第1の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。第2のタイミングチャンネル中に、第1、第2、及び第3のリングの3つの電極(電極E2、E6、E10)それぞれから構成される電極26の第2の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。この極性及びグループ分けにより、単極様式で第1のタイミングチャンネル中にケース電極から電極E6に、及び単極様式で第2のタイミングチャンネル中にケース電極から電極E2、E6、及びE10に電流が流れるようにする。
【0077】
第1及び第2のタイミングチャンネルは、電極E6において生成された電気パルスが電極E2、E6、及びE10において生成された電気パルスの間で交互配置されるように互いに同時に作動し、実際上、電極E6だけに及ぶ区域から電極E2、E6、及びE10に及ぶ区域まで広がる単一電気刺激フィールドをもたらすが、いずれの所定の時点でも、電気刺激フィールドは、
図9Aに示すような電極E6だけに及ぶか又は
図9Cに示すような電極E2、E6、及びE10に及ぶかのいずれかであろう。
【0078】
第1のタイミングチャンネル中の電極E6における電気エネルギ及び/又は第2のタイミングチャンネル中の電極E2、E6、及びE10における電気エネルギのマグニチュードは、リード12に沿って軸線方向に電気刺激フィールドを漸次的に拡張又は収縮させるように調整することができることをこれから認めることができる。例えば、第2のタイミングチャンネル中の電極E2、E6、及びE10における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間が、第1のタイミングチャンネル中の電極E6における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間に対して増加する場合、電気刺激フィールドは、リード12に沿って軸線方向に実質的に拡張することになる。対照的に、第2のタイミングチャンネル中の電極E2、E6、及びE10における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間が、第1のタイミングチャンネル中の電極E6における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間に対して減少する場合、電気刺激フィールドは、リード12に沿って軸線方向に実質的に収縮することになる。
【0079】
別の例では、第1のタイミングチャンネル中に、第2のコラムの電極(電極E6)から構成される電極26の第1の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。第2のタイミングチャンネル中に、第1、第2及び第3のコラムの3つの電極(電極E5、E6、E7)それぞれから構成される電極26の第2の刺激グループは、カソードとして活性化することができる。この極性及びグループ分けにより、単極様式で第1のタイミングチャンネル中にケース電極から電極E6に、及び単極様式で第2のタイミングチャンネル中にケース電極から電極E5、E6、及びE7に電流が流れるようにする。
【0080】
第1及び第2のタイミングチャンネルは、電極E6において生成された電気パルスが電極E5、E6、及びE7において生成された電気パルスの間で交互配置されるように互いに同時に作動し、実際上、電極E6だけに及ぶ区域から電極E5、E6、及びE7に及ぶ区域まで広がる単一電気刺激フィールドをもたらすが、いずれの所定の時点でも、電気刺激フィールドは、
図9Bに示すような電極E6だけに及ぶか又は
図9Dに示すような電極E5、E6、及びE7に及ぶかのいずれかであろう。
【0081】
第1のタイミングチャンネル中の電極E6における電気エネルギ及び/又は第2のタイミングチャンネル中の電極E2、E6、及びE10における電気エネルギのマグニチュードは、リード12の周りで周方向に電気刺激フィールドを漸次的に拡張又は収縮させるように調整することができることをこれから認めることができる。例えば、第2のタイミングチャンネル中の電極E5、E6、及びE7における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間が、第1のタイミングチャンネル中の電極E6における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間に対して増加する場合、電気刺激フィールドは、リード12の周りで周方向に実質的に拡張することになる。対照的に、第2のタイミングチャンネル中の電極E5、E6、及びE7における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間が、第1のタイミングチャンネル中の電極E6における電気エネルギのパルス振幅及び/又はパルス持続期間に対して減少する場合、電気刺激フィールドは、リード12の周りで周方向に実質的に収縮することになる。
【0082】
電気刺激フィールドの調整は、単一リードに関して説明したが、電気刺激フィールドは、本明細書において引用により組み込まれている「選択的な電気刺激フィールドを既存のリード電極にマップするためのシステム及び方法」という名称の特許文献10で説明のように、理想極を仮定し、理想極を模倣するのに必要な刺激パラメータをコンピュータ的に判断することによって複数のリードに対して調整することができる点に注意すべきである。
【0083】
ここでCP16のユーザインタフェースの作動に戻ると、プログラムスクリーン100は、
図10に示すようにCP16によって発生させることができる。プログラムスクリーン100は、ユーザが刺激パラメータ試験を実施することを可能にする。
【0084】
プログラムスクリーン100は、刺激をオン又はオフにするように交互にクリックすることができる刺激オン/オフ制御器102を更に含む。プログラムスクリーン100は、刺激パラメータを手動で調節するようにユーザが操作することができる様々な刺激パラメータ制御器を更に含む。特に、プログラムスクリーン100は、パルス幅調節制御器104(マイクロ秒(μs)で表される)、パルス繰返し数調節制御器106(1秒当たりのパルス(pps)で表される)、及びパルス振幅調節制御器108(ミリアンペア(mA)で表される)を含む。各制御器は、それぞれの刺激パラメータの値を低減するようにクリックすることができる第1の矢印と、それぞれの刺激パラメータの値を増加させるようにクリックすることができる第2の矢印とを含む。プログラムスクリーン100はまた、多極/単極刺激選択制御器110を含み、これは、ユーザが交互にクリックして多極又は単極刺激を提供することができるチェックボックスを含む。選択的な実施形態では、IPG(埋込み可能なパルス発生器)14のケース40は、ケース電極40とリード電極26のうちの少なくとも1つとの両方を使用して同時にアノード電流を伝達することができるように、リード電極26のうちの1つとして処理することができる。
【0085】
プログラムスクリーン100はまた、3つの異なる電極組合せ1〜4のうちの1つを選択するようにユーザがクリックすることができる矢印を有する電極組合せ制御器112を含む。電極組合せ1〜4の各々は、様々な制御要素を使用して発生させることができる。
【0086】
ユーザインタフェースは、モード選択制御要素114と、2セットの電気刺激フィールド調整制御要素を含み、2セットの電気刺激フィールド調整制御要素は、軸線方向調整制御要素116のセットと、周方向調整制御要素118のセットである。図示の実施形態では、モード選択制御要素114、電気刺激フィールド調整制御要素116、118のセット、並びに本明細書で説明する他の制御要素は、グラフィックアイコンとして実施され、グラフィクアイコンは、マウスでクリックされ、タッチスクリーンの場合は指でタッチされる。変形例では、本明細書で説明する制御要素は、それを作動させるように押したりその他の仕方で移動させたりすることができる機械的なボタン、キー、スライダー等として実施されてもよい。
【0087】
モード選択制御要素114を作動させるとき、プロセッサ80は、電気刺激フィールド調整制御要素を、電気刺激フィールド変位モード又は電気刺激フィールド形状モードのいずれかに選択的に配置するように構成され、電気刺激フィールド変位モードの間、プロセッサ80は、
図8A〜
図8Dに関して上述したように、な電気刺激フィールドの位置をリード12の軸線に対して軸線方向に及び/又は周方向に変位させるように設計された刺激パラメータセットを発生させるように構成され、電気刺激フィールド形状モードの間、プロセッサ80は、
図9A〜
図9Dに関して上述したように、電気刺激フィールドをリード12の軸線に対して軸線方向に又は周方向に拡張させ又は収縮させるように設計された刺激パラメータセットを発生させるように構成される。出力遠隔測定回路86は、これらの刺激パラメータセットをIPG(埋込み可能なパルス発生器)14に送信するように構成される。
【0088】
図示の実施形態では、モード選択制御要素114は、電気刺激フィールド調整制御要素116、118を電気刺激フィールド変位モードと電気刺激フィールド形状モードの間で選択的に配置するように、ユーザが交互にクリックすることができるチェックボックスを含む。変形例では、モード選択制御要素114は、電気刺激フィールド調整制御要素116、118を電気刺激フィールド変位モードと電気刺激フィールド形状モードの間で切替えるように繰返しクリックすることができるボタンの形態を有していてもよい。
【0089】
電気刺激フィールド調整制御要素116、118のセットの各々は、両矢印(すなわち、互いに反対の2つ方向を指す制御要素矢印)の形態を有し、両矢印は、作動モードに応じて電気刺激フィールドを調整するように作動される。
【0090】
例えば、電気刺激フィールド変位モードでは、軸線方向調整制御要素116のセットの上向き矢印制御要素116aは、電気刺激フィールドの位置を軸線方向(すなわち、リード12の軸線に沿って)近位側に変位させるためにクリックされ、軸線方向調整制御要素116のセットの下向き矢印制御要素116bは、電気刺激フィールドの位置を軸線方向(すなわち、リード12の軸線に沿って)遠位側に変位させるためにクリックされ、周方向調整制御要素118のセットの左向き矢印制御要素118aは、電気刺激フィールドの位置を周方向(すなわち、リード12の軸線の周りに)反時計回りに変位させるためにクリックされ、周方向調整制御要素118のセットの右向き矢印制御要素118bは、電気刺激フィールドの位置を周方向(すなわち、リード12の軸線の周りに)時計回りに変位させるためにクリックされる。
【0091】
電気刺激フィールド形状モードでは、軸線方向調整制御要素116のセットの下向き矢印制御要素116aは、電気刺激フィールドをその位置の付近で軸線方向に収縮させるためにクリックされ、軸線方向調整制御要素116のセットの上向き矢印制御要素116bは、電気刺激フィールドをその位置の付近で軸線方向に拡張させるためにクリックされ、周方向調整制御要素118のセットの左向き矢印制御要素118aは、電気刺激フィールドをその位置の付近で周方向に収縮させるためにクリックされ、周方向調整制御要素118のセットの右向き矢印制御要素118bは、電気刺激フィールドその位置の付近で周方向に拡張させるためにクリックされる。
【0092】
かくして、モード選択制御要素114により、電気刺激フィールド調整制御要素116、118のセットは、2つの機能を有し、すなわち、同じ調整制御要素により、電気刺激フィールドの位置を変位させることと、電気刺激フィールドをその位置の付近で形状変更することの両方を行うように作動されることを認識すべきである。
【0093】
加えて、及び特に周方向調整制御要素118のセットに関して、周方向調整制御要素118a、118bのうちの一方が継続的に作動されるとき、すなわち、矢印制御要素118a、118bのうちの一方を、例えばクリックして押下げたまま保持することによって連続的に作動させるとき、又は、制御要素118a、118bのうちの一方を、例えばクリックして解除すること繰返すことによって反復的に作動させるとき、プロセッサ80は、電気刺激フィールドの位置をそれぞれの異なる角度位置でリード12の周りで周方向に且つ第1の回転方向に変位させるように設計された刺激パラメータセットを発生させる。
【0094】
従って、左向き矢印制御要素118aは、電気刺激フィールドの位置を異なる角度位置でリード12の周りに周方向に且つ反時計回りに変位させるために継続的に作動されること、及び、右向き矢印制御要素118bは、電気刺激フィールドの位置を異なる角度位置でリード12の周りに周方向に且つ時計回りに変位させるために継続的に作動されることを認識すべきである。
【0095】
CP(臨床医用プログラマー)18のユーザインタフェースは、選択的に、両矢印(すなわち、互いに反対の2つ方向を指す制御要素矢印)の形態を有する半径方向調整制御要素120のセットを含む。半径方向調整制御要素120のセットを作動させるとき、プロセッサ80は、
図8B及び
図8Eに関して上述したように、電気刺激フィールドの位置をリード12の軸線に対して半径方向に変位させるように設計された刺激パラメータセットを発生させるように構成される。特に、半径方向調整制御要素のセットの上向き矢印制御要素120aは、電気刺激フィールドの位置をリード12の軸線に向かって半径方向内向きに変位させるためにクリックされ、半径方向調整制御要素のセットの下向き矢印制御要素120bは、電気刺激フィールドの位置をリード12の軸線から半径方向外向きに変位させるためにクリックされる。
【0096】
周方向調整制御要素118a、118bのインジケータはそれぞれ、左向き矢印及び右向き矢印の形態を有しているけれども、他のインジケータを、電気刺激フィールドの位置の変位専用の周方向調整制御要素に使用してもよい。
【0097】
例えば、
図11Aに示すように、制御要素118cが、それを継続的に作動させたときに電気刺激フィールドの位置を異なる角度位置で周方向に且つ反時計回りに変位させることを示す反時計回り矢印として示されてもよく、制御要素118dが、それを継続的に作動させたときに電気刺激フィールドの位置を異なる角度位置で周方向に且つ時計回りに変位させることを示す時計回り矢印として示されてもよい。
【0098】
図11Bに示すように、制御要素118eが、電気刺激フィールドの公称角度が0度まで減少するまで制御要素118eを継続的に作動させたときに電気刺激フィールドの位置を異なる角度位置で周方向に且つ時計回りに変位させることを示す減少角度として示され、制御要素118fが、電気刺激フィールドの公称角度が360度まで増大するまで制御要素118fを継続的に作動させたときに電気刺激フィールドの位置を異なる角度位置で周方向に且つ反時計回りに変位させることを示す増大角度として示されてもよい。注意すべきことは、モード選択を変化させたときに制御要素のインジケータが変わり得ることである。例えば、電気刺激フィールド変位モードでは、インジケータは、
図11Aのインジケータであり、電気刺激フィールド形状モードでは、インジケータは、
図11Bのインジケータであることがある。
【0099】
図11Cに示すように、制御要素118gが、それを継続的に作動させたときに電気刺激フィールドの位置を異なる角度位置で周方向に且つ時計回りに変位させることを示すある角度として示されてもよい。この場合、電気刺激フィールドの角度は、角度の始まり又は終わりがないように閉じられる。
【0100】
図12Aに示す選択的な実施形態では、CP(臨床医用プログラマー)18のユーザインタフェースは、選択的に、ある箇所の周りで回転させることができる回転制御要素122aを含む。プロセッサ80は、回転制御要素122aをある箇所124の周りで回転させるときに、電気刺激フィールドの位置をリード12の周りで周方向に変位させるように設計された刺激パラメータのセットを発生させ、次いで、刺激パラメータのセットをCP(臨床医用プログラマー)18の出力回路86からIPG(埋込み可能なパルス発生器)14に送信する。図示の実施形態では、回転制御要素122aは、図形アイコンとして実施される。この場合、回転制御要素122aを、単に、カーソルでクリックして(又はタッチして)ドラッグすることにより、回転させる。変形例では、回転制御要素122aは、ユーザが物理的に回転させる機械的ダイヤルであってもよい。
【0101】
ユーザインタフェースは、選択的に、電気刺激フィールドの位置の周方向位置を示すために回転制御要素122aに結合されたマーカ126を含む。図示の実施形態では、マーカ126は、回転制御要素122aと共に回転する矢印の形態を有する。変形例では、回転制御要素は、
図12Bに示すような矢印122b、又は、
図12Cに示すような矢印122cの形態を有し、その場合、回転制御要素122自体が電気刺激フィールドの位置の周方向位置のインジケータを構成する。
図12Dに示す別の変形実施形態では、回転制御要素122は、パイ形状(扇形)部分に分割される。この場合、電気刺激フィールドの位置の周方向位置を示すために、マーカ126は、それが固定要素126に隣接しているときに強調される1つ又は2つ以上のパイ形状断面の形態を有している。
図12Eに示すように、電気刺激フィールドの位置の周方向位置を示すために、回転制御要素122eは、固定要素126に隣接する時に強調されたセグメントのうちの1つ又はそれよりも多くを有するセグメントリングの形態を有している。
【0102】
図12Aに戻って参照すると、CP(臨床医用プログラマー)18のユーザインタフェースは、選択的に、回転制御要素122aの半径に沿って変位することができる半径方向調整制御要素128を含む。プロセッサ80は、半径方向調整制御要素128を作動させたときに電気刺激フィールドの位置を半径方向に変位させるように設計された刺激パラメータのセットを発生させ、次いで、刺激パラメータのセットをCP(臨床医用プログラマー)18の出力回路86からIPG(埋込み可能なパルス発生器)14に送信する。図示の実施形態では、半径方向調整制御要素128は、図形アイコンとして実施される。この場合、半径方向調整制御要素128を、単に、クリックしてドラッグすることにより、半径方向内向き又は外向きに変位させる。半径方向調整制御要素128の半径方向内向きの変位は、電気刺激フィールドの位置を回転制御要素122aの回転中心箇所に向かって半径方向内向きに変位させ、半径方向調整制御要素128の半径方向外向きの変位は、電気刺激フィールドの位置を回転制御要素122aの回転中心箇所から遠ざかるように半径方向外向きに変位させる。
【0103】
図10に戻ってそれを参照すると、CP(臨床医用プログラマー)18のプログラムスクリーン100は、選択的に又は変形例として、3次元図形表現(グラフィカルレンダリング)のリード12’及び電極26’と、複数のアイコン制御要素130を表示し、アイコン制御要素130は、3次元図形表現の電極26’に図形上で結合されている。図示の実施形態では、アイコン制御要素130は、3次元図形表現の電極26’に直接結合されている。変形例では、
図13に示すように、アイコン制御要素130は、3次元図形表現の電極26’に基準線132を介して間接的に結合されていてもよい。いずれの場合も、プロセッサ80は、アイコン制御要素130のいずれかを作動させたときに電気刺激フィールドを調整するように設計された刺激パラメータを発生させ、次いで、刺激パラメータをCP(臨床医用プログラマー)18の出力回路86からIPG(埋込み可能なパルス発生器)14に送信する。図示の実施形態では、アイコン制御要素130は各々、上向き矢印及び下向き矢印を有し、上向き矢印及び下向き矢印はそれぞれ、例えば、それをクリックすることにより作動し、作動された制御要素126が図形上で結合している3次元図形表現の電極26’に対応する電極26に流れる電流を増減させる。制御要素126はまた、分割された電流値に関して、電極26の各々の中を流れる電流の量を示すインジケータ134を含んでいる。インジケータ134は、上記機能を、アイコン制御要素130を作動させたときに、又は、軸線方向調整制御要素116、周方向調整制御要素118、又は半径方向調整制御要素120を作動させたときに実施するのがよい。
【0104】
CP(臨床医用プログラマー)18のプログラムスクリーン100はまた、好ましくは、刺激ターゲットである図形的な解剖学的構造200に対する他の3次元図形表現のリード12”及び電極26”を表示する。例えば、DBS(脳深部刺激)の指示がパーキンソン病である場合、解剖学的構造200は、好ましくは、視床下核(STN)又は淡蒼球(GPi)である。DBS(脳深部刺激)の指示が「本態性振戦」である場合、解剖学的構造200は、好ましくは、視床である。DBS(脳深部刺激)の指示が抑鬱症である場合、解剖学的構造200は、側坐核、腹側線条体、腹側嚢、前嚢、又はブロードマン野25のうちの1つ又は2つ以上である。DBS(脳深部刺激)の指示がてんかんである場合、解剖学的構造200は、好ましくは、前核である。DBS(脳深部刺激)の指示が歩行障害である場合、解剖学的構造200は、好ましくは、大脳脚橋核(PPN)である。DBS(脳深部刺激)の指示が認知症、アルツハイマー病、又は記憶障害である場合、解剖学的構造200は、好ましくは、ペーペズ回路の任意の箇所である。解剖学的構造200は、任意の入手可能な脳地図から、又は、例えば磁気共鳴撮像装置(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、X線、蛍光透視法、脳室撮影法、超音波、又は任意その他の画像診断法、又は、それらの方法のいずれか又は全ての融合から導出された患者固有の脳地図から得られる。
【0105】
電流刺激パラメータセットに基づいて、プロセッサ80は、結果的に生じる組織活性化容積(VTA)202を推定し、それを3次元図形表現のリード12”及び3次元図形表現の解剖学的構造200と一緒に表示する。好ましい実施形態では、VTA(組織活性化容積)202は、3次元図形表現の解剖学的構造200の上に重ね合わされる。図示の実施形態では、3次元図形表現のリード12”、3次元図形表現の解剖学的構造200、及びVTA(組織活性化容積)202を、斜視図で表示しているけれども、変形例では、それらを、
図14に示すように従来の断面(例えば、横断面、冠状面、及び矢状面)のうちの任意の1つ又は2つ以上で表示してもよい。ユーザは、任意の望ましい座標空間、例えば、Tailerach、Hosely−Clark、Cartesian、その他において、VTA(組織活性化容積)202の概略的な形状(例えば、球形、卵形等)を識別することができる。あるいは、VTA(組織活性化容積)202の境界をクリックしてドラッグすることにより、ユーザの仕様にしてもよい。選択的な実施形態では、ユーザは、各平面の画像を同時に目を通してもよいし、画面制御要素140のチェックボックスの1つを選択することによってある時点の1つの断面に目を通してもよい。
【0106】
1つの実施形態では、ユーザは、脳の様々な部分(八分空間)、例えば、
図14の観察者に最も近く且つ平面A(横断面)、平面B(冠状面)、及び平面C(矢状面)によって境界が定められる部分を取り除いてもよい。ユーザは、組織の8ブロックのうちの任意の1つ又はいくつかを取り除いて、ターゲット組織又はVTA(組織活性化容積)202を視覚化するのがよい。次いで、ユーザは、切断面の任意の1つ、2つ、又は3つ全ての上に投射されたターゲット又はVTA(組織活性化容積)202を視覚化してもよい。ユーザは、各平面における断面を独立してスクロールするように平面を移動させてもよい。例えば、ユーザは、他の断面と独立して平面Aを上下に移動させ、様々な隣接した断面上のターゲット又はVTA(組織活性化容積)202の投影を見てもよい。同様に、ユーザは、他の2つの平面と独立して平面B又は平面Cを移動させ、隣接した断面におけるターゲット又はVTA(組織活性化容積)202を視覚化してもよい。ユーザはまた、3次元構造全体を回転させて、ターゲット又はVTA(組織活性化容積)202を任意の角度から見てもよい。
【0107】
プログラムスクリーン100は、更に、軸線方向リード変位制御要素136のセットと、周方向リード変位制御要素138のセットを含み、軸線方向リード変位制御要素136のセット及び周方向リード変位制御要素138を作動させると、3次元図形表現のリード12’及びアイコン制御要素130と、3次元図形表現のリード12”及びそれと結合された3次元図形表現の解剖学的構造200に対するVTA(組織活性化容積)202の両方を同期させて変位させる。
【0108】
軸線方向リード変位制御要素136のセットを作動させるとき、プロセッサ80は、3次元図形表現のリード12’と、3次元図形表現のリード12”及びそれと結合したVTA(組織活性化容積)202の両方を同期して軸線方向に同じ距離だけ同じ方向に変位させる(すなわち、3次元図形表現のリード12’、12”及びVTA(組織活性化容積)202を3次元図形表現のリードのそれぞれの軸線に沿って同じ直線距離だけ移動させる)ように構成される。特に、軸線方向リード変位制御要素136のセットの上向き矢印制御要素136aをクリックすることにより、3次元図形表現のリード12’と、3次元図形表現のリード12”及びそれと結合したVTA(組織活性化容積)202を解剖学的構造200に対して軸線方向近位側に変位させ、軸線方向リード変位制御要素のセット136の下向き矢印制御要素136bをクリックすることにより、3次元図形表現のリード12’と、3次元図形表現のリード12”及びそれと結合したVTA(組織活性化容積)202を解剖学的構造200に対して軸線方向遠位側に変位させる。
【0109】
周方向リード変位制御要素138のセットを作動させるとき、プロセッサ80は、3次元図形表現のリード12’と、3次元図形表現のリード12”及びそれと結合したVTA(組織活性化容積)202の両方を同期して周方向に同じ距離だけ同じ方向に変位させる(すなわち、3次元図形表現のリード12’、12”、及びVTA(組織活性化容積)202を3次元図形表現のリードのそれぞれの軸線の周りに同じ角度で回転させる)ように構成される。特に、周方向リード変位制御要素138のセットの上向き矢印制御要素138aをクリックすることにより、3次元図形表現のリード12’と、3次元図形表現のリード12”及びそれに結合した関連VTA(組織活性化容積)202を解剖学的構造200に対して周方向に且つ反時計回りに変位させ、周方向リード変位制御要素138のセットの下向き矢印制御要素138bをクリックすることにより、3次元図形表現のリード12’と、3次元図形表現のリード12”及びそれに結合したVTA(組織活性化容積)202を解剖学的構造200に対して周方向に且つ時計回りに変位させる。
【0110】
上述した技術が、CP(臨床医用プログラマー)18内で実行されるように説明したけれども、かかる技術が、変形例として又はそれに加えて、RC(遠隔制御器)16内で実行されてもよいことに注目すべきである。
【0111】
本発明の特定の実施形態を示し且つ説明したけれども、本発明を好ましい実施形態に限定するように考えていないことを理解すべきであり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに、様々な変形例及び変更例を行うことができることは、当業者に明らかである。従って、本発明は、変形例、変更例、及び均等物を包含することを意図し、それらは、特許請求の範囲によって定められる本発明の精神及び範囲に含まれる。