特許第6239690号(P6239690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239690
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】液体受け容器および液体受け方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/00 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   H01F27/00 E
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-102934(P2016-102934)
(22)【出願日】2016年5月24日
(65)【公開番号】特開2017-212265(P2017-212265A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2016年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飛騨 隆道
(72)【発明者】
【氏名】牧戸 俊也
(72)【発明者】
【氏名】川竹 裕顯
【審査官】 池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭48−012291(JP,Y1)
【文献】 実開昭48−024803(JP,U)
【文献】 実公昭37−014966(JP,Y1)
【文献】 実公昭46−024346(JP,Y1)
【文献】 特開2004−189241(JP,A)
【文献】 特開2002−068370(JP,A)
【文献】 実開昭56−059586(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/00−21/08
88/00−90/66
H01F 27/00
27/02−27/04
27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が供給されることにより扁平形状から枠体の形状に変形可能であり、かつ、前記供給された空気を漏出させる漏出孔を備えた枠部と、
前記枠部に空気を供給して前記枠体の形状に変形するとともに、空気を連続的に供給して前記枠体を維持する給気部と、
前記枠部の内側に設けられ、前記枠部の変形に伴い扁平形状から上方に開口した箱体の形状に変形可能な上面シート部と、を備える、
液体受け容器。
【請求項2】
前記枠部は、中空に形成された複数の管体が連結されて一体に構成され、
空気が供給されることにより立設可能な柱枠と、
前記柱枠の下部で当該柱枠と交差する方向に架設された底枠と、
前記柱枠の上部で当該柱枠と交差する方向に架設された上枠と、を備える、
請求項1に記載の液体受け容器。
【請求項3】
前記上枠は、一部に切り欠きを備え、
前記上面シート部は、前記切り欠きに対応する位置に延設されている、
請求項2に記載の液体受け容器。
【請求項4】
前記枠部に連結された第1の送風管と、前記給気部に連結された第2の送風管とをさらに備え、
前記第1の送風管と前記第2の送風管とは、それぞれの先端に設けられた接続部によって互いに着脱可能に接続される、
請求項1から3の何れか1項に記載の液体受け容器。
【請求項5】
前記枠部は、前記上面シート部の底面を傾斜させる傾斜部を備える、
請求項1からの何れか1項に記載の液体受け容器。
【請求項6】
前記上面シート部で受けた液体を回収する液体回収部をさらに備える、
請求項1からの何れか1項に記載の液体受け容器。
【請求項7】
前記枠部に固定され、前記上面シート部を着脱自在に接続するベースシート部をさらに備える、
請求項1からの何れか1項に記載の液体受け容器。
【請求項8】
前記枠部、前記上面シート部、前記ベースシート部の何れかに連結され、前記液体受け容器の設置位置を調整する位置調整ロープを備える、
請求項に記載の液体受け容器。
【請求項9】
空気が供給されることにより扁平形状から枠体の形状に変形可能であり、かつ、前記供給された空気を漏出させる漏出孔を備えた枠部と、
前記枠部に空気を供給して前記枠体の形状に変形するとともに、空気を連続的に供給して前記枠体を維持する給気部と、
前記枠部の内側に設けられ、前記枠部の変形に伴い扁平形状から上方に開口した箱体の形状に変形可能な上面シート部と、を備える液体受け容器を用いた液体受け方法であって、
前記液体受け容器を、前記枠部および前記上面シート部を扁平形状のまま分離対象物の下方に配置する工程と、
前記枠体に空気を供給して前記枠部を前記枠体の形状に変形させ、かつ、前記枠体の形状を維持しつつ前記上面シート部を箱体に変形させる工程と、
前記箱体に変形された前記上面シート部の上で、前記分離対象物の分離によって上方から落下してくる液体を受ける工程と、
前記上面シート部で受けた液体を回収する工程と、
前記枠部に充填された空気を排出し、前記枠部および前記上面シート部を扁平形状に戻す工程と、を有する、
液体受け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体受け容器および液体受け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自然環境や生体に悪影響を及ぼす可能性がある液体が入った装置を分離する際には、装置に入った液体によって土壌が汚染されないように厳重に対処しなければならない。例えば、発電所や工場等に設置された変圧器本体(タンク)内の絶縁油がポリ塩化ビフェニル(PCB:Poly Chlorinated Biphenyl)等の有害物質を含む場合は、変圧器本体に接続されたラジエータ等の外装品を取り外す際に絶縁油が地面等に落下しないように対処する必要がある。
【0003】
外装品は、通常、変圧器本体内の絶縁油が抜き出された後に取り外されるが、外装品と変圧器本体とを接続する導油管に絶縁油が残留していると、外装品を変圧器本体から分離する際に導油管の継ぎ手(フランジ)等から絶縁油が漏れ出る。そのため、従来は、導油管の下方にバケツ等の容器を置き、導油管から漏れ出た絶縁油を当該容器によって受けることにより絶縁油が地面に落下するのを防いでいた。
【0004】
しかし、容器は導油管毎に配置されるため、導油管の数が多いほど、容器の配置および回収を行う労力と時間がかかるという問題がある。また、バケツ等の容器は、導油管から漏れ出す絶縁油の量や範囲によって、絶縁油を確実に受けることができないという問題がある。
【0005】
一方、下記の特許文献1には、複数の棒状体を組み合わせた枠体の堤部にシートを覆った防油堤が開示されている。この防油堤を外装品の下方に設置することにより、防油堤は、上方に配置された全ての導油管から漏れ出た液体をまとめて受けることができる。
【0006】
しかし、上記の防油堤は、防油堤の高さによって設置する場所が制限される。つまり、防油堤の堤部が外装品と地面等との隙間に入らない場合には防油堤を配置できない。また、外装品の下方に設置できるスペースがあったとしても、防油堤を配置する際に堤部の組み立て等を行う必要があり、防油堤の設置や回収を行う労力と時間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−220326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、配置可能な範囲を拡大するとともに短時間で簡易に設置でき、液体を確実に受けることができる、液体受け容器および液体受け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る液体受け容器は、
空気が供給されることにより扁平形状から枠体の形状に変形可能であり、かつ、前記供給された空気を漏出させる漏出孔を備えた枠部と、
前記枠部に空気を供給して前記枠体の形状に変形するとともに、空気を連続的に供給して前記枠体を維持する給気部と、
前記枠部の内側に設けられ、前記枠部の変形に伴い扁平形状から上方に開口した箱体の形状に変形可能な上面シート部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る液体受け容器を示した斜視図である。
図2】枠部に空気が供給されていない状態の液体受け容器を示した斜視図である。
図3図1に示した枠部の構成を説明するための斜視図である。
図4】底面が傾斜された上面シート部を示した模式図である。
図5】導油管が上面シート部に載置されたときの様子を示した模式図である。
図6】(a)は折り畳まれた状態の液体受け容器を示した模式図である。(b)は図6(a)に示した状態から広げられた液体受け容器を示した模式図である。(c)は図6(b)に示した状態からさらに広げられた液体受け容器を示した模式図である。
図7】(a)は枠部に空気が供給されていない状態で配置された液体受け容器を示した模式図である。(b)は、枠部が枠体に変形したときの液体受け容器を示した模式図である。(c)は枠部の空気が排出された後の液体受け容器を示した模式図である。
図8図7(b)に示した液体受け容器を上方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る液体受け容器および液体受け方法を説明する。本実施の形態では、発電所や工場等に設置された大型の変圧器の撤去作業を行う際に液体受け容器を用いる例を説明する。液体受け容器は、ラジエータ等の外装品を変圧器本体から分離する際、変圧器本体と外装品とを接続する導油管等から漏れ出て落下してくる絶縁油を受ける。
【0012】
はじめに、液体受け容器1の構成を概略的に説明する。図1に示すように、液体受け容器1は、枠部11と、上面シート部12と、ベースシート部13と、給気部14と、送風管15,16と、液体回収部17と、位置調整ロープ18とを備える。
【0013】
枠部11は、柔軟性を有する樹脂素材等から形成されている。枠部11は、中空に形成された複数の管体が連結されて一体に構成される。各管体は、他の管体と連結する部分が開口され、枠部11内で連続的な空気の流路が形成されている。
【0014】
枠部11は、空気が充填されることにより扁平形状から枠体の形状に変形可能に設けられている。枠部11に空気が供給されない状態では、枠部11は、図2に示すように扁平形状となっている。枠部11に空気が供給され、枠部11内の流路全体に空気が行き渡ると(充填されると)、枠部11は、図1に示したように枠体に変形する(膨らむ)。
【0015】
また、枠部11は、送風管15に連結されている。枠部11は、送風管15と連結する部分が開口され、送風管15との間で空気の流路が形成されている。枠部11には、給気部14から供給された空気が送風管16,15を介して供給され、これにより、枠部11は、扁平形状から枠体の形状に変形する。
【0016】
また、枠部11は、内部の空気を外部に漏出させる漏出孔が管体の縫い目等に形成されている。つまり、枠部11に空気が供給されなくなると、枠部11は、時間が経過するにつれて萎んでいき、枠体の形状から扁平形状に戻っていく。そのため、枠体の形状を維持するためには、枠部11への空気の供給を連続的に行う必要がある。
【0017】
上面シート部12は、柔軟性を有する樹脂素材等から形成されたシート部材である。上面シート部12は、耐油、耐薬品、耐溶剤等の各種シート部材が適用可能であり、受ける液体の種類等に応じて選択的に用いられる。例えば、絶縁油を受ける場合には、耐油性の樹脂素材から形成されたシート部材が用いられる。
【0018】
上面シート部12は、枠部11の内側で枠部11に沿って設けられている。また、上面シート部12は、枠部11に一体に固定されたベースシート部13に着脱自在に接続され、枠部11の変形に伴い扁平形状から上方に開口した箱体の形状に変形可能に設けられている。例えば、上面シート部12の各側面の上下端部等と、これに対応するベースシート部13の位置にそれぞれファスナやスナップボタン等の留め具(係合部材)を設け、各留め具によって、上面シート部12とベースシート部13とを着脱自在に接続する。また、上面シート部12は、隣接する側面が互いに融着や接着等によって固定され、隣接する側面間で隙間が生じないように形成されている。
【0019】
ベースシート部13は、柔軟性を有する樹脂素材等から形成されたシート部材である。ベースシート部13は、融着や接着等によって枠部11に固定されている。また、ベースシート部13には、上面シート部12に着脱自在に接続される。また、ベースシート部13には、クレーンフック等の吊り具に取り付けられるナイロンスリング等の吊り紐を挿通する紐通し孔が設けられている。液体受け容器1は、枠部11および上面シート部12が扁平形状で折り畳まれた状態でクレーン等の重機によって搬送され、紐通し孔によって液体受け容器1への吊り紐の取り付けを簡単に行うことができ、作業員が行う玉掛けの作業時間を短縮できる。
【0020】
給気部14は、ブロワやファン等の送風装置から構成される。また、給気部14には、送風管16が連結され、給気部14は、送風管15,16を介して枠部11内に空気を供給する。給気部14は、空気の供給を連続的に行うことにより、枠部11を枠体の形状に維持する。
【0021】
送風管15,16は、樹脂素材等から形成された中空の管体(ホース)である。上述したように、送風管15は枠部11に連結され、送風管16は給気部14に連結されている。また、送風管15,16の各先端には、ホースカプラ等の接続部151,161が設けられ、送風管15,16は、接続部151,161によって互いに着脱可能に接続される。
【0022】
液体回収部17は、上面シート部12で受けた液体(絶縁油)を吸引、回収するものであり、吸引ホース171、吸引ポンプ、ドラム缶を備える。後述するように、箱体の形状に変形された上面シート部12の底面には傾斜面が形成され、上面シート部12で受けた液体は底面の高さが低い方に集められる。吸引ホース171は、例えば、枠部11の上枠側部に設けられたベルト等の固定具によって着脱自在に取り付けられ、上面シート部12の底面の低い方に吸引ホース171の先端が配置される。吸引ホース171は、吸引ポンプの駆動によって、液体を吸引し、吸引した液体を他端から排出し(抜油し)、ドラム缶に回収する。
【0023】
位置調整ロープ18は、液体受け容器1の設置位置を調整するためのロープである。例えば、図2に示したように、位置調整ロープ18が枠部11の四隅の柱枠の底部にそれぞれ連結された場合、X方向(正面)に液体受け容器1を移動するときは、作業員は位置調整ロープ18b,18dをX方向に引っ張り、Y方向(右方向)に液体受け容器1を移動するときは、作業員は位置調整ロープ18a,18bをY方向に引っ張る。4本の位置調整ロープ18を選択的に用いることにより、作業員は、液体受け容器1を所望の位置に移動させることができる。なお、位置調整ロープ18は、液体受け容器1の設置位置を調整できればよく、枠部11、上面シート部12、ベースシート部13の何れかに連結されていてもよい。
【0024】
次に、図3を参照して、図1および図2に示した枠部11の構成を説明する。枠部11は、柱枠111と、底枠112と、上枠113とを備える。
【0025】
柱枠111は、空気が供給されるによって立設可能に設けられ、ここでは6本の柱管111a〜111fから構成される。柱管111a〜111dは、図1に示した上面シート部12の側面を支持する。
【0026】
また、X方向(正面)側の柱管111a,111bは、反対側の柱管111c,111d,111e,111fよりも高さが低く形成されている。また、柱管111e,111fの下部には、X方向に向けて内径が小さくなるように形成された傾斜部114a,114bが延設されている。これにより、傾斜部114a,114bは、図4に示すように、上面シート部12の底面を傾斜させ、上面シート部12の底面を支持する。
【0027】
底枠112は、柱枠111の下部で柱枠111と交差する方向に架設され、ここでは4本の底管112a〜112dから構成される。底管112a〜112dは、それぞれ両端が柱枠111の下部に連結されている。
【0028】
また、底管112a〜112dは、傾斜部114a,114bによって傾斜された上面シート部12の底面を支持する。X方向(正面)側の底管112aは、反対側の底管112bよりも内径の大きさが小さく形成されている。また、Y方向(左右)側の底管112c,112dは、X方向に向けて内径の大きさが小さくなるように形成されている。
【0029】
上枠113は、柱枠111の上部で柱枠111と交差する方向に架設され、ここでは3本の上管113a〜113cから構成される。上管113a〜113cは、それぞれ両端が柱枠111の上部に連結されている。なお、上述した漏出孔は、上管113a〜113cに形成されることが好ましい。これにより、例えば、上管113a〜113cの上に重量物が載った場合でも、上管113a〜113cに形成された漏出孔から空気が排出されて、上管113a〜113cが柔軟に変形し、上管113a〜113cの破損、破裂を防ぐことができる。
【0030】
また、上枠113は、一部に切り欠き113dを備える。上面シート部12は、図1図4に示したように、切り欠き113dに対応する位置に延設され、この位置に設けられた上面シート部12は載置部を形成する。載置部には、変圧器本体と外装品とを接続する導油管Pb等が載置される。載置部は、図5に示すように、導油管Pbの形状に応じて柔軟に変形し、導油管Pbに密着した状態で導油管Pbを載置する。
【0031】
以上のように構成された液体受け容器1について、以下、図6から図8を参照して、変圧器の撤去作業における使用例を説明する。
【0032】
液体受け容器1は、クレーン等の重機によって搬送され、撤去作業を行う場所に降ろされる。搬送時、液体受け容器1は、図6(a)に示すように、枠部11および上面シート部12が扁平形状で折り畳まれた状態となっている。作業員は、降ろされた液体受け容器1を、図6(b)および(c)に示すように広げ、位置調整ロープ18を引っ張って液体受け容器1の位置を調整し、図7(a)に示すように、分離対象物である外装品R(ラジエータ等)の下方に液体受け容器1を配置する。
【0033】
作業員は、送風管15の接続部151に送風管16の接続部161を接続し、給気部14の運転をオンにし、給気部14から枠部11への空気の供給を行う。枠部11に空気が供給されると、枠部11は、図7(b)に示すように、扁平形状から枠体の形状に変形する。また、枠部11の変形に伴い、上面シート部12は箱体の形状に変形する。なお、枠部11の形状を維持するために、枠部11への空気の供給は、分離作業が終了するまで連続的に行われる。また、作業員は、図1に示したように、吸引ホース171を枠部11の上枠側部に取り付け、その先端を上面シート部12の底面の高さが低い方に配置する。
【0034】
また、図8に示すように、液体受け容器1を上方から見て、外装品Rおよび導油管Pb,Ptの継ぎ手(フランジ)部分が上面シート部12の内側に収まるように配置される。また、液体受け容器1の先端(切り欠き113dに対応する位置)に延設された上面シート部12は、変圧器本体Tの壁面に当接され、変圧器本体Tとの間に隙間が生じないように配置される。さらに、導油管Pbは、図5に示したように、上面シート部12に形成された載置部と密着した状態で載置される。
【0035】
その後、作業員は、外装品Rを変圧器本体Tから分離する作業を行う。外装品Rや導油管Pb,Pt等に絶縁油が残留していると、外装品Rを変圧器本体Tから分離する際に導油管Pb,Ptの継ぎ手等から絶縁油が漏れ出る。外装品Rや導油管Pb,Ptの継ぎ手の下方に配置された上面シート部12は、上方から落下してくる絶縁油を受け、絶縁油は、上面シート部12の底面の高さが低い方に絶縁油を集められる。
【0036】
外装品Rを分離する作業が終了した後、上面シート部12で受けた絶縁油は、液体回収部17によって吸引、回収される。吸引ホース171は、上面シート部12の底面の高さが低い方に集められた絶縁油を吸引ポンプの駆動によって吸引し、吸引した絶縁油をドラム缶に回収する。なお、一部の作業員が上面シート部12の上で分離作業を行う場合には、当該作業と並行して絶縁油の回収を行ってもよい。
【0037】
外装品Rの分離作業および絶縁油の回収が終わった後は、作業員は、吸引ホース171を枠部11から取り外す。また、作業員は、給気部14の運転をオフにし、接続部161から接続部151を取り外し、枠部11内の空気を排出する。これにより、図7(c)に示すように、枠部11および上面シート部12は扁平形状となり、液体受け容器1は、枠部11に空気が供給される前の状態に戻る。
【0038】
その後、作業員は、扁平形状となった枠部11および上面シート部12を折り畳み、ベースシート部13に設けられた紐通し孔に吊り紐を挿通する。吊り紐が取り付けられた液体受け容器1は、クレーン等の重機によって吊り上げられ、所定の搬送先(車両等)に搬送される。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態に係る液体受け容器1によれば、分離対象物(外装品)と地面等との隙間が狭くても配置でき、配置可能な範囲を拡大することができる。また、液体受け容器1は、枠部11に空気を供給することにより、枠部11を枠体の形状にし、上面シート部12を上方が開口した箱体の形状にすることができ、短時間で簡単に設置でき、液体を確実に受けることができる。
【0040】
なお、上記実施の形態では、上面シート部12が、上枠113の切り欠き113dに対応する位置に延設され、この位置で載置される導油管等の載置物を安定した状態で載置することができる。なお、液体受け容器1は切り欠き113dを備えなくてもよく、この位置に、柱管111a,111bの上部で柱管111a,111bと交差する方向に上枠113が架設されてもよい。
【0041】
なお、上面シート部12は、ベースシート部13を介して枠部11に固定される例を説明したが、直接、枠部11に着脱可能に設けられてもよい。また、上面シート部12は、融着や接着等によって枠部11に一体に固定されてもよい。なお、これらの場合、ベースシート部13は省略されてもよい。
【0042】
また、液体受け容器1は、1台の給気部14から供給される空気によって、枠部11を扁平形状から枠体の形状に変形でき、液体受け容器1を簡単に設置できる。また、接続部151,161によって、枠部11に連結された送風管15と給気部14に連結された送風管16とが着脱可能に接続されるので、給気部14から枠部11への空気の供給も簡単に行うことができる。なお、枠部11には複数の送風管15が連結されてもよく、各送風管15を通じて複数の箇所から空気が供給されるようにしてもよい。これにより、液体受け容器1の設置場所に応じて、給気部14の配置に柔軟に対応できる。また、この場合、複数の給気部14によって、枠部11への空気の供給を同時に行ってもよい。これにより、より短時間に枠部11を枠体の形状に変形することができる。
【0043】
また、枠部11には漏出孔が設けられ、給気部14からの連続的な空気の供給によって、枠体の形状を維持することができる。これにより、枠部11の上に重量物が載った場合でも、漏出孔から空気が排出されて、枠部11は柔軟に変形し、枠部11の破損、破裂を防ぐことができる。
【0044】
また、液体受け容器1は、傾斜部114a,114bによって上面シート部12の底面を傾斜させることができ、当該底面の低い方に上面シート部12で受けた液体を集めることができる。なお、傾斜部114a,114bは、上面シート部12の底面を傾斜させるものであればよく、その形状や、配置位置は、適宜変更してもよい。なお、液体受け容器1は傾斜部114a,114bを備えなくてもよい。
【0045】
その他、枠部11の形状および大きさは、適宜変更でき、これに応じて上面シート部12の形状および大きさも、適宜変更できる。例えば、液体受け容器1は、上方に開口した四角柱に形成されているが、これを四角柱以外の角柱や円柱に形成されてもよい。なお、液体受け容器1は、変圧器の撤去作業以外の作業に使用されてもよい。また、液体受け容器1において受ける液体は、絶縁油以外の液体でもよく、上面シート部12は、受ける液体の種類等に応じて、適宜、選択的に設けられる。
【0046】
以上、いくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
1:液体受け容器
11:枠部
111:柱枠
111a〜111f:柱管
112:底枠
112a〜112d:底管
113:上枠
113a〜113c:上管
113d:切り欠き
114a,114b:傾斜部
12:上面シート部
13:ベースシート部
14:給気部
15,16:送風管
151,161:接続部
17:液体回収部
171:吸引ホース
18:位置調整ロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8