(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、一つの実施の形態について、
図1から
図10を参照して説明する。なお、複数の表現が可能な各要素に、一つ以上の他の表現の例を付すことがある。しかし、これは、他の表現が付されていない要素について異なる表現がされることを否定するものではないし、例示されていない他の表現がされることを制限するものでもない。また、各図面は実施形態を概略的に示すものであり、図面に示される各要素の寸法は、実施形態の説明と異なることがある。
【0009】
図1は、一つの実施の形態に係るインクジェットプリンタ1を示す断面図である。インクジェットプリンタ1は、インクジェット記録装置の一例である。なお、インクジェット記録装置はこれに限らず、複写機のような他の装置であっても良い。
【0010】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、例えば、記録媒体である記録紙Pを搬送しながら画像形成等の各種処理を行う。インクジェットプリンタ1は、筐体10と、給紙カセット11と、排紙トレイ12と、保持ローラ(ドラム)13と、搬送装置14と、保持装置15と、画像形成装置16と、除電剥離装置17と、反転装置18と、クリーニング装置19とを備える。
【0011】
給紙カセット11は、複数の記録紙Pを収容して、筐体10内に配置される。排紙トレイ12は、筐体10の上部にある。インクジェットプリンタ1によって画像形成がされた記録紙Pは、排紙トレイ12に排出される。
【0012】
搬送装置14は、記録紙Pが搬送される経路に沿って配置された複数のガイドおよび複数の搬送ローラを有する。当該搬送ローラは、モータに駆動されて回転することで、記録紙Pを給紙カセット11から排紙トレイ12まで搬送する。
【0013】
保持ローラ13は、導体によって形成された円筒状のフレームと、当該フレームの表面に形成された薄い絶縁層とを有する。前記フレームは接地(グランド接続)される。保持ローラ13は、その表面上に記録紙Pを保持した状態で回転することにより、記録紙Pを搬送する。
【0014】
保持装置15は、搬送装置14によって給紙カセット11から搬出された記録紙Pを、保持ローラ13の表面(外周面)に吸着させて保持させる。保持装置15は、記録紙Pを保持ローラ13に対して押圧した後、帯電による静電気力で記録紙Pを保持ローラ13に吸着させる。
【0015】
画像形成装置16は、保持装置15によって保持ローラ13の外面に保持された記録紙Pに、画像を形成する。画像形成装置16は、保持ローラ13の表面に面する複数のインクジェットヘッド21を有する。複数のインクジェットヘッド21は、例えば移動可能なキャリッジに取り付けられ、記録紙Pに対して移動する。複数のインクジェットヘッド21は、例えば、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの四色のインクを、それぞれ記録紙Pに吐出することで、画像を形成する。
【0016】
除電剥離装置17は、画像が形成された記録紙Pを、除電することで、保持ローラ13から剥離する。除電剥離装置17は、電荷を供給して記録紙Pを除電し、記録紙Pと保持ローラ13との間に爪を挿入する。これにより、記録紙Pは保持ローラ13から剥離される。保持ローラ13から剥離された記録紙Pは、搬送装置14によって、排紙トレイ12または反転装置18に搬送される。
【0017】
クリーニング装置19は、保持ローラ13を洗浄する。クリーニング装置19は、保持ローラ13の回転方向において除電剥離装置17よりも下流にある。クリーニング装置19は、回転する保持ローラ13の表面にクリーニング部材19aを当接させ、回転する保持ローラ13の表面を洗浄する。
【0018】
反転装置18は、保持ローラ13から剥離された記録紙Pの表裏面を反転させ、当該記録紙Pを再び保持ローラ13の表面上に供給する。反転装置18は、例えば記録紙Pを前後方向逆にスイッチバックさせる所定の反転経路に沿って記録紙Pを搬送することにより、記録紙Pを反転させる。
【0019】
図2は、一つのインクジェットヘッド21を示す斜視図である。
図3は、インクジェットヘッド21を示す正面図である。
図4は、インクジェットヘッド21を示す背面図である。
図5は、インクジェットヘッド21を示す側面図である。
図6は、インクジェットヘッド21を
図5の反対側から示す側面図である。
【0020】
図2ないし
図6に示すように、インクジェットヘッド21は、インクを吐出するヘッド部23と、ヘッド部23との間でインクを循環するインク循環装置24とを有する。インクジェットヘッド21は、ヘッド部23とインク循環装置24とが一体型に形成されたものである。すなわち、インクジェットヘッド21が前記キャリッジによって移動させられる場合、ヘッド部23とインク循環装置24とは一体となって移動する。なお、ヘッド部23とインク循環装置24とを別個の装置とみなしたとき、ヘッド部23は、単独でインクジェットヘッドと称され得る。
【0021】
図7は、ヘッド部23の一部を示す平面図である。
図8は、
図7のF8−F8線に沿ってヘッド部23の一部を示す断面図である。
図9は、
図8のF9−F9線に沿ってヘッド部23の一部を示す断面図である。
【0022】
図8に示すように、ヘッド部23は、いわゆるサイドシュータ型のシェアモード型インクジェットヘッドである。ヘッド部23は、ベース基板30と、一対の圧電部材31と、ノズルプレート32と、フレーム33と、一対の駆動部34と、マニホールド36とを有する。なお、
図7はノズルプレート32を一部切り欠いて示す。
【0023】
図2に示すように、ヘッド部23は、ケーシング37をさらに有する。ベース基板30、圧電部材31、ノズルプレート32、フレーム33、駆動部34、およびマニホールド36は、ケーシング37に収容される。ケーシング37は、ノズルプレート32を露出させる。ケーシング37は、例えばネジによって前記キャリッジに固定される。
【0024】
図8に示すように、ヘッド部23の内部に、インク室38が形成される。インク室38は、ベース基板30と、ノズルプレート32と、フレーム33とに囲まれる。インク室38は、インクを収容する。
【0025】
ベース基板30は、例えばアルミナのようなセラミックスによって形成された板材である。ベース基板30は、実装面41と、複数の供給孔45と、複数の排出孔46とを有する。供給孔45および排出孔46は、ベース基板30を貫通し、実装面41に開口する。
【0026】
図7に示すように、複数の供給孔45は、ベース基板30の中央部において、ベース基板30の長手方向に沿って並ぶ。供給孔45は、インク室38に開口する。インクは、供給孔45からインク室38に供給される。
【0027】
複数の排出孔46は、一列に並んだ供給孔45を挟むように、ベース基板30の長手方向に沿って二列に並ぶ。排出孔46は、インク室38に開口する。インク室38のインクは、排出孔46から排出される。
【0028】
一対の圧電部材31は、例えば、貼り合わされたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)製の二枚の圧電板である。当該二枚の圧電板の分極方向は、互いに反対方向を向く。圧電部材31は、例えば、台形状の断面を有する棒状に形成される。一対の圧電部材31は、インク室38の中で平行に並ぶように実装面41に接着される。圧電部材31は、供給孔45の列と、排出孔46の列との間に位置する。
【0029】
圧電部材31は、複数の溝(圧力室、インク流路)51を有する。溝51は、ベース基板30の長手方向と交差する方向にそれぞれ延びる。複数の溝51は、ベース基板30の長手方向に並ぶ。供給孔45からインク室38に供給されたインクは、複数の溝51に供給される。当該インクは溝51を通過して、排出孔46から排出される。
【0030】
図9に示すように、複数の溝51の内面は、電極53によってそれぞれ覆われる。複数の溝51の間にそれぞれ形成された圧電部材31の壁状の部分部は、隣り合う溝51にそれぞれ形成された電極53によって挟まれる。これにより、圧電部材31の当該壁状の部分部が、圧電素子として機能する。
【0031】
図7に示すように、ベース基板30の実装面41に、複数の配線パターン55が設けられる。配線パターン55は、例えば無電解メッキによって形成されたニッケル(Ni)および金(Au)の薄膜である。
【0032】
配線パターン55の一方の端部は、それぞれ圧電部材31の溝51に形成された電極53に接続される。配線パターン55の他方の端部は、ベース基板30の実装面41の側端部に位置する。
【0033】
駆動部34は、実装面41の側端部において配線パターン55に電気的に接続される。
駆動部34は、例えば、フィルムキャリアパッケージ(以下、FCPと称する)を有する。当該FCPは、柔軟性を有するフィルムと、当該フィルムに接続されたICとを有する。前記ICは、圧電部材31の電極53に駆動信号(電圧)を印加する部品である。前記フィルムは、配線パターン55に接続される。
【0034】
駆動部34は、例えばインクジェットプリンタ1の制御部から入力される信号に基いて、配線パターン55を介して電極53に電圧を印加する。これにより、圧電部材31が溝51の容積を変化させるようにシェアモード変形する。当該容積変化によって、溝51に供給されたインクが加圧される。
【0035】
ノズルプレート32は、例えばポリイミド製のフィルムである。ノズルプレート32は、フレーム33を介してベース基板30に取り付けられ、ベース基板30と対向する。さらに、ノズルプレート32は、圧電部材31の頂面にも接着される。
【0036】
ノズルプレート32に、複数のノズル(オリフィス、インク吐出口)61が設けられる。ノズル61は、ノズルプレート32に形成された孔である。複数のノズル61は、複数の溝51にそれぞれ開口する。溝51で加圧されたインクは、対応するノズル61から吐出される。ノズル61は、ケーシング37によって露出される。
【0037】
インクジェットヘッド21は、ノズル61が下方を向くように配置される。ノズル61の向きは鉛直下方に限らず、例えば
図1に示すように傾斜しても良い。なお、以下の記載は、説明の便宜のため、ノズル61が鉛直下方を向いているものとして説明する。
【0038】
フレーム33は、枠状に形成される。フレーム33は、例えばニッケル合金によって形成される。
図8に示すように、フレーム33は、ノズルプレート32とベース基板30との間に介在する。
【0039】
マニホールド36は、インク供給流路64と、インク排出流路65とを有する。インク供給流路64の一方の端部は、複数の供給孔45に接続される。インク排出流路65の一方の端部は、複数の排出孔46に接続される。インク排出流路65は、二つの列に含まれる複数の排出孔46に接続されるため、途中で分岐する。
【0040】
図10は、インク循環装置24を拡大してインクジェットヘッド21の一部を示す正面図である。
図10に示すように、インク供給流路64の他方の端部64aと、インク排出流路65の他方の端部65aとは、ケーシング37の上端37aから突出する。インク供給流路64の端部64aは、インク供給口の一例である。インク排出流路65の端部65aは、インク排出口の一例である。インク供給流路64の端部64aと、インク排出流路65の端部65aとは、例えば、略鉛直方向に延びるパイプである。
【0041】
インク供給流路64の端部64aは、ヘッド部23の幅方向(
図10における水平方向)において、略中央に位置する。インク供給流路64の端部64aは、インク供給流路64、供給孔45、インク室38、および溝51を介して、ノズル61に通じる。
【0042】
インク排出流路65の端部65aは、ヘッド部23の幅方向において、ヘッド部23の側端部とインク供給流路64の端部64aとの間に位置する。インク排出流路65の端部65aは、インク排出流路65、排出孔46、インク室38、および溝51を介して、ノズル61に通じる。
【0043】
図3および
図4に示すように、インク循環装置24は、インクタンク71と、ポンプ72と、接続チューブ73と、調整ポンプ74と、大気開放バルブ75と、インク供給パイプ76とを備える。
【0044】
インクタンク71は、例えばネジによってケーシング37の上端37aに固定される。
言い換えると、インクタンク71は、ヘッド部23の上方に位置する。例えばヘッド部23が移動する場合、インクタンク71はヘッド部23と一体的に移動する。
【0045】
インクタンク71は、インクを収容する収容室81を有する。インクタンク71および収容室81は、ポンプ72の外周に沿って、略C字状に形成される。言い換えると、インクタンク71および収容室81は、ポンプ72の側部に沿って略鉛直方向に延びる部分と、ポンプ72の上部に沿って略水平方向に延びる部分と、ポンプ72の下部に沿って略水平方向に延びる部分と、を有する。
【0046】
図10に示すように、収容室81の第1の端部(下方の端部)81aに、インク供給流路64の端部64aが接続される。このため、収容室81のインクが、インク供給流路64の端部64aから、ヘッド部23に供給される。
【0047】
ポンプ72は、例えば逆止弁を有する圧電ポンプである。ポンプ72は、円弧状の外周を有する略円板形状に形成される。ポンプ72は、入口84と、出口85とを有する。入口84および出口85は、ポンプ72の外周面からそれぞれ反対方向に突出する管である。なお、入口84および出口85の突出方向はこれに限らない。例えば、出口85は、入口84が突出する方向に対して90°傾いた方向に突出しても良い。
【0048】
ポンプ72は、例えば、入口84および出口85が45度傾斜する状態でインクタンク71に固定される。なお、入口84および出口85の角度はこれに限らない。入口84は斜め下方に突出し、出口85は斜め上方に突出する。出口85は、入口84よりも上方に位置する。例えば前記キャリッジによってヘッド部23が移動させられると、ポンプ72は、ヘッド部23およびインクタンク71と一体的に移動する。
【0049】
入口84は、接続チューブ73を介して、インク排出流路65の端部65aに接続される。接続チューブ73は、例えば可撓性を有する樹脂製の管である。ヘッド部23のインクは、インク排出流路65の端部65aから、入口84へ吸い込まれる。
【0050】
出口85は、端部管87と、可撓性を有する方向調整チューブ88とを有する。端部管87は、ポンプ72から突出し、インクタンク71に接続される。例えば、端部管87は、インクタンク71に設けられた孔に挿入される。
【0051】
端部管87は、収容室82の第2の端部(上方の端部)81bに接続される。方向調整チューブ88の一方の端部は、収容室82において、端部管87に接続される。方向調整チューブ88が曲げられることで、方向調整チューブ88の他方の端部は下方に向く。なお、方向調整チューブ88の他方の端部の向きはこれに限らない。
【0052】
調整ポンプ74は、例えばチューブポンプである。調整ポンプ74は、第1の空気管91によって、収容室81の第2の端部81bに接続される。第1の空気管91は、方向調整チューブ88よりも上方で、収容室81に開口する。
【0053】
図3に示すように、調整ポンプ74は、第2の空気管92によって、液受けタンク94に接続される。液受けタンク94は、大気開放されている。液受けタンク94は、調整ポンプ74を通って収容室81からインクが漏れ出た場合、当該インクを収容する。
【0054】
調整ポンプ74は、収容室81に空気を送り、または、収容室81から空気を排出する。これにより調整ポンプ74は、収容室81とヘッド部23のノズル61との圧力を、適切な負の圧力にする。ノズル61が負の圧力にされることで、ノズル61からインクが漏れ出すことが抑制される。調整ポンプ74は、停止している間、空気の流れを遮断する。
【0055】
図4に示すように、大気開放バルブ75は、第3の空気管96によって、収容室81の第2の端部81bに接続される。第3の空気管96は、方向調整チューブ88よりも上方で、収容室81に開口する。
【0056】
大気開放バルブ75は、通常閉じた状態にある。大気開放バルブ75は、例えばインクジェットプリンタ1の前記制御部によって制御された場合に、開いた状態になり、収容室81を大気開放する。
【0057】
図3に示すように、インク供給パイプ76は、収容室81の第2の端部81bに接続される。インク供給パイプ76は、方向調整チューブ88よりも上方、且つ、第1の空気管91よりも下方で、収容室81に開口する。
【0058】
インク供給パイプ76は、インク供給タンク98に接続される。インク供給タンク98は、収容室81に収容されるインクと同じ種類のインクを収容する。インク供給タンク98は、圧力制御によって正の圧力にされる。
【0059】
インク供給パイプ76に、インク供給バルブ99が設けられる。インク供給バルブ99は、通常閉じた状態にある。インク供給バルブ99は、例えばインクジェットプリンタ1の前記制御部によって制御された場合に、開いた状態になる。インク供給バルブ99が開くと、正の圧力であるインク供給タンク98のインクが、負の圧力である収容室81に流入する。
【0060】
インクタンク71について詳しく説明する。
図10に示すように、インクタンク71の上端部に、気圧センサ101がある。気圧センサ101は、ラビリンス102を介して、収容室81の第2の端部81bに接続される。
【0061】
ラビリンス102は、気体の通行が自由で、且つ液体の通行を阻む微細な流路である。
ラビリンス102は、収容室81のインクが気圧センサ101に到達することを抑制する。ラビリンス102が気体を通すことで、気圧センサ101は収容室81の気圧を計測する。
【0062】
収容室81に、上方マーカ104と、下方マーカ105とが設けられる。上方マーカ104および下方マーカ105は、収容室81の側壁から突出する突起である。上方マーカ104は、下方マーカ105よりも上方に位置する。上方マーカ104および下方マーカ105は、収容室81における第1の空気管91の開口部よりも下方に位置する。
【0063】
収容室81に収容されたインクは、
図10に一点鎖線で示される液面Sを形成する。液面Sは、上方マーカ104と下方マーカ105との間に位置するように制御される。例えば、ヘッド部23がインクを吐出することにより収容室81のインクが減少し、液面Sが下方マーカ105よりも下がることがある。この場合、例えば収容室81内のフロートセンサによってインクジェットプリンタ1の前記制御部がインクの減少を検知する。当該制御部は、インク供給バルブ99を開くことで、インク供給タンク98のインクを収容室81に供給させる。これにより、収容室81のインクが増加し、液面Sが上方マーカ104と下方マーカ105との間に戻る。
【0064】
収容室81は、第1の部分111と、第2の部分112とを有する。第1の部分111と、第2の部分112とは、収容室81の一部である。第1の部分111と第2の部分112とは、直接的に連続しても良いし、他の部分を介して通じても良い。
【0065】
第1の部分111は、ヘッド部23と、ポンプ72との間にある。第1の部分111は、ポンプ72の下部に沿って略水平方向に延びる部分である。第1の部分111は、収容室81の第1の端部81aを含む。このため、第1の部分111に、インク供給流路64の端部64aが通じる。
【0066】
第2の部分112は、第1の部分111よりも上方に位置する。なお、第2の部分112の全ての部分が第1の部分111よりも上方に位置しなくても良い。第2の部分112の最も上方に位置する部分は、第1の部分111の最も上方に位置する部分よりも上方に位置する。
【0067】
第2の部分112は、ポンプ72の側部に沿って略鉛直方向に延びる部分、および、ポンプ72の上部に沿って略水平方向に延びる部分である。第2の部分112は、収容室81の第2の端部81bを含む。このため、第2の部分112に、ポンプ72の出口85が開口する。
【0068】
上方マーカ104および下方マーカ105は、第2の部分112に位置する。このため、収容室81のインクの液面Sは、第2の部分112に形成される。第2の部分112において、液面Sの上方に空気層Aが形成される。
【0069】
インクの液面Sは、出口85の方向調整チューブ88の端部よりも上方に形成される。
言い換えると、出口85は、液面Sより下方のインク中に開口する。出口85がインク中に開口すれば、例えば方向調整チューブ88の一部が液面Sから出ていても良い。
【0070】
インクタンク71は、底壁114と、曲壁115とを有する。底壁114は、第1の壁部の一例である。曲壁115は、第2の壁部の一例である。底壁114と曲壁115とは、第1の部分111の一部を規定する。
【0071】
底壁114は、ケーシング37の上端37aに隣接する。底壁114の一方の端部に挿通孔が形成される。当該挿通孔にインク供給流路64の端部64aが挿入される。これにより、底壁114にインク供給流路64の端部64aが開口する。底壁114は、上記一方の端部から、他方の端部に向かって上方に傾斜する。言い換えると、底壁114の一方の端部は、他方の端部よりも下方に位置する。
【0072】
曲壁115は、ポンプ72に隣接する。曲壁115は、底壁114よりも上方に位置し、底壁114に面する。曲壁115は、一方の端部から他方の端部に向かうに従って底壁114から離れる。例えば、曲壁115は二次曲線状に湾曲する。曲壁115の一方の端部は、他方の端部よりも下方に位置する。曲壁115の当該一方の端部は、水平面ではなく、傾斜する。
【0073】
上記のような第1の部分111の幅W1は、インク供給流路64の端部64aが位置する一方の端部から、第2の部分112に通じる他方の端部に向かうに従って広がる。幅W1は、底壁114のある一点から、当該一点と最も近い曲壁115の一点との間の距離である。
【0074】
収容室81の奥行は、第1の端部81aから第2の端部81bに亘って一定である。このため、第1の部分111の断面積は、前記一方の端部から前記他方の端部に向かうに従って広がる。
【0075】
第2の部分112の幅W2は、位置によって異なるが、第1の部分111の幅W1よりも広い。すなわち、最も小さい第2の部分112の幅W2は、最も大きい第1の部分111の幅W1よりも広い。言い換えると、第2の部分112は、第1の部分111よりも断面積が大きい。また、第2の部分112は、インク供給流路64の端部64aよりも断面積が大きい。
【0076】
上述のように、出口85の方向調整チューブ88の端部は下方に向く。言い換えると、出口85は、インクの液面Sに向かず、インクの液面Sを避ける方向に向く。出口85の向きは下方に限らず、例えば、水平方向に向いても良い。また、出口85は、インクの液面Sを避けて、例えば収容室81の側壁に向くならば、斜め上方に向いても良い。
【0077】
以下に、インクジェットヘッド21の動作の一例について説明する。ポンプ72が作動することで、ヘッド部23のインク室38のインクが、排出孔46から流出する。当該インクはインク排出流路65の端部65aから排出され、ポンプ72に流入する。
【0078】
ポンプ72は、当該インクを収容室81に供給する。言い換えると、インクは、出口85から収容室81の第2の部分112に流入する。流体の流速は、流路の断面積が大きいほど下がる。第2の部分112の断面積は、出口85の断面積よりも大きい。このため、第2の部分112に流入したインクの流速は低下する。
【0079】
収容室81に供給されたインクに気泡が含まれる場合、当該気泡の少なくとも一部は第2の部分112で上昇し、空気層Aの空気と合体する。言い換えると、インクと気泡とが分離される。第2の部分112でインクの流速が下がるため、気泡はインクに流されずに浮き上がり易い。
【0080】
インクとともに第1の部分111まで流れた気泡も、空気層Aまで浮き上がり得る。第1の部分111の一部を規定する曲壁115は、水平面を有さずに傾斜する。このため、当該気泡は、曲壁115に沿って上昇することができる。
【0081】
インクは、第1の部分111に開口するインク供給流路64の端部64aから、インク供給流路64に流入する。当該インクは、ヘッド部23の供給孔45から、インク室38に供給される。
【0082】
インク室38に供給されたインクは、圧電部材31の複数の溝51に供給される。駆動部34が電極53に駆動信号を印加すると、当該インクの一部は、圧電部材31によってノズル61から吐出される。吐出されなかったインクは、溝51を通過し、排出孔46から排出される。排出されたインクは、再度ポンプ72に吸い込まれる。インクは、このようにヘッド部23とインク循環装置24との間で循環する。当該循環の過程で、インクに含まれる気泡はインクから分離し、収容室81の空気層Aに取り込まれる。
【0083】
上述のように、収容室81のインクが減少し、インクの液面Sが下方マーカ105より下がると、インク供給タンク98からインクが収容室81に供給される。収容室81の圧力が所定の負圧から変動したことを気圧センサ101が検知すると、調整ポンプ74は、収容室81の圧力を所定の負圧になるよう調整する。
【0084】
上記の実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、ポンプ72の出口85は、収容室81に形成されるインクの液面Sを避ける方向に向く。これにより、出口85から出たインクが液面Sを揺らすことが抑制される。出口85から出たインクが液面Sを揺らすと、インクに空気が巻き込まれ、インク中に気泡が発生する可能性がある。そのような気泡の発生が抑制されることで、気泡によるインクジェットヘッド21の吐出性能の低下を抑制できる。
【0085】
ポンプ72の出口85は、収容室81において第1の部分111よりも断面積が大きい第2の部分112に開口する。すなわち、出口85から供給されるインクは、収容室81中の断面積が広い部分に流入する。このため、インクの流速を大きく低下させることができ、インク中の気泡がインクの流れに逆らって浮き上がり易くなる。言い換えると、インク中に含まれる気泡がインクの流れとともにインク供給流路64の端部64aに流れ込むことが抑制される。したがって、気泡によるインクジェットヘッド21の吐出性能の低下を抑制できる。
【0086】
断面積が小さい第1の部分111が、ヘッド部23とポンプ72との間に配置される。
一方、第2の部分112がポンプ72の外周に沿って形成される。すなわち、収容室81は、ポンプ72の下方から側方に回り込むような形状に形成される。これにより、小さなスペースの中で、収容室81は、気泡が浮き上がることができる十分な長さを確保できる。したがって、気泡によるインクジェットヘッド21の吐出性能の低下を抑制できる。さらに、収容室81に当該十分な長さを持たせることで生じるスペースにポンプ72を配置することができ、インク循環装置24を小型化できる。
【0087】
さらに、インクタンク71の曲壁115は、一方の端部から他方の端部に向かうに従って底壁114から離れる。ポンプ72の出口85から出たインクに含まれる気泡が第1の部分111まで達したとしても、当該気泡は、曲壁115を伝って浮き上がり、収容室81の上方の空気層Aと合体できる。したがって、気泡がインク供給流路64の端部64aからヘッド部23に侵入することを抑制でき、気泡によるインクジェットヘッド21の吐出性能の低下を抑制できる。
【0088】
以上述べた少なくとも一つのインクジェットヘッドによれば、ポンプの出口が、収容室に形成されるインクの液面を避ける方向に向く。これにより、前記出口から出たインクが前記インクの液面を揺らすことが抑制され、インクジェットヘッドの気泡による吐出性能の低下を抑制できる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0090】
例えば、上記実施形態において、ポンプ72は、入口84および出口85が斜めになるように配置されたが、これに限らない。ポンプ72は、入口84および出口85が水平方向に向くように配置されても良い。この場合、入口84と出口85とが同じ高さになり、出口85はインクを例えば収容室81の側壁に向かって吐出する。
【0091】
また、インク循環装置24はヘッド部23の上方に限らず、ヘッド部23の側方に配置されても良い。この場合、インク供給流路64の端部64aは、例えばチューブによって収容室81に接続される。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]インクを吐出するノズルと、前記ノズルに通じるとともにインクが供給されるインク供給口と、前記ノズルに通じるとともにインクが排出されるインク排出口と、を有するヘッド部と、前記ヘッド部に固定され、インクを収容するとともに前記インク供給口に通じる収容室を有するインクタンクと、前記インクタンクに固定され、前記ヘッド部の前記インク排出口に接続された入口と、前記インクタンクに接続されるとともに前記収容室に形成されるインクの液面を避ける方向に向く出口と、を有し、前記インク排出口から排出されたインクを前記収容室に供給するポンプと、を具備することを特徴とするインクジェットヘッド。
[2]前記収容室は、前記インク供給口に通じる第1の部分と、前記第1の部分よりも断面積が大きい第2の部分と、を有し、前記ポンプの前記出口は、前記第2の部分に開口する、ことを特徴とする[1]に記載のインクジェットヘッド。
[3]前記インクタンクは、前記ヘッド部の上方にあり、前記収容室は、前記ポンプの外周に沿って形成され、前記収容室の前記第1の部分は、前記ヘッド部と前記ポンプとの間にあり、前記インクタンクは、前記ヘッド部に隣接して前記第1の部分の一部を規定するとともに前記インク供給口が開口する第1の壁部と、前記ポンプに隣接して前記第1の部分の一部を規定するとともに、一方の端部から他方の端部に向かうに従って前記第1の壁部から離れる第2の壁部と、を有する、ことを特徴とする[2]に記載のインクジェットヘッド。
[4]記録媒体を搬送する搬送装置と、当該記録媒体にインクを吐出する[1]ないし[3]のいずれか一つに記載のインクジェットヘッドと、を具備することを特徴とするインクジェット記録装置。
[5]インクを吐出するノズルと、前記ノズルに通じるとともにインクが供給されるインク供給口と、前記ノズルに通じるとともにインクが排出されるインク排出口と、を有するインクジェットヘッドに取り付けられるインク循環装置であって、インクを収容する収容室を有し、前記インクジェットヘッドに固定されることで前記収容室に前記インク供給口が通じるインクタンクと、前記インクタンクに固定されるとともに、前記インクジェットヘッドの前記インク排出口に接続される入口と、前記インクタンクに接続されるとともに前記収容室に形成されるインクの液面を避ける方向に向く出口と、を有し、前記インク排出口から排出されるインクを前記収容室に供給するポンプと、を具備することを特徴とするインク循環装置。