特許第6239737号(P6239737)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239737
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】カメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20171120BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20171120BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   H04N5/225 430
   H04N5/225 100
   G02B7/02 D
   G03B17/02
   G02B7/02 F
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-513700(P2016-513700)
(86)(22)【出願日】2015年3月27日
(86)【国際出願番号】JP2015059745
(87)【国際公開番号】WO2015159689
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2016年10月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-86797(P2014-86797)
(32)【優先日】2014年4月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小原 良和
【審査官】 鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−192207(JP,A)
【文献】 特開2005−322809(JP,A)
【文献】 特開2008−300698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
G02B 7/02
G03B 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線基板と、該配線基板に搭載された撮像素子と、該撮像素子を覆うカバー体と、該撮像素子の上方に形成されたカバー体の開口と重なるようにカバー体に接着された透明板と、該透明板の上方に設けられた撮像レンズとを含み、上記配線基板、カバー体、および透明板により内部空間が形成されたカメラモジュールにおいて、
上記カバー体の透明板との接着面には、上記内部空間から該内部空間の外部に至る通気溝と、該通気溝から枝分かれするように形成された凹部とが形成され
上記通気溝は屈曲部を有し、上記凹部は、上記通気溝の外部側の端から屈曲部に至る直線状の経路を延長するように、該屈曲部に連通していることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
上記凹部の深さは、通気溝の深さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
上記通気溝は、凹部との連通部分がそれ以外の部分よりも深くなっており、上記凹部の深さは、上記通気溝の凹部との連通部分の深さと同じであることを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
上記通気溝は、凹部との連通部分がそれ以外の部分よりも深くなっており、上記凹部の深さは、上記通気溝の凹部との連通部分の深さよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
上記凹部の通気溝との連通部分の幅と上記凹部の奥行との少なくとも一方が、通気溝の上記凹部との連通部分の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
上記凹部は、通気溝との連通部分である入口側の幅よりも、奥側の幅が広くなっていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ付き携帯電話、デジタルカメラ又はセキュリティカメラ等に使用されているカメラモジュールは、例えば、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補形金属酸化膜半導体)等の撮像素子と、ガラス等の透明板および端子を有する配線基板と、それらを保持するカバー体と、レンズ並びにレンズバレル等からなる集光部と、それらを保持するレンズ保持体とが一体化された構造になっている。
【0003】
特許文献1のカメラモジュールの構造を図15(a)〜(e)に示す。図15(a)に示すように、カメラモジュールは、集光部20と、撮像部10とを備える。集光部20には、レンズ保持体22と、レンズ保持体22に固定された、レンズ21を含むレンズユニットとが設けられている。撮像部10には、配線基板11と、配線基板11上に接着剤12を介して設置された撮像素子13と、ガラスおよびプラスチック等からなる透明板17と、配線基板11および撮像素子を覆うカバー体14とが設けられている。カバー体14は、配線基板11上に設置されている。撮像素子13は、ワイヤ15等にて配線基板11に電気的に接続されている。透明板17の端部は、接着剤16によってカバー体14に固定されている。レンズユニットは、撮像部10における撮像素子13および透明板17の上方に設けられている。
【0004】
カバー体14の中央には開口が設けられており、この開口上に透明板17が配されている。この結果、撮像部10には、透明板17と、カバー体14と配線基板11とで囲まれた内部空間18が形成される。
【0005】
内部空間18を密封すると、温度上昇に伴って内部空間18内の気体が熱膨張し、接合部を基点に亀裂等が生じるおそれがある。また、温度変化や気圧変化により接着剤12・16等から発生するガスやイオンの影響によって透明板17に曇りが生じるおそれもある。上記カメラモジュールでは、カバー体14に通気溝Gを設け、内部空間18とカバー体14の外部とを、通気溝Gおよび間隙19を介して連通させている。なお、通気溝Gの平面構造は図15(b)〜(e)のとおりである。
【0006】
ここで、上記のように内部空間18とカバー体14の外部とを連通させると、外部から内部空間18に異物が混入し、この異物が撮像素子13に付着するおそれがある。上記カメラモジュールでは、図15(e)に示すように、通気溝Gの底を部分的に掘り下げて凹部GHを形成し、この凹部GHによって通気溝Gに侵入した異物をトラップしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特許第5341266号(2013年9月26日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、凹部GHにトラップされた異物は、カメラモジュールの天地の入れ替わり等によって容易に通気溝Gに戻り、撮像素子13上に付着するおそれがある。なお、薄型化が求められるカメラモジュールでは、カバー体14を厚くすることができず、凹部GHをトラップに十分な深さにすることが難しいという事情もある。
【0009】
本発明の目的は、カメラモジュールの撮像部内の通気性を確保しつつ、異物付着による撮像素子の不良(シミ不良)を低減しうるカメラモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本カメラモジュールは、配線基板と、配線基板に搭載された撮像素子と、撮像素子を覆うカバー体と、該撮像素子の上方に形成されたカバー体の開口と重なるようにカバー体に接着された透明板と、該透明板の上方に設けられた撮像レンズとを含み、上記配線基板、カバー体、および透明板により内部空間が形成されたカメラモジュールにおいて、上記カバー体の透明板との接着面には、上記内部空間から該内部空間の外部に至る通気溝と、該通気溝から枝分かれするように形成された凹部とが形成されている構成である。
【0011】
上記構成では、凹部が通気溝から枝分かれするように形成されているため、通気溝に侵入し、該凹部にトラップされた異物が通気溝に戻りにくい。これにより、上記内部空間への異物の侵入を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上から、カメラモジュールの撮像部内の通気性を確保しつつ、異物付着による撮像素子の不良(シミ不良)を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は実施形態1に係るカメラモジュールの構成を模式的に示す断面図である。
図2】(a)は図1の撮像部の下面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図3】(a)は実施形態1のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図4】(a)は実施形態2のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図5】(a)は実施形態3のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図6】(a)は実施形態4のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図7】(a)は実施形態5のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図8】(a)は実施形態6のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図9】(a)は実施形態7のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図10】(a)は実施形態8のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図11】(a)は実施形態9のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図12】(a)は実施形態10のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図13】(a)は実施形態10のカバー体の別構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図14】(a)は実施形態11のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
図15】(a)は従来のカメラモジュールの構成を模式的に示す断面図であり、(b)〜(e)は(a)の通気溝の構成を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態について図1図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0015】
(カメラモジュールの基本的構成)
図1は、実施形態1に係るカメラモジュールの構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、カメラモジュール30には、集光部32と撮像部35とを備える。集光部32には、レンズ保持体34と、レンズ保持体34に固定された、撮像レンズLSを含むレンズユニット33とが設けられている。
【0016】
撮像部35は、配線基板41と、配線基板41上に接着剤40を介して搭載された撮像素子39と、これら配線基板41および撮像素子39を覆うカバー体36とを備える。カバー体36は、接着剤42を介して配線基板41に固定され、撮像素子39は、ワイヤ等(図示せず)にて配線基板41に電気的に接続される。
【0017】
カバー体36の天井部の中央には開口APが設けられており、開口APと重なるように透明板38が設けられている。透明板38は、撮像素子39の上方に位置し、上記天井部の開口APの周囲に接着剤37により固定されている。このため、撮像部35には、配線基板41、カバー体36、および透明板38で囲まれた内部空間43が形成される。図1では透明板38はカバー体36の天井部の下面に固定されているが、これに限られず、天井部の上面に固定されていてもよい。透明板38は、ガラス、プラスチックその他の透光性材料で構成されている。レンズユニット33は、カバー体36の天井部の上面側に設けられ、撮像素子39および透明板38の上方に位置している。
【0018】
図1の集光部32は、レンズユニット33とレンズ保持体34とから構成される固定焦点式の最も単純な構成であるが、もちろんこれに限られない。集光部32に、オートフォーカス機構、ズーム機構、手振れ補正機構、マクロ撮影機構等のレンズ駆動装置が設けられていてもよい。
【0019】
(カメラモジュールの通気溝)
図2(a)は図1に示す撮像部の一部の背面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図3(a)は図1・2のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。
【0020】
図1図3に示すように、カメラモジュール30では、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、内部空間43から該内部空間の外部(外部空間44)に至る通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された凹部46とが設けられている。すなわち、通気溝45によって内部空間43および外部空間44が互いに連通し、通気溝45の透明板38に対する開口面積が大きくなるように、通気溝45と連通する凹部46が設けられている。
【0021】
より具体的には、カバー体36の天井部の下面には、中央の開口APから外側に向かう通気溝45と、通気溝45に連通する凹部46とが設けられ、開口APを取り囲む領域のうち通気溝45および凹部46を除いた領域に、接着剤37を介して透明板38が接着されている。この結果、透明板38がカバー体36に固定された状態において、内部空間43は、通気溝45を通して、カバー体36の外部(外部空間44)に連通している。
【0022】
ここで、カバー体36の天井部の上方にはレンズユニット33を有する集光部32が設けられ、集光部32は、密閉ではなく、微小な空隙にてカメラモジュール30の外部つまり外気と連通している。このため、内部空間43が外部空間44と連通することは、内部空間43がカメラモジュール30の外部つまり外気と連通するのと等価といえる。したがって、撮像部35の内部空間43における接着剤37・40・42等から発生したガス・イオンを、通気溝45を介して外気へ逃がすことができ、透明板38の曇りを抑制することができる。また、気体の熱膨張による内部空間内の圧力上昇を抑え、カメラモジュール内の破損等を防止することができる。
【0023】
そして、凹部46は通気溝45に連通しているため、通気溝45に侵入した異物を凹部46に容易にトラップすることができる。凹部46は通気溝45から枝分かれするように形成されているため、一旦トラップされた異物は、カメラモジュールの天地や姿勢が変わっても通気溝45に戻りにくい。したがって、カメラモジュール30の外部から集光部32を介して通気溝45に侵入した異物が内部空間43に達することはほんどない。なお、通気溝45は少なくとも1本形成されていればよく、2本以上でもよい。
【0024】
通気溝45は、カバー体36に透明板38を固定するときに、押圧により広がった接着剤37を適切に逃がせるだけの深さを有しており、これにより、接着剤37による通気溝45の詰まりが回避される。すなわち、接着剤37は、通気溝45の手前までしか塗布されない。
【0025】
ここで、通気溝45の深さは、接着剤37の詰まりを考慮しない場合には、内部空間43に存在する気体の排出および外部からの異物の侵入阻止という2つの目的を両立する最小値(例えば、0.01〜0.1mm)が理想である。しかし、通気溝45に流入する接着剤37による詰まりを考慮する場合には、例えば、0.015mm〜0.040mm程度が適切である。このとき、通気溝45の長さと幅に関しては、長さを、例えば、0.2〜1.0mmとし、幅を、例えば、0.1mm〜0.5mmとするのが好ましい。
【0026】
凹部46は直線形状に限定されず、円弧形状、S字形状、屈曲形状でも構わない。なお、凹部46の範囲が大きければ異物のトラップ能力も向上する。
【0027】
〔実施形態2〕
図4(a)は実施形態2のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図1・4に示すように、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された凹部46とが設けられ、通気溝45は屈曲部45wを有し、凹部46は、通気溝45の外部側端部(外部空間側端部)Gから屈曲部45wに至る経路を延長するように、屈曲部45wに連通している。
【0028】
実施の形態2では、通気溝45の外部側端部Gから侵入した異物が屈曲部45wで曲がることなく直進して凹部46にトラップされ易く、一旦凹部46にトラップされた異物は、カメラモジュールの天地や姿勢が変わっても通気溝45に戻りにくい。よって、異物が通気溝45の内部空間側端部Nまで到達するのが困難となる。
【0029】
一方、内部空間43から通気溝45の内部空間側端部Nに侵入した異物は、通気溝45の屈曲部45wを超え、屈曲部45wと外部側端部Gとの間、あるいは凹部46に到達する。屈曲部45wと外部側端部Gとの間に到達した異物は、内部空間43が昇温されたときに、内部空間43内の気体膨張によって生じる気流によって、外部空間44に排出される。また、内部空間43が降温されたときに、内部空間43内の気体収縮によって生じる気流によって、屈曲部45wと外部側端部Gとの間にある異物は凹部46に捕獲される。
【0030】
すなわち、通気溝45への異物の侵入方向によって、異物の通過率に差が生じる(内部空間43からの異物は通気溝45を通過して外部空間44に排出され易く、外部空間44からの異物は凹部46に捕獲され、通気溝45を通過し難い)ため、撮像素子39への異物付着(カメラモジュールの不良)を低減することが可能となる。
【0031】
〔実施形態3〕
図5(a)は実施形態3のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図1・5に示すように、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された凹部46とが設けられ、通気溝45は円弧形状部45pを有し、凹部46はこの円弧形状部45pの外周に連通している。
【0032】
実施の形態3では、通気溝45の外部側端部Gから侵入した異物が遠心力によって凹部46にトラップされ易く、一旦凹部46にトラップされた異物は、カメラモジュールの天地や姿勢が変わっても通気溝45に戻りにくい。よって、異物が通気溝45の内部空間側端部Nまで到達するのが困難となる。
【0033】
一方、内部空間43から通気溝45に侵入した異物は、通気溝45の凹部46との連通部を超えて、連通部と外部側端部Gとの間、あるいは凹部46に到達する。連通部と外部側端部Gとの間に到達した異物は、内部空間43が昇温されたときに、内部空間43内部の気体膨張により生じる気流によって外部空間44に排出される。また、内部空間43が降温されたときに、内部空間3内部の気体収縮により生じる気流によって、連通部と外部側端部Gとの間にある異物は、凹部46に捕獲される。すなわち、通気溝45への異物の侵入方向によって、異物の通過率に差が生じるため、撮像素子39への異物付着(カメラモジュールの不良)を低減することが可能となる。
【0034】
図5では外部空間44側の円弧形状部45pに凹部46を連通させているが、これに限定されない。凹部46を内部空間43側の円弧形状部45qの外周に連通させてもよい。また、通気溝45を円弧形状部と直線形状部の組み合わせで構成することもできる。
【0035】
〔実施形態4〕
図6(a)は実施形態4のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図1・6に示すように、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された凹部46とが設けられている。
【0036】
凹部46の通気溝45との連通部の幅をj、通気溝45の凹部46との連通部の幅をf、凹部46の奥行(延伸長)をhとするとき、j≧fであると、通気溝45に侵入した異物を凹部46にトラップし易い。また、h≧fであると、凹部46にトラップした異物を凹部46に保持し易い。すなわち、通気溝45に侵入した異物は、通気溝45および凹部46に留まりやすくなり、通気溝45から内部空間43に到達する異物を減らし、カメラモジュールの不良率を低減することが可能である。
【0037】
〔実施形態5〕
図7(a)は実施形態5のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図1・7に示すように、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された凹部46とが設けられ、通気溝45は直線形状部45dを有し、凹部46は直線形状部45dと連通し、凹部46の奥行き方向と、直線形状部45dの凹部46との連通部から外部側端部Gに向かう方向とがなす角Xが鈍角となっている。
【0038】
実施の形態5では、角Xが鈍角となっているため、通気溝45の外部側端部Gから侵入した異物が凹部46にトラップされ易く、一旦凹部46にトラップされた異物は、カメラモジュールの天地や姿勢が変わっても通気溝45に戻りにくい。よって、異物が通気溝45の内部空間側端部Nまで到達するのが困難となる。なお、Xは、90°≦X<180°を満たせばよい。
【0039】
一方、内部空間43から通気溝45に侵入した異物は、通気溝45の凹部46との連通部を超えて、連通部と外部側端部Gとの間、あるいは凹部46に到達する。連通部と外部側端部Gとの間に到達した異物は、内部空間43が昇温されたときに、内部空間43内部の気体膨張により生じる気流によって、外部空間44に排出される。また、内部空間43が降温されたときに、内部空間43内部の気体収縮により生じる気流によって、連通部と外部側端部Gとの間にある異物は、凹部46に捕獲される。すなわち、通気溝45への異物の侵入方向によって、異物の通過率に差が生じ、内部空間43に到達する異物を減らし、カメラモジュールの不良率を低減することが可能である。
【0040】
なお、図4において、外部側端部Gと屈曲部45wとの間に(図4の凹部46の代わりとして、あるいは図4の凹部46に加えて)図7のように凹部46を設けることもできる。同様に図5において、円弧形状部45pに(図5の凹部46の代わりとして、あるいは図5の凹部46に加えて)図7のように凹部46を設けることもできる。また、通気溝45の直線形状部45d以外の部分は、直線形状でもよいし、屈曲形状や円弧形状であってもよい。
【0041】
〔実施形態6〕
図8(a)は実施形態6のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図1・8に示すように、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された凹部46とが設けられ、凹部46は、通気溝45との連通部分である入口側46xの幅よりも奥側46yの幅が広くなった巾着袋状である。
【0042】
実施の形態6では、通気溝45に侵入した異物は凹部46に捕獲されるが、凹部46が巾着袋状であるため、一旦凹部46に捕獲された異物が通気溝45に戻りにくい。これにより、内部空間43に到達する異物を減らし、カメラモジュールの不良率を低減することが可能である。
【0043】
〔実施形態7〕
図9(a)は実施形態7のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図1・9に示すように、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された凹部46とが設けられ、凹部46の深さは、通気溝45の深さよりも大きい。
【0044】
実施の形態7では、通気溝45に侵入した異物は凹部46に捕獲されるが、凹部46が壺状になっているため、一旦凹部46に捕獲された異物が通気溝45に戻りにくい。これにより、内部空間43に到達する異物を減らし、カメラモジュールの不良率を低減することが可能である。
【0045】
〔実施形態8〕
図10(a)は実施形態8のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図1・10に示すように、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された凹部46とが設けられ、通気溝45は、凹部46との連通部45kがそれ以外の部分よりも深くなっており、凹部46の深さは、通気溝45の凹部46との連通部45kの深さと同じである。
【0046】
実施の形態8では、通気溝45に侵入した異物は凹部46に捕獲されるが、通気溝45の凹部46との連通部45kが壺状になっているため、一旦凹部46に捕獲された異物が通気溝45に戻りにくい。これにより、内部空間43に到達する異物を減らし、カメラモジュールの不良率を低減することが可能である。
【0047】
〔実施形態9〕
図11(a)は実施形態9のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図1・11に示すように、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された凹部46とが設けられ、通気溝45は、凹部46との連通部45kがそれ以外の部分よりも深くなっており、凹部46の深さは、通気溝45の凹部46との連通部45kの深さよりも大きくなっている。
【0048】
実施の形態9では、通気溝45に侵入した異物は凹部46に捕獲されるが、凹部46が連通部45kよりも深くなっているため、一旦凹部46に捕獲された異物が連通部45kに戻りにくい。仮に異物が連通部45kに戻っても、連通部45kが壺状になっているために、通気溝45には戻りにくい。これにより、内部空間43に到達する異物を減らし、カメラモジュールの不良率を低減することが可能である。
【0049】
〔実施形態10〕
図12(a)は実施形態10のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図1・12に示すように、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された複数の凹部46a・46bとが設けられている。凹部46aおよび46bは、通気溝45を挟んで互いに向かい合うように配置されている。
【0050】
実施の形態10では、通気溝45に侵入した異物を2つの凹部46a・46bで捕獲することができるため、捕獲率が向上し、また、捕獲した異物が通気溝45に戻りにくい。すなわち、内部空間43に到達する異物を減らし、カメラモジュールの不良率を低減することが可能である。
【0051】
なお、実施の形態10では、図13に示すように、凹部46aおよび46bを、通気溝45を挟んで斜め向かいに配置することもできる。また、複数の凹部46が、通気溝45の一方の側に並べて配置されていてもよい。
【0052】
なお、通気溝45は直線形状に限られず、屈曲形状や円弧形状であってもよい。
【0053】
〔実施形態11〕
図14(a)は実施形態11のカバー体の構成を示す平面図であり、(b)は(a)の縦線に沿った断面図、(c)は(a)の横線に沿った断面図である。図1・14に示すように、カバー体36の天井部における透明板38との接着面には、通気溝45と、通気溝45から枝分かれするように形成された凹部46が設けられ、凹部46は、内部空間43側の奥行46tよりも外部空間44側の奥行46sが小さい形状である。
【0054】
実施の形態11では、通気溝45の外部側端部Gに侵入した異物は、容易に凹部46に捕獲され、通気溝45の内部側端部(内部空間側端部)Nに侵入した異物は、通気溝45の外部側端部Gまで戻され易く(通過し易く)なっている。すなわち、内部空間43に到達する異物を減らし、カメラモジュールの不良率を低減することが可能である。なお、凹部46については、外部空間44側の奥行46sをゼロとする(凹部46の平面形状を三角形とする)こともできる。
【0055】
本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態にそれぞれ開示された構成を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、図4図9図12の構成の組み合わせも可能であり、この組み合わせにさらに図8の構成を組み合わせることもできる。また、実施形態2(図4)、実施形態4(図6)、実施形態6(図8)、実施形態7(図9)、実施形態8(図10)、実施形態10(図12・13)、および実施形態11(図14)を組み合わせたような実施形態も可能である。
【0056】
〔まとめ〕
本カメラモジュールは、配線基板と、配線基板に搭載された撮像素子と、撮像素子を覆うカバー体と、該撮像素子の上方に形成されたカバー体の開口と重なるようにカバー体に接着された透明板と、該透明板の上方に設けられた撮像レンズとを含み、上記配線基板、カバー体、および透明板により内部空間が形成されたカメラモジュールにおいて、上記カバー体の透明板との接着面には、上記内部空間から該内部空間の外部に至る通気溝と、該通気溝から枝分かれするように形成された凹部とが設けられていることを特徴とする。
【0057】
本カメラモジュールでは、上記通気溝は屈曲部を有し、上記凹部は、上記通気溝の外部側から屈曲部に至る経路を延長するように、該屈曲部に連通している構成とすることもできる。
【0058】
本カメラモジュールでは、前記通気溝は円弧形状部を有し、上記凹部はこの円弧形状部の外周に連通している構成とすることもできる。この構成では、凹部の奥行き方向が、円弧形状部の凹部との連通部中央における接線の方向のうち該連通部中央を基準として上記外部寄りとなる方向に対して90度以上180度未満をなす構成とすることもできる。
【0059】
本カメラモジュールでは、上記凹部の通気溝との連通部分の幅と上記凹部の奥行との少なくとも一方が、通気溝の上記凹部との連通部分の幅よりも大きい構成とすることもできる。
【0060】
本カメラモジュールでは、前記通気溝は直線形状部を有し、上記凹部はこの直線形状部と連通し、該凹部の奥行き方向は、上記直線形状部の凹部との連通部分から上記外部側に向かう方向に対して90度以上180度未満をなす構成とすることもできる。
【0061】
本カメラモジュールでは、上記凹部は、通気溝との連通部分である入口側の幅よりも、奥側の幅が広くなっている構成とすることもできる。
【0062】
本カメラモジュールでは、上記凹部の深さは、通気溝の深さよりも大きい構成とすることもできる。
【0063】
本カメラモジュールでは、上記通気溝は、凹部との連通部分がそれ以外の部分よりも深くなっており、上記凹部の深さは、上記通気溝の凹部との連通部分の深さと同じである構成とすることもできる。
【0064】
本カメラモジュールでは、上記通気溝は、凹部との連通部分がそれ以外の部分よりも深くなっており、上記凹部の深さは、上記通気溝の凹部との連通部分の深さよりも大きい構成とすることもできる。
【0065】
本カメラモジュールでは、上記凹部が複数形成されている構成とすることもできる。
【0066】
本カメラモジュールでは、上記凹部は、内部空間側の奥行よりも上記外部側の奥行が小さい形状である構成とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、例えば、カメラ付き携帯電話やデジタルカメラ、セキュリティカメラ、テレビジョンカメラ等において撮像を行うカメラモジュールに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
30 カメラモジュール
32 集光部
33 レンズユニット
34 レンズ保持体
35 撮像部
36 カバー体
37 接着剤
38 透明版
39 撮像素子
41 配線基板
43 内部空間
44 外部空間
45 通気溝
45w 屈曲部
45p 円弧形状部
45k (通気溝の)凹部との連結部
46 凹部
46a・46b 複数の凹部
G (通気溝の)外部空間側端部
N (通気溝の)内部空間側端部
LS 撮像レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15