(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239745
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】がんの処置のための、RO5503781及びカペシタビンの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/40 20060101AFI20171120BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20171120BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20171120BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
A61K31/40
A61K31/7068
A61P35/00
A61P35/02
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-520395(P2016-520395)
(86)(22)【出願日】2014年6月16日
(65)【公表番号】特表2016-522228(P2016-522228A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】EP2014062490
(87)【国際公開番号】WO2014202492
(87)【国際公開日】20141224
【審査請求日】2016年2月16日
(31)【優先権主張番号】61/836,894
(32)【優先日】2013年6月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】306021192
【氏名又は名称】エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンス, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ, グウェン
(72)【発明者】
【氏名】パックマン, キャスリン イー.
【審査官】
鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−518921(JP,A)
【文献】
特表2009−531321(JP,A)
【文献】
特表2011−529968(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/034039(WO,A2)
【文献】
Tumor Biol.,2010年,Vol.31, No.4,p.287-295
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33−31/80
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸を含む第1の成分;及びb)カペシタビンを含む第2の成分を含み、
カペシタビンが14日間、1日に2回、約800から約1500mg/m2で投与され、4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸が第1、7、15日目に投与される、28日サイクルの経口投与による、がん、特に、乳房、結腸、結腸直腸、肺、及び膵臓の腫瘍、肉腫、又は、急性骨髄性白血病(AML)のような白血病等の固形腫瘍及び/又は血液系腫瘍の、同時の又は連続した処置のための薬学的製品。
【請求項2】
4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸が、約400mg/日から約1500mg/日の量で投与される、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸が、約1000mg/日から約2500mg/日の量で投与される、請求項1に記載の製品。
【請求項4】
4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸が、約1250mg/日から約1800mg/日の量で投与される、請求項1に記載の製品。
【請求項5】
処置サイクルが12サイクルを上限に28日毎に繰り返される、請求項1から4の何れか一項に記載の製品。
【請求項6】
(a)カペシタビンを含む有効成分の1以上の経口単位用量形態を含む第1の成分、及び(b)4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ-安息香酸を含む第2の成分を含み、
カペシタビンが14日間、1日に2回、約800から約1500mg/m2で投与され、4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸が第1、7、15日目に、1日あたり約400〜3000mg投与される、28日サイクルの経口投与により、がんに罹患した患者を処置するためのキット。
【請求項7】
カペシタビンが14日間、1日に2回、約800から約1500mg/m2で投与され、4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸が第1、7、15日目に投与される、28日サイクルの経口投与により、がんに罹患した患者を処置するための医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)以下の化合物
(A)
p53/MDM2相互作用のアンタゴニストである4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸(化合物A)、及び(ii)抗悪性腫瘍活性を有するフルオロピリミジンカルバメートであるカペシタビン(capecitabine)を含む薬学的組成物、を含む(i)薬学的組成物を投与することによる、がんの処置方法に関する。それは、細胞内で、抗悪性腫瘍薬である5−フルオロウラシルに変換される、5’−デオキシ−5−フルオロウリジン(5’−DFUR)の経口投与全身性プロドラッグである。カペシタビンは、Xeloda(登録商標)というブランド名でRoche Laboratoriesにより米国内で販売されている。カペシタビンの化学名は5’−デオキシ−5−フルオロ−N−[(ペンチルオキシ)−カルボニル]−シチジンであり、以下の構造式を有する。
【0002】
カペシタビンは、米国特許第4,966,891号及び第5,472,949号を含む米国特許で保護されている。カペシタビンの製造のための改良された方法も、米国特許第5,453,497号及び第5,476,932号、及び、2003年12月22日出願の米国特許出願第60/532,266号に記載されている。化合物Aは、国際出願公報第2011/098398号、及び米国特許第8,354,444号に開示されている。化合物Aを含む特定の薬学的調製物も、国際出願第PCT/EP2014/050974号に開示されている。必要な範囲で、任意の及び全ての前述の特許及び出願は、引用によって本明細書に援用される。本願発明は、また、上記組成物の両方を含むキットに関する。
【背景技術】
【0003】
p53は、細胞周期及びアポトーシスの制御に関与する遺伝子集団を活性化できる転写因子である。p53は、細胞レベルにおいてMDM2により厳重に制御される、強力な細胞周期阻害剤である。MDM2及びp53はフィードバック・コントロール・ループ(feedback control loop)を形成する。MDM2はp53に結合し、p53被調節遺伝子を転写活性化するp53の作用を阻害することができる。加えて、MDM2は、ユビキチン依存性のp53の分解を調節する。p53は、MDM2遺伝子の発現を活性化し、従って、MDM2タンパク質の細胞レベルを増加させることができる。このフィードバック・コントロール・ループにより、正常に増殖する細胞において、MDM2及びp53の両方が低レベルに維持される。MDM2は、細胞周期制御において主要な役割を果たすE2Fに関するコファクターでもある。
【0004】
p53(E2F)に対するMDM2の比は、多くのがんにおいて制御不全である。例えば、p16INK4/p19ARFローカスにおいて頻繁に生じる分子的欠陥は、MDM2タンパク質分解に影響することが示されている。p53−MDM2経路の活性化を有する腫瘍細胞におけるMDM2−p53相互作用の阻害は、p53の蓄積、細胞周期の停止、及び/又はアポトーシスの原因となる。p53/MDM2拮抗作用の実現可能性は、戦略として、MDM2−p53相互作用の阻害のための異なる高分子ツール(例えば、低分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド)の使用により示されてきた。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本願発明は、がんに罹患した患者の処置方法に関し、当該方法は、4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸(化合物A)の治療上有効量、又は、前記化合物の薬学的に許容され得る塩又はエステルを有効成分として含む薬学的組成物を含む第1の成分、及び、カペシタビンの治療上有効量を含む薬学的組成物を含む第2の成分を、同時に又は連続して、患者に投与することを含む。
【0006】
本願発明の化学療法の化合物の組み合せは、結腸がんの処置において特に有効である。
【0007】
本願発明による2つの成分の投与が、各成分単独で得られる結果に比較して有意に高い改善された抗悪性腫瘍作用をもたらすことが、予想外に見出された。すなわち、本願発明による2つの成分の投与は、毒性の有効な増加なしに、いずれかの成分単独の場合に比較して、治療指数の改善(すなわち、より高い有効性)をもたらした。一方、本願発明により、所望の治療指数を維持したまま、少なくとも1つの成分(単剤療法で典型的に与えられる量と比較して)の量を低減することができる。好ましい実施態様において、所望の治療指数を維持したまま、両方の成分の量(単剤療法で典型的に与えられる量と比較して)は低減され、毒性が低減され得る。
【0008】
ある実施態様において、本願発明は、がん、特に、乳房、結腸、結腸直腸、肺、及び膵臓の腫瘍、肉腫、又は、急性骨髄性白血病(AML)のような白血病等の固形腫瘍及び/又は血液系腫瘍の、同時の又は連続した処置のための、a)化合物Aを含む第1の成分;及びb)カペシタビンを含む第2の成分を含む、薬学的製品に関する。
【0009】
別の実施態様において、がん、特に、乳房、結腸、結腸直腸、肺、及び膵臓の腫瘍、肉腫、又は、急性骨髄性白血病(AML)のような白血病等の固形腫瘍及び/又は血液系腫瘍の治療における、同時の又は連続した使用のための、化合物A及びカペシタビンが提供される。
【0010】
別の実施態様において、本願発明は、がんに罹患した患者の処置方法に関し、当該方法は、約400から約3200mg/日、又は約400から約1600mg/日、又は約1000から約2500mg/日、又は約1250から約1800mg/日の量での、最長約7日間の投与期間、好ましくは、週1回又は最長約5日間、より好ましくは、28日処置サイクルの週1回、第1〜3日目又は第1〜5日目に、患者に対して化合物Aを投与することを含み、その後に約21から約23日間、好ましくは、最長約23日間の休止期間を有し、化合物Aとの組み合せで、14日間、1日に2回の約800〜1500mg/m
2の量のカペシタビンを投与することを含む。
【0011】
約14日と約28日との間の任意のサイクルが企図されるが、好ましい処置サイクル期間は約28日間である。本願発明の処置サイクルは、腫瘍が制御下にあり、かつ、レジメンが臨床的に許容され得る限り繰り返される。
【0012】
化合物Aの用量は、体表面積(「BSA」)適合用量(mg/m
2/日)、又は以下の固定用量(mg/日)の何れかが適用され得る。化合物Aは、単一用量又は1日複数回投与に分割されてもよい。
【0013】
患者の身体の平方メートル(「m
2」)での測定値は、通常、約1.4m
2から約2.2m
2の範囲である。従って、BSAを使用した処置サイクル(mg)において送達される化合物Aの総量は次のように算出される:
[用量強度(mg/m
2/週)]×[BSA(m
2)]×[処置サイクルにおける週数]。
【0014】
化合物Aとの組み合わせでのカペシタビンについて、好ましい用量は、14日間、1日に2回の800〜1500mg/m
2である。
【0015】
ある実施態様において、化合物Aは、投与期間に続く23日間の休止期間を伴って、週毎の処置サイクルの第1〜5日目に、約5日間毎日投与される(「5+/23−」)。化合物Aは、1日1回又は2回(bid)の何れか、好ましくは1日1回、毎日投与される。本願発明に係る化合物は、経口単位用量形態で、最も好ましくは錠剤の形態で、患者に投与される。
【0016】
好ましくは、1週間に5日の処置スケジュールは、腫瘍が制御下にあるか又は退行しており、かつ、患者がレジメンを許容できる限り、28日毎に、又は毒性からの回復により可能となり次第すぐに、繰り返される。好ましくは、本願発明の処置サイクルは、合計約12サイクルを上限に繰り返される。
【0017】
ある実施態様において、化合物Aは、週毎の28日サイクルの第1〜5日目において最長約3日間、約400から約3000mg/日の量で、毎日投与される。
【0018】
ある実施態様において、化合物Aは、週毎の28日サイクルの第1〜5日目において最長約5日間、約400から約1500mg/日の量で、毎日投与される。
【0019】
ある実施態様において、化合物Aは、週毎の28日サイクルの第1〜5日目において最長約5日間、約800から約3000mg/日の量で、毎日投与される。
【0020】
別の実施態様において、化合物Aは、週毎の28日サイクルの毎週第1、7、15日目に、約800から約3200mg/日の量で、毎日投与される。
【0021】
別の実施態様において、化合物Aは、週毎の28日サイクルの毎週第1、7、15日目に、約1250から約1800mg/日の量で、毎日投与される。
【0022】
ある実施態様において、化合物Aは、28日サイクルの毎週第1〜7日目において最長約7日間、約400から約1600mg/日の量で、毎日投与される。
【0023】
ある実施態様において、化合物Aは、投与期間に続く最長約21日間の休止期間を伴って、約400mg/日から約1600mg/日の量で、毎日、最長約7日間投与され、当該投与は、28日処置サイクルの第1日目に開始される。
【0024】
ある実施態様において、化合物Aは、投与期間に続く最長約23日間の休止期間を伴って、約400mg/日から約3200mg/日の量で、毎日、最長約3日間投与され、当該投与は、28日処置サイクルの第1日目に開始される。
【0025】
ある実施態様において、化合物Aは、投与期間に続く最長約23日間の休止期間を伴って、約800mg/日から約3000mg/日の量で、週1回投与され、当該投与は、28日処置サイクルの第1日目に開始される。
【0026】
ある実施態様において、化合物Aは、約400mg/日から約1500mg/日で投与される。
【0027】
ある実施態様において、化合物Aは、約1000mg/日から約2500mg/日で投与される。
【0028】
ある実施態様において、化合物Aは、約1250mg/日から約1800mg/日で投与される。
【0029】
ある実施態様において、化合物A及びカペシタビンは、同時に又は連続して、実施例1に記載の処置群6、7、8、又は9に従い投与される。
【0030】
ある実施態様において、(a)カペシタビンを含む有効成分の1以上の経口単位用量形態を含む第1の成分、及び(b)の4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸を含む第2の成分、を含むキットが提供される。本実施態様において、好ましくは、第1の成分は、14日間、1日に2回、約800〜1500mg/m
2のカペシタビンを患者に投与し得るように十分な数の単位を含み、かつ、第2の成分は、患者に、最長5日間、1日あたり約400〜3000mgの4−{[(2R,3S,4R,5S)−4−(4−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−3−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−4−シアノ−5−(2,2−ジメチル−プロピル)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−3−メトキシ−安息香酸を投与し得るように十分な用量を含む。
【0031】
本明細書で使用される略語は以下の通りである:
【0032】
LoVo細胞株は、MDM2増幅又は過剰発現を欠くp53野生型細胞株であり、そして、目的の結腸直腸がん患者集団の臨床的状態をより反映していると思われるため、マウスにおける移植のために選択された。
【0033】
本願発明は、限定なく本願発明を説明する、以下の実施例に示されるように、管理された前臨床の動物研究により例示されてもよい。
【実施例】
【0034】
実施例1
化合物A及びカペシタビン製剤は、次の通りである。明示的に示されなければ、以下に記載される量は濃度[mg/ml]である。化合物Aは、10mg/ml及び12.5mg/mlの濃度で使用される。カペシタビンは、12.5mg/ml、25mg/ml及び50mg/mlの濃度で使用される。化合物A及びカペシタビンのためのビヒクル溶液は、次の通りである:
化合物Aのためのビヒクル溶液
クルセル(Klucel)LF:20.0mg/mL
Tween 80:1.0mg/mL
メチルパラベン:0.9mg/mL
プロピルパラベン:0.1mg/mL
注射用水:1.0mlまで加える(Qs)
カペシタビンの経口懸濁液のためのビヒクル溶液
クルセル(Klucel)LF:20.0mg/mL
ポリソルベート80:1.0mg/mL
メチルパラベン:0.9mg/mL
プロピルパラベン:0.1mg/mL
精製水:1.0mlまで加える(Qs)
【0035】
化合物Aは、投与前の調製のために粉末で提供される。粉末は、室温で保存される。ビヒクル溶液は調製の直前に作製され、先に作製しておく場合は、2〜8℃で保存される。
【0036】
調製方法:
1.ビヒクルを保存用冷蔵庫から取り出す。
2.調製のため、化合物A粉末のバイアルを1つ取り出す。ラベルに示されたビヒクルの量を添加する。調製を容易にするため、まず少量のビヒクルを添加して粉末を湿らせ、そして残りのビヒクルを添加することが推奨される。マグネット回転子で30分間低速で又はボルテックスで、粉末が完全に湿り、かつ懸濁されるまで、懸濁液を投与前に混合する。必要に応じ、粉末が湿るように、混合過程において、スパチュラを定期的に使用する。
3.投与に使用されるまで混合し続ける。
【0037】
調製後、カペシタビン懸濁液は、2〜8℃で保存すべきである。本願発明の懸濁液の調製の間、よく混合する(少なくとも30分間混合する)ことが必要である。懸濁液の投与の間、混合し続けるべきである。
【0038】
本研究において、次の処置群が使用された。
【0039】
上記は全て経口用量である。
【0040】
腫瘍成長阻害(TGI)、及び生存/生存期間延長(ILS)の評価
効果を示すデータは、腫瘍体積平均±標準誤差(SEM)でグラフに示された。加えて、処置群の腫瘍体積は、式:100×((T−T
0)/(C−C
0))を用いて、コントロール群の腫瘍体積に対するパーセンテージ(%T/C)で示され、ここで、Tは、実験中の特定の日における処置群の腫瘍体積平均を示し、T
0は、処置の第1日目における同群の腫瘍体積平均を示し;Cは、実験中の特定の日におけるコントロール群の腫瘍体積平均を示し、そして、C
0は、処置の第1日目における同群の腫瘍体積平均を示す。
【0041】
腫瘍体積(平方ミリメートル)は、楕円体計算式(ellipsoid formula):(D×(d
2))/2を用いて算出され、ここで、「D」は腫瘍の大きい直径を示し、「d」は、小さい直径を示す。いくつかの場合において、腫瘍退行及び/又は腫瘍体積におけるパーセント変化が、式:((T−T
0)/T
0)×100を用いて算出され、ここで、「T」は、特定の日の試験群の腫瘍体積の平均を示し、そして、「T
0」は、処置開始時の同群の腫瘍体積の平均を示す。
【0042】
統計解析は、順位和検定、及び一元配置分散分析(One Way Anova)、及びポストホック ボンフェローニt検定(SigmaStat, version 2.0, Jandel Scientific, San Francisco, CA, USA)により実施された。群間での相違は、確率値(p)が≦0.05である場合に有意であると認められた。
【0043】
生存評価について、生存期間延長(ILS)のパーセントは、100×[(処置群の生存に数中央値−コントロール群の生存日数中央値)/コントロール群の生存日数中央値]により算出された。生存期間中央値は、カプラン・マイヤー(Kaplan Meier)生存期間分析を使用して決定された。処置群における生存期間は、ビヒクル群と統計的に比較され、そして、群間の生存期間比較は、ログランク検定を使用して実施された(Graph Pad Prism, La Jolla, CA, USA)。群間での相違は、確率値(p)が≦0.05である場合に有意であると認められた。
【0044】
80mg/kg化合物A+400mg/kgカペシタビン処置群では、2つの部分的腫瘍退行が認められ;100mg/kg化合物A+200mg/kgカペシタビン処置群では、2つの部分的腫瘍退行が認められ、そして、100mg/kg化合物A+400mg/kgカペシタビン処置群では、6つの部分的腫瘍退行及び1つの完全腫瘍退行が認められた。
【0045】
結果検討
上記研究において、化合物Aは、80mg/kg qd×5及び100mg/kg qweeklyレジメンにおいて、それぞれ、62%(p<0.001)、55%(p<0.001)の単剤療法抗腫瘍活性を示し、そして、23%(p<0.0001)、17%(p<0.0001)の単剤療法生存期間延長を示した。カペシタビンは、200mg/kg qd及び400mg/kg qdレジメンにおいて、それぞれ、72%(p<0.001)、40%(p<0.0001)及び88%(p<0.001)、49%(p<0.0001)の単剤療法抗腫瘍活性[(TGI及び生存期間延長(ILS)]を示した。
【0046】
組み合わせの場合、80mg/kg qd×5の化合物A及びカペシタビン200mg/kg qdは、87%TGI(p<0.001)及び40%ILS(p<0.0001)の結果を示した。カペシタビン400mg/kg qdとの組み合せでの化合物Aは、2/10の部分退行を伴う95%(p<0.001)を示し、及び49%(p<0.0001)の生存期間延長を示した。
【0047】
100mg/kg qweeklyの化合物A及びカペシタビン200mg/kg qdは、2/10の部分退行を伴う94%TGI(p<0.001)、及び77%ILS(p<0.0001)を示した。カペシタビン400mg/kg qdとの組み合わせでの、200mg/kgの化合物Aは、6/10の部分退行、及び1/10の完全退行(p<0.001)、及び109%ILS(p<0.0001)での生存期間延長を示し、退行が優位を占めた。
【0048】
上記研究についての統計的横断比較により、80mg/kg qd×5の化合物Aとカペシタビン両方の併用処置についてのTGI及びILSは、相関するカペシタビン単剤療法処置群と比較して有意に優れているわけではないことが示されている。100mg/kg qweeklyの化合物A+カペシタビン200mg/kgの併用処置についてのTGI及びILSは、相関する単剤療法処置群の両方と比較して有意に優れている。100mg/kg qweeklyの化合物A+カペシタビン400mg/kgの併用処置におけるTGIは、相関するカペシタビン単剤療法処置群と比較して有意に優れてはいなかったが、ILSは相関する単剤療法処置群よりも有意に優れていた。
【0049】
TGIは、100mg/kg qweeklyの化合物A+カペシタビン併用処置の両方において同等であったが、ILSは100mg/kg qweeklyの化合物A+カペシタビン400mg/kgの併用処置において有意に優れており、本群においてより持続的な退行効果が得られることを示した。