(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の不織ウェブが、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタンおよびこれらの任意の混合物からなる群から選択される熱可塑性材料から形成される繊維を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の不織布。
【背景技術】
【0002】
不織布は、パーソナルケアまたは衛生のための使い捨て吸収性物品において広範に適用されている。このような物品において、柔らかく見える外観は、着用者または介護者に、この物品が快適なものとして体験されると安心させるので、とても重要である。
【0003】
WO2012/024576において、着用者の胴体下部周りに着用されるように適合された吸収性物品が記載されており、吸収性物品の知覚される柔軟性を強調することを目的としている。前述の文献に記載されている吸収性物品は、液体透過性トップシート、液体不透過性バックシートおよびトップシートとバックシートとの間に配置された吸収芯を含む。液体不透過性バックシートは、着用者に面した、液体不透過性、蒸気透過性のポリマーフィルムの層と衣類に面した不織ウェブ層とのラミネートを含む。不織ウェブは、ダイヤモンドの形状の第1のパターンの結合型で型押しされ、第1のパターンは、第2のパターンの非結合隆起領域を画定し、この第2のパターンもダイヤモンドの形状を有する。この点は、
図3A−4Bを参照されたい。不織ウェブの製造方法において、ロフトおよび/またはキャリパーを増加し、視覚および触覚による柔軟性のシグナルを強化するために水流交絡法またはヒドロエンゴージメント(hydroengorgement)法が必要である。しかし、このような水流交絡法または水力滞留法の欠点は、吸収性物品の製造費が非常にかさむ点である。その上、前述の吸収性物品の柔軟性は、依然として改善の余地がある。
【0004】
WO2006/048173は、機械的閉鎖システムのループ形成性不織材を記載している。布は、第1のパターンの結合型を用いて熱的に結合されて、これにより、より大きな非結合隆起領域である第2のパターンおよびより小さな非結合領域である第3のパターンを作り出す。型は、三葉型形状と直線形状との組合せである。これは、布の機械的安定性にプラスの影響を与えるが、柔らかい感覚を与えるために重要な特長であるドレープ性を制限してしまうという欠点がある。
【0005】
さらに、JP2005245913において、大理石の床などの硬い表面を清掃するためのワイパーが記載されている。ワイパーは、典型的には、単層の不織材からなる。不織層は、40%超の超極細繊維を有する繊維混合物からなる(メルトブローン)。繊維混合物の残りは、天然繊維(例えば、綿)および主にポリエステルから作られている支持繊維で構成されている。この構成および高基本重量は、手に触った心地良さや着用者の快適さよりも、記載された布の高い洗浄効率を目的としていることに起因する。そのため、これらのワイパーは、十分に高度な柔軟性を必要とする衛生用途、特に着用者の皮膚に直接接触する個人用の衛生吸収性物品には不適切である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明によれば、不織布は、第1のパターンの個別化結合領域が備わった面を含む不織ウェブを含み、第1のパターンが、第2のパターンの非結合領域を画定し、非結合領域は六角形のタイプの形状を有し、結合領域の表面は、前記面の全表面の10−30%の範囲であり、非結合領域の表面は、前記面の全表面の70−90%の範囲である。本発明にしたがって非結合領域の表面を広く使用すれば、魅力的な高度な柔軟性をもたらす。その上、広い非結合領域は、繊維を増大させ、布のかさ高性を向上させる。これは、見た目にも触知的観点からも、さらに高度な柔軟性として認識される。好ましくは、非結合領域の表面は、前記面の全表面積の少なくとも70%から85%未満である。好ましくは、非結合領域の表面は、前記面の全表面積の75−85%の範囲である。
【0016】
結合領域の表面は、好ましくは、前記面の全表面積の15%超から30%以下、より好ましくは15−25%の範囲である。
【0017】
第1のパターンの個別化結合領域は、非結合領域が、六角形のタイプの形状を有する第2のパターンの非結合領域を画定する。
【0018】
好ましくは、不織布の前記面には、第1のパターンおよび第2のパターンのみしか備わっておらず、すなわち、不織布の前記面にさらなる結合領域または非結合領域のパターンは備わっていない。
【0019】
したがって、本発明は、吸収性物品における使用に好適な不織ウェブを含む不織布であって、ウェブが、第1のパターンおよび第2のパターンからなる全体のパターンが備わった面を含み、第1のパターンは、第2のパターンの非結合領域を画定している個別化結合領域のパターンであり、非結合領域は、六角形のタイプの形状を有し、結合領域の表面は、前記面の全表面の10−30%の範囲であり、非結合領域の表面は、前記面の全表面の70−90%の範囲である、不織布にも関する。
【0020】
好ましくは、個別化結合領域は、非線形の形状を有する。本出願の文脈では、非線形の形状は、それ自体が線形でないまたは線形部分を1つ以上含有していない形状として定義される。
【0021】
適宜、非結合領域は、規則的または1つ以上の辺の長さが異なる不規則的な六角形の形状を有する。好ましくは、非結合領域は、規則的な六角形の形状を有する。
【0022】
適宜、非結合領域は、20−50mm
2の範囲、好ましくは22−45mm
2の範囲、より好ましくは23−40mm
2の範囲の表面を有する。
【0023】
適宜、不織ウェブは、5−80g/m
2の範囲、好ましくは6−50g/m
2の範囲、より好ましくは少なくとも8g/m
2から40g/m
2未満、さらにより好ましくは8−30g/m
2の範囲の基本重量を有する。
【0024】
個別化結合領域は、適宜、円、ダイヤモンド、長方形、正方形、楕円、三角形、ハート、ムーンスター、六角形、八角形または別の多角形の形状などの対称形状を有する。好ましくは、結合領域は、円または六角形の形状を有する。より好ましくは、結合領域は円の形状を有する。
【0025】
結合領域は、適宜、0.7−1.5mmの範囲、好ましくは0.75−1.25mmの範囲、より好ましくは0.8−1.2mmの範囲の全幅を有する。
【0026】
適宜、結合領域は、0.38−1.77mm
2の範囲、好ましくは0.44−1.22mm
2の範囲、より好ましくは0.50−1.13mm
2の範囲の表面を有する。不連続な非結合領域は、適宜、0.4−1.5mmの範囲、好ましくは0.4−0.9mmの範囲、より好ましくは0.4−0.8mmの範囲、最も好ましくは0.5−0.7mmの範囲の深さを有する。
【0027】
適宜、偶数個の結合領域が、個々の非結合領域を画定する。好ましくは、個々の非結合領域は、6個、12個、18個または24個の個別化結合領域、より好ましくは12個、18個または24個の個別化結合領域、最も好ましくは12個の個別化結合領域によって画定されている。
【0028】
適宜、本発明による不織ウェブは、基本重量グラム当たり1−4Nの範囲、好ましくは基本重量グラム当たり1.2−3.5Nの範囲、より好ましくは基本重量グラム当たり1.3−3.0Nの範囲のMDのWSP110.4に準拠した引っ張り強さを有する。このような引っ張り強さを有する不織ウェブは、高い引っ張り強さの不織布物品を生成する。
【0029】
好ましくは、不織ウェブは、少なくとも8g/m
2から40g/m
2未満の基本重量を有し、結合領域の表面は、好ましくは、前記面の全表面積の15%超から30%以下である。より好ましくは、不織ウェブは、8−30g/m
2の範囲の基本重量を有し、結合領域の表面は、前記面の全表面積の15−25%の範囲である。このような基本重量が低く、結合領域が広い不織ウェブは、改善された柔軟性を持つ不織布物品を生成し、個人用衛生吸収性物品における使用を非常に魅力的なものにする。
【0030】
より好ましくは、不織ウェブは、少なくとも8g/m
2から40g/m
2未満の基本重量を有し、不織ウェブの結合領域の表面は、好ましくは、前記面の全表面積の15%超から30%以下であり、不織ウェブは、基本重量グラム当たり1−4Nの範囲の縦方向(MD)のWSP110.4に準拠した引っ張り強さを有する。
【0031】
このWSP試験法は、当業者であれば理解するような、不織布産業において国際的に承認されている試験法である。
【0032】
さらにより好ましくは、不織ウェブは、8−30g/m
2の範囲の基本重量を有し、不織布ベッドの結合領域の表面は、前記面の全表面積の15−25%の範囲であり、不織ウェブは、基本重量グラム当たり1.2−3.5Nの範囲の引っ張り強さを有する。このような低い基本重量、広い結合領域および高い引っ張り強さを有する不織ウェブは、優れた柔軟性と寸法安定性のある不織布物品を生成する。
【0033】
好適な不織ウェブは、不織布を作製する当技術分野に知られている手段のいずれかによって製造され得る。
【0034】
不織ウェブは、単層でもよく、または例えば、少なくとも1層のスパンボンドウェブが、少なくとも1層のメルトブローンウェブ、カードウェブまたは他の好適な材料と接合した多層の不織布でもよい。
【0035】
好ましくは、本発明による不織布は、第2の不織ウェブをさらに含む。
【0036】
不織ウェブは、伸張性、弾性または非弾性でもよい。不織ウェブは、スパンボンドウェブ、メルトブローンウェブ、エアレイドウェブまたはカードウェブでよい。不織ウェブがメルトブローン繊維のウェブの場合、メルトブローン超極細繊維を含み得る。
【0037】
特に好適な不織ウェブは、ポリオレフィン、ポリエステル、エチレンコポリマー、プロピレンコポリマー、ブテンコポリマーおよびこれらの組合せなどの熱可塑性ポリマーの繊維から作られるが、木質、綿またはレーヨンなどの天然繊維も熱可塑性繊維と組み合わせて含んでもよい。不織ウェブはまた、2種以上の異なる繊維または繊維および粒子の混合物で構成されている複合体であってもよい。
【0038】
繊維は、結合によって適宜に接合され、コヒーレントウェブ構造を形成する。好適な結合技術として、これらに限定されないが、化学結合および熱結合、例えば熱カレンダー加工または熱ガス流による結合が挙げられる。
【0039】
幅広い種類の好適なポリオレフィンが、本発明において使用され得る。好適な例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ(エチレン−ブテン)、ポリ(エチレン−ヘキセン)、ポリ(エチレン−オクテン)、ポリ(エチレン−プロピレン)ブロックポリマー、例えばスチレン/イソプレン/スチレンおよびスチレン/ポリブタジエン/スチレンが挙げられる。ポリオレフィンは、ホモポリマーまたはコポリマー、例えばプロピレン−α−オレフィンコポリマーを含んでもよい。特に、後者のコポリマーは、本発明において魅力的に使用され得る。プロピレン−α−オレフィンコポリマーおよびプロピレンホモポリマーを含むポリオレフィン材料が好ましい。
【0040】
ポリオレフィン材料のメルトフローレート(MFR)は、90dg/min未満が適切である。MFRは、ASTM試験法D1238、2.16kgを使用して決定される。好ましくは、ポリオレフィン材料のMFRは、15−50dg/minの範囲、より好ましくは15−35dg/minの範囲である。
【0041】
好ましくは、繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレンホモポリマー、これらのコポリマー、ポリエチレンおよびポリプロピレンのブレンド、ポリエステル、ポリエステルのコポリマーおよび/またはポリエステルのブレンドから形成される。
【0042】
適宜、プロピレン系またはエチレン系ホモポリマーまたはコポリマーが使用される。プロピレン系ポリマーの場合、ポリマーは、エチレンおよびC4−C10α−オレフィンから選択されるコモノマー由来の単位を含んでよい。エチレン系ポリマーの場合、ポリマーは、C3−C10α−オレフィンから選択されるコモノマー由来の単位を含んでよい。ポリオレフィン材料の好適な例として、プロピレンホモポリマー、エチレンホモポリマー、プロピレンコポリマーおよびエチレンコポリマー、例えば直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)および低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。
【0043】
好適なポリエステルは、例えばポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルまたはポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などの芳香族ポリエステルであってもよい。
【0044】
使用されるポリマー中に既に含有されている添加剤とは別に、さらなる添加剤を添加して繊維に追加の性質を付与することが可能である。好適なさらなる添加剤として、熱安定剤、光安定剤、滑剤、ワックスおよび布を親水性または疎水性のいずれかにする添加剤が挙げられる。充填材の添加も、場合によっては、利点になり得る。好適な充填材として、有機および無機充填材が挙げられる。無機充填材の好適な例には、炭酸カルシウムなどの鉱物、アルミニウムおよびステンレス鋼などの金属が挙げられる。有機充填材の好適な例には、砂糖系ポリマーが挙げられる。
【0045】
様々な繊維断面が可能である。通例、円形の繊維断面が好ましいが、三葉型または多葉型形状の繊維も有利に使用され得る。他の好適な繊維断面は、三角形、骨形、月形、中空糸およびリボン形状の断面を含む。
【0046】
不織ウェブを構成する繊維は、適宜、単一成分繊維または複合繊維などの多成分繊維であってもよい。多成分繊維の好適な例として、対称形の偏心芯/鞘型繊維、A/BまたはA/B/A構造のサイドバイサイド型繊維(side−by−side fiber)、セグメント化パイ繊維(segmented pie fiber)、海島繊維およびストライプ繊維が挙げられる。2つの成分が対称形の芯鞘型でまたはサイドバイサイド型で配列された複合繊維が好ましい。ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む芯鞘型複合繊維が最も好ましいが、他の好適なポリマーの他の任意の組合せ、例えばポリエステルとポリオレフィンの組合せも可能である。一般に、芯鞘型繊維の場合、芯は高融点の成分を含み、鞘は低融点の成分を含むが、逆になっても有利であり得る。好ましい実施形態において、複合繊維は、ポリプロピレンの芯およびポリエチレンの鞘を有する。好ましい実施形態において、複合繊維は、芯の中に10重量%から90重量%の高融点成分を含み、鞘の中に90重量%から10重量%の低融点成分を含む。より好ましくは、複合繊維は、芯の中に30重量%から70重量%の高融点成分を有する。複合繊維は、異なるタイプのポリプロピレンを含有し得る。より好ましくは、複合繊維は、高融点を有するポリプロピレンの芯および低融点を有するポリプロピレンの鞘を有する。別の好ましい実施形態において、サイドバイサイド型複合繊維は、溶融温度またはメルトフローが異なる2種のポリプロピレンを含む。
【0047】
繊維は、当技術分野において知られている紡績技術にしたがって作製され得る。不織布を直接形成できるスパンボンド法およびメルトブローン法が最も好都合に使用されている。
【0048】
スパンボンド繊維は一般に、リニアメーター当たり数千個の穴が空いた大型スピナレットに通してまたは例えばわずか40個の穴を含む小型スピナレットの群から溶融ポリマーを押し出すことによって製造される。スピナレットを出た後、溶融繊維は直交流空気急冷機構によってクエンチされ、次いでスピナレットから引き離され、高速風によって繊細化される。フィラメントを横に置いて不織布層を作製することは、透明な搬送ベルト上で行なわれる。スパンボンド繊維は一般に連続性であり、繊維直径は約10−100μmの範囲である。
【0049】
一方、メルトブローン繊維は一般に、直径がはるかに小さく、通常、0.5−10μmの範囲である。さらに、メルトブローン繊維は、概して非連続性であると考えられている。
【0050】
メルトブローン法は、溶融熱可塑性材料を、複数の微細な、通常は円形のダイキャピラリーに通して溶融糸またはフィラメントとして押し出して、高速の(通常加熱された)ガス流に入れることにより溶融熱可塑性材料のフィラメントを繊細化し、その直径を縮小することによって、繊維が形成される方法である。メルトブローン法は、普通、ダイの幅に沿った単列のフィラメントを有する。その後、メルトブローン繊維は、高速ガス流により搬送され、収集面に付着し、無作為に分散されたメルトブローン繊維のウェブが形成される。メルトブローン繊維は、連続性でも不連続性でもよい超極細繊維である。
【0051】
本発明による不織布は、さらに処理されて、特定の性質を付与することができる。最も一般的なものは、布を親水性または疎水性のいずれかに仕上げる局所的な処理である。最も一般的なものは、親水性界面活性剤またはフッ化炭素もしくはシリコン材料のいずれかによる布の処理である。本発明との関係においては、不織布または不織ウェブの表面は、その表面上に配置された水の接触角が約90未満である場合、「親水性」であり、表面上に配置された水の接触角が90以上の場合、表面は「疎水性」である。
【0052】
好ましくは、本発明による不織布は、疎水性不織布である。
【0053】
本発明による不織布は、1種の繊維または繊維層、例えばスパンボンド層のみからなり得るが、適宜、異なってもよい追加の繊維層を含むことができる。好適な多層布は、例えば、接着して本発明による不織布を形成する1つ以上のスパンボンド層(S)および1つ以上のメルトブローン層(M)、例えばSMS、SMMS、SSMMSなどを含んでよい。通常、これらの多層布は、一般にスパンボンドビームおよびメルトブローンビームの組合せを包含する複数のビームを用いた単一ラインの一工程で作製される。場合によっては、2つ以上の別々の工程で本発明による多層を作製することが有利であり得るまたは技術的に必要であり得る。
【0054】
繊維断面または繊維タイプの異なるスパンボンド層の使用も可能である。例えば、三葉型フィラメントの層と円形繊維の層とを組み合わせることも可能であり、または芯鞘型複合繊維層とサイドバイサイド型複合繊維層とを組み合わせることも可能である。
【0055】
スパンボンド層と天然繊維の組合せも可能である。好ましくは、本発明にしたがって使用される追加の不織ウェブは、メルトブローン繊維で構成されている。
【0056】
1つ以上の単層からなり得る本発明による不織布は、適宜、5−80グラム/m
2の範囲、好ましくは6−50グラム/m
2の範囲、より好ましくは少なくとも8g/m
2から40g/m
2未満、さらにより好ましくは8−30g/m
2の範囲の基本重量を有することができる。
【0057】
適宜、本発明にしたがって使用される不織ウェブは、不織ウェブの全重量を基として40wt%以下のメルトブローン繊維を含む。好ましくは、不織ウェブは、不織ウェブの全重量を基として、30wt%以下のメルトブローン繊維、より好ましくは20−30wt%のメルトブローン繊維を含む。
【0058】
適宜、本発明の不織ウェブは、メルトブローン繊維のみを含有し、メルトブローン繊維と別のタイプの繊維の混合物は含有しない。
【0059】
本発明は、本発明による不織布を含む衛生吸収性物品にも関する。
【0060】
適宜、本発明による衛生吸収性物品は、失禁用品、おむつ、ワイプおよび女性用ケア用品からなる群から選択される使い捨て衛生吸収性物品である。本発明による好適な使い捨て衛生吸収性物品には、幼児用おむつ、パンツ型紙おむつ、トレーニングパンツ、衛生閉鎖システム、成人用失禁ブリーフおよびおむつ、パンティーライナー、生理用ナプキン、医療用衣服および包帯からなる群から選択されるものが挙げられる。好適なワイプは、衛生目的の湿式および乾式ワイプを含むことができる。
【0061】
使い捨て衛生吸収性物品は、洗濯することを意図しないまたはそうでなければ衛生吸収性物品として復元するもしくは再利用することを意図しない衛生吸収性物品である。一般に、このような吸収性物品は、バックシート、トップシートおよびバックシートとトップシートとの間に配置された吸収芯を含む。バックシートは、一体型ランディングゾーンを有するまたはそのままでランディングゾーンとして機能し、吸収性物品の最外部分に配置されている不織ウェブを含み、液体が衛生吸収性物品を通過することを防止するのに対し、着用者の胴体下部からの滲出液はトップシートを通過して吸収芯に吸収される。トップシートの追加の機能は、皮膚に快適さを与えることである。
【0062】
さらに、使い捨て衛生吸収性物品は、通常、着用者の胴体下部周りで使い捨て衛生吸収性物品を留めるためのホックまたはループ固定システムを含む。使い捨てパーソナルケア衛生吸収性物品用のループ固定システムまたはホックとして使用される場合、本発明の不織布は、ループ材料の単体のパッチとして物品の外層またはバックシートに結合または付着され得る。代替の方法として、本発明の不織布は、このような使い捨てパーソナルケア衛生吸収性物品の外層またはバックシート全体を形成し、ランディングゾーンとして機能させてもよい。ホックまたはループ固定システムは、多種多様な市販のホックまたはループ固定システムのうちのいずれであってもよい。
【0063】
本発明による不織布は、適宜、トップシート、バックシート、ランディングゾーンおよび/またはループ固定具の一部であってもよい。好ましくは、本発明の不織布は、バックシートおよび/またはランディングゾーンの一部である。
【0064】
本発明は、本発明の不織布を形成する方法にも関する。
【0065】
したがって、本発明は、不織布を形成する方法であって、
(a)不織ウェブを形成する工程、ならびに
(b)不織ウェブを、対向して配置されている第1と第2のロール間で画定されているニップに供給する工程であり、これによってロールのうち少なくとも1つが、第1の不織ウェブに結合パターンを施すためのパターン化外面を有し、結合パターンが前述の第1および第2のパターンを含む、工程
を含む、方法にも関する。
【0066】
本発明は、さらに、本発明による不織布を形成する方法であって、
(a)第1の不織ウェブを形成する工程、
(b)第2の不織ウェブを形成する工程、
(c)第1の不織ウェブおよび第2の不織ウェブを、対向して配置されている第1と第2のロール間で画定されているニップに供給する工程であり、これによってロールのうち少なくとも1つが、結合パターンを施すためのパターン化外面を有し、結合パターンが前述の第1および第2のパターンを含む、工程、ならびに
(d)第1および第2の不織ウェブを一緒に結合させて、不織布を形成する工程
を含む、方法に関する。
【0067】
代替の方法として、第1および第2の不織ウェブを事前に結合させた後、こうして形成された不織布を、ロールによって構成されたニップ中に供給してもよい。
【0068】
したがって、本発明は、本発明による不織布を形成する方法であって、
(a)第1の不織ウェブを形成する工程、
(b)第2の不織ウェブを形成する工程、
(c)第1および第2の不織ウェブを一緒に結合させて、不織布を形成する工程、
(d)工程(c)で形成した不織布を、対向して配置されている第1と第2のロール間で画定されているニップに供給する工程であり、これによってロールのうち少なくとも1つが、第1の不織ウェブに結合パターンを施すためのパターン化外面を有し、結合パターンが前述の第1および第2のパターンを含む工程、ならびに
(e)不織布を復元する工程
を含む、方法にも関する。
【0069】
本発明による方法において使用されるロールは、任意の好適な耐久性材料で形成され得る直円柱が適切である。このようなロールは、当技術分野において知られている方法で動作される。
【0070】
対向して配置されているロールの位置は、適宜、変更されて、ロール間にニップを形成することができる。ニップ中のニップ圧は、処理される1種以上の不織ウェブの性質に応じて適宜、変更され得る。カレンダーロールに要する温度も同様であり、必須の最終的な性質および結合される繊維の種類に応じて調節される必要がある。
【0071】
結合領域は、ロールのうちの少なくとも1つの温度を制御して融着させる手段によって適宜、形成される。ロールのうちの少なくとも1つの外面の温度は、ロールを加熱または冷却することによって調節され得る。加熱および冷却は、処理されるウェブの特長および各ロール間で構成されたニップを通過させる単一ウェブまたは複数のウェブの結合度に影響し得る。
【0072】
使用されるロールの1つは、複数の個別の開口部、アパーチャまたは穴を画定するランドエリアの連続パターンを含む結合パターンを最外面上に含有する。1つ以上のロール中の各開口部は、不織布または不織ウェブの少なくとも1つの面に個別の非結合領域を形成する。他方のロールは、適宜、もう片方のロールよりかなり平滑な外面を有する。好ましくは、他方のロールの外面は、滑らかまたは平らである。各ロールの回転速度は、実質的に同一である。
【0073】
以下、本発明を、非限定的な図面によってさらに説明する。
【0074】
図1において、本発明による第1および第2のパターンを含む結合パターンを有する不織布の面が示されている。第1のパターンの個別化結合領域1は、第2のパターンの非結合領域2を画定する。個別化結合領域1は、円形の形態であり、非結合領域2は、六角形のタイプの形状を有する。
【実施例】
【0075】
複数の不織布が、本発明にしたがって調製された。さらに、複数の比較用の不織布が、本発明の範囲外で調製された。
【0076】
不織布はすべて、Reicofil社製の装置で、融解紡糸法においてポリプロピレンから作製された。ポリプロピレンは、25g/10min(230℃で2.16kg)のメルトフローを有し、230−235℃で処理された。紡績を170kg/hr/mのスループットで行なった。融解物は、紡糸ノズルに通して圧搾され、延伸され、クエンチされて、コンベヤーベルト上に敷かれた。ライン速度は、各基本重量を得るように設定された。次いで、目の粗い繊維マットは、加熱カレンダーを通過することによって固化された。
【0077】
六角形のタイプの形状を有する非結合領域を含む、本発明による不織布は、以下の特性を有していた:結合領域:17.6%、cm
2当たりの形状の数:24.8個、結合点表面積:円形結合点サイズ:0.97mm(直径)および六角形の形状の両辺距離:4.8mm。
【0078】
比較用の不織布は、以下の特性を有する楕円形の従来の結合領域を有していた:結合領域:18.1%、cm
2当たりの形状の数:49.9個、結合点表面積:0.363mm
2、結合点サイズ:0.882×0.524mm。
【0079】
縦方向(MD)の引っ張り強さ(N/5cm)を決定するための試験法としてWSP110.4が用いられ、一方で、Handle−O−Meter試験(mN)においてWSP90.3が用いられた。これらの試験は、不織布産業において周知の標準的な方法である。
【0080】
表1において、増加した基本重量(gsm)を有する様々な不織布に対するこれらの試験の結果が示されている。
【0081】
【表1】
【0082】
表1から、基本重量が増加すると、引っ張り強さおよび剛性が向上することが明らかである。しかし、従来の楕円形結合を有する布は、六角形の形態の非結合領域を有する不織布よりも剛性にかなり顕著な向上を示す。それにもかかわらず、引っ張り強さは、ほとんど同一のままである。例えば、六角形の形状を有する50gsmの布は、149N/5cmの引っ張り強さをもたらすが、楕円形の形状を有する50gsmの布は、160N/5cmの引っ張り強さをもたらす。後者の引っ張り強さは、わずか10%未満高いだけであるが、同時に、剛性は2倍を超える高さである(六角形:420mNに対し、楕円形:870mN)。420mNと同様の柔軟性を実現するには、楕円形パターンで結合された布の基本重量を、およそ35gsm減少させる必要がある。基本重量が減少されれば低減する液体の吸収率および保持性能の観点から、これは望ましくない。従来の楕円形結合した布が、同一の柔軟性レベルで、かなり低い引っ張り強さを示すことは明らかである。このため、従来の楕円形結合した布は、衛生吸収性物品に使用するにはあまり魅力的ではない。
【0083】
これらのデータは、高度な柔軟性(低い剛性)および高い引っ張り強さは、もはや排除しあうことがなく、得られる物質の利点を一緒になって引き出すことができることを示している。したがって、本発明による不織布は、着用者の皮膚に直接接触する個人用の衛生吸収性物品における使用にかなり魅力的である。