特許第6239756号(P6239756)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239756ユーザ端末、無線基地局及び無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239756
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】ユーザ端末、無線基地局及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/14 20090101AFI20171120BHJP
   H04W 72/08 20090101ALI20171120BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20171120BHJP
【FI】
   H04W16/14
   H04W72/08 110
   H04W24/10
【請求項の数】4
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-532865(P2016-532865)
(86)(22)【出願日】2015年6月24日
(86)【国際出願番号】JP2015068211
(87)【国際公開番号】WO2016006450
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2017年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-143510(P2014-143510)
(32)【優先日】2014年7月11日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100158528
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 芳隆
(72)【発明者】
【氏名】原田 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】武田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】永田 聡
(72)【発明者】
【氏名】リ ミンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ユー
(72)【発明者】
【氏名】リュー リュー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ホイリン
【審査官】 深津 始
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−46314(JP,A)
【文献】 藤井威生、ほか,コグニティブ無線向けMACプロトコルの課題と対策,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2011年 2月23日,第110巻、第435号,第23-30ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 −H04B 7/26
H04W 4/00 −H04W 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信電力について測定する測定部と、
前記受信電力について測定した結果に基づいて、所定の期間に占めるチャネル占有の時間の割合に関する情報を算出する取得部と、
前記チャネル占有の時間の割合に関する情報を、フィードバック報告に含んで送信するように制御する制御部と、を有し、
前記取得部は、上位レイヤシグナリングで通知される前記所定の期間に関する情報に基づいて、前記所定の期間を判断することを特徴とするユーザ端末。
【請求項2】
前記取得部は、前記所定の期間において前記受信電力について測定した複数の結果のうち、所定の閾値を超える結果の数に基づいて、前記チャネル占有の時間の割合を算出することを特徴とする請求項1に記載のユーザ端末。
【請求項3】
ユーザ端末と通信を行う無線基地局であって、
前記ユーザ端末に、受信電力について測定された結果に基づいて所定の期間に占めるチャネル占有の時間の割合に関する情報を算出させるために、前記所定の期間に関する情報を上位レイヤシグナリングで送信する送信部と、
前記ユーザ端末から、前記チャネル占有の時間の割合に関する情報を受信する受信部と、を有することを特徴とする無線基地局。
【請求項4】
ユーザ端末の無線通信方法であって、
受信電力について測定する工程と、
前記受信電力について測定した結果に基づいて、所定の期間に占めるチャネル占有の時間の割合に関する情報を算出する工程と、
前記チャネル占有の時間の割合に関する情報を、フィードバック報告に含んで送信するように制御する工程と、を有し、
上位レイヤシグナリングで通知される前記所定の期間に関する情報に基づいて、前記所定の期間を判断することを特徴とする無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、次世代の通信システムに適用可能なユーザ端末、無線基地局及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)ネットワークにおいて、さらなる高速データレート、低遅延などを目的としてロングタームエボリューション(LTE:Long Term Evolution)が仕様化された(非特許文献1)。LTEではマルチアクセス方式として、下り回線(下りリンク)にOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)をベースとした方式を用い、上り回線(上りリンク)にSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)をベースとした方式を用いている。また、LTEからのさらなる広帯域化及び高速化を目的として、LTEの後継システム(例えば、LTEアドバンスト又はLTEエンハンスメントと呼ぶこともある(以下、「LTE−A」という))も検討され、仕様化されている(Rel.10/11)。
【0003】
LTE−Aシステムでは、半径数キロメートル程度の広範囲のカバレッジエリアを有するマクロセル内に、半径数十メートル程度の局所的なカバレッジエリアを有するスモールセル(例えば、ピコセル、フェムトセルなど)が形成されるHetNet(Heterogeneous Network)が検討されている。また、HetNetでは、マクロセル(マクロ基地局)とスモールセル(スモール基地局)間で同一周波数帯だけでなく、異なる周波数帯のキャリアを用いることも検討されている。
【0004】
さらに、将来の無線通信システム(Rel.12以降)では、LTEシステムを、通信事業者(オペレータ)にライセンスされた周波数帯域(ライセンスバンド(Licensed band))だけでなく、ライセンス不要の周波数帯域(アンライセンスバンド(Unlicensed band))で運用するシステム(LTE−U:LTE Unlicensed)も検討されている。LTE−Uの運用において、ライセンスバンドLTE(Licensed LTE)との連携を前提とした形態をLAA(Licensed-Assisted Access)又はLAA−LTEという。なお、アンライセンスバンドでLTE/LTE−Aを運用するシステムを総称して「LAA」と呼ぶ場合もある。
【0005】
ライセンスバンドは、特定の事業者が独占的に使用することを許可された帯域である一方、アンライセンスバンド(非ライセンスバンドとも呼ばれる)は、特定事業者に限定せずに無線局を設置可能な帯域である。アンライセンスバンドとしては、例えば、Wi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)を使用可能な2.4GHz帯や5GHz帯、ミリ波レーダーを使用可能な60GHz帯などの利用が検討されている。このようなアンライセンスバンドをスモールセルで適用することも検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 36.300 “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN); Overall description; Stage 2”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LAAシステムにおいては、アンライセンスバンドで運用されるWi−Fiなどの他システムや他オペレータのLTE−Uシステムとの相互干渉を考慮して動作することが必要となる。そこで、相互干渉を避けるために、LTE−U基地局/ユーザ端末が、信号の送信前にリスニングを行い、他基地局/ユーザ端末が通信を行っているか確認することが検討されている。このリスニング動作を、LBT(Listen Before Talk)という。
【0008】
ここで、ユーザ端末は、データ送受信のために適切なセルに接続する必要がある。しかしながら、各LAAシステムがLBTを行う場合には、ライセンスバンドを前提とした従来のLTEシステムにおけるセル選択方法を用いると、アンライセンスバンドで不適切なセルが選択され、システムのリソース利用効率が低下するおそれがある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、LBTを適用するLAAシステムにおいて、システムのリソース利用効率の低下を抑制することができるユーザ端末、無線基地局及び無線通信方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るユーザ端末は、受信電力について測定する測定部と、前記受信電力について測定した結果に基づいて、所定の期間に占めるチャネル占有の時間の割合に関する情報を算出する取得部と、前記チャネル占有の時間の割合に関する情報を、フィードバック報告に含んで送信するように制御する制御部と、を有し、前記取得部は、上位レイヤシグナリングで通知される前記所定の期間に関する情報に基づいて、前記所定の期間を判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、LBTを適用するLAAシステムにおいて、システムのリソース利用効率の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】アンライセンスバンドでLTEを利用する無線通信システムの形態の一例を示す図である。
図2】アンライセンスバンドでLTEを利用するシナリオの例を示す図である。
図3】LBTによるLAAシステム及びWi−Fiシステムの干渉回避の一例を示す図である。
図4】LAAシステムにおけるLBTの動作主体を示す説明図である。
図5】LBTを前提としたLAAのフレーム構成の一例を示す図である。
図6】セル選択のユースケースの一例を示す図である。
図7】LAAセル及びWi−Fiカバレッジエリアの配置の一例を示す図である。
図8】本実施形態に係るCCR測定の一例を示す図である。
図9】各フレームでLBTが常に実施される場合のCCRの一例を示す図である。
図10】各フレームでLBTが常には実施されない場合のCCRの一例を示す図である。
図11】LTE及びWi−Fiのシンボル構成の一例を示す図である。
図12】本実施形態におけるセル選択に係るシーケンスの一例を示す図である。
図13】本実施形態に係るCCRのユースケースの一例を示す図である。
図14】本実施形態におけるUEの送信制御に係るシーケンスの一例を示す図である。
図15】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成の一例を示す図である。
図16】本発明の一実施形態に係る無線基地局の全体構成の一例を示す図である。
図17】本発明の一実施形態に係る無線基地局の機能構成の一例を示す図である。
図18】本発明の一実施形態に係るユーザ端末の全体構成の一例を示す図である。
図19】本発明の一実施形態に係るユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、アンライセンスバンドでLTEを運用する無線通信システム(LTE−U)の形態の一例を示している。図1に示すように、LTEをアンライセンスバンドで用いるシナリオとして、複数のシナリオ(キャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)、デュアルコネクティビティ(DC:Dual Connectivity)、スタンドアローン(stand-alone))が想定される。
【0014】
一例として、ライセンスバンド(例えば、800MHz帯)を利用するマクロセルと、ライセンスバンド(例えば、3.5GHz帯)を利用するスモールセルと、アンライセンスバンド(例えば、5GHz帯)を利用するスモールセルを設ける場合を想定する。なお、CAを適用するセル間では、少なくともカバレッジエリアの一部が重畳するように配置されている。また、Wi−Fiシステムのカバレッジエリアが、マクロセル及び/又はスモールセルのカバレッジエリアの一部と重畳するように配置されている。
【0015】
この場合、ライセンスバンドを利用するマクロセル(Licensed macro cell)と、ライセンスバンドを利用するスモールセル(Licensed small cell)と、アンライセンスバンドを利用するスモールセル(Unlicensed small cell)との間でCA又はDCを適用するシナリオが考えられる。例えば、ライセンスバンドを利用するマクロセルと、ライセンスバンドを利用するスモールセル及びアンライセンスバンドを利用するスモールセルとの間でCAを適用する。
【0016】
また、ライセンスバンドを利用するスモールセルと、アンライセンスバンドを利用するスモールセルとの間でCAを適用するシナリオが考えられる。あるいは、ライセンスバンドを利用するマクロセルと、アンライセンスバンドを利用するスモールセルとの間でCA又はDCを適用するシナリオが考えられる。
【0017】
各シナリオについて、図2を参照して説明する。図2は、アンライセンスバンドでLTEを利用するシナリオの例を示す図である。なお、本発明の適用は、図2に示すシナリオに限られない。
【0018】
図2Aは、ライセンスバンドとアンライセンスバンドを用いて、キャリアアグリゲーション(CA)を適用する運用形態を示している。また、図2Bは、ライセンスバンドとアンライセンスバンドを用いて、デュアルコネクティビティ(DC)を適用する運用形態を示している。さらに、図2Cは、アンライセンスバンドを用いて、スタンドアローン(stand-alone)を適用する運用形態を示している。なお、アンライセンスバンドでLTEを運用する無線基地局は、LTE−U基地局ともいう。
【0019】
図2Aに示すキャリアアグリゲーション(CA)は、複数のコンポーネントキャリア(CC、キャリア、セルなどともいう)を統合して広帯域化することをいう。各CCは、例えば、最大20MHzの帯域幅を有し、最大5つのCCを統合する場合には最大100MHzの広帯域が実現される。
【0020】
CAが適用される場合、1つの無線基地局のスケジューラが複数のCCのスケジューリングを制御する。このことから、CAは基地局内CA(intra-eNB CA)と呼ばれてもよい。また、図2Aにおいて、アンライセンスバンドを付加下りリンク(SDL:Supplemental Downlink)として利用する(UL用のキャリアを設定しない)ことも可能である。ここで、付加下りリンクとは、DL伝送専用に用いるキャリアを指す。
【0021】
なお、本実施形態では、ライセンスバンドとアンライセンスバンドを一つの送受信ポイント(例えば、無線基地局)から送受信する構成(co-located)とすることができる。この場合、当該送受信ポイント(例えば、LTE/LTE−U基地局)は、ライセンスバンド及びアンライセンスバンドの両方を利用してユーザ端末と通信を行うことができる。あるいは、ライセンスバンドとアンライセンスバンドを異なる送受信ポイント(例えば、一方を無線基地局、他方を無線基地局に接続されるRRH(Remote Radio Head))からそれぞれ送受信する構成(non-co-located)とすることも可能である。
【0022】
図2Bに示すデュアルコネクティビティ(DC)は、複数のCCを統合して広帯域化する点はCAと同様である。DCが適用される場合、複数のスケジューラが独立して設けられ、当該複数のスケジューラがそれぞれの管轄する1つ以上のセル(CC)のスケジューリングを制御する。このことから、DCは基地局間CA(inter-eNB CA)と呼ばれてもよい。例えば、DCでは、ライセンスバンドとアンライセンスバンドを利用したDL信号をそれぞれ異なる送信ポイント(例えば、異なる無線基地局)から送信する。なお、デュアルコネクティビティにおいて、独立して設けられるスケジューラ(すなわち、無線基地局)ごとにキャリアアグリゲーション(intra-eNB CA)を適用してもよい。
【0023】
図2Cに示すスタンドアローンでは、アンライセンスバンドを用いてLTE−Uを運用するセル(LTE−U基地局)が単体で動作する。ここで、スタンドアローンとは、CAやDCの適用無しで、ユーザ端末との通信を実現できることを意味している。この場合、ユーザ端末は、LTE−U基地局に初期接続することが可能となる。このため、スタンドアローンの運用形態では、オペレータ以外(例えば、個人)がLTE−U基地局(アクセスポイント)を設置できるシナリオも想定される。
【0024】
また、上記図2A図2Bに示すCA/DCの運用形態では、例えば、ライセンスバンドCCをプライマリセル(PCell)、アンライセンスバンドCCをセカンダリセル(SCell)として利用することができる。ここで、プライマリセル(PCell)とは、CA/DCを行う場合にRRC接続やハンドオーバを管理するセルであり、端末からのデータやフィードバック信号を受信するためにUL伝送が必要となるセルである。プライマリセルは、上下リンクともに常に設定される。セカンダリセル(SCell)とは、CA/DCを適用する際にプライマリセルに加えて設定する他のセルである。セカンダリセルは、下りリンクだけ設定することもできるし、上下リンクを同時に設定することもできる。
【0025】
なお、上記図2A(CA)や図2B(DC)に示すように、LTE−Uの運用においてライセンスバンドのLTE(Licensed LTE)があることを前提とした形態を、LAA(Licensed-Assisted Access)又はLAA−LTEとも呼ぶ。LAAでは、ライセンスバンドLTE及びアンライセンスバンドLTEが連携してユーザ端末と通信する。
【0026】
なお、LAAにおいて、ライセンスバンドを利用する送信ポイント(例えば、無線基地局)とアンライセンスバンドを利用する送信ポイントが離れている場合には、バックホールリンク(例えば、光ファイバ、X2インターフェースなど)で接続された構成とすることができる。
【0027】
ところで、既存のLTEでは、ライセンスバンドでの運用が前提となっているため、各オペレータに対して異なる周波数帯域が割当てられている。しかし、アンライセンスバンドは、ライセンスバンドと異なり特定の事業者のみの使用に限られない。このため、あるオペレータのLTE−Uで利用する周波数帯域は、他のオペレータのLAAシステムやWi−Fiシステムで利用する周波数帯域と重なる可能性がある。
【0028】
アンライセンスバンドでLTEを運用する場合、異なるオペレータや非オペレータ間において、同期、協調及び/又は連携などがなされずに運用されることも想定される。この場合、アンライセンスバンドにおいて、複数のオペレータやシステムが同一周波数を共有して利用することとなるため、相互干渉が生じるおそれがある。
【0029】
ここで、アンライセンスバンドにおいて運用されるWi−Fiシステムでは、所定の期間において全帯域を特定のユーザのために使用するようにリソース割り当てを実施する。このため、Wi−Fiではユーザ端末、アクセスポイントなどの送信信号の衝突回避のために、LBT(Listen Before Talk)メカニズムに基づくキャリア検知多重アクセス/衝突回避(CSMA/CA:Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)が採用されている。
【0030】
具体的には、各送信ポイント(TP:Transmission Point)、アクセスポイント(AP:Access Point)やWi−Fi端末(STA:Station)が送信を行う前にリスニング(CCA:Clear Channel Assessment)を実行し、所定レベルを超える信号が存在しない場合にのみDL送信を行う方法などが用いられている。例えば、LBTで測定した受信電力が所定の閾値を超える場合、チャネルはビジー状態であると判断し、送信を行わない。一方、LBTで測定した受信電力が所定の閾値以下である場合は、チャネルはクリア状態であると判断し送信を行う。言い換えると、「チャネルがクリア」であるとは、所定のシステムによってチャネルが占有されていないことをいう。
【0031】
以上から、非ライセンスバンドで運用するLTE/LTE−Aシステム(例えば、LAAシステム)においてもLBTは必要となると想定されている。図3は、LBTによるLAAシステム及びWi−Fiシステムの干渉回避の一例を示す図である。図3には、Wi−Fiシステム、オペレータAのLAAシステム及びオペレータBのLAAシステムが示されている。なお、各LAAシステムはLBTを用いるものとする。
【0032】
LAAシステムがLBTを導入することで、LAAとWi−Fiとの間の干渉を回避することができる。また、LAAシステム間の干渉を回避することができる。オペレータA及びBが、各オペレータに接続可能なユーザ端末の制御を独立して行う場合であっても、LBTによりそれぞれの制御内容を把握することなく干渉を低減することができる。
【0033】
リスニングの結果、他システムや別のLAAの送信ポイントからの信号を検出しなければ、アンライセンスバンドはユーザ端末との通信を確立する。一方で、リスニングの結果、他システムや別のLAAの送信ポイントからの信号を検出した場合には、(1)DFS(Dynamic Frequency Selection)により別キャリアに遷移する、(2)送信電力制御(TPC)を行う、(3)送信を待機(停止)する、などの処理が実施される。
【0034】
図4は、LAAシステムにおけるLBTによる測定の動作主体を示す説明図である。図4では、アンライセンスバンドセルを形成する無線基地局(eNB)と、ユーザ端末(UE)と、これらの間の下りリンク(DL)/上りリンク(UL)が示されている。アンライセンスバンドセルにおいては、信号送信前にリスニング(LBT)が実施され、他システム(例えば、Wi−Fi)や別のLAA(LTE−U)の送信ポイントが通信を行っているか確認される。図4Aは、DL及びUL両方に関して、eNBがLBTを実施する例である。この場合、eNBがLBTによりチャネルがクリア状態であると判断した後、eNBがUEに所定の信号(例えば、ULグラント)を通知することにより、UEはULを送信することができる。一方、図4Bは、送信側がLBTを実施する例である。この場合、DL送信の際はeNBによって、UL送信の際はUEによってLBTが行われる。
【0035】
図5は、LBTを前提としたLAAのフレーム構成の一例を示す図である。フレームのうち、所定の期間(LBT期間、LBT時間などともいう)だけLBTが実施される。図5では、LBTの粒度(1フレーム中のLBT期間)は1サブフレーム(1ms)である。ここで、LBT期間に該当するサブフレームは、LBTサブフレームと呼ばれてもよい。なお、LBTを前提としたLAAのフレームの長さ(LBT周期(LBT period)ともいう)は、従来の無線フレーム期間と同様に10msが好ましい。また、上述のLBT粒度やLBT周期は、図5の値に限られず、他の値が用いられてもよい。
【0036】
図5のフレーム構成では、例えばeNBがLBTサブフレームにおいてLBTを行い、チャネルがクリアかどうかを確認し、送信可否を判断する。これにより、どれくらいの時間リソースがクリアかということがわかる。具体的には、チャネルがクリアな場合の最大のチャネル占有時間(チャネル占有可能時間ともいう)は、フレームのうちLBT期間を除いた残りの時間であり、図5では9msとなる。当該チャネル占有時間は、送信されるパケットサイズには依存しない。
【0037】
ところで、従来のLTEのセル選択においては、eNBはUEにとって所定の周波数帯で最高のセル(ベストセル)を選択する。最高のセルは、セル毎に決定される所定の指標が最も高いセルとして決定することができる。図6は、セル選択のユースケースの一例を示す図である。図6Aでは、マクロセルのエリア内に2つのスモールセル(Cell#1、Cell#2)が含まれており、ユーザ端末がCell#1からCell#2に移動する場合を示している。プライマリセル(例えば、マクロセル)のセル選択は、周波数内又は周波数間のハンドオーバによって実施される。また、CAやDCにおけるセカンダリセル(例えば、スモールセル)のセル選択は、SCell再配置(SCell replacement)によって実施される。図6Aの例では、プライマリセルは変わらず、セカンダリセルがCell#1からCell#2に変更される。
【0038】
従来のLTEのセル選択では、例えば以下のパラメータが考慮されている:(1)信号強度や信号品質(例えば、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality))、(2)トラフィック負荷(例えば、リソース使用率(RU:Resource Usage))、(3)帯域幅(BW)。ここで、一般に、(1)及び(3)の指標は大きいほど良く、(2)の指標は小さいほどよい。
【0039】
これらのパラメータを鑑みると、最高のセルを決定するための指標としては、以下の式(1)で表される容量Cを用いることができる。
【0040】
式(1)
C=BW・(1−RU)・log(1+SINR)
【0041】
ここで、BWは帯域幅、SINRは信号電力対干渉及び雑音電力比(Signal-to-Interference plus Noise Ratio)、RUはリソース使用率を示す。RUは、トラフィック量やユーザ数によって変動し、所定の観測時間Tに占めるデータ送信時間Tの比で求められる。図6Bは、TとTとの関係の一例を示している。
【0042】
複数のセルについて上記のCを求め、最大のCを有するセルが最高のセルであると判断することができる。なお、容量C以外にも、最大のRSRPを有するセルや、最小のRUを有するセルを最高のセルであると判断してもよい。
【0043】
このように、ライセンスバンドのセル選択では、常に全時間リソースが利用可能であるという前提に基づいているため、「そのセルが使用可能な時間リソース」は考慮されていない。
【0044】
しかしながら、LAAセルが実際に使用可能な時間リソースは、LBTの結果チャネルがクリアであると判断されたチャネル占有可能時間に相当する。すなわち、セル毎にこの「使用可能な時間リソース量」が異なる。また、当該時間リソース量は、セルのRSRP、RUなどとは無関係である。
【0045】
図7は、LAAセル及びWi−Fiカバレッジエリアの配置の一例を示す図である。図7におけるCell #1及びCell #2は、それぞれ同一のオペレータが提供するLAAセルである。また、Cell #1の近くには2つのWi−Fiアクセスポイント(Wi−Fi AP #1、#2)が配置されており、Cell #2のやや離れたところには1つのWi−Fiアクセスポイント(Wi−Fi AP #3)が配置されている。
【0046】
この場合、Wi−Fiによる干渉は、Cell #1の方がCell #2より大きいため、LAAセルが使用可能な時間リソース量は、Cell #1の方がCell #2より小さい。したがって、Cell #1の方が高受信品質、低RUなどの場合であっても、チャネルがクリアな時間がほとんどないのであれば、Cell #2の方が接続セルとして好ましい。ところが、従来のセル選択の指標(例えば、式(1))を用いると、Cell #1が選択されてしまう。
【0047】
このように、各LAAシステムがLBTを行う場合には、ライセンスバンドを前提とした従来のLTEシステムにおけるセル選択方法を用いると、アンライセンスバンドで不適切なセルが選択され、システムのリソース利用効率が低下するおそれがある。
【0048】
そこで、本発明者らは、ユーザ端末がライセンスバンド及びアンライセンスバンドに接続する形態(LAA)において、LAAセルが使用可能な時間リソース量に関する情報を考慮してセル選択を実施することを着想した。具体的には、セル選択に用いる新しいパラメータとして使用可能な時間リソース量を示す指標(CCR:Channel Clear Ratio)を導入し、CCRの高いセルが優先して選択されるようにすることを見出した。
【0049】
CCRは、アンライセンスバンドにおける周辺の他システムも含めた共存状況を反映した指標である。本発明によれば、アンライセンスバンドでLBTを採用する場合であっても、CCRをeNB間で交換することで、アンライセンスバンドにおけるより適切なセル選択を実現することが可能となる。この結果、例えば、通信を行っている他システムが周辺に多く存在するセルを避け、使用可能な時間リソースの割合が多いセルを選択することが可能となる。つまり、アンライセンスバンドにおけるLTEシステムにおいて、より適切な接続セル選択を実現し、リソース利用効率、スループット、ユーザ体感品質などを向上させることができる。
【0050】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、ライセンスバンドの存在を前提としたLTE−Uの運用形態(LAA)においてLBTを利用する場合を例に挙げて説明するが、実施形態はこれに限られない。
【0051】
本発明では、使用可能な時間リソース量を示す指標であるCCRを考慮して、セル選択を実施する。CCRは、無線基地局及び/又はユーザ端末によって測定、保持などされる。そして、セル選択の指標は、CCRが高いほど接続セルとして好ましくなるように算出される。例えば、式(1)の容量Cは、CCRを用いて以下の式(2)のように算出することができる。
【0052】
式(2)
C=BW・(1−RU)・CCR・log(1+SINR)
【0053】
ここで、本発明に係るCCRは、LBTが実施される所定の時間に占めるチャネルがクリアな時間に基づいて算出される指標であり、以下の式(3)で定義することができる。
【0054】
式(3)
CCR=チャネルクリア時間/観測時間
【0055】
ここで、観測時間(観測期間、測定期間、CCRサンプルレートなどともいう)は、LBTが実施された観測対象の時間をいい、例えばLBTサブフレームを有する複数の無線フレームの合計時間のことをいう。また、チャネルクリア時間(チャネルクリア期間、クリア期間、空き期間などともいう)は、観測時間のうちチャネル状態がクリアと判断された時間をいう。例えば、LBTで測定した受信電力が所定の閾値以下である場合は、チャネルはクリアであると判断してもよい。なお、CCRは、本実施形態では式(3)で算出することとするが、これに限られない。CCRは、使用可能な時間リソース量を示す指標であればよく、式(3)以外を用いて定義してもよい。
【0056】
上述のように、CCRは、LBTが実施される所定の時間に占めるチャネルがクリアな時間の割合として算出できる。CCRの算出について、図8〜10を参照して詳細に説明する。図8には、1つのセルにおける複数の無線フレームが示されている。また、図9及び10には、2つのセル(セル1、セル2)それぞれにおける複数の無線フレームが示されている。図8〜10には、LBTにより判断された各フレームのチャネル状態(ビジー又はクリア)が示されている。
【0057】
図8は、本実施形態に係るCCR測定の一例を示す図である。図8において、観測時間(サンプルレート)は200ms、LBT周期は10msとする。つまり、1つのCCRの算出には、20個のLBTサンプル(結果)が必要となる。図8の例では、あるセルの測定結果から得られた20個のLBTサンプル中、クリア状態のサンプル(クリアサンプル)が10、ビジー状態のサンプル(ビジーサンプル)が10であることから、CCR=10/(10+10)=0.5となる。つまり、このセルにおける使用可能な時間リソース量の割合は、50%であるといえる。
【0058】
図9は、各フレームでLBTが常に実施される場合のCCRの一例を示す図である。図9の例では、フレーム長がLBT周期に相当しており、データが送信バッファにない場合であっても、各フレームでLBTが実施される。このように、LBT周期ごとにLBTが実施されるというLBTの構成を、LBT alwaysとも呼ぶ。なお、上述のようにLBTは、信号の送信前のリスニングのことをいうが、本明細書では、単にリスニング(CCA)だけを行う場合も含めてLBTと表現する。
【0059】
LBT alwaysの場合、全フレームが観測時間となり得る。図9の例では、図示される24フレームが観測時間Tである。一方、チャネルクリア時間Tは、セル1では17フレーム、セル2では23フレームである。
【0060】
したがって、図9の例では、セル1のCCRは17/24、セル2のCCRは23/24であるため、セル2の方がCCRが高い。このため、RUなどの他のセル選択判断要素に大きな差がなければ、セル2がベストセルとして選択される。
【0061】
図10は、各フレームでLBTが常には実施されない場合のCCRの一例を示す図である。図10の例では、フレーム長がLBT周期に相当しており、データが送信バッファにある場合に限って、各フレームでLBTが実施される。このように、データがバッファに存在する場合LBT周期ごとにLBTが実施されるが、データがバッファに存在しない場合LBTが実施されないというLBTの構成を、LBT conditionalとも呼ぶ。図10には、LBTにより判断されたチャネル状態に加えて、バッファにデータが存在するフレームが示されている。なお、バッファにデータが存在しないフレームは、LBTが実施されないためチャネル状態が不明である。
【0062】
LBT conditionalの場合、バッファにデータが存在するフレームが観測時間となり得る。図10の例では、図示される24フレームのうち、観測時間Tは、セル1では18フレーム、セル2では19フレームである。一方、チャネルクリア時間Tは、セル1では12フレーム、セル2では5フレームである。
【0063】
したがって、図10の例では、セル1のCCRは12/18、セル2のCCRは5/19であるため、セル1の方がCCRが高い。このため、RUなどの他のセル選択判断要素に大きな差がなければ、セル1がベストセルとして選択される。
【0064】
なお、観測時間T図9では24フレーム)や、観測時間Tを判断するための時間(図10では24フレーム)は、予め所定の時間(例えば、フレーム数)に設定されていてもよいし、観測時間に関する情報(例えば、タイミング、周期、期間など)が上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)や、報知信号によって無線基地局又はユーザ端末に通知されてもよい。
【0065】
(変形例)
セル選択においては、1つの観測時間におけるCCR測定値をそのまま用いるのではなく、所定の演算を行った結果を用いてもよい。例えば、以下の式(4)によってn回目の観測時間におけるCCRの指数移動平均Fを求めてもよい。
【0066】
式(4)
=(1−a)・Fn−1+a・M
【0067】
ここで、Mは直近(今回)の観測時間におけるCCR測定値を表し、Fn−1は前回の指数移動平均値であり、F=Mである。また、aはCCRの平滑化係数(フィルタ係数)であり、例えば0.5を用いてもよい。
【0068】
また、観測時間におけるビジー状態の判断は、LBTで受信電力が閾値を超えた場合にビジーとしても良いが、判断はこれに限られない。例えば、LBTにおける受信信号の種類を考慮して、ビジー状態の判定を行ってもよい。具体的には、受信信号からLTE信号を識別した結果、他のオペレータによるLTE信号によって上記閾値を超える場合には、ビジー状態と判断しなくてもよい。これにより、他のオペレータのLTE−LAAシステムの存在下でもクリア状態と判断することができるため、LTE−LAAシステム間のLBT以外の干渉制御手段を前提として、アンライセンスバンドを積極的に利用してリソース利用効率、スループットなどを向上することができる。
【0069】
なお、上記のLTE信号の識別は、LTEの参照信号(RS:Reference Signal)によって行われてもよい。例えば、参照信号としては、セル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)、同期信号(PSS/SSS:Primary Synchronization Signal/Secondary Synchronization Signal)、位置検出信号(PRS:Positioning Reference Signal)、復調用参照信号(DM−RS)、発見用信号(DS:Discovery Signal)、チャネル状態測定用参照信号(CSI−RS:Channel State Information Reference Signal)などを用いてもよい。また、これらの信号の組み合わせ(例えば、同期信号とCSI−RSの組み合わせ)、アンライセンスバンド用の新しい参照信号(既存の参照信号を変形したものを含む)を用いてもよい。
【0070】
また、上記のLTE信号の識別は、自己相関関数を用いて行われてもよい。LTE及びWi−Fiの両方では、マルチパス遅延による干渉の影響を低減するため、信号のシンボルの末尾部分はコピーされ、当該シンボルの先頭にサイクリックプレフィックス(CP)として挿入される。図11は、LTE及びWi−Fiのシンボル構成の一例を示す図である。図11AはLTEの、図11BはWi−Fiのシンボル構成を示している。図11が示すように、LTE及びWi−Fiでは有効シンボル長が異なるため、CP部分のコピー元との自己相関ピークの間隔が異なる。したがって、受信信号の自己相関行列を求めることで、LTE信号とWi−Fi信号とを区別することができる。
【0071】
なお、LBTはLBTサブフレーム全体で実施してもよいし、その中の一部のシンボル(OFDMシンボル)で実施してもよい。また、LBTを行うサブフレームをセル間で同期するために、バックホールリンク(例えば、光ファイバ、X2インターフェースなど)や無線を介して、LBT構成(LBT configuration)に関する情報をセル間で交換してもよい。LBT構成に関する情報は、例えば、LBTのタイミング、LBT周期、LBT期間、LBT alwaysを用いるか否か、LBT conditionalを用いるか否か、などに関する情報を含んでもよい。さらに、別オペレータのLAAシステムとLBTのタイミングを同期するために、上記のようなLBT構成に関する情報を報知してもよい。
【0072】
(無線基地局におけるCCR測定)
次に、無線基地局におけるCCR測定に基づいたセル選択の実施形態について、具体的に説明する。図12は、本実施形態におけるセル選択に係るシーケンスの一例を示す図である。図12では、ユーザ端末(UE)がライセンスバンドセルを形成する所定の無線基地局(PeNB)のセルにプライマリセルとして接続しており、アンライセンスバンドセルを形成する2つの隣接無線基地局(NeNB #1、#2)のいずれかに対してハンドオーバ又はセカンダリセル追加(SCell addition)を実施する例を示す。なお、ハンドオーバ元となるeNBはソースeNBと呼ばれてもよいし、ハンドオーバ先となるeNBはターゲットeNBと呼ばれてもよい。
【0073】
UEは、メジャメントレポートをPeNBに送信する(ステップS1)。当該メジャメントレポートには、例えばRRMメジャメントによる測定結果(RSRP、RSRQなど)が含まれる。
【0074】
PeNBは、メジャメントレポートに基づいて、アンライセンスバンドセルのハンドオーバ又はセカンダリセル追加の決定を行う(ステップS2)。決定の際は、ハンドオーバ又はセカンダリセル追加の候補となるNeNBを選択する。候補の選択は、メジャメントレポートや、ユーザ端末、NeNBの位置情報などに基づいて行われてもよい。例えば、PeNBは、接続UEにおける現在のセカンダリセルの受信品質が所定の閾値以下であると判断して、ハンドオーバ候補となるセルとして、NeNB#1及び#2を選択する。また、PeNBは、NeNB#1及び#2からのUEの受信品質が所定の閾値以上であると判断して、セカンダリセルの追加候補となるセルとして、NeNB#1及び#2を選択する。
【0075】
一方、NeNB#1、#2は、CCRメジャメントを行う(ステップS3)。CCRメジャメントは、例えば、所定の通知を受信したときに行ってもよいし、一定の周期で行ってもよい。また、CCRメジャメントは、複数のNeNBで異なるタイミングで実施されてもよい。
【0076】
PeNBは、ステップS2で選択した候補セル(NeNB#1、#2)に、アンライセンスバンドセルのハンドオーバ又はセカンダリセル追加の要求を送信する(ステップS4)。一方、上記要求を受信した各NeNBは、ステップS3で測定したCCRを含めて、要求に対する応答確認(request acknowledge(ACK))をPeNBに送信する(ステップS5)。例えば、当該応答確認としては、ハンドオーバ要求確認応答(Handover request acknowledge)であってもよい。
【0077】
なお、図12では、CCRはハンドオーバ又はセカンダリセル追加の要求があったときに返す構成としているが、これに限られない。例えば、周期的に周辺のセル間でCCRを交換する構成としてもよい。また、ステップS3のCCRメジャメントも、ハンドオーバ又はセカンダリセル追加の要求があったときに実施する構成としてもよい。
【0078】
PeNBは、各セルのCCRを考慮して、セル選択を行う。すなわち、PeNBは各セルのCCRを考慮して、ハンドオーバの場合はセカンダリセルから最高のターゲットセルを、セカンダリセル追加の場合は最高のセカンダリセルを選択して、選択したセルをUEの接続セルとして制御する(ステップS6)。ここで、最高のセルの選択指標としては、例えばCCRを考慮した容量C(上記式(2))を用いることができる。また、所定のセル(ターゲットセル)を接続セルとして制御するとは、UEに対してターゲットセルのモビリティ制御情報を含むRRCシグナリング(RRCConnectionReconfiguration)を通知したり、ターゲットセルを形成する基地局に対して、不連続なULデータの転送状況(SN STATUS TRANSFER)を通知したりすることをいうが、これに限られない。
【0079】
(ユーザ端末におけるCCR測定)
次に、ユーザ端末におけるCCR測定に基づいた送信制御の実施形態について説明する。
【0080】
本実施形態の説明の前に、ユーザ端末におけるCCR測定の有用性について述べる。アンライセンスバンドセルでは、他オペレータのLAAシステム/Wi−Fiシステムの干渉を受けることから、同じLTE−Uセルに接続する複数のユーザ端末であっても、干渉状態が異なることが想定される。この場合、LTE−U基地局でのCCR測定では、各ユーザ端末における使用可能な時間リソース量を適切に取得することが困難となる。
【0081】
図13は、本実施形態に係るCCRのユースケースの一例を示す図である。図13Aは、セルの配置シナリオを示す図である。当該シナリオでは、UE #1及びUE #2は同じLTE−Uセルに接続している。UE #1の周辺には2つのWi−Fiアクセスポイント(Wi−Fi AP #1、#2)が存在する一方、UE #2の周辺にはWi−Fiアクセスポイントは存在しない。
【0082】
図13Bは、図13Aのシナリオにおける各UEにおけるCCR測定結果を示す図である。UE #1は、UE #2に比べて低CCRである。この場合、UE #1は、なかなか送信を行うことができず、データの送信完了までの時間が長くなってしまうという問題がある。一方で、UE #1及びUE #2と通信するLTE−U基地局でのCCR測定では、各UE間のCCRの差を取得することができない。
【0083】
ユーザ端末の送信は、無線基地局からの上りグラントの受信に応じて実施される。このため、本実施形態においては、無線基地局は上りグラントを送信する際に、低CCRのUEを優先する制御を行う。これにより、使用可能な時間リソース量が少ないUEに比較的多くの上りグラントを送信することができ、低CCRのUEの送信機会を増加させることができる。
【0084】
本実施形態では、低CCRのUEを優先する制御を行うために、UEにおけるCCRメジャメントと、CCRの報告(CCRメジャメントレポート)を導入する。図14は、本実施形態におけるUEの送信制御に係るシーケンスの一例を示す図である。図14では、2つのユーザ端末(UE #1、#2)が無線基地局(eNB)とアンライセンスバンドで接続している場合の例を示す。
【0085】
eNBは、各UEにCCRメジャメント構成(CCR measurement configuration)を設定する(ステップS11)。CCRメジャメント構成は、CCRの測定/報告タイミングを示す情報を含んでもよく、例えば、CCRメジャメント及び/又はCCRメジャメントレポートが、所定の条件を満たした場合に行われること(event-triggered report)又は周期的に行われること(periodically report)を設定することができる。また、CCRメジャメント構成により、複数のCCR測定結果を1回のメジャメントレポートでまとめて報告するように設定してもよい。
【0086】
各UEは、ステップS11で設定されたCCRメジャメント構成に従って測定したCCRを含めて、フィードバック報告(CCRメジャメントレポート)をeNBに送信する(ステップS12)。なお、CCRメジャメントレポートは、当該eNBに直接アンライセンスバンドを介して送信されてもよいし、ライセンスバンドのULで別のeNBに送信された後、バックホールリンク(例えば、光ファイバ、X2インターフェースなど)を介して当該eNBに通知されてもよい。
【0087】
また、各UEは、送信データが発生した場合に、スケジューリング要求(scheduling request)をeNBに送信する(ステップS13)。
【0088】
eNBは、各UEのCCRを考慮して上りグラントの送信対象となるUEを決定する(ステップS14)。例えば、eNBは、UEごとに所定の期間において上りグラントを送信した回数をカウントし、低CCRのUEに、高CCRのUEに比べてより多くの上りグラントを送信するように制御する。
【0089】
eNBは、ステップS14で決定した送信対象のUEに上りグラントを送信する(ステップS15)。
【0090】
(LTEシステムの既存のシグナリングとCCRとの違い)
従来のLTEシステムでは、無線基地局とユーザ端末との間や無線基地局間において、以下のようなシグナリングが干渉制御のために用いられる。チャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)は、チャネルの受信品質(例えば、SIR(Signal-to-Interference Ratio))を通知するために用いられる。HII(High Interference Indicator)は、あるセルのセル端UEに割り当てるリソースを通知するために用いられる。OI(Overload Indicator)は、高い干渉を受けているリソースを通知するために用いられる。
【0091】
一方、本発明に係るCCRは、使用可能な時間リソースの割合を通知するために用いられる。上述のとおり、Wi−Fiシステムは全帯域を使うため、Wi−Fiからの干渉は「干渉あり(全帯域に干渉がある)」か「干渉なし(全帯域に干渉がない)」かの状態しかない。LAAシステム側では、LBTに基づいて「干渉なし」と判断された時間がどれくらいあるかが重要である。
【0092】
「干渉あり」のときには送信ができないので、干渉量(どれくらい干渉があるか)は大きな問題ではない。つまり、LAAシステムでは、CCRによって「干渉なし」の時間を把握してユーザ端末の接続セル選択を制御することが好ましい。当該時間は、CQI、HII、OIなど従来のLTEシステムのシグナリングでは取得することができない。
【0093】
「干渉なし」のときには、受信品質の高低を把握することが重要であるが、これはRSRP/RSRQやCQIによって取得することができる。
【0094】
なお、上述の各実施形態では、アンライセンスバンドにおける使用可能な時間リソース量に関する情報として、CCRを用いたが、これに限られない。例えば、使用可能な時間リソース量に関する情報として、LBTの結果に基づいて算出される他の指標を利用してもよい。
【0095】
(無線通信システムの構成)
以下、本実施の形態に係る無線通信システムの構成について説明する。
【0096】
図15は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略構成の一例を示す図である。なお、図15に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域幅を1単位とする複数の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を一体としたキャリアアグリゲーション(CA)及び/又はデュアルコネクティビティ(DC)を適用することができる。また、図15に示す無線通信システムは、アンライセンスバンド(LTE−U基地局)を有している。なお、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4G、FRA(Future Radio Access)などと呼ばれても良い。
【0097】
図15に示す無線通信システム1は、マクロセルC1を形成する無線基地局11と、マクロセルC1内に配置され、マクロセルC1よりも狭いスモールセルC2を形成する無線基地局12a〜12cとを備えている。また、マクロセルC1及び各スモールセルC2には、ユーザ端末20が配置されている。例えば、マクロセルC1をライセンスバンドで利用し、スモールセルC2をアンライセンスバンド(LTE−U)で利用する形態が考えられる。また、スモールセルの一部をライセンスバンドで利用し、他のスモールセルをアンライセンスバンドで利用する形態が考えられる。
【0098】
ユーザ端末20は、無線基地局11及び無線基地局12の双方に接続することができる。ユーザ端末20は、異なる周波数を用いるマクロセルC1とスモールセルC2を、CA又はDCにより同時に使用することが想定される。例えば、ライセンスバンドを利用する無線基地局11からユーザ端末20に対して、アンライセンスバンドを利用する無線基地局12(例えば、LTE−U基地局)に関するアシスト情報(DL信号構成)を送信することができる。また、ライセンスバンドとアンライセンスバンドでCAを行う場合、一つの無線基地局(例えば、無線基地局11)がライセンスバンドセル及びアンライセンスバンドセルのスケジュールを制御する構成とすることも可能である。
【0099】
ユーザ端末20と無線基地局11との間は、相対的に低い周波数帯域(例えば、2GHz)で帯域幅が狭いキャリア(既存キャリア、Legacy carrierなどと呼ばれる)を用いて通信を行うことができる。一方、ユーザ端末20と無線基地局12との間は、相対的に高い周波数帯域(例えば、3.5GHz、5GHzなど)で帯域幅が広いキャリアが用いられてもよいし、無線基地局11との間と同じキャリアが用いられてもよい。無線基地局11と無線基地局12との間(又は、2つの無線基地局12間)は、有線接続(光ファイバ、X2インターフェースなど)又は無線接続した構成とすることができる。
【0100】
無線基地局11及び各無線基地局12は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)などが含まれるが、これに限定されるものではない。また、各無線基地局12は、無線基地局11を介して上位局装置30に接続されてもよい。
【0101】
なお、無線基地局11は、相対的に広いカバレッジを有する無線基地局であり、マクロ基地局、集約ノード、eNB(eNodeB)、送受信ポイント、などと呼ばれてもよい。また、無線基地局12は、局所的なカバレッジを有する無線基地局であり、スモール基地局、マイクロ基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、HeNB(Home eNodeB)、RRH(Remote Radio Head)、送受信ポイントなどと呼ばれてもよい。以下、無線基地局11及び12を区別しない場合は、無線基地局10と総称する。各ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでよい。
【0102】
無線通信システムにおいては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域幅を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。なお、上り及び下りの無線アクセス方式は、これらの組み合わせに限られない。
【0103】
無線通信システム1では、下りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)、下りL1/L2制御チャネルなどが用いられる。PDSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報、所定のSIB(System Information Block)が伝送される。また、PBCHにより、MIB(Master Information Block)などが伝送される。
【0104】
下りL1/L2制御チャネルは、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)、EPDCCH(Enhanced Physical Downlink Control Channel)、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)などを含む。PDCCHにより、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報を含む下り制御情報(DCI:Downlink Control Information)などが伝送される。PCFICHにより、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICHにより、PUSCHに対するHARQの送達確認信号(ACK/NACK)が伝送される。EPDCCHは、PDSCH(下り共有データチャネル)と周波数分割多重され、PDCCHと同様にDCIなどを伝送するために用いられてもよい。
【0105】
無線通信システム1では、上りリンクのチャネルとして、各ユーザ端末20で共有される上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)、ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)などが用いられる。PUSCHにより、ユーザデータや上位レイヤ制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、送達確認信号などが伝送される。PRACHにより、セルとの接続確立のためのランダムアクセスプリアンブル(RAプリアンブル)が伝送される。
【0106】
図16は、本実施の形態に係る無線基地局10(無線基地局11及び12を含む)の全体構成図である。無線基地局10は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。なお、送受信部103は、送信部及び受信部から構成されてもよい。
【0107】
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
【0108】
ベースバンド信号処理部104では、ユーザデータに関して、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御(例えば、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)の送信処理)、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理などの送信処理が行われて各送受信部103に転送される。また、下り制御信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換などの送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
【0109】
また、ベースバンド信号処理部104は、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、報知情報など)により、ユーザ端末20に対して、当該セルにおける通信のための制御情報(システム情報)を通知する。当該セルにおける通信のための情報には、例えば、上りリンクにおけるシステム帯域幅、下りリンクにおけるシステム帯域幅などが含まれる。
【0110】
また、ライセンスバンドにおいて無線基地局(例えば、無線基地局11)からユーザ端末20に対して、アンライセンスバンドの通信に関するアシスト情報(例えば、DL TPC情報など)を送信してもよい。
【0111】
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換して送信する。送受信部103で周波数変換された無線周波数信号は、アンプ部102により増幅され、送受信アンテナ101から送信される。送受信部103は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置とすることができる。
【0112】
一方、上り信号については、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅される。各送受信部103はアンプ部102で増幅された上り信号を受信する。送受信部103は、受信信号をベースバンド信号に周波数変換して、ベースバンド信号処理部104に出力する。
【0113】
ベースバンド信号処理部104では、入力された上り信号に含まれるユーザデータに対して、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理、逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse Discrete Fourier Transform)処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放などの呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
【0114】
伝送路インターフェース106は、所定のインターフェースを介して、上位局装置30と信号を送受信する。また、伝送路インターフェース106は、基地局間インターフェース(例えば、光ファイバ、X2インターフェース)を介して隣接無線基地局と信号を送受信(バックホールシグナリング)してもよい。例えば、伝送路インターフェース106は、隣接無線基地局との間で、使用可能な時間リソース量に関する情報(例えば、CCR)を送受信してもよい。
【0115】
図17は、本実施の形態に係る無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104の主な機能構成図である。なお、図17では、本実施の形態における特徴部分の機能ブロックを主に示しており、無線基地局10は、無線通信に必要な他の機能ブロックも有しているものとする。
【0116】
図17に示すように、無線基地局10(無線基地局11及び無線基地局12を含む)は、制御部(スケジューラ)301と、送信信号生成部302と、マッピング部303と、受信信号処理部304と、測定部305と、取得部306と、を有している。本実施形態では、無線基地局11がライセンスバンドを利用し、無線基地局12がアンライセンスバンドを利用する構成とする。この場合、無線基地局11は、測定部305を有しなくてもよく、無線基地局12では、取得部306が伝送路インターフェース106を介してLBT結果を取得しなくてもよい。なお、各無線基地局が利用するライセンスバンド/アンライセンスバンドは、上記構成に限られない。
【0117】
制御部(スケジューラ)301は、PDSCHで送信される下りデータ信号、PDCCH及び/又は拡張PDCCH(EPDCCH)で伝送される下り制御信号のスケジューリングを制御する。また、システム情報、同期信号、CRS、CSI−RSなどの下り参照信号などのスケジューリングの制御も行う。また、上り参照信号、PUSCHで送信される上りデータ信号、PUCCH及び/又はPUSCHで送信される上り制御信号、PRACHで送信されるRAプリアンブルなどのスケジューリングを制御する。なお、ライセンスバンドとアンライセンスバンドに対して一つの制御部(スケジューラ)301でスケジューリングを行う場合、制御部301は、ライセンスバンドセル及びアンライセンスバンドセルの通信を制御する(例えば、リソース割り当てを制御する)。制御部301は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路又は制御装置とすることができる。
【0118】
また、制御部301は、取得部306から入力される使用可能な時間リソース量に関する情報(例えば、CCR)に基づいて、アンライセンスバンドにおけるユーザ端末20の通信を制御する。ここで、制御部301による通信の制御は、制御部301が搭載される無線基地局10が、ライセンスバンドを利用する無線基地局11であるかアンライセンスバンドを利用する無線基地局12であるかによって異なる。無線基地局11では、アンライセンスバンドのハンドオーバ又はセカンダリセル追加の制御が実施され、無線基地局12では、ユーザ端末20に対するアンライセンスバンドのULグラントの送信制御が実施される。
【0119】
例えば、無線基地局11において、取得部306が伝送路インターフェース106を介して、アンライセンスバンドを利用する無線基地局12(LTE−U基地局)の通知からCCRを取得した場合、制御部301は、CCRに基づいて、無線基地局12をユーザ端末20の接続セルとして制御することができる(無線基地局におけるCCR測定の実施形態)。この場合、制御部301は、複数の無線基地局12から得た各セルのCCRを考慮して、ハンドオーバ又はセカンダリセル追加の対象となるアンライセンスバンドセルを選択する。ここで、選択の指標としては、例えばCCRを考慮した容量C(上記式(2))を用いることができる。
【0120】
また、無線基地局12において、制御部301は、伝送路インターフェース106を介して、他の無線基地局10(例えば、ライセンスバンドを利用する無線基地局11)に使用可能な時間リソース量に関する情報(例えば、CCR)を通知するように制御してもよい。当該通知は、周期的に行われてもよいし、他の無線基地局10からのハンドオーバ要求又はセカンダリセル追加要求に対する応答に含めて通知してもよい。
【0121】
また、無線基地局12において、取得部306が受信信号処理部304を介して、アンライセンスバンドを利用するユーザ端末20のフィードバック報告(CCRメジャメントレポート)からCCRを取得した場合、制御部301は、CCRに基づいて、ユーザ端末20にULグラントを通知するか否かを制御することができる(ユーザ端末におけるCCR測定の実施形態)。この場合、制御部301は、複数のユーザ端末20から得た各ユーザ端末20におけるCCRを考慮して、低CCRのユーザ端末20へのULグラントの送信を優先的に行うように制御する。
【0122】
また、無線基地局12において、制御部301は、送受信部103を介してユーザ端末20にLBTのタイミング及び/又はフィードバック報告の送信タイミングに関する情報をアンライセンスバンドで送信するように制御してもよい。なお、当該情報については、無線基地局11において、ライセンスバンドで送信するように同様の制御がされてもよい。
【0123】
送信信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、DL信号(下り制御信号、下りデータ信号、下り参照信号など)を生成して、マッピング部303に出力する。例えば、送信信号生成部302は、制御部301からの指示に基づいて、下り信号の割り当て情報を通知するDLアサインメント及び上り信号の割り当て情報を通知するULグラントを生成する。また、下りデータ信号には、各ユーザ端末20からのCSIなどに基づいて決定された符号化率、変調方式などに従って符号化処理、変調処理が行われる。また、送信信号生成部302は、アンライセンスバンドにおける測定指示、及び/又は測定結果のフィードバック指示に関する情報を下り制御信号に含めてもよい。送信信号生成部302は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号生成器又は信号生成回路とすることができる。
【0124】
マッピング部303は、制御部301からの指示に基づいて、送信信号生成部302で生成された下り信号を無線リソースにマッピングして、送受信部103に出力する。マッピング部303は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるマッピング回路又はマッパーとすることができる。
【0125】
受信信号処理部304は、ユーザ端末から送信されるUL信号(例えば、送達確認信号(HARQ−ACK)、PUSCHで送信されたデータ信号など)に対して、受信処理(例えば、デマッピング、復調、復号など)を行う。なお、処理結果は制御部301に出力されてもよい。受信信号処理部304は、ユーザ端末20から送信されるフィードバック報告(CCRメジャメントレポート)を検出した場合には、取得部306へ出力する。受信信号処理部304は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号処理器又は信号処理回路とすることができる。
【0126】
測定部305は、受信した信号を用いて受信電力(RSRP)やチャネル状態について測定する。また、無線基地局12においては、測定部305はアンライセンスバンドでLBTを実施し、LBTの結果(例えば、チャネル状態がクリアであるかビジーであるかの判定結果)を、取得部306に出力する。測定部305は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される測定器又は測定回路とすることができる。
【0127】
取得部306は、使用可能な時間リソース量に関する情報を取得する。例えば、無線基地局11においては、伝送路インターフェース106を介して、無線基地局12(LTE−U基地局)の通知からCCRを取得する。また、無線基地局12においては、ユーザ端末20からフィードバックされた測定結果(CCRメジャメントレポート)からCCRを取得する。また、取得部306は、自局の測定部305で実施したLBTの結果を用いてCCRを取得してもよい。取得部306は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される演算器又は演算回路とすることができる。
【0128】
図18は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成図である。ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205と、を備えている。なお、送受信部203は、送信部及び受信部から構成されてもよい。
【0129】
複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号は、それぞれアンプ部202で増幅される。各送受信部203はアンプ部202で増幅された下り信号を受信する。送受信部203は、受信信号をベースバンド信号に周波数変換して、ベースバンド信号処理部204に出力する。送受信部203は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置とすることができる。送受信部203は、ライセンスバンド及びアンライセンスバンドでDL/UL信号の送受信が可能である。
【0130】
ベースバンド信号処理部204は、入力されたベースバンド信号に対して、FFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理などを行う。下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。また、下りリンクのデータのうち、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
【0131】
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御の送信処理(例えば、HARQの送信処理)や、チャネル符号化、プリコーディング、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)処理、IFFT処理などが行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換して送信する。送受信部203で周波数変換された無線周波数信号は、アンプ部202により増幅され、送受信アンテナ201から送信される。
【0132】
図19は、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204の主な機能構成図である。なお、図19においては、本実施の形態における特徴部分の機能ブロックを主に示しており、ユーザ端末20は、無線通信に必要な他の機能ブロックも有しているものとする。
【0133】
図19に示すように、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部204は、制御部401と、送信信号生成部402と、マッピング部403と、受信信号処理部404と、測定部405と、取得部406と、を有している。
【0134】
制御部401は、無線基地局10から送信された下り制御信号(PDCCH/EPDCCHで送信された信号)及び下りデータ信号(PDSCHで送信された信号)を、受信信号処理部404から取得する。制御部401は、下り制御信号や、下りデータ信号に対する再送制御の要否を判定した結果などに基づいて、上り制御信号(例えば、送達確認信号(HARQ−ACK)など)や上りデータ信号の生成を制御する。具体的には、制御部401は、送信信号生成部402及びマッピング部403の制御を行う。制御部401は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路又は制御装置とすることができる。
【0135】
また、制御部401は、取得部406で取得した使用可能な時間リソース量に関する情報(例えば、CCR)を、フィードバック報告(CCRメジャメントリポート)に含んで無線基地局10に送信するように制御する。
【0136】
送信信号生成部402は、制御部401からの指示に基づいて、UL信号(上り制御信号、上りデータ信号、上り参照信号など)を生成して、マッピング部403に出力する。例えば、送信信号生成部402は、制御部401からの指示に基づいて、送達確認信号(HARQ−ACK)やチャネル状態情報(CSI)などの上り制御信号を生成する。また、送信信号生成部402は、制御部401からの指示に基づいて上りデータ信号を生成する。例えば、制御部401は、無線基地局10から通知される下り制御信号にULグラントが含まれている場合に、送信信号生成部402に上りデータ信号の生成を指示する。送信信号生成部402は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号生成器又は信号生成回路とすることができる。
【0137】
マッピング部403は、制御部401からの指示に基づいて、送信信号生成部402で生成された上り信号を無線リソースにマッピングして、送受信部203へ出力する。マッピング部403は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるマッピング回路又はマッパーとすることができる。
【0138】
受信信号処理部404は、ライセンスバンド、アンライセンスバンドで送信されるDL信号(例えば、無線基地局から送信された下り制御信号、PDSCHで送信された下りデータ信号など)に対して、受信処理(例えば、デマッピング、復調、復号など)を行う。なお、処理結果は制御部401に出力されてもよい。受信信号処理部404は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される信号処理器又は信号処理回路とすることができる。
【0139】
測定部405は、受信した信号を用いて受信電力(RSRP)やチャネル状態について測定する。また、測定部405はアンライセンスバンドでLBTを実施し、LBTの結果(例えば、チャネル状態がクリアであるかビジーであるかの判定結果)を、取得部406に出力する。測定部405は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される測定器又は測定回路とすることができる。
【0140】
取得部406は、使用可能な時間リソース量に関する情報を取得して、制御部401に出力する。例えば、取得部406は、測定部405で実施したLBTの結果を用いてCCRを取得する。取得部406は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明される演算器又は演算回路とすることができる。
【0141】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した2つ以上の装置を有線又は無線で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0142】
例えば、無線基地局10やユーザ端末20の各機能の一部又は全ては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを用いて実現されても良い。また、無線基地局10やユーザ端末20は、プロセッサ(CPU)と、ネットワーク接続用の通信インターフェースと、メモリと、プログラムを保持したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体と、を含むコンピュータ装置によって実現されてもよい。
【0143】
ここで、プロセッサやメモリなどは情報を通信するためのバスで接続される。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、CD−ROM、RAM、ハードディスクなどの記憶媒体である。また、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。また、無線基地局10やユーザ端末20は、入力キーなどの入力装置や、ディスプレイなどの出力装置を含んでいてもよい。
【0144】
無線基地局10及びユーザ端末20の機能構成は、上述のハードウェアによって実現されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実現されてもよいし、両者の組み合わせによって実現されてもよい。プロセッサは、オペレーティングシステムを動作させてユーザ端末の全体を制御する。また、プロセッサは、記憶媒体からプログラム、ソフトウェアモジュールやデータをメモリに読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。ここで、当該プログラムは、上記の各実施形態で説明した各動作を、コンピュータに実行させるプログラムであれば良い。例えば、ユーザ端末20の制御部401は、メモリに格納され、プロセッサで動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。
【0145】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。例えば、上述の各実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0146】
本出願は、2014年7月11日出願の特願2014−143510に基づく。この内容は、全てここに含めておく。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19