(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239779
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】焼結煙道ガスの廃熱を分類して回収利用による汚染物質排出削減プロセスおよびそのシステム
(51)【国際特許分類】
C22B 1/20 20060101AFI20171120BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
C22B1/20 P
C22B1/20 N
F27D17/00 101Z
F27D17/00 104G
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-549556(P2016-549556)
(86)(22)【出願日】2015年9月22日
(65)【公表番号】特表2017-517624(P2017-517624A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】CN2015090218
(87)【国際公開番号】WO2016155267
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2016年7月29日
(31)【優先権主張番号】201510140855.9
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】509031567
【氏名又は名称】中国科学院過程工程研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】516229494
【氏名又は名称】北京科博思▲創▼▲環▼境工程有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】朱 廷▲ユウ▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 文青
(72)【発明者】
【氏名】万 斌
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲運▼法
【審査官】
祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−523912(JP,A)
【文献】
特開2004−332001(JP,A)
【文献】
特開昭57−110628(JP,A)
【文献】
米国特許第04501609(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結煙道ガスを低温高酸素低湿段の焼結煙道ガス、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガス及び高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスに分ける、焼結煙道ガスの廃熱を分類して回収利用による汚染物質排出削減プロセスであって、低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、焼結機に導入され、熱風点火と熱風焼結とに用いられ、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガスは、脱硫処理して排出され、高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、冷却機の排ガスと混合して焼結機に導入され、熱風焼結に用いられ、
低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの温度を50〜100℃、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガスの温度を100〜250℃、高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの温度を250〜350℃とし、
低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの酸素含有量が18〜21%であり、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガスの酸素含有量が11〜15%であり、高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの酸素含有量が18〜21%であり、
低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの湿度が0〜4%であり、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガスの湿度が4〜10%であり、高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの湿度が0〜4%である焼結煙道ガスの廃熱を分類して回収利用による汚染物質排出削減プロセス。
【請求項2】
焼結過程の各入熱及び出熱量を計算し、焼結機のCFD動的熱伝達モデルを作成し、焼結原料の配合比率、布の厚さ、送風機のスロットル開度及び焼結機の運転速度を調節し、焼結機における焼結煙道ガスの温度、酸素ガス及び湿度の分布を制御することにより、焼結煙道ガスを低温高酸素低湿段の焼結煙道ガス、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガス及び高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスに分けることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、除塵して焼結機に導入され、熱風点火と熱風焼結とに用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、除塵処理して冷却機の排ガスと混合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスと混合する冷却機の排ガスは、冷却機の排ガス総量に対して25〜35%であり、
焼結機に導入される高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、焼結煙道ガス総量に対して15〜25%であり、
焼結機に導入される低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、焼結煙道ガス総量に対して15%〜25%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のプロセスを実現するためのシステムであって、焼結機を備え、前記焼結機の風箱が低温高酸素低湿段の風箱、中温低酸素高湿段の風箱及び高温高酸素低湿段の風箱に分けられ、前記低温高酸素低湿段の風箱がそれぞれ焼結機の点火炉及び焼結機の熱風シールカバーに接続され、前記中温低酸素高湿段の風箱が脱硫装置に接続され、前記高温高酸素低湿段の風箱が混合室を介して焼結機のシール熱風フードに接続され、前記混合室が冷却機にさらに接続されるシステム。
【請求項7】
前記低温高酸素低湿段の風箱は、除塵装置に接続された後に、それぞれ焼結機の点火炉及び焼結機の熱風シールカバーに接続され、
前記中温低酸素高湿段の風箱は、除塵装置に接続された後に、脱硫装置及び煙突に順に接続され、
前記高温高酸素低湿段の風箱は、除塵装置に接続された後に、混合室に接続されることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記除塵装置は、サイクロン除塵機、バッグ除塵機又は電気バッグ除塵機のうちの1種又は2種以上の組み合わせであり、
前記脱硫装置は、循環流動床半乾式脱硫装置、SDA脱硫装置又は湿式脱硫装置のうちの1種又は2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記焼結機の頭部と尾部とにいずれもハウジングが設けられ、前記ハウジングのシール方式が負圧ラビリンスシールであることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金業界の焼結生産の技術分野に属し、焼結煙道ガスの廃熱を分類して回収利用プロセス・システムに関し、具体的には、焼結煙道ガスの廃熱を分類して回収利用による汚染物質排出削減プロセスおよびそのシステムに関し、より具体的には、煙道ガスの異なる温度、酸素ガス濃度及び湿度の排出特徴に基づく焼結煙道ガスの廃熱を分類して回収利用による汚染物質排出削減プロセスおよびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼産業は高汚染産業に属し、鉄鉱石の焼結生産過程で大量の煙道ガスが発生し、例えば、1台の495
m2焼結機の通常運転の場合、1時間当たりの煙道ガス排出量は120万標準立方メートル(
Nm3/h)以上であり、また、我が国の焼結機の漏風率が高く(40%〜50%)及び固形物の循環率が高いため、相当量の空気が焼結混合物層を通過せず、1トンの焼結鉱を生産する毎に約4000〜6000
m3の煙道ガスが発生する。焼結煙道ガスは、主に煙道ガス量が大きく、温度が高く、粉塵混入量が多く、CO含有量が高く、二酸化硫黄(
SO2)の濃度が低く、含水量が高く、腐食性ガス及びダイオキシン類物質を含む等の特徴を有するものであり、焼結煙道ガスは排出源が集中し、総量が高いため、局地の大気品質への影響が大きく、深刻な環境汚染問題になるため、環境保護と排出削減の効果を達成するように、焼結煙道ガスに対して汚染物質の浄化を行う必要がある。
【0003】
鉄鋼焼結のエネルギー消費量は、鉄鋼生産のエネルギー消費総量に対して約8%〜10%であり、鉄鋼生産において製鉄に次いで二番目に高い。52%の熱量が顕熱として焼結機の主煙道(24%)と冷却機(28%)から大気へ排出され、統計によると、我が国の焼結工程における廃熱利用率が30%未満であり、焼結煙道ガスの利用率がほぼゼロである。焼結過程の熱源の約80%が固体燃料の燃焼から由来であるが、現在、我が国の焼結工程が国外の先進レベルに比べて平均的に20キログラム標準炭/トン(kgce/t)も上回り、中小型製鉄所の格差がもっと大きく、約25kgce/t上回り、国内外の各工場間の格差も大きい。従って、我が国の焼結作業は、省エネルギーについて潜在力が極めて大きく、焼結工程の省エネルギーを図ることは、鉄鋼生産の1トンの鉄鋼あたりのエネルギー消費量の低下、生産コストの削減に対して重要な意味を持っていることである。そこで、固体燃料消費量の低下と煙道ガス顕熱の利用は、焼結工程のエネルギー消費量を低下させるための主なる方針である。
【0004】
焼結過程は全体的に言うと酸化過程であり、酸素ガスが燃料の燃焼に用いられる以外に、焼結鉱の鉱化をサポートする必要がなり、循環煙道ガスの酸素含有量が18%未満である場合、焼結鉱の各物理的及び化学的指標が急激に低下するため、循環煙道ガスにおける酸素含有量を確保しなければならない。焼結混合物の燃焼過程で、その含有水分が完全に脱除されて水蒸気の形態で焼結煙道ガスに入られ、水蒸気の含有量が焼結鉱の各物理的及び化学的指標に影響を与え、水蒸気の含有量が8%を超える場合、焼結鉱の各指標がいずれも低下してしまう。
【0005】
焼結煙道ガスの廃熱は主に以下の利用形態によって利用されている。1.燃料ガスの消費量を節約するように、焼結煙道ガスを回収して、点火、保温炉燃焼用空気として使用する。2.熱風焼結を行って焼結鉱の品質を改善する。3.廃熱ボイラで煙道ガスの廃熱を回収して蒸気を生成し、生成された蒸気は混合物の予熱に用いられており、固体燃料の消費量を低下させるだけでなく、焼結過程における過湿現象を軽減させることができる一方、蒸気は蒸気タービンによって発電することができる。
【0006】
CN 101893384Aは、煙道ガスによって焼結鉱中の高温空気を分類して収集し、冷却機の排ガスと混合し、焼結機の熱風カバー内に導入し、熱風焼結に携わる。この発明は、焼結鉱中の燃料の十分な燃焼に有利であり、且つ焼結鉱の品質を向上させ、固体燃料を節約することができる。しかしながら、焼結煙道ガスが分類して利用されず、焼結煙道ガスの廃熱の利用率が低く、循環煙道ガスの酸素ガス含有量、湿度の焼結鉱の品質及び歩留りに対する影響が配慮されていない。CN 101024143は、焼結機の主煙道から一部の煙道ガスを取って焼結機上部のシールカバー内に戻させて循環させるとともに、焼結機の燃焼に必要な酸素ガスを補給し、残りの煙道ガスを脱硫処理して排出するものである。この発明は、循環煙道ガスの酸素含有量が高いので、焼結鉱中の燃料の十分な燃焼に有利である。しかしながら、焼結煙道ガスの廃熱資源の利用率が低く、煙道ガスの湿度の焼結鉱に対する影響が配慮されていない。CN 101832572Bは、焼結機の主煙道尾部の風箱から煙道ガスを導出して廃熱ボイラによって熱交換した後に、脱硫除塵処理して排出し、この発明は誘引ファンを省き、圧力差によって煙道ガスを導入して熱交換するが、汚染物質の排出削減の作用を果たしていない。CN 104132550Aは、焼結機の主煙道を3段に分け、高温中間硫黄含有量段の煙道ガスを吸引して焼結機の台車シールカバー内に戻して循環させるとともに、焼結機の燃焼に必要な酸素ガスを補給し、この発明は煙道ガス循環によって省エネルギー・排出削減の目的を達成し、焼結煙道ガスの硫黄を容易に除去することができるが、排ガスの循環量が小さく、省エネルギー・排出削減の効果が低く、且つ煙道ガス湿度の焼結鉱生産に対する影響が配慮されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の課題に鑑み、本発明は、焼結工程の熱量分布を研究し、焼結煙道ガスの酸素ガス含有量及び湿度の焼結鉱に対する影響を配慮し、焼結煙道ガスの廃熱を分類して回収し、一部の冷却機の排ガスと組み合わせて回収利用し、更に省エネルギー・排出削減を実現する製鉄所の廃熱利用プロセスを提供する。
【0008】
従って、本発明は、従来技術の欠陥に対して、焼結鉱の品質及び歩留りを確保する前提で、廃熱を分類して利用し、汚染物質の総量を減少させるとともにその濃度を制御することができる焼結煙道ガスの廃熱利用及び汚染物質排出削減プロセス並びにシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を実現するために、本発明は下記の技術的手段を採用している。
焼結煙道ガスの廃熱を分類して回収利用による汚染物質排出削減プロセスは、焼結煙道ガスの温度、酸素含有量及び湿度の排出特徴に基づいて、焼結機の主煙道の各風箱の焼結煙道ガスを、低温高酸素低湿段の焼結煙道ガス、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガス及び高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスに分け、低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、焼結機に導入され、熱風点火と熱風焼結に用いられ、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガスは、脱硫処理して排出され、高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、冷却機の排ガスと混合して焼結機に導入され、熱風焼結に用いられる。
【0010】
本発明は、焼結過程の各入熱及び出熱量を計算し、焼結機のCFD動的熱伝達モデルを作成し、焼結原料の配合比率、布の厚さ、送風機のスロットル開度及び焼結機の運転速度を調節し、焼結機における焼結煙道ガスの温度、酸素ガス及び湿度の分布を制御することにより、低温高酸素低湿段の焼結煙道ガス、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガス及び高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスを詳細調節して風箱から導出し、焼結機の焼結煙道ガスの領域結合排出を行い、省エネルギー・排出削減の目的を達成する。具体的には、本発明は、焼結原料の配合比率、布の厚さ、送風機のスロットル開度及び焼結機の運転速度を変えることによって、焼結層の通気性と高温保持時間を変え、焼結層に対して廃熱で熱量補給を行って熱量分布を変えことにより、焼結煙道ガスの温度、酸素ガス及び湿度の分布を調節して、焼結煙道ガスを低温高酸素低湿、中温低酸素高湿、高温高酸素低湿という3つの排出段に分け、その温度、酸素含有量及び湿度分布の特徴に基づいて分類して処理する。焼結煙道ガスを回収利用することにより、焼結鉱に熱量を補給するだけでなく、燃焼していない一酸化炭素を再燃焼させるとともに焼結機に入れられた焼結煙道ガスが高温でダイオキシンを分解させることで、汚染物質の浄化を実現する。また、高温によって窒素酸化物の排出量を低下させることもできる。焼結煙道ガスの廃熱を分類して利用することにより、燃料を節約し、且つ煙道ガスの循環において、単位焼結鉱の焼結過程における汚染物質の排出量を減少させることができる。
【0011】
好ましくは、低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、除塵して焼結機に導入され、熱風点火と熱風焼結に用いられる。
好ましくは、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガスは、除塵及び脱硫処理して、
SO2が国家排出標準に達する次第に排出される。
【0012】
好ましくは、高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、除塵処理して冷却機の排ガスと混合する。
本発明は、焼結機の主煙道の頭部と尾部の風箱(即ち、焼成完了点の位置における左右風箱)の煙道ガスを導出して除塵した後、焼結冷却機から引き出された冷却煙道ガスと混合室で混合して焼結台車の焼結混合物層に循環させて回収利用し、焼結煙道ガスの廃熱を十分に利用することが図れる。
【0013】
また、上記プロセスによって焼結機の煙道ガスの酸素ガス濃度と湿度を制御し、焼結鉱の品質と歩留りを確保することができる。
好ましくは、低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの温度が50〜100℃、例えば55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃又は95℃であり、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガスの温度が100〜250℃、例えば110℃、120℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、230℃又は240℃であり、高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの温度が250〜350℃、例えば260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、310℃、320℃、330℃又は340℃である。
【0014】
好ましくは、低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの酸素含有量が18〜21%、例えば18.2%、18.4%、18.6%、18.8%、19%、19.2%、19.4%、19.6%、19.8%、20%、20.2%、20.4%、20.6%、20.8%、21%、21.2%、21.4%、21.6%又は21.8%であり、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガスの酸素含有量が11〜15%、例えば11.2%、11.4%、11.6%、11.8%、12%、12.2%、12.4%、12.6%、12.8%、13%、13.2%、13.4%、13.6%、13.8%、14%、14.2%、14.4%、14.6%又は14.8%であり、高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの酸素含有量が18〜21%、例えば18.2%、18.4%、18.6%、18.8%、19%、19.2%、19.4%、19.6%、19.8%、20%、20.2%、20.4%、20.6%、20.8%、21%、21.2%、21.4%、21.6%又は21.8%である。
【0015】
好ましくは、低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの湿度が0〜4%、例えば0.3%、0.6%、0.9%、1.2%、1.5%、1.8%、2.1%、2.4%、2.7%、3%、3.3%、3.6%又は3.9%であり、中温低酸素高湿段の焼結煙道ガスの湿度が4〜10%、例えば4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%又は9.5%であり、高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスの湿度が0〜4%、例えば0.3%、0.6%、0.9%、1.2%、1.5%、1.8%、2.1%、2.4%、2.7%、3%、3.3%、3.6%又は3.9%である。
【0016】
好ましくは、廃熱資源を最大限に利用するために、高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスと混合する冷却機の排ガス(即ち、冷却機の排ガスの中温段(煙道ガス温度が約250℃))は冷却機の排ガスの総量に対して25〜35体積%であり、例えば25.2〜29体積%、26〜31体積%、29.5〜32.4体積%、30.0%体積等であってもよい。
【0017】
好ましくは、廃熱資源を最大限に利用するために、焼結機に導入する高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは焼結煙道ガス総量に対して15〜25体積%であり、例えば15.3〜18.5体積%、17〜23体積%、20.5〜22体積%、23.0体積%等であってもよい。高温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは、焼結機の焼成完了点での左右風箱に位置し、約風箱総数の1/6〜1/4を占める煙道ガスである。
【0018】
好ましくは、廃熱資源を最大限に利用し、汚染制御施設の運転コストを節約するために、焼結機に導入する低温高酸素低湿段の焼結煙道ガスは焼結煙道ガス総量に対して15%〜25%であり、例えば15.3〜18.5%、17〜23%、20.5〜22%、23.0%等であってもよい。低温高酸素低湿段の煙道ガスは焼結機頭部の点火と保温段に位置し、約風箱総数の1/5を占める。
【0019】
前記焼結煙道ガス総量とは、焼結機主煙道の各風箱における焼結煙道ガスの体積の合計である。
本発明は、上記のようなプロセスを実現するシステムであって、風箱が低温高酸素低湿段の風箱、中温低酸素高湿段の風箱及び高温高酸素低湿段の風箱に分けられた焼結機を備え、前記低温高酸素低湿段の風箱はそれぞれ焼結機の点火炉及び焼結機の熱風シールカバーに接続され、前記中温低酸素高湿段の風箱が脱硫装置に接続され、前記高温高酸素低湿段の風箱が混合室を介して焼結機の熱風シールカバーに接続され、前記混合室に、さらに冷却機が接続されるシステムを提供する。
【0020】
好ましくは、前記低温高酸素低湿段の風箱は、除塵装置に接続された後に、それぞれ焼結機の点火炉及び焼結機の熱風シールカバーに接続される。
好ましくは、前記中温低酸素高湿段の風箱は、除塵装置に接続された後に、脱硫装置及び煙突に順に接続される。
【0021】
好ましくは、前記高温高酸素低湿段の風箱は、除塵装置に接続された後に、混合室に接続される。
本発明に係る除塵装置は、焼結煙道ガス中の粒径が大きい粒子を除去することに用いられ、好ましくは、前記除塵装置は、サイクロン除塵機、バッグ除塵機又は電気バッグ除塵機のうちの1種又は2種以上の組み合わせである。
【0022】
好ましくは、前記脱硫装置は、循環流動床半乾式脱硫装置、SDA脱硫装置又は湿式脱硫装置のうちの1種又は2種以上の組み合わせである。
好ましくは、前記焼結機の頭部と尾部とにいずれもハウジングが設けられ、前記ハウジングは、焼結煙道ガスに対してシール作用を果たし、そのシール方式が負圧ラビリンスシールである。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、煙道ガス温度、酸素含有量及び湿度の排出特徴に基づき、焼結煙道ガスを分類して循環させ、焼結鉱の品質と歩留りが影響を受けないことを確保し、汚染物質の排出総量を低下させる。且つ、焼結煙道ガスの循環システムを合理的に配置することによって、異なる温度段の廃熱品質と熱的特性に基づき、焼結煙道ガスを分類して回収し、段階的に利用し、焼結低温廃熱の回収効率を向上させる。本発明に係るプロセスは、省エネルギーで環境に優しく、焼結煙道ガスの廃熱利用と煙道ガスの排出削減制御を実現することができる。
【0024】
本発明に係るプロセスは、熱力学パラメータ及び操作条件を調整し、モジュール化操作を行うことによって、焼結機の領域結合排出を実現し、従来の廃熱利用プロセスに比べて、以下の利点を有する。
【0025】
1、熱量補給を制御して、焼結層の高温段の保持時間を変え、焼結機の各風箱の酸素ガス濃度、湿度及び温度のカップリング分布を調節し、焼結煙道ガスの廃熱をセグメント化して利用することにより、廃熱の利用効率を合理的に向上させる。酸素ガス含有量及び湿度の焼結鉱に対する影響を配慮し、循環煙道ガスの酸素含有量と含水量を確保し、風補給ファンの使用を減少させる。
【0026】
2、焼結煙道ガスを循環させ、熱風点火と熱風焼結とを行い、一酸化炭素を再燃焼させることにより、工程のエネルギー消費量を低下させ、焼結工程のエネルギー消費量を8%程度(約4.5〜5kgce/t−s)低下させることができる。
【0027】
3、焼結煙道ガスを焼結機に循環させ、高温でダイオキシンが分解され、窒素酸化物が触媒によって吸収され、ダイオキシン類物質の濃度を30%以上低下させ、煙道ガス排出総量を20%以上減少させることで、環境保護に寄与する。
【0028】
4、廃熱ボイラが取り付けられていない焼結機に応用すると、省エネルギーの効果がより著しく、廃熱ボイラ装置の投資を節約することができる。
5、ガス総量を大幅に減少させ、焼結用の電気除塵機と脱硫装置の負荷を著しく軽減させ、環境保護施設の運転費用を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
[
図1]本発明に係る具体的な実施例1のシステム模式図である。
[
図2]本発明に係る焼結煙道ガスの温度、湿度が焼結機長さによって変化するパターンを示す図である。
【0030】
[
図3]本発明に係る焼結煙道ガスの温度、O2濃度が焼結機長さによって変化するパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら具体的な実施形態によって本発明の技術的手段を更に説明する。
具体的な実施例:
図1に示すように、前記システムは、焼結機1を備え、○1〜○4が低温高酸素低湿段の風箱であり、○5〜○18が中温低酸素高湿段の風箱であり、○19〜○22が高温高酸素低湿段の風箱であり、前記低温高酸素低湿段の風箱○1〜○4が除塵装置に接続された後に、それぞれ焼結機1の点火炉2及び焼結機1の熱風シールカバー4に接続され、前記中温低酸素高湿段の風箱○5〜○18が除塵装置に接続された後に、脱硫装置9及び煙突10に順に接続され、前記高温高酸素低湿段○19〜○22が除塵装置8に接続された後に、混合室6を介して焼結機1の熱風シールカバー4に接続され、前記混合室6に、さらに冷却機7が接続される。
【0032】
図1に示すように、一台の面積が200
m2の焼結機1(該焼結機に主排風機が1台配置され、主排気量が100万
m3/h)において、該焼結機尾部の○19〜○22風箱の高温高酸素低湿段の風箱における焼結煙道ガス(250℃〜350℃、18万
m3/h)を循環パイプによって導出し、除塵機8と誘引ファンを通過して還流させ、誘引ファンによって抜き取られた冷却機7からの排ガス(18万
m3/h、200℃)と混合室6に入って混合し、焼結機1の熱風シールカバー4内に循環させ、焼結機頭部の○1〜○4風箱の低温高酸素低湿段の風箱における焼結煙道ガス(50℃〜100℃、18万
m3/h)を循環パイプによって導出し、除塵機と誘引ファンを通過して還流させ、焼結機1の点火炉2と熱風シールカバー4内に循環させて回収利用する。焼結機中部の○5〜○18風箱の中温低酸素高湿段の風箱における焼結煙道ガスを循環パイプによって導出し、除塵機と誘引ファンを通過して還流させた後、脱硫装置9で脱硫し、最後に煙突10を介して排出する。
【0033】
該実施例によれば、焼結用の主排風機が排出する煙道ガス総量を20%以上減少させ、冷却機排ガスの排出量を30%減少させ、1トンの焼結鉱あたりのエネルギー消費量を4.5〜5kgce/t−s節約することができる。
【0034】
本発明は上記実施例によって実施構想を説明したが、唯一の構造特徴及び方法ではない。本発明は上記の詳細な構造特徴及び方法に限定されるものではなく、即ち、本発明は、上記の詳細な構造特徴及び方法によって実施しなければならないものではないことを、出願者が声明する。本発明に対するあらゆる改良、本発明に使用される各部材に対する等価置換及び補助部材の追加、具体的な形態の選択等は、いずれも本発明の保護範囲と開示範囲に属することを、当業者は了承すべきである。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施形態を詳しく説明したが、本発明は上記実施形態の詳細な内容に限定されるものではなく、本発明の技術的構想範囲内に、本発明の技術的手段に対して複数の簡単な変更を行うことができ、これらの簡単な変更がいずれも本発明の保護範囲に属する。
【0036】
ただし、上記の具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、いずれかの適当な方式によって組み合わせることができ、不要な重複を回避するために、本発明は可能なあらゆる組み合わせ方式を別途に説明しない。
【0037】
また、本発明の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本発明の構想を逸脱しない限り、本発明に開示されている内容に属すべきである。
符号の説明
1 焼結機
2 点火炉
3 ハウジング
4 熱風シールカバー
5 誘引ファン
6 混合室
7 冷却機
8 除塵装置
9 脱硫装置
10 煙突
○1〜○4 低温高酸素低湿段の風箱
○5〜○18 中温低酸素高湿段の風箱
○19〜○22 高温高酸素低湿段の風箱