【実施例1】
【0010】
図1は、圃場管理システムの構成例を示す。圃場管理システム100は、例えば、圃場管理装置1、データサーバ2、及び1以上のセンシングロボット3を含む。圃場管理装置1、データサーバ2、及びセンシングロボット3それぞれは、ネットワーク4を介して互いに通信可能である。圃場管理装置1は、例えば、バスによって相互に接続されている、中央制御装置11、入力装置12、出力装置13、主記憶装置14、補助記憶装置15、及び通信装置16、を含む計算機上に構成される。
【0011】
中央制御装置11は、プログラムに従って動作するプロセッサ及び/又は論理回路を含み、データの入力/出力、読み込み/書き込みを行い、さらに、後述する各プログラムを実行する。主記憶装置14は、不揮発性の記憶素子であるROM及び揮発性の記憶素子であるRAMを含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS)などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、中央制御装置11が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0012】
補助記憶装置15は、例えば、磁気記憶装置(HDD)、フラッシュメモリ(SSD)等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、中央制御装置11が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、主記憶装置14又は補助記憶装置15から読み出されて、主記憶装置14にロードされて、中央制御装置11によって実行される。
【0013】
入力装置12は、キーボード106やマウス107などを含み、オペレータからの入力を受け付ける。出力装置13は、ディスプレイ装置109やプリンタなどを含み、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力する。
【0014】
通信装置16は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。また、通信装置16は、例えば、USB等のシリアルインターフェースを含む。
【0015】
中央制御装置11が実行するプログラムは、リムーバブルメディア(CD−ROM、フラッシュメモリなどのコンピュータ読み取り可能な可搬性の非一時的記憶媒体)又はネットワーク4を介して圃場管理装置1に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置15に格納されてもよい。このため、圃場管理装置1は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0016】
圃場管理装置1は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、同一の計算機上で別個のスレッドで動作してもよく、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。
【0017】
主記憶装置14は、それぞれプログラムである、病害虫チェック向けサンプル点算出部21、病害虫発生分布推定部22、病害虫拡散予測部23、農薬・肥料散布作業優先度算出部24、リソース最適化部25、及び収穫量予測部26を格納する。なお、主記憶装置14に格納されているプログラムの一部又は全部は、例えば、補助記憶装置15に格納されてもよい。
【0018】
中央制御装置11は、プログラムに従って動作することによって、所定の機能を実現する機能部として動作する。例えば、中央制御装置11は、病害虫チェック向けサンプル点算出部21に従って動作することで病害虫チェック向けサンプル点算出部として機能し、病害虫発生分布推定部22に従って動作することで病害虫発生分布推定部として機能する。さらに、中央制御装置11は、各プログラムが実行する複数の処理のそれぞれを実現する機能部としても動作する。計算機及び計算機システムは、これらの機能部を含む装置及びシステムである。
【0019】
病害虫チェック向けサンプル点算出部21は、センシングロボット3が病害虫の存否等をチェックする地点であるサンプル点を、管理対象エリア内の道路等の位置に基づいて算出する。病害虫の発生は、収穫阻害要因の一例である。圃場に病害虫が発生すると、例えば、当該圃場における収穫量が減少する。
【0020】
病害虫発生分布推定部22は、病害虫発生分布推定部22は、サンプル点において病害虫が発生した場合、病害虫の発生分布を推定する。病害虫拡散予測部23は、推定された病害虫発生分布から今後の病害虫の拡散を予測する。農薬・肥料散布作業優先度算出部24は、病害虫の拡散予測結果から農薬や肥料散布作業の優先度を算出する。リソース最適化部25は、リソースの最適化を実施し、新たな作業計画を生成する。収穫量予測部26は、生成された作業計画における、収穫量及び当該収穫量における収入、並びにリソース、農薬、及び肥料かかるコストを予測する。
【0021】
データサーバ2は、圃場管理装置1に提供するデータを格納する。データサーバ2は、例えば、病害虫特徴データ31、農薬・肥料データ32、品種データ33、圃場・道路位置データ34、周辺地域データ35、気象データ36、工場稼働データ37、作業計画データ38、過去発生分布データ39、発生分布パターンデータ40、及びリソースデータ41を格納する。データサーバ2に格納されているデータの一部又は全部は、例えば、補助記憶装置15に格納されていてもよい。
【0022】
病害虫特徴データ31は、サトウキビに発生する病害虫それぞれに関するデータである。農薬・肥料データ32は、サトウキビの生育に用いられる農薬及び肥料それぞれに関するデータである。品種データは、圃場において生産されるサトウキビの品種それぞれに関するデータである。
【0023】
圃場・道路位置データ34は、管理対象エリアの地図データであり、例えばGML形式、又は独自に整備されたベクトル形式等で示される。圃場・道路位置データ34は、管理対象エリアに含まれる圃場の位置情報を保持する。また、圃場・道路位置データ34は、管理対象エリアに含まれ、センシングロボット3が通行可能な領域である通行可能領域の位置情報を保持する。道路は、通行可能領域の一例である。
【0024】
周辺地域データ35は、管理対象の圃場の周辺地域のGISデータ、並びに当該周辺地域の温度、湿度、日照量、天候、及び降水量等の気象情報を含むデータである。工場稼働データ37は、収穫されたサトウキビを加工する工場内にある加工用機器の稼働率を示すデータである。
【0025】
作業計画データ38は、圃場における作業計画を示す。作業計画データ38は、予め当初作業計画を格納してもよい。過去発生分布データ39は、過去の病害虫の発生状況の分布パターンを示す。害虫の個体数は、害虫の発生状況の一例である。サトウキビの栽培本数に占める、病気を発症しているサトウキビの本数の割合は、病気の発生状況の一例である。発生分布パターンデータ40は、病害虫の発生状況の分布を示す。リソースデータ41は、圃場における作業に利用することができるリソースに関するデータである。作業データ42は、作業内容と、当該作業内容を実施することができるリソースとの対応を示す。
【0026】
圃場データ43は、管理対象エリアに含まれる圃場それぞれにおいて栽培されている品種を示す。なお、本実施形態において、圃場管理システム100が使用する情報は、データ構造に依存せずどのようなデータ構造で表現されていてもよい。例えば、テーブル、リスト、データベース又はキューから適切に選択したデータ構造体が、情報を格納することができる。
【0027】
センシングロボット3は、センサ部51及びデータ送信部52を含む。センサ部51は、例えば、病害虫を探知する近赤外線センサ、並びに気象情報を測定する温度センサ及び湿度センサ等を含む。また、センサ部51は、病害虫及びサトウキビの写真を撮影するカメラや、位置情報を取得するGPS等を含んでもよい。
【0028】
データ送信部52は、センサ部51が取得した情報を、ネットワーク4を介して圃場管理装置1及びデータサーバ2に送信する。なお、センシングロボット3の代わりに、例えば、現場作業者が、センサを用いてセンサ情報を取得してもよい。また、例えば、現場作業者が、目視で病害虫を発見してもよいし、試料を採取して、試料から情報を取得してもよい。このとき、現場作業者は、発見した病害虫の情報及び試料から取得した情報を、例えば、通信機器を用いてネットワーク4を介して圃場管理装置1及びデータサーバ2に送信する。
【0029】
図2は、病害虫特徴データ31の一例を示す。病害虫特徴データ31は、例えば病害虫ID310、名称311、画像データ312、発生時期313、体長314、増加分布形状315、初期パラメータ316、パラメータ317、及び1匹当たり被害本数318を含む。また、病害虫特徴データ31は、例えば、害虫の生長時間や、病気の進行時間等の、病害虫に関する他の情報をさらに含んでもよい。
【0030】
病害虫ID310は、病害虫の識別子である。名称311は、病害虫の名称である。画像データ312は、病害虫の画像データである。発生時期313は、病害虫の発生時期である。体長314は、害虫の体長である。対応する病害虫が病気である場合、体長314には、例えばnull値が格納される。
【0031】
増加分布形状315は、対応する病害虫が発生した場合に、当該病害虫の発生状況を示す値の増加値の確率を示す確率分布である。初期パラメータ316は、対応する増加分布形状315のパラメータの初期値である。パラメータ317は、病害虫の発生から時間tが経過した後の増加分布形状315のパラメータである。1匹当たり被害本数318は、害虫が1匹発生した場合において収穫が不可能となるサトウキビの本数を示す。なお、1匹当たり被害本数318は、対応する病害虫が病気である場合、1を格納する。
【0032】
図3は、農薬・肥料データ32の一例を示す。農薬・肥料データ32は、例えば、農薬・肥料ID320、種別321、適用病害虫名322、値段323、スケール影響度324、及び分布形状影響度325を含む。農薬・肥料データ32は、例えば、農薬又は肥料の用途、形状、及び主成分等の、農薬又は肥料に関する他の情報をさらに含んでもよい。
【0033】
農薬・肥料ID320は、農薬又は肥料の識別子である。種別321は、農薬又は肥料の種別である。適用病害虫名322は、対応する農薬又は肥料によって、駆除又は治療可能な病害虫の名称である。値段323は、農薬又は肥料の1度の散布作業で散布する使用量あたりの値段である。スケール影響度324、及び分布形状影響度325は、対応する適用病害虫名322が示す病害虫が発生したエリアに農薬又は肥料を散布した場合における、病害虫拡散への影響を示す度合である。スケール影響度324、及び分布形状影響度325の詳細については、後述する。
【0034】
図4は、品種データ33の一例を示す。品種データ33は、例えば、品種ID330、糖度変化331、及び販売単価332を含む。また、品種データ33は、例えば、最適植付時期、最適収穫時期、及び最大糖度等の、品種に関する他の情報をさらに含んでもよい。品種ID330は、品種の識別子である。糖度変化331は、品種の苗を植え付けてからの各植付後月数における、当該品種の糖度である。販売単価332は、対応する品種の1本当たりの販売額である。販売単価332は、例えば、定数で表される。また、販売単価332は、糖度に依存する場合、糖度の関数で表される。糖度は植付からの時間に依存するため、糖度に依存する販売単価332は、植付からの時間に依存する。なお、糖度に依存しない販売単価332に対応する糖度変化331はnull値であってもよい。
【0035】
図5は、気象データ36の一例を示す。気象データ36は、例えば、計測位置360、時刻361、天候362、気温363、湿度364、降水量365、及び日射量366を含む。計測位置360は、気象情報が計測された位置である。時刻361は、気象情報が計測された時刻である。天候362は、計測された天候を示す。降水量365は、計測された降水量を示す。日射量366は、計測された日射量を示す。なお、気象データ36に含まれる値それぞれは、過去の計測値であってもよいし、予測値であってもよい。
【0036】
図6は、工場稼働データ37の一例を示す。工場稼働データ37は、例えば、機器ID370、及び機器稼働率371を含む。機器IDは管理対象エリア内の工場にある機器の識別子である。機器稼働率371は、対応する機器の各月の稼働率を示す。機器稼働率371それぞれは、過去の実績値であってもよいし、予測値であってもよい。
【0037】
図7は、作業計画データ38の一例を示す。作業計画データ38は、リソース380、作業内容381を含む。リソース380は、作業に用いられるリソースである。作業内容381は、対応するリソースが各期間に行う作業内容である。
【0038】
図7の例では、作業に投入されるリソースとしてPerson 1、Person 2、Person 3、及びPerson 4が存在し、すべてのリソースが最初の週に圃場A(Field A)の収穫作業を、2週目に圃場B(Field B)の収穫作業を、3週目に圃場C(Field C)の収穫作業を、4週目に圃場D(Field D)の収穫作業を、5週目に圃場E(Field E)の収穫作業を実施することを示す。なお、
図7では、圃場単位で作業内容381が指定されている例を示しているが、具体的な緯度、経度によって示される領域単位で作業内容381が指定されていてもよい。
【0039】
図8は、過去発生分布データ39の一例を示す。過去発生分布データ39は、例えば、病害虫ID390、名称391、過去発生時期392、計測位置393、及び計測位置毎の個体数394を含む。病害虫ID390は、病害虫の識別子である。名称391は、病害虫の名称である。過去発生時期392は、対応する病害虫が過去に発生した時期である。計測位置393は、対応する病害虫が過去に発生した位置である。計測位置毎の個体数394は、対応する病害虫が各計測位置において発生した個体数である。
【0040】
図9は、発生分布パターンデータ40の一例を示す。発生分布パターンデータ40は、例えばパターンID400、名称401、病害虫ID402、過去発生時期403、分布中心位置404、初期スケール405、分布形状406、初期パラメータ407、変化後スケール408、及び変化後パラメータ409を含む。また、発生分布パターンデータ40は、例えば、発生分布パターンの過去の発生回数等の、発生分布パターンに関する他の情報を含んでもよい。
【0041】
パターンID400は、発生分布パターンの識別子である。名称401は、発生分布パターンの名称である。病害虫ID402は、発生分布パターンにおいて発生した病害虫の識別子であり、病害虫特徴データ31の病害虫ID310に対応する。過去発生時期403は、対応する発生分布パターンが過去に発生した時期である。分布中心位置404は、対応する発生分布パターンの中心位置を示す。
【0042】
初期スケール405は、発生分布パターンのスケールの初期値である。分布形状406は、発生分布パターンの分布形状である。分布形状406は、例えば、2次元正規分布や2次元ガンマ分布等の分布の名称を格納する。また、分布形状406は、具体的な確率密度関数を格納してもよい。また、例えば、道路等には病害虫が発生しないため、分布形状406は、道路等を隔てた2次元混合正規分布のように環境の形状を考慮して生成された分布を、格納する場合もある。
【0043】
初期パラメータ407は、分布形状406が示す分布形状のパラメータの初期値である。但し、パターンID400が「0004」の分布形状のように、分布形状406が具体的な関数で指定されている場合、初期パラメータ407はnull値を格納する。分布パターンの初期状態、即ちセンシングロボット3が病害虫発生を確認した時刻における病害虫発生分布は、初期スケール405と、初期パラメータ407を適用した分布形状406と、の積で表される。以下の式1は分布形状406の一例である2次元正規分布を示す。
【0044】
【数1】
【0045】
式1において、Nは全体の病害虫発生数、μ
1は東西方向での中心位置、μ
2は南北方向での中心位置、σ
1は東西方向における分散、σ
2は南北方向における分散、ρは相関係数を示す。2次元正規分布における、分布中心位置404は、例えば、(μ
1,μ
2)で表される。
【0046】
変化後スケール408は、病害虫発生時刻から時間tが経過した後のスケールである。変化後パラメータ409は、病害虫発生時刻から時間tが経過した後のパラメータである。但し、例えば、パターンID400が「0004」である発生分布パターンのように、分布形状406が具体的な確率密度関数で指定されている場合、変化後パラメータ409は、時間tが経過した後の分布形状を示す関数を格納する。なお、発生分布パターンデータ40は、実際に過去に発生した分布パターンだけでなく、予めオペレータ等によって設定された他の分布パターンを含んでもよい。当該他の分布パターンに対応する過去発生時期403には、例えば、null値が格納される。
【0047】
図10は、リソースデータ41の一例を示す。リソースデータ41は、例えば、リソースID410、名称411、個数412、単価413を含む。リソースID410は、リソースの識別子である。名称411は、リソースの名称である。個数412は、対応するリソースの利用可能な個数である。単価413は、単位時間当たりの対応するリソース1つの利用コストである。
【0048】
図11は、作業データ42の一例を示す。作業データ42は、例えば、作業ID420、作業内容421、リソースID422、及び作業効率423を含む。作業ID420は、作業内容の識別子である。作業内容421は、作業内容を示す。例えば、「品種ID:0001収穫」は、品種ID330が「0001」である品種を収穫する作業を示し、「農薬・肥料ID:0001散布」は、農薬・肥料ID320が「0001」である農薬又は肥料を散布する作業を示す。
【0049】
リソースID422は、対応する作業を行うことができるリソースIDを示す。リソースID422は、リソースデータ41のリソースID410に対応する。なお、例えば、リソースID422が「0001 and 0005」である場合、リソースID422が「0001」のリソースとリソースID422が「0005」のリソースを同時に使用して、対応する作業が行われることを示す。例えば、収穫機と収穫機を操作する人間とを使用した収穫作業のような、2つのリソースが同時に使用される作業等が上述したケースに該当する。作業効率423は、対応するリソースが、対応する作業内容421を行った場合における作業効率である。
【0050】
図12は、圃場データ43の一例を示す。圃場データ43は、例えば、圃場ID430、名称431、品種ID432、単位面積当たり本数433、及び植付時期434を含む。圃場ID430は管理対象エリアに含まれる圃場の識別子である。名称431は、圃場の名称である。品種ID432は、圃場に植え付けられているサトウキビの品種の識別子である。品種ID432は、品種データ33の品種ID330に対応する。単位面積当たり本数433は、対応する圃場に植え付けられている単位面積当たりのサトウキビの本数である。植付時期434は、対応する圃場にサトウキビが植え付けられた時期である。なお、圃場データ43は、現在サトウキビが植えつけられていない圃場の情報を含まなくてもよい。
【0051】
図13は、圃場管理装置1による管理処理の一例を示す。まず、病害虫チェック向けサンプル点算出部21は、圃場・道路位置データ34を参照して、サンプル点を算出する(S101)。病害虫チェック向けサンプル点算出部21は、例えば、管理対象エリアの地図データを所定サイズの領域(例えば、メッシュ状)に分割し、各領域と通行可能領域との距離に基づいて、サンプル点を決定する。具体的には、病害虫チェック向けサンプル点算出部21は、例えば、分割した領域それぞれの代表点(例えば、中心点)から最も近い通行可能領域上の点を選択し、選択した点それぞれをサンプル点に決定する。
【0052】
また、病害虫チェック向けサンプル点算出部21は、例えば、選択した点と、対応する分割領域と、の距離が所定値以上である場合、当該選択した点をサンプル点に含めなくてもよい。また、病害虫チェック向けサンプル点算出部21は、例えば、管理対象エリア内の圃場に面した通行可能領域それぞれに所定間隔でサンプル点を配置してもよい。
【0053】
例えば、センシングロボット3の代わりに、現場作業者が人手で測定を実施する場合、サトウキビや大豆などの大規模農場では、圃場全体における病害虫の存否を調査することは困難である。また、衛星画像やUAV(Unmanned Aerial Vehicle)にて撮影された画像を利用することにより、通行可能領域外における病害虫の存否をチェックすることが考えられる。
【0054】
しかし、衛星画像やUAVによる画像からは、病害虫の被害がある程度広がった後でしか病害虫の存在を観測することができない。また、病害虫の存否を判定には、サトウキビの根や茎の状態を直接測定する必要があるため、ロボットにて測定する場合でも、圃場すべてをカバーすることは非常に困難である。病害虫チェック向けサンプル点算出部21は、上述した方法により、病害虫の分布の推定、及び拡散予測を高精度に行うことができる、通行可能領域内のサンプル点を算出することができる。
【0055】
図14は、サンプル点設定対象である管理対象エリアの例を示す。管理対象エリアは、中心にある加工工場及び、それぞれ川や道路などで区切られた圃場である、Field A、Field B、Field C、Field D、Field Eを含む。
【0056】
図15は、サンプル点の設定例を示す。図中の矢印それぞれは、サンプル点を示す。
図15は、圃場に面した道路及び川沿いに、図の水平、垂直方向にそれぞれ等間隔でサンプル点が設置された例を示す。なお、サンプル点の間隔は、等間隔でなくてもよい。
【0057】
図13の説明に戻る。例えば、病害虫発生分布推定部22は、S101で算出されたサンプル点それぞれに配置されたセンシングロボット3のセンサ部51が取得した情報、例えばサトウキビの画像データ、気象データ等を定期的に受信する(S102)。データサーバ2は、センシングロボット3が取得した情報を受信し、格納してもよい。また、例えば、センシングロボット3がキャタピラ等を備え、移動可能な場合は、病害虫発生分布推定部22は、センシングロボット3から位置情報を併せて受信してもよい。
【0058】
病害虫発生分布推定部22は、例えば、受信したセンサ情報と病害虫特徴データ31に基づいて、病害虫が発生したか否かを推定する(S103)。例えば、病害虫発生分布推定部22は、センシングロボット3から受信した撮影画像に、画像データ312の画像それぞれが示す病害虫が含まれるか否かを判定する。病害虫発生分布推定部22は、当該撮影画像に病害虫が含まれると判定した場合、病害虫特徴データ31において当該画像に対応する病害虫が発生したと判定する。なお、センシングロボット3又は人間がステップS103における病害虫発生判定を行ってもよい。
【0059】
なお、センシングロボット3による撮影画像に病害虫が含まれる場合であっても、例えば、当該撮影画像に含まれる病害虫の体長と、体長314が示す体長と、の差が所定の閾値以上である場合には、病害虫発生分布推定部22は、病害虫特徴データ31において当該画像に病害虫が含まれないと判定してもよい。また、病害虫発生分布推定部22は、例えば、センシングロボット3による画像の撮影時期が、発生時期313に含まれない病害虫については、判定対象から除外してもよい。上述した処理により、病害虫発生分布推定部22は、病害虫発生判定の精度を高めつつ、判定処理の負荷を低減することができる。
【0060】
病害虫が発生しなかった場合(S103:no)、圃場管理装置1は、作業計画を変更せず、ステップS107に遷移する。病害虫発生が発生した場合(S103:yes)、病害虫発生分布推定部22は、病害虫発生数の分布推定を実施する(S104)。
【0061】
このとき、病害虫発生分布推定部22は、病害虫発生が確認されたサンプルポイントそれぞれに基づいて、病害虫発生数の分布を推定する。病害虫発生数の分布推定処理の詳細については後述する。なお、複数種類の病害虫が発生した場合、病害虫発生分布推定部22は、各種類の病害虫について、ステップS104の処理を行う。
【0062】
リソース最適化部25は、複数の作業計画を生成し、圃場の状況及び病害虫の拡散予測に基づいて算出された、生成した作業計画それぞれにおける予測収入及び予測コストに基づいて、新たな作業計画を決定する(S105)。ステップS105の処理の詳細は後述する。
【0063】
リソース最適化部25は、管理対象エリアに含まれる全ての圃場における収穫が完了したか否かを判定する(S106)。例えば、圃場管理装置1は、入力装置12を介してオペレータから既に収穫完了通知を受信している場合にリソース最適化部25は収穫が完了したと判定し、収穫完了通知を受信していない場合に収穫が完了していないと判定する。収穫が完了した場合(S106:yes)、圃場管理装置1は管理処理を終了する。収穫が完了していない場合(S106:no)、ステップS102に遷移する。
【0064】
図16は、病害虫発生の推定分布の一例を示す。サンプル点上に示した棒グラフ601〜606それぞれは、例えば対応するサンプル点上で観測された病害虫発生状況を示す。病害虫発生分布推定部22は、棒グラフ601〜606が示す病害虫発生状況と、棒グラフ601〜606に対応するサンプル点の位置と、発生分布パターンデータ40と、に基づいて、害虫の推定分布607を算出する。
図13は、推定分布607が2次元正規分布である例を示している。
【0065】
図17は、ステップS104に相当する病害虫発生分布推定処理の一例を示す。病害虫発生分布推定部22は、発生した各種類の病害虫に対して発生分布推定処理を行う。ここでは、病害虫Xに対する発生分布推定処理を説明する。病害虫発生分布推定部22は、病害虫Xについて、病害虫発生分布図を作成する(S131)。病害虫Xについての病害虫発生分布図は、病害虫Xが発生した各サンプル点と各サンプル点における病害虫Xの発生状況とを示す情報である。
図13の例における棒グラフ601〜606からなる集合は、病害虫発生分布図の一例である。病害虫発生分布推定部22は、例えば、作成した病害虫発生分布図の情報を過去発生分布データ39に格納する。
【0066】
続いて、病害虫発生分布推定部22は、病害虫発生分布パターンを決定する(S132)。以下、ステップS132の具体的な処理の一例を示す。病害虫発生分布推定部22は、作成した病害虫発生分布図が示す各サンプル点における病害虫Xの発生状況に対して、例えば最小二乗法等のカーブフィッティングを行い、近似曲面を算出する。
【0067】
病害虫発生分布推定部22は、分布中心位置404、初期スケール405、分布形状406、及び初期パラメータ407から、発生分布パターンデータ40の各レコードが示す分布パターンを特定する。なお、病害虫発生分布推定部22は、病害虫Xに対応する病害虫ID402を有するレコードの分布パターンのみを特定してもよい。また、病害虫発生分布推定部22は、例えば、病害虫Xの発生が確認された月が、過去発生時期403が示す月を含む所定範囲の月に含まれる分布パターンのみを、特定してもよい。
【0068】
病害虫発生分布推定部22は、近似曲面と、特定した分布パターンそれぞれと、のパターンマッチングを行い、病害虫発生分布を決定する。病害虫発生分布推定部22は、パターンマッチングにおいて、例えば、特定した分布パターンから、近似曲面との距離が所定の閾値以下の分布パターンを1つ選択し、選択した分布パターンを病害虫発生分布に決定する。当該距離が所定の閾値以下である分布パターンが存在しない場合、病害虫発生分布推定部22は、例えば、特定した分布パターンから、当該距離が最小の分布パターンを選択してもよい。また、病害虫発生分布推定部22は、パラメータマッチングを実施することにより、パターンマッチングを行ってもよい。
【0069】
また、病害虫発生分布推定部22は、例えば、当該近似曲面との距離が所定の閾値以下である分布パターンが特定した分布パターンに含まれないと判定した場合、当該近似曲面を、病害虫発生分布に決定してもよい。このとき、病害虫発生分布推定部22は、当該近似曲面の情報を発生分布パターンデータ40に追加してもよい。
【0070】
病害虫発生分布推定部22は、ステップS132にて決定した病害虫発生分布を利用して病害虫発生数を推定する(S133)。病害虫発生分布推定部22は、上述した処理により、サンプル点以外における病害虫の発生状況を推定することができる。
【0071】
図18は、ステップS105の作業計画の生成処理の一例を示す。リソース最適化部25は、作業計画候補を生成する(S181)。つまり、リソース最適化部25は、新たな作業計画データ38の候補を生成する。以下、作業計画候補生成処理の一例を示す。まず、リソース最適化部25は、所定のルールに従って、作業計画候補に含まれる作業内容を決定する。リソース最適化部25は、例えば、圃場データ43の品種ID432に含まれる品種の収穫作業、及び発生した病害虫に対応する農薬・肥料の散布作業を作業内容に含める。また、リソース最適化部25は、当該収穫作業のみを作業内容に含めてもよい。
【0072】
リソース最適化部25は、決定した作業内容それぞれを行うことができるリソースの情報を、作業内容421及びリソースID422を参照して作業データ42から取得し、当該リソースそれぞれを個数412の範囲内でリソースデータ41から利用リソースとして決定する。
【0073】
リソース最適化部25は、決定したリソースそれぞれが、対応する作業内容を行う時期を、所定範囲の期間から決定する。リソース最適化部25は、例えば、各リソースの作業効率423を参照して、各リソースの作業内容が過剰にならないように、リソースの利用時期を決定する。
【0074】
具体的には、例えば、リソース最適化部25は、圃場・道路位置データ34から得られる各圃場の面積と、各圃場の単位面積当たり本数433と、から各圃場におけるサトウキビの栽培本数を算出する。リソース最適化部25は、算出した各圃場における栽培本数を、各圃場における作業を行うリソースの作業効率423で割って得られた値を、各圃場における収穫を行う最大期間とする。リソース最適化部25は、各圃場における収穫期間を、当該最大期間を超えないように決定する。また、リソース最適化部25は、選択したリソースそれぞれが、対応する作業内容を行う時期を、例えば、ランダムに決定してもよい。
【0075】
また、リソース最適化部25は、工場稼働データ37を参照して、作業計画候補を生成してもよい。リソース最適化部25は、例えば、各月における機器稼働率371の平均値を所定の減少関数に代入した値を、各月における工場で加工可能なサトウキビの本数として算出する。リソース最適化部25は、作業時期と、収穫を行うリソースの作業効率423と、各圃場における栽培本数と、から、各月の収穫本数を算出する。各月の収穫本数が、各月の工場で加工可能なサトウキビの本数を超える場合、リソース最適化部25は、例えば、当該作業計画候補を破棄し、作業計画候補を再度生成する。
【0076】
病害虫拡散予測部23は、ステップS104で推定された各病害虫分布と、ステップS181で生成した作業計画候補と、農薬・肥料データ32と、に基づいて、各圃場の収穫時における各病害虫の拡散を予測する(S182)。以下、病害虫拡散予測部23が、収穫時刻Tにおける病害虫Xの拡散を予測する例を示す。病害虫xの発生時刻T
1、病害虫Xの発生地点に病害虫Xに対応する農薬又は肥料が散布された時刻をT
2とすると、時刻Tは、病害虫発生から時間t
1=T−T
1が、農薬又は肥料が散布されてから時間t
2=T−T
2が経過した時刻である。
【0077】
病害虫拡散予測部23は、例えば、病害虫Xの推定分布における初期パラメータを、t=t
1における変化後パラメータ409に変更する。さらに、例えば、病害虫拡散予測部23は、病害虫Xの推定分布における初期スケールを、t=t
1おける変化後スケール408と、t=t
2としたスケール影響度324と、の和に変更する。病害虫拡散予測部23は、例えば、上記変更を行って得られた分布に、t=t
2おける分布形状影響度325を加えた分布を、収穫時刻Tにおける病害虫拡散予測分布に決定する。なお、病害虫拡散予測部23は、病害虫拡散予測分布の病害虫発生状況が負の値を全て0に置換してもよい。
【0078】
なお、当該圃場に対して、農薬又は肥料が散布されていない場合には、病害虫拡散予測部23は、例えば、病害虫Xの推定分布における初期スケールの変更において、初期スケールをt=t
1おける変化後スケール408に変更する。上述した処理により、病害虫拡散予測部23は、収穫時刻Tにおける病害虫拡散予測分布から、収穫時刻Tにおける各地点の病害虫発生状況を得ることができる。また、病害虫拡散予測部23は、例えば、任意の領域における病害虫予測分布の積分値から、時刻Tの当該任意の領域における病害虫Xの発生状況を得ることができる。
【0079】
続いて、収穫量予測部26は、収穫によって得られる収入と、作業にかかるコストと、を算出する(S183)。収入算出の一例を説明する。収穫量予測部26は、圃場・道路位置データ34から各圃場の面積を算出し、算出した面積と、圃場データ43の単位面積当たり本数433と、から各圃場におけるサトウキビの栽培本数を算出する。
【0080】
また、収穫量予測部26は、各圃場について、ステップS181で作成された作業計画候補が示す収穫時、における病害虫によるサトウキビの被害本数を算出する。具体的には、収穫量予測部26は、ステップS182で算出した各病害虫についての発生状況それぞれに、病害虫特徴データ31の対応する病害虫の1匹当たり被害本数318を掛けた値を被害本数として算出する。
【0081】
収穫量予測部26は、各圃場における栽培本数と、被害本数と、の差を、各圃場の収穫可能本数として算出する。なお、収穫量予測部26は、算出した差が負の値になる場合、収穫本数を0とする。収穫量予測部26は、各圃場における収穫可能本数と、各圃場に投入した収穫を行う各リソースの作業効率423と、当該各リソースのステップS181で作成された作業計画候補における収穫作業を行う期間と、から各圃場における収穫本数を算出する。
【0082】
収穫量予測部26は、各圃場の収穫本数に品種データ33の対応する品種の販売単価332を掛けることにより、各圃場における収入を算出する。なお、販売単価332が糖度に依存する場合は、収穫量予測部26は、植付時期434に従って糖度変化331から糖度を選択し、選択した糖度に従って、収入を算出する。
【0083】
収穫量予測部26は、各圃場の位置に対応する気象データ36に基づいて、選択した糖度を補正してもよい。具体的には、収穫量予測部26は、例えば、当該補正において、各圃場の植付から収穫時までの、積算気温、積算湿度、積算降水量、積算日射量を所定の関数に代入した値を選択した糖度に加えてもよい。
【0084】
続いて、コスト算出の一例を示す。収穫量予測部26は、ステップS181で作成された作業計画候補が示す利用リソースそれぞれの利用個数、利用期間、及び単価413、を掛けた値の総和をリソースの利用コストとして算出する。また、収穫量予測部26は、ステップS181で作成された作業計画候補において散布される農薬又は肥料のコストを、農薬・肥料データ32の値段323から取得する。収穫量予測部26は、リソースの利用コストと、農薬又は肥料のコストと、の和を作業コストとして算出する。
【0085】
続いて、リソース最適化部25は、作業計画の生成を終了するか否かを判定する(S184)。例えば、リソース最適化部25は、作業計画生成処理を開始してから所定時間が経過したか否か、又は所定数の作業計画に対してステップS182及びステップS183の処理が行われたか否かに従って、作業計画の生成を終了すると判定する。
【0086】
また、リソース最適化部25は、収入と作業コストとの差が所定の閾値以上である作業計画が作成された場合に、作業計画の生成を終了すると判定してもよい。リソース最適化部25が作業計画の生成を終了しないと判定した場合(S184:no)、ステップS181に遷移する。
【0087】
続いて、リソース最適化部25は、作業計画の生成を終了すると判定した場合(S184:yes)、新たな作業計画を決定する(S185)。例えば、リソース最適化部25は、生成した作業計画から、収入と作業コストとの差が最大の作業計画を、新たな作業計画として選択する。また、例えば、圃場管理装置1は、当初作業計画に対しても、ステップS182及びステップS183の処理を行い、リソース最適化部25は、当初作業計画と、生成した作業計画と、から、収入と作業コストとの差が最大の作業計画を、新たな作業計画として選択してもよい。
【0088】
なお、ステップS185において、リソース最適化部25は、例えば、生成した各作業計画、並びに各作業計画における収入、作業コスト、及び収入と作業コストとの差を出力装置13に出力し、オペレータが出力結果から新たな作業計画を選択してもよい。また、このとき、リソース最適化部25は、収入と作業コストとの差が所定の閾値以上の作業計画、又は収入と作業コストとの差が高い順に所定個数の作業計画を出力装置13に出力してもよい。
【0089】
リソース最適化部25は、当初作業計画と異なる作業計画を新たな作業計画として選択した場合(S186:yes)、選択した作業計画を作業計画データ38に反映し(S187)、処理を終了する。リソース最適化部25は、当初作業計画を新たな作業計画として選択した場合(S186:no)、処理を終了する。
【0090】
図19は病害虫拡散分布の予測結果の一例を示す。
図19は、
図16の2次元正規分布における、発生数が増加し、範囲が拡大した例である。病害虫発生分布の予測結果は、推定分布と同様に、2次元正規分布以外の分布形状であってもよい。
【0091】
以下、作業計画の変更例を示す。
図7の作業計画データ38が示す作業計画が当初作業計画であったとし、当初作業計画における各圃場の収穫時期は、各圃場のサトウキビの糖度が最も高い時期であるとする。
【0092】
図20は、病害虫発生の拡散予測の一例を示す。
図20の管理対象エリアは、
図14の管理対象エリアと同一である。
図20の例では、圃場D、及び圃場E(Field D、及びField E)にて、低程度で広範囲の病害虫発生が予測された状態を示す。例えばサトウキビの収穫作業において、収穫時期が変化すると糖度のピークを逃してしまう可能性がある。
【0093】
糖度の低いサトウキビから生産される砂糖やエタノールの量は少ないため、販売単価が低い。そのため、圃場管理装置1は、
図20のような低程度で広範囲の病害虫が発生した場合、例えば、少ないリソースで長期間かけて対応し、当初の収穫計画をできるだけ維持する作業計画における収入とコストとの差が大きくなる可能性が高い。
【0094】
図21は、
図20の病害虫拡散予測状態に対する作業計画の一例である。
図21の例では、Person 1が第1週と第2週に農薬散布を行うこと病害虫発生の対応を実施し、その他のリソースは収穫作業を実施する。病害虫被害の影響によってField D、及びField Eにおける収量が減少するため、当初作業計画よりもField D、及びField Eそれぞれにおける収穫作業が1人週減少している。
【0095】
また、作業計画の生成において、同じ圃場に対して複数週にわたって収穫を実施する場合、できるだけ同一リソースが担当することが望ましい。
図21の例では、Field Cに対する収穫リソースは第3週と第4週で変化していない。
【0096】
図22は、病害虫発生の拡散予測の一例を示す。
図22の管理対象エリアは、
図14の管理対象エリアと同一である。
図22の例では、Field C、及びField Dにて高程度に病害虫の発生が予測された状態を示す。病害虫発生数が大きいと収量の減少が大きくなるため、例えば、収穫時期を糖度が最も高い時期から変更してでも病害虫への対応を集中的に実施する作業計画における収入とコストの差が大きくなる可能性が高い。
【0097】
図23は、
図22の病害虫拡散予測状態に対作業計画の一例である。
図23の例では、Person 1、Person 2、Person 3、Person 4の全員が第1週に病害虫発生の対応を実施し、その後はField Aから順次収穫作業を実施する。病害虫被害の影響によってField C、及びFiled Dにおける収量が大きく減少しているため、Field
C、及びField
Dそれぞれにおける収穫作業が当初作業計画よりも2人週減少する。
【0098】
以上、本実施例の圃場管理装置1は、病害虫等の発生状況に基づいて被害レベルを予測し、予測結果を用いて、作業計画を決定することにより、収入とコストとを最適化する作業計画を動的に生成することができる。