(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
板状のベース部と、該ベース部に対し該ベース部の厚み方向の一方へ突出した板状の突片部と、該突片部に対し該突片部の厚み方向へ突出するとともにその突出方向へ内部が貫通した筒状突起とを備え、
前記突片部は、前記ベース部の厚み方向の一方側の空間を囲むようにして複数設けられ、
前記ベース部には、前記一方側に対する他方側に、電子部品を接触させるための接触面が確保され、
前記筒状突起は、多角形の筒状に形成され前記空間とは逆の方向へ突出するとともに、前記各突片部の面に沿って複数設けられ、
隣接する二つの前記筒状突起は、その間に位置する壁部を共用して一体に構成され、
複数の前記筒状突起は、前記共用の壁部以外の他の壁部の外面を、外部に露出していることを特徴とするヒートシンク。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態の第1の特徴は、板状のベース部と、該ベース部に対し該ベース部の厚み方向の一方へ突出した板状の突片部と、該突片部に対し該突片部の厚み方向へ突出するとともにその突出方向へ内部が貫通した筒状突起とを備え、前記突片部は、前記ベース部の面に沿って複数設けられ、前記筒状突起は、前記各突片部の面に沿って複数設けられている。
ここで、前記筒状突起には、円筒状の突起や多角形筒状の突起等を含む。
また、複数の前記突片部のうち、その一つの突片部に設けられる前記筒状突起と、他の突片部に設けられる前記筒状突起との関係は限定されず、これら二つの筒状突起は、接触していてもよいし、隙間を置いて離れていてもよい。
【0009】
第2の特徴は、前記複数の突片部が間隔を置いて平行に設けられている(
図1〜
図6参照)。
【0010】
第3の特徴は、隣接する前記突片部のうち、その一方の突片部に設けられる前記筒状突起と、その他方の突片部に設けられる前記筒状突起とが、同芯状に配置されている(
図1〜
図6参照)。
【0011】
第4の特徴は、隣接する前記突片部のうち、その一方の突片部に設けられる前記筒状突起と、その他方の突片部に設けられる前記筒状突起とが、同一方向に突出しており、前記一方の突片部における前記各筒状突起の突端が、前記他方の突片部に近接又は接触している(
図1〜
図3参照)。
【0012】
第5の特徴は、隣接する前記突片部のうち、その一方の突片部に設けられる前記筒状突起と、その他方の突片部に設けられる前記筒状突起とが、背反する方向に突出している(
図4〜
図6参照)。
【0013】
第6の特徴として、前記複数の突片部は、前記ベース部の厚み方向の一方側の空間を囲むようにして並べられている(
図9〜
図13参照)。
この構成の具体例としては、複数の突片部を、内部に空間を有する筒状(例えば、四角形筒状や、五角形筒状、六角形筒状、円筒状等を含む。)に並べた態様が挙げられる。
また、この構成には、周方向に隣接する突片部が接触している態様と、周方向に隣接する突片版が接触せずに近接している態様とを含む。
【0015】
第8の特徴として、複数の前記筒状突起のうち、隣接する二つの筒状突起は、これらの間に位置する壁部を共用して一体に形成されている(
図15〜
図16参照)。
【0016】
第9の特徴として、複数の前記筒状突起のうち、隣接する二つの筒状突起は、互いに、他方の筒状突起の外壁面に対し平行な外壁面を有し、これら平行な外壁面同士を近接させている(
図1〜
図6及び
図19参照)。
【0017】
第10の特徴は、前記ベース部、前記突片部及び前記筒状突起における露出面が、アルマイト層により覆われている。
【0018】
第11の特徴は、前記ベース部に、前記空間側へ突出する突起が設けられている(
図7,
図9〜
図10、
図19〜
図20参照)。
【0019】
第12の特徴として、前記各突片部の内壁面には、前記ベース板に対する交差方向へ連続する溝が設けられ、前記筒状突起が前記溝内に連通している(
図11〜
図13参照)。
【0020】
第13の特徴は、前記筒状突起の近傍の気体を流動させるように送風機を備えた(
図3,
図6,
図7,
図8,
図10、
図13、
図15及び
図19(b)参照)。
ここで、特に好ましい態様としては、前記送風機は、前記筒状突起内へ気体を流通させるように設けられる。具体的には、前記筒状突起の一端側の開口へ向けて前記送風機を設けた態様や、前記筒状突起の一端側の開口から気体を吸引するように前記送風機を設けた態様等とすることが可能である。
また、他の好ましい態様としては、前記複数の突片部が空間の周りを囲むようにして並べられている構成において、前記空間へ向けて送風するように前記送風機を設けた態様や、前記空間から気体を吸引するように前記送風機を設けた態様等とすることが可能である。
【0022】
<第1の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
このヒートシンクAは、ベース部1と、該ベース部1から厚み方向の一方(図示例によれば上方)へ突出した複数の放熱部2とから一体に構成される。
【0023】
ベース部1は、矩形平板状に形成されている。このベース部1は、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル又はマグネシウム等の金属材料、あるいはこれらを含む合金材料から形成される。
【0024】
放熱部2は、略平行な二枚の突片部2a,2bと、これらを接続する接続片部2cと、突片部2a,2bの各々に設けられた筒状突起2dとから一体に構成され、ベース部1の上面に沿って複数平行に並設され固定されている。
放熱部2の材質は、ベース部1のものと同様にすればよいが、ベース部1のものと異なるものとすることも可能である。
【0025】
突片部2a,2bは、所定の間隔を置いて略平行に設けられ、これらの一端側が接続片部2cによって接続されることで、上方を開口した断面略コ字状に構成される。
これら突片部2a,2b及び接続片部2cは、ベース部1の一辺と、該一辺に対向する他辺との間にわたって連続する長尺状に設けられる。
接続片部2cは、溶着や接着等によりベース部1に固定されている。
【0026】
筒状突起2dは、各突片部2a,2bの厚み方向の一方へ突出するとともにその突出方向へ内部が貫通した多角形(図示例によれば正六角形)の筒状に形成される。
より詳細に説明すれば、一方の突片部2aには、その厚み方向の一方へ向かって筒状突起2dを突出させており、この筒状突起2dは、突片部2aの面に沿って複数並設される。隣接する筒状突起2d,2dは、互いに面同士を近接又は接触させるようにして配設される。すなわち、複数の筒状突起2dは、ハニカム状に並んでいる(
図1及び
図2(b)参照)。
また、他方の突片部2bにも、同様に、前記一方へ向かって筒状突起2dが突出しており、これら筒状突起2dはハニカム状に配設される。
【0027】
そして、一方の突片部2aにおける筒状突起2dと、他方の突片部2bにおける筒状突起2dとは、同芯状に並んでいる。
また、隣接する二つの放熱部2,2間において、その一方の放熱部2の筒状突起2dは、同じ位置関係にある他方の放熱部2の筒状突起2dに対し、同芯状に並んでいる。
したがって、これら同芯状に並ぶ複数の筒状突起2dの内部空間は、中心軸方向へ連通する。
【0028】
また、一方の突片部2aにおける筒状突起2dの突端は、他方の突片部2に近接又は接触している。そして、他方の放熱部2における筒状突起2dは、隣接する他の放熱部2を構成する突片部2aに近接又は接触している(
図2(c)参照)。
【0029】
次に、放熱部2の製造方法について説明すれば、先ず、金属製の平板状原材に、上下の金型やパンチ等を用いた塑性加工を施すことで、上述した複数の筒状突起2dが形成される。次に、筒状突起2dを有するこの平板が、上記断面コ字状に曲げ加工される。
このようにして形成された放熱部2は、ベース部1上に、一定の間隔を置いて並べられ、溶着又は接着等により固定される。
【0030】
そして、上記構成のヒートシンクAには、ベース部1の下面に電子部品a(例えば、CPUや、トランジスタ、サイリスタ、その他の半導体や電子部品等)が接触して固定される(
図3参照)。
【0031】
また、筒状突起2dの近傍の外気を流動させるように送風機bが設けられる。
図3に示す一例によれば、送風機bは、ベース部1面上に並ぶ複数の放熱部2に対し、その並設方向に離れた位置から筒状突起2d内へ外気を送入ように設けられる。
送風機bは、例えば、ヒートシンクAに固定してもよいし、ヒートシンクA以外の不動部位(例えば電子部品aが装着される基板等)に固定してもよい。
また、他例としては、筒状突起2d内の外気を吸引するように送風機bを配置した態様としてもよい。
【0032】
よって、上記構成のヒートシンクAによれば、放熱部2近傍の気体の流動性を筒状突起2dによって向上することができ、ひいては、放熱部2の表面から外気への放熱を効果的に行うことができる。
また、複数の筒状突起2dを近接又は接触させてハニカム状に配置し、各筒状突起2dの突端を隣接する突片部2a,2bに近接又は接触させているため、ヒートシンクA全体を比較的高強度な比較的構造体とすることができる。
【0033】
なお、上記ヒートシンクAでは、隣接する突片部2a,2bのうち、その一方の突片部から突出する筒状突起2dの突端を他方の突片部に近接又は接触させたが、他例としては、これらの間に十分な空間を確保し、この空間に気体を流通させるようにすることも可能である。
【0034】
<第2の実施態様>
次に、本発明に係るヒートシンク及び電子部品パッケージの他の実施態様について説明する。なお、以下に示す実施態様は、上述した実施態様を一部変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、共通部分の説明は同一符号を用いる等して適宜省略する。
【0035】
図4〜
図6に示すヒートシンクBは、ヒートシンクAに対し、放熱部2を放熱部2’に置換し、複数の放熱部2’のピッチを広くしている。
【0036】
放熱部2’は、上記放熱部2に対し、筒状突起2dの突出方向を変更したものである。
詳細に説明すれば、各放熱部2’は、隣接する突片部2a,2bのうち、その一方の突片部2aに設けられる筒状突起2dと、その他方の突片部2bに設けられる筒状突起2dとを、背反する方向へ突出させている(
図5(b)参照)。
【0037】
複数の放熱部2’は、筒状突起2dの中心軸方向において、比較的広いピッチでベース部1上に並べられ固定される。したがって、隣接する放熱部2’,2’について、対向する筒状突起2d,2d間には、比較的広い隙間s(
図5(b)参照)が確保される。
【0038】
上記構成のヒートシンクBには、ベース部1の下面に電子部品aが接触して固定される(
図6参照)。は、
また、ヒートシンクBには、送風機b及び/又は送風機cが設けられる。
【0039】
送風機bは、軸方向に複数並ぶ筒状突起2dのうち、その最も端側の筒状突起2dから離れた位置に設けられ、筒状突起2d内へ外気を送入する。
送風機cは、隣接する放熱部2,2間の隙間sへ向けて外気を送入するように、図示例によれば、複数の放熱部2の上方側に設けられる。
この構成によれば、放熱部2,2間の隙間sへ外気を強制送入して、放熱効率を向上することができる。
なお、他例としては、送風機cを突片部2a,2bの連続方向(
図6によれば手前側又は奥側)へ離れた位置に設けた態様や、隣接する放熱部2,2間の気体を送風機cによって吸引する態様とすることも可能である。
【0040】
また、ヒートシンクBの製造方法は、ヒートシンクAと略同様であり、筒状突起2dを塑性加工する際に、一方の突片部2a側の筒状突起2dと、他方の突片部2b側の筒状突起2dとを同方向へ突出させる。そして、これら一方と他方の筒状突起2d,2dが背反するように、突片部2a,2b及び接続片部2cを曲げ加工し、この後、接続片部2cをベース部1に接続する。
【0041】
よって、ヒートシンクBによれば、特に、当該ヒートシンクBの設置状況において隣接する放熱部2,2間に気体の流動がある場合に、良好な放熱性能を得ることができる。
【0042】
なお、上述したヒートシンクA,Bによれば、二枚の突片部2a,2bを一体状に構成してベース部1に接続したが、他例としては、独立した一枚の突片部を、ベース部1上に複数並べて固定した態様とすることも可能である。
【0043】
また、ヒートシンクA,Bによれば、特に好ましい態様として、中心軸方向に隣接する二つの筒状突起2d,2dを同芯状に配設したが、他例としては、これらのうちの一方の筒状突起2dを他方の筒状突起2dに対し、中心軸に対する交差方向へずらした態様とすることも可能である。
【0044】
また、ヒートシンクA,Bによれば、特に好ましい態様として、各筒状突起2dを正六角形の筒状に形成したが、他例としては、これらを円筒状や、三角形筒状、四角形筒状、五角形筒状、他の多角形筒状、楕円筒状、ハート型の筒状、その他の形の筒状等にすることが可能である。
【0045】
<第3の実施態様>
図7に示すヒートシンクCは、ヒートシンクAと同様の金属材料によって形成され、平板状のベース部3と、このベース部3の両端側でベース部3から厚み方向の一方へ突出した突片部4,4と、ベース部3及び突片部4から突出する筒状突起5とから一体的に構成される。
【0046】
ベース部3には、ベース部3と突片部4との内角側の空間(図示の上方)へ向かって突出するように、多数の筒状突起5が設けられる。
二つの突片部4,4の各々には、ベース部3と突片部4との外角側の空間(図示例によれば側方)へ向かって突出するように、多数の筒状突起5が設けられる。
各筒状突起5は、貫通孔を有する円筒状の突起である。
【0047】
ベース部3の下面は、
図7(b)に示すように、電子部品aに接触して固定される。
また、当該ヒートシンクCの上方及び/又は側方には、必要に応じて、送風機b,cが設けられる。
【0048】
よって、上記構成のヒートシンクCによれば、筒状突起5により、両突片部4,4間の気体を流動させることができ、ひいては、電子部品aから伝達される熱を効果的に放熱することができる。
【0049】
<第4の実施態様>
図8に示すヒートシンクDは、上述したヒートシンクCに対し、筒状突起5の配置を変更したものである。
このヒートシンクDにおいて、ベース部3は、筒状突起5を有さない平板状に形成される。また、このベース部3の両端部からは、厚み方向の一方へ突片部4が突出している。
この突片部4には、ベース部3との内角側の空間へ突出する複数の筒状突起5と、その逆側へ突出する複数の筒状突起5とが設けられる、
【0050】
このヒートシンクDにおいて、ベース部3の下面は電子部品aに接触し固定され、当該ヒートシンクDの上方及び/又は側方には、必要に応じて、送風機b,cが設けられる(
図8参照)。
【0051】
よって、ヒートシンクDによれば、ヒートシンクCと同様に、筒状突起5により、両突片部4,4間の気体を流動させることができ、ひいては、電子部品aから伝達される熱を効果的に放熱することができる。
【0052】
<第5の実施態様>
図9に示すヒートシンクEは、上述したヒートシンクCに対し、さらに、二枚の突片部4及び筒状突起5を加えた構成にしている。
【0053】
詳細に説明すれば、ベース部3は矩形板状(図示例によれば略正方形板状)に構成され、その各辺側に、厚み方向の一方へ突出する突片部4が設けられる。
すなわち、複数の突片部4は、ベース部3の上側の空間を囲むようにして、平面視矩形枠状に並べられている。
そして、ベース部3には、上方へ突出するように多数の筒状突起5が設けられ、各突片部4には、外側へ突出するように多数の筒状突起5が設けられる。
【0054】
上記構成のヒートシンクEは、塑性加工により複数の筒状突起5が形成され、曲げ加工によってベース部3周囲の突片部4が形成されている。
【0055】
このヒートシンクEにおいても、ベース部3の下面は電子部品aに接触し固定される。
図10に示す一例では、ヒートシンクEの側方に筒状突起5の開口へ送風する送風機bを設け、ヒートシンクEの上方に、ベース部3上側の気体を吸引するヒートシンクCを設けている。
他例としては、送風機bと送風機cのうちの一方を省いた態様や、送風機b及び送風機cの送風方向を逆にした態様、送風機b及び送風機cの双方を省いた態様等とすることが可能である。
【0056】
よって、ヒートシンクEによれば、先に説明した実施態様と同様に、各突片部4の筒状突起5により、突片部4周囲の気体の流動性を向上することができ、ひいては、電子部品aから伝達及び伝導する熱を効果的に放熱することができる。
【0057】
<第6の実施態様>
図11に示すヒートシンクFは、平板状のベース部3と、該ベース部3の周縁側から厚み方向の一方へ突出するとともにベース部3の上側の空間を囲む複数の突片部6と、各突片部6に対し該突片部6の厚み方向へ突出するとともにその突出方向へ内部が貫通した筒状突起5とを備える。
【0058】
各筒状突起5は、複数の突片部6の外側の空間へ向かって突出するように設けられ、その内部の円柱状空間によって各突片部6の内外を連通している。
【0059】
各突片部6の内壁面には、ベース部3に対する直交方向(図示例によれば上下方向)へ連続する溝6aが設けられ、各筒状突起5は、溝6a内の底面に連通している。
溝6aは、各突片部6に対し、幅方向(ベース部3の各辺が延びる方向)へ間隔を置いて複数設けられる。
各溝6aは、各突片部6の内側から外側へ向かう厚み方向へ凹む横断面凹状の溝であり、上下方向へ連続しており、その連続方向の一端側(図示例によれば上端側)を外気に連通している。
【0060】
ヒートシンクFの製造方法について説明すれば、先ず、ベース部3の各辺部に突片部6を接続してなる平板状部材が形成される。そして、この平板状部材に対し、上下の金型やパンチ等を用いた塑性加工を施すことで、厚み方向の一方へ突出する凸条6bが、間隔を置いて複数平行に形成され、隣接する凸条6bの間が溝6aになる。
次に、各溝6aの底面を構成する壁部に対し、前記一方向に対する逆方向への塑性加工を施すことで、筒状突起5が複数形成される。
なお、溝6aの加工と、筒状突起5の加工は、前記と順序を逆にしてもよい。
【0061】
このヒートシンクFにおいても、ベース部3の下面は電子部品aに接触し固定される。
図13に示す一例では、ヒートシンクEの側方に筒状突起5の開口へ送風する送風機bを設け、ヒートシンクEの上方に、ベース部3上側の気体を吸引するヒートシンクCを設けている。
他例としては、送風機bと送風機cのうちの一方を省いた態様や、送風機b及び送風機cの送風方向を逆にした態様、送風機b及び送風機cの双方を省いた態様等とすることが可能である。
【0062】
よって、ヒートシンクFによれば、各突片部4の筒状突起5により、突片部4内外の気体を流動させることができる上、筒状突起5内の空間を通って突片部4内に流入する気体を溝6aに沿って上昇させ、ヒートシンクFの外部へ排出することができ、ひいては、電子部品aから伝達及び伝導する熱を効果的に放熱することができる。
【0063】
<第7の実施態様>
図14〜
図15に示すヒートシンクGは、板状のベース部11と、ベース部11に対し該ベース部11の厚み方向の一方(図示例によれば上方)へ突出してこの一方側の空間を囲む複数の板状の突片部12と、各突片部12に対し該突片部12の厚み方向の外側へ突出するとともにその突出方向へ内部が貫通した複数の筒状突起13とを備える。
【0064】
図示例によれば、ベース部11は、突起や貫通孔を有さない矩形平板状(図示例によれば正四角形状)に形成される。
突片部12は、ベース部11の各辺部に対応して4枚設けられ、それぞれベース部11から上方へ突出している。これら突片部12は、金属製板材を曲げ加工することにより形成可能である。
【0065】
筒状突起13は、各突片部12の厚み方向の外側へ突出するとともにその突出方向へ内部が貫通した筒状に形成され、突片部12の面に沿って複数並設される。
複数の筒状突起13のうち、隣接する二つの筒状突起13,13は、これら二つ筒状突起13,13の間に位置する壁部を共用して一体に形成される。
そして、複数の筒状突起13は、図示例によれば、それぞれ平面視多角形状(図示例によれば正六角形状)に形成され、ハニカム状に配設されている。
【0066】
図14に例示するヒートシンクGでは、横方向へ複数並ぶ筒状突起13を上下2列に設けており、上列の筒状突起13の数(図示例によれば3つ)を下列の筒状突起13の数(図示例によれば4つ)よりも少なく設定している。
【0067】
このヒートシンクGは、上述したヒートシンクE(
図10参照)等と同様にして、ベース部11の下面が電子部品aに装着される。さらに、このヒートシンクGの周囲には、必要に応じて、送風機b,cが設けられる(
図15参照)。
【0068】
よって、ヒートシンクGによれば、筒状突起13内の空間を通って突片部12内に流入する気体を、ベース部11上面から放散される熱により上昇させ、ヒートシンクGの外部へ排出することができ、ひいては、電子部品aから伝達及び伝導する熱を効果的に放熱することができる。
また、図示例によれば、複数の筒状突起13をハニカム状に構成しているため、これら筒状突起13を含むヒートシンクG全体を高強度に保持することができる。
【0069】
<第8〜10の実施態様>
図16に示すヒートシンクH,I,Jは、上記ヒートシンクGに対し一部の構成を変更したものである。
ヒートシンクHは、ヒートシンクGにおける筒状突起13を筒状突起13’に置換したものである。各筒状突起13’は、筒状突起13よりも突片部12外面からの突出寸法wを大きく設定している(
図16(a)参照)。
図示例によれば、ヒートシンクHにおける筒状突起13’の突出寸法wは、ヒートシンクGにおける筒状突起13の突出寸法の約2倍に設定されている。
【0070】
また、ヒートシンクIは、ヒートシンクGにおける上下に列の筒状突起13のうち、上列の筒状突起13を省き、下列の筒状突起13よりも上側に、筒状突起13及び貫通孔等を有さない平坦領域12aを設けている(
図16(b)参照)。
平坦領域12aの上下幅寸法h2は、横方向へ並ぶ筒状突起13の上下幅寸法h1に対し、同幅、又は同幅以上に設定される。
【0071】
また、ヒートシンクJは、ヒートシンクGにおける各突片部12を突片部12’に置換したものである。突片部12’は、突片部12よりもベース部11からの突出高さを大きく設定し、複数の筒状突起13よりも上方側に、筒状突起13及び貫通孔等を有さない平坦領域12a’を設けている(
図16(c)参照)。
平坦領域12a’の上下幅寸法h2’は、横方向へ並ぶ上下列の筒状突起13の上下幅寸法h1’に対し、同幅、又は同幅以上に設定される。
【0072】
<比較実験>
次に、上記構成のヒートシンクG,H,I,Jについて、比較実験を行った結果について説明する。
比較例としては、
図17に示すヒートシンクZを用いた。ヒートシンクZは、上記ヒートシンクGから全ての筒状突起13を省き、各突片部12を、突起及び貫通孔のない平板状の突片部12”に置換したものである。
【0073】
実験方法は、ヒートシンクG,H,I,J,Zのそれぞれについて、ベース部11下面を、セラミックヒータ上に接触させ、その接触部分の温度変化を観察した。
図18のグラフは、ヒートシンクG、H,I,J,Zの前記接触部分について、経過時間に対する温度上昇度の変化を示している。
この実験結果より、30分経過後の温度上昇度は、ヒートシンクJ,H,G,I,Zの順番に低いことがわかる。よって、この順番に放熱効果が大きいものと考えられる。
【0074】
<第11の実施態様>
次に、
図19に示すヒートシンクKについて説明する。
このヒートシンクKは、上述したヒートシンクGに対し、筒状突起13を筒状突起14に置換し、ベース部11に突起15を加えた構成としている。
【0075】
筒状突起14は、各突片部12の厚み方向の外側へ突出するとともにその突出方向へ内部が貫通した筒状に形成され、突片部12の面に沿って複数配設される。
これら複数の筒状突起14のうち、隣接する二つの筒状突起14,14は、互いに、他方の筒状突起14の外壁面に対し平行な面を有し、この平行な外壁面同士を近接させている。そして、複数の筒状突起14は、それぞれが正六角形状に形成され、ハニカム状に配設される。
図19中、符号sは、前記平行な面の間に確保される隙間を示す。
【0076】
また、突起15は、筒状(図示例によれば円筒状)に形成され、ベース部11の略中央部から上方へ突出している。この突起15内の底面はベース部11の上面になっている。すなわち、この突起15の内部は底部を貫通しない凹状に形成される。この突起15は、ベース部11の熱を速やかに上方へ熱伝導し、空間へ放散させる。
ヒートシンクKの周囲には、必要に応じて、送風機b,cが設けられる(
図19参照)。
【0077】
なお、図示例によれば突起15を単数としているが、他例としては、この突起15をベース部11内面に沿って複数設け、より放熱効果を高めるよにしてもよい。
【0078】
また、各突起15は、
図20に示す突起16,17,18に置換することも可能である。
【0079】
図20(a)に示す突起16は、六角筒状に形成され、ベース部11上面に単数もしくは複数設けられる。複数設けた場合、これら複数の突起16は、上述した筒状突起13(
図14参照)や筒状突起14(
図19(a)参照)と同様にして、ハニカム状に配設されるのが好ましい。
【0080】
また、
図20(b)に示す突起17は、ベース部11上面に略直交する平板部17aを横断面放射状に複数配設することで構成される。
この突起17によれば、複数の平板部17aにより放熱面積を比較的広く確保することができ、これによって放熱性能を向上することができる。
なお、突起17は、上記態様と同様に、単数もしくは複数配設することが可能である。
【0081】
また、
図20(c)に示す突起18は、比較的細身の中実柱状(図示例によれば円柱状)に形成される。この突起18は、ベース部11上面に多数配設され、ベース部11上面側の放熱性能を向上する。
なお、突起18の横断面形状は、図示例に限定されず、例えば、六角形等の多角形状や楕円形状、その他の形状とすることが可能である。
【0082】
なお、ヒートシンクKの変形例としては、上記ヒートシンクG(
図14参照)と同様に、隣接する筒状突起14,14間に位置する壁部を共用して一体化することも可能である。
逆に、上記ヒートシンクGの変形例としては、ヒートシンクKと同様に、隣接する筒状突起13,13間を分離し、これらの間で、互いに平行な外壁面同士を近接させることも可能である。
【0083】
また、上記ヒートシンクE〜Kによれば、4枚の突片部4,6又は12を正四角形枠状に並べたが、他例としては、突片部4,6又は12を、長方形枠状や、多角形枠状(三角形枠状や、五角形枠状、六角形枠状等を含む)に並べた態様とすることも可能である。
さらに、他例としては、湾曲した形状の突片部(図示せず)を、ベース部3の上側の空間を囲むように複数並べた態様とすることも可能である。
【0084】
また、上記ヒートシンクA〜Kに加える好ましい構成としては、前記ベース部、前記突片部及び前記筒状突起における露出面を、アルマイト層によって覆う(図示せず)。
より具体的に説明すれば、上記ヒートシンクA〜Kをアルマイト処理用電解槽の電解溶液中に没入し、ヒートシンクA〜Kの全表面にアルマイト処理を施す。
この構成によれば、ヒートシンクA〜Kにおける露出面を含む全表面にアルマイト層が形成され、このアルマイト層によって輻射による放熱量を増大することができる。
【0085】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜に変更可能である。
周囲の空気を流動させ易くし放熱性を向上する。板状のベース部1と、該ベース部1に対し該ベース部1の厚み方向の一方へ突出した板状の突片部2aと、該突片部2aに対し該突片部2aの厚み方向へ突出するとともにその突出方向へ内部が貫通した筒状突起2dとを備え、放熱部2aは、ベース部1の面に沿って複数設けられ、筒状突起2dは、各突片部2aの面に沿って複数設けられる。