(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記溶剤供給部は、トルエン、ヘプタン、アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、二硫化炭素およびテトラヒドロフランのうち1または複数を溶剤として供給するように構成された、請求項7記載の基板処理装置。
前記溶剤供給部は、基板上の処理膜から形成されるべきパターンの形状に応じて、複数種類の溶剤のうち1種類または複数種類の溶剤を選択的に供給する、請求項7または8記載の基板処理装置。
前記熱処理を行う工程は、基板上に形成された処理膜に、トルエン、ヘプタン、アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、二硫化炭素およびテトラヒドロフランのうち1または複数を溶剤として供給する工程を含む、請求項14記載の基板処理方法。
前記熱処理を行う工程は、基板上の処理膜から形成されるべきパターンの形状に応じて、複数種類の溶剤のうち1種類または複数種類の溶剤を選択的に基板に供給する工程を含む、請求項14または15記載の基板処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板上のパターンのさらなる微細化を実現するため、ブロック共重合体のミクロ相分離を利用したDSA(Directed Self Assembly;誘導自己組織化)技術が提案されている。パターン形成に用いるブロック共重合体としては、種々の材料が考えられる。しかしながら、ブロック共重合体の種類によっては、ミクロ相分離を適正に生じさせることが困難である。
【0006】
本発明は、種々の誘導自己組織化材料のミクロ相分離を適正に生じさせることが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る基板処理装置は、基板上に
複数種類の重合体から構成される誘導自己組織化材料からなる処理膜を形成するように構成された処理膜形成ユニットと、処理膜形成ユニットにより基板上に形成された処理膜に
ミクロ相分離が生じるように、当該処理膜に溶剤を供給しつつ熱処理を行
う熱処理ユニットと、
ミクロ相分離後の処理膜における複数種類の重合体の間の結合が切断されるように、熱処理ユニットによる熱処理後の処理膜
の全面に露光処理を行
う露光処理ユニットと、露光処理ユニットによる露光処理後の処理膜に現像液を供給することにより現像処理を行うように構成された現像処理ユニットと、基板を保持するためのハンドを有し、基板をハンドにより保持して処理膜形成ユニット、露光処理ユニットおよび現像処理ユニットに対して搬送する第1の搬送機構とを備えたものである。
【0008】
この基板処理装置においては、処理膜形成ユニットにおいて基板上に誘導自己組織化材料からなる処理膜が形成される。その後、熱処理ユニットにおいて基板上の処理膜に溶剤が供給されつつ熱処理が行われる。この場合、処理膜の熱処理時に溶剤を供給することにより、処理膜を膨潤させることができ、誘導自己組織化材料のミクロ相分離を促進することができる。それにより、種々の誘導自己組織化材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。その結果、基板上に微細なパターンを精度よく形成することができる。
また、露光処理ユニットにおいて処理膜に露光処理が行われることにより、ミクロ相分離後の処理膜中で異なる種類の重合体間の結合が切断される。続いて、第1の現像処理ユニットにおいて処理液に現像液が供給されることにより、不要な重合体が除去される。それにより、基板上に所望のパターンが形成される。
基板処理装置は、第1の処理部、第2の処理部および搬送部をさらに備え、処理膜形成ユニットおよび現像処理ユニットは、第1の処理部に設けられ、熱処理ユニットおよび露光処理ユニットは、第2の処理部に設けられ、第1の搬送機構は、搬送部に設けられ、搬送部は、第1の処理部と第2の処理部との間に設けられてもよい。
熱処理ユニットおよび露光処理ユニットは、互いに隣接するように第2の処理部に設けられてもよい。
基板処理装置は、搬送部と隣接するように設けられたインデクサブロックをさらに備え、インデクサブロックは、複数の基板が収容されるキャリアが載置される載置台と、載置台上に載置されるキャリアと搬送部との間で基板を搬送する第2の搬送機構とを含み、インデクサブロックおよび搬送部は、水平な第1の方向に並ぶように設けられ、第1の処理部、搬送部および第2の処理部は、水平でかつ第1の方向と交差する第2の方向に並ぶように設けられてもよい。
本発明に係る基板処理装置は、第1の処理部と、第2の処理部と、第1の処理部と第2の処理部との間に設けられる搬送部と、第1の処理部に設けられ、基板上に誘導自己組織化材料からなる処理膜を形成するように構成された処理膜形成ユニットと、第2の処理部に設けられ、処理膜形成ユニットにより基板上に形成された処理膜に溶剤を供給しつつ熱処理を行うように構成された熱処理ユニットと、第2の処理部に設けられ、熱処理ユニットによる熱処理後の処理膜に露光処理を行うように構成された露光処理ユニットと、第1の処理部に設けられ、露光処理ユニットによる露光処理後の処理膜に現像液を供給することにより現像処理を行うように構成された現像処理ユニットと、搬送部に設けられ、基板を保持するためのハンドを有し、基板をハンドにより保持して処理膜形成ユニット、露光処理ユニットおよび現像処理ユニットに対して搬送する第1の搬送機構とを備え、搬送部は、上下に設けられた上段搬送室および下段搬送室を含み、処理膜形成ユニットは、上段搬送室と隣接するように第1の処理部に設けられた上段処理膜形成ユニットと、下段搬送室と隣接するように第1の処理部に設けられた下段処理膜形成ユニットとを含み、現像処理ユニットは、上段搬送室と隣接するように第1の処理部に設けられた上段現像処理ユニットと、下段搬送室と隣接するように第1の処理部に設けられた下段現像処理ユニットとを含み、熱処理ユニットは、上段搬送室と隣接するように第2の処理部に設けられた上段熱処理ユニットと、下段搬送室と隣接するように第2の処理部に設けられた下段熱処理ユニットとを含み、露光処理ユニットは、上段搬送室と隣接するように第2の処理部に設けられた上段露光処理ユニットと、下段搬送室と隣接するように第2の処理部に設けられた下段露光処理ユニットとを含み、搬送機構は、上段処理膜形成ユニット、上段現像処理ユニット、上段熱処理ユニットおよび上段露光処理ユニットに対して基板を搬送するように上段搬送室に設けられた上段搬送機構と、下段処理膜形成ユニット、下段現像処理ユニット、下段熱処理ユニットおよび下段露光処理ユニットに対して基板を搬送するように下段搬送室に設けられた下段搬送機構とを含むものである。
本発明に係る基板処理装置は、基板上に誘導自己組織化材料からなる処理膜を形成するように構成された処理膜形成ユニットと、処理膜形成ユニットにより基板上に形成された処理膜に溶剤を供給しつつ熱処理を行うように構成された熱処理ユニットと、熱処理ユニットによる熱処理後の処理膜に露光処理を行うように構成された露光処理ユニットと、露光処理ユニットによる露光処理後の処理膜に現像液を供給することにより現像処理を行うように構成された現像処理ユニットと、基板を保持するためのハンドを有し、基板をハンドにより保持して処理膜形成ユニット、露光処理ユニットおよび現像処理ユニットに対して搬送する第1の搬送機構と、熱処理ユニットによる熱処理前
であって処理膜形成ユニットによる処理膜の形成前の基板に冷却処理を行い、熱処理ユニットによる熱処理後であって露光装置による露光処理前の処理膜に冷却処理を行う冷却ユニットとを備えたものである。
【0009】
熱処理ユニットは、処理膜が形成された基板が載置され、載置された基板の温度を調整するように構成された熱処理プレートと、熱処理プレートの上方の空間を取り囲むように構成されたカバー部と、カバー部内に気化された溶剤を供給するように構成された溶剤供給部とを含んでもよい。
【0010】
この場合、処理膜が形成された基板が熱処理プレート上に載置された状態で、カバー部内に気化された溶剤が供給されつつ熱処理プレートにより基板の温度が調整される。それにより、簡単な構成で効率よく基板上の処理膜に溶剤を供給しつつ熱処理を行うことができる。
【0011】
溶剤供給部は、トルエン、ヘプタン、アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、二硫化炭素およびテトラヒドロフランのうち1または複数を溶剤として供給するように構成されてもよい。
【0012】
この場合、種々の誘導自己組織化材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。
【0013】
溶剤供給部は、複数種類の溶剤のいずれかを選択的に供給可能に構成されてもよい。
【0014】
この場合、処理膜に用いられる誘導自己組織化材料の種類または形成すべきパターンの形状等に応じて、複数種類の溶剤のいずれかを選択的に基板上の処理膜に供給することができる。それにより、誘導自己組織化材料のミクロ相分離をより適正に生じさせることができる。
【0015】
溶剤供給部は、複数種類の溶剤を混合して供給可能に構成されてもよい。
【0016】
この場合、処理膜に用いられる誘導自己組織化材料の種類または形成すべきパターンの形状等に応じて、複数種類の溶剤を混合して基板上の処理膜に供給することができる。それにより、誘導自己組織化材料のミクロ相分離をより適正に生じさせることができる。
溶剤供給部は、基板上の処理膜から形成されるべきパターンの形状に応じて、複数種類の溶剤のうち1種類または複数種類の溶剤を選択的に供給してもよい。
【0017】
熱処理ユニットは、カバー部内を減圧する減圧部をさらに含んでもよい。この場合、溶剤の使用量を低減することができる。また、カバー部内における溶剤の濃度を均一に維持することができ、基板上の処理膜の全面に均一に溶剤を供給することができる。
【0018】
露光処理ユニットは、露光処理の時間を調整可能に構成されてもよい。
【0022】
本発明に係る基板処理方法は、搬送機構のハンドにより基板を保持して処理膜形成ユニットに搬送する工程と、処理膜形成ユニットにおいて、基板上に
複数種類の重合体から構成される誘導自己組織化材料からなる処理膜を形成する工程と、処理膜形成ユニットにより処理膜が形成された基板を前記搬送機構のハンドにより保持して熱処理ユニットに搬送する工程と、熱処理ユニットにおいて、処理膜形成ユニットにより基板上に形成された処理膜に
ミクロ相分離が生じるように、当該処理膜に溶剤を供給しつつ熱処理を行う工程と、処理膜形成ユニットにより処理膜に熱処理が行われた後の基板を搬送機構のハンドにより保持して露光処理ユニットに搬送する工程と、露光処理ユニットにおいて、
ミクロ相分離後の処理膜における複数種類の重合体の間の結合が切断されるように、熱処理ユニットによる熱処理後の処理膜
の全面に露光処理を行う工程と、露光処理ユニットにより処理膜に露光処理が行われた後の基板を搬送機構のハンドにより保持して現像処理ユニットに搬送する工程と、現像処理ユニットにおいて、露光処理ユニットによる露光処理後の処理膜に現像液を供給することにより現像処理を行う工程とを含むものである。
【0023】
この基板処理方法によれば、処理膜形成ユニットにおいて基板上に誘導自己組織化材料からなる処理膜が形成される。その後、熱処理ユニットにおいて基板上の処理膜に溶剤が供給されつつ熱処理が行われる。この場合、処理膜の熱処理時に溶剤を供給することにより、処理膜を膨潤させることができ、誘導自己組織化材料のミクロ相分離を促進することができる。それにより、種々の誘導自己組織化材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。その結果、基板上に微細なパターンを精度よく形成することができる。
また、露光処理ユニットにおいて処理膜に露光処理が行われることにより、ミクロ相分離後の処理膜中で異なる種類の重合体間の結合が切断される。続いて、第1の現像処理ユニットにおいて処理液に現像液が供給されることにより、不要な重合体が除去される。それにより、基板上に所望のパターンが形成される。
【0024】
熱処理を行う工程は、基板上に形成された処理膜に、トルエン、ヘプタン、アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、二硫化炭素およびテトラヒドロフランのうち1または複数を溶剤として供給する工程を含んでもよい。
【0025】
この場合、種々の誘導自己組織化材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。
【0026】
熱処理を行う工程は、基板上に形成された処理膜に、複数種類の溶剤のいずれかを選択的に供給する工程を含んでもよい。
【0027】
この場合、処理膜に用いられる誘導自己組織化材料の種類に応じて、複数種類の溶剤のいずれかを選択的に基板上の処理膜に供給することができる。それにより、誘導自己組織化材料のミクロ相分離をより適正に生じさせることができる。
【0028】
熱処理を行う工程は、基板上に形成された処理膜に、複数種類の溶剤を混合して供給する工程を含んでもよい。
【0029】
この場合、処理膜に用いられる誘導自己組織化材料の種類に応じて、複数種類の溶剤を混合して基板上の処理膜に供給することができる。それにより、誘導自己組織化材料のミクロ相分離をより適正に生じさせることができる。
【0030】
熱処理を行う工程は、基板上の処理膜から形成されるべきパターンの形状に応じて、複数種類の溶剤のうち1種類または複数種類の溶剤を選択的に基板に供給する工程を含んでもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、種々の誘導自己組織化材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を用いて説明する。なお、以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板およびフォトマスク用基板等をいう。
【0037】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
図1および
図2以降の所定の図には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0038】
図1に示すように、基板処理装置100は、インデクサブロック11および処理ブロック12を備える。インデクサブロック11は、複数のキャリア載置部40および搬送部112を含む。各キャリア載置部40には、複数の基板Wを多段に収容するキャリアCがそれぞれ載置される。本実施の形態では、キャリアCとしてFOUP(front opening unified pod)が用いられる。
【0039】
搬送部112には、制御部114および搬送機構115が設けられる。制御部114は、基板処理装置100の種々の構成要素を制御する。搬送機構115は、基板Wを保持するためのハンド116を有する。搬送機構115は、ハンド116により基板Wを保持しつつその基板Wを搬送する。後述の
図4に示すように、搬送部112には、キャリアCと搬送機構115との間で基板Wを受け渡すための開口部117が形成される。
【0040】
搬送部112の側面には、メインパネルPNが設けられる。ユーザは、基板処理装置100における基板Wの処理状況等をメインパネルPNで確認することができる。また、メインパネルPNの近傍には、例えばキーボードからなる操作部(図示せず)が設けられる。ユーザは、操作部を操作することにより、基板処理装置100の動作設定等を行うことができる。
【0041】
処理ブロック12は、塗布現像処理部121、搬送部122および熱処理部123を含む。塗布現像処理部121および熱処理部123は、搬送部122を挟んで対向するように設けられる。搬送部122とインデクサブロック11との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS1および後述する基板載置部PASS2〜PASS4(
図4)が設けられる。搬送部122には、基板Wを搬送する搬送機構127および後述する搬送機構128(
図4)が設けられる。
【0042】
(2)塗布現像処理部の構成
図2は、
図1の塗布現像処理部121の概略側面図である。
図2に示すように、塗布現像処理部121には、現像処理室21,23および塗布処理室22,24が階層的に設けられる。現像処理室21,23の各々には、現像処理ユニット129が設けられる。塗布処理室22,24の各々には、塗布処理ユニット139が設けられる。
【0043】
各現像処理ユニット129は、基板Wを保持するスピンチャック25およびスピンチャック25の周囲を覆うように設けられるカップ27を備える。本実施の形態では、各現像処理ユニット129に2組のスピンチャック25およびカップ27が設けられる。各スピンチャック25は、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ)により回転駆動される。また、各現像処理ユニット129は、スピンチャック25により保持される基板Wに現像液を供給するためのノズル28を備える。本例では、複数のスピンチャック25にそれぞれ対応するように複数のノズル28が設けられるが、複数のスピンチャック25に対して共通のノズル28が用いられてもよい。
【0044】
各塗布処理ユニット139は、基板Wを保持するスピンチャック35およびスピンチャック35の周囲を覆うように設けられるカップ37を備える。本実施の形態では、各塗布処理ユニット139に2組のスピンチャック35およびカップ37が設けられる。各スピンチャック35は、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ)により回転駆動される。また、各塗布処理ユニット139は、スピンチャック35により保持される基板Wに処理液を供給するためのノズル38を備える。本例では、複数のスピンチャック35にそれぞれ対応するように複数のノズル38が設けられるが、複数のスピンチャック35に対して共通のノズル38が用いられてもよい。
【0045】
塗布処理室22,24の塗布処理ユニット139においては、DSA(Directed Self Assembly;誘導自己組織化)技術に用いられる自己組織化材料(以下、DSA材料と呼ぶ)からなる処理液が基板Wに塗布される。これにより、基板W上にDSA材料からなる膜(以下、DSA膜と呼ぶ)が形成される。DSA材料は、複数種類の重合体によって構成されるブロック共重合体からなる。ブロック共重合体を構成する複数種類の重合体は、互いに非相溶であることが好ましい。
【0046】
本実施の形態では、2種類の重合体から構成されるDSA材料が用いられる。2種類の重合体の組み合わせとして、例えば、ポリスチレン−ポリメチルメタクリレート(PS−PMMA)、ポリスチレン−ポリジメチルシロキサン(PS−PDMS)、ポリエチレン−ポリフェロセニルジメチルシラン(PS−PFS)、ポリスチレン−ポリエチレンオキシド(PS−PEO)、ポリスチレン−ポリビニルピリジン(PS−PVP)、ポリエチレン−ポリヒドロキシスチレン(PS−PHOST)、およびポリメチルメタクリレート−ポリメタクリレートポリヘドラルオリゴメリックシルスセスキオキサン(PMMA−PMAPOSS)等が挙げられる。
【0047】
現像処理室21,23の現像処理ユニット129においては、DSA膜が形成された基板Wに現像処理が行われる。具体的には、DSA膜が形成された基板Wに現像液が供給されることにより、DSA膜の不要な部分が除去される。現像液としては、例えば、トルエン、ヘプタン、アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、酢酸またはテトラヒドロフラン等が用いられる。現像処理の詳細については後述する。
【0048】
図1および
図2に示すように、塗布現像処理部121の一端には流体ボックス部50が設けられる。流体ボックス部50内には、現像処理ユニット129および塗布処理ユニット139への処理液および現像液の供給ならびに現像処理ユニット129および塗布処理ユニット139からの廃液および排気等に関する導管、継ぎ手、バルブ、流量計、レギュレータ、ポンプ、温度調節器等の流体関連機器が収納される。
【0049】
(3)熱処理部の構成
図3は、
図1の熱処理部123の概略側面図である。
図3に示すように、熱処理部123は、上方に設けられる上段熱処理部301および下方に設けられる下段熱処理部302を有する。上段熱処理部301および下段熱処理部302の各々には、複数の熱処理ユニット200、複数の露光処理ユニット250および複数の冷却ユニットCPが設けられる。
【0050】
熱処理ユニット200においては、DSA膜の形成後の基板Wに溶剤を用いた熱処理(以下、溶剤熱処理と呼ぶ)が行われる。露光処理ユニット250においては、溶剤熱処理後の基板Wに露光処理が行われる。熱処理ユニット200および露光処理ユニット250の詳細については後述する。冷却ユニットCPにおいては、DSA膜の形成前の基板Wおよび溶剤熱処理後の基板Wに冷却処理が行われる。
【0051】
(4)搬送部の構成
図4は、搬送部112,122の模式的側面図である。
図4に示すように、搬送部122は、上段搬送室125および下段搬送室126を有する。上段搬送室125には搬送機構127が設けられ、下段搬送室126には搬送機構128が設けられる。
【0052】
搬送部112と上段搬送室125との間には、基板載置部PASS1,PASS2が設けられ、搬送部112と下段搬送室126との間には、基板載置部PASS3,PASS4が設けられる。
【0053】
基板載置部PASS1,PASS3には、インデクサブロック11から処理ブロック12へ搬送される基板Wが載置される。基板載置部PASS2,PASS4には、処理ブロック12からインデクサブロック11へ搬送される基板Wが載置される。
【0054】
搬送機構127,128の各々は、ガイドレール311,312,313、移動部材314、回転部材315およびハンドH1,H2を備える。ガイドレール311,312は、上下方向に延びるようにそれぞれ設けられる。ガイドレール313は、ガイドレール311とガイドレール312と間で水平方向(X方向)に延びるように設けられ、上下動可能にガイドレール311,312に取り付けられる。移動部材314は、水平方向(X方向)に移動可能にガイドレール313に取り付けられる。
【0055】
移動部材314の上面に、回転部材315が回転可能に設けられる。回転部材315には、基板Wを保持するためのハンドH1およびハンドH2が取り付けられる。ハンドH1,H2は、回転部材315を基準に進退可能に構成される。
【0056】
このような構成により、搬送機構127,128の各々は、ハンドH1,H2を用いて基板Wを保持し、X方向およびZ方向に移動して基板Wを搬送することができる。搬送機構127は、基板載置部PASS1,PASS2、現像処理室21(
図2)、塗布処理室22(
図2)および上段熱処理部301(
図3)の間で基板を搬送する。搬送機構128は、基板載置部PASS3,PASS4、現像処理室23(
図2)、塗布処理室24(
図2)および下段熱処理部302(
図3)の間で基板を搬送する。
【0057】
(5)基板の処理
基板処理装置100における基板Wの処理の概要について説明する。
【0058】
(5−1)第1の処理例
図5は、基板処理装置100における基板Wの第1の処理例について説明するための模式的断面図である。
【0059】
第1の処理例では、基板Wが基板処理装置100に搬入される前の初期状態として、
図5(a)に示すように、基板Wの上面を覆うように下地層L1が形成され、下地層L1上に例えばフォトレジストからなるガイドパターンL2が形成される。
【0060】
基板処理装置100において、
図5(b)に示すように、ガイドパターンL2が形成されていない下地層L1上の領域に、2種類の重合体から構成されるDSA膜L3が形成される。次に、基板W上のDSA膜L3に溶剤熱処理が行われることにより、DSA膜L3のミクロ相分離が生じる。その結果、
図5(c)に示すように、一方の重合体からなるパターンP1および他方の重合体からなるパターンP2が形成される。本例では、ガイドパターンL2に沿うように、線状のパターンP1および線状のパターンP2が交互に形成される。
【0061】
次に、ミクロ相分離後のDSA膜L3の全面に露光処理が行われることにより、一方の重合体と他方の重合体との間の結合が切断され、パターンP1とパターンP2とが分離される。次に、基板W上のDSA膜L3に現像処理が行われることにより、
図5(d)に示すように、パターンP2が除去される。最終的に、基板W上にパターンP1が残存する。
【0062】
(5−2)第2の処理例
図6は、基板処理装置100における基板Wの第2の処理例について説明するための模式的断面図である。
【0063】
第2の処理例では、基板Wが基板処理装置100に搬入される前の初期状態として、
図6(a)に示すように、複数の線状の領域R1が間隔をおいて露出するように、基板Wの上面上に下地層L1が形成される。
【0064】
基板処理装置100において、
図6(b)に示すように、領域R1および下地層L1を覆うように2種類の重合体から構成されるDSA膜L3が形成される。次に、基板W上のDSA膜L3に溶剤熱処理が行われることにより、DSA膜L3のミクロ相分離が生じる。その結果、
図6(c)に示すように、一方の重合体からなるパターンP1および他方の重合体からなるパターンP2が形成される。本例では、各領域R1上に線状のパターンP2が形成され、そのパターンP2に沿うように、下地層L1上に線状のパターンP1および線状のパターンP2が交互に形成される。
【0065】
その後、
図5の例と同様に、ミクロ相分離後のDSA膜L3の全面に露光処理が行われ、露光処理後のDSA膜L3に現像処理が行われることにより、図
6(d)に示すように、パターンP2が除去される。最終的に、基板W上にパターンP1が残存する。
【0066】
(6)動作
基板処理装置100の動作について説明する。まず、インデクサブロック11のキャリア載置部40(
図1)に、初期状態
(図5(a)および
図6(a)参照)の基板Wが収容されたキャリアCが載置される。搬送機構115は、キャリアCから基板載置部PASS1および基板載置部PASS3(
図4)に交互に初期状態の基板Wを搬送する。
【0067】
基板載置部PASS1に載置された基板Wは、搬送機構127(
図4)のハンドH1により取り出される。次に、搬送機構127(
図4)は、ハンドH2により上段熱処理部301(
図3)の所定の冷却ユニットCPから冷却処理後の基板Wを取り出し、ハンドH1に保持される基板Wをその冷却ユニットCPに搬入する。この場合、冷却ユニットCPにおいて、基板Wの温度がDSA膜L3の形成に適した温度に調整される。
【0068】
次に、搬送機構127(
図4)は、ハンドH1により塗布処理室22(
図2)のスピンチャック35上からDSA膜L3が形成された後の基板W(
図5(b)および
図6(b))を取り出し、ハンドH2に保持される冷却処理後の基板Wをそのスピンチャック35上に載置する。塗布処理室22において、塗布処理ユニット139(
図2)により、基板W上にDSA膜L3が形成される(
図5(b)および
図6(b)参照)。
【0069】
次に、搬送機構127(
図4)は、ハンドH2により上段熱処理部301(
図3)の所定の熱処理ユニット200から溶剤熱処理後の基板W(
図5(c)および
図6(c)参照)を取り出し、ハンドH1に保持されるDSA膜L3の形成後の基板Wをその熱処理ユニット200に搬入する。熱処理ユニット200において、基板Wの溶剤熱処理が行われる(
図5(c)および
図6(c)参照))。
【0070】
次に、搬送機構127(
図4)は、ハンドH1により上段熱処理部301(
図3)の所定の冷却ユニットCPから冷却処理後の基板Wを取り出し、ハンドH2に保持される溶剤熱処理後の基板Wをその冷却ユニットCPに搬入する。この場合、冷却ユニットCPにおいて、基板Wの温度が露光処理に適した温度に調整される。
【0071】
次に、搬送機構127(
図4)は、ハンドH2により上段熱処理部301(
図3)の所定の露光処理ユニット250から露光処理後の基板Wを取り出し、ハンドH1に保持される冷却処理後の基板Wをその露光処理ユニット250に搬入する。露光処理ユニット250において、溶剤熱処理後の基板Wに露光処理が行われる。
【0072】
次に、搬送機構127(
図4)は、ハンドH1により現像処理室21(
図2)のスピンチャック25上から現像処理後の基板W(
図5(d)および
図6(d)参照)を取り出し、ハンドH2に保持される露光処理後の基板Wをそのスピンチャック35上に載置する。現像処理室21において、現像処理ユニット129により、露光処理後の基板Wに現像処理が行われる(
図5(d)および
図6(d)参照)。その後、搬送機構127は、ハンドH1に保持される現像処理後の基板Wを基板載置部PASS2(
図4)に載置する。
【0073】
搬送機構127が上記の処理を繰り返すことにより、処理ブロック
12内において複数の基板Wに所定の処理が連続的に行われる。
【0074】
搬送機構128は、搬送機構127と同様の動作により、基板載置部PASS3,PASS4、現像処理室23、塗布処理室24および下段熱処理部302に対して基板Wの搬入および搬出を行う。現像処理室23、塗布処理室24および下段熱処理部302において、現像処理室21、塗布処理室22および上段熱処理部301と同様の処理が行われる。
【0075】
このように、本実施の形態においては、搬送機構127によって搬送される基板Wは、現像処理室21、塗布処理室22および上段熱処理部301において処理され、搬送機構128によって搬送される基板Wは、現像処理室23、塗布処理室24および下段熱処理部302において処理される。この場合、上段の処理部(塗布処理室21,22および上段熱処理部301)および下段の処理部(塗布処理室23,24および下段熱処理部302)において並行して基板Wの処理を行うことができる。
【0076】
(7)熱処理ユニット
図7は、熱処理ユニット200の構成を示す模式的断面図である。
図7に示すように、熱処理ユニット200は、周壁211および蓋212からなるチャンバ210を備える。周壁211の内側には、基板Wを載置するためのプレート220が設けられる。
【0077】
周壁211の上端面には、シール部材SEが取り付けられる。シール部材SEは、例えばOリングからなる。蓋212は、蓋昇降機構213に接続される。蓋昇降機構213によって蓋212が上方位置と下方位置との間で昇降される。蓋212が上方位置に配置される場合、周壁211の上部開口が開放される。蓋212が下方位置に配置される場合、周壁211の上部開口が閉塞される。この場合、蓋212の下面がシール部材SEに密着し、チャンバ210の内部に気密な処理空間PSが形成される。
【0078】
プレート220の上面には、複数(例えば3つ)のプロキシミティボール221が設けられる。プレート220の上面から一定距離(例えば0.1mm)だけ離間するように複数のプロキシミティボール221上に基板Wが載置される。プレート220を上下方向に貫通するように、複数(例えば3つ)の貫通孔222が設けられる。複数の貫通孔222に複数(例えば3つ)の支持ピン230がそれぞれ挿入される。各支持ピン230の先端部には、円板状の封止部230aが設けられる。プレート220において、複数の貫通孔222の上端部に、複数の封止部230aをそれぞれ収容可能な複数の凹部222aが設けられる。各貫通孔222の上部開口を取り囲むように、各凹部222aの底面上にシール部材281が取り付けられる。シール部材281は、例えばOリングからなる。
【0079】
複数の支持ピン230は、プレート220の下方に配置された支持ピン昇降機構231と接続される。支持ピン昇降機構231は、例えばエアシリンダにより構成される。支持ピン昇降機構231により、複数の支持ピン230が上方位置と下方位置との間で一体的に昇降される。支持ピン230が上方位置に配置される場合、支持ピン230の封止部230a上に基板Wが支持される。支持ピン230が下方位置に配置される場合、支持ピン230の封止部230aの下面がシール部材281と密着する。これにより、貫通孔222の上端部が気密に封止される。
【0080】
プレート220内には、温調部
240が設けられる。温調部
240は、例えばヒータである。温調部
240により、プレート220の温度が調整される。それにより、プレート220上に載置された基板Wの熱処理が行われる。
【0081】
プレート220の周囲を取り囲むように、チャンバ210の周壁211に排気溝241が形成される。排気溝241には、複数のラビリンスリング242が設けられる。複数のラビリンスリング242は、排気溝241内の圧力(排気圧)が略均一になるように構成される。排気溝241の下端部に連通するように、周壁211に排気孔243が形成される。排気孔243は、回収ライン244を介してドレインタンク245と接続される。回収ライン244には、ポンプPPが介挿される。ポンプPPが動作することにより、処理空間PSの雰囲気および溶剤が回収ライン244を通してドレインタンク245に導かれる。これにより、処理空間PSが減圧される。
【0082】
チャンバ210の蓋212には、処理空間PSに溶剤を導入するための導入孔212aが形成される。導入孔212aの一端は、蓋212の下面の略中央に位置する。導入孔212aの他端に、供給管214の一端が接続される。供給管214の他端は複数(本例では3つ)の供給管215および1つの供給管216に分岐する。複数の供給管215は、複数(本例では3つ)の溶剤供給源SSにそれぞれ接続される。複数の溶剤供給源SSは、互いに異なる種類の溶剤を気化された状態で供給する。供給管216は、ガス供給源GSに接続される。ガス供給源GSは、窒素ガス等の不活性ガスを供給する。各供給管215にはバルブV2が介挿される。供給管216にはバルブV3が介挿される。
【0083】
複数のバルブV2は複数の溶剤供給源SSにそれぞれ対応する。複数のバルブV2のうち1または複数のバルブV2が選択的に開かれることにより、そのバルブV2に対応する溶剤供給源SSから気化された溶剤が供給管215,214および蓋212の導入孔212aを通して処理空間PSに導入される。これにより、複数種類の溶剤のうち選択された1種類の溶剤を基板Wに供給することができる。また、複数種類の溶剤のうち選択された2種類以上の溶剤を混合して基板Wに供給することができる。
【0084】
基板Wに供給される溶剤は、DSA膜L3(
図5(c)および
図6(c))に対して良溶媒であることが好ましい。例えば、トルエン、ヘプタン、アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、二硫化炭素またはテトラヒドロフラン等が溶剤として用いられる。この場合、種々のDSA材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。
【0085】
バルブV3が開かれることにより、ガス供給源GSから不活性ガスが供給管216,214および蓋212の導入孔212aを通して処理空間PSに導入される。複数のバルブV2のうち1または複数のバルブV2が開かれるとともにバルブV3が開かれることにより、選択された1または複数の溶剤と不活性ガスとが混合されて処理空間PSに導入される。これにより、基板Wに供給される溶剤の濃度(混合比)を調整することができる。また、全てのバルブV2が閉じられるとともにバルブV3が開かれることにより、不活性ガスのみを処理空間PSに導入することもできる。
【0086】
熱処理ユニット200における溶剤熱処理について説明する。熱処理ユニット200の各構成要素の動作は、
図1の制御部114により制御される。
【0087】
まず、蓋昇降機構213により蓋212が上方位置に配置されるとともに、支持ピン昇降機構231により複数の支持ピン230が上方位置に配置される。この状態で、搬送機構127または搬送機構128により複数の支持ピン230上に基板Wが載置される。この基板Wは、塗布処理ユニット139(
図2)により形成されたDSA膜L3(
図5および
図6)を有する。
【0088】
次に、支持ピン昇降機構231により複数の支持ピン230が下方位置まで下降される。これにより、プレート220上(プロキシミティボール221上)に基板Wが載置される。また、蓋昇降機構213により蓋212が下方位置まで下降される。
【0089】
この状態で、温調部
240によりプレート220の温度が調整され、基板Wの熱処理が行われる。この場合、基板Wの温度は、DSA材料を構成する高分子鎖の熱分解温度以下であり、例えば常温以上250℃以下の範囲で調整される。また、複数のバルブV2およびバルブV3のうち少なくとも1つのバルブV2が開かれる。それにより、対応する溶剤供給源SSから気化された溶剤が供給管215,214および蓋212の導入孔212aを通して処理空間PSに導入される。この場合、DSA膜L3に用いられるDSA材料の種類または形成すべきパターンの形状等に応じて、複数種類の溶剤のうち1種類または複数種類の溶剤が選択的に基板Wに供給される。
【0090】
また、ポンプPPが駆動されることにより、処理空間PSが排気されて減圧される。これにより、蓋212の導入孔212aから排気溝241に向かう溶剤の流れが形成され、基板W上のDSA膜L3の全体に溶剤が供給される。このようにして、基板W上のDSA膜L3に溶剤熱処理が行われる。
【0091】
本実施の形態では、上記のように、DSA膜L3に用いられるDSA材料の種類または形成すべきパターンの形状等に応じて、複数種類の溶剤のうち1種類または複数種類の溶剤が選択的に基板Wに供給される。それにより、DSA材料のミクロ相分離をより適正に生じさせることができる。また、処理空間PSが減圧された状態で基板W上のDSA膜L3に溶剤が供給される。それにより、溶剤の使用量を低減することができる。また、処理空間PS内の溶剤の濃度を均一に維持することができ、基板W上のDSA膜L3の全面に均一に溶剤を供給することができる。また、チャンバ210の外部に溶剤が漏出することを確実に防止することができる。
【0092】
所定時間が経過した後、全てのバルブV2が閉じられ、バルブV3が開かれる。これにより、処理空間PSの溶剤が不活性ガスに置換される。次いで、ポンプPPの動作が停止され、処理空間PSが常圧に戻る。次に、バルブV3が閉じられるとともに、蓋昇降機構213により蓋212が上方位置まで上昇される。また、支持ピン昇降機構231により複数の支持ピン230が上方位置まで上昇され、基板Wがプレート220から離間される。その後、複数の支持ピン230上の基板Wが搬送機構127または搬送機構128により受け取られ、熱処理ユニット200から搬出される。
【0093】
(8)露光処理ユニット
図8は、露光処理ユニット250の構成を示す模式的断面図である。
図8に示すように、露光処理ユニット250は、筐体251を備える。筐体251の側部には基板Wの搬入および搬出を行うための搬入搬出口251aが設けられる。搬入搬出口251aの内側にシャッター252が設けられる。シャッター252は、シャッター駆動装置252aにより昇降される。シャッター252により搬入搬出口251aが閉塞または開放される。
【0094】
筐体251の底面上に複数の支持ピン253が設けられる。複数の支持ピン253上に基板Wが載置される。筐体251内の上部に、複数の光出射部254が配置される。複数の光出射部254は、一方向に延びるようにそれぞれ設けられ、互いに並列に配置される。
図8においては、1つの光出射部254のみが示される。
【0095】
露光処理ユニット250の動作について説明する。露光処理ユニット250の各構成要素の動作は、
図1の制御部114により制御される。
【0096】
まず、シャッター駆動装置252aによりシャッター252が上昇され、搬入搬出口251aが開放される。この状態で、搬送機構127または搬送機構128により支持ピン253上に基板Wが載置される。この基板Wは、熱処理ユニット200(
図7)による溶剤熱処理後でありかつ冷却ユニットCPによる冷却処理後の相分離したDSA膜L3を有する。
【0097】
次に、シャッター駆動機構252aによりシャッター252が下降され、搬入搬出口251aが閉塞される。次いで、複数の光出射部254により支持ピン253上に載置された基板W上のDSA膜L3の全体に光が照射される。これにより、基板W上のDSA膜L3に露光処理が行われる。
【0098】
所定時間が経過した後、複数の光出射部254による光の照射が停止される。次いで、シャッター駆動装置252aによりシャッター252が上昇され、搬入搬出口251aが開放される。その後、支持ピン253上の基板Wが搬送機構127または搬送機構128により受け取られ、露光処理ユニット250から搬出される。
【0099】
(9)露光処理ユニットの他の例
図9は、露光処理ユニット250の他の例を示す模式的断面図である。
図9の露光処理ユニット250について、
図8の例と異なる点を説明する。
【0100】
図9の露光処理ユニット250は、シャッター255およびシャッター駆動装置256をさらに備える。シャッター255は、複数の光出射部254より低い位置において略水平に設けられる。シャッター駆動装置256によりシャッター255が水平方向に移動される。
【0101】
本例では、複数の光出射部254が継続的に光を出射する。支持ピン253上に基板Wが載置された状態で、シャッター255が水平方向に移動されることにより、光出射部254からの光がシャッター255により遮られる状態、または光出射部254からの光が基板Wに照射される状態に切り替えられる。これにより、基板W上のDSA膜L3に対する露光処理の時間が調整される。
【0102】
なお、
図8および
図9の例では、複数の支持ピン253上に基板Wが載置されるが、露光処理ユニット250に冷却プレートが設けられ、その冷却プレート上に基板Wが載置されてもよい。
【0103】
(10)効果
本実施の形態に係る基板処理装置100においては、塗布処理ユニット139により基板W上にDSA膜L3が形成された後、熱処理ユニット200により基板W上のDSA膜L3に溶剤が供給されつつ熱処理が行われる。この場合、溶剤によってDSA膜L3を膨潤させることができ、DSA材料のミクロ相分離を促進することができる。それにより、種々のDSA材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。その結果、基板W上に微細なパターンを精度よく形成することができる。
【0104】
(11)他の実施の形態
(11−1)
上記実施の形態では、現像処理ユニット129が、基板W上のDSA膜L3に現像液を供給することにより現像処理を行うように構成されるが、これに限らず、現像処理ユニット129が、基板W上のDSA膜L3にプラズマエッチング等のドライエッチングを行うことにより現像処理を行うように構成されてもよい。
【0105】
具体的には、ミクロ相分離後のDSA膜L3に対して、現像処理ユニット129においてドライエッチングが行われることにより、DSA膜L3から不要な重合体(
図5および
図6のパターンP2)が除去される。この場合、ミクロ相分離後のDSA膜L3に露光処理を行うことなく現像処理を行うことができる。それにより、処理工程数が削減され、スループットが向上される。また、露光処理ユニット250を設けなくてもよいので、基板処理装置100の小型化が可能となる。
【0106】
(11−2)
上記実施の形態では、基板処理装置100が露光処理ユニット
250および現像処理ユニット129を備えるが、露光処理ユニット
250および現像処理ユニット129の少なくとも一方が基板処理装置100の外部装置として設けられてもよい。
【0107】
(11−3)
上記実施の形態では、熱処理ユニット200において、複数種類の溶剤のうち1種類または複数種類の溶剤が選択的に基板W上のDSA膜L3に供給されるが、DSA膜L3のミクロ相分離を適正に生じさせることが可能であれば、予め定められた1種類の溶剤のみが用いられてもよい。
【0108】
(12)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0109】
上記実施の形態では、基板処理装置100が基板処理装置の例であり、塗布処理ユニット139が処理膜形成ユニットの例であり、熱処理ユニット200が熱処理ユニットの例であり、プレート220が熱処理プレートの例であり、チャンバ210がカバー部の例であり、導入孔212aが溶剤供給部の例であり、ポンプPPが減圧部の例であり、露光処理ユニット250が露光処理ユニットの例であり、現像処理ユニット129が第1および第2の現像処理ユニットの例である。
【0110】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
(13)参考形態
参考形態に係る基板処理装置は、基板上に誘導自己組織化材料からなる処理膜を形成するように構成された処理膜形成ユニットと、処理膜形成ユニットにより基板上に形成された処理膜に溶剤を供給しつつ熱処理を行うように構成された熱処理ユニットとを備えたものである。
この基板処理装置においては、処理膜形成ユニットにおいて基板上に誘導自己組織化材料からなる処理膜が形成される。その後、熱処理ユニットにおいて基板上の処理膜に溶剤が供給されつつ熱処理が行われる。この場合、処理膜の熱処理時に溶剤を供給することにより、処理膜を膨潤させることができ、誘導自己組織化材料のミクロ相分離を促進することができる。それにより、種々の誘導自己組織化材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。その結果、基板上に微細なパターンを精度よく形成することができる。
熱処理ユニットは、処理膜が形成された基板が載置され、載置された基板の温度を調整するように構成された熱処理プレートと、熱処理プレートの上方の空間を取り囲むように構成されたカバー部と、カバー部内に気化された溶剤を供給するように構成された溶剤供給部とを含んでもよい。
この場合、処理膜が形成された基板が熱処理プレート上に載置された状態で、カバー部内に気化された溶剤が供給されつつ熱処理プレートにより基板の温度が調整される。それにより、簡単な構成で効率よく基板上の処理膜に溶剤を供給しつつ熱処理を行うことができる。
溶剤供給部は、トルエン、ヘプタン、アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、二硫化炭素およびテトラヒドロフランのうち1または複数を溶剤として供給するように構成されてもよい。
この場合、種々の誘導自己組織化材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。
溶剤供給部は、複数種類の溶剤のいずれかを選択的に供給可能に構成されてもよい。
この場合、処理膜に用いられる誘導自己組織化材料の種類または形成すべきパターンの形状等に応じて、複数種類の溶剤のいずれかを選択的に基板上の処理膜に供給することができる。それにより、誘導自己組織化材料のミクロ相分離をより適正に生じさせることができる。
溶剤供給部は、複数種類の溶剤を混合して供給可能に構成されてもよい。
この場合、処理膜に用いられる誘導自己組織化材料の種類または形成すべきパターンの形状等に応じて、複数種類の溶剤を混合して基板上の処理膜に供給することができる。それにより、誘導自己組織化材料のミクロ相分離をより適正に生じさせることができる。
熱処理ユニットは、カバー部内を減圧する減圧部をさらに含んでもよい。この場合、溶剤の使用量を低減することができる。また、カバー部内における溶剤の濃度を均一に維持することができ、基板上の処理膜の全面に均一に溶剤を供給することができる。
基板処理装置は、熱処理ユニットによる熱処理後の処理膜に露光処理を行うように構成された露光処理ユニットと、露光処理ユニットによる露光処理後の処理膜に現像液を供給することにより現像処理を行うように構成された第1の現像処理ユニットとをさらに備えてもよい。
この場合、露光処理ユニットにおいて処理膜に露光処理が行われることにより、ミクロ相分離後の処理膜中で異なる種類の重合体間の結合が切断される。続いて、第1の現像処理ユニットにおいて処理液に現像液が供給されることにより、不要な重合体が除去される。それにより、基板上に所望のパターンが形成される。
基板処理装置は、熱処理ユニットによる熱処理後の処理膜にドライエッチングにより現像処理を行うように構成された第2の現像処理ユニットをさらに備えてもよい。
この場合、ドライエッチングによりミクロ相分離後の処理膜から不要な重合体が除去される。それにより、基板上に所望のパターンが形成される。
参考形態に係る基板処理方法は、処理膜形成ユニットにおいて、基板上に誘導自己組織化材料からなる処理膜を形成する工程と、熱処理ユニットにおいて、処理膜形成ユニットにより基板上に形成された処理膜に溶剤を供給しつつ熱処理を行う工程とを含むものである。
この基板処理方法によれば、処理膜形成ユニットにおいて基板上に誘導自己組織化材料からなる処理膜が形成される。その後、熱処理ユニットにおいて基板上の処理膜に溶剤が供給されつつ熱処理が行われる。この場合、処理膜の熱処理時に溶剤を供給することにより、処理膜を膨潤させることができ、誘導自己組織化材料のミクロ相分離を促進することができる。それにより、種々の誘導自己組織化材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。その結果、基板上に微細なパターンを精度よく形成することができる。
熱処理を行う工程は、基板上に形成された処理膜に、トルエン、ヘプタン、アセトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノン、二硫化炭素およびテトラヒドロフランのうち1または複数を溶剤として供給する工程を含んでもよい。
この場合、種々の誘導自己組織化材料を用いた場合において、ミクロ相分離を適正に生じさせることができる。
熱処理を行う工程は、基板上に形成された処理膜に、複数種類の溶剤のいずれかを選択的に供給する工程を含んでもよい。
この場合、処理膜に用いられる誘導自己組織化材料の種類に応じて、複数種類の溶剤のいずれかを選択的に基板上の処理膜に供給することができる。それにより、誘導自己組織化材料のミクロ相分離をより適正に生じさせることができる。
熱処理を行う工程は、基板上に形成された処理膜に、複数種類の溶剤を混合して供給する工程を含んでもよい。
この場合、処理膜に用いられる誘導自己組織化材料の種類に応じて、複数種類の溶剤を混合して基板上の処理膜に供給することができる。それにより、誘導自己組織化材料のミクロ相分離をより適正に生じさせることができる。
露光処理ユニットにおいて、熱処理ユニットによる熱処理後の処理膜に露光処理を行う工程と、第1の現像処理ユニットにおいて、露光処理ユニットによる露光処理後の処理膜に現像液を供給することにより現像処理を行う工程とをさらに含んでもよい。
この場合、露光処理ユニットにおいて処理膜に露光処理が行われることにより、ミクロ相分離後の処理膜中で異なる種類の重合体間の結合が切断される。続いて、第1の現像処理ユニットにおいて処理液に現像液が供給されることにより、不要な重合体が除去される。それにより、基板上に所望のパターンが形成される。
第2の現像処理ユニットにおいて、熱処理ユニットによる熱処理後の処理膜にドライエッチングにより現像処理を行う工程をさらに含んでもよい。
この場合、ドライエッチングによりミクロ相分離後の処理膜から不要な重合体が除去される。それにより、基板上に所望のパターンが形成される。