特許第6239844号(P6239844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239844
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】蒸気タービン用シャフトシールシステム
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/10 20060101AFI20171120BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20171120BHJP
   F01D 11/02 20060101ALI20171120BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   F01D11/10
   F01D25/00 M
   F01D11/02
   F16J15/447
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-82580(P2013-82580)
(22)【出願日】2013年4月11日
(65)【公開番号】特開2013-221510(P2013-221510A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2016年4月8日
(31)【優先権主張番号】13/446,696
(32)【優先日】2012年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ロバート・コフィ
(72)【発明者】
【氏名】グォチァン・ル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・リチャード・パワーズ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ポール・スカーラタ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・デイヴィッド・サトルズ
(72)【発明者】
【氏名】シャオチン・ツェン
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−031856(JP,A)
【文献】 特開2006−090325(JP,A)
【文献】 特開2005−264939(JP,A)
【文献】 特表2003−511618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 11/10
F01D 11/02
F01D 25/00
F16J 15/447
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、該シャフトに結合された回転部材と、該回転部材を囲み且つ蒸気流路を定める固定部材とを有するタービンの第1のセクションにおけるシャフトシールシステムであって、
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールと、
前記蒸気流路の出口から前記タービンの下流側部分に蒸気を供給するための第1の接続ラインと、
を備え、
前記第1のタービンセクションが低圧であり、前記シャフトの第1及び第2の端部の各々が、大気圧よりも低い圧力であり、前記タービンの下流側部分が、前記第1のタービンセクションの圧力を下回る圧力を有する、
シャフトシールシステム。
【請求項2】
前記下流側部分が更に、復水器を含む、請求項1に記載のシャフトシールシステム。
【請求項3】
前記第1のタービンセクションが更に、複流低圧タービンセクションを含み、前記第1の接続ラインが、前記1以上のシールの各シールの軸方向内寄りに配置される、請求項1または2に記載のシャフトシールシステム。
【請求項4】
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールが、前記第1のタービンセクションからの蒸気の流出を実質的に阻止するための主シールを更に含む、請求項1から3のいずれかに記載のシャフトシールシステム。
【請求項5】
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールの各々が更に、前記主シールの軸方向外寄りに配置され、前記第1のタービンセクションへの周囲空気の侵入を実質的に阻止するための空気シールを含む、請求項4に記載のシャフトシールシステム。
【請求項6】
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールの各々が、流体力学非接触シールを含み、
該流体力学非接触シールが更に、セグメント化シール又はフェースシールのうちの1つを含み、
前記流体力学非接触シールが更にカーボンを含む、
請求項1から5のいずれかに記載のシャフトシールシステム。
【請求項7】
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールの各々が、約0.025mm以下の前記回転部材からのクリアランス距離を有する、請求項1から6のいずれかに記載のシャフトシールシステム。
【請求項8】
前記シャフトの第1の端部の周りに配置された1以上のシールの軸方向外寄りに配置された第1のバッファシールと、
前記シャフトの第2の端部の周りに配置された1以上のシールの軸方向外寄りに配置された第2のバッファシールと、
を更に備える、請求項1から7のいずれかに記載のシャフトシールシステム。
【請求項9】
前記第1のバッファシールと前記1以上のシールとの間に配置された第1のキャビティ、及び前記第2のバッファシールと前記1以上のシールとの間に配置された第2のキャビティの各々に濾過空気を提供する濾過空気供給ラインを更に備える、請求項8に記載のシャフトシールシステム。
【請求項10】
シャフトと、該シャフトに結合された回転部材と、該回転部材を囲み且つ蒸気流路を定める固定部材とを有するタービンの第1のセクションにおけるシャフトシールシステムであって、
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールと、
前記シャフトの第1の端部の周りに配置された1以上のシールの軸方向外寄りに配置された第1のバッファシールと、
前記シャフトの第2の端部の周りに配置された1以上のシールの軸方向外寄りに配置された第2のバッファシールと、
前記蒸気流路の出口から前記タービンの下流側部分に蒸気を供給するための第1の接続ラインと、
を備え、
前記タービンの下流側部分が、前記第1のタービンセクションの圧力を下回る圧力を有し、前記第1のタービンセクションが低圧であり、前記シャフトの第1及び第2の端部の各々が、大気圧よりも低い圧力である、
シャフトシールシステム。
【請求項11】
前記第1のバッファシールと前記1以上のシールとの間に配置された第1のキャビティ、及び前記第2のバッファシールと前記1以上のシールとの間に配置された第2のキャビティの各々に濾過空気を提供する濾過空気供給ラインを更に備える、請求項10に記載のシャフトシールシステム。
【請求項12】
前記下流側部分が更に、復水器を含む、請求項10または11に記載のシャフトシールシステム。
【請求項13】
前記第1のタービンセクションが更に、複流低圧タービンセクションを含み、前記第1の接続ラインが、前記1以上のシールの各シールの軸方向内寄りに配置される、請求項10から12のいずれかに記載のシャフトシールシステム。
【請求項14】
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールが、前記第1のタービンセクションからの蒸気の流出を実質的に阻止するための主シールを更に含む、請求項10から13のいずれかに記載のシャフトシールシステム。
【請求項15】
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールの各々が更に、前記主シールの軸方向外寄りに配置され、前記第1のタービンセクションへの周囲空気の侵入を実質的に阻止するための空気シールを含む、請求項14に記載のシャフトシールシステム。
【請求項16】
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールの各々が、流体力学非接触シールを含み、
該流体力学非接触シールが更に、セグメント化シール又はフェースシールのうちの1つを含み、
前記流体力学非接触シールが更にカーボンを含む、
請求項10から15のいずれかに記載のシャフトシールシステム。
【請求項17】
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールの各々が、前記回転部材から約0.025mm以下のクリアランス距離を有する、請求項10から16のいずれかに記載のシャフトシールシステム。
【請求項18】
シャフトと、該シャフトに結合された回転部材と、該回転部材を囲み且つ蒸気流路を定める固定部材とを有するタービンの第1のセクションにおいて前記シャフトをシールする方法であって、
前記シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールを設けるステップと、
前記蒸気流路の出口から前記タービンの下流側部分に蒸気を供給するステップと、
を含み、
前記第1のタービンセクションが低圧であり、前記シャフトの第1及び第2の端部の各々が、大気圧よりも低い圧力であり、前記タービンの下流側部分が、前記第1のタービンセクションの圧力を下回る圧力を有する、
方法。
【請求項19】
前記1以上のシールを設けるステップが、
前記第1のタービンセクションからの蒸気の流出を実質的に阻止するための主シールを設けるステップと、
前記第1のタービンセクションへの周囲空気の侵入を実質的に阻止するため、前記主シールの軸方向外寄りに配置された空気シールを設けるステップと
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シャフトの第1の端部の周りに配置された1以上のシールの軸方向外寄りに配置された第1のバッファシールを設けるステップと、
前記シャフトの第2の端部の周りに配置された1以上のシールの軸方向外寄りに配置された第2のバッファシールを設けるステップと。
前記第1のバッファシールと前記1以上のシールとの間に配置された第1のキャビティ、及び前記第2のバッファシールと前記1以上のシールとの間に配置された第2のキャビティの各々に濾過空気を提供するステップと、
を更に含む、請求項18または19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に蒸気タービンに関し、より詳細には、蒸気タービン用の内蔵型シャフトシールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンケーシングの圧力境界は、回転タービンシャフトによって貫通され、タービンによって生成される出力を蒸気環境の外部に伝達するようにする。そのため、シャフトは、その周辺の人々にとって危険となる可能性がある蒸気の放出を阻止するため、シャフトがケーシングを貫通する箇所でシールをする必要がある。シャフトシールはまた、タービン性能に好ましくない影響を及ぼす空気のケーシングへの流入を阻止する必要がある。
【0003】
例えば、シャフト端部の周りに配置されたラビリンスシールを含む、様々なシャフトシールシステムが利用されている。ラビリンスシールは、シャフトを密閉するが接触はしない歯状部を含み、従って、シールとシャフトとの間の漏洩経路を形成する。シャフトシールシステムは更に、主として空気が蒸気タービンに流入するのを阻止する機能を果たす空気シールを含む。空気シールの軸方向内向きには、蒸気シールが配置され、蒸気が蒸気タービンの外部に放出されるのを阻止する。空気シール及び蒸気シールにわたって正の圧力差を維持するためは、配管システム、蒸気シールレギュレータ、グランド復水器、及び補助ボイラーを含む、タービン機能をサポートする補機が必要とされる。場合によっては、漏洩を低減するためにラビリンスシールと共にブラシシールを使用するが、適切なタービン機能を提供するために、上述の補機が依然として必要である。グランド復水器を利用して僅かな真空を維持し、ケーシングへの流入方向で空気シールを通過した空気を引き出し、また、ケーシングからの流出方向で蒸気シールを通過した蒸気を排出するようにする。シールヘッダは通常は正圧に維持され、蒸気シールをわたる蒸気漏洩の方が上回るか、又は蒸気タービンの内部セクションから外への漏洩が上回るかによって必要に応じて、蒸気シールから内向きのアニュラスに蒸気を供給し、又はアニュラスから蒸気を放出する。蒸気シールの内向きのアニュラスでの正圧により、タービンへの空気の流入が阻止される。
【0004】
上述のように、上述のようなラビリンスシャフトシールシステムは、タービンによって行われる仕事に寄与することのない、広範囲な補機システムのサポートを必要とする。これらの特徴要素は、プラント専有領域が大きく、タービン出力に直接寄与することなく保守整備要件を増大させる。
【0005】
ラビリンスシール又はブラシシールに対する1つの代替形態は、セグメント化された円周方向カーボンシール又はフェースシールを使用することであるが、ラビリンスシール設計で見られる通常0.75mm〜1mmクリアランスよりも小さな有効クリアランスを有する。ラビリンスシールのクリアランスは、周囲空気中の粒状物質が問題なくシールを通過するのを可能にする。しかしながら、遙かに小さなクリアランスを有するカーボンシールを利用したシールシステム設計では、粒状物質がクリアランススペースに捕捉され、シール損傷を引き起こす可能性がある。これは、例えば、炭塵などの粒状物質が周囲空気中でよく見られる石炭燃料プラントのようなプラントにおいて特に問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5913812号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様は、シャフトを含む回転部材と、該回転部材を囲み且つ蒸気流路を定める固定部材とを有する第1のタービンセクションを提供する。シャフトシールシステムは、シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールと、第1のタービンセクションからタービンの下流側部分に蒸気を供給するための第1の接続ラインと、を備え、第1のタービンセクションが低圧であり、シャフトの第1及び第2の端部の各々が大気圧よりも低い圧力であり、タービンの下流側部分が、第1のタービンセクションの圧力を下回る圧力を有する。
【0008】
本発明の第2の態様は、シャフトを含む回転部材と、該回転部材を囲み且つ蒸気流路を定める固定部材とを有する第1のタービンセクションを提供する。シャフトシールシステムは、シャフトの第1の端部及び第2の端部の各々の周りに配置された1以上のシールと、シャフトの第1の端部の周りに配置された1以上のシールの軸方向外寄りに配置された第1のバッファシールと、シャフトの第2の端部の周りに配置された1以上のシールの軸方向外寄りに配置された第2のバッファシールと、第1のタービンセクションからタービンの下流側部分に蒸気を供給するための第1の接続ラインと、
を備え、タービンの下流側部分が、第1のタービンセクションの圧力を下回る圧力を有し、第1のタービンセクションが低圧であり、シャフトの第1及び第2の端部の各々が、大気圧よりも低い圧力である。
【0009】
本発明のこれらの及びその他の態様、利点並びに顕著な特徴は、図面全体を通して同じ参照符号が同様な部品を指している添付図面と関連させて本発明の実施形態を開示した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態によるシャフトシールシステムを示す図。
図2】本発明の実施形態によるシャフトシールシステムを示す図。
図3】本発明の実施形態によるシャフトシールシステムを示す図。
図4】本発明の実施形態によるシャフトシールシステムを示す図。
図5】本発明の実施形態によるシャフトシールシステムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1以上の実施形態は、蒸気タービンの作動と関連させたその用途に関して以下で説明する。本発明の実施形態は、蒸気タービンに関して例示しているが、本発明の教示は、限定ではないが、圧縮機を含む他のターボ機械にも同様に適用可能であることは理解される。更に、本発明の1以上の実施形態は、公称寸法のセットを含む公称サイズに関して以下で説明される。しかしながら、本発明があらゆる好適なタービン及び/又は圧縮機にも同様に適用可能であることは、当業者には明らかなはずである。更に、本発明が様々なスケールの公称サイズ及び/又は公称寸法にも同様に適用可能であることは、当業者には明らかであるはずである。
【0012】
上述のように、本発明の態様は、内蔵型シャフトシールシステムを提供し、その様々な態様が図1〜5に示されている。シャフトシールシステム100は、シャフトがケーシングを貫通する箇所でシールシステム100がタービンシステムのシャフトをシールし、タービンによって行われる仕事に寄与することのない、配管システム、蒸気シールレギュレータ、グランド復水器、補助ボイラー及び同様のものなどの外部のサポート補機を使用することなく、蒸気のケーシングからの放出及び空気のケーシングへの流入を阻止するという点で、内蔵型である。従って、内蔵型自己シールシステム100を含むタービンシステムは、上述の補機及びこれらの関連する欠点によって煩わされることがない。
【0013】
図1〜5を参照すると、シャフト130を含む回転部材120と、該回転部材120を囲む固定部材140とを有する第1のタービンセクション110が提供される。回転部材120及び固定部材140は、それぞれ、あらゆる公知のロータ及びステータ構造とすることができる。第1のタービンセクション110は、限定ではないが、図1及び図5に示す低圧タービンセクション、中圧タービンセクション、或いは、図2に示す高圧セクションもしくは超高圧セクション、又は図3〜4に示す高圧もしくは超高圧セクションを含む、様々なタイプのタービンセクションの何れかとすることができる。固定部材140は更に、第1のタービンセクション110の入口160及び出口170を有する蒸気流路150を定める。シャフトシールシステム100は、シャフト130の第1及び第2の端部172、174の周りに配置される。
【0014】
図1に示す実施形態に移ると、第1のタービンセクション110は、低圧タービンセクションとすることができる。この実施形態では、内蔵型シャフトシールシステム100は、第1の端部172の周りに配置された第1の主シール180のような1以上のシールと、シャフト130の第2の端部174の周りに配置された第2の主シール181のような1以上のシールとを含むことができる。第1及び第2の主シール180、181は各々、単一のシール又はシールのグループを含むことができる。第1及び第2の主シール180、181は、端部パッキンに加わる主圧力に耐えるよう、すなわち、シール180、181の側部間の有意な圧力差に耐えるように設計することができる。第1及び第2の主シール180、181は更に、複数のパッキンリングを含むことができ、一部の実施形態では、タービンセクションにループバックする複数のパッキンリングの各々の間にリークオフラインを含み、シールグループ間の圧力隔壁を設定して、より多くの仕事を行うよう漏洩を流路に戻すようにすることができる。
【0015】
図1における複流低圧タービンセクション110の場合のように、第1の接続ライン200を図示のように両方の出口170に設けることができる。第1の接続ライン200は、第1のタービンセクション110からタービンの下流側部分に蒸気を供給するために設けられる。この場合、例えば、第1のタービンセクション110は、低圧タービンセクションであり、下流側部分は、復水器220とすることができる。図1に示す実施形態に図示されるように、第1の接続ライン200は、第1及び第2の主シール180、181の各々の軸方向内寄りに配置することができ、大量の蒸気が主シール180、181に到達する前に下流側に供給される。第1の接続ライン200はまた、この場合において流路を提供する。タービンの下流側部分は、タービンの下流側部分は、第1のタービンセクション110よりも低い圧力を有し、シャフト130の各端部172、174は、大気又は周囲圧力よりも低い圧力に維持される。更に、図1の実施形態では、第1の端部172とタービン排気との間及び第2の端部174とタービン排気との間でシャフト130の軸方向長さに沿って配置された全圧力ゾーンは、周囲圧力よりも低い圧力である。
【0016】
図1に更に示すように、第1の空気シー184及び第2の空気シール185を設けることができる。第1及び第2の空気シール184、185は、第1及び第2の主シール180、181それぞれの軸方向外寄りに配置することができる。第1及び第2の空気シール184、185は、シャフト130の端部172、174の周りに配置された端部パッキンへの周囲空気の侵入を実質的に阻止する。この実施形態では、主シール180、181により、及び第1のタービンセクション110の出口170から復水器220への圧力勾配引き抜き蒸気によって蒸気の流出が実質的に阻止される。
【0017】
作動時には、図1を参照すると、入口160にて蒸気が第1のタービンセクション110に流入し、第1のタービンセクション110の連続する段を通って出口170まで蒸気経路150を辿る。第1のタービンセクション110における圧力に対して復水器220の比較的低い圧力によって、蒸気の大部分が第1の接続ライン200に沿って出口170を介して復水器220に進む。蒸気の僅かな部分は、出口170に進まずにリークオフし、第1又は第2の主シール180、181の一方に到達することができる。主シール180、181は、第1のタービンセクション110から復水器220への圧力勾配の減少に伴って、実質的に蒸気が主シール180、181を越えて放出されず、復水器220に向けて引き戻される。
【0018】
図2〜3の実施形態に移ると、他の実施形態では、第1のタービンセクション110は、高圧(HP)又は中圧(IP)セクション、或いは、超臨界蒸気タービンにおける超高圧(SHP)セクションのうちの1つとすることができる。このような実施形態では、内蔵型シャフトシールシステム100は、第1の端部172の周りに配置された第1の主シール180などの1以上のシールと、シャフト130の第2の端部174の周りに配置された第2の主シール181などの1以上のシールとを含むことができる。この場合、例えば、第1のタービンセクション110は、SHP、又はHP、或いはIPタービンセクションであり、下流側部分は、図2に示すように、低圧タービンセクション210とすることができる。図3の実施形態のような他の実施形態では、第1のタービンセクション110は、HP又はSHPタービンセクションとすることができ、下流側部分は、複合IP/LPタービンセクション215とすることができ、ここで入口端部圧力は、周囲圧力を上回り、排気端部圧力は、周囲圧力を下回る。
【0019】
タービンの下流側部分、すなわち、低又は中圧セクション210又は215は、第1のタービンセクション110における最低圧力よりも低い圧力を有する。図2〜3の実施形態では、シャフト130の各端部172、174は、大気又は周囲圧力よりも高い圧力に維持される。第1及び第2の主シール180、181は、端部パッキンに加わる主圧力を取り去り、すなわち、第1及び第2の主シール180、181の何れかの側部間の有意な圧力差に耐える。図3の第1の主シール180の実施例を挙げると、第1の主シール180の内部、すなわち、HP第1のタービンセクション110の内部にかかる圧力は、約16,547kPa(約2,400psi)とすることができ、第1の主シール180の外寄りの側部にかかる圧力は、第1段211の下流側流入位置に応じて約124kPa(約18psi)程の低さとすることができる。第1及び第2の主シール180、181は更に、複数のパッキングリングを含むことができ、一部の実施形態では、より多くの仕事をするよう漏洩をタービンセクションにループバックする複数のパッキンリングの各々間にリークオフラインを含むことができる。
【0020】
引き続き図2〜3を参照すると、第1のタービンセクション110は更に、第1及び第2の端部172、174それぞれにて主シール180、181の各々の軸方向外寄りに配置された第1及び第2の蒸気シール182、183を含むことができる。第1及び第2の蒸気シール182、183は、第1のタービンセクション110からの蒸気の流出を実質的に阻止する。第1のアニュラス230は、シャフト130の第1の端部172にて第1の主シール180と第1の蒸気シール182との間に配置することができ、第2のアニュラス240は、シャフト130の第2の端部174にて第2の主シール181と第2の蒸気シール183との間に配置することができる。
【0021】
第1の接続ライン200は更に、第1のタービンセクション110からタービンの下流側部分に蒸気を供給するために設けることができる。第1の接続ライン200は、第1の端部が第1及び第2のアニュラス230、240を互いに及び低圧セクション(図2)又は組み合わされたIP/LPセクション215(図3)の第1の段と流体接続するように配置される。第1及び第2の空気シール184、185は更に、シャフト130の各端部172、174において第1及び第2の蒸気シールそれぞれの外寄りに設けることができる。第1及び第2の空気シール184、185は、シャフト130の端部172、174の周りに配置された端部パッキンへの空気の侵入を実質的に阻止する。第3のアニュラス250は、シャフト130の第1の端部172にて第1の空気シール184と第1の蒸気シール182との間に配置することができ、第4のアニュラス260は、シャフト130の第2の端部174にて第2の空気シール185と第2の蒸気シール183との間に配置することができる。第3及び第4のアニュラス250、260は、第2の接続ライン270によって互いに、及び適用に応じて低圧セクション210(図2)の第2の段212又はIPセクション215(図3)と流体接続される。第2の段212は、第1の段211の下流側にあり、周囲圧力及び第1の段211の圧力両方のよりも低い圧力を有する。これにより、第1及び第2のアニュラス230、240におけるよりも第3及び第4のアニュラス250、260においてより強い真空作用をもたらす。
【0022】
作動時には、図2〜3を参照すると、入口160にて第1のタービンセクション110に蒸気が流入し、第1のタービンセクション110の連続する段を通って出口170まで蒸気経路150を辿る。第1のタービンセクション110における圧力に対して低圧セクション210(図2)又は中圧セクション215(図3)の比較的低い圧力によって、蒸気の大部分がそれぞれのより低圧のセクション210、215に沿って出口170を介して進む。しかしながら、蒸気の僅かな部分は出口170に進まずにリークオフし、第1又は第2の主シール180、181の一方に到達することができる。主シール180、181は、第1のタービンセクション110から中圧セクション215(図3)又は低圧セクション210(図2)への圧力勾配の減少に伴って、流路150から放出できる蒸気量が低減される。但し、僅かな量の蒸気が主シール180、181を越えて放出される可能性がある。第1の接続ライン200と連通した第1及び第2のアニュラス230、240は、この蒸気を、適用に応じて低圧セクション210(図2)又はIPセクション215(図3)の第1の段211に送給するための導管を提供する。第1及び第2のアニュラス230、240と比べて第1の段211が比較的低圧となる結果として、第1及び第2のアニュラス230、240にて真空が生成され、従って、蒸気が適用に応じて低圧セクション210(図2)又はIPセクション215(図3)に引き込まれる。第1及び第2の蒸気シール182、183は、第1のタービンセクション110から放出される可能性がある蒸気の量を更に低減する役割を果たす。第2の接続ライン270は、第3及び第4のアニュラス250、260と共に、第1及び第2の蒸気シール182、183を越えて放出されたあらゆる蒸気及び第1及び第2のアニュラス230、240にて生成された真空を捕捉する機構を提供する。第2の接続ライン270は、第3及び第4のアニュラス250、260から、適用に応じて低圧セクション210(図2)又はIPセクション215(図3)の第2の段212に蒸気を供給する。第2の段212は、低圧セクション210(図2)又はIPセクション215(図3)においてより後方の段であるので、第1の段211よりも低圧であり、第1の接続ライン200に比べて、第2の接続ライン270を通るより強い真空が生成される。このようにして、低圧セクション210(図2)又はIPセクション215(図3)の第1及び第2の段211、212は、タービンシステムによって本質的に生成される圧力勾配を用いて、上述のシールと関連して端部172、174からの蒸気の放出を実質的に阻止する必要な圧力勾配を提供する。
【0023】
図1〜4を参照して、種々の実施形態では、シャフト130の第1及び第2の端部172、174の周りに配置された前述の主シール180、181、蒸気シール182、183、及び空気シール184、185の各々は、流体力学非接触シールとすることができる。別の実施形態では、主シール180、181;蒸気シール182、183;及び空気シール184、185は、種々の実施形態への適用に応じて、セグメント化された円周方向シール又はフェースシールのうちの1つとすることができる。セグメント化された円周方向シール又はフェースシールは更に、カーボンから作ることができる。蒸気シール182、183及び空気シール184、185は、シャフト130に対して極めて小さなクリアランスを有することができる。例えば、このようなクリアランスは、約0.025mm以下とすることができる。
【0024】
図4〜5に移り、また、前述の実施形態の全てを参照すると、シャフトシールシステム100は更に、主シール180及び蒸気シール182、及び/又は存在する場合には空気シール184を含む、1以上のシールの軸方向外向きに配置される第1のバッファシール280を含むことができる。シャフトシールシステム100は更に、第2の主シール181及び第2の蒸気シール183、及び/又は存在する場合には第2の空気シール185を含む、1以上のシールの軸方向外向きに配置される第2のバッファシール290を含むことができる。
【0025】
種々の実施形態では、更に、濾過空気供給源305及び濾過空気供給ライン300を設けることができる。濾過空気供給ライン300は、過空気供給源305を第1のキャビティ310及び第2のキャビティ320の各々と流体連通して配置し、濾過空気を濾過空気供給源305から第1及び第2のキャビティ310、320に供給できるようにすることができる。濾過空気供給ライン300は、清浄で実質的に粒状物質の無い空気を環境に提供し、回転部材120との緊密なシールを提供するのを助ける。第1のキャビティ310は、第1のバッファシール280と、1以上のシール180、182、184の軸方向に最外のシールとの間に配置することができ、第2のキャビティ320は、第2のバッファシール290と、存在する場合には1以上のシール181、183、185の軸方向に最外のシールとの間に配置することができる。作動時には、濾過空気供給ライン300を介した濾過空気の導入は、回転部材120とのより緊密なシールを可能にし、蒸気の漏洩及び侵入の可能性を低減することができる。例えば、図4〜5の実施形態では、第1のキャビティ310は、第1の空気シール184と第1のバッファシール280との間に配置される。第2のキャビティ320は、第2のバッファシール290と第2の空気シール185との間に配置される。
【0026】
図4に更に示すように、濾過空気供給ライン300は、濾過空気供給源305から、第1のタービンセクション110における第1及び第2のキャビティ310、320、並びに下流側のより低圧のセクション210において同様に配置された第1及び第2のキャビティ310、320の各々に濾過空気を供給することができる。
【0027】
本明細書で使用される用語「第1の」、「第2の」などは、どのような順序、数量、又は重要度を意味するものではなく、むしろ、1つの要素を別の要素と区別するために用いており、本明細書において数詞のない表現は、数量の限定を意味するものではなく、むしろ参照する要素の少なくとも1つが存在することを意味する。数量と関連して使用される修飾語句「約」とは、記載された値を包含し且つ文脈により示された意味を有する(例えば、特定の量の測定値に付随するある程度の誤差を含む)。本明細書で使用する場合における「1つ又は複数の」という前置表現は、この表現が前置する用語のものの単数及び複数の両方を含み、従ってその用語のものの1つ又はそれ以上を含む(例えば、1つ又は複数の金属という表現は、1つ又はそれ以上の金属を含む)ことを意図している。本明細書に開示した範囲は、包括的であり且つ独立して組み合わせ可能である(例えば、「最大約25mmまでの又はより具体的には約5mm〜約20mm」の範囲というのは、「約5mm〜約25mm」の範囲の端点及び全ての中間値などを含む)。
【0028】
本明細書では様々な実施形態について説明してきたが、本明細書の記載から、構成要素の様々な組合せ、変更及び修正を当業者がなし得ること、並びにそれらが本発明の技術的範囲に属することは明らかであろう。さらに、特定の状況又は材料に適応させるために、その本質的範囲から逸脱することなく、本発明の教示に多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実施するための最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲に属するあらゆる実施形態を包含する。
【符号の説明】
【0029】
100 シャフトシールシステム
110 第1のタービンセクション
120 回転部材
130 シャフト
140 固定部材
150 蒸気流路
160 入口
170 出口
172 第1の端部
174 第2の端部
180 第1の主シール
181 第2の主シール
182 第1の蒸気シール
183 第2の蒸気シール
184 第1の空気シール
185 第2の空気シール
200 第1の接続ライン
210 低圧タービン
211 第1の段
212 第2の段
215 複合IP/LPタービンセクション
220 復水器
230 第1のアニュラス
240 第2のアニュラス
250 第3のアニュラス
260 第4のアニュラス
270 第2の接続ライン
280 第1のバッファシール
290 第2のバッファシール
300 濾過空気供給ライン
305 濾過空気供給源
310 第1のキャビティ
320 第2のキャビティ
図1
図2
図3
図4
図5