特許第6239851号(P6239851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノバルティス アーゲーの特許一覧
特許6239851オクトレオチドおよび2種またはそれ以上のポリラクチドコグリコリドポリマーを含む徐放性製剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239851
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】オクトレオチドおよび2種またはそれ以上のポリラクチドコグリコリドポリマーを含む徐放性製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/08 20060101AFI20171120BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20171120BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20171120BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A61K38/08
   A61K9/14
   A61K47/10
   A61K47/36
   A61P1/12
   A61P35/00
   A61P43/00 111
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-92845(P2013-92845)
(22)【出願日】2013年4月25日
(62)【分割の表示】特願2008-546248(P2008-546248)の分割
【原出願日】2006年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-177406(P2013-177406A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2013年5月23日
【審判番号】不服-8641(P-8641/J1)
【審判請求日】2016年6月9日
(31)【優先権主張番号】0526247.2
(32)【優先日】2005年12月22日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】06119086.4
(32)【優先日】2006年8月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー・ペーターゼン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・アールハイム
【合議体】
【審判長】 關 政立
【審判官】 田村 聖子
【審判官】 清野 千秋
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/046645号
【文献】 Eur.J.Pharm.Biopharm.,2000,Vol.50,No.2,pp.263−270
【文献】 Pharm.Res.,2006.01,Vol.23,No.1,pp.215−223
【文献】 AAPS PharmSciTech.,2004,Vol.5,No.3,Article 49
【文献】 特開2001−233897号公報
【文献】 米国特許第5876761号明細書
【文献】 米国特許出願公開第2004/0097419号明細書
【文献】 生分解性ポリマー(RESOMER),製品カタログ,SIGMA−ALDRICH,[retrieved on 2016.08.15],retrieved from the internet:<URL:http://www.Sigmaaldrich.com/japan/materialscience/polymer−science/biodegradablepolymers.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K38/00-38/58
A61K9/00-9/72
A61K47/00-47/69
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてオクトレオチドまたはその薬学的に許容される塩および2種の異なる直鎖ポリラクチドコグリコリドポリマー(PLGA)を含む、微粒子の形態の徐放性医薬組成物であって、PLGAがポリマー混和物として存在し、PLGAが100:0から40:60のラクチド:グリコリドモノマー比を有し、PLGAの固有粘度がクロロホルム中で0.9dl/g以下であり、前記微粒子は単一組成である、徐放性医薬組成物。
【請求項2】
PLGAが90:10から40:60のラクチド:グリコリドモノマー比を有する、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項3】
PLGAが85:15から65:35のラクチド:グリコリドモノマー比を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
PLGAの固有粘度がクロロホルム中で0.8dl/g以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
オクトレオチドのパモ酸塩を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
活性成分の放出が3か月またはそれ以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
微粒子がさらに抗凝集剤と混合されているか、抗凝集剤で覆われているか、または、抗凝集剤で被覆されている、請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
微粒子が抗凝集剤で被覆されており、該抗凝集剤が微粒子の2重量%未満の量で存在する、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
抗凝集剤がマンニトールである、請求項またはに記載の医薬組成物。
【請求項10】
γ放射により滅菌された、請求項1〜9のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の微粒子を製造するための方法であって、
(i)
(ia)2種またはそれ以上の異なるPLGAポリマーを適当な有機溶媒または溶媒混合物に溶解し;
(ib)工程(ia)で得られたポリマー溶液中にオクトレオチドまたはその薬学的に許容される塩を溶解/懸濁/乳化し;内部有機相を製造し;
(ii)安定剤を含む外部水性相を製造し;
(iii)内部有機相を外部水性相と混合し、エマルジョンを形成し;そして、
(iv)溶媒蒸発または溶媒抽出により微粒子を硬化し、微粒子を洗浄し、微粒子を乾燥させ、そして微粒子を篩過させること
を含む方法。
【請求項12】
バイアル中の請求項1〜10のいずれかに記載の医薬組成物をアンプル、バイアルもしくは充填済シリンジ中の水性ビヒクルと一緒に、または二重チャンバーシリンジ中で分けられた微粒子とビヒクルとして含む投与キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分としてオクトレオチドまたはその薬学的に許容される塩および2種またはそれ以上の異なるポリラクチドコグリコリドポリマー(PLGA)を含む徐放性製剤に関する。
【0002】
本発明のこれらの医薬組成物は、とりわけ先端巨大症患者の長期維持療法、ならびに悪性カルチノイド腫瘍および血管活性腸管ペプチド腫瘍(ビポーマ腫瘍)と関連する重度の下痢および紅潮の処置のために適応される。
【背景技術】
【0003】
ペプチド剤は通常、全身的、例えば、非経腸的に投与する。しかしながら、非経腸投与はとりわけ毎日の反復投与のためには、痛く、そして不快感を与え得る。患者への注入の量を最小限にするために、該薬剤をデポー製剤として投与すべきである。注入可能デポー製剤が有する共通の欠点は、例えば、全放出期間中に、高いピーク濃度と0に近い血漿レベルが一緒に存在する、血漿レベルの不安定性である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、活性成分(薬剤)としてオクトレオチドまたはその薬学的に許容される塩を含む徐放性製剤を記載している。オクトレオチド(US4,395,403)は下記式:
【化1】
を有するソマトスタチン類似体である。
【0005】
活性成分はオクトレオチドの薬学的に許容される塩の形態、例えば、無機酸、ポリマー酸または有機酸、例えば、塩酸、酢酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸、アスパラギン酸、安息香酸、コハク酸またはパモ(エンボン)酸との、例えば、酸付加塩であり得る。酸付加塩は、例えば、1または2当量の酸を加えることに依存して、一価または二価の塩として存在し得る。好ましくはオクトレオチドのパモ酸一価塩である。
【0006】
薬剤の粒子サイズ分布はデポー形態の薬剤の放出特性に影響を与える。デポー製剤を製造するために使用される薬剤は結晶または非結晶粉末の形態である。好ましくは約0.1ミクロンから約15ミクロン(99%>0.1ミクロン、99%<15ミクロン)、好ましくは1から約10ミクロン(90%>1ミクロン、90%<10ミクロン)のサイズの粒子を有する非結晶粉末である。薬剤に、必要な粒子サイズ分布を示すために優先的に微粉化処理を実施する。
【0007】
本発明は、さらに、例えば、微粒子、インプラントまたは半固体製剤の形態における、活性成分としてポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)の混和物(blends)または混合物(mixtures)に組み込まれているオクトレオチドまたはその薬学的に許容される塩を含む徐放性医薬組成物(デポー)を提供する。
【0008】
PLGAの混和物とは別に、本発明の他の局面において、医薬組成物は活性成分を含むPLGAポリマーの混合物を含み;すなわち活性成分は微粒子、インプラントまたは半固体製剤の形態で1種またはそれ以上のPLGAに組み込まれていてよく、次に活性成分および1種またはそれ以上のPLGAも含む他の微粒子またはインプラントまたは半固体製剤と混合する。
【0009】
本発明の医薬組成物は、3か月以上、優先的に3から6か月の期間にわたって活性成分の持続放出が可能である。活性成分の放出中、オクトレオチドの血漿レベルは治療範囲内である。オクトレオチドの正確な用量は処置される状態、処置される状態の重症度、対象の体重および治療期間を含む多くの因子に依存すると理解できる。
【0010】
驚くべきことに、本発明の医薬組成物で2種またはそれ以上の異なるPLGAの適当な組合せを使用することにより、血漿レベルの不安定さを有意に減少させることができる。
【0011】
該薬剤は2種またはそれ以上の異なるポリラクチドコグリコリドポリマー(PLGA)からなる生分解性ポリマーマトリクスに取りこまれる。PLGAは100:0から40:60、好ましくは90:10から40:60、より好ましくは85:15から65:35のラクチド:グリコリドモノマー比を有する。100:0のラクチド:グリコリドモノマー比を有する、すなわちグリコリドモノマーを含まないPLGAはポリラクチド(PLA)であり、これも本発明のPLGAの定義に含まれる。
【0012】
本発明のPLGAは、1,000から500,000Da、好ましくは5,000から100,000Daの範囲の分子量(Mw)を有する。ポリマーの構造は上記構成要素の直鎖、分岐鎖、超分岐鎖、くし状分岐鎖、デンドリマー状分岐鎖、T形または星形ポリマーであり得る。本発明の好ましい態様において、医薬組成物中の少なくとも2種のPLGAは直線である。
【0013】
星形ポリマーの例はポリ(ラクチド−コ−グリコリド)鎖に変換される少なくとも3個のヒドロキシ基を含むポリオールのエステルである。該ポリオールは好ましくは糖類、もっとも好ましくはグルコースである。
【0014】
本発明のPLGAの固有粘度(IV)は、クロロホルム中で0.9dl/g以下、優先的にクロロホルム中で0.8dl/g以下である。固有粘度は、例えば、“Pharmacopoee Europeenne”、1997、17−18頁に記載されているとおりの流動時間測定の慣用の方法(毛細管法)により測定できる。他に記載のない限り、これらの粘度は、クロロホルム中で0.5%の濃度で25℃で、またはヘキサイソフルオロプロパノール中で0.5%の濃度で30℃で測定した。
【0015】
本発明のPLGAの末端基は、限定はしないが、ヒドロキシ、カルボキシル、エステルなどであり得る。
【0016】
デポー製剤の薬剤含有量(負荷)は、1%から30%、好ましくは10%から25%、より好ましくは15%から20%の範囲である。負荷はPLGA製剤の全量に基づく薬剤の重量比として定義する。
【0017】
適当なポリマーは一般に既知であり、限定はしないが、Boehringer Ingelheim Pharma GmbH & Co. KG, Ingelheim, GermanyによるRESOMER(登録商標)、Absorbable Polymers International (API) Pelham, AL, USA / DURECT Corp., Cupertino, CA, USAによるLACTEL(登録商標)、Alkermes, Inc., Cambridge, MA, USAによるMEDISORB(登録商標)、PURAC biochem BV, Gorinchem, The NetherlandsによるPURASORB(登録商標)として市販されているものである。適当なポリマーの例は表1に記載されている。
表1:適当なポリマーの例
【表1】
【表2】
【0018】
【表3】
1)IVはクロロホルム中で0.1%の濃度で25℃で測定した
2)IVはクロロホルム中で0.5g/dLの濃度で30℃で測定した
3)IVはヘキサフルオロイソプロパノール中で0.5g/dLの濃度で30℃で測定した
【0019】
上記表の1種のポリマー1種のみを含む製剤ではなく、本発明の医薬組成物でしか、ほとんど変動しない血漿レベルが3か月またはそれ以上、優先的に3から6か月にわたって達成できない。
【0020】
加えて、本発明の医薬組成物は、無菌的または非無菌的に製造でき、そして最後にγ放射により滅菌する。好ましくはγ放射により最後に滅菌し、可能な最高レベルの滅菌保証された製品をもたらす。
【0021】
本発明の医薬組成物は、また、0.1%から50%の量で放出挙動を調節する1種またはそれ以上の医薬賦形剤を含み得る。このような薬剤の例は:ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、デキストリン、ポリ(エチレングリコール)、適当な界面活性剤、例えば、ポロキサマー(ポリ(オキシエチレン−ブロック−オキシプロピレン)としても既知)、既知であり、商標名TWEEN(登録商標)(例えば、Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80、Tween 65、Tween 85、Tween 21、Tween 61、Tween 81)の名の下に市販されているポリ(オキシエチレン)−ソルビタン−脂肪酸エステル、例えば、既知の型であり、商標名SPANの名の下に市販されているソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、無機塩、例えば、炭酸亜鉛、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、またはプロタミン、例えば、ヒトプロタミンもしくはサケプロタミン、または天然もしくは合成アミン残基含有ポリマー、例えば、ポリリシンである。
【0022】
本発明の医薬組成物は、組成、分子量および/またはポリマー構造の点で異なるポリマーのデポー混合物またはポリマー混和物であり得る。ポリマー混和物は1つのインプラントまたは微粒子中における2種またはそれ以上の異なるポリマーの固溶体または懸濁液として本明細書で定義する。対照的にデポーの混合物はそれぞれのデポー中に1種またはそれ以上のPLGAを含む異なる組成の2種またはそれ以上のインプラントまたは微粒子または半固体製剤のようなデポーの混合物として本明細書で定義する。好ましくはPLGAがポリマー混和物として存在する医薬組成物である。
【0023】
本発明の医薬組成物は、インプラント、半固体(ゲル)、注入されるとその場で固化する液体溶液もしくは懸濁液または微粒子の形態であり得る。好ましくは微粒子である。オクトレオチドまたはその薬学的に許容される塩を含む微粒子の製造は既知であり、例えば、US5,445,832またはUS5,538,739に記載されている。
【0024】
本発明の以下の部分はポリマー微粒子を中心にしているが、この記載はインプラント、半固体および液体にも適用できる。
【0025】
本発明の微粒子は、数サブミクロンから数ミリメートル、例えば、約0.01ミクロンから約2mm、例えば、約0.1ミクロンから約500ミクロンの直径を有し得る。医薬微粒子において、大きくても約250ミクロン、例えば、10から200ミクロン、好ましくは10から130ミクロン、より好ましくは10から90ミクロンの直径である。
【0026】
本発明の微粒子は、例えば、充填済シリンジまたはバイアル中で、抗凝集剤と混合されているか、もしくは抗凝集剤で被覆されているか、または、抗凝集剤の層により覆われていてよい。適当な抗凝集剤は、例えば、上記特性を有する、例えば、マンニトール、グルコース、デキストロース、スクロース、塩化ナトリウムまたは水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンまたはポリエチレングリコールを含む。
【0027】
本発明の乾燥状態の微粒子において、好ましくは抗凝集剤は微粒子の約0.1から約10%、優先的に約3%から5%、例えば、約4重量%の量で存在する。この点において好ましい抗凝集剤はマンニトールである。
【0028】
あるいは、抗凝集剤を、微粒子の製造工程中にそれに適用できる。例えば、微粒子の濾過/洗浄の工程で、それらをさらに抗凝集剤の水溶液で濯ぐことができる。したがって、抗凝集剤の層は微粒子の表面に形成される。好ましくは、抗凝集剤は、微粒子の10%未満、より好ましくは2%未満、最も好ましくは0.5重量%未満の量で、微粒子中に存在する。この点において、好ましい抗凝集剤はマンニトールである。
【0029】
本発明のデポー製剤の製造法を微粒子について、より詳細に記載する:
微粒子は当分野で既知のいくつかの方法、例えば、コアセルベーションまたは相分離、スプレー乾燥、油中水型(W/O)または水中油中水型(W/O/W)または水中油中固体型(S/O/W)エマルジョン/懸濁法、次に溶媒抽出または溶媒蒸発により製造できる。エマルジョン/懸濁法が好ましい方法であり、それは下記工程を含む:
(i)
(ia)1種または複数のポリマーを適当な有機溶媒または溶媒混合物に溶解し;
所望により適当な添加剤を溶解/分散させ;
(ib)工程(ia)で得られたポリマー溶液中に該薬剤または薬剤の水溶液を溶解/懸濁/乳化することを含んで;
内部有機相を製造し;
(ii)安定剤および所望によるが、好ましくはバッファー塩を含む外部水性相を製造し;
(iii)例えば、高剪断力を生み出すデバイスで、例えば、タービンまたは静的ミキサーで、内部有機相と外部水性相を混合して、エマルジョンを形成し;そして
(iv)溶媒蒸発または溶媒抽出により微粒子を硬化し;微粒子を、例えば、水で洗浄し;所望により微粒子を抗凝集剤、例えば、マンニトールの水溶液で濯ぎ;微粒子を回収し、例えば、凍結乾燥または真空乾燥で乾燥させ、そして微粒子を140μmを篩過させる。
【0030】
ポリマーのための適当な有機溶媒は、例えば、酢酸エチル、アセトン、THF、アセトニトリルまたはハロゲン化炭化水素、例えば、塩化メチレン、クロロホルムまたはヘキサフルオロイソプロパノールを含む。
【0031】
工程(iib)についての安定剤の適当な例は、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、0.1から5%の量のヒドロキシエチルセルロース(HEC)および/またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、全量の0.01から5%のポリ(ビニルピロリドン)、ゼラチン、好ましくはブタのまたは魚のゼラチンを含む。
【0032】
乾燥微粒子組成物は、最後に、所望によりバルクで、または最終容器に満たした後、γ放射(過剰滅菌)により滅菌し、可能な最高レベルの滅菌保証をもたらし得る。あるいは、バルクで滅菌された微粒子を適当なビヒクルに懸濁し、懸濁液として二重チャンバーシリンジのような適当なデバイスに満たし、その後凍結乾燥することができる。
【0033】
微粒子を含む本発明の医薬組成物は、また再構成を容易にするためのビヒクルを含み得る。
投与前に、微粒子を注入用の適当なビヒクルに懸濁する。好ましくは、該ビヒクルは、等張性を確保するため、ならびに微粒子の湿潤性および沈降特性を改良するための、医薬賦形剤、例えば、マンニトール、塩化ナトリウム、グルコース、デキストロース、スクロースまたはフリセリン、非イオン界面活性剤(例えば、ポリキサマー、ポリ(オキシエチレン)−ソルビタン−脂肪酸エステル)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ソルビトール、ポリ(ビニルピロリドン)またはモノステアリン酸アルミニウムを含む水性である。湿潤剤および粘度増加剤は0.01から2%の量で存在し得る;等張性剤は等張の注入可能懸濁液を確保するために適当な量で加える。
【0034】
懸濁液用液体ビヒクルの量は、一投与量あたり好ましくは約1から5ml、例えば、2から2.5mlである。所望により、乾燥形態の微粒子および再構成のための水性ビヒクルは二重チャンバーシリンジ中に別々に収納できる。
【0035】
本発明は、さらに、とりわけ先端巨大症患者の長期維持療法、ならびに悪性カルチノイド腫瘍および血管活性腸管ペプチド腫瘍(ビポーマ腫瘍)と関連する重度の下痢および紅潮の処置のための、本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0036】
本発明の医薬組成物の有用性は、標準臨床または動物試験で示すことができる。
本発明はさらに、所望により輸送セットを備えた、バイアル中のデポー製剤をアンプル、バイアルもしくは充填済シリンジ中の水性ビヒクルと一緒に、または二重チャンバーシリンジ中で分けられた微粒子とビヒクルとして含むキットを提供する。
【実施例】
【0037】
実施例
下記実施例は実例であり、本明細書に記載の発明の範囲を限定するために使用しない。実施例は本発明の実施方法を単に示唆することを意図する。
【0038】
実施例1:微粒子製造
適当な量のPLGAポリマーを適当な量のジクロロメタンに溶解し、表2におけるカラム“PLGA濃度”に記載されているとおりの適当なポリマー濃度を得る。適当な量の薬剤をガラスビーカーに計り入れ、ポリマー溶液を該薬剤に注ぎ、得られた微粒子が、カラム“薬物負荷”に記載されているとおりの薬物負荷を有するようにする。
【0039】
例えば、薬物負荷20%およびポリマー濃度20%を有する微粒子のために、量は下記のとおりである:3.547gのPLGAポリマーを17.7mlのジクロロメタンに溶解し、20%(w/v)のポリマー溶液を得る。1.453gのパモ酸オクトレオチド(1.00g=20%のオクトレオチド遊離塩基に対応する)をガラスビーカーに計り入れ、ポリマー溶液を該薬剤に注ぐ。
【0040】
懸濁液はUltra−Turraxローターステーターミキサーで20'000rpmで1分、氷/水混合物の冷却下でホモジェナイズする。この懸濁液をS/O懸濁液と称する。
【0041】
10.00gのポリビニルアルコール PVA 18−88、3.62gのKHPOおよび15.14gのNaHPOを2.00Lの脱イオン水に溶解し、0.5%のpH7.4に緩衝化したPVA 18−88溶液を形成する。
【0042】
S/O懸濁液をフレキシブルチューブポンプ(Perpex、Vitonチューブ)の助けを借りて10ml/分の速度でタービンへ注入することにより、および水溶液を歯車ポンプ(注入ヘッドP140を有するIsmatec MV−Z/B)で200ml/分の速度で同じタービンに注入することにより、S/O懸濁液を0.5%のPVA18−88溶液と混合する。2つの溶液をタービン中で4'500rpmで混合する。ホモジェナイズしたS/O/Wエマルジョンを200mlの緩衝PVA溶液をあらかじめ満たした2Lのガラスビーカーに回収する。
【0043】
次にS/O/Wエマルジョンを52℃まで3,5時間−5時間加熱する。52℃の温度をさらに30分−120分維持し、再びバッチを室温に冷却する。この処理中で、漏れたジクロロメタンを真空により除去する。該バッチは4ブレード・プロペラ・スターラーにより250rpmで撹拌する。
【0044】
結果として、微粒子はS/O/Wエマルジョンを形成する。微粒子を濾過(5μm)により回収する。それらを200mlの水で5回洗浄し、36時間20℃で0.030mbarで乾燥させる。乾燥微粒子を140μmを篩過させ、窒素下でガラスバイアルに入れる。この方法で製造して、微粒子を30kGy線量でγ照射により滅菌する。
【0045】
微粒子の粒子サイズをレーザー光回折により測定する。微粒子を超音波を使用して揮発油に再懸濁する。表2は超音波処理の120秒後の直径x90(全ての粒子の90%がこの値より小さい)である。
【0046】
微粒子のアッセイ(活性成分の量)を、微粒子を超音波で3:2のアセトニトリルとメタノールの混合物と酢酸ナトリウムバッファー(pH4)の1:1希釈物に溶解後、HPLCにより測定する。溶液を、遠心により残粒粒子物質を除去することにより浄化する。
【0047】
表2:実施例1−1から1−82:1種のPLGA(参考実施)により製造されたパモ酸オクトレオチド微粒子、2種のPLGAの混和物および1種のみのPLGAを含む微粒子バッチにより製造された微粒子混合物
【表4】
【0048】
【表5】
【表6】
【0049】
【表7】
【0050】
A: 星形−PLG−D−グルコース 50:50 エステル 0.3dL/g(%)
B: PLGA 65:35 エステル 0.6dL/g(%)
C: PLGA 75:25 エステル 0.4dL/g(%)
D: PLGA 75:25 エステル 0.6dL/g(%)
E: PLGA 85:15 エステル 0.4dL/g(%)
F: PLGA 85:15 エステル 0.6dL/g(%)
G: PLA 100:0 酸 0.2dL/g(%)
処理情報=さらなる処理情報:
7: 66mM PBS pH7.4
5: 69mM クエン酸リン酸塩バッファー pH5.0
4: 69mM クエン酸リン酸塩バッファー pH4.0
38: 4500rpmの代わりに3800rpmのタービンスピード
1:25: 流速 SO/W=1:20の代わりに1:25
GP: 蠕動ポンプの代わりに歯車ポンプ
【0051】
実施例2:ビヒクル組成物AからG
表3の量のCMC−Na、マンニトールおよびPluronic F68を約15mlの約90℃の温度の温脱イオン水に、マグネティックスターラーでの激しい撹拌下で溶解する。得られた透明な溶液を20℃に冷却し、脱イオン水で20.0mlまで満たす。
表3:微粒子のための適当なビヒクル(量はgである)
【表8】
【0052】
実施例3:微粒子懸濁液
170mgの実施例1−33の微粒子を、6Rバイアルにおいて、1.0mlの組成物D(表3)のビヒクルに懸濁する。懸濁液を約30秒、手動で撹拌することによりホモジェナイズする。再構成した懸濁液は20ゲージ針を使用して何ら問題なく注入できる。
【0053】
実施例4:微粒子の凍結乾燥
170mgの実施例1−33の微粒子を1mlのビヒクル組成物F(表3)中で再構成し、1から12時間、撹拌によりホモジェナイズし、次に凍結乾燥機中で凍結乾燥する。凍結乾燥した微粒子を1mlの純水(注射用水)で再構築し、20ゲージ針を使用して何ら問題なく注入できる、速くて良好な湿性の微粒子を得る。
【0054】
実施例5:インビボでの放出特性(ウサギ)
オクトレオチドを含む微粒子を1mlの適当な水性ビヒクル、好ましくはビヒクルDに懸濁し、得られた懸濁液をニュージーランド・ホワイト雑種ウサギの筋肉内に(i.m.)4mg/kgの用量で注入する。それぞれの投与形態(試験群)に対して、4匹の動物を使用する。定義した時間(表4に示している)後、血漿サンプルを取り、オクトレオチド濃度について分析する。
表4:血漿レベル(線量補正値);ng/mlでの濃度
【表9】
【0055】
【表10】

*用量=12mg/kg
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]活性成分としてオクトレオチドまたはその薬学的に許容される塩および2種またはそれ以上の異なるポリラクチドコグリコリドポリマー(PLGA)を含む徐放性医薬組成物。
[2]PLGAがポリマー混和物として存在する、[1]に記載の医薬組成物。
[3]PLGAがデポーの混合物中に存在する、[1]に記載の医薬組成物。
[4]PLGAが100:0から40:60のラクチド:グリコリドモノマー比を有する、[1]ないし[3]のいずれかに記載の医薬組成物。
[5]PLGAが90:10から40:60のラクチド:グリコリドモノマー比を有する、[4]に記載の医薬組成物。
[6]PLGAが85:15から65:35のラクチド:グリコリドモノマー比を有する、[5]に記載の医薬組成物。
[7]PLGAの固有粘度がクロロホルム中で0.9dl/g以下である、[1]ないし[6]のいずれかに記載の医薬組成物。
[8]PLGAの固有粘度がクロロホルム中で0.8dl/g以下である、[7]に記載の医薬組成物。
[9]少なくとも2種のPLGAが直鎖状である、[1]ないし[8]のいずれかに記載の医薬組成物。
[10]オクトレオチドのパモ酸塩を含む、[1]ないし[9]のいずれかに記載の医薬組成物。
[11]活性成分の放出が3か月またはそれ以上である、[1]ないし[10]のいずれかに記載の医薬組成物。
[12]活性成分の放出が3から6か月である、[11]に記載の医薬組成物。
[13]微粒子、半固体またはインプラントの形態の[1]ないし[12]のいずれかに記載の医薬組成物。
[14]微粒子の形態の[1]に記載の医薬組成物。
[15]微粒子が10μmから90μmの直径を有する、[14]に記載の医薬組成物。
[16]微粒子がさらに抗凝集剤と混合されているか、抗凝集剤で覆われているか、または、抗凝集剤で被覆されている、[14]または[15]に記載の医薬組成物。
[17]微粒子が抗凝集剤で被覆されており、該抗凝集剤が微粒子の2重量%未満の量で存在する、[16]に記載の医薬組成物。
[18]抗凝集剤がマンニトールである、[16]または[17]に記載の医薬組成物。
[19]γ放射により滅菌された、[1]ないし[18]のいずれかに記載の医薬組成物。
[20]先端巨大症患者の長期維持療法、ならびに悪性カルチノイド腫瘍および血管活性腸管ペプチド腫瘍(ビポーマ腫瘍)と関連する重度の下痢および紅潮の処置のための、[1]ないし[19]のいずれかに記載の医薬組成物の使用。
[21]先端巨大症患者の長期維持療法、ならびに悪性カルチノイド腫瘍および血管活性腸管ペプチド腫瘍(ビポーマ腫瘍)と関連する重度の下痢および紅潮の処置のための、オクトレオチドまたはその薬学的に許容される塩を投与する方法であって、オクトレオチドまたはその薬学的に許容される塩を必要とする患者に[1]ないし[19]のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む方法。
[22][14]に記載の微粒子を製造するための方法であって、
(i)
(ia)1種または複数のポリマーを適当な有機溶媒または溶媒混合物に溶解し;
(ib)工程(ia)で得られたポリマー溶液中に該薬剤を溶解/懸濁/乳化し;内部有機相を製造し;
(ii)安定剤を含む外部水性相を製造し;
(iii)内部有機相を外部水性相と混合し、エマルジョンを形成し;そして、
(iv)溶媒蒸発または溶媒抽出により微粒子を硬化し、微粒子を洗浄し、微粒子を乾燥させ、そして微粒子を140μmを篩過させること
を含む方法。
[23]バイアル中の[1]ないし[19]のいずれかに記載の医薬組成物をアンプル、バイアルもしくは充填済シリンジ中の水性ビヒクルと一緒に、または二重チャンバーシリンジ中で分けられた微粒子とビヒクルとして含む投与キット。