特許第6239853号(P6239853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239853流動接触分解触媒の製造方法および流動接触分解触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239853
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】流動接触分解触媒の製造方法および流動接触分解触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/08 20060101AFI20171120BHJP
   B01J 29/40 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20171120BHJP
   B01J 37/30 20060101ALI20171120BHJP
   C10G 11/05 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   B01J29/08 M
   B01J29/40 M
   B01J37/00 F
   B01J37/04 102
   B01J37/30
   C10G11/05
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-95571(P2013-95571)
(22)【出願日】2013年4月30日
(65)【公開番号】特開2014-213312(P2014-213312A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦
(72)【発明者】
【氏名】塚本 清
(72)【発明者】
【氏名】西 正博
(72)【発明者】
【氏名】福山 和哉
(72)【発明者】
【氏名】冨士田 明男
(72)【発明者】
【氏名】大久保 栄造
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭51−048478(JP,B1)
【文献】 特開2010−110698(JP,A)
【文献】 特開平08−173816(JP,A)
【文献】 特表2014−510628(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0142520(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
C10G11/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライト微粒子と、マトリックス成分と、回収固体微粒子とを含む流動接触分解触媒の製造方法であって、
前記ゼオライト微粒子の含有量が、当該流動接触分解触媒中に固形分として15〜40質量%の範囲にあり、
粉砕処理後および/または分散処理後の前記回収固体微粒子の平均粒子径(D)が12〜15μmであり、
下記の工程(a)〜(c)を含む
ことを特徴とする流動接触分解触媒の製造方法。
(a)ゼオライト微粒子と、マトリックス形成成分と、回収固体微粒子および/または回収固体微粒子前駆体との混合スラリーを粉砕処理および/または分散処理した後、熱風気流中に噴霧乾燥して微小球状粒子とする微粒子化工程
(b)前記微小球状粒子を洗浄する洗浄工程
(c)前記洗浄工程後に乾燥する乾燥工程
(ただし、前記回収固体微粒子は、前記(a)微粒子化工程において捕捉された微小球状粒子を意味する。前記回収固体微粒子前駆体は、前記(a)微粒子化工程において、回収固体微粒子および回収固体微粒子前駆体のいずれも含まない混合スラリーを用い、粉砕処理および分散処理のいずれも行わずに捕捉された微小球状粒子を意味する。)
【請求項2】
ゼオライト微粒子と、マトリックス成分と、回収固体微粒子とを含む流動接触分解触媒の製造方法であって、
前記ゼオライト微粒子の含有量が、当該流動接触分解触媒中に固形分として15〜40質量%の範囲にあり、
粉砕処理後および/または分散処理後の前記回収固体微粒子の平均粒子径(D)が12〜15μmであり、
下記の工程(d)〜(g)を含む
ことを特徴とする流動接触分解触媒の製造方法。
(d)回収固体微粒子および/または回収固体微粒子前駆体を含むスラリーを粉砕処理および/または分散処理した後、ゼオライト微粒子と、マトリックス形成成分とを混合して混合スラリーとする混合工程
(e)前記混合スラリーを熱風気流中に噴霧乾燥して微小球状粒子とする微粒子化工程
(f)前記微小球状粒子を洗浄する洗浄工程
(g)前記洗浄工程後に乾燥する乾燥工程
(ただし、前記回収固体微粒子は、前記(e)微粒子化工程において捕捉された微小球状粒子を意味する。前記回収固体微粒子前駆体は、前記(d)混合工程において回収固体微粒子および回収固体微粒子前駆体のいずれも含まず、前記(e)微粒子化工程において捕捉された微小球状粒子を意味する。)
【請求項3】
前記回収固体微粒子の含有量が、得られた当該流動接触分解触媒中に固形分として1〜30質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流動接触分解触媒の製造方法。
【請求項4】
当該流動接触分解触媒の平均粒子径(D)が40〜80μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の流動接触分解触媒の製造方法。
【請求項5】
前記平均粒子径(D)と前記平均粒子径(D)との比(D)/(D)が0.04〜0.5の範囲にあることを特徴とする請求項4に記載の流動接触分解触媒の製造方法。
【請求項6】
前記ゼオライト微粒子がフォージャサイト型ゼオライトおよび/またはZSM−5型ゼオライトであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の流動接触分解触媒の製造方法。
【請求項7】
流動接触分解触媒であって、
ゼオライト微粒子とマトリックス成分と回収固体微粒子とを含んでなり、
当該流動接触分解触媒の平均粒子径(D)が40〜80μmの範囲にあり、
粉砕処理後及び/又は分散処理後の前記回収固体微粒子の平均粒子径(D)が12〜15μmの範囲にあり、
前記回収固体微粒子の平均粒子径(D)と流動接触分解触媒の平均粒子径(D)との比(D)/(D)が0.04〜0.3の範囲にあり、
前記回収固体微粒子の含有量が固形分として1〜30質量%の範囲にあることを特徴とする流動接触分解触媒。
【請求項8】
前記ゼオライト微粒子の含有量が固形分として10〜50質量%の範囲にあることを特徴とする請求項7に記載の流動接触分解触媒。
【請求項9】
前記ゼオライト微粒子がフォージャサイト型ゼオライトおよび/またはZSM−5型ゼオライトであることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の流動接触分解触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動接触分解触媒の製造方法および流動接触分解触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素油の接触分解触媒としてゼオライト(以下、結晶性アルミノシリケートともいう。)とマトリックス成分とからなる流動接触分解触媒が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
流動接触分解触媒には活性や選択性の他に、流動状態で装置と接触したり、粒子が摩耗したり、粒子同士が衝突して壊れ、装置外に飛散したりロスすることのないように、高い耐摩耗性が求められている。
この耐摩耗性は、例えば活性を向上させるためにゼオライトの含有量を多くすると低下することが知られている。また、マトリックス成分として、ゾルを結合材とすると耐摩耗性が向上することも知られている。
また、ゼオライトとマトリックス成分以外に、残油分解能を向上させたり、残油中のメタル成分を補足して不活性化させるために種々の無機酸化物成分をゼオライトに担持したり、無機酸化物微粒子を配合して用いることが行われている。この場合、多くは耐摩耗性を低下することが知られている。
【0003】
一方で、このような炭化水素油の流動接触分解触媒の製造には一般に噴霧乾燥法が採用されている。噴霧乾燥法では、所望の粒子径の範囲外の粒子が形成され、微細な粒子は大気に放出することがないように乾式あるいは湿式のサイクロン等で捕捉し、装置に付着などして形成される規格外の大きな塊とともに廃棄されている。しかしながら、このような所望の粒子径の範囲外の粒子であってもゼオライト等の有用な成分を含んでおり、廃棄した場合は、有用な成分の損失となるとともに廃棄処理に伴う経費が発生する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−193543号公報
【特許文献2】特開平8−173816号公報
【特許文献3】特表2009−511245号公報
【特許文献4】特開2010−110698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1〜4に記載された流動接触分解触媒では、必ずしも耐摩耗性が十分とは言えなかった。また、廃棄物の処理についても上記した課題を十分に解決できていなかった。
【0006】
本発明は、有用な成分を回収でき経済性に優れる流動接触分解触媒の製造方法ならびに耐摩耗性に優れる流動接触分解触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討した結果、所望の粒子径の範囲外の粒子を所定の粒子径に粉砕するとともに分散処理してゼオライト微粒子とバインダー成分との混合スラリーに混合して用いると、所望の粒子径の範囲外の粒子を回収できるだけでなく、活性、選択性を阻害することなく流動接触分解触媒の耐摩耗性が向上することを見出した。本発明はこの知見をもとにして完成されたものである。
すなわち、本発明は、以下に示すような流動接触分解触媒の製造方法および流動接触分解触媒を提供するものである。
【0008】
(1)下記の工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする流動接触分解触媒の製造方法。
(a)ゼオライト微粒子と、マトリックス形成成分と、回収固体微粒子および/または回収固体微粒子前駆体との混合スラリーを粉砕処理および/または分散処理した後、熱風気流中に噴霧乾燥して微小球状粒子とする微粒子化工程
(b)前記微小球状粒子を洗浄する洗浄工程
(c)前記洗浄工程後に乾燥する乾燥工程
(ただし、前記回収固体微粒子は、前記(a)微粒子化工程において捕捉された微小球状粒子を意味する。前記回収固体微粒子前駆体は、前記(a)微粒子化工程において、回収固体微粒子および回収固体微粒子前駆体のいずれも含まない混合スラリーを用い、粉砕処理および分散処理のいずれも行わずに捕捉された微小球状粒子を意味する。)
(2)下記の工程(d)〜(g)を含むことを特徴とする流動接触分解触媒の製造方法。
(d)回収固体微粒子および/または回収固体微粒子前駆体を含むスラリーを粉砕処理および/または分散処理した後、ゼオライト微粒子と、マトリックス形成成分とを混合して混合スラリーとする混合工程
(e)前記混合スラリーを熱風気流中に噴霧乾燥して微小球状粒子とする微粒子化工程
(f)前記微小球状粒子を洗浄する洗浄工程
(g)前記洗浄工程後に乾燥する乾燥工程
(ただし、前記回収固体微粒子は、前記(e)微粒子化工程において捕捉された微小球状粒子を意味する。前記回収固体微粒子前駆体は、前記(d)混合工程において回収固体微粒子および回収固体微粒子前駆体のいずれも含まず、前記(e)微粒子化工程において捕捉された微小球状粒子を意味する。)
(3)前記回収固体微粒子の平均粒子径(D)が2〜40μmであることを特徴とする上述の(1)または(2)に記載の流動接触分解触媒の製造方法。
(4)前記回収固体微粒子の含有量が、得られた当該流動接触分解触媒中に固形分として1〜30質量%の範囲にあることを特徴とする上述の(1)〜(3)のいずれかに記載の流動接触分解触媒の製造方法。
(5)当該流動接触分解触媒の平均粒子径(D)が40〜80μmの範囲にあることを特徴とする上述の(1)〜(4)のいずれかに記載の流動接触分解触媒の製造方法。
(6)前記平均粒子径(D)と前記平均粒子径(D)との比(D)/(D)が0.04〜0.5の範囲にあることを特徴とする上述の(1)〜(5)のいずれかに記載の流動接触分解触媒の製造方法。
(7)前記ゼオライト微粒子の含有量が、得られた当該流動接触分解触媒中に固形分として10〜50質量%の範囲にあることを特徴とする上述の(1)〜(6)のいずれかに記載の流動接触分解触媒の製造方法。
(8)前記ゼオライト微粒子がフォージャサイト型ゼオライトおよび/またはZSM−5型ゼオライトであることを特徴とする上述の(1)〜(7)のいずれかに記載の流動接触分解触媒の製造方法。
(9)ゼオライト微粒子とマトリックス成分と回収固体微粒子とを含んでなり、前記回収固体微粒子の平均粒子径(D)が2〜40μmの範囲にあり、前記回収固体微粒子の含有量が固形分として1〜30質量%の範囲にあることを特徴とする流動接触分解触媒。
(10)当該流動接触分解触媒の平均粒子径(D)が40〜80μmの範囲にあることを特徴とする上述の(9)に記載の流動接触分解触媒。
(11)前記平均粒子径(D)と前記平均粒子径(D)との比(D)/(D)が0.04〜0.5の範囲にあることを特徴とする上述の(9)または(10)に記載の流動接触分解触媒。
(12)前記ゼオライトの含有量が固形分として10〜50質量%の範囲にあることを特徴とする上述の(9)〜(11)のいずれかに記載の流動接触分解触媒。
(13)前記ゼオライトがフォージャサイト型ゼオライトおよび/またはZSM−5型ゼオライトであることを特徴とする上述の(9)〜(12)のいずれかに記載の流動接触分解触媒。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、有用な成分を回収でき経済性に優れる流動接触分解触媒の製造方法ならびに耐摩耗性に優れる流動接触分解触媒を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る第1の流動接触分解触媒の製造方法(以下、「第1の製造方法」あるいは「本製造方法」ともいう。)は、下記の工程(a)〜(c)を含むことを特徴とする。
(a)ゼオライト微粒子と、マトリックス形成成分と、回収固体微粒子および/または回収固体微粒子前駆体との混合スラリーを粉砕処理および/または分散処理した後、熱風気流中に噴霧乾燥して微小球状粒子とする微粒子化工程
(b)前記微小球状粒子を洗浄する洗浄工程
(c)前記洗浄工程後に乾燥する乾燥工程
【0011】
ただし、前記回収固体微粒子は、前記(a)微粒子化工程において捕捉された微小球状粒子を意味する。前記回収固体微粒子前駆体は、前記(a)微粒子化工程において、回収固体微粒子および回収固体微粒子前駆体のいずれも含まない混合スラリーを用い、粉砕処理および分散処理のいずれも行わずに捕捉された微小球状粒子を意味する。
【0012】
また、本発明に係る第2の流動接触分解触媒の製造方法(以下、「第2の製造方法」あるいは、「本製造方法」ともいう。)は、下記の工程(d)〜(g)を含むことを特徴とする。
(d)回収固体微粒子および/または回収固体微粒子前駆体を含むスラリーを粉砕処理および/または分散処理した後、ゼオライト微粒子と、マトリックス形成成分とを混合して混合スラリーとする混合工程
(e)前記混合スラリーを熱風気流中に噴霧乾燥して微小球状粒子とする微粒子化工程
(f)前記微小球状粒子を洗浄する洗浄工程
(g)前記洗浄工程後に乾燥する乾燥工程
【0013】
ただし、前記回収固体微粒子は、前記(e)微粒子化工程において捕捉された微小球状粒子を意味する。前記回収固体微粒子前駆体は、前記(d)混合工程において回収固体微粒子および回収固体微粒子前駆体のいずれも含まず、前記(e)微粒子化工程において捕捉された微小球状粒子を意味する。
第2の製造方法は、回収固体微粒子および/または回収固体微粒子前駆体を含むスラリーを粉砕処理および/または分散処理した後にゼオライト微粒子と、マトリックス形成成分とを混合することが第1の製造方法と異なるだけである。
そこで、以下に第1の製造方法について詳細に説明するが、第2の製造方法についても併せて説明する。
【0014】
[(a)微粒子化工程]
本工程では、ゼオライト微粒子とマトリックス形成成分と回収固体微粒子との混合スラリーを熱風気流中に噴霧乾燥して微小球状粒子とする。
【0015】
〔ゼオライト微粒子〕
本製造方法で用いるゼオライト微粒子としては、従来公知のゼオライトを用いることができる。本製造方法では、フォージャサイト型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライトが好適に用いられる。これらゼオライトは単独で用いてもよく、混合して用いることもできる。
フォージャサイト型ゼオライトを用いると、活性が高く、ガソリン選択性に優れた触媒を得ることができる。また、ZSM−5型ゼオライトを用いるとプロピレン、ブチレン等の石油化学工業に有用なオレフィンを選択的に生産できる触媒を得ることができる。また、フォージャサイト型ゼオライトとZSM−5型ゼオライトを混合して使用するか、フォージャサイト型ゼオライトを含む触媒とZSM−5型ゼオライトを含む触媒とを混合して使用すると、高オクタン価ガソリン成分の選択性に優れ、且つ、プロピレン、ブチレン等のオレフィンの選択性に優れている。
【0016】
(フォージャサイト型ゼオライト)
フォージャサイト型ゼオライトとは、SiOとAlとからなる骨格を有するものである。骨格を構成するSiOのモル数(MFS)とAlのモル数(MFA)とのモル比(MFS)/(MFA)は5〜20であることが好ましく、6〜15の範囲にあることがより好ましい。モル比(MFS)/(MFA)がこの範囲にあると、耐水熱性(高温で再生処理した際の活性の維持率)がより高くなり、また活性やガソリン選択性もより高くなる。
【0017】
モル比(MFS)/(MFA)が低いと、耐水熱性、活性およびガソリン選択性が不十分となるおそれがある。この場合、流動接触分解プロセスでは分解反応後、再生等で触媒に析出した炭素質を燃焼除去して再生するが、燃焼熱によって高温となるほか、炭素質が水素を含むため水分が生成し、この結果高温で水熱処理されることとなり、この際、ゼオライトの結晶性が低下することが知られている。
一方、モル比(MFS)/(MFA)が高すぎても、耐水熱性は高いものの活性点が少なくなるためか、活性が不十分となる場合がある。
【0018】
フォージャサイト型ゼオライトの格子定数は2.435〜2.470nmであり、好ましくは、2.440〜2.462nmである。このような格子定数の範囲にあると、ガソリン選択性が非常に高くなる。この格子定数が小さすぎると、耐水熱性、耐メタル性は高いものの活性、選択性が不十分となる。一方、この格子定数が大きすぎると、ガソリン選択性は高いものの耐水熱性、耐メタル性が不十分となる。
上述の格子定数を求めるには、X線回折法により、アナターゼ型TiOを標準物質とし、ゼオライトの回折面(553)と(642)の面間隔により測定すればよい。
【0019】
このようなフォージャサイト型ゼオライトとしては、NaY型ゼオライトをNHイオン交換したNHYゼオライトを好ましく使用することができるが、これを水熱処理して得られる超安定性ゼオライト(USY)であることが特に好ましい。
この超安定性ゼオライト(USY)は従来公知の方法により製造することができ、例えば、R.M.Barrer,ZEOLITES AND CLAY MINERALS as Sorbents and Molecular Sievesp350 (1975)に記載されたProcedureA、ProcedureBを好適に採用することができる。
【0020】
具体的には、ProcedureBでは、NaYを塩化アンモニウムでイオン交換し、(NH4)(0.75〜0.90)Na(0.25〜0.10)−Yとした後、洗浄し、200〜600℃で加熱処理し、再びイオン交換して残存Na+を除去して準安定状態とし、ついで、スチーム雰囲気下、600〜800℃で急速に加熱して、格子定数が1〜1.5%収縮したゼオライトが得られることと記載されている。
さらに、得られた超安定性ゼオライト(USY)を酸処理等したゼオライトも好適に用いることができる。
【0021】
混合スラリー中のフォージャサイト型ゼオライトの濃度は、得られる触媒中のフォージャサイト型ゼオライトの含有量が固形分(主にSiOとAl)として10〜50質量%、さらには15〜40質量%の範囲にあることが好ましい。
フォージャサイト型ゼオライトの含有量が固形分として10質量%未満の場合は、ゼオライトが少ないために活性が不十分となる場合がある。
フォージャサイト型ゼオライトの含有量が固形分として50質量%を越えると、活性が高すぎて過分解となり、選択性が低下する場合があり、また、ゼオライト以外のマトリックス成分の含有量が少なくなるために耐摩耗性が不十分となり、流動触媒として使用した場合、容易に粉化して触媒が飛散する場合がある。これを補うために触媒の補充量を増加することもできるが経済性が問題となる。
【0022】
(ZSM−5型ゼオライト)
ZSM−5型ゼオライトとは、SiOとAlからなる骨格を有するものである。骨格を構成するSiOのモル数(MZS)とAlのモル数(MZA)とのモル比(MZS)/(MZA)は20〜200であることが好ましく、30〜150の範囲にあることがより好ましい。モル比(MZS)/(MZA)がこの範囲にあると、前記フォージャサイト型ゼオライトと混合して用いる場合は、ガソリンのオクタン価を高めるとともに有用なCオレフィン、Cオレフィンの収率を高めることができる。
また、ZSM−5型ゼオライトを単独で用いた場合は、Cオレフィン、Cオレフィンの選択性が高く、収率を高めることができる。
【0023】
モル比(MZS)/(MZA)が20未満のZSM−5型ゼオライトは合成が困難であり、モル比(MZS)/(MZA)が200を超えると活性点が少なくなるためか、Cオレフィン、Cオレフィンの収率を高めることができず、むしろ収率が低下する場合がある。
混合スラリー中のZSM−5型ゼオライトの濃度は、得られる触媒中のZSM−5型ゼオライトの含有量が、ZSM−5型ゼオライトを単独で用いる場合は、固形分(主にSiOとAl)として10〜50質量%、さらには15〜40質量%の範囲にあることが好ましい。
【0024】
触媒中のZSM−5型ゼオライトの含有量が10質量%未満の場合は、活性が不十分となりCオレフィン、Cオレフィンの収率が不十分となる場合がある。
触媒中のZSM−5型ゼオライトの含有量が50質量%を超えると、ゼオライト以外のマトリックス成分(あるいは結合材)の含有量が少なくなるために耐摩耗性が不十分となる場合がある。
また、フォージャサイト型ゼオライトと併用する場合、合計のゼオライトの濃度は、得られる触媒中のゼオライトの含有量が固形分として10〜50質量%、さらには15〜40質量%の範囲にあることが好ましく、ZSM−5型ゼオライトの含有量は固形分として0.5〜10質量%、さらには1〜8質量%の範囲にあることが好ましい。また、フォージャサイト型ゼオライトの含有量の概ね1/20〜1/5の範囲にあることが好ましい。
フォージャサイト型ゼオライトの含有量の概ね1/20〜1/5の範囲にあれば、ガソリンのオクタン価を高めるとともに有用なCオレフィン、Cオレフィンの収率を高めることができる。
【0025】
フォージャサイト型ゼオライトの平均粒子径は0.3〜3μm、さらには0.5〜2μmの範囲にあることが好ましい。
フォージャサイト型ゼオライトの平均粒子径が前記範囲にあれば、耐水熱性、耐メタル性が優れ、活性、ガソリン選択性に優れた触媒を得ることができる。
フォージャサイト型ゼオライトの平均粒子径が0.3μm未満の場合は、耐水熱性、耐メタル性が不十分となるとともに耐摩耗性が不十分となる場合がある。
フォージャサイト型ゼオライトの平均粒子径が3μmを超えると、耐水熱性、耐メタル性は良好であるが耐摩耗性が不十分となったり、残油(高沸点炭化水素油)の分解能が不十分となる場合がある。
ZSM−5型ゼオライトの平均粒子径は0.1〜5μm、さらには0.2〜3μmの範囲にあることが好ましい。
ZSM−5型ゼオライトの平均粒子径が0.1μm未満の場合は耐水熱性、耐メタル性が不十分となる場合がある。
ZSM−5型ゼオライトの平均粒子径が5μmを超えると、単独で用いた場合もフォージャサイト型ゼオライトと併用した場合もCオレフィン、Cオレフィンの選択性、収率が不十分となる場合がある。
なお、上述した各種ゼオライトの平均粒子径の測定方法は、後述する。
【0026】
〔マトリックス形成成分〕
本製造方法において用いるマトリックス形成成分とは、前記したゼオライト微粒子(フォージャサイト型ゼオライトやZSM−5型ゼオライト)、および後述する回収固体微粒子のいずれでもないものを意味し、このようなマトリックス形成成分には、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ、およびリン酸アルミニウムなどの従来公知の無機酸化物の前駆体、あるいは無機化合物を使用することができる。これらには、結合材やフィラーと呼ばれるものも含まれる。
【0027】
具体的には、シリカゲル、シリカゾル、シリカヒドロゾル、アルミナゲル、アルミナゾル、シリカ・アルミナゲル、シリカ・アルミナゾル、およびリン酸アルミニウム化合物等の従来公知の無機酸化物の前駆体、無機化合物を使用することができる。なかでも、シリカゾル、シリカヒドロゾル、アルミナゾル、シリカ・アルミナゾル、リン酸アルミニウム化合物等は、ゼオライトの担体(マトリックス)あるいは結合材としても機能し、活性、耐摩耗性等に優れる他、残油分解活性、耐メタル性等にも優れた流動接触分解触媒が得られるので好適に用いることができる。
なお、ここで、無機酸化物の前駆体とは、例えば、シリカゾルはシリカの表面に水酸基、水和水を有しており、シリカヒドロゾルはシリカの水和物であり、これらは触媒として使用される際には酸化物となることを意味している。
混合スラリー中のマトリックス形成成分の濃度は、得られる触媒中のマトリックス成分の含有量が固形分として10〜50質量%、さらには15〜40質量%の範囲にあることが好ましい。
【0028】
(フィラー)
フィラーとしては、カオリン、メタカオリン、ハイドロタルサイト、およびモンモリロナイト等の従来より公知の粘土鉱物等を用いることができる。これらは活性がなく、増量剤として作用する。なお、これら以外に、微粒のアルミナ、シリカ・アルミナ、マグネシア等のアルカリ土類金属酸化物、および酸化ランタン等の希土類金属酸化物等従来公知の金属酸化物や複合金属酸化物微粒子を用いることもできる。
混合スラリー中のフィラーの濃度は、得られる触媒中で、触媒(100質量%)から前記ゼオライトの含有量とマトリックス成分の含有量の合計を差し引いた含有量となるような量、即ちバランスする量である。通常、50質量%未満である。
【0029】
〔回収固体微粒子〕
本製造方法では、回収固体微粒子を用いることを特徴とする。
噴霧乾燥法で流動接触分解触媒を製造する際に、所望の粒子径の範囲外の粒子が形成され、微細な粒子は大気に放出されることがないように乾式あるいは湿式サイクロン等で捕捉・回収される。その際に捕捉・回収された微粒子や、装置に付着等して形成された規格外の大きな塊(粗大粒子)を併せて回収個体微粒子という。
ただし、本製造方法においては、回収固体微粒子は、後述する粉砕処理あるいは分散処理を行った後に噴霧乾燥された微粒子のことであり、粉砕処理や分散処理を行わずに噴霧乾燥されたものは回収固体微粒子前駆体と呼んで区別する。
本製造方法においては、回収固体微粒子は、流動接触分解触媒の一成分として用いられる。
【0030】
噴霧乾燥時に発生する回収固体微粒子の量は、噴霧乾燥条件、回収方法等によっても異なるが、概ね5〜20質量%である。
サイクロン等で捕捉・回収された微粒子は、概ね球状であり、平均粒子径は概ね2〜40μmの範囲にある。
粗大粒子の形状は必ずしも球状ではなく、不定形状の場合が多く、粒子の大きさは流動接触分解触媒の平均粒子径の上限を超えることもある。
【0031】
回収固体微粒子の平均粒子径は、後述する流動接触分解触媒と同様に乾式マイクロメッシュシーブ法により測定し、50質量%値を平均粒子径とする。
混合スラリーは、粉砕処理および/または分散処理されるが、このような処理をしない場合、すなわち回収固体微粒子前駆体を用いて触媒を製造すると、得られる触媒の見掛比重(ABD)が低くなる傾向があり、耐摩耗性が不十分となる場合がある。
粉砕処理や分散処理は混合する前に処理してもよく(第2の製造方法)、混合後の混合スラリーを処理することもできる(第1の製造方法)。
このような処理をすることによって、耐摩耗性に優れた流動接触分解触媒を製造することができる。
粉砕処理や分散処理としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、ビーズミル、ボールミル、コロイドミル等の装置が挙げられる。なお、多くの場合、乾式粉砕の場合を除いて、湿式粉砕の場合は粉砕効果と分散効果が同時に得られる場合が多い。
【0032】
粉砕処理後および分散処理後の回収固体微粒子の平均粒子径(D)は、処理前(回収固体微粒子前駆体)より小さくなる。平均粒子径(D)は30μm以下、さらには25μm以下であることが耐摩耗性の観点より好ましい。
また、平均粒子径(D)と後述する流動接触分解触媒の平均粒子径(D)との比(D)/(D)が0.04〜0.5、さらには0.04〜0.3の範囲にあることが好ましい。
前記比(D)/(D)が前記範囲にあれば、球状で所望の平均粒子径、粒度分布を有し、優れた耐摩耗性を有する流動接触分解触媒を得ることができる。
なお、粉砕処理程度、分散処理程度の調整は、得られる触媒の耐摩耗性が回収固体微粒子を使用しない場合と同程度以上であれば特に制限はなく、処理装置によっても異なるが、ビーズ、ボールの大きさ、回収固体微粒子との量比、混合スラリの濃度、ミルの回転数、ギャップ、および処理速度等によって制御可能である。
【0033】
回収固体微粒子の混合スラリー中の濃度は、得られる流動接触分解触媒中の含有量が固形分として1〜30質量%、さらには2〜20質量%の範囲にあることが好ましい。
回収固体微粒子の流動接触分解触媒中の含有量が前記範囲にあれば、耐摩耗性に優れた触媒を得ることができ、経済性にも優れている。
混合スラリーの濃度は所望の平均粒子径、粒子径分布、耐摩耗性等を有する流動接触分解触媒が得られれば特に制限はないが概ね10〜50質量%、さらには20〜40質量%の範囲にあることが好ましい。この範囲にあれば、噴霧乾燥が容易であり、所望の粒子径および粒度分布に調整が可能となる。
【0034】
混合スラリーの濃度が低いと、噴霧乾燥時の蒸発水分量が多く、熱エネルギーを多く必要とすることから経済性が低下し、また、所望の平均粒子径および粒度分布を有する触媒が得られない、あるいは嵩密度が低下して流動性が不十分となる等の問題が発生する場合がある。混合スラリーの濃度が高すぎても、混合スラリーの粘度が高すぎてしまい噴霧乾燥が困難になったり、所望の平均粒子径および粒度分布を有する触媒が得られない場合がある。
【0035】
噴霧乾燥方法としては、所望の平均粒子径、粒度分布、耐摩耗性等を有する流動接触分解触媒が得られれば特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。例えば、回転ディスク法、加圧ノズル法、2流体ノズル法等従来公知の方法を採用することができる。
噴霧乾燥における熱風の入口温度は概ね250〜500℃の範囲にあり、出口温度が150〜250℃の範囲にあることが好ましい。
本発明では、噴霧乾燥して得られる微小球状粒子の平均粒子径は概ね40〜80μm、さらには50〜75μmの範囲にあることが好ましい。なお粒子径評価は、乾式マイクロメッシュシーブ法により測定し、50質量%値を平均粒子径とした。
【0036】
このような粒子径の調整は、たとえば、混合スラリーの濃度、粘度、ノズル径、噴霧量、噴霧圧力、熱風温度などを適宜調整することによって、粒子径は調整可能である。
本製造方法では、前記(a)微粒子化工程に続いて、下記(b)洗浄工程を行う。
【0037】
[(b)洗浄工程]
洗浄は、前記したゼオライト、回収固体微粒子あるいはマトリックス形成成分に含まれることのあるアルカリ金属、Cl、SO2−等の触媒毒を除去するために行う。これらは極力低減することが好ましく、アルカリ金属は、触媒中にアルカリ金属酸化物として概ね1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。Cl、SO2−等のアニオンは概ね2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
通常、水、好ましくは温水を掛け水することによって洗浄することができるが、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩水溶液、温アンモニア水等を使用することもできる。
【0038】
なお、本製造方法では、(b)洗浄工程で、あるいはその後に、アルカリ土類金属イオン、希土類金属イオン、さらにはリン酸イオン等と接触させて、これらアルカリ土類金属成分、希土類金属成分、リン成分等を導入(担持)することができる。このような成分を導入することによって、活性、選択性、水熱安定性、および耐メタル性等に優れた触媒を得ることができる。
【0039】
[(c)乾燥工程]
次に、微小球状粒子分散液を濾過して微小球状粒子を分離した後に乾燥を行う。
乾燥方法は水分を概ね8〜15質量%程度に乾燥できれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、工業的に大量に製造する場合、回転乾燥機(ロータリーキルン)を好適に採用することができる。
【0040】
[流動接触分解触媒]
本発明の流動接触分解触媒(以下、「本触媒」ともいう。)は、ゼオライト微粒子とマトリックス成分と回収固体微粒子とを含んでなり、前記回収固体微粒子の平均粒子径(D)が2〜40μmの範囲にあり、前記回収固体微粒子の含有量が固形分として1〜30質量%の範囲にあることを特徴とする。本触媒は、上記した製造方法により好ましく得ることができる。前記した回収固体微粒子の意味は、上記した製造方法に記載された通りであるが、本触媒の製造方法は必ずしも上記した製造方法に限定されるわけではない。
本触媒によれば、所定の回収固体微粒子を含んでいるため、耐摩耗性に優れている。なお、触媒粒子の平均粒子径(D)や回収固体微粒子の平均粒子径(D)など、本触媒の好ましい態様は上述した製造方法に記載された通りである。
【0041】
[各種パラメータの測定方法]
(各元素の質量分析方法)
各元素の質量分析は、誘導結合プラズマ分光分析装置にて化学分析を行った。具体的には、試料を濃塩酸に溶解して、水で濃度1〜100質量ppmに調整した溶液をSII製、SPS−5520にて分析した。
【0042】
(X線回折の測定方法)
試料のX線回折による定性分析は、RIGAKU(株)製X−RAY DIFFRACT METER(RINT 1400)にて行った。具体的には、試料を粉砕・成形した後、装置にセットし、管電圧30.0kV、管電流130.0mA、対陰極Cu、測定範囲:開始角度〜終了角度(2θ)10.000°〜70.000°、スキャンスピード2.000°/min、発散スリット 1deg、散乱スリット 1deg、受光スリット 0.15mmにて測定した。
【0043】
(ゼオライト等の平均粒子径の測定方法)
ゼオライト等の各種微粒子については、レーザー光散乱方式により平均粒径(粒度分布)を測定した。具体的には、堀場製作所(株)製レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA−300)にて、光線透過率が70〜95%の範囲となるように試料を溶媒(水)に投入し、循環速度:2.8L/min、超音波:3min、反復回数:30で測定した。測定値は、メジアン径による表記である。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔比較例1〕
<フォージャサイト型ゼオライト(1)の調製>
純水10kgにNaYゼオライト(日揮触媒化成(株)製:SiO/Alモル比=5.2、格子定数=2.467nm、平均粒子径=1.2μm)1kgを分散させ、60℃に昇温し、NaYゼオライトに対して2モル当量分の硫酸アンモニウムを添加し1時間イオン交換した。ついで、濾過し、温水で充分洗浄し130℃で10時間乾燥してアンモニウムイオン交換ゼオライト粉末(1)を調製した。この時、NHイオン交換利率は65質量%、Naイオン残存率は35質量%であった。以下、これをNH4(65)Na(35)Yと表す。
次に、アンモニウムイオン交換ゼオライト粉末を500℃で4時間焼成してH(65)Na(35)Y粉末とし、これを再び濃度40質量%の硫酸アンモニウム水溶液5kgに分散させ、60℃に昇温し、分散液のpHを4.5に調整し、8時間イオン交換した。ついで、温水を充分に掛け水して洗浄し、150℃で10時間乾燥してアンモニウムイオン交換ゼオライト粉末(2)を調製した。この時、NHイオン交換利率は90質量%、Naイオン残存率は10質量%であった。以下、これをNH4(90)Na(10)Yと表す。
つぎに、アンモニウムイオン交換ゼオライト粉末(2)をステンレス製容器に充填し、回転スチーミング装置にて、温度700℃で1時間、飽和水蒸気雰囲気中で加熱処理して超安定性ゼオライトであるフォージャサイト型ゼオライト(1)を調製した。
得られたフォージャサイト型ゼオライト(1)のSiO/Alモル比、格子定数、比表面積を測定した。
【0045】
<流動接触分解触媒(R1)の調製>
市販の3号水ガラスと硫酸を急速に撹拌混合し、SiOとしての濃度12.5質量%を含むシリカヒドロゾルを調製し、このシリカヒドロゾル4000gにカオリン1125g(乾燥基準)、活性アルミナ125g(乾燥基準)、フォージャサイト型ゼオライトa−(1)750g(乾燥基準)および水を加えて固形分濃度30質量%の混合スラリー(1)を調製した。
次に、固形分濃度30質量%の混合スラリー(1)を、入口温度250℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(1)を調製した。この時、微小球状粒子(1)の平均粒子径は65μmであった。なお、この時の熱風の出口温度は150℃であった。
なお、熱風の出口に設けたサイクロンにより固体微粒子(1)375gを回収し、回収固体微粒子前駆体(1)とした。回収固体微粒子前駆体(1)の平均粒子径は20μmであった。
【0046】
次に、得られた微小球状粒子(1)の乾燥質量2000gに対して5倍量の温水10kgに懸濁し、次いで微小球状粒子(1)に含まれるフォージャサイト型ゼオライト(1)のアルミナのモル数と同モル量の硫酸アンモニウム203gを添加した後、脱水、掛水して洗浄した。
次に、洗浄した微小球状粒子(1)を温水10kgに懸濁し、REとして濃度20質量%の塩化希土類水溶液200gを添加し、60℃で30分間、イオン交換を行った。この後、脱水、掛水して洗浄した。
次に、希土類成分を担持し、洗浄した微小球状粒子(1)を乾燥機にて、150℃で2時間乾燥して流動接触分解触媒(R1)を調製した。
得られた流動接触分解触媒(R1)について、REの含有量、平均粒子径、および見掛比重(ABD)の測定、耐摩耗性試験、性能試験を以下のようにして実施した。結果を表1に示す。
【0047】
(見掛比重(ABD))
内容積100mlの円筒型シリンダーに、シリンダーの上端から高さ10cmの位置から流動接触分解触媒(R1)を落下、充填し、上面を平坦化したときの触媒の重量(W)gを計測し、W/100(g/ml)として求めた。
【0048】
(耐摩耗性)
装置の主要部は、下部にオリフィスプレート(0.38mmφx3穴)を有する触媒管、該触媒管の上部に接続されたサイクロン、該サイクロンの上部に2個のレシーバー(触媒微粉回収フィルター)から構成されている。
触媒管にWg(約45g)の触媒を充填した後、乾燥空気を供給する。このとき、オリフィスプレートの空気流速は345m/secとなるように調整する。
空気供給開始12時間後までに粉化した触媒を1方のレシーバーに捕集(Rg)し、ついで、空気供給開始12時間後〜42時間後の間に粉化した触媒を他の1方のレシーバーに捕集(Lg)する。
これら、充填触媒量(W)、捕集触媒量(R)、(L)を用いて、以下のように初期粉化率、平均摩耗率を求める。
初期粉化率(質量%)=(R/W)×100
平均摩耗率(質量%/時間)=(L/30/W)×100
【0049】
(性能試験)
以下の条件で擬平衡化し、ついで触媒性能(分解性能)を評価した。
<擬平衡化>
流動接触分解触媒(R1)を600℃で1時間焼成した後、ニッケルおよびバナジウムがそれぞれ2000ppm、4000ppmとなるようにナフテン酸ニッケルおよびナフテン酸バナジウムのトルエン溶液を吸収させ、ついで110℃で乾燥後、600℃で1.5時間焼成し、ついで、780℃で6時間スチーム処理し、再度600℃で1時間焼成して擬平衡化した。
【0050】
<分解性能>
分解反応装置(ケイザー社製:ACE−MAT、モデルR+)を使用した。
原料油:脱硫常圧残油(DSAR)
触媒/原料油比(C/O):5
反応温度:520℃
空間速度:8hr−1
ガソリンの沸点範囲:C〜216℃
ライトサイクルオイル(LCO)の沸点範囲:216〜343℃
ヘビーサイクルオイル(HCO)の沸点範囲:343℃以上
転化率(質量%)=100−(LCO質量%+HCO質量%)(質量%)
【0051】
〔実施例1〕
<流動接触分解触媒(1)の調製>
市販の3号水ガラスと硫酸を急速に撹拌混合し、SiOとしての濃度12.5質量%を含むシリカヒドロゾルを調製し、このシリカヒドロゾル3600gにカオリン1012.5g(乾燥基準)、活性アルミナ112.5g(乾燥基準)、フォージャサイト型ゼオライトa−(1)675g(乾燥基準)および比較例1で回収した回収固体微粒子前駆体(1)250g(乾燥基準)および水を加えて固形分濃度30質量%の混合スラリー(1)を調製した。
ついで、混合スラリー(1)に対しコロイドミル(特殊加工(株)製 TK150)にて、ギャップ80μm、主折り速度4L/分の条件で粉砕・分散処理を行った。
コロイドミル処理した混合スラリー(1)の一部を目開き2μmのマイクロメッシュシーブを用いて濾過し、フルイ上を採取し、120℃で12時間乾燥した後、乾式マイクロメッシュシーブ法にて回収固体微粒子の平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
次に、粉砕・分散処理した固形分濃度30質量%の混合スラリー(1)を、入口温度250℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(1)を調製した。この時、微小球状粒子(1)の平均粒子径は65μmであった。なお、この時の熱風の出口温度は150℃であった。
【0052】
以下、比較例1と同様にして流動接触分解触媒(1)を調製した。
得られた流動接触分解触媒(1)について、REの含有量、平均粒子径、および見掛比重(ABD)の測定、耐摩耗性試験、性能試験を実施した。結果を表1に示す。
【0053】
〔実施例2〕
<流動接触分解触媒(2)の調製>
市販の3号水ガラスと硫酸を急速に撹拌混合し、SiOとしての濃度12.5質量%を含むシリカヒドロゾルを調製し、このシリカヒドロゾル3800gにカオリン1069g(乾燥基準)、活性アルミナ119g(乾燥基準)、フォージャサイト型ゼオライトa−(1)712.5g(乾燥基準)および比較例1で回収した回収固体微粒子前駆体(1)125g(乾燥基準)および水を加えて固形分濃度30質量%の混合スラリー(2)を調製した。
ついで、実施例1と同様に粉砕・分散処理を行った。
コロイドミル処理した混合スラリー(2)の一部を目開き2μmのマイクロメッシュシーブを用いて濾過し、フルイ上を採取し、120℃で12時間乾燥した後、乾式マイクロメッシュシーブ法にて回収固体微粒子の平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
【0054】
次に、粉砕・分散処理を行った固形分濃度30質量%の混合スラリー(2)を、入口温度250℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(2)を調製した。この時、微小球状粒子(2)の平均粒子径は65μmであった。なお、この時の熱風の出口温度は150℃であった。
以下、比較例1と同様にして流動接触分解触媒(2)を調製した。
得られた流動接触分解触媒(2)について、REの含有量、平均粒子径、および見掛比重(ABD)の測定、耐摩耗性試験、性能試験を実施した。結果を表1に示す。
【0055】
〔実施例3〕
<流動接触分解触媒(3)の調製>
市販の3号水ガラスと硫酸を急速に撹拌混合し、SiOとしての濃度12.5質量%を含むシリカヒドロゾルを調製し、このシリカヒドロゾル3400gにカオリン956g(乾燥基準)、活性アルミナ106g(乾燥基準)、フォージャサイト型ゼオライトa−(1)638g(乾燥基準)および比較例1で回収した回収固体微粒子前駆体(1)375g(乾燥基準)および水を加えて固形分濃度30質量%の混合スラリー(3)を調製した。
ついで、実施例1と同様に粉砕・分散処理を行った。
コロイドミル処理した混合スラリー(3)の一部を目開き2μmのマイクロメッシュシーブを用いて濾過し、フルイ上を採取し、120℃で12時間乾燥した後、乾式マイクロメッシュシーブ法にて回収固体微粒子の平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
次に、粉砕・分散処理を行った固形分濃度30質量%の混合スラリー(3)を、入口温度250℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(3)を調製した。この時、微小球状粒子(3)の平均粒子径は65μmであった。なお、この時の熱風の出口温度は150℃であった。
以下、比較例1と同様にして流動接触分解触媒(3)を調製した。
得られた流動接触分解触媒(3)について、REの含有量、平均粒子径、および見掛比重(ABD)の測定、耐摩耗性試験、性能試験を実施した。結果を表1に示す。
【0056】
〔実施例4〕
<流動接触分解触媒(4)の調製>
比較例1と同様にして回収固体微粒子前駆体(1)を調製し、ついで、水に分散させ、固形分濃度30質量%の回収固体微粒子前駆体(1)分散液を調製した。
ついで、この分散液に対し、コロイドミル(特殊加工(株)製 TK150)にて、ギャップ80μm、主折り速度4L/分の条件で粉砕・分散処理を行った。
コロイドミル処理して得られた回収固体微粒子分散液の一部を目開き2μmのマイクロメッシュシーブを用いて濾過し、フルイ上を採取し、120℃で12時間乾燥した後、乾式マイクロメッシュシーブ法にて平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
【0057】
ついで、市販の3号水ガラスと硫酸を急速に撹拌混合し、SiOとしての濃度12.5質量%を含むシリカヒドロゾルを調製し、このシリカヒドロゾル3600gにカオリン1012.5g(乾燥基準)、活性アルミナ112.5g(乾燥基準)、フォージャサイト型ゼオライトa−(1)675g(乾燥基準)および固形分濃度30質量%の粉砕処理した回収固体微粒子分散液85gおよび水を加えて固形分濃度30質量%の混合スラリー(4)を調製した。
次に、固形分濃度30質量%の混合スラリー(4)を、入口温度250℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(4)を調製した。この時、微小球状粒子(4)の平均粒子径は65μmであった。なお、この時の熱風の出口温度は150℃であった。
以下、比較例1と同様にして流動接触分解触媒(4)を調製した。
得られた流動接触分解触媒(4)について、REの含有量、平均粒子径、および見掛比重(ABD)の測定、耐摩耗性試験、性能試験を実施した。結果を表1に示す。
【0058】
〔実施例5〕
<流動接触分解触媒(5)の調製>
回収固体微粒子前駆体(1)分散液に対して事前の粉砕処理を行わなかった以外は、実施例4と同様にして、固形分濃度30質量%の混合スラリー(4)を調製した。
ついで、混合スラリー(4)に対し、コロイドミル(特殊加工(株)製 TK150)にて、ギャップ80μm、主折り速度4L/分の条件で粉砕・分散処理を行った。
コロイドミル処理を行った混合スラリー(1)の一部を目開き2μmのマイクロメッシュシーブを用いて濾過し、フルイ上を採取し、120℃で12時間乾燥した後、乾式マイクロメッシュシーブ法にて回収固体微粒子の平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
次に、粉砕・分散処理した固形分濃度30質量%の混合スラリー(5)を、入口温度250℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(5)を調製した。この時、微小球状粒子(5)の平均粒子径は65μmであった。なお、この時の熱風の出口温度は150℃であった。
以下、比較例1と同様にして流動接触分解触媒(5)を調製した。
得られた流動接触分解触媒(5)について、REの含有量、平均粒子径、および見掛比重(ABD)の測定、耐摩耗性試験、性能試験を実施した。結果を表1に示す。
【0059】
〔比較例2〕
<流動接触分解触媒(R2)の調製>
市販の3号水ガラスと硫酸を急速に撹拌混合し、SiOとしての濃度12.5質量%を含むシリカヒドロゾルを調製し、このシリカヒドロゾル4000gにカオリン1125g(乾燥基準)、ZSM−5型ゼオライト(東ソー(株)製:SiO/Al=100、平均粒子径0.8μm)875g(乾燥基準)および水を加えて固形分濃度30質量%の混合スラリー(R2)を調製した。
次に、固形分濃度30質量%の混合スラリー(R2)を、入口温度250℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(R2)を調製した。この時、微小球状粒子(R2)の平均粒子径は65μmであった。なお、この時の熱風の出口温度は150℃であった。
なお、熱風の出口に設けたサイクロンにより固体微粒子(2)375gを回収し、回収固体微粒子前駆体(2)とした。回収固体微粒子前駆体(2)の平均粒子径は20μmであった。
次に、得られた微小球状粒子(R2)の乾燥質量2000gに対して5倍量の濃度5質量%の硫酸アンモニウム水溶液を掛け、脱水した後、5倍量の掛水をして洗浄した。
次に、洗浄した微小球状粒子(R2)を乾燥機にて、150℃で2時間乾燥して流動接触分解触媒(R2)を調製した。
得られた流動接触分解触媒(R2)について、平均粒子径、および見掛比重(ABD)の測定、耐摩耗性試験を実施した。結果を表1に示す。
【0060】
〔実施例6〕
<流動接触分解触媒(6)の調製>
市販の3号水ガラスと硫酸を急速に撹拌混合し、SiOとしての濃度12.5質量%を含むシリカヒドロゾルを調製し、このシリカヒドロゾル3600gにカオリン1012.5g(乾燥基準)および比較例2で回収した回収固体微粒子前駆体(2)925g(乾燥基準)および水を加えて固形分濃度30質量%の混合スラリー(6)を調製した。
ついで、混合スラリー(6)に対し、コロイドミル(特殊加工(株)製 TK150)にて、ギャップ80μm、主折り速度4L/分の条件で粉砕・分散処理を行った。
コロイドミル処理した混合スラリー(6)の一部を目開き2μmのマイクロメッシュシーブを用いて濾過し、フルイ上を採取し、120℃で12時間乾燥した後、乾式マイクロメッシュシーブ法にて回収固体微粒子の平均粒子径を測定した。結果を表1に示す。
次に、粉砕・分散処理した固形分濃度30質量%の混合スラリー(6)を、入口温度250℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(6)を調製した。この時、微小球状粒子(6)の平均粒子径は65μmであった。なお、この時の熱風の出口温度は150℃であった。
以下、比較例2と同様にして流動接触分解触媒(6)を調製した。
得られた流動接触分解触媒(6)について、平均粒子径、および見掛比重(ABD)の測定、耐摩耗性試験を実施した。結果を表1に示す。
【0061】
〔比較例3〕
<流動接触分解触媒(R3)の調製>
実施例1と同様にして固形分濃度30質量%の混合スラリー(1)を調製した。
次に、固形分濃度30質量%の混合スラリー(1)を、入口温度250℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(1)を調製した(粉砕処理も分散処理も行わず)。この時、微小球状粒子(1)の平均粒子径は65μmであった。なお、この時の熱風の出口温度は150℃であった。
以下、比較例1と同様にして流動接触分解触媒(R3)を調製した。
得られた流動接触分解触媒(R3)について、REの含有量、平均粒子径、および見掛比重(ABD)の測定、耐摩耗性試験、性能試験を実施した。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
〔評価結果〕
表1の結果より、本発明の製造方法で得られた実施例1〜6の触媒は、所定の回収固体微粒子を用いているため、触媒性能が劣ることもなく耐摩耗性に優れている。一方、比較例1〜3の触媒は、本発明における所定の回収固体微粒子を用いていないので、耐摩耗性に劣る。また、実施例1〜6に係る製造方法は、有用な成分を回収しており、経済性にも優れている。