(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
需要家と電力会社の電力料金算出に用いられる基準時間において前記需要家における負荷機器の積算電力量が所定値を超えると予測されるとき、現在使用中の前記負荷機器の中で、消費電力を低下させる操作の実行後から消費電力が低下するまでの時間が前記基準時間の残り時間未満である負荷機器の選択肢を選択可能に作成し、
前記選択肢における負荷機器の少なくともいずれかを選択する入力を検出する場合前記選択された前記負荷機器の消費電力を低下させる操作の実行により、前記基準時間の終期における積算電力量を前記所定値未満に抑制可能であるか否かを判別し、
前記選択肢から選択した負荷機器の消費電力を低下させる操作の実行が認識された負荷機器の消費電力が低下するまでの時間においては、警告の報知を停止する制御部を備える
ことを特徴とする電力管理装置。
需要家と電力会社の電力料金算出に用いられる基準時間において前記需要家における負荷機器の積算電力量が所定値を超えると予測されるとき、現在使用中の前記負荷機器の中で、消費電力を低下させる操作の実行後から消費電力が低下するまでの時間が前記基準時間の残り時間未満である負荷機器の選択肢のユーザが選択可能な提示、
前記選択肢に提示された負荷機器の少なくともいずれかを選択する入力を検出する場合前記選択された前記負荷機器の消費電力を低下させる操作の実行により、前記基準時間の終期における積算電力量を前記所定値未満に抑制可能であるか否かの判別、および
前記選択肢から選択した負荷機器の消費電力を低下させる操作の実行が認識された負荷機器の消費電力が低下するまでの時間においては、警告の報知の停止を、電力管理装置に実行させる
ことを特徴とする提示プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、負荷機器の一部を停止する場合であっても、極力不自由がないようにすることが望まれる。
【0006】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、消費電力の低減化に最適に貢献する負荷機器を提示する提示方法、電力管理装置、および提示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による提示方法は、 需要家と電力会社の電力料金算出に用いられる基準時間において、前記需要家における負荷機器の積算電力量が所定値を超えるか否かを予測する予測ステップと、
前記予測ステップにおいて前記積算電力量が所定値を超えると予測するときに、現在使用中の前記負荷機器の中で、消費電力を低下させる操作の実行後から消費電力が低下するまでの応答時間が前記基準時間の残り時間未満である負荷機器を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出した負荷機器の選択肢をユーザに選択可能に作成して提示する提示ステップと
、
前記提示ステップにおいて提示された負荷機器の少なくともいずれかを選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択された前記負荷機器の消費電力を低下させる操作の実行により、前記基準時間の終期における積算電力量を前記所定値未満に抑制可能であるか否かを判別する判別ステップと、
前記選択ステップにおいて選択した負荷機器の消費電力を低下させる操作の実行を認識する認識ステップと、
前記認識ステップにおいて消費電力を低下させる操作の実行が認識された負荷機器の消費電力が低下するまでの時間においては、警告の報知を停止する停止ステップと、を備える
ことを特徴とするものである。
【0008】
また、第2の観点による提示方法においては、
前記抽出ステップにおいて抽出される負荷機器は、前記応答時間が、前記予測ステップにおいて予測した前記積算電力量が前記所定値へ到達する時間未満である負荷機器である
ことが好ましい。
【0010】
また、第4の観点による提示方法においては、
前記判別ステップにおいて前記基準時間の終期における積算電力量が前記所定値未満に抑制可能と判別するまで、警告を報知する報知ステップを、さらに備える
ことが好ましい。
【0012】
また、第6の観点による提示方法においては、
前記抽出ステップにおいて、抽出される負荷機器は、前記応答時間が前記所定値への到達する時間から、前記積算電力量の計測から前記選択肢の提示までにかかる余裕時間を減じた実効到達時間未満である負荷機器である
ことが好ましい。
【0013】
また、第7の観点による提示方法においては、
前記抽出ステップにおいては、現在停止中の需要家の発電機器の中で、起動操作の実行後から発電するまでにかかる起動時間が現在の基準時間の残り時間未満である発電機器を抽出し、
前記提示ステップにおいては、前記抽出ステップにおいて抽出した発電機器も提示する
ことが好ましい。
【0014】
また、第8の観点による提示方法においては、
前記所定値は、前記基準時間の終期における使用電力量が閾値を超えるか否かによっ
て電気料金の料金体系が異なる場合における、当該閾値以下に予め設定した目標値である
ことが好ましい。
【0015】
上述したように本発明の解決手段を方法として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する装置、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0016】
例えば、本発明を装置として実現させた、第9の観点による電力管理装置は、
需要家と電力会社の電力料金算出に用いられる基準時間において前記需要家における負荷機器の積算電力量が所定値を超えると予測されるとき、現在使用中の前記負荷機器の中で、消費電力を低下させる操作の実行後から消費電力が低下するまでの時間が前記基準時間の残り時間未満である負荷機器の選択肢をユーザに選択可能に作成
し、
前記選択肢における負荷機器の少なくともいずれかを選択する入力を検出する場合前記選択された前記負荷機器の消費電力を低下させる操作の実行により、前記基準時間の終期における積算電力量を前記所定値未満に抑制可能であるか否かを判別し、
前記選択肢から選択した負荷機器の消費電力を低下させる操作の実行が認識された負荷機器の消費電力が低下するまでの時間においては、警告の報知を停止する制御部を備える
ことを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明をプログラムとして実現させた、第10の観点による選択肢提示プログラムは、
需要家と電力会社の電力料金算出に用いられる基準時間において前記需要家における負荷機器の積算電力量が所定値を超えると予測されるとき、現在使用中の前記負荷機器の中で、消費電力を低下させる操作の実行後から消費電力が低下するまでの時間が前記基準時間の残り時間未満である負荷機器の選択肢のユーザが選択可能な提示
、
前記選択肢に提示された負荷機器の少なくともいずれかを選択する入力を検出する場合前記選択された前記負荷機器の消費電力を低下させる操作の実行により、前記基準時間の終期における積算電力量を前記所定値未満に抑制可能であるか否かの判別、および
前記選択肢から選択した負荷機器の消費電力を低下させる操作の実行が認識された負荷機器の消費電力が低下するまでの時間においては、警告の報知の停止を、電力管理装置に実行させる
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
上記のように構成された本発明に係る提示方法、電力管理装置、および選択肢提示プログラムによれば、消費電力の低減化に最適に貢献する負荷機器を提示することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
まず、本発明の一実施形態に係る選択肢提示方法を実行する電力制御システムについて説明する。
図1は、本実施形態に係る電力制御システムの概略構成を示す通信システム構成図である。
【0022】
図1に示すように、電力制御システム10は、インターネット11、複数の電力管理装置12、複数のユーザ端末13、およびEMS(Energy Management System)サーバ14を有する。
【0023】
インターネット11は、複数の電力管理装置12、複数のユーザ端末13、およびEMSサーバ14を接続し、情報および制御指示などの信号を通信する。なお、LAN(Local Area Network)15が、例えば、複数の店舗それぞれに対して構築され、各LAN15に少なくとも一つの電力管理装置12および少なくとも一つのユーザ端末13が存在する。なお、同一のLAN15内に存在する電力管理装置12とユーザ端末13とが直接、通信することも可能である。
【0024】
電力管理装置12は、例えばEMS Gatewayである。電力管理装置12は、後述するセンサが検出する消費電力などの測定値を、定期的にEMSサーバ14に送信する。また、電力管理装置12は、ポーリングによりEMSサーバ14から、電力管理状況の分析情報、同じLAN15内に存在する負荷機器の制御指示を取得する。電力管理装置12は、EMSサーバ14から受信した分析情報をユーザ端末13に送信する。また、電力管理装置12は、受信した制御指示に基づいて、同じLAN15内に存在する負荷機器を制御する。
【0025】
ユーザ端末13は、例えばPC、タブレット端末、スマートフォンなどでありディスプレイを有し、電力管理装置12から受信する分析情報を表示可能である。また、ユーザ端末13は、同じLAN15内に存在するセンサが測定した測定値および同じLAN15内に存在する負荷機器の運転状態を表示可能である。ユーザ端末13はこれらの情報を表示するときには、EMSサーバ14にHTTPによりデータを取得し、ユーザ端末13のウェブブラウザが測定値表示ページを形成する。また、ユーザ端末13において、同じLAN15内に存在する負荷機器の制御指示を発行する。制御指示の発行はウェブブラウザが構成する機器制御ページ上におけるユーザの操作の検出に基づく。ユーザ端末13は、発行した制御指示をEMSサーバ14に送信する。
【0026】
EMSサーバ14は電力管理装置12から送信される測定値を受信し、記憶する。また、EMSサーバ14は、電力管理装置12から送信される測定値などに基づいて、電力管理状況に関する分析を行い、分析情報を作成する。また、EMSサーバ14は、ユーザ端末13が発行した制御指示を受付ける。また、EMSサーバ14は、各負荷機器の制御指示を作成する。作成した分析情報、受付けた制御指示、または作成した制御指示を、各電力管理装置12がポーリングにより取得する。また、EMSサーバ14では、各LAN15内に存在する負荷機器の応答時間情報およびセンサ情報の登録の受付けおよび更新が可能である。
【0027】
EMSサーバ14は、データコレクタ16、コントローラ17、コントロールキュー18、およびメモリ19を有する。データコレクタ16は、測定値およびセンサの登録情報を収集し、記憶する。データコレクタ16による、これらのデータの収集は定期的であり、記憶されたデータを定期的に更新する。コントローラ17は、多様な目的を達成するように、多様なアルゴリズムで電力管理装置12毎の電力管理状況を分析し、分析情報を作成する。また、コントローラ17は、多様な目的を達成するように、多様なアルゴリズムで各負荷機器の制御指示を作成する。コントロールキュー18は、ユーザ端末13から受付けた制御指示、ならびにコントローラ17が作成した分析情報および制御指示を保管する。メモリ19はコントローラ17が電力管理状況の分析および制御指示を作成するために用いる多様なデータを記憶する。
【0028】
次に、電力管理装置12による測定値の送信および負荷機器の制御について説明する。
図2は、任意のLAN15に存在する機器の機能ブロック図である。
【0029】
任意のLAN15内には、第1のセンサ20、センサ管理部21、第2のセンサ22、第3のセンサ23、負荷機器24、発電機器27、電力管理装置12、およびユーザ端末13が存在する。また、電力管理装置12は、デマンド監視装置25を介して電力計26と接続する。
【0030】
第1のセンサ20は、例えば電流センサ、電力センサ、温度センサ、または照度センサなどの任意のセンサであって、LAN15内に存在する負荷機器24の駆動状態に関する測定値を検出する。
【0031】
センサ管理部21は第1のセンサ20から測定値を検出する。センサ管理部21は例えばZigBee(登録商標)のSEP2.0(Smart Energy Profile 2.0)およびEchonet(登録商標)などの標準のプロトコルによって電力管理装置12と通信する。
【0032】
第2のセンサ22は、例えば電流センサ、電力センサ、温度センサ、または照度センサなどの任意のセンサであって、LAN15内に存在する負荷機器24の駆動状態に関する測定値を検出する。また、第1のセンサ20と異なり、第2のセンサ22は独自のプロトコルによって電力管理装置12と通信する。
【0033】
第3のセンサ23は、例えば電流センサ、電力センサ、温度センサ、または照度センサなどの任意のセンサであって、LAN15内に存在する負荷機器24の駆動状態に関する測定値を検出する。また、第1のセンサ20および第2のセンサ22と異なり、第3のセンサ23は、例えばSEP2.0およびEchonet(登録商標)、あるいはECHONET Liteなどの標準のプロトコルによって電力管理装置12と直接通信を行う。
【0034】
負荷機器24は、例えばPC、エアコン、灯具、冷蔵庫などの電力に基づいて駆動する機器である。負荷機器24は、温度調整、照度調整、および電源のON/OFFなどの運転状態の調整が可能であり、これらの調整により負荷機器24の消費電力が変動する。負荷機器24は、Echonetなどの標準のプロトコルによって電力管理装置12と通信する。
【0035】
発電機器27は、例えばガス、ガソリン、軽油などの燃料を用いた発電機、燃料電池などであって、LAN15内の負荷機器24に電力を供給する。発電機器26が発電をするときに、商用系統から供給を受ける電力、すなわちデマンド電力を低減化可能である。発電機器27は、Echonetなどの標準のプロトコルによって電力管理装置12と通信する。
【0036】
前述のように、電力管理装置12はセンサ管理部21、第2のセンサ22、および第3のセンサ23と通信可能であり、第1のセンサ20、第2のセンサ22、および第3のセンサ23の測定値を、定期的にインターネット11を介してEMSサーバ14に送信する。また、前述のように、電力管理装置12はポーリングによりEMSサーバ14から、同じLAN15に存在する負荷機器24の電力管理状況の分析情報および負荷機器24の制御指示を取得する。電力管理装置12は、分析情報をユーザ端末13に表示させ、また制御指示に基づいて負荷機器24の運転状態を制御する。
【0037】
さらに、電力管理装置12は、デマンド監視装置25の出力からデマンド時限(基準時間)の始期を認識する。デマンド時限とは、店舗などを運営する事業者(需要家)および電力会社の契約電力の取決めに用いられる基準時間である。例えばデマンド時限が30分で契約電力が300kWである場合に、事業者は各デマンド時限において平均して300kWの電力の消費が許容される。すなわち、デマンド時限の終期における積算電力量が150kWhまで許容されることとなる。そして、各デマンド時限において一度でも積算電力量が150kWhを超過すると、一段高い電気料金体系が適用されることとなる。また、電力管理装置12は、デマンド監視装置25の出力から現時点のデマンド時限における店舗における全負荷機器24のデマンド電力の現在値を取得する。
【0038】
前述のように、ユーザ端末13は、同じLAN15内に存在する負荷機器24の電力管理状況に関する分析情報を表示する。また、前述のように、ユーザ端末13は、同じLAN15内に存在する第1のセンサ20、第2のセンサ22、および第3のセンサ23の測定値を表示し、各負荷機器24の運転状態を表示する。また、前述のように、ユーザ端末13において、各負荷機器24の直接的な制御指示、例えば温度そのものの設定、照度そのものの設定の指示が可能である。
【0039】
デマンド監視装置25は、電力計26が出力するパルスを読出し、電力管理装置12に出力する。
【0040】
電力計26は、デマンド時限における店舗毎の消費電力の積算値である積算電力量を測定する。電力計26は、デマンド時限の始期に積算電力量をリセットし、デマンド時限の始期から現在までの積算電力量を測定する。
【0041】
以上のような構成において、EMSサーバ14が、電力管理状況に関する分析情報として、手動で消費電力を低減化させる操作をすべき負荷機器24および/または起動させるべき発電機器27の選択肢を作成すること、および電力管理装置12が、受信した選択肢に基づいて選択肢を提示することについて説明する。
【0042】
コントローラ17は、デマンド時限の始期からの経過時間、および任意の電力管理装置12が制御する負荷機器24の積算電力量の現在値に基づいて、デマンド時限の終期における積算電力量の予測値を算出する。
【0043】
なお、予測値の算出には、多様なアルゴリズムを適用可能である。単に、積算電力量の現在値から、デマンド時限の始期から現在までの積算電力量の増加速度で、残り時間で線形に増加させた値を予測値としてもよい。または、過去の履歴などから統計的に算出してもよい。
【0044】
コントローラ17は、予測値が目標値を超えるときに、消費電力を抑制させるべき負荷機器24および起動させるべき発電機器26の選択肢を作成する。なお、目標値とは、店舗毎、すなわち電力管理装置12毎にユーザにより設定される値であって、例えば、契約電力とデマンド時限の積に相当する電力量が目標値に設定され得る。すなわち、先の例のように、デマンド時限が30分で契約電力が300kWである場合に、デマンド時限の終期において許容される積算電力量(すなわち閾値)が150kWhとなるためには、これより低い電力量を目標値として設定することになる。
【0045】
予測値の算出および目標値との比較は、デマンド時限における特定の時期、例えばデマンド時限の始期から5分の周期で実行される。なお、予測値の算出および目標値との比較はデマンド時限のこれらの時期に限定されず、また回数も限定されない。さらには、ユーザ端末13への操作によって実行時期を入力することも可能である。
【0046】
コントローラ17は、選択肢の作成において、負荷機器24の応答時間および発電機器26の起動時間を用いる。応答時間とは、負荷機器24への操作から消費電力が低下するまでにかかる時間であって、負荷機器24の種類および行う操作に応じて、異なる。例えば、負荷機器24が灯具である場合に、電源のOFFおよび照度の設定変更においては、操作直後に消費電力が低下する。それゆえ、灯具においては応答時間が比較的短い。一方、負荷機器24としてのエアコンの電源OFFへの設定変更においては、冷暖房運転の効率化のために、電源OFF直後にコンプレッサが停止するが、その後の暫くの間は室内のファンが回転する。したがって、エアコンの電源OFFの設定変更においては、応答時間が比較的長い。また、応答時間には操作そのものにかかる時間も含まれ、操作そのものにかかる時間は負荷機器24の設置場所などに応じて、異なる。例えば、操作場所(負荷機器24または操作スイッチの設置場所)がユーザ端末13から離れるほど、操作そのものにかかる時間が長くなり、応答時間も長くなる。また、起動時間とは、発電機器26の操作から発電電力が定格電力に到達するまでにかかる時間であって、発電機器26の種類に応じて異なる。例えば、発電機器26が燃料を用いた発電機の場合には起動時間は1分程度であり、比較的短い。一方、発電機器26が燃料電池である場合には、起動時間は数時間程度であり、比較的長い。また、応答時間と同様に、起動時間にも操作そのものにかかる時間が含まれる。
【0047】
選択肢の作成のために、コントローラ17は、現在からデマンド時限の終期までの残り時間を算出する。次に、コントローラ17は、残り時間から余裕時間を減じた実効残り時間を算出する。余裕時間とは、第1のセンサ20、第2のセンサ22、第3のセンサ23、および電力計が測定値を出力し、電力管理装置12がEMSサーバ14に送信し、EMSサーバ14が選択肢を作成し、選択肢を読みに来た電力管理装置12に選択肢を提示するまでにかかる時間であって、例えば3分である。次に、コントローラ17は、現在使用中の負荷機器24の中で、応答時間が実効残り時間より短い負荷機器24を抽出する。同様に、コントローラ17は、現在停止中の発電機器27の中で、起動時間が実効残り時間より短い発電機器27を抽出する。
【0048】
また、コントローラ17は、現在のデマンド時限において積算電力量が目標値に到達するまでにかかる到達時間を算出する。次に、コントローラ17は到達時間から余裕時間を減じた実効到達時間を算出する。次に、コントローラ17は、現在使用中の負荷機器24の中で、応答時間が実効到達時間より短い負荷機器24を抽出する。同様に、コントローラ17は、現在停止中の発電機器27の中で、起動時間が実効到達時間より短い発電機器27を抽出する。
【0049】
コントローラ17は、抽出した負荷機器24および抽出した発電機器27の選択肢を作成する。作成される選択肢は、例えば、表1のように示され、実効残り時間までに消費電力を低下可能な負荷機器24および発電可能な発電機器27であって、各負荷機器24がさらに実効到達時間までに消費電力を低下可能であるか否かと、消費電力および発電電力との情報を含む。表1における消費電力は負荷機器24の標準的な消費電力であって、負荷機器24の電源をOFFに切替えることにより標準的に削減され得る消費電力である。また、表1における発電電力は発電機器27の標準的な発電電力であって、発電機器26の起動により標準的に供給されえる発電電力である。すなわち、表1では、電源のOFFによる削減可能電力および起動による供給可能電力を示しているが、エアコンの温度調整などのように設定変更に対応する単位時間当たりの消費電力などの情報を含んでいてもよい。また、選択肢は、LAN15毎に設定される負荷機器24の優先順位を含んでいてもよい。コントローラ17は、作成した選択肢を分析情報として、コントロールキュー18に保管する。
【0051】
EMSサーバ14のメモリ19は、負荷機器24の設定変更の種類毎の応答時間および発電機器27の起動時間と、設定変更による消費電力または発電電力とを、負荷機器24毎且つ設定変更の種類毎に記憶する。コントローラ17は、上述の選択肢の作成のために、メモリ19から応答時間、消費電力または発電電力、ならびに例えば優先順位などの情報を読出す。
【0052】
ユーザ端末13は分析情報として選択肢をEMSサーバ14から取得すると、例えば、
図3に示すように、ユーザに提示する警告画面28を作成する。警告画面28は、警告欄29、選択肢の表30、目標値への削減可否の判別欄31、および操作実行ボタン32を含む。
【0053】
警告欄29は、現在のデマンド時限において目標値を超過する見込みである旨の警告を報知する。
【0054】
選択肢の表30は、目標値超過を防ぐために消費電力低減のための操作が推奨される負荷機器24または起動が推奨される発電機器27を報知する(“残り時間までに低下”の欄参照)。また、選択肢の表30は、選択肢として挙げられた負荷機器24または発電機器27が、目標値への実効到達時間までに消費電力を低下可能であるか否かも報知する(“到達時間までに低下”の欄参照)。選択肢の表30において、負荷機器24毎に定められる優先順位が表示されていてもよい。優先順位を示す番号、または負荷機器24の表示が優先順位に応じさせることにより、優先順位を表示させてもよい。
【0055】
また、選択肢の表30は、選択肢として挙げられた負荷機器24毎に消費電力低下のための操作をするか否か、および選択肢として挙げられた発電機器27毎に起動操作をするか否かを選択する選択チェックボックス33を含む。店舗等の電力管理者が任意の負荷機器24または発電機器27の選択チェックボックス33をチェックするとき、電力管理装置12は当該選択された機器の操作により、現在のデマンド時限において積算電力量を目標値未満に抑制可能であるか否かを判別する。電力管理装置12は、抑制可能であるかの判別に、選択された負荷機器24の応答時間または発電機器27の起動時間、ならびに負荷機器24の消費電力または発電機器27の発電電力を用いる。
【0056】
目標値への削減可否の判別欄31は、選択チェックボックス33においてチェックした負荷機器24または発電機器27への操作により、現在のデマンド時限の終期における積算電力量を目標値未満に抑制可能であるか否かを表示する。負荷機器24および発電機器27が未選択であるとき、および選択した負荷機器24および発電機器27だけでは積算電力量を目標値未満に抑制不可であるときには、判別欄31には“不可”のメッセージが表示される。一方、選択した負荷機器24および発電機器27によって積算電力量を目標値未満に抑制可能であるときには、判別欄31には“可”のメッセージが表示される(
図4参照)。なお、電力管理装置12は、少なくとも積算電力量を目標値未満に抑制可能であると判別するときまで、警告欄29を表示させることにより、警告を報知する。
【0057】
操作実行ボタン32には、ユーザ端末13におけるマウスなどのポインティングデバイスを用いて押下する入力が可能である。操作実行ボタン32が入力を検出すると、電力管理装置12は、選択チェックボックス33において選択した負荷機器24または発電機器27への消費電力を低下させる操作または起動する操作の実行を認識する。
【0058】
電力管理装置12は、操作実行ボタン32における入力を検出すると、警告の報知を停止する。電力管理装置12は、警告の報知を停止すると、EMSサーバ14から分析情報を取得しても停止を解除するまで、警告欄29の表示を停止する。電力管理装置12は、入力の検出後から選択した全負荷機器24の応答時間または選択した全発電機器27の起動時間が経過するとき、停止を解除する。
【0059】
また、電力管理装置12は、第1のセンサ20、第2のセンサ22、および第3のセンサ23の測定値を取得する。電力管理装置12は、測定値に基づいて、操作実行ボタン32における入力の検出後から、選択された負荷機器24の消費電力が実際に低下するまでの時間を算出する。または、電力管理装置12は、測定値に基づいて、操作実行ボタン32における入力の検出後から、選択された発電機器27が発電を開始するまでの時間を算出する。
【0060】
電力管理装置12は、算出した時間を、定期的にインターネット11を解してEMSサーバ14に送信する。EMSサーバ14は、取得した時間を用いて、メモリ19に記憶した応答時間または起動時間を更新する。したがって、電力管理者が操作をする負荷機器24および発電機器27を決定するときに操作実行ボタン32を押下することにより、操作そのものにかかる時間も含む実際の応答時間または起動時間に更新可能である。
【0061】
次に、本実施形態においてコントローラ17が実行する、選択肢作成処理について、
図5のフローチャートを用いて説明する。コントローラ17は、例えば、EMSサーバ14が電力管理装置12から積算電力量の現在値を取得するたびに、または周期的に選択肢作成処理を開始する。
【0062】
ステップS100において、コントローラ17は、積算電力量の現在値、すなわち電力管理装置12から最近に取得した積算電力量をデータコレクタ16から取得する。現在値を取得すると、プロセスはステップS101に進む。
【0063】
ステップS101では、コントローラ17は、ステップS100において取得した積算電力量の現在値から、デマンド時限の終期における積算電力量の予測値を算出する(予測ステップ)。予測値を算出すると、プロセスはステップS102に進む。
【0064】
ステップS102では、コントローラ17は、ステップS101において算出した予測値が目標値を超えているか否かを判別する。予測値が目標値を超えているときには、プロセスはステップS103に進む。予測値が目標値以下であるときには、デマンド電力の低減化処理を終了する。
【0065】
ステップS103では、コントローラ17は、現在からデマンド時限の終期までの残り時間を算出し、余裕時間を減じることにより実効残り時間を算出する。また、コントローラ17は、現在のデマンド時限において積算電力量が目標値に到達するまでにかかる到達時間を算出し、余裕時間を減じることにより実効到達時間を算出する。実効残り時間および実効到達時間を読出すと、プロセスはステップS104に進む。
【0066】
ステップS104では、コントローラ17は、現在使用中の負荷機器24の応答時間および発電機器26の起動時間をメモリ19から読出す。さらに、コントローラ17は、ステップS103で算出した実効残り時間より応答時間が短い負荷機器24および起動時間が短い発電機器26を抽出する(抽出ステップ)。また、コントローラ17は、ステップS103で算出した実効到達時間より応答時間が短い負荷機器24および起動時間が短い発電機器26を抽出する。負荷機器24および発電機器26を抽出すると、プロセスはステップS105に進む。
【0067】
ステップS105では、コントローラ17は、ステップS105において実行残り時間より応答時間が短い負荷機器24および起動時間が短い発電機器26の優先順位をメモリ19から読出す。優先順位を読出すと、プロセスはステップS106に進む。
【0068】
ステップS106では、コントローラ17は、ステップS104において抽出した負荷機器24および発電機器26、ならびにステップS105において読出した優先順位を用いて選択肢を作成する。コントローラ17は、作成した選択肢を分析情報としてコントロールキュー18に保管する。分析情報を保管すると、選択肢作成処理を終了する。
【0069】
次に、本実施形態において電力管理装置12が実行する、警告画面制御処理について、
図6、7のフローチャートを用いて説明する。電力管理装置12は、EMSサーバ14からポーリングにより分析情報を取得するときに、警告画面制御処理を開始する。
【0070】
ステップS200において、電力管理装置12は、警告報知の停止期間中であるか否かを判別する。停止期間中であるときには、警告画面制御処理を終了する(
図7参照)。停止期間を経過しているときには、プロセスはステップS201に進む。
【0071】
ステップS201では、電力管理装置12は、取得した分析情報をユーザ端末13に送信し、ユーザ端末13に警告画面28(
図3、4参照)を表示させる(提示ステップ、報知ステップ)。分析情報をユーザ端末13に送信すると、プロセスはステップS202に進む。
【0072】
ステップS202では、電力管理装置12は、ユーザ端末13において選択チェックボックス33への入力が検出されているか否かを判別する(選択ステップ)。入力が検出されていないときには、プロセスはステップS203、S204をスキップして、ステップS205に進む。入力が検出されているときには、プロセスはステップS203に進む。
【0073】
ステップS203では、電力管理装置12は、選択チェックボックス33を用いて選択された負荷機器24および発電機器27への操作により、到達時間内に積算電力量の予測値を目標値未満に抑制可能であるか否かを判別する(判別ステップ)。抑制不可能と判別するときには、プロセスはステップS204をスキップして、ステップS205に進む。抑制可能と判別するときには、ステップS204に進む。
【0074】
ステップS204では、電力管理装置12は、ユーザ端末13に表示される目標値への削減可否の判別欄31に抑制可能であることを明示させる指示を、ユーザ端末13に送信する。当該指示を送信すると、プロセスはステップS205に進む。
【0075】
ステップS205では、電力管理装置12は、ユーザ端末13において操作実行ボタン32への押下の入力が検出されている否かを判別する(認識ステップ)。入力が検出されていないときには、プロセスはステップS202に戻る。入力が検出されているときには、プロセスはステップS206に進む。
【0076】
ステップS206では、電力管理装置12は、選択チェックボックス33を用いて選択された全負荷機器24の応答時間および全発電機器26の起動時間の中で最も長い時間を、警告報知の停止期間に決定する。停止期間を決定すると、プロセスはステップS207に進む(
図7参照)。
【0077】
ステップS207では、電力管理装置12は、ユーザ端末13に警告の報知を停止する指示を送信する(停止ステップ)。警告停止の指示を送信すると、プロセスはステップ208に進む。
【0078】
ステップS208では、電力管理装置12は、第1のセンサ20、第2のセンサ22、および第3のセンサ23の測定した、負荷機器24の消費電力および発電機器27の発電電力の測定値を取得する。測定値を取得すると、プロセスはステップ209に進む。
【0079】
ステップS209では、電力管理装置12は、ステップS202において選択された負荷機器24および発電機器26の測定値に変化が生じているか否かを判別する。測定値の変化が生じているか否かは、例えば前回の測定値から今回の測定値の差を閾値と比較することにより判別可能である。測定値に変化が生じていないときには、プロセスはステップS210をスキップして、ステップS211に進む。測定値に変化が生じているときには、プロセスはステップS210に進む。
【0080】
ステップS210では、電力管理装置12は、警告停止の開始時期から現在までの時間を、ステップS209において測定値に変化が生じていた負荷機器24および発電機器27の応答時間および起動時間として算出する。応答時間などを算出すると、プロセスはステップS211に進む。
【0081】
ステップS211では、電力管理装置12は、ステップS202において選択された全負荷機器24および全発電機器27に対して、ステップS210における応答時間などの算出が完了しているか否かを判別する。一部の負荷機器24または一部の発電機器27に対して算出が完了していないときには、プロセスはステップS208に戻る。全負荷機器24および全発電機器27に対して算出が完了しているときには、プロセスはステップ212に進む。
【0082】
ステップS212では、電力管理装置12は、ステップS202において選択された全負荷機器24および全発電機器27の応答時間および起動時間をEMSサーバ14に送信する。応答時間などをEMSサーバ14に送信すると、警告画面制御処理を終了する。
【0083】
以上のような構成の本実施形態の提示方法によれば、応答時間が残り時間未満である負荷機器24を抽出するので、現在のデマンド時限の終期までに積算電力量の増加を抑制可能な負荷機器24を提示可能である。それゆえ、現在のデマンド時限の終期までに積算電力量を低減化できない負荷機器24を、店舗などにおける電力管理者が認知可能である。
【0084】
また、本実施形態の提示方法によれば、応答時間が到達時間未満である負荷機器24を抽出するので、現在のデマンド時限において積算電力量が目標値を超える前に積算電力量の増加を抑制可能である。それゆえ、現在のデマンド時限において積算電力量を目標値未満に抑制し得る負荷機器24を、店舗などにおける電力管理者が認知可能である。
【0085】
また、本実施形態の提示方法によれば、店舗などにおける電力管理者が選択した負荷機器24の消費電力低減化の操作により、現在のデマンド時限の終期において積算電力量が目標値未満に抑制可能であるかどうかを判別可能である。したがって、操作すべき負荷機器24の決定に有益な情報を、電力管理者が認知可能である。
【0086】
また、本実施形態の提示方法によれば、現在のデマンド時限の終期における積算電力量が目標値未満への到達の可否の判別において、到達可能と判別するまで警告を報知可能である。したがって、積算電力量を目標値未満に抑制可能と見込めるまで、店舗などにおける電力管理者に、注意を喚起可能である。
【0087】
また、本実施形態の提示方法によれば、操作実行ボタン32の押下の検出後、負荷機器24の応答時間が経過するまでは、警告の報知が停止される。したがって、積算電力量の増加が抑制されるまでの待機時間中の、不必要な警告が報知されないので、店舗などの電力管理者に不快感を与えることを抑制可能である。
【0088】
また、本実施形態の提示方法によれば、応答時間および起動時間との比較に用いる実効残り時間および実効到達時間は、消費電力の計測から選択肢の提示までにかかる余裕時間が減じられる。したがって、ネットワークなどを介して、負荷機器24の選択肢の作成をする場合などにおいて、その伝達などにかかる時間の影響も選択肢の作成に含めることが可能となる。
【0089】
また、本実施形態の提示方法によれば、起動時間が残り時間未満である発電機器26を抽出するので、現在のデマンド時限の終期までに積算電力量を低減化可能である。それゆえ、現在のデマンド時限において積算電力量を低減化できない発電機器26を、店舗などにおける電力管理者が認知可能である。
【0090】
本発明を諸図面や実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0091】
例えば、本実施形態においてEMSサーバ14が選択肢を作成する構成であるが、電力管理装置12が選択肢を作成する構成であってもよい。また、通常の電力管理装置12に選択肢提示プログラムをインストールし、選択肢を作成する構成であってもよい。