特許第6239879号(P6239879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239879
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】液晶ディスプレイ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   G02F1/1335
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-140499(P2013-140499)
(22)【出願日】2013年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-63136(P2014-63136A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2016年7月1日
(31)【優先権主張番号】201210351045.4
(32)【優先日】2012年9月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】秦 ▲廣▼奎
【審査官】 横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−181744(JP,A)
【文献】 特開2010−085645(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/124441(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/110432(WO,A1)
【文献】 特開昭63−095489(JP,A)
【文献】 特開平09−179107(JP,A)
【文献】 中国特許第101939693(CN,B)
【文献】 特開2007−171539(JP,A)
【文献】 特開2008−089728(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/023484(WO,A1)
【文献】 特開2006−309166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335,1/13363
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するカラーフィルタ基板およびアレイ基板、前記カラーフィルタ基板と前記アレイ基板との間に設けられる液晶材料を有する液晶セルと、
前記液晶セルの入光側である下面に設けられる下偏光シートと、
前記液晶セルの出光側である上面に設けられる上偏光シートと、
遮光バーを有し、且つ前記上偏光シートの出光側である上方に設けられる遮光パターン層と、
前記遮光パターン層の出光側である上方に設けられる散乱膜と、を備え、
前記カラーフィルタ基板上に、ブラックマトリックス及びカラーフィルタが形成され、前記アレイ基板上に、ゲートライン、データライン及び薄膜トランジスタが形成され
前記遮光バー(141、142)の間の領域は、真空状態とされていることを特徴とする液晶ディスプレイ。
【請求項2】
前記遮光バーの位置は、前記液晶セルの画素の透光しない領域に対応することを特徴とする請求項1に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項3】
前記遮光バーの位置は、前記液晶ディスプレイのブラックマトリックスが形成された領域に対応することを特徴とする請求項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項4】
前記遮光バーの位置は、前記液晶セルのゲートライン及びデータラインが位置する領域に対応することを特徴とする請求項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項5】
前記遮光パターン層の遮光バーは密閉領域を形成することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項6】
該密閉領域は矩形、円形、楕円形または六角形であることを特徴とする請求項に記載の液晶ディスプレイ。
【請求項7】
液晶ディスプレイの製造方法であって、
液晶セルを形成する工程と、
前記液晶セルの上面及び下面のそれぞれに上偏光シート及び下偏光シートを貼り付ける工程と、
前記上偏光シート上に遮光薄膜を形成する工程と、
前記遮光薄膜のパターニング工程によって遮光バーを有する遮光パターン層を形成する工程と、
前記遮光パターン層が形成された液晶ディスプレイに散乱膜を設ける工程と、
を備え
前記遮光バー(141、142)の間の領域は、真空状態とされていることを特徴とする液晶ディスプレイの製造方法。
【請求項8】
前記パターニング工程によって遮光パターン層を形成する工程は、
フォトレジストを前記遮光薄膜の表面に貼り付ける工程と、
露光・現像工程によって遮光パターン層の遮光バーに対応するフォトレジストを保留する工程と、
前記フォトレジストに保護されない部分の前記遮光薄膜を除去し、前記遮光パターン層の遮光バーを形成する工程と、
残りのフォトレジストを除去する工程と、
を備えることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記遮光バーの位置は、前記液晶ディスプレイの画素の透光しない領域に対応することを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記遮光バーの位置は、前記液晶セルのブラックマトリックスが形成された領域に対応することを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記遮光バーの位置は、前記液晶セルのゲートライン及びデータラインが位置する領域に対応することを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
暗状態での液晶ディスプレイの非軸方向からの漏光が酷いことは、液晶ディスプレイの視野角がよくなくなる主な原因の1つである。目下、液晶ディスプレイの広い視野角を実現する方式として、液晶ディスプレイの上面に設けられた異方性の補償膜によって暗状態の漏光を補償する方式や、例えば、FFS(Fringe Field Switching、フリンジ場スイッチング)型表示装置、IPS(In Plane Switch、面内切り替え)型表示装置のように、平面電場技術によって液晶を駆動する方式がある。然し、超広視野角を実現するために、このようなディスプレイの上面に補償膜を追加する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、補償膜によって広い視野角を実現する方式は、補償効果が制約され、例えば、暗状態での漏光に対する補償効果が好ましくない。
【0004】
本発明は、暗状態での液晶ディスプレイの非軸方向からの漏光を低減することができる液晶ディスプレイ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、互いに対向するカラーフィルタ基板およびアレイ基板、前記カラーフィルタ基板と前記アレイ基板との間に設けられる液晶材料を有する液晶セルと、前記液晶セルの入光側である下面に設けられる下偏光シートと、前記液晶セルの出光側である上面に設けられる上偏光シートと、遮光バーを有し、且つ前記上偏光シートの出光側である上方に設けられる遮光パターン層と、を備え、前記カラーフィルタ基板上に、ブラックマトリックス及びカラーフィルタが形成されており、前記アレイ基板上に、ゲートライン、データライン及び薄膜トランジスタが形成されている液晶ディスプレイを提供する。
【0006】
前記遮光バーの位置は、前記液晶ディスプレイの画素の透光しない領域に対応してもよい。
【0007】
前記液晶ディスプレイは、前記遮光パターン層の上方に設けられる散乱膜をさらに備えてもよい。
【0008】
前記液晶ディスプレイは、透明層をさらに備えてもよい。前記透明層は、前記遮光バー及び上記遮光バー間の領域を被覆し、或いは、前記遮光バー間の領域のみを充填する。
【0009】
前記透明層は散乱作用を有してもよい。
【0010】
前記透明層に散乱粒子が入り混じってもよい。
【0011】
前記透明層の上面に凹凸構造を有してもよい。
【0012】
本発明は、液晶セルを製造する工程と、前記液晶セルの上面及び下面のそれぞれに上偏光シート及び下偏光シートを貼り付ける工程と、前記上偏光シート上に遮光薄膜を形成する工程と、前記遮光薄膜のパターニング工程によって遮光バーを有する遮光パターン層を形成する工程とを備える液晶ディスプレイの製造方法を提供する。
【0013】
以下、本発明の実施例の技術案又は従来技術の技術案をさらに明確に説明するため、実施例または従来技術に係る図面を簡単に説明する。なお、以下の図面は本発明の実施例に関するものに過ぎず、当業者にとって、創造的労働をしない前提で、これらの図面に基づき他の図面をさらに得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係る液晶ディスプレイの構造の概略図である。
図2】本発明の実施例に係る遮光パターン層の構造の概略図である。
図3】本発明の実施例に係る他の液晶ディスプレイの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例の目的、技術案及び利点をさらに明確にするように、図面を参照しながら、本発明の実施例の技術案を明確で完全に説明する。下記の実施例は、当然ながら、本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的労働をしない前提で得られる全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に入る。
【0016】
なお、本発明の全ての実施例では、「上」、「下」は、バックライトの光の進行方向によって定義されるのであり、バックライトの光が先に通るのは「下」であり、次いで通るのは「上」である。例えば、上記液晶ディスプレイでは、バックライトは先に下偏光シートを通り、次いで、上偏光シートを通って射出する。例えば、液晶ディスプレイは、セル化されたカラーフィルタ基板及びアレイ基板と、両基板の間に設けられる液晶層とを備える。これによって、上偏光シートは、カラーフィルタ基板の上面、即ち、カラーフィルタ基板の、アレイ基板と対向しない表面に貼り付けられる偏光シートであり、下偏光シートは、アレイ基板の下面、即ち、アレイ基板の、カラーフィルタ基板と対向しない表面に貼り付けられる偏光シートである。
【0017】
液晶ディスプレイの視野角がよくないのは、主に、暗状態の場合、非軸方向から見るときの漏光が酷いからである。非軸方向に関して説明するために、まず、軸方向を説明する。軸方向とは、表示パネルの法線方向である。従って、非軸方向とは、非法線方向である。
【0018】
暗状態の場合、非軸方向から見る時の漏光を生じる主な原因は、液晶ディスプレイの上下偏光シートの偏光方向が垂直であると、非軸方向から見るときの上下偏光シートの偏光方向が垂直ではなくなり、かつ液晶の光軸方向も一定に偏向するため、下偏光シートから入る光線は、液晶セルを透過した後偏光状態が変化し、上偏光シートに完全に吸収されることができなくなり、漏光が生じられてしまう。
【0019】
暗状態での液晶ディスプレイの非軸方向からの漏光を低減させるために、図1に示すように、本発明の実施例は、液晶セル11と、上記液晶セルの下面、即ち、入光側に設けられる下偏光シート13と、上記液晶セルの上面、即ち、出光側に設けられる上偏光シート12とを備え、さらに、上記上偏光シートの上方、即ち、出光側に設けられ遮光バーを備える遮光パターン層14を備える液晶ディスプレイを提供する。なお、遮光バーはいずれの形状であってもよい。
【0020】
また、本発明の実施例に係る液晶セルは、上方にブラックマトリックス及びカラーフィルタが形成されるカラーフィルタ基板と、カラーフィルタ基板と対向し、上方に薄膜トランジスタ、ゲートライン、データライン及び画素電極等が形成されるアレイ基板と、カラーフィルタ基板とアレイ基板との間に挟まれる液晶材料と、を備える。本発明の実施例の液晶セルは、その具体的構造として、実際の液晶ディスプレイのタイプによって通常の構造を採用してもよいので、ここで説明を省略する。
【0021】
上記遮光パターン層の材料は、ブラックマトリックスと同じ材料、例えば、ブラック樹脂であってもよいが、他のいずれの不透明な材料であってもよい。
【0022】
本発明の実施例に係る液晶ディスプレイは、液晶ディスプレイの上面上、即ち、出光側に遮光パターン層を設けて、上記遮光パターン層によって遮光バーへの非軸方向の光線を吸収するが、軸方向の光線を直接に通過させることで、暗状態での液晶ディスプレイの非軸方向からの漏光を低減することができる。
【0023】
いずれの非軸方向における漏光を極力吸収できるように、上記遮光バーにより複数の密閉領域を形成してもよい。該密閉領域の形状は、例えば、矩形、円形、楕円形、六角形等のいずれの密閉形状であってもよい。
【0024】
例えば、図2に示すように、上記遮光パターン層14は、複数の平行に配列する第1の遮光バー141及び複数の平行に配列する第2の遮光バー142を備え、上記第1の遮光バー及び上記第2の遮光バーは、上記液晶ディスプレイにおけるゲートライン及びデータラインにそれぞれ平行する。一般的に、液晶ディスプレイにおいて、ゲートライン及びデータラインが互いに垂直であると、遮光パターン層14に含まれる上記第1の遮光バー141及び上記第2の遮光バー142も、図2に示すように互いに垂直であって、複数の矩形である密閉領域を形成する。
【0025】
さらに、遮光バーの分布について説明すると、遮光バーの位置は、上記液晶ディスプレイの画素の透光しない領域に対応する。具体的に、遮光バーは、画素の一部の透光しない領域のみに対応してもよいが、画素の全部の透光しない領域に対応してもよい。
【0026】
例えば、遮光バーに対応する画素領域における透光しない領域は、ゲートライン及びデータラインが位置する領域であってもよい。上記遮光バーと、ゲートライン及びデータラインとの位置関係は、図2に示すように、上記遮光パターン層における第1の遮光バー141及び第2の遮光バー142の位置が、上記液晶ディスプレイにおけるゲートライン及びデータラインの位置にそれぞれ正対するようなものである。なお、「正対する」とは、俯瞰視する時、各第1の遮光バーが1つのゲートライン(またはデータライン)を設ける領域内にあり、且つ各第2の遮光バーが1つのデータライン(またはゲートライン)を設ける領域内にあることを意味する。これによって、遮光バーが液晶ディスプレイの画素の透過領域を占めないとともに、液晶ディスプレイの非軸方向からの光線を吸収することができる。
【0027】
さらに、図2に示すように、上記遮光パターン層における第1の遮光バー及び第2の遮光バーの位置は、上記液晶ディスプレイにおけるゲートライン及びデータラインの位置に1つずつ対応する。なお、上記した遮光バーと、ゲートライン及びデータラインとの位置関係に加え、「1つずつ対応する」とは、第1の遮光バーの数がゲートライン(またはデータライン)の数と等しく、且つ俯瞰視する時、第2の遮光バーの数がデータライン(またはゲートライン)の数と等しく、且つ各第1の遮光バーがそれに対応する1つのゲートライン(またはデータライン)の領域内に設けられ、且つ各第2の遮光バーがそれに対応する1つのデータライン(またはゲートライン)の領域に設けられることを意味する。
【0028】
例えば、遮光バーに対応する画素領域における透光しない領域は、ブラックマトリックスが設けられる領域であり、上記遮光パターン層の遮光バーは、いずれもブラックマトリックスを有する領域に対応し、遮光バーは、一部のブラックマトリックス領域のみに対応してもよいし、全部のブラックマトリックス領域に対応してもよい。遮光バーが全部のブラックマトリックス領域に対応する場合、遮光パターン層のパターンは、液晶ディスプレイのカラーフィルタ基板上に設けられるブラックマトリックスのパターンと一致する。これによって、ブラックマトリックスのパターンの製造に用いられるマスクによって、遮光パターン層を製造することができ、表示装置を製造する場合に必要なマスクの数が低下される。
【0029】
液晶ディスプレイの視野角を一層広くさせるために、図3に示すように、上記遮光パターン層14が形成された液晶ディスプレイに加え、上記遮光パターン層14の上方に設けられた散乱膜15をさらに備える。
【0030】
該散乱膜が上記遮光パターン層14に直接に貼り付けてもよい。この場合、上記遮光バーの間の領域内に、何も充填しなくてもよいし(真空)、空気を充填してもよい。
【0031】
さらに、本発明の実施例では、遮光パターン層の構造を安定して保護するために、該液晶ディスプレイは、透明層(図示せず)をさらに備える。上記透明層は、上記遮光バー及び上記遮光バーの間の領域を被覆する。言い換えると、該透明層が遮光バー間の領域を充填するとともに、遮光バーを被覆し、或いは、該透明層が上記遮光バー間の領域のみを充填する。なお、上記遮光バー間の領域とは、遮光バーに被覆されない領域である。
【0032】
例えば、上記透明層は、図2に示す遮光バー及び上記遮光バー間の領域を被覆し、つまり、上記第1の遮光バー及び上記第2の遮光バーに囲まれる領域を充填するだけでなく、上記遮光パターン層の遮光バー上を被覆する。また、上記透明層は、上記遮光バー間の領域内のみを充填し、つまり、上記第1の遮光バー及び上記第2の遮光バーに囲まれる領域のみを充填する。
【0033】
この場合、散乱膜15は、透明層が形成された液晶ディスプレイの上面上に設けられてもよい。さらに、散乱膜を便利に貼り付けるために、散乱膜を貼り付ける前に、上記透明層が形成された液晶ディスプレイの表面を平面にする。例えば、図2に示すように、上記透明層が上記遮光パターン層の遮光バー、及び上記第1の遮光バーと上記第2の遮光バーとに囲まれる領域を被覆する場合、該透明層の表面が平面である。そして、上記透明層が上記第1の遮光バーと上記第2の遮光バーとに囲まれる領域内のみを充填する場合、透明層の厚みは上記遮光パターン層の厚みと一致であり、つまり、透明材料によって、上記第1の遮光バー及び上記第2の遮光バーに囲まれる領域が平らに充填される。
【0034】
なお、上記透明層の材料は、透明樹脂であってもよいし、他のいずれの透明材料であってもよい。
【0035】
上記遮光パターン層が形成された液晶ディスプレイは、散乱膜を貼り付ける方式を利用しなくても液晶ディスプレイの視野角を一層広くすることができる。例えば、遮光パターン層が形成された液晶ディスプレイに、散乱作用を有する透明層を設ける。前述と同じように、この散乱作用を有する透明層も、上記遮光バー及び上記遮光バー間の領域を被覆してもよいし、上記遮光バー間の領域のみを充填してもよい。これによって、個別の散乱膜が省かれ、視野角を一層広くする目的も実現され、同時に製造工程もさらに簡単になる。
【0036】
透明層に散乱作用を有させるために、散乱構造を有する透明層を構成してもよい。例えば、加工処理によって透明層に散乱構造を有させるようにする。具体的に、特定の外部形状を有する透明層を製造してもよい。例えば、透明層の上面を凹凸構造を有する表面にし、該凹凸構造が光を散乱する作用を有する。また、特定の内部構造を有する透明層を製造してもよい。例えば、透明層に散乱粒子を入り混ぜてもよい。なお、それ自体が散乱作用を有する材料によって透明層を製造することも上記目的を実現できる。
【0037】
本発明の実施例は液晶ディスプレイの製造方法を提供し、該方法は、具体的に以下のステップを備える。
S401:液晶セルを製造する。
S402:液晶セルの上面及び下面のそれぞれに、上偏光シート及び下偏光シートを貼り付ける。
S403:液晶ディスプレイの上偏光シート上に遮光薄膜を形成する。具体的には、薄膜堆積技術によって遮光薄膜を形成してもよい。なお、遮光薄膜は、薄膜堆積技術だけでなく、他の技術によっても形成できる。
S404:パターニング工程によって遮光薄膜を処理して、遮光バーを有する遮光パターン層に形成する。該遮光バーはいずれの形状であってもよい。
【0038】
例えば、ステップS404は、具体的に、以下のステップを備える。
(1)フォトレジストを遮光薄膜の表面に塗布する。
(2)露光・現像工程によって、遮光パターン層のパターンに対応するフォトレジストを保留する。
(3)遮光薄膜のフォトレジストに保護されない部分をエッチングし、フォトレジストに保護されなかった部分の遮光薄膜を除去し、遮光パターン層を形成する。
(4)残りのフォトレジストを除去する。
【0039】
上記ステップによって液晶ディスプレイの上偏光シートの表面に遮光パターン層を製造することで、バックライトの光線が液晶ディスプレイを通った後、上記液晶ディスプレイの非軸方向における光線が上記遮光パターン層に吸収され、漏光が低減される。
【0040】
上記製造方法は、以下のステップをさらに備えてもよい。
S405:上記遮光パターン層が形成された液晶ディスプレイに、透明材料を上記遮光バー間の領域のみに充填して透明層を形成し、或いは、透明材料を上記遮光バー及び上記遮光バー間の領域に覆わせて透明層を形成する。
【0041】
上記液晶ディスプレイの上記透明層が形成された表面が平面であってもよい。これによって、ステップS406の場合、散乱膜の貼り付けが便利になる。
【0042】
上記製造方法は、以下のステップをさらに備えてもよい。
S406:上記遮光パターン層が形成された液晶ディスプレイに散乱膜を設ける。
【0043】
これによって、上記散乱膜の作用によって、上記液晶ディスプレイの軸方向における光線が上記散乱膜の散乱作用を経た後、視野角の範囲が広くなる。
【0044】
なお、ステップS406はS405の後に行ってよいし、ステップS405を行わずに遮光パターン層上に散乱膜を直接に貼り付けてもよい。この場合、上記遮光バー間の領域内に、何も充填しなくてもよいし(真空)、空気を充填してもよい。
【0045】
S405ステップは、以下のステップをさらに備えてもよい。
S4051:透明層に散乱粒子を混ぜる。具体的に、透明材料が溶融状態であるときに散乱粒子を入れ、次いで、散乱粒子が混ぜられた透明材料を遮光バー間の領域に充填し、または遮光パターン層の表面に塗布する。
S4052:透明層の上面に凹凸構造を形成する。具体的に、溶融状態の透明材料を遮光パターン層に充填した後、透明材料が完全に硬化する前に、加工処理によって、透明材料が硬化された後に形成された透明層の表面に凹凸構造を有させる。
【0046】
なお、ステップS4051及びS4052のうち1つだけを選んで行ってもよい。このように、そのうちの1つのステップを選んで行う場合、散乱膜を貼り付けるステップ、即ち、ステップS406を省略することができる。これによって、工程が簡単化され、生産効率が向上される。
【0047】
本発明の実施例に係る液晶ディスプレイの製造方法によれば、液晶ディスプレイの上面上に遮光薄膜を形成し、パターニング工程によって遮光パターン層を形成し、上記遮光パターン層によって非軸方向からの光線を吸収することによって、暗状態の液晶ディスプレイの非軸方向からの漏光を低減することができる。さらに、上記遮光パターン層が形成された液晶ディスプレイに、透明層及び/または散乱膜を設けることで、光に対する散乱作用が強化され、液晶ディスプレイの視野角が広くされる。
【0048】
本発明の実施例に係る液晶ディスプレイは、液晶テレビ、デジタルカメラ、携帯電話、フラットパネルコンピュータ等の表示機能を有するいずれの製品または部材のディスプレイであってもよい。
【0049】
本発明の実施例に係る液晶ディスプレイ及びその製造方法によれば、上記液晶ディスプレイの上面上に遮光薄膜を形成し、上記遮光パターン層によって、遮光バーの非軸方向へ射出する光線が吸収され、軸方向の光線が直接に通られるため、暗状態の表示装置の非軸方向からの漏光が低減され、さらに、透明層及び/または散乱膜が光に対する散乱作用によって、表示装置の視野角がさらに広くされる。
【0050】
以上は、本発明の具体的な実施例に過ぎず、本発明の保護範囲はそれに限らない。当業者が本発明の技術範囲内に容易に想到しうる変化または置換は、いずれも本発明の保護範囲に入る。よって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に基づく。
【符号の説明】
【0051】
11 液晶セル
12 上偏光シート
13 下偏光シート
14 遮光パターン層
15 散乱膜
141 第1の遮光バー
142 第2の遮光バー
図1
図2
図3