(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載の装置では、露光開始トリガーによって発光ダイオードを点灯し、露光終了トリガーによって発光ダイオードを消灯するように動作するため、露光処理時以外には発光ダイオードの温度が低下してしまう傾向にある。また、上記特許文献2の装置では、複数の試料を連続して観察する場合に試料の光像を撮像する期間の間の待機期間には、光は消灯される。その結果、待機期間中に発光素子の温度が低下してしまうという傾向にある。
【0007】
一般に、LEDは、LED自体の温度や周囲の温度が変化すると、出射光の波長ピーク及び強度が変化する傾向にある。そのため、通常、LED光源から発生する熱を放出するための放熱板が取り付けられている。しかし、放熱板が取り付けられていても、実際にはLEDから発生した熱により、放熱板の温度は上昇する。よって、LEDの駆動が開始された時点と、その後の一定時間経過後では、温度差が生じてしまう。この結果、複数の試料を連続して撮像するときに、出射光の波長ピーク及び強度が複数の試料間で異なることにより、色むらを引き起こす場合があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、発光素子の駆動制御を行うことにより、迅速かつ安定した試料の光像の連続した撮像が可能な画像取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明の一形態に係る画像取得装置は(1)画像取得の対象となる試料を載置するステージと、(2)発光素子と発光素子で発生した熱を放熱する放熱器とを有し、試料に対して光を照射する照明装置と、(3)ステージ上の試料と対峙するように配置された対物レンズを含む導光光学系と、(4)導光光学系によって導光された試料の光像を撮像する撮像素子と、(5)複数の試料の光像を撮像する画像取得期間の間の待機期間中に、照明装置による光の照射を行うように発光素子を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の形態に係る画像取得方法は(1)ステージに画像取得の対象となる試料を載置するステップと、(2)発光素子と発光素子で発生した熱を放熱する放熱器とを有する照明装置により光を照射し、ステージ上の試料と対峙するように配置された対物レンズを含む導光光学系によって導光された試料の光像を、撮像素子により撮像するステップと、(3)複数の試料の光像を撮像する画像取得期間の間の待機期間中に、照明装置による光の照射を行うように発光素子を制御するステップと、を備えることを特徴とする。
【0011】
この画像取得装置あるいは画像取得方法では、照明装置により試料に向けて光が照射され、導光光学系により試料の光像が導光され、撮像素子により試料の光像の撮像が行われる。さらに、制御部により、複数の試料の光像を撮像する画像取得期間の間の待機期間中に、照明装置による光の照射を行うような制御をしている。この制御により、連続的に複数の試料の光像を撮像するタイミングにおいて、放熱器の温度が安定して保たれ、その結果、発光素子の温度が安定化される。従って、複数の試料の光像を連続して撮像する際に迅速かつ安定化した試料の光像の撮像が可能となる。
【0012】
また、本発明の一形態に係る画像取得装置では、制御部は、試料の光像を撮像する画像取得期間の間の待機期間中の照明装置による光の照射が断続的な照明となるように発光素子を制御することが好ましい。このように断続的な照明をすることにより、放熱器の温度上昇を効果的に抑制し、放熱器の温度をより安定して保つことが可能となる。
【0013】
また、本発明の一形態に係る画像取得装置では、試料の光像を撮像する画像取得期間の間の待機期間中の照明装置による光の照射の平均強度が画像取得期間の平均強度と同じとなるように発光素子を制御することが好ましい。このように制御することで、放熱器の温度を試料の光像を撮像する画像取得期間の間の待機期間中と、画像取得期間中とで同程度にすることが可能となる。この結果、どのタイミングで試料を撮像しても同等の条件下で撮像ができるため、各画像間での色むらを低減することが可能となる。
【0014】
また、本発明の一形態に係る画像取得装置では、制御部は、画像取得期間中のステージの移動時間と画像取得期間中の光像の撮像中に照明される光の強度および撮像時間に基づいて、発光素子を制御することが好ましい。このように制御することで、放熱器の温度を、画像取得期間の間の待機期間と画像取得期間との関係で容易に制御することが可能となる。
【0015】
また、本発明の一形態に係る画像取得装置では、待機期間中に照明装置によって光が連続的に照射されるように発光素子を制御してもよい。このように連続的に光を照射すれば、照明装置の制御が容易となると共に、発光素子の温度を効果的に安定化できる。
【0016】
また、本発明の一形態に係る画像取得装置では、放熱器に取り付けられた温度センサを更に備え、制御部は、待機期間中に温度センサの出力に基づいて発光素子の光照射を制御することが好ましい。このような制御によれば、環境温度が変動しても、放熱器の温度を、画像取得期間中と待機期間中とで、安定化させることが可能となる。その結果、どのタイミングで試料が導入されても同等の条件下での撮像ができるため、各画像間での色むらを低減することが可能となる。
【0017】
また、本発明の一形態に係る画像取得装置では、最初の画像取得期間前に、発光素子による光の照射を行うように制御することが好ましい。このような制御によれば、最初の試料の撮像時にも、放熱器の温度が保たれており、その結果、発光素子の温度が安定しているため、全ての試料について迅速かつ安定した試料の光像の撮像が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、発光素子の温度を安定させることにより、迅速かつ安定した試料の光像の連続した撮像が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面とともに本発明による画像取得装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。また、各図面は説明用のために作成されたものであり、説明の対象部位を特に強調するように描かれている。そのため、図面における各部材の寸法比率は、必ずしも実際のものとは一致しない。
【0021】
まず、画像取得装置1の全体構成について説明する。
図1は、本発明による画像取得装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。本実施形態による画像取得装置1は、試料Sの画像を高解像度で取得するために用いられる顕微鏡システムであり、試料Sの画像取得を行う顕微鏡装置10と、顕微鏡装置10における画像取得の制御等を行う制御装置60とを備える。画像取得の対象となる試料Sとしては、バーチャル顕微鏡で利用される画像データを取得する場合における、スライドガラスに吸光性の色素または蛍光性の色素で染色された組織切片等の生体サンプルが密封されたスライド(プレパラート)が、例として挙げられる。ここで、バーチャル顕微鏡とは、光学顕微鏡によって撮像された画像をデジタルデータ化して、ディスプレイ上で観察できる顕微鏡である。
【0022】
顕微鏡装置10は、試料格納部11と、マクロ画像取得部20と、ミクロ画像取得部30とを有している。試料格納部11は、それぞれ画像取得の対象となる複数の試料(例えばそれぞれ生体サンプルが密封された複数のスライド)Sを格納可能に構成された格納手段である。この試料格納部11には、操作者による試料Sの格納、及び取り出し等に用いられる扉12が設けられている。また、本実施形態においては、画像取得中に誤って扉12が開放されることを防止するためのインターロック機構13が付設されている。
【0023】
マクロ画像取得部20は、試料Sの光像の低倍率画像(例えば、1倍の画像)であるマクロ画像を取得(撮像)するための第1の画像取得手段である。この画像取得部20では、試料Sの全体像に相当する低解像度でのマクロ画像が取得される。また、マクロ画像取得部20に対して、マクロ画像取得時に試料Sの光像を生成するための光を照射するマクロ用光源25が設置されている。
【0024】
一方、ミクロ画像取得部30は、試料Sの光像の高倍率画像であるミクロ画像を取得(撮像)するための第2の画像取得手段である。この画像取得部30では、目的とする試料Sの高解像度でのミクロ画像が取得される。また、ミクロ画像取得部30に対して、ミクロ画像取得時に試料Sの光像を生成するための光を照射するミクロ用光源35が設置されている。
【0025】
また、顕微鏡装置10には、顕微鏡装置10内での各位置の間で試料Sを移動させる試料移動手段として、試料搬送部14及び試料ステージ15が設けられている。試料搬送部14は、試料格納部11での試料Sの格納位置と、マクロ画像取得部20及びミクロ画像取得部30のそれぞれでの画像取得位置との間で、必要に応じて試料Sを搬送する搬送手段である。また、試料ステージ15は、マクロ画像またはミクロ画像の画像取得時に試料Sが載置されるとともに、試料Sの画像取得位置の設定、調整等に用いられる。
【0026】
制御装置60は、顕微鏡装置10における画像取得動作の制御、画像取得条件の設定、及び取得された試料Sの画像データの処理等を行う制御手段である。制御装置60は、例えばCPU及び必要なメモリ、ハードディスクなどの記憶装置を含むコンピュータによって構成される。また、この制御装置60に対して、表示装置71、及び入力装置72が接続されている。表示装置71は、例えばCRTディスプレイまたは液晶ディスプレイであり、本画像取得装置の動作に必要な操作画面の表示、あるいは取得された試料Sの画像の表示等に用いられる。また、入力装置72は、例えばキーボードまたはマウスであり、画像取得に必要な情報の入力、画像取得動作についての指示の入力等に用いられる。
【0027】
図1に示した画像取得装置1の構成について、さらに詳細に説明する。
図2は、画像取得装置1における顕微鏡装置10、及び制御装置60の構成の一例を示すブロック図である。また、
図3は、顕微鏡装置10の構成の一部を概略的に示す図である。
図3に示すように、本実施形態による顕微鏡装置10は、試料Sの光像の取得に利用される透過型の顕微鏡システムとして構成されている。ここで、図中に示すように、水平方向で互いに直交する2方向をX軸方向及びY軸方向とし、水平方向に直交する垂直方向をZ軸方向とする。これらのうち、垂直方向であるZ軸方向が本顕微鏡システムにおける画像取得の光軸の方向(対物レンズの光軸の方向)となっている。また、
図3においては、主にマクロ画像取得部20、ミクロ画像取得部30及び光源25、35の構成を示し、試料格納部11及び試料搬送部14等については図示を省略している。
【0028】
試料Sは、画像取得部20、30における画像取得時には、試料ステージ15上に載置される。この試料ステージ15は、ステッピングモータ、DCモータ、またはサーボモータ等を用い、X軸方向及びY軸方向に移動可能なXYステージとして構成されている。このような構成において、試料ステージ15をXY面内で駆動することにより、画像取得部20、30での試料Sに対する画像取得位置の設定、調整が行われる。また、本実施形態においては、この試料ステージ15は、マクロ画像取得部20での画像取得位置、及びミクロ画像取得部30での画像取得位置の間で移動可能となっている。
【0029】
試料Sのマクロ画像を取得するためのマクロ画像取得位置に対し、
図3に示すように、光軸20aに対して所定位置にそれぞれマクロ画像取得部20、及びマクロ用光源25が設置されている。マクロ用光源25は、試料Sに対してマクロ画像取得用の光像を生成するための光を照射する照明手段である。
【0030】
また、マクロ画像取得部20は、試料Sの光像による2次元画像の取得が可能な2次元CCDセンサなどのマクロ用撮像装置21を含んで構成されている。また、試料Sが配置されるマクロ画像取得位置と、撮像装置21との間には、試料Sの光像を導く光学系として撮像光学系22が設けられている。
【0031】
一方、試料Sのミクロ画像を取得するためのミクロ画像取得位置に対し、
図3に示すように、光軸30a上の所定位置にミクロ画像取得部30が設置されている。ミクロ画像取得部30は、試料Sの光像による2次元画像の取得が可能なCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどのエリアイメージセンサ(撮像素子)などのミクロ用撮像装置31を用いて構成されている。また、試料Sが配置されるミクロ画像取得位置と、撮像装置31との間には、試料Sの光像を導光する導光光学系として、ステージ上の試料Sと対峙するように配置された対物レンズ32と、チューブレンズ34が設けられている。対物レンズ32は、試料Sからの光を集光して試料Sの光像を生成する。また、チューブレンズ34は、対物レンズ32によって集光された光を試料Sの光像として撮像装置31へと導く。
【0032】
また、本実施形態においては、ミクロ画像取得位置に配置された試料Sに対し、ミクロ画像取得用の光像を生成するための光を照射する照明手段としてのミクロ用光源35(照明装置)および集光レンズ36が設置されている。ミクロ用光源35は、発光素子35bと発光素子35bで発生した熱を外部に放出するための放熱器35aから構成されている。このミクロ用光源35は、少なくとも対物レンズ32の視野領域に光が照射されるように配置され、試料Sを透過した光は、40倍や20倍といった高倍率の対物レンズ32で集光され、チューブレンズ34によってミクロ画像取得部30に導光される。
【0033】
これにより、
図3に示すミクロ画像取得用の光学系は、落射照明による蛍光顕微鏡として構成されている。また、このような蛍光顕微鏡において、ミクロ画像取得部30で取得されるミクロ画像は、試料Sからの蛍光による蛍光観察像となる。なお、試料Sと撮像装置31との間の光路上には、必要に応じて励起光または蛍光を選択するための光フィルタを設置しても良い。
【0034】
また、対物レンズ32に対して、ステッピングモータまたはピエゾアクチュエータ等を用いたZステージ33が設けられており、このZステージ33で対物レンズ32をZ軸方向に駆動することで、試料Sに対する焦点合わせ等が可能となっている。
【0035】
また、このミクロ画像取得用の撮像装置31としては、例えば赤および緑、青色の光をそれぞれ撮像できる3板式イメージセンサカメラやカラーフィルタイメージセンサなどのカラー画像が取得可能な撮像装置を用いることが好ましい。なお、マクロ画像取得用の撮像装置21については、必要に応じて、白黒画像取得用の撮像装置、またはカラー画像が取得可能な撮像装置のいずれを用いても良い。また、撮像装置31についても、カラー画像を取得する必要がない場合には、白黒画像取得用の撮像装置を用いても良い。
【0036】
これらの試料ステージ15、マクロ画像取得部20、ミクロ画像取得部30、マクロ用光源25、及びミクロ用光源35に対して、それらを駆動制御する制御手段としてステージ制御部41、マクロ撮像制御部42、ミクロ撮像制御部43、マクロ用光源制御部44及びミクロ用光源制御部45が設けられている。ステージ制御部41は、XYステージである試料ステージ15、及びZステージ33を駆動制御することにより、試料Sに対する撮像条件の設定、調整等を行う。
【0037】
マクロ撮像制御部42は、マクロ用撮像装置21を含む画像取得部20を駆動制御することにより、試料Sのマクロ画像取得を制御する。また、ミクロ撮像制御部43は、ミクロ用撮像装置31を含む画像取得部30を駆動制御することにより、試料Sのミクロ画像取得を制御する。また、マクロ用光源制御部44は、マクロ用光源25を駆動制御することにより、試料Sのマクロ画像を取得する際の光の照射を制御する。また、ミクロ用光源制御部45は、ミクロ用光源35を駆動制御することにより、試料Sのミクロ画像を取得する際の光の照射を制御する。詳細は後述する。
【0038】
制御装置60は、マクロ画像取得制御部61及びミクロ画像取得制御部62を含む画像取得制御部と、マクロ画像処理部66及びミクロ画像処理部67を含む画像データ処理部と、撮像条件設定部65とを有している。画像取得制御部は、上記した制御部41〜45を介して、顕微鏡装置10における試料Sの画像取得動作を制御する。
【0039】
また、画像処理部66、67には、画像取得部20で取得されたマクロ画像の画像データ、及び画像取得部30で取得されたミクロ画像の画像データが入力されており、これらの画像データについて必要なデータ処理が行われる。また、画像処理部66、67に入力された画像データ、画像データを処理して得られた各種のデータや情報、あるいは画像取得制御部61、62で用いられる制御情報等は、必要に応じて制御装置60内のメモリ装置等のデータ記憶部に記憶、保持される。
【0040】
具体的には、マクロ画像取得制御部61は、ステージ制御部41、マクロ撮像制御部42、及びマクロ用光源制御部44を介し、試料Sのマクロ画像取得位置の設定動作、マクロ画像取得部20によるマクロ画像の取得動作、及びマクロ用光源25によるマクロ画像取得用の光の照射動作を制御する。
【0041】
ミクロ画像取得制御部62は、ステージ制御部41、ミクロ撮像制御部43、及びミクロ用光源制御部45を介し、試料Sのミクロ画像取得位置の設定動作、ミクロ画像取得部30によるミクロ画像の取得動作、及びミクロ用光源35によるミクロ画像取得用の光の照射動作を制御する。また、ミクロ画像取得制御部62は、後述する撮像条件設定部65で設定された撮像条件を参照して、試料Sのミクロ画像の取得を制御する。
【0042】
マクロ画像処理部66には、マクロ撮像制御部42を介して、マクロ画像取得部20の撮像装置21によって取得された試料Sのマクロ画像の画像データが入力されている。この画像処理部66は、入力されたマクロ画像の画像データに対して補正、加工、記憶などの必要なデータ処理を実行する。本実施形態においては、マクロ画像処理部66は、マクロ画像の画像データに対して所定の加工処理を行って、参照用マクロ画像を生成する機能を有する。
【0043】
ミクロ画像処理部67には、ミクロ撮像制御部43を介して、ミクロ画像取得部30の撮像装置31によって取得された試料Sのミクロ画像の画像データが入力されている。この画像処理部67は、画像処理部66と同様に、入力されたミクロ画像の画像データに対して補正、加工、記憶などの必要なデータ処理を実行する。本実施形態においては、ミクロ画像処理部67は、取得されたミクロ画像の画像データを用い、目的とする試料Sの高解像度の画像データである試料データを作成する機能を有する。
【0044】
撮像条件設定部65は、顕微鏡装置10のマクロ画像取得部20で取得された試料Sのマクロ画像を参照してミクロ画像の撮像条件を設定する設定手段である。本実施形態においては、この撮像条件設定部65には、マクロ画像の画像データに対して加工処理を行って生成された参照用マクロ画像が、マクロ画像処理部66から入力されている。そして、撮像条件設定部65は、この参照用マクロ画像を参照し、試料Sのミクロ画像の撮像条件として、画像取得の対象物を含む範囲に応じた画像取得範囲を設定する。あるいは、撮像条件設定部65は、必要に応じて他の撮像条件、例えば焦点合わせを実行するための焦点計測位置、画像取得範囲での対象物の画像取得についての焦点情報などの焦点関連情報を設定する。
【0045】
次に、
図4を参照して、画像取得装置1によるミクロ画像取得のための光源制御の詳細動作について説明する。
図4は、ミクロ画像取得時のミクロ画像取得部30の撮像装置31による撮像タイミング、それに伴う発光素子35bの照明強度及び発光素子35bの温度の時間変化を示すタイミングチャートである。
【0046】
画像取得装置1が起動された直後の一定期間(ウォームアップ期間)T101の間、ミクロ用光源制御部45はミクロ用光源35に対し、ウォームアップ(暖機)のために、所定の照射強度で光を照射するように制御する。このとき、ウォームアップ期間T101に照射される光は、放熱器35aを十分暖めるために、期間T101より後の試料Sがミクロ画像取得位置に配置されてミクロ画像が取得される画像取得期間T107における光の強度よりも高く設定される。これにより、画像取得期間T107中における放熱器35aの最適温度よりもウォームアップ期間T101直後の放熱器35aの温度が高くなる。このときの発光素子35bの照射タイミングは、連続的であってもよし、断続的であってもよい。
【0047】
その後、ミクロ用光源制御部45は、ウォームアップにより温度が上昇した放熱器35aを所望の温度となるまで冷やすために、ウォームアップ期間T101の直後の所定の期間(クールダウン期間)T103だけミクロ用光源35を消灯させるように制御する。ここで、放熱器35aに温度センサを取り付けて、ミクロ用光源制御部45がその温度センサの検知信号を基に放熱器35aが所定の温度になるまでミクロ用光源35を消灯させるように制御しても良い。また、ミクロ用光源制御部45は、予めウォームアップ期間T101に発光素子35bから放出される熱量と放熱器35aによって放出される熱量に基づいて算出される期間だけ、クールダウン期間T103を設定してもよい。
【0048】
次に、クールダウン期間T103の後、ミクロ画像取得部30による画像取得前の最初の試料S(例えば、細胞標本が配置されたスライドガラス)が試料ステージ15によってミクロ画像取得位置に配置されるまでの期間(待機期間)T105においては、ミクロ用光源制御部45は、光を照射するようにミクロ用光源35の発光素子35bを制御する。これにより、クールダウン期間T103後にいつ試料Sが導入されても、その時点での放熱器35aの温度を安定して保つことができるため、迅速かつ安定した最初の試料Sの画像取得が可能となる。このときの具体的なミクロ用光源35の制御及び画像取得期間T107のミクロ用光源35の動作は後述する。
【0049】
最初の試料Sの画像取得後、次の試料Sが試料ステージ15によってミクロ画像取得位置に配置されるまでの間の待機期間T105’中、待機期間T105中と同様に、ミクロ用光源制御部45は、光の照射が行われるようにミクロ用光源35を制御する。これにより、前の試料Sを撮像するための画像取得期間T107後にいつ次の試料Sが導入されても、その時点での放熱器35aの温度を安定して保つことができるため、迅速かつ安定した複数の試料Sの連続した画像取得が可能となる。このときの具体的な照明制御は後述する。
【0050】
ここで、
図5を併せて参照しながら、本実施形態における画像取得方法に係る画像取得期間T107の画像取得装置1の動作についてより詳しく説明する。
図5は、画像取得期間T107の前後の顕微鏡装置10の動作状態を示すイメージ図である。試料格納部11から取り出された試料Sは試料ステージ15に載置される(載置ステップ)。その試料ステージ15は、試料搬送部14によって、導入位置103からマクロ画像取得位置105まで移動される。そして、マクロ用撮像装置21によって試料Sのマクロ画像が取得され、マクロ画像を基に撮像条件設定部65(
図2)によりミクロ画像の撮像条件として画像取得範囲及び画像取得範囲内に複数点の焦点計測位置が設定される。その後、試料搬送部14によって、マクロ画像取得位置105からミクロ画像取得位置107まで、試料ステージ15が移動され、ミクロ用撮像装置31によって焦点計測位置における合焦点情報が取得され、合焦点情報に基づいて焦点合わせを行い撮像することで、画像取得範囲におけるミクロ画像が取得される(撮像ステップ)。このとき、画像取得範囲に対して複数領域に分割された部分画像取得範囲が設定され、その複数の部分画像取得範囲毎にミクロ画像を取得するために、ミクロ画像取得制御部62(
図2)により、試料ステージ15の位置が微調整されると同時に、Zステージ33(
図3)の位置を調整することにより試料Sに対する焦点合わせが行われる。全ての部分画像取得範囲についてミクロ画像を取得された試料Sは、導入位置103まで戻されて試料格納部11内に取り出される。その後、待機期間T105’の間に、次の試料Sが導入位置103に導入されてマクロ画像が撮像された後、次の画像取得期間T107’において試料Sのミクロ画像の取得が行われる。このようにして複数の試料Sの画像取得が繰り返される。
【0051】
さらに、制御装置60によって取得されるマクロ画像に応じて設定されるミクロ画像の撮像条件の詳細について説明する。
図6は、試料と画像取得範囲及び細胞標本との位置関係を概略的に示す図である。
図6には、試料Sにおいて制御装置60によって取得されたマクロ画像の取得範囲を示している。同図には、スライドガラス121上に細胞標本123が載置された試料Sの例が示されており、このような試料S全体のマクロ画像が取得され、マクロ画像を参照して、細胞標本123を含むように画像取得範囲A1が設定される。例えば、スライドガラス121のサイズが25mm×75mm程度であるのに対して、細胞標本123を覆うミクロ画像の取得範囲A1のサイズは、15mm×15mm程度となる。
【0052】
図7には、制御装置60によって設定された画像取得範囲A1に対してミクロ画像取得制御部62(
図2)内に設定されるミクロ画像の画像取得範囲(部分画像取得範囲)のイメージを示している。同図に示すように、撮像条件設定部65により、設定された画像取得範囲A1に基づいて、ミクロ画像を取得するための複数の部分画像取得範囲A2が、細胞標本123を含む画像取得範囲A
1を全て含んで細分化されるように設定される。具体的には、矩形の画像取得範囲A
1に対して、その取得範囲A1を対物レンズ32の撮像視野に応じて、同一の面積の複数の矩形のミクロ画像の画像取得範囲A
2で分割するように部分画像取得範囲A
2が設定される。これらの複数の部分画像取得範囲A
2はミクロ画像の撮像視野に相当しており、画像取得期間T107において、ミクロ画像取得制御部62により、試料ステージ15の位置を微調整する際に参照される。なお、各部分画像取得範囲A
2は、画像取得範囲A
1内で互いに接するように設定されてもよいし、互いに一部重畳するように設定されてもよい。
【0053】
また、撮像条件設定部65により、画像取得範囲A1に対して焦点関連情報が設定される。焦点情報としては、例えば、フォーカスマップが挙げられる。フォーカスマップを作成するために、まず、画像取得範囲A1内に複数の焦点計測位置が設定される。そして、ミクロ画像取得装置30によって、各焦点計測位置における合焦点情報(例えば、合焦点状態における対物レンズ32の高さや対物レンズ32とステージ15の間隔)を計測し、計測された複数の合焦点情報に基づいて、最小二乗法などの演算手段により、フォーカスマップが作成される。
【0054】
図4に戻って、画像取得期間及び待機期間における制御装置60によるミクロ画像の取得制御及びミクロ用光源35の制御(制御ステップにおける制御)について詳述する。
【0055】
まず、画像取得期間T107,T107’においては、ミクロ画像取得制御部62の制御により、最初に画像が取得される部分画像取得範囲A
2が対物レンズ32の視野に含まれるように試料ステージ15が移動される。移動が完了すると、ミクロ画像取得制御部62により、部分画像取得範囲A
2に対する焦点情報を基に対物レンズ32と試料Sの間隔が調整される。そして、ミクロ画像取得制御部62から撮像(露光)タイミングを制御するための撮像制御パルスがミクロ用撮像装置31に入力され、ミクロ用撮像装置31によって部分画像取得範囲A
2のミクロ画像が取得される。さらに、次の部分画像取得範囲A
2が対物レンズ32の視野に含まれるように試料ステージ15が移動されてから焦点情報を基に対物レンズ32と試料Sの間隔が調整された後に、ミクロ画像取得制御部62から撮像制御パルスがミクロ用撮像装置31に入力されることにより、次の画像取得範囲A
2のミクロ画像が取得される。このようにして、試料ステージ15の移動期間Taとミクロ画像の撮像期間Tbとが、全ての部分画像取得範囲A
2について交互に繰り返される。
【0056】
画像取得期間T107,T107’においては、同時に、ミクロ画像取得制御部62によって、撮像制御パルスと同じタイミング及び周期の制御パルスが、ミクロ用光源制御部45に入力される。これに対して、ミクロ用光源35は、入力された制御パルスの立ち上がりで光の照射を開始し、制御パルスの立ち下りで光の照射を終了する。このようにして、試料ステージ15の移動タイミング及び複数の部分画像取得範囲A
2のミクロ画像の取得タイミングに合わせて、ミクロ用光源35による光の照射が断続的に行われるように制御される。
【0057】
また、待機期間T105,T105’においては、ミクロ画像取得制御部62の制御により、断続的に光を照射するようにミクロ用光源35を制御する。このとき、ミクロ画像取得制御部62の制御により、待機期間T105,T105’において、画像取得期間T107,T107’における撮像制御パルスと同一周期の断続的な点灯(パルス点灯)となるようにミクロ用光源35が制御される。このようなパルス点灯とすることで、発光素子35bの温度上昇を抑制しつつ、発光素子35bの温度を保つことができる。
【0058】
詳細には、待機期間T105,T105’においては、単位時間当たりの光の照射量(平均強度)が、ミクロ画像を取得する画像取得期間T107,T107’と同程度となるように、ミクロ用光源35のパルス点灯が制御される。より好ましくは、パルス点灯の周期ΔTは、複数の部分画像取得範囲A
2の撮像周期、すなわち、複数の部分画像取得範囲A
2間の移動期間Taの長さとミクロ画像の撮像期間Tbの長さとの和と等しくなるように設定し、パルス点灯の強度および点灯時間は、それぞれ、撮像期間Tbに照射される光の強度及びその期間の長さに等しくなるように設定される。これにより、発光素子35bから発せられる熱量が待機期間T105,T105’と画像取得期間T107,T107’とで同程度になるため、発光素子35bの温度を安定して保つことができる。ただし、平均強度がミクロ画像を取得する画像取得期間T107,T107’と同程度となっていれば、パルス点灯の周期や点灯条件(点灯時間と光強度)を変更してもよい。
【0059】
なお、
図1に示した画像取得装置1において実行される画像取得方法に対応する処理は、画像取得処理をコンピュータに実行させるための画像取得プログラムによって実現可能である。例えば、画像取得装置1における制御装置60は、画像取得処理に必要な各ソフトウェアプログラムを動作させるCPUと、上記ソフトウェアプログラムなどが記憶されるROMと、プログラムの実行中に一時的にデータが記憶されるRAMとによって構成することができる。このような構成において、CPUによって所定の画像取得プログラムを実行することにより、上記した画像取得装置1、及び画像取得方法を実現することができる。
【0060】
また、試料の画像取得のための各処理をCPUによって実行させるための上記プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録して頒布することが可能である。このような記録媒体には、例えば、ハードディスク及びフレキシブルディスクなどの磁気媒体、CD−ROM及びDVD−ROMなどの光学媒体、フロプティカルディスクなどの磁気光学媒体、あるいはプログラム命令を実行または格納するように特別に配置された、例えばRAM、ROM、及び半導体不揮発性メモリなどのハードウェアデバイスなどが含まれる。
【0061】
以上説明した画像取得装置1によるミクロ用光源35の制御により、試料Sのミクロ画像を撮像するタイミングにおいて、放熱器35aを含むミクロ用光源35の温度が安定して保たれ、その結果、発光素子35bの温度が安定化される。従って、複数の試料Sを連続して撮像する際に撮像条件が安定化されるので、迅速かつ安定化した試料の光像の撮像が可能となる。
【0062】
また、ミクロ用光源35が待機期間中に断続的な照明となるように制御されるので、放熱器35aの温度上昇を効果的に抑制し、放熱器35aの温度をより安定して保つことが可能となる。
【0063】
また、ミクロ用光源35による光の照射の平均強度が待機期間中と画像取得期間中とで同じとなるように制御されるので、放熱器35aの温度を、試料Sのミクロ画像を撮像する画像取得期間の間の待機期間中と、ミクロ画像を撮像する画像取得期間中とで同程度にすることが可能となる。この結果、どのタイミングで試料Sを撮像しても同等の条件下で撮像ができるため、各画像間での色むらを低減することが可能となる。
【0064】
また、画像取得期間のステージの移動時間と画像取得期間中の光像の撮像中に照明される光の強度および撮像時間に基づいて、待機期間のミクロ用光源35による光の照射が制御されるので、放熱器35aの温度を待機期間中と画像取得期間中との関係で均一化するように容易に制御することが可能となる。具体的には、発光素子35bの制御パルスのデューティーが画像取得期間とその前後の期間とで同等になるように制御されることにより、画像取得期間中の発光素子35bの温度やその周辺の温度を安定させることができるため、各ミクロ画像のユニフォミティーをそろえることができる。そのため、観察者に違和感のない試料Sの合成画像を提供できる。
【0065】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
【0066】
例えば、
図8は、変形例にかかる画像取得装置における撮像タイミング、撮像制御パルス、照明強度及び温度の関係を概略的に示すチャート図である。
図8に示すように、制御装置60によって制御される待機期間におけるミクロ用光源35の光強度は、画像取得期間と異なっていてもよい。すなわち、本発明の変形例にかかる制御装置60では、ミクロ用光源35のパルス点灯の周期ΔT、及び1回の点灯の点灯時間は同じであるが、待機期間T105,T105’におけるパルス点灯の光強度を画像取得期間T107,T107’よりも低くするように制御している。また、待機期間T105,T105’におけるパルス点灯の光強度を画像取得期間T107,T107’よりも高く設定しても良い。好ましくは、制御装置60は、待機期間T105,T105’における平均強度を、画像取得期間時T107,T107’の平均強度の60%から140%の間で設定する。これにより、発光素子35bの温度を安定して保つことができる。なお、パルス点灯の周期ΔTや、一回のパルス点灯の点灯時間を変更してもよい。
【0067】
さらに、
図10は、他の変形例にかかる画像取得装置における撮像タイミング、撮像制御パルス、照明強度及び温度の関係を概略的に示すチャート図である。このとき、
図9に示す本発明の変形例に係る画像取得装置101のように、ミクロ用光源35の放熱器35aの近傍に取り付けられた温度センサ35cが備えられ、温度センサ35cの出力に基づいて発光素子35bの光照射が制御されてもよい。すなわち、温度センサ35cによって待機期間T105,T105’中の放熱器35aの温度の変化が検知され、制御装置60によって、放熱器35aの温度変化に応じてミクロ用光源35を点灯及び消灯して光の照射を制御する(
図10)。このように、温度センサ35cで発光素子35bの温度を感知し発光制御を行うため、環境温度が変動しても、発光素子35bの温度を画像取得期間T107,T107’と待機期間T105,T105’との間で安定して保つことができる。その結果、どのタイミングで試料Sが導入されても同様の撮像条件下でマクロ画像が撮像できるため、各ミクロ画像間でのユニフォミティーをそろえることができる。
【0068】
また、
図11は、他の変形例にかかる画像取得装置における撮像タイミング、撮像制御パルス、照明強度及び温度の関係を概略的に示すチャート図である。
図11に示すように、制御装置60は、待機期間T105,T105’中に連続的に光を照射するようにミクロ用光源35を制御してもよい。このとき、本発明の変形例にかかる制御装置60では、待機期間T105,T105’中の平均強度が画像取得期間T107,T107’中の平均強度と同等となるように制御しても良いし、異ならせてもよい。また、
図9に示した構成と同様な構成を採用して温度センサ35cによって放熱器35aの温度を感知し、その温度に応じてミクロ用光源35の照射する光の強度を制御してもよい。このような構成によれば、ミクロ用光源35の制御が容易になるとともに、発光素子35bの温度を効果的に安定化できる。