【文献】
庄司 雄次、外4名,高Siオーステナイトステンレス鋼の高温耐酸化性におよぼすCr,Si量および希土類元素添加の影響,鉄と鋼,社団法人日本鉄鋼協会,1977年,第63年第5号,p.140-154
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のガスセンサにおいては、高温時にプロテクタにおいて酸化減量が生じてプロテクタの脱落が生じる場合があり、また、主体金具とプロテクタとの熱膨張係数が違うためにガスセンサ使用時の冷熱サイクル(高温と低温との温度変化の繰り返し)によってプロテクタの脱落が生じる虞がある。
【0006】
つまり、プロテクタのうち主体金具との接合部に酸化減量が生じると、プロテクタが主体金具から脱落する虞がある。換言すれば、上述のガスセンサにおいては、高温時でのプロテクタの耐酸化性が十分ではない場合がある。
【0007】
また、主体金具とプロテクタとの熱膨張係数が違うために、ガスセンサ使用時の冷熱サイクルによって、主体金具とプロテクタとの接合部に剥がれやクラックなどが生じることがある。このように接合部に不具合が生じると、プロテクタが主体金具から脱落する可能性がある。
【0008】
そこで、本発明はこうした問題に鑑みなされたものであり、高温環境下での耐酸化性に優れると共に、冷熱サイクルの生じる環境下でもプロテクタの脱落を抑制できるガスセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、後端側から先端側にかけて軸線方向に延びると共に、被測定ガスに接触する検出部を先端部に有し、被測定ガス中の特定ガスを検出するガス検出素子と、検出部を先端から突き出させた状態でガス検出素子の径方向周囲を取り囲む主体金具と、ガス検出素子の検出部を覆うように、主体金具に固定されたプロテクタと、を備えたガスセンサであって、プロテクタは、Feを主成分とし、Siの含有量が2.0〜3.0[wt%]のFe−Cr合金材料で構成されており、プロテクタの熱膨張係数αおよび主体金具の熱膨張係数βは、20〜650℃の温度範囲におけるそれぞれの平均熱膨張係数であり、0<|α−β|≦2.0[10
−6/℃]の関係を満たすこと、を特徴とするガスセンサである。
【0010】
Feを主成分とし、Siの含有量が2.0〜3.0[wt%]のFe−Cr合金材料は、高温環境下(例えば、650〜900[℃])においても、酸化減量が生じ難い特性がある。
【0011】
このように、本発明のプロテクタは、高温環境下においても、酸化減量が生じ難いため、酸化減量に起因して主体金具から脱落する可能性が低くなる。つまり、このプロテクタは、高温環境下での耐酸化性に優れている。
【0012】
また、プロテクタの熱膨張係数αおよび主体金具の熱膨張係数βが0<|α−β|≦2.0[10
−6/℃]の関係を満たしており、プロテクタおよび主体金具は互いの熱膨張係数の差が小さい。このため、ガスセンサ使用時の冷熱サイクル(高温と低温との温度変化の繰り返し)によってプロテクタと主体金具との接合部に生じる応力を小さく抑えることができる。
【0013】
これにより、本発明においては、冷熱サイクルによって、プロテクタと主体金具との接合部に剥がれやクラックなどが生じるのを抑制できる。
よって、本発明のガスセンサによれば、高温環境下でのプロテクタの耐酸化性に優れると共に、冷熱サイクルの生じる環境下でもプロテクタの脱落を抑制できる。
【0014】
なお、本発明での「Feを主成分とし」とは、Feの含有量が70[wt%]以上であることを意味している。
なお、プロテクタのFe−Cr合金材料については、Siの含有量が2.4〜2.8[wt%]であってもよい。
【0015】
上述のガスセンサにおいては、プロテクタのFe−Cr合金材料は、Crの含有量が17.5〜18.5[wt%]である、という構成を採ることができる。
このように、Crの含有量が特定されたFe−Cr合金材料は、650〜900[℃]の高温環境下においても、強度を維持することができる。つまり、このような材料で構成されたプロテクタは、高温環境下での強度維持に優れている。
【0016】
よって、本発明のガスセンサによれば、高温環境下でのプロテクタの強度維持に優れている。
上述のガスセンサにおいては、プロテクタのFe−Cr合金材料は、Nbを含有しており、Nbの含有量が0.20〜0.50[wt%]である、という構成を採ることができる。
【0017】
このように、Nbの含有量が特定されたFe−Cr合金材料は、Crと炭素との結合によってCrの欠乏層が生じるのを抑制できる。つまり、このような材料で構成されたプロテクタは、Crの欠乏層が形成されることに伴う強度低下を抑制できる。
【0018】
よって、本発明のガスセンサによれば、Crの欠乏層の形成に伴うプロテクタの強度低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のガスセンサによれば、高温環境下でのプロテクタの耐酸化性に優れると共に、冷熱サイクルの生じる環境下でもプロテクタの脱落を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0022】
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
図1は、本発明を適用した実施形態の全領域空燃比センサ2(以下、空燃比センサ2ともいう)の全体構成を示す断面図である。
【0023】
空燃比センサ2は、ガスセンサの一種であって、例えば、自動車や各種内燃機関における空燃比フィードバック制御に使用するために、内燃機関の排気管に装着される。また、空燃比センサ2は、測定対象となる排ガス(被測定ガス)中の酸素(特定ガス)を検出するガス検出素子(ガスセンサ素子)を備えて構成される。
【0024】
空燃比センサ2は、ハウジング38と、ガス検出素子4と、プロテクタ42と、セラミックスリーブ6と、絶縁コンタクト部材66と、5個の接続端子10と、を備えている。
ハウジング38は、排気管に固定するためのネジ部39が外表面に形成された筒状の部材であり、SUS430で構成されている。ガス検出素子4は、軸線方向(空燃比センサ2の長手方向:図中上下方向)に延びる板状形状である。プロテクタ42は、ガス検出素子4の先端部周囲を覆うようにハウジング38の先端側外周に固定された有底筒状の部材である。セラミックスリーブ6は、ガス検出素子4の径方向周囲を取り囲むように配置される筒状の部材である。絶縁コンタクト部材66は、軸線方向に貫通するコンタクト挿通孔68の内壁面がガス検出素子4の後端部の周囲を取り囲む状態で配置される。5個の接続端子10は、ガス検出素子4と絶縁コンタクト部材66との間に配置される金属部材である。
【0025】
ガス検出素子4は、軸線方向に延びる板状形状をなし、測定対象となるガスに向けられる先端側(図中下方)に保護層に覆われた検出部8が形成され、後端側(図中上方)の外表面のうち表裏の位置関係となる第1板面21および第2板面23に電極端子部30,31,32,34,36が形成されている。ガス検出素子4は、特定ガスが検出部8に接触すると、特定ガスの濃度等に応じたセンサ出力信号を電極端子部から外部に出力する。
【0026】
接続端子10は、ガス検出素子4と絶縁コンタクト部材66との間に配置されることで、ガス検出素子4の電極端子部30,31,32,34,36にそれぞれ電気的に接続される。また、接続端子10は、外部からセンサの内部に配設されるリード線46にも電気的に接続されており、リード線46が接続される外部機器と電極端子部30,31,32,34,36との間に流れる電流の電流経路を形成する。
【0027】
ハウジング38は、軸線方向に貫通する貫通孔54を有し、貫通孔54の径方向内側に突出する棚部52を有する略筒状形状に構成されている。ハウジング38は、検出部8を貫通孔54の先端側外部に配置し、電極端子部30,31,32,34,36を貫通孔54の後端側外部に配置する状態で、貫通孔54に挿通されたガス検出素子4を保持する。棚部52は、軸線方向に垂直な平面に対して傾きを有する内向きのテーパ面として形成されている。
【0028】
ハウジング38の貫通孔54の内部には、ガス検出素子4の径方向周囲を取り囲む状態で、環状形状のセラミックホルダ51、粉末充填層53,56(以下、滑石リング53,56ともいう)、および上述のセラミックスリーブ6が、この順に先端側から後端側にかけて積層されている。
【0029】
セラミックスリーブ6とハウジング38の後端部40との間には、加締パッキン57が配置されている。ハウジング38の後端部40は、加締パッキン57を介してセラミックスリーブ6を先端側に押し付けるように、加締められている。
【0030】
セラミックホルダ51とハウジング38の棚部52との間には、気密性を維持するための金属ホルダ58が配置されている。金属ホルダ58は、滑石リング53やセラミックホルダ51を保持する機能も有している。
【0031】
つまり、ハウジング38は、検出部8を先端から突き出させた状態でガス検出素子4の径方向周囲を取り囲む構成である。
ガス検出素子4は、軸線方向に延びる板状形状に形成された素子部と、同じく軸線方向に延びる板状形状に形成されたヒータとが積層されて、長方形状の軸断面を有する板状形状に形成されている。なお、空燃比センサ2として用いられるガス検出素子4は従来公知のものであるため、その内部構造等の詳細な説明は省略する。
【0032】
ガス検出素子4は、
図1に示すように、先端側(
図1における下方)の検出部8がハウジング38の先端より突出すると共に、後端側の電極端子部30,31,32,34,36がハウジング38の後端より突出した状態で、ハウジング38の内部に固定される。
【0033】
そして、ハウジング38の後端側外周には、外筒44が固定されている。外筒44の後端側(
図1における上方)の開口部には、ガス検出素子4の各電極端子部30,31,32,34,36とそれぞれ電気的に接続される5本のリード線46(
図1では3本が図示)が挿通されるリード線挿通孔61が形成されたグロメット50が配置されている。
【0034】
また、ハウジング38の後端部40より突出されたガス検出素子4の後端側(
図1における上方)には、絶縁コンタクト部材66が配置される。なお、この絶縁コンタクト部材66は、ガス検出素子4の後端側の表面に形成される電極端子部30,31,32,34,36の周囲に配置されている。
【0035】
[1−2.プロテクタの構成]
プロテクタ42は、複数のガス流通口84を有する有底筒状に形成されており、ガス検出素子4の突出部分を覆う状態で、ハウジング38の先端側(
図1における下方)外周に取り付けられている。プロテクタ42とハウジング38との接合部43は、溶接等により形成される。
【0036】
プロテクタ42は、筒状の側壁82と、側壁82の先端側に設けられる底壁83と、を有して構成される。プロテクタ42は、側壁82に複数(本実施形態では、8個)のガス流通口84を備えて構成されている。プロテクタ42は、底壁83において、被測定ガスをプロテクタ42の内部から外部に排出するための底壁流通口85を備えて構成されている。
【0037】
プロテクタ42は、Feを主成分とし、Siの含有量が2.60[wt%]のFe−Cr合金材料で構成されている。
また、このFe−Cr合金材料は、Crの含有量が18.0[wt%]である。さらに、このFe−Cr合金材料は、Nbを含有しており、Nbの含有量が0.35[wt%]である。
【0038】
さらに、このFe−Cr合金材料は、Cを含有しており、Cの含有量は0.030[wt%]である。このFe−Cr合金材料は、Mnを含有しており、Mnの含有量は1.00[wt%]である。このFe−Cr合金材料は、Pを含有しており、Pの含有量は0.040[wt%]である。このFe−Cr合金材料は、Sを含有しており、Sの含有量は0.030[wt%]である。
【0039】
ここで、Feを主成分とし、Siの含有量が2.60[wt%]のFe−Cr合金材料は、650〜900[℃]の高温環境下においても、酸化減量が生じ難い特性がある。
このため、このプロテクタ42は、高温環境下においても、酸化減量が生じ難いため、酸化減量に起因してハウジング38から脱落する可能性が低くなる。つまり、このプロテクタ42は、高温環境下での耐酸化性に優れている。
【0040】
次に、このFe−Cr合金材料は、20〜650℃の温度範囲における平均熱膨張係数が11.5[10
−6/℃]である。
ハウジング38を構成するSUS430は、20〜650℃の温度範囲における平均熱膨張係数が11.9[10
−6/℃]である。
【0041】
このことから、プロテクタ42の熱膨張係数αとハウジング38の熱膨張係数βとの差分値の絶対値(=|α−β|)は「0.4[10
−6/℃]」(=11.5−11.9[10
−6/℃])である。つまり、プロテクタ42およびハウジング38は互いの熱膨張係数の差が小さい。このため、ガスセンサ使用時の冷熱サイクル(高温と低温との温度変化の繰り返し)によってプロテクタ42とハウジング38との接合部43に生じる応力を小さく抑えることができる。
【0042】
これにより、本実施形態においては、冷熱サイクルによって、プロテクタ42とハウジング38との接合部43に剥がれやクラックなどが生じるのを抑制できる。
[1−3.効果]
以上説明したように、本実施形態の全領域空燃比センサ2においては、プロテクタ42は、Feを主成分とし、Siの含有量が2.60[wt%]のFe−Cr合金材料で構成されている。
【0043】
ここで、Feを主成分とし、Siの含有量が2.60[wt%]のFe−Cr合金材料は、650〜900[℃]の高温環境下においても、酸化減量が生じ難い特性がある。
このため、このプロテクタ42は、高温環境下においても、酸化減量が生じ難いため、酸化減量に起因してハウジング38から脱落する可能性が低くなる。つまり、このプロテクタ42は、高温環境下での耐酸化性に優れている。
【0044】
また、上述の通り、プロテクタ42の熱膨張係数αとハウジング38の熱膨張係数βとの差分値の絶対値(=|α−β|)は「0.4[10
−6/℃]」であり、プロテクタ42およびハウジング38は互いの熱膨張係数の差が小さい。このため、ガスセンサ使用時の冷熱サイクル(高温と低温との温度変化の繰り返し)によってプロテクタ42とハウジング38との接合部43に生じる応力を小さく抑えることができる。
【0045】
これにより、本実施形態においては、冷熱サイクルによって、プロテクタ42とハウジング38との接合部43に剥がれやクラックなどが生じるのを抑制できる。
よって、本実施形態の全領域空燃比センサ2によれば、高温環境下でのプロテクタ42の耐酸化性に優れると共に、冷熱サイクルの生じる環境下でもハウジング38からのプロテクタ42の脱落を抑制できる。
【0046】
次に、空燃比センサ2においては、プロテクタ42のFe−Cr合金材料は、Crの含有量が18.0[wt%]である。
このようにCrの含有量が特定されたFe−Cr合金材料は、650〜900[℃]の高温環境下においても、強度を維持することができる。つまり、このような材料で構成されたプロテクタ42は、高温環境下での強度維持に優れている。
【0047】
次に、空燃比センサ2においては、プロテクタ42のFe−Cr合金材料は、Nbを含有しており、Nbの含有量が0.35[wt%]である。
このようにNbの含有量が特定されたFe−Cr合金材料は、Crと炭素との結合によってCrの欠乏層が生じるのを抑制できる。つまり、このような材料で構成されたプロテクタは、Crの欠乏層が形成されることに伴う強度低下を抑制できる。
【0048】
[1−4.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
全領域空燃比センサ2(空燃比センサ2)がガスセンサの一例に相当し、ハウジング38が主体金具の一例に相当し、排ガスが被測定ガスの一例に相当し、酸素が特定ガスの一例に相当する。
【0049】
[3.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、Fe−Cr合金材料に含有される各成分の含有量が特定されているが、各成分の含有量は上記数値に限定されることはない。つまり、ガスセンサの用途や設置環境などの各種条件に応じて、適切な数値に設定することができる。
【0051】
具体的には、Fe−Cr合金材料におけるSiの含有量は、2.0〜3.0[wt%]の範囲で任意の数値を設定できる。また、Siの含有量は、2.40〜2.80[wt%]の範囲で設定することで、より確実に耐酸化性に優れたプロテクタを実現できる。
【0052】
また、Fe−Cr合金材料においては、Crの含有量は17.5〜18.5[wt%]の範囲で任意の数値を設定でき、Nbの含有量は0.20〜0.50[wt%]の範囲で任意の数値を設定できる。
【0053】
さらに、上記実施形態では、Fe−Cr合金材料がC,Mn,P,Sを含有する形態について説明したが、Fe−Cr合金材料はC,Mn,P,Sを含有しない形態であってもよい。
【0054】
また、Fe−Cr合金材料がC,Mn,P,Sを含有する場合、各成分の含有量は上記数値に限られることはない。例えば、Cの含有量は0.030[wt%]以下であればよく、Mnの含有量は1.00[wt%]以下であればよく、Pの含有量は0.040[wt%]以下であればよく、Sの含有量は0.030[wt%]以下であればよい。
【0055】
プロテクタに用いるFe−Cr合金材料の各成分の含有量について、上述した数値範囲をまとめた表を
図2に示す。なお、Siの含有量については、より確実に優れた耐酸化性を発揮できる数値範囲(2.40〜2.80[wt%])を記載している。
【0056】
次に、上記実施形態では、プロテクタとして、一重構造のプロテクタについて説明したが、プロテクタはこのような形態に限定されることはない。例えば、プロテクタは、外側筒状部材と内側筒状部材とを備えた二重構造のプロテクタであってもよい。あるいは、外側筒状部材と中間筒状部材と内側筒状部材とを備える三重構造のプロテクタであっても良い。
【0057】
また、ガス検出素子は、上述のような板状形状に限られることはなく、有底筒状形状のガス検出素子であってもよい。
ここで、第2実施形態として、二重構造のプロテクタ142と、有底筒状形状の筒型検出素子104と、を備えるガスセンサ101(酸素センサ101)について簡単に説明する。なお、酸素センサ101は、例えば、内燃機関の排ガス中の酸素を検出する用途に用いられる。
【0058】
ガスセンサ101(酸素センサ101)の全体構成を表す断面図を、
図3に示す。
酸素センサ101は、図に示すように、有底筒状の筒型検出素子104と、ハウジング138と、プロテクタ142と、を備えている。
【0059】
筒型検出素子104は、ジルコニアを主成分とする固体電解質体により構成されており、軸線方向に延びて先端(図の下側)が閉じた有底筒状に形成されている。筒型検出素子104は、被測定ガスに接触する検出部108を先端に有している。筒型検出素子104は、自身の内部に配置される棒状のセラミックヒータ103によって加熱されることで、酸素(特定ガス)を検出可能な活性化状態となる。
【0060】
ハウジング138は、検出部108を先端から突き出させた状態で筒型検出素子104の径方向周囲を取り囲むとともに、酸素センサ101の内部構造物を収容する。また、ハウジング138は、酸素センサ101を排気管等の取付部に固定するために備えられている。
【0061】
プロテクタ142は、筒型検出素子104の検出部108を覆うように、ハウジング138に固定されている。プロテクタ142は、有底筒状の外側筒状部材181と、外側筒状部材181の内側に配置された有底筒状の内側筒状部材191と、を備えた二重構造に形成されている。プロテクタ142とハウジング138との接合部143は、溶接等により形成される。
【0062】
プロテクタ142の外側筒状部材181および内側筒状部材191は、それぞれ、第1実施形態のプロテクタ42と同様の材料で構成されている。
このため、酸素センサ101は、第1実施形態の全領域空燃比センサ2と同様に、高温環境下でのプロテクタ142の耐酸化性に優れると共に、冷熱サイクルの生じる環境下でもハウジング138からのプロテクタ142の脱落を抑制できる。
【0063】
ここで、特許請求の範囲と第2実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
酸素センサ101がガスセンサの一例に相当し、筒型検出素子104がガス検出素子の一例に相当し、ハウジング138が主体金具の一例に相当し、排ガスが被測定ガスの一例に相当し、酸素が特定ガスの一例に相当する。