特許第6239907号(P6239907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239907
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】プリント基板切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/24 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   B26D1/24 B
   B26D1/24 E
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-184814(P2013-184814)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2015-51477(P2015-51477A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】597002807
【氏名又は名称】株式会社 テクニカルサポート
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】特許業務法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 純夫
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−044071(JP,A)
【文献】 特開2004−127340(JP,A)
【文献】 特開2005−288674(JP,A)
【文献】 実開昭56−083396(JP,U)
【文献】 特開2013−018086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その刃先が対向して配置される回転刃間にプリント基板を搬送して切断するプリント基板切断装置において、
前記回転刃がその軸方向に摺動可能に複数枚多列に配置されている一対の回転軸と、
前記回転軸に配置される複数枚の回転刃を縮小付勢する弾性手段と、
を備え、
前記弾性手段は、一対の回転軸の両端側に配置され、回転軸に複数枚多列に配置される回転刃をその軸方向内側に縮小付勢する一対のスプリングであることを特徴とするプリント基板切断装置。
【請求項2】
前記一対の回転軸の一方に回転駆動部が設けられ、
他方の回転軸が搬送されるプリント基板に当接する回転刃との摩擦力によって自由回転可能に配置されていることを特徴とする請求項1記載のプリント基板切断装置。
【請求項3】
前記一対の回転軸の軸方向に沿って設けられた溝に前記回転刃が多列に配置され、
前記回転刃の軸方向への自由摺動を可能にすることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント基板切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器製造において用いられるプリント基板切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器などのプリント基板を効率よく生産するため、大判の状態で回路を形成した製品を切断装置を用いて、多数個に切断(カット)する方法が各種検討されている。
従来の切断装置においては、例えば図3(a)に示すように、実装前の基板の状態でVカットマシンにて予めスクライブラインとなるV溝の形成加工を予め行い、その後V溝に沿って分割する。
このような従来の切断装置を用いた切断方法においては、V溝形成加工用のホイール(回転刃)を基板に押し付け、ホイールを回転させながら基板上を走査させ、基板表面にスクライブライン(V溝)を形成加工し、その後、基板に圧力を印加してスクライブラインに沿って基板を分割するようにしている。
【0003】
基板切断における従来技術に関連して、例えば、特許文献1にはホイールの円周面にV字状の刃を形成しホイールと基板との間の摩擦力を上げ、ホイールの回転を安定させる方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、基板の切断に用いるホイールと同軸に連結され、このホイールの回転を補助するための補助ローラを備えた基板切断装置が記載されている。
また、特許文献3には、複数の回転刃を同軸上に等間隔で配置してスクライブラインに沿って走行させることによって基板を一度の走査で多列分割する装置が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平6−56451号公報
【特許文献2】特開2004−117540号公報
【特許文献3】特開2001−144407号公報(図3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2の方法においては、基板との間の摩擦力が付加され、スクライブラインの側面やスクラブライン近傍に凹凸や傷が形成されることから、それら凹凸や傷を起点とした切断不良が発生しやすいという問題があった。
【0007】
また、特許文献3のように、複数の回転刃を回転軸に同軸上に多列に配置した切断装置においては、各回転刃が回転軸上に固定されているので、一枚の基板に一度の操作で多数列のV溝を形成しようとすると、複数の回転刃が各V溝にそれぞれ挿入されることによってカットされた基板が幅方向(回転刃の軸方向)にずれ、V溝に挿入された回転刃も軸方向(外側方向)へ変形させられることによって、回転刃の割れや欠けが発生するという問題があった(図3(b)参照)。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するためになされたもので、上下一対の回転刃で基板を一度の操作で多列に切断する際において、回転刃に生ずるストレスを解消して、回転刃の破損を防止するとともに、基板切断操作を歩留まりよく効率的に行うことができるプリント基板切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係るプリント基板切断装置は、
その刃先が対向して配置される回転刃間にプリント基板を搬送して切断するプリント基板切断装置において、
前記回転刃がその軸方向に摺動可能に複数枚多列に配置されている一対の回転軸と、
前記回転軸に配置される複数枚の回転刃を縮小付勢する弾性手段と、
を備え、
前記弾性手段は、一対の回転軸の両端側に配置され、回転軸に複数枚多列に配置される回転刃をその軸方向内側に縮小付勢する一対のスプリングであることを特徴とする。
【0010】
(2)本発明のプリント基板切断装置は、上記(1)において、前記一対の回転軸の一方に回転駆動部が設けられ、他方の回転軸が搬送されるプリント基板に当接する回転刃との摩擦力によって自由回転可能に配置されていることを特徴とする。
【0012】
(3)本発明に係るプリント基板切断装置は、上記(1)又は(2)において、
前記一対の回転軸の軸方向に沿って設けられた溝に前記回転刃が多列に配置され、
前記回転刃の軸方向への自由摺動を可能にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回転刃がその回転軸上に摺動可能に複数枚多列に配置されるとともに、前記回転軸に配置される複数の回転刃の間隔を軸方向内側に縮小付勢する弾性手段を備えているので、上下一対の回転刃で基板を切断する際において回転刃に付加されるストレスを解消して回転刃の破損を防止することができ、基板切断工程を歩留まりよく効率的に行うことができる。
【0014】
さらに、従来における基板の手割り工程を省略して、プリント基板の切断を機械化することができ、手割りで発生しやすいハンダ付け部分やパターン部分の損傷を防ぎことができる。
また、不要な切り屑が発生せず、しかも、複数枚多列に配置した回転刃間への安定した基板供給を可能にして連続切断の生産効率性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係るプリント切断装置の概略正面図である。
図2】本発明の実施例に係るプリント切断装置の側面図である。
図3】本発明の実施例に係るプリント切断装置において、回転刃の回転軸への取り付け方法を示す説明図であり、(a)は止めネジによって取り付ける場合、(b)はキー溝によって取り付ける場合、(c)はスプラインによって取り付ける場合を示す。
図4】プリント切断装置における問題点を説明する概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るプリント基板切断装置は、その刃先が対向して配置される回転刃間にプリント基板を搬送して切断するプリント基板切断装置において、前記回転刃がその軸方向に摺動可能に複数枚多列に配置される一対の回転軸と、前記回転軸に配置される複数枚の回転刃を縮小付勢する弾性手段と、を備えるように構成されている。
これによって、上下に対向配置された複数枚の回転刃間に基板を挿入して、一度の操作で切断する際において、基板の切断部に挿入によって生ずる回転刃の回転軸外側方向へのストレスを、回転刃を軸方向に摺動させることで解消するとともに、回転刃の幅方向への広がりを弾性手段によって縮小付勢するように作用して、切断刃の割れや欠けなどの発生を防止することができる。
【0017】
プリント基板切断装置は、電子部品等に使用されるプリント基板の原基板を、一度の操作で多列状に正確・迅速に切断することを可能とする装置である。
プリント基板については、大判の原基板にエッチング・実装を行い、切断してチップ製品とする。その際、最終工程の切断を容易にすべくエッチング処理後基板にV溝を多列直線状または碁盤目状に施すことが一般的である。
これら各工程については機械化が進む中、最終工程である切断については、「くさび型」の回転刃を挿入して切断する作業を行う。
【0018】
回転刃は、その刃先部分の円周先端がV字状に形成されているとともに、その中心には回転軸へ取り付けるための軸穴が形成されたドーナツ状の円盤状を呈している。
また、回転刃の刃先の断面はV字状を呈しており、先端角度は約15〜50度程度に設定されている。
回転刃材質としては、高速度鋼(SKH51)などを適用でき、さらには特殊コーティングによる長寿命化を図ることもできる。
【0019】
回転軸は、回転刃の回転を規制するとともに、回転刃の軸方向への摺動を許容するように溝やスプライン等が形成されている。
回転軸を電動モータなどに連結される駆動軸とする場合には、ギアボックスなどを介して動力が伝達される。
なお、上下一対の回転軸間の距離は、ネジスライド機構などを介して調整可能に設定することができる。
各回転刃の間隔は回転刃間に介挿される厚みの異なるスペーサーなどによって調整可能とすることができる。
【0020】
弾性手段としては、回転軸に配置される複数枚の最外列回転刃の外側から内側方向に縮小付勢するためのスプリングや合成樹脂製パッキンなどを用いることができる。
切断部による回転刃の広がりを縮小付勢させる機能を有している。
これによって、回転刃や基板の割れ、欠けを防止することができる。
なお、基板の幅決めガイドを設けることによって、さらに安定した連続切断が可能である。
【0021】
本実施形態に係るプリント基板切断装置は、前記回転軸の一方に回転駆動部が設けられ、他方の回転軸が搬送されるプリント基板に当接する回転刃との摩擦力によって自由回転可能に配置することもできる。
これによって、基板の搬送に連動して回転して切断部を形成する。
また、下刃も上刃と同様に軸方向に縮小させる縮小付勢手段を有している。
【0022】
さらに本実施形態に係るプリント基板切断装置は、前記弾性手段が前記回転軸の両端側に配置され、積数列多列に配置される回転刃を、その軸に沿ってその内側方向に縮小付勢する一対のスプリングとすることもできる。
これによって、プリント基板の切断に用いる回転刃間を伸縮付勢することができるフローティング状態に保持するとともに、装置構成をコンパクトに設定することができる。
【0023】
回転刃を用いて基板をカットする際には、その刃部の厚さ分の幅方向の広がりが生じ、その切断部に挿入された複数の回転刃も幅方向(回転軸方向)に移動させられて歪みが発生する。
すなわち、刃先角度30度の回転刃を基板に挿入すると、基板には上下方向より30度の角度でV溝の切断部が形成されて切断されるが、その際、複数の回転刃を基板に挿入して、一度の操作で多列の切断を実行しようとすると、切断部に挿入されている回転刃も幅方向に広がることになり、回転刃には歪み(ストレス)が発生し破損しやすくなる。
そこで、各回転刃の回転軸方向への摺動を許容し、回転刃には歪み(ストレス)を発生させないようにしている。
【0024】
最外側に配設された2枚の回転刃の外側両端には、スプリングを配置して、複数枚の回転刃をそれぞれ軸方向内側に縮小付勢するようにしている。
このような回転刃の幅広がりによるストレスを効果的に解消するともに、各回転刃をフレキシブルに支持して、スムーズな切断加工を連続的かつ安定的に行うことを可能としている。
【0025】
また、本実施形態に係るプリント基板切断装置は、前記回転軸の軸方向に沿って設けられた溝に複数の前記回転刃が複数枚多列に配置されており、前記回転刃の軸方向への摺動を自在可能にするとともに前記回転軸の回転駆動力を伝達可能にしている。
これによって、切断時の回転刃の破損を防止している。
【実施例】
【0026】
以下、本発明のプリント基板切断装置の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の実施例のプリント切断装置の概略正面図であり、図2はその側面図である。
図3は、実施例のプリント切断装置において、回転刃の回転軸への取り付け方法を示す説明図である。
図4はプリント切断装置における問題点を説明する概略説明図である。
図1図2図3(a)に示すように、本実施例のプリント基板切断装置10は、装置本体11に支持体11a、11bを介して配置された上下一対の回転軸12、13と、それらの回転軸12,13の軸面に設けられた溝14bに沿って止めネジで複数枚取り付けられた各7枚の回転刃14と、軸上に配置された各回転刃14を縮小付勢するように回転軸12,13の左右両端に配置された弾性手段の一例であるスプリング15、16とを備えている。
また、回転刃14の回転軸12,13の取り付けは、図3(b)に示すように溝14bに沿ってキー14dを差し込む方法や、図3(c)に示すようにスプラインを形成する方法もある。
【0027】
また、下段側の回転軸13には、回転軸13に回転駆動力を伝達するための電動モータ17と、上段側の回転軸12の高さ位置をネジ送り調節して上下に対向配置された回転刃14の刃先の間隔を所定値に設定するための刃先間隙調整機構18とを備えている。
【0028】
回転軸12、13は上下一対として設けられており、各回転軸12、13には、複数枚の円盤状の回転刃14が回転刃ホルダー14aや任意の厚みを有するスペーサーなどを介して多列に装着されている。
各7枚の回転刃14は、その中心に回転軸12,13に止めネジ14cよって回転が規制され、回転軸の回転に伴って、全回転刃14が滑ることなく同時回転するようになっている。
また、各回転刃14は軸方向に動き得る自由度を有するように(軸方向に摺動可能)、回転軸12,13への回転刃14の取り付けが調整されている。
【0029】
回転刃14は、その刃先断面が約15〜50度の略V字状や丸型状などであって、プリント基板の材質や厚みなどに応じて、適正な刃先角度、形状に設定されたものを適宜用いることができる。
また、各回転刃14の間隔は、刃先間隔調整機構18によって上側の回転軸12の位置を調整することによって設定することができる。
【0030】
図4に示すように、大判のプリント基板の原基板Pは、チップ大に小分割するため、プリント基板分割装置10にてスクライブラインとなるV溝に沿って分割される。
本実施例のプリント基板切断装置10はこの分割工程で使用され、複数の回転刃14を回転軸上に配置させたことによる多列切断を可能にするとともに、材質及び形状面で多様化する基板素材(アルミ銅等)にも対応可能な多列切断を実行することができ、回転刃14を破損することなしに、原基板Pを精密に切断することが可能である。
【0031】
すなわち、本実施例のプリント基板分割装置10は、7列の回転刃14を有し、様々な基板のタイプに対応すべく、切断される一列分の幅寸法を可変とすることができる切断装置とすることができ、原基板Pを安定送りさせる機構や、回転刃の回転速度等の各種制御装置を設けることもできる。
また、回転刃14については、そのV字状の刃先を挿入して切断することはもちろん、原基板Pの素材に応じて刃部の形状の回転刃を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のプリント基板切断装置は、回転刃がその回転軸に対して摺動可能に複数枚多列に配置されるとともに、回転軸に多列に配置される回転刃間を縮小付勢する弾性手段を備えているので、上下一対の回転刃で基板を切断する際において回転刃に生ずるストレスを回転刃を軸方向に摺動させることで解消するとともに、回転刃の幅方向への広がりを弾性手段によって付勢して回転刃の破損を防止するようにした。
これによって、基板切断工程を歩留まりよく効率的に行うことができ。産業上の利用可能性が極めて高くなり、今後増加が予想される軽金属製基板の切断にも適用が容易となる。
また様々な大きさや素材の基板に柔軟に対応することもでき、汎用性を高めることもできる。
こうして、基板実装工程の完全機械化及び大幅な生産効率の向上が可能であり、各種電子部品等製造メーカー及び産業用機械製造メーカーへの適用が期待される。
【符号の説明】
【0033】
10 プリント基板切断装置
11 装置本体
11a、11b 支持体
12、13 回転軸
14 回転刃
14a 回転刃ホルダー
14b 溝
14c 止めネジ
14d キー
14e スプライン
15、16 スプリング(弾性手段)
17 電動モータ
18 刃先間隔調整機構
図1
図2
図3
図4