特許第6239908号(P6239908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239908タービンで使用されるための排気システム並びにその組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239908
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】タービンで使用されるための排気システム並びにその組立方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/30 20060101AFI20171120BHJP
【FI】
   F01D25/30 A
   F01D25/30 B
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-190434(P2013-190434)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-55229(P2015-55229A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】プラカッシュ・バヴァンジバイ・ダルサニア
(72)【発明者】
【氏名】アンタヌ・サデュ
【審査官】 松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05603605(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01921278(EP,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01561909(EP,A1)
【文献】 特開2013−148082(JP,A)
【文献】 特開2012−107619(JP,A)
【文献】 実開昭55−020607(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン(100)で使用される排気システム(200)を組み立てる方法であって、
入力(202)及び出力(204)を含む排気フード(110)をタービンに結合して、タービンから吐出された流体を排気フードに流入させる段階であって、排気フードが、入力から出力に延在する少なくとも第1の側壁(602)によって画成され、第1の側壁(602)に1以上の開口(612)が画成されている、段階と、
多段エジェクタ(500)を排気フードに結合し、排気フード内を流れる流体の流れ剥離を低減させる段階であって、多段エジェクタ(500)がハウジング(502)を含んでいて、前記ハウジング(502)が、第1の端部(520)と、第2の端部(524)と、第1の端部から第2の端部に延在する中間セクション(522)とを有しているとともに、前記ハウジングが、複数の入口(506、508、512)及び1以上の出口(510)を含んでいる、段階と、
前記1以上の開口(612)を介して排気フードから吐出される流体を受けるように前記複数の入口の少なくとも1つを排気フード(110)に結合する段階と
を含む方法。
【請求項2】
多段エジェクタを排気フードに結合する段階がさらに、1以上のポート(614)を1以上の出口に結合する段階を含み、1以上のポートが、排気フードの入力と出力の間に延在する第2の側壁(604)に画成される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
当該方法がさらに、前記複数の入口の少なくとも1つを1以上の開口と流体連通して結合し、流体が1以上の開口から前記複数の入口の少なくとも1つに送られるようにする段階を含む、請求項1又は請求項2記載の方法。
【請求項4】
当該方法がさらに、排気フードを復水器(114)に結合し、復水器が排気フードから吐出された流体を受け入れる段階を含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
当該方法がさらに、ヘッダ(116)を前記複数の入口の少なくとも1つと流体連通して結合し、高圧蒸気がヘッダから前記複数の入口の少なくとも1つに送られるようにする段階を含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
タービン(100)で使用されるための排気システム(200)であって、
タービンから吐出された流体を受けるように配置された入力(202)と、出力(204)とを含む排気フード(110)であって、入力と出力の間に延在する第1の側壁(602)にして1以上の開口(612)が画成された第1の側壁(602)を含む排気フード(110)と、
排気フードに結合された多段エジェクタ(500)であって多段エジェクタ(500)がハウジング(502)を含んでいて、前記ハウジング(502)が、第1の端部(520)と、第2の端部(524)と、第1の端部から第2の端部に延在する中間セクション(522)とを有しているとともに、前記ハウジングが、複数の入口(506、508、512)と1以上の出口(510)を含んでおり、複数の入口の少なくとも1つが、排気フードに流体連通して結合されて、1以上の開口を介して排気フードから吐出された流体を受け入れる、多段エジェクタ(500)と
を備える、排気システム。
【請求項7】
排気フードがさらに、排気フードの入力と出力の間に延在する第2の側壁(604)を含み、第2の側壁が1以上のポート(614)が画成され、該ポートが多段エジェクタから吐出された流体を受けるように構成される、請求項6記載の排気システム。
【請求項8】
複数の入口うちの1つが、開口を介して排気フードから吸い込まれた流体を受け、該流体が、複数の入口うちの別の入口に流入する流体によって発生される真空により吸い込まれ、請求項7記載の排気システム。
【請求項9】
排気フードが復水器(114)と流体連通している、請求項6乃至請求項8のいずれか1項記載の排気システム。
【請求項10】
中間セクション入口(512)を含む多段エジェクタの複数の入口の少なくとも2つの各々が、ヘッダ(116)から流体を受け取る、請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の排気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、全体的に、タービンエンジンに関し、より具体的には、タービンエンジンで使用されるための排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンのような回転機械は、発電機への動力を生成するのに用いることができる。公知の蒸気タービンは、シェル内に画成される蒸気経路を有し、該シェルは、直列流れ関係で、入口と、1以上のタービンと、出口とを含む。公知のタービンは、円周方向に離間した回転バケット又はブレードの1以上の列を含む。
【0003】
低負荷及び/又は始動状態の間、流入する蒸気が高圧であることに起因して、入口付近で蒸気の漏洩が生じる場合がある。その上、これらの作動状態の間、タービンの低圧(LP)セクションが真空下にあるので、望ましくない量の大気空気がタービンシステムに引き込まれる可能性がある。少なくとも一部の公知のタービン構成は、低負荷及び/又は始動状態の間の蒸気漏洩を低減することができる冗長的な蒸気シールシステムを含む。例えば、少なくとも一部の公知の蒸気シールシステムは、所定の作動状態中に蒸気シールに低圧蒸気を供給する。低圧蒸気は、大気空気が蒸気タービンのLPセクションに侵入するのを防ぎ、蒸気タービンの高圧(HP)セクションにて正圧を維持するのを助ける。タービン負荷が増大すると、蒸気シールヘッダから配向された高圧及び/又は高温の蒸気の一部だけがシール目的で使用され、残りの蒸気は復水器に送られる。少なくとも一部の公知の蒸気タービンはまた、タービンの最終段から下流側に排気フードを含む。公知の排気フードは、蒸気の静圧を取り戻すのを助け、また、タービンの最終段から復水器に蒸気を誘導する。しかしながら、少なくとも一部の公知の排気フードは、蒸気を復水器に向けて約90°転回させる必要がある。蒸気流の方向の急激な変化は、フード内で蒸気の流れを分離させる可能性がある。この流れ剥離は、静圧回復を低下させ、タービン効率を低下させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0121404号明細書
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、タービンで使用される排気システムを組み立てる方法が提供される。本方法は、入力及び出力を含む排気フードをタービンに結合して、タービンから吐出された流体を排気フードに流入させる段階を含む。排気フードは、入力から出力に延在する第1の側壁によって画成される。第1の側壁には、1以上の開口が画成される。本方法はさらに、エジェクタを排気フードに結合し、排気フード内を流れる流体の流れ剥離を低減させる段階を含む。エジェクタは、複数の入口と1以上の出口とを含む。入口の少なくとも1つは、開口を介して排気フードからの流体を受ける。
【0006】
別の実施形態では、蒸気タービンで使用されるための排気システムが提供される。排気システムは、入力及び出力を有する排気フードを含む。入力は、蒸気タービンから吐出された流体を受けるよう構成される。排気フードはさらに、入力と出力との間に延在する第1の側壁を含む。第1の側壁には、1以上の開口が画成される。排気システムはまた、排気フードに結合されたエジェクタを含み、該エジェクタは、複数の入口と1以上の出口とを含む。入口の少なくとも1つは、1以上の開口を介して排気フードから流体を受けるように配置される。
【0007】
さらに別の実施形態では、蒸気タービン組立体が提供される。蒸気タービン組立体は、ヘッダと排気システムとを有する蒸気タービンを含む。排気システムは、入力及び出力を有する排気フードを含む。入力は、蒸気タービンから吐出された流体を受けるように構成される。排気フードはさらに、入力と出力との間に延在する第1の側壁を含む。第1の側壁には、1以上の開口が画成される。排気システムはまた、排気フードに結合されたエジェクタを含み、該エジェクタは、複数の入口と1以上の出口とを含む。入口の少なくとも1つは、1以上の開口を介して排気フードから流体を受けるように配置される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示的な公知の蒸気タービン組立体の概略図。
図2図1に示す蒸気タービン組立体と共に用いることができる例示的な排気システムの概略図。
図3図2に示す例示的な排気システムの概略図。
図4図3に示す排気システムと共に用いることができる例示的な単一段エジェクタの概略図。
図5図3に示す排気システムと共に用いることができる例示的な多段エジェクタの概略図。
図6図3に示す排気システムと共に用いることができる例示的な排気フードの斜視図。
図7A】流体入力/出力の無い排気フード内の例示的な流体ダイナミックスの概略図。
図7B】蒸気ガイド吸引のみを有する排気フード内の例示的な流体ダイナミックスの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で記載される方法及び装置は、タービン組立体と共に使用できる排気システムに関する。排気システムは、排気フード及びエジェクタを含み、これらを組み合わせて機能させ、拡散性能の改善及び静圧回復の改善を可能にする。より具体的には、例示的な実施形態では、エジェクタは、単一段又は多段のエジェクタであり、排気フード内の流れ剥離を低減することができる。流れ剥離は、排気フードに対して吸引効果及びブロー効果の何れかを誘起することにより低減される。従って、蒸気タービンの効率を改善することが可能となり、タービン組立体に関連する費用が低減される。
【0010】
図1及び2は、例示的な蒸気タービン組立体100及び例示的な排気システム200の概略図である。例示的な実施形態では、タービン組立体100は、高圧(HP)セクション104及び低圧(LP)セクション106を有する蒸気タービン102を含む。ロータシャフト108は、タービンセクション104及び106を通って延在して、軸受112を含む。軸受112は、シャフト108を支持し、LPセクション106に隣接している。排気フード110は、LPセクション106から下流側に位置付けられ、蒸気タービン102から吐出される流体を受けるように配置される。排気フード110は、蒸気タービン102から吐出される流体164a、164bを復水器114に向けて送る。
【0011】
例示的な実施形態では、排気システム200は、排気フード110、蒸気シールヘッダ116、及びエジェクタ118を含む。例示的な実施形態では、蒸気シールヘッダ116は、蒸気などの流体154の加圧流をシールの目的でLPセクション106に提供する。シール目的で使用されない蒸気シールヘッダ116からの蒸気156は、エジェクタ118に向けて送られる。さらに、例示的な実施形態では、エジェクタ118は、排気フード110から配向される流体を受け取り、また、排気フード110及び/又は復水器114に流体を送る。従って、エジェクタ118は、通常は復水器114に送られる蒸気156を使用する。さらに、例示的な実施形態では、排気フード110は、2つの拡散通路(図示せず)を含む。しかしながら、排気フード110が本明細書で記載される機能を果たすような任意の好適な数の拡散通路を含むことができる点は理解されたい。従って、例示的な実施形態では、蒸気160a、160bは、排気フード110から吸い込まれ、蒸気162a、162bは、排気フード110にて受け取られる。
【0012】
図3は、蒸気タービン組立体100(図1に示す)と共に用いることができる例示的な排気システム300の概略図である。排気システム300は、排気フード110と、エジェクタ118とを含む。排気フード110は、蒸気タービン102(図2に示す)から吐出される流体を受けるようなサイズ及び向きにされた入力302を含む。排気フード110はまた、タービン組立体100から吐出される蒸気164a、164bがフード100を通って復水器114に送られるように復水器114(図2に示す)と流体連通して結合された出力304を含む。
【0013】
さらに、例示的な実施形態では、エジェクタ118は、排気フード110と流体連通して結合される。例えば、例示的な実施形態では、エジェクタ118は、単一段エジェクタ400(図4に示す)又は多段エジェクタ500(図5に示す)の何れかを含む。例示的な実施形態では、エジェクタ118は、第1の入口306、第2の入口308、及び出口310を含む。第1の入口306は、ヘッド116(図2に示す)から蒸気156を受け取り、第2の入口308は、排気フード110から吐出される蒸気160を受け取る。エジェクタ118はまた、復水器114への吐出蒸気166用及び/又は排気フード110への吐出蒸気162用の1以上の出口310を含む。
【0014】
図4は、単一段エジェクタ400の概略図であり、図5は、排気システム300(図3に示す)と共に使用できる多段エジェクタ500の概略図である。例示的な実施形態では、エジェクタ400は、第1の入口406、第2の入口408、例えば、出口410を含む。入口406は、ヘッダ116からの蒸気156を受け取り、第2の入口408は、排気フード110から吐出された蒸気160を受け取る。より具体的には、例示的な実施形態では、入口406に流入する蒸気156は、蒸気160が排気フード110から入口408に吸い込まれるようにハウジング402内に真空を発生させる。さらに、例示的な実施形態では、単一段エジェクタ400は、蒸気166を復水器114に向けて吐出する。
【0015】
多段エジェクタ500は、第1の端部520、第2の端部524、及び第1及び第2の端部520、524間を延在する中間セクション522を有するハウジング502を含む。ハウジング502は、第1の端部520を収容するのに画成される複数の入口と、第2の端部524を収容するのに画成される出口510とを含む。例えば、例示的な実施形態では、ハウジング502は、第1の入口506及び第2の入口508を含む。従って、第1の入口506は、ヘッダ116から吐出された蒸気156を受け取り、入口508は、排気フード110から吐出された蒸気160を受け取り、出口510は、流体を復水器114及び排気フード110の一方に吐出する。さらに、例示的な実施形態では、多段エジェクタ500は、ヘッダ116から吐出される蒸気156を受ける中間セクション522に画成される第3の入口512を含む。従って、蒸気156は、入口506、512に流入し、蒸気160が排気フード110から入口508に吸い込まれるようにハウジング502内に真空を発生させる。
【0016】
さらに、例示的な実施形態では、多段エジェクタ500は、単一段エジェクタ400の流出流166と比べて、エジェクタ流出流162の圧力を増大させることができる。多段エジェクタ500は、入口506、512を介してヘッダ116から蒸気156を受け取り、多段エジェクタ500内を流れる流体の作動圧力を増大させることができる。例示的な実施形態では、蒸気162は、同じ作動条件下で単一段エジェクタ出口410から出る蒸気166よりも高圧で出口510から流出する。従って、多段エジェクタ500は、ヘッダ116から利用可能な駆動流体蒸気156が排気フード110における十分なブロー又は複合ブロー及び吸引源を提供するのに十分な圧力又は流量でない状況で用いることができる。
【0017】
従って、多段エジェクタ500により、ヘッダ116から受け取った蒸気156をタービン組立体100で使用することができる。一般に、蒸気156の高温は、タービン組立体100の蒸気経路(図示せず)に沿って混合する能力が制限される。多段エジェクタ500は、駆動流源として蒸気156を使用して、ハウジング502内に真空を発生させ、蒸気160を入口508に吸い込むことができるようにする。蒸気162は、多段エジェクタ500に流入する蒸気156よりも低温低圧で多段エジェクタ500から流出する。従って、出口510から吐出される蒸気162は、排気フード110に対するブロー源として用いることができる。
【0018】
図6は、排気フード110の概略図である。例示的な実施形態では、排気フード110は、入力202と出力204とを含む。入力202は、蒸気タービン102から吐出された蒸気(図示せず)を受け取り、出力204は、蒸気164a及び164b(図2に示す)を復水器114(図2に示す)に吐出する。さらに、例示的な実施形態では、排気フード110は、蒸気ガイド602及び軸受コーン604を含む。蒸気ガイド602は、入口202と出力204との間に延在して、1以上の開口612が形成された第1の内側側壁である。各開口612は、排気フード110からエジェクタ118(図2に示す)に蒸気164a及び164b(図2に示す)を吐出する。開口612から吐出される蒸気164a及び164bは、第1の入口406及び506(図4及び5に示す)に流入する蒸気156によって生成される真空により、排気フード110から吸い込まれる。軸受コーン604は、入力202と出力204との間に延在して1以上のポート614が画成された半径方向外側の第2の側壁である。ポート614は、出口310と流体連通して結合され、ポート614がエジェクタ118から吐出される蒸気162を受け入れる。従って、蒸気162は、排気フード110のブロー源として機能を果たす。
【0019】
第1の入口406、506に流入する蒸気160によって発生する真空により生成される蒸気ガイド602の吸引は、該蒸気ガイド602での流れ剥離を阻止することにより、排気フード110内の拡散性能を改善することができる。さらに、ブロー源として軸受コーン604に蒸気162(図3に示す)を付加することにより、軸受コーン604の境界層が励起することにより排気フード110内の拡散性能を改善することができる。従って、ブロー源としての蒸気162の使用は、部分負荷状態中の性能を改善するのに利用することができる。
【0020】
図7Aは、流体入力/出力のない排気フード110内の流体ダイナミックスの概略図であり、図7Bは、蒸気ガイド吸引のみを有する排気フード110内の流体ダイナミックスの概略図である。例示的な実施形態では、正常運転中、排気フード110が流体入力及び/又は出力を含まない場合には蒸気ガイド602において流体剥離702が生じる。部7Bにおいて蒸気ガイド吸引の付加及び/又は軸受コーンブローによって、排気フード110内の拡散性能を向上させ、排気フード110内の流れ剥離を低減又は排除することができる。さらに、軸受コーンブローによって、特に軸受コーン604の境界層にて排気フード110内を流れる流体速度を増大させることができる。本明細書で記載される実施形態では、蒸気ガイド吸引が、単一段エジェクタ400又は多段エジェクタ500により可能にされ、軸受コーンブローは、多段エジェクタ500により可能にされる。従って、軸受コーンブローと組み合わせた蒸気ガイド吸引の付加により、蒸気ガイド吸引の適用のみ又は軸受コーンブローのみの場合と比べて、拡散性能をより効率的に改善することができる。
【0021】
拡散性能の改善に加えて、蒸気ガイド吸引及び軸受コーンブローは、排気フード内の静圧回復を向上させる。より具体的には、蒸気ガイド吸引及び軸受コーンブローによって可能にされる排気フードを通じた圧力増大は、静圧回復を増大させる。静圧回復の増大により、排気損失が低減され、これによりタービン効率が増大する。
【0022】
その上、公知の蒸気タービン組立体において、蒸気シールヘッダからの蒸気流の一部だけが、タービンの低圧端部にてシール目的で使用される。一般に、シール目的で使用されない蒸気流の一部は、復水器に配向され、ここではそれ以上利用されない。復水器に蒸気を配向するのではなく、本明細書で記載される例示的な実施形態は、蒸気流を用いて拡散性能を改善し、公知の排気フード組立体における静圧回復を増大させる。従って、全体のタービン効率が改善され、タービン組立作業に伴うコストが低減される。
【0023】
本明細書で記載される排気システムの方法及び装置は、蒸気タービンエンジンの作動を向上させることができる。より具体的には、本明細書で記載される排気システムは、排気フードにおける拡散性能を向上させる。本明細書で記載され例示された方法、装置、又はシステムの実施は、排気システム、蒸気タービンエンジン全体、又は複流蒸気タービンのいずれにも限定されない。むしろ、本明細書で記載され例示された方法、装置、又はシステムは、本明細書で記載される他の構成要素及び/又はステップから独立して別個に利用することができる。
【0024】
本発明の種々の実施形態の特定の特徴要素は、一部の図面において図示され、他の図面では示されていない場合があるが、これは便宜上のことに過ぎない。本発明の原理によれば、図面の何れかの特徴は、他の何れかの図面の特徴と組み合わせて言及し及び/又は特許請求することができる。
【0025】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0026】
100 タービン組立体
102 蒸気タービン
104 高圧セクション
106 低圧セクション
108 ロータシャフト
110 排気フード
112 軸受
114 復水器
116 ヘッダ
118 エジェクタ
154 流体
156 蒸気
160 蒸気
162 蒸気
166 蒸気
200 排気システム
202 入力
204 出力
300 排気システム
302 入力
304 出力
306 第1の入口
308 第2の入口
310 出口
400 エジェクタ
402 ハウジング
406 第1の入口
408 第2の入口
410 出口
500 多段エジェクタ
502 ハウジング
506 第1の入口
508 第2の入口
510 出口
512 第3の入口
520 第1の端部
522 中間セクション
524 第2の端部
602 蒸気ガイド
604 軸受コーン
612 開口
614 ポート
702 流れ剥離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B