特許第6239915号(P6239915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京インキ株式会社の特許一覧

特許6239915金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物およびその塗料組成物を用いた物品
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239915
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物およびその塗料組成物を用いた物品
(51)【国際特許分類】
   C09D 4/02 20060101AFI20171120BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20171120BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20171120BHJP
   C09D 191/06 20060101ALI20171120BHJP
   C09D 123/06 20060101ALI20171120BHJP
   C09D 127/18 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   C09D4/02
   C09D201/00
   C09D7/12
   C09D191/06
   C09D123/06
   C09D127/18
【請求項の数】11
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-199080(P2013-199080)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-80596(P2014-80596A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2016年8月23日
(31)【優先権主張番号】特願2012-213355(P2012-213355)
(32)【優先日】2012年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219912
【氏名又は名称】東京インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高井 淳生
【審査官】 中野 孝一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−179511(JP,A)
【文献】 特開昭59−036163(JP,A)
【文献】 特開2001−078894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D1/00−13/00、
C09D101/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フェノール構造含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する単官能重合性モノマー、(B)分子内に8個以上のエチレン性二重結合基を有する多官能重合性オリゴマー、(C)シリコン系レベリング剤を含有し、
前記フェノール構造含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する単官能重合性モノマーが下記一般式(1)および/または(2)で表される重合性モノマーであることを特徴とする金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【化1】
式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表わし、Rは、アルキレン基を表わし、nは、0〜8の整数を表わし、Xは、フェニル基またはアルキル基を表わす。
【化2】
式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基を表わし、Rは、アルキレン基を表わし、nは、0〜4の整数を表わす。
【請求項2】
前記分子内に8個以上のエチレン性二重結合基を有する多官能重合性オリゴマーがアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、アリル基およびビニルエーテル基からなる群から選ばれる一または二以上の官能基を有する重合性オリゴマーであることを特徴とする請求項1に記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【請求項3】
前記分子内に8個以上のエチレン性二重結合基を有する多官能重合性オリゴマーの官能基数が14〜20であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【請求項4】
前記シリコン系レベリング剤がポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【請求項5】
さらに、(D)末端に疎水基含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する(A)成分以外の単官能重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【請求項6】
さらに、(E)ポリマーワックスを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【請求項7】
前記ポリマーワックスが、ポリエチレンワックスまたはポリテトラフルオロエチレンワックスであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【請求項8】
さらに、(F)ベンゾトリアゾールまたはその誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【請求項9】
前記ベンゾトリアゾールまたはその誘導体が、1,2,3−ベンゾトリアゾールであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物によって、基材の表面に塗膜が形成されたものであることを特徴とする物品。
【請求項11】
前記基材が、金属または金属酸化物であることを特徴とする請求項10に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属基材用の活性エネルギー線硬化型塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からプラスチックや金属などの基材の耐腐食性や耐磨耗性などの向上を目的として、各種コーティング剤が用いられている。これらのコーティング剤の例として、特許文献1には、銅または銅合金製のファスナーエレメントのコーティング方法が開示されているが、エレメントの脱脂工程、中和工程、化学研磨工程、酸洗工程、防錆工程、乾燥工程、クリア塗装工程と多数の工程があり、乾燥のための乾燥炉やクリア塗装のための溶剤系塗料が必要となり、乾燥時のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の発生とそれに伴う臭気の発生、エネルギーコストの増大、設置スペースや作業スペースの確保などの環境面での対応の改善が望まれている。
【0003】
そのような溶剤型の熱硬化性塗料の問題を解決するために、一般的に無溶媒である活性エネルギー線硬化型の組成物の利用が検討され、乾燥時間の短縮とVOC発生抑制が見込まれる。
【0004】
特許文献2には、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物と単官能(メタ)アクリレート系化合物の組み合わせにより、基材との密着性に優れた硬化物が得られる活性エネルギー線硬化性組成物が開示されているが、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリカーボネート系およびアクリル系フィルムなどの樹脂フィルムあるいはガラス基材であって、特に金属基材上への密着や硬化については実用レベルではない。
【0005】
特許文献3では、エチレン性不飽和放射線硬化性官能基を有するオリゴマーと、エチレン性不飽和単官能性モノマーとを含有する放射線硬化性のインク組成物が開示されているが、エチレン性不飽和放射線硬化性官能基を有するオリゴマーは2官能のオリゴマーであり、それ以上の多官能性のオリゴマーの開示がなく、また基材として、ビニル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)であって、特に金属基材上への密着や硬化については実用レベルではない。
【0006】
特許文献4や特許文献5は、N−ビニルホルムアミドを活性エネルギー線硬化型の塗料やコーティング剤分野において、その高密着性能が応用されているが、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する多官能アクリレートやアクリレートオリゴマーを多用するため、その硬化性や密着性などの塗膜物性は優れているものの、粘度が高くなってしまう。さらに、基材として、紙、熱可塑性プラスチックであって、特に金属基材上への密着や硬化については実用レベルではない。
【0007】
特許文献6では、フルオレンの2官能(メタ)アクリレート化合物とフェノール構造を有する単官能(メタ)アクリレートからなる光学材料用樹脂組成物が開示されているが、金属基材上への密着は考慮されていないばかりか、硬化膜を作成するために金属板上へ塗布したに過ぎず、むしろ密着しない方が良いものである。
【0008】
特許文献2〜5に使用されているモノマーやオリゴマーは、一般的に臭気があるものが多く、基材上への塗布後に臭気が残ってしまう。
【0009】
特許文献7では、(メタ)アクリル酸エステル化合物または(メタ)アクリル酸アミド化合物、及びビニルエーテル化合物である重合性モノマーと水、または3級アミン化合物を含むインクジェットインク組成物が開示されているが、硬化性は優れるものの、臭気が残ってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平08−24012号公報
【特許文献2】特開2011−157543号公報
【特許文献3】特表2010−506966号公報
【特許文献4】特開2001−322349号公報
【特許文献5】特開2001−207098号公報
【特許文献6】特開2008−94987号公報
【特許文献7】特開2013−40280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、金属基材への密着性を有し、耐摩擦性、耐塩水性に優れ、低臭である活性エネルギー線硬化型塗料組成物およびその塗料組成物を用いた物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、鋭意検討した結果、特定の単官能重合性モノマーと、多官能重合性オリゴマーと、シリコン系レベリング剤とを併用することにより課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、
[1](A)フェノール構造含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する単官能重合性モノマー、(B)分子内に8個以上のエチレン性二重結合基を有する多官能重合性オリゴマー、(C)シリコン系レベリング剤を含有し、
前記フェノール構造含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する単官能重合性モノマーが下記一般式(1)および/または(2)で表される重合性モノマーであることを特徴とする金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物、
【0015】
【化1】
【0016】
式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表わし、Rは、アルキレン基を表わし、nは、0〜8の整数を表わし、Xは、フェニル基またはアルキル基を表わす。
【0017】
【化2】
【0018】
式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基を表わし、Rは、アルキレン基を表わし、nは、0〜4の整数を表わす。
【0019】
]前記分子内に8個以上のエチレン性二重結合基を有する多官能重合性オリゴマーがアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、アリル基およびビニルエーテル基からなる群から選ばれる一または二以上の官能基を有する重合性オリゴマーであることを特徴とする[1]に記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物、
[3]前記分子内に8個以上のエチレン性二重結合基を有する多官能重合性オリゴマーの官能基数が14〜20であることを特徴とする[1]または[2]に記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物、
【0020】
[4]前記シリコン系レベリング剤がポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物、
【0021】
[5]さらに、(D)末端に疎水基含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する(A)成分以外の単官能重合性モノマーを含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物、
【0022】
[6]さらに、(E)ポリマーワックスを含有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物、
【0023】
[7]前記ポリマーワックスが、ポリエチレンワックスまたはポリテトラフルオロエチレンワックスであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物、
【0024】
[8]さらに、(F)ベンゾトリアゾールまたはその誘導体を含有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物、
【0025】
[9]前記ベンゾトリアゾールまたはその誘導体が、1,2,3−ベンゾトリアゾールであることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物、
【0026】
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の金属基材用活性エネルギー線硬化型塗料組成物によって、基材の表面に塗膜が形成されたものであることを特徴とする物品、
【0027】
[11]上記基材が、金属または金属酸化物であることを特徴とする[10]に記載の物品、に関するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、金属基材への密着性を有し、耐摩擦性、耐塩水性に優れ、低臭である活性エネルギー線硬化型塗料組成物およびその塗料組成物を用いた物品を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
【0030】
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物(以下、単に「塗料組成物」ともいう)は、活性エネルギー線により硬化可能な特定の重合性モノマー、オリゴマーおよびシリコン系レベリング剤を含むことを特徴とする。
【0031】
すなわち、本発明の塗料組成物は、(A)フェノール構造含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する単官能重合性モノマー、(B)分子内に8個以上のエチレン性二重結合基を有する多官能重合性オリゴマー、(C)シリコン系レベリング剤を含有することを特徴とする。
【0032】
(A)フェノール構造含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する単官能重合性モノマー
エチレン性二重結合基とは、エチレンから水素原子を1つ引き抜いた基をいい、この場合、エチレンは置換基を有していても良く、アクリロイル基、メタクリロイル基(以上、合わせて「(メタ)アクリロイル基」という)、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、アリル基およびビニルエーテル基からなる群から選ばれる一または二以上の基を有する。
フェノール構造含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する単官能重合性モノマーは、一般式(1)および/または(2)で表される重合性モノマーであることが好ましい。
【0033】
【化3】
【0034】
式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表わし、Rは、アルキレン基を表わし、nは、0〜8の整数を表わし、Xは、フェニル基またはアルキル基を表わす。
【0035】
【化4】
【0036】
式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基を表わし、Rは、アルキレン基を表わし、nは、0〜4の整数を表わす。
【0037】
またはRは、炭素数が1〜6のアルキレン基が好ましく、特に炭素数が1〜3のアルキレン基がより好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基などが挙げられる。特にこれらの中でも、エチレン基、プロピレン基が入手しやすい点でより好ましい。
【0038】
式(1)において、Xは、フェニル基またはアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数が8〜12のアルキル基が好ましく、特に炭素数が9のノニル基がより好ましい。
【0039】
また、式(1)において、Xは、o−体、m−体およびp−体があるが、室温で扱いやすく、入手しやすいものであれば良い。
【0040】
具体例としては、エチレンオキサイド付加物のフェノール(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールメチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールプロピル(メタ)アクリレート、メチレンオキサイド付加物のo−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加物のo−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加物のo−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加物のp−ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加物のp−ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メチレンオキサイド付加物のp−クミルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加物のp−クミルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加物のp−クミルフェノール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。特にこれらの中でも、エチレンオキサイド付加物のo−フェニルフェノール(メタ)アクリレート(n=1〜2)、エチレンオキサイド付加物のp−クミルフェノール(メタ)アクリレート(n=1〜2)、エチレンオキサイド付加物のp−ノニルフェノール(メタ)アクリレート(n=1)、エチレンオキサイド付加物のp−ノニルフェノール(メタ)アクリレート(n=4)、エチレンオキサイド付加物のp−ノニルフェノール(メタ)アクリレート(n=8)、プロピレンオキサイド付加物のp−ノニルフェノール(メタ)アクリレート(n=2.5)などがより好ましい。
【0041】
市販品としては、アロニックスM−106、アロニックスM−110、アロニックスM−111、アロニックスM−113、アロニックスM−117(以上、東亜合成(株)製)、NKエステルA−LEN−10(新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートNP−4EA、ライトアクリレートNP−8EA(以上、共栄社化学(株)製)、SR504、CD612、CD614、(以上、サートマー・ジャパン(株)製)、MIRAMER M164、MIRAMER M166(以上、ラーン社製)、KAYARAD OPP−1、KAYARAD OPP−1.5、KAYARAD OPP−2(以上、日本化薬(株)製)などを用いることができる。
【0042】
フェノール構造含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する単官能重合性モノマーは、組成物中に30〜85重量%であることが好ましく、50〜80重量%がより好ましい。含有量が30重量%に満たないと金属基材への密着性に劣り、また、含有量が85重量%より多いと硬化皮膜硬度が低下し、良好な塗膜が得られない。
【0043】
(B)分子内に8個以上のエチレン性二重結合基を有する多官能重合性オリゴマー
また、分子内に8個以上のエチレン性二重結合基を有する多官能重合性オリゴマーを含有することが好ましい。官能基数は8〜20であることが好ましく、16〜18であることがより好ましい。官能基数が8より小さい場合は硬化性や硬化皮膜硬度が低下し、官能基数が20より大きいと硬化性や硬化皮膜硬度は良化するが、硬化皮膜の歪みが大きくなり、結果的に密着性を低下させる。
【0044】
官能基は、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、アリル基およびビニルエーテル基からなる群から選ばれる一または二以上の基を有する。なかでも、入手が容易であることから、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
特に、枝分かれが多く、それが密集し、球状構造である液状のハイパーブランチ型またはデンドリマー型オリゴマーが有用である。
これらは、有機溶媒に可溶で粘度、密度が低く、非晶性であり、分子内部が疎で外側になる程、密となるので環境により形状が変化せず球状を保ち、末端基が多数存在するなどの特徴があり、したがって、例えば、硬化速度が速い、硬化後の皮膜が傷つきにくい、収縮率が小さいため基材へ塗布した後の反りが小さい、靭性に優れ、硬化皮膜のひび割れや剥がれなどが生じにくいなどの効果がある。
これらの多官能重合性オリゴマーは、単独でも二種以上組み合わせて使用しても良い。
【0045】
市販品としては、CN2300、CN2301、CN2302、CN2303、CN2304(以上、サートマー・ジャパン(株)製)、ビスコート#1000(大阪有機化学工業(株)製)などを用いることができる。
【0046】
分子内に8個以上のエチレン性二重結合基を有する多官能重合性オリゴマーは、組成物中に5〜30重量%であることが好ましく、10〜20重量%であることがより好ましい。含有量が5重量%に満たないと硬化皮膜硬度が低下し、良好な塗膜が得られず、また、含有量が30重量%より多いと金属基材への密着性に劣る。
【0047】
(C)シリコン系レベリング剤
さらに、シリコン系レベリング剤を含有することが好ましい。シリコン系レベリング剤は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンであることがより好ましく、ポリエーテル鎖中に(メタ)アクリロイル基が付加しているものがさらに好ましい。
組成物中に、固形分として、0.01〜1.0重量%であることが好ましく、0.1〜0.5重量%であることがより好ましい。含有量が多くても、レベリングの性能に影響はないが、上記範囲内であることにより、レベリングの効果が十分に発揮される。
【0048】
市販品としては、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−337、BYK−UV3510(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KF−945、KF−6015、KF−6020(以上、信越化学工業(株)製)、TEGORad2300、TEGORad2200N、TEGORad2011(デグサ社製)、ポリエーテル鎖中に(メタ)アクリロイル基が付加しているものとして、BYK−UV3500、BYK−UV3530、BYK−UV3570(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)などが挙げられる。
【0049】
(D)末端に疎水基含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する(A)成分以外の単官能重合性モノマー
本発明の塗料組成物は、さらに前記末端に疎水基含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する(A)成分以外の単官能重合性モノマーを含有することが好ましく、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、フェニル基、アダマンチル基からなる群から選ばれる一または二以上の疎水基を含有し分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する単官能重合性モノマーであることがより好ましい。
【0050】
末端に疎水基を含有すると、水酸基、カルボキシル基、リン酸基などに代表される親水性基を含有するものに比べ、耐塩水性に優れるという効果がある。
【0051】
具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール−(メタ)アクリル酸−安息香酸エステル、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。特にこれらの中でも、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(n=2)、イソボルニル(メタ)アクリレートなどがより好ましい。
【0052】
市販品としては、アロニックスM−101A、アロニックスM−102(以上、東亜合成(株)製)、NKエステルAMP−20GY(新中村化学工業(株)製)、ライトアクリレートPO−A、ライトアクリレートP−200A、ライトアクリレートP2H−A、ライトアクリレートIB−XA、エポキシエステルM−600A、ライトアクリレートBA−104A(以上、共栄社化学(株)製)、SR339A、SR340、SR423D、SR506、CD9087(以上、サートマー・ジャパン(株)製)、MIRAMER M140、GENOMER 1121(ラーン社製)、ビスコート#192、IBXA、ADMA、MADA、MADAM、EtADA(以上、大阪有機化学工業(株)製)、エベクリル110、エベクリル114、IBOA(以上、ダイセル・サイテック(株)製)、ファンクリル511AS、ファンクリル512AS、ファンクリル513AS、ファンクリル512M、ファンクリル512MT、ファンクリル513M、ファンクリル310A、ファンクリル310M、ファンクリルBZA、ファンクリルBZM(以上、日立化成工業(株)製)などが挙げられる。
【0053】
前記末端に疎水基含有の分子内に1個のエチレン性二重結合基を有する(A)成分以外の単官能重合性モノマーは、組成物中に0〜50重量%であることが好ましく、10〜20重量%であることがより好ましい。含有量が50重量%より多いと臭気が強くなる。
【0054】
(E)ポリマーワックス
本発明の塗料組成物は、さらにポリマーワックスを含有することが好ましく、ポリエチレンワックスまたはポリテトラフルオロエチレンワックスであることがより好ましい。
【0055】
前記ポリマーワックスは、硬化塗膜の膜厚により、適切な粒径のものを選択することができる。硬化塗膜の膜厚は、1〜20μmであることが好ましい。膜厚が小さすぎると、酸素阻害のため、硬化が悪くなり、また大きすぎると基材への密着が劣ってくる。
【0056】
さらに、前記ポリマーワックスは、組成物中に0〜30.0重量%であることが好ましく、0.3〜20.0重量%であることがより好ましい。含有量が30.0重量%より多いと、溶解性が悪く、比重が小さいため、分離しやすく、貯蔵安定性が悪くなり、また基材への密着が劣ってくる。塗料組成物を、つや消しタイプにする場合には、ポリマーワックスの含有量が10.0〜20.0重量%であることが好ましい。
【0057】
市販品としては、NJ−100、NJ−300、NJ−500、NJ−700、M−4464EX、M−4465EX、M−4466EX、M−4467EX、M−4468EX、MC−50 UV(以上、森村ケミカル(株)製)、KTL−2N、KTL−4N、KTL−8N、KTL−10N(以上、(株)喜多村化学製)、セリダスト9202F、セリダスト9610F(以上、クラリアント社製)、S−394 N5(シャムロック社製)、CERAFLOUR 929、CERAFLOUR 950(以上、ビックケミー社製)などが挙げられる。
【0058】
(F)ベンゾトリアゾールまたはその誘導体
本発明の塗料組成物は、さらにベンゾトリアゾールまたはその誘導体を含有することが好ましい。ベンゾトリアゾールと金属が塩となり、金属表面に皮膜が形成されると考えられる。ベンゾトリアゾールまたはその誘導体を含有することによって、耐塩水性が向上し、硬化皮膜の膨れが減少し、変色も抑制される。
【0059】
具体例としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、2H−ベンゾトリアゾール、1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5,6−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール、4,5−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール、4,7−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール、1H−ベンゾトリアゾールカルボン酸、1−ソジオ−1H−ベンゾトリアゾール、1−ポタシオ−1H−ベンゾトリアゾール、メチル−1H−ベンゾトリアゾールアミン塩などが挙げられ、なかでも、1,2,3−ベンゾトリアゾール、2H−ベンゾトリアゾール、メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールなどがより好ましい。
これらのベンゾトリアゾールまたはその誘導体は、単独でも2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0060】
これらのベンゾトリアゾールまたはその誘導体の含有量は、組成物中に0〜2重量%であることが好ましく、0.5〜2重量%であることがより好ましい。含有量が多くても、耐塩水性の性能に影響はないが、上記範囲内であることにより、耐塩水性の効果が十分に発揮される。
【0061】
市販品としては、KEMITEC BT−P、KEMITEC BT−G、KEMITEC BT−C、KEMITEC TT、KEMITEC TT−C(以上、ケミプロ化成(株)製)、BT−120、CBT−1、TT−LYK、JCL−400(以上、城北化学工業(株)製)、SEETEC BT−R、SEETEC BT−NA、SEETEC TT、SEETEC TT−R、SEETEC TT−K(以上、シプロ化成(株))、ラスミンR、ラスミンV−2、ラスミンMK−200P(以上、共栄社化学(株))などを使用できる。他にサンケミカル(株)、キシダ化学(株)、純正化学(株)、米山薬品工業(株)、精工化学(株)などからも入手できる。
【0062】
(G)つや消し剤
本発明の塗料組成物は、さらにつや消し剤を含有することが好ましい。塗料組成物を、つや消しタイプにする場合には、つや消し剤の含有量が組成物中に5.0〜20.0重量%であることが好ましい。つや消し剤を含有することによって、マット性が向上するとともに、耐摩擦性も向上する。5.0重量%に満たないと、つや消しの効果が弱く、20.0重量%より多いと、基材への密着性が劣ってきたり、塗料組成物の粘度上昇が大きくなり、塗工性が損なわれる。含有量が上記範囲内であることにより、マット性の効果が十分に発揮される。
【0063】
具体例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、変性ポリエチレンワックス、シリカ、変性シリカ、架橋ポリメタクリル酸メチルなどが挙げられ、なかでも、ポリエチレンワックス、シリカ、変性シリカ、架橋ポリメタクリル酸メチルなどがより好ましい。これらのつや消し剤は、単独でも2種以上組み合わせて使用しても良い。これらの平均粒径は、1〜10μmであることが好ましい。
【0064】
市販品としては、NJ−100、NJ−300(以上、森村ケミカル(株)製)、CERAFLOUR 950(ビックケミー社製)、S−363 N5、S−362−N1−J(以上、シャムロック社製)、サイリシアシリーズ、サイロホビックシリーズ、サイロスフェアシリーズ(以上、富士シリシア(株)製)、ACEMATT OK 412、ACEMATT OK 500、ACEMATT OK 520、ACEMATT OK 607、ACEMATT TS−100、ACEMATT 3300、ACEMATT 3600、CARPLEX 67、CARPLEX 80、CARPLEX CS−7、CARPLEX CS−8、CARPLEX CS−701、CARPLEX CS−801(以上、エボニックデグサ社製)、テクポリマーMBXシリーズ(積水化成品(株)製)、ニップシルSS−50A、ニップシルSS−50B、ニップシルSS−170X、ニップシルSS−178B、ニップジェルAZ−200、ニップジェルAZ−260、ニップジェルAZ−360、ニップジェルAZ−400、ニップジェルAZ−410、ニップジェルAZ−460、ニップジェルAY−200、ニップジェルAY−220、ニップジェルAY−420、ニップジェルAY−460、ニップジェルBY−200、ニップジェルBY−400、ニップジェルBY−601、ニップジェルCX−200、ニップジェルCX−600(以上、東ソー・シリカ(株)製)、タフチックF−200、タフチックFH−S005、タフチックFH−S008(以上、東洋紡(株)製)、トーセロパールPM−4KTA、トーセロパールPM−5KTA、トーセロパールPM−7KTA(以上、四国トーセロ(株)製)、マツモトマイクロスフェアーM−305、マツモトマイクロスフェアーM−306(以上、松本油脂製薬(株)製)などを使用できる。
【0065】
本発明の塗料組成物は、活性エネルギー線の照射により硬化するものであるが、この場合の活性エネルギー線としては、電子線、可視光線及び紫外線等が挙げられる。これらの中でも、特別な装置を必要とせず、簡便であるため、可視光線又は紫外線が好ましい。
可視光線又は紫外線硬化型組成物とする場合、塗料組成物に光重合開始剤を含有することが好ましい。なお、電子線硬化型組成物とする場合は、光重合開始剤を必ずしも配合する必要はない。
【0066】
光重合開始剤の種類や含有量は、重合性モノマーの種類や、照射する活性エネルギー線に応じて適宜選択することができる。
【0067】
本発明で用いられる光重合開始剤は、活性エネルギー線照射によりラジカル重合を開始させる物質を発生させることが可能な化合物であるものが、特に好ましい。
光重合開始剤の例には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルフォスフィンオキサイド、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、トリメチルベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、イソプロピルチオキサントン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4−,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジメチル−2−ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、トリメチルベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン混合物、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、L−クロロフォルム−4−プロポキシチオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、L−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノン、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマーなどが挙げられる。なかでも、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノールオリゴマー、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オンなどがより好ましい。
これらの光重合開始剤の添加量は、組成物中において、1〜15重量%であることが好ましい。
これらの光重合開始剤は、単独でも2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0068】
市販品としては、Irgacure184、Irgacure907、Irgacure819、Irgacure369、Irgacure379、Irgacure250、Irgacure754、Irgacure127、Irgacure2595、Irgacure1800、Irgacure1870、Darocure1173、DarocureEDB、DarocureEHA、DarocureTPO(以上、BASFジャパン(株)製)、ESACURE TZT、ESACURE KIP 150、ESACURE KIP 75LT、ESACURE KIP IT、ESACURE KIP 100F、ESACURE ONE、ESACURE KT55、ESACURE KT37、ESACURE KTO46(以上、ランベルティ社製)、CN386、SR1124(以上、サートマー・ジャパン(株)製)、DAIDO UV−CURE #174、DAIDO UV−CURE D−177F、PHOTOCURE 50(以上、大同化成工業(株)製)などを用いることができる。
【0069】
本発明の塗料組成物は、光増感剤を含んでいても良い。
光増感剤の例には、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル等のアミン化合物などが挙げられる。
これらの光増感剤の添加量は、組成物中において、0.01〜10重量%であることが好ましい。
これらの光増感剤は、単独でも二種以上組み合わせて使用しても良い。
【0070】
本発明の塗料組成物は、用途に応じて、非反応性化合物、無機充填剤、有機充填剤、カップリング剤、粘着付与剤、消泡剤、可塑剤、酸化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、染料、顔料誘導体などを含んでいても良い。公知慣用のものであればいかなるものも、その硬化性、塗料組成物の特性を損なわない範囲で、特に制限なく使用することができる。
【0071】
また、本発明の塗料組成物は、25℃において、10〜1000mPa・sの粘度であることが好ましく、20〜500mPa・sの粘度であることがより好ましい。
この範囲内であれば、基材に塗布するのに、有用である。本発明における塗料組成物の粘度は、25℃において、コーンプレート型(E型)粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。測定条件は、塗料組成物の粘度に応じて適切に設定する。例えば、標準コーンロータ(1° 34’×R24)を装着したコーンプレート型粘度計TV−22(東機産業(株)製)を用いて、60mPa・s以下の粘度は、せん断速度192sec−1、回転速度50rpmで、60mPa・sより大きく、150mPa・s以下の粘度は、せん断速度77sec−1、回転速度20rpmで、150mPa・sより大きい粘度は、せん断速度9.6sec−1、回転速度2.5rpmで測定できる。
【0072】
本発明の塗料組成物は、実質的に溶剤を必要としないが、粘度調整や添加剤などに含有する成分として、含んでいても良いが、低臭であるという特徴が失われるため、揮発成分を含まないまたは揮発成分の少ないものを用いることが好ましい。
【0073】
溶剤の例には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンや、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステルや、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルアルコール等のアルコールや、(メタ)アクリレート、その他一般によく用いられる有機溶剤が挙げられる。
これらの溶媒は、単独でも二種以上組み合わせて使用しても良い。
【0074】
本発明の塗料組成物によって、基材の表面に塗膜を形成した物品とすることができる。
前記物品としては、鉄板、鋼板、めっき鋼板、銅−亜鉛合金、アルミニウム、チタン、マグネシウム合金、ステンレス板などからなる金属基材の表面に塗膜を形成した物品、樹脂フィルム、樹脂成形品などからなる熱可塑性樹脂基材の表面に塗膜を形成した物品、ガラス、紙、木材などからなる基材の表面に塗膜を形成した物品などが挙げられる。より具体的には、それらの表面に塗膜を形成した基材からなる自動車、船舶、鉄道、家電、建材、家庭、事務、衣服、装飾用などの物品が挙げられる。特に金属または金属酸化物からなる基材の表面に塗膜を形成した物品であることがより好ましい。
【0075】
また、本発明の塗料組成物は、インクジェット用のインクジェットインク組成物にも適用できる。
【0076】
前記インクジェットインク組成物は、25℃において3〜70mPa・sの粘度であることが好ましい。
この範囲内の粘度であれば、インクジェットでの吐出温度範囲とされる25〜80℃において、安定して吐出することができる。25℃での粘度が3mPa・sより低いと、10〜50kHzの高周波数のピエゾ型インクジェットヘッドにおいて、吐出の追随性の低下が認められることがある。25℃での粘度が、70mPa・sを超えると、加熱装置をインクジェットのヘッドに配置したとしても、吐出が不安定となることがある。
本発明におけるインクジェットインク組成物の粘度は、25℃において、コーンプレート型粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。測定条件は、インクジェットインク組成物の粘度に応じて適切に設定する。
【0077】
また、前記インクジェットインク組成物は、25℃における表面張力が、20〜40mN/mであることが好ましい。表面張力は、インクジェットヘッドからの吐出性と、基材にパターンを描画するときの解像度に影響する。表面張力が前記範囲にあるインクジェットインク組成物は、吐出性と前記解像度に優れる。
表面張力は、公知の方法、例えば、懸滴法やリング法により測定して良いが、プレート法にて測定することが好ましい。例えば、表面張力は、協和界面科学(株)製CBVP−Z型等を用いて測定できる。
【0078】
前記インクジェットインク組成物は、粘度調整を目的として溶剤を用いることもできるが、吐出安定性や基材上に着弾した時に濡れ性を低下させないものを選択する必要がある。また、ヘッドのデキャップ性の低下を引き起こす可能性があるため、より揮発性の低い溶剤を使用することが好ましい。
【0079】
溶剤の例には、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンや、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステルや、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルアルコール等のアルコール類、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル類、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。ただし、これらの溶剤を多量に使用すると、低臭であるという特徴が失われるため、少量の使用に留めることが好ましい。また、これらの溶剤は、単独でも二種以上組み合わせて使用しても良い。
【0080】
本発明のインクジェットインク組成物は、用途に応じて、非反応性化合物、無機充填剤、有機充填剤、カップリング剤、粘着付与剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、染料、顔料誘導体などを含んでいても良い。公知慣用のものであればいかなるものも、その硬化性、インクジェットインク組成物の特性を損なわない範囲で、特に制限なく使用することができる。
【0081】
本発明のインクジェットインク組成物は、特に、真鍮、銅、アルミニウム、ステンレスなどの金属基材への適用に優れる。
【実施例】
【0082】
以下に実施例および比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0083】
(実施例1〜4および比較例1〜2)
表1に示す原材料を、表2の配合にて、遮光下で順次混合し、1時間攪拌して溶け残りがないことを確認し、粘度20〜500mPa・sの実施例1〜4および比較例1〜2の塗料組成物を作製した。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
表2(実施例1〜4および比較例1〜2)の塗料組成物について、下記のテーブルテストを行なった。その結果を表3に示した。
【0087】
<密着性>
実施例1〜4および比較例1〜2の塗料組成物を、厚さ100μmの真鍮板(ハルセル真鍮(黄銅)陰極板、(株)山本鍍金試験器製)、アルミニウム板(ハルセルアルミ陰極板、(株)山本鍍金試験器製)上に、バーコーター#5で塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し照射距離10cm、ライン速度10m/minでの紫外線照射を5回繰り返し、硬化皮膜を形成し、その硬化皮膜上にX状の切れ込みを形成し、その上にセロハンテープ(28mm、ニチバン(株)製)を貼り付け、180度の角度で急速に剥離させた。剥離面積に基づき、以下に示す4ランクの基準で判定した。
○:全く剥離せず
○△:剥離面積が10%未満である(実用上問題なし)
△:剥離面積が10%以上、20%未満である
×:剥離面積が20%以上である
【0088】
<硬化性>
前記<密着性>と同様に真鍮板に形成した硬化皮膜の表面を指触観察し、べたつきがないものを○、べたつくものを×として、硬化性を評価した。○は実用可、×は実用不可である。
【0089】
<耐塩水性>
前記<密着性>と同様に真鍮板およびアルミニウム板に形成した硬化皮膜を、板ごと5%NaCl水溶液(純水)中(45℃)に、浸漬し、24時間後の硬化皮膜の状態を観察した。硬化皮膜の状態を、以下に示す4ランクの基準で判定した。
○:硬化皮膜に変化なし
○△:軽度の膨れ、変色あり(実用上問題なし)
△:膨れ、変色あり
×:硬化皮膜の剥がれあり(剥がれ部分の腐食あり)
【0090】
<臭気>
上記<密着性>と同様に真鍮板に形成した硬化皮膜について、そのにおいを嗅いで、においのほとんど感じられないものを3、においが弱いと感じられるものを1、においが強いと感じられるものを0として、5人の平均を取り、その平均値を、以下の3ランクの基準で判定した。
○:平均値が2.0以上
△:平均値が1.5以上、2.0未満(実用上耐えうる)
×:平均値が1.5未満
【0091】
【表3】
【0092】
(実施例5〜11、比較例3〜4)
表1に示す原材料を、表4の配合にて、遮光下で順次混合し、1時間攪拌して溶け残りがないことを確認し、粘度20〜500mPa・sの実施例5〜11および比較例3〜4の塗料組成物を作製した。
【0093】
【表4】
【0094】
表4(実施例5〜11および比較例3〜4)の塗料組成物について、上記と同様にしてテーブルテストを行なった。また加えて、<耐摩擦性>について評価した。なお、基材は厚さ100μmの真鍮箔(志摩鋼業製)を使用した。その結果を表5に示した。
【0095】
<耐摩擦性>
前記<密着性>と同様に真鍮箔に形成した硬化皮膜を、学振式摩擦試験機を用いて、試験材を金巾3号、試験荷重用おもりを50gとして、往復運動させた時の状態を観察した。金巾への硬化皮膜の付着具合の状態を、以下に示す3ランクの基準で判定した。
○:往復回数100回で、金巾への付着なし
△:往復回数50回で、金巾への付着はないが、100回で付着あり(実用上問題なし)
×:往復回数50回で、金巾への付着あり
【0096】
【表5】
【0097】
(参考例1)
市販の熱硬化性アクリル樹脂塗料クリヤー(アクリル樹脂:アミノ樹脂:エポキシ樹脂=70:20:10)を、前記<密着性>と同様に真鍮板または真鍮箔に形成したが、塗膜は硬化しなかったため、従来公知の方法により熱硬化させ、参考例1の硬化塗膜を形成した。
【0098】
実施例1および参考例1の塗料組成物について、上記と同様にしてテーブルテストを行なった。その結果を表6に示した。
【0099】
【表6】
【0100】
表3によると、本発明の塗料組成物は、密着性、耐塩水性および臭気について、それぞれカルボキシル基変性およびヒドロキシル基変性の単官能重合性アクリレートモノマーの例である比較例1および2よりも非常に優れていることが分かった。
【0101】
表5によると、密着性、硬化性および耐摩擦性について、4官能と6官能の多官能重合性モノマーの例である比較例3および4よりも良好であることが分かった。
【0102】
また、熱硬化性塗料の例である参考例1は、紫外線照射によっては硬化しないため、従来公知の方法の熱硬化により硬化塗膜を形成し、密着性、硬化性、耐塩水性、耐摩性、臭気について、評価したものである。表6からわかる通り、本発明の塗料組成物は、参考例1の熱硬化性塗料とほぼ同等の塗膜物性を示すことが分かった。ただし、熱硬化性塗料は、塗膜作成工程で、基材の脱脂(脱脂をしないと、塗膜にムラが生じる)、腐食防止のための防錆剤の塗布、150℃の乾燥工程が必須となり生産効率が悪く、また乾燥に伴う含有溶剤蒸気(臭気)の発生といった問題がある。
【0103】
(実施例12〜13および比較例5〜6)
表1に示す原材料を、表7の配合にて、遮光下で順次混合し、1時間攪拌して溶け残りがないことを確認し、孔径2μmのガラスフィルターを用いて加圧濾過を行い、粘度3〜70mPa・sの実施例12〜13および比較例5〜6のインクジェットインク組成物を作製した。
【0104】
【表7】
【0105】
表7(実施例12〜13および比較例5〜6)のインクジェットインク組成物について、下記のテーブルテストを行なった。その結果を表8に示した。
【0106】
<粘度>
得られた各インクジェットインク組成物の25℃における粘度は、標準コーンロータ(1° 34’×R24)を装着したコーンプレート型粘度計TV−22(東機産業(株)製)を用いて、せん断速度192sec−1、回転速度50rpmで測定した。
【0107】
<密着性>
実施例12〜13および比較例5〜6のインクジェットインク組成物をインクジェットヘッド(コニカミノルタIJ(株)製、KM512MH)に注入し、適宜加温して、真鍮板(ハルセル真鍮(黄銅)陰極板、(株)山本鍍金試験器製)、銅板(ハルセル銅陰極板、(株)山本鍍金試験器製)、アルミニウム板(ハルセルアルミ陰極板、(株)山本鍍金試験器製)上に360×720dpi、および720×720dpiの印字率100%にて吐出、次いで紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−301)120W/cm、高圧水銀ランプ1灯、コンベア速度10m/分、積算光量150mJ/cmの条件での照射を5回繰り返し、硬化皮膜を形成し、その硬化皮膜上にX状の切れ込みを形成し、その上にセロハンテープ(28mm、ニチバン(株)製)を貼り付け、180度の角度で急速に剥離させる。剥離面積に基づき、以下に示す4ランクの基準で判定した。
○:全く剥離せず
○△:剥離面積が10%未満である(実用上問題なし)
△:剥離面積が10%以上、20%未満である
×:剥離面積が20%以上である
【0108】
<硬化性>
前記<密着性>と同様に真鍮板に形成した硬化皮膜の表面を指触観察し、べたつきがないものを○、べたつくものを×として、硬化性を評価した。○は実用可、×は実用不可である。
【0109】
<耐塩水性>
前記<密着性>と同様に真鍮板、銅板、アルミニウム板に形成した硬化皮膜を、板ごと5%NaCl水溶液(純水)中(45℃)に、浸漬し、24時間後の硬化皮膜の状態を観察した。硬化皮膜の状態を、以下に示す4ランクの基準で判定した。
○:硬化皮膜に変化なし
○△:軽度の膨れ、変色あり(実用上問題なし)
△:膨れ、変色あり
×:硬化皮膜の剥がれあり(剥がれ部分の腐食あり)
【0110】
<臭気>
前記<密着性>と同様に真鍮板に形成した硬化皮膜について、そのにおいを嗅いで、においのほとんど感じられないものを3、においが弱いと感じられるものを1、においが強いと感じられるものを0として、5人の平均を取り、その平均値を、以下の3ランクの基準で判定した。
○:平均値が2.0以上
△:平均値が1.5以上、2.0未満(実用上耐えうる)
×:平均値が1.5未満
【0111】
【表8】
【0112】
表8によると、本発明の塗料組成物は、インクジェットインクとして適用でき、密着性、耐塩水性および臭気が特開2007−31667号公報に開示されているインクジェット記録用クリアインク組成物の例である比較例5と比較して優れていることが分かった。また、引用文献7の硬化型インクジェットインク組成物の例である比較例6と比較しても優れていることが分かった。
【0113】
(実施例14〜18および比較例7)
表1に示す原材料を、表9の配合にて、遮光下で順次混合し、1時間攪拌して溶け残りがないことを確認し、粘度20〜500mPa・sの実施例14〜18および比較例7の塗料組成物を作製した。
【0114】
【表9】
【0115】
表9(実施例14〜18および比較例7)の塗料組成物について、下記のテーブルテストを行なった。その結果を表10に示した。
【0116】
<密着性>
実施例14〜18および比較例7の塗料組成物を、厚さ100μmの真鍮板(ハルセル真鍮(黄銅)陰極板、(株)山本鍍金試験器製)上に、バーコーター#5で塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し照射距離10cm、ライン速度10m/minでの紫外線照射を5回繰り返し、硬化皮膜を形成し、その硬化皮膜上にX状の切れ込みを形成し、その上にセロハンテープ(28mm、ニチバン(株)製)を貼り付け、180度の角度で急速に剥離させた。剥離面積に基づき、以下に示す4ランクの基準で判定した。
○:全く剥離せず
○△:剥離面積が10%未満である(実用上問題なし)
△:剥離面積が10%以上、20%未満である
×:剥離面積が20%以上である
【0117】
<硬化性>
前記<密着性>と同様に真鍮板に形成した硬化皮膜の表面を指触観察し、べたつきがないものを○、べたつくものを×として、硬化性を評価した。○は実用可、×は実用不可である。
【0118】
<耐塩水性>
前記<密着性>と同様に真鍮板に形成した硬化皮膜を、板ごと5%NaCl水溶液(純水)中(45℃)に、浸漬し、24時間後の硬化皮膜の状態を観察した。硬化皮膜の状態を、以下に示す4ランクの基準で判定した。
○:硬化皮膜に変化なし
○△:軽度の膨れ、変色あり(実用上問題なし)
△:膨れ、変色あり
×:硬化皮膜の剥がれあり(剥がれ部分の腐食あり)
【0119】
<臭気>
前記<密着性>と同様に真鍮板に形成した硬化皮膜について、そのにおいを嗅いで、においのほとんど感じられないものを3、においが弱いと感じられるものを1、においが強いと感じられるものを0として、5人の平均を取り、その平均値を、以下の3ランクの基準で判定した。
○:平均値が2.0以上
△:平均値が1.5以上、2.0未満(実用上耐えうる)
×:平均値が1.5未満
【0120】
【表10】
【0121】
表10によると、本発明の塗料組成物は、ベンゾトリアゾールまたはその誘導体を含有するものであるが、耐塩水性が向上することが分かった。また、ベンゾトリアゾールまたはその誘導体を含有しても、フェノール構造含有単官能モノマーを使用しない例である比較例7は、硬化性、耐塩水性、耐摩擦性が劣る。
【0122】
(実施例19〜22)
表1に示す原材料を、表11の配合にて、遮光下で順次混合し、1時間攪拌して溶け残りがないことを確認し、粘度20〜500mPa・sの実施例19〜22の塗料組成物を作製した。
【0123】
【表11】
【0124】
表2(実施例1)および表11(実施例19〜22)の塗料組成物について、下記のテーブルテストを行なった。その結果を表12に示した。
【0125】
<密着性>
実施例1および実施例19〜22の塗料組成物を、厚さ100μmの真鍮板(ハルセル真鍮(黄銅)陰極板、(株)山本鍍金試験器製)上に、バーコーター#3で塗布し、120W/cmのエネルギーの高圧水銀灯を使用し照射距離10cm、ライン速度10m/minでの紫外線照射を5回繰り返し、硬化皮膜を形成し、その硬化皮膜上にX状の切れ込みを形成し、その上にセロハンテープ(28mm、ニチバン(株)製)を貼り付け、180度の角度で急速に剥離させた。剥離面積に基づき、以下に示す4ランクの基準で判定した。
○:全く剥離せず
○△:剥離面積が10%未満である(実用上問題なし)
△:剥離面積が10%以上、20%未満である
×:剥離面積が20%以上である
【0126】
<硬化性>
前記<密着性>と同様に真鍮板に形成した硬化皮膜の表面を指触観察し、べたつきがないものを○、べたつくものを×として、硬化性を評価した。○は実用可、×は実用不可である。
【0127】
<耐塩水性>
前記<密着性>と同様に真鍮板およびアルミニウム板に形成した硬化皮膜を、板ごと5%NaCl水溶液(純水)中(45℃)に、浸漬し、24時間後の硬化皮膜の状態を観察した。硬化皮膜の状態を、以下に示す4ランクの基準で判定した。
○:硬化皮膜に変化なし
○△:軽度の膨れ、変色あり(実用上問題なし)
△:膨れ、変色あり
×:硬化皮膜の剥がれあり(剥がれ部分の腐食あり)
【0128】
<マット性>
前記<密着性>と同様に真鍮板に形成した硬化皮膜を、直管蛍光灯下で、該蛍光灯からの入射光の60度反射が得られる位置に置いたとき、硬化皮膜上に映りこむ蛍光灯の反射形状を目視観察し、以下に示す3ランクの基準で判定した。
○:反射形状を確認できない
△:反射形状を確認できるが不鮮明である(実用上耐えうる)
×:反射形状を確認できる
【0129】
<耐摩擦性>
前記<密着性>と同様に真鍮箔に形成した硬化皮膜を、学振式摩擦試験機を用いて、試験材を金巾3号、試験荷重用おもりを50gとして、往復運動させた時の状態を観察した。金巾への硬化皮膜の付着具合の状態を、以下に示す3ランクの基準で判定した。
○:往復回数100回で、金巾への付着なし
△:往復回数50回で、金巾への付着はないが、100回で付着あり(実用上問題なし)
×:往復回数50回で、金巾への付着あり
【0130】
【表12】
【0131】
表12によると、本発明の塗料組成物は、つや消し剤を含有するものであるが、含有しない例(実施例1の配合)である参考例2よりも、マット性が向上することが分かった。したがって、本発明の塗料組成物は、マット調の(光沢の少ない)塗膜も形成できる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料組成物によれば、金属基材への密着性に優れるのみならず、低臭性、耐腐食性、耐磨耗性を与える活性エネルギー線硬化型塗料またはインクジェットインクとして利用することができる。