(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239916
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】車両の開閉制御装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/689 20150101AFI20171120BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20171120BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20171120BHJP
B60J 7/057 20060101ALI20171120BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20171120BHJP
B60J 7/08 20060101ALI20171120BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
E05F15/689
E05B49/00 J
B60J1/17 A
B60J7/057 P
B60J1/00 D
B60J7/08 E
B60R16/02 645A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-199679(P2013-199679)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-63873(P2015-63873A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(72)【発明者】
【氏名】飯波 久太郎
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−013681(JP,A)
【文献】
実開昭54−160710(JP,U)
【文献】
特開2002−364243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00 − 15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアロック機構をロックまたはアンロックする第1駆動部と、
ウィンドウを開動作または閉動作する第2駆動部と、
前記第1駆動部および前記第2駆動部の動作を制御する制御手段と、
前記ウィンドウの位置を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記ドアロック機構がロックされた際に前記ウィンドウが開状態であれば、前記第2駆動部で前記ウィンドウを閉動作すると共に、前記記憶手段は前記ウィンドウの前記位置を記憶し、
前記ドアロック機構がアンロックされ且つ車両が走行可能状態なった後に、前記ウィンドウが前記位置となるように、前記第2駆動部で前記ウィンドウを開動作する、ことを特徴とする車両の開閉制御装置。
【請求項2】
ドアロック機構をロックまたはアンロックする第1駆動部と、
ウィンドウを開動作または閉動作する第2駆動部と、
前記第1駆動部および前記第2駆動部の動作を制御する制御手段と、
前記ウィンドウの位置を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記ドアロック機構がロックされた際に前記ウィンドウが開状態であれば、前記第2駆動部で前記ウィンドウを閉動作すると共に、前記記憶手段は前記ウィンドウの前記位置を記憶し、
前記ドアロック機構がアンロックされたら、前記ウィンドウが前記位置となるように、前記第2駆動部で前記ウィンドウを開動作し、
前記ドアロック機構がロックされてからアンロックされるまでの時間が一定時間未満の場合に、前記ウィンドウの開動作を行うことを特徴とする車両の開閉制御装置。
【請求項3】
ドアロック機構をロックまたはアンロックする第1駆動部と、
ウィンドウを開動作または閉動作する第2駆動部と、
前記第1駆動部および前記第2駆動部の動作を制御する制御手段と、
前記ウィンドウの位置を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記ドアロック機構がロックされた際に前記ウィンドウが開状態であれば、前記第2駆動部で前記ウィンドウを閉動作すると共に、前記記憶手段は前記ウィンドウの前記位置を記憶し、
前記ドアロック機構がアンロックされたら、前記ウィンドウが前記位置となるように、前記第2駆動部で前記ウィンドウを開動作し、
ロックに用いたリモコンキーと、アンロックに用いたリモコンキーとの識別情報が一致した場合に、前記ウィンドウの開動作を行うことを特徴とする車両の開閉制御装置。
【請求項4】
更に、サンルーフを開動作又は閉動作する第3駆動部を有し、
前記ドアロック機構がロックされた際に前記サンルーフが開状態であれば、前記制御手段は前記第3駆動部で前記サンルーフを閉動作すると共に、前記記憶手段は前記サンルーフの位置を記憶し、
前記ドアロック機構がアンロックされたら、前記制御手段は、前記サンルーフが前記位置となるように、前記第3駆動部で前記サンルーフを開動作する、ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の車両の開閉制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車等の車両に備えられてパワーウィンドウの動作を制御する車両の開閉制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車にはウィンドウガラスの開閉動作をスイッチで制御できるパワーウィンドウが備えられている。このパワーウィンドウでは、ドアの内部に取り付けられたスイッチを使用者が操作するとことで、ドアに内蔵されたモータの駆動力でウィンドウガラスの昇降動作を行う。また、自動車には、その屋根を部分的に開閉可能としたサンルーフが備えられることもある。
【0003】
一方、自動車のロックおよびアンロックは、ドアに備えたれた鍵穴に鍵を挿入して回転させることで行うことが一般的である。近年では、鍵の挿入動作に替えて、キーレスエントリーが採用されている。キーレスエントリーでは、使用者が車外からリモコンキーを操作することで、このキーから赤外線や電波等を用いて信号が自動車に送られ、この信号に基づいてロックまたはアンロックが行われる。また、このキーを所持した使用者が自動車に接近・離間するだけでアンロック・ロックが行われる
機能、即ち自動で解錠および施錠を行う機能も登場してきている。更には、自動車の取手等に備えられたボタン式等のスイッチを使用者が押下する等してロックまたはアンロックが行える自動車も登場している。
【0004】
また、上記したパワーウィンドウとキーレスエントリー等を組み合わせて動作させる自動車も以下の特許文献1および特許文献2で提案されている。
【0005】
特許文献1では、解錠すると共に窓を開く技術事項が開示されている。具体的には、この文献の第1図、第2図および説明箇所を参照して、使用者がリモコン送信機2を操作することにより、施錠装置4で解錠すると共に窓ガラス板5aの開閉動作を行う。ここで、開閉動作は温度センサ11や雨滴センサ10の出力に基づいて行なっても良い。
【0006】
図3を参照して、この特許文献1に記載されたドアのロック動作およびアンロック動作を詳述する。
【0007】
図3(A)を参照して、使用者がドアをロックすると(ステップS100)、自動車の窓が開いているか否かが判断される(ステップS101)。窓が開いている場合は(ステップS101のYES)、モータを稼働させて窓を閉める(ステップS102)。一方、窓が閉まっている状態ではモータによる閉動作は行わない(ステップS101のNO)。
【0008】
図3(B)を参照して、その後、使用者がドアをアンロックすると(ステップS200)、自動車がオートモードか否かを判断し、オートモードであれば窓を開けるための次ステップに移行する(ステップS201のYES)。一方、オートモードでなければ以下のステップを行わない(ステップS201のNO)。次に、センサを用いて降雨状態かどうかを判断し、降雨状態であれば以下の動作を行わない(ステップS202の
YES)。一方、降雨状態でなければ次ステップに移行する(ステップS202のNO)。次に、車室内の温度が予め定められた一定以上の温度であれば(ステップS203のYES)、モータを稼働させて窓をあける(ステップS204)。一方、この温度が一定未満であれば窓の開動作は行われない(ステップS203のNO)。
【0009】
特許文献2では、パワーウィンドウの状態を示す情報を移動体端末に転送する技術事項が開示されている。具体的には、
図1およびその説明箇所を参照して、パワーウィンドウ状態検出部27にて、パワーウィンドウが開状態であるか閉状態であるかを検出する。そして、この検出結果を示す情報を移動体端末50に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2−13681号公報
【特許文献2】特開2005−18717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記した特許文献に記載された技術では、解錠する際に再び窓を開くが、予め設定された高さまで窓を開くので、窓の開け量が使用者の意図に沿わない恐れがあった。また、車室内の温度が一定以上の場合のみに動作するので、一定未満の温度で使用者が窓を開けることを望む場合であっても窓が開かない場合があった。
【0012】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ウィンドウの開閉に係る利便性を向上させた車両の開閉制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の車両の開閉制御装置は、ドアロック機構をロックまたはアンロックする第1駆動部と、
ウィンドウを開動作または閉動作する第2駆動部と、前記第1駆動部および前記第2駆動部の動作を制御する制御手段と、前記ウィンドウの位置を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記ドアロック機構がロックされた際に前記ウィンドウが開状態であれば、前記第2駆動部で前記ウィンドウを閉動作すると共に、前記記憶手段は前記ウィンドウの
前記位置を記憶し、
前記ドアロック機構がアンロックされ且つ車両が走行可能状態なった後に、前記ウィンドウが前記位置となるように、前記第2駆動部で前記ウィンドウを開動作する、ことを特徴とする。
更に、本発明の車両の開閉制御装置は、ドアロック機構をロックまたはアンロックする第1駆動部と、ウィンドウを開動作または閉動作する第2駆動部と、前記第1駆動部および前記第2駆動部の動作を制御する制御手段と、前記ウィンドウの位置を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記ドアロック機構がロックされた際に前記ウィンドウが開状態であれば、前記第2駆動部で前記ウィンドウを閉動作すると共に、前記記憶手段は前記ウィンドウの
前記位置を記憶し、前記ドアロック機構がアンロックされたら、前記ウィンドウが前記位置となるように、前記第2駆動部で前記ウィンドウを開動作
し、前記ドアロック機構がロックされてからアンロックされるまでの時間が一定時間未満の場合に、前記ウィンドウの開動作を行うことを特徴とする。
更に、本発明の車両の開閉制御装置は、ドアロック機構をロックまたはアンロックする第1駆動部と、ウィンドウを開動作または閉動作する第2駆動部と、前記第1駆動部および前記第2駆動部の動作を制御する制御手段と、前記ウィンドウの位置を記憶する記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記ドアロック機構がロックされた際に前記ウィンドウが開状態であれば、前記第2駆動部で前記ウィンドウを閉動作すると共に、前記記憶手段は前記ウィンドウの
前記位置を記憶し、前記ドアロック機構がアンロックされたら、前記ウィンドウが前記位置となるように、前記第2駆動部で前記ウィンドウを開動作
し、ロックに用いたリモコンキーと、アンロックに用いたリモコンキーとの識別情報が一致した場合に、前記ウィンドウの開動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ドアのアンロック時にウィンドウが開状態であればその位置を記憶してからウィンドウを閉め、アンロック時にその位置までウィンドウを開動作させている。よって、ドアのロックおよびアンロック時にウィンドウの開け閉めを行う手間が省けるので、使用者の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の開閉制御装置を示す図であり、(A)は開閉制御装置が組み込まれた車両を示す側面図であり、(B)はこの車両を示す上面図であり、(C)は開閉制御装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明の開閉制御装置の動作を示す図であり、(A)はロック動作を示すフローチャートであり、(B)はアンロック動作を示すフローチャートであり、(C)はウィンドウの位置を示す側面図であり、(D)はサンルーフの位置を示す側面図である。
【
図3】従来の開閉装置の動作を示す図であり、(A)はロック動作を示すフローチャートであり、(B)はアンロック動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、本形態の車両の開閉制御装置11を備えた車両10を説明する。
図1(A)は車両10を側方から見た図であり、
図1(B)は車両10を上方から見た図であり、
図1(C)は開閉制御装置11の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1(A)および
図1(B)を参照して、例えば乗用車である車両10の左右両側面には合計で4つのドアが備えられており、各々のドアにはウィンドウ12A、12B、12Cおよび12Dが備えられている。ウィンドウ12A等は、ガラス等の透明材料からなり、ドアに内蔵されたモータの駆動力で上下方向に移動可能である。即ち、ウィンドウ12A等は、パワーウィンドウシステムで動作している。
【0018】
車両10の屋根部分にはサンルーフ14が備えられている。サンルーフ14とは、車両10の屋根部分に設けた開口部に嵌めこまれたガラス等の透明材料から成る部材である。サンルーフ14の開閉機構としては、車両10の後方向にスライドすることで開放状態となるスライド機構や、サンルーフ14の前方側に設けたヒンジで開閉する機構が採用される。
【0019】
リモコンキー16は、赤外線や電波等の無線で車両10に信号を送信する装置である。使用者がリモコンキー16の操作ボタンを押下することで、車両10をロック動作またはアンロック動作させるための動作信号がリモコンキー16の発信部から発信され、この動作信号が車両10に備えられた受信部で受信される。そして、受信された動作信号に基づいて、車両10が備えるドアのロック動作またはアンロック動作が行われる。ロック動作されるとドアは施錠され、アンロック動作されるとドアは解錠されて開くことが出来る。本形態では、ロック動作に同期してウィンドウを閉動作させ、アンロック動作に同期してウィンドウ12A等の開動作も行なっており、この事項については以下に詳述する。
【0020】
ここで、1つの車両10に対して複数のリモコンキー16が備えられる場合がある。例えば、家族で一台の車両10を使用する場合や、複数の会員で車両10を共同で使用する所謂カーシェアリングを行う場合である。この場合は、リモコンキー16毎に異なる識別情報が記憶されており、ロック動作・アンロック動作を行うための動作情報がリモコンキー16から車両10に伝送される際に、この識別情報も一緒に伝送される。本形態では識別情報を用いてウィンドウ12Aの開動作を制御しており、この事項については後述する。
【0021】
車両10のロック動作およびアンロック動作は、リモコンキー16の操作以外によっても良い。例えば、リモコンキー16を携行した使用者と車両10との距離が一定以上になればロック動作を行い、この距離が一定未満となればアンロック動作を行う
機能、即ち自動で解錠および施錠を行う機能が採用されても良い。更には、車両10のドアノブまたはその付近に設けたボタンまたはタッチセンサを使用者が操作することでロック動作またはアンロック動作を行う方式が採用されても良い。
【0022】
図1(C)を参照して、上記した車両10に備えられる開閉制御装置11の構成を説明する。本形態の開閉制御装置11の機能は、使用者の操作等に応じて、車両10のドアをロックおよびアンロックし、このロックに同期して各ウィンドウを閉動作させ、更に、アンロックに同期して各ウィンドウ12A等をロック時の位置まで開動作させることにある。
【0023】
開閉制御装置11は、コントロールユニット22と、駆動部24と、ドアロック機構26と、メモリ28と、駆動部20A−20D等を有しており、これらは車両10の内部で配線を介して電気的に接続されている。また、開閉制御装置11には、受信装置を経由して無線でリモコンキー16から動作情報等が入力される。
【0024】
コントロールユニット22は、所定の電気回路が実現された半導体素子等から構成され、リモコンキー16から入力される動作情報に応じて、開閉制御装置11に含まれる各部位の動作を制御する。
【0025】
メモリ28は、情報の読み書きが可能なRAM(Random Access Memory)であり、コントロールユニット22が各部位を制御するために必要とされる情報が保存される。例えば、メモリ28には、ドアがロックされた時に、個々のウィンドウ12A等が開状態であったか閉状態であったかを示す情報、ウィンドウ12A等が開状態であればその位置(開け量)を示す情報、同様にサンルーフ14の開閉や開き量に関する情報、ロック動作に用いられたリモコンキー16を識別する情報等が記憶される。
【0026】
ドアロック機構26は、車両10に備えられたドアのロックおよびアンロックを行う機構であり、電磁ソレノイドまたはモータから成る駆動部24の動力で動作される。
【0027】
駆動部20A−20Dは、車両10が備える各ドアに内蔵されたモータから構成され、ウィンドウ12A−20Dの昇降動作を行う。また、駆動部18も同様に、サンルーフ14の開閉動作を行なっている。
【0028】
図2を参照して、上記した開閉制御装置11の動作を説明する。ここで、
図2(A)はドアをロックする動作を示すフローチャートであり、
図2(B)はドアをアンロックする動作を示すフローチャートであり、
図2(C)はウィンドウ12Aが開いている状態を示す図であり、
図2(D)はサンルーフ14が開いている状態を示す図である。
【0029】
図2(A)を参照して、先ず、ドアをロックする動作を説明する。最初に、使用者がドアをロックする(ステップS10)。具体的には、車両10の車外に位置する使用者が、リモコンキー16の操作ボタンを押下する等して、ロック動作を示す信号がリモコンキー16から車両10に与えられる。そして、この信号に応じてコントロールユニット22が駆動部24を制御することで、ドアロック機構26により全てのドアがロックされる。
【0030】
次に、ウィンドウ12A−12Dが開いた状態であるかどうかの判断を行う(ステップS11)。ウィンドウ12A−12Dのうち、一つでも開いた状態のものがあれば次ステップに移行する(ステップS11のYES)。一方、ウィンドウ12A−12Dの全てが閉まった状態であれば次ステップには移行しない(ステップS11のNO)。
【0031】
次に、開いた状態のウィンドウの位置を記憶する(ステップS12)。具体的には、
図2(C)を参照して、ウィンドウ12Aが開いた状態の場合は、ウィンドウ12Aの開き量(L1)を計測する。そして、各ウィンドウ12A−12Dに関して、開状態であるか否かを示す情報と、開き量L1を示す情報とを、メモリ28に格納する。
【0032】
次に、リモコンキー16のキーID(識別番号)をメモリ28に記録する(ステップS13)。上記したように、一台の車両10を複数の使用者で使用する場合、各々の使用者がリモコンキー16を有し、各リモコンキー16には異なるキーIDが付与されている。よって、ドアロックに用いたリモコンキー16のキーIDをメモリ28に記憶することで、ドアをロックした使用者を特定でき、その使用者の要求に応じたウィンドウの制御が可能となる。
【0033】
次に、駆動部20A−20Dを動作させてウィンドウ12A−12Dを閉める(ステップS14)。本形態では、使用者がウィンドウ12A−12Dが開いたままの状態であっても、使用者がドアロックの指示を出したら、これに連動してウィンドウ12A−12Dを閉めている。よって、ドアロックに先行してウィンドウ12A等を閉める必要がない。更には、使用者がウィンドウ12A等を閉め忘れても、ウィンドウ12Aが開いたままの状態となることがない。
【0034】
図2(B)を参照して、次に、ドアをアンロックさせる際の動作を説明する。
【0035】
先ず、使用者がリモコンキー16のボダンを押下する等して、ドアをアンロックさせるための信号を車両10に伝送する(ステップS20)。
【0036】
次に、エンジンが始動したか否かを判断し(ステップS21)、始動したら次ステップに移行し(ステップS21のYES)、始動しなければ移行しない(ステップS21のNO)。即ち、本形態では、エンジンが始動された場合に、アンロックに連動してウィンドウ12Aを開いている。ドアがアンロックされ且つエンジンが始動されない場合は、使用者が一時的にドアをアンロックしたのみであり、車両10を運転しないことが予測される。よって、このような場合においてウィンドウ12A等を開くと、直後に再びウィンドウ12Aを閉めることになり、これに伴い電力が浪費されてバッテリーが早期に劣化する恐れがある。本形態では、エンジンが始動した場合のみにウィンドウ12A等を元の状態に開くことで、電力の浪費が抑制される。また、エンジン始動という条件は走行可能状態に置き換えても良い。ここで、走行可能状態とは、エンジンが始動する状態に加えて、ハイブリッド車や電気自動車を駆動するモータが始動可能な状態も含まれる。
【0037】
次に、ドアのアンロック動作に用いられたリモコンキー16のキーIDが、直前のロック動作に用いられたリモコンキー16のキーIDと同一か否かを判断する(ステップS22)。両者が同一であれば次ステップに移行し(ステップS22のYES)、両者が同一でなければ次ステップには移行しない(ステップS22のNO)。ここでキーIDが同一であれば、直前にドアをロックした使用者と、ステップS20でアンロックした使用者とが同一である。よって、アンロック時にウィンドウ12Aを開くことを望む可能性が高いと考えられる。一方、両者が同一でない場合は、直前にドアをロックした使用者と、ステップS20でアンロックした使用者が別人であり、アンロックした使用者はウィンドウの開動作を希望しないことも考えられる。よって、この場合はウィンドウの開動作は行わない。
【0038】
次に、ドアをロックしてからアンロックまたはエンジン始動までの時間が一定時間未満か否かを判断する(ステップS23)。そして、この時間が一定時間未満であれば次ステップに移行し(ステップS23のYES)、一定時間以上であれば次ステップには移行しない(ステップS23のNO)。
【0039】
ここで、一定時間とは例えば30分である。この時間が一定時間未満であれば、この時間内での気候の変化は小さいので、ウィンドウ12A等の開状態をロック時と同じに戻す。一方、この時間が一定時間以上であれば、時間の経過に伴い気候が変動しており、例えば気温が低下していることが考えられる。よって、この場合は、ウィンドウ12A等の状態をロック時には戻さない。
【0040】
次に、ウィンドウ12A等を、ドアロックを行った時と同じ開き量となるように、開動作を行う(ステップS24)。具体的には、
図2(C)を参照して、ウィンドウ12Aの開け量L1が、ロック時と同じになるように、ウィンドウ12Aを下降させる。同様に、他のウィンドウ12B−12Dに関しても、開け量をロック時と同じとする。
【0041】
これにより、先ず、使用者は、ロック時のウィンドウ12Aの閉動作およびアンロック時の開動作を行う手間が省ける。具体的には、車両の車内温度が高温であっても、アンロックと同時に自動でウィンドウが所定量だけ開動作されるので、使用者が車両に乗り込む前に車内温度が下がる。更に、アンロック時に開動作されるウィンドウの開き量は、ドアロック時と同じである。よって、車内温度を調整するために再びウィンドウの開き量を調整する手間も省ける。
【0042】
ここで、上記したステップS21からステップS23までのステップのうち、何れか一つまたは全てのステップが省かれても良い。これらのステップの全てが省かれた場合は、ドアがアンロックされると、ウィンドウ12A等の開け量がロック直前の状態となるように開動作が行われる。
【0043】
更にここで、上記ではドアのロックおよびアンロックに連動してウィンドウ12A−12Dを開閉していたが、これに加えてサンルーフ14も連動させることができる。この場合は、ロック時にサンルーフ14が開いている場合は(ステップS11のYES)、サンルーフ14の開き量が記憶される(ステップS12)。その後、サンルーフ14が閉められる(ステップS14)。また、アンロック時には、ステップS24にて、サンルーフ14の開け量θが元の角度となるように開動作が行われる。
【0044】
ここで、
図2(D)を参照して、サンルーフ14は、ヒンジ機構により開閉動作するタイプのみではなく、スライド機構により開閉動作するタイプが採用されても良い。スライド機構が採用された場合は、開け量として、上記した角度θの替りに、サンルーフ14がスライドする長さが採用される。
【0045】
上記した本形態は例えば次のように変更することが可能である。
【0046】
図1を参照して、降雨の有無を判断するレインセンサを車両10に備えても良い。これにより、ロック時にウィンドウ12A等が開状態であっても、アンロック時にレインセンサで降雨状態と判断されたらウィンドウ12Aを開かないように設定できる。これにより、降雨時にウィンドウ12Aが開いてしまう不具合が回避される。
【0047】
更に、上記したウィンドウの開動作を遮断するスイッチを設けても良い。この場合、スイッチにより動作が遮断されたら、アンロックに伴いウィンドウを自動で開動作する上記の機能が行われない。よって、使用者が要望する場合のみ、上記の開動作が行われることになり利便性が更に向上する。
【符号の説明】
【0048】
10 車両
11 開閉制御装置
12A,12B,12C,12D ウィンドウ
14 サンルーフ
16 リモコンキー
18 駆動部
20A,20B,20C,20D 駆動部
22 コントロールユニット
24 駆動部
26 ドアロック機構
28 メモリ