特許第6239918号(P6239918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239918
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】ゲート信号線駆動回路及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20171120BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20171120BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 622E
   G09G3/20 622M
   G09G3/20 611A
   G09G3/20 612K
   G09G3/20 622R
   G09G3/20 611J
   G02F1/133 550
【請求項の数】6
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-202602(P2013-202602)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-68978(P2015-68978A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年9月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】宮本 素明
(72)【発明者】
【氏名】干場 正博
【審査官】 西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−530478(JP,A)
【文献】 特開2006−351171(JP,A)
【文献】 特開2010−238323(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103295511(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G02F 1/133
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的にくり返す信号ハイ期間にハイ電圧となり、前記信号ハイ期間以外の期間である信号ロー期間にロー電圧となる、ゲート信号をそれぞれ、対応するゲート信号線に出力する、複数の基本回路を備える、ゲート信号線駆動回路であって、
各前記基本回路は、
mクロック(m≧3の整数)期間を1周期として繰り返すとともにT/mを1クロック期間として前記信号ハイ期間を含むクロック期間にハイ電圧となりそれ以外のクロック期間でロー電圧となる第1基本クロック信号が入力端子に入力するとともに、前記信号ハイ期間に応じて制御端子にハイ電圧が印加されて、前記第1基本クロック信号の電圧を前記対応するゲート信号線に出力する、ハイ電圧印加スイッチング素子と、
前記信号ハイ期間から前記信号ロー期間に代わるタイミングで制御端子にハイ電圧が印加されて、ロー電圧を前記対応するゲート信号線に出力する、ロー電圧印加スイッチング素子と、
前記mクロック期間を1周期として繰り返すとともに前記第1基本クロック信号がハイ電圧となるクロック期間の次のクロック期間にハイ電圧となりそれ以外のクロック期間でロー電圧となる第2基本クロック信号が入力端子に入力するとともに、前記信号ハイ期間に応じて制御端子にハイ電圧が印加され、少なくとも前記第2基本クロック信号がロー電圧からハイ電圧に変化するタイミングで前記第2基本クロック信号の電圧を前記ロー電圧印加スイッチング素子の制御端子に出力する、第1ロー電圧印加オン制御素子と、
を備える、
ことを特徴とする、ゲート信号線駆動回路。
【請求項2】
請求項1に記載のゲート信号線駆動回路であって、
前記複数の基本回路は、第1の基本回路と、第2の基本回路を含み、
前記第2の基本回路の前記信号ハイ期間は、前記第1の基本回路の前記信号ハイ期間の始まりから後1クロック期間以内に始まり、
前記第1の基本回路の前記第1ロー電圧印加オン制御素子の制御端子に、前記第2の基本回路の前記ハイ電圧印加スイッチング素子の制御端子が、接続される、
ことを特徴とする、ゲート信号線駆動回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゲート信号線駆動回路であって、
各前記基本回路は、
前記第1ロー電圧印加オン制御素子が前記第2基本クロック信号のハイ電圧を前記ロー電圧印加スイッチング素子の制御端子に出力した後にオンされて、ロー電圧を前記ロー電圧印加スイッチング素子の制御端子に出力する、第1ロー電圧印加オフ制御素子を、さらに備える、ことを特徴とする、ゲート信号線駆動回路。
【請求項4】
請求項3に記載のゲート信号線駆動回路であって、
第1ロー電圧印加オフ制御素子の制御端子に、前記mクロック期間を1周期として繰り返すとともに前記第2基本クロック信号がハイ電圧となるクロック期間の次のクロック期間にハイ電圧となりそれ以外のクロック期間でロー電圧となる第3基本クロック信号が制御端子に入力され、前記第3基本クロック信号がハイ電圧となるとき、前記第1ロー電圧印加オフ制御素子はオン状態となる、
ことを特徴とするゲート信号線駆動回路。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のゲート信号線駆動回路であって、
前記mクロック期間のmは4以上の整数であり、
各前記基本回路は、
前記mクロック期間を1周期として繰り返すとともに前記第1基本クロック信号がハイ電圧となるクロック期間の前のクロック期間にハイ電圧となりそれ以外のクロック期間でロー電圧となる第4基本クロック信号が入力端子に入力するとともに、前記信号ハイ期間に応じて制御端子にハイ電圧が印加され、少なくとも前記第4基本クロック信号がロー電圧からハイ電圧に変化するタイミングで前記第4基本クロック信号の電圧を前記ロー電圧印加スイッチング素子の制御端子に出力する、第2ロー電圧印加オン制御素子を、さらに備え、
複数の前記基本回路の出力するゲート信号が正順に前記信号ハイ期間となる順方向走査が駆動されることに加えて、
前記第1ロー電圧印加オン制御素子の入力端子に、前記第2基本クロック信号の代わりに前記第4基本クロック信号を入力し、前記第2ロー電圧印加オン制御素子の入力端子に、前記第4基本クロック信号の代わりに前記第2基本クロック信号を入力することにより、複数の前記基本回路の出力するゲート信号が前記正順とは逆順に前記信号ハイ期間となる逆方向走査が駆動される、
ことを特徴とする、ゲート信号線駆動回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のゲート信号線駆動回路、を備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート信号線駆動回路及びそれを用いた表示装置に関する。特に、ゲート信号線駆動回路における消費電力の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば液晶表示装置において、ゲート信号線を走査するゲート信号線駆動回路に備えられたシフトレジスタ回路が、表示画面の画素領域に配置される薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと記す)と同一基板上に形成される方式、すなわち、シフトレジスタ内蔵方式が採用される場合がある。
【0003】
ゲート信号線駆動回路に備えられたシフトレジスタ回路は、周期的にくり返す信号ハイ期間にハイ電圧となり、それ以外の期間である信号ロー期間にロー電圧となるゲート信号Gを対応するゲート信号線に出力している。
【0004】
図16は、従来技術に係るシフトレジスタ回路の基本回路の回路図である。トランジスタT5は、信号ハイ期間に応じてゲート信号線にハイ電圧を印加するハイ電圧印加スイッチング素子である。トランジスタT5の入力端子に、基本クロック信号Vが入力される。基本クロック信号Vは、例えば4クロックを1周期として繰り返すクロック信号であり、図5に示す本発明に係る基本クロック信号Vと同様に、ゲート信号Gの信号ハイ期間(期間P3)となるクロックにハイ電圧となる。
【0005】
トランジスタT5のゲートに印加される電圧をノードN1と、トランジスタT6のゲートに印加される電圧をノードN2とする。ノードN1及びノードN2は、図5に示す本発明に係るノードN1及びノードN2と同様に、期間P2〜期間P4に、それぞれハイ電圧及びロー電圧となる。かかる期間、トランジスタT5はオン状態となって、基本クロック信号Vの電圧をゲート信号線に接続される出力端子OUTに出力する。かかる期間、トランジスタT6はオフ状態で維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−85663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図16に示すトランジスタT5の入力端子に、基本クロック信号Vが入力される。信号ロー期間に応じて、トランジスタT5はオフ状態で維持される。しかし、基本クロック信号Vの電圧が変化する毎に、トランジスタT5が有する寄生容量により、トランジスタT5に充放電電流が流れるので、消費電力増大の要因となる。
【0008】
トランジスタT5の素子サイズを小さくすることにより、寄生容量を小さくすることが出来るので、トランジスタT5に発生する充放電電流を抑制することが出来る。信号ハイ期間の前後において(図5に示す期間P2〜期間P4)、トランジスタT6はオフ状態となっており、ゲート信号線の電圧変化によって生じる負荷は、オン状態となっているトランジスタT5にかかることとなる。
【0009】
図17は、従来技術に係るゲート信号の信号波形を示す図である。図17には、図16に示す従来技術に係るシフトレジスタ回路の基本回路が出力するゲート信号Gの信号波形が示されている。トランジスタT5のチャネル幅を3500μmから1500μmまで、500μm間隔で小さくした場合の信号波形が示されている。ここで、ゲート信号Gがロー電圧からハイ電圧に変化する信号波形を立ち上がり波形と、ハイ電圧からロー電圧に変化する信号波形を立ち下がり波形とする。トランジスタT5の素子サイズを小さくことに伴い、ゲート信号Gの立ち上がり波形及び立ち下がり波形は、図の矢印の方向に変化しており、なまりが増大している。ゲート信号Gの立ち上がり波形になまりがあっても、画素回路で画素書込みをするタイミングで画素回路のスイッチングトランジスタが十分にオンされるように、ゲート信号Gが十分に飽和した状態まで上昇していればよい。しかし、図17に破線で示す通り、ゲート信号Gの立ち下がり波形になまりが増大すると、画素回路で画素書き込みを行った後にも、ゲート信号Gがロー電圧に十分に下がっておらず、画素回路のスイッチングトランジスタが十分にオフされずに、画素回路に保持される画素電圧が再書き込みにより変動してしまい、例えば輝度低下など、表示画面の品質が低下してしまう。
【0010】
特許文献1に、ハイ電圧印加スイッチング素子であるトランジスタT5に入力するクロックVがHighからLowに変化するタイミングで、出力G(ゲート信号)にLowを印加するトランジスタTGを備える、信号出力回路241が開示されている(特許文献1の図4参照)。トランジスタTGのゲートに後段の出力Gi+4が入力される。クロックVがHighからLowに変化する時刻t4(特許文献1の図5参照)に、出力Gi+4はLowからHighに変化して、トランジスタTGを導通させ、出力GiはLowであるVGPLに接続する。トランジスタTGは、出力GiをHighからLowへ変化させる役割を担っている。
【0011】
しかし、図17に示す通りゲート信号の立ち上がり波形と同様に、出力Giの立ち上がり波形にはなまりがあるので、実際には、立ち上がり時には出力Giは十分にHighに変化していない。よって、トランジスタTGの導通も十分ではなく、立ち上がり時においては、トランジスタTGは出力GiをHighからLowへ十分に変化させることに寄与をすることが十分に出来ない。それゆえ、立ち上がり時におけるゲート信号線の電圧変化によって生じる負荷の多くは、やはりトランジスタT5にかかっている。すなわち、トランジスタTGを追加するだけでは、トランジスタT5の素子サイズを小さくすることは依然困難である。
【0012】
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、消費電力が低減される、ゲート信号線駆動回路、及び、それを用いた表示装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(1)本発明に係るゲート信号線駆動回路は、周期的にくり返す信号ハイ期間にハイ電圧となり、前記信号ハイ期間以外の期間である信号ロー期間にロー電圧となる、ゲート信号をそれぞれ、対応するゲート信号線に出力する、複数の基本回路を備える、ゲート信号線駆動回路であって、各前記基本回路は、{mクロック(m≧3の整数)を1周期として繰り返すとともに前記信号ハイ期間となるクロックにハイ電圧となりそれ以外のクロックでロー電圧となる第1基本クロック信号が入力端子に入力するとともに、前記信号ハイ期間に応じて制御端子にハイ電圧が印加されて、前記第1基本クロック信号の電圧を前記対応するゲート信号線に出力する、ハイ電圧印加スイッチング素子}と、{前記信号ハイ期間から前記信号ロー期間に代わるタイミングで制御端子にハイ電圧が印加されて、ロー電圧を前記対応するゲート信号線に出力する、ロー電圧印加スイッチング素子}と、{前記mクロックを1周期として繰り返すとともに前記第1基本クロック信号がハイ電圧となるクロックの次のクロックにハイ電圧となりそれ以外のクロックでロー電圧となる第2基本クロック信号が入力端子に入力するとともに、前記信号ハイ期間に応じて制御端子にハイ電圧が印加され、少なくとも前記第2基本クロック信号がロー電圧からハイ電圧に変化するタイミングで前記第2基本クロック信号の電圧を前記ロー電圧印加スイッチング素子の制御端子に出力する、第1ロー電圧印加オン制御素子}と、を備える。
【0014】
(2)上記(1)に記載のゲート信号線駆動回路であって、前記複数の基本回路は、第1の基本回路と、第2の基本回路を含み、前記第2の基本回路の前記信号ハイ期間は、前記第1の基本回路の前記信号ハイ期間の始まりから後1クロック以内に始まり、前記第1の基本回路の前記ロー電圧印加オン制御素子の制御端子に、前記第2の基本回路の前記ハイ電圧印加スイッチング素子の制御端子が、接続されてもよい。
【0015】
(3)上記(1)又は(2)に記載のゲート信号線駆動回路であって、各前記基本回路は、前記第1ロー電圧印加オン制御素子が前記第2基本クロック信号のハイ電圧を前記ロー電圧印加スイッチング素子の制御端子に出力した後にオンされて、ロー電圧を前記ロー電圧印加スイッチング素子の制御端子に出力する、第1ロー電圧印加オフ制御素子を、さらに備えてもよい。
【0016】
(4)上記(3)に記載のゲート信号線駆動回路であって、第1ロー電圧印加オフ制御素子の制御端子に、前記mクロックを1周期として繰り返すとともに前記第2基本クロック信号がハイ電圧となるクロックの次のクロックにハイ電圧となりそれ以外のクロックでロー電圧となる第3基本クロック信号が制御端子に入力され、前記第3基本クロック信号がハイ電圧となるとき、前記第1ロー電圧印加オフ制御素子はオン状態となってもよい。
【0017】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のゲート信号線駆動回路であって、前記mクロックのmは4以上の整数であり、各前記基本回路は、{前記mクロックを1周期として繰り返すとともに前記第1基本クロック信号がハイ電圧となるクロックの前のクロックにハイ電圧となりそれ以外のクロックでロー電圧となる第4基本クロック信号が入力端子に入力するとともに、前記信号ハイ期間に応じて制御端子にハイ電圧が印加され、少なくとも前記第4基本クロック信号がロー電圧からハイ電圧に変化するタイミングで前記第4基本クロック信号の電圧を前記ロー電圧印加スイッチング素子の制御端子に出力する、第2ロー電圧印加オン制御素子}を、さらに備え、複数の前記基本回路の出力するゲート信号が正順に前記信号ハイ期間となる順方向走査が駆動されることに加えて、{前記第1ロー電圧印加オン制御素子の入力端子に、前記第2基本クロック信号の代わりに前記第4基本クロック信号を入力し、前記第2ロー電圧印加オン制御素子の入力端子に、前記第4基本クロック信号の代わりに前記第2基本クロック信号を入力すること}により、複数の前記基本回路の出力するゲート信号が前記正順とは逆順に前記信号ハイ期間となる逆方向走査が駆動されてもよい。
【0018】
(6)本発明に係る表示装置は、上記(1)乃至(5)のいずかに記載のゲート信号線駆動回路、を備える、表示装置であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、消費電力が低減される、ゲート信号線駆動回路、及び、それを用いた表示装置の提供が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置の全体斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係るTFT基板の等価回路の概念図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るシフトレジスタ回路のブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るn番目の基本回路の回路図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るゲート信号線駆動回路の駆動動作を表すタイミングチャートである。
図6】本発明の第1の実施形態に係るゲート信号の信号波形を示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係るゲート信号線駆動回路の構成を示す模式図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係る基本回路の回路図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るゲート信号線駆動回路の駆動動作を表すタイミングチャートである。
図10】本発明の第3の実施形態に係るn番目の基本回路の回路図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係るゲート信号線駆動回路の駆動動作を表すタイミングチャートである。
図12】本発明の第4の実施形態に係るn番目の基本回路の回路図である。
図13】本発明の第4の実施形態に係るゲート信号線駆動回路の順方向走査における駆動動作を表すタイミングチャートである。
図14】本発明の第4の実施形態に係るゲート信号線駆動回路の逆方向走査における駆動動作を表すタイミングチャートである。
図15】本発明の実施形態に係る他の一例を示す液晶表示装置に備えられたTFT基板の等価回路の概念図である。
図16】従来技術に係るシフトレジスタ回路の基本回路の回路図である。
図17】従来技術に係るゲート信号の信号波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
【0022】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る表示装置は、たとえば、IPS(In-Plane Switching)方式の液晶表示装置である。図1は、当該実施形態に係る液晶表示装置の全体斜視図である。図1に示す通り、当該実施形態に係る液晶表示装置は、後述するゲート信号線105、映像信号線107、画素電極110、コモン電極111、及びTFT109などが配置されたTFT基板102と、当該TFT基板102に対向し、カラーフィルタが設けられたフィルタ基板101と、当該両基板に挟まれた領域に封入された液晶材料と、TFT基板102のフィルタ基板101側とは反対側に接して位置するバックライト103と、を含んで構成されている。
【0023】
図2は、当該実施形態に係るTFT基板102の等価回路の概念図である。図2において、TFT基板102には、ゲート信号線駆動回路104に接続された多数のゲート信号線105が、互いに等間隔をおいて図中横方向に延びている。
【0024】
ゲート信号線駆動回路104は、シフトレジスタ制御回路114と、シフトレジスタ回路112と、を備えており、シフトレジスタ制御回路114は、シフトレジスタ回路112に対して、後述する制御信号115を出力している。
【0025】
シフトレジスタ回路112は、複数のゲート信号線105それぞれに対応して、基本回路113を複数備えている。例えば、ゲート信号線105が800本存在しているとき、同じく、基本回路113が800個、シフトレジスタ回路112に備えられている。シフトレジスタ制御回路114から入力される制御信号115により、各基本回路113は、周期的にくり返す信号ハイ期間にハイ電圧となり、それ以外の期間(信号ロー期間)にはロー電圧となるゲート信号を、対応するゲート信号線105に出力する。すなわち、各基本回路113は、信号ハイ期間にハイ電圧を、信号ロー期間にロー電圧を、対応するゲート信号線105にそれぞれ出力する。なお、図2には、説明を簡単にするために、シフトレジスタ回路112が図の左側にのみ示されているが、実際には、奇数番目のゲート信号線105(400本)にゲート信号を出力する奇シフトレジスタ回路が図の右側に、偶数番目のゲート信号線105(400本)にゲート信号を出力する偶シフトレジスタ回路が図の左側に、それぞれ位置している。
【0026】
また、データ駆動回路106に接続された多数の映像信号線107が互いに等間隔をおいて図中縦方向に延びている。そして、これらゲート信号線105及び映像信号線107により碁盤状に並ぶ画素領域がそれぞれ区画されている。また、各ゲート信号線105と平行にコモン信号線108が図中横方向に延びている。
【0027】
ゲート信号線105及び映像信号線107により区画される各画素領域の隅には、TFT109(スイッチングトランジスタ)が形成されており、映像信号線107と画素電極110に接続されている。また、TFT109のゲートは、ゲート信号線105と接続されている。各画素領域には、画素電極110に対向してコモン電極111が形成されている。
【0028】
以上の回路構成において、各画素回路のコモン電極111にコモン信号線108を介して基準電圧が印加される。また、ゲート信号線105によりTFT109のゲートにゲート電圧を選択的に印加することにより、TFT109を流れる電流が制御される。ゲートにゲート電圧が印加されたTFT109を介して、映像信号線107に供給された映像信号の電圧が画素電極110に印加される。これにより、画素電極110とコモン電極111との間に電位差が生じ、液晶分子の配向などを制御し、それにより、バックライト103からの光を遮蔽の度合を制御し、画像を表示することとなる。
【0029】
図3は、当該実施形態に係るシフトレジスタ回路112のブロック図である。例えば、ゲート信号線105が800本ある場合、800本のゲート信号線105にそれぞれ対応する800個の基本回路113が、シフトレジスタ回路112に備えられている。前述の通り、奇数番目のゲート信号線105(400本)にそれぞれ対応する400個の奇基本回路が、表示領域120の右側に、偶数番目のゲート信号線105(400本)にそれぞれ対応する400個の偶基本回路が表示領域120の左側に、それぞれ位置している。図3には、800個の基本回路113のうち、n=1〜8の8個の基本回路113について示してある。図3には、一般的に、n番目の基本回路が、基本回路113−nとして記されている。
【0030】
シフトレジスタ制御回路114がシフトレジスタ回路112へ出力する制御信号115は、基本クロック信号V〜V、ロー電圧を供給するロー電圧線VGL、補助信号VST1,VST2などによって構成されている。
【0031】
一般に、m相の基本クロック信号について説明する。m相の基本クロック信号は、ともに、所定の周期Tで、互いに位相が異なるクロック信号である。基本クロック信号の周期をTとして、m相の基本クロック信号の1周期Tは、m個のT/mの期間に細分化することが出来る。T/mの期間を1クロックと呼ぶこととすると、1周期Tはmクロックからなっている。m相の基本クロック信号の各クロック信号は、各周期Tにおいて、ある1クロックにハイ電圧となり、それ以外のクロックでロー電圧となる信号である。
【0032】
当該実施形態において、4相の基本クロック信号V,V,V,Vは、ある1周期Tの期間において、クロック毎にこの順番で順にハイ電圧となっており、それ以外のクロックではロー電圧である。4相の基本クロック信号V,V,V,Vは、4相の基本クロック信号V,V,V,Vから、それぞれ半クロック遅れてハイ電圧となるクロック信号である。1画素当たりに映像信号の書き込みを行う期間を1水平走査期間(1H期間)とすると、基本クロック信号の1クロックは2水平走査期間(2H期間)の長さである。すなわち、当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路104では、隣りあう2本のゲート信号線105にそれぞれ供給されるゲート信号G,Gn+1は、信号ハイ期間が半クロック(1H期間)重なりあっており、1Hオーバーラップ駆動がなされている。
【0033】
図3に示す基本回路113それぞれには、図の基本回路113−1,113−2に例示される通り、7つの入力端子IN1,IN2,IN3,IN4,IN5,IN6,IN7と、2つの出力端子OUT,OUT2と、が備えられている。n番目の基本回路113−nの出力端子OUTより表示領域120へゲート信号Gが出力される。また、出力端子OUT2は、後述するノードN1と接続している。
【0034】
n番目の基本回路113−nの入力端子IN1に基本クロック信号Vが、入力端子IN5に基本クロック信号Vn+2が、入力端子IN2,IN7に基本クロック信号Vn+4が、それぞれ入力される。図3に、1番目の基本回路113−1をn番目の基本回路113−nの例として示されている。すなわち、1番目の基本回路113−1の入力端子IN1に入力される基本クロック信号が、基本クロック信号V(=V)と、入力端子IN5に入力される基本クロック信号が、基本クロック信号Vn+2(=V)と、入力端子IN2,IN7に入力される基本信号が、基本クロック信号Vn+4(=V)と、それぞれ示されている。また、n番目の基本回路113−nの入力端子IN3にn−2番目の基本回路113−(n−2)が出力するゲート信号Gn−2が、入力端子IN4にn+4番目の基本回路113−(n+4)が出力するゲート信号Gn+4が、それぞれ入力される。n番目の基本回路113−nの入力端子IN6に、n+2番目の基本回路113−(n+2)の出力端子OUT2から出力されるノードN1n+2が入力される。
【0035】
なお、基本クロック信号Vのnは、n番目の基本回路113−nのnに対応している。しかし、実際の基本クロック信号Vのnは1〜8のいずれかの値のみを取るので、基本回路113のnの値が8を超える場合は、Vn−8=V=Vn+8を用いて変換すればよく、基本クロック信号Vは、V〜Vのいずれかの基本クロック信号を示ししている。すなわち、[{(n−1) mod 8}+1]により、基本クロック信号Vのnを変換すればよい。例えば、n=405のとき、基本クロック信号VはVであり、基本クロック信号Vn+4はVである。
【0036】
また、1番目の基本回路113−1と2番目の基本回路113−2の入力端子IN3にはそれぞれ、対応するゲート信号がないため、補助信号VST1,VST2が、それぞれ入力される。また、797番目の基本回路113−797〜800番目の基本回路113−800の入力端子IN4にはそれぞれ、対応するゲート信号がないため、801番目の基本回路〜804番目の基本回路となるダミー回路を設ける。797番目の基本回路113−797〜800番目の基本回路113−800の入力端子IN4に、801番目の基本回路(ダミー回路)〜804番目の基本回路(ダミー回路)の出力である出力信号G801〜G804が、それぞれ入力される。
【0037】
図4は、当該実施形態に係るn番目の基本回路113−nの回路図である。図に示すトランジスタはすべて、NMOSトランジスタ(Nチャンネル型トランジスタ)で構成されている。当該実施形態に係るn番目の基本回路113−nは、ゲート信号線ロー電圧保持回路11と、ゲート信号線ハイ電圧供給回路12と、ノードN1ロー電圧保持回路13と、ゲート信号線ロー電圧供給回路14と、を備えている。ゲート信号線ハイ電圧供給回路12は、ハイ電圧印加スイッチング素子であるトランジスタT5と、昇圧容量C1と、を備えている。トランジスタT5の入力端子に入力端子IN1が、出力端子に出力端子OUT(対応するゲート信号線105)が、それぞれ接続される。入力端子IN1に基本クロック信号V(第1基本クロック信号)が入力されるので、トランジスタT5の入力端子に基本クロック信号V(第1基本クロック信号)が入力される。基本クロック信号Vはゲート信号Gの信号ハイ期間にハイ電圧となるクロック信号である。信号ハイ期間に応じて、トランジスタT5はオン状態となり、オン状態にあるトランジスタT5は、基本クロック信号Vの電圧を出力端子OUTに出力する。すなわち、n番目の基本回路113−nの出力端子OUTより、基本クロック信号Vの電圧がゲート信号Gとして、対応するゲート信号線105に出力される。信号ロー期間に応じて、トランジスタT5はオフ状態となる。ここで、トランジスタT5(ハイ電圧印加スイッチング素子)のゲート(制御端子:スイッチ)に印加される電圧をノードN1とする。
【0038】
ゲート信号線ロー電圧保持回路11は、信号ロー期間に応じてオン状態となって、ロー電圧を出力端子OUT(対応するゲート信号線105)に印加する。また、ゲート信号線ロー電圧保持回路11は、信号ハイ期間に応じてオフ状態となる。ゲート信号線ロー電圧保持回路11は、ロー電圧保持スイッチング素子であるトランジスタT6を備えている。トランジスタT6の入力端子にロー電圧線VGLが、出力端子に出力端子OUT(対応するゲート信号線105)が、それぞれ接続されている。トランジスタT6(ロー電圧保持スイッチング素子)のゲート(制御端子)に印加される電圧をノードN2とする。
【0039】
ゲート信号線ロー電圧供給回路14は、ロー電圧印加スイッチング素子であるT5Aと、第1ロー電圧印加オン制御素子であるT5Bと、第1ロー電圧印加オフ制御素子であるT5Cと、を備える。トランジスタT5Aの入力端子にロー電圧線VGLが、出力端子に出力端子OUT(対応するゲート信号線105)が、それぞれ接続されている。トランジスタT5A(ロー電圧印加スイッチング素子)のゲート(制御端子)に印加される電圧をノードN3とする。以下、n番目の基本回路113−nのノードN1,N2,N3を、ノードN1,N2,N3とそれぞれ記す。
【0040】
トランジスタT5B(第1ロー電圧印加オン制御素子)の入力端子に入力端子IN5が、出力端子にノードN3が、ゲート(制御端子)に入力端子IN6が、それぞれ接続されている。図3に示す通り、入力端子IN5に基本クロック信号Vn+2(第2基本クロック信号)が入力され、入力端子IN6にn+2番目の基本回路113−(n+2)のノードN1n+2が接続されている。よって、トランジスタT5Bの入力端子に基本クロック信号Vn+2が入力される。また、トランジスタT5C(第1ロー電圧印加オフ制御素子)の入力端子にロー電圧線VGLが、出力端子にノードN3が、ゲート(制御端子)に入力端子IN7が、それぞれ接続されている。図3に示す通り、入力端子IN7に基本クロック信号Vn+4(第3基本クロック信号)が入力されるので、トランジスタT5Cのゲートに基本クロック信号Vn+4が入力される。ここで、基本クロック信号Vn+2(第2基本クロック信号)は基本クロック信号V(第1基本クロック信号)がハイ電圧となるクロックの次のクロックにハイ電圧となるクロック信号であり、基本クロック信号Vn+4(第3基本クロック信号)は基本クロック信号Vn+2(第2基本クロック信号)がハイ電圧となるクロックの次のクロックにハイ電圧となるクロック信号である。
【0041】
ノードN1ロー電圧保持回路13は、信号ロー期間に応じてオン状態となって、ロー電圧をノードN1に印加する。また、ノードN1ロー電圧保持回路13は、信号ハイ期間に応じてオフ状態となる。ノードN1ロー電圧保持回路13は、トランジスタT2を備えている。トランジスタT2の入力端子にロー電圧線VGLが、出力端子にノードN1が、ゲートにノードN2が、それぞれ接続されている。
【0042】
本発明の主な特徴は、n番目の基本回路113−nが、ロー電圧印加スイッチング素子であるトランジスタT5A及び第1ロー電圧印加オン制御素子であるトランジスタT5Bを備えることである。トランジスタT5Bの入力端子に基本クロック信号Vn+2が入力される。ゲート信号Gがハイ電圧からロー電圧に変化するタイミング(信号ハイ期間から信号ロー期間に代わるタイミング)で、すなわち、基本クロック信号Vn+2がロー電圧からハイ電圧に変化するタイミングで、トランジスタT5Bは基本クロック信号Vn+2のハイ電圧をノードN3に出力し、ノードN3がロー電圧からハイ電圧となる。なお、トランジスタT5Bは、該タイミングに先立ってオン状態となっており、基本クロック信号Vn+2のハイ電圧をノードN3に出力しているが、少なくとも該タイミングでオン状態となっていればよい。よって、ゲート信号Gがハイ電圧からロー電圧に変化するタイミングで、トランジスタT5Aはオンされて、ロー電圧線VGLのロー電圧を出力端子OUTに出力する。トランジスタT5Aがロー電圧を出力端子OUTに出力することにより、対応するゲート信号線105に印加される電圧を、ハイ電圧からロー電圧により急峻に、すなわち、より短時間で安定的に変化させることが出来る。すなわち、ゲート信号Gの立ち下がり波形のなまりが抑制される。トランジスタT5Aを設けることにより、ロー電圧印加スイッチング素子であるトランジスタT5の素子サイズを小さくすることが出来、消費電力を低減することが出来る。トランジスタT5Aの入力端子に、一定電圧であるロー電圧に維持されるロー電圧線VGLが接続されている。よって、トランジスタT5と異なり、信号ロー期間にわたってトランジスタT5Aがオフ状態となっていても、入力端子に印加される電圧が変化しないので、トランジスタT5Aに充放電流が流れることはほとんどない。それゆえ、トランジスタT5Aを設けても消費電力の増大にはほとんど寄与しない。
【0043】
なお、ノードN3がロー電圧からハイ電圧に急峻に変化するために、ゲート信号Gn+2ではなく、外部信号である基本クロック信号Vn+2を用いている。基本クロック信号Vn+2の立ち上がり波形は、ゲート信号の立ち上がり波形と比較して、なまりは著しく抑制されており、基本クロック信号Vn+2はロー電圧からハイ電圧に著しく急峻に変化する。しかし、トランジスタT5Bを設けることなく、ノードN3に基本クロック信号Vn+2が直接入力される場合は、ノードN3は、周期的にロー電圧とハイ電圧をくり返すこととなる。信号ロー期間にわたって、トランジスタT5Aは周期的にオンされることとなり、トランジスタT5Aの閾値電圧Vthが正側にシフトしてしまう。閾値電圧Vthが正側にシフトすると、ゲート信号Gがハイ電圧からロー電圧に変化するタイミングで、トランジスタT5Aが安定的にオンされなくなり、ロー電圧を出力端子OUTに出力することが十分に出来ないので望ましくない。よって、本発明に係るn番目の基本回路113−nに、第1ロー電圧印加オン制御素子であるトランジスタT5Bを設けている。ゲート信号Gがハイ電圧からロー電圧に変化するタイミング先立って、トランジスタT5Bはオン状態となっており、ゲート信号Gがハイ電圧からロー電圧に変化するタイミングで、安定的にオン状態となっているトランジスタT5Bは、ノードN3に基本クロック信号Vn+2のハイ電圧を出力する。すなわち、基本クロック信号Vn+2は周期的にハイ電圧となるが、ゲート信号Gの信号ハイ期間に応じて基本クロック信号Vn+2がハイ電圧となる期間に、トランジスタT5Bのゲートにハイ電圧が印加され、基本クロック信号Vn+2の電圧をノードN3に出力する。そして、それ以外に基本クロック信号Vn+2がハイ電圧となる期間では、トランジスタT5Bはオフ状態にあって、ノードN3を基本クロック信号Vn+2から遮断する。なお、トランジスタT5Bの入力端子に、トランジスタT5の入力端子と同様に、基本クロック信号が入力される。しかし、トランジスタT5はオン状態となって、ゲート信号線に基本クロック信号の電圧を印加するのに対して、トランジスタT5Bはオン状態となって、ノードN3に基本クロック信号の電圧を印加するに過ぎない。ここで、ゲート信号線と比較してノードN3に発生する寄生容量は著しく小さい。よって、入力される基本クロック信号はともに周期的にハイ電圧になるが、トランジスタT5と異なり、トランジスタT5Bにかかる負荷は小さい。それゆえ、トランジスタT5Bの素子サイズを小さくすることができるので、トランジスタT5Bにおける消費電力は小さく、問題とならない。
【0044】
図5は、当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路104の駆動動作を表すタイミングチャートであり、図には、基本クロック信号V,Vn+2,Vn+4、ゲート信号G、ノードN1,N2,N1n+2,N3の時間変化が示されている。4相の基本クロック信号の1周期Tは4クロックであり、図5に示す時間変化は、1クロックを単位として示されており、期間P1〜期間P6として対応するクロックが定義される。なお、前述の通り、1クロックは2水平走査期間(2H期間)である。期間P1及びそれ以前の期間には、ノードN1及びノードN2は、ロー電圧及びハイ電圧に、それぞれ維持されている。
【0045】
図4に示す通り、トランジスタT1のゲート及び入力端子に、入力端子IN3が接続されており(ダイオード接続)、トランジスタT1の出力端子にノードN1が接続されている。n−2番目の基本回路113−(n−2)が出力するゲート信号Gn−2が入力端子IN3に入力される。図5に示す期間P2にゲート信号Gn−2がハイ電圧となるので、期間P2の始まりの時刻に、トランジスタT1はオンされ、トランジスタT1がゲート信号Gn−2のハイ電圧をノードN1に印加し、ノードN1はロー電圧からハイ電圧に変化する。ノードN1がハイ電圧となるので、トランジスタT5がオンされ、トランジスタT5は基本クロック信号Vの電圧を出力端子OUTに出力する。
【0046】
また、トランジスタT7のゲートに入力端子IN3が、入力端子にロー電圧線VGLが、出力端子にノードN2が、それぞれ接続されている。期間P2の始まりの時刻に、トランジスタT7はオンされ、トランジスタT7がロー電圧線VGLのロー電圧をノードN2に出力し、ノードN2はハイ電圧からロー電圧に変化する。よって、トランジスタT2,T6がオフされる。
【0047】
トランジスタT4のゲートにノードN1が、入力端子にロー電圧線VGLが、出力端子にノードN2が、それぞれ接続されている。期間P2にノードN1がハイ電圧となるので、トランジスタT4はオン状態となって、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN2に出力する。よって、ノードN1がハイ電圧である期間、すなわち、期間P2〜期間P4に、トランジスタT4はオン状態で維持され、ノードN2はロー電圧で維持される。
【0048】
信号ハイ期間である期間P3において、ノードN1はハイ電圧で維持され、トランジスタT5はオン状態で維持される。期間P3に、基本クロック信号Vは、ハイ電圧となる。よって、期間P3において、基本クロック信号Vのハイ電圧が、トランジスタT5を介して、出力端子OUTより、ゲート信号Gとして出力される。
【0049】
ここで、実際には、トランジスタT1に閾値電圧Vthが存在するために、期間P2において、ノードN1の電圧は、ゲート信号Gn−2のハイ電圧から、トランジスタT1の閾値電圧Vthを減じた電圧となってしまう。この電圧では、信号ハイ期間である期間P3において、トランジスタT5を十分にオンすることが出来ない場合もあり得るので、ゲート信号線ハイ電圧供給回路12に、昇圧容量C1がトランジスタT5のゲートと出力端子を接続するよう配置されている。期間P3になると、ゲート信号Gn−2がロー電圧に変化し、トランジスタT1がオフされるが、ノードN1はハイ電圧に維持され、トランジスタT5はオン状態で維持される。期間P3には、出力端子OUTに、基本クロック信号Vのハイ電圧が印加され、昇圧容量C1の容量カップリングにより、ノードN1は更に高い電圧に昇圧される。この電圧は、ブートストラップ電圧と呼ばれている。
【0050】
また、図5に示す期間P3及びそれ以前の期間において、ノードN3はロー電圧に維持されている。n+2番目の基本回路113−(n+2)のゲート信号Gn+2は、ゲート信号Gの信号ハイ期間の始まり(期間P3の始まり)から1クロック後(期間P4の始まり)に、信号ハイ期間が始まる。また、ノードN1n+2は、図5に示す通り、期間P3〜期間P5にハイ電圧となっている。トランジスタT5BのゲートにノードN1n+2が入力され、トランジスタT5Bは期間P3〜期間P5にオン状態となって、基本クロック信号Vn+2の電圧をノードN3に出力している。
【0051】
期間P3の終わりの時刻に、基本クロック信号Vがハイ電圧からロー電圧に変化する。このとき、前述の通り、ノードN1はハイ電圧で、ノードN2はロー電圧で維持されている。すなわち、トランジスタT5はオン状態で、トランジスタT6はオフ状態となっている。当該実施形態では、トランジスタT5BのゲートにノードN1n+2が入力されており、ノードN1n+2は、図5に示す通り、期間P3〜期間P5にハイ電圧となっており、この期間、トランジスタT5Bはオン状態となっており、トランジスタT5Bは基本クロック信号Vn+2の電圧をノードN3に出力する。期間P4の始まりの時刻に、基本クロック信号Vn+2がロー電圧からハイ電圧に変化し、ノードN3がロー電圧からハイ電圧に変化する。よって、トランジスタT5Aは期間P4の始まりの時刻にオンされて、ロー電圧線VGLのロー電圧を出力端子OUTに出力する。
【0052】
図5に示す通り、ノードN1n+2は、期間P4にブートストラップ電圧に昇圧されている。よって、期間P4におけるノードN1n+2の電圧は、トランジスタT5Bの閾値電圧Vthと、基本クロック信号Vn+2のハイ電圧の和よりもさらに高い電圧となっており、トランジスタT5Bは期間P4において十分にオンされる。それゆえ、ノードN3は、ロー電圧からハイ電圧に急峻に変化するとともに、ノードN3のハイ電圧は、基本クロック信号Vn+2のハイ電圧とほぼ同等の電圧まで達することが出来る。よって、特許文献1のように、後段のゲート信号によってトランジスタT5Aがオンされる場合よりも、期間P4の始まりの時刻に、より安定的にロー電圧を対応するゲート信号線105に供給することが出来る。
【0053】
期間P5においても、トランジスタT5Bはオン状態となっており、トランジスタT5Bは基本クロック信号Vn+2をノードN3に出力しているが、基本クロック信号Vn+2はロー電圧となっているので、ノードN3は期間P5にロー電圧となっている。当該実施形態では、トランジスタT5Cのゲートに基本クロック信号Vn+4が入力されており、期間P5に基本クロック信号Vn+4はハイ電圧となり、トランジスタT5Cはオン状態となる。よって、期間P5に、トランジスタT5CはノードN3にロー電圧線VGLのロー電圧を出力する。そして、期間P6以降も、基本クロック信号Vn+4は周期的にハイ電圧となり、トランジスタT5Cは周期的にオン状態となって、ノードN3にロー電圧線VGLのロー電圧を出力する。よって、信号ロー期間にわたって、ノードN3はロー電圧に保持されるので、トランジスタT5Aの閾値電圧Vthの正側シフトが抑制される。よって、ゲート信号Gがハイ電圧からロー電圧に変化するタイミングで、トランジスタT5Aが安定的にオンされて、ロー電圧を出力端子OUTに出力することが出来る。
【0054】
図4に示す通り、トランジスタT9のゲートに入力端子IN4が、入力端子にロー電圧線VGLが、出力端子にノードN1が、それぞれ接続されている。入力端子IN4に、n+4番目の基本回路113−(n+4)が出力するゲート信号Gn+4が入力される。図5に示す期間P5に、ゲート信号Gn+4がハイ電圧となるので、期間P5の始まりの時刻に、トランジスタT9はオンされ、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN1に出力し、ノードN1はハイ電圧からロー電圧に変化する。これにより、トランジスタT5はオフされる。また、同時に、トランジスタT4もオフされる。
【0055】
図4に示す通り、トランジスタT3のゲート及び入力端子に、入力端子IN2が接続されており(ダイオード接続)、トランジスタT3の出力端子にノードN2が接続されている。そして、基本クロック信号Vn+4が入力端子IN2に入力される。図5に示す期間P5に基本クロック信号Vn+4がハイ電圧となるので、期間P5の始まりの時刻に、トランジスタT3はオンされ、トランジスタT3がハイ電圧をノードN2に出力し、ノードN2がロー電圧からハイ電圧に変化する。ノードN2がハイ電圧となるので、トランジスタT2,T6がオンされる。また、保持容量C3がノードN2とロー電圧線VGLとを接続するよう配置されており、期間P5に保持容量C3はハイ電圧に充電される。
【0056】
その後、期間P6に、基本クロック信号Vn+4がロー電圧となり、トランジスタT3がオフされた後も、保持容量C3によりノードN2の電圧はハイ電圧で維持される。さらに、基本クロック信号Vn+4は周期的にハイ電圧となり、保持容量C3を周期的に充電し続けるので、ノードN2の電圧はハイ電圧に維持され、トランジスタT2,T6がオン状態で維持される。トランジスタT6は、ロー電圧線VGLのロー電圧を出力端子OUTに出力し、対応するゲート信号線105の電圧をロー電圧に保持する。トランジスタT2は、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN1に出力し、対応するゲート信号線105の電圧をロー電圧に保持する。
【0057】
図6は、当該実施形態に係るゲート信号の信号波形を示す図である。図6には、図4に示す当該実施形態に係るn番目の基本回路113−nが出力するゲート信号Gの信号波形が示されている。トランジスタT5のチャネル幅を3500μmから1500μmまで、500μm間隔で小さくしていくのに伴って、トランジスタT5Aのチャネル幅を反対に0から2000μmまで500μm間隔で大きくしている場合の信号波形が示されている。ゲート信号Gの立ち上がり波形は、図17に示すゲート信号の立ち上がり波形と同様に、トランジスタT5のチャネル幅を小さくするのに伴い、信号波形のなまりが増大している。しかし、トランジスタT5のチャネル幅を1500μmとする場合であっても、ゲート信号Gの信号ハイ期間は2水平走査期間(2H期間)あり、対応するゲート信号線105に接続される画素回路に画素書込みを行うのは後半の1水平走査期間(1H期間)であるので、ゲート信号Gのハイ電圧は十分に飽和した状態まで上昇しており、画素書込みには問題がない。
【0058】
これに対して、図6に波線で示すゲート信号Gの立ち下がり波形は、図17に波線で示す立ち下がり波形と異なり、トランジスタT5のチャネル幅を小さくしても、トランジスタT5Aを配置していることにより、信号波形のなまりの増大が抑制されている。そして、トランジスタT5のチャネル幅を3500μmから1500μmまで小さくしたことにより、前述の通り、消費電力が低減される。一方、トランジスタT5Aのチャネル幅を2000μmとなっているが、前述の通り、トランジスタT5Aに充放電流が流れることはほとんどない。また、トランジスタT5Bの素子サイズは、オン状態のトランジスタT5BがノードN3に発生する寄生容量を短期間で充電するのに十分な程度に小さくすることが出来る。当該実施形態においては、ノードN3の寄生容量は0.8pFであり、トランジスタT5Bのチャネル幅を100μmとし、チャネル長を4μmとして、設計することが出来る。よって、トランジスタT5Bにおける消費電力を小さくすることが出来る。
【0059】
当該実施形態に係る基本回路113の消費電力が、図16に示す従来技術に係る基本回路と比較して、以下の表1に示されている。従来技術に係る基本回路(従来回路)は、トランジスタT5のチャネル幅を3500μmとする場合であり(トランジスタT5Aは配置されていない)、当該実施形態に係る基本回路(実施形態1回路)は、トランジスタT5のチャネル幅を1500μmとし、トランジスタT5Aのチャネル幅を2000μmとする場合について、それぞれ表1に示している。図6及び図17に示す通り、比較するこれら2つの回路では、ゲート信号Gの立下り波形はほぼ一致しており、ハイ電圧からロー電圧へともに急峻に変化している。それにもかかわらず、当該実施形態に係る基本回路の消費電力は30mWと、従来技術に係る基本回路の消費電力44mWと比較して、消費電力を約2/3に抑制することが出来ている。
【0060】
【表1】
【0061】
なお、当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路に入力する基本クロック信号は、4相のクロック信号を用いているが、これに限定されることはなく、m相(m≧3の整数)のクロック信号であればよい。m相のクロック信号は、mクロックを1周期として繰り返している。当該実施形態では、トランジスタT5Bが出力する基本クロック信号Vn+2(第2基本クロック信号)がハイ電圧からロー電圧に変化するタイミングで、ロー電圧からハイ電圧に変化する基本クロック信号Vn+4(第3基本クロック信号)がトランジスタT5Cのゲートに入力しており、期間P5の始まりの時刻にトランジスタT5Cはオンされて、トランジスタT5Cはロー電圧線VGLのロー電圧をノードN3に出力している。よって、トランジスタT5Bにかかる負荷を軽減しつつ、期間P5の始まりに時刻にノードN3をハイ電圧からロー電圧へ急峻に変化させることが出来ており、トランジスタT5Cのゲートに、基本クロック信はVn+4が入力されるのが望ましいが、これに限定されるものではない。第1ロー電圧印加オフ制御素子であるトランジスタT5Cは、第1ロー電圧印加オン制御素子であるトランジスタT5Bが第2基本クロック信号のハイ電圧をノードN3に出力した後にオンされて、ロー電圧をノードN3に出力する素子であればよい。第2基本クロック信号がハイ電圧からロー電圧に変化してから、次にハイ電圧に変化するまでの期間にハイ電圧となる他の基本クロック信号(例えば、基本クロック信号Vn+6)であってもよい。また、基本クロック信号は、周期的にハイ電圧となり、トランジスタT5Cは周期的にオン状態となってロー電圧線VGLのロー電圧をノードN3に出力し、信号ロー期間にわたって、ノードN3が安定的にロー電圧に維持されるので望ましい。しかし、トランジスタT5Cのゲートに入力される信号は基本クロック信号に限定されることはなく、例えば、他のゲート信号(例えば、ゲート信号Gn+4)であってもよい。特に、n+4番目の基本回路113−(n+4)が出力するゲート信号Gn+4は期間P5にハイ電圧となるので、トランジスタT5Bにかかる負荷を軽減することが出来るので、望ましい。
【0062】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るn番目の基本回路113−nは、第1ロー電圧印加オン制御素子であるトランジスタT5Bのゲートに入力する信号が、n+1番目の基本回路113−(n+1)のノードN1n+1である点が第1の実施形態と異なっている。また、n番目の基本回路113−nに備えられるゲート信号線ロー電圧供給回路14が、表示領域120に対して、n番目の基本回路113−nの主要回路とは反対側に配置される。それ以外については、当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路104は、第1の実施形態と同じ構造をしている。
【0063】
図7は、当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路104の構成を示す模式図である。当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路104は、偶数番目のゲート信号線105(400本)にそれぞれゲート信号を出力する偶シフトレジスタ回路112Aと、奇数番目のゲート信号線105(400本)にそれぞれゲート信号を出力する奇シフトレジスタ回路112Bと、を備えている。偶シフトレジスタ回路112Aは400個の偶基本回路を、奇シフトレジスタ回路112Bは400個の奇基本回路を、それぞれ備えている。偶シフトレジスタ回路112Aは、偶基本回路の主要回路が備えられる偶シフトレジスタ主要回路部112A1と、偶基本回路のゲート信号線ロー電圧供給回路14が備えられる偶シフトレジスタ副回路部112A2からなり、奇シフトレジスタ回路112Bは、奇基本回路の主要回路が備えられる奇シフトレジスタ主要回路部112B1と、奇基本回路のゲート信号線ロー電圧供給回路14が備えられる奇シフトレジスタ副回路部112B2からなる。図7に示す通り、奇シフトレジスタ副回路部112B2及び偶シフトレジスタ主要回路部112A1が、表示領域120の左側へ順に並んで配置され、偶シフトレジスタ副回路部112A2及び奇シフトレジスタ主要回路部112B1が表示領域120の右側へ順に並んで配置される。
【0064】
図8は、当該実施形態に係る基本回路113の回路図である。図8は、図7の波線で記す領域VIIIを模式的に示したものであり、図の上段にn番目の基本回路113−nが、図の下段にn+1番目の基本回路113−(n+1)が、それぞれ示されている。前述の通り、n番目の基本回路113‐nの主要回路は表示領域120の左側に配置され、図に113−nとして記されている。n番目の基本回路113−nのゲート信号線ロー電圧供給回路14が表示領域120の右側に配置され、図に14として記されている。n+1番目の基本回路113−(n+1)については、配置が逆になっているが、それ以外はn番目の基本回路113−nと同様である。
【0065】
当該実施形態に係るn番目の基本回路113−nは、第1の実施形態と異なり、ゲート信号線ロー電圧供給回路14が表示領域120に対して反対側に配置されており、ゲート信号線ロー電圧供給回路14は出力端子OUT3をさらに備え、トランジスタT5Aの出力端子に出力端子OUT3が接続されている。図8に示す通り、出力端子OUT3は対応するゲート信号線105に接続されている。また、前述の通り、トランジスタT5Bのゲートに接続される入力端子IN6に、n+1番目の基本回路113−(n+1)のノードN1n+1が接続されている。また、ゲート信号線ロー電圧供給回路14をかかる配置とすることにより、トランジスタT5BのゲートとノードN1n+1とを接続する配線を短くすることが出来る。
【0066】
図9は、当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路104の駆動動作を表すタイミングチャートであり、図には、基本クロック信号V,Vn+2,Vn+4、ゲート信号G、ノードN1,N2,N3、基本クロック信号Vn+1,Vn+3,Vn+5、ゲート信号Gn+1、ノードN1n+1,N2n+1,N3n+1の時間変化が示されている。図9に示す通り、n+1番目の基本回路113−(n+1)が出力するゲート信号Gn+1は、n番目の基本回路113−nが出力するゲート信号Gより半クロック後にハイ電圧に変化するゲート信号である。ノードN1n+1は、期間P2の中心から期間P5の中心までハイ電圧となっている。よって、当該実施形態に係るトランジスタT5Bは、かかる期間にオン状態となっている。そして、期間P4の始まりの時刻は、トランジスタT5Bの入力端子に入力する基本クロック信号Vn+2がロー電圧からハイ電圧へ変化するタイミングであり、かかる時刻は、ノードN1n+1は昇圧容量C1の容量カップリングにより昇圧されるブートストラップ電圧となっている期間(期間P3の中心から期間P4の中心)の中心となっている。
【0067】
期間P4の始まりの時刻に、トランジスタT5Bは十分にオン状態となっていて、基本クロック信号Vn+2の電圧をノードN3に出力するのが望ましい。第1の実施形態に係るトランジスタT5Bのゲートに、n+2番目の基本回路113−(n+2)のノードN1n+2が接続されており、期間P4の始まりの時刻に、ノードN1n+2はブートストラップ電圧となっている期間の始まりとなっている。しかし、実際には、昇圧容量C1の容量カップリングにより、通常のハイ電圧からブートストラップ電圧まで変化するのに有限の時間がかかっており、ノードN1n+2は期間P4の始まりの時刻にはまだ十分にブートストラップ電圧まで昇圧されていない。これに対して、当該実施形態に係るトランジスタT5Bのゲートに接続されるノードN1n+1は、期間P4の始まりの時刻には、十分にブートストラップ電圧まで昇圧されており、かかる電圧は、トランジスタT5BのトランジスタT5Bの閾値電圧Vthと、基本クロック信号Vn+2のハイ電圧の和よりもさらに高い電圧となっており、トランジスタT5Bは期間P4の始まりの時刻において十分にオン状態となっている。よって、第1の実施形態と比較して、ノードN3はロー電圧からハイ電圧により急峻に変化するとともに、ノードN3のハイ電圧は、基本クロック信号Vn+2のハイ電圧とほぼ同等の電圧まで達することが出来る。よって、期間P4の始まりの時刻に、トランジスタT5Aは、より安定的にロー電圧を対応するゲート信号線105に供給することが出来、出力端子OUTより出力されるゲート信号Gの立ち下がり波形のなまりをより抑制することが出来る。
【0068】
ここで、n番目の基本回路113−nを第1の基本回路とする。第1の実施形態では、n+2番目の基本回路113−(n+2)を第2の基本回路とすると、第2の基本回路の信号ハイ期間は、第1の基本回路の信号ハイ期間の始まり(図5に示す期間P3の始まり)から後1クロックとなる時刻(図5に示す期間P4の始まり)に始まっている。一方、第2の実施形態では、n+1番目の基本回路113−(n+1)を第2の基本回路とすると、第2の基本回路の信号ハイ期間は、第1の基本回路の信号ハイ期間の始まり(図9に示す期間P3の始まり)から後、半クロックとなる時刻(図9に示すP3の中心)に始まっている。そして、第1及び第2の実施形態において、第1の基本回路のトランジスタT5B(第1ロー電圧印加オン制御素子)のゲート(制御端子)に、第2の基本回路のノードN1が接続される。このように、第2の基本回路において、該基本回路の信号ハイ期間にはノードN1は十分にハイ電圧となっているので、第1の基本回路(ゲート信号G)の信号ハイ期間(図5及び図9に示す期間P3)の始まりから後1クロック以内にゲート信号の信号ハイ期間が始まる基本回路を第2の基本回路とし、第2の基本回路のノードN1が、トランジスタT5Bのゲートに接続されているのが望ましい。第1の基本回路のトランジスタT5Bに入力する基本クロック信号Vn+2がロー電圧からハイ電圧に変化する時刻(図5及び図9に示す期間P4の始まりの時刻)に、トランジスタT5Bは十分にオン状態となっており、ノードN3をロー電圧からハイ電圧に急峻に変化させることが出来る。なお、第1及び第2の実施形態に係るゲート信号線駆動回路では、1クロックが2H期間となる基本クロック信号を用いているが、本発明はこれに限定されることはなく、さらに多くの水平走査期間(例えば、4H期間)を1クロックとする基本クロック信号を用いてもよい。より多くの水平走査期間を1クロックとすると、第1の基本回路(ゲート信号G)の信号ハイ期間の始まりから後1クロック以内にゲート信号の信号ハイ期間が始まる基本回路はより多く存在するので、かかる基本回路の中から適切なものを選択して第2の基本回路とし、第2の基本回路のノードN1と、n番目の基本回路113−nのトランジスタT5Bのゲートとを接続すればよい。ここでは、n番目の基本回路113−nを第1の基本回路として説明したが、特定のnの値に依らず、複数の基本回路それぞれを第1の基本回路として、該第1の基本回路に対して適切な基本回路を第2の基本回路とすればよいのは言うまでもない。
【0069】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るゲート信号線駆動回路104は、基本回路113の構成が第1又は第2の実施形態と異なっており、入力する基本クロック信号が第1又は第2の実施形態と異なっているが、それ以外については、第1又は第2の実施形態と同じ構造をしている。
【0070】
図10は、当該実施形態に係るn番目の基本回路113−nの回路図である。当該実施形態に係るn番目の基本回路113−nは、主要回路部15と、ゲート信号線ロー電圧供給回路14と、を備えている。
【0071】
まず、n番目の基本回路113−nの主要回路部15について説明する。当該実施形態に係るn番目の基本回路113−nは、図4に示す第1の実施形態に係るn番目の基本回路113−nと異なり、入力端子IN2、トランジスタT3,T7、及び保持容量C3を備えていない。その代わりに、n番目の基本回路113−nは、入力端子INA,INB,INCをさらに備え、入力端子INA,INB,INCに、基本クロック信号Vn+2,Vn+4,Vn+6がそれぞれ入力される。さらに、n番目の基本回路113−nは、トランジスタT6A,T6B,T6C、及び緩衝容量C2をさらに備える。緩衝容量C2は、入力端子IN1とノードN2の間に接続される。トランジスタT6A,T6B,T6Cの入力端子はともにロー電圧線VGLに、出力端子はともに出力端子OUTに、接続される。トランジスタT6A,T6B,T6Cのゲートは、入力端子INA,INB,INCに、それぞれ接続される。
【0072】
図11は、当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路104の駆動動作を表すタイミングチャートであり、図には、基本クロック信号V,Vn+2,Vn+4,Vn+6、ゲート信号G、ノードN1,N2,N1n+2,N3の時間変化が示されている。
【0073】
第1の実施形態と同様に、期間P1及びそれ以前の期間は、ノードN1はロー電圧に維持されている。期間P2の始まりの時刻に、n−2番目の基本回路113−(n−2)が出力するゲート信号Gn−2がロー電圧からハイ電圧に変化し、ノードN1がロー電圧からハイ電圧に変化し、期間P5の始まりの時刻に、n+4番目の基本回路113−(n+4)が出力するゲート信号Gn+4がロー電圧からハイ電圧に変化し、ノードN1はハイ電圧からロー電圧に変化する。よって、第1の実施形態と同様に、ノードN1は、期間P2〜期間P4にハイ電圧となっており、かかる期間トランジスタT5はオン状態となっており、トランジスタT5は基本クロック信号Vの電圧を出力端子OUT(対応するゲート信号線105)に出力する。期間P3(信号ハイ期間)に基本クロック信号Vはハイ電圧となり、出力端子OUTより出力されるゲート信号Gはハイ電圧となっている。
【0074】
期間P2〜期間P4に、ノードN1はハイ電圧となっているので、トランジスタT4はオン状態となって、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN2に出力する。よって、ノードN2はロー電圧で維持され、トランジスタT2,T6はオフ状態となる。期間P3に入力端子IN1に入力される基本クロック信号Vはハイ電圧となるが、緩衝容量C2が充電されることにより、ノードN2はロー電圧で維持される。期間P5にノードN1がロー電圧となり、トランジスタT4はオフ状態となる。その後、周期的にハイ電圧となる基本クロック信号Vにより、ノードN2は緩衝容量C2を介して昇圧されハイ電圧となる。ノードN2がハイ電圧となることにより、トランジスタT2,T6はオン状態となり、トランジスタT2はロー電圧線VGLのロー電圧をノードN1に出力し、トランジスタT6はロー電圧線VGLのロー電圧を出力端子OUT(対応するゲート信号線105)に出力する。
【0075】
トランジスタT6に加えて、トランジスタT6A,T6B,T6Cは、基本クロック信号Vn+2,Vn+4,Vn+6がハイ電圧となるときに、それぞれオン状態となり、ロー電圧線VGLのロー電圧を出力端子OUT(対応するゲート信号線105)に出力する。よって、信号ロー期間にわたって、ゲート信号Gは安定的にロー電圧で維持される。
【0076】
トランジスタT6Aは、期間P4の始まりの時刻に(ゲート信号Gがハイ電圧からロー電圧へ変化するタイミングで)オンされて、ロー電圧線VGLのロー電圧を出力端子OUT(対応するゲート信号線105)に出力する。しかし、前述の通り、トランジスタT6Aは周期的にオン状態となっているために、トランジスタT6Aの閾値電圧Vthは正側にシフトしており、ゲート信号Gがハイ電圧からロー電圧に変化するタイミングで、トランジスタT6Aが安定的にオンされておらず、トランジスタT6Aはロー電圧を出力端子OUTに出力することが十分に出来ない
【0077】
次に、n番目の基本回路113−nのゲート信号線ロー電圧供給回路14について説明する。当該実施形態に係るn番目の基本回路113−nは、第1の実施形態と同様に、ゲート信号線ロー電圧供給回路14を備えており、期間P4の始まりの時刻に、ノードN1n+2によりトランジスタT5Bは安定的にオンされており、ノードN3がロー電圧からハイ電圧に急峻に変化する。その結果、期間P4の始まりの時刻に、トランジスタT5Aは安定的にオンされ、ロー電圧線VGLのロー電圧を出力端子OUTに十分に出力することが出来る。すなわち、当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路に限定されることなく、様々なゲート信号線駆動回路に、本発明は広く適用することが出来る。
【0078】
なお、当該実施形態では、トランジスタT5Bのゲートに、n+2番目の基本回路113−(n+2)のノードN1n+2が入力しているが、これに限定されることがないのは言うまでもない。第2の実施形態と同様に、トランジスタT5Bのゲートにn+1番目の基本回路113−(n+1)のノードN1n+1が入力してもよく、ゲート信号Gの信号ハイ期間(期間P3)の始まりから後1クロック以内にゲート信号の信号ハイ期間が始まる基本回路のノードN1が入力されてもよい。
【0079】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係るゲート信号線駆動回路104は、基本回路113が双方向可能な構成である点が第1乃至第3の実施形態と異なっており、入力するゲート信号や基本クロック信号が第1乃至第3の実施形態と異なっているが、それ以外については、第1乃至第3のいずれかの実施形態と同じ構造をしている。
【0080】
図12は、当該実施形態に係るn番目の基本回路113−nの回路図である。当該実施形態に係るn番目の基本回路113−nは、図4に示す第1の実施形態に係るn番目の基本回路113−nと異なり、入力端子IN3A,IN4A,IN5A,IN6A,IN7Aをさらに備え、入力端子IN3A,IN4A,IN5A,IN6A,IN7Aに、ゲート信号Gn+2、ゲート信号Gn−4、基本クロック信号Vn−2(第4基本クロック信号)、ノードN1n−2、基本クロック信号V(第1基本クロック信号)がそれぞれ入力される。ここで、基本クロック信号Vn−2(第4基本クロック信号)は基本クロック信号V(第1基本クロック信号)がハイ電圧となるクロックの前のクロックにハイ電圧となるクロック信号である。さらに、n番目の基本回路113−nは、トランジスタT1A,T5BA,T5CA,T7A,T9Aをさらに備える。トランジスタT1A,T7A,T9Aは、順方向走査におけるトランジスタT1,T7,T9と同様の役割を、逆方向走査においてそれぞれ担っており、また、トランジスタT1A,T7A,T9Aは、順方向走査においては、ノードの電圧変化に寄与しない。反対に、トランジスタT1,T7,T9は、逆方向走査においては、ノードの電圧変化に寄与しない。なお、トランジスタT5BAは第2ロー電圧印加オン制御素子であり、トランジスタT5CAは第2ロー電圧印加オフ制御素子であり、トランジスタT5BA,T5CAは、ともにゲート信号線ロー電圧供給回路14に備えられる。
【0081】
n番目の基本回路113−nのnの値が大きくなる順番を正順とし、ゲート信号が正順にハイ電圧となる走査(スキャン)が順方向走査(順方向スキャン)である。これに対して、nの値が小さくなる順番を、正順とは反対であるので逆順とし、ゲート信号が逆順にハイ電圧となる走査(スキャン)が逆方向走査(逆方向スキャン)である。当該実施形態では、順方向走査において、第1乃至第3の実施形態と同様に、基本クロック信号Vn−2,V,Vn+2,Vn+4は、この順番で順にハイ電圧となっているが、逆方向走査において、基本クロック信号Vn−2,V,Vn+2,Vn+4は、この順番とは逆順にハイ電圧となっている。すなわち、基本クロック信号Vn+4,Vn+2,V,Vn−2は、この順番で順にハイ電圧となっている。また、800番目の基本回路113−800の入力端子IN3A及び799番目の基本回路113−2の入力端子IN3Aには、対応するゲート信号がないため、補助信号VST1,VST2が、それぞれ入力される。また、1番目の基本回路113−1〜4番目の基本回路113−4の入力端子IN4Aには、対応するゲート信号がないため、4個のダミー回路をそれぞれ設ける。当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路では、基本クロック信号Vn−2,V,Vn+2,Vn+4をこの順番で順にハイ電圧とすることにより順方向走査が駆動され、基本クロック信号Vn−2,V,Vn+2,Vn+4をこの順番とは逆順にハイ電圧とすることにより逆方向走査が駆動され、双方向走査(双方向スキャン)が可能である。
【0082】
トランジスタT5BAの入力端子に入力端子IN5Aが、出力端子にノードN3が、ゲートに入力端子IN6Aが、それぞれ接続される。また、トランジスタT5CAの入力端子にロー電圧線VGLが、出力端子にノードN3が、ゲートに入力端子IN7Aが、それぞれ接続される。n−2番目の基本回路113−(n−2)のノードN1n−2がハイ電圧のとき、トランジスタT5BAはオン状態となり、基本クロック信号Vn−2の電圧をノードN3に出力する。また、トランジスタT5CAは、基本クロック信号Vがハイ電圧のとき、トランジスタT5CAはオン状態となり、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN3に出力する。
【0083】
図13は、当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路104の順方向走査における駆動動作を表すタイミングチャートであり、図には、基本クロック信号Vn−2,V,Vn+2,Vn+4、ゲート信号G、ノードN1,N2,N1n−2,N1n+2,N3の時間変化が示されている。ノードN1,N2の電圧変化は、第1の実施形態と同様である。ノードN3は、期間P2及び期間P4にハイ電圧となり、それ以外の期間でロー電圧となる。
【0084】
期間P1及びその以前の期間において、ノードN3はロー電圧に維持されている。n−2番目の基本回路113−(n−2)のノードN1n−2は、図13に示す通り、期間P1〜期間P3にハイ電圧となっている。トランジスタT5BAのゲートにノードN1n−2が入力され、トランジスタT5BAは期間P1〜期間P3にオン状態となって、基本クロック信号Vn−2の電圧をノードN3に出力している。期間P2の始まりの時刻に、基本クロック信号Vn−2はロー電圧からハイ電圧に変化している。よって、少なくとも基本クロック信号Vn−2はロー電圧からハイ電圧に変化するタイミングでトランジスタT5BAはオン状態となっており、基本クロック信号Vn−2の電圧をノードN3に出力している。図13に示す通りノードN3はハイ電圧となり、トランジスタT5Aはオン状態となって、ロー電圧線VGLのロー電圧を出力端子OUT(対応するゲート信号線105)に出力する。基本クロック信号Vは、期間P3にハイ電圧となり、トランジスタT5CAはオン状態となって、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN3に出力する。トランジスタT5CAにより、ノードN3は期間P3に安定的にロー電圧となっている。さらに、トランジスタT5B,T5Cが第1の実施形態と同様の駆動をすることにより、ノードN3は、期間P4にハイ電圧となり、期間P5及びそれ以降の期間においてロー電圧となる。なお、基本クロック信号Vは周期的にハイ電圧となるので、トランジスタT5Cと同様に、トランジスタT5CAは周期的にオン状態となって、ノードN3にロー電圧線VGLのロー電圧を出力する。
【0085】
ここで、n番目の基本回路113−nを第1の基本回路とする。当該実施形態において、n−2番目の基本回路113−(n−2)を第3の基本回路とすると、第3の基本回路の信号ハイ期間は、第1の基本回路(ゲート信号G)の信号ハイ期間の始まり(期間P3の始まり)から前1クロックとなる時刻に始まっている(期間P2の始まり)。前述の第2の基本回路と同様に、第3の基本回路はこれに限定されることはない。第1の基本回路の信号ハイ期間の始まりから前1クロック以内にゲート信号の信号ハイ期間が始まる基本回路が望ましい。
【0086】
図12に示す通り、トランジスタT9Aの入力端子にロー電圧VGLが、出力端子にノードN1が、ゲートに入力端子IN4Aが、それぞれ接続されており、トランジスタT9Aのゲートに、n−4番目の基本回路113−(n−4)が出力するゲート信号Gn−4が入力される。期間P1にゲート信号Gn−4がハイ電圧となり、トランジスタT9Aはオン状態となって、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN1に出力するが、ノードN1はロー電圧で維持されているので、ノードN1の電圧に変化はない。
【0087】
図12に示す通り、トランジスタT1Aのゲート及び入力端子に、入力端子IN3が接続されており(ダイオード接続)、トランジスタT1Aの出力端子にノードN1が接続されている。トランジスタT7Aのゲートに入力端子IN3Aが、入力端子にロー電圧線VGLが、出力端子にノードN2が、それぞれ接続されている。図13に示す期間P4にゲート信号Gn+2がハイ電圧となり、トランジスタT1Aはオン状態となって、ゲート信号Gn+2のハイ電圧をノードN1に出力するが、ノードN1はハイ電圧で維持されているので、ノードN1の電圧に変化はない。同様に、期間P4に、トランジスタT7Aはオン状態となって、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN2に出力するが、ノードN2はロー電圧で維持されているので、ノードN2の電圧に変化はない。
【0088】
図14は、当該実施形態に係るゲート信号線駆動回路104の逆方向走査における駆動動作を表すタイミングチャートであり、図には、基本クロック信号Vn−2,V,Vn+2,Vn+4、ゲート信号G、ノードN1,N2,N1n−2,N1n+2,N3の時間変化が示されている。
【0089】
前述の通り、第2基本クロック信号は、第1基本クロック信号(基本クロック信号V)より1クロック後にハイ電圧となるクロック信号であり、第4基本クロック信号は、第1基本クロック信号(基本クロック信号V)より1クロック前にハイ電圧となるクロック信号である。順方向走査において、第2基本クロック信号は基本クロック信号Vn+2であり、第4基本クロック信号は基本クロック信号Vn−2であるが、逆方向走査において、第2基本クロック信号は基本クロック信号Vn−2であり、第4基本クロック信号は基本クロック信号Vn+2である。よって、当該実施形態では、トランジスタT5B(第1ロー電圧印加オン制御素子)の入力端子に、順方向走査において第2基本クロック信号が入力し、逆方向走査において第2基本クロック信号の代わりに第4クロック信号が入力すると、言ってもよい。同様に、トランジスタT5BA(第2ロー電圧印加オン制御素子)の入力端子に、順方向走査において第4基本クロック信号が入力し、逆方向走査において第4基本クロック信号の代わりに第2クロック信号が入力すると、言ってもよい。
【0090】
期間P1及びその以前の期間において、ノードN3はロー電圧に維持されている。ノードN1n+2は、図14に示す通り、期間P1〜期間P3にハイ電圧となっており、トランジスタT5Bは期間P2〜期間P4にオン状態となっている。基本クロック信号Vn+2は期間P2にハイ電圧となり、トランジスタT5Bは期間2に基本クロック信号Vn+2のハイ電圧をノードN3に出力する。基本クロック信号Vは、期間P3にハイ電圧となり、トランジスタT5CAはオン状態となって、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN3に出力する。すなわち、順方向走査においても、逆方向走査においても、トランジスタT5CAは、基本クロック信号Vにより期間P3にオン状態となり、ノードN3を安定的にロー電圧とすることが出来る。ノードN1n−2は、図14に示す通り、期間P3〜期間P5にハイ電圧となっており、トランジスタT5BAは期間P3〜期間P5にオン状態となっている。基本クロック信号Vn−2は期間P4にハイ電圧となり、トランジスタT5BAは期間4に基本クロック信号Vn−2のハイ電圧をノードN3に出力する。期間P5に基本クロック信号Vn+4はハイ電圧となり、トランジスタT5Cはオン状態となって、ノードN3にロー電圧線VGLのロー電圧を出力する。期間P6以降も、基本クロック信号V,Vn+4は周期的にハイ電圧となり、トランジスタT5CA,T5Cは周期的にそれぞれオン状態となって、ノードN3にロー電圧線VGLのロー電圧を出力する。よって、逆方向走査においても、ノードN3は、期間P2と期間P4にハイ電圧となり、それ以外の期間でロー電圧となる。
【0091】
前述の通り、トランジスタT1A,T7A,T9Aは、順方向走査におけるトランジスタT1,T7,T9と同様の役割を、逆方向走査においてそれぞれ担っている。期間P2の始まりの時刻に、n+2番目の基本回路113−(n+2)が出力するゲート信号Gn+2がロー電圧からハイ電圧に変化し、トランジスタT1Aはオンされて、トランジスタT1Aがゲート信号Gn+2のハイ電圧をノードN1に印加し、ノードN1はロー電圧からハイ電圧に変化する。同様に、期間P2の始まりの時刻に、トランジスタT7Aはオンされ、トランジスタT7Aがロー電圧線VGLのロー電圧をノードN2に印加し、ノードN2はハイ電圧からロー電圧に変化する。また、期間P5の始まりの時刻に、n−4番目の基本回路113−(n−4)が出力するゲート信号Gn−4がロー電圧からハイ電圧に変化し、トランジスタT9Aはオンされて、トランジスタT9Aがロー電圧線VGLのロー電圧をノードN1に印加し、ノードN1はハイ電圧からロー電圧に変化する。
【0092】
また、前述の通り、トランジスタT1,T7,T9は、逆方向走査においては、ノードの電圧変化に寄与しない。期間P1にゲート信号Gn+4がハイ電圧となり、トランジスタT9はオン状態となって、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN1に出力するが、ノードN1はロー電圧で維持されているので、変化はない。期間P4にゲート信号Gn−2がハイ電圧となり、トランジスタT1はオン状態となって、ゲート信号Gn−2のハイ電圧をノードN1に出力するが、ノードN1はハイ電圧で維持されているので、変化はない。同様に、期間P4に、トランジスタT7Aはオン状態となって、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN2に出力するが、ノードN2はロー電圧で維持されているので、変化はない。
【0093】
順方向走査において、ゲート信号Gの信号ハイ期間(図13に示す期間P3)の後のクロック(図13に示す期間P4)に、トランジスタT5Bは基本クロック信号Vn+2のハイ電圧をノードN3に出力し、さらに次のクロック(図13に示す期間P5)に、基本クロック信号Vn+4のハイ電圧によりトランジスタT5Cがロー電圧線VGLのロー電圧をノードN3に出力する。また、逆方向走査において、ゲート信号Gの信号ハイ期間(図14に示す期間P3)の後のクロック(図14に示す期間P4)に、トランジスタT5BAは基本クロック信号Vn−2のハイ電圧をノードN3に出力し、さらに次のクロック(図14に示す期間P5)に、基本クロック信号Vn+4(=Vn−4)のハイ電圧によりトランジスタT5Cがロー電圧線VGLのロー電圧をノードN3に出力する。当該実施形態において、4相の基本クロック信号を用いており、基本クロック信号Vn+4は、基本クロック信号Vと位相がπずれている。よって、順方向走査においても、逆方向走査においても、基本クロック信号Vn+4は、基本クロック信号Vの2クロック後にハイ電圧となるクロック信号であり、トランジスタT5Cは図13及び図14に示す期間P5に基本クロック信号Vn+4のハイ電圧によりオン状態となり、ロー電圧線VGLのロー電圧をノードN3に出力する。これにより、ノードN3は期間P5に安定的にロー電圧となる。すなわち、トランジスタT5Cは、順方向走査においても、逆方向走査においても、同じ役割を担うことが出来ている。なお、トランジスタT3についても同様である。
【0094】
このように、本発明に係るゲート信号線駆動回路において、双方向走査を可能とするためには、4相以上の基本クロック信号が必要であり、基本クロック信号の1周期となるmクロックのmの値は4以上(m≧4)となる。mが4より大きい場合に、トランジスタT5Cのゲートに入力する基本クロック信号は、第2基本クロック信号がハイ電圧からロー電圧に変化してから、次に第4基本クロック信号がロー電圧からハイ電圧に変化するまでに、ハイ電圧となるクロック信号であってもよい。また、トランジスタT5Cは、順方向走査においても、逆方向走査においても、第2基本クロック信号のハイ電圧がノードN3に出力される後にオンされて、ロー電圧をノードN3に出力するが、これに限定されることはなく、ノードN3に対して第1ロー電圧印加オン制御素子(トランジスタT5C)と並列に接続される第3ロード電圧印加オン制御素子をさらに設けてもよい。順方向走査においては、第2基本クロック信号のハイ電圧がノードN3に出力される後に、第1ロー電圧印加オン制御素子がオンされてロー電圧をノードN3に出力し、逆方向走査においては、第2基本クロック信号のハイ電圧がノードN3に出力される後に、第3ロー電圧印加オン制御素子がオンされてロー電圧をノードN3に出力する。第1及び第3ロー電圧印加オン制御素子の制御端子それぞれに入力する信号は、基本クロック信号が望ましいがそれに限定されることはなく、例えば、第1ロー電圧印加オン制御素子の制御端子にゲート信号Gn+4が入力し、第3ロー電圧印加オン制御素子の制御端子にゲート信号Gnー4が入力するとしてもよい。
【0095】
本発明の実施形態に係る表示装置において、図2に示す通り、IPS方式の液晶表示装置について説明しているが、本発明に係る表示装置は、VA(Vertically Aligned)方式やTN(Twisted Nematic)方式等、その他の駆動方式の液晶表示装置であってもよいし、有機EL表示装置など、他の表示装置であってもよい。図15は、本発明の実施形態に係る他の一例を示す液晶表示装置に備えられたTFT基板102の等価回路の概念図であり、図15は、VA方式及びTN方式の液晶表示装置に備えられるTFT基板102の等価回路が示されている。VA方式及びTN方式の場合には、コモン電極111がTFT基板102と対向するフィルタ基板101に設けられている。本発明は、上記実施形態に限定されることなく、他のゲート信号線駆動回路及び表示装置に広く適用することが出来る。
【符号の説明】
【0096】
11 ゲート信号線ロー電圧保持回路、12 ゲート信号線ハイ電圧供給回路、13 ノードN1ロー電圧供給、14 ゲート信号線ロー電圧供給回路、15 主要回路部、101 フィルタ基板、102 TFT基板、103 バックライト、104 ゲート信号線駆動回路、105 ゲート信号線、106 データ駆動回路、107 映像信号線、108 コモン信号線、109 TFT、110 画素電極、111 コモン電極、112 シフトレジスタ回路、112A 偶シフトレジスタ回路、112A1 偶シフトレジスタ主要回路部、112A2 偶シフトレジスタ副回路部、112B 奇シフトレジスタ回路、112B1 奇シフトレジスタ主要回路部、112B2 奇シフトレジスタ副回路部、113 基本回路、114 シフトレジスタ制御回路、115 制御信号、120 表示領域、C1 昇圧容量、C2 緩衝容量、C3 保持容量、G ゲート信号、IN1,IN2,IN3,IN3A,IN4,IN4A,IN5,IN5A,IN6,IN6A,IN7,IN7A,INA,INB,INC 入力端子、N1,N2,N3 ノード、OUT,OUT2,OUT3 出力端子、T1,T1A,T2,T3,T4,T5,T5A,T5B,T5BA,T5C,T5CA,T6,T7,T7A,T9,T9A トランジスタ、VGH ハイ電圧、VGL ロー電圧線、V 基本クロック信号、VST1,VST2 補助信号。
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