特許第6239923号(P6239923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6239923ケミカルメカニカルポリッシング組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239923
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】ケミカルメカニカルポリッシング組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20171120BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20171120BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20171120BHJP
【FI】
   C09K3/14 550Z
   H01L21/304 622D
   H01L21/304 622X
   B24B37/00 H
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-211007(P2013-211007)
(22)【出願日】2013年10月8日
(65)【公開番号】特開2014-95072(P2014-95072A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2016年9月23日
(31)【優先権主張番号】13/647,941
(32)【優先日】2012年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100135873
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100145104
【弁理士】
【氏名又は名称】膝舘 祥治
(72)【発明者】
【氏名】ホンユー・ワン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・モズリー
【審査官】 齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−199531(JP,A)
【文献】 特開2010−153865(JP,A)
【文献】 特開2007−251141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/14
H01L21/304
B24B37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物であって、初期成分として、本質的に:
水;
ベンゾトリアゾール(BTA)、メルカプトベンゾトリアゾール(MBT)、トリルトリアゾール(TTA)、イミダゾール及びこれらの組合せよりなる群から選択される、0.01〜0.5重量%のアゾールインヒビター
クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、酒石酸及びグルコン酸よりなる群から選択される、0.01〜0.5重量%の錯化剤
塩化アンモニウム、臭化アンモニウム及びフッ化アンモニウムよりなる群から選択される、0〜1.0重量%のハロゲン化アンモニウム
リン酸である、0.01〜1重量%のリン含有剤
ベンゼンスルホナート、C1−4アルキルベンゼンスルホナート、ジ−C1−4アルキルベンゼンスルホナート、C5−10アルカンスルホナート及びこれらの塩よりなる群から選択される、0.05〜1.0重量%のヒドロトロープ
0.1〜40重量%のコロイド状シリカ砥粒;
0〜5.0重量%の酸化剤;
0.005〜1.0重量%のポリビニルアルキルエーテル;
チアゾリン誘導体である、0〜0.01重量%の殺生物剤;及び
pH調整剤
よりなり、
8〜12の研磨pH用に設計されており、そして
安定な製造用low−k材料除去速度を示す、ケミカルメカニカルポリッシング組成物
【請求項2】
コロイド状シリカ砥粒が、≦100nmの平均粒径を有しており;そして
酸化剤が、過酸化水素(H)、一過硫酸塩、ヨウ素酸塩、過フタル酸マグネシウム、過酢酸及び他の過酸、過硫酸塩、臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、硝酸塩、鉄塩、セリウム塩、Mn(III)、Mn(IV)及びMn(VI)塩、銀塩、銅塩、クロム塩、コバルト塩、ハロゲン、次亜塩素酸塩並びにこれらの混合物から選択される
請求項1に記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項3】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として、本質的に:
0.01〜1.0重量%のハロゲン化アンモニウム;及び
0.0001〜0.01重量%の殺生物剤
よりなる、請求項2に記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項4】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として、本質的に:
水;
0.02〜0.04重量%のアゾールインヒビター;
0.1〜0.4重量%の錯化剤;
0.1〜0.3重量%のハロゲン化アンモニウム;
0.05〜0.1重量%のリン含有剤;
0.3〜0.8重量%のヒドロトロープ;
20〜30重量%のコロイド状シリカ砥粒;
0.1〜0.5重量%の酸化剤;
0.008〜0.03重量%のポリビニルアルキルエーテル;及び
0.001〜0.009重量%の殺生物剤
よりなる、請求項3に記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項5】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として、本質的に:
水;
ベンゾトリアゾールである、0.02〜0.04重量%のアゾールインヒビター
クエン酸である、0.1〜0.4重量%の錯化剤
塩化アンモニウムである、0.1〜0.3重量%のハロゲン化アンモニウム
リン酸である、0.05〜0.1重量%のリン含有剤
下記式:
C−(CH−SONa
で示される、0.3〜0.8重量%のヒドロトロープ
≦100nmの平均粒径を有する、20〜30重量%のコロイド状シリカ砥粒
である、0.1〜0.5重量%の酸化剤
0.008〜0.03重量%のポリビニルアルキルエーテル;及び
0.001〜0.009重量%の殺生物剤
よりなる、請求項3に記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項6】
複数の基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、
low−k材料を含む研磨すべき表面を有する少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板を提供すること;
ポリウレタンを含むケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
初期成分として、本質的に:
水;
ベンゾトリアゾール(BTA)、メルカプトベンゾトリアゾール(MBT)、トリルトリアゾール(TTA)、イミダゾール及びこれらの組合せよりなる群から選択される、0.01〜0.5重量%のアゾールインヒビター
クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、酒石酸及びグルコン酸よりなる群から選択される、0.01〜0.5重量%の錯化剤
塩化アンモニウム、臭化アンモニウム及びフッ化アンモニウムよりなる群から選択される、0〜1.0重量%のハロゲン化アンモニウム
リン酸である、0.01〜1重量%のリン含有剤
ベンゼンスルホナート、C1−4アルキルベンゼンスルホナート、ジ−C1−4アルキルベンゼンスルホナート、C5−10アルカンスルホナート及びこれらの塩よりなる群から選択される、0.05〜1.0重量%のヒドロトロープ
0.1〜40重量%のコロイド状シリカ砥粒;
0〜5.0重量%の酸化剤;
0.005〜1.0重量%のポリビニルアルキルエーテル;
チアゾリン誘導体である、0〜0.01重量%の殺生物剤;及び
pH調整剤よりなり、8〜12のpHを有する、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること
ケミカルメカニカルポリッシングパッドと少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれとの界面に連続して動的接触を作り出すこと;及び
ケミカルメカニカルポリッシング組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッド上のケミカルメカニカルポリッシングパッドと少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれとの界面に又はその近くに分配することにより、少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨すべき表面の研磨の達成を容易にして、少なくとも150個の研磨ウェーハを提供すること
を含み、
少なくとも幾らかのlow−k材料は、少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨すべき表面から除去されることにより、少なくとも150個の研磨ウェーハを提供し;
少なくとも150個の研磨ウェーハを提供するためにlow−k材料が少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨すべき表面から除去される速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハのそれぞれのlow−k材料除去速度を画定しており;
少なくとも150個の研磨ウェーハのlow−k材料除去速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハ中最初に研磨されたウェーハから少なくとも150個の研磨ウェーハ中それぞれ続いて研磨されたウェーハへと、関連するlow−k材料除去速度が、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の直前に研磨されたウェーハの関連するlow−k材料除去速度より高い、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の転移点研磨ウェーハに至るまで、初期には大きさが低下し;
転移点研磨ウェーハは、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の100番目の研磨ウェーハが研磨されるより前に研磨され;そして
少なくとも150個の研磨ウェーハに関連するlow−k材料除去速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の110番目の研磨ウェーハの研磨すべき表面の研磨後に安定を保つ、方法
【請求項7】
コロイド状シリカ砥粒が、≦100nmの平均粒径を有しており;そして
酸化剤が、過酸化水素(H)、一過硫酸塩、ヨウ素酸塩、過フタル酸マグネシウム、過酢酸及び他の過酸、過硫酸塩、臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、硝酸塩、鉄塩、セリウム塩、Mn(III)、Mn(IV)及びMn(VI)塩、銀塩、銅塩、クロム塩、コバルト塩、ハロゲン、次亜塩素酸塩並びにこれらの混合物から選択される
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
与えられるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として、本質的に:
0.01〜1.0重量%のハロゲン化アンモニウム;及び
0.0001〜0.01重量%の殺生物剤
よりなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
与えられるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として、本質的に:
水;
0.02〜0.04重量%のアゾールインヒビター;
0.1〜0.4重量%の錯化剤;
0.1〜0.3重量%のハロゲン化アンモニウム;
0.05〜0.1重量%のリン含有剤;
0.3〜0.8重量%のヒドロトロープ;
20〜30重量%のコロイド状シリカ砥粒;
0.1〜0.5重量%の酸化剤;
0.008〜0.03重量%のポリビニルアルキルエーテル;及び
0.001〜0.009重量%の殺生物剤
よりなる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
与えられるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として、本質的に:
水;
ベンゾトリアゾールである、0.02〜0.04重量%のアゾールインヒビター
クエン酸である、0.1〜0.4重量%の錯化剤
塩化アンモニウムである、0.1〜0.3重量%のハロゲン化アンモニウム
リン酸である、0.05〜0.1重量%のリン含有剤
下記式:
C−(CH−SONa
で示される、0.3〜0.8重量%のヒドロトロープ
≦100nmの平均粒径を有する、20〜30重量%のコロイド状シリカ砥粒
である、0.1〜0.5重量%の酸化剤
0.008〜0.03重量%のポリビニルアルキルエーテル;及び
0.001〜0.009重量%の殺生物剤
よりなる、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にケミカルメカニカルポリッシングの分野に関する。詳しくは、本発明は、半導体ウェーハを研磨するためのケミカルメカニカルポリッシング組成物及び方法であって、low−k材料除去速度が、研磨される複数のウェーハ中の110番目の研磨ウェーハの研磨後に所定の研磨パッドの寿命にわたり安定を保つ、組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業は、集積回路の製造において銅電気配線への依存を高めている。集積回路の製造の典型的プロセスは、ダマシン型構造の銅を使用する。この製造プロセス中、実質的に過剰の銅が典型的にはウェーハの表面に堆積する。一般に、初期の除去及び平坦化段階を伴う多段階の銅プロセスが利用されるが、ここで、銅の被覆層(overburden)を除去するためにケミカルメカニカルプラナリゼーションが使用され(即ち、工程1の銅CMPプロセス)、続いてバリア層CMPプロセスが使用される(即ち、工程2のCMPプロセス)。工程1の銅CMPプロセス中に、CMPプロセスに積極的に曝される唯一の材料は銅である。したがって、製造業者らは、典型的には工程1の銅CMPプロセスに関して高い銅除去速度を示す銅スラリーを利用する。しかし工程2のCMPプロセス中には、銅に加えて他の材料が、CMPプロセスに積極的に曝される基板表面に存在しているか、又は存在することになる。したがって、製造業者は工程2のCMPプロセスにバリアスラリーを使用する。
【0003】
様々な集積回路チップの設計及び製造プロセスに起因して、様々な製造業者は、工程2に使用されるバリアスラリーに関して様々な除去速度要件を定めている。即ち、製造業者が集積回路(即ち、半導体ウェーハ)の生産に使用する、多数の材料が存在する。しかし典型的には、3タイプの材料が工程2のCMPプロセス中に存在する、即ち、導電層材料(例えば、銅);接着/バリア層材料(例えば、タンタル、窒化タンタル、タンタル−窒化ケイ素、チタン、窒化チタン、チタン−窒化ケイ素、チタン−窒化チタン、チタン−タングステン、タングステン、窒化タングステン及びタングステン−窒化ケイ素);及び絶縁材料(例えば、TEOS及び炭素ドープ酸化物のようなlow−k材料)が存在する。したがって、工程2のCMPプロセスに積極的に曝される複数の材料を仮定すると、望まれる研磨結果を提供するためには、除去速度と除去速度選択比とがきちんと適合した組合せを有するバリアスラリーを利用することが重要である。
【0004】
配線金属及び絶縁体の存在下でバリア材料を除去するために工程2のCMPプロセスに使用される1種の研磨組成物が、Liuらの米国特許第7,300,602号に開示されている。Liuらは、0.1〜10重量パーセントの過酸化水素、研磨溶液のpHレベルを3未満に調整するための少なくとも1種のpH調整剤(硝酸、硫酸、塩酸及びリン酸からなる群から選択される)、配線金属の除去速度を低下させるための0.25〜1.7重量パーセントのベンゾトリアゾールインヒビター、0〜10重量パーセントの界面活性剤、50nm未満の平均粒径を有する0.01〜10重量パーセントのコロイド状シリカ並びにバランス水及び偶発的不純物を含む、配線金属及び絶縁体の存在下でバリア材料を除去するのに有用な研磨溶液を開示しており、そしてこの研磨溶液は、ウェーハに対して垂直に測定された15kPa未満の研磨パッド圧で測定するとき、少なくとも3対1の窒化タンタル対銅の選択比及び少なくとも3対1の窒化タンタル対TEOSの選択比を有する。
【0005】
それにもかかわらず、配線金属及びlow−k材料を含む絶縁材料に対してバリア材料を選択的に除去できる、工程2のCMPプロセスに使用するための更なるケミカルメカニカルポリッシング組成物に対するニーズは存在し続けている。
【0006】
本発明は、初期成分として、本質的に水;0.01〜0.5重量%のアゾールインヒビター(ここで、アゾールインヒビターは、ベンゾトリアゾール(BTA)、メルカプトベンゾトリアゾール(MBT)、トリルトリアゾール(TTA)、イミダゾール及びこれらの組合せからなる群から選択される);0.01〜0.5重量%の錯化剤(ここで、錯化剤は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、酒石酸及びグルコン酸からなる群から選択される);0〜1.0重量%のハロゲン化アンモニウム(ここで、ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム及びフッ化アンモニウムからなる群から選択される);0.01〜1重量%のリン含有剤(ここで、リン含有剤は、リン酸である);0.05〜1.0重量%のヒドロトロープ(ここで、ヒドロトロープは、ベンゼンスルホナート、C1−4アルキルベンゼンスルホナート、ジ−C1−4アルキルベンゼンスルホナート、C5−10アルカンスルホナート及びこれらの塩からなる群から選択される);0.1〜40重量%のコロイド状シリカ砥粒;0〜5.0重量%の酸化剤;0.005〜1.0重量%のポリビニルアルキルエーテル;0〜0.01重量%の殺生物剤(ここで、殺生物剤は、チアゾリン誘導体である);及びpH調整剤からなる、ケミカルメカニカルポリッシング組成物(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、8〜12の研磨pH用に設計されており、そしてケミカルメカニカルポリッシング組成物は、安定な製造用low−k材料除去速度を示す)を提供する。
【0007】
本発明は、初期成分として、本質的に水;0.02〜0.04重量%のアゾールインヒビター(ここで、アゾールインヒビターは、ベンゾトリアゾールである);0.1〜0.4重量%の錯化剤(ここで、錯化剤は、クエン酸である);0.1〜0.3重量%のハロゲン化アンモニウム(ここで、ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウムである);0.05〜0.1重量%のリン含有剤(ここで、リン含有剤は、リン酸である);0.3〜0.8重量%のヒドロトロープ(ここで、ヒドロトロープは、下記式:
C−(CH−SONa
で示される);20〜30重量%のコロイド状シリカ砥粒(ここで、コロイド状シリカは、≦100nmの平均粒径を有する);0.1〜0.5重量%の酸化剤(ここで、酸化剤は、Hである);0.008〜0.03重量%のポリビニルアルキルエーテル;及び0.001〜0.009重量%の殺生物剤(ここで、殺生物剤は、チアゾリン誘導体である)からなる、ケミカルメカニカルポリッシング組成物(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、8〜12の研磨pH用に設計されており、そしてケミカルメカニカルポリッシング組成物は、安定な製造用low−k材料除去速度を示す)を提供する。
【0008】
本発明は、複数の基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、研磨される表面(ここで、研磨される表面は、low−k材料を含む)を有する少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板を準備すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッド(ここで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリウレタンを含む)を準備すること;ケミカルメカニカルポリッシング組成物[ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、本質的に水;0.01〜0.5重量%のアゾールインヒビター(ここで、アゾールインヒビターは、ベンゾトリアゾール(BTA)、メルカプトベンゾトリアゾール(MBT)、トリルトリアゾール(TTA)、イミダゾール及びこれらの組合せからなる群から選択される);0.01〜0.5重量%の錯化剤(ここで、錯化剤は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、酒石酸及びグルコン酸からなる群から選択される);0〜1.0重量%のハロゲン化アンモニウム(ここで、ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム及びフッ化アンモニウムからなる群から選択される);0.01〜1重量%のリン含有剤(ここで、リン含有剤は、リン酸である);0.05〜1.0重量%のヒドロトロープ(ここで、ヒドロトロープは、ベンゼンスルホナート、C1−4アルキルベンゼンスルホナート、ジ−C1−4アルキルベンゼンスルホナート、C5−10アルカンスルホナート及びこれらの塩からなる群から選択される);0.1〜40重量%のコロイド状シリカ砥粒;0〜5.0重量%の酸化剤;0.005〜1.0重量%のポリビニルアルキルエーテル;0〜0.01重量%の殺生物剤(ここで、殺生物剤は、チアゾリン誘導体である);及びpH調整剤からなる]を準備すること(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、8〜12のpHを有する);ケミカルメカニカルポリッシングパッドと少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれとの界面に連続して動的接触を作り出すこと;及びケミカルメカニカルポリッシング組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッドと少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれとの界面に又はその近くのケミカルメカニカルポリッシングパッド上に分注することにより、少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨される表面の研磨を容易にして、少なくとも150個の研磨ウェーハを準備することを含む方法を提供するが;ここで、少なくとも幾らかのlow−k材料が、少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨される表面から除去されることにより、少なくとも150個の研磨ウェーハを準備し;ここで、low−k材料が少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨される表面から除去され、少なくとも150個の研磨ウェーハを準備する速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハのそれぞれのlow−k材料除去速度を画定しており;ここで、少なくとも150個の研磨ウェーハのlow−k材料除去速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハ中最初に研磨されたウェーハから少なくとも150個の研磨ウェーハ中それぞれ続いて研磨されたウェーハへと、そのlow−k材料除去速度が、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の直前に研磨されたウェーハに対するlow−k材料除去速度より高くなる、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の転移点研磨ウェーハに至るまで、初期にはその大きさが低下し;ここで、転移点研磨ウェーハは、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の100番目の研磨ウェーハが研磨されるより前に研磨され;そしてここで、少なくとも150個の研磨ウェーハに対するlow−k材料除去速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の110番目の研磨ウェーハの研磨される表面の研磨後に安定を保つ。
【0009】
本発明は、複数の基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法であって、研磨される表面(ここで、研磨される表面は、low−k材料を含む)を有する少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板を準備すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッド(ここで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリウレタンを含む)を準備すること;ケミカルメカニカルポリッシング組成物[ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、本質的に水;0.02〜0.04重量%のアゾールインヒビター(ここで、アゾールインヒビターは、ベンゾトリアゾールである);0.1〜0.4重量%の錯化剤(ここで、錯化剤は、クエン酸である);0.1〜0.3重量%のハロゲン化アンモニウム(ここで、ハロゲン化アンモニウムは、塩化アンモニウムである);0.05〜0.1重量%のリン含有剤(ここで、リン含有剤は、リン酸である);0.3〜0.8重量%のヒドロトロープ(ここで、ヒドロトロープは、下記式:
C−(CH−SONa
で示される);20〜30重量%のコロイド状シリカ砥粒(ここで、コロイド状シリカは、≦100nmの平均粒径を有する);0.1〜0.5重量%の酸化剤(ここで、酸化剤は、Hである);0.008〜0.03重量%のポリビニルアルキルエーテル;及び0.001〜0.009重量%の殺生物剤(ここで、殺生物剤は、チアゾリン誘導体である);及びpH調整剤からなる]を準備すること(ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、8〜12のpHを有する);ケミカルメカニカルポリッシングパッドと少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれとの界面に連続して動的接触を作り出すこと;及びケミカルメカニカルポリッシング組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッドと少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれとの界面に又はその近くのケミカルメカニカルポリッシングパッド上に分注することにより、少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨される表面の研磨を容易にして、少なくとも150個の研磨ウェーハを準備することを含む方法を提供するが;ここで、少なくとも幾らかのlow−k材料が、少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨される表面から除去されることにより、少なくとも150個の研磨ウェーハを準備し;ここで、low−k材料が少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨される表面から除去され、少なくとも150個の研磨ウェーハを準備する速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハのそれぞれのlow−k材料除去速度を画定しており;ここで、少なくとも150個の研磨ウェーハのlow−k材料除去速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハ中最初に研磨されたウェーハから少なくとも150個の研磨ウェーハ中それぞれ続いて研磨されたウェーハへと、そのlow−k材料除去速度が、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の直前に研磨されたウェーハに対するlow−k材料除去速度より高くなる、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の転移点研磨ウェーハに至るまで、初期にはその大きさが低下し;ここで、転移点研磨ウェーハは、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の100番目の研磨ウェーハが研磨されるより前に研磨され;そしてここで、少なくとも150個の研磨ウェーハに対するlow−k材料除去速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の110番目の研磨ウェーハの研磨される表面の研磨後に安定を保つ。
【0010】
詳細な説明
典型的には、ウェーハ製造業者は、1,000Å/分未満(実施例に明記される条件下で測定するとき)のlow−k材料除去速度を示すバリア研磨スラリー配合物を使用することを好む。所定の工程2のCMPプロセスに関する他の除去速度要件を満たすバリア研磨スラリー配合物はまた、不適切に高いlow−k材料除去速度を示す。工程2のCMPプロセス中に存在する他の層(例えば、TEOS)の除去速度に影響を及ぼさずに望まれるlow−k材料除去速度を達成する1つの方法は、ポリビニルアルキルエーテルをバリア研磨スラリー中に組み込むことであることが示唆されている。残念なことに、所定のバリア研磨スラリーへのポリビニルアルキルエーテルの単純な添加では、不安定なlow−k材料除去速度を示す研磨配合物が得られる。具体的には、low−k材料除去速度は、研磨につれて減少するため、研磨された各一連のウェーハのlow−k材料除去速度は、それ以前に研磨されたウェーハのlow−k材料除去速度よりも低い。
【0011】
驚くべきことに我々は、ポリビニルアルキルエーテルが、典型的な工程2のCMPプロセスに使用されるポリウレタン研磨パッドの研磨表面と不適切に相互作用することを見出した。我々は、ポリビニルアルキルエーテルと研磨パッドの研磨表面との間のこの相互作用が、複数の連続するウェーハの研磨により徐々にlow−k材料除去速度の不適切な低下をもたらすことを見出した。従来の研磨パッド調整手法は、研磨パッドの研磨表面を、研磨パッドの有用な寿命(例えば、1,000個のウェーハ)にわたっての安定なlow−k材料除去速度の達成を容易にする状態に戻すのに充分ではない。
【0012】
また、驚くべきことに、ポリビニルアルキルエーテル含有アルカリ性バリア研磨配合物に、ベンゼンスルホナート、C1−4アルキルベンゼンスルホナート(例えば、トルエンスルホナート、クメンスルホナート)、ジ−C1−4アルキルベンゼンスルホナート(例えば、キシレンスルホナート、シメンスルホナート)、C5−10アルカンスルホナート及びこれらの塩からなる群から選択されるヒドロトロープを組み込むと、研磨パッドの研磨表面とポリビニルアルキルエーテルとの間の相互作用が変化し、その結果、生じるケミカルメカニカルポリッシング組成物が、安定な製造用low−k材料除去速度を示すことが見い出された。
【0013】
「安定な製造用low−k材料除去速度」という用語は、本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと組合せた本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物を使用して研磨される連続して研磨される半導体ウェーハ基板に対するlow−k材料除去速度が、ケミカルメカニカルポリッシングパッドの残りの寿命にわたり110番目の連続して研磨される半導体ウェーハ基板以降の全ての連続して研磨される半導体ウェーハ基板について、110番目の連続して研磨される半導体ウェーハ基板に対するlow−k材料除去速度から12%未満の変化であることを意味する。
【0014】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは、初期成分として、静電エッチング又は他の除去機序による非鉄金属(例えば、銅)配線の除去を調整するためのアゾールインヒビターを含有する。インヒビターの濃度を調整すると、静電エッチングから金属を保護することにより配線金属除去速度が整う。好ましくは、本ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、0.01〜0.5重量%、更に好ましくは0.01〜0.1重量%、最も好ましくは0.02〜0.04重量%のアゾールインヒビターを含有する。更に好ましくは、アゾールインヒビターは、ベンゾトリアゾール(BTA)、メルカプトベンゾトリアゾール(MBT)、トリルトリアゾール(TTA)、イミダゾール及びこれらの組合せからなる群から選択される。アゾールインヒビターの組合せは、銅除去速度を上昇させうるか、又は低下させうる。最も好ましくは、インヒビターはBTAであり、そしてこれは、銅及び銀の配線に特に有効なインヒビターである。場合により、インヒビターは、アゾールインヒビターの混合物を含む。
【0015】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分として非鉄金属用の錯化剤を含有する。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、酒石酸及びグルコン酸からなる群から選択される、0.01〜1.0重量%(更に好ましくは0.01〜0.5重量%、最も好ましくは0.1〜0.4重量%)の錯化剤を含有する。好ましくは、錯化剤は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸及びマレイン酸からなる群から選択される。最も好ましくは、錯化剤はクエン酸である。
【0016】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分としてハロゲン化アンモニウムを含有する。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム及びフッ化アンモニウムからなる群から選択される、0〜0.1重量%(更に好ましくは0.01〜0.05重量%、最も好ましくは0.1〜0.03重量%)のハロゲン化アンモニウムを含有する。最も好ましくは、ハロゲン化アンモニウムは塩化アンモニウムである。
【0017】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分としてリン含有剤を含有する。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、0.01〜1.0重量%(更に好ましくは0.01〜0.1重量%;最も好ましくは0.05〜0.1重量%)のリン含有剤(ここで、リン含有剤は、リン酸である)を含む。
【0018】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分として、ベンゼンスルホナート、C1−4アルキルベンゼンスルホナート(例えば、トルエンスルホナート、クメンスルホナート)、ジ−C1−4アルキルベンゼンスルホナート(例えば、キシレンスルホナート、シメンスルホナート)、C5−10アルカンスルホナート及びこれらの塩からなる群から選択される、ヒドロトロープを含有する。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として0.05〜1重量%(更に好ましくは0.1〜1重量%、最も好ましくは0.3〜0.8重量%)のヒドロトロープを含有する。好ましくは、ヒドロトロープは、トルエンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム及びC5−10アルカンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される。最も好ましくは、ヒドロトロープは、下記式:
C−(CH−SONa
で示される。
【0019】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分として0.1〜40重量%のコロイド状シリカ砥粒を含有する。更に好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として5〜30重量%(最も好ましくは20〜30重量%)のコロイド状シリカ砥粒を含有する。使用されるコロイド状シリカ砥粒は、≦100nm(更に好ましくは10〜100nm;最も好ましくは25〜60nm)の平均粒径を有する。
【0020】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、場合により初期成分として酸化剤を含有する。ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分として0〜5重量%(更に好ましくは0.1〜5重量%、更になお好ましくは0.1〜1.0重量%、最も好ましくは0.1〜0.5重量%)の酸化剤を含有する。好ましくは、酸化剤は、過酸化水素(H)、一過硫酸塩、ヨウ素酸塩、過フタル酸マグネシウム、過酢酸及び他の過酸、過硫酸塩、臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、硝酸塩、鉄塩、セリウム塩、Mn(III)、Mn(IV)及びMn(VI)塩、銀塩、銅塩、クロム塩、コバルト塩、ハロゲン、次亜塩素酸塩並びにこれらの混合物から選択される。更に好ましくは、酸化剤は過酸化水素である。過酸化水素のような不安定な酸化剤を含有するようにケミカルメカニカルポリッシング組成物が配合されるとき、使用時にケミカルメカニカルポリッシング組成物に酸化剤を組み込むことが好ましい。
【0021】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは初期成分としてポリビニルアルキルエーテルを含有する。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として0.005〜1重量%(更に好ましくは0.005〜0.1重量%、最も好ましくは0.008〜0.03重量%)のポリビニルアルキルエーテルを含有する。好ましくは、ポリビニルアルキルエーテルは、ポリビニルC1−4アルキルエーテルである。更に好ましくは、ポリビニルアルキルエーテルは、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル及びポリビニルプロピルエーテルからなる群から選択される。更になお好ましくは、ポリビニルアルキルエーテルは、ポリビニルメチルエーテル及びポリビニルエチルエーテルからなる群から選択される。最も好ましくは、ポリビニルアルキルエーテルは、ポリビニルメチルエーテルである。
【0022】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、場合により初期成分として、例えば、チアゾリン誘導体のような殺生物剤を含有する。好ましいチアゾリン誘導体殺生物剤は、それぞれRohm and Haas Companyにより製造されている、Kordek(商標)MLX(9.5〜9.9% メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、89.1〜9.5%水及び≦1.0% 関連反応生成物)並びに2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの活性成分を含有するKathon(商標)ICP IIIが挙げられる(Kathon(商標)及びKordek(商標)はRohm and Haas Companyの商標である)。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として0〜0.01重量%(更に好ましくは0.0001〜0.01重量%;最も好ましくは0.001〜0.009重量%)の殺生物剤を含有する。
【0023】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、使用時に好ましくは8〜12(更に好ましくは9〜11、更になお好ましくは10〜11、最も好ましくは10〜10.5)のpHを示す。本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHを調整するための使用に適した酸は、例えば、硝酸、硫酸及び塩酸が挙げられる。本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHを調整するための使用に適した塩基は、例えば、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化リチウム及び水酸化カリウムが挙げられる。
【0024】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物に含有される水は、好ましくは偶発的不純物を制限するために脱イオン水及び蒸留水の少なくとも一方である。
【0025】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは下記構造:
【化1】

[式中、R、R、R及びRは、基であり;そしてRは、2〜25個の炭素原子の炭素鎖を有する]を含む化合物により形成される<0.01ppmの有機アンモニウムカチオン性塩を含有する。このような有機アンモニウムカチオン性塩は、炭素ドープ酸化物の除去速度を上昇させることが知られている。炭素ドープ酸化物の除去速度を上昇させるであろう有機アンモニウムカチオン性塩のような化合物の、本発明のケミカルメカニカルポリッシングへの添加は、回避すべきである。
【0026】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは<1ppmのポリビニルピロリドンを含有する。
【0027】
本発明の複数の基板のケミカルメカニカルポリッシングのための方法は、研磨される表面[ここで、研磨される表面は、low−k材料(好ましくは、Applied Materialsから入手可能なBlack Diamond(登録商標)及びNovellus Systemsから入手可能なCoral(登録商標)のような、≦3.3の誘電率を有するlow−k炭素ドープ酸化物絶縁材料)を含む]を有する少なくとも150個(好ましくは少なくとも200個、更に好ましくは少なくとも500個、最も好ましくは少なくとも1,000個)の別々の半導体ウェーハ基板を準備すること;ケミカルメカニカルポリッシングパッド(ここで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリウレタンを含む)を準備すること;ケミカルメカニカルポリッシング組成物[ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、本質的に水(好ましくは蒸留水及び脱イオン水の少なくとも一方);アゾールインヒビター;錯化剤;ハロゲン化アンモニウム;リン含有剤;ヒドロトロープ;砥粒;酸化剤;ポリビニルアルキルエーテル;殺生物剤;及びpH調整剤からなる]を準備すること[ここで、ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、8〜12のpH(好ましくは9〜11のpH;更に好ましくは10〜11のpH;最も好ましくは10〜10.5のpH)を有する];ケミカルメカニカルポリッシングパッドと少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれとの界面に連続して動的接触を作り出すこと;及びケミカルメカニカルポリッシング組成物をケミカルメカニカルポリッシングパッドと少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれとの界面に又はその近くのケミカルメカニカルポリッシングパッド上に分注することにより、少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨される表面の研磨を容易にして、少なくとも150個の研磨ウェーハを準備することを含むが;ここで、少なくとも幾らかのlow−k材料は、少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨される表面から除去されることにより、少なくとも150個の研磨ウェーハを準備し;ここで、low−k材料が少なくとも150個の別々の半導体ウェーハ基板のそれぞれの研磨される表面から除去され、少なくとも150個の研磨ウェーハを提供する速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハのそれぞれのlow−k材料除去速度を画定しており;ここで、少なくとも150個の研磨ウェーハのlow−k材料除去速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハ中最初に研磨されたウェーハから少なくとも150個の研磨ウェーハ中それぞれ続いて研磨されたウェーハへと、そのlow−k材料除去速度が、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の直前に研磨されたウェーハに対するlow−k材料除去速度より高くなる、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の転移点研磨ウェーハに至るまで、初期にはその大きさが低下し;ここで、転移点研磨ウェーハは、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の100番目の研磨ウェーハが研磨されるより前に研磨され;そしてここで、少なくとも150個の研磨ウェーハに対するlow−k材料除去速度は、少なくとも150個の研磨ウェーハ中の110番目の研磨ウェーハの研磨される表面の研磨後に安定を保つ。
【0028】
「安定」という用語は、low−k材料除去速度に関して本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、110番目の連続して研磨される半導体ウェーハ基板以降の、本発明の方法を用いて研磨されるそれぞれの半導体ウェーハ基板(好ましくは少なくとも1,000個の連続して研磨される半導体ウェーハ基板)のlow−k材料の除去速度(実施例に明記される条件下)が、準備されるケミカルメカニカルポリッシングパッドの残りの寿命にわたり110番目の連続して研磨される半導体ウェーハ基板について示されるlow−k材料除去速度の12%以内(更に好ましくは10%以内;最も好ましくは7%以内)にあることを意味する。
【0029】
好ましくは、本発明の方法において、準備される少なくとも150個(好ましくは少なくとも200個、更に好ましくは少なくとも500個、最も好ましくは少なくとも1,000個)の別々の半導体ウェーハ基板は、研磨される表面を有するが、ここで、研磨される表面は、導電性材料(好ましくは銅);接着/バリア材料(好ましくは、タンタル、窒化タンタル、タンタル−窒化ケイ素、チタン、窒化チタン、チタン−窒化ケイ素、チタン−窒化チタン、チタン−タングステン、タングステン、窒化タングステン及びタングステン−窒化ケイ素からなる群から選択され;更に好ましくは窒化タンタル);及び≦3.3の誘電率を有するlow−k炭素ドープ酸化物絶縁材料(例えば、Applied Materialsから入手可能なBlack Diamond(登録商標)及びNovellus Systemsから入手可能なCoral(登録商標))を含む。
【0030】
本発明の方法において与えられるケミカルメカニカルポリッシングパッドは、好ましくは硬化性材料から誘導される研磨層を含む。好ましくは、硬化性材料は、液体プレポリマーを含む。更に好ましくは、硬化性材料は、液体プレポリマー及び複数の微量成分を含むが、ここで複数の微量成分は、液体プレポリマー中に均一に分散している。
【0031】
液体プレポリマーは、好ましくは重合(即ち、硬化)することにより、ポリ(ウレタン)を含む材料を形成する。「ポリ(ウレタン)」という用語は、本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、二官能基又は多官能基イソシアネート(イソシアネート末端プレポリマーを包含する)と活性水素基含有化合物(特に限定されないが、ポリオール、ジオール、アミン、水又はこれらの組合せが挙げられる)との反応により誘導される生成物を包含する。このような反応生成物の例としては、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン尿素、ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、ポリエーテル尿素、ポリエステル尿素、ポリイソシアヌレート、これらのコポリマー及びこれらの混合物が挙げられる。更に好ましくは、液体プレポリマーは、重合することによりポリウレタンを含む材料を形成する。最も好ましくは、液体プレポリマーは、重合(硬化)することによりポリウレタンを形成する。
【0032】
好ましくは、液体プレポリマーは、ポリイソシアネート含有材料を含む。更に好ましくは、液体プレポリマーは、ポリイソシアネート(例えば、ジイソシアネート)とヒドロキシル含有材料との反応生成物を含む。
【0033】
好ましくは、ポリイソシアネートは、メチレンビス−4,4’−シクロヘキシル−イソシアネート;シクロヘキシルジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネートのトリイソシアネート;2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン;エチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリ−メチルヘキサメチレンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;及びこれらの組合せから選択される。最も好ましくは、ポリイソシアネートは、脂肪族であり、かつ14パーセント未満の未反応イソシアネート基を有する。
【0034】
好ましくは、本発明により使用されるヒドロキシル含有材料は、ポリオールである。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン(部分的及び完全水素化誘導体を包含する)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0035】
好ましいポリオールには、ポリエーテルポリオールが挙げられる。ポリエーテルポリオールの例としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。炭化水素鎖は、飽和又は不飽和結合、及び置換又は非置換の芳香環基を有することができる。好ましくは、本発明におけるポリオールとしては、PTMEGが挙げられる。適切なポリエステルポリオールとしては、特に限定されないが、ポリアジピン酸エチレングリコール;ポリアジピン酸ブチレングリコール;ポリアジピン酸エチレンプロピレングリコール;o−フタラート−1,6−ヘキサンジオール;ポリ(アジピン酸ヘキサメチレン)グリコール;及びこれらの混合物が挙げられる。炭化水素鎖は、飽和又は不飽和結合、あるいは置換又は非置換の芳香族基及び環状基を有することができる。適切なポリカプロラクトンポリオールとしては、特に限定されないが、1,6−ヘキサンジオール開始ポリカプロラクトン;ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン;トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン;ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン;1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン;PTMEG開始ポリカプロラクトン;及びこれらの混合物が挙げられる。炭化水素鎖は、飽和又は不飽和結合、あるいは置換又は非置換の芳香族基及び環状基を有することができる。適切なポリカーボネートとしては、特に限定されないが、ポリフタラートカーボネート及びポリ(炭酸ヘキサメチレン)グリコールが挙げられる。
【0036】
好ましくは、複数の微量成分は、封入気泡、中空コアポリマー材料(即ち、ミクロスフェア)、液体入り中空コアポリマー材料、水溶性材料(例えば、シクロデキストリン)及び不溶相材料(例えば、鉱油)から選択される。好ましくは、複数の微量成分は、ポリビニルアルコール、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリ(二塩化ビニリデン)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエーテルアクリレート、デンプン、マレイン酸コポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリウレタン、シクロデキストリン及びこれらの組合せ(例えば、Sundsvall, SwedenのAkzo Novel製のExpancel(商標))のようなミクロスフェアである。ミクロスフェアは、例えば、分岐、ブロッキング、及び架橋により化学修飾して、溶解度、膨潤性及び他の性質を変化させることができる。好ましくは、ミクロスフェアは、150μm未満である平均径、そして更に好ましくは50μm未満の平均径を有する。最も好ましくは、ミクロスフェア48は、15μm未満である平均径を有する。ミクロスフェアの平均径は変化させられること、及び様々なミクロスフェア48の様々なサイズ又は混合物を使用できることに留意せよ。ミクロスフェアに最も好ましい材料は、アクリロニトリルと二塩化ビニリデンのコポリマーである(例えば、Akzo Novelから入手可能なExpancel(登録商標))。
【0037】
液体プレポリマーは、場合により更に硬化剤を含む。好ましい硬化剤としては、ジアミンが挙げられる。適切なポリジアミンとしては、第1級及び第2級アミンの両方が挙げられる。好ましいポリジアミンとしては、特に限定されないが、ジエチルトルエンジアミン(「DETDA」);3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びその異性体;3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及びその異性体(例えば、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン);4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン;4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(「MCDEA」);ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;N,N’−ジアルキルジアミノジフェニルメタン;p,p’−メチレンジアニリン(「MDA」);m−フェニレンジアミン(「MPDA」);メチレン−ビス−2−クロロアニリン(「MBOCA」);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(「MOCA」);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(「MDEA」);4,4’−メチレン−ビス−(2,3−ジクロロアニリン)(「MDCA」);4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン;2,2’,3,3’−テトラクロロジアミノジフェニルメタン;トリメチレングリコール ジ−p−アミノベンゾエート;並びにこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ジアミン硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びその異性体から選択される。
【0038】
硬化剤としてはまた、ジオール、トリオール、テトラオール及びヒドロキシ末端硬化剤を挙げることができる。適切なジオール、トリオール、及びテトラオール群としては、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;レゾルシノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;及びこれらの混合物が挙げられる。好ましいヒドロキシ終端硬化剤としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール;及びこれらの混合物が挙げられる。ヒドロキシ末端及びジアミン硬化剤としては、1種以上の飽和、不飽和、芳香族、及び環状基を挙げることができる。更には、ヒドロキシ末端及びジアミン硬化剤は、1種以上のハロゲン基を含むことができる。
【0039】
ここに本発明の幾つかの実施態様が、以下の実施例において詳細に記述される。
【0040】
比較例C1〜C3及び実施例1
ケミカルメカニカルポリッシング組成物の調製
比較研磨実施例PC1〜PC3及び研磨実施例1に使用されたケミカルメカニカルポリッシング組成物(即ち、それぞれケミカルメカニカルポリッシング組成物C1〜C3及び1)は、表1にリストされる量の成分を合わせて残りを脱イオン水とし、水酸化カリウムにより表1にリストされる最終pHまで組成物のpHを調整することによって調製した。
【表1】
【0041】
比較例PC1〜PC3及び実施例P1
ケミカルメカニカルポリッシング実験
Coral(登録商標)ブランケットウェーハ除去速度研磨試験を、比較例C1〜C3及び実施例1により調製したケミカルメカニカルポリッシング組成物を使用して実施した。具体的には、Coral(登録商標)ブランケットウェーハを10番目、25番目、50番目、75番目、100番目などのウェーハとして混ぜ入れて、複数のダミーウェーハを準備した。次にこれらのウェーハを連続して研磨して、表1に特定されるケミカルメカニカルポリッシングC1〜C3及び1のそれぞれについてCoral(登録商標)の除去速度を測定した。ISRM検出器システムを取り付けたApplied Materials, Inc.のReflexion 300mm研磨機[1.5psi(10.3kPa)のダウンフォース、350cc/分の研磨液流量、93RPMのプラテン速度、及び87RPMのキャリア速度下で、1010+A24溝模様を持つVisionPad(商標)3100ポリウレタン研磨パッド(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.から市販されている)を用いる]。Diagrid(登録商標)AD3BS-211250-3FNダイヤモンドパッドコンディショナー(Kinik Companyから市販されている)を使用して、ウェーハ間の研磨パッドを調整した。Coral(登録商標)除去速度は、KLA Tencor ASET F5X計量ツールを用いて測定した。連番が付いたウェーハに関する除去速度実験の結果は、表2に提供される。
【表2】