(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239925
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】インターロックホース及びその製造装置
(51)【国際特許分類】
F01N 13/18 20100101AFI20171120BHJP
B21D 11/10 20060101ALI20171120BHJP
B21D 53/84 20060101ALI20171120BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20171120BHJP
F16L 11/16 20060101ALN20171120BHJP
【FI】
F01N13/18
B21D11/10
B21D53/84 B
F01N13/08 F
!F16L11/16
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-212979(P2013-212979)
(22)【出願日】2013年10月10日
(65)【公開番号】特開2014-77445(P2014-77445A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2016年10月11日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0112177
(32)【優先日】2012年10月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513256402
【氏名又は名称】ユニオン エンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】チョ、キョンサン
【審査官】
二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−030025(JP,A)
【文献】
特開平08−218862(JP,A)
【文献】
米国特許第06116287(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00− 1/24
F01N 5/00− 5/04
F01N 13/00−13/20
B21D 11/00−21/00
F16L 9/00−11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用排気管に使われるインターロックホース製造装置であって、
多数のベンディングローラーが設置されたベンディング成形部と、
前記ベンディング成形部を通じてベンディング成形された金属板材をワインディング処理しながら押圧及びインターロッキング処理するためのマンドレルと、
多数の押圧ローラーが設置されたワインディング部と、を含み、
前記マンドレルの外周面は多数の第1面と多数の第2面とで形成され、前記第1面と第2面とは互いにサイズが相異し、
前記第1面は平面からなり、前記第2面は曲面からなることを特徴とする、インターロックホース製造装置。
【請求項2】
前記多数の第2面の各々は前記多数の第1面の各々の間に設けられることを特徴とする、請求項1に記載のインターロックホース製造装置。
【請求項3】
前記第1面と前記第2面との幅方向長さは9:4〜12:4の割合で形成されることを特徴とする、請求項1に記載のインターロックホース製造装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち、いずれか1項に記載のインターロックホース製造装置により製造されたことを特徴とする、インターロックホース。
【請求項5】
前記インターロックホースは内部インターロックと外部インターロックの二重からなり、
前記内部インターロックと外部インターロックの各々は第1ストリップと前記第1ストリップに折り畳まれる第2ストリップを備えることを特徴とする、請求項4に記載のインターロックホース。
【請求項6】
前記第1ストリップは第1脚部と第1端部を備え、前記第1脚部と前記第1端部は‘⊃’形状に連結され、
前記第2ストリップは第2脚部と第2端部を備え、前記第2脚部と前記第2端部は‘⊂’形状に連結され、
前記第1端部は前記第2ストリップの内に挿入され、前記第2端部は前記第1ストリップの内に挿入されることを特徴とする、請求項5に記載のインターロックホース。
【請求項7】
前記第1脚部と前記第2端部とは線接触することを特徴とする、請求項6に記載のインターロックホース。
【請求項8】
前記第1ストリップと第2ストリップとの間には空間が形成されたことを特徴とする、請求項5に記載のインターロックホース。
【請求項9】
前記内部インターロックはインダクションヒーターを用いて350〜650℃の温度に熱処理されることを特徴とする、請求項5に記載のインターロックホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターロックホース及びその製造装置に関し、特に内部インターロックと外部インターロックとの2つで構成され、排気ガスに直接露出している内部インターロックは製作する時の巻く力を調整して必要な延伸率を提供し、排気ガスの影響を相対的に少なく受ける外部インターロックは熱硬化の影響から逸脱することができるインターロックホース及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、フレキシブルホースはフレキシブルパイプまたはフレキシブルチューブともいい、帯形状を有するバンド型金属板材をベンディング(bending)成形することにより製造できるが、成形方式によってベローズ(bellows)タイプとインターロック(interlock)タイプとに分けられる。
【0003】
このようなフレキシブルホースは成形方式に関係なく自動車用排気管に主としてたくさん使われており、穀物などの粉体移送にも使用することができるなど、曲線配置が可能な個所や連結部位の伸縮性が要求される場合に使用することができ、その他の産業分野の目的に合うように多様に使われている。
【0004】
特に、自動車用排気管に使われる場合にはエンジンと連結される排気管に適用されているが、排気連通と排気連通を連結する連結体に使われながらフレキシブルな伸縮構造によりエンジンの振動が排気管を通じて車体に伝達されることを遮断する役割をするように設置される重要部品のうちの1つである。
【0005】
即ち、インターロックホース(Interlock Hose)は金属鋼帯を噛合させて螺旋形に巻いて製造するものであって、噛合部位に良質のパッキングを挿入またはコーティングして内圧に耐えることができる構造である。このようなフレキシブルインターロックホースは、金属板材をベンディングした後にベンディング部分の一部がインターロッキング(interlocking)されるようにワインディング(winding)処理することによって、
図1のような多角構造を有するパイプタイプの胴体を形成するように製造され、
図2に示すようなベンディング構造及びインターロッキング構造で形成される。
【0006】
しかしながら、従来のインターロックホースが排気ガスによる熱硬化に脆弱であるので、早期に破損される場合がたびたび発生する。特に、エンジンマウントをソフトに使用する韓国/日本/中国地域ではエンジンの動きが大きくてエンジンと排気系を連結するインターロックホースがこの動きを全て吸収しなければならない。
【0007】
ヨーロッパの貨物車は相対的に安定したエンジン動きによってインターロックホースが熱硬化により破損される場合は稀であるが、取分け韓国/日本/中国で開発された貨物車の場合、エンジン動きが大きくて熱硬化によるインターロックホースの破損が加速化される。
【0008】
ハミルトンプリンシプルによれば、全ての物体は与えられた経路の上でエネルギー消耗を最小化する方向に動く。インターロックに適用すれば、硬化されたインターロックは動く一部分のみ動いて、残りの大部分は全く動かない。このようになれば、幾つかのストリップ(strip)だけで全体の動きを消化しなければならないことが分かる。これは、摩擦による部分的な集中摩耗を発生させ、インターロックとインターロックとの間の隙間を作って摩耗−繋ぎ−リーク−破損の手続きによって後処理されていない排気ガスを走行中に外部に漏出させる原因となる。
【0009】
このような問題を解決するための技術の一例が以下の文献などに開示されている。
【0010】
例えば、文献1(大韓民国登録特許公報第10−1097393号、2011.12.15登録)には、上下位置される一対構造で多数のベンディングローラーが設置されたベンディング成形部、前記ベンディング成形部を通じてベンディング成形された金属板材をワインディング処理しながら押圧及びインターロッキング処理するためのマンドレル、及び多数の押圧ローラーが設置されたワインディング部を含むフレキシブルインターロックホース製造装置であって、ワインディング部は円形胴体の外面の周りに製品の解け現象防止及び均一引張圧縮力を与えるための凹溝を形成させ、前記メイン駆動モータから回転動力の提供を受けて回転駆動されるマンドレルを備え、前記マンドレルの外側に上下左右配置させた公知の多数押圧ローラーの間に製品の浮き上がり防止及びフレキシブル特性の調整機能を担当するように設置されたガイドリングを含んで構成されるフレキシブルインターロックホース製造装置により
図2に示すようなインターロッキング構造を形成する技術に対して開示されている。
【0011】
また、文献2(大韓民国登録特許公報第10−1161426号、2012.06.25登録)には、プロファイルされ、ねじ山形態に巻かれた1つ以上の金属ストリップで製造され、前記金属ストリップのプロファイリングは隣接したストリップワインディングのストリップエッジが動けるように互いに噛み合うように形成され、前記金属ストリップの少なくとも一方は隣接したストリップワインディングが互いに密着しているワウンドホースの軸方向中央領域のうちの少なくとも接触面で目標になった表面変形を含み、前記目標になった表面変形はワウンドホースが最大100%のサーマルスティフニングを有するように実施され、また前記目標になった表面変形は排気ガスシステムにワウンドホースを装着する前に酸素を含有した大気下で金属ストリップの熱処理を通じて引起こされた目標になった表面変形である排気ガスシステムのためのワウンド金属ホースに対して開示されている。
【0012】
また、文献3(米国登録特許公報第6,116,287号、2000.09.12登録)には、内部インターロックと外部インターロックの2つで構成されているので、機械的に一層精密に加工しやすい0.2T薄板を用いても2重であるので排気パイプとして必要な最小限の剛性を得ることができる二重インターロックに対して開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第10−1097393号(2011.12.15登録)
【特許文献2】大韓民国登録特許公報第10−1161426号(2012.06.25登録)
【特許文献3】米国登録特許公報第6,116,287号(2000.09.12登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、前述したような従来の技術ではどんなに巻く力を減らしても排気ガスに露出した瞬間インターロックが固まる現象は避けられない。これによって、前記特許文献3にある特許を現実的に具現することができる方法がなかった。一重のインターロックも固くなるが、2重を使用すればさらに固くなって趣旨は立派であったが、これを実現することができる方法がなかった。
【0015】
その解決方法には、熱硬化に脆弱な内部インターロックに別途の熱処理を行って熱硬化に敏感に反応しないように前処理を行い、外部インターロックと組立てる形態の二重インターロック製造方法があるが、これは内部インターロックを熱処理するための製作費が上昇するという問題があった。
【0016】
本発明の目的は、前述したような問題点を解決するためになされたものであって、マンドレルに角だった部分に最大限曲面処理をして接触抵抗を減らして垂直抗力を小さくするインターロックホース及びその製造装置を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、内部インターロックには必要な延伸率を提供し、外部インターロックは熱硬化の影響から逸脱することができるインターロックホース及びその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の目的を達成するために本発明に従うインターロックホース製造装置は、自動車用排気管に使われるインターロックホース製造装置であって、多数のベンディングローラーが設置されたベンディング成形部、前記ベンディング成形部を通じてベンディング成形された金属板材をワインディング処理しながら押圧及びインターロッキング処理するためのマンドレル、及び多数の押圧ローラーが設置されたワインディング部を含み、前記マンドレルの外周面は多数の第1面と多数の第2面とで形成され、前記第1面と第2面とは互いにサイズが相異し、前記第1面は平面からなり、前記第2面は曲面からなることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に従うインターロックホース製造装置において、前記多数の第2面の各々は前記多数の第1面の各々の間に設けられることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に従うインターロックホース製造装置において、前記第1面と前記第2面との幅方向長さは9:4〜12:4の割合で形成されることを特徴とする。
【0021】
また、前記の目的を達成するために本発明に従うインターロックホースは、前述した製造装置により製造されたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に従うインターロックホースにおいて、前記インターロックホースは内部インターロックと外部インターロックの二重からなり、前記内部インターロックと外部インターロックの各々は第1ストリップと前記第1ストリップに折り畳まれる第2ストリップを備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に従うインターロックホースにおいて、前記第1ストリップは第1脚部と第1端部を備え、前記第1脚部と前記第1端部は‘⊃’形状に連結され、前記第2ストリップは第2脚部と第2端部を備え、前記第2脚部と前記第2端部は‘⊂’形状に連結され、前記第1端部は前記第2ストリップの内に挿入され、前記第2端部は前記第1ストリップの内に挿入されることを特徴とする。
【0024】
また、本発明に従うインターロックホースにおいて、前記第1脚部と前記第2端部は線接触することを特徴とする。
【0025】
また、本発明に従うインターロックホースにおいて、前記第1ストリップと第2ストリップとの間には
空間が形成されたことを特徴とする。
【0026】
また、本発明に従うインターロックホースにおいて、前記内部インターロックはインダクションヒーターを用いて350〜650℃の温度に熱処理されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
前述したように、本発明に従うインターロックホース及びその製造装置によれば、マンドレルに角だった部分に最大限曲面処理を行って接触抵抗を減らして垂直抗力を小さくすることによって熱硬化に強いインターロックホースを低廉に製作することができるという効果が得られる。
【0028】
また、本発明に従うインターロックホース及びその製造装置によれば、角だった部分を最大限曲面処理したマンドレルを使用してインターロックホースのスプリングバック現象を最小化することができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】従来技術による多角構造のフレキシブルインターロックホースを示す斜視図である。
【
図2】従来技術によるインターロックホースのベンディング及びインターロッキング構造を示す例示図である。
【
図3】インターロックと摩擦係数測定方法に従うグラフである。
【
図4a】温度変化に従うインターロックの変化を示す写真である。
【
図4b】温度変化に従うインターロックの変化を示す写真である。
【
図4c】温度変化に従うインターロックの変化を示す写真である。
【
図5】本発明に適用されるインターロックホース製造装置におけるマンドレルの斜視図である。
【
図6】
図5に図示されたマンドレルを最適化設計した断面図である。
【
図7】本発明に従うインターロックホースにおけるインターロックプロファイルの断面を示す図である。
【
図8a】本発明によるインターロックのスプリングバック効果を示す写真である。
【
図8b】従来技術によるインターロックのスプリングバック効果を示す写真である。
【
図9a】本発明と従来技術に従うインターロックの熱硬化を示すグラフである。
【
図9b】本発明と従来技術に従うインターロックの熱硬化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の前記及びその他の目的と新たな特徴は本明細書の技術及び添付図面により一層明らかになる。
【0031】
まず、本発明を開発するための背景について説明する。
【0032】
本発明に適用される二重インターロックは内部インターロックと外部インターロックの2つで構成されているので、理論的に排気ガスに直接露出する内部インターロックは製作する時の巻く力を調整して必要な延伸率を提供し、排気ガスの影響を相対的に少なく受ける外部インターロックは熱硬化の影響から逸脱することができるということから始まった。
【0033】
本出願の発明者がインターロックホースの熱硬化原因と対策を分析した結果は、次の通りである。
【0034】
インターロックの熱硬化現象は300系列が有するステンレス鋼の敏感化現象により発生すると知られている。即ち、ステンレス鋼が高温に露出すれば金属粒子の間の境界面に沿ってクロムが析出され、析出されたクロムがステンレス鋼の表面の摩擦係数を変化させて互いに噛合って滑り落ちる構造のインターロックの動きを構造的に妨害して生じる現象である。
【0035】
これは、温度の変化に従う摩擦力を測定して、初期の摩擦力と比較したグラフを通じて事実のように見られる。
【0036】
図3は、インターロックと摩擦係数測定方法に従うグラフを示す。
【0037】
この実験は、インターロックとインターロックが密着した状態で垂直抗力(normal force)を一定に維持し、ステンレス300系列の鋼種別摩擦係数の変化を測定した実験である。鋼の種類に従う摩擦力変化は大きくないが、400〜600℃の間に摩擦力が最大になることが分かり、その割合が3〜4倍に達することも分かった。
【0038】
摩擦力を通じた熱硬化の解釈には1つの問題点があるが、これはインターロックとインターロックの間に噛み合う部分に隙間がなくて上/下面が密着しているという摩擦力測定の前提条件を満たさなければならない。
【0039】
この単純化された論理を適用することによって、前記特許文献2に記載されたように、熱処理を通じたインターロックホースの前処理のみがこの問題を解決することができる唯一の方法と主張した。
【0040】
しかしながら、製作工法の発展によりインターロックとインターロックの接触面が完全に密着しないようにする方法が開発された。このような場合、摩擦力測定の根幹となる接触面で一定の垂直抗力が一定であるという前提は、インターロックをホースに巻くためのマンドレルで面と面とが当接している角を除いては成立しないことが分かる。
【0041】
したがって、本発明は、もしマンドレルの隅角を最大限緩やかに曲面処理をしてインターロックとインターロックとの間の摩擦係数を調整するよりは、角面に適用される垂直抗力を小さくしようとすることである。
【0042】
図4(a)、(b)、(c)は、各々温度変化に従うインターロックの変化を示す写真である。
【0043】
図4で、常温及び高温で熱処理したオーステナイトステンレス鋼材質のインターロックホースの色相変化を図示した。常温と比較する時、450℃で1時間熱処理した製品の場合、色相が変化され、表面粗さが増加し、1,000℃で1時間熱処理した製品は色相が黒く、表面粗さが非常に増加した。
【0044】
1,000℃で熱処理した製品の場合、製造過程での加工オイルを含んだ不純物が全焼して450℃で熱処理した場合より表面がより粗いことにも関わらず、全体的な摩擦力が450℃熱処理製品より小さいことは、インターロックメタルホースの硬化現象が単純に表面粗さの増加に起因するよりは、スプリングバックと複合的に関連していることを示唆する。したがって、本発明の発明者はインターロックメタルホースを高温で熱処理することで、スプリングバックを根本的に除去することによって、熱硬化を防止するか、大きく緩和させる方案を考慮するようになった。
【0045】
即ち、表面粗度を測定して見ると、予想とは異なり、常温状態と450℃で1時間エージング(aging)した後の製品とほとんど差が無いことが分かる。この程度の微小な粗度の差が物理的に意味のある程度の摩擦係数変化として表れることは、摩擦係数の測定において垂直抗力が一定に維持されなければ摩擦係数の変化が変わることができるという事実の反証である。
【0046】
垂直抗力が発生する部分がまさにマンドレルの角だった部分で面と面とが当接している部分である。この垂直抗力が小さくなれば、併せて摩擦力も小さくなるという事実を類推することができる。この垂直抗力を減らすための方法はマンドレルに角だった部分に最大限曲面処理をして接触抵抗を減らすものである。
【0047】
以下、本発明の構成を
図5及び
図6に従って説明する。
【0048】
図5は本発明に適用されるインターロックホース製造装置におけるマンドレルの斜視図であり、
図6は
図5に図示されたマンドレルを最適化設計した断面図である。
【0049】
即ち、本発明は自動車用排気管に使われるインターロックホース製造装置であって、多数のベンディングローラーが設置されたベンディング成形部、前記ベンディング成形部を通じてベンディング成形された金属板材をワインディング処理しながら押圧及びインターロッキング処理するためのマンドレル100、及び多数の押圧ローラーが設置されたワインディング部を含む。
【0050】
前記ベンディング成形部及びワインディング部の構造は、前述したような従来の構造を適用してもよいので、その具体的な構造に対する説明は省略する。
【0051】
図5及び
図6に示すように、本発明に従うマンドレル100は、インターロッキング(interlocking)される金属板材の解け現象を防止するためのものであって、略円筒形に形成され、その外周面は多数の第1面10と多数の第2面20とで形成され、前記第1面10と第2面20とは互いにサイズが相異する構造で形成される。
【0052】
即ち、本発明は
図6に示すように、従来のマンドレルと相異するようにマンドレルの外周面を第1面10の幅(W1)を第2面20の幅(W2)より大きくして製作したものである。
【0053】
また
図6に示すように、前記第1面10は平面からなり、前記第2面20は曲面からなり、前記多数の第2面20の各々は前記多数の第1面10の各々の間に設けられる。
【0054】
また、
図6の構造では前記第1面10及び第2面20を各々10個ずつ設けた構造を図示したが、これに限定されるものではなく、インターロックホースのサイズによって変更可能である。
【0055】
前記マンドレル100の中心部101にはシャフトが結合され、前記シャフトの後端にはスプロケットが結合されてドライブギア側とチェーンをかけて連結構成することによって、前記マンドレル100は駆動モータの駆動回転による回転動力の提供を受けて回転駆動できるように構成される。
【0056】
次に、
図7に従って前述したようなマンドレル100により形成されるインターロックホースの基本的な構造について説明する。
【0057】
図7は、本発明に従うインターロックホースにおけるインターロックプロファイルの断面を示す図である。
【0058】
本発明に従うインターロックホースは、前記特許文献3に開示されたように、内部インターロックと外部インターロックの二重からなる。前記内部インターロックと外部インターロックの各々の構造は同一であるので、以下では内部インターロックと外部インターロックのいずれか1つの構造に対してのみ説明する。
【0059】
図7に示すように、前記内部インターロックと外部インターロックの各々は、第1ストリップ30と前記第1ストリップ30に折り畳まれる第2ストリップ40を備える。
【0060】
また、前記第1ストリップ30は第1脚部31と第1端部32を備え、
図7に示すように、前記第1脚部31と前記第1端部32は‘⊃’形状に連結され、前記第2ストリップ40は第2脚部41と第2端部42を備え、前記第2脚部41と前記第2端部42は‘⊂’形状に連結され、前記第1端部32は前記第2ストリップ40の内に挿入され、前記第2端部42は前記第1ストリップ30の内に挿入される構造である。
【0061】
しかしながら、前記第1ストリップ30と前記第2ストリップ40は、説明の便宜上、表示したものであり、これに限定されるものではなく、その反対にしてもよい。
【0062】
図7に示すように、インターロックは
一定空間(隙間)を有している。
【0063】
即ち、摩擦力を測定した論理的モデルを代表する個所はインターロックとインターロックが密着しているマンドレル100の形状の角部分であり、温度が上昇しながら角部分にスプリングバック(spring back)現象が発生しながら摩擦力が急激に上昇する原因となる。このような現象を反映して本発明では、
図7に示すように、インターロックとインターロックとの摩擦部の接触面を最大限緩やかにしてインターロックを生産した。
【0064】
即ち、前記第1脚部31の内側と前記第2端部42の外側は従来の面接触とは異なり、線接触する構造で設けられる。
【0065】
一方、円形にインターロックを作る場合、インターロックが解ける場合が発生することがある。インターロックプロファイルが解ければ直ちに繋ぎにつながるため、本発明では円形に近い多角形状にマンドレル100を製作したものである。
【0066】
即ち、円形に近い多角形状にマンドレル100を製作するために、本発明に従うマンドレル100で前記第1面10と前記第2面20の幅方向長さは9:4〜12:4の割合で形成されることが好ましい。
【0067】
したがって、
図7(a)に矢印で図示したような引張力や、
図7(b)に矢印で図示した垂直抗力でもインターロックプロファイルが解けなくなる。
【0068】
次に、本発明に従うインターロックと従来のインターロックの特性に対して
図8及び
図9に従って説明する。
【0069】
図8は本発明と従来の技術によるインターロックのスプリングバック効果を示す写真であり、
図9は本発明と従来の技術に従うインターロックの熱硬化を示すグラフである。
【0070】
本発明では、
図5に示すように、インターロックのスプリングバック効果を最小化するために、インターロックが巻かれながら面と面とが接触する角部分に最大限緩やかなラウンド(第2面20)を与えて、マンドレル100を製作してインターロックとインターロックが直接当接する部分でスプリングバック現象が最小化されるように措置した後、インターロックの摩擦力を測定した。
【0071】
図8(a)は本発明に従うマンドレル100の角にラウンド処理をしたインターロック内部の写真であり、
図8(b)は従来のインターロック内部を示す写真であって、
図8(a)と
図8(b)とを対比すればスプリングバック現象が最小化することが分かる。
【0072】
また、
図9(a)に示すように、本発明に従ってラウンド処理されたマンドレル100で製作したインターロックにおいて、1時間熱処理の前/後摩擦力測定結果は、次の通りである。
【0073】
表面粗度が粗くなる600℃以上から摩擦力が増加する。これは、ラウンド処理をしない場合に比較して摩擦力増加が顕著に低い水準であり、ディーゼルエンジン適用において敏感な600℃前までは摩擦力の変化が受容可能な水準で、二重インターロックを適用するに適合した水準の熱硬化であることが分かる。
【0074】
一方、
図9(b)から分かるように、従来の多角形形態のマンドレルで製作したインターロックの場合、温度に従う摩擦力変化とほとんど一致する形態のグラフが作られることが分かる。これは、インターロックとインターロックとが密着している部分が、即ちマンドレルに形成された線に沿ってインターロックの摩擦特性が決まることが分かる決定的な証拠である。
【0075】
本発明に従う二重構造を有するインターロックホースは、リング形状を有する多数のストリップが互いに噛合って連結された円筒形の内部インターロックと外部インターロックとが互いに同心円状にインターロックホースの内層と外層とをなしながら内部インターロックの外側面と外部インターロックの内側面とが互いに接触するように配置されている。内部インターロックと外部インターロックとは直径が互いに異なるように製作されることを除いては、各インターロックを形成する単位ストリップの構造、材質、単位ストリップの間の連結構造、及び各インターロックの全体長さは互いに同一に製作される。
【0076】
内部インターロックと外部インターロックの両端をなす内部インターロックの各端部側ストリップの外側面と外部インターロックの各端部側ストリップの内側面は、周り方向に互いに接合固定される。外部インターロックの両端には外部インターロックの両側端部をなすストリップの外側面に一定幅を有するリング形状の連結フランジが各々接合連結される。
【0077】
このようなインターロックホースは、内部インターロックと外部インターロックとが互いに独立したインターロックホースの構造で二重構造をなすことによって、1つのインターロックホースでストリップの連結部品の間の摩擦力を2つの独立したインターロックホースに分散させることができ、これは結局、内部インターロックと外部インターロックの各々の基本摩擦力(加工による初期摩擦力)を最小限に減らすことができる構造でストリップを連結することができる。
【0078】
このような二重インターロックやはり高温の排気ガスによる熱硬化に対する解決策が要求される。特に、二重構造のインターロックホースで内部インターロックと外部インターロックの剛性(stiffness)が異なれば、エンジンが動きながら発生する振動(20−200Hz)により軟らかい側が硬い側とぶつかって騷音(rattle noise)が発生する。高温の排気ガスに露出する場合、インターロックホースの内部インターロックの熱硬化現象により内部インターロックと外部インターロックとの剛性の差はより深化できる。
【0079】
二重インターロックホースを製造した後、内部インターロックと外部インターロックに対して排気ガス温度を550℃に設定し、ホース表面での温度をシミュレーションで確認した結果、<表1>の結果を得た。
【0081】
即ち、単一インターロック構造に比べて二重インターロック構造の場合、表面の温度がより低いことが分かり、このような表面温度の減少により外部インターロックの場合、熱硬化がだいぶ緩和できることが分かる。したがって、本発明の発明者は二重構造のインターロックホースにおいて、内部に配置される内部インターロックに熱処理をして熱硬化現象をより完壁に除去しようとした。
【0082】
予め製造された内部インターロックと外部インターロックのうち、少なくとも内部インターロックに対して前述したようにインダクションヒーターを通じて熱処理した。熱処理温度はインターロックホースが使われる車両の排気ガス温度を基準に設定することが好ましい。本実施形態では、ディゼルエンジンの排気ガス温度を基準に350〜650℃の温度、好ましくは450℃で内部インターロックを熱処理した。熱処理後、内部インターロックの外周に外部インターロックを結合して二重構造のインターロックホースを完成した。
【0083】
熱処理された内部インターロックは、スプリングバックやドライフリクションとして表れる熱硬化現象が最小化されて、車両の排気ガス熱(450℃)により使用中にその特性が変わる現象を防止することができるだけでなく、外部インターロックとの剛性の差が発生しなくて、インターロック硬化によるラトル、湿り、破損現象などを予防することができる。
【0084】
以上、本発明者によりなされた発明を前記の実施形態に従って具体的に説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に従うインターロックホース及びその製造装置を使用することによって、内部インターロックには必要な延伸率を提供し、外部インターロックは熱硬化の影響から逸脱することができるので、自動車用排気管の性能の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0086】
10 第1面
20 第2面
100 マンドレル