特許第6239934号(P6239934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239934
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】油脂組成物
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/00 20060101AFI20171120BHJP
   A21D 8/02 20060101ALI20171120BHJP
   A21D 13/00 20170101ALI20171120BHJP
   A21D 2/16 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A23D9/00 502
   A21D8/02
   A21D13/00
   A21D2/16
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-222624(P2013-222624)
(22)【出願日】2013年10月25日
(65)【公開番号】特開2015-82986(P2015-82986A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114318
【氏名又は名称】ミヨシ油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】太 田 晶
(72)【発明者】
【氏名】横 山 和 明
【審査官】 柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−188205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00−9/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1位および2位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ3位に不飽和脂肪酸Uが結合したSSU型トリグリセリドと、1および3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ2位に不飽和脂肪酸Uが結合したSUS型トリグリセリドと、1位、2位、および3位の全てに飽和脂肪酸Sが結合したSSS型トリグリセリドとを含んでなり、前記SSU型トリグリセリド、前記SUS型トリグリセリド、および前記SSS型トリグリセリドの合計含有量が15〜55質量%であり、パーム系油脂が油脂全体に対して30質量%以上である油脂と、
グリセリンモノ脂肪酸エステルと、
グリセリン有機酸脂肪酸エステルと、
増粘多糖類と、
を含んでなる、製菓製パン用油脂組成物であって、
前記油脂組成物中の前記油脂の含有量は、80〜95質量%であり、
前記グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、前記油脂の質量に対して1〜15質量%であり、
前記グリセリン有機酸脂肪酸エステルの含有量は、前記油脂の質量に対して0.01〜7質量%である、製菓製パン用油脂組成物。
【請求項2】
前記油脂の固体脂含量が、20℃で1〜30%である、請求項1に記載の油脂組成物。
【請求項3】
構成脂肪酸の総数の80%以上がパルミチン酸であるソルビタン脂肪酸エステルをさらに含んでなる、請求項1または2に記載の油脂組成物。
【請求項4】
レシチンをさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の油脂組成物。
【請求項5】
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルをさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の油脂組成物。
【請求項6】
前記グリセリン有機酸脂肪酸エステルが、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、およびグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の油脂組成物。
【請求項7】
前記増粘多糖類が、キサンタンガム、ペクチン、およびグアガムからなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の油脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の油脂組成物を含んでなる、製菓製パン用可塑性油脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の油脂組成物を含んでなる、製菓製パン生地。
【請求項10】
請求項9に記載の製菓製パン生地を用いる、食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂組成物に関し、より詳細には、製菓や製パンで好適な原料として用いられる油脂組成物に関する。さらに該油脂組成物を用いた可塑性油脂組成物やそれを使用した食品にも関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、ベーカリー製品(パンや菓子等)にはソフトな食感が求められている。ベーカリー製品のソフトな食感には油脂の固体脂含量が大きな要因になっているが、ベーカリー製品を食べる温度帯で固体脂が含まれない液状油を用いることでソフトな食感を得ることができる。しかし液状油のみでパンを作ると、ソフトな食感は得られるもののグルテン膜に吸着しづらい。そのため、生地のグルテンが十分に形成されず生地ダレが起きると共に伸展性もなく、焼成初期に、水蒸気やイーストが生成した炭酸ガス、および熱膨張した空気等がグルテン膜から漏れだして、ボリュームが得られない。その為、製パン時には、固体脂含量が10〜30%程度必要であるとされてきた。
【0003】
また、焼成品の老化抑制や食感改良については、乳化剤や増粘多糖類等様々な添加物が検討されてきた。乳化剤のみで老化防止効果を発現させようとすると、添加量を多くすることが必要となり、製品の風味・食感に悪影響を及ぼすことがあった。また、増粘多糖類についても、添加方法や添加量によってはねちゃつき等を生じてしまい、口溶け感の低下が生じることがあった。
【0004】
上記のような課題を解決するために、特許文献1では、液状油脂からなる食用油脂中に増粘多糖類と乳化剤とを含有する油脂組成物が提案されている。特許文献2では、液状油脂40重量%以上と25℃のSFIが10以上である油脂組成物が提案されている。特許文献3では、直接β型の油脂結晶5〜50重量%と乳化剤を7.5重量%未満である製パン練込用油脂組成物が提案されている。特許文献4では、増粘安定剤を微粉化してパン生地に練り込む技術が提案されている。特許文献5では、天然ガム剤とグリセリン脂肪酸エステルとをパン生地に練り込む技術が提案されている。特許文献6では、天然ガム剤とグリセリン脂肪酸エステルとを予め硬質の油脂(20℃でのSFI10〜30)に分散させ水相と混合乳化(油中水型)する技術が提案されている。特許文献7では、グリセリン有機酸脂肪酸エステルと、好ましくはアルギン酸および/またはアルギン酸塩とを含有する多加水パン生地が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−000048号公報
【特許文献2】特開1991−047028号公報
【特許文献3】特開2007−267654号公報
【特許文献4】特開2002−291396号公報
【特許文献5】特開1988−071133号公報
【特許文献6】特開1989−063337号公報
【特許文献7】特開2010−252667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らは、特許文献1〜7に記載の油脂組成物には、以下の技術的課題があることを新たに知見した。特許文献1に記載の技術では、液状油脂を主原料とする油脂中に増粘多糖類を乳化剤で固定分散化しているため、冷暗所保管中(15〜25℃)に液状油脂が染み出るため、作業性に劣りかつ冷蔵保管(10℃以下)としなければならない。また、液状油の影響で生地への分散性に劣り、乳化剤であるプロピレングリコール脂肪酸エステルを多量に添加するため食感が硬く、更にねちゃつきが出る。特許文献2および3に記載の技術では、液状油脂に高融点油脂を配合しているため、液状油脂多配合による液状油脂の染み出しと高融点油脂が焼き上がったベーカリー製品の食感に悪影響を及ぼす。特許文献4および5に記載の技術では、増粘多糖類を粉末のまま生地中に添加しているため、ベーカリー製品の生地作成中に増粘多糖類自身が吸水・凝集してしまう。それにより、増粘多糖類の分散効率が低下して、老化防止効果が低下すると共に増粘多糖類の凝集物自身が食感に悪影響を及ぼし、ねちゃつきを生じ、口溶け感の低下につながる。特許文献6に記載の技術では、増粘多糖類と乳化剤を硬質の油脂に分散させ油中水型乳化物としているため、油相部が硬質の場合には、乳化物の生地中への分散性が悪くなると共に水相部が増粘多糖類の凝集性を防ぐことが出来ず、食感に悪影響を及ぼす。特許文献7に記載の技術では、グリセリン有機酸脂肪酸エステルとアルギン酸及び/またはアルギン酸塩を使用して保水性の高い多加水パン生地としていることから、焼成品中の水分含量が高くなり、かつ水分活性が高くなるため、日持ちのしない製品となってしまう。
【0007】
したがって、本発明の目的は、冷暗所(15〜25℃)で長期間保管しても油脂の染み出しが無く、製菓製パン生地中への分散性が良好であり、ベタツキが少なく練り込み時の作業性に優れる生地が得られる油脂組成物を提供することにある。さらに、本発明の目的は、老化を抑制しながら、風味が良好であり、ソフトでねちゃつきが少なく、かつ口溶けが良好なベーカリー製品等の食品を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の種類のトリグリセリドを特定の含有量で含む油脂と、特定の乳化剤と、増粘多糖類とを配合することにより上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の一態様によれば、
1位および2位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ3位に不飽和脂肪酸Uが結合したSSU型トリグリセリドと、1および3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ2位に不飽和脂肪酸Uが結合したSUS型トリグリセリドと、1位、2位、および3位の全てに飽和脂肪酸Sが結合したSSS型トリグリセリドとを含んでなり、前記SSU型トリグリセリド、前記SUS型トリグリセリド、および前記SSS型トリグリセリドの合計含有量が15〜55質量%である、油脂と、
グリセリンモノ脂肪酸エステルと、
グリセリン有機酸脂肪酸エステルと、
増粘多糖類と、
を含んでなる、油脂組成物が提供される。
【0010】
本発明の態様においては、前記油脂の固体脂含量が、20℃で1〜30%であることが好ましい。
【0011】
本発明の態様においては、前記油脂組成物が、構成脂肪酸の総数の80%以上がパルミチン酸であるソルビタン脂肪酸エステルをさらに含んでなることが好ましい。
【0012】
本発明の態様においては、前記油脂組成物がレシチンをさらに含んでなることが好ましい。
【0013】
本発明の態様においては、前記油脂組成物がポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルをさらに含んでなることが好ましい。
【0014】
本発明の態様においては、前記グリセリン有機酸脂肪酸エステルが、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、およびグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0015】
本発明の態様においては、前記増粘多糖類が、キサンタンガム、ペクチン、およびグアガムからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0016】
本発明の態様においては、前記油脂組成物中の前記油脂の含有量が、80〜95質量%であることが好ましい。
【0017】
本発明の態様においては、前記油脂組成物が製菓製パン用であることが好ましい。
【0018】
本発明の他の態様においては、上記の製菓製パン用油脂組成物を含んでなる、可塑性油脂組成物が提供される。
【0019】
本発明の他の態様においては、上記の製菓製パン用油脂組成物を含んでなる、製菓製パン生地が提供される。
【0020】
本発明の他の態様においては、上記の製菓製パン生地を用いて製造された食品が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明による油脂組成物は、特定の種類のトリグリセリドを特定の含有量で含む油脂と、特定の乳化剤と、増粘多糖類とを配合することにより、冷暗所(15〜25℃)で長期間保管しても油脂の染み出しが無く、製菓製パン生地中への分散性が良好であり、ベタツキが少なく練り込み時の作業性に優れる生地を得ることができる。さらに、本発明による油脂組成物を含む生地を用いたベーカリー製品においては、老化を抑制しながら、風味が良好であり、ソフトでねちゃつきが少なく、かつ口溶けが良好となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<油脂組成物>
本発明による油脂組成物は、特定の種類のトリグリセリドを特定の含有量で含む油脂と、特定の乳化剤と、増粘多糖類とを含むものである。油脂組成物は、乳化剤以外の食品添加物をさらに含んでもよい。油脂組成物は、製菓や製パンに好適な原料として用いることができる。
【0023】
<油脂中のトリグリセリド>
本発明において、油脂中のトリグリセリドとは、1分子のグリセロールに、3分子の脂肪酸がエステル結合した構造を有するものである。トリグリセリドの1、2、3位とは、脂肪酸が結合した位置を表す。なお、トリグリセリドの構成脂肪酸の略称として、S:飽和脂肪酸、U:不飽和脂肪酸、を用いる。
【0024】
トリグリセリドの構成脂肪酸の分析は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce5−86準拠)や銀イオンカラム−HPLC法(J.High Resol.Chromatogr.,18,105−107(1995)準拠)により行うことができる。
【0025】
飽和脂肪酸Sは、油脂中に含まれるすべての飽和脂肪酸である。また、各トリグリセリド分子に結合している2つまたは3つの飽和脂肪酸Sは、同一の飽和脂肪酸であってもよいし、異なる飽和脂肪酸であってもよい。飽和脂肪酸Sとしては、酪酸(4)、カプロン酸(6)、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)、アラキジン酸(20)、ベヘン酸(22)、およびリグノセリン酸(24)が挙げられる。なお、上記の数値表記は、脂肪酸の炭素数である。
【0026】
不飽和脂肪酸Uは、油脂中に含まれるすべての不飽和脂肪酸である。また、各トリグリセリド分子に結合している3つの不飽和脂肪酸Uは、同一の不飽和脂肪酸であってもよいし、異なる不飽和脂肪酸であってもよい。不飽和脂肪酸Uとしては、ミリストレイン酸(14:1)、パルミトレイン酸(16:1)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、およびリノレン酸(18:3)、エルカ酸(22:1)等が挙げられる。なお、上記の数値表記は、脂肪酸の炭素数と二重結合数の組み合わせである。
【0027】
油脂組成物に用いられる油脂は、1位および2位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ3位に不飽和脂肪酸Uが結合したSSU型トリグリセリドと、1および3位に飽和脂肪酸Sが結合し、かつ2位に不飽和脂肪酸Uが結合したSUS型トリグリセリドと、1位、2位、および3位の全てに飽和脂肪酸Sが結合したSSS型トリグリセリドとを含んでなるものである。油脂組成物中の油脂の含有量は、好ましくは80〜95質量%であり、より好ましくは、83〜91質量%である。
【0028】
油脂中のSSU型トリグリセリド、SUS型トリグリセリド、およびSSS型トリグリセリドの合計含有量は、15〜55質量%であり、好ましくは20〜50質量%であり、より好ましくは30〜50質量%である。油脂中のSSU型トリグリセリド、SUS型トリグリセリド、およびSSS型トリグリセリドの合計含有量が上記数値範囲内にある油脂組成物を用いることで、油脂組成物の固化安定性を図り、冷暗所(15〜25℃)で長期間保管しても油脂の染み出しが無く、製菓製パン生地中への分散性が良好であり、ベタツキが少なく練り込み時の作業性に優れる生地を得ることができる。特に、該合計含有量が15質量%以上であれば、油脂組成物から油脂が染み出すのを防止し、またベーカリー製品のねちゃつきを抑制することができる。該合計含有量が55質量%以下であれば、製菓製パン生地中への分散性を保ち、ベーカリー製品の口溶けとソフトさが良好となる。
【0029】
<油脂の物性>
本発明で用いる油脂の固体脂含有量(SFC)は、好ましくは20℃で1〜30%であり、より好ましくは1〜20%であり、さらに好ましくは1〜15%であり、さらにより好ましくは1〜9%である。固体脂含有量(SFC)が上記数値範囲内にある油脂を用いることで、油脂組成物の固化安定性を図り、冷暗所(15〜25℃)で長期間保管しても油脂の染み出しが無く、製菓製パン生地中への分散性が良好であり、ベタツキが少なく練り込み時の作業性に優れる生地を得ることができる。
【0030】
本発明において、固体脂含量は、基準油脂分析試験法(2.2.9−2003)「固体脂含量(NMR法)」に記載された試験法に準拠して測定された結果であり、所定温度における固体脂含量の百分率を示す。固体脂含量は、各温度の固体脂の割合を示しており、数値が高いほど固化した油脂が多いことを示す。
【0031】
<乳化剤>
本発明による油脂組成物は、乳化剤として、グリセリンモノ脂肪酸エステルと、グリセリン有機酸脂肪酸エステルと、を含むものである。グリセリンモノ脂肪酸エステルと、グリセリン有機酸脂肪酸エステルとを併用することで、冷暗所(15〜25℃)で長期間保管しても、製菓製パン生地中への分散性が良好であり、ベタツキが少なく練り込み時の作業性に優れる生地を得ることができる。
【0032】
本発明で用いるグリセリンモノ脂肪酸エステルは、構成脂肪酸の総数の好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上が飽和脂肪酸である。飽和脂肪酸の炭素数は、好ましくは12以上であり、より好ましくは12以上20以下である。また、グリセリンモノ脂肪酸エステルとソルビタン脂肪酸エステルとを併用することで、ベーカリー製品のソフトさを向上することができる。
【0033】
グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量は、油脂の質量に対して、好ましくは1〜15質量%であり、より好ましくは3〜12質量%であり、さらに好ましくは5〜11質量%である。グリセリンモノ脂肪酸エステルの含有量が上記数値範囲内にあれば、ベーカリー製品の硬さの経時変化を抑制することができる。
【0034】
本発明で用いるグリセリン有機酸脂肪酸エステルとしては、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、およびグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルが挙げられる。これらの中でも、酸味(風味)の点で、グリセリンコハク酸脂肪酸エステルおよびグリセリンクエン酸脂肪酸エステルが好ましい。
【0035】
グリセリン有機酸脂肪酸エステルの含有量は、油脂の質量に対して、好ましくは0.01〜7質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜4質量%であり、さらに好ましくは1〜3.5質量%である。グリセリン有機酸脂肪酸エステルの含有量が上記数値範囲内にあれば、ベーカリー製品へソフトさを付与し、ねちゃつきを抑制することができる。
【0036】
本発明による油脂組成物は、乳化剤として、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、および/またはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルをさらに含んでもよい。
【0037】
本発明で用いるソルビタン脂肪酸エステルは、構成脂肪酸の総数の80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上がパルミチン酸である。構成脂肪酸のパルミチン酸含有量が上記数値範囲内にあれば、風味の良いものができる。
【0038】
ソルビタン脂肪酸エステルの含有量は、油脂の質量に対して、好ましくは0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が上記数値範囲内にあれば、ベーカリー製品に含まれる油脂の結晶析出を遅延し、非結晶状態である油脂を多く含有することができる。よって、固体脂の析出を抑制し液状の状態を維持することができるため、ベーカリー製品は口溶け、ソフトさ、およびシトリが向上する。さらに、ソルビタン脂肪酸エステルの含有量が0.1質量以上であれば、油脂の結晶析出を遅延し、10質量%以下であれば、乳化剤としての異味が最終製品のパンや菓子などに影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0039】
本発明で用いるレシチンは、菜種、大豆、コーン、ヒマワリ、卵黄などから得られるリン脂質と粗油を含むペースト状の粗製レシチン、粗製レシチンをさらに精製した高純度レシチン、分別レシチン、酵素分解レシチンなどが挙げられる。
【0040】
レシチンの含有量は、油脂の質量に対して、好ましくは0.1〜2.0質量%であり、より好ましくは0.2〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.3〜1.2質量%である。レシチンの含有量が上記数値範囲内にあれば、油脂結晶の析出を十分に遅延し、非結晶状態を維持し、乳化剤による異味を感じることなく風味の良好なベーカリー製品を得ることができる。また、ソルビタン脂肪酸エステルとの相乗効果によりベーカリー製品のソフトさ、シトリを長時間維持し、良好な口溶けを付与することができる。
【0041】
ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量は、油脂の質量に対して、好ましくは0.1〜1.0質量%であり、より好ましくは0.2〜1.0質量%であり、さらに好ましくは0.3〜0.8質量%である。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量が上記数値範囲内にあれば、ベーカリー製品の保水力を高め、ソフトさやシトリを長時間維持することができる。さらに、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの含有量が1.0質量%以下であれば、ベーカリー製品のねちゃつきを抑制することができる。
【0042】
<増粘多糖類>
本発明で用いる増粘多糖類としては、ジェランガム、カラヤガム、タマリンド種子ガム、タラガム、グルコマンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、グアガム、イオタカラギナン、ペクチン、トラガントガム、結晶性セルロース、PGA(アルギン酸プロピレングリコールエステル)、SSHC(水溶性大豆多糖類)、ガティガム、メチルセルロース、サイリウムシード、およびカシヤガム等が挙げられる。これら増粘多糖類の中から1種を単独で用いても良いし、また異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、風味及び食感の点で、キサンタンガム、ペクチン、およびグアガムが好ましい。高い保水力を有し、かつベーカリー製品のソフトさとシトリがさらに向上するキサンタンガムがさらに好ましい。
【0043】
増粘多糖類の含有量は、油脂の質量に対して、好ましくは0.01〜7.0質量%であり、より好ましくは0.1〜5.0質量%であり、さらに好ましくは1.0〜3.5質量%である。増粘多糖類の含有量が上記数値範囲内にあれば、ベーカリー製品のソフトさシトリを付与し、ねちゃつきを抑制することができる。
【0044】
<食品添加物>
本発明による油脂組成物は、抗酸化剤、香辛料、着色成分、および香料等の食品添加物をさらに含んでもよい。食品添加物は、特に限定されず、従来公知の食品添加物を用いることができる。
【0045】
抗酸化剤としては、例えば、L−アスコルビン酸やL−アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコトリエノール、リグナン、ユビキノン類、キサンチン類、オリザノール、植物ステロール、カテキン類、ポリフェノール類、および茶抽出物が挙げられる。香辛料としては、例えば、カプサイシン、アネトール、オイゲノール、シネオール、およびジンゲロン等が挙げられる。着色成分としては、例えば、カロテンおよびアスタキサンチン等が挙げられる。香料としては、バターフレーバー、ミルクフレーバー等が挙げられる。
【0046】
<油脂組成物の製造方法>
本発明による油脂組成物の製造方法は、上記の油脂と、グリセリンモノ脂肪酸エステルと、グリセリン有機酸脂肪酸エステルと、増粘多糖類とを配合する工程を含むものである。例えば、上記の油脂を溶解し、溶解した油脂中にグリセリンモノ脂肪酸エステルと、グリセリン有機酸脂肪酸エステルと、増粘多糖類と、必要に応じて上記の食品添加物とを添加し、均一に分散および溶解することによって製造することができる。
【0047】
本発明による油脂組成物の原料として用いる油脂は、パーム系油脂を用いることが好ましく、原料油脂全体の30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上がパーム系油脂であることが好ましい。パーム系油脂としては、パーム油、パーム油の分別油およびそれらの加工油(硬化およびエステル交換のうち1以上の処理がなされたもの)であれば何れでもよく、具体的には、1段分別油であるパームオレイン、パームステアリン、パームオレインの2段分別油であるパームオレイン(パームスーパーオレイン)およびパームミッドフラクション、パームステアリンの2段分別油であるパームステアリン(ソフトステアリン)およびパームステアリン(スーパーステアリン)等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。これらパーム系油脂の内、1段分別油であるパームオレインを用いるのがより好ましい。
【0048】
本発明の製菓製パン用油脂組成物に用いられる上記パーム系油脂以外の油脂としては、豚脂、乳脂、ヤシ油、パーム核油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、コーン油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、これらの分別油、硬化油、エステル交換油等が用いられる。油脂中のSSU型トリグリセリド、SUS型トリグリセリド、およびSSS型トリグリセリドの合計含有量のバランスを適宜調整するために、1種あるいは2種以上を選択して用いてもよい。
【0049】
上記エステル交換油を得るために用いるエステル交換反応は、化学的エステル交換反応であっても酵素的エステル交換反応であってもよい。化学的エステル交換反応は、ナトリウムメチラート等の化学触媒を用いて行われる、位置特異性の乏しいエステル交換反応である(ランダムエステル交換とも言われる)。
【0050】
化学的エステル交換反応は、例えば、常法に従って、原料油脂を十分に乾燥させ、触媒を原料油脂に対して0.1〜1質量%添加した後、減圧下、80〜120℃で0.5〜1時間攪拌することにより行うことができる。エステル交換反応終了後は、触媒を水洗にて洗い流した後、通常の食用油の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
【0051】
酵素的エステル交換反応は、リパーゼを触媒として用いて行われる。リパーゼとしては、リパーゼ粉末やリパーゼ粉末をセライト、イオン交換樹脂等の担体に固定化した固定化リパーゼを使用するができる。酵素的エステル交換によるエステル交換反応は、リパーゼの種類によって、位置特異性の乏しいエステル交換反応とすることもできるし、1,3位特異性の高いエステル交換反応とすることもできる。
【0052】
位置特異性の乏しいエステル交換反応を行うことのできるリパーゼとしては、アルカリゲネス属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼQLM、リパーゼPL等)、キャンディダ属由来リパーゼ(例えば、名糖産業株式会社製のリパーゼOF等)等が挙げられる。
【0053】
1,3位特異性の高いエステル交換反応を行うことのできるリパーゼとしては、リゾムコールミーハイ由来の固定化リパーゼ(ノボザイムズ社製のリポザイムTLIM、リポザイムRMIM等)等が挙げられる。
【0054】
酵素的エステル交換反応は、例えば、リパーゼ粉末または固定化リパーゼを原料油脂に対して0.02〜10質量%、好ましくは0.04〜5質量%添加した後、40〜80℃、好ましくは40〜70℃で0.5〜48時間、好ましくは0.5〜24時間攪拌することにより行うことができる。エステル交換反応終了後は、ろ過等によりリパーゼ粉末または固定化リパーゼを除去後、通常の食用油の精製工程で行われる脱色、脱臭処理を施すことができる。
【0055】
<用途>
本発明による油脂組成物は、製菓製パン生地に好適な原料として用いることができる。また、油脂組成物は、可塑性油脂組成物の製造に好適に用いることができる。本発明による油脂組成物を急冷捏和して得られる可塑性油脂組成物を製菓製パン生地に用いた場合、生地への分散性に優れ、物性の良好な製菓製パン生地を得ることができる。可塑性油脂組成物としては、無水タイプ・加水タイプどちらであっても構わない。なお、製菓製パン生地作成に際しては本発明による可塑性油脂組成物に加え、通常のマーガリン類、ショートニング、ラード等の可塑性油脂組成物を併用しても良い。このような、本発明による可塑性油脂組成物は、パン類、イースト菓子類、ペストリー類、ケーキ類の様なベーカリー製品等の食品の製造にも好適に用いることができる。
【0056】
本発明による加水タイプの可塑性油脂組成物の場合には、本発明による油脂組成物を65〜99.5質量%添加することができる。また水以外に牛乳、脱脂乳などの乳、クリーム、ナチュラルチーズやプロセスチーズなどのチーズ、濃縮乳、脱脂濃縮乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、タンパク濃縮ホエイパウダー、ホエイ蛋白コンセントレート(WPC)、ホエイ蛋白アイソレート(WPI)、バターミルクパウダー、トータルミルクプロテイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウムなどの乳製品、大豆蛋白、エンドウ豆蛋白、小麦蛋白などの植物蛋白、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなどの単糖、ラクトース、スクロース、マルトースなどの二糖類、オリゴ糖、トレハロース、糖アルコールなどの糖類、デンプン、デンプン分解物、多糖類、乳化剤、塩類、酸味料、pH調整剤などを添加できる。
【0057】
本発明による可塑性油脂組成物は、従来公知の方法で製造することができる。具体的には、加水タイプの場合は本発明による油脂組成物を含有する乳化液を、無水タイプの場合は本発明による油脂組成物を、コンビネーター、パーフェクター、ボテーター等の冷却混合機で急冷捏和することにより得ることができる。
【0058】
また、本発明による油脂組成物は、製菓製パン生地の製造に好適に用いることができる。本発明の油脂組成物は、製菓製パン生地全体(対生地)に対して0.5〜5質量%添加することが好ましい。本発明による油脂組成物を急冷捏和して得られる可塑性油脂組成物を製菓製パン生地に用いた場合、製菓製パン生地への分散性が良好であり、製菓製パン生地へ練り込み易く、また長時間保存しても油の染み出しなく安定した物性である。このような製菓製パン生地を用いて、パン類、イースト菓子類、ペストリー類、ケーキ類の様なベーカリー製品等の食品を製造することで、ソフトでねちゃつきが少なくかつ口溶けの良いベーカリー製品等の食品を得ることができる。
【0059】
本発明による油脂組成物を急冷捏和して得られる可塑性油脂組成物を使用した製菓製パン生地は、冷凍生地として冷凍保存されてもよく、焼成する他、電子レンジ調理、蒸す、揚げるなどの調理をすることにより、ベーカリー製品等の食品を得ることができる。
【0060】
本発明による製菓製パン生地を使用したベーカリー製品等の食品としては、例えば、食パン、テーブルロール、菓子パン、調理パン、フランスパン、ライブレッドなどのパン類、シュトーレン、パネトーネ、クグロフ、ブリオッシュ、ドーナツなどのイースト菓子、デニッシュ、クロワッサン、パイなどのペストリー、バターケーキ、パウンドケーキ、スポンジ、ビスケット、クッキー、ドーナツ、ブッセ、ホットケーキ、ワッフルなどのケーキ等が挙げられる。
【実施例】
【0061】
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
【0062】
<油脂組成物1〜26の製造>
表1〜3に記載の配合の油脂を75℃に調温してプロペラ撹拌機で撹拌しながら、表1〜3に記載の割合(質量部)で、乳化剤と増粘多糖類とを添加した。その後、乳化剤を溶解、増粘多糖類を分散させ、均一な混合物として油脂組成物1〜26を得た。油脂組成物に含まれる油脂中のSSU型トリグリセリド、SUS型トリグリセリド、およびSSS型トリグリセリドの合計含有量を、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce5−86準拠)により分析した。また、20℃における油脂の固体脂含量(SFC)を、基準油脂分析試験法(2.2.9−2003)「固体脂含量(NMR法)」に記載された試験法に準拠して、測定した。それぞれの測定結果は、表1〜3に示すとおりである。
【0063】
<可塑性油脂組成物の製造>
上記で製造した油脂組成物100質量部を75℃に調温してプロペラ攪拌機で撹拌して、均一に混合した後、コンビネーターによって急冷捏和して可塑性油脂組成物を得た。
【0064】
<粉体組成物Aの製造>
表3に示す配合の乳化剤を80℃で溶解しておき、ロッキングミキサー内で小麦粉14質量部に吹き付け、均一混合した。再度、この混合物と増粘多糖類とをロッキングミキサーで均一混合して、粉体組成物Aを得た。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
<食パンの製造>
上記で製造した可塑性油脂組成物を用いて、下記の配合(強力粉:10Kg仕込み)および製造条件で食パンを製造した。具体的には、イーストを分散させた水、イーストフード、および強力粉をミキサーボールに投入し、フックを使用し、下記条件にてミキシング、発酵を行い、中種生地を得た。その後、本捏配合の可塑性油脂組成物以外の材料および中種生地を添加し、低速3分、中低速3分でミキシングした後、可塑性油脂組成物を投入し、さらに低速3分、中低速4分でミキシングしてパン生地を得た。捏上温度は28℃であった。その後、28℃で20分フロアタイムをとった後、生地を230gに分割し、再度室温28℃で20分のベンチタイムをとった。生地の成型は、モルダーで5mmに延ばし、ロール型に成型後 3斤プルマン型にU字型にして6個詰めとした。室温38℃、湿度80%で45分間のホイロをとり、その後200℃で40分焼成して食パンを得た。焼成したパンを室温で放冷させた後、20℃の恒温槽に保存した。比較例9の粉体組成物Aについては、本捏の粉類添加時に同時添加した。
<食パンの配合>
・中種配合
強力粉 70質量部
イースト 2.5質量部
イーストフード 0.1質量部
水 40質量部
・本捏配合
強力粉 30質量部
上白糖 6質量部
食塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
可塑性油脂組成物※4 3質量部
水 25質量部
※4 比較例9については可塑性油脂組成物(3質量部)を、粉体組成物A(0.9質量部)に変更して本捏の粉類添加時期に同時添加すると共に、パーム分別軟質油(ヨウ素価=56)2.6質量部を可塑性油脂組成物と同じ投入時期で添加した。
<食パンの製造条件>
・中種条件
ミキシング: 低速4分、中低速1分
捏上げ温度: 24℃
発酵時間: 27℃、75%、4時間
終点温度: 29℃
・本捏条件
ミキシング: 低速3分、中低速3分、
(可塑性油脂組成物投入)、低速3分、中低速4分
捏上温度: 28℃
フロアタイム:28℃で20分
分割: 230質量部
ベンチタイム:28℃で20分
成型: 分割した生地をモルダーで5mmに延ばしロール型に成型後
3斤プルマン型にU字型にして6個型詰め。
ホイロ: 38℃、80%、45分
焼成: 200℃、40分
【0069】
実施例1〜18および比較例1〜9で製造した食パンならびに油脂組成物1〜26および粉末組成物1について、下記の評価を行った。それぞれの評価結果は表4〜6に示す。
【0070】
<口溶け>
焼成した食パンを20℃で1日保存した後、パネラー10名により食パンの口溶けを以下のように評価した。
評価基準:
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
【0071】
<ソフトさ>
焼成した食パンを20℃で1日保存した後、パネラー10名により食パンのソフトさを以下のように評価した。
評価基準:
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
【0072】
<シトリ>
焼成した食パンを20℃で1日保存した後、パネラー10名により食パンのシトリを以下のように評価した。
評価基準:
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
【0073】
<ねちゃつき>
焼成した食パンを20℃で1日保存した後、パネラー10名により食パンのねちゃつきを以下のように評価した。
評価基準:
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
【0074】
<染み出し>
透明なポリエチレン性の袋に可塑性油脂組成物を10kg充填し、それを段ボールに入れ、25℃で100日間保存した時の油脂の染み出しを目視により評価した。
評価基準:
◎:染み出しが無く、良好であった。
○:染み出しは無いが、若干光沢があった。
△:若干染み出しがあった。
×:染み出しがあった。
【0075】
<生地のベタツキ・作業性>
可塑性油脂組成物を添加した後の生地の作業性を評価した。
評価基準:
◎:ベタツキもなく伸展性も良く、極めて良好な作業性であった。
○:良好な作業性であった。
△:ややベタツキが感じられるか、又は、やや伸展性が悪く、若干劣る作業性であった。
×:ベタツキがあるか、又は、伸展性が悪く、作業性が劣るものであった。
【0076】
<生地への分散性>
可塑性油脂組成物を生地に添加した時に、使用した可塑性油脂組成物の塊が無くなるまでの時間を目視により評価した。
評価基準:
◎:1分30秒〜2分以内で可塑性油脂組成物の塊が見えなくなった。
○:2分超〜2分30秒以内で可塑性油脂組成物の塊が見えなくなった。
△:2分30秒超〜3分以内で可塑性油脂組成物の塊が見えなくなった。
×:3分超で可塑性油脂組成物の塊が見えなくなった。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】