(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239937
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】建築板
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20171120BHJP
E04F 13/14 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
E04F13/08 E
E04F13/14 102C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-226489(P2013-226489)
(22)【出願日】2013年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-86607(P2015-86607A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年8月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年10月18日 ケイミュー株式会社発行「2013年 秋 外壁材 新商品カタログ 一般地域用」第14頁に発表
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】岡本 義孝
【審査官】
金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−213138(JP,A)
【文献】
特開2003−239447(JP,A)
【文献】
特開2013−023832(JP,A)
【文献】
特開昭58−120955(JP,A)
【文献】
特開2000−234430(JP,A)
【文献】
特開2013−177812(JP,A)
【文献】
実開平05−057181(JP,U)
【文献】
米国特許第03217453(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E04F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の短冊状の柄部が基板の表面に形成され、不規則な凹凸柄が前記柄部の表面に形成される建築板であって、
隣り合う前記柄部は傾斜角度が互いに異なって形成され、
隣り合う前記柄部の端部同士は接合されており、
前記端部同士の接合部分には、前記凹凸柄の深さ寸法と同等又はそれ以下の厚み寸法を有する区切り部が形成されており、
前記区切り部の厚み寸法は、隣り合う前記柄部の境界線から前記区切り部の先端までの寸法のうちの最も大きい寸法であり、
前記凹凸柄の深さ寸法は、前記凹凸柄の最も凹んだ凹部分の底面と最も突出した凸部分の先端との間の寸法である
ことを特徴とする建築板。
【請求項2】
複数の短冊状の柄部が基板の表面に形成され、不規則な凹凸柄が前記柄部の表面に形成される建築板であって、
前記柄部の長手方向と直交する方向で隣り合う柄部は傾斜角度が互いに異なって形成され、
前記柄部の長手方向と直交する方向で隣り合う柄部の端部同士は接合されており、
前記端部同士の接合部分には、形状の異なる端部同士により少なくとも一部が前記基板の厚み方向に位置ずれした複数の区切り部が形成され、
前記区切り部の各々は、前記柄部の長手方向と直交する方向で隣り合う柄部のうちの一方の柄部の長手方向に延びる端部が他方の柄部の長手方向に延びる端部よりも表面側に突出する部分により形成されている
ことを特徴とする建築板。
【請求項3】
前記端部同士の境界に沿って、幅寸法が0.3〜5.0mmの区切り溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築板。
【請求項4】
複数の前記柄部は前記基板の長手方向と短手方向とに並べて形成され、前記基板の長手方向で隣り合う前記柄部はその長手端部同士が接合されており、前記基板の短手方向で隣り合う前記柄部の短手端部の間には、前記区切り部の最下位置よりも深い目地状溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建築板。
【請求項5】
複数の前記柄部により断面台形状の台形凸部が形成され、他の複数の前記柄部により断面山形状の山形凸部が形成され、前記台形凸部と前記山形凸部とが不規則に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建築板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁材等として用いられる建築板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窯業系の建築板として、複数の石やタイルやレンガが積み上げられたような外観、いわゆる石積み調外観を有するものが提案されている(特許文献1参照)。このような建築板10は、
図9のように、複数の短冊状の柄部30が基板20の表面に形成されており、また各柄部30の表面に不規則な凹凸柄が形成されている。柄部30は凹凸柄により石やタイルといった素材に似せて形成されている。また複数の柄部30は基板20の長手方向と短手方向の両方に並んで形成されている。基板20の長手方向で隣り合う柄部30の間には目地状溝60が形成されている。また基板20の短手方向で隣り合う柄部30の間にも目地状溝60が形成されている。
図10のように、目地状溝60は底面と二つの側面とで形成される箱溝や二つの側面で形成されるV溝などで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録意匠第1055002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような建築板では、隣り合う柄部が目地状溝により個々に分断されており、自然でリアリティのある石積み調外観を形成しにくかった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、自然でリアリティのある石積み調外観を形成しやすい建築板を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建築板は、複数の短冊状の柄部が基板の表面に形成され、不規則な凹凸柄が前記柄部の表面に形成される建築板であって、
隣り合う前記柄部は傾斜角度が互いに異なって形成され、
隣り合う前記柄部の端部同士は接合されて
おり、
前記端部同士の接合部分には、前記凹凸柄の深さ寸法と同等又はそれ以下の厚み寸法を有する区切り部が形成されており、
前記区切り部の厚み寸法は、隣り合う前記柄部の境界線から前記区切り部の先端までの寸法のうちの最も大きい寸法であり、
前記凹凸柄の深さ寸法は、前記凹凸柄の最も凹んだ凹部分の底面と最も突出した凸部分の先端との間の寸法である
ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る建築板は、複数の短冊状の柄部が基板の表面に形成され、不規則な凹凸柄が前記柄部の表面に形成される建築板であって、
前記柄部の長手方向と直交する方向で隣り合う柄部は傾斜角度が互いに異なって形成され、
前記柄部の長手方向と直交する方向で隣り合う柄部の端部同士は接合されており、
前記端部同士の接合部分には、形状の異なる端部同士により少なくとも一部が前記基板の厚み方向に位置ずれした
複数の区切り部が形成され
、
前記区切り部の各々は、前記柄部の長手方向と直交する方向で隣り合う柄部のうちの一方の柄部の長手方向に延びる端部が他方の柄部の長手方向に延びる端部よりも表面側に突出する部分により形成されている
ことを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、前記端部同士
の境界に沿って、幅寸法が0.3〜5.0mmの区切り溝が形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明にあっては、複数の前記柄部は前記基板の長手方向と短手方向とに並べて形成され、前記基板の長手方向で隣り合う前記柄部はその長手端部同士が接合されており、前記基板の短手方向で隣り合う前記柄部の短手端部の間には、前記区切り部の最下位置よりも深い目地状溝が形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明にあっては、複数の前記柄部により断面台形状の台形凸部が形成され、他の複数の前記柄部により断面山形状の山形凸部が形成され、前記台形凸部と前記山形凸部とが不規則に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、隣り合う前記柄部は傾斜角度が互いに異なって形成され、隣り合う前記柄部の端部同士は接合されて
おり、
前記端部同士の接合部分には、前記凹凸柄の深さ寸法と同等又はそれ以下の厚み寸法を有する区切り部が形成されており、
前記区切り部の厚み寸法は、隣り合う前記柄部の境界線から前記区切り部の先端までの寸法のうちの最も大きい寸法であり、
前記凹凸柄の深さ寸法は、前記凹凸柄の最も凹んだ凹部分の底面と最も突出した凸部分の先端との間の寸法であるので、前記柄部の表面の不規則な凹凸柄と、前記区切り部と、傾斜角度の異なる複数の前記柄部により多彩な意匠を形成することができ、自然でリアリティーのある石積み調外観を形成しやすいものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態の一例を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態の一例を示し、(a)及び(b)は断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態の一例を示し、一部の断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態の一例を示し、一部が破断した斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態の一例を示し、一部の断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態の一例を示し、一部の断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態の一例を示し、一部の断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態の一例を示し、一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0014】
本実施の形態の建築板10は、
図1のように、基板20の表面の全面にわたって、複数の柄部30を設けて形成されている。柄部30は、例えば、折り紙をモチーフにして形成されるものである。これにより、建築板10に対する陽光の当たり方に変化がつき、多彩で繊細な質感を表現することができる。
【0015】
基板20はいわゆる窯業系基板であって、セメント、パルプ、骨材、水などを含有するセメント組成物の硬化物である。基板20は抄造法や押出成形法などで形成される。基板20は正面視で矩形に形成されている。基板20の長手端部には、相じゃくり等で接合するための実部が形成されていてもよい。なお、基材は窯業系基板に限られるものではなく、金属系、樹脂系であってもよく、また、外装材、内装材、屋根材などに用いるものが考えられる。
【0016】
柄部30は正面視において短冊状に形成されている。複数の柄部30は基板20の長手方向の全長にわたって並ぶように形成されている。複数の柄部30は基板20の短手方向の全長にわたって並ぶように形成されている。本明細書において、「全長」とは厳密な意味での全長だけでなく、ほぼ全長である場合も含む。正面視における柄部30の長手方向は基板20の短手方向と平行となるように形成されている。正面視における柄部30の短手方向は基板20の長手方向と平行となるように形成されている。本明細書において、「平行」とは厳密な意味での平行だけでなく、ほぼ平行である場合も含む。全部の柄部30の長手方向の寸法は一定に形成されている。本明細書において、「一定」とは厳密な意味での一定だけでなく、ほぼ一定であればよい。正面視における柄部30の長手方向の寸法は、例えば、3.0〜90.0mmに形成されている。正面視における柄部30の短手方向の寸法は一定ではなく、例えば、20.0〜300.0mmの範囲で適宜に形成されている。柄部30は、例えば、硬化前の基板20の表面に成形型をプレスして形成される。
【0017】
柄部30の表面は凹凸に形成されており、これにより凹凸柄31が形成されている。凹凸柄31は不規則な形状である。すなわち、凹凸柄31は規則正しい形状ではなく、不定形であって、様々な形状や厚み寸法に形成されている。このような凹凸柄31により柄部30は石やタイルやレンガのような外観に形成される。凹凸柄31には形状の異なる複数種のものがあり、隣り合う柄部30の凹凸柄31の種類は互いに異なっていることが好ましい。凹凸柄31の深さ寸法は一定ではなく、例えば、0.5〜7.0mmの範囲で適宜に形成されている。
【0018】
図2(a)及び(b)のように、基板20の長手方向において隣り合う柄部30は、その長手端部同士が全長にわたって接合されている(突きつけられている)。また基板20の長手方向において隣り合う柄部30は、その表面の傾斜角度K1、K2が互いに異なって形成されている。この場合、柄部30の表面の傾斜角度K1、K2は、
図3のように、基板20の平坦な裏面(柄部30が形成された表面と反対側の面)21に対する垂線Pを想定し、隣り合う柄部30の正面視における境界線Mを通る垂線Pと、この垂線Pに隣接する柄部30の表面との間の角度で規定される。このように隣り合う柄部30の表面の傾斜角度K1、K2が互いに異なって形成されているので、各柄部30が自然な石のような外観に形成することができる。
図2(a)及び(b)は、基板20を長手方向と平行な方向に切断した場合の断面図であって、
図2(a)と
図2(b)は切断位置が異なる。
【0019】
隣り合う柄部30の長手端部同士の接合部分には区切り部40が形成されている。
図4のように、隣り合う柄部30において、一方の柄部301の長手端部の長辺302と他方の柄部303の長辺端部の長辺304とは全長にわたって完全に一致するものではなく、長辺302と長辺304とは一部又は全部が互いに上記垂線と平行な方向(基板20の厚み方向)で位置ずれしている。すなわち、隣り合う柄部30において、一方の柄部301の長手端部の形状と、他方の柄部303の長手端部の形状とが互いに異なっており、特に、一方の柄部30の長手端部の厚みと、他方の長手端部の厚みとが互いに異なっているので、長辺302と長辺304とは一部又は全部が互いに上記垂線と平行な方向で位置ずれしている。従って、長辺302が長辺304よりも接合部分の表面に突出している場合は、柄部301の長手端部が長辺304よりも表面側に突出し、柄部301の長手端面が露出している。逆に、長辺304が長辺302よりも接合部分の表面に突出している場合は、柄部303の長手端部が長辺302よりも表面側に突出し、柄部303の長手端面が露出している。このように柄部301の長手端部が長辺304よりも表面側に突出している部分と、柄部303の長手端部が長辺302よりも表面側に突出している部分とが区切り部40として形成されている。長辺302と長辺304とが全長にわたって位置ずれしている場合は、隣り合う柄部301,303の長手端部同士の接合部分の全長にわたって区切り部40が形成される。長辺302と長辺304とが部分的に位置ずれしている場合は、隣り合う柄部301,303の長手端部同士の接合部分の全長に沿って、複数の区切り部40が断続的に形成される。このように隣り合う柄部301,303の長手端部同士は、その少なくとも一部が基板20の厚み方向で互いに位置ずれすることにより、区切り部40が形成される。
【0020】
図5のように、区切り部40の厚み寸法Hは、凹凸柄31の深さ寸法Dと同等であるか、あるいは凹凸柄31の深さ寸法よりも小さく形成されている。ここで、区切り部40の厚み寸法Hとは、隣り合う柄部30の境界線Mから区切り部40の先端までの寸法である。区切り部40は一定の厚み寸法Hではない場合は、最も厚み寸法Hが大きい部分が、凹凸柄31の深さ寸法Dと同等あるいは凹凸柄31の深さ寸法Dよりも小さく形成される。また凹凸柄31の深さ寸法Dは、その区切り部40を形成している柄部30に形成される凹凸柄31であって、最も凹んだ凹部分(凹柄311)の底面と最も突出した凸部分(凸柄312)の先端との間の寸法である。
【0021】
そして、上記のような区切り部40を形成することによって、基板20の長手方向において、複数の柄部30が不規則に並んで形成されることになり、自然でリアリティのある石積み調外観を形成しやすいものである。
【0022】
図6のように、基板20の長手方向において隣り合う柄部30の長手端部同士の接合部分には、区切り溝50が形成されていることが好ましい。特に、基板20の長手方向において隣り合う柄部30の表面の傾斜角度K1、K2の差が小さい場合(傾斜角度の差が0〜70°(0°を含まず))又は区切り部40の厚み寸法Hが小さい場合(厚み寸法が0〜7.0mm(0mmを含まず))には、区切り溝50を設けるのが好ましい。区切り溝50は、基板20の長手方向において隣り合う柄部30の長手端部同士の接合部分の境界線Mに沿って形成されるものである。区切り溝50は、境界線Mの全長にわたって連続的に設けても良いし、境界線Mの全長にわたって断続的に設けても良い。区切り溝50の幅寸法は0.3〜5.0mmに形成することができる。この幅寸法の範囲で区切り溝50を形成すると、区切り溝50が極端に目立つことがなく、自然な石積み調が損なわれにくくなる。また区切り溝50の深さ寸法は0.3〜3.0mmに形成することができる。この深さ寸法の範囲で区切り溝50を形成すると、区切り溝50が極端に目立つことがなく、自然な石積み調が損なわれにくくなる。
【0023】
図7のように、基板20の短手方向において隣り合う柄部30の短手端部の間には、目地状溝60が形成されていることが好ましい。目地状溝60は基板20の長手方向の全長にわたって連続して設けられている。目地状溝60は区切り部40の最下位置(境界線Mの位置)よりも深く形成されている。すなわち、目地状溝60の底面61は区切り部40の最下位置(境界線Mの位置)よりも深い位置に形成されている。これにより、自然でリアリティのある石積み調が強調されることになる。目地状溝60の深さ寸法は、特に限定されないが、2.0〜7.0mmであることが好ましい。
【0024】
上記のような建築板10において、複数の柄部30により断面台形状の台形凸部32を形成し、他の複数の柄部30により断面山形状の山形凸部33を形成し、複数の台形凸部32と複数の山形凸部33とを基板20の表面に不規則に配置して形成するのが好ましい。これにより、自然でリアリティのある石積み調が強調されることになる。例えば、
図8のものは、3つの柄部320、321、322で台形凸部32が形成されている。また、2つの柄部330、331で山形凸部33が形成されている。
【符号の説明】
【0025】
10 建築板
20 基板
30 柄部
31 凹凸柄
32 台形凸部
33 山形凸部
40 区切り部
50 区切り溝
60 目地状溝
K1 傾斜角度
K2 傾斜角度