特許第6239940号(P6239940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239940
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/24 20060101AFI20171120BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20171120BHJP
   D06F 25/00 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   D06F58/24
   D06F58/02 F
   D06F25/00 Z
   D06F58/02 Q
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-231166(P2013-231166)
(22)【出願日】2013年11月7日
(65)【公開番号】特開2015-89473(P2015-89473A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2016年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 源一郎
【審査官】 大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−207449(JP,A)
【文献】 特開2006−230471(JP,A)
【文献】 特開2011−045488(JP,A)
【文献】 特開2012−000313(JP,A)
【文献】 特開2013−220307(JP,A)
【文献】 特開2011−004780(JP,A)
【文献】 特開2010−220946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/24
D06F 25/00
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
この外箱内に弾性支持された水槽と、
前記水槽の上部に装着された水槽カバーと、
前記水槽内に配置され洗濯物が収容される回転槽と、
この回転槽の内底部に配設された撹拌体と、
前記外箱内に設けられ前記洗濯物を乾燥するための乾燥風を生成する熱交換器と、
前記水槽内の空気を前記熱交換器に吸込むための排気ダクトと、
前記熱交換器により生成された乾燥風を前記水槽内に循環供給するための給気ダクトとを備え、
前記熱交換器は、風路を構成するケース内に、吸込み空気の除湿を行う除湿手段、空気を循環させる送風ファン、除湿空気を加熱する加熱手段を組付けてユニット化された形態で、前記外箱に取付けられて設けられると共に、前記除湿手段は、前記外箱内面に沿って上下方向に延び、吸込み空気を流して除湿する風路を上下に折返し状態に有する除湿ケースを含んで構成され、
前記熱交換器と前記水槽とをつなぐ前記排気ダクト及び給気ダクトは、共に可撓性を有して構成され、夫々前記水槽カバーに設けられた接続口に接続されていることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記熱交換器には、前記除湿手段からの排水を行うための除湿用排水ホースの基端部が接続され、該除湿用排水ホースの先端部は、前記外箱内において、前記水槽からの排水を行うための排水路のうちの排水弁よりも下流側に接続されていることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記排気ダクト及び給気ダクトは、少なくとも一部に蛇腹状部を有して構成され、
共に前記熱交換器と前記水槽とを上下方向に接続するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、衣類が収容される回転槽を水槽内に備えたいわゆる縦軸型の洗濯機においては、前記水槽内に乾燥風を循環供給して衣類を乾燥させる乾燥機能を付加したものがある。この乾燥機能としては、両端が夫々前記水槽の上下部につながる循環風路を設けると共に、その循環風路の途中部に熱交換器を設け、水槽内の空気を吸込んで熱交換器により乾燥風を生成し、その乾燥風を、循環風路を通して機外に排出することなく水槽内に連続的に供給する構成のものが知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
第1の従来例として、特許文献1では、水槽の外底部に接続された乾燥通路が、切替バルブを介して、外箱の外側或いは内側を上方に延びて設けられた空冷式の熱交換器に繋がり、更に、発熱ヒータ、循環送風ファンを経て、伸縮自在ホースを介して水槽の上部蓋に繋がる構成となっている。また、第2の従来例として、特許文献2では、水槽の外周面に、水槽の底部で開口し上方に延びるダクト状の除湿風路を設け、除湿風路の上部に、水槽の上端部に繋がる給気風路を接続し、除湿風路内に、水冷式の熱交換器、送風ファン、ヒータを設ける構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−225287号公報
【特許文献2】特開2008−54948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の縦軸型の洗濯機においては、水槽が例えば4本の吊り棒で外箱内に弾性的に支持(吊持)される構成となっているが、撹拌体の回転時や回転槽の回転時における水槽の振動や、その振動に伴う騒音が問題となる。上記第1の従来例では、水槽の底部に蛇腹状のダクト(乾燥通路)を接続しているため、このダクトが振動系に影響を与え、振動・騒音が大きくなることがある。第2の従来例では、水槽の外周面に熱交換器を取付けている構成のため、水槽の重量バランスが崩れ、振動系の設計を複雑にし、負荷によって振動・騒音が大きくなることがある。
【0006】
そこで、水槽内に乾燥風を循環供給する乾燥機能を備えたものにあって、振動や騒音を低減することができる洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の洗濯機は、外箱と、この外箱内に弾性支持された水槽と、前記水槽の上部に装着された水槽カバーと、前記水槽内に配置され洗濯物が収容される回転槽と、この回転槽の内底部に配設された撹拌体と、前記外箱内に設けられ前記洗濯物を乾燥するための乾燥風を生成する熱交換器と、前記水槽内の空気を前記熱交換器に吸込むための排気ダクトと、前記熱交換器により生成された乾燥風を前記水槽内に循環供給するための給気ダクトとを備え、前記熱交換器は、風路を構成するケース内に、吸込み空気の除湿を行う除湿手段、空気を循環させる送風ファン、除湿空気を加熱する加熱手段を組付けてユニット化された形態で、前記外箱に取付けられて設けられると共に、前記除湿手段は、前記外箱内面に沿って上下方向に延び、吸込み空気を流して除湿する風路を上下に折返し状態に有する除湿ケースを含んで構成され、前記熱交換器と前記水槽とをつなぐ前記排気ダクト及び給気ダクトは、共に可撓性を有して構成され、夫々前記水槽カバーに設けられた接続口に接続されているところに特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態を示すもので、洗濯機の概略的縦断正面図
図2】乾燥ユニットの風路の構成を模式的に示す図
図3】乾燥運転部分の外観を示す要部の分解斜視図
図4】洗濯機の電気的構成を概略的に示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る乾燥機能付きの縦軸型の洗濯機(全自動洗濯機)1の全体構成を概略的に示している。ここで、ほぼ矩形状をなす外箱2の内部には、洗濯水を溜める水槽3が弾性吊持機構4により弾性的に支持(吊り下げ支持)されて設けられている。一部のみ示すように、前記弾性吊持機構4は、例えば前記外箱2の四隅部に設けられた4本の吊り棒4a、各吊り棒4aの下端部に配置されたスプリング4b等を有した周知構成を備えている。
【0010】
前記水槽3内には、ほぼ有底円筒状をなす縦軸型の回転槽5が回転可能に設けられている。この回転槽5の上端部には、例えば液体封入形の回転バランサ6が取付けられている。また、この回転槽5の周壁部には、通風孔を兼ねる多数個の脱水孔7が形成されている。この回転槽5内には、図示しない洗濯物が収容されるようになっており、その洗濯物の洗い、すすぎ、脱水、乾燥が行われる。
【0011】
前記回転槽5の内底部には、撹拌体8が配設されている。詳しく図示はしないが、前記水槽3の外底部には、駆動モータ9(図4にのみ図示)を備える駆動機構部10が配設されている。前記駆動機構部10は、周知のように、前記駆動モータ9の回転を選択的に伝達するためのクラッチを有している。即ち、洗い時及びすすぎ時には回転槽5を制止して、モータにより撹拌体8を正逆両方向に交互に低速で回転させ、脱水時には回転槽5を撹拌体8と共に一方向へ高速で回転させる。また、後述する乾燥運転時にも、回転槽5や撹拌体8を回転させるようになっている。
【0012】
図2にも示すように、前記水槽3の底部には排水口11が形成され、この排水口11に、電子制御式の排水弁12を介して、排水路を形成する排水管13が接続されている。尚、詳しく図示はしないが、前記排水管13は、外箱2の外部に導出され、家庭用の排水設備に接続される。また、前記排水弁12は、前記駆動機構部10のクラッチと連動して動作するように構成されている。
【0013】
図1に示すように、前記水槽3の上部には、水槽カバー14が装着されている。図3に示すように、この水槽カバー14には、後部側を除くほぼ中央部に位置して洗濯物出入用の開口部14aが設けられていると共に、その開口部14aを開閉する内蓋15が取付けられている。更に、この水槽カバー14には、開口部14aの後部側に位置して左右方向に並んで、3個の接続口16,17,18が設けられている。これら接続口16,17,18は、上方に凸となる円筒状に構成されている。後述するように、左側の接続口16には給水ダクト19が接続され、中央の接続口17には給気ダクト20が接続され、右側の接続口18には排気ダクト21が接続されるようになっている。
【0014】
図1に示すように、前記外箱2の上部には薄形の中空箱状をなす合成樹脂製のトップカバー22が装着されている。図示はしないが、このトップカバー22の上面中央には、前記水槽カバー14の開口部14aの上方に位置して、ほぼ円形の洗濯物出入口が形成されていると共に、その洗濯物出入口を開閉するための二つ折りタイプの蓋が設けられている。詳しく図示はしないが、このトップカバー22の前部には、操作パネル23(図4にのみ図示)が設けられている。
【0015】
詳しく図示はしないが、前記操作パネル23は、スタートスイッチやコース選択キーを含む各種の操作スイッチや、コースの表示や残り時間等の必要な表示を行う表示部を備える。ユーザは、操作パネル23の操作スイッチを操作することにより、洗濯運転のコースの選択や、運転開始を指示することができる。また、前記操作パネル23の裏面側には、コンピュータを主体として構成され洗濯機1全体の制御を行う制御装置24(図4にのみ図示)が設けられている。
【0016】
図1に示すように、前記トップカバー22の後辺部には、機械室が設けられ、この機械室内には、図で左側に位置して、給水ユニット25が設けられていると共に、右側に位置して、熱交換器としての乾燥ユニット26が設けられる。そのうち給水ユニット25は、給水源(例えば水道)からの水を前記水槽3内に供給するためのもので、図3にも示すように、電子制御式の給水弁27、接続管28、注水ケース29、前記給水ダクト19等を備えている。
【0017】
前記接続管28には、図示しない水道の蛇口に接続された接続ホースの先端部が接続される。また、図示はしないが、前記注水ケース29内には、洗剤や洗濯用助剤を収容するための収容ケースが出し入れ可能に設けられている。前記給水ダクト19は、前記注水ケース29から下部に延びるように設けられている。この給水ダクト19は、例えばゴム等の可撓性(柔軟性)を有する材料から先端側部分が蛇腹状に構成されており、その先端部が前記接続口16に接続されている。
【0018】
このとき、詳しく図示はしないが、前記給水弁27は、2つの出口を有し、閉塞状態、第1の出口を開放した状態、第2の出口を開放した状態、の3位置に切替えら可能な切替弁から構成されている。この給水弁27の入口部が前記接続管28に接続され、前記第1の出口が前記注水ケース29に接続されている。更に、前記第2の出口が、注水ホース30を介して後述する水冷式除湿器に接続されている。
【0019】
これにて、給水ユニット25の給水弁27が第1の出口の開放状態に切替えられると、給水源からの水が注水ケース29へ供給される。そして、注水ケース29に供給された水は、収容ケース内の洗剤等を溶かした後、給水ダクト19を通して水槽3内へ給水される。また、給水弁27が第2の出口の開放状態に切替えられると、給水源からの水が水冷式除湿器に供給されるようになっている。
【0020】
さて、前記乾燥ユニット26について、図2図3も参照して述べる。この乾燥ユニット26は、乾燥運転時に水槽3内に除湿された温風を循環供給する熱交換器として機能する。本実施形態では、この乾燥ユニット26は、機械室内を左右方向に延びるヒータユニット31と、そのヒータユニット31の右端部から下方に延びて設けられる除湿手段たる水冷式除湿器32とを一体的に有し、前記外箱2(及びトップカバー22)の内面に、固定的に取付けられている。
【0021】
詳しくは次に述べるが、この乾燥ユニット26においては、空気を循環させる送風ファン33の駆動により、図2に矢印A〜矢印Fで示すように、水槽3内の空気が排気ダクト21を通して水冷式除湿器32に吸込まれ、水冷式除湿器32において水冷除湿される。そして、除湿された空気が、ヒータユニット31を通されて加熱された上で、給気ダクト20から水槽3内に戻される循環を行うようになっている。
【0022】
前記ヒータユニット31は、図で左右方向に延びる風路を形成するヒータケース34内に、前記送風ファン33及び加熱手段としてのヒータ35を内蔵して構成されている。前記ヒータ35は、例えばPTCヒータからなり、前記ヒータケース34内のほぼ中央部に配設されている。前記ヒータケース34の図で左端部下面側には、温風を吐出するための吐出口34aが設けられ、この吐出口34aに前記給気ダクト20の上端部が接続されている。
【0023】
前記給気ダクト20は、例えばゴム等の可撓性(柔軟性)を有する材料から蛇腹状に構成されており、その先端部(下端部)が前記接続口17に接続されている。これにて、給気ダクト20は、乾燥ユニット26(ヒータケース34)と水槽3とを上下方向に接続するように設けられている。尚、図2に示すように、前記ヒータケース34内の吐出口34aの近傍部分には、水槽3内に供給される温風の温度を検出するための温度センサ36が設けられている。
【0024】
そして、前記ヒータケース34の右端側は、下面側に通気口37を有するファンケーシングとなっており、このファンケーシング部分に前記送風ファン33が設けられている。この送風ファン33は、ヒータケース34の上面部に下向きに取付けられたファンモータ33aと、ファンケーシング内に配置された遠心ファンからなる送風羽根34bとからなる。これにて、送風ファン33が駆動されると、通気口37から空気を吸込んで、外周方向(図で左方のヒータ35側)に送風するようになっている。
【0025】
前記水冷式除湿器32は、前記ヒータケース34の右端部下面側に接続される除湿ケース38を有している。この除湿ケース38は、前記ヒータケース34の下側に配置される基部38aと、その基部38aの右側から下方に長く延びる垂下部38bとを有している。前記基部38aの上面が前記通気口37に連続している。図1図2に示すように、この除湿ケース38内には、前記基部38aを上下に仕切ると共に、それに連続して前記垂下部38b内を、下端部を除いて左右に仕切る仕切壁39が設けられている。
【0026】
これにより、図2に示すように、前記基部38a内は仕切壁39によって、上部空間と下部空間とに仕切られている。前記垂下部38b内には、仕切壁39によって、垂下部38b内の図で左側を下方に延びる第1風路40と、この第1風路40の下端部で折返すようにして、垂下部38b内の図で右側を上方に延びる第2風路41とが形成されている。前記基部38aの下部空間が前記第1風路40に連通し、第1風路40の下端が前記第2風路41の下端に連通し、第2風路41の上端部が前記基部38aの上部空間さらには通気口37に連通している。また、図示はしないが、第2風路41内には、左右方向に延びる複数本のリブが設けられており、内部がいわゆるラビリンス構造となっている。
【0027】
図1にも示すように、前記除湿ケース38の基部38aの下面部には、空気を吸込むための吸込口38cが設けられており、この吸込口38cに前記排気ダクト21の上端部が接続されている。この排気ダクト21は、やはり例えばゴム等の可撓性(柔軟性)を有する材料から蛇腹状に構成されており、その先端部(下端部)が前記接続口18に接続されている。これにて、排気ダクト21は、乾燥ユニット26(除湿ケース38)と水槽3とを上下方向に接続するように設けられている。更に、図2に示すように、前記基部38aの下部空間には、リントを捕獲するためのリントフィルタ42が設けられている。
【0028】
そして、前記除湿ケース38には、前記第2風路41の上端部に位置して、注水口43が設けられ、この注水口43に前記注水ホース30の先端部が接続されている。これにより、乾燥運転において、給水弁27が第2の出口の開放状態に切替えられ、給水源からの水が、注水ホース30を通して注水口43から第2風路41内に散水されるようになっている。この散水によって、第2風路41を流れる吸込み空気、つまり高温、高湿の空気が冷却(熱交換)され、空気が除湿冷却されるのである。
【0029】
一方、除湿ケース38の垂下部38bの下端部には、水(除湿水)を排出するための除湿用排水口44が設けられている。図2に示すように、除湿用排水口44には、除湿用排水路となる除湿用排水管45の基端部が接続されている。この除湿用排水管45の先端部は、前記排水管13の排水弁12よりも下流側に接続されている。これにて、除湿ケース38の垂下部38b内の水は、除湿用排水口44から除湿用排水管45に流れ、排水管13を通して排出されるようになっている。
【0030】
尚、この除湿用排水管45の途中部と、前記水槽3の上部との間が、フレキシブルな接続ホース46により接続されている。また、詳しく図示はしないが、前記外箱2の内面には、前記乾燥ユニット26を固定するための取付部2aが複数個所(図2に1か所のみ図示)に設けられており、ヒータケース34及び除湿ケース38は、それら取付部2aに対し例えばねじ止め等により固定的に取付けられる。この場合、ヒータケース34及び除湿ケース38の一部は、トップカバー22に支持され(取付けられ)ている。
【0031】
図4は、上記構成の洗濯機1の電気的構成を概略的に示している。洗濯機1の全体を制御する制御装置24には、操作パネル23の操作信号が入力されると共に、前記水槽3内の水位を検出する水位センサ47、前記駆動モータ9の回転速度を検出する回転センサ48、前記温度センサ36からの信号等が入力される。そして、前記制御装置24は、それらの入力信号と、制御プログラムに基づいて、駆動回路49を介して給水弁27、排水弁12、駆動モータ9等を制御し、洗い、すすぎ、脱水の行程からなる洗濯運転を実行する。さらに、制御装置24は、前記駆動回路49を介して、送風ファン334、ヒータ35、駆動モータ9等を制御し、乾燥運転を実行するようになっている。
【0032】
次に、上記構成の洗濯機1の作用・効果について述べる。洗濯機1においては、ユーザの操作に基づいて、洗濯運転及びその後の乾燥運転が実行される。乾燥運転が開始されると、送風ファン33及びヒータ35が駆動されると共に、給水弁27が第2の出口の開放状態に切替えられる。また、この乾燥運転においても、駆動モータ9の短時間の駆動が行われて、回転槽5又は撹拌体8が回転され、洗濯物のほぐし動作が行われる。
【0033】
図2に示すように、乾燥運転においては、乾燥ユニット26の送風ファン33の駆動により、水槽3内の空気が、まず矢印Aで示すように、排気ダクト21を通して水冷式除湿器32の吸込口38cから、基部38aの下部空間に吸込まれる。この空気がリントフィルタ42を通ることにより、リント等が捕獲される。リントフィルタ42を通った空気は、矢印Bに示すように、第1の風路40を下方に流れ、更に、矢印Cに示すように、折返すようにして第2の風路41を上方に流れる。
【0034】
この第2の風路41を上方に流れる空気は、その間に、上方より注水される水により冷却(熱交換)され、除湿、冷却がなされる。除湿された空気は、矢印Dに示すように、基部38aの上部空間から通気口37を通って、ヒータユニット31の送風ファン33部分に吸込まれる。送風ファン33を通った空気は、矢印Eで示すようにヒータケース34内を流れ、ヒータ35により加熱される。加熱された空気は、矢印Fに示すように、吐出口24aから給気ダクト20を通り、水槽3内に供給される。このとき、温度センサ36による加熱空気の温度検出がなされる。
【0035】
このような乾燥風の循環により、回転槽5内に収容された洗濯物に対する効果的な乾燥が行われる。尚、第2の風路41に供給された水及び空気との熱交換(結露)により生じた水は、除湿用排水口44から除湿用排水管45を通り、排水管13から外部に排水される。これにより、水冷式除湿器32からの排水を自然排水により確実に行うことができ、簡単で安価な構成で済ませることができる。
【0036】
ここで、この種の縦軸型の洗濯機1においては、水槽3が弾性吊持機構4によって外箱2内に弾性的に支持(吊持)される構成となっているため、撹拌体8の回転時や回転槽5の回転時における水槽3の振動や、その振動に伴う騒音の問題がある。特に、乾燥運転のための熱交換器を設けたものにあっては、水槽3に接続されるダクトが振動系に影響を与え、振動・騒音が大きくなることがある。また、熱交換器を設けることによって、水槽3の重量バランスが崩れ、負荷によって振動・騒音が大きくなる虞も考えられる。
【0037】
ところが、本実施形態では、乾燥ユニット26に設けられる排気ダクト21及び給気ダクト20は、共に水槽3の上部(水槽カバー14)に接続されているので、それらダクト21,20が水槽3の振動系に悪影響を与えることを抑制し、水槽3の異常振動やそれに伴う騒音を起こしにくくすることができる。この場合、特に本実施形態では、排気ダクト21及び給気ダクト20を、蛇腹状に構成すると共に、乾燥ユニット26と水槽3とを上下方向に接続するようにしたので、水槽3の上下方向の振動をダクト21,20の蛇腹状部で吸収することができ、水槽3の振動が乾燥ユニット26ひいては外箱2に伝わることを防止することができる。
【0038】
また、本実施形態では、水槽の外壁部に熱交換器を設けたものと異なり、上記乾燥ユニット26は、ユニット化された形態で水槽3ではなく外箱2(及びトップカバー22)に取付けられているので、水槽3の重量バランスを崩すことはなく、水槽3の重量バランスの不均一に起因して振動・騒音が大きくなることを未然に防止することができる。また、除湿用排水管45等が水槽3の振動系に悪影響を与えないことは勿論である。更に、熱交換器が乾燥ユニット26としてユニット化されていると共に、ダクト20,21等の風路の接続構造が水槽3の上部に集中しているので、組立性も良好となる。
【0039】
このように本実施形態によれば、水槽3内に乾燥風を循環供給する乾燥機能を備えたものにあって、ヒータユニット31及び水冷式除湿器32をユニット化して構成された乾燥ユニット26を、外箱2に固定的に取付けると共に、乾燥ユニット26と水槽3とをつなぐ排気ダクト21及び給気ダクト20を、共に水槽3の上部に接続するように構成したので、水槽3の異常振動の発生等を抑制することができ、動や騒音を低減することができるという優れた効果を得ることができる。
【0040】
尚、上記した実施形態では、熱交換器を構成する除湿手段として、水冷式除湿器32を採用するようにしたが、それ以外にも、ヒートポンプ(冷凍サイクル)方式の除湿装置や、送風によって熱交換器を冷却する空冷除湿装置、ペルチェユニットによって熱交換器を冷却するペルチェ冷却除湿装置等を採用するようにしても良い。また、熱交換器をトップカバーに取付けるようにしても良い。つまり、洗濯機の「外箱」とは、洗濯機の外殻(筐体)を構成するものであり、実施形態の外箱2そのものだけでなく、トップカバー22も含まれる概念である。その他、洗濯機全体やヒータユニットの詳細な構造としても種々の変形が可能である等、上記した実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0041】
図面中、1は洗濯機、2は外箱、3は水槽、4は弾性吊持機構、5は回転槽、8は撹拌体、12は排水弁、13は排水管(排水路)、14は水槽カバー、17,18は接続口、20は給気ダクト、21は排気ダクト、24は制御装置、26は乾燥ユニット(熱交換器)、31はヒータユニット、32は水冷式除湿器、33は送風ファン、34はヒータケース、35はヒータ、38は除湿ケース、40は第1風路、41は第2風路、43は注水口、44は除湿用排水口、45は除湿用排水管(除湿用排水路)を示す。
図1
図2
図3
図4