特許第6239962号(P6239962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6239962
(24)【登録日】2017年11月10日
(45)【発行日】2017年11月29日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20171120BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20171120BHJP
【FI】
   A61F13/49 315A
   A61F13/15 355A
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-258164(P2013-258164)
(22)【出願日】2013年12月13日
(65)【公開番号】特開2015-112403(P2015-112403A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(72)【発明者】
【氏名】福田 優子
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−000564(JP,A)
【文献】 特開2001−333932(JP,A)
【文献】 特開平03−251245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
A61L15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向及びそれに直交する幅方向を有し、
長手方向の中央域に、着用時に着用者の股下に位置する股下部を備えるとともに、該股下部の長手方向の前後に位置し、かつ着用時に着用者の腹側及び背側にそれぞれ位置する腹側部及び背側部を備え、
股下部における幅方向の各側部に位置する第1側部域及び第2側部域が、複数枚のシートの積層構造から構成されており、
第1及び第2側部域における各側縁から幅方向の内方に距離を隔てた位置に、該側縁に沿って延びる第1及び第2レッグ部弾性部材が、複数枚の前記シートの間に位置しており、
第1レッグ部弾性部材と第2レッグ部弾性部材とは、それらの間の距離が、股下部の長手方向略中央域において最も狭く、かつ該長手方向略中央域から腹側部及び背側部に向かうに連れて漸次広くなっており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、1.25g/m以下の接着剤で接合されており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、これらの弾性部材に隣接する位置において、これらの弾性部材の延びる方向に沿って断続的に融着して接合されており、
第1及び第2レッグ部弾性部材が、股下部の長手方向略中央域において、幅方向内方に向けて延びて連結して、股下部横断腹側レッグ部弾性部材及び股下部横断背側レッグ部弾性部材を構成しており、
股下部の長手方向略中央域において股下部横断腹側レッグ部弾性部材及び股下部横断背側レッグ部弾性部材の延びる方向が、幅方向内方に向けて変化する位置及びその近傍の位置において、これらの弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、股下部横断腹側レッグ部弾性部材に隣接し、かつ該弾性部材に対して腹側部側の位置か、又は股下部横断背側レッグ部弾性部材に隣接し、かつ該弾性部材に対して背側部側の位置で融着して接合されている、使い捨ておむつ。
【請求項2】
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、1.25g/m以下の接着剤で接合されており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、これらの側部域における側縁と、第1及び第2レッグ部弾性部材との間の位置において融着して接合されている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
第1及び第2側部域に複数本の第1及び第2レッグ部弾性部材が位置しており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、複数の第1レッグ部弾性部材の間の位置において、及び複数の第2レッグ部弾性部材の間の位置において、融着して接合されている請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートを貫通する開孔が、該シートどうしの融着によって形成されている請求項1ないしのいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつのレッグ開口部におけるフィット性を高める目的で、おむつ股下部における左右の側部域に、該側部域の側縁に沿ってレッグ部弾性部材が配されていることがある。レッグ部弾性部材は一般に、これを挟む2枚のシートへ、ホットメルト粘着剤などの接着剤によって固定される。レッグ部弾性部材は、レッグ開口部のフィット性を高めるために非直線的、あるいは曲線的に配されることが多い。レッグ部弾性部材を非直線的、あるいは曲線的に配する場合には、直線的に配する場合に比べて収縮の応力が大きく作用するので、接着剤を多量に施して、これを挟むシートとの接合力を高める必要がある。レッグ部弾性部材を挟むシートは、一般に通気性の高いシートである不織布からなるところ、該不織布に多量の接着剤を施すと、該不織布が本来的に有している通気性が損なわれることがある。また接着剤を施した部位が硬くなり、風合いを低下させることもある。したがって接着剤の使用はできるだけ少なくすることが望まれる。しかしレッグ部弾性部材を、特に非直線状に配した場合には、該弾性部材自体に、あるいは該弾性部材を配置した部位にのみ接着剤を塗工することが製造技術上困難である。
【0003】
レッグ部弾性部材の固定方法に関する従来の技術として、例えば特許文献1には、レッグ開口部の周縁部において、使い捨ておむつの外面を形成するシート材を該おむつの内面側に折り返し、その折り返しによって折り返し部を形成し、該折り返し部の先端縁の内外に跨るようにカバー部材を積層することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、レッグ部弾性部材をその両端部においてのみ固定して、両端部間では該弾性部材を挟むシートと非接合状態にすることが記載されている。特許文献3には、レッグ部弾性部材を、これを挟むシートと接着剤で接合するときに、接着剤の塗布領域を少なくとも3つのブロック状領域に区分することで、接着剤の使用量を低減させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−167426号公報
【特許文献2】特開2005−080859号公報
【特許文献3】特開2009−189621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術によれば、レッグ部弾性部材を曲線状に配した場合であっても、該弾性部材がシートから剥離したり移動したりすることが防止される。しかし側部域の厚みが大きくなり、通気性や風合いが損なわれやすい。また製造工程が煩雑になりやすい。特許文献2に記載の技術によれば、接着剤の使用量を極限まで減らすことが可能であるが、レッグ部弾性部材を直線状にしか配することができない。特許文献3に記載の技術では、製造工程の振れに起因して隣り合うブロックどうしが重なるように接着剤が塗布された場合は、その重なった領域における接着剤の塗布量が多くなり、却って通気性や風合いが損なわれることがある。隣り合うブロックどうしが重ならないように接着剤を塗布することは製造技術上容易でなく、製造工程が煩雑になりやすい。
【0007】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、長手方向及びそれに直交する幅方向を有し、
長手方向の中央域に、着用時に着用者の股下に位置する股下部を備えるとともに、該股下部の長手方向の前後に位置し、かつ着用時に着用者の腹側及び背側にそれぞれ位置する腹側部及び背側部を備え、
股下部における幅方向の各側部に位置する第1側部域及び第2側部域が、複数枚のシートの積層構造から構成されており、
第1及び第2側部域における各側縁から幅方向の内方に距離を隔てた位置に、該側縁に沿って延びる第1及び第2レッグ部弾性部材が、複数枚の前記シートの間に位置しており、
第1レッグ部弾性部材と第2レッグ部弾性部材とは、それらの間の距離が、股下部の長手方向略中央域において最も狭く、かつ該長手方向略中央域から腹側部及び背側部に向かうに連れて漸次広くなっており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、1.25g/m以下の接着剤で接合されており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、これらの弾性部材に隣接する位置において、これらの弾性部材の延びる方向に沿って断続的に融着して接合されている、使い捨ておむつを提供するものである。
【0009】
また本発明は、長手方向及びそれに直交する幅方向を有し、
長手方向の中央域に、着用時に着用者の股下に位置する股下部を備えるとともに、該股下部の長手方向の前後に位置し、かつ着用時に着用者の腹側及び背側にそれぞれ位置する腹側部及び背側部を備え、
股下部における幅方向の各側部に位置する第1側部域及び第2側部域が、複数枚のシートの積層構造から構成されており、
第1及び第2側部域における各側縁から幅方向の内方に距離を隔てた位置に、該側縁に沿って延びる第1及び第2レッグ部弾性部材が、複数枚の前記シートの間に位置しており、
第1レッグ部弾性部材と第2レッグ部弾性部材とは、それらの間の距離が、股下部の長手方向略中央域において最も狭く、かつ該長手方向略中央域から背側部及び腹側部に向かうに連れて漸次広くなっており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、1.25g/m以下の接着剤で接合されており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、これらの弾性部材の延びる方向に沿って、これらの弾性部材とともに断続的に融着して接合されている、使い捨ておむつを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レッグ部弾性部材を固定するための接着剤の量を低減させて、側部域の通気性や風合いを高めても、該弾性部材の剥離や移動が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の使い捨ておむつの一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すおむつの展開かつ伸長状態を模式的に示す平面図である。
図3図3(a)は、図1に示すおむつの股下部での側部域の要部を拡大して示す模式図であり、図3(b)は、図3(a)におけるb−b線断面図である。
図4図4(a)は、図1に示すおむつの別の実施形態における股下部での側部域の要部を拡大して示す模式図(図3(a)相当図)であり、図4(b)は、図4(a)におけるb−b線断面図(図3(b)相当図)である。
図5図5(a)及び(b)はそれぞれ、図1に示すおむつの別の実施形態における股下部での側部域の要部を拡大して示す模式図(図3(a)相当図)である。
図6図6は、図1に示すおむつの別の実施形態における外装体を示す平面図である。
図7図7は、図1に示すおむつの更に別の実施形態における外装体を示す平面図(図6相当図)である。
図8図8は、図1に示すおむつのまた更に別の実施形態における外装体を示す平面図(図6相当図)である。
図9図9(a)は、図1に示すおむつの更に別の実施形態における股下部での側部域の要部を拡大して示す模式図(図3(a)相当図)であり、図9(b)は、図9(a)におけるb−b線断面図(図3(b)相当図)である。
図10図10は、本発明の使い捨ておむつの別の実施形態としての展開型使い捨ておむつを、表面シート側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明の使い捨ておむつの一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1は、図1及び図2に示すように、吸収性本体2と、おむつ1の外面を形成する外装体3とを備え、前身頃F(腹側部1A)における外装体3の長手方向Xに沿う左右両側縁部A1,A1と後身頃R(背側部1B)における外装体3の長手方向Xに沿う左右両側縁部B1,B1とが接合されて一対のサイドシール部4,4、ウエスト開口部8及び一対のレッグ開口部9,9が形成されているパンツ型使い捨ておむつである。外装体3は、吸収性本体2の非肌当接面側に位置して該吸収性本体2を固定している。
【0013】
おむつ1は、図2に示す如き展開かつ伸長状態の平面視において、着用者の前後方向に相当する長手方向Xとこれに直交する幅方向Yとを有している。おむつ1は、おむつ1の長手方向Xの中央域に位置し、かつ着用時に着用者の股下に位置する股下部1C、並びにその長手方向Xの前後に位置する腹側部1A及び背側部1Bに区分することができる。腹側部1Aは、おむつ1の着用時に着用者の腹側に位置するものであり、おむつ1の長手方向Xの一方の側に配置されている。背側部1Bは、おむつ1の着用時に着用者の背側に位置するものであり、長手方向Xの他方の側に配置されている。
【0014】
外装体3は、腹側部1Aから股下部1Cを経て、背側部に至るまでの連続した単一のシートを含んで構成される。この単一のシートは、後述する外層シート31及び内層シート32である。股下部1Cにおける外装体3は、その長手方向Xに沿う左右両側縁部にレッグ開口部9,9形成用の凹欠部が形成されている。また、おむつ1は、図2に示すように、おむつ1を長手方向Xに前後に二等分する幅方向中心線CLを境にして、前身頃Fと後身頃Rとに区分することができる。
【0015】
本明細書において、肌当接面は、おむつ1又はその構成部材(例えば吸収性本体)における、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、おむつ1又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。おむつ1において、長手方向Xは、おむつ1又はその構成部材である吸収性本体2の長辺に沿う方向(長手方向)に一致し、幅方向Yは、おむつ1又はその構成部材である吸収性本体2の幅方向に一致する。
【0016】
吸収性本体2は、図2に示すように、一方向(長手方向X)が相対的に長い縦長の形状を有しており、肌当接面を形成する表面シート2aと、非肌当接面を形成する裏面シート2bと、これら両シート間に介在配置された液保持性の吸収体2cとを具備する。吸収体2cは、長手方向Xと同方向に長い形状を有している。吸収性本体2は、その長手方向を、展開かつ伸長状態におけるおむつ1の長手方向Xに一致させて、外装体3の中央部に公知の接合手段(接着剤等)により接合されている。ここで、展開かつ伸長状態とは、サイドシール部を引き剥がして、おむつを展開状態とし、その展開状態のおむつを、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで広げた状態をいう。
【0017】
外装体3は、図2に示すように、おむつ1の外面(外装体3の非肌当接面)を形成する外層シート31と、該外層シート31の内面側に配され、おむつ1の内面(外装体3の肌当接面)を形成する内層シート32とを有している。両シート31,32の間には、接着剤により固定された複数本の糸状又は帯状のウエスト部弾性部材5が伸長状態で配置されている。ウエスト部弾性部材5は、幅方向Yに延びている。ウエスト部弾性部材5は、腹側部1A及び背側部1Bにおける長手方向Xの端部域に配されている。それによって腹側部1A及び背側部1Bの端部域は、幅方向Yに沿って伸縮可能になり、ウエストギャザーが形成される。
【0018】
外装体3の長手方向Xの中央域、すなわち股下部1Cにおける幅方向Yの左右の側部に位置する第1側部域S1及び第2側部域S2は、該外装体3を構成する2枚のシートである外層シートシート31及び内層シート32から構成されている。各側部域S1,S2は、股下部1Cにおいて長手方向Yに延びる第1側縁T1及び第2側縁T2を含んでいる。また各側部域S1,S2は、各側縁T1,T2と、吸収性本体2において長手方向に延びる左右の側縁との間に位置している。
【0019】
第1側部域S1には、外層シート31及び内層シート32に挟まれ、かつ接着剤によってこれらのシートに固定された複数本の糸状又は帯状の第1レッグ部弾性部材71が伸長状態で配置されている。同様に、第2側部域S2には、外層シート31及び内層シート32に挟まれ、かつ接着剤によってこれらのシートに固定された複数本の糸状又は帯状の第2レッグ部弾性部材72が伸長状態で配置されている。接着剤は、各側部域S1,S2において、各側縁T1,T2から、各弾性部材71,72が存在している部位までの領域に施されている。この領域において接着剤は、外層シート31と内層シート32との対向面の全域に施されている。接着剤は、対向面の全域においてΩ字状やスパイラル状やストライプ状に間欠的に施されていることが、各側部域S1,S2の通気性や風合いの向上の点から好ましい。ここで、接着剤の塗工量は、1.25g/m以下であることが好ましい。「1.25g/m以下」とは、0g/mの場合も含むことを意味する。すなわち接着剤の塗工量は、0g/m以上1.25g/m以下であることが好ましく、0g/m以上1.00g/m以下であることがより好ましく、0g/m以上0.75g/m以下であることが更に好ましい。通気性や肌触り等の観点から0g/mであることが特に好ましい。
【0020】
各レッグ部弾性部材71,72は、各側縁T1,T2の曲線形状に沿って延びている。各レッグ部弾性部材71,72は、股下部1Cの長手方向略中央域から、股下部1Cと腹側部1Aとの境界部近傍にまでわたって配置されている。また各レッグ部弾性部材71,72は、股下部1Cの長手方向略中央域から、股下部1Cと背側部1Bとの境界部近傍にまでわたって配置されている。
第1レッグ部弾性部材71と第2レッグ部弾性部材72とは、幅方向Yに沿って見たとき、それらの間の距離が、股下部1Cの長手方向略中央域において最も狭くなっている。かつ、それらの間の距離は、股下部1Cの長手方向略中央域から腹側部1A及び背側部1Bに向かうに連れて漸次広くなっている。つまり、第1レッグ部弾性部材71と第2レッグ部弾性部材72とは非平行に配置されている。各レッグ部弾性部材71,72を配置することで、おむつ1の股下部1Cにおける側部域S1,S2には、レッグギャザーが形成される。
【0021】
外装体3(外層シート31、内層シート32)は、樹脂材を含み、該樹脂材を主成分として形成されている。外装体3(外層シート31、内層シート32)の一例として、樹脂材としてポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱融着性の合成樹脂を含み、不織布、フィルム、不織布とフィルムとのラミネートシート等からなるものが挙げられる。不織布としては、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等が挙げられる。
【0022】
おむつ1は、その肌対向面側、すなわち吸収性本体2が配置されている側において、該吸収性本体2の長手方向Xの前後の端部域が被覆シート33によって被覆されている。被覆シート33は、外装体3を構成する外層シート31及び内層シート32のうち、外層シート31のみを内層シート32よりも長手方向に延出させ、延出した該外層シート31を吸収性本体2側に折り返して形成されている。折り返しによって形成されている被覆シート33の端縁は、吸収性本体2の端縁よりも長手方向Xの内方に位置している。
【0023】
おむつ1における一対のサイドシール部4,4は、図1及び図2に示すように、ウエスト開口部8とレッグ開口部9との間の全長にわたって連続して形成されている。サイドシール部4,4は、外装体3を構成する複数枚のシート(外層シート31、内層シート32)の縁部が重なった状態で、それらのシートの構成樹脂が溶融固化して形成されている。あるいは接着剤による接着で形成されている。
【0024】
図3(a)には、図1及び図2に示すおむつ1の第2側部域S2の要部拡大図が示されている。図3(b)は図3(a)におけるb−b線断面図である。なお図示していないが、第1側部域S1も第2側部域S2と同様の構造を有している。そして、第2側部域S2に関する以下の説明は、第1側部域S1についても同様に適用される。
【0025】
先に述べたとおり、第2側部域S2は複数枚のシートの積層構造から構成されている。また、第2側部域S2における側縁T2から幅方向Yの内方に距離を隔てた位置には、側縁T2に沿って長手方向Xに延びる第2弾性部材72が、複数枚の前記シートの間、具体的には外装シート31と内層シート32との間に配されている。そして、第2側縁T2と第2弾性部材72との間において、該弾性部材72を挟む2枚のシートである外層シート31と内層シート32とが融着して接合されている。この接合によって接合部57が形成されている。接合部57は、シートを構成する樹脂が溶融し固化することで形成された部位であり、非開孔状態になっている。
【0026】
接合部57は、第2側縁T2と第2レッグ部弾性部材72との間において、該弾性部材72に隣接した位置に、長手方向Xに沿って所定の間隔を置いて断続的に形成されている。第2側縁T2と第2レッグ部弾性部材72との間において、外層シート31と内層シート32とを接合部57において接合することで、おむつ1を着用するとき、あるいは着用状態において、第2レッグ部弾性部材72に収縮力が作用した場合であっても、該弾性部材72が、該側縁T2を越えておむつ1の外側にはみ出すことが、接合部57によって阻止されるという利点が生じる。第2レッグ部弾性部材71は、上述のとおり、一般にホットメルト粘着剤等の接着剤を用いて、それを挟持するシートに接合されているところ、該接着剤を利用して外層シート31と内層シート32も接合しようとすると、第2レッグ部弾性部材71が曲線状に配されていることに起因して、接着剤を高坪量で施す必要があることから、第2側部域S2での通気性が損なわれる傾向にある。また第2側部域S2の風合いが低下する傾向にある。これに対して融着によって外層シート31と内層シート32とを接合することで、第2レッグ部弾性部材72に収縮力が作用して、該弾性部材72が、第2側縁T2を越えておむつ1の外側にはみ出そうとしても、そのはみ出しが接合部57によって阻止される。したがって第2レッグ部弾性部材72の固定のために用いられる接着剤の使用量を低減させることが可能になる。例えば、上述したとおり、接着剤の使用量を1.25g/m以下に低減させることが可能になる。その結果、これまで接着剤を高坪量で施していたことに起因する上述の不都合が生じることを防止することができる。特に、融着による接合部57の形成を不連続にすることで、通気性の低下が一層効果的に防止されるとともに、風合いの低下も一層効果的に防止される。
【0027】
上述の有利な効果を一層顕著にする観点から、各接合部57の面積は、0.5mm以上、特に1mm以上とすることが好ましい。また、15mm以下、特に10mm以下とすることが好ましい。例えば各接合部57の面積は0.5mm以上15mm以下、特に1mm以上10mm以下にすることが好ましい。同様の観点から、長手方向Xに沿って隣り合う接合部57間の距離は、直線距離で表して1mm以上、特に3mm以上とすることが好ましい。また、150mm以下、特に100mm以下とすることが好ましい。例えば長手方向Xに沿って隣り合う接合部57間の距離は、直線距離で表して1mm以上150mm以下、特に3mm以上100mm以下にすることが好ましい。
【0028】
図3においては、各接合部57の形状及び大きさは同じになっている。しかし、各接合部57の形状及び/又は大きさを異ならせてもよい。形状に関しては、図3においては各接合部57は円形をしている。これ以外の形状としては、例えばデザイン上の観点から、十字形、ハート形、星形などを採用することができる。また三角形や四角形、六角形など形状を採用してもよい。
【0029】
図4ないし図10には、本発明の別の実施形態が示されている。これらの実施形態に関し特に説明しない点については、図1ないし図3に示す実施形態について詳述した説明が適宜適用される。また図4ないし図10において図1ないし図3と同じ部材には同じ符号を付してある。
【0030】
図4(a)及び(b)に示す実施形態は、図3(a)及び(b)に示す実施形態において、接合部57の形成位置を変更した例である。具体的には、第2側部域S2に複数本配されている弾性部材72,72の間において、該弾性部材72,72を挟む2枚のシートである外層シート31と内層シート32とが融着して接合されて、接合部57が形成されている。隣り合う第2弾性部材72,72間に接合部57を設けることの利点は次のとおりである。複数本の第2弾性部材72,72が、第2側縁T2に沿って湾曲形状で第2側部域S2に配されている場合、幅方向Yの内方に位置するものほど湾曲の曲率が高くなる。つまり、第2側部域S2を伸長させたときにより大きな収縮力が作用する。その大きな収縮力に起因して、幅方向Yの内方に位置する第2弾性部材72が、これを固定している外層シート31及び内層シート32から剥離して、それよりも幅方向Yの外方側に位置する別の第2弾性部材72に近接し、2本の第2弾性部材72,72が見かけ上1本の状態となり、伸長応力が見かけ上高くなる。その結果、着用者の脚にレッグギャザーの締め付け跡がつきやすくなるという不都合が生じることがある。これに対して、隣り合う第2弾性部材72,72の間に接合部57を形成することで、幅方向Yの内方に位置する第2弾性部材72が外層シート31及び内層シート32から剥離したとしても、第2弾性部材72が、それよりも幅方向Yの外方側に位置する別の第2弾性部材72に近接することが接合部57によって阻止される。その結果、着用者の脚にレッグギャザーの締め付け跡がつきにくくなる。しかも、多量の接着剤を用いて第2弾性部材71を外層シート31と内層シート32との間に接合固定する必要がないので、第2側部域S2の通気性や風合いが損なわれにくい。
【0031】
図3及び図4に示す実施形態では、第2側縁S2と第2弾性部材72との間や、隣り合う2本の第2弾性部材72,72の間に接合部57を形成したが、これに代えて、図5(a)及び(b)に示すように、開孔58を形成してもよい。詳細には、図5(a)に示すとおり、第2側縁S2と第2弾性部材72との間において、複数枚のシートを貫通する開孔58を、該シートどうしの融着によって形成することができる。あるいは、図5(b)に示すとおり、複数の第2弾性部材72,72の間において、複数枚のシートを貫通する開孔58を、該シートどうしの融着によって形成することができる。開孔58は、第2側部域S2を構成するシート、具体的には外層シート31及び内層シート32に熱を付与して、これらのシートを融着させるとともに、その融着を利用してシート間に穿孔を行うことで形成される。接合部57に代えて開孔58を形成すると、第2側部域S2が長手方向Xに沿って伸長したときに、伸長に起因するシートの歪みを開孔58が吸収するので、容易に伸長を行うことができるという利点がある。また、その利点に起因して、着用者の脚にレッグギャザーの跡が一層つきにくくなり、またレッグ開口部に脚を挿入するときに脚が引っ掛かりにくくなるという利点も生じる。その上、第2側部域S2の通気性が向上し、また外観の印象も良好になる。
【0032】
図6に示す実施形態では、これまでの実施形態と異なり、第1及び第2レッグ部弾性部材71,72が、複数の直線部を組み合わせたパターンで配置されている。そして、直線部の方向が変化する位置、すなわち屈曲位置において、側縁T1,T2と、弾性部材71.72との間に接合部57が形成されている。弾性部材71,72の屈曲位置には、該弾性部材71,72の収縮力が特に強く作用するので、該屈曲位置に隣接して接合部57を形成することで、該弾性部材71,72と外層シート31及び内層シート32との接合が補強され、該弾性部材71,72が外層シート31及び/又は内層シート32から剥離しづらくなる。
【0033】
図7に示す実施形態では、第1レッグ部弾性部材71及び第2レッグ部弾性部材72が、股下部1Cの長手方向Xの略中央域において、幅方向Yの内方に向けて延びている。そして両弾性部材71,72は、股下部1Cの長手方向Xの略中央域において連結しており、それによって股下部横断腹側レッグ部弾性部材73及び股下部横断背側レッグ部弾性部材74を構成している。股下部横断腹側レッグ部弾性部材73は、第1側部域S1における股下部1Cと腹側部1Aとの境界部近傍に一端73aを有し、第1側部域S1の側縁T1に沿って延び、股下部1Cの長手方向Xの略中央域においてその延びる方向が変化して幅方向Yに沿って延びて、第2側部域S2に達する。その後、延びる方向が再び変化し、第2側部域S2の側縁T2に沿って、第2側部域S2における股下部1Cと腹側部1Aとの境界部近傍に達し、その位置に他端73bを有する。一方、股下部横断背側レッグ部弾性部材74は、第1側部域S1における股下部1Cと背側部1Bとの境界部近傍に一端74aを有し、第1側部域S1の側縁T1に沿って延び、股下部1Cの長手方向Xの略中央域においてその延びる方向が変化して幅方向Yに沿って延びて、第2側部域S2に達する。その後、延びる方向が再び変化し、第2側部域S2の側縁T2に沿って、第2側部域S2における股下部1Cと背側部1Bとの境界部近傍に達し、その位置に他端74bを有する。股下部横断腹側レッグ部弾性部材73と股下部横断背側レッグ部弾性部材74とは、股下部1Cの長手方向Xの略中央域において重なっていない。
【0034】
股下部1Cの長手方向Xの略中央域においては、股下部横断腹側レッグ部弾性部材73及び股下部横断背側レッグ部弾性部材74を挟むシートである外層シート31と内層シート32とが融着して接合されて接合部57が形成されている。接合部57が形成されている位置は、これらの弾性部材73,74の延びる方向が、幅方向Yの内方に向けて変化する位置及びその近傍の位置であり、それらの位置は、第1及び第2側部域S1,S2を含んでいる。接合部57の形成位置は、股下部横断腹側レッグ部弾性部材73に関しては、該弾性部材73に隣接し、かつ該弾性部材73に対して腹側部1A側の位置である。一方、股下部横断背側レッグ部弾性部材74に関しては、該弾性部材74に隣接し、かつ該弾性部材74に対して背側部1B側の位置である。弾性部材73,74の延びる方向が、幅方向Yの内方に向けて変化する位置及びその近傍の位置においては、これらの弾性部材73,74の収縮力が、該弾性部材73,74の他の部位に比べて一層大きく作用するので、該弾性部材73,74が外層シート31及び/又は内層シート32から剥離しやすいところ、当該位置に接合部57を形成することで補強が行われ、該弾性部材73,74が外層シート31及び/又は内層シート32から剥離することを効果的に防止できる。
【0035】
図8に示す実施形態は、図7に示す実施形態と同様に、レッグ部弾性部材が、股下部横断腹側レッグ部弾性部材73及び股下部横断背側レッグ部弾性部材74からなるものである。本実施形態が図7に示す実施形態と相違する点は、これらの弾性部材73,74が、股下部1Cの長手方向Xの略中央域を幅方向Yに沿って横断するときに、該弾性部材73,74の横断部位が交差している点である。これ以外は、本実施形態は図7に示す実施形態と同様である。したがって、本実施形態において接合部57が形成されている位置も、図7に示す実施形態と同様である。
【0036】
図9に示す実施形態では、第2側部域S2における第2側縁T2から幅方向Yの内方に距離を隔てた位置に複数本配された第2弾性部材72のうちの少なくとも1本について、該弾性部材72を挟む2枚のシートである外層シート31及び内層シート32が、該弾性部材72とともに融着して接合されている。第2弾性部材72は、外層シート31及び内層シート32に対してホットメルト粘着剤等の接着剤によって接合されているところ、この接合に加えて、融着によって両シート31,32と第2弾性部材72とが接合されていることで、該弾性部材72に大きな収縮力が作用したときでも、該弾性部材72が外層シート31及び内層シート32から剥離しづらくなる。
【0037】
本実施形態においては、おむつ1の幅方向Yに間隔を置いて複数本配された第2弾性部材72のうち、幅方向Yの最も外方に位置する第2弾性部材72に対して、両シート31,32との融着を行っている。これに代えて又はこれに加えて、幅方向Yの最も外方に位置する第2弾性部材72以外の第2弾性部材72に対しても同様の融着を行うことができる。
【0038】
これまで説明してきたおむつ1は、本発明をパンツ型使い捨ておむつに適用した実施形態に関するものであったが、本発明は、パンツ型使い捨ておむつ以外の使い捨ておむつにも同様に適用できる。例えば図10に示すとおり、展開型の使い捨ておむつ1Aにおける長手方向Xの中央域に位置する股下部1Cにおいて、第1側部域S1及び第2側部域S2における各側縁T1,T2から幅方向Yの内方に距離を隔てた位置に、該側縁T1,T2に沿って延びる複数の第1及び第2レッグ部弾性部材71,72を配置することができる。そして、第1及び第2側部域S1,S2において、第1及び第2レッグ部弾性部材71,72を挟む2枚シートどうしを、側縁T1,T2と第1及び第2レッグ部弾性部材71,72との間の位置において断続的に融着して接合部57を形成することができる。
【0039】
図10に示すおむつ1Aは、長手方向の中央域に股下部1Cを備えるとともに、該股下部1Cの長手方向の前後に位置する腹側部1A及び背側部1Bをそれぞれ備える。背側部1Bにおける左右両側部には、ファスニングテープFが取り付けられている。ファスニングテープFは、裏面シート2bにおける腹側部の外面に取り付けられたランディング部材(図示せず)に係止されるようになっている。おむつ1は、吸収体2cを有している。吸収体2cは、表面シート2aと裏面シート2bとの間に配置されている。裏面シート2bは、おむつ1Aの非肌対向面をなしている。一方、おむつ1の肌対向面は、表面シート2c及び該表面シート2aの左右両側部に配置された側部シート2d,2dによって構成されている。各側部シート2dは、その一方の側縁が、表面シート2aの側縁と、長手方向Xにわたって接合されている。したがって、おむつ1Aの第1及び第2側部域S1,S2は、側部シート2dと裏面シート2bとの2枚のシートの積層構造になっている。
【0040】
各側部域S1,S2においては、各側縁T1,T2から幅方向Yの内方に距離を隔てた位置に、長手方向Xに延びる複数の第1及び第2レッグ部弾性部材71,72が、側部シート2dと裏面シート2bとの間に伸長状態で配されている。また、各側部シート2dには、長手方向Xに沿う左右の側部のうち、幅方向Yの内方寄りの側部に、長手方向Xに沿って伸長状態で配された防漏カフ弾性部材7’が固定されている。
【0041】
なお、図10には示していないが、同図に示す実施形態の展開型使い捨ておむつ1Aにおいては、これまで説明してきた図1ないし図9に示す実施形態を適宜適用することができる。
【0042】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態のパンツ型使い捨ておむつ1は、外装体3を構成する外層シート31及び内層シート32が、腹側部1Aから背側部1Bにわたる単一のシートから構成されていたが、これに代えて、外装体3を、腹側部1Aを構成するシートである腹側部用外装体と、背側部1Bを構成するシートである背側部用外装体と、股下部1Cを構成するシートである股下部用外装体との3部材から構成し、これらを互いに接合して形成された接合体を外装体として用いてもよい。
【0043】
また前記の各実施形態では、おむつ1の前身頃F及び後身頃Rの双方の股下部Cの側部域S1,S2において、第1及び第2レッグ部弾性部材71,72を挟む2枚のシート31,32どうしが、これらの弾性部材71,72に隣接する位置において、これらの弾性部材71,72の延びる方向に沿って断続的に融着して接合されていたが、これに代えて、2枚のシート31,32どうしが断続的に融着して接合されている部位は、おむつ1の前身頃Fのみでもよく、あるいは後身頃Rのみでもよい。
【0044】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の使い捨ておむつを開示する。
<1>
長手方向及びそれに直交する幅方向を有し、
長手方向の中央域に、着用時に着用者の股下に位置する股下部を備えるとともに、該股下部の長手方向の前後に位置し、かつ着用時に着用者の腹側及び背側にそれぞれ位置する腹側部及び背側部を備え、
股下部における幅方向の各側部に位置する第1側部域及び第2側部域が、複数枚のシートの積層構造から構成されており、
第1及び第2側部域における各側縁から幅方向の内方に距離を隔てた位置に、該側縁に沿って延びる第1及び第2レッグ部弾性部材が、複数枚の前記シートの間に位置しており、
第1レッグ部弾性部材と第2レッグ部弾性部材とは、それらの間の距離が、股下部の長手方向略中央域において最も狭く、かつ該長手方向略中央域から腹側部及び背側部に向かうに連れて漸次広くなっており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、1.25g/m以下の接着剤で接合されており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、これらの弾性部材に隣接する位置において、これらの弾性部材の延びる方向に沿って断続的に融着して接合されている、使い捨ておむつ。
【0045】
<2>
おむつの前身頃及び後身頃の双方の股下部の各側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、1.25g/m以下の接着剤で接合されており、
おむつの前身頃及び後身頃の双方の股下部の各側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、これらのレッグ部弾性部材に隣接する位置において、これらのレッグ弾性部材の延びる方向に沿って断続的に融着して接合されているか、又はおむつの前身頃のみで、若しくはおむつの後身頃のみで、2枚の前記シートどうしが断続的に融着して接合されている前記<1>に記載の使い捨ておむつ。
<3>
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、1.25g/m以下の接着剤で接合されており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、これらの側部域における側縁と、第1及び第2レッグ部弾性部材との間の位置において融着して接合されている前記<1>又は<2>に記載の使い捨ておむつ。
<4>
第1及び第2側部域に複数本の第1及び第2レッグ部弾性部材が位置しており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、複数の第1レッグ部弾性部材の間の位置において、及び複数の第2レッグ部弾性部材の間の位置において、融着して接合されている前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<5>
2枚の前記シートどうしが接合されて形成された各接合部の面積を、0.5mm以上、特に1mm以上とすることが好ましく、また15mm以下、特に10mm以下とすることが好ましい前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<6>
2枚の前記シートどうしが接合されて接合部が形成されており、
長手方向に沿って隣り合う接合部間の距離は、直線距離で表して1mm以上、特に3mm以上とすることが好ましく、また150mm以下、特に100mm以下とすることが好ましい前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
【0046】
<7>
第1及び第2レッグ部弾性部材が、股下部の長手方向略中央域において、幅方向内方に向けて延びて連結して、股下部横断腹側レッグ部弾性部材及び股下部横断背側レッグ部弾性部材を構成しており、
股下部の長手方向略中央域において股下部横断腹側レッグ部弾性部材及び股下部横断背側レッグ部弾性部材の延びる方向が、幅方向内方に向けて変化する位置及びその近傍の位置において、これらの弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが融着して接合されており、
2枚の前記シートどうしが融着される位置は、股下部横断腹側レッグ部弾性部材に隣接し、かつ該弾性部材に対して腹側部側の位置であるか、又は股下部横断背側レッグ部弾性部材に隣接し、かつ該弾性部材に対して背側部側の位置である前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<8>
股下部横断腹側レッグ部弾性部材と股下部横断背側レッグ部弾性部材とは、股下部の長手方向の略中央域において重なっていない前記<7>に記載の使い捨ておむつ。
<9>
股下部横断腹側レッグ部弾性部材と股下部横断背側レッグ部弾性部材とが、股下部の長手方向の略中央域を幅方向に沿って横断するときに、該股下部横断腹側レッグ部弾性部材及び該股下部横断背側レッグ部弾性部材の横断部位が交差している前記<7>に記載の使い捨ておむつ。
<10>
第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートを貫通する開孔が、該シートどうしの融着によって形成されている前記<1>ないし<9>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<11>
長手方向及びそれに直交する幅方向を有し、
長手方向の中央域に、着用時に着用者の股下に位置する股下部を備えるとともに、該股下部の長手方向の前後に位置し、かつ着用時に着用者の腹側及び背側にそれぞれ位置する腹側部及び背側部を備え、
股下部における幅方向の各側部に位置する第1側部域及び第2側部域が、複数枚のシートの積層構造から構成されており、
第1及び第2側部域における各側縁から幅方向の内方に距離を隔てた位置に、該側縁に沿って延びる第1及び第2レッグ部弾性部材が、複数枚の前記シートの間に位置しており、
第1レッグ部弾性部材と第2レッグ部弾性部材とは、それらの間の距離が、股下部の長手方向略中央域において最も狭く、かつ該長手方向略中央域から背側部及び腹側部に向かうに連れて漸次広くなっており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、1.25g/m以下の接着剤で接合されており、
第1及び第2側部域において、第1及び第2レッグ部弾性部材を挟む2枚の前記シートどうしが、これらの弾性部材の延びる方向に沿って、これらの弾性部材とともに断続的に融着して接合されている、使い捨ておむつ。
【0047】
<12>
幅方向の最も外方に位置する前記レッグ部弾性部材に対して、2枚の前記シートとの融着を行っている前記<11>に記載の使い捨ておむつ。
<13>
2枚の前記シートどうしが、前記レッグ部弾性部材とともに接合されて接合部が形成されており、
各接合部の形状及び大きさが同じになっている前記<11>又は<12>に記載の使い捨ておむつ。
<14>
第1及び第2レッグ部弾性部材が、複数の直線部を組み合わせたパターンで配置されている前記<1>ないし<13>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<15>
使い捨ておむつがパンツ型使い捨ておむつである前記<1>ないし<14>のいずれか1に記載の使い捨ておむつ。
<16>
前記接着剤の塗工量が、0g/m以上1.25g/m以下であり、特に0g/m以上1.00g/m以下であり、とりわけ0g/m以上0.75g/m以下であることが好ましい前記<1>ないし<15>いずれか1に記載の使い捨ておむつ。
【符号の説明】
【0048】
1 パンツ型使い捨ておむつ
1A 展開型使い捨ておむつ
1A 腹側部
1B 背側部
S1 第1側部域
S2 第2側部域
T1 第1側縁
T2 第2側縁
F 前身頃
R 後身頃
2 吸収性本体
3 外装体
31 外層シート
32 内層シート
33 被覆シート
4 サイドシール部
5 ウエスト部弾性部材
6 胴周り部弾性部材
71 第1レッグ部弾性部材
72 第2レッグ部弾性部材
57 接合部
58 開孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10