(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凹凸領域は、凸部が畝部で凹部が溝部であり、複数本の畝部と該畝部間に位置する溝部を備えて畝部と溝部が幅方向に交互に備えた畝溝構造を有する、請求項1に記載の吸収性物品。
前記上側コアラップシートは、前記畝溝構造における畝部と溝部をそれぞれ複数本有し、前記畝部の合計数が4本以上50本以下であり、前記畝部の高さが0.5mm以上5.0mm以下である、請求項2に記載の吸収性物品。
前記上側固定部及び前記下側固定部は、何れも接着剤を介して固定されており、該接着剤は長手方向にパターン塗工されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の吸収性物品。
前記肌側シートは、その全体又は一部が、吸収性物品の肌対向面を形成する液透過性の表面シートと前記吸収体との間に配されたサブレイヤーシートである、請求項1〜7の何れか1項に記載の吸収性物品。
前記吸収性コアは、前記吸収体における、前記上側固定部を挟んでその両側に位置する領域のそれぞれに、吸収性コアの形成材料の坪量が他の部分に比して少ない長手方向に延びる低坪量部を有する、請求項1〜8の何れか1項に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の第1実施形態である使い捨ておむつ1(以下、単におむつ1ともいう)は、
図1及び
図2に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2と、非肌対向面を形成する液不透過性ないし撥水性(以下、これらを総称して液不透過性という)の裏面シート3と、及び両シート2,3間に配置された吸収体4を具備する。第1実施形態のおむつ1においては、表面シート2が、吸収体4の肌対向面側に配された「肌側シート」であり、裏面シート3が、吸収体4の非肌対向面に配された「非肌側シート」である。
【0010】
おむつ1は、着用者の前後方向に対応する方向、より詳しくは着用時における着用者の前後方向と一致する方向である長手方向Xと、おむつ1を、
図1に示すように平面状に広げた状態において、前記長手方向Xと交差する幅方向Yとを有している。
おむつ1における吸収体4は、おむつ1の長手方向Xと同方向に長い形状を有している。そのため、以下においては、吸収体4の長手方向にも、おむつ1の長手方向の符号と同一の符号「X」を付して説明する。
表面シート2及び裏面シート3は、
図1及び
図2に示すように、おむつの長手方向Xにおいて、吸収体4よりも大きな寸法を有し、吸収体4の周縁から外方に延出している。表面シート2は、おむつの幅方向Yの寸法が、裏面シート3の幅方向Yの寸法よりも小さい。
【0011】
おむつ1は、
図1に示すように、その長手方向Xに、着用時に着用者の腹側に配される腹側部A、着用時に着用者の背側に配される背側部B、及び、着用時に着用者の股間に配される股下部Cを有している。おむつ1は、
図1に示すように、展開型の使い捨ておむつであり、背側部Bの両側縁部に、ファスニングテープ5,5が設けられ、腹側部Aの外表面にファスニングテープ5,5を止着するランディングゾーン51が設けられている。また、おむつ1は、股下部Cの両側縁が内向きの円弧状に湾曲しており、平面視において、長手方向Xの中央部が括れた形状を有している。
【0012】
本明細書において長手方向は、特に明記しない限り、吸収性物品(使い捨ておむつ)又は吸収体の長手方向である。また、肌対向面は、吸収性物品(使い捨ておむつ)又はその構成部材における、吸収性物品(使い捨ておむつ)の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品(使い捨ておむつ)又はその構成部材における、吸収性物品(使い捨ておむつ)の着用時に肌側とは反対側(通常、衣類側)に向けられる面である。
【0013】
図1に示すように、おむつ1の股下部Cの両側部には、レッグ部弾性部材9が伸長状態で配されている。レッグ部弾性部材9は、おむつ1の長手方向両側にそれぞれ1本又は複数本配されている。レッグ部弾性部材9は、裏面シート3と立体ギャザー6,6形成用のシート材62との間に接着剤を介して固定されている。レッグ部弾性部材9は、収縮して、着用者の脚廻りに配されるレッグ部にレッグギャザーを形成する。また、おむつ1における長手方向の両側には、弾性部材61を有する立体ギャザー形成用のシート材62が配されており、おむつの着用時には、弾性部材61の収縮により、着用者の肌に向かって起立する立体ギャザーが形成される。
なお、本実施形態のおむつ1は、長手方向Xに延びる中央線CLに対して左右対称の形状を有している。
【0014】
次に、おむつ1の吸収体4について詳細に説明する。吸収体4は、
図2に示すように、吸収性コア40と、吸収性コア40の肌対向面を被覆する上側コアラップシート41と、吸収性コア40の非肌対向面を被覆する下側コアラップシート43とを含んで構成されている。吸収体4は、おむつ1の長手方向Xと同方向に長い矩形形状を有しており、おむつ1の腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘るように連続的に延びて形成されている。他方、おむつ1における吸収性コア40は、
図3に示すように、長手方向の両側縁40s,40sが内方に向けて凹状をなす括れ部40cと、吸収体の長手方向Xにおいて、該括れ部40cの前後に位置する腹側幅広部40a及び背側幅広部40bを有している。吸収性コア40も、おむつ1の腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘っている。
【0015】
吸収性コア40は、その全体が、上側コアラップシート41及び下側コアラップシート43により全体が包まれている。上側コアラップシートは、肌対向面側にあるコアラップシートであり、下側コアラップシートは、非肌対向面側(裏面シート側)にあるコアラップシートである。吸収性コア40はコアラップシートにて、その全面が包まれている。吸収性コア40の全面は、上下面、長手方向の両側面及び長手方向の両端面を含む。
上側コアラップシート41と下側コアラップシート43は、吸収性コア40の長手方向の両端40d,40eと同位置、又は該両端40d,40eから吸収体4の長手方向Xに若干延出した位置に両端を有している。
液吸収前の吸収体4の平面視においては、上側コアラップシート41と下側コアラップシート43とは、外形が同形状同寸法であり、吸収体4の長手方向X及び幅方向Yにおける長さが同じである。上側コアラップシートと下側コアラップシートが別体である場合、下側コアラップシートは不織布又は紙でもかまわない。
【0016】
おむつ1の吸収性コア40は、セルロース繊維及び吸水性ポリマーを含んでいる。セルロース繊維としては、例えば、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ等の木材パルプや木綿パルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維(パルプ繊維)の他、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維が挙げられる。再生セルロース繊維は、必要に応じ界面活性剤等により親水化処理したものを用いる。これらのセルロース繊維は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることもできる。
吸収性コア40は、セルロース繊維以外の親水性繊維を含んでいても良い。セルロース繊維以外の親水性繊維としては、合成繊維を必要に応じ界面活性剤等により親水化処理したもの等が挙げられる。例えば、合成繊維としては、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。
吸収容量増加の観点から、吸収性コア40は、セルロース繊維の含有量が、該吸収性コア40の全質量に対して、好ましくは10質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下であり、また、好ましくは10質量%以上80質量%以下、更に好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
【0017】
吸収性コア40は、更に吸水性ポリマーを含んでいる。
吸収性コアは、吸水性ポリマーを含むことが、より充分な吸収容量を確保しつつ薄型化を図ることができる点から好ましいが、従来の吸収性物品においては、吸水性ポリマーの含有割合を高めにすると、膨潤状態で加圧されたときに、上述したコアラップシートの破れや接合部の破損に生じやすくなる。
この点、本発明においては、コアラップシートの破れや接合部の破損を生じにくくする工夫をしているため、吸水性ポリマーの含有割合を高めてもそのような不都合が生じない。
そのため、吸収性コア40の含有割合を高めに設定することも容易である。
吸収性コア40は、吸水性ポリマーの含有量が、該吸収性コア40の全質量に対して、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下であり、また、好ましくは30質量%以上70質量%以下、更に好ましくは50質量%以上60質量%以下である。
【0018】
吸水性ポリマーとしては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限無く用いることができ、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸水性ポリマーとしては、通常は粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでも良い。粒子状の吸水性ポリマーには、その形状の違いから、不定形タイプ、塊状タイプ、俵状タイプ、球粒凝集タイプ、球状タイプ等があるが、何れのタイプも用いることができる。
吸水性ポリマーは、自重の10倍以上の水を保持可能であることが好ましく、より好ましくは自重の20倍以上、更に好ましくは自重の30倍以上の水を保持可能である。
【0019】
また、吸収性コア40の坪量(総ての形成材料の合計坪量)は、好ましくは300g/m
2以上、更に好ましくは450g/m
2以上であり、また、好ましくは700g/m
2以下、更に好ましくは600g/m
2以下である。
【0020】
上側コアラップシート41は、コアラップシートの破れやコアラップシートどうしの接合部の破損を生じにくくする工夫の一つとして、
図2及び
図4に示すように、吸収性コア40の肌対向面を被覆する部分に、凹凸形状を有する凹凸領域44を有している。
おむつ1における凹凸領域44は、
図2及び
図4に示すように、吸収体4の長手方向X(一方向)に延びる複数本の畝部71(凸部)と畝部71,71間に位置する溝部72(凹部)を備えた畝溝構造を有している。また、畝部71と溝部72は、吸収体4の幅方向Yに交互に形成され、それぞれ複数本形成されている。畝溝構造における畝部の裏面側(非肌当接面)は肌面側に窪んでおり、溝部の裏面側(肌当接面)は吸収性コア側に突出して、凹凸が表裏一体となっている。
また、
図2及び
図4に示すように、凹凸領域44は、上側コアラップシート41を構成する不織布を、連続波状の断面を有するように変形させて形成されており、凹凸領域44の個々の畝部71(凸部)においては、上側コアラップシート41を構成する不織布の表裏面が何れも着用者の肌側に向かって凸の断面形状を有している。
【0021】
おむつ1における凹凸領域44は、
図3に示すように、上側コアラップシート41における吸収性コア40の肌対向面を被覆する部分の全域に亘って形成されている。
凹凸領域44は、吸収体4の長手方向Xにおいては、おむつの全長L(
図1参照)の1/3以上の長さに亘って形成されていることが好ましく、おむつ1の股下部Cの全長に亘って形成されていることがより好ましく、本実施形態におけるように、吸収性コア40の全長に亘って形成されていることが更に好ましい。
凹凸領域44は、吸収体4の幅方向Yにおいては、吸収性コア40の全幅W(
図1参照)の、1/5以上の幅を有することが好ましく、1/3以上の幅を有することがより好ましく、1/2以上の幅を有することが更に好ましい。
ここでいう凹凸領域44の幅は、
図7に示す実施形態のように、吸収体4の幅方向に、凹凸領域44が複数形成されている場合、それらの凹凸領域44の幅の合計値である。
【0022】
凹凸領域44は、上側コアラップシートを構成する不織布に、凹凸加工を施して形成されている。
凹凸加工は、凹凸領域44の凸部に対応する形状の凸部を備えた第1部材と、該凸部に対応して設けられ該凸部の先端が挿入される凹部(溝でも良い)を備えた第2部材との間に不織布を挟んで加圧する方法が好ましい。後述する
図8や
図9に示す凹凸領域7A,7Bの形成についても同様である。また、第1及び第2部材は、何れも非加熱の状態で凹凸加工を施しても良いが、何れか一方又は双方を加熱して行うことも好ましい。但し、その加熱温度は、上側コアラップシートを構成する不織布の主たる構成繊維の融点以下であることが好ましい。
下側コアラップシートは前記凹凸領域がないでもよいが、凹凸領域を備えていてもかまわない。好ましくは上記凹凸領域がない。凹凸領域がないとは、フラットなシートであり、上記凹凸を形成していない意味であり、不織布や紙のシートが通常有する程度の皺や部分的な突起などは凹凸領域とは言わない。凹凸領域がないことで、裏面シートとのずれが生じにくく装着感が良好となる。
【0023】
おむつ1における上側コアラップシート41は、吸収体4を、
図3に示すように、吸収性コアの幅Wを3等分する相互に平行な2直線L1,L2で中央領域M及びその両側の側部領域S,Sに区分したときの該中央領域Mに、肌側シートとしての表面シート2に対して接着剤42aで長手方向Xに長く固定された上側固定部42を有している。また、上側コアラップシート41は、上側固定部42を挟んでその両側に位置する領域S1,S2に、前述した凹凸領域44が、表面シート2(肌側シート)に接合されない状態で存在している。
前記2直線L1,L2は、吸収体4の幅方向の中央を通り該吸収体4の長手方向に延びる吸収体の中央線(本実施形態においてはおむつ1の中央線CLと同じ)と平行に引く。また、吸収体4の幅方向における前記2直線L1,L2を引く位置は、吸収性コア40の幅Wを3等分する位置であるが、その吸収性コア40の幅Wは、吸収性コア40の幅(幅方向Yの長さ)が最大となる部位における幅である。
【0024】
おむつ1においては、上側コアラップシート41は、上側固定部42において表面シート2(腹側シート)に接合されている一方、上側固定部42を挟んでその両側に位置する領域S1,S2は、吸収性コア40の肌対向面を覆う部分の全域、より具体的には、吸収体4の幅方向の両端に至るまでの全域が、表面シート2(腹側シート)部分に接合されていない。凹凸領域44は、上側固定部42を挟んでその両側に位置する、表面シート2(腹側シート)部分に固定されていない前記領域S1,S2にも存在している。
【0025】
また、おむつ1における下側コアラップシート43は、
図2に示すように、非肌側シートとしての裏面シート3に接着剤を介して固定された下側固定部45,45を有する。下側固定部45,45は、下側コアラップシート43における吸収性コア40の非肌対向面を被覆する部分に形成されており、より具体的には、吸収体4の平面視において、前記上側固定部42を挟んでその両側に位置する領域のそれぞれに、相互に離間した状態に一対形成されており、また、それらの下側固定部45,45は、前述した吸収体4の側部領域S,Sのそれぞれに、相互に離間した状態に形成されている。
【0026】
図2に示すように、本実施形態における上側コアラップシート41と下側コアラップシート43とは、別々のシートであるが、吸収体4の両側部及び長手方向両端部において、ホットメルト型接着剤等の接着剤46やヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されて一体化されており、それによって、吸収性コア40の幅方向の断面の全周が、これらのコアラップシートによって囲まれており、吸収性コア40の全体が、これらのコアラップシートによって包まれている。
【0027】
一例を
図12(a)に示すが、上側コアラップシート41と下側コアラップシート43とが1枚のシートで形成される場合、1枚のコアラップシートが吸収性コア40の肌対向面側を覆いながら折り返して、吸収体4の非肌対向面において、コアラップシートを折り畳んだ重合部をホットメルト型接着剤等の接着剤46やヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されて一体化し、それによって、吸収性コア40の幅方向の断面の全周が、これらのコアラップシートによって囲まれるようにすることが好ましい。
なお、上側コアラップシート41と吸収性コア40の肌対向面との間は、スパイラルパターン塗工された接着剤によって接合されていることが、吸収体全体の柔軟性の観点から好ましい。また、吸収性コア40の非肌対向面と下側コアラップシート43との間も、スパイラルパターン塗工された接着剤によって接合されていることが、吸収体全体の柔軟性の観点から好ましい。
【0028】
上側コアラップシート41及び下側コアラップシート43を構成する不織布としては、それぞれ、各種公知の不織布を用いることができ、例えば、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布等の不織布;あるいはこれらの2種以上が積層された複合シート等が挙げられる。該複合シートは、該複合シートを構成する各シートが接着剤によって互いに貼り合わされて構成されているものではなく、後述する不織布の積層体のように、各シートの構成繊維どうしの絡み合い及び/又は熱融着によって各シートが一体化し、一枚のシートとなっているものが好ましい。両シート41,43、同じシートであっても良く、異なっていても良い。また、下側コアラップシート43は、クレープ紙等の紙から構成されていても良い。
【0029】
上側コアラップシート41及び下側コアラップシート43を構成する不織布は、それぞれ、1層以上のスパンボンド不織布層と1層以上のメルトブローン不織布層との積層体であることが好ましい。前記積層体は、各不織布層が互いに接合されて一体化しており、一枚の不織布である。前記積層体における隣接する不織布層どうしは、接着剤によって互いに貼り合わされて一体化しているのではなく、各不織布層の構成繊維どうしの絡み合い及び/又は熱融着によって一体化している。
【0030】
スパンボンド不織布層は、公知のスパンボンド法によって製造されたスパンボンド不織布からなる層であり、メルトブローン不織布層は、公知のメルトブローン法によって製造されたメルトブローン不織布からなる層である。スパンボンド不織布は、例えば、合成樹脂を熱溶融してノズルより紡出し、生成した多数本のフィラメントをコンベア上に集積させてウエブとし、そのウエブに、熱圧着、機械的交絡等の処理を施して各フィラメントどうしを接着させることにより得られる。また、メルトブローン不織布は、例えば、融解した合成樹脂を、押し出し機のダイチップからコンベア上に高速の気流で吹き出して、自己接着性ファイバーウエブを形成することにより得られる。スパンボンド不織布及びメルトブローン不織布の構成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等を単独で用いた繊維、又はこれら2種以上の樹脂を用いた複合繊維(芯鞘型、サイドバイサイド型等)等が挙げられる。
【0031】
前記積層体(コアラップシート41,43を構成する不織布)として特に好ましいものは、2層のスパンボンド不織布層の間に1層のメルトブローン不織布層が配置された状態で一体化された不織布である、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布、あるいは2層のスパンボンド不織布層の間に2層のメルトブローン不織布層が配置された状態で一体化された不織布である、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)不織布である。
【0032】
第1実施形態のおむつ1によれば、着用中に、
図5に示すように、吸収性コア40が吸液して、主として吸水性ポリマー48が膨潤することにより吸収性コア40が膨潤し、その吸収性コア40の膨らもうとする圧力を、上下のコアラップシート41,43が受けたときに、上側コアラップシート41の凹凸領域44における畝部71(凸部)の裏側の空間に吸収性コアの形成材料の一部が入るとともに、上側固定部42の両側に位置する部分S1,S2が、シート41の平面方向に拡がることができる。
そのため、上下のコアラップシート41,43に加わる張力や、シート同士の接合部47に加わる剥離力が緩和され、それにより、コアラップシート41,43が破断したり、シート同士の接合部47が破損したりすることが防止される。また、それにより、膨潤した吸水性ポリマー等が漏れ出す等の不都合が生じることも防止される。
【0033】
このような効果が一層確実に奏されるようにする観点から、上側コアラップシート41は、凹凸領域44における畝部71(凸部)の本数が、好ましくは4本以上であり、更に好ましくは12本以上であり、また、好ましくは50本以下、更に好ましくは20本以下であり、また、好ましくは4本以上50本以下、更に好ましくは12本以上20本以下である。ここでいう本数には、上側固定部42において表面シート2(腹側シート)に接合されている部分に存在する凸部の本数は含めない。
【0034】
同様の観点から、畝部71(凸部)の高さt(
図4参照)は、好ましくは0.5mm以上であり、更に好ましくは1.5mm以上であり、また、好ましくは5.0mm以下、更に好ましくは3.0mm以下であり、また、好ましくは0.5mm以上5.0mm以下、更に好ましくは1.5mm以上3.0mm以下である。
同様の観点から、畝部71(凸部)のピッチP(
図4参照)は、好ましくは0.5mm以上であり、更に好ましくは1.5mm以上であり、また、好ましくは5.0mm以下、更に好ましくは3.0mm以下である。
【0035】
しかも、おむつ1における上側コアラップシート41は、上述した態様で、肌側シートである表面シート2に固定されているため、凹凸領域44が、平面方向に広がることができる部分を有する上に、上側固定部42において、上側コアラップシート41を、肌側シートである表面シート2に固定されていることによって、吸収体が膨潤した時に、ヨレが生じたり、吸収体が偏ることを防止できるという効果も奏される。
【0036】
また、下側コアラップシート43が、非肌側シートとしての裏面シート3に固定された下側固定部45,45を有することは、吸収体のズレ防止の観点から好ましいという利点がある。
【0037】
上側固定部42は、
図3に示すように、吸収体4の長手方向Xに延びる帯状に1本形成されていることが好ましい。下側固定部45も、同様に、吸収体4の長手方向Xに延びる帯状に1本形成されていることが好ましい。
上側固定部42及び下側固定部45は、凹凸領域44と同様に、おむつの全長L(
図1参照)の1/3以上の長さに亘って形成されていることが好ましく、おむつ1の股下部Cの全長に亘って形成されていることがより好ましく、本実施形態におけるように、吸収性コア40の全長に亘って形成されていることが更に好ましい。
【0038】
また、上側固定部42は、その幅W2が、吸収性コア40の前記幅Wの、好ましくは25%以下であり、更に好ましくは10%以下であり、また好ましくは0.5%以上、更に好ましくは1%以上であり、また、好ましくは0.5%以上20%以下であり、更に好ましくは1%以上10%以下である。
また、下側固定部45を、吸収体4の幅方向に離間させて設ける場合、それらの離間距離W3(
図5参照)は、吸収性コア40の前記幅Wの、好ましくは50%以下であり、更に好ましくは30%以下であり、また好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上であり、また、好ましくは10%以上50%以下であり、更に好ましくは20%以上30%以下である。
【0039】
また、おむつ1においては、上側固定部42及び下側固定部45は、何れもホットメルト型の接着剤等の接着剤を介して表面シート2(肌側シート)又は裏面シート3(非肌側シート)に固定されている。
上側コアラップシート41の上側固定部42が接着剤42aにより表面シート2(肌側シート)に固定されていることは、表面シートと吸収体とのヨレ皺防止の観点から好ましいという利点があり、下側コアラップシート43の下側固定部45が、接着剤により裏面シート3(非肌側シート)に固定されていることは、吸収体のズレ防止の観点から好ましいという利点がある。
また、上側固定部42及び下側固定部45を固定する接着剤は、何れも、パターン塗工されていることが、充分な接着性と通気性、柔軟性の観点から好ましい。パターン塗工とは、接着剤の塗布部と非塗布部とが混在又は交互に形成されている塗工方法であり、例えば、長手方向に長い塗布形状として、スパイラル状、直線状、曲線状、面状等があり、これらの塗布形状が連続又は間欠して塗布されるパターンがある。これらの塗布パターンは、公知の塗布装置を用いて塗布することができる。例えば、ノードソン社製のホットメルト接着剤塗布装置を用いて、スパイラルスプレーガン及びサミットスプレーガンを用いてスパイラス状、曲線状に、ビードガンを用いて直線状に、スロットコートガンを用いて面状に、それぞれ塗布することができる。
【0040】
上側コアラップシート41と下側コアラップシート43とは、親水性が異なることが好ましく、より具体的には、上側コアラップシート41の方が下側コアラップシート43よりも親水度が高いことが好ましい。即ち、上側コアラップシート41は、尿等の排泄液を吸収性コア40側に素早く透過させる観点から、相対的に親水性が高いことが好ましく、また、下側コアラップシート43は、漏れ防止、吸収性コア40内での液拡散促進等の観点から、自由水(排泄液)を保持しない程度の弱親水性又は疎水性を有していることが好ましい。シートの親水度は、下記方法によって測定される水通過時間によって評価でき、水通過時間が短いほど、当該シートの親水度は高いと評価される。上側コアラップシート41と下側コアラップシート43とは、水通過時間が異なり、相対的に親水度が高い上側コアラップシート41の水通過時間は、好ましくは15秒未満、更に好ましくは10秒未満であり、相対的に親水度が低い下側コアラップシート43の水通過時間は、好ましくは15秒以上、更に好ましくは60秒以上である。
【0041】
シートの水通過時間は、特許文献1(特開2012−105962号公報)の段落〔0035〕に記載の方法によって測定する。上側コアラップシート41の親水度を相対的に高め、下側コアラップシート43の親水度を相対的に低下させる方法としては、例えば、上側コアラップシート41のみを親水化処理し、下側コアラップシート43は親水化処理しない方法が挙げられる。親水化処理の方法としては、シート(不織布)を親水化油剤で処理(浸漬、スプレー、グラビアコート、印刷等)する方法、不織布の原料となる樹脂に親水化油剤を練り込みブリードアウトさせる方法等が挙げられる。
【0042】
本発明の吸収性物品における吸収性コア40は、厚み方向の全域に亘って吸水性ポリマーが万遍なく存在していても良いが、本発明においては、吸収性コア40は、その肌対向面側に吸水性ポリマーが偏在していることも好ましい。
吸水性ポリマーが、吸収性コア40の肌対向面側に偏在していると、吸液したときに吸収性コア40は、その肌対向面側が一層膨潤し易くなるが、本発明によれば、コアラップシートやその接合部に破損が生じることが防止されるため、吸水性ポリマーを、吸収性コア40の肌対向面側に偏在させることによって、吸収速度等を向上させることが可能である。吸収性コア40の肌対向面側に偏在しているか否かは、例えば、吸収性コア40を厚み方向の中央を通る平面より上側の部分と下側の部分とに区分して、それぞれに存在する吸水性ポリマーの坪量比を比較したときに、上側の部分の坪量が、下側の部分の坪量の1.0倍を超えるか否かにより判定することができる。
【0043】
図6(a)及び
図6(b)は、本発明の第2実施形態である使い捨ておむつ1Aを示す図であり、
図6(a)には、第2実施形態のおむつ1Aに用いた吸収体4Aの平面図、
図6(b)には、おむつ1Aの幅方向Yに沿う断面図が示されている。
第2実施形態のおむつ1Aにおける上側コアラップシート41は、吸収体4の中央領域Mに、第1実施形態の吸収体と同様の凹凸領域44及び上側固定部42を有する一方、吸収性コア40の肌対向面側を覆う部分の両側部に、凹凸領域44が所定の幅に亘って形成されていない領域49を有している。
【0044】
図7(a)及び
図7(b)は、本発明の第3実施形態である使い捨ておむつ1Bを示す図であり、
図7(a)には、第3実施形態のおむつ1Bに用いた吸収体4Bの平面図、
図7(b)には、おむつ1Bの幅方向Yに沿う断面図が示されている。
第3実施形態のおむつ1Bにおける上側コアラップシート41は、吸収体4の中央領域Mの中央部に、凹凸領域44が存在しない領域49を有しており、上側コアラップシート41は、その凹凸領域44ではない領域49に、接着剤を介して表面シート2(肌側シート)に接合された上側固定部42を有している。
第2及び第3実施形態のおむつ1A,1Bにおいても、上側コアラップシート41は、上側固定部42において表面シート2(腹側シート)に接合されている一方、上側固定部42を挟んでその両側に位置する領域は、吸収性コア40の肌対向面を覆う部分の全域、より具体的には、吸収体4の幅方向の両端に至るまでの全域が、表面シート2(腹側シート)部分に接合されておらず、その表面シート2(腹側シート)部分に固定されていない部分に凹凸領域44を有している。
そのため、第2及び第3実施形態のおむつ1A,1Bによっても、第1実施形態のおむつ1と同様の効果が奏される。
【0045】
図8〜
図10には、上側コアラップシート41に形成する凹凸領域の他の例が示されている。
図8に示す凹凸領域7Aは、上側コアラップシート41を構成する不織布が、着用者の肌側に向かって突出する多数の凸部73及びそれらの間に位置する凹部74を有する凹凸形状を有している。凹凸領域7Aにおける個々の凸部73は、ドーム状を有しており、平面視形状が円形又は楕円形状である。また、個々の凸部73は、その表面73a及び裏面73bが、何れも着用者の肌側に向かって凸の断面形状を有している。
図9に示す凹凸領域7Bは、上側コアラップシート41を構成する不織布が、着用者の肌側に向かって突出する多数の凸部75及び複数個の凸部75に囲まれた凹部76を有する凹凸形状を有している。凹凸領域7Bにおける個々の凸部75は、下面が開放された立方体状を有しており、平面視形状は、正方形又は長方形状である。個々の凸部75は、その表裏両面が、何れも着用者の肌側に向かって凸の断面形状を有している。
図10に示す凹凸領域7Cは、上側コアラップシート41を構成する不織布が、着用者の肌側に向かって突出する皺状の凸部77を有している。皺状の凸部77は、概ね一方向に延びており、表裏両面が、何れも着用者の肌側に向かって凸の断面形状を有している。
図8〜
図10に示す凹凸領域7A〜7Cは、例えば、上述したおむつ1,1A,1Bにおける凹凸領域44に代えて設けることができる。
【0046】
本発明における肌側シートは、上述したおむつ1,1A,1Bのように、表面シート2であっても良いが、肌側シートの全体又は一部が、表面シート2と吸収体4との間に配されたサブレイヤーシート(図示せず)であっても良い。
サブレイヤーシートは、おむつの液吸収能を補強し、吸収体4に吸収された液が表面シート2側に戻る現象(ウエットバック)を低減させる効果がある。サブレイヤーシートは、吸収体4の肌対向面(上側コアラップシート41)の全域を被覆するように配置さしても良いし、吸収体4の肌対向面の一部のみを被覆するように配置されていても良い。例えば、吸収体4の肌対向面における、腹側部Aの長手方向端部近傍から股下部Cに位置する吸収体4の長手方向中央部に亘る部位のみを被覆するように配置し、背側部Bには配置しないことも好ましい。
【0047】
表面シート2と吸収体4との間にサブレイヤーシートが介在する範囲においては、上述した上側コアラップシート41の上側固定部42は、サブレイヤーシートに接着剤を介して固定することが好ましい。また、その固定は、上側コアラップシート41及びサブレイヤーシートに接着剤をパターン塗工して行うことが好ましい。
例えば、長手方向に長い塗布形状として、スパイラル状、直線状、曲線状、面状等があり、これらの塗布形状が連続又は間欠して塗布されるパターンがある。これらの塗布パターンは、公知の塗布装置を用いて塗布することができる。例えば、ノードソン社製のホットメルト接着剤塗布装置を用いて、スパイラルスプレーガン及びサミットスプレーガンを用いてスパイラス状、曲線状に、ビードガンを用いて直線状に、スロットコートガンを用いて面状に、それぞれ塗布することができる。
【0048】
サブレイヤーシートとしては、親水性繊維を主体とするシート(親水性繊維の含有量が好ましくは90質量%以上のシート)を用いることができ、該シートとしては、例えば、紙、不織布、ウエブ等が挙げられる。親水性繊維としては、親水性表面を有する繊維であって、その湿潤状態において、繊維どうしが互いに高い自由度を有するシートを形成できるものであれば、特に制限なく用いることができる。そのような親水性繊維の例には、前述したセルロース繊維や親水性合成繊維や親水化処理した合成繊維の他、特表2010−526632号公報に記載の変性(セルロース)繊維、例えば、化学的に剛化された、撚り合わされた及び/又はカールされた(カーリー)(セルロース)繊維;化学的に剛化された、撚り合わされた及び/又はカールされた架橋セルロース又は合成ポリマー繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。サブレイヤーシートは、親水性繊維に加えて、他の成分、例えば吸水性ポリマー、消臭剤等を含有していても良い。サブレイヤーシートの坪量は、好ましくは20〜300g/m
2、更に好ましくは60〜200g/m
2である。また、サブレイヤーシートの無荷重下における厚みは、好ましくは0.5〜10mm、更に好ましくは3〜5mmである。
【0049】
また、本発明に用いる吸収性コア40は、吸収体4における、上側固定部42を挟んでその両側に位置する領域40S,40Sのそれぞれに、該吸収性コアの形成材料の坪量が他の部分に比して少ない低坪量部8,8を有することも好ましい。
図11(a)及び
図11(b)は、それぞれ、低坪量部8,8を有する吸収性コア40の一例を示す図であり、何れもおむつの股下部Cに配される部分を含んで、吸収性コア40(吸収体)の長手方向Xに延びる低坪量部8,8を有している。低坪量部8は、吸収性コアの形成材料の坪量は、吸収性コアを形成する吸水性ポリマーとセルロース繊維との合計の坪量であり、更に任意に加えられる他の材料がある場合には、その坪量も加える。低坪量部8は、吸収性コアの形成材料が実質的にない非積繊部等であっても良いし、吸収性コアの形成材料の坪量が他の部位に比して少ない部位、例えば吸収性コアの形成材料の坪量が、他の部位の坪量の20%以下、より好ましくは10%以下の部位であっても良い。
【0050】
上述したおむつ1,1A,1Bにおける構成部材のうち、特に説明しないものについては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができる。裏面シート3としては、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等の各種液不透過性ないし撥水性のものを用いることができる。また、立体ギャザー形成用のシート材62としては、裏面シート3と同様のものを用いることができる。
【0051】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず、適宜変更可能である。
上側コアラップシート41と下側コアラップシート43は、別体のシートに限られず、
図12(a)に示すように、一枚のコアラップシートにおける、吸収性コアの肌当接面及び非肌当接面を覆う部分であっても良い。また、別体の上側コアラップシート41と下側コアラップシート43とを接合する態様は、
図12(b)又は
図12(c)に示す態様であっても良い。
図12(a)〜
図12(c)においては、コアラップシートどうしが、ホットメルト型接着剤等の接着剤46で接合されている。
また、上側固定部42は、吸収体4の中央領域Mに収まるように2本形成されていても良い。この場合2本は近接して形成されており、幅方向の離間幅(固定部のない領域)は、0.1〜3mmが好ましい。
【0052】
また、本発明の吸収性物品は、幼児用や成人用の展開式(テープ止め式)の使い捨ておむつの他、幼児用や成人用のパンツ型の使い捨ておむつ、失禁パッド、生理用ナプキン等であってもよい。
また、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【0053】
前述した本発明の実施形態(態様)に関し、更に以下の付記(吸収性物品)を開示する。
<1>
吸収体、該吸収体の肌対向面側に配された肌側シート、及び該吸収体の非肌対向面に配された非肌側シートを備えた吸収性物品であって、
前記吸収体は、着用者の前後方向に対応する方向に長い形状を有し、且つ
セルロース繊維及び吸水性ポリマーを含む吸収性コアと、該吸収性コアの肌対向面を被覆する上側コアラップシートと、該吸収性コアの非肌対向面を被覆する下側コアラップシートとを有し、該上側コアラップシート及び該下側コアラップシートにより前記吸収性コアの全体が包まれており、
前記上側コアラップシートは、不織布からなり、凹凸形状を有する凹凸領域を有し、該凹凸領域の凸部は、前記不織布の表裏面が何れも着用者の肌側に向かって凸の断面形状を有しており、
前記上側コアラップシートは、前記吸収体を、前記吸収性コアの幅を3等分する相互に平行な2直線で中央領域及びその両側の側部領域に区分したときの該中央領域に、前記肌側シートに対して、前記吸収体の長手方向に長く固定された上側固定部を有しており、且つ該上側固定部を挟んでその両側に位置する領域に、前記凹凸領域が前記肌側シートに接合されない状態で存在しており、
下側コアラップシートは、前記非肌側シートに固定された下側固定部を有する、吸収性物品。
【0054】
<2>
前記凹凸領域は、凸部が畝部で凹部が溝部であり、複数本の畝部と該畝部間に位置する溝部を備えて畝部と溝部が幅方向に交互に備えた畝溝構造を有する、<1>に記載の吸収性物品。
<3>
前記上側コアラップシートは、前記畝溝構造における畝部と溝部をそれぞれ複数本有し、前記畝部の合計数が4本以上50本以下であり、前記畝部の高さが0.5mm以上5.0mm以下である、<1>又は<2>に記載の吸収性物品。
<4>
前記凹凸領域の凸部が、ドーム状、立方体状又は皺状の凸部である、<1>に記載の吸収性物品。
<5>
前記上側固定部及び前記下側固定部は、何れも接着剤を介して固定されており、該接着剤は長手方向にパターン塗工されている、<1>〜<4>の何れか1に記載の吸収性物品。
<6>
前記上側コアラップシートの方が前記下側コアラップシートよりも親水度が高い<1>〜<5>の何れか1に記載の吸収性物品。
<7>
前記吸収性コアは、その肌対向面側に吸水性ポリマーが偏在している、<1>〜<6>の何れか1に記載の吸収性物品。
<8>
前記肌側シートは、その全体又は一部が、吸収性物品の肌対向面を形成する液透過性の表面シートと前記吸収体との間に配されたサブレイヤーシートである、<1>〜<7>の何れか1に記載の吸収性物品。
<9>
前記吸収性コアは、前記吸収体における、前記上側固定部を挟んでその両側に位置する領域のそれぞれに、吸収性コアの形成材料の坪量が他の部分に比して少ない長手方向に延びる低坪量部を有する、<1>〜<8>の何れか1に記載の吸収性物品。
<10>
前記下側コアラップシートは、凹凸領域がない<1>〜<9>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0055】
<11>
前記吸収性コア40は、長手方向の両側縁40s,40sが内方に向けて凹状をなす括れ部40cと、吸収体の長手方向Xにおいて、該括れ部40cの前後に位置する腹側幅広部40a及び背側幅広部40bを有している<1>〜<10>の何れか1に記載の吸収性物品。
<12>
前記液吸収前の吸収体4の平面視においては、上側コアラップシート41と下側コアラップシート43とは、外形が同形状同寸法であり、吸収体4の長手方向X及び幅方向Yにおける長さが同じである<1>〜<11>の何れか1に記載の吸収性物品。
<13>
前記吸収性コア40は、セルロース繊維及び吸水性ポリマーを含んでおり、該セルロース繊維としては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプの木材パルプや木綿パルプ、ワラパルプの非木材パルプの天然セルロース繊維(パルプ繊維)、レーヨン、キュプラの再生セルロース繊維の何れかを含み、再生セルロース繊維は、親水化処理したものであり、これらのセルロース繊維は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いた<1>〜<12>の何れか1に記載の吸収性物品。
<14>
前記吸収性コア40は、セルロース繊維の含有量が、該吸収性コア40の全質量に対して、10質量%以上、好ましくは30質量%以上であり、また、80質量%以下、好ましくは70質量%以下であり、また、10質量%以上80質量%以下、好ましくは30質量%以上70質量%以下である<1>〜<13>の何れか1に記載の吸収性物品。
<15>
前記吸収性コア40は、吸水性ポリマーの含有量が、該吸収性コア40の全質量に対して、30質量%以上、好ましくは50質量%以上であり、また、70質量%以下、好ましくは60質量%以下であり、また、30質量%以上70質量%以下、好ましくは50質量%以上60質量%以下である<1>〜<14>の何れか1に記載の吸収性物品。
<16>
前記吸水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウムの何れかであり、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用い、粒子状のもの、繊維状のもの何れかであり、前記粒子状の吸水性ポリマーは、その形状が不定形タイプ、塊状タイプ、俵状タイプ、球粒凝集タイプ、球状タイプの何れかのタイプである、<1>〜<15>の何れか1に記載の吸収性物品。
<17>
前記吸水性ポリマーは、自重の10倍以上の水を保持可能であり、好ましくは自重の20倍以上、更に好ましくは自重の30倍以上の水を保持可能である<1>〜<16>の何れか1に記載の吸収性物品。
<18>
前記吸収性コア40の坪量(総ての形成材料の合計坪量)は、300g/m
2以上、好ましくは450g/m
2以上であり、また、700g/m
2以下、好ましくは600g/m
2以下である<1>〜<17>の何れか1に記載の吸収性物品。
<19>
前記凹凸領域44は、吸収体4の長手方向X(一方向)に延びる複数本の畝部71(凸部)と畝部71,71間に位置する溝部72(凹部)を備えた畝溝構造を有し、畝部71と溝部72は、吸収体4の幅方向Yに交互に形成され、それぞれ複数本形成されて畝溝構造における畝部の裏面側(非肌当接面)は肌面側に窪んでおり、溝部の裏面側(肌当接面)は吸収コア側に突出して、凹凸が表裏一体となって、凹凸領域44は、上側コアラップシート41を構成する不織布を、連続波状の断面を有するように変形させて形成されており、凹凸領域44の個々の畝部71(凸部)においては、上側コアラップシート41を構成する不織布の表裏面が何れも着用者の肌側に向かって凸の断面形状を有している<1>〜<18>の何れか1に記載の吸収性物品。
<20>
前記上側コアラップシート41は、上側固定部42において表面シート2(腹側シート)に接合されている一方、上側固定部42を挟んでその両側に位置する領域S1,S2は、吸収性コア40の肌対向面を覆う部分の全域である吸収体4の幅方向の両端に至るまでの全域が、表面シート2(腹側シート)部分に接合されておらず、凹凸領域44は、上側固定部42を挟んでその両側に位置する、表面シート2(腹側シート)部分に固定されていない前記領域S1,S2にも存在し、また、前記下側コアラップシート43は、非肌側シートとしての裏面シート3に接着剤を介して固定された下側固定部45,45を有し、下側固定部45,45は、下側コアラップシート43における吸収性コア40の非肌対向面を被覆する部分に形成されており、吸収体4の平面視において、前記上側固定部42を挟んでその両側に位置する領域のそれぞれに、相互に離間した状態に一対形成されており、それらの下側固定部45,45は、吸収体4の側部領域S,Sのそれぞれに、相互に離間した状態に形成されている<1>〜<19>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0056】
<21>
上側コアラップシート41と下側コアラップシート43とが1枚のシート又は2枚のシートで形成される<1>〜<20>の何れか1に記載の吸収性物品。
<22>
上側コアラップシート41と吸収性コア40の肌対向面との間は、スパイラルパターン塗工された接着剤によって接合されている<1>〜<21>の何れか1に記載の吸収性物品。
<23>
上側コアラップシート41及び下側コアラップシート43を構成する不織布は、それぞれ、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、エアレイド不織布等の不織布;あるいはこれらの2種以上が積層された複合シートであり、該複合シートは、該複合シートを構成する各シートが接着剤によって互いに貼り合わされて構成されているものではなく、不織布の積層体であり、各シートの構成繊維どうしの絡み合い及び/又は熱融着によって各シートが一体化し、一枚のシートとなっている<1>〜<22>の何れか1に記載の吸収性物品。
<24>
前記下側コアラップシート43は、クレープ紙から構成されている<1>〜<23>の何れか1に記載の吸収性物品。
<25>
前記上側コアラップシート41を構成する不織布は、1層以上のスパンボンド不織布層と1層以上のメルトブローン不織布層との積層体であり、前記積層体は、各不織布層が互いに接合されて一体化しており、一枚の不織布であり、前記積層体における隣接する不織布層どうしは、接着剤によって互いに貼り合わされて一体化しているのではなく、各不織布層の構成繊維どうしの絡み合い及び/又は熱融着によって一体化しており、前記積層体(コアラップシート41,43を構成する不織布)として好ましいものは、2層のスパンボンド不織布層の間に1層のメルトブローン不織布層が配置された状態で一体化された不織布であり、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布、あるいは2層のスパンボンド不織布層の間に2層のメルトブローン不織布層が配置された状態で一体化された不織布である、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)不織布である<1>〜<24>の何れか1に記載の吸収性物品。
<26>
前記上側コアラップシート41は、凹凸領域44における畝部71(凸部)の本数が、4本以上であり、好ましくは12本以上であり、また、50本以下、好ましくは20本以下であり、また、4本以上50本以下、好ましくは12本以上20本以下であり、畝部71(凸部)の高さtは、0.5mm以上であり、好ましくは1.5mm以上であり、また、5.0mm以下、好ましくは3.0mm以下であり、また、0.5mm以上5.0mm以下、好ましくは1.5mm以上3.0mm以下であり、畝部71(凸部)のピッチPは0.5mm以上であり、好ましくは1.5mm以上であり、また、5.0mm以下、好ましくは3.0mm以下である<1>〜<25>の何れか1に記載の吸収性物品。
<27>
上側固定部42は、吸収体4の長手方向Xに延びる帯状に1本形成されており、下側固定部45も、同様に、吸収体4の長手方向Xに延びる帯状に1本形成されており、上側固定部42及び下側固定部45は、凹凸領域44と同様に、吸収性物品の全長L(
図1参照)の1/3以上の長さに亘って形成されており、好ましくは、股下部Cの全長に亘って形成されている<1>〜<26>の何れか1に記載の吸収性物品。
<28>
上側固定部42は、その幅W2が、吸収性コア40の前記幅Wの、25%以下であり、好ましくは10%以下であり、また、0.5%以上、好ましくは1%以上であり、また、0.5%以上20%以下であり、好ましくは1%以上10%以下であり、また、下側固定部45を、吸収体4の幅方向に離間させて設けており、それらの離間距離W3は、吸収性コア40の前記幅Wの、50%以下であり、好ましくは30%以下であり、また10%以上、好ましくは20%以上であり、また、10%以上50%以下であり、好ましくは20%以上30%以下である<1>〜<29>の何れか1に記載の吸収性物品。
<29>
表面シート2と吸収体4との間にサブレイヤーシートが介在し、上側コアラップシート41の上側固定部42は、サブレイヤーシートに接着剤を介して固定し、その固定は、上側コアラップシート41及びサブレイヤーシートに接着剤をパターン塗工して行い、該パターン塗工は、長手方向に長い塗布形状として、スパイラル状、直線状、曲線状、面状いずれかであり、これらの塗布形状が連続又は間欠して塗布されるパターンがある<1>〜<28>の何れか1に記載の吸収性物品。
<30>
前記サブレイヤーシートは、親水性繊維を主体とするシート(親水性繊維の含有量が好ましくは90質量%以上のシート)を用い、該シートとしては、紙、不織布、ウエブ何れかであり、親水性繊維としては、親水性表面を有する繊維であって、サブレイヤーシートの坪量は、20〜300g/m
2、好ましくは60〜200g/m
2であり、サブレイヤーシートの無荷重下における厚みは、0.5〜10mm、好ましくは3〜5mmである<1>〜<29>の何れか1に記載の吸収性物品。
【0057】
<31>
前記吸収性物品が、使い捨ておむつである、前記<1>〜<30>の何れか1に記載の吸収性物品。
<32>
前記使い捨ておむつは展開型の使い捨ておむつであり、背側部Bの両側縁部に、ファスニングテープ5,5が設けられ、腹側部Aの外表面にファスニングテープ5,5を止着するランディングゾーン51が設けられている前記<31>に記載の吸収性物品。
<33>
レッグギャザーを有する前記<32>記載の吸収性物品。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例を用いて更に説明するが、本発明は、斯かる実施例によって何ら制限されるものではない。
【0059】
〔実施例1〕
図2及び
図3に示す形態の吸収体4を製造した。吸収性コア40は、パルプ繊維と吸水性ポリマーの混合積繊体として形成した。吸収性コア40における、パルプ繊維の坪量は60g/m
2、吸水性ポリマーの坪量は170g/m
2であった。パルプ繊維としては、通常のフラッフパルプを用いた。吸収性コア40の肌対向面側を被覆する上側のコアラップシート41及び非肌対向面側を被覆する下側のコアラップシート43としては、何れもSMS不織布を用いた。上側コアラップシート41は、畝溝構造を有する凹凸領域44を有するものを用い、凹凸領域44が、
図2及び
図3に示す位置に配されるように用いた。また、下側コアラップシート43は凹凸領域のないシートを用いた。
【0060】
上記の吸収体を、表面シートと裏面シートとの間に挟み、評価用のおむつとした。吸収体の上側コアラップシート41と表面シート2との間は、吸収体の幅方向の中央を長手方向に延びる帯状の上側固定部42が形成されるように接着剤を介して接合した。下側コアラップシート43と裏面シート3との間も、吸収体の平面視における上側固定部の両側に、一対の下側固定部45,45が形成されるように接着剤を介して接合した。
また、表面シート及び外層シートとしては下記のものを用いた。また、吸収体4の両側部において、上側コアラップシート41と下側コアラップシート43とを、
図2に示すような接合部47が生じるように接着剤を介して接合した。
表面シート:坪量36g/m
2のエアスルー不織布
裏面シート:坪量20g/m
2のポリエチレンフィルムシート
【0061】
〔比較例1〕
実施例1と同様の上側コアラップシート及び下側コアラップシートを用いて吸収体を形成し、その吸収体を表面シートと裏面シートとの間に挟み、評価用のおむつとした。吸収体の上側コアラップシート41と表面シート2との間は接着剤を介さなかった。下側コアラップシート43と裏面シート3との間には、吸収体の平面視における上側固定部の両側に、一対の下側固定部45,45が形成されるように接着剤を介して接合した。
上記で用いた吸収体は、実施例1と同様に作成した。
また、表面シート及び外層シート、及び吸収体4の両側部において、上側コアラップシート41と下側コアラップシート43との接合は実施例1と同様に作成した。
【0062】
〔比較例2〕
実施例1と同様の上側コアラップシート及び下側コアラップシートを用いて吸収体を形成し、その吸収体を表面シートと裏面シートとの間に挟み、評価用のおむつとした。吸収体の上側コアラップシート41と表面シート2との間に、平面視した時に、下側固定部45,45に重なる位置において接着剤を介して固定した。更に下側コアラップシート43と裏面シート3との間には、
図2に示す通り、一対の下側固定部45,45が形成されるように接着剤を介して接合した。
上記で用いた吸収体は、実施例1と同様に作成した。
また、表面シート及び外層シート、及び吸収体4の両側部において、上側コアラップシート41と下側コアラップシート43との接合は実施例1と同様に作成した。
【0063】
〔評価〕
以下の方法により、実施例及び比較例の各評価用のおむつについて、コアラップシート又はその接合部の破損防止性を評価した。
〔評価方向〕
赤く着色した人工尿30gを、吸収体の中央部の1点に注入し5分間放置した後、同じ場所に再び人工尿30gを注入して5分間放置した。
次いで、人工尿を注入した中心点を中心に位置させ、1辺が100mm、厚みが5mmの正方形状の60gのアクリル板をおき、更にその上に4kgの錘を90秒間載せた。このようにして吸液及び加圧を行った後のサンプルについて、吸水性ポリマーの漏れの有無、及びコアラップシートの破れについて目視にて調べた。
〔結果〕
結果は、実施例については、コアラップシート同士の接合部に破損は視られず、吸水性ポリマーの漏れも観察されなかった。これに対して、比較例1、2については、コアラップシート同士の接合部47の接着が一部剥がれ、その部分から吸水性ポリマーが漏れ出した状態が観察された。
【0064】
上記の結果から、実施例1のおむつは、吸収性コアが膨潤してもコアラップシートの破れや接合部の剥離が生じにくいことが判る。